WO2017010468A1 - カラーチャート作成装置、該方法および該プログラムならびにカラーチャート - Google Patents

Abstract

本発明のカラーチャート作成装置、該方法および該プログラムでは、カラーチャートの複数のパッチそれぞれについて、当該パッチのサイズが、当該パッチに対応する、色を所定の表色系で表したパッチ色定義情報における前記表色系を構成する複数のパラメータのうちの少なくとも１つのパラメータに基づいて設定される。本発明のカラーチャートでは、その複数のパッチそれぞれは、当該パッチに対応する前記パッチ色定義情報における前記表色系を構成する複数のパラメータのうちの少なくとも１つのパラメータに基づいて設定されたサイズを持つ。

Description

カラーチャート作成装置、該方法および該プログラムならびにカラーチャート

　本発明は、カラーチャートを作成するカラーチャート作成装置、カラーチャート作成方法およびカラーチャート作成プログラムならびに前記カラーチャートに関する。

　例えば印刷会社等のようにカラーの印刷物を生成する会社は、印刷物の品質を保つため、印刷物の色を定期的に測色し、その印刷物を印刷した印刷装置の色を調整している。このような印刷装置の色調整では、例えば、カラーチャートと呼ばれる原画像データが印刷装置によって印刷され、この印刷されたカラーチャートにおける各パッチの各色が測色装置によって測定される。そして、各パッチの色の実測値と、各パッチの色の目標値との色ずれ量が評価され、この評価結果に応じて印刷装置の色が調整される。

　前記カラーチャートは、前記パッチと呼ばれる複数の色見本を備えて構成され、複数のパッチそれぞれは、多くの場合、同一サイズで互いに異なる色（色相、明度、彩度）で形成され、所定の態様で配列されている。このようなカラーチャートには、様々な種類がある。例えば、様々な色を持つ複数の四角形のパッチを縦横に２次元アレイ状に配置することによって構成された態様のカラーチャートがある。このような態様のカラーチャートには、さらに、評価したい内容によって、ランダム（無作為）な色配列となるように各パッチが配列されたり、グラデーションのように、互いに隣接するパッチ間における濃淡の変化が少なくなるように各パッチが配列されたりするなど、様々なパターンがある。そして、このようなカラーチャートは、測色装置のメーカーの提供するカラーチャート作成ツールを用いることによってユーザが作成するものだけではなく、公的な機関から提供されるものもある。このようにカラーチャートは、パッチの形状、配置および配色等の違いによって実に様々なパターンがある。

　このようなカラーチャートを作成する技術は、例えば特許文献１に提案されている。この特許文献１に開示されたパッチの配列およびサイズを決定するための方法は、カラーチャートを構成するための複数のパッチであって互いに色が異なるパッチの配列およびサイズを決定する方法であって、所定の表色系で表された上記各パッチの色情報を取得するとともに、当該色情報を構成する少なくとも一つの成分に基づいて、当該成分の差が小さいパッチが近接するように上記配列を決定するパッチ配列決定工程と、上記決定された配列において隣接し合うパッチ間の、色情報を構成する少なくとも一つの成分の差を算出するとともに、当該算出した差のうち最大値に基づいて上記サイズを決定するパッチサイズ決定工程とを備える。

　ところで、印刷装置の色調整に用いられる色の数は、年々増加しており、これに応じてカラーチャートに配置されるパッチの数も、増加しており、しかも、各パッチのサイズ（面積）は、小さい。このような事情から、各パッチに対し測色装置の測定部位を人手で正確に位置合わせを行って測色することは、事実上不可能な状況になってきている。このため、自動的に各パッチの位置を測定し、この測定した各パッチの位置に測色装置の測定部位を自動的に合わせて各パッチの色を測定する自動的なシステムが開発されている。

　このような自動的に各パッチを測色する自動的なシステムは、各色を十分な精度で測色するために、十分なレベルの信号を得る必要がある。しかしながら、各パッチは、その色の違いから反射率が異なるため、パッチの色によっては、十分なレベルの信号が得られない場合がある。特に、例えば黒色等の比較的低反射率の色を持つパッチでは、十分なレベルの信号が得難い。

　前記特許文献１に開示された方法は、各パッチの配列と各パッチのサイズを設定できる。しかしながら、前記特許文献１では、各パッチの配列は、色情報を構成する少なくとも１つの成分の差の小さいパッチが近接するように配列され、各パッチの各サイズは、互いに隣接する各パッチ間における少なくとも１つの前記成分の差のうちの最大値に基づいて決定されている。このため、前記特許文献１に開示された方法では、近接する他のパッチとの関係で自らのパッチのサイズが決定されるため、低反射率のパッチのサイズは、必ずしも大きくなるとは限らず、逆に小さくなる虞もある。したがって、前記特許文献１に開示された方法で作成されたカラーチャートでは、前記自動的なシステムで十分なレベルの信号を得られない場合がある。

特開２０１０－２２１４３９号公報

　本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、パッチの色にかかわらずより高精度なパッチの測色を可能とするカラーチャートを作成できるカラーチャート作成装置、カラーチャート作成方法およびカラーチャート作成プログラムを提供することである。そして、本発明の他の目的は、パッチの色にかかわらずより高精度なパッチの測色を可能とするカラーチャートを提供することである。

　本発明にかかるカラーチャート作成装置、カラーチャート作成方法およびカラーチャート作成プログラムでは、カラーチャートの複数のパッチそれぞれについて、当該パッチのサイズが、当該パッチに対応する、色を所定の表色系で表したパッチ色定義情報における前記表色系を構成する複数のパラメータのうちの少なくとも１つのパラメータに基づいて設定される。したがって、本発明におけるカラーチャート作成装置およびカラーチャート作成方法は、パッチの色にかかわらずより高精度なパッチの測色を可能とするカラーチャートを作成できる。そして、本発明におけるカラーチャートでは、その複数のパッチそれぞれは、当該パッチに対応する前記パッチ色定義情報における前記表色系を構成する複数のパラメータのうちの少なくとも１つのパラメータに基づいて設定されたサイズを持つ。したがって、本発明におけるカラーチャートは、パッチの色にかかわらずより高精度なパッチの測色を可能とする。

　上記並びにその他の本発明の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な記載と添付図面から明らかになるであろう。

実施形態におけるカラーチャート作成装置の構成を示すブロック図である。 所定の表色系で表したパッチの色に基づいて設定されるサイズを説明するための図である。 所定の表色系で表したパッチの色に基づいて設定された第１態様のサイズ設定方法で設定されたサイズのパッチを持つカラーチャートを説明するための図である。 比較的明るい色のパッチを選択した場合における第１態様のサイズ設定方法で設定されたサイズのパッチを持つカラーチャートを説明するための図である。 所定の表色系で表したパッチの色に基づいて設定された第２態様のサイズ設定方法で設定されたサイズのパッチを持つカラーチャートを示す図である。 実施形態におけるカラーチャート作成装置の動作を示すフローチャートである。 パッチサイズの変更による効果を説明するための図である。

　以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。

　図１は、実施形態におけるカラーチャート作成装置の構成を示すブロック図である。図２は、所定の表色系で表したパッチの色に基づいて設定されるサイズを説明するための図である。図２は、ｘｙ色度図であり、横軸はｘであり、縦軸はｙである。図３は、所定の表色系で表したパッチの色に基づいて設定された第１態様のサイズ設定方法で設定されたサイズのパッチを持つカラーチャートを説明するための図である。図３Ａは、第１態様のサイズ設定方法で設定されたサイズのパッチを持つカラーチャートＣＴａを示し、図３Ｂは、従来のカラーチャートＣＴｂを示す。図４は、比較的明るい色のパッチを選択した場合における第１態様のサイズ設定方法で設定されたサイズのパッチを持つカラーチャートを説明するための図である。図４Ａは、第１態様のサイズ設定方法で設定されたサイズのパッチを持つカラーチャートＣＴｃを示し、図４Ｂは、従来のカラーチャートＣＴｃ’を示す。図５は、所定の表色系で表したパッチの色に基づいて設定された第２態様のサイズ設定方法で設定されたサイズのパッチを持つカラーチャートを示す図である。

　本実施形態におけるカラーチャート作成装置は、所定の色の領域であるパッチ（色見本）を複数備えるカラーチャートを作成する装置であり、複数のパッチそれぞれについて、当該パッチのサイズを、当該パッチ自らの色に基づいて設定する。そして、本実施形態におけるカラーチャート作成装置は、このようなパッチのサイズを調整したカラーチャートのデータを提供するだけでなく、さらに、このカラーチャートのデータを用いて用紙に印刷した現物のカラーチャートを提供する。

　このような本実施形態におけるカラーチャート作成装置Ｍは、例えば、図２に示すように、制御処理部１と、記憶部２とを備え、図２に示す例では、さらに、給紙部３と、印刷部４と、測色部５と、排紙部６と、入力部７と、出力部８と、ＩＦ部９と、給紙部３から印刷部４および測色部５を介して排紙部６まで用紙を搬送する図略の搬送機構とを備える。

　給紙部３は、制御処理部１に接続され、制御処理部１の制御に従って、当該カラーチャート作成装置Ｍにセットされたシート状の用紙を当該カラーチャート作成装置Ｍ内に取り込むシート搬送機構である。給紙部１は、例えば、用紙を貯留する貯留部と、前記貯留部に貯留された用紙をピックアップして当該カラーチャート作成装置Ｍ内に取り込む例えばピックアップローラ等を備えて構成される取込み部と、前記取込み部で取り込まれた用紙を印刷部４へ搬送する例えば搬送ローラ等を備えて構成される送込み部とを備える。

　前記図略の搬送機構は、例えば、用紙を案内するガイド部材と、複数対の駆動ローラおよび従動ローラ等を備えて構成される。駆動ローラは、例えばモータ等によって軸回りに回転し、従動ローラとの間に前記ガイド部材に案内される用紙を挟み込むことで、前記用紙に移動力を与えて前記用紙を移動させる。

　印刷部４は、制御処理部１に接続され、制御処理部１の制御に従って、給紙部３から搬送された用紙にカラー印刷を行う装置であり、この印刷した用紙を測色部５へ搬送する。印刷部４は、公知の技術によって構成され、例えば、回転可能に支持された感光体ドラムと、前記感光体ドラムの周囲に配設された帯電部、現像部、クリーニング部、レーザ走査部、転写ローラおよび定着ローラ対を備える。前記帯電部は、前記感光体ドラムの表面を所定電位に均一に帯電させる装置である。前記レーザ走査部は、予め与えられた画像データ（例えばカラーチャートのデータ）に基づき、レーザービームを前記感光体ドラムの表面に照射し、前記感光体ドラムの表面に静電潜像を形成する装置である。前記現像部は、前記静電潜像にトナーを付着させて画像（原稿画像）を顕在化させる装置である。前記転写ローラは、用紙を前記感光体ドラムに押し付けた状態で、前記感光体ドラム上に顕在化したトナー像をこの用紙に転写する装置である。前記定着ローラ対は、用紙に転写されたトナー像を定着させる装置である。前記クリーニング部は、用紙への画像の転写が終了した後、前記感光体ドラムの表面に残留しているトナーを清掃する装置である。このような印刷部４の構成は、一例に過ぎず、印刷部４は、例えば色ごとに複数の感光ドラムを備えるいわゆるタンデムタイプや、ベルトに感光ドラムの静電潜像を転写してベルト上の静電潜像を用紙に転写するベルトタイプ等の様々な構成を採用できる。

　測色部５は、制御処理部１に接続され、制御処理部１の制御に従って、印刷部４から搬送された例えばカラーチャートＣＴ等の被測定物の色を測定する装置である。測色部５による測色の有無にかかわらず、前記搬送機構によって搬送される用紙および被測定物は、測色部５から排紙部６へ搬送される。測色部５は、例えば、被測定物の色を求めるために、被測定物における所定の光学情報を取得する測色センサー等である。このような測色部５は、例えば、各波長の反射率（または透過率）を測定するための分光光学素子および光電変換素子等を備え、物体の色を各波長の反射率（または透過率）に基づいて計測する分光型測色計である。このような分光型測色計として、前記分光光学素子として回折格子を含む分光タイプや、前記分光光学素子としてリニアバリアブルフィルタを含むマルチバンドタイプがある。また例えば、測色部５は、ＲＧＢの３刺激値を測定するための光学フィルターや光電変換素子等を備え、物体の色を三刺激値の色差に基づいて計測する三刺激値型測色計である。測色部５は、測定範囲の波長を高い反射率（例えば約９０％～約９９％）で反射できるいわゆる白色校正板（標準白色板）を測定することによって白色校正される。

　カラーチャート作成装置Ｍは、測色部５とカラーチャートＣＴとを相対的に移動し、カラーチャートＣＴにおける２次元の各位置を測色できるように構成される。例えば、カラーチャート作成装置Ｍは、カラーチャートＣＴを載置する例えばＸＹステージ等を備えて構成され、固定支持された測色部５に対し前記ＸＹステージによってカラーチャートＣＴを２次元的に移動させることで、カラーチャートＣＴにおける２次元の各位置を測色部５で測色して良く、また例えば、カラーチャート作成装置Ｍは、測色部５をＸ方向およびＹ方向に独立に移動するように支持する支持機構を備えて構成され、前記搬送機上で静止したカラーチャートＣＴに対し前記支持機構によって測色部５を２次元的に移動させることで、カラーチャートＣＴにおける２次元の各位置を測色部５で測色して良い。

　本実施形態では、コンパクト化するために、カラーチャート作成装置Ｍは、前記搬送機構の搬送方向（副走査方向）Ｙに直交する方向（主走査方向）Ｘに測色部５を移動する主走査方向移動機構を備え、前記搬送機構でカラーチャートＣＴを副走査方向Ｙに移動し、前記主走査方向移動機構で測色部５を主走査方向Ｘに移動することで、カラーチャートＣＴにおける２次元の各位置を測色部５で測色する。より具体的には、例えば、前記主走査方向移動機構は、測色部５を主走査方向Ｘに移動可能にガイドするガイド部材と、ガイド部材にガイドされて測色部５を移動させる例えばラックピニオン（ラックアンドピニオン）や送りねじ等の送り機構と、前記送り機構を駆動する例えばステッピングモータ等の送り機構駆動部とを備えて構成される。より詳しくは、前記主走査方向移動部は、主走査方向Ｘに沿って延びる、平板状のロッドに歯切りしたラックと、測色部５内に設けられ、例えばステッピングモータによって回転駆動するピニオンとを備え、前記ピニオンと前記ラックとが歯合する。このような構成の主走査方向移動部では、前記ステッピングモータは、駆動パルスが入力されることで、所定の角度だけ回転し、この前記ステッピングモータの回転によって前記ピニオンも、所定の角度だけ回転し、そして、この前記ピニオンの回転によって、測色部５は、ラックに沿って主走査方向に所定量だけ移動される。

　排紙部６は、測色部５から搬送された用紙および被測定物を貯留する装置である。

　入力部７は、制御処理部１に接続され、例えば、印刷の開始を指示するコマンドや被測定物の測色を指示するコマンド等の各種コマンド、および、例えばカラーチャートＣＴを構成するパッチの選択入力や被測定物における識別子の入力等のカラーチャートの作成や測色する上で必要な各種データをカラーチャート作成装置Ｍに入力する機器であり、例えば、所定の機能を割り付けられた複数の入力スイッチ、キーボードおよびマウス等である。

　出力部８は、制御処理部１に接続され、制御処理部１の制御に従って、入力部７から入力されたコマンドやデータ、および、カラーチャート作成装置Ｍによって作成されたカラーチャートのデータやカラーチャート作成装置Ｍで測定された被測定物の色を出力する機器であり、例えばＣＲＴディスプレイ、ＬＣＤおよび有機ＥＬディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の印刷装置等である。

　なお、入力部７および出力部８からタッチパネルが構成されてもよい。このタッチパネルを構成する場合において、入力部７は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等の操作位置を検出して入力する位置入力装置であり、出力部８は、表示装置である。このタッチパネルでは、表示装置の表示面上に位置入力装置が設けられ、表示装置に入力可能な１または複数の入力内容の候補が表示され、ユーザが、入力したい入力内容を表示した表示位置を触れると、位置入力装置によってその位置が検出され、検出された位置に表示された表示内容がユーザの操作入力内容としてカラーチャート作成装置Ｍに入力される。このようなタッチパネルでは、ユーザは、入力操作を直感的に理解し易いので、ユーザにとって取り扱い易いカラーチャート作成装置Ｍが提供される。

　ＩＦ部９は、制御処理部１に接続され、制御処理部１の制御に従って、外部機器との間でデータの入出力を行う回路であり、例えば、シリアル通信方式であるＲＳ－２３２Ｃのインターフェース回路、Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ（登録商標）規格を用いたインターフェース回路、ＩｒＤＡ（Ｉｎｆｒａｒｅｄ　Ｄａｔａ　Ａｓｓｃｏｉａｔｉｏｎ）規格等の赤外線通信を行うインターフェース回路、および、ＵＳＢ（Ｕｎｉｖｅｒｓａｌ　Ｓｅｒｉａｌ　Ｂｕｓ）規格を用いたインターフェース回路等である。また、ＩＦ部９は、有線または無線によって通信する通信カード等であり、例えばイーサネット環境等の通信ネットワークを介して例えば後述のパッチ色定義情報を提供するサーバ装置等の外部装置との間で通信しても良い（イーサネットは登録商標）。

　記憶部２は、制御処理部１に接続され、制御処理部１の制御に従って、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。前記各種の所定のプログラムには、例えば、カラーチャートＣＴのデータを作成するためのカラーチャート作成プログラムや、カラーチャート作成プログラムで作成されたカラーチャートＣＴのデータに従って印刷部４にカラーチャートＣＴを印刷させるためのカラーチャート印刷プログラムや、被測定物（カラーチャートＣＴを含む）を測色するための測色プログラム等の制御処理プログラムが含まれる。前記カラーチャート作成プログラムは、複数のパッチそれぞれについて、当該パッチのサイズを、当該パッチに対応するパッチ色定義情報における所定の表色系を構成する複数のパラメータのうちの少なくとも１つのパラメータに基づいて設定するパッチサイズ設定プログラムを含む。前記カラーチャート印刷プログラムは、パッチサイズ設定プログラムで設定された複数のパッチの各サイズで、前記複数のパッチそれぞれに対応する複数のパッチ色定義情報に基づいて前記複数のパッチを印刷部４に印刷させる印刷処理プログラムを含む。前記各種の所定のデータには、パッチの色を所定の表色系で表したパッチ色定義情報や、測色部５とカラーチャートＣＴとの間における相対的な移動速度ｖ、測色部５とカラーチャートＣＴとの間における相対的な移動方向ｙ、および、カラーチャートＣＴを測色部５で測色する場合に測色部での測定精度ｒ等の各種プログラムの実行に必要なデータや各種プログラムの実行によって得られたデータ等の各種のデータが含まれる。これらパッチ色定義情報、移動速度、移動方向および測定精度を記憶するために、記憶部２は、機能的に、パッチ色定義情報記憶部２１、移動速度記憶部２２、移動方向記憶部２３、および、測定精度記憶部２４を備える。

　パッチ色定義情報記憶部２１は、複数のパッチ色定義情報を記憶するものである。パッチ色定義情報は、カラーチャートを構成するための所定の色の領域であるパッチの前記色を所定の表色系で表したデータである。表色系は、色を定量的に表す体系であり、一般に、３個の互いに異なる方向性を備える色空間を構成し、例えば、国際照明委員会（ＣＩＥ）で定める、ＲＧＢ表色系、ｘｙＹ表色系、Ｌ＊ｕ＊ｖ＊表色系、Ｌ＊ａ＊ｂ＊表色系、マンセル表色系およびオストワルト表色系等である。本実施形態では、パッチ色定義情報は、Ｌ＊ａ＊ｂ＊表色系で表される。複数のパッチ色定義情報それぞれには、当該パッチ色定義情報を特定し識別するための識別子（パッチＩＤ）が付与され、複数のパッチ色定義情報は、パッチＩＤと対応付けられて例えばテーブル形式でパッチ色定義情報記憶部２１に予め記憶される。これら複数のパッチ色定義情報は、例えば入力部７から入力されてパッチ色定義情報記憶部２１に記憶されて良く、また例えばＩＦ部９を介してＵＳＢメモリやサーバ装置から入力されてパッチ色定義情報記憶部２１に記憶されて良い。

　移動速度記憶部２２は、前記移動速度を記憶するものである。本実施形態では、前記搬送機構による副走査方向Ｙの速度が前記移動速度として記憶される。移動速度記憶部２２は、前記移動速度自体を記憶することで前記移動速度を記憶して良いが、本実施形態では、後述するように、予め設定された所定の色（後述の例ではＬ＊＝５５）を測色部５で測定する場合に必要な基準長で記憶する。

　移動方向記憶部２３は、前記移動方向を記憶するものである。本実施形態では、前記搬送機構による副走査方向Ｙの逆方向（－Ｙ）が前記移動方向ｙとして記憶される。

　測定精度記憶部２４は、前記測定精度を記憶するものである。測定精度記憶部２４は、前記測定精度自体を記憶することで前記測定精度を記憶して良いが、本実施形態では、後述するように、予め設定された所定の色（後述の例ではＬ＊＝５５）を測色部５によって前記測定精度で測定するために必要な測色部５の測定回数（後述の例では４回、基準測定回数）で記憶する。

　このような記憶部２は、例えば不揮発性の記憶素子であるＲＯＭ（Ｒｅａｄ　Ｏｎｌｙ　Ｍｅｍｏｒｙ）や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるＥＥＰＲＯＭ（Ｅｌｅｃｔｒｉｃａｌｌｙ　Ｅｒａｓａｂｌｅ　Ｐｒｏｇｒａｍｍａｂｌｅ　Ｒｅａｄ　Ｏｎｌｙ　Ｍｅｍｏｒｙ）等を備える。そして、記憶部２は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部１のワーキングメモリとなるＲＡＭ（Ｒａｎｄｏｍ　Ａｃｃｅｓｓ　Ｍｅｍｏｒｙ）等を含む。

　制御処理部１は、カラーチャート作成装置Ｍの各部を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、カラーチャートＣＴのデータを作成し、前記カラーチャートＣＴのデータに応じたカラーチャートＣＴを作成し、そして、前記カラーチャートＣＴを被測定物としてその色を求めるための回路である。制御処理部１は、例えば、ＣＰＵ（Ｃｅｎｔｒａｌ　Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ　Ｕｎｉｔ）およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部１は、制御処理プログラムの実行によって、制御部１１、パッチサイズ設定部１２、パッチ配置設定部１３、印刷処理部１４および測色処理部１５を機能的に備える。

　制御部１１は、カラーチャート作成装置Ｍの各部を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御するためのものである。

　パッチサイズ設定部１２は、カラーチャートＣＴを構成するための所定の色の領域である複数のパッチそれぞれについて、当該パッチのサイズを、当該パッチに対応する前記パッチ色定義情報における前記表色系を構成する複数のパラメータのうちの少なくとも１つのパラメータに基づいて設定するものである。例えば、パッチサイズ設定部１２は、図２に示すように、ｘｙ色度図において、色度図の中心に向かうに従ってパッチサイズが小さくなるように、パッチのサイズを当該パッチのパッチ色定義情報に応じて求める。この図２から、例えばパラメータの明度Ｌ＊が大きいほど、パッチのサイズは、小さくなる。また例えば、パラメータのマンセル表色系の明度Ｖが大きいほど、パッチのサイズは、小さくなる。また例えば、２個のパラメータのｘおよびｙが０．３に近いほど、パッチのサイズは、小さくなる。

　本実施形態では、第１態様のサイズ設定方法として、パッチサイズ設定部１２は、さらに、カラーチャートＣＴを測色部５で測色する場合における測色部５とカラーチャートＣＴとの間における相対的な移動速度ｖ、すなわち、移動速度記憶部２２に予め記憶された前記移動速度に基づいて、前記パッチのサイズを設定する。そして、パッチサイズ設定部１２は、カラーチャートＣＴを測色部５で測色する場合に測色部５での測定精度、すなわち、測定精度記憶部２４に予め記憶された測定精度が略同等になるように、前記パッチのサイズを設定する。例えば、Ｌ＊＝５５の色を測色部５で測色する際に、必要な測色精度を得るために、測色部５が前記Ｌ＊＝５５の色を４回測定する場合、測色部５の１回の測定時間および前記移動速度から、移動方向に沿ったパッチの第１長さＬＬ１（Ｌ＊＝５５）が求められる。この第１長さＬＬ１（Ｌ＊＝５５）を基準長とした場合に、パッチのパッチ色定義情報のＬ＊から｛Ｌ＊^－３／４×３０｝÷２によって求まる値に対し、小数点以下を切り上げることで前記パッチの測色に必要な測定回数の倍率が求められ、前記パッチの測定回数が求められ、この前記パッチの測定回数を前記Ｌ＊＝５５の色の測定回数４回（基準測定回数）で除算することで、前記パッチの測色に必要な前記基準長に対する前記パッチの第１長さＬＬ１（Ｌ＊）の倍率が求められ、前記パッチの第１長さＬＬ１（Ｌ＊）が求められる。例えばＬ＊＝９０の色では、前記Ｌ＊＝９０の色のパッチに必要な測定回数は、２回と求められ、前記Ｌ＊＝９０の色のパッチにおける第１長さＬＬ１（Ｌ＊＝９０）は、第１長さＬＬ１（Ｌ＊＝５５）／２、すなわち、前記基準長の半分と求められる。また例えば、Ｌ＊＝１０の色では、前記Ｌ＊＝１０の色のパッチに必要な測定回数は、１２回と求められ、前記Ｌ＊＝１０の色のパッチにおける第１長さＬＬ１（Ｌ＊＝１０）は、第１長さＬＬ１（Ｌ＊＝５５）×３、すなわち、前記基準長の３倍と求められる。このように基準長のパッチサイズに対しパッチサイズが色（この例ではＬ＊）に応じて拡大縮小する。また、測定時間も、Ｌ＊＝９０の色では、基準測定回数を測定する測定時間の半分となり、Ｌ＊＝１０の色では、基準測定回数を測定する測定時間の３倍となる。なお、本実施形態では、前記基準長が移動速度記憶部２２に記憶され、前記基準測定回数が測定精度記憶部２４に記憶される。

　従来のカラーチャートＣＴｂは、例えば、図３Ｂに示すように、青色の第１パッチＰＡｂ－１（Ｂ）、オレンジ色の第２パッチＰＡｂ－２（Ｏ）、黄色の第３パッチＰＡｂ－３（Ｙ）、黒色の第４パッチＰＡｂ－４（Ｂｋ）、赤色の第５パッチＰＡｂ－５（Ｒ）、緑色の第６パッチＰＡｂ－６（Ｇ）および紫色の第７パッチＰＡｂ－７（Ｖ）を備え、これら第１ないし第７パッチＰＡｂ－１（Ｂ）～ＰＡｂ－７（Ｖ）における前記移動方向ｙに沿った長さは、互いに等しい。一方、本実施形態におけるカラーチャート作成装置ＭによるカラーチャートＣＴａは、図３Ａに示すように、青色の第１パッチＰＡａ－１（Ｂ）、オレンジ色の第２パッチＰＡａ－２（Ｏ）、黄色の第３パッチＰＡａ－３（Ｙ）、黒色の第４パッチＰＡａ－４（Ｂｋ）、赤色の第５パッチＰＡａ－５（Ｒ）、緑色の第６パッチＰＡａ－６（Ｇ）および紫色の第７パッチＰＡａ－７（Ｖ）を備え、さらに、白色の第８パッチＰＡａ－８（Ｗ）およびシアン色の第９パッチＰＡａ－９（ＣＹ）を備え、これら第１ないし第９パッチＰＡａ－１（Ｂ）～ＰＡｂ－９（ＣＹ）における前記移動方向ｙに沿った長さＬＬ１は、それぞれ、当該パッチの色のＬ＊に応じて調整されており、例えば、Ｌ＊の相対的に小さい第４パッチＰＡａ－４（Ｂｋ）や第７パッチＰＡａ－７（Ｖ）は、Ｌ＊の相対的に大きい第３パッチＰＡａ－３（Ｙ）や第８パッチＰＡａ－８（Ｗ）や第９パッチＰＡａ－９（ＣＹ）よりも長くなる。このように前記移動方向ｙに沿った長さが当該パッチの色のＬ＊に応じて調整される結果、図３Ａに示すカラーチャートＣＴａと図３Ｂに示すカラーチャートＣＴｂとを比較すると分かるように、同サイズの用紙において、図３Ａに示すカラーチャートＣＴａは、図３Ｂに示すカラーチャートＣＴｂに較べ、より多くのパッチを含む。

　特に、第１態様のサイズ設定方法では、比較的明るいパッチが選択された場合には、同サイズの用紙において、カラーチャートＣＴは、より多くのパッチを含むことができる。例えば、Ｌ＊＝５５の色を持つパッチにおける前記移動方向ｙに沿った第１長さＬＬ１（Ｌ＊＝５５）を基準長とし、Ｌ＊＝９０の色を持つ複数のパッチでカラーチャートＣＴを作成する場合、従来のカラーチャートＣＴｃ’は、例えば、図４Ｂに示すように、明るい色のパッチでも前記移動方向ｙに沿った第１長さＬＬ１が互いに等しく例えば基準長となるため、５個の第１ないし第５パッチＰＡｃ－１～ＰＡｃ－５しか備えられないが、本実施形態におけるカラーチャート作成装置ＭによるカラーチャートＣＴｃは、図４Ａに示すように、明るい色に応じて前記移動方向ｙに沿った第１長さＬＬ１が調整される結果、第１長さＬＬ１（Ｌ＊＝９０）が前記基準長の半分となるため、１０個の第１ないし第１０パッチＰＡｃ－１～ＰＡｃ－１０を備えることができる。

　なお、図３および図４に示す例では、パッチＰＡａにおける前記移動方向ｙに直交する直交方向ｘ（＝主走査方向Ｘ）に沿った第２長さは、互いに等しいが、異なっても良い。パッチサイズ設定部１２は、前記相対的な移動方向ｙに沿った第１長さＬＬ１および前記相対的な移動方向ｙに直交する直交方向ｘに沿った第２長さＬＬ２のうちの少なくとも一方を調整することで、前記パッチのサイズを設定しても良い（第２態様のサイズ設定方法）。このようなパッチサイズ設定部１２を備えるカラーチャート作成装置ＭによるカラーチャートＣＴｄは、一例では、図５に示すように、青色の第１パッチＰＡｄ－１（Ｂ）、オレンジ色の第２パッチＰＡｄ－２（Ｏ）、黄色の第３パッチＰＡｄ－３（Ｙ）、黒色の第４パッチＰＡｄ－４（Ｂｋ）、赤色の第５パッチＰＡｄ－５（Ｒ）、緑色の第６パッチＰＡｄ－６（Ｇ）、紫色の第７パッチＰＡｄ－７（Ｖ）、白色の第８パッチＰＡｄ－８（Ｗ）およびシアン色の第９パッチＰＡｄ－９（ＣＹ）を備え、これら第１ないし第９パッチＰＡｄ－１（Ｂ）～ＰＡｃ－９（ＣＹ）における前記直交方向ｘに沿った長さＬＬ２は、それぞれ、当該パッチの色のＬ＊に応じて調整されており、例えば、Ｌ＊の相対的に小さい第４パッチＰＡｄ－４（Ｂｋ）や第７パッチＰＡｄ－７（Ｖ）は、Ｌ＊の相対的に大きい他の第１ないし第３パッチＰＡｄ－１（Ｂ）～ＰＡｄ－３（Ｙ）等よりも長くなる。このような場合では、カラーチャートＣＴｄを搬送方向（副走査方向）Ｙに沿って搬送しつつ主走査方向Ｘに測色部５を移動することで、測色部５は、パッチＰＡｄを斜め方向（例えば対角方向等）に沿って測色し、測色精度に必要な測定回数で測色できる。

　パッチ配置設定部１３は、パッチサイズ設定部１２でパッチサイズを設定した各パッチを配置し、カラーチャートＣＴのデータ（チャート定義情報）を生成し、記憶部２に記憶するものである。前記カラーチャートＣＴのデータ（チャート定義情報）は、複数のパッチそれぞれについて、パッチの位置を表す位置情報、パッチのサイズを表すサイズ情報およびパッチ色定義情報を含む。前記位置情報およびサイズ情報は、例えば、直交方向ｘの中央位置におけるパッチの先端位置の座標値および移動方向ｙに沿った第１長さＬＬ１で表される。また例えば、前記位置情報およびサイズ情報は、直交方向ｘの中央位置におけるパッチの先端位置および終端位置の各座標値で表される。またまた例えば、前記位置情報およびサイズ情報は、直交方向ｘの中央位置であって移動方向ｙの中央位置の座標値および移動方向ｙに沿った第１長さＬＬ１で表される。なお、パッチ配置設定部１３は、前記生成したカラーチャートＣＴのデータを記憶部２に記憶するだけでなく、必要に応じて、出力部８に出力したり、ＩＦ部９から外部へ出力しても良い。

　印刷処理部１４は、パッチ配置設定部１３で生成され記憶部２に記憶されたカラーチャートＣＴのデータに従って印刷部４にカラーチャートＣＴを印刷させる。すなわち、印刷処理部１４は、複数のパッチを、パッチ配置設定部１３で設定された順に、パッチサイズ設定部１２で設定された前記複数のパッチの各サイズで、前記複数のパッチそれぞれに対応する複数のパッチ色定義情報に基づいて、印刷部４に印刷させる。

　測色処理部１５は、カラーチャートＣＴを被測定物として、カラーチャートＣＴのデータに従った各パッチの位置で各パッチを測色部５で測色し、測色結果を記憶部２に記憶するものである。

　次に、本実施形態におけるカラーチャート作成装置Ｍの動作について説明する。図６は、実施形態におけるカラーチャート作成装置の動作を示すフローチャートである。図７は、パッチサイズの変更による効果を説明するための図である。図７Ａは、パッチサイズをパッチの色に応じて変更した場合を示し、図７Ｂは、パッチの色にかかわらず、パッチのサイズを均一にした場合を示す。図７の横軸は、明度Ｌ＊であり、その縦軸は、繰り返し性（σ△Ｅ００）を表す。

　図６において、まず、カラーチャートＣＴを構成する複数のパッチが選択される（Ｓ１）。より具体的には、制御処理部１は、パッチ色定義情報記憶部２１に記憶された複数のパッチ色定義情報を出力部８に出力し、この出力部８に出力された複数のパッチ色定義情報の中からユーザによって選択された複数のパッチ色定義情報を入力部７で受け付け、この選択された複数のパッチ色定義情報を例えば入力部７で受け付けた順にシリアル番号を付して記憶部２に記憶する。例えば、制御処理部１は、前記選択された複数のパッチ色定義情報における各パッチＩＤにシリアル番号を対応付けて記憶部２に記憶する。

　次に、制御処理部１は、パッチサイズ設定部１２によって、処理Ｓ１で選択された複数のパッチ色定義情報を読み込む（Ｓ２）。

　次に、制御処理部１は、パッチサイズ設定部１２によって、処理Ｓ１で選択された複数のパッチ色定義情報の各パッチそれぞれについて、当該パッチのサイズを、当該パッチに対応する前記パッチ色定義情報における前記表色系を構成する複数のパラメータのうちの少なくとも１つのパラメータに基づいて設定する（Ｓ３）。本実施形態では、上述したように、パッチサイズ設定部１２は、当該パッチの色の明度Ｌ＊、基準長ＬＬ１０（Ｌ＊＝５５）（移動速度ｖの一例に相当）および基準測定回数（測定精度ｒの一例に相当）に応じて第１長さＬＬ１（Ｌ＊）を求め、パッチのサイズを設定する。

　次に、制御処理部１は、パッチ配置設定部１３によって、処理Ｓ１で選択された複数のパッチ色定義情報の各パッチそれぞれに対する配置位置を設定し、カラーチャートＣＴのデータを生成し、この生成したカラーチャートＣＴのデータを記憶部２に記憶する。より具体的には、パッチ配置設定部１３は、処理Ｓ１で選択された複数のパッチ色定義情報の各パッチをシリアル番号順に移動方向ｙに沿って並べて前記各パッチの配置位置を設定する。この場合において、用紙における移動方向ｙに沿った終端付近では、シリアル番号に各パッチを並べると、配置しようとしたパッチの第１長さＬＬ１（Ｌ＊）が、これまでに配置したパッチに対する用紙の余白よりも長いために、配置できない場合がある。この場合、パッチ配置設定部１３は、前記余白以下のパッチを、前記配置しようとしたパッチ以降でシリアル番号順に探索し、このようなパッチを探索できた場合に、この探索したパッチを前記余白に配置する。そして、パッチ配置設定部１３は、前記配置しようとして配置できなかったパッチを２枚目の用紙に配置し、以下、最後のシリアル番号のパッチまで同様に配置する。既に配置したパッチのシリアル番号は、飛ばされ（スキップされ）、除外される。

　次に、制御処理部１は、印刷処理部１４によって、パッチ配置設定部１３で生成され記憶部２に記憶されたカラーチャートＣＴのデータに従って印刷部４でカラーチャートＣＴを印刷する（Ｓ５）。より具体的には、印刷処理部１４は、処理Ｓ１で選択された複数のパッチ色定義情報の各パッチを、パッチ配置設定部１３で設定された順に、パッチサイズ設定部１２で設定された前記複数のパッチの各サイズで、前記複数のパッチそれぞれに対応する複数のパッチ色定義情報（すなわち、パッチ色定義情報で表される色）に基づいて、印刷部４に印刷させる。

　次に、制御処理部１は、測色処理部１５によって、パッチ配置設定部１３で生成され記憶部２に記憶されたカラーチャートＣＴのデータに従って各パッチの位置で各パッチを測色部５で測色し、測色結果を記憶部２に記憶する（Ｓ６）。

　そして、制御処理部１は、記憶部２に記憶されたカラーチャートＣＴのデータおよび各パッチの測色結果を出力部８に出力する（Ｓ７）。なお、必要に応じて、制御処理部１は、記憶部２に記憶されたカラーチャートＣＴのデータおよび各パッチの測色結果をＩＦ部９から外部へ出力する。

　一例として、図７Ｂに示すように、従来のように各パッチのサイズが均等であるカラーチャートＣＴでは、繰り返し性σ△Ｅ００は、明度Ｌ＊の小さいパッチで大きい。一方、図７Ａに示すように、本実施形態のように、パッチのサイズを色に応じて変更したカラーチャートＣＴでは、繰り返し性σ△Ｅ００は、明度Ｌ＊にかかわらず、同程度の値となっている。なお、図７Ａにおいて、第１番目の計算結果が○で示され、第２番目の計算結果が△で示され、第３番目の計算結果が□で示されている。これら第１ないし第３番目の計算結果は、ノイズがランダムノイズならＳ／Ｎ比が積算回数の増加に伴って平方根で改善すること、および、信号成分の増加がそのままＳ／Ｎ比の改善に正比例の関係であることに基づいて計算した。また、図７Ｂにおいて、第１番目の実測結果が○で示され、第２番目の実測結果が△で示され、第３番目の実測結果が□で示されている。

　以上説明したように、本実施形態におけるカラーチャート作成装置Ｍならびにこれに実装されたカラーチャート作成方法およびカラーチャート作成プログラムは、当該パッチのサイズを、当該パッチに対応するパッチ色定義情報における表色系を構成する複数のパラメータのうちの少なくとも１つのパラメータに基づいて設定する。したがって、上記カラーチャート作成装置Ｍ、カラーチャート作成方法およびカラーチャート作成プログラムは、パッチのサイズを、そのパッチ自らのパッチ色定義情報を用いて設定するので、当該パッチの色に応じて適切なサイズに設定できる。このため、上記カラーチャート作成装置Ｍ、カラーチャート作成方法およびカラーチャート作成プログラムは、パッチの色にかかわらずより高精度なパッチの測色を可能とするカラーチャートＣＴを作成できる。

　カラーチャートＣＴの各パッチを、カラーチャートＣＴと測色計（本実施形態では測色部５）とを互いに相対的に移動させながら測色する場合、カラーチャートＣＴの色によっては、前記測色計と前記カラーチャートＣＴとの間における相対的な移動速度では、十分なレベルの信号が得られない場合がある。本実施形態におけるカラーチャート作成装置Ｍならびにこれに実装されたカラーチャート作成方法およびカラーチャート作成プログラムは、パッチのサイズを設定する際に、測色部５とカラーチャートＣＴとの間における相対的な移動速度をさらに考慮するので、上述のように測色する場合でも、パッチの色にかかわらずより高精度なパッチの測色を可能とするカラーチャートＣＴを作成できる。またパッチのサイズが拡大される場合、十分なレベルの信号を得られる分だけパッチを拡大するので、カラーチャートの印刷に必要なインク量が低減され、測色時間も低減できる。

　本実施形態におけるカラーチャート作成装置Ｍならびにこれに実装されたカラーチャート作成方法およびカラーチャート作成プログラムは、第１および第２長さＬＬ１、ＬＬ２のうちの少なくとも一方を調整するので、より適切なパッチのサイズを設定できる。したがって、上記カラーチャート作成装置Ｍ、カラーチャート作成方法およびカラーチャート作成プログラムは、パッチの色にかかわらずより高精度なパッチの測色を可能とするカラーチャートＣＴを作成できる。

　本実施形態におけるカラーチャート作成装置Ｍならびにこれに実装されたカラーチャート作成方法およびカラーチャート作成プログラムは、パッチのサイズを設定する際に、測定精度を考慮するので、パッチの色にかかわらず略同等の精度でパッチの測色を可能とするカラーチャートＣＴを作成できる。

　本実施形態におけるカラーチャート作成装置Ｍならびにこれに実装されたカラーチャート作成方法およびカラーチャート作成プログラムは、カラーチャート作成装置Ｍが印刷部４および印刷処理部１４を備えるので、パッチの色にかかわらずより高精度なパッチの測色を可能とするカラーチャートＣＴの現物を提供できる。すなわち、このようなカラーチャートＣＴは、パッチの色にかかわらずより高精度なパッチの測色を可能とする。

　本実施形態におけるカラーチャート作成装置Ｍならびにこれに実装されたカラーチャート作成方法およびカラーチャート作成プログラムは、カラーチャート作成装置Ｍが測色部５および測色処理部１５を備えるので、上述のように作成したカラーチャートＣＴを測色できる。

　なお、上述の実施形態では、前記パッチのサイズを設定する際に、図５に示すように、直交方向ｘに沿った第２長さＬＬ２が調整されたが、パッチ領域の外側からいわゆる迷光が測色部５へ入射されることや測色部５での混色を抑えるために、直交方向ｘに沿った第２長さＬＬ２が基準長よりも拡大されても良い。この場合では、パッチの色が用紙の色と異なるほど、より大きく拡大することが好ましい。

　また、上述の実施形態では、パッチサイズ設定部１２によって、測色部５での測定精度が同等になるように、パッチのサイズが設定されたが、パッチサイズ設定部１２によって、測色部５での測定信号レベルが所定値以上になるように、パッチのサイズが設定されても良い。これによれば、パッチの色にかかわらず充分なレベルの測定信号でパッチの測色を可能とするカラーチャートが作成できる。

　本明細書は、上記のように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。

　一態様にかかるカラーチャート作成装置は、カラーチャートを構成するための所定の色の領域である複数のパッチそれぞれの前記色を所定の表色系で表した複数のパッチ色定義情報を記憶する記憶部と、前記複数のパッチそれぞれについて、当該パッチのサイズを、当該パッチに対応する前記パッチ色定義情報における前記表色系を構成する複数のパラメータのうちの少なくとも１つのパラメータに基づいて設定するパッチサイズ設定部とを備える。

　このようなカラーチャート作成装置は、当該パッチのサイズを、当該パッチに対応するパッチ色定義情報における表色系を構成する複数のパラメータのうちの少なくとも１つのパラメータに基づいて設定する。したがって、上記カラーチャート作成装置は、パッチのサイズを、そのパッチ自らのパッチ色定義情報を用いて設定するので、当該パッチの色に応じて適切なサイズに設定できる。このため、上記カラーチャート作成装置は、パッチの色にかかわらずより高精度なパッチの測色を可能とするカラーチャートを作成できる。

　他の一態様では、上述のカラーチャート作成装置において、前記記憶部は、前記カラーチャートを測色計で測色する場合における前記測色計と前記カラーチャートとの間における相対的な移動速度をさらに記憶し、前記パッチサイズ設定部は、さらに前記移動速度に基づいて、前記パッチのサイズを設定する。

　カラーチャートの各パッチを、前記カラーチャートと測色計とを互いに相対的に移動させながら測色する場合、カラーチャートの色によっては、前記測色計と前記カラーチャートとの間における相対的な移動速度では、十分なレベルの信号が得られない場合がある。上記カラーチャート作成装置は、パッチのサイズを設定する際に、前記測色計と前記カラーチャートとの間における相対的な移動速度をさらに考慮するので、上述のように測色する場合でも、パッチの色にかかわらずより高精度なパッチの測色を可能とするカラーチャートを作成できる。またパッチのサイズが拡大される場合、十分なレベルの信号を得られる分だけパッチを拡大するので、カラーチャートの印刷に必要なインク量が低減され、測色時間も低減できる。

　他の一態様では、これら上述のカラーチャート作成装置において、前記記憶部は、前記カラーチャートを測色計で測色する場合における前記測色計と前記カラーチャートとの間における相対的な移動方向をさらに記憶し、前記パッチサイズ設定部は、前記相対的なの移動方向に沿った第１長さおよび前記相対的な移動方向に直交する直交方向に沿った第２長さのうちの少なくとも一方を調整することで、前記パッチのサイズを設定する。

　このようなカラーチャート作成装置は、前記第１および第２長さのうちの少なくとも一方を調整するので、より適切なパッチのサイズを設定できる。したがって、上記カラーチャート作成装置は、パッチの色にかかわらずより高精度なパッチの測色を可能とするカラーチャートを作成できる。

　他の一態様では、これら上述のカラーチャート作成装置において、前記パッチサイズ設定部は、前記カラーチャートを測色計で測色する場合に前記測色計での測定精度が同等になるように、前記パッチのサイズを設定する。

　このようなカラーチャート作成装置は、パッチの色にかかわらず略同等の精度でパッチの測色を可能とするカラーチャートを作成できる。

　他の一態様では、これら上述のカラーチャート作成装置において、前記パッチサイズ設定部は、前記カラーチャートを測色計で測色する場合に前記測色計での測定信号レベルが所定値以上になるように、前記パッチのサイズを設定する。

　このようなカラーチャート作成装置は、パッチの色にかかわらず充分なレベルの測定信号でパッチの測色を可能とするカラーチャートを作成できる。

　他の一態様では、これら上述のカラーチャート作成装置において、カラー印刷を行う印刷部と、前記パッチサイズ設定部で設定された前記複数のパッチの各サイズで、前記複数のパッチ色定義情報に基づいて前記複数のパッチを前記印刷部に印刷させる印刷処理部とをさらに備える。

　このようなカラーチャート作成装置は、パッチの色にかかわらずより高精度なパッチの測色を可能とするカラーチャートの現物を提供できる。

　他の一態様では、これら上述のカラーチャート作成装置において、前記カラーチャートを測色する測色部と、前記測色部で測色した測色結果を出力する出力部とをさらに備える。

　このようなカラーチャート作成装置は、作成したカラーチャートを測色できる。

　他の一態様にかかるカラーチャート作成方法は、カラーチャートを構成するための所定の色の領域である複数のパッチそれぞれの前記色を所定の表色系で表した複数のパッチ色定義情報を記憶部に記憶する記憶工程と、前記複数のパッチそれぞれについて、当該パッチのサイズを、当該パッチに対応する前記パッチ色定義情報における前記表色系を構成する複数のパラメータのうちの少なくとも１つのパラメータに基づいて設定するパッチサイズ設定工程とを備える。

　他の一態様にかかるカラーチャート作成プログラムは、コンピュータに、カラーチャートを構成するための所定の色の領域である複数のパッチそれぞれの前記色を所定の表色系で表した複数のパッチ色定義情報を記憶する記憶機能と、前記複数のパッチそれぞれについて、当該パッチのサイズを、当該パッチに対応する前記パッチ色定義情報における前記表色系を構成する複数のパラメータのうちの少なくとも１つのパラメータに基づいて設定するパッチサイズ設定機能とを実現させるためのプログラムである。

　このようなカラーチャート作成方法およびカラーチャート作成プログラムは、当該パッチのサイズを、当該パッチに対応するパッチ色定義情報における表色系を構成する複数のパラメータのうちの少なくとも１つのパラメータに基づいて設定する。したがって、上記カラーチャート作成方法およびカラーチャート作成プログラムは、パッチのサイズを、そのパッチ自らのパッチ色定義情報を用いて設定するので、当該パッチの色に応じて適切なサイズに設定できる。このため、上記カラーチャート作成方法およびカラーチャート作成プログラムは、パッチの色にかかわらずより高精度なパッチの測色を可能とするカラーチャートを作成できる。

　他の一態様にかかるカラーチャートは、所定の色の領域であるパッチを複数備えるカラーチャートであって、前記複数のパッチそれぞれは、前記複数のパッチそれぞれの色を所定の表色系で表した複数のパッチ色定義情報のうちの当該パッチに対応する前記パッチ色定義情報における前記表色系を構成する複数のパラメータのうちの少なくとも１つのパラメータに基づいて設定されたサイズを持つ。

　このようなカラーチャートは、パッチの色にかかわらずより高精度なパッチの測色を可能とする。

　この出願は、２０１５年７月１６日に出願された日本国特許出願特願２０１５－１４２１４２を基礎とするものであり、その内容は、本願に含まれるものである。

　本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および／または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。

　本発明によれば、カラーチャートを作成するカラーチャート作成装置、カラーチャート作成方法およびカラーチャート作成プログラムならびに前記カラーチャートを提供できる。
 

Claims (10)

1. 　カラーチャートを構成するための所定の色の領域である複数のパッチそれぞれの前記色を所定の表色系で表した複数のパッチ色定義情報を記憶する記憶部と、
   　前記複数のパッチそれぞれについて、当該パッチのサイズを、当該パッチに対応する前記パッチ色定義情報における前記表色系を構成する複数のパラメータのうちの少なくとも１つのパラメータに基づいて設定するパッチサイズ設定部とを備える、
   　カラーチャート作成装置。
2. 　前記記憶部は、前記カラーチャートを測色計で測色する場合における前記測色計と前記カラーチャートとの間における相対的な移動速度をさらに記憶し、
   　前記パッチサイズ設定部は、さらに前記移動速度に基づいて、前記パッチのサイズを設定する、
   　請求項１に記載のカラーチャート作成装置。
3. 　前記記憶部は、前記カラーチャートを測色計で測色する場合における前記測色計と前記カラーチャートとの間における相対的な移動方向をさらに記憶し、
   　前記パッチサイズ設定部は、前記相対的なの移動方向に沿った第１長さおよび前記相対的な移動方向に直交する直交方向に沿った第２長さのうちの少なくとも一方を調整することで、前記パッチのサイズを設定する、
   　請求項１または請求項２に記載のカラーチャート作成装置。
4. 　前記パッチサイズ設定部は、前記カラーチャートを測色計で測色する場合に前記測色計での測定精度が同等になるように、前記パッチのサイズを設定する、
   　請求項１ないし請求項３のいずれか１項に記載のカラーチャート作成装置。
5. 　前記パッチサイズ設定部は、前記カラーチャートを測色計で測色する場合に前記測色計での測定信号レベルが所定値以上になるように、前記パッチのサイズを設定する、
   　請求項１ないし請求項３のいずれか１項に記載のカラーチャート作成装置。
6. 　カラー印刷を行う印刷部と、
   　前記パッチサイズ設定部で設定された前記複数のパッチの各サイズで、前記複数のパッチ色定義情報に基づいて前記複数のパッチを前記印刷部に印刷させる印刷処理部とをさらに備える、
   　請求項１ないし請求項５のいずれか１項に記載のカラーチャート作成装置。
7. 　前記カラーチャートを測色する測色部と、
   　前記測色部で測色した測色結果を出力する出力部とをさらに備える、
   　請求項１ないし請求項６のいずれか１項に記載のカラーチャート作成装置。
8. 　カラーチャートを構成するための所定の色の領域である複数のパッチそれぞれの前記色を所定の表色系で表した複数のパッチ色定義情報を記憶部に記憶する記憶工程と、
   　前記複数のパッチそれぞれについて、当該パッチのサイズを、当該パッチに対応する前記パッチ色定義情報における前記表色系を構成する複数のパラメータのうちの少なくとも１つのパラメータに基づいて設定するパッチサイズ設定工程とを備える、
   　カラーチャート作成方法。
9. 　コンピュータに、
   　カラーチャートを構成するための所定の色の領域である複数のパッチそれぞれの前記色を所定の表色系で表した複数のパッチ色定義情報を記憶する記憶機能と、
   　前記複数のパッチそれぞれについて、当該パッチのサイズを、当該パッチに対応する前記パッチ色定義情報における前記表色系を構成する複数のパラメータのうちの少なくとも１つのパラメータに基づいて設定するパッチサイズ設定機能とを実現させるためのカラーチャート作成プログラム。
10. 　所定の色の領域であるパッチを複数備えるカラーチャートであって、
    　前記複数のパッチそれぞれは、前記複数のパッチそれぞれの色を所定の表色系で表した複数のパッチ色定義情報のうちの当該パッチに対応する前記パッチ色定義情報における前記表色系を構成する複数のパラメータのうちの少なくとも１つのパラメータに基づいて設定されたサイズを持つ、
    　カラーチャート。
     

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