WO2016175048A1

WO2016175048A1 - 情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム

Info

Publication number: WO2016175048A1
Application number: PCT/JP2016/062071
Authority: WO
Inventors: 奕凌叶; 一哲深澤
Original assignee: 日本電気株式会社
Priority date: 2015-04-28
Filing date: 2016-04-15
Publication date: 2016-11-03

Abstract

　情報処理システム（１）は、需要家の消費電力情報を取得する取得部と、需要家における、特定機器の利用状況を検出する検出部と、需要制御情報に従い消費電力を削減した需要家に対し、特定機器の利用状況に対応するインセンティブを付与する付与部と、を備える。

Description

情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム

　本発明は、情報処理システム、情報処理方法、およびプログラムに関する。

　電力小売事業者は、需要家の所在する電力会社に送配電を依頼している関係から、電力会社に対して３０分単位で需要家の需要量と電力小売事業者からの供給量を一致させる「３０分同時同量」の義務を負っている。この「（計画値）３０分同時同量」が一致しない場合、電力小売事業者は送配電事業者にインバランス料金を支払う必要がある。このインバランス料金の支払いが、電力小売事業者にとって大きな問題となっている。

　そこで、需要家の需要量と、電力小売事業者からの供給量が一致するように、需要制御を行うデマンドレスポンスを計画する。そして、各需要家に３０分間における削減する電力消費量の目標値や、需要制御情報送信後または受信後３０分間における運転動作の制御内容を含むデマンドレスポンスを送信すれば、需要家の消費電力量を制御することができ、３０分同時同量を達成できる可能性がある。

　電力管理装置の一例が特許文献１に記載されている。特許文献１の電力管理装置は、契約デマンドを超えている場合に、予め定められた強制停止対象の特定機器に対して、停止信号を出力する。そして、節電要求に応じた受電契約者に報酬ポイントを付与する。
　特許文献２に記載の節電制御装置は、節電機能を搭載している機器に対し、設定値にもとに節電機能を実行させる。

特開２０１５－１９５１７号公報特開平１１－３０５８８９号公報

　しかしながら、上記文献に記載の技術では、予め決められた強制停止対象の特定機器に対して、契約デマンドを超えている場合に、停止信号を出力して強制的に機器を停止させているので、デマンドレスポンス受信時に、ユーザの意向に沿わない機器が強制的に停止されてしまう可能性もあり、ユーザにとって不都合な場合があった。

　本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、需要家の計画的な電力使用を可能としつつ、特定機器の利用を促進する情報処理システム、情報処理方法、およびプログラムを提供することにある。

　本発明の各側面では、上述した課題を解決するために、それぞれ以下の構成を採用する。

　第一の側面は、情報処理システムに関する。
　第一の側面に係る情報処理システムは、
　需要家の消費電力情報を取得する取得手段と、
　前記需要家における、特定機器の利用状況を検出する検出手段と、
　需要制御情報に従い消費電力を削減した需要家に対し、前記特定機器の利用状況に対応するインセンティブを付与する付与手段と、を有する。

　第二の側面は、少なくとも１つのコンピュータにより実行される情報処理方法に関する。
　第二の側面に係る情報処理方法は、情報処理装置が、
　需要家の消費電力情報を取得し、
　前記需要家における、特定機器の利用状況を検出し、
　需要制御情報に従い消費電力を削減した需要家に対し、前記特定機器の利用状況に対応するインセンティブを付与する、ことを含む。

　なお、本発明の他の側面としては、上記第二の側面の方法を少なくとも１つのコンピュータに実行させるプログラムであってもよいし、このようなプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体であってもよい。この記録媒体は、非一時的な有形の媒体を含む。
　このコンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されたとき、コンピュータに、情報処理装置上で、その情報処理方法を実施させるコンピュータプログラムコードを含む。

　なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。

　また、本発明の各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でもよい。

　また、本発明の方法およびコンピュータプログラムには複数の手順を順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の手順を実行する順番を限定するものではない。このため、本発明の方法およびコンピュータプログラムを実施するときには、その複数の手順の順番は内容的に支障のない範囲で変更することができる。

　さらに、本発明の方法およびコンピュータプログラムの複数の手順は個々に相違するタイミングで実行されることに限定されない。このため、ある手順の実行中に他の手順が発生すること、ある手順の実行タイミングと他の手順の実行タイミングとの一部ないし全部が重複していること、等でもよい。

　上記各側面によれば、需要家の計画的な電力使用を可能としつつ、特定機器の利用を促進する情報処理システム、情報処理方法、およびプログラムを提供することができる。

　上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。

本発明の実施の形態に係る情報処理システムの構成を論理的に示す機能ブロック図である。本発明の実施の形態に係る情報処理システムに関係するシステム全体構成例を概念的に示す図である。図２の本実施形態の情報処理システムのサーバ装置を実現するコンピュータの構成例を示すブロック図である。本実施形態の情報処理システムの動作の一例を示すフローチャートである。本発明の実施の形態に係る情報処理システムの構成を論理的に示す機能ブロック図である。本発明の実施の形態に係る情報処理システムの構成を論理的に示す機能ブロック図である。本発明の実施の形態に係る情報処理システムの構成を論理的に示す機能ブロック図である。本発明の実施の形態に係る情報処理システムの構成を論理的に示す機能ブロック図である。

　以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。

（第１の実施の形態）
　本発明の第１の実施の形態に係る情報処理システム、情報処理方法およびプログラムについて、以下説明する。
　図１は、本発明の実施の形態に係る情報処理システム１の構成を論理的に示す機能ブロック図である。
　本発明において、情報処理システム１は、需要家の消費電力情報を取得する取得部１０２と、需要制御情報に従い消費電力が削減されたか否かを消費電力情報に基づいて判定する判定部１０４と、需要家における、特定機器の利用状況を検出する検出部１０６と、需要制御情報に従い消費電力を削減した需要家に対し、特定機器の利用状況に対応するインセンティブを付与する付与部１０８と、を備える。

　図２は、本発明の実施の形態に係る情報処理システム１に関係するシステム全体構成例を概念的に示す図である。
　本発明の情報処理システム１は、たとえば、宅内の機器（たとえば、ECHONET Lite（登録商標）認証機器を含む）と通信する通信装置またはサーバ装置１００によって少なくとも実現される。

　本発明において、機器とは、本発明の情報処理システム１の需要家における電力関連装置であり、図２に示すように、様々な機器が含まれる。当該機器には、電力関連装置、たとえば、太陽光発電（ＰＶ：PhotoVoltaics）システム５２、負荷装置５４、および蓄電システム５６が含まれる。また、機器は、所謂、ＨＥＭＳ（Home Energy Management System：住宅向けエネルギー管理システム）５０も含んでもよい。

　通信装置は、需要家のこれらの機器に電力を配電する住宅用分電盤または、需要家の宅内の機器の消費電力を測定する電力測定装置に接続される。分電盤または電力測定装置は、ＨＥＭＳ５０に含まれてもよく、通信装置はＨＥＭＳ５０でもよい。また、分電盤、電力測定装置、またはＨＥＭＳ５０は、ゲートウェイ（図中、ＧＷ（GateWay）と示す）５１を介して、サーバ装置１００に接続してもよいし、ＨＥＭＳ５０がサーバ装置１００に接続する機能を有してもよい。また、ＨＥＭＳ５０とゲートウェイ５１は、それぞれの機能が備わった１つの装置であってもよい。

　本実施形態では、情報処理システム１の機能の少なくとも一部を実現する通信装置としてＨＥＭＳ５０を例に説明するが、上述したように、通信装置は、ＨＥＭＳ５０に限らず、ゲートウェイ５１でもよいし、あるいは、通信機能を有する電力測定装置または分電盤に含まれてもよい。

　サーバ装置１００は、電力小売事業者サーバ３０およびクラウドサーバ４０の少なくともいずれか１つとするが、たとえば、特定機器を製造または販売する事業者（たとえば、家電メーカー、家電製品量販店等）等のサーバであってもよい。特定機器とは、本発明で、需要制御情報により消費電力の削減対象となる機器、または、その利用等が需要家へのインセンティブの付与条件となる機器等である。

　負荷装置５４は、たとえば、図示されない、給湯器（不図示）、および、エアコン、照明機器等のECHONET Lite認証機器、その他の家電製品、あるいは、電気自動車（ＥＶ：Electric Vehicle、ＰＨＶ：Plug-in Hybrid Vehicle）など）５８等が含まれる。

　ＨＥＭＳ５０は、ＰＶシステム５２、負荷装置５４、蓄電システム５６、および電気自動車５８等の電力関連装置に接続される。上述したように、ＨＥＭＳ５０は、電力測定装置を含んでもよく、住宅用分電盤に含まれてもよい。また、電力測定装置または分電盤には、たとえば、ＣＴ（Current Transformer：変流器）が接続される。ＣＴにより、分電盤に接続される複数機器（図２では、ＰＶシステム５２、負荷装置５４、蓄電システム５６、および電気自動車５８等）全体の総消費電流の電流波形が取得される。分電盤に接続される複数機器の全体の総消費電力は、１つのＣＴにより取得してもいいし、複数のＣＴにより取得してもよい。
　ＨＥＭＳ５０は、計測された各機器の電力使用量に関する情報を無線通信でゲートウェイ５１またはサーバ装置１００に送信する機能を有してもよい。

　スマートメーター１０は、通信機能を有する電力量計である。たとえば、スマートメーター１０は、電力会社から需要家に供給される。電力量計は、電力会社または電力小売事業者から供給される電力の消費量を計測する。計測された消費電力量等に情報は、スマートメーター１０から電力会社の電力会社サーバ２０に、所謂Ａルートを介して定期的に送信される。

　スマートメーター１０と電力会社サーバ２０間のＡルートの通信方法は、特に限定されないが、たとえば、９２０ＭＨｚ帯を使用する特定小電力無線方式、または、３Ｇ（3rd Generation）やＬＴＥ（Long Term Evolution）等の携帯電話通信方式を利用することができる。

　さらに、スマートメーター１０は、Ａルートとは別の所謂Ｂルートを介して、ゲートウェイ５１に消費電力量などの情報を送信してもよい。このスマートメーター１０とゲートウェイ５１間のＢルートの通信方法は、特に限定されないが、たとえば、９２０ＭＨｚ帯を使用する特定小電力無線方式、たとえば、ＷｉＳＵＮ等の通信規格に基づく通信方式、または、Ｚｉｇｂｅｅ（登録商標）等のＩＥＥＥ８０２．１５．４上で動作する無線通信規格の通信方式を利用することができる。

　また、ゲートウェイ５１、ＨＥＭＳ５０、および電力関連装置等の各機器の間の通信方式は、特に限定されないが、たとえば、９２０ＭＨｚ帯を使用する特定小電力無線方式、たとえば、ＷｉＳＵＮ等の通信規格に基づく通信方式、または、Ｚｉｇｂｅｅ（登録商標）等のＩＥＥＥ８０２．１５．４上で動作する無線通信規格の通信方式を利用することができる。
　本実施形態では、ゲートウェイ５１、ＨＥＭＳ５０、および電力関連装置を含む各機器は、ECHONET Lite通信規格に従って通信するものを含んでもよい。

　ゲートウェイ５１は、スマートメーター１０またはＨＥＭＳ５０から取得した情報を、ＡルートとＢルートとは異なるＣルート（公衆回線網等のネットワーク）を介して電力小売事業者サーバ３０またはクラウドサーバ４０（サーバ装置１００）等に転送したり、あるいは、電力小売事業者サーバ３０またはクラウドサーバ４０（サーバ装置１００）から需要制御情報等を受信し、スマートメーター１０またはＨＥＭＳ５０に転送したりする。

　ゲートウェイ５１と電力小売事業者サーバ３０またはクラウドサーバ４０（サーバ装置１００）間の通信方式は、特に限定されないが、たとえば、ＷｉＭＡＸ（Worldwide Interoperability for Microwave Access）、３Ｇ、またはＬＴＥ等の無線通信方式を使用できる。
　言い換えれば、ＨＥＭＳ５０は、ゲートウェイ５１を介して、スマートメーター１０から消費電力情報を取得する。さらに、ＨＥＭＳ５０は、ゲートウェイ５１を介してサーバ装置１００と通信し、たとえば、サーバ装置１００から需要制御情報を受信する。

　ゲートウェイ５１は、スマートメーター１０、ＨＥＭＳ５０、ＰＶシステム５２、負荷装置５４、蓄電システム５６、またはサーバ装置１００と通信する通信機能を有しているものとし、各機器または各装置との通信方式に対応した通信インタフェース機能部（不図示）を備えているものとする。
　ゲートウェイ５１は、各機器と認証情報を用いて所定の認証手続きを行い、認証された場合に、当該機器と通信することができる。

　本発明の情報処理システム１は、具体的な構成例として複数の形態が考えられ、以下に例示されるがこれらに限定されるものではない。
（ａ１）サーバ装置１００が全ての機能を実現する構成
　すなわち、サーバ装置１００が、図１の取得部１０２、判定部１０４、検出部１０６、および付与部１０８を有する。
（ａ２）ＨＥＭＳ５０が、特定機器とのやり取りに関連する機能を実現し、サーバ装置１００が、少なくともインセンティブ付与に関する機能を実現する構成
　たとえば、ＨＥＭＳ５０が、図１の取得部１０２、判定部１０４、および検出部１０６のうち少なくともいずれか１つを有し、サーバ装置１００が、図１の付与部１０８を少なくとも有する。

　本実施形態では、（ａ１）の構成例について説明する。すなわち、本実施形態において、サーバ装置１００は、図１の取得部１０２と、判定部１０４と、検出部１０６と、付与部１０８と、を備える。
　（ａ２）の構成例については、後述する。

　図１に戻り、取得部１０２は、スマートメーター１０およびＨＥＭＳ５０（電力測定装置またはＣＴ）の少なくともいずれか一つから、需要家の消費電力情報を取得する。
　本明細書において、「取得」とは、自装置が他の装置や記憶媒体に格納されているデータまたは情報を取りに行くこと（能動的な取得）、たとえば、他の装置にリクエストまたは問い合わせして受信すること、他の装置や記憶媒体にアクセスして読み出すこと等、および、自装置に他の装置から出力されるデータまたは情報を入力すること（受動的な取得）、たとえば、配信（または、送信、プッシュ通知等）されるデータまたは情報を受信すること等、の少なくともいずれか一方を含む。また、受信したデータまたは情報の中から選択して取得すること、または、配信されたデータまたは情報を選択して受信することも含む。

　また、本実施形態で取得部１０２が取得する消費電力情報は、判定部１０４が消費電力の削減に関する判定を行うのに使用されるが、後述する実施形態では、機器分離技術により需要家が利用している機器の特定にも利用される。この場合、取得部１０２が電流波形を取得するタイミングや条件は以下に説明するものとは異なるので、後述する実施形態で詳細に説明する。

　まず、サーバ装置１００の取得部１０２が、ゲートウェイ５１を介してスマートメーター１０から消費電力情報を取得する場合について説明する。
　スマートメーター１０から取得される消費電力情報は、たとえば、瞬時電力計測値、瞬時電流計測値、および瞬時電圧計測値の少なくとも一つを含む。また、消費電力積算値（３０分値）等、他の情報を取得してもよい。

　本実施形態では、取得部１０２は、ゲートウェイ５１を介してスマートメーター１０から消費電力情報を取得する。他の構成例（ａ２）の場合は、ＨＥＭＳ５０の取得部１０２が、ゲートウェイ５１を介してスマートメーター１０から消費電力情報を取得する。
　また、図２には示していないが、サーバ装置１００は、電力会社サーバ２０とネットワークを介して接続されてもよい。電力会社サーバ２０がスマートメーター１０からＡルート経由で収集した消費電力情報を、取得部１０２が電力会社サーバ２０から取得してもよい。

　ゲートウェイ５１またはＨＥＭＳ５０は、たとえば、定期的または予め定められた日時にスマートメーター１０から消費電力情報を受信し、所定期間分の情報を記憶してもよいし、サーバ装置１００からのリクエストに応じてスマートメーター１０から消費電力情報を受信してもよいし、これらの組み合わせでもよい。そして、ゲートウェイ５１またはＨＥＭＳ５０は、記憶している消費電力情報を、サーバ装置１００からのリクエストに応じて、指定された期間分、サーバ装置１００に送信してもよいし、予め定められた期間毎にサーバ装置１００に自発的に送信してもよいし、これらの組み合わせでもよい。

　取得部１０２が消費電力情報を取得するタイミング（本実施形態では、ＨＥＭＳ５０に情報をリクエストするタイミングとなる）は様々考えられ、以下に例示されるが、これらに限定されない。また、以下の少なくとも２つを組み合わせてもよい。
（ｂ１）後述する需要制御情報が送信された後、所定時間間隔で収集する。
（ｂ２）後述する需要制御情報で指定されるイベント実施期間に、所定時間間隔で収集する。
（ｂ３）定期的、または所定の日時に収集する。
　所定時間間隔は、特に限定されないが、たとえば、３０秒、または３０分等である。また、収集期間中に、時間間隔は固定でもよいし、条件（たとえば、需要制御イベント実施中とそれ以外、または時間帯、曜日、季節等）に応じて変動してもよいし、これらの組み合わせでもよい。

　次に、サーバ装置１００の取得部１０２が、ゲートウェイ５１を介してＨＥＭＳ５０（ＣＴまたは各機器）から消費電力情報を取得する場合について説明する。
　取得部１０２は、複数の機器に電力を配電する分電盤（電力測定装置）で計測される、全体の電力消費に関する計測値をＨＥＭＳ５０から取得してもよいし、ECHONET Lite認証機器にＨＥＭＳ５０を介して問い合わせて取得してもよい。

　ＨＥＭＳ５０から取得する電力消費に関する計測値は、たとえば、総消費電流、電力、および電圧の少なくともいずれか一つの計測値を含む。また、消費電力積算値（３０分値）等、他の情報を取得してもよい。

　上述したように、分電盤には、ＣＴが接続され、ＣＴにより、分電盤に接続される複数機器全体の総消費電流が計測される。たとえば、ＨＥＭＳ５０は、電力測定装置またはＣＴと９２０ＭＨｚ帯を使用する特定小電力無線方式で無線通信するインタフェース部（不図示）を有する。本実施形態では、ＨＥＭＳ５０は、電力測定装置（またはＣＴ）との無線通信を行うための認証手続きを予め行い、通信できる状態となっているものとする。

　そして、取得部１０２は、電力測定装置またはＣＴで計測された消費電力情報をＨＥＭＳ５０からゲートウェイ５１を介して取得する。サーバ装置１００の取得部１０２が消費電力量情報を取得する通信ルートは、以下の少なくともいずれか一つが考えられるが、これらに限定されない。また、少なくとも２つを組み合わせてもよく、機器構成や通信状況に応じて、ルートを切り替えてもよい。
（ｃ１）サーバ装置１００の取得部１０２が、電力測定装置またはＣＴから、ＨＥＭＳ５０と、ゲートウェイ５１を経由して、消費電力量情報を取得する。
（ｃ２）サーバ装置１００の取得部１０２が、電力測定装置またはＣＴから、ゲートウェイ５１を経由して、消費電力量情報を取得する。
（ｃ３）サーバ装置１００の取得部１０２が、電力測定装置またはＣＴから、ＨＥＭＳ５０を経由して、消費電力量情報を取得する。
　あるいは、取得部１０２は、後述する検出部１０６により検出される、ゲートウェイ５１と通信するECHONET Lite認証機器にリクエストして消費電力情報を、ゲートウェイ５１を介して取得する。

　まず、ゲートウェイ５１またはＨＥＭＳ５０は、たとえば、定期的または予め定められた日時から所定期間内に、所定の時間間隔で電力測定装置またはＣＴ、あるいは、ECHONET Lite認証機器から消費電力情報を取得し、所定期間分を記憶してもよいし、サーバ装置１００からのリクエストに応じて電力測定装置またはＣＴ、あるいは、ECHONET Lite認証機器から消費電力情報を取得してもよいし、これらの組み合わせでもよい。そして、ゲートウェイ５１またはＨＥＭＳ５０は、記憶している消費電力情報を、サーバ装置１００からのリクエストに応じて、所定された期間分、サーバ装置１００に送信してもよいし、予め定められた期間毎にサーバ装置１００に自発的に送信してもよいし、これらの組み合わせでもよい。

　取得部１０２が消費電力情報を取得するタイミング（本実施形態では、ＨＥＭＳ５０に情報をリクエストするタイミングとなる）は様々考えられ、以下に例示されるが、これらに限定されない。また、以下の少なくとも２つを組み合わせてもよい。
（ｄ１）後述する需要制御情報を送信された後、少なくとも１つの所定期間分を取得する。
（ｄ２）後述する需要制御情報で指定されるイベント実施期間内の少なくとも１つの所定期間分を取得する。
（ｄ３）定期的または所定の日時から所定期間分を取得する。
　所定期間の長さは固定でもよいし、条件（たとえば、需要制御イベント実施中とそれ以外、または時間帯、曜日、季節等）に応じて変動してもよいし、これらの組み合わせでもよい。

　判定部１０４は、スマートメーター１０やＨＥＭＳ５０（ＣＴまたは各機器）から取得した消費電力情報に基づいて、需要制御情報に従い消費電力が削減されたか否かを判定する。
　需要制御情報とは、所謂、デマンドレスポンス（Demand Response：ＤＲ）含むイベントである。デマンドレスポンスとは、米国では以下の通り米国連邦エネルギー規制委員会（Assessment of Demand Response & Advanced Metering, FERC (Federal Energy Regulatory Commission：) (2011)）で定義されている。デマンドレスポンスとは、「卸市場価格の高騰時または系統信頼性の低下時において、電気料金価格の設定またはインセンティブの支払に応じて、需要家側が電力の使用を抑制するよう電力消費パターンを変換させること」を指す。
　以下、本明細書では、需要制御情報は、デマンドレスポンスとも呼ぶ。

　需要制御情報は、図２の電力会社サーバ２０からＡルートを介してスマートメーター１０が受信し、Ｂルートを介して通信装置に転送される場合と、電力小売事業者サーバ３０またはクラウドサーバ４０からＣルートを介して通信装置または需要家のユーザ端末が受信する場合が考えられる。
　本明細書では、需要制御情報は、電力小売事業者サーバ３０またはクラウドサーバ４０から、通信装置または需要家のユーザ端末に送信されるものとする。

　本実施形態において、需要制御情報は、電力小売事業者サーバ３０からＣルートを介して通信装置または需要家のユーザ端末に送信される。あるいは、電力小売事業者から要請を受けてクラウドサーバ４０から通信装置またはユーザ端末に送信されてもよい。また、需要制御情報は、需要家に需要制御イベントとして通知されるものとする。

　上述したように、電力小売事業者は、３０分同時同量を達成するために、たとえば、３０分おきに需要家に対してデマンドレスポンスを送信する。需要家はデマンドレスポンスを受けて、需要家が利用している機器に対して、運転を停止させたり、節電可能な動作モードに切り替えたり、設定温度を低くしたりする操作を行う。

　電力小売事業者サーバ３０またはクラウドサーバ４０がサーバ装置１００である場合は、需要制御情報が送信されたことを判定部１０４は知ることができる。一方、電力小売事業者サーバ３０またはクラウドサーバ４０が、サーバ装置１００と異なる構成の場合は、判定部１０４は、電力小売事業者サーバ３０またはクラウドサーバ４０から需要制御情報が需要家に通知されたことを示す情報を取得するものとする。

　需要制御情報は、イベントの実施期間（デマンドレスポンス送信後、所定期間内、または、指定期間内）、削減目標値、目標達成時のインセンティブ、目標未達成時のペナルティ、およびイベント対象機器等の少なくともいずれか１つの情報が含まれる。

　また、削減目標値は、以下に例示されるが、これらに限定されない。また、以下の少なくともいずれか２つを組み合わせてもよい。
（ｅ１）消費電力量制限値
　消費電力量を制限値より低く抑える。制限値は複数設定されてもよい。
（ｅ２）電力量削減値
　需要家の平常時または一般的な平均値から削減すべき最低値を示す。
（ｅ３）削減率
　需要家の平常時または一般的な平均値に対し、削減すべき比率を示す。

　判定部１０４は、需要制御情報を需要家のＨＥＭＳ５０またはゲートウェイ５１、あるいは、需要家のユーザ端末に送信し、送信後、予め定められた期間内、または、デマンドレスポンスが示すイベント実施期間内に、需要家の消費電力が削減されたか否かを判定する。

　ユーザ端末とは、たとえば、需要家の携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等を含む。需要家は、ユーザ端末でメールを受信可能なメールアドレスを事前にサーバ装置１００に登録し、需要制御情報を、メールアドレスを宛先として送信してもよい。

　また、ＨＥＭＳ５０またはゲートウェイ５１が受信した需要制御情報は、たとえば、ＨＥＭＳ５０またはゲートウェイ５１が有する表示部（不図示）、または、ＨＥＭＳ５０と通信可能なユーザ操作端末であるＩＨＤ（In-Home Display：宅内ディスプレイ）（不図示）等に表示させてもよい。需要家はこれらの情報を見て、需要制御情報に従って機器の動作を停止させたり、運転モードを節電モードに切り替えたりする操作を行うことができる。

　消費電力が削減されたか否かの判定基準は様々考えられ、以下に例示されるが、これらに限定されない。また、以下の少なくとも２つを組み合わせてもよい。
（ｆ１）需要家の総消費電力量が所定値以上、削減された。
（ｆ２）需要家の総消費電力量が、所定期間内またはイベント実施期間内、目標値以内に抑えられた。
（ｆ３）需要家の総消費電力量が、デマンドレスポンスイベント中、他の期間または他日の同時間帯の過去の需要家の消費電力量の値（実際の値、または平均値でもよい）に比較して、所定の割合以上、削減された。

　また、判定部１０４が判定を行うタイミングは、以下に例示されるが、これらに限定されない。また、以下の少なくともいずれか２つを組み合わせてもよい。
（ｇ１）需要制御情報を送信後から所定時間経過後に判定
（ｇ２）需要制御情報で指定したイベント実施期間中、少なくとも１回、所定の時間間隔で判定
（ｇ３）需要制御情報で指定したイベント実施期間終了時（終了前または終了後も含む）に判定
（ｇ４）消費電力情報の履歴情報を元に、任意のタイミングで判定

　検出部１０６は、需要家における、特定機器の利用状況を検出する。
　特定機器とは、需要制御情報に基づいて消費電力を削減する対象となる機器であり、図２の負荷装置５４または電気自動車５８など、電力を消費する機器のうち、下記に示す特定対象となる機器である。

　また、図２のＰＶシステム５２、または蓄電システム５６の電力関連装置についても、需要制御情報に従い、負荷装置５４または電気自動車５８に給電する動作を行うことで、電力小売事業者サーバ３０から受電して消費する電力を削減できるので、特定機器に含まれてよい。

　特定対象は、機器の種類（たとえば、「エアコン」や「照明」等）でもよいし、機器の製造事業者または販売会社や店舗の名称でもよいし、機器の型式、型番、仕様、製品名、製品のシリーズ名、製品のブランド、機器の製造または販売期間でもよい。あるいは、消費電力量が、所定値以上となると予測される機器、または、過去の需要家の履歴または一般的な平均値から所定値以上となると予測される機器を特定対象としてもよい。

　特定機器（特定対象の機器）の設定方法は、以下に例示されるが、これらに限定されない。
（ｈ１）ユーザ（需要家）毎に予め固定的に設定される。
（ｈ２）サーバ装置１００において、条件に応じて、自動的にまたは随時、設定または変更されてもよい。

　ここで、条件とは、たとえば、需要制御イベント実施中とそれ以外、または日時、期間、時間帯、曜日、季節等の時間的な条件、および、電力消費の状況の少なくともいずれかを含む。これらの条件は、需要制御情報に含まれていてもよく、需要制御情報の内容に従って、設定または変更されてもよい。特定機器（特定対象の機器）が設定または変更された場合、ユーザ端末や通信装置（ＧＷ）へのメールや表示等により設定または変更されたこと、あるいは、設定または変更内容が、需要家に通知されてもよい。

　利用状況とは、たとえば、特定機器のユーザ登録がなされているか否か、特定機器が利用されているか否か、特定機器が動作しているか停止しているか、特定機器の動作モード、特定機器の消費電力情報、特定機器の利用期間、特定機器の利用頻度、特定機器の利用リピート回数等の情報の少なくともいずれか１つを含んでよいし、これらの情報の少なくとも２つを組み合わせてもよい。

　検出部１０６が特定機器の利用状況を検出するタイミングは、以下に例示されるが、これらに限定されない。また、以下の少なくともいずれか２つを組み合わせてもよい。
（ｉ１）需要家が特定機器のユーザ登録を行った時
（ｉ２）需要制御情報が需要家に送信された時
（ｉ３）需要制御情報が示すイベント実施期間内で少なくとも１回または所定時間間隔毎の複数回
（ｉ４）定期的または所定の日時
（ｉ５）所定期間、または所定の時間帯で少なくとも１回または所定時間間隔毎の複数回

　検出部１０６が特定機器の利用状況を検出する方法は以下に例示されるが、これらに限定されない。また、以下の少なくともいずれか２つを組み合わせてもよい。
（ｊ１）ECHONET Lite認証機器に問い合わせることにより特定機器の利用状況を検出する。詳細については後述する実施形態で説明する。
（ｊ２）機器分離技術を用いて、総消費電力量を分離し、各機器を特定し、特定された機器の中から特定機器を検出する。詳細については後述する実施形態で説明する。
（ｊ３）サーバ装置１００が、さらに、需要家の特定機器の利用情報を取得する利用情報取得部を有し、検出部１０６が需要家における、特定機器の利用情報に基づいて、特定機器の利用状況を検出する。
　たとえば、需要家が、所定のウェブサイトにアクセスして、特定機器のユーザ登録を行うと、その登録ユーザ情報を利用情報取得部が取得する。

　付与部１０８は、需要制御情報に従い消費電力を削減したと判定された需要家に対し、特定機器の利用状況に対応するインセンティブを付与する。
　インセンティブの付与条件は、以下に例示されるが、これらに限定されない。また、以下の少なくとも２つを組み合わせてもよい。
（ｋ１）需要制御情報に従い消費電力を削減したと判定された需要家に対し、当該需要家が特定機器を利用していること
（ｋ２）需要制御情報に従い消費電力を削減したと判定された需要家に対し、当該需要家が利用している特定機器の消費電力が削減されていること
（ｋ３）消費電力の要求削減量を含む需要制御情報に従い消費電力を削減したと判定された需要家が特定機器を利用しており、さらに当該需要家の消費電力の削減量が要求削減量を超えていること
（ｋ４）需要制御情報に従い消費電力を削減したと判定された需要家に対し、当該需要家が利用している特定機器について、動作が停止されたこと、動作モードが節電モードに変更されたこと、および設定温度が低く変更されたこと、のうち少なくともいずれか１つ
　すなわち、特定機器の消費電力が削減できる設定に需要家が変更したことであってもよい。
　たとえば、上記ユーザによる特定機器のユーザ登録による利用情報を用いれば、インセンティブの付与条件を満たしているかの判断を簡単に行うことができる。

　付与部１０８が需要家に付与するインセンティブの決定方法は、以下に例示されるが、これらに限定されない。また、以下の少なくとも２つを組み合わせてもよい。
（ｌ１）付与条件を満たした需要家に対し、当該付与条件に対応するインセンティブを付与し、当該付与条件を満たさない需要家に対しては、当該付与条件に対応するインセンティブは付与しない。
（ｌ２）付与条件を満たした需要家に対して付与するインセンティブの付与率を、当該付与条件を満たさない需要家に対して付与するインセンティブの付与率より高くする。
　たとえば、特定機器の消費電力の削減量に対する付与率を、特定機器以外の機器の消費電力の削減量に対する付与率の２倍とする等。
（ｌ３）消費電力の削減量に対する割合に応じて、インセンティブの付与率を決定する。

　インセンティブの決定方法は、特定機器毎に決定してもよい。つまり、特定機器がエアコンや扇風機など複数ある場合や、同じ種類の機器（たとえばエアコン）においても、複数の異なる型番やブランドがある場合、それぞれの機器ごとにインセンティブを変更してもよい。
　たとえば、特定のブランドや、型番が新しい機器ほど、それ以外の機器に比べてインセンティブを高く設定してもよい。

　インセンティブは、ポイント付与、サービス、電気料金の割引、ユーザに設定されるステージのレベルアップ等、様々考えられ、特に限定されない。また、プリペイド方式、またはポイント制での電力料金の精算を利用している需要家に対しても、需要制御情報に従い消費電力を削減した場合に、付与部１０８は、ポイントを付加する。このとき、付与部１０８は、特定機器の利用状況に応じて、ポイントの増加率を変える。たとえば、付与部１０８は、特定機器を利用している需要家にポイントを２倍にして付与する。

　図３は、図２のサーバ装置１００を実現するコンピュータ６０の構成例を示すブロック図である。本実施形態では、サーバ装置１００は、電力小売事業者サーバ３０またはクラウドサーバ４０である。

　コンピュータ６０は、ＣＰＵ（Central Processing Unit）６２、メモリ６４、メモリ６４にロードされた図１の構成要素の少なくとも一部を実現するプログラム８０、そのプログラム８０を格納するハードディスクなどのストレージ６６、ネットワーク接続用インタフェース（Ｉ／Ｆ）６８を備える。コンピュータ６０の各要素は、バス６９を介して互いに接続され、ＣＰＵ６２により各要素とともにコンピュータ６０が実現する装置全体が制御される。

　図１の本実施形態の情報処理システム１の各構成要素は、図３のコンピュータ６０のハードウェアとソフトウェアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。以下説明する各実施形態の情報処理システム、または、各装置を示す機能ブロック図は、ハードウェア単位の構成ではなく、論理的な機能単位のブロックを示している。また、各図において、本発明の本質に関わらない部分の構成については省略してあり、図示されていない。

　図３のコンピュータ６０のＣＰＵ６２が、ストレージ６６に記憶されるプログラム８０をメモリ６４に読み出して実行することにより、情報処理システム１の図１の各ユニットの各機能を実現することができる。
　上述したように、本発明の情報処理システム１は複数の構成例が考えられ、少なくとも１つのコンピュータ６０によって情報処理システム１を実現するプログラム８０が実行される。構成例毎にプログラムの各手順を実行するコンピュータが異なり、いずれのコンピュータによってプログラムの各手順を実行するかは、様々な形態が考えられる。
　本実施形態では、上述した（ａ１）の構成に対応し、図１の情報処理システム１の各ユニットがサーバ装置１００によって実現されるものとする。

　本実施形態のコンピュータプログラムは、情報処理装置（本実施形態では、サーバ装置１００）を実現させるためのコンピュータ６０に、需要家の消費電力情報を取得する手順、需要制御情報に従い消費電力が削減されたか否かを消費電力情報に基づいて判定する手順、需要家における、特定機器の利用状況を検出する手順、需要制御情報に従い消費電力を削減したと判定された需要家に対し、特定機器の利用状況に対応するインセンティブを付与する手順、を実行させるように記述されている。

　本実施形態のコンピュータプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。記録媒体は特に限定されず、様々な形態のものが考えられる。また、プログラムは、記録媒体からコンピュータのメモリにロードされてもよいし、ネットワークを通じてコンピュータにダウンロードされ、メモリにロードされてもよい。

　コンピュータプログラム８０を記録する記録媒体は、非一時的な有形のコンピュータ６０が使用可能な媒体を含み、その媒体に、コンピュータ６０が読み取り可能なプログラムコードが埋め込まれる。コンピュータプログラム８０が、コンピュータ６０上で実行されたとき、コンピュータ６０に、情報処理装置（本実施形態では、サーバ装置１００）を実現する以下の制御方法を実行させる。

　このように構成された本実施形態の情報処理システム１の情報処理方法について、以下説明する。
　図４は、本実施形態の情報処理システム１の動作の一例を示すフローチャートである。
　上述したように、本発明の情報処理システム１は複数の構成例が考えられるため、構成例毎に情報処理方法の各手順を実行する装置（コンピュータ）、または装置の組み合わせが異なり、いずれの装置（コンピュータ）によって情報処理方法の各手順を実行するかは、様々な形態が考えられる。
（ｍ１）サーバ装置の情報処理方法であり、サーバ装置１００を実現するコンピュータ６０により実行される情報処理方法
（ｍ２）サーバ装置およびＨＥＭＳの情報処理方法であり、サーバ装置を実現するコンピュータ、およびＨＥＭＳを実現するコンピュータにより実行される情報処理方法

　（ｍ１）の形態では、ユーザは、事前に本情報処理システム１のサービスを利用するためのユーザ登録などを行い、サーバ装置１００とＨＥＭＳ５０との通信接続設定を行っておく。
　（ｍ２）の形態では、（ｍ１）と同様な手続きを行うとともに、さらに、ＨＥＭＳに本情報処理システム１を実現するアプリケーションプログラムをインストールし、起動することで、情報処理システム１の情報処理方法の手順をＨＥＭＳに実行させる。
　本実施形態では、（ｍ１）の形態について説明する。（ｍ２）の形態について、後述する。

　本発明の実施の形態に係る情報処理方法は、情報処理装置（本実施形態では、サーバ装置１００）の情報処理方法であり、サーバ装置１００を実現するコンピュータ６０により実行される情報処理方法である。
　本実施形態の情報処理方法は、情報処理装置（本実施形態では、サーバ装置１００）が、需要家の消費電力情報を取得し（ステップＳ１０１）、需要制御情報に従い消費電力が削減されたか否かを消費電力情報に基づいて判定し（ステップＳ１０５）、需要家における、特定機器の利用状況を検出し（ステップＳ１０３）、需要制御情報に従い消費電力を削減した需要家に対し、特定機器の利用状況に対応するインセンティブを付与する（ステップＳ１０７）、ことを含む。

　より詳細に以下に説明する。まず、図４の処理手順がサーバ装置１００によって実行されるとき、たとえば、電力小売事業者から需要家に対し、デマンドレスポンスの送信が行われるものとする。たとえば、電力小売事業者は、需要家に３０分毎にデマンドレスポンスを送信することで、３０分同時同量を達成させる。デマンドレスポンスは、たとえば、需要家のユーザ端末にメールで送信される。

　メールには、消費電力削減イベントの実施期間、削減目標値、インセンティブの付与率倍増対象となる特定機器の名称等の情報（たとえば、Ａ社製エアコン、ブランド名：ＢＢＢ）が記載されているものとする。需要家はこのメールを見て、インセンティブの付与率倍増の対象となる特定機器（Ａ社製エアコン、ブランド名：ＢＢＢ）の動作をイベント実施期間の間、停止またはエコモード等の消費電力を削減できるモードに変更させる操作を行う。

　これにより、需要家宅において、イベント実施期間の間、特定機器であるＡ社製エアコン、ブランド名：ＢＢＢが停止されたことで、その期間の総消費電力量が削減され、削減目標値をクリアできたものとする。

　特定機器が条件に応じて設定または変更される場合、ユーザ端末や通信装置（ＧＷ）へのメールや表示等により設定または変更されたこと、あるいは、設定または変更内容が、需要家に通知されてもよい。また、特定機器が固定の場合で、変更がない場合でも、メールで需要家に通知されてもよい。このとき、メールには、特定機器の名称などは含まれも、含まれなくてもいずれでもよい。

　このときの情報処理システム１の動作について、以下詳細に説明する。
　まず、取得部１０２が需要家の消費電力情報を、たとえば、スマートメーター１０から取得する（ステップＳ１０１）。具体的には、取得部１０２は、ゲートウェイ５１がスマートメーター１０からＢルート介して収集した消費電力情報を、Ｃルートを介して受信する。

　次に、検出部１０６が、需要家における、特定機器の利用状況を検出する（ステップＳ１０３）。なお、特定機器は、需要制御情報で指定されてもよいし、予め定められていてもよい。特定機器は、ユーザ（需要家）毎に予め固定的に設定されていてもよいし、サーバ装置１００において、時間的な条件（たとえば、需要制御イベント実施中とそれ以外、または時間帯、曜日、季節等）や消費電力の状況に応じて、自動的にまたは随時、設定または変更されてもよい。上述した例では、特定機器は社製エアコン、ブランド名：ＢＢＢである。

　そして、判定部１０４が、需要制御情報に従い消費電力が削減されたか否かを消費電力情報に基づいて判定する（ステップＳ１０５）。そして、需要制御情報に従い消費電力が削減された需要家に対し（ステップＳ１０５のＹＥＳ）、付与部１０８が、特定機器の利用状況に対応するインセンティブを付与する（ステップＳ１０７）。需要制御情報に従った消費電力の削減がなされなかった需要家に対し（ステップＳ１０５のＮＯ）、インセンティブを付与せず、本処理を終了する。ステップＳ１０７では、特定機器の利用状況に応じたインセンティブの付与に関しては、たとえば、上記（ｋ１）～（ｋ４）を条件とする。

　ここでは、需要家は特定機器の社製エアコン、ブランド名：ＢＢＢの動作を停止したことで、特定機器が利用されていて、かつ、特定機器の消費電力量が削減でき、かつ、削減目標値が達成されているので（ステップＳ１０５のＹＥＳ）、付与部１０８により、特定機器の削減成功によるインセンティブの付与率が特定機器を以外の機器の倍のインセンティブが付与される。たとえば、他の需要家が同じ削減目標値を達成したとしても、特定機器を利用していない場合は、インセンティブはそのまま付与される。

　ステップＳ１０５の判定については、上述したように様々な条件をさらに追加できる。上記の例では、特定機器の消費電力を削減できたか否か、削減目標値を達成できたか否かを条件としてもよい。

　図４のフローチャートの手順は一例であり、これに限定されない。たとえば、ステップＳ１０１の消費電力情報の取得処理は、上述したタイミングで行われてよい。ステップＳ１０１とステップＳ１０３の順序は逆でもよい。ステップＳ１０１の取得部１０２による消費電力情報の取得処理は、上述したタイミングで行われてよく、少なくともステップＳ１０５で消費電力が削減されたか否かの判定処理より前であればよい。また、ステップＳ１０３の検出部１０６による特定機器の利用状況の検出処理は、上述したタイミングで行われてよく、少なくともステップＳ１０７で特定機器の利用状況に対応するインセンティブを付与する処理より前であればよい。

　以上説明したように、本実施形態の情報処理システム１において、まず、取得部１０２により需要家の消費電力情報が取得される。そして、検出部１０６により、需要家における。特定機器の利用状況が検出される。そして、需要制御情報に従い消費電力が削減されたと判定部１０４により判定された需要家に対し、付与部１０８により特定機器の利用状況に対応する、インセンティブが付与される。

　このように、本実施形態の情報処理システム１によれば、デマンドレスポンス等に従って、消費電力を削減した需要家のうち、特定機器を利用している需要家に対し、利用状況に対応するインセンティブが付与されるので、インセンティブが付与される特定機器の利用が促進される。このように、特定機器の利用状況によってインセンティブが付与される構成により、特定機器の利用、すなわち、購入を需要家に促すとともに、特定機器の販売数を増大させるための宣伝にもなるという効果を奏する。

　また、特定機器に消費電力の削減効率のよいものを指定すれば、効率よく消費電力の削減を促すことができ、計画的な電力消費を実現できる。

　また、電力小売事業者は、需要家の所在する電力会社に送配電を依頼している関係から、電力会社に対して３０分単位で需要家の需要量と電力小売事業者からの供給量を一致させる「３０分同時同量」の義務を負っている。この「（計画値）３０分同時同量」が一致しない場合、電力小売事業者は送配電事業者にインバランス料金を支払う必要がある。このインバランス料金の支払いが、電力小売事業者にとって大きな問題となっている。

　したがって、本実施形態のサーバ装置１００によれば、デマンドレスポンスに従って消費電力を削減した需要家に対し、特定機器の利用状況に対応するインセンティブを付与することで、３０分同時同量が達成できる可能性を高くすることができるという効果も奏する。

（第２の実施の形態）
　本発明の第２の実施の形態に係る情報処理システム１は、需要家が利用しているECHONET Lite認証機器に問い合わせて、特定機器の利用状況を検出する構成を有する。
　図５は、本発明の実施の形態に係る情報処理システム１の構成を論理的に示す機能ブロック図である。
　本実施形態の情報処理システム１は、上記実施形態で説明した構成例（ａ２）の構成となる。

　本実施形態では、ECHONET Lite認証機器とやり取りを行い、特定機器を検出し、情報を取得する機能（取得部１０２と検出部１０６）をＨＥＭＳ５０またはゲートウェイ５１が少なくとも有するものとして説明する。判定部１０４と、付与部１０８は、サーバ装置２００が有するものとする。

　図５の例では、ＨＥＭＳ５０が、図１と同様な取得部１０２、および検出部１０６を有し、サーバ装置２００が、図１と同様な判定部１０４、および付与部１０８を有する。
　本実施形態の構成は、本発明の少なくとも１つの他の実施形態と支障のない範囲で組み合わせることができる。

　本実施形態において、検出部１０６は、ECHONET Lite認証機器に問い合わせることにより特定機器の利用状況を検出する。

　詳細には、検出部１０６は、需要家が所有または利用しているECHONET Lite認証機器に問い合わせて、機器の情報を取得し、特定機器の利用状況を検出する。

　検出部１０６がECHONET Lite認証機器から取得する機器の情報は、以下に例示されるが、これらに限定されない。また、以下の少なくとも２つを組み合わせてもよい。
（ｎ１）ECHONET Lite認証機器が特定機器か否かを判別するのに使用できる情報
　たとえば、機器の種類（たとえば、「エアコン」や「照明」等）、機器の製造事業者の名称、機器の型式、型番、仕様、製品名、製品のシリーズ名、製品のブランド、機器の製造または販売期間等の情報を含む。
（ｎ２）ECHONET Lite認証機器の消費電力情報

　検出部１０６は、取得した機器の情報に基づいて、特定機器が利用されていること、または、利用されている特定機器の情報を検出する。さらに、その特定機器の消費電力情報を取得し、付与部１０８における付与条件を満たすか否かの判別に利用してもよい。

　検出部１０６における特定機器の検出方法は、以下に例示されるが、これらに限定されない。また、以下の少なくとも２つを組み合わせてもよい。
（ｏ１）ＨＥＭＳ５０またはゲートウェイ５１（以後、通信装置とも呼ぶ）を介してECHONET Lite認証手続きを行い、ECHONET Lite認証機器の情報を取得する。
（ｏ２）通信装置と既に通信しているECHONET Lite認証機器に対し、ECHONET Liteプロトコルに従って問い合わせ、機器情報（メーカー、機種、型式、製造番号、動作状況、消費電力情報等）を取得する。
（ｏ３）所有または利用しているECHONET Lite認証機器についてサーバ装置１００またはＨＥＭＳ５０にユーザによりユーザ登録された情報を取得する。

　なお、取得部１０２は、上記実施形態と同様に、スマートメーター１０または分電盤（本実施形態では、ＨＥＭＳ５０に含まれる）から消費電力情報を取得するとともに、さらに、検出部１０６が検出したECHONET Lite認証機器から各機器の消費電力情報をECHONET Liteプロトコルに従って問い合わせ、機器毎の消費電力情報を取得してもよい。

　本実施形態において、検出部１０６により、ECHONET Lite認証機器にECHONET Lite通信プロトコルを用いて問い合わせて特定機器の利用状況が検出される。
　このように、本実施形態の情報処理システム１によれば、上記実施形態と同様な効果を奏するとともに、さらにECHONET Lite認証機器に問い合わせることにより機器情報を取得して特定機器の利用状況を検出することができるので、より効率よく特定機器を検出できる。

（第３の実施の形態）
　第３の実施の形態に係る情報処理システム１は、分電盤（ＣＴ）やスマートメーター等において計測された総消費電流（または電圧）の時系列データから機器分離技術を用いて波形を分離して機器を特定し、各機器の消費電力情報を取得し、特定機器の利用状況を検出する構成を有する。

　図６は、本発明の実施の形態に係る情報処理システム１の構成を論理的に示す機能ブロック図である。
　本実施形態の情報処理システム１は、上記実施形態で説明した構成例（ａ１）の構成となる。
　本実施形態において、サーバ装置３００は、取得部３０２と、判定部１０４と、検出部３０６と、付与部１０８と、を有する。
　本実施形態の構成は、本発明の少なくとも１つの他の実施形態と支障のない範囲で組み合わせることができる。

　本実施形態のサーバ装置３００において、取得部３０２により取得される消費電力情報が、複数の機器における全体の電力消費に関する時系列データを含む。
　検出部３０６は、時系列データから特定機器の時系列データを分離することにより、特定機器の利用状況を検出する。

　本実施形態において、取得部３０２により、スマートメーター１０または分電盤（またしＣＴ）で計測された取得する。
　スマートメーター１０からデータを取得する際は、Ｂルート接続するゲートウェイ５１を用いるが、電力測定装置（ＣＴ、分電盤）から取得する場合は、ゲートウェイ５１やＨＥＭＳ５０を介せずに電力測定装置からサーバ装置１００に送信してもよい。

　まず、スマートメーター１０からデータを取得する場合について説明する。
　取得部３０２は、電力量計（スマートメーター１０）で計測される電力消費に関する計測値の時系列データを取得する。
　たとえば、ＨＥＭＳ５０は、スマートメーター１０とＢルートで無線通信するための認証手続きを予め行い、通信できる状態となっているものとする。

　そして、取得部３０２は、スマートメーター１０から、所定の時間間隔で、Ｂルート経由で、スマートメーター１０で計測された、電力消費に関する計測値の情報を取得する。情報を取得する時間間隔は、たとえば、２０秒～１０秒程度の間隔でデータを取得できれば、その時系列データから機器を判別できる特徴量を抽出できるが、これに限定されず、これより長くてもよいし、数秒またはそれ以下の間隔でもよい。

　また、時間間隔は適宜変更することができ、所定の収集期間または情報の種類に応じて時間間隔を変えてもよい。時系列データから機器を判別可能な特徴量が抽出でき、かつ、スマートメーター１０への負荷が過多にならない程度に時間間隔を設定すればよい。時間間隔の設定（変更）方法は特に限定されず、ＨＥＭＳ５０のユーザインタフェースを用いたユーザ操作により設定できてもよいし、所定のウェブページで設定を受け付け、受け付けた内容をサーバがＨＥＭＳ５０にネットワークを介して設定してもよいし、ＨＥＭＳ５０のプログラム（ファームウェア）のバージョンアップ、または、サーバからのネットワークを介しての指示等により変更できてもよい。

　スマートメーター１０から取得する電力消費に関する計測値は、たとえば、瞬時電力計測値、瞬時電流計測値、および瞬時電圧計測値の少なくとも一つを含む。また、消費電力積算値（３０分値）等、他の情報を取得してもよい。なお、取得部３０２は、スマートメーター１０から電力会社サーバ２０がＡルート経由で収集した情報（電力消費に関し計測されたデータ）を電力会社サーバ２０から取得してもよい。

　取得部３０２は、所定の時間間隔でスマートメーター１０に対し、必要なデータ（たとえば、瞬時電力計測値）の送信をリクエストし、所定期間のデータを収集し、時刻情報とともに蓄積して時系列データとする。取得部３０２は、時系列データから、少なくとも機器を判別できる特徴量が抽出できる期間分のデータを取得する。また、所定期間は、連続した期間でなくてもよく、複数の期間のデータであってもよい。また、機器の種類によっては、時間帯で特徴が顕著となる場合もあり、予め機器の種類が分かっている場合等には、この機器の特徴が少なくとも検出できる時間帯を含んだ所定期間のデータを取得してもよい。

　時系列データは、スマートメーター１０で蓄積されているものを一括して所定期間分取得してもよいし、ＨＥＭＳ５０からゲートウェイ５１を介してスマートメーター１０に瞬時値を定期的（たとえば、２０秒毎）にリクエストして都度取得し、ＨＥＭＳ５０またはゲートウェイ５１が所定期間分を蓄積してもよい。

　スマートメーター１０から取得された時系列データは、時刻毎の瞬時値であるため、取得部３０２または検出部３０６の少なくともいずれかで、瞬時計測値とその時刻情報を元に計測値の波形データを生成してもよい。

　上記に記載したように、取得部３０２はスマートメーター１０から電力消費に関する計測値の情報を取得してもいいし、以下に説明するように電力測定装置から電力消費に関する計測値の情報を取得してもいい。

　次に、電力測定装置からデータを取得する場合について説明する。
　取得部３０２は、複数の機器に電力を配電する分電盤（電力測定装置）で計測される、全体の電力消費に関する計測値の計測波形データを時系列データとして取得する。分電盤（電力測定装置）から取得する電力消費に関する計測値は、たとえば、総消費電流、電力、および電圧の少なくともいずれか一つの計測値を含む。

　たとえば、上述したように、分電盤には、ＣＴが接続され、ＣＴにより、分電盤に接続される複数機器全体の総消費電流の電流波形が取得される。たとえば、ＨＥＭＳ５０は、電力測定装置またはＣＴと９２０ＭＨｚ帯を使用する特定小電力無線方式で無線通信するインタフェース部（不図示）を有する。本実施形態では、ＨＥＭＳ５０は、電力測定装置（またはＣＴ）との無線通信を行うための認証手続きを予め行い、通信できる状態となっているものとする。

　そして、取得部３０２は、電力測定装置またはＣＴから、所定期間の電流波形を取得し、時系列データとする。
　電力測定装置またはＣＴは、所定期間分の時系列データを保持できる構成を有してもよい。その場合は、電力測定装置またはＣＴが、ＨＥＭＳ５０からのリクエストを受信した時点で蓄積されている所定期間分の時系列データをＨＥＭＳ５０に送信してもよいし、または、リクエストされてから所定期間分のデータを電力測定装置が蓄積した後、ＨＥＭＳ５０に送信してもよい。

　また、上述したように、所定期間は、連続した期間でなくてもよく、複数の期間のデータであってもよい。また、或る時間帯の時系列データを指定して、リクエストしてもよい。または、ある期間分、取得したデータから所定期間分の時系列データを抽出してもよい。また、電力測定装置またはＣＴが総消費電流を保持する構成を有していない場合は、ＨＥＭＳ５０からのリクエストを受信した後、電力測定装置またはＣＴから所定期間、サンプリングしながらＨＥＭＳ５０に総消費電流値が送信されてもよい。

　取得部３０２は、消費電力の計測波形データである時系列データをスマートメーター１０から取得してもよいし、電力測定装置（またはＣＴ）からでも取得してもよい。そして、検出部３０６は、機器分離技術を用いて、電力消費に関し計測された時系列データから特徴量を抽出し、機器固有の特徴量と比較することで、少なくとも１つの特定機器を特定する。検出部３０６は、たとえば、エアコン、テレビ等の機器の種類だけでなく、機器の型番まで特定することができる。ここで「機器の型番」とは、機器の機種を特定する情報であり、他の呼び方で呼ばれる場合も有り得る。「機器の型番」は、製造番号や製品番号や製品シリアル番号等と呼ばれる個々の製品を識別する情報とは異なる情報である。

　なお上記のように、分電盤から取得した電流波形の時系列データから機器分離を用いて各機器に関する消費電力情報を取得する方法以外にも、他の方法で取得してもよい。
　つまり分岐するブレーカーごとにＣＴなどの電流センサーをそれぞれ配置して、各機器の消費電力を取得してもよいし、各機器とコンセントとの間にスマートタップを配置して各機器の消費電力を取得してもよい。また、分電盤の分岐をたとえば、複数（たとえば、４～６個）に分けて、分岐毎にＣＴを設けて各分岐の消費電流を取得し、各分岐から電力供給されている少なくとも一つの機器について、分岐毎に機器分離を行ってもよい。

　検出部３０６は、スマートメーター１０または電力測定装置から取得した時系列データに基づいて、少なくとも一つの特定機器の消費電力の推定値を算出する。

　以上、説明したように、本実施形態の情報処理システム１において、検出部３０６により時系列データから機器分離技術を用いて、少なくとも１つの機器が特定され、検出部３０６により機器毎の消費電力の推定値が算出される。

　本実施形態の情報処理システム１によれば、検出部３０６により、機器分離技術を用いて機器を特定でき、特定機器を検出できる。そして検出部３０６により機器毎の消費電力の推定値が算出されるので、効率よく特定機器を検出することができる。

（第４の実施の形態）
　第４の実施の形態に係る情報処理システム１は、上記実施形態で求めた各機器の消費電力情報を、スマートメーターの計測値に基づいて、補正する構成をさらに有する点で上記実施形態と相違する。本実施形態の構成は、本発明の少なくとも１つの他の実施形態と支障のない範囲で組み合わせることができる。

　図７は、本発明の実施の形態に係る情報処理システム１の構成を論理的に示す機能ブロック図である。
　本実施形態の情報処理システム１は、上記実施形態で説明した構成例（ａ１）の構成となる。
　本実施形態において、サーバ装置４００は、取得部４０２と、判定部１０４と、検出部３０６と、付与部４０８と、を有する。
　本実施形態の構成は、本発明の少なくとも１つの他の実施形態と支障のない範囲で組み合わせることができる。

　本実施形態の情報処理システム１において、取得部４０２は、スマートメーター１０から消費電力の計測値を取得する。付与部４０８は、たとえばＨＥＭＳ５０（ＣＴまたは各機器）等から取得部４０２が取得した前記消費電力情報を、スマートメーター１０から取得された消費電力の計測値に基づいて補正し、需要家に付与するインセンティブを決定する。
　なお、付与部４０８がスマートメーター１０から取得された消費電力の計測値に基づいて補正する消費電力情報は上記のようなＨＥＭＳ５０（ＣＴまたは各機器）と限らなくてもよい。

　電力測定装置（ＣＴ）で計測された消費電流などの計測値、または、ECHONET Lite認証機器から取得される消費電力情報は、誤差が含まれる場合がある。一方、スマートメーター１０で計測される消費電力などの検針データが、３０分同時同量の基準となるデータであるので、電力測定装置（ＣＴ）の計測値またはECHONET Lite認証機器から取得した消費電力情報をスマートメーター１０の検針データで補正する。

　このように、本実施形態によれば、電力測定装置（ＣＴ）の計測値やECHONET Lite認証機器から取得した消費電力情報をスマートメーター１０の計測値で補正するので、需要家に付与するインセンティブを限定する際に、高精度の情報を使用できるので、適切な付与処理を行うことができる。電力小売事業者にあっては、３０分同時同量を達成するためのデマンドレスポンスを決定する際に使用する消費電力情報の精度を上げることができるので、誤差の発生割合を低くすることができる。

（第５の実施の形態）
　第５の実施の形態に係る情報処理システム１は、上記実施形態とは、需要家について、特定機器の利用情報を出力する構成を有する点で相違する。
　図８は、本発明の実施の形態に係る情報処理システム１の構成を論理的に示す機能ブロック図である。
　本実施形態の情報処理システム１は、上記実施形態で説明した構成例（ａ１）の構成となる。
　ＨＥＭＳ５５０が、図５の上記実施形態と同様な取得部１０２と、検出部１０６を有するとともに、さらに、出力部５５２を有する。サーバ装置５００は、図５の上記実施形態と同様な構成を有するとともに、さらに、判定部１０４と、検出部１０６とを有する。

　本実施形態の情報処理システム１のＨＥＭＳ５５０において、出力部５５２は、需要家について、特定機器を利用していること、または、利用されている特定機器の情報を出力する。

　出力部５５２が情報を出力するタイミングは様々考えられ、以下に例示されるが、これらに限定されない。また、以下の少なくとも２つを組み合わせもよい。
（ｐ１）特定機器の利用を需要家が開始した時、またはその前後
（ｐ２）需要制御情報を受信した後
（ｐ３）定期的、または所定の日時
（ｐ４）サーバ装置３００からリクエストされた時
（ｐ５）ＨＥＭＳ５５０の操作部（不図示）を用いたユーザ操作による出力指示を受け付けた時

　出力される情報は、需要家について、特定機器を利用していること、または、利用されている特定機器の情報である。利用されている特定機器の情報は、検出部１０６により需要家が利用している機器を特定できる情報をすくなくとも含む。たとえば、機器の種類（たとえば、「エアコン」や「照明」等）でもよいし、機器の製造事業者または販売会社や店舗の名称でもよいし、機器の型式、型番、仕様、製品名、製品のシリーズ名、製品のブランド、機器の製造または購入時期等の情報の少なくとも１つを含む。

　出力部５５２の出力先は、たとえば、サーバ装置５００、ＨＥＭＳ５５０の表示部、ユーザ端末等であるが、これらに限定されない。
　出力部５５２は、たとえば、ECHONET Lite認証機器に上記情報を取得して、サーバ装置５００に転送してもよい。また、図８では、ＨＥＭＳ５５０が出力部５５２を備える構成としているが、他の例では、需要家のユーザ端末が出力部５５２の機能を有してもよい。すなわち、ユーザ端末を用いてサーバ装置５００にアクセスし、必要な情報の登録操作を行うことで特定機器を利用していること、または利用されている特定機器の情報を指定できる。

　この構成によれば、サーバ装置５００に需要家が利用している特定機器の情報または需要家が特定機器を利用していることを通知できるので、付与部１０８において、特定機器の利用状況の判定処理に使用できるので効率がよい。

（第６の実施の形態）
　第６の実施の形態に係る情報処理システムは、本発明の情報処理システムの最小構成を有する。
　本実施形態の情報処理システムは、図１の情報処理システムと同様な取得部１０２と、検出部１０６と、付与部１０８と、を備える。
　本実施形態の情報処理システムにおいて、取得部１０２（図１）は、需要家の消費電力情報を取得する。検出部１０６（図１）は、需要家における、特定機器の利用状況を検出する。付与部１０８（図１）は、需要制御情報に従い消費電力を削減した需要家に対し、特定機器の利用状況に対応するインセンティブを付与する。

　上述したように、本発明の情報処理システム１は複数の構成例が考えられ、少なくとも１つのコンピュータ６０（図３）によって情報処理システム１を実現するプログラム８０（図３）が実行される。構成例毎にプログラムの各手順を実行するコンピュータが異なり、いずれのコンピュータによってプログラムの各手順を実行するかは、様々な形態が考えられる。

　本実施形態では、上述した（ａ１）の構成に対応し、情報処理システム１の各ユニットがサーバ装置１００（図２）によって実現されるものとする。
　本実施形態のコンピュータプログラムは、情報処理装置（本実施形態では、図２のサーバ装置１００）を実現させるためのコンピュータ６０（図３）に、需要家の消費電力情報を取得する手順、需要家における、特定機器の利用状況を検出する手順、需要制御情報に従い消費電力を削減したと判定された需要家に対し、特定機器の利用状況に対応するインセンティブを付与する手順、を実行させるように記述されている。

　また、本発明の実施の形態に係る情報処理方法は、情報処理装置（本実施形態では、図２のサーバ装置１００）の情報処理方法であり、サーバ装置１００を実現するコンピュータ６０（図３）により実行される情報処理方法である。
　本実施形態の情報処理方法は、図４の上記実施形態のフローチャートと同様なステップＳ１０１と、ステップＳ１０３と、ステップＳ１０７とを含む。

　本実施形態の情報処理方法は、情報処理装置（本実施形態では、サーバ装置１００）が、需要家の消費電力情報を取得し（図４のステップＳ１０１）、需要家における、特定機器の利用状況を検出し（図４のステップＳ１０３）、需要制御情報に従い消費電力を削減した需要家に対し、特定機器の利用状況に対応するインセンティブを付与する（図４のステップＳ１０７）、ことを含む。

　本実施形態の情報処理システム１において、まず、取得部１０２により需要家の消費電力情報が取得される。そして、検出部１０６により、需要家における。特定機器の利用状況が検出される。そして、需要制御情報に従い消費電力が削減された需要家に対し、付与部１０８により特定機器の利用状況に対応する、インセンティブが付与される。

　以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
　たとえば、上記実施形態では、需要制御情報を需要家が確認して、機器の動作を停止したり、動作モードを節電モードに切り替えたりする操作を行う構成について説明した。他の実施形態では、需要制御情報を受信したＨＥＭＳ５０が、需要制御情報に含まれる指示内容に従って各機器の動作を制御する構成としてもよい。あるいは、需要制御情報に、各機器の動作を制御するコマンドが含まれていてもよく、ＨＥＭＳ５０が制御コマンドを該当機器に対して発行してもよい。

　以上、実施形態および実施例を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
　なお、本発明において利用者（需要家）に関する情報を取得、利用する場合は、これを適法に行うものとする。

　以下、参考形態の例を付記する。
１．　情報処理装置が、
　需要家の消費電力情報を取得し、
　前記需要家における、特定機器の利用状況を検出し、
　需要制御情報に従い消費電力を削減した需要家に対し、前記特定機器の利用状況に対応するインセンティブを付与する、
情報処理方法。
２．　前記情報処理装置が、
　ECHONET Lite認証機器に問い合わせることにより前記特定機器の利用状況を検出する、
　１．に記載の情報処理方法。
３．　取得される前記消費電力情報が、複数の機器における全体の電力消費に関する時系列データを含み、
　前記情報処理装置が、
　　前記時系列データから前記特定機器の時系列データを分離することにより、前記特定機器の利用状況を検出する、
　１．または２．に記載の情報処理方法。
４．　前記情報処理装置が、
　前記需要家の前記特定機器の利用情報を取得し、
　前記需要家における、前記特定機器の利用情報に基づいて、前記特定機器の前記利用状況を検出する、
　１．から３．いずれか１つに記載の情報処理方法。
５．　前記情報処理装置が、
　前記特定機器を利用している前記需要家にインセンティブを付与する、
　１．から４．いずれか１つに記載の情報処理方法。
６．　前記情報処理装置が、
　前記特定機器の前記消費電力が削減されている前記需要家にインセンティブを付与する、
　１．から５．いずれか１つに記載の情報処理方法。
７．　前記需要制御情報は、前記消費電力の要求削減量を含み、
　前記情報処理装置が、
　前記消費電力の削減量が前記要求削減量を超えている前記需要家にインセンティブを付与する、
　１．から６．いずれか１つに記載の情報処理方法。
８．　前記情報処理装置が、
　前記付与の条件を満たした需要家に対し、当該付与の条件に対応するインセンティブを付与し、前記付与の条件を満たさない需要家に対しては、当該付与の条件に対応するインセンティブを付与しない、
　５．から７．いずれか１つに記載の情報処理方法。
９．　前記情報処理装置が、
　前記付与の条件を満たした需要家に対して付与するインセンティブの付与率を、当該付与の条件を満たさない需要家に対して付与するインセンティブの付与率より高くして、前記インセンティブを付与する、
　５．から８．いずれか１つに記載の情報処理方法。
１０．　前記情報処理装置が、
　電力量計から消費電力の計測値を取得し、
　取得された前記消費電力情報を、前記電力量計から取得された前記消費電力の計測値に基づいて補正し、前記需要家に付与する前記インセンティブを決定する、
　１．から９．いずれか１つに記載の情報処理方法。
１１．　前記情報処理装置が、
　前記需要家について、前記特定機器を利用していること、または、利用されている前記特定機器の情報を出力する、
　１．から１０．いずれか１つに記載の情報処理方法。
１２．　複数の異なる機器が前記特定機器である場合、前記機器の型番や種類に応じてインセンティブが異なる、
　１．から１１．いずれか１つに記載の情報処理方法。

１３．　コンピュータに、
　需要家の消費電力情報を取得する手順、
　前記需要家における、特定機器の利用状況を検出する手順、
　需要制御情報に従い消費電力を削減した需要家に対し、前記特定機器の利用状況に対応するインセンティブを付与する手順、を実行させるためのプログラム。
１４．　ECHONET Lite認証機器に問い合わせることにより前記特定機器の利用状況を検出する手順、
　をさらにコンピュータに実行させるための、１３．に記載のプログラム。
１５．　取得される前記消費電力情報が、複数の機器における全体の電力消費に関する時系列データを含み、
　前記時系列データから前記特定機器の時系列データを分離することにより、前記特定機器の利用状況を検出する手順、
　をさらにコンピュータに実行させるための、１３．または１４．に記載のプログラム。
１６．　前記需要家の前記特定機器の利用情報を取得する手順、
　前記需要家における、前記特定機器の利用情報に基づいて、前記特定機器の前記利用状況を検出する手順、
　をさらにコンピュータに実行させるための、１３．から１５．いずれか１つに記載のプログラム。
１７．　前記特定機器を利用している前記需要家にインセンティブを付与する手順、
　をさらにコンピュータに実行させるための、１３．から１６．いずれか１つに記載のプログラム。
１８．　前記特定機器の前記消費電力が削減されている前記需要家にインセンティブを付与する手順、
　をさらにコンピュータに実行させるための、１３．から１７．いずれか１つに記載のプログラム。
１９．　前記需要制御情報は、前記消費電力の要求削減量を含み、
　前記消費電力の削減量が前記要求削減量を超えている前記需要家にインセンティブを付与する手順、
　をさらにコンピュータに実行させるための、１３．から１８．いずれか１つに記載のプログラム。
２０．　前記付与の条件を満たさない需要家に対しては、当該付与の条件に対応するインセンティブを付与せず、当該付与の条件を満たした需要家に対し、当該付与の条件に対応するインセンティブを付与する手順、
　をさらにコンピュータに実行させるための、１７．から１９．いずれか１つに記載のプログラム。
２１．　前記付与の条件を満たした需要家に対して付与するインセンティブの付与率を、当該付与の条件を満たさない需要家に対して付与するインセンティブの付与率より高くして、前記インセンティブを付与する手順、
　をさらにコンピュータに実行させるための、１７．から２０．いずれか１つに記載のプログラム。
２２．　電力量計から消費電力の計測値を取得する手順、
　取得された前記消費電力情報を、前記電力量計から取得された前記消費電力の計測値に基づいて補正し、前記需要家に付与する前記インセンティブを決定する手順、
　をさらにコンピュータに実行させるための、１３．から２１．いずれか１つに記載のプログラム。
２３．　前記需要家について、前記特定機器を利用していること、または、利用されている前記特定機器の情報を出力する手順、
　をさらにコンピュータに実行させるための、１３．から２２．いずれか１つに記載のプログラム。
２４．　複数の異なる機器が前記特定機器である場合、前記機器の型番や種類に応じてインセンティブが異なる、
　１３．から２３．いずれか１つに記載のプログラム。

２５．　需要家における、特定機器の利用状況を検出する検出手段と、
　需要制御情報に従い消費電力を削減した需要家に対し、前記特定機器の利用状況に対応するインセンティブを付与する付与手段と、を備えるサーバ。
２６．　前記検出手段が検出する前記特定機器の利用状況は、ECHONET Lite認証機器に問い合わせることにより検出される、
　２５．に記載のサーバ。
２７．　前記検出手段は、複数の機器における全体の電力消費に関する時系列データから前記特定機器の時系列データを分離することにより、前記特定機器の利用状況を検出する、
　２５．または２６．に記載のサーバ。
２８．　前記需要家の前記特定機器の利用情報を取得する利用情報取得手段をさらに備え、
　前記検出手段は、前記需要家における、前記特定機器の利用情報に基づいて、前記特定機器の前記利用状況を検出する、
　２５．から２７．いずれか１つに記載のサーバ。
２９．　前記付与手段は、前記特定機器を利用している前記需要家にインセンティブを付与する、２５．から２８．いずれか１つに記載のサーバ。
３０．　前記付与手段は、前記特定機器の前記消費電力が削減されている前記需要家にインセンティブを付与する２５．から２９．いずれか１つに記載のサーバ。
３１．　前記需要制御情報は、前記消費電力の要求削減量を含み、
　前記付与手段は、前記消費電力の削減量が前記要求削減量を超えている前記需要家にインセンティブを付与する、
　２５．から３０．いずれか１つに記載のサーバ。
３２．　前記付与手段は、前記付与の条件を満たした需要家に対し、当該付与の条件に対応するインセンティブを付与し、当該付与の条件を満たさない需要家に対しては、当該付与の条件に対応するインセンティブを付与しない、
　２９．から３１．いずれか１つに記載のサーバ。
３３．　前記付与手段は、前記付与の条件を満たした需要家に対して付与するインセンティブの付与率を、当該付与の条件を満たさない需要家に対して付与するインセンティブの付与率より高くする、
　２９．から３２．いずれか１つに記載のサーバ。
３４．　前記付与手段は、電力量計以外の機器から取得された前記需要家の消費電力情報を、電力量計から取得された消費電力の計測値に基づいて補正し、前記需要家に付与する前記インセンティブを決定する、
　２５．から３３．いずれか１つに記載のサーバ。
３５．　前記需要家について、前記特定機器を利用していること、または、利用されている前記特定機器の情報を取得する機器情報取得手段をさらに備える、
　２５．から３４．いずれか１つに記載のサーバ。
３６．　複数の異なる機器が前記特定機器である場合、前記機器の型番や種類に応じてインセンティブが異なる、
　２５．から３５．いずれか１つに記載のサーバ。

　この出願は、２０１５年４月２８日に出願された日本出願特願２０１５－０９１５０４号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。

Claims

　需要家の消費電力情報を取得する取得手段と、
　前記需要家における、特定機器の利用状況を検出する検出手段と、
　需要制御情報に従い消費電力を削減した需要家に対し、前記特定機器の利用状況に対応するインセンティブを付与する付与手段と、
　を備える情報処理システム。
　前記検出手段は、ECHONET Lite認証機器に問い合わせることにより前記特定機器の利用状況を検出する請求項１に記載の情報処理システム。
　前記取得手段により取得される前記消費電力情報が、複数の機器における全体の電力消費に関する時系列データを含み、
　前記検出手段は、前記時系列データから前記特定機器の時系列データを分離することにより、前記特定機器の利用状況を検出する請求項１または２に記載の情報処理システム。
　前記需要家の前記特定機器の利用情報を取得する利用情報取得手段をさらに備え、
　前記検出手段は、前記需要家における、前記特定機器の利用情報に基づいて、前記特定機器の前記利用状況を検出する請求項１から３いずれか１項に記載の情報処理システム。
　前記付与手段は、前記特定機器を利用している前記需要家にインセンティブを付与する請求項１から４いずれか１項に記載の情報処理システム。
　前記付与手段は、前記特定機器の前記消費電力が削減されている前記需要家にインセンティブを付与する請求項１から５いずれか１項に記載の情報処理システム。
　前記需要制御情報は、前記消費電力の要求削減量を含み、
　前記付与手段は、前記消費電力の削減量が前記要求削減量を超えている前記需要家にインセンティブを付与する請求項１から６いずれか１項に記載の情報処理システム。
　前記付与手段は、前記付与の条件を満たした需要家に対し、当該付与の条件に対応するインセンティブを付与し、当該付与の条件を満たさない需要家に対しては、当該付与の条件に対応するインセンティブを付与しない請求項５から７いずれか１項に記載の情報処理システム。
　前記付与手段は、前記付与の条件を満たした需要家に対して付与するインセンティブの付与率を、当該付与の条件を満たさない需要家に対して付与するインセンティブの付与率より高くする請求項５から８いずれか１項に記載の情報処理システム。
　前記取得手段は、さらに、電力量計から消費電力の計測値を取得し、
　前記付与手段は、前記取得手段により取得された前記消費電力情報を、前記電力量計から取得された前記消費電力の計測値に基づいて補正し、前記需要家に付与する前記インセンティブを決定する請求項１から９いずれか１項に記載の情報処理システム。
　前記需要家について、前記特定機器を利用していること、または、利用されている前記特定機器の情報を出力する出力手段をさらに備える、
　請求項１から１０いずれか１項に記載の情報処理システム。
　複数の異なる機器が前記特定機器である場合、前記機器の型番や種類に応じてインセンティブが異なる請求項１から１１いずれか１項に記載の情報処理システム。
　需要家における、特定機器の利用状況を検出する検出手段と、
　需要制御情報に従い消費電力を削減した需要家に対し、前記特定機器の利用状況に対応するインセンティブを付与する付与手段と、を備えるサーバ。
　情報処理装置が、
　需要家の消費電力情報を取得し、
　前記需要家における、特定機器の利用状況を検出し、
　需要制御情報に従い消費電力を削減した需要家に対し、前記特定機器の利用状況に対応するインセンティブを付与する、
情報処理方法。
　コンピュータに、
　需要家の消費電力情報を取得する手順、
　前記需要家における、特定機器の利用状況を検出する手順、
　需要制御情報に従い消費電力を削減した需要家に対し、前記特定機器の利用状況に対応するインセンティブを付与する手順、
を実行させるためのプログラム。