WO2016170818A1 - 洗浄殺菌システム及び洗浄殺菌方法 - Google Patents
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Abstract
1つの区域内に衛生管理レベルの異なる複数のエリアが混在している環境において、各々の衛生管理レベルの程度に応じた洗浄及び殺菌を行うことが可能な洗浄殺菌技術を提供する。 一実施形態によれば、複数エリア内で複数の対象物の洗浄及び殺菌を行う洗浄殺菌システムにおいて、酸性水とアルカリ性水を製造する電解水製造装置と、酸性水を供給する酸性水パイプ、アルカリ性水を供給するアルカリ性水パイプを有する電解水供給装置と、酸性水により第1エリア内の第1対象物を殺菌する殺菌装置と、アルカリ性水により第2エリア内の第2対象物を洗浄した後、酸性水で第2対象物を殺菌する洗浄殺菌装置と、洗浄又は殺菌に使用した酸性水とアルカリ性水を合流させて中和させた後、外部に排水する排出装置と、を備える。
Description
本発明の実施形態は、洗浄殺菌システム及び洗浄殺菌方法に関する。
従来、養豚、養鶏、養牛(酪農)などの畜産業において、畜舎、家畜、農機具などを洗浄及び殺菌する技術が知られている。また、作業者の手指を洗浄及び殺菌する技術も知られている。かかる技術では、電気分解によって生成されたアルカリ性水と酸性水が用いられる場合がある。この場合、例えば、アルカリ性水によって対象物の洗浄が行われる。この後、酸性水によって対象物の殺菌が行われる。
ところで、1つの区域内に複数のエリアが混在している環境において、エリア毎に異なる衛生管理レベルが設定される場合がある。具体的には、1つの畜産場区域の衛生管理エリア内に、家畜の種類や生育度に応じて複数のエリアが組み込まれた環境、更には、畜産場で使用される農機具や重機を収容管理する複数のエリアが組み込まれた環境が想定される。このような環境では、衛生管理レベルの程度に応じた洗浄及び殺菌が要求される。
本発明の目的は、1つの区域内に衛生管理レベルの異なる複数のエリアが混在している環境において、各々の衛生管理レベルの程度に応じた洗浄及び殺菌を行うことが可能な畜産用洗浄殺菌システムを提供することにある。
本発明の目的は、1つの区域内に衛生管理レベルの異なる複数のエリアが混在している環境において、各々の衛生管理レベルの程度に応じた洗浄及び殺菌を行うことが可能な畜産用洗浄殺菌システムを提供することにある。
一実施形態によれば、複数エリア内で複数の対象物の洗浄及び殺菌を行う洗浄殺菌システムにおいて、酸性水とアルカリ性水を製造する電解水製造装置と、酸性水を供給する酸性水パイプ、アルカリ性水を供給するアルカリ性水パイプを有する電解水供給装置と、酸性水により第1エリア内の第1対象物を殺菌する殺菌装置と、アルカリ性水により第2エリア内の第2対象物を洗浄した後、酸性水で第2対象物を殺菌する洗浄殺菌装置と、洗浄又は殺菌に使用した酸性水とアルカリ性水を合流させて中和させた後、外部に排水する排出装置と、を備える。
図1は、一実施形態に係る畜産用洗浄殺菌システムが適用された畜産場区域の構成を示すブロック図である。
図2は、畜産場区域に敷設された電解水供給網を示す図である。
図3は、畜産場区域に適用された気化式洗浄殺菌装置を示す斜視図である。
図4は、図3の気化フィルタの内部構成を示す斜視図であって、図3のF4で示す部分の拡大図である。
図5は、気化式洗浄殺菌装置の殺菌効果を示す図である。
図6は、畜産場区域に設置された洗浄殺菌ゲート(即ち、ゲート式洗浄殺菌装置)を示す図である。
図7は、図6の手指クリーナを示す図である。
図8は、図6の靴クリーナを示す図である。
図9は、靴クリーナの自動排水機構を示す図であって、(a)は、排水前の状態を示す断面図、(b)は、排水中及び排水後の状態を示す断面図である。
図10は、靴クリーナの他の自動排水機構を示す図であって、(a)は、排水前の状態を示す断面図、(b)は、排水中の状態を示す断面図、(c)は、排水後の状態を示す断面図である。
図11は、靴クリーナの殺菌効果を示す図である。
図12は、畜産場区域に設置された車両洗浄殺菌区画を示す図である。
図2は、畜産場区域に敷設された電解水供給網を示す図である。
図3は、畜産場区域に適用された気化式洗浄殺菌装置を示す斜視図である。
図4は、図3の気化フィルタの内部構成を示す斜視図であって、図3のF4で示す部分の拡大図である。
図5は、気化式洗浄殺菌装置の殺菌効果を示す図である。
図6は、畜産場区域に設置された洗浄殺菌ゲート(即ち、ゲート式洗浄殺菌装置)を示す図である。
図7は、図6の手指クリーナを示す図である。
図8は、図6の靴クリーナを示す図である。
図9は、靴クリーナの自動排水機構を示す図であって、(a)は、排水前の状態を示す断面図、(b)は、排水中及び排水後の状態を示す断面図である。
図10は、靴クリーナの他の自動排水機構を示す図であって、(a)は、排水前の状態を示す断面図、(b)は、排水中の状態を示す断面図、(c)は、排水後の状態を示す断面図である。
図11は、靴クリーナの殺菌効果を示す図である。
図12は、畜産場区域に設置された車両洗浄殺菌区画を示す図である。
「一実施形態」
図1~図2には、本実施形態に係る畜産用洗浄殺菌システムの全体構成が概略的に示されている。畜産用洗浄殺菌システムは、1つの畜産場区域1内に衛生管理レベルの異なる複数のエリア2~8が混在している環境に設けられている。当該洗浄殺菌システムは、各々の衛生管理レベルの程度に応じた洗浄及び殺菌を行うことが可能に構成されている。
なお、本実施形態では、畜産用洗浄殺菌システムを一例に挙げたが、これに限定されることはない。例えば、1つの区域内に複数のエリアが混在している環境において、エリア毎に異なる衛生管理レベルが設定されるシステムであれば、本実施形態の技術思想を適用することが可能であることは言うまでもない。
複数のエリア2~8の一例として、図面において、1つの衛生管理エリア2の内部に、複数のエリア3~8(即ち、第1~第6エリア3~8)が組み込まれている。また、畜産場区域1で行われる事業としては、例えば、養豚、養鶏、養牛(酪農)などの畜産業を想定することができる。本実施形態では一例として、養豚業に係る畜産用洗浄殺菌システム(畜産場区域1)について説明する。
畜産場区域1において、衛生管理エリア2は、その内部が外界から隔離(隔絶)されるように構成されている。ここで、隔離(隔絶)とは、例えば、人、車、家畜、及び、これらに付随する物材が、あらかじめ設定された洗浄殺菌ゲート32や車両洗浄殺菌区画66(後述する)を経由せずには入構することができないことを意味する。第1~第6エリア3~8は、このような衛生管理エリア2の内部に組み込まれている。第1~第6エリア3~8は、それぞれ独立した環境として成立している。
第1エリア3は、種豚と母豚を飼育するための種豚舎として構成されている。種豚舎には、複数頭の種豚と母豚を同時に飼育することが可能な飼育スペースが設けられている。飼育スペースには、人の往来が可能な通路、及び、後述する洗浄殺菌装置の設置場所などが確保されている。種豚舎には、飼育スペースを覆うように屋根が設置されている。種豚舎には、飼育スペースを囲むように側壁が立ち上げられている。屋根の一部、あるいは側壁の一部もしくは全体、あるいは屋根と側壁との間の一部は、外気が流通可能な開放構造となっている。開放構造とは、例えば、密閉する場合と、定期及び不定期に換気を行う場合と、に切換え可能な構造を有する仕様、及び、常に外気が出入り自由な仕様の双方を含めた概念である。これにより、第1エリア3は、外界に対して開放された開放エリア(開放型畜舎)として構成されている。
第2エリア4は、養豚で使用される農機具(例えば、スコップ)を収容管理する区域として構成されている。第2エリア4には、農機具を収容するための物置小屋、及び、作業スペースが設けられている。作業スペースには、人の往来が可能な通路、及び、後述する洗浄殺菌装置の設置場所などが確保されている。作業スペースは、外界に対して開放された自然環境のもとに広がっている。使用済みの農機具は、作業スペースにおいて洗浄及び殺菌することができる。
第3エリア5は、養豚で使用される重機(例えば、トラクタ)を収容管理する区域として構成されている。第3エリア5には、重機を収容するための車庫、及び、作業スペースが設けられている。作業スペースには、人の往来や重機の取り回しが可能な広場、及び、後述する洗浄殺菌装置の設置場所などが確保されている。作業スペースは、外界に対して開放された自然環境のもとに広がっている。使用後における重機のクリーニング(洗浄、殺菌)は、作業スペースにおいて定期又は不定期に行うことができる。
第4エリア6は、後述する電解水生成装置9(電解水製造装置とも言う)や複数のタンク10,11などを収容管理する区域として構成されている。電解水生成装置9や複数のタンク10,11は、洗浄及び殺菌のための電解水を生成する主要構成である。電解水生成装置9によれば、例えば、食塩、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩酸などの電解質を溶媒中に添加し、電気分解することで電解水が作られる。陰極側では、アルカリ性を示すアルカリイオン水が作られる。陽極側では、次亜塩素酸塩素を含んだ酸性を示す酸性水が作られる。このとき、3室型の電解水生成装置であれば、陽極側の酸性水と陰極側のアルカリ水が、ほぼ同量得られる。なお、3室型の電解水製造装置については、本出願人が提案した特願2014−191565号を引用することで、その詳細な説明を省略すると共に、その内容全体を引用して本願の一部とする。
第5エリア7は、妊娠した母豚を飼育するための母豚舎として構成されている。母豚舎には、複数頭の母豚を同時に飼育することが可能な飼育スペースが設けられている。飼育スペースには、人の往来が可能な通路、及び、後述する洗浄殺菌装置の設置場所などが確保されている。母豚舎には、飼育スペースを覆うように屋根が設置されている。母豚舎には、飼育スペースを囲むように側壁が立ち上げられている。屋根の一部、あるいは側壁の一部もしくは全体、あるいは屋根と側壁との間の一部は、外気が流通可能な開放構造となっている。開放構造とは、例えば、密閉する場合と、定期及び不定期に換気を行う場合と、に切換え可能な構造を有する仕様、及び、常に外気が出入り自由な仕様の双方を含めた概念である。これにより、第5エリア7は、外界に対して開放された開放エリア(開放型畜舎)として構成されている。
第6エリア8は、第5エリア7の内部に配置されている。第6エリア8は、母豚が出産し、離乳期まで子豚を生育するための分娩舎として構成されている。分娩舎には、複数頭の母豚が同時に出産可能な分娩スペースが設けられている。分娩スペースには、人の往来が可能な通路、及び、後述する洗浄殺菌装置の設置場所などが確保されている。分娩スペースは、その全体が気密状に外界から隔離(隔絶)された構造を有している。これにより、第6エリア8は、外界に対して密閉された密閉エリア(密閉型畜舎)として構成されている。
衛生管理エリア2の内部において、上記した第1~第6エリア3~8には、例えば、感染症による事故率に応じた衛生管理レベルが割り振られている。事故率が最も高いエリアは、生後から離乳期までの子豚を生育する分娩舎(即ち、第6エリア8)である。このため、第6エリア8には、全てのエリアの中で最も上位の衛生管理レベルが割り当てられている。
更に、上記した第1~第6エリア3~8には、それぞれ、電解水を取り込むための取水機構(図示しない)が設けられている。電解水は、当該エリア内をクリーニング(洗浄、殺菌)するために用いられる。電解水は、既存の電解水生成装置(電解水製造装置)9によって生成可能である。例えば、取水口9pから取り入れた水道水や井戸水に、食塩(塩化ナトリウム)を溶解させた被電解水を用意する。この被電解水を電気分解する。これにより、陽極側には、次亜塩素酸と塩酸が混合した酸性水、即ち次亜塩素酸水(電解水)が生成される。陰極側には、水酸化ナトリウムを含むアルカリ性水(電解水)が生成される。ここで、上記した3室型の電解水生成装置9を用いた場合、生成される次亜塩素酸水(電解水)とアルカリ性水(電解水)は、ほぼ同量となる。
「電解水供給機構12について」
図1~図2に示すように、畜産用洗浄殺菌システムには、電解水生成装置9に加えて、電解水生成装置9によって生成された電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)を、上記した取水機構に供給するための電解水供給機構12が設けられている。電解水供給機構12は、タンク10,11と、ポンプ13,14と、電解水供給網と、を備えている。電解水生成装置9によって生成された電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)は、タンク10,11に一時的に貯水された後、ポンプ13,14によって電解水供給網に送り出されることで、上記した各エリア3~8の取水機構に供給される。
具体的に説明すると、電解水供給機構12は、次亜塩素酸水(電解水)を一時的に貯水する酸性水貯水タンク10(以下、第1タンク10という)と、アルカリ性水(電解水)を一時的に貯水するアルカリ性水貯水タンク11(以下、第2タンク11という)と、を有している。第1タンク10には、第1ポンプ13が接続されている。第2タンク11には、第2ポンプ14が接続されている。電解水供給網は、第1給水ライン15と、第2給水ライン16と、を有している。
第1給水ライン15の一端側は、第1ポンプ13を介して第1タンク10に接続されている。第1給水ライン15の他端側は、各エリア3~8の取水機構に接続されている。また、第2給水ライン16の一端側は、第2ポンプ14を介して第2タンク11に接続されている。第2給水ライン16の他端側は、各エリア3~8の取水機構に接続されている。
かかる電解水供給機構12によれば、第1タンク10に貯水された次亜塩素酸水(電解水)は、第1給水ライン15を介して、各エリア3~8の取水機構に供給可能な状態となる。この状態において、第1ポンプ13を稼働させることで、第1タンク10内の次亜塩素酸水(電解水)を第1給水ライン15に送り出すことができる。このとき、各エリア3~8の取水機構を開動作させることで、次亜塩素酸水(電解水)を各エリア3~8内に取り入れることができる。
また、第2タンク11に貯水されているアルカリ性水(電解水)は、第2給水ライン16を介して、各エリア3~8の取水機構に供給可能な状態となる。この状態において、第2ポンプ14を稼働させることで、第2タンク11内のアルカリ性水(電解水)を第2給水ライン16に送り出すことができる。このとき、各エリア3~8の取水機構を開動作させることで、アルカリ性水(電解水)を各エリア3~8内に取り入れることができる。
電解水供給機構12のうち、電解水に接する部分は、電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)との反応性が低く、かつ、電解水による腐食の恐れが低い材料、例えば、ステンレス、チタン、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂などで構成することが好ましい。
ここで、第1タンク10及び第2タンク11から各エリア3~8内に取り入れた次亜塩素酸水(電解水)及びアルカリ性水(電解水)は、使用目的や用途に応じて消費される。例えば、次亜塩素酸水(電解水)及びアルカリ性水(電解水)は、対象物の洗浄及び殺菌に適用される。即ち、畜産用洗浄殺菌システムの構成要素としてエリア3~8毎に設けられた洗浄殺菌装置によって、エリア3~8内の対象物の洗浄及び殺菌が行われる。
この場合、第1タンク10及び第2タンク11は、それぞれ、予め設定した日数で使用される分量の電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)を貯水可能に構成することが好ましい。例えば、畜産場区域1において1日~数日で使用する予定の水量の電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)を、第1タンク10及び第2タンク11に貯水する。
第1タンク10及び第2タンク11は、それぞれ、貯水した電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)と反応性が低く、かつ、電解水による腐食の恐れが低い材料、例えば、ステンレス、チタン、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂などで構成することが好ましい。
第1タンク10及び第2タンク11には、それぞれ、貯水した電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)が凍結しないような対策を講じることが好ましい。例えば、第1タンク10及び第2タンク11を温度管理された場所に配置する。或いは、第1タンク10及び第2タンク11を断熱材で梱包する。或いは、第1タンク10及び第2タンク11内の水温を水温調整機などの手段で最適な温度に管理する。
第1タンク10及び第2タンク11には、それぞれ、貯水した電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)が60度以上の水温とならないような対策を講じることが好ましい。例えば、第1タンク10及び第2タンク11を温度管理された場所に配置する。或いは、第1タンク10及び第2タンク11を断熱材で梱包する。或いは、第1タンク10及び第2タンク11内の水温を水温調整機などの手段で最適な温度に管理する。
特に、第1タンク10は、直射日光が貯水した電解水(次亜塩素酸水)に当らないように、暗所に配置するか、或いは、第1タンク10自体を遮光性材料で形成することが好ましい。
これにより、第1タンク10及び第2タンク11に貯水した電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)を早期に使い切ることができる。この結果、電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)が第1タンク10及び第2タンク11に長期間残留している間に、経年変化による劣化や品質の低下などが生じてしまうといった事態を未然に回避することができる。換言すると、各エリア3~8に対して、常に、劣化の無い一定の品質の新鮮な電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)を供給することができる。
また、第1タンク10及び第2タンク11に加えて、使用目的や用途に応じて、第3タンク(図示しない)を備えるようにしてもよい。第3タンクには、例えば、水素イオン指数(pH)と有効塩素濃度とを調整した酸性水を貯水させる。酸性水の調整は、例えば、次亜塩素酸水とアルカリ性水と水道水(井戸水)とを、互いに適量ずつ混ぜ合わせることで行うことができる。第3タンクの収容場所としては、例えば、第4エリア6を適用することができる。
「第1エリア3(開放型畜舎)の洗浄殺菌について」
図1~図2に示すように、第1エリア3において、洗浄殺菌装置としては、例えば、畜舎クリーナ17、家畜クリーナ18、空間クリーナ(図示しない)を想定することができる。畜舎クリーナ17は、畜舎内に存する対象物(例えば、床、側壁、天井)のクリーニングに適用される。家畜クリーナ18は、畜舎内で飼育されている家畜(豚)19のクリーニングに適用される。空間クリーナは、畜舎内に広がっている空間のクリーニングに適用される。
「畜舎クリーナ17について」
畜舎クリーナ17は、ノズル20と、第1及び第2容器21,22と、噴射制御装置(図示しない)と、を備えている。畜舎クリーナ17は、人力により畜舎内を移動させることが可能に構成されている。第1容器21は、取水機構から取り入れた次亜塩素酸水(電解水)を収容可能に構成されている。第2容器22は、取水機構から取り入れたアルカリ性水(電解水)を収容可能に構成されている。噴射制御装置は、第1容器21の次亜塩素酸水(電解水)をノズル20に供給可能に構成されている。噴射制御装置は、第2容器22のアルカリ性水(電解水)をノズル20に供給可能に構成されている。ノズル20は、供給された電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)を対象物に向けて噴射可能に構成されている。この場合、第2容器22として、第1容器21を代用し、1つの容器に対して次亜塩素酸水(電解水)とアルカリ性水(電解水)を交互に入れ替えて収容させてもよい。
かかる構成において、噴射制御装置は、ユーザ(例えば、作業員)の指令に基づいて、第1容器21からノズル20に次亜塩素酸水(電解水)を供給するタイミング、及び、第2容器22からノズル20にアルカリ性水(電解水)を供給するタイミングを制御することができる。更に、噴射制御装置は、ユーザ(例えば、作業員)の指令に基づいて、ノズル20から噴射させる電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)の噴射圧力、及び、噴射水量を制御することができる。
ここで、畜舎クリーナ17の洗浄殺菌方法の一例について説明する。
第1プロセスとして、ノズル20からアルカリ性水を噴射させる。アルカリ性水によって対象物の表面から有機物を除去する。この後、アルカリ性水の噴射を停止させる。
第2プロセスとして、ノズル20から次亜塩素酸水を噴射させる。次亜塩素酸水によって対象物の表面を除菌する。この場合、次亜塩素酸水を失活させる恐れのある有機物を第1プロセスにて除去することで、当該次亜塩素酸水による除菌をより徹底させることができる。この後、次亜塩素酸水の噴射を停止させる。
第3プロセスとして、ノズル20からアルカリ性水を噴射させる。アルカリ性水を対象物及びその周囲に散布する。このとき、次亜塩素酸水とアルカリ性水とが混じり合うことで、中性の液体が形成される。また、最後にアルカリ性水を噴射させることで、畜舎クリーナ17の配管に対するサビの発生を防止することができる。
第4プロセスとして、中性の液体を排水槽(タンク)に収容する。排水槽(タンク)内において、塩素濃度が失活していることを確認する。この後、中性の液体を排水槽(タンク)から排水する。これにより、周辺環境を汚染させることの無い畜舎洗浄殺菌方法が実現される。
上記した洗浄殺菌方法において、アルカリ性水及び次亜塩素酸水の噴射圧力は、2.0~10.0MPaの範囲に設定する。このとき、アルカリ性水の噴射圧力を次亜塩素酸水の噴射圧力よりも高く設定する。更に、アルカリ性水及び次亜塩素酸水の噴射水量は、1.0~6.0L/minの範囲に設定する。このとき、アルカリ性水の噴射水量を次亜塩素酸水の噴射水量よりも多く設定する。次亜塩素酸水の噴射水量は、対象物全体を漏れなく除菌できるに充分な値に設定する。更に、アルカリ性水の水質をpH9~pH13の範囲に設定すると共に、次亜塩素酸水の水質をpH3~pH6の範囲、及び、有効塩素濃度を30~60ppmに設定する。これにより、対象物の表面を効率よく確実にクリーニング(洗浄、殺菌)することができる。
「家畜クリーナ18について」
家畜クリーナ18は、ノズル23と、第1及び第2容器24,25と、噴射制御装置(図示しない)と、を備えている。家畜クリーナ18は、人力により飼育スペースに沿って移動させることが可能に構成されている。第1容器24は、取水機構から取り入れた次亜塩素酸水(電解水)を収容可能に構成されている。第2容器25は、取水機構から取り入れたアルカリ性水(電解水)を収容可能に構成されている。噴射制御装置は、第1容器24の次亜塩素酸水(電解水)をノズル23に供給可能に構成されている。噴射制御装置は、第2容器25のアルカリ性水(電解水)をノズル23に供給可能に構成されている。ノズル23は、供給された電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)を家畜(豚)19に向けて噴射可能に構成されている。この場合、第2容器25として、第1容器24を代用し、1つの容器に対して次亜塩素酸水(電解水)とアルカリ性水(電解水)を交互に入れ替えて収容させてもよい。
かかる構成において、噴射制御装置は、ユーザ(例えば、飼育員)の指令に基づいて、第1容器24からノズル23に次亜塩素酸水(電解水)を供給するタイミング、及び、第2容器25からノズル23にアルカリ性水(電解水)を供給するタイミングを制御することができる。更に、噴射制御装置は、ユーザ(例えば、飼育員)の指令に基づいて、ノズル23から噴射させる電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)の噴射圧力、及び、噴射水量を制御することができる。
ここで、家畜クリーナ18の洗浄殺菌方法の一例について説明する。
第1プロセスとして、ノズル23からアルカリ性水を噴射させる。アルカリ性水によって家畜(豚)19の表面から有機物を除去する。必要に応じて、家畜(豚)19の表面をブラシで擦りながら、アルカリ性水を噴射させてもよい。この後、アルカリ性水の噴射を停止させる。
第2プロセスとして、ノズル23から次亜塩素酸水を噴射させる。次亜塩素酸水によって家畜(豚)19の表面を除菌する。この場合、次亜塩素酸水を失活させる恐れのある有機物を第1プロセスにて除去することで、当該次亜塩素酸水による除菌をより徹底させることができる。この後、次亜塩素酸水の噴射を停止させる。
第3プロセスとして、ノズル23からアルカリ性水を噴射させる。アルカリ性水を家畜(豚)19及びその周囲に散布する。このとき、次亜塩素酸水とアルカリ性水とが混じり合うことで、中性の廃液が形成される。また、最後にアルカリ性水を噴射させることで、家畜クリーナ18の配管に対するサビの発生を防止することができる。
第4プロセスとして、中性の廃液を排水槽(図示しない)に収容する。排水槽内において、塩素濃度が失活していることを確認する。この後、廃液を排水槽から排水する。これにより、周辺環境を汚染させることの無い家畜(豚)洗浄殺菌方法が実現される。
上記した洗浄殺菌方法において、アルカリ性水及び次亜塩素酸水の噴射圧力は、0.2~3.0MPaの範囲に設定する。このとき、アルカリ性水の噴射圧力を、家畜(豚)19を傷つけない程度に、次亜塩素酸水の噴射圧力よりも高く設定する。更に、アルカリ性水及び次亜塩素酸水の噴射水量は、1.0~3.0L/minの範囲に設定する。このとき、アルカリ性水の噴射水量を次亜塩素酸水の噴射水量よりも多く設定する。次亜塩素酸水の噴射水量は、家畜(豚)19全体を漏れなく除菌できるに充分な値に設定する。更に、アルカリ性水の水質をpH9~pH13の範囲に設定すると共に、次亜塩素酸水の水質をpH3~pH6の範囲、及び、有効塩素濃度を20~60ppmに設定する。これにより、家畜(豚)19の表面を効率よく確実にクリーニング(洗浄、殺菌)することができる。
なお、上記した第2プロセスにおいて、次亜塩素酸水を家畜(豚)19に向けて噴射させる代わりに、次亜塩素酸水を収容した浸漬槽を用意し、かかる浸漬槽の中を家畜(豚)19に自ら通過させるようにしてもよい。
「ミストクリーナについて」
特に図示しないが、ミストクリーナは、複数のノズル、2つの容器、噴射制御装置、を備えて構成することができる。ノズルには、ミクロンオーダの液体粒子(液状化粒子)を噴射させることが可能な噴射口が設けられている。ノズルは、畜舎の天井や側壁に沿って互いに間隔を存して配置されている。また、一方の容器には、取水機構から取り入れた次亜塩素酸水が収容されている。他方の容器には、取水機構から取り入れたアルカリ性水が収容されている。噴射制御装置は、次のように構成されている。即ち、予め設定したタイミングで、2つの容器に収容された電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)を、各ノズルに供給する。このとき、各ノズルから液体粒子が霧状に噴射可能となる。
例えば、予め設定されたタイミングで、アルカリ性水を霧状に噴射させて畜舎の天井や側壁の表面の洗浄を行った後、次亜塩素酸水を霧状に噴射させて空間および畜舎の天井や側壁の表面の殺菌を行う。詳しくは、予め設定した時間だけ、アルカリ性水を霧状に噴射させて、畜舎の天井や側壁の表面の洗浄を行う。続いて、予め設定された時間だけ、次亜塩素酸水を霧状に噴射させて、空間に満ちた空気および畜舎の天井や側壁の表面の殺菌を行う。
このとき、噴射口の口径の異なるノズルを用いることで、ミスト噴霧及びドライミスト噴霧の切換が可能となる。ミスト噴霧もドライミスト噴霧も、電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)を霧状に微粒子化させて空気中に噴射させたものである。空気(大気)中に噴射された電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)は、霧状の微粒子となって浮遊し、畜舎内の空間に広がっていく。
この間、当該霧状に微粒子化された電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)によって、畜舎内の空間および畜舎の天井や側壁の表面のクリーニング(空気の浄化)が行われる。即ち、ミスト噴霧でもドライミスト噴霧でも、畜舎内の空間のクリーニング(空気の浄化)および畜舎の天井や側壁の表面のクリーニングを行うことができる。なお、ミスト噴霧では、霧状の微粒子が付着した対象物の表面が濡れる。一方、ドライミスト噴霧では、霧状の微粒子が付着した対象物の表面が濡れることはない。
なお、ここでは一例として、アルカリ性水を霧状に噴射させた後、次亜塩素酸水を霧状に噴射させる仕様について説明したが、これに限定されることはなく、畜舎内の空間に対するクリーニングでは、定常的に、次亜塩素酸水を霧状に噴射させるだけの仕様としてもよい。
「第2エリア4(農機具)の洗浄殺菌について」
図1~図2に示すように、第2エリア4において、洗浄殺菌装置は、取水機構から取り入れた次亜塩素酸水を収容可能な殺菌槽26と、取水機構から取り入れたアルカリ性水を用いた洗浄機構と、を備えて構成することができる。洗浄機構としては、アルカリ性水を農機具(例えば、スコップ27)に向けて噴射させて洗浄する第1タイプ、及び、アルカリ性水中に農機具を水没させて洗浄する第2タイプを適用することができる。
第1タイプの洗浄機構は、特に図示しないが、ノズル、容器、噴射制御装置、を備えて構成することができる。容器は、アルカリ性水を収容可能に構成されている。噴射制御装置は、容器内のアルカリ性水をノズルに供給し、当該ノズルから農機具に向けて噴射可能に構成されている。
第2タイプの洗浄機構は、アルカリ性水を収容可能な洗浄槽を備えて構成することができる。洗浄槽は、農機具の種類や大きさに対応した複数種類のものを用意することが好ましい。これにより、洗浄の際には、農機具全体を水没させることが可能な洗浄槽を選択することができる。洗浄槽のアルカリ性水は、1回の使用毎に新しいアルカリ性水と交換される。
殺菌槽26は、農機具の種類や大きさに対応した複数種類のものを用意することが好ましい。これにより、殺菌の際には、農機具全体を水没させることが可能な殺菌槽26を選択することができる。殺菌槽26の次亜塩素酸水は、常に新しい次亜塩素酸水(電解水)を注水し続ける状態、即ち、掛け流し状態か、1回の使用毎に新しい次亜塩素酸水と交換される。
ここで、農機具(スコップ27)の洗浄殺菌方法の一例について説明する。
第1プロセスとして、上記した洗浄機構によって農機具の表面から有機物を除去する。第1タイプの場合、アルカリ性水をノズルから農機具に向けて噴射させ、農機具の表面から有機物を除去する。第2タイプの場合、アルカリ性水が収容された洗浄槽を用意し、農機具全体をアルカリ性水中に水没させることで、農機具の表面から有機物を除去する。これらの場合において、例えば、ブラシを併用して有機物を除去してもよい。
第2プロセスとして、次亜塩素酸水が収容された殺菌槽26を用意し、有機物が除去された農機具全体を次亜塩素酸水中に水没させる。これにより、農機具が殺菌される。この場合、次亜塩素酸水を失活させる恐れのある有機物を第1プロセスにて除去することで、当該次亜塩素酸水による除菌をより徹底させることができる。水没させる時間としては、例えば、2秒程度で足りる。
「第3エリア5(重機)の洗浄殺菌について」
特に図示しないが、第3エリア5において、洗浄殺菌装置は、2つの容器と、市販の高圧洗浄機と、を備えて構成することができる。一方の容器には、取水機構から取り入れた次亜塩素酸水が収容されている。他方の容器には、取水機構から取り入れたアルカリ性水が収容されている。高圧洗浄機は、ユーザ(例えば、作業者)が設定したタイミングで、2つの容器に収容された電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)を、重機(例えば、トラクタ)に向けて高圧で噴射可能に構成されている。なお、高圧洗浄機に代えて、上記した畜舎クリーナ17を適用してもよい。また、電解水を収容する容器を1つとし、1つの容器に対して次亜塩素酸水(電解水)とアルカリ性水(電解水)を交互に入れ替えて収容させてもよい。
ここで、市販の高圧洗浄機を用いた洗浄殺菌方法の一例について説明する。
第1プロセスとして、高圧洗浄機からアルカリ性水を噴射させる。アルカリ性水によって重機の表面から有機物を除去する。この後、アルカリ性水の噴射を停止させる。
第2プロセスとして、高圧洗浄機から次亜塩素酸水を噴射させる。次亜塩素酸水によって重機の表面を除菌する。この場合、次亜塩素酸水を失活させる恐れのある有機物を第1プロセスにて除去することで、当該次亜塩素酸水による除菌をより徹底させることができる。この後、次亜塩素酸水の噴射を停止させる。
第3プロセスとして、高圧洗浄機からアルカリ性水を噴射させる。アルカリ性水を重機及びその周囲に散布する。このとき、次亜塩素酸水とアルカリ性水とが混じり合って互いに中和することで、中性の液体が形成される。また、最後にアルカリ性水を噴射させることで、高圧洗浄機の配管および重機の金属部分に対するサビの発生を防止することができる。また、重機の洗浄部分にアルカリ性水に腐食する材料(例えば、アルミニウムなど)が使われている場合、第3プロセスで噴射させる水として、アルカリ性水に代えて、例えば水道水や井戸水を適用してもよい。
第4プロセスとして、中性の液体を排水槽(タンク)に収容する。排水槽(タンク)内において、塩素濃度が失活していることを確認する。この後、中性の液体を排水槽(タンク)から排水する。これにより、周辺環境を汚染させることの無い洗浄殺菌方法が実現される。
なお、上記した洗浄殺菌方法において、必要に応じて、添加剤(リン酸塩、ケイ酸塩、或いは、両者の混合物)を10%以内の割合でアルカリ性水に添加する。これにより、重機の洗浄部分に対するサビの発生を、より確実に防止することができる。
ただし、当該重機の洗浄部分に、例えばアルミや銅などの酸腐食性材料が用いられている場合には、次亜塩素酸水の水質をpH5~pH6の範囲、及び、有効塩素濃度を20~60ppmに設定する。また、当該重機の洗浄部分に、例えばアルミなどのアルカリ腐食性材料が用いられている場合には、アルカリ性水の水質をpH9~pH10の範囲に設定する。この場合、第3プロセスにおいて、アルカリ性水の噴射に代えて、水道水(井戸水)を噴射させる。これにより、当該重機の洗浄部分の腐食を抑制することができる。
「第4エリア6の洗浄殺菌について」
図1~図2に示すように、第4エリア6には、電解水生成装置9などの電気機器が収容されている。電気機器は、水の浸入により劣化が促進する虞がある。このため、第4エリア6内のクリーニング(洗浄、殺菌)では、上記したドライミスト噴霧による洗浄殺菌方法を適用することが好ましい。なお、ドライミスト噴霧については、上記した第3エリア3の「空間クリーナ」と同様の思想に基づいて実現可能である。よって、その説明は省略する。
「第5エリア7(開放型畜舎)の洗浄殺菌について」
第5エリア7の洗浄殺菌装置としては、図1~図2に示された第1エリア3の畜舎クリーナ17、家畜クリーナ18、空間クリーナ(図示しない)を、そのまま利用することができる。よって、その説明は省略する。
「第6エリア8(密閉型畜舎)の気化式洗浄殺菌(空間殺菌)について」
図1~図4に示すように、第6エリア8において、洗浄殺菌装置は、気化フィルタ28と、ファン29と、制御モータ(図示しない)と、を備えている。気化フィルタ28は、電解水を吸収しつつ気化させることが可能に構成されている。ファン29は、気化フィルタ28を通る空気の流れ30を生じさせることが可能に構成されている。制御モータは、ファン29の回転状態(例えば、回転数、回転速度)を制御可能に構成されている。
図面では一例として、気化フィルタ28の表面側にファン29を配置させた構成が示されているが、これに代えて、気化フィルタ28の背面側にファン29を配置させて構成してもよい。いずれの配置構成でも、ファン29を回転させることで、気化フィルタ28を通る空気の流れ30を生じさせることができる。
この場合、ファン29の回転数(回転速度)を上げることで、気化フィルタ28を通る空気の流れ30を速くすることができる。逆に、ファン29の回転数(回転速度)を下げることで、気化フィルタ28を通る空気の流れ30を遅くすることができる。
気化フィルタ28は、ハニカム構造を有して構成されている。ハニカム構造は、芯材28aを蜂の巣状ないし正六角形状(即ち、多角形状)に組み上げて形成されている。換言すると、気化フィルタ28は、芯材28aの相互間に蜂の巣状ないし正六角形状(即ち、多角形状)の空隙28bが隙間なく組み合わされて構成されている。これにより、気化効率を向上させることができる。
この場合、気化フィルタ28の芯材28aは、例えば、塩化ビニル、ポリオレフィン系樹脂、フッ素樹脂、セラミックなどの無機材料からなる単一材で形成したり、或いは、それら単一剤を複数組み合わせて一体化させた複合材で形成したりすることが好ましい。
単一材を組み合わせた複合材の場合、気化フィルタ28は、次のような構造とすることが好ましい。かかる構造によれば、電解水の気化を効率良く行うことができる。例えば、最上段部は、吸収性の低いハニカム構造とする。まず、最上段部において、電解水を受ける面全体に電解水を行き渡らせる。その状態で、ハニカム構造の下方向に電解水を浸透させて行く。これにより、ハニカム構造の全体に亘って電解水を均一に行き渡らせる。
これにより、気化フィルタ28に吸収された電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)が早期に失活するのを防止することができる。なお、電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)は、取水機構から取り入れられている。
気化フィルタ28に電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)を吸収させる方法として、例えば、気化フィルタ28の一部を電解水に浸漬させる方法、或いは、気化フィルタ28に向けて電解水を滴下させる方法、を想定することができる。なお、滴下方法によれば、洗浄殺菌を行っている際にのみ、電解水を滴下させるようにすることで、電解水の無駄遣いを防止することができる。
ここで、密閉型畜舎の洗浄殺菌方法としては、次のような2つの気化式洗浄殺菌方法が想定される。第1の方法としては、アルカリ性水(電解水)を気化させて、当該密閉エリアの空間全体および畜舎の天井や側壁の表面の洗浄を行った後、次亜塩素酸水(電解水)を気化させて、当該密閉エリアの空間全体および畜舎の天井や側壁の表面の殺菌を行う。第2の方法としては、アルカリ性水による空間洗浄を省略し、次亜塩素酸水(電解水)を気化させて、当該密閉エリアの空間全体および畜舎の天井や側壁の表面の殺菌を行う。この場合、第1の方法において、洗浄用の気化フィルタ28と、殺菌用の気化フィルタ28を用意することが好ましい。
いずれの気化式洗浄殺菌方法によっても、まず、気化フィルタ28に電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)を吸収させる。気化フィルタ28から気化物質(アルカリ性気化物質、次亜塩素酸気化物質)を発生させる。気化物質(アルカリ性気化物質、次亜塩素酸気化物質)は、肉眼で認識できない気体状態であり、空気(大気)中に自由に浮遊する特性を有している。
このとき、ファン29によって気化フィルタ28を通る空気の流れ30を生じさせる。これにより、気化物質(アルカリ性気化物質、次亜塩素酸気化物質)を、空気の流れ30に沿って密閉型畜舎(密閉エリア)の空間全体に亘って分散させることができる。この結果、密閉型畜舎(密閉エリア)の空間全体の洗浄及び殺菌を行うことができる。
この場合、上記した気化式洗浄殺菌方法によれば、気化フィルタ28を加熱させること無く、電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)を気化させることができる。即ち、気化物質(アルカリ性気化物質、次亜塩素酸気化物質)を発生させることができる。このため、密閉型畜舎(密閉エリア)の室温が上昇することは無い。これにより、分娩環境を常に一定に維持することが可能となる。
なお、図5には、気化式洗浄殺菌処理によって空間殺菌を行った際の除菌効果検証結果が示されている。当該処理を行わなかった場合(図中左側の写真参照)に比べて、当該処理を行った場合(図中右側の写真参照)には、密閉型畜舎(密閉エリア)内の浮遊菌が激減していることが分かる。
「畜産用洗浄殺菌ゲート32(ゲート式洗浄殺菌装置)について」
図1~図2、図6~図8に示すように、畜産用洗浄殺菌システムには、衛生管理レベルの高いエリアに入構する際に、その入構者(人)31が通る洗浄殺菌ゲート32が設けられている。図面には一例として、衛生管理エリア2及び第1エリア3、第4~第6エリア6~8に併設された洗浄殺菌ゲート32が示されている。各々の洗浄殺菌ゲート32は、当該エリア2,3,6~8に入構する直前に、入構対象(例えば、人の手指33、人が装着している靴(長靴)34)を洗浄及び殺菌することが可能に構成されている。なお、一旦入構した後に、再びエリア外に出る場合には、必ずしも洗浄殺菌ゲート32を通る必要はない。
洗浄殺菌ゲート32は、ゲート本体35(図6参照)と、洗浄殺菌ユニットと、制御装置(図示しない)と、を備えている。なお、制御装置は、ゲート本体35、及び、洗浄殺菌ユニットに関係する動作を制御可能に構成されている。例えば、ドアの開閉、洗浄殺菌用の電解水の吐出及びその停止などの各種動作が制御される。
「ゲート本体35について」
ゲート本体35は、例えば、箱形の建造物として構成されている。ゲート本体35は、その内部が外界から密閉された環境に維持されている。ゲート本体35は、入口ドア36及び出口ドア37を有している。ゲート本体35は、入口ドア36から出口ドア37を通って、入構者(人)31が通り抜け可能に構成されている。入口ドア36及び出口ドア37は、入構者(人)31が通り抜けする際に、制御装置によって自動的に開閉制御されている。
制御装置は、人感センサ(図示しない)に接続されている。人感センサは、ゲート本体35の出入口に配置されている。例えば、入口ドア36の正面に入構者(人)31が接近すると、人感センサから制御装置に検知信号が出力される。制御装置は、検知信号に基づいて、入口ドア36を開動作させる。入構者(人)31が入口ドア36を通過すると、入口ドア36の正面には、入構者(人)31が存在しなくなる。このとき、人感センサから制御装置に検知信号が出力される。制御装置は、検知信号に基づいて、入口ドア36を閉動作させる。これにより、入構者(人)31は、入口ドア36に触れること無く、ゲート本体35内に入構することができる。
この後、ゲート本体35内において、入構者(人)31が出口ドア37に接近すると、人感センサから制御装置に検知信号が出力される。制御装置は、検知信号に基づいて、出口ドア37を開動作させる。入構者(人)31が出口ドア37を通過すると、出口ドア37の正面には、入構者(人)31が存在しなくなる。このとき、人感センサから制御装置に検知信号が出力される。制御装置は、検知信号に基づいて、出口ドア37を閉動作させる。これにより、入構者(人)31は、出口ドア37に触れること無く、エリア内に入構することができる。
「洗浄殺菌ユニットについて」
洗浄殺菌ユニットは、ゲート本体35の内部に設けられている。洗浄殺菌ユニットは、入構対象(例えば、人の手指33、人が装着している靴(長靴)34)を洗浄及び殺菌することが可能に構成されている。洗浄殺菌ユニットは、洗浄及び殺菌するための電解水を自動的に供給可能に構成されている。洗浄殺菌ユニットにおいて、供給された電解水によって、靴の洗浄及び殺菌を行った後、続いて、手指の洗浄及び殺菌を行うことが可能である。洗浄殺菌ユニットは、使用済の電解水を自動的に排水可能に構成されている。
図6~図8には、かかる構成を有する洗浄殺菌ユニットの一例が示されている。
洗浄殺菌ユニットは、手指クリーナ38と、靴クリーナ39と、を備えている。手指クリーナ38及び靴クリーナ39は、ゲート本体35の内部(床面35s)に配置されている。靴クリーナ39は、入口ドア36寄りに位置付けられている。手指クリーナ38は、出口ドア37寄りに位置付けられている。
「手指クリーナ38について」
図7に示すように、手指クリーナ38は、自動水栓装置(即ち、2つの自動水栓40,41)と、流し台42と、を備えている。自動水栓40,41及び流し台42は、高さ調整機構43によって支持されている。高さ調整機構43を操作することで、入構者(人)31の平均的な背丈に対応して、自動水栓40,41及び流し台42を、床面35sから最適な高さに位置付けることができる。流し台42には、使用済みの電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)を排水させる排水孔44が設けられている。なお、図面では、入構者(人)31の左側に自動水栓41を、右側に自動水栓40を並べているが、これとは逆の並べ方でもよい。即ち、入構者(人)31の左側に自動水栓40を、右側に自動水栓41を並べる。
一方の(洗浄用)自動水栓40は、取水機構から取り入れたアルカリ性水を自動的に吐出可能に構成されている。即ち、当該自動水栓40は、入構者(人)31の手指33を検知すると、自動的にアルカリ性水を吐出する。当該自動水栓40は、予め設定された時間が経過したときに、その吐出を停止する。これにより、入構者(人)31は、当該自動水栓40に触れること無く、手指33を洗浄することができる。
他方の(殺菌用)自動水栓41は、取水機構から取り入れた次亜塩素酸水を自動的に吐出可能に構成されている。即ち、当該自動水栓41は、入構者(人)31の手指33を検知すると、自動的に次亜塩素酸水を吐出する。当該自動水栓41は、予め設定された時間が経過したときに、その吐出を停止する。これにより、入構者(人)31は、当該自動水栓41に触れること無く、手指33を殺菌することができる。
ここで、手指クリーナ38の洗浄殺菌方法の一例について説明する。
第1プロセスとして、一方の自動水栓40からアルカリ性水を吐出して、入構者(人)31の手指33の表面から有機物を除去する。必要に応じて、手指33の表面をブラシで擦りながら、アルカリ性水を吐出させてもよい。この後、アルカリ性水の吐出を停止させる。
第2プロセスとして、他方の自動水栓41から次亜塩素酸水を吐出して、入構者(人)31の手指33を殺菌する。この後、次亜塩素酸水の噴射を停止させる。この場合、次亜塩素酸水を失活させる恐れのある有機物を第1プロセスにて除去することで、当該次亜塩素酸水による除菌をより徹底させることができる。
第3プロセスとして、流し台42の排水孔44から排水されたアルカリ性水及び次亜塩素酸水を、排水槽(図示しない)に収容する。排水槽において、アルカリ性水と次亜塩素酸水とが混じり合うことで、中性の廃液が形成される。排水槽内において、塩素濃度が失活していることを確認する。この後、廃液を排水槽から排水する。これにより、周辺環境を汚染させることの無い手指洗浄殺菌方法が実現される。
上記した洗浄殺菌方法において、アルカリ性水の吐出時間を10~30秒の範囲に設定する。このとき、アルカリ性水の水質をpH9~pH13の範囲に設定する。また、次亜塩素酸水の吐出時間を10~30秒の範囲に設定する。このとき、次亜塩素酸水の水質をpH3~pH6の範囲、及び、有効塩素濃度を20~60ppmに設定する。更に、アルカリ性水及び次亜塩素酸水の吐出水量は、1.0~4.0L/minの範囲に設定する。このとき、アルカリ性水の吐出水量を次亜塩素酸水の吐出水量よりも多く設定する。これにより、殺菌処理前に、入構者(人)31の手指33から有機物が、より確実に除去されるようにする。
更に、上記した洗浄殺菌方法において、次亜塩素酸水を吐出する自動水栓41のうち、電解水に接する部分は、電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)との反応性が低く、かつ、電解水による腐食の恐れが低い材料、例えば、ステンレス、チタン、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂などで構成することが好ましい。これにより、サビの発生を抑制することができる。加えて、自動水栓40,41の形態として、吐出口はシャワータイプとしてもよい。
上記した洗浄殺菌方法によれば、入構者(人)31の手指33を効率よく確実にクリーニング(洗浄、殺菌)することができる。この場合、かかるクリーニング(洗浄、殺菌)に際し、2つの自動水栓40,41に、入構者(人)31の手指33が触れることは無い。これにより、例えば、細菌の相互感染を防止することができる。
「靴クリーナ39について」
図8に示すように、靴クリーナ39は、靴洗浄装置45と、靴殺菌装置46と、を備えている。靴洗浄装置45及び靴殺菌装置46は、1つの防水トレイ47の中に載置されている。防水トレイ47は、ゲート本体35の床面35sに載置されている。靴洗浄装置45で使用した洗浄液や、靴殺菌装置46で使用した殺菌液は、防水トレイ47によって、その流動範囲が規制されている。よって、洗浄液や殺菌液がゲート本体35から外部に流出することは無い。
更に、防水トレイ47には、排水口(図示しない)が形成されている。排水口は、排水管(図示しない)を介して排水槽(図示しない)に接続されている。これにより、洗浄液や殺菌液は、全て排水槽に収容される。この結果、洗浄液や殺菌液が、周辺環境に影響を与えることは無い。
ここで、靴洗浄装置45は、洗浄部49と、操作部50と、を有している。
洗浄部49は、複数の下面ブラシ52aと、複数の側面ブラシ52bと、一対の洗浄プレート53と、複数のノズル54と、を備えている。
一対の洗浄プレート53は、互いに対向して配置されている。一対の洗浄プレート53は、互いに同一の形状及び大きさを有して構成されている。一対の洗浄プレート53の間隔寸法は、その相互間に、入溝者(人)31の靴(長靴)34を挿入可能な大きさに設定されている。
下面ブラシ52aは、一対の洗浄プレート53の下方側に配置されている。下面ブラシ52aは、一対の洗浄プレート53の相互間に向けて延びている。下面ブラシ52aは、靴(長靴)34の裏面(靴底)34aをクリーニング可能に構成されている。下面ブラシ52aに靴(長靴)34の裏面(靴底)34aを擦り付けることで、裏面(靴底)34aの内部に入り込んだ有機物を掻き出すことができる。これにより、当該裏面(靴底)34aの全体を、満遍無くクリーニングすることができる。
側面ブラシ52bは、一対の洗浄プレート53の対向面にそれぞれ配置されている。側面ブラシ52bは、互いに対向しつつ、かつ、接近するように延びている。側面ブラシ52bは、靴(長靴)34の表面34bをクリーニング可能に構成されている。側面ブラシ52bに靴(長靴)34の表面34bを擦り付けることで、表面34bに付着した有機物を払い落とすことができる。これにより、当該表面34bの全体を、満遍無くクリーニングすることができる。
ノズル54は、一対の洗浄プレート53の対向面にそれぞれ配置されている。ノズル54は、取水機構から取り入れたアルカリ性水(電解水)を、靴(長靴)34の裏面(靴底)34a及び表面34bに向けて噴射可能に構成されている。アルカリ性水(電解水)を噴射することで、靴(長靴)34の裏面(靴底)34a及び表面34bから有機物を漏れなく除去することができる。これにより、当該靴(長靴)34の全体を、満遍無くクリーニングすることができる。
操作部50は、シャフト55の上端寄りに設けられている。シャフト55は、洗浄部49を経由して立ち上げられている。この場合、シャフト55の長さを調節することで、入構者(人)31の平均的な背丈に対応して、操作部50を、床面35sから最適な高さに位置付けることができる。操作部50には、洗浄部49の動作を制御するONボタン56及びOFFボタン57と、後述する靴殺菌装置46の動作を制御する制御ボタン58と、が設けられている。
この場合、ONボタン56を操作することで、洗浄プレート53のノズル54からアルカリ性水(電解水)を噴射させることができる。OFFボタン57を操作することで、アルカリ性水(電解水)の噴射を停止させることができる。
また、靴殺菌装置46は、浸漬槽59と、自動注水排水装置と、を有している。自動注水排水装置は、電解水を自動的に浸漬槽59に注水すると共に、使用済みの電解水を浸漬槽59から自動的に排水する。自動注水排水装置は、注水ノズル60と、排水機構61と、を有している。
浸漬槽59は、次亜塩素酸水(電解水)を収容可能に構成されている。浸漬槽59は、入構者(人)31が靴(長靴)34を履いた状態で、当該靴(長靴)34を、次亜塩素酸水(電解水)の中に差し入れることが可能に構成されている。浸漬槽59の次亜塩素酸水(電解水)は、上記した制御ボタン58を操作することで、1回の使用毎に新しい次亜塩素酸水(電解水)と交換させることができる。
図8~図9に示すように、注水ノズル60は、制御ボタン58の操作に同期して、取水機構から取り入れた次亜塩素酸水(電解水)を浸漬槽59に注水可能に構成されている。排水機構61は、浸漬槽59に形成された排水口62と、排水口62から連続した排水管63と、排水口62を開閉可能な弁体64と、を備えて構成されている。弁体64は、制御ボタン58の操作に同期して、排水口62を塞ぐ位置(図9(a)参照)と、排水口62から回避した位置(図9(b)参照)とに移動可能に構成されている。
ここで、靴クリーナ39の洗浄殺菌方法の一例について説明する。
第1プロセスとして、ONボタン56を操作し、一対の洗浄プレート53のノズル54からアルカリ性水(電解水)を噴射させる。このとき、入構者(人)31が、片足ずつ、洗浄プレート53の相互間に靴(長靴)34を挿入する。そして、裏面(靴底)34aを下面ブラシ52aに擦り付ける。同時に、表面34bを側面ブラシ52bに擦り付ける。これにより、当該靴(長靴)34の表裏面から有機物を除去する。この後、OFFボタン57を操作することで、アルカリ性水(電解水)の噴射を停止させる。
第2プロセスとして、入構者(人)31が、浸漬槽59に収容された次亜塩素酸水(電解水)中に、両足の靴(長靴)34を浸漬させる。これにより、当該靴(長靴)34の表裏面を殺菌する。この場合、次亜塩素酸水を失活させる恐れのある有機物を第1プロセスにて除去することで、当該次亜塩素酸水による除菌をより徹底させることができる。
第3プロセスとして、入構者(人)31が、浸漬槽59から両足の靴(長靴)34を引き抜いた後、制御ボタン58を操作する。弁体64が排水口62から回避した位置(図9(b)参照)に移動する。これにより、使用済みの次亜塩素酸水(電解水)が、排水口62から排水管63に排出される。
第4プロセスとして、使用済みの次亜塩素酸水(電解水)が浸漬槽59から排水されたのを確認した後、入構者(人)31が制御ボタン58を操作する。弁体64が排水口62を塞ぐ位置(図9(a)参照)に移動する。同時に、注水ノズル60から浸漬槽59に、新しい次亜塩素酸水(電解水)が注水される。
第5プロセスとして、使用済みのアルカリ性水(電解水)及び次亜塩素酸水(電解水)を排水槽(図示しない)に収容する。排水槽において、アルカリ性水と次亜塩素酸水とが混じり合うことで、中性の廃液が形成される。排水槽内において、塩素濃度が失活していることを確認する。この後、廃液を排水槽から排水する。これにより、周辺環境を汚染させることの無い靴(長靴)洗浄殺菌方法が実現される。
上記した洗浄殺菌方法において、アルカリ性水(電解水)を噴射時間は、ONボタン56とOFFボタン57の切換タイミングを調整することで、靴(長靴)34の汚れ具合に応じて、長くしたり短くしたりする。このとき、アルカリ性水の水質をpH9~pH13の範囲に設定する。アルカリ性水の噴射水量は、3.0~6.0L/minの範囲に設定する。また、両足の靴(長靴)34を次亜塩素酸水(電解水)に浸漬させる時間は、5秒とする。このとき、次亜塩素酸水の水質をpH3~pH6の範囲、及び、有効塩素濃度を20~60ppmに設定する。次亜塩素酸水の水使用量は、1~10L/回の範囲に設定する。
なお、上記した排水機構61は、弁体64で排水口62を開閉させる構成であるが、かかる構成に代えて、例えば図10に示すように、排水管に差し込んだパイプ65を上下動させることで、浸漬槽59に対する次亜塩素酸水(電解水)の注水と排水を制御してもよい。パイプ65は、中空構造を有している。パイプ65は、排水管(図示しない)に連続している。
浸漬槽59からパイプ65を突出させた状態で、浸漬槽59に次亜塩素酸水(電解水)を注水すると、パイプ65の先端を越えた水量は、当該パイプ65の内部を通って排水される。このため、パイプ65の突出量を調整することで、浸漬槽59の任意の位置まで次亜塩素酸水(電解水)を注水することが可能となる(図10(a),(b)参照)。
これにより、常に新しい次亜塩素酸水(電解水)を注水し続ける状態、即ち、掛け流し状態で、浸漬槽59に次亜塩素酸水(電解水)を収容させることができる。そして、パイプ65を浸漬槽59の底面59s(図10(c)参照)まで引っ込めることで、浸漬槽59から全ての次亜塩素酸水(電解水)を排水することができる。
なお、図11には、次亜塩素酸水(電解水)によって靴(長靴)34の殺菌を行った際の殺菌効果検証結果(テスト結果)が示されている。通常洗浄でもテスト前のものに比べてある程度の殺菌効果が得られたものの、当該処理(酸性水洗浄)を行った場合には、殺菌効果が劇的に向上していることが分かる。
「車両洗浄殺菌区画について」
図1~図2、図12に示すように、畜産用洗浄殺菌システムには、衛生管理エリア2に入構する直前に、入構車両67を洗浄及び殺菌するための車両洗浄殺菌区画66が設けられている。図面には一例として、衛生管理エリア2に併設された車両洗浄殺菌区画66が示されている。なお、一旦入構した後に、再びエリア外に出る場合には、必ずしも車両洗浄殺菌区画66を通る必要はない。
車両洗浄殺菌区画66には、噴射装置68と、複数の浸漬槽69が設けられている。
噴射装置68は、ノズル70と、第1及び第2容器71,72と、噴射制御ユニット(図示しない)と、を備えている。噴射装置68は、人力により車両洗浄殺菌区画66内を移動させることが可能に構成されている。第1容器71は、取水機構から取り入れた次亜塩素酸水(電解水)を収容可能に構成されている。第2容器72は、取水機構から取り入れたアルカリ性水(電解水)を収容可能に構成されている。噴射制御ユニットは、第1容器71の次亜塩素酸水(電解水)をノズル70に供給可能に構成されている。噴射制御ユニットは、第2容器72のアルカリ性水(電解水)をノズル70に供給可能に構成されている。ノズル70は、供給された電解水(次亜塩素酸水、アル力リ性水)を、入構車両67の車体67a及び複数の車輪67bに向けて噴射可能に構成されている。
かかる構成において、噴射制御ユニットは、ユーザ(例えば、作業員)の指令に基づいて、第1容器71からノズル70に次亜塩素酸水(電解水)を供給するタイミング、並びに、第2容器72からノズル70にアルカリ性水(電解水)を供給するタイミングを制御することができる。更に、噴射制御ユニットは、ユーザ(例えば、作業員)の指令に基づいて、ノズル70から噴射させる電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)の噴射圧力、並びに、噴射水量を制御することができる。
複数の浸漬槽69は、それぞれ、車輪67bを浸漬させる電解水(次亜塩素酸水)を貯水可能に構成されている。浸漬槽69の幅は、少なくとも車輪67bの幅よりも広く設定されている。浸漬槽69の長さは、少なくとも車輪67bが1回転分進む距離よりも長く設定されている。浸漬槽69は、車輪67bの数及び位置に対応して設けられている。浸漬槽69は、全ての車輪67bを同時に電解水(次亜塩素酸水)に浸漬可能に構成されている。浸漬槽69の電解水(次亜塩素酸水)は、1回の使用(車両1台の使用)毎に新しい電解水(次亜塩素酸水)と交換される。
ここで、車両洗浄殺菌区画66の洗浄殺菌方法の一例について説明する。
「噴射装置68と、複数の浸漬槽69を用いた洗浄殺菌方法」
第1プロセスとして、ノズル70からアルカリ性水を噴射させる。アルカリ性水によって対象物(車体67a、車輪67b)の表面から有機物を除去する。この後、アルカリ性水の噴射を停止させる。
第2プロセスとして、次亜塩素酸水で満たされた浸漬槽69に沿って車輪67bを通過させる。次亜塩素酸水によって車輪67bの表面を除菌する。この場合、次亜塩素酸水を失活させる恐れのある有機物を第1プロセスにて除去することで、当該次亜塩素酸水による除菌をより徹底させることができる。
第3プロセスとして、ノズル70からアルカリ性水を噴射させる。アルカリ性水を対象物(車体67a、車輪67b)及びその周囲に散布する。このとき、次亜塩素酸水とアルカリ性水とが混じり合うことで、中性の液体が形成される。また、最後にアルカリ性水を噴射させることで、対象物(車体67a、車輪67b)に対するサビの発生を防止することができる。
第4プロセスとして、中性の液体を排水槽(タンク)に収容する。排水槽(タンク)内において、塩素濃度が失活していることを確認する。この後、中性の液体を排水槽(タンク)から排水する。これにより、周辺環境を汚染させることの無い車両洗浄殺菌方法が実現される。
上記した洗浄殺菌方法において、アルカリ性水の噴射圧力は、2.0~10.0MPaの範囲に設定する。更に、アルカリ性水の噴射水量は、1.0~6.0L/minの範囲に設定する。この場合、アルカリ性水の水質をpH9~pH13の範囲に設定すると共に、次亜塩素酸水の水質をpH3~pH6の範囲、及び、有効塩素濃度を20~60ppmに設定する。
ただし、アルミや銅などの酸腐食性材料を洗浄範囲に含む車両に関しては、次亜塩素酸水の水質をpH5~pH6の範囲、及び、有効塩素濃度を20~60ppmに設定する。また、アルミなどのアルカリ腐食性材料を洗浄範囲に含む車両に関しては、アルカリ性水の水質をpH9~pH10の範囲に設定する。この場合、第3プロセスにおいて、アルカリ性水の噴射に代えて、水道水(井戸水)を噴射させる。
「噴射装置68のみを用いた洗浄殺菌方法」
第1プロセスとして、ノズル70からアルカリ性水を噴射させる。アルカリ性水によって対象物(車体67a、車輪67b)の表面から有機物を除去する。この後、アルカリ性水の噴射を停止させる。
第2プロセスとして、ノズル70から次亜塩素酸水を噴射させる。次亜塩素酸水によって対象物(車体67a、車輪67b)の表面を除菌する。この後、次亜塩素酸水の噴射を停止させる。
第3プロセスとして、ノズル70からアルカリ性水を噴射させる。アルカリ性水を対象物(車体67a、車輪67b)及びその周囲に散布する。このとき、次亜塩素酸水とアルカリ性水とが混じり合うことで、中性の液体が形成される。また、最後にアルカリ性水を噴射させることで、対象物(車体67a、車輪67b)に対するサビの発生を防止することができる。
第4プロセスとして、中性の液体を排水槽(タンク)に収容する。排水槽(タンク)内において、塩素濃度が失活していることを確認する。この後、中性の液体を排水槽(タンク)から排水する。これにより、周辺環境を汚染させることの無い車両洗浄殺菌方法が実現される。
上記した洗浄殺菌方法において、アルカリ性水及び次亜塩素酸水の噴射圧力は、2.0~10.0MPaの範囲に設定する。このとき、アルカリ性水の噴射圧力を次亜塩素酸水の噴射圧力よりも高く設定する。更に、アルカリ性水及び次亜塩素酸水の噴射水量は、1.0~6.0L/minの範囲に設定する。このとき、アルカリ性水の噴射水量を次亜塩素酸水の噴射水量よりも多く設定する。次亜塩素酸水の噴射水量は、対象物(車体67a、車輪67b)全体を漏れなく除菌できるに充分な値に設定する。
更に、アルカリ性水の水質をpH9~pH13の範囲に設定すると共に、次亜塩素酸水の水質をpH3~pH6の範囲、及び、有効塩素濃度を20~60ppmに設定する。この場合、必要に応じて、添加剤(リン酸塩、ケイ酸塩、或いは、両者の混合物)を10%以内の割合でアルカリ性水に添加する。これにより、対象物(車体67a、車輪67b)に対するサビの発生を、より確実に防止することができる。
ただし、車両の洗浄部分に、例えばアルミや銅などの酸腐食性材料が用いられている場合には、次亜塩素酸水の水質をpH5~pH6の範囲、及び、有効塩素濃度を20~60ppmに設定する。また、車両の洗浄部分に、例えばアルミなどのアルカリ腐食性材料が用いられている場合には、アルカリ性水の水質をpH9~pH10の範囲に設定する。この場合、第3プロセスにおいて、アルカリ性水の噴射に代えて、水道水(井戸水)を噴射させる。これにより、車両の洗浄部分の腐食を抑制することができる。
「一実施形態の効果」
一実施形態によれば、1つの畜産場区域1内に衛生管理レベルの異なる複数のエリア2~8が混在している環境において、各々の衛生管理レベルの程度に応じた洗浄及び殺菌を行うことが可能な畜産用洗浄殺菌システムを実現することができる。
また、一実施形態によれば、3室型の電解水生成装置9を用いた場合、生成される次亜塩素酸水(電解水)とアルカリ性水(電解水)は、ほぼ同量となる。一実施形態の畜産用洗浄殺菌システムによれば、エリア毎の酸性水とアルカリ水の使用量が同量でなくても、畜産場区域1全体としてほぼ同量の酸性水とアルカリ水が使用される。このため、畜産場区域1内の排水を行う際に、結果的に中性の液体が排水槽(タンク)に収容される。これにより、周辺環境を汚染させることの無い洗浄殺菌システムが実現される。
図1~図2には、本実施形態に係る畜産用洗浄殺菌システムの全体構成が概略的に示されている。畜産用洗浄殺菌システムは、1つの畜産場区域1内に衛生管理レベルの異なる複数のエリア2~8が混在している環境に設けられている。当該洗浄殺菌システムは、各々の衛生管理レベルの程度に応じた洗浄及び殺菌を行うことが可能に構成されている。
なお、本実施形態では、畜産用洗浄殺菌システムを一例に挙げたが、これに限定されることはない。例えば、1つの区域内に複数のエリアが混在している環境において、エリア毎に異なる衛生管理レベルが設定されるシステムであれば、本実施形態の技術思想を適用することが可能であることは言うまでもない。
複数のエリア2~8の一例として、図面において、1つの衛生管理エリア2の内部に、複数のエリア3~8(即ち、第1~第6エリア3~8)が組み込まれている。また、畜産場区域1で行われる事業としては、例えば、養豚、養鶏、養牛(酪農)などの畜産業を想定することができる。本実施形態では一例として、養豚業に係る畜産用洗浄殺菌システム(畜産場区域1)について説明する。
畜産場区域1において、衛生管理エリア2は、その内部が外界から隔離(隔絶)されるように構成されている。ここで、隔離(隔絶)とは、例えば、人、車、家畜、及び、これらに付随する物材が、あらかじめ設定された洗浄殺菌ゲート32や車両洗浄殺菌区画66(後述する)を経由せずには入構することができないことを意味する。第1~第6エリア3~8は、このような衛生管理エリア2の内部に組み込まれている。第1~第6エリア3~8は、それぞれ独立した環境として成立している。
第1エリア3は、種豚と母豚を飼育するための種豚舎として構成されている。種豚舎には、複数頭の種豚と母豚を同時に飼育することが可能な飼育スペースが設けられている。飼育スペースには、人の往来が可能な通路、及び、後述する洗浄殺菌装置の設置場所などが確保されている。種豚舎には、飼育スペースを覆うように屋根が設置されている。種豚舎には、飼育スペースを囲むように側壁が立ち上げられている。屋根の一部、あるいは側壁の一部もしくは全体、あるいは屋根と側壁との間の一部は、外気が流通可能な開放構造となっている。開放構造とは、例えば、密閉する場合と、定期及び不定期に換気を行う場合と、に切換え可能な構造を有する仕様、及び、常に外気が出入り自由な仕様の双方を含めた概念である。これにより、第1エリア3は、外界に対して開放された開放エリア(開放型畜舎)として構成されている。
第2エリア4は、養豚で使用される農機具(例えば、スコップ)を収容管理する区域として構成されている。第2エリア4には、農機具を収容するための物置小屋、及び、作業スペースが設けられている。作業スペースには、人の往来が可能な通路、及び、後述する洗浄殺菌装置の設置場所などが確保されている。作業スペースは、外界に対して開放された自然環境のもとに広がっている。使用済みの農機具は、作業スペースにおいて洗浄及び殺菌することができる。
第3エリア5は、養豚で使用される重機(例えば、トラクタ)を収容管理する区域として構成されている。第3エリア5には、重機を収容するための車庫、及び、作業スペースが設けられている。作業スペースには、人の往来や重機の取り回しが可能な広場、及び、後述する洗浄殺菌装置の設置場所などが確保されている。作業スペースは、外界に対して開放された自然環境のもとに広がっている。使用後における重機のクリーニング(洗浄、殺菌)は、作業スペースにおいて定期又は不定期に行うことができる。
第4エリア6は、後述する電解水生成装置9(電解水製造装置とも言う)や複数のタンク10,11などを収容管理する区域として構成されている。電解水生成装置9や複数のタンク10,11は、洗浄及び殺菌のための電解水を生成する主要構成である。電解水生成装置9によれば、例えば、食塩、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩酸などの電解質を溶媒中に添加し、電気分解することで電解水が作られる。陰極側では、アルカリ性を示すアルカリイオン水が作られる。陽極側では、次亜塩素酸塩素を含んだ酸性を示す酸性水が作られる。このとき、3室型の電解水生成装置であれば、陽極側の酸性水と陰極側のアルカリ水が、ほぼ同量得られる。なお、3室型の電解水製造装置については、本出願人が提案した特願2014−191565号を引用することで、その詳細な説明を省略すると共に、その内容全体を引用して本願の一部とする。
第5エリア7は、妊娠した母豚を飼育するための母豚舎として構成されている。母豚舎には、複数頭の母豚を同時に飼育することが可能な飼育スペースが設けられている。飼育スペースには、人の往来が可能な通路、及び、後述する洗浄殺菌装置の設置場所などが確保されている。母豚舎には、飼育スペースを覆うように屋根が設置されている。母豚舎には、飼育スペースを囲むように側壁が立ち上げられている。屋根の一部、あるいは側壁の一部もしくは全体、あるいは屋根と側壁との間の一部は、外気が流通可能な開放構造となっている。開放構造とは、例えば、密閉する場合と、定期及び不定期に換気を行う場合と、に切換え可能な構造を有する仕様、及び、常に外気が出入り自由な仕様の双方を含めた概念である。これにより、第5エリア7は、外界に対して開放された開放エリア(開放型畜舎)として構成されている。
第6エリア8は、第5エリア7の内部に配置されている。第6エリア8は、母豚が出産し、離乳期まで子豚を生育するための分娩舎として構成されている。分娩舎には、複数頭の母豚が同時に出産可能な分娩スペースが設けられている。分娩スペースには、人の往来が可能な通路、及び、後述する洗浄殺菌装置の設置場所などが確保されている。分娩スペースは、その全体が気密状に外界から隔離(隔絶)された構造を有している。これにより、第6エリア8は、外界に対して密閉された密閉エリア(密閉型畜舎)として構成されている。
衛生管理エリア2の内部において、上記した第1~第6エリア3~8には、例えば、感染症による事故率に応じた衛生管理レベルが割り振られている。事故率が最も高いエリアは、生後から離乳期までの子豚を生育する分娩舎(即ち、第6エリア8)である。このため、第6エリア8には、全てのエリアの中で最も上位の衛生管理レベルが割り当てられている。
更に、上記した第1~第6エリア3~8には、それぞれ、電解水を取り込むための取水機構(図示しない)が設けられている。電解水は、当該エリア内をクリーニング(洗浄、殺菌)するために用いられる。電解水は、既存の電解水生成装置(電解水製造装置)9によって生成可能である。例えば、取水口9pから取り入れた水道水や井戸水に、食塩(塩化ナトリウム)を溶解させた被電解水を用意する。この被電解水を電気分解する。これにより、陽極側には、次亜塩素酸と塩酸が混合した酸性水、即ち次亜塩素酸水(電解水)が生成される。陰極側には、水酸化ナトリウムを含むアルカリ性水(電解水)が生成される。ここで、上記した3室型の電解水生成装置9を用いた場合、生成される次亜塩素酸水(電解水)とアルカリ性水(電解水)は、ほぼ同量となる。
「電解水供給機構12について」
図1~図2に示すように、畜産用洗浄殺菌システムには、電解水生成装置9に加えて、電解水生成装置9によって生成された電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)を、上記した取水機構に供給するための電解水供給機構12が設けられている。電解水供給機構12は、タンク10,11と、ポンプ13,14と、電解水供給網と、を備えている。電解水生成装置9によって生成された電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)は、タンク10,11に一時的に貯水された後、ポンプ13,14によって電解水供給網に送り出されることで、上記した各エリア3~8の取水機構に供給される。
具体的に説明すると、電解水供給機構12は、次亜塩素酸水(電解水)を一時的に貯水する酸性水貯水タンク10(以下、第1タンク10という)と、アルカリ性水(電解水)を一時的に貯水するアルカリ性水貯水タンク11(以下、第2タンク11という)と、を有している。第1タンク10には、第1ポンプ13が接続されている。第2タンク11には、第2ポンプ14が接続されている。電解水供給網は、第1給水ライン15と、第2給水ライン16と、を有している。
第1給水ライン15の一端側は、第1ポンプ13を介して第1タンク10に接続されている。第1給水ライン15の他端側は、各エリア3~8の取水機構に接続されている。また、第2給水ライン16の一端側は、第2ポンプ14を介して第2タンク11に接続されている。第2給水ライン16の他端側は、各エリア3~8の取水機構に接続されている。
かかる電解水供給機構12によれば、第1タンク10に貯水された次亜塩素酸水(電解水)は、第1給水ライン15を介して、各エリア3~8の取水機構に供給可能な状態となる。この状態において、第1ポンプ13を稼働させることで、第1タンク10内の次亜塩素酸水(電解水)を第1給水ライン15に送り出すことができる。このとき、各エリア3~8の取水機構を開動作させることで、次亜塩素酸水(電解水)を各エリア3~8内に取り入れることができる。
また、第2タンク11に貯水されているアルカリ性水(電解水)は、第2給水ライン16を介して、各エリア3~8の取水機構に供給可能な状態となる。この状態において、第2ポンプ14を稼働させることで、第2タンク11内のアルカリ性水(電解水)を第2給水ライン16に送り出すことができる。このとき、各エリア3~8の取水機構を開動作させることで、アルカリ性水(電解水)を各エリア3~8内に取り入れることができる。
電解水供給機構12のうち、電解水に接する部分は、電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)との反応性が低く、かつ、電解水による腐食の恐れが低い材料、例えば、ステンレス、チタン、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂などで構成することが好ましい。
ここで、第1タンク10及び第2タンク11から各エリア3~8内に取り入れた次亜塩素酸水(電解水)及びアルカリ性水(電解水)は、使用目的や用途に応じて消費される。例えば、次亜塩素酸水(電解水)及びアルカリ性水(電解水)は、対象物の洗浄及び殺菌に適用される。即ち、畜産用洗浄殺菌システムの構成要素としてエリア3~8毎に設けられた洗浄殺菌装置によって、エリア3~8内の対象物の洗浄及び殺菌が行われる。
この場合、第1タンク10及び第2タンク11は、それぞれ、予め設定した日数で使用される分量の電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)を貯水可能に構成することが好ましい。例えば、畜産場区域1において1日~数日で使用する予定の水量の電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)を、第1タンク10及び第2タンク11に貯水する。
第1タンク10及び第2タンク11は、それぞれ、貯水した電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)と反応性が低く、かつ、電解水による腐食の恐れが低い材料、例えば、ステンレス、チタン、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂などで構成することが好ましい。
第1タンク10及び第2タンク11には、それぞれ、貯水した電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)が凍結しないような対策を講じることが好ましい。例えば、第1タンク10及び第2タンク11を温度管理された場所に配置する。或いは、第1タンク10及び第2タンク11を断熱材で梱包する。或いは、第1タンク10及び第2タンク11内の水温を水温調整機などの手段で最適な温度に管理する。
第1タンク10及び第2タンク11には、それぞれ、貯水した電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)が60度以上の水温とならないような対策を講じることが好ましい。例えば、第1タンク10及び第2タンク11を温度管理された場所に配置する。或いは、第1タンク10及び第2タンク11を断熱材で梱包する。或いは、第1タンク10及び第2タンク11内の水温を水温調整機などの手段で最適な温度に管理する。
特に、第1タンク10は、直射日光が貯水した電解水(次亜塩素酸水)に当らないように、暗所に配置するか、或いは、第1タンク10自体を遮光性材料で形成することが好ましい。
これにより、第1タンク10及び第2タンク11に貯水した電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)を早期に使い切ることができる。この結果、電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)が第1タンク10及び第2タンク11に長期間残留している間に、経年変化による劣化や品質の低下などが生じてしまうといった事態を未然に回避することができる。換言すると、各エリア3~8に対して、常に、劣化の無い一定の品質の新鮮な電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)を供給することができる。
また、第1タンク10及び第2タンク11に加えて、使用目的や用途に応じて、第3タンク(図示しない)を備えるようにしてもよい。第3タンクには、例えば、水素イオン指数(pH)と有効塩素濃度とを調整した酸性水を貯水させる。酸性水の調整は、例えば、次亜塩素酸水とアルカリ性水と水道水(井戸水)とを、互いに適量ずつ混ぜ合わせることで行うことができる。第3タンクの収容場所としては、例えば、第4エリア6を適用することができる。
「第1エリア3(開放型畜舎)の洗浄殺菌について」
図1~図2に示すように、第1エリア3において、洗浄殺菌装置としては、例えば、畜舎クリーナ17、家畜クリーナ18、空間クリーナ(図示しない)を想定することができる。畜舎クリーナ17は、畜舎内に存する対象物(例えば、床、側壁、天井)のクリーニングに適用される。家畜クリーナ18は、畜舎内で飼育されている家畜(豚)19のクリーニングに適用される。空間クリーナは、畜舎内に広がっている空間のクリーニングに適用される。
「畜舎クリーナ17について」
畜舎クリーナ17は、ノズル20と、第1及び第2容器21,22と、噴射制御装置(図示しない)と、を備えている。畜舎クリーナ17は、人力により畜舎内を移動させることが可能に構成されている。第1容器21は、取水機構から取り入れた次亜塩素酸水(電解水)を収容可能に構成されている。第2容器22は、取水機構から取り入れたアルカリ性水(電解水)を収容可能に構成されている。噴射制御装置は、第1容器21の次亜塩素酸水(電解水)をノズル20に供給可能に構成されている。噴射制御装置は、第2容器22のアルカリ性水(電解水)をノズル20に供給可能に構成されている。ノズル20は、供給された電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)を対象物に向けて噴射可能に構成されている。この場合、第2容器22として、第1容器21を代用し、1つの容器に対して次亜塩素酸水(電解水)とアルカリ性水(電解水)を交互に入れ替えて収容させてもよい。
かかる構成において、噴射制御装置は、ユーザ(例えば、作業員)の指令に基づいて、第1容器21からノズル20に次亜塩素酸水(電解水)を供給するタイミング、及び、第2容器22からノズル20にアルカリ性水(電解水)を供給するタイミングを制御することができる。更に、噴射制御装置は、ユーザ(例えば、作業員)の指令に基づいて、ノズル20から噴射させる電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)の噴射圧力、及び、噴射水量を制御することができる。
ここで、畜舎クリーナ17の洗浄殺菌方法の一例について説明する。
第1プロセスとして、ノズル20からアルカリ性水を噴射させる。アルカリ性水によって対象物の表面から有機物を除去する。この後、アルカリ性水の噴射を停止させる。
第2プロセスとして、ノズル20から次亜塩素酸水を噴射させる。次亜塩素酸水によって対象物の表面を除菌する。この場合、次亜塩素酸水を失活させる恐れのある有機物を第1プロセスにて除去することで、当該次亜塩素酸水による除菌をより徹底させることができる。この後、次亜塩素酸水の噴射を停止させる。
第3プロセスとして、ノズル20からアルカリ性水を噴射させる。アルカリ性水を対象物及びその周囲に散布する。このとき、次亜塩素酸水とアルカリ性水とが混じり合うことで、中性の液体が形成される。また、最後にアルカリ性水を噴射させることで、畜舎クリーナ17の配管に対するサビの発生を防止することができる。
第4プロセスとして、中性の液体を排水槽(タンク)に収容する。排水槽(タンク)内において、塩素濃度が失活していることを確認する。この後、中性の液体を排水槽(タンク)から排水する。これにより、周辺環境を汚染させることの無い畜舎洗浄殺菌方法が実現される。
上記した洗浄殺菌方法において、アルカリ性水及び次亜塩素酸水の噴射圧力は、2.0~10.0MPaの範囲に設定する。このとき、アルカリ性水の噴射圧力を次亜塩素酸水の噴射圧力よりも高く設定する。更に、アルカリ性水及び次亜塩素酸水の噴射水量は、1.0~6.0L/minの範囲に設定する。このとき、アルカリ性水の噴射水量を次亜塩素酸水の噴射水量よりも多く設定する。次亜塩素酸水の噴射水量は、対象物全体を漏れなく除菌できるに充分な値に設定する。更に、アルカリ性水の水質をpH9~pH13の範囲に設定すると共に、次亜塩素酸水の水質をpH3~pH6の範囲、及び、有効塩素濃度を30~60ppmに設定する。これにより、対象物の表面を効率よく確実にクリーニング(洗浄、殺菌)することができる。
「家畜クリーナ18について」
家畜クリーナ18は、ノズル23と、第1及び第2容器24,25と、噴射制御装置(図示しない)と、を備えている。家畜クリーナ18は、人力により飼育スペースに沿って移動させることが可能に構成されている。第1容器24は、取水機構から取り入れた次亜塩素酸水(電解水)を収容可能に構成されている。第2容器25は、取水機構から取り入れたアルカリ性水(電解水)を収容可能に構成されている。噴射制御装置は、第1容器24の次亜塩素酸水(電解水)をノズル23に供給可能に構成されている。噴射制御装置は、第2容器25のアルカリ性水(電解水)をノズル23に供給可能に構成されている。ノズル23は、供給された電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)を家畜(豚)19に向けて噴射可能に構成されている。この場合、第2容器25として、第1容器24を代用し、1つの容器に対して次亜塩素酸水(電解水)とアルカリ性水(電解水)を交互に入れ替えて収容させてもよい。
かかる構成において、噴射制御装置は、ユーザ(例えば、飼育員)の指令に基づいて、第1容器24からノズル23に次亜塩素酸水(電解水)を供給するタイミング、及び、第2容器25からノズル23にアルカリ性水(電解水)を供給するタイミングを制御することができる。更に、噴射制御装置は、ユーザ(例えば、飼育員)の指令に基づいて、ノズル23から噴射させる電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)の噴射圧力、及び、噴射水量を制御することができる。
ここで、家畜クリーナ18の洗浄殺菌方法の一例について説明する。
第1プロセスとして、ノズル23からアルカリ性水を噴射させる。アルカリ性水によって家畜(豚)19の表面から有機物を除去する。必要に応じて、家畜(豚)19の表面をブラシで擦りながら、アルカリ性水を噴射させてもよい。この後、アルカリ性水の噴射を停止させる。
第2プロセスとして、ノズル23から次亜塩素酸水を噴射させる。次亜塩素酸水によって家畜(豚)19の表面を除菌する。この場合、次亜塩素酸水を失活させる恐れのある有機物を第1プロセスにて除去することで、当該次亜塩素酸水による除菌をより徹底させることができる。この後、次亜塩素酸水の噴射を停止させる。
第3プロセスとして、ノズル23からアルカリ性水を噴射させる。アルカリ性水を家畜(豚)19及びその周囲に散布する。このとき、次亜塩素酸水とアルカリ性水とが混じり合うことで、中性の廃液が形成される。また、最後にアルカリ性水を噴射させることで、家畜クリーナ18の配管に対するサビの発生を防止することができる。
第4プロセスとして、中性の廃液を排水槽(図示しない)に収容する。排水槽内において、塩素濃度が失活していることを確認する。この後、廃液を排水槽から排水する。これにより、周辺環境を汚染させることの無い家畜(豚)洗浄殺菌方法が実現される。
上記した洗浄殺菌方法において、アルカリ性水及び次亜塩素酸水の噴射圧力は、0.2~3.0MPaの範囲に設定する。このとき、アルカリ性水の噴射圧力を、家畜(豚)19を傷つけない程度に、次亜塩素酸水の噴射圧力よりも高く設定する。更に、アルカリ性水及び次亜塩素酸水の噴射水量は、1.0~3.0L/minの範囲に設定する。このとき、アルカリ性水の噴射水量を次亜塩素酸水の噴射水量よりも多く設定する。次亜塩素酸水の噴射水量は、家畜(豚)19全体を漏れなく除菌できるに充分な値に設定する。更に、アルカリ性水の水質をpH9~pH13の範囲に設定すると共に、次亜塩素酸水の水質をpH3~pH6の範囲、及び、有効塩素濃度を20~60ppmに設定する。これにより、家畜(豚)19の表面を効率よく確実にクリーニング(洗浄、殺菌)することができる。
なお、上記した第2プロセスにおいて、次亜塩素酸水を家畜(豚)19に向けて噴射させる代わりに、次亜塩素酸水を収容した浸漬槽を用意し、かかる浸漬槽の中を家畜(豚)19に自ら通過させるようにしてもよい。
「ミストクリーナについて」
特に図示しないが、ミストクリーナは、複数のノズル、2つの容器、噴射制御装置、を備えて構成することができる。ノズルには、ミクロンオーダの液体粒子(液状化粒子)を噴射させることが可能な噴射口が設けられている。ノズルは、畜舎の天井や側壁に沿って互いに間隔を存して配置されている。また、一方の容器には、取水機構から取り入れた次亜塩素酸水が収容されている。他方の容器には、取水機構から取り入れたアルカリ性水が収容されている。噴射制御装置は、次のように構成されている。即ち、予め設定したタイミングで、2つの容器に収容された電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)を、各ノズルに供給する。このとき、各ノズルから液体粒子が霧状に噴射可能となる。
例えば、予め設定されたタイミングで、アルカリ性水を霧状に噴射させて畜舎の天井や側壁の表面の洗浄を行った後、次亜塩素酸水を霧状に噴射させて空間および畜舎の天井や側壁の表面の殺菌を行う。詳しくは、予め設定した時間だけ、アルカリ性水を霧状に噴射させて、畜舎の天井や側壁の表面の洗浄を行う。続いて、予め設定された時間だけ、次亜塩素酸水を霧状に噴射させて、空間に満ちた空気および畜舎の天井や側壁の表面の殺菌を行う。
このとき、噴射口の口径の異なるノズルを用いることで、ミスト噴霧及びドライミスト噴霧の切換が可能となる。ミスト噴霧もドライミスト噴霧も、電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)を霧状に微粒子化させて空気中に噴射させたものである。空気(大気)中に噴射された電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)は、霧状の微粒子となって浮遊し、畜舎内の空間に広がっていく。
この間、当該霧状に微粒子化された電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)によって、畜舎内の空間および畜舎の天井や側壁の表面のクリーニング(空気の浄化)が行われる。即ち、ミスト噴霧でもドライミスト噴霧でも、畜舎内の空間のクリーニング(空気の浄化)および畜舎の天井や側壁の表面のクリーニングを行うことができる。なお、ミスト噴霧では、霧状の微粒子が付着した対象物の表面が濡れる。一方、ドライミスト噴霧では、霧状の微粒子が付着した対象物の表面が濡れることはない。
なお、ここでは一例として、アルカリ性水を霧状に噴射させた後、次亜塩素酸水を霧状に噴射させる仕様について説明したが、これに限定されることはなく、畜舎内の空間に対するクリーニングでは、定常的に、次亜塩素酸水を霧状に噴射させるだけの仕様としてもよい。
「第2エリア4(農機具)の洗浄殺菌について」
図1~図2に示すように、第2エリア4において、洗浄殺菌装置は、取水機構から取り入れた次亜塩素酸水を収容可能な殺菌槽26と、取水機構から取り入れたアルカリ性水を用いた洗浄機構と、を備えて構成することができる。洗浄機構としては、アルカリ性水を農機具(例えば、スコップ27)に向けて噴射させて洗浄する第1タイプ、及び、アルカリ性水中に農機具を水没させて洗浄する第2タイプを適用することができる。
第1タイプの洗浄機構は、特に図示しないが、ノズル、容器、噴射制御装置、を備えて構成することができる。容器は、アルカリ性水を収容可能に構成されている。噴射制御装置は、容器内のアルカリ性水をノズルに供給し、当該ノズルから農機具に向けて噴射可能に構成されている。
第2タイプの洗浄機構は、アルカリ性水を収容可能な洗浄槽を備えて構成することができる。洗浄槽は、農機具の種類や大きさに対応した複数種類のものを用意することが好ましい。これにより、洗浄の際には、農機具全体を水没させることが可能な洗浄槽を選択することができる。洗浄槽のアルカリ性水は、1回の使用毎に新しいアルカリ性水と交換される。
殺菌槽26は、農機具の種類や大きさに対応した複数種類のものを用意することが好ましい。これにより、殺菌の際には、農機具全体を水没させることが可能な殺菌槽26を選択することができる。殺菌槽26の次亜塩素酸水は、常に新しい次亜塩素酸水(電解水)を注水し続ける状態、即ち、掛け流し状態か、1回の使用毎に新しい次亜塩素酸水と交換される。
ここで、農機具(スコップ27)の洗浄殺菌方法の一例について説明する。
第1プロセスとして、上記した洗浄機構によって農機具の表面から有機物を除去する。第1タイプの場合、アルカリ性水をノズルから農機具に向けて噴射させ、農機具の表面から有機物を除去する。第2タイプの場合、アルカリ性水が収容された洗浄槽を用意し、農機具全体をアルカリ性水中に水没させることで、農機具の表面から有機物を除去する。これらの場合において、例えば、ブラシを併用して有機物を除去してもよい。
第2プロセスとして、次亜塩素酸水が収容された殺菌槽26を用意し、有機物が除去された農機具全体を次亜塩素酸水中に水没させる。これにより、農機具が殺菌される。この場合、次亜塩素酸水を失活させる恐れのある有機物を第1プロセスにて除去することで、当該次亜塩素酸水による除菌をより徹底させることができる。水没させる時間としては、例えば、2秒程度で足りる。
「第3エリア5(重機)の洗浄殺菌について」
特に図示しないが、第3エリア5において、洗浄殺菌装置は、2つの容器と、市販の高圧洗浄機と、を備えて構成することができる。一方の容器には、取水機構から取り入れた次亜塩素酸水が収容されている。他方の容器には、取水機構から取り入れたアルカリ性水が収容されている。高圧洗浄機は、ユーザ(例えば、作業者)が設定したタイミングで、2つの容器に収容された電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)を、重機(例えば、トラクタ)に向けて高圧で噴射可能に構成されている。なお、高圧洗浄機に代えて、上記した畜舎クリーナ17を適用してもよい。また、電解水を収容する容器を1つとし、1つの容器に対して次亜塩素酸水(電解水)とアルカリ性水(電解水)を交互に入れ替えて収容させてもよい。
ここで、市販の高圧洗浄機を用いた洗浄殺菌方法の一例について説明する。
第1プロセスとして、高圧洗浄機からアルカリ性水を噴射させる。アルカリ性水によって重機の表面から有機物を除去する。この後、アルカリ性水の噴射を停止させる。
第2プロセスとして、高圧洗浄機から次亜塩素酸水を噴射させる。次亜塩素酸水によって重機の表面を除菌する。この場合、次亜塩素酸水を失活させる恐れのある有機物を第1プロセスにて除去することで、当該次亜塩素酸水による除菌をより徹底させることができる。この後、次亜塩素酸水の噴射を停止させる。
第3プロセスとして、高圧洗浄機からアルカリ性水を噴射させる。アルカリ性水を重機及びその周囲に散布する。このとき、次亜塩素酸水とアルカリ性水とが混じり合って互いに中和することで、中性の液体が形成される。また、最後にアルカリ性水を噴射させることで、高圧洗浄機の配管および重機の金属部分に対するサビの発生を防止することができる。また、重機の洗浄部分にアルカリ性水に腐食する材料(例えば、アルミニウムなど)が使われている場合、第3プロセスで噴射させる水として、アルカリ性水に代えて、例えば水道水や井戸水を適用してもよい。
第4プロセスとして、中性の液体を排水槽(タンク)に収容する。排水槽(タンク)内において、塩素濃度が失活していることを確認する。この後、中性の液体を排水槽(タンク)から排水する。これにより、周辺環境を汚染させることの無い洗浄殺菌方法が実現される。
なお、上記した洗浄殺菌方法において、必要に応じて、添加剤(リン酸塩、ケイ酸塩、或いは、両者の混合物)を10%以内の割合でアルカリ性水に添加する。これにより、重機の洗浄部分に対するサビの発生を、より確実に防止することができる。
ただし、当該重機の洗浄部分に、例えばアルミや銅などの酸腐食性材料が用いられている場合には、次亜塩素酸水の水質をpH5~pH6の範囲、及び、有効塩素濃度を20~60ppmに設定する。また、当該重機の洗浄部分に、例えばアルミなどのアルカリ腐食性材料が用いられている場合には、アルカリ性水の水質をpH9~pH10の範囲に設定する。この場合、第3プロセスにおいて、アルカリ性水の噴射に代えて、水道水(井戸水)を噴射させる。これにより、当該重機の洗浄部分の腐食を抑制することができる。
「第4エリア6の洗浄殺菌について」
図1~図2に示すように、第4エリア6には、電解水生成装置9などの電気機器が収容されている。電気機器は、水の浸入により劣化が促進する虞がある。このため、第4エリア6内のクリーニング(洗浄、殺菌)では、上記したドライミスト噴霧による洗浄殺菌方法を適用することが好ましい。なお、ドライミスト噴霧については、上記した第3エリア3の「空間クリーナ」と同様の思想に基づいて実現可能である。よって、その説明は省略する。
「第5エリア7(開放型畜舎)の洗浄殺菌について」
第5エリア7の洗浄殺菌装置としては、図1~図2に示された第1エリア3の畜舎クリーナ17、家畜クリーナ18、空間クリーナ(図示しない)を、そのまま利用することができる。よって、その説明は省略する。
「第6エリア8(密閉型畜舎)の気化式洗浄殺菌(空間殺菌)について」
図1~図4に示すように、第6エリア8において、洗浄殺菌装置は、気化フィルタ28と、ファン29と、制御モータ(図示しない)と、を備えている。気化フィルタ28は、電解水を吸収しつつ気化させることが可能に構成されている。ファン29は、気化フィルタ28を通る空気の流れ30を生じさせることが可能に構成されている。制御モータは、ファン29の回転状態(例えば、回転数、回転速度)を制御可能に構成されている。
図面では一例として、気化フィルタ28の表面側にファン29を配置させた構成が示されているが、これに代えて、気化フィルタ28の背面側にファン29を配置させて構成してもよい。いずれの配置構成でも、ファン29を回転させることで、気化フィルタ28を通る空気の流れ30を生じさせることができる。
この場合、ファン29の回転数(回転速度)を上げることで、気化フィルタ28を通る空気の流れ30を速くすることができる。逆に、ファン29の回転数(回転速度)を下げることで、気化フィルタ28を通る空気の流れ30を遅くすることができる。
気化フィルタ28は、ハニカム構造を有して構成されている。ハニカム構造は、芯材28aを蜂の巣状ないし正六角形状(即ち、多角形状)に組み上げて形成されている。換言すると、気化フィルタ28は、芯材28aの相互間に蜂の巣状ないし正六角形状(即ち、多角形状)の空隙28bが隙間なく組み合わされて構成されている。これにより、気化効率を向上させることができる。
この場合、気化フィルタ28の芯材28aは、例えば、塩化ビニル、ポリオレフィン系樹脂、フッ素樹脂、セラミックなどの無機材料からなる単一材で形成したり、或いは、それら単一剤を複数組み合わせて一体化させた複合材で形成したりすることが好ましい。
単一材を組み合わせた複合材の場合、気化フィルタ28は、次のような構造とすることが好ましい。かかる構造によれば、電解水の気化を効率良く行うことができる。例えば、最上段部は、吸収性の低いハニカム構造とする。まず、最上段部において、電解水を受ける面全体に電解水を行き渡らせる。その状態で、ハニカム構造の下方向に電解水を浸透させて行く。これにより、ハニカム構造の全体に亘って電解水を均一に行き渡らせる。
これにより、気化フィルタ28に吸収された電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)が早期に失活するのを防止することができる。なお、電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)は、取水機構から取り入れられている。
気化フィルタ28に電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)を吸収させる方法として、例えば、気化フィルタ28の一部を電解水に浸漬させる方法、或いは、気化フィルタ28に向けて電解水を滴下させる方法、を想定することができる。なお、滴下方法によれば、洗浄殺菌を行っている際にのみ、電解水を滴下させるようにすることで、電解水の無駄遣いを防止することができる。
ここで、密閉型畜舎の洗浄殺菌方法としては、次のような2つの気化式洗浄殺菌方法が想定される。第1の方法としては、アルカリ性水(電解水)を気化させて、当該密閉エリアの空間全体および畜舎の天井や側壁の表面の洗浄を行った後、次亜塩素酸水(電解水)を気化させて、当該密閉エリアの空間全体および畜舎の天井や側壁の表面の殺菌を行う。第2の方法としては、アルカリ性水による空間洗浄を省略し、次亜塩素酸水(電解水)を気化させて、当該密閉エリアの空間全体および畜舎の天井や側壁の表面の殺菌を行う。この場合、第1の方法において、洗浄用の気化フィルタ28と、殺菌用の気化フィルタ28を用意することが好ましい。
いずれの気化式洗浄殺菌方法によっても、まず、気化フィルタ28に電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)を吸収させる。気化フィルタ28から気化物質(アルカリ性気化物質、次亜塩素酸気化物質)を発生させる。気化物質(アルカリ性気化物質、次亜塩素酸気化物質)は、肉眼で認識できない気体状態であり、空気(大気)中に自由に浮遊する特性を有している。
このとき、ファン29によって気化フィルタ28を通る空気の流れ30を生じさせる。これにより、気化物質(アルカリ性気化物質、次亜塩素酸気化物質)を、空気の流れ30に沿って密閉型畜舎(密閉エリア)の空間全体に亘って分散させることができる。この結果、密閉型畜舎(密閉エリア)の空間全体の洗浄及び殺菌を行うことができる。
この場合、上記した気化式洗浄殺菌方法によれば、気化フィルタ28を加熱させること無く、電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)を気化させることができる。即ち、気化物質(アルカリ性気化物質、次亜塩素酸気化物質)を発生させることができる。このため、密閉型畜舎(密閉エリア)の室温が上昇することは無い。これにより、分娩環境を常に一定に維持することが可能となる。
なお、図5には、気化式洗浄殺菌処理によって空間殺菌を行った際の除菌効果検証結果が示されている。当該処理を行わなかった場合(図中左側の写真参照)に比べて、当該処理を行った場合(図中右側の写真参照)には、密閉型畜舎(密閉エリア)内の浮遊菌が激減していることが分かる。
「畜産用洗浄殺菌ゲート32(ゲート式洗浄殺菌装置)について」
図1~図2、図6~図8に示すように、畜産用洗浄殺菌システムには、衛生管理レベルの高いエリアに入構する際に、その入構者(人)31が通る洗浄殺菌ゲート32が設けられている。図面には一例として、衛生管理エリア2及び第1エリア3、第4~第6エリア6~8に併設された洗浄殺菌ゲート32が示されている。各々の洗浄殺菌ゲート32は、当該エリア2,3,6~8に入構する直前に、入構対象(例えば、人の手指33、人が装着している靴(長靴)34)を洗浄及び殺菌することが可能に構成されている。なお、一旦入構した後に、再びエリア外に出る場合には、必ずしも洗浄殺菌ゲート32を通る必要はない。
洗浄殺菌ゲート32は、ゲート本体35(図6参照)と、洗浄殺菌ユニットと、制御装置(図示しない)と、を備えている。なお、制御装置は、ゲート本体35、及び、洗浄殺菌ユニットに関係する動作を制御可能に構成されている。例えば、ドアの開閉、洗浄殺菌用の電解水の吐出及びその停止などの各種動作が制御される。
「ゲート本体35について」
ゲート本体35は、例えば、箱形の建造物として構成されている。ゲート本体35は、その内部が外界から密閉された環境に維持されている。ゲート本体35は、入口ドア36及び出口ドア37を有している。ゲート本体35は、入口ドア36から出口ドア37を通って、入構者(人)31が通り抜け可能に構成されている。入口ドア36及び出口ドア37は、入構者(人)31が通り抜けする際に、制御装置によって自動的に開閉制御されている。
制御装置は、人感センサ(図示しない)に接続されている。人感センサは、ゲート本体35の出入口に配置されている。例えば、入口ドア36の正面に入構者(人)31が接近すると、人感センサから制御装置に検知信号が出力される。制御装置は、検知信号に基づいて、入口ドア36を開動作させる。入構者(人)31が入口ドア36を通過すると、入口ドア36の正面には、入構者(人)31が存在しなくなる。このとき、人感センサから制御装置に検知信号が出力される。制御装置は、検知信号に基づいて、入口ドア36を閉動作させる。これにより、入構者(人)31は、入口ドア36に触れること無く、ゲート本体35内に入構することができる。
この後、ゲート本体35内において、入構者(人)31が出口ドア37に接近すると、人感センサから制御装置に検知信号が出力される。制御装置は、検知信号に基づいて、出口ドア37を開動作させる。入構者(人)31が出口ドア37を通過すると、出口ドア37の正面には、入構者(人)31が存在しなくなる。このとき、人感センサから制御装置に検知信号が出力される。制御装置は、検知信号に基づいて、出口ドア37を閉動作させる。これにより、入構者(人)31は、出口ドア37に触れること無く、エリア内に入構することができる。
「洗浄殺菌ユニットについて」
洗浄殺菌ユニットは、ゲート本体35の内部に設けられている。洗浄殺菌ユニットは、入構対象(例えば、人の手指33、人が装着している靴(長靴)34)を洗浄及び殺菌することが可能に構成されている。洗浄殺菌ユニットは、洗浄及び殺菌するための電解水を自動的に供給可能に構成されている。洗浄殺菌ユニットにおいて、供給された電解水によって、靴の洗浄及び殺菌を行った後、続いて、手指の洗浄及び殺菌を行うことが可能である。洗浄殺菌ユニットは、使用済の電解水を自動的に排水可能に構成されている。
図6~図8には、かかる構成を有する洗浄殺菌ユニットの一例が示されている。
洗浄殺菌ユニットは、手指クリーナ38と、靴クリーナ39と、を備えている。手指クリーナ38及び靴クリーナ39は、ゲート本体35の内部(床面35s)に配置されている。靴クリーナ39は、入口ドア36寄りに位置付けられている。手指クリーナ38は、出口ドア37寄りに位置付けられている。
「手指クリーナ38について」
図7に示すように、手指クリーナ38は、自動水栓装置(即ち、2つの自動水栓40,41)と、流し台42と、を備えている。自動水栓40,41及び流し台42は、高さ調整機構43によって支持されている。高さ調整機構43を操作することで、入構者(人)31の平均的な背丈に対応して、自動水栓40,41及び流し台42を、床面35sから最適な高さに位置付けることができる。流し台42には、使用済みの電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)を排水させる排水孔44が設けられている。なお、図面では、入構者(人)31の左側に自動水栓41を、右側に自動水栓40を並べているが、これとは逆の並べ方でもよい。即ち、入構者(人)31の左側に自動水栓40を、右側に自動水栓41を並べる。
一方の(洗浄用)自動水栓40は、取水機構から取り入れたアルカリ性水を自動的に吐出可能に構成されている。即ち、当該自動水栓40は、入構者(人)31の手指33を検知すると、自動的にアルカリ性水を吐出する。当該自動水栓40は、予め設定された時間が経過したときに、その吐出を停止する。これにより、入構者(人)31は、当該自動水栓40に触れること無く、手指33を洗浄することができる。
他方の(殺菌用)自動水栓41は、取水機構から取り入れた次亜塩素酸水を自動的に吐出可能に構成されている。即ち、当該自動水栓41は、入構者(人)31の手指33を検知すると、自動的に次亜塩素酸水を吐出する。当該自動水栓41は、予め設定された時間が経過したときに、その吐出を停止する。これにより、入構者(人)31は、当該自動水栓41に触れること無く、手指33を殺菌することができる。
ここで、手指クリーナ38の洗浄殺菌方法の一例について説明する。
第1プロセスとして、一方の自動水栓40からアルカリ性水を吐出して、入構者(人)31の手指33の表面から有機物を除去する。必要に応じて、手指33の表面をブラシで擦りながら、アルカリ性水を吐出させてもよい。この後、アルカリ性水の吐出を停止させる。
第2プロセスとして、他方の自動水栓41から次亜塩素酸水を吐出して、入構者(人)31の手指33を殺菌する。この後、次亜塩素酸水の噴射を停止させる。この場合、次亜塩素酸水を失活させる恐れのある有機物を第1プロセスにて除去することで、当該次亜塩素酸水による除菌をより徹底させることができる。
第3プロセスとして、流し台42の排水孔44から排水されたアルカリ性水及び次亜塩素酸水を、排水槽(図示しない)に収容する。排水槽において、アルカリ性水と次亜塩素酸水とが混じり合うことで、中性の廃液が形成される。排水槽内において、塩素濃度が失活していることを確認する。この後、廃液を排水槽から排水する。これにより、周辺環境を汚染させることの無い手指洗浄殺菌方法が実現される。
上記した洗浄殺菌方法において、アルカリ性水の吐出時間を10~30秒の範囲に設定する。このとき、アルカリ性水の水質をpH9~pH13の範囲に設定する。また、次亜塩素酸水の吐出時間を10~30秒の範囲に設定する。このとき、次亜塩素酸水の水質をpH3~pH6の範囲、及び、有効塩素濃度を20~60ppmに設定する。更に、アルカリ性水及び次亜塩素酸水の吐出水量は、1.0~4.0L/minの範囲に設定する。このとき、アルカリ性水の吐出水量を次亜塩素酸水の吐出水量よりも多く設定する。これにより、殺菌処理前に、入構者(人)31の手指33から有機物が、より確実に除去されるようにする。
更に、上記した洗浄殺菌方法において、次亜塩素酸水を吐出する自動水栓41のうち、電解水に接する部分は、電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)との反応性が低く、かつ、電解水による腐食の恐れが低い材料、例えば、ステンレス、チタン、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂などで構成することが好ましい。これにより、サビの発生を抑制することができる。加えて、自動水栓40,41の形態として、吐出口はシャワータイプとしてもよい。
上記した洗浄殺菌方法によれば、入構者(人)31の手指33を効率よく確実にクリーニング(洗浄、殺菌)することができる。この場合、かかるクリーニング(洗浄、殺菌)に際し、2つの自動水栓40,41に、入構者(人)31の手指33が触れることは無い。これにより、例えば、細菌の相互感染を防止することができる。
「靴クリーナ39について」
図8に示すように、靴クリーナ39は、靴洗浄装置45と、靴殺菌装置46と、を備えている。靴洗浄装置45及び靴殺菌装置46は、1つの防水トレイ47の中に載置されている。防水トレイ47は、ゲート本体35の床面35sに載置されている。靴洗浄装置45で使用した洗浄液や、靴殺菌装置46で使用した殺菌液は、防水トレイ47によって、その流動範囲が規制されている。よって、洗浄液や殺菌液がゲート本体35から外部に流出することは無い。
更に、防水トレイ47には、排水口(図示しない)が形成されている。排水口は、排水管(図示しない)を介して排水槽(図示しない)に接続されている。これにより、洗浄液や殺菌液は、全て排水槽に収容される。この結果、洗浄液や殺菌液が、周辺環境に影響を与えることは無い。
ここで、靴洗浄装置45は、洗浄部49と、操作部50と、を有している。
洗浄部49は、複数の下面ブラシ52aと、複数の側面ブラシ52bと、一対の洗浄プレート53と、複数のノズル54と、を備えている。
一対の洗浄プレート53は、互いに対向して配置されている。一対の洗浄プレート53は、互いに同一の形状及び大きさを有して構成されている。一対の洗浄プレート53の間隔寸法は、その相互間に、入溝者(人)31の靴(長靴)34を挿入可能な大きさに設定されている。
下面ブラシ52aは、一対の洗浄プレート53の下方側に配置されている。下面ブラシ52aは、一対の洗浄プレート53の相互間に向けて延びている。下面ブラシ52aは、靴(長靴)34の裏面(靴底)34aをクリーニング可能に構成されている。下面ブラシ52aに靴(長靴)34の裏面(靴底)34aを擦り付けることで、裏面(靴底)34aの内部に入り込んだ有機物を掻き出すことができる。これにより、当該裏面(靴底)34aの全体を、満遍無くクリーニングすることができる。
側面ブラシ52bは、一対の洗浄プレート53の対向面にそれぞれ配置されている。側面ブラシ52bは、互いに対向しつつ、かつ、接近するように延びている。側面ブラシ52bは、靴(長靴)34の表面34bをクリーニング可能に構成されている。側面ブラシ52bに靴(長靴)34の表面34bを擦り付けることで、表面34bに付着した有機物を払い落とすことができる。これにより、当該表面34bの全体を、満遍無くクリーニングすることができる。
ノズル54は、一対の洗浄プレート53の対向面にそれぞれ配置されている。ノズル54は、取水機構から取り入れたアルカリ性水(電解水)を、靴(長靴)34の裏面(靴底)34a及び表面34bに向けて噴射可能に構成されている。アルカリ性水(電解水)を噴射することで、靴(長靴)34の裏面(靴底)34a及び表面34bから有機物を漏れなく除去することができる。これにより、当該靴(長靴)34の全体を、満遍無くクリーニングすることができる。
操作部50は、シャフト55の上端寄りに設けられている。シャフト55は、洗浄部49を経由して立ち上げられている。この場合、シャフト55の長さを調節することで、入構者(人)31の平均的な背丈に対応して、操作部50を、床面35sから最適な高さに位置付けることができる。操作部50には、洗浄部49の動作を制御するONボタン56及びOFFボタン57と、後述する靴殺菌装置46の動作を制御する制御ボタン58と、が設けられている。
この場合、ONボタン56を操作することで、洗浄プレート53のノズル54からアルカリ性水(電解水)を噴射させることができる。OFFボタン57を操作することで、アルカリ性水(電解水)の噴射を停止させることができる。
また、靴殺菌装置46は、浸漬槽59と、自動注水排水装置と、を有している。自動注水排水装置は、電解水を自動的に浸漬槽59に注水すると共に、使用済みの電解水を浸漬槽59から自動的に排水する。自動注水排水装置は、注水ノズル60と、排水機構61と、を有している。
浸漬槽59は、次亜塩素酸水(電解水)を収容可能に構成されている。浸漬槽59は、入構者(人)31が靴(長靴)34を履いた状態で、当該靴(長靴)34を、次亜塩素酸水(電解水)の中に差し入れることが可能に構成されている。浸漬槽59の次亜塩素酸水(電解水)は、上記した制御ボタン58を操作することで、1回の使用毎に新しい次亜塩素酸水(電解水)と交換させることができる。
図8~図9に示すように、注水ノズル60は、制御ボタン58の操作に同期して、取水機構から取り入れた次亜塩素酸水(電解水)を浸漬槽59に注水可能に構成されている。排水機構61は、浸漬槽59に形成された排水口62と、排水口62から連続した排水管63と、排水口62を開閉可能な弁体64と、を備えて構成されている。弁体64は、制御ボタン58の操作に同期して、排水口62を塞ぐ位置(図9(a)参照)と、排水口62から回避した位置(図9(b)参照)とに移動可能に構成されている。
ここで、靴クリーナ39の洗浄殺菌方法の一例について説明する。
第1プロセスとして、ONボタン56を操作し、一対の洗浄プレート53のノズル54からアルカリ性水(電解水)を噴射させる。このとき、入構者(人)31が、片足ずつ、洗浄プレート53の相互間に靴(長靴)34を挿入する。そして、裏面(靴底)34aを下面ブラシ52aに擦り付ける。同時に、表面34bを側面ブラシ52bに擦り付ける。これにより、当該靴(長靴)34の表裏面から有機物を除去する。この後、OFFボタン57を操作することで、アルカリ性水(電解水)の噴射を停止させる。
第2プロセスとして、入構者(人)31が、浸漬槽59に収容された次亜塩素酸水(電解水)中に、両足の靴(長靴)34を浸漬させる。これにより、当該靴(長靴)34の表裏面を殺菌する。この場合、次亜塩素酸水を失活させる恐れのある有機物を第1プロセスにて除去することで、当該次亜塩素酸水による除菌をより徹底させることができる。
第3プロセスとして、入構者(人)31が、浸漬槽59から両足の靴(長靴)34を引き抜いた後、制御ボタン58を操作する。弁体64が排水口62から回避した位置(図9(b)参照)に移動する。これにより、使用済みの次亜塩素酸水(電解水)が、排水口62から排水管63に排出される。
第4プロセスとして、使用済みの次亜塩素酸水(電解水)が浸漬槽59から排水されたのを確認した後、入構者(人)31が制御ボタン58を操作する。弁体64が排水口62を塞ぐ位置(図9(a)参照)に移動する。同時に、注水ノズル60から浸漬槽59に、新しい次亜塩素酸水(電解水)が注水される。
第5プロセスとして、使用済みのアルカリ性水(電解水)及び次亜塩素酸水(電解水)を排水槽(図示しない)に収容する。排水槽において、アルカリ性水と次亜塩素酸水とが混じり合うことで、中性の廃液が形成される。排水槽内において、塩素濃度が失活していることを確認する。この後、廃液を排水槽から排水する。これにより、周辺環境を汚染させることの無い靴(長靴)洗浄殺菌方法が実現される。
上記した洗浄殺菌方法において、アルカリ性水(電解水)を噴射時間は、ONボタン56とOFFボタン57の切換タイミングを調整することで、靴(長靴)34の汚れ具合に応じて、長くしたり短くしたりする。このとき、アルカリ性水の水質をpH9~pH13の範囲に設定する。アルカリ性水の噴射水量は、3.0~6.0L/minの範囲に設定する。また、両足の靴(長靴)34を次亜塩素酸水(電解水)に浸漬させる時間は、5秒とする。このとき、次亜塩素酸水の水質をpH3~pH6の範囲、及び、有効塩素濃度を20~60ppmに設定する。次亜塩素酸水の水使用量は、1~10L/回の範囲に設定する。
なお、上記した排水機構61は、弁体64で排水口62を開閉させる構成であるが、かかる構成に代えて、例えば図10に示すように、排水管に差し込んだパイプ65を上下動させることで、浸漬槽59に対する次亜塩素酸水(電解水)の注水と排水を制御してもよい。パイプ65は、中空構造を有している。パイプ65は、排水管(図示しない)に連続している。
浸漬槽59からパイプ65を突出させた状態で、浸漬槽59に次亜塩素酸水(電解水)を注水すると、パイプ65の先端を越えた水量は、当該パイプ65の内部を通って排水される。このため、パイプ65の突出量を調整することで、浸漬槽59の任意の位置まで次亜塩素酸水(電解水)を注水することが可能となる(図10(a),(b)参照)。
これにより、常に新しい次亜塩素酸水(電解水)を注水し続ける状態、即ち、掛け流し状態で、浸漬槽59に次亜塩素酸水(電解水)を収容させることができる。そして、パイプ65を浸漬槽59の底面59s(図10(c)参照)まで引っ込めることで、浸漬槽59から全ての次亜塩素酸水(電解水)を排水することができる。
なお、図11には、次亜塩素酸水(電解水)によって靴(長靴)34の殺菌を行った際の殺菌効果検証結果(テスト結果)が示されている。通常洗浄でもテスト前のものに比べてある程度の殺菌効果が得られたものの、当該処理(酸性水洗浄)を行った場合には、殺菌効果が劇的に向上していることが分かる。
「車両洗浄殺菌区画について」
図1~図2、図12に示すように、畜産用洗浄殺菌システムには、衛生管理エリア2に入構する直前に、入構車両67を洗浄及び殺菌するための車両洗浄殺菌区画66が設けられている。図面には一例として、衛生管理エリア2に併設された車両洗浄殺菌区画66が示されている。なお、一旦入構した後に、再びエリア外に出る場合には、必ずしも車両洗浄殺菌区画66を通る必要はない。
車両洗浄殺菌区画66には、噴射装置68と、複数の浸漬槽69が設けられている。
噴射装置68は、ノズル70と、第1及び第2容器71,72と、噴射制御ユニット(図示しない)と、を備えている。噴射装置68は、人力により車両洗浄殺菌区画66内を移動させることが可能に構成されている。第1容器71は、取水機構から取り入れた次亜塩素酸水(電解水)を収容可能に構成されている。第2容器72は、取水機構から取り入れたアルカリ性水(電解水)を収容可能に構成されている。噴射制御ユニットは、第1容器71の次亜塩素酸水(電解水)をノズル70に供給可能に構成されている。噴射制御ユニットは、第2容器72のアルカリ性水(電解水)をノズル70に供給可能に構成されている。ノズル70は、供給された電解水(次亜塩素酸水、アル力リ性水)を、入構車両67の車体67a及び複数の車輪67bに向けて噴射可能に構成されている。
かかる構成において、噴射制御ユニットは、ユーザ(例えば、作業員)の指令に基づいて、第1容器71からノズル70に次亜塩素酸水(電解水)を供給するタイミング、並びに、第2容器72からノズル70にアルカリ性水(電解水)を供給するタイミングを制御することができる。更に、噴射制御ユニットは、ユーザ(例えば、作業員)の指令に基づいて、ノズル70から噴射させる電解水(次亜塩素酸水、アルカリ性水)の噴射圧力、並びに、噴射水量を制御することができる。
複数の浸漬槽69は、それぞれ、車輪67bを浸漬させる電解水(次亜塩素酸水)を貯水可能に構成されている。浸漬槽69の幅は、少なくとも車輪67bの幅よりも広く設定されている。浸漬槽69の長さは、少なくとも車輪67bが1回転分進む距離よりも長く設定されている。浸漬槽69は、車輪67bの数及び位置に対応して設けられている。浸漬槽69は、全ての車輪67bを同時に電解水(次亜塩素酸水)に浸漬可能に構成されている。浸漬槽69の電解水(次亜塩素酸水)は、1回の使用(車両1台の使用)毎に新しい電解水(次亜塩素酸水)と交換される。
ここで、車両洗浄殺菌区画66の洗浄殺菌方法の一例について説明する。
「噴射装置68と、複数の浸漬槽69を用いた洗浄殺菌方法」
第1プロセスとして、ノズル70からアルカリ性水を噴射させる。アルカリ性水によって対象物(車体67a、車輪67b)の表面から有機物を除去する。この後、アルカリ性水の噴射を停止させる。
第2プロセスとして、次亜塩素酸水で満たされた浸漬槽69に沿って車輪67bを通過させる。次亜塩素酸水によって車輪67bの表面を除菌する。この場合、次亜塩素酸水を失活させる恐れのある有機物を第1プロセスにて除去することで、当該次亜塩素酸水による除菌をより徹底させることができる。
第3プロセスとして、ノズル70からアルカリ性水を噴射させる。アルカリ性水を対象物(車体67a、車輪67b)及びその周囲に散布する。このとき、次亜塩素酸水とアルカリ性水とが混じり合うことで、中性の液体が形成される。また、最後にアルカリ性水を噴射させることで、対象物(車体67a、車輪67b)に対するサビの発生を防止することができる。
第4プロセスとして、中性の液体を排水槽(タンク)に収容する。排水槽(タンク)内において、塩素濃度が失活していることを確認する。この後、中性の液体を排水槽(タンク)から排水する。これにより、周辺環境を汚染させることの無い車両洗浄殺菌方法が実現される。
上記した洗浄殺菌方法において、アルカリ性水の噴射圧力は、2.0~10.0MPaの範囲に設定する。更に、アルカリ性水の噴射水量は、1.0~6.0L/minの範囲に設定する。この場合、アルカリ性水の水質をpH9~pH13の範囲に設定すると共に、次亜塩素酸水の水質をpH3~pH6の範囲、及び、有効塩素濃度を20~60ppmに設定する。
ただし、アルミや銅などの酸腐食性材料を洗浄範囲に含む車両に関しては、次亜塩素酸水の水質をpH5~pH6の範囲、及び、有効塩素濃度を20~60ppmに設定する。また、アルミなどのアルカリ腐食性材料を洗浄範囲に含む車両に関しては、アルカリ性水の水質をpH9~pH10の範囲に設定する。この場合、第3プロセスにおいて、アルカリ性水の噴射に代えて、水道水(井戸水)を噴射させる。
「噴射装置68のみを用いた洗浄殺菌方法」
第1プロセスとして、ノズル70からアルカリ性水を噴射させる。アルカリ性水によって対象物(車体67a、車輪67b)の表面から有機物を除去する。この後、アルカリ性水の噴射を停止させる。
第2プロセスとして、ノズル70から次亜塩素酸水を噴射させる。次亜塩素酸水によって対象物(車体67a、車輪67b)の表面を除菌する。この後、次亜塩素酸水の噴射を停止させる。
第3プロセスとして、ノズル70からアルカリ性水を噴射させる。アルカリ性水を対象物(車体67a、車輪67b)及びその周囲に散布する。このとき、次亜塩素酸水とアルカリ性水とが混じり合うことで、中性の液体が形成される。また、最後にアルカリ性水を噴射させることで、対象物(車体67a、車輪67b)に対するサビの発生を防止することができる。
第4プロセスとして、中性の液体を排水槽(タンク)に収容する。排水槽(タンク)内において、塩素濃度が失活していることを確認する。この後、中性の液体を排水槽(タンク)から排水する。これにより、周辺環境を汚染させることの無い車両洗浄殺菌方法が実現される。
上記した洗浄殺菌方法において、アルカリ性水及び次亜塩素酸水の噴射圧力は、2.0~10.0MPaの範囲に設定する。このとき、アルカリ性水の噴射圧力を次亜塩素酸水の噴射圧力よりも高く設定する。更に、アルカリ性水及び次亜塩素酸水の噴射水量は、1.0~6.0L/minの範囲に設定する。このとき、アルカリ性水の噴射水量を次亜塩素酸水の噴射水量よりも多く設定する。次亜塩素酸水の噴射水量は、対象物(車体67a、車輪67b)全体を漏れなく除菌できるに充分な値に設定する。
更に、アルカリ性水の水質をpH9~pH13の範囲に設定すると共に、次亜塩素酸水の水質をpH3~pH6の範囲、及び、有効塩素濃度を20~60ppmに設定する。この場合、必要に応じて、添加剤(リン酸塩、ケイ酸塩、或いは、両者の混合物)を10%以内の割合でアルカリ性水に添加する。これにより、対象物(車体67a、車輪67b)に対するサビの発生を、より確実に防止することができる。
ただし、車両の洗浄部分に、例えばアルミや銅などの酸腐食性材料が用いられている場合には、次亜塩素酸水の水質をpH5~pH6の範囲、及び、有効塩素濃度を20~60ppmに設定する。また、車両の洗浄部分に、例えばアルミなどのアルカリ腐食性材料が用いられている場合には、アルカリ性水の水質をpH9~pH10の範囲に設定する。この場合、第3プロセスにおいて、アルカリ性水の噴射に代えて、水道水(井戸水)を噴射させる。これにより、車両の洗浄部分の腐食を抑制することができる。
「一実施形態の効果」
一実施形態によれば、1つの畜産場区域1内に衛生管理レベルの異なる複数のエリア2~8が混在している環境において、各々の衛生管理レベルの程度に応じた洗浄及び殺菌を行うことが可能な畜産用洗浄殺菌システムを実現することができる。
また、一実施形態によれば、3室型の電解水生成装置9を用いた場合、生成される次亜塩素酸水(電解水)とアルカリ性水(電解水)は、ほぼ同量となる。一実施形態の畜産用洗浄殺菌システムによれば、エリア毎の酸性水とアルカリ水の使用量が同量でなくても、畜産場区域1全体としてほぼ同量の酸性水とアルカリ水が使用される。このため、畜産場区域1内の排水を行う際に、結果的に中性の液体が排水槽(タンク)に収容される。これにより、周辺環境を汚染させることの無い洗浄殺菌システムが実現される。
1…畜産場区域、2…衛生管理エリア、3~8…第1~第6エリア、
9…電解水生成装置、15…第1供給ライン、16…第2供給ライン。
9…電解水生成装置、15…第1供給ライン、16…第2供給ライン。
Claims (21)
- 衛生管理施設の複数のエリア内において、複数の対象物の洗浄及び殺菌を行う洗浄殺菌システムにおいて、
酸性水とアルカリ性水を製造する電解水製造装置と、
前記電解水製造装置によって製造された前記酸性水を貯水する酸性水タンク、前記電解水製造装置によって製造された前記アルカリ性水を貯水するアルカリ性水タンク、前記酸性水タンクから前記酸性水を供給する酸性水パイプ、前記アルカリ性水タンクから前記アルカリ性水を供給するアルカリ性水パイプを有する電解水供給装置と、
前記酸性水パイプから供給された酸性水により、複数の前記エリアの中の第1エリア内の第1対象物を殺菌する殺菌装置と、
前記アルカリ性水パイプから供給された前記アルカリ性水により、複数の前記エリアの中の第2エリア内の第2対象物を洗浄し、前記酸性水パイプから供給された前記酸性水で前記第2対象物を殺菌する洗浄殺菌装置と、
洗浄又は殺菌に使用した前記酸性水と前記アルカリ性水を合流させて中和させた後、外部に排水する排水装置と、を備えた洗浄殺菌システム。 - 前記殺菌装置は、
前記酸性水パイプから供給された前記酸性水を気化する気化手段と、
前記気化手段により気化された気化物質を、前記第1エリアに循環させる循環手段と、を備え、
前記気化物質により、前記第1エリア内の前記第1対象物を殺菌する請求項1に記載の洗浄殺菌システム。 - 前記殺菌装置において殺菌に用いられた酸性水の量又は気化され酸性水の量と、前記洗浄殺菌装置において洗浄に用いられたアルカリ性水の量及び殺菌に用いられた酸性水の量を制御することにより、前記排水装置に合流された前記酸性水とアルカリ性水が中和される請求項1に記載の洗浄殺菌システム。
- 前記第1エリアは、外界に対して密閉された密閉エリアであり、
前記密閉エリア内において、前記気化物質を循環させて、前記密閉エリアの空間殺菌を行う請求項2に記載の洗浄殺菌システム。 - 前記第2エリアは、外界に対して開放された開放エリアであり、
前記開放エリア内において、前記アルカリ性水で前記第2対象物を洗浄した後、前記酸性水で前記第2対象物を殺菌する請求項2記載の洗浄殺菌システム。 - 前記第2対象物は、作業者の手指であり、
前記洗浄殺菌装置による洗浄殺菌は、前記衛生管理施設に入構する際、及び、高レベルの管理区域に入構する際に行われ、
前記アルカリ性水の使用水量を前記酸性水の使用水量より多くし、前記酸性水による殺菌前に、前記アルカリ性水により有機物を除去する請求項1に記載の洗浄殺菌システム。 - 前記アルカリ性水の水質は、pH9~pH13であり、前記アルカリ性水による洗浄を流量1~4L/minの流水で10秒~30秒行う請求項6に記載の洗浄殺菌システム。
- 前記酸性水の水質は、pH3~pH6であり、有効塩素濃度は、20~60ppmであり、前記酸性水による殺菌を流量1~4L/minの流水で10秒~30秒行う請求項6記載の洗浄殺菌システム。
- 前記酸性水の配水系のうち、水に接する部分は、ステンレス、チタン材質もしくは耐次亜塩素酸水の樹脂材で構成されている請求項6に記載の洗浄殺菌システム。
- 前記第2対象物は、作業者の靴であり、
前記洗浄殺菌装置による洗浄殺菌は、前記衛生管理施設の入構する際、及び、高レベルの管理区域に入構する際に行われ、
流量3~6L/minの前記アルカリ性水で前記靴の洗浄を行った後、酸性水浸漬槽において前記靴の殺菌が行われる際に、1回の洗浄殺菌毎に、前記酸性水を5~10L単位で入れ替える請求項1に記載の洗浄殺菌システム。 - 前記酸性水の水質は、pH3~pH6であり、有効塩素濃度は、20~60ppmであり、前記アルカリ性水の水質は、pH9~pH13である請求項10に記載の洗浄殺菌システム。
- 前記第2対象物は、車両であり、
前記洗浄殺菌装置は、前記車両の車輪1回転分で進む距離よりも長く、かつ、前記酸性水を保持する浸漬槽を有し、
1回の洗浄殺菌毎に、前記浸漬槽内の前記酸性水を入れ替える請求項1に記載の洗浄殺菌システム。 - 前記洗浄殺菌装置において、洗浄圧が2.0~10.0MPaで、かつ、吐出流量が1.0~6.0L/minで前記アルカリ性水による洗浄を行った後、前記浸漬槽を通過することで殺菌を行いと共に、更に、洗浄圧が2.0~10.0MPaで、かつ、吐出流量が1.0~6.0L/minで前記アルカリ性水による洗浄を行う請求項12に記載の洗浄殺菌システム。
- 酸腐食性の材料を含む車両に関して、前記酸性水の水質は、pH5~pH6であり、有効塩素濃度は、20~60ppmであり、
アルカリ腐食性の材料を含む車両に関して、前記アルカリ性水の水質は、pH8~pH10である請求項13記載の洗浄殺菌システム。 - 前記第2対象物は、家畜であり、
前記家畜の洗浄に際し、前記アルカリ性水の水質は、pH9~pH13であり、洗浄圧は、0.2~3.0MPaであり、
前記家畜の殺菌に際し、前記酸性水の水質は、pH3~pH6であり、有効塩素濃度は、20~60ppmであり、洗浄圧は、0.2~3.0MPaであり、
前記アルカリ性水の水圧は、前記酸性水の水圧以上である請求項1に記載の洗浄殺菌システム。 - 前記アルカリ性水及び前記酸性水の吐出流量は、1.0~3.0L/minであり、使用水量は、前記酸性水より前記アルカリ性水が多い請求項15に記載の洗浄殺菌システム。
- 前記洗浄殺菌装置は、前記酸性水及びアルカリ性水のための吐出ノズルを有する共用の洗浄機を有し、
前記酸性水による殺菌終了後に、前記洗浄機に再度前記アルカリ性水を流水させることで洗浄機の配管をアルカリ性水に置換してから保管する請求項16に記載の洗浄殺菌システム。 - 前記第2対象物は、畜舎であり、
有機物除去のための前記アルカリ性水による畜舎洗浄を行い、前記酸性水により畜舎殺菌を行い、更に、中和処理のための前記アルカリ性水による洗浄を行う請求項1に記載の洗浄殺菌システム。 - 前記酸性水の水質は、pH3~pH6であり、有効塩素濃度は、30~60ppmであり、
前記アルカリ性水の水質は、pH9~pH13であり、洗浄圧は、2.0~10.0MPaであり、前記アルカリ性水の水圧は、前記酸性水の水圧以上である請求項18に記載の洗浄殺菌システム。 - 前記アルカリ性水及び前記酸性水の吐出流量は、1.0~6.0L/minであり、前記アルカリ性水は、前記酸性水より多くの水量で洗浄する請求項19に記載の洗浄殺菌システム。
- 衛生管理施設の複数エリア内において、複数の対象物の洗浄と殺菌を行う洗浄殺菌方法において、
酸性水とアルカリ性水を製造し、
製造された前記酸性水と前記アルカリ性水をそれぞれ貯水し、
貯水された前記酸性水と前記アルカリ性水をそれぞれ供給し、
供給された酸性水により、前記衛生管理施設内の第1エリア内の第1対象物を殺菌し、 供給された前記アルカリ性水で、前記衛生管理施設内の第2エリア内の第2対象物を洗浄し、
供給された前記酸性水で前記第2対象物を殺菌し、
それぞれのエリア内で洗浄又は殺菌に使用した前記酸性水と前記アルカリ性水を合流させ、外部に排水する洗浄殺菌方法。
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