WO2016158164A1

WO2016158164A1 - 撹拌翼およびそれを用いた撹拌装置、洗濯機

Info

Publication number: WO2016158164A1
Application number: PCT/JP2016/056237
Authority: WO
Inventors: ゆい公文; 大塚　雅生; 大江　宏和; 安藤　勝; 昌志福崎
Original assignee: シャープ株式会社
Priority date: 2015-03-27
Filing date: 2016-03-01
Publication date: 2016-10-06

Abstract

　撹拌翼(１００)は、少なくとも一面に配されて軸方向に突出した羽根部(１１０,１２０)と、羽根部(１１０,１２０)に対して周方向に隣接した凹部(１０２)とを備え、回転によって流体を撹拌する撹拌翼(１００)であって、羽根部(１１０,１２０)の回転方向の前縁側に径方向に間隔をあけて並ぶように設けられ、上記流体が衝突する複数の突起部(１１１,１２１,１２２)を有する。

Description

撹拌翼およびそれを用いた撹拌装置、洗濯機

　この発明は、流体を撹拌する撹拌翼およびそれを用いた撹拌装置、洗濯機に関する。

　従来、撹拌翼としては、回転によって流体を撹拌する役割の羽根部を有するものがある(例えば、特開２００７－００７０９１公報(特許文献１)参照)。

　このような羽根部を有する構成の撹拌翼は、洗濯物を洗浄する洗濯機に用いられている。

　また、従来の撹拌翼としては、主に水流を発生させる役割の羽根部(隆起部を含む)を有している。このような撹拌翼が回転することにより、被撹拌物が羽根部(隆起部を含む)にぶつかって撹拌されたり、回転により生じる遠心力を受けて撹拌されたりする。

　上記撹拌翼は、洗濯機のパルセータのように、流れに乗せて移動させる洗濯物を傷つけないように、水流になるべくせん断力を与えないような工夫がなされている。

　しかしながら、上記従来の洗濯機用の撹拌翼には、布傷みの少なさと粉末洗剤の溶けやすさとの間にトレードオフの関係がある。すなわち、布傷みを抑止するためには、水と布に与えるせん断力を抑制するために、撹拌翼の表面がなるべく滑らかに形成される。一方、粉末洗剤をよく溶かすには、水と粉末洗剤に与えるせん断力を増強すべく、撹拌翼の羽根部の形状を鋭利にするように形成される。このようなトレードオフの関係によると、布傷みを抑止すると粉末洗剤が溶け残るという問題が生ずる一方、粉末洗剤を溶けやすくすると布傷みが激しくなるという問題が生ずる。

　そこで、この問題を解決すべく、液体洗剤の使用が推奨されているが、液体洗剤は、高価であるため、経済的な面から安価な粉末洗剤や洗濯石鹸を使用したいという社会的な強い要望がある。

　また、近年の液体洗剤は、使用料を減らすために強力な化学薬品で作られており、人の皮膚に対して刺激が強く、例えばアトピー皮膚炎などを有する人は、より低刺激の粉末洗剤や洗濯石鹸を使用したいという要望がある。

　また、粉末洗剤や洗濯石鹸を水に溶けにくいことで、粉末洗剤や洗濯石鹸が溶け残って、洗濯水に含まれる洗剤の濃度が低くなり洗浄力が低下するという問題がある。

　また、粉末洗剤や洗濯石鹸の溶け残りが撹拌翼や洗濯機の壁面や底などに蓄積し、そこに黒カビなどの雑菌が繁殖して、撹拌翼または洗濯機が汚染されてしまうという問題がある。これは洗濯機の撹拌翼としては致命的な課題である。

　このような粉末洗剤や洗濯石鹸を比較的容易に溶かすことができる従来の洗濯機用の撹拌翼としては、パルセータに設けた軸流ファンにギアを介して回転力を伝達して、軸流ファンを回転させることにより、パルセータの中央から水流を噴出させて水流を強化するものがある(例えば、特開平１０－５７６７５号公報(特許文献２)参照)。

特開２００７－００７０９１号公報特開平１０－５７６７５号公報

　ところで、特許文献１に記載の上記羽根部を有する構成の撹拌翼において、流れに垂直な凹凸を羽根部の表面に設けることによって摩擦抵抗を低減する従来技術が提案されている。

　しかしながら、上記摩擦抵抗を低減する凹凸を羽根部の表面に設けた撹拌翼は、羽根部(または隆起部)の軸方向最大高さ位置から流体の流れが剥離してしまうために、モータの動力を十分に水に伝えられず、モータに投入する電力の割に強い水流を与えることができないという問題があった。

　このため、このような撹拌翼を用いた洗濯機は、洗浄力が低いという問題があった。上記洗濯機は、撹拌力およびそれに伴う洗浄力を高めるためにさらなる電力を投入して撹拌翼を回転させたとしても、上記流れが剥離してしまうために、損失ばかりが増えてそれ以上水流を強化できず洗浄力を向上できない。

　そこで、この発明の第１の課題は、簡単な構成で流体の流れを強化することにより、流体中の流れに乗る被撹拌物をより強力に撹拌することができる撹拌翼を提供することにある。

　また、特許文献１に記載の上記羽根部を有する構成の撹拌翼を備えた洗濯機では、布傷みを抑止すべく流体にせん断力を与えないように撹拌翼の形状が工夫されているため、水などの溶媒に粉末洗剤などが溶けにくいという問題がある。

　このため、上記洗濯機内に粉末洗剤や洗濯石鹸の溶け残りが生じ、洗濯水中に含まれる洗剤の濃度が低くなって洗浄力が低下するという問題がある。

　また、上記洗濯機において、粉末洗剤や洗濯石鹸の溶け残りが撹拌翼または洗濯機の壁面や底などに蓄積すると、そこから黒カビなどの雑菌が繁殖して、撹拌翼や洗濯機が汚染されてしまうという問題がある。これは洗濯機としては致命的な課題である。

　そこで、この発明の課題は、撹拌槽内に上下方向の往復流を発生させることにより、撹拌力を強化でき、溶媒に効率よく溶質を溶かすことができる撹拌翼およびそれを用いた撹拌装置を提供することにある。

　また、この発明の第２の課題は、上記撹拌翼を用いて、粉末洗剤や洗濯石鹸などを速やかに水に溶かすことによって、黒カビや雑菌などの繁殖を抑止できると共に、洗濯水に含まれる洗剤の濃度を高めて洗浄力を向上できると共に、上下方向の往復水流によって衣類に伝達する機械力を高めることができ、洗濯能力を大幅に向上できる洗濯機を提供することにある。

　また、特許文献２に記載の上記洗濯機用の撹拌翼は、軸流ファンの駆動部の部品点数が増えて構造が複雑になるため、コストや故障率が増大するという問題がある。特に洗濯機用の撹拌翼は、洗濯槽の底部に設けられるため、複雑な構造にすると、底部に貯まった糸屑や洗剤粕等が軸流ファンに巻き込まれて故障が発生しやすい。

　そこで、この発明の課題は、簡単な構成で、衣類へのダメージを抑えつつ、粉末洗剤や洗濯石鹸などを速やかに溶かすことができる洗濯機用の撹拌翼を提供することにある。

　また、この発明の第３の課題は、上記洗濯機用の撹拌翼を用いて、黒カビや雑菌などの繁殖を抑止できると共に、洗濯水に含まれる洗剤の濃度を高めて洗浄力を向上できる洗濯機を提供することにある。

　また、特許文献１に記載の上記撹拌翼を備えた洗濯機では、羽根部が略同一の軸方向の高さを有するように形成されているので、洗濯またはすすぎ運転時に、糸屑あるいは洗濯物から剥離した汚れが撹拌翼に付着し易くなっていた。このため、例えば、洗濯終了後の洗濯物にたくさんの糸屑等が付着してしまう、あるいは、粉末洗剤や洗濯石鹸の溶け残りが撹拌翼や洗濯機の壁面や底などに蓄積し、そこに黒カビなどの雑菌が繁殖して、撹拌翼または洗濯機が汚染されてしまうといった不具合が発生する場合があった。

　そこで、本発明の第４の課題は、糸屑等が撹拌翼部に付着することに起因する不具合の発生を防止できる洗濯機用の撹拌翼、および、これを用いた洗濯機を提供することにある。

　上記第１の課題を解決するため、この発明の撹拌翼は、
　少なくとも一面に配されて軸方向に突出した羽根部と、上記羽根部に対して周方向に隣接した凹部とを備え、回転によって流体を撹拌する撹拌翼であって、
　上記羽根部の回転方向の前縁側に径方向に間隔をあけて並ぶように設けられ、上記流体が衝突する複数の突起部を有することを特徴とする。

　また、この発明の撹拌翼は、
　少なくとも一面に配されて軸方向に突出した羽根部と、上記羽根部に対して周方向に隣接した凹部とを備え、回転によって流体を撹拌する撹拌翼であって、
　上記羽根部に径方向に間隔をあけて並ぶように設けられ、上記流体が衝突する複数の突起部を有し、
　上記複数の突起部は、径方向内側から径方向外側に向かって、互いに隣接する上記突起部の間隔が徐々に狭くなっている。

　また、この発明の撹拌翼は、
　少なくとも一面に配されて軸方向に突出した羽根部と、上記羽根部に対して周方向に隣接した凹部とを備え、回転によって流体を撹拌する撹拌翼であって、
　上記羽根部に径方向に間隔をあけて並ぶように設けられ、上記流体が衝突する複数の突起部を有し、
　上記複数の突起部は、径方向内側から径方向外側に向かって上記突起部の大きさが徐々に小さくなっている。

　また、一実施形態の撹拌翼では、
　正逆反転する回転によって上記流体を撹拌する撹拌翼であって、
　上記複数の突起部は、上記羽根部の正回転方向の前縁側または後縁側の一方に設けられている。

　また、一実施形態の撹拌翼では、
　上記羽根部は、少なくとも一面に配されて軸方向に突出した１または複数の隆起部であり、
　上記複数の突起部は、上記隆起部の径方向に延びる稜線上に並ぶように設けられている。

　また、一実施形態の撹拌翼では、
　上記羽根部は、少なくとも一面に配されて軸方向に突出した１または複数の隆起部であり、
　上記複数の突起部は、上記隆起部の径方向に延びる稜線に対して周方向の一方に間隔をあけてかつ上記稜線に沿うように設けられている。

　また、一実施形態の撹拌翼では、
　上記撹拌翼の中央部分に設けられ、上記撹拌翼と共に一体となって回転することにより上下方向の流体流れを発生する流体流発生部を備えた。

　また、この発明の撹拌装置は、
　上記撹拌翼と、
　上記撹拌翼が回転可能に配置され、上記流体が貯留される撹拌槽と
を備えたことを特徴とする。

　また、この発明の洗濯機は、
　上記撹拌装置を備えたことを特徴とする。

　また、上記第２の課題を解決するため、この発明の撹拌翼は、
　少なくとも一面に配されて軸方向に突出した羽根部と、上記羽根部に対して周方向に隣接した凹部とを有し、正逆反転する回転によって流体を撹拌する撹拌翼本体と、
　上記撹拌翼本体の中央部分に設けられ、上記撹拌翼本体の裏面側と上面側との間に流路を形成する開口部と
　上記撹拌翼本体の中央部分かつ上記開口部上に配置され、上記撹拌翼本体と共に一体となって回転することにより上下方向の流体流れを発生させる流体流発生部と
を備えたことを特徴とする。

　また、一実施形態の撹拌翼では、
　上記流体流発生部は、複数のブレードを有し、
　上記複数のブレードは、上記撹拌翼本体の回転方向の前縁側または後縁側の少なくとも一方が波形状である。

　また、一実施形態の撹拌翼では、
　上記流体流発生部の上記複数のブレードの波形状は、径方向内側から径方向外側に向かって、互いに隣接する波の間隔が徐々に狭くなっており、かつ、径方向内側から径方向外側に向かって上記波の大きさが徐々に小さくなっている。

　また、一実施形態の撹拌翼では、
　上記開口部および上記流体流発生部を覆うように、上記撹拌翼本体に取り付けられた蓋体を備え、
　上記蓋体の表面に複数の突起部を設けると共に、上記蓋体の上記複数の突起部を除く領域に複数の貫通孔を設けた。

　また、一実施形態の撹拌翼では、
　上記羽根部の回転方向の前縁側に径方向に間隔をあけて並ぶように設けられ、上記流体が衝突する複数の突起部を有する。

　また、上記第３の課題を解決するため、この発明の洗濯機用の撹拌翼は、
　回転によって水と洗濯物を撹拌する羽根部を有する撹拌翼本体と、
　上記撹拌翼本体の中央部分に配置され、上記撹拌翼本体と共に一体となって回転する撹拌翼部と、
　上記洗濯物と上記撹拌翼部との接触を防ぐように上記撹拌翼部を覆う蓋体と
を備え、
　上記撹拌翼部は、水にせん断力を与える複数のブレードを有すると共に、
　上記蓋体は、複数の貫通孔を有することを特徴とする。

　また、一実施形態の洗濯機用の撹拌翼では、
　上記撹拌翼本体の上記羽根部のエッジのアールＲが２ｍｍ以上で、かつ、上記撹拌翼本体の直径が３００ｍｍ以上である。

　また、一実施形態の洗濯機用の撹拌翼では、
　上記撹拌翼部の上記複数のブレードのエッジのアールＲが２ｍｍ以下で、かつ、上記撹拌翼部の直径が上記撹拌翼本体の直径の１／２以下である。

　また、一実施形態の洗濯機用の撹拌翼では、
　上記撹拌翼本体の上記羽根部の幅が１０ｍｍ以上である。

　また、一実施形態の洗濯機用の撹拌翼では、
　上記撹拌翼部の上記複数のブレードの幅が１０ｍｍ以下である。

　また、一実施形態の洗濯機用の撹拌翼では、
　上記蓋体は、上記撹拌翼本体の上記羽根部の径方向に延びる稜線の延長線に少なくとも一部が連なるように配置されている。

　また、一実施形態の洗濯機用の撹拌翼では、
　上記蓋体の表面に複数の突起部を設けると共に、
　上記複数の貫通孔を上記蓋体の上記複数の突起部を除く領域に設けた。

　また、一実施形態の洗濯機用の撹拌翼では、
　上記撹拌翼本体と上記蓋体を一体に形成した。

　また、この発明の洗濯機は、
　上記のいずれか１つの洗濯機用の撹拌翼を備えたことを特徴とする。

　また、上記第４の課題を解決するため、この発明の洗濯機用の撹拌翼は、
　回動によって流体を撹拌するための撹拌翼本体と、
　上記撹拌翼本体と共に一体となって回動するように上記撹拌翼本体に設けられた撹拌翼部と
を備え、
　上記撹拌翼本体が、中央部に配置され、軸方向に設けられた側壁を有する凹形状の収納部と、この収納部の側壁から径方向の外側に延びる羽根部とを有し、
　上記撹拌翼部が、径方向の外側に向かって軸方向の高さが徐々に低くなるように形成されたブレードを有し、上記収納部内に配置されていることを特徴としている。

　また、この発明の洗濯機は、
　上記撹拌翼と、
　上記撹拌翼が回動可能に配置され、流体が貯留される撹拌槽と、
を備えたことを特徴とする。

　以上より明らかなように、この発明によれば、簡単な構成で流体の流れを強化することにより、流体中の流れに乗る被撹拌物をより強力に撹拌することができる撹拌翼およびそれを用いた撹拌装置、洗濯機を実現することができる。

　また、この発明によれば、撹拌槽内に上下方向の往復流を発生させることにより、撹拌力を強化でき、溶媒に効率よく溶質を溶かすことができる撹拌翼およびそれを用いた撹拌装置を実現することができる。

　また、この発明によれば、上記撹拌翼を用いて、粉末洗剤や洗濯石鹸などを速やかに水に溶かすことによって、黒カビや雑菌などの繁殖を抑止できると共に、洗濯水に含まれる洗剤の濃度を高めて洗浄力を向上できると共に、上下方向の往復水流によって衣類に伝達する機械力を高めることができ、洗濯能力を大幅に向上できる洗濯機を実現することができる。

　また、この発明によれば、簡単な構成で、衣類へのダメージを抑えつつ、粉末洗剤や洗濯石鹸などを速やかに溶かすことができる洗濯機用の撹拌翼を実現することができる。

　また、この発明によれば、上記洗濯機用の撹拌翼を用いて、黒カビや雑菌などの繁殖を抑止できると共に、洗濯水に含まれる洗剤の濃度を高めて洗浄力を向上できる洗濯機を実現することができる。

　また、本発明の洗濯機用の撹拌翼によれば、例えば、洗濯またはすすぎ運転時に、糸屑等がブレードに付着し難くなるので、糸屑等が撹拌翼部に付着することに起因する不具合の発生を防止できる。

　また、本発明の洗濯機によれば、上記撹拌翼によって、糸屑等が撹拌翼部に付着することに起因する不具合の発生を防止できる。

この発明の第１実施形態の撹拌翼を用いた洗濯機の縦断面図である。上記撹拌翼の斜視図である。上記撹拌翼の上面図である。図３のIV－IV線から見た縦断面図である。図３のＶ－Ｖ線から見た縦断面図である。上記撹拌翼の回転による水流について説明するための図である。上記洗濯機の撹拌槽内で発生する水流を示す模式図である。この発明の第２実施形態の撹拌翼の上面図である。上記第２実施形態の撹拌翼の変形例を示す斜視図である。この発明の第３実施形態の撹拌翼の斜視図である。この発明の第４実施形態の撹拌翼の斜視図である。この発明の第５実施形態の撹拌翼の分解斜視図である。上記撹拌翼のスクリューを斜め上方から見た斜視図である。上記撹拌翼のスクリューを斜め下方から見た斜視図である。上記撹拌翼の保護カバーを斜め上方から見た斜視図である。上記撹拌翼の上面図である。図１６のXVII－XVII線から見た縦断面図である。上記撹拌翼の斜視図である。上記撹拌翼の保護カバーを外した状態の上面図である。上記撹拌翼の側面図である。上記撹拌翼の裏面図である。上記撹拌翼の保護カバーとスクリューを外した状態の上面図である。上記撹拌翼を上方から見て時計回りに回転させたときの水流について説明するための図である。上記撹拌翼を上方から見て反時計回りに回転させたときの水流について説明するための図である。この発明の第６実施形態の撹拌翼の上面図である。上記撹拌翼のスクリューを斜め上方から見た斜視図である。上記スクリューを含む要部の側面図である。上記スクリューのブレードにより発生する縦渦を示す模式図である。この発明の第７実施形態の撹拌翼の上面図である。洗浄性能の評価におけるスクリューの占める割合と洗浄率の比との関係を示すグラフである。洗濯物０.５ｋｇにおける洗浄率と洗浄率の比を示す表である。洗濯物４.５ｋｇにおける洗浄率と洗浄率の比を示す表である。本発明の第９実施形態の撹拌翼の分解斜視図である。図３３の撹拌翼の裏面側から視た斜視図である。図３３の撹拌翼の平面図である。図３５のＡ－Ａ線に沿った断面図である。図３５のＢ－Ｂ線に沿った断面図である。図３３の撹拌翼の撹拌翼本体の平面図である。図３３の撹拌翼の撹拌翼本体の底面図である。図３３の撹拌翼のスクリューの斜視図である。図３３の撹拌翼のスクリューの図４０とは異なる方向から視た斜視図である。図３３の撹拌翼のスクリューの平面図である。図３３の撹拌翼のスクリューの底面図である。図３３の撹拌翼のスクリューの正面図である。図３３の撹拌翼のスクリューの背面図である。図３３の撹拌翼のスクリューの左側面図である。図３３の撹拌翼のスクリューの右側面図である。図３３の撹拌翼の蓋体を外した状態の斜視図である。図３３の撹拌翼の蓋体を外した状態の平面図である。図３３の撹拌翼の蓋体の斜視図である。図３３の撹拌翼の蓋体の図５０とは異なる方向から視た斜視図である。図３３の撹拌翼の回動により生じる水流を説明するための図である。図３３の洗濯機の撹拌槽内で発生する水流を説明するための図である。図３３の洗濯機の撹拌槽内で発生する水流を説明するための他の図である。

　以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。なお、以下の説明では、図面に表された構成を説明するうえで、「上」、「下」、「左」、「右」等の方向を示す用語、及びそれらを含む別の用語を使用するが、それらの用語を使用する目的は図面を通じて実施形態の理解を容易にするためである。したがって、それらの用語は本発明の実施形態が実際に使用されるときの方向を示すものとは限らないし、それらの用語によって特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲が限定的に解釈されるべきでない。

　〔第１実施形態〕
　図１はこの発明の第１実施形態の撹拌翼１００を用いた洗濯機１の縦断面図である。

　この第１実施形態の洗濯機１は、図１に示すように、全自動型のものであり、金属製または合成樹脂製の外箱１０を備える。外箱１０は、直方体形状に成形され、その上面および底面は開口部となっている。外箱１０の上面開口部には、操作パネル等が設けられた合成樹脂製の上面板１１が固定されている。また、外箱１０の底面開口部には、合成樹脂製のベース１２がネジ(図示せず)で固定されている。このベース１２の四隅には、外箱１０を床の上に支えるための脚部１３が設けられている。

　上面板１１には、洗濯機１内に洗濯物(被撹拌物の一例)を投入するための洗濯物投入口１４を設けている。上蓋１５は、洗濯機１の奧側で水平回動軸により上面板１１に回動可能に取り付けられている。この上蓋１５を手前側に上下に回動させて洗濯物投入口１４を開閉することにより、外箱１０内に収納された撹拌槽３０に洗濯物を投入したり、撹拌槽３０から洗濯物を取り出したりすることができる。

　外箱１０の内部には、撹拌槽３０とその撹拌槽３０を収納する水槽２０が収容されている。撹拌槽３０は、洗剤を溶かした水またはすすぎ用の水などの洗濯水を溜める。水槽２０および撹拌槽３０の夫々は、上面が開口した有底筒状のカップの形状を呈しており、各々軸線を垂直にして水槽２０を外側、撹拌槽３０を内側とする形で同心的に配置される。上記洗濯水は、流体の一例である。

　水槽２０は、外箱１０に対してサスペンション部材(図示せず)によって吊り下げられる。このサスペンション部材は、水槽２０の外面下部と外箱１０の内面コーナー部とを連結する形で計４箇所に配備されている。このサスペンション部材によって、水槽２０を水平部内で揺動できるように支持している。

　撹拌槽３０は、底壁３０ａから上方に向かってテーパ状に広がる周壁３０ｂを有している。この周壁３０ｂには、その最上部に複数の脱水孔３１を環状に配置している。この周壁３０ｂには、複数の脱水孔３１除いて液体を通すための開口部はない。すなわち、撹拌槽３０はいわゆる「孔なし」タイプである。

　なお、以下の実施形態の説明においては、「孔なし」タイプの撹拌槽３０を例に説明するが、孔ありタイプの撹拌槽でも、この発明の構成をそのまま実施できる。

　また、撹拌槽３０の上部開口部の縁には、洗濯物を脱水するため、撹拌槽３０を高速回転させたときに振動を抑制する働きをする環状のバランサ３２が装着されている。撹拌槽３０の内部底面には、槽内で洗濯水の流動を生じさせるための撹拌翼１００が回転可能に配置される。

　水槽２０の下面には、駆動ユニット４０が取り付けられている。駆動ユニット４０は、モータ４１と、モータ４１の回転出力を伝達するベルト機構４２と、クラッチ・ブレーキ機構４３を含んでおり、その中心部から同軸に配される脱水軸４４と撹拌翼軸４５とが上方に突出している。脱水軸４４と撹拌翼軸４５とは、脱水軸４４が外側に配置され、撹拌翼軸４５が内側に配置された二重軸構造となっている。脱水軸４４は、下方から上方に向かって水槽２０底面を貫き、撹拌槽３０を支持している。撹拌翼軸４５は、下方から上方に向かって水槽２０を貫通し、さらに撹拌槽３０の底壁３０ａを貫き、撹拌翼１００を支持している。

　撹拌翼１００は、５５～３００ｒｐｍの回転を行い、洗濯またはすすぎを行う。また、脱水時には、撹拌槽３０と一緒に０～１２００ｒｐｍで回転して脱水を行う。脱水軸４４と水槽２０との間および脱水軸４４と撹拌翼軸４５との間には、各々、水漏れを防ぐためのシール部材が配置されている。

　上面板１１内の空間には、電磁的に開閉する給水弁(図示せず)が配置されている。給水弁の上流側に接続され、かつ上面板１１を貫通して上方に突き出す接続管５１には水道水などの上水を供給する給水ホース(図示せず)が接続される。また、給水弁の下流側は、撹拌槽３０の内部に臨む位置に配置された容器状の給水口(図示せず)に接続されている。

　また、上面板１１内には、制御部７０が設けられている。この制御部７０は、上面板１１の上面に設けられた操作表示部(図示せず)を通じて使用者からの操作指令を受け、駆動ユニット４０、給水弁および排水弁６８に動作指令を発する。また、制御部７０は、操作表示部に対して、運転コースや各工程の所用時間等の運転内容の表示指令を発する。

　水槽２０の底部には、水槽２０および撹拌槽３０内の水を外箱１０の外に排水する排水ホース６０が取り付けられている。この排水ホース６０には、水槽２０底部に開口する排水口６１から水が流れ込むようになっている。脱水時に撹拌槽３０の外側へ排出された水は、配水管(図示せず)を介して排水ホース６０に流される。

　また、撹拌槽３０と水槽２０との間にはパッキン(図示せず)が挟み込まれ、中心部からの水漏れを防止している。水槽２０の底面中心部には、シールホルダ６３が取り付けられている。このシールホルダ６３と水槽２０との間で排水口６１までを含めて排水経路が形成されている。撹拌槽３０の底部には、排水孔６７が円周上に４箇所設けられ、排水孔６７は、撹拌槽３０内部の水を排水口６１から電磁的に開閉する排水弁６８に導く。シールホルダ６３には、内側においてオイルシール(図示せず)が圧入されている。このオイルシールが撹拌槽３０をシールすることによって、撹拌槽３０は回転可能でかつ水密構造となり、水槽２０と撹拌槽３０との間に独立した排水空間６６が形成されている。

　上記洗濯機１の構造によって、撹拌翼１００が回転する洗濯時に撹拌槽３０内の水は排水弁６８で止水され、撹拌槽３０内にのみ水が貯められる。このとき、撹拌槽３０と水槽２０との間には水が貯まらない。これにより、洗濯時に高い節水性を実現している。脱水を行うときは排水弁６８が開かれ、撹拌槽３０内の水は外部に排水される。このとき、脱水軸４４と撹拌翼軸４５と撹拌槽３０がモータ４１の駆動により回転するが、上記オイルシールにより撹拌槽３０とシールホルダ６３は相対回転可能でかつ水密構造を取り続けることができる。

　上記撹拌翼１００と撹拌槽３０で撹拌装置を構成している。

　次に、撹拌翼１００について説明する。

　図２は上記撹拌翼１００の斜視図を示している。上記撹拌翼１００は、図２に示すように、直径が４００ｍｍの円盤状であり、周縁部１００ａに対して中心に行くほど深くなる盆状に形成されている。この撹拌翼１００の表面には、中心角９０°で放射状に周方向に交互に配列された羽根部１１０および羽根部１２０が突出して形成されている。また、羽根部１１０,１２０に対して周方向に隣接する４つの凹部１０２を設けている。なお、撹拌翼１００の直径は、洗濯機１の構成などに応じて適宜設定してよい。

　上記２つの羽根部１１０は、回転中心に対して点対称で、かつ、径方向の内周と外周との中間付近が最も高く上方に膨らんだ形状をしている。一方、２つの羽根部１２０は、回転中心に対して点対称で、かつ、外周側付近が最も高く上方に膨らんだ形状をしている。

　この羽根部１１０,１２０は、撹拌翼１００の一面に配されて軸方向に突出している。

　また、羽根部１１０の前縁側(反時計回りを正回転とした場合)に径方向に等間隔で並ぶように複数のこぶ状の突起部１１１を設けている。この羽根部１１０の複数の突起部１１１の大きさが略等しい。

　また、羽根部１２０の前縁側(反時計回りを正回転とした場合)に径方向に間隔をあけて並ぶように複数のこぶ状の突起部１２１を設けると共に、羽根部１２０の後縁側(反時計回りを正回転とした場合)に径方向に等間隔で並ぶように複数のこぶ状の突起部１２２を設けている。この羽根部１２０の複数の突起部１２１の大きさが略等しい。

　上記撹拌翼１００の羽根部１１０,１２０表面に複数のリブ１０３ａを設けると共に、撹拌翼１００の凹部１０２表面に複数のリブ１０３ｂを設けている。

　このリブ１０３ａ,１０３ｂは、撹拌翼１００の表面における洗濯水の流れる方向に並設してその方向に直交する方向に延びている。また、撹拌翼１００の表面において洗濯水の水流の平均の速さが大きい領域のリブ１０３ａ,１０３ｂの間隔は水流の平均の速さが遅い領域のリブ１０３ａ,１０３ｂの間隔よりも狭く形成されている。

　具体的には、羽根部１１０,１２０の上面には、撹拌翼１００の径方向に延びる複数のリブ１０３ａが周方向に並設されている。このとき、外周側のリブ１０３ａの間隔が、内周側のリブ１０３ａの間隔よりも狭くなるように、複数のリブ１０３ａが形成されている。また、凹部１０２の上面には、撹拌翼１００の周方向に延びる複数のリブ１０３ｂが径方向に並設される。このとき、リブ１０３ｂは、回転中心を中心とする円弧に対して湾曲し、羽根部１１０,１２０に近い位置で回転中心からの距離が小さく、離れた位置で回転中心からの距離が大きくなっている。また、羽根部１１０,１２０に近い位置のリブ１０３ｂの間隔が離れた位置よりも狭く形成される。

　図３は上記撹拌翼１００の上面図を示している。図３において、図２に示す撹拌翼１００と同一の構成部には同一参照番号を付している。

　また、図４に図３のIV－IV線から見た縦断面図を示し、図５に図３のＶ－Ｖ線から見た縦断面図を示している。図４,図５において、図１～図３に示す撹拌翼１００と同一の構成部には同一参照番号を付している。

　図４,図５に示すように、撹拌翼１００の下面は、中心に軸孔１０６を有するボス部１３０を設けている。このボス部１３０の軸孔１０６に撹拌翼軸４５(図１に示す)の先端を挿入している。また、撹拌翼１００の表面に形成された２つの羽根部１１０,１１０の裏側には溝部１１７が形成されている。これにより、羽根部１１０,１１０と溝部１１７とは表裏一体の関係にある。また、溝部１１７の外周側の開放端１１７ａは、撹拌槽３０の周壁３０ｂ(図１に示す)に面する。

　上記溝部１１７の底には、径方向に延びる薄板状のブレード部１１８が突設されている。ブレード部１１８は、撹拌翼１００の中心に近い内端から径方向に一定の高さで水平方向に延びた後、外周端に近くなるほど内周側に対して外周側の高さが徐々に低く形成されている。このような形状のブレード部１１８は、径方向に水を掻くのに適する。

　なお、２つの羽根部１２０,１２０の裏側においても、同様に、溝部１２７(図５に示す)が形成され、その溝部１２７の底には、径方向に延びる薄板状のブレード部(図示せず)が突設されている。

　したがって、撹拌翼１００の回転によって、羽根部１１０,１１０の裏側のブレード部１１８および羽根部１２０,１２０の裏側のブレード部は、撹拌翼１００と撹拌槽３０の底壁３０ａとの間の洗濯水を掻いて、溝部１２７に沿って径方向の外側に強い水流を発生させる。

　次に、図６に従って撹拌翼１００の回転による水流について説明する。

　図６では、撹拌翼１００が反時計方向に回転すると、凹部１０２からの水流ｆ１が羽根部１１０の複数の突起部１１１に衝突して、各突起部１１１から下流に向かって縦渦が形成される(羽根部１２０の複数の突起部１２１も同様)。この縦渦により下流側の水流ｆ２に対して揚力が発生する。この水流に対する揚力によって、羽根部１１０の上側を通過する水流ｆ２が下流側で剥離しないように抑え込み、周方向の水流を強化する。

　これにより、周方向の水流が強化されて、撹拌翼１００の中央部分から外向の水流ｆ３が発生するので、撹拌翼１００の中央部分において上方からの吸い込み水流ｆ４が強化される。

　このように、簡単な構成で撹拌槽３０内の水流を強化することができ、洗濯水中の流れに乗る洗濯物をより強力に撹拌する。

　図７は上記洗濯機１の撹拌槽３０内で発生する水流を示している。図７に示すように、撹拌翼１００が回転すると、撹拌翼１００の上面の羽根部１１０,１２０によって周方向に水流が発生する。また、凹部１０２内には回転方向後方の羽根部１１０,１２０の壁面に沿って径方向の外側に向かう水流が発生する。

　また、撹拌翼１００の下面では、溝部１１７,１２７(図３,図４に示す)が水路を形成している。遠心力によって溝部１１７,１２７の内周側から外周側に向かって径方向に水が流れる(水流Ｃ)。このとき、溝部１１７の薄板状のブレード部１１８および溝部１２７の薄板状のブレード部がオール(oar)のように機能して水が外側に掻き出され、撹拌槽３０の周壁３０ｂに向かって強い水流が形成される。

　そして、撹拌翼１００の溝部１１７,１２７から流出した水は、撹拌翼１００と周壁３０ｂとの隙間を通り、周壁３０ｂに沿って上昇する水流Ｙとなる。このとき、周壁３０ｂの下端が曲面に形成されるため、円滑に水流を上昇させることができる。

　撹拌翼１００の正転と逆転とを繰り返すことにより、進行方向が反転する波が衝突して撹拌槽３０内には上下に振動する定常波が形成される。なお、定常波の腹の数は、ブレード部１１８の数に比例している。

　撹拌翼１００の裏側の空間は、洗濯水が外側に押し出された後、負圧の状態となるため、撹拌翼１００の中心近傍の複数の小孔１０４(図２に示す)から新たな洗濯水が流入し、撹拌翼１００の上方の回転中心付近では下方向に下降する水流が発生する。これにより、下降する水流と上昇する水流により撹拌槽３０内で洗濯水が継続して循環する。

　定常波Ｕは、水面に対して上下方向に振幅する往復水流であり、洗濯物に互い違いに上下方向の往復運動が働く。これにより、洗濯物に上下方向のせん断力が働き、洗濯物に対してもみ洗いのような機械的動作が行われる。したがって、定常波Ｕが洗濯物の洗浄効果の向上に寄与する。

　また、周方向の水流である回転水流Ｘにより洗濯物にはねじりの動作が働く。撹拌槽３０内では、回転水流Ｘと定常波Ｕの水流が同時に洗濯物に働く。これにより、上下方向のせん断力に加えて周方向のねじりが加わり洗浄効果が向上する。また、撹拌槽３０の外周側を上昇する上昇水流Ｙと回転中心付近で下方向に流れる下降水流Ｚにより洗濯物が適切に移動し、洗濯物全体に均一な洗浄力が働く。

　ここで、羽根部１１０の複数の突起部１１１および羽根部１２０の複数の突起部１２１によって、撹拌翼１００による水流が強化されるので、上昇水流Ｙが強化されて定常波Ｕの高さが△ｈ増大すると共に、下降水流Ｚも強化される。

　したがって、上記構成の洗濯機１によれば、洗濯物の撹拌作用が増大して洗浄力を向上することができる。これにより、洗浄時間を短縮して洗濯機１の省電力化を図ることができる。また、撹拌翼１００の水流作用が大幅に改善されることに付随して、洗剤の溶解性も良くなることで洗浄効果の向上に寄与する。

　このようにして、撹拌翼１００の回転により流体である洗濯水の流れが発生すると、撹拌翼１００の表面上において洗濯水の境界層が生じ、境界層には粘性の高い領域が存在する。そこで、撹拌翼１００の表面にリブ１０３ａ,１０３ｂを並設することにより、境界層を破壊して摩擦抵抗を低減することができる。

　撹拌翼１００表面のリブ１０３ａ間およびリブ１０３ｂ間およびにおいて、洗濯水の一部が渦となり停滞して停滞部(渦)が形成される。リブ１０３ａ,１０３ｂの上方を流れる洗濯水は、リブ１０３ａ,１０３ｂの上面およびリブ１０３ａ間およびリブ１０３ｂ間に停滞する停滞部上を流通する。このとき、洗濯水とリブ１０３ａ,１０３ｂの上面との接触面積が小さいことに加えて停滞部によるベアリング効果によって洗濯水の摩擦抵抗を低減することができる。

　隣接するリブ１０３ａ間およびリブ１０３ｂ間に撹拌翼１００を貫通する多数の小孔１０４が設けられている。この小孔１０４は、羽根部１１０,１２０にも設けられている。小孔１０４は、撹拌翼１００の回転時、負圧となる撹拌翼１００の裏側の空間へ吸い込まれる水流を発生させる。

　上記第１実施形態の撹拌翼１００によれば、撹拌翼１００自体の回転によって洗濯水が衝突する羽根部１１０,１２０の前縁側に、径方向に間隔をあけて並ぶように複数の突起部１１１,１２１を設けることによって、各突起部１１１,１２１から下流に向かって縦渦が形成される。この縦渦により洗濯水に対して揚力が発生する。この洗濯水に対する揚力によって、羽根部１１０,１２０の上側を流れる洗濯水が下流側で剥離しないように抑え込み、周方向の水流を強化する。これにより、簡単な構成で洗濯水の流れを強化することにより、洗濯水中の流れに乗る洗濯物をより強力に撹拌することができる。なお、洗浄力一定とした場合には、撹拌翼１００を駆動するための消費電力を低減することができる。

　上記複数の突起部１１１,１２１は、例えば、剥離ポイントとなる羽根部１１０,１２０の軸方向最大高さ位置から流れのやや上流側、すなわち最大高さ位置から周方向片側に寄った位置に設ける。

　上記複数の突起部１１１,１２１は、洗濯水がぶつかって最も撹拌に寄与する箇所(隆起する羽根部１１０,１２０の最も高い箇所や壁のように立ち上がった部分等)に設けて、敢えて洗濯水を各突起部１１１,１２１にぶつけることによって凹凸形状の凸部(突起部)から縦渦を形成することで新たな運動エネルギー(回転エネルギー)を洗濯水に与えて、羽根部１１０,１２０から発生する剥離を物理的に抑え込み、それによって洗濯水の流れを強化する。

　また、上記複数の突起部１１１,１２１によって、羽根部１１０,１２０の軸方向最大高さ位置から流れが剥離することを防止して、投入する電力に伴い水流を無駄なく強化することができると共に、この撹拌翼１００を用いた洗濯機１では、投入する電力に伴い洗浄力が無駄なく強化される。

　また、上記複数の突起部１１１,１２１によって、複数の縦渦を発生させてその渦により粉末洗剤や洗濯石鹸を溶かし泡立てる効果を発揮させることができる。

　なお、正逆反転する回転によって洗濯水を撹拌する撹拌翼では、羽根部の回転方向の前縁側および後縁側の両方に複数の突起部を設けた場合は、どちらの回転方向においても洗濯水の流れを強化できる。

　また、撹拌翼を正逆反転させて洗濯水を撹拌することにより、進行方向が逆向きの波が衝突して上下方向に振動する洗濯水の定常波が発生する。この定常波により、洗濯水内に上下方向のせん断力が発生し、突部から発生した吸込み流によりこの上下方向のせん断力がより強化される。また、径方向の羽根部を設けることで、正回転時および逆回転時の両方で安定した水流を生成できる。また、正回転時および逆回転時で水流を変化させたい場合には、放射状でなく、螺旋状の羽根部を設けてもよい。

　以上のように構成された洗濯機１は、洗濯物を撹拌槽３０内に投入し、運転開始の指令を受けた制御部７０によって、給水弁を制御して所定水位まで給水を行う。次に、洗濯工程に入ると、モータ４１の動力をベルト機構４２、撹拌翼軸４５を通じて撹拌翼１００に伝達し、撹拌翼１００を右回転と左回転を交互に行う。このときの撹拌翼１００の動作に応じて、撹拌槽３０内の洗濯物と洗濯水が撹拌され、洗濯物の洗浄が進行する。

　また、羽根部１１０の複数の突起部１１１および羽根部１２０の複数の突起部１２１の高さが高くなるほど、洗濯物の布地と突起部１１１,１２１がぶつかって布傷みが増加するので、複数の突起部１１１,１２１により形成された凹凸の間隔に対する突起部１１１,１２１の高さを、突起部１１１,１２１により洗濯物を傷めることのない高さに設定する。

　また、撹拌翼１００に放射状に設けられた羽根部１１０,１２０上に、径方向に延びるリブ１０３ａを設けたことにより、羽根部１１０,１２０の上面における洗濯水の摩擦抵抗を低減することができる。

　また、上記撹拌翼１００の隣接するリブ１０３ａ間およびリブ１０３ｂ間に複数の小孔１０４を貫通して設けることにより、撹拌翼１００の回転時、負圧となった撹拌翼１００裏側の空間へ小孔１０４を介して洗濯水が吸い込まれる。

　上記第１実施形態では、羽根部１２０の後縁側(反時計回りを正回転とした場合)に複数の突起部１２２を設けたが、羽根部の後縁側に複数の突起部はなくともよい。

　また、上記構成の洗濯機１によれば、撹拌槽３０内に配置された撹拌翼１００が回転することにより、撹拌槽３０内の水流を強化して効果的に撹拌でき、洗濯水中の流れに乗る洗濯物をより強力に撹拌して洗浄力を向上できる。

　なお、撹拌翼１００(撹拌翼本体)の中央部分に、撹拌翼１００と共に一体となって回転するスクリューなどの撹拌翼部（流体流発生部）を設けてもよい。この撹拌翼部によって、上下方向の水流を発生する。これにより、撹拌翼の中心側から吹き出す水流を生成することが可能になり、羽根部に設けられた複数の突起部によって強化された水流をさらに強化できる。この場合は、洗濯物と撹拌翼部との接触を防ぐように撹拌翼部を覆う蓋体を備え、撹拌翼部は、水にせん断力を与える複数のブレードを有すると共に、蓋体は、複数の貫通孔を有する。

　また、撹拌翼１００の中央に開口部を設けてもよい。この開口部を介して、撹拌翼の下側から吸い込めるため、羽根部の複数の突起部において発生する縦渦により強化された水流により、中央部の吹き出し水流を強化することができる。羽根部の両側に複数の突起部を設けると、反転時に発生する中央部の吸込み流がさらに強化されるため、吹き出しにくくなってしまう可能性がある。中央部の吹き出し水流のみを強化したい場合には、吹き出すときにのみ機能する複数の突起部を設けるとよい。

　さらに、上記スクリューを収容するスクリュー収納部を覆うように、複数の貫通孔を有するキャップ状の保護カバーを取り付けることにより、スクリューにより洗濯物が傷むのを防止できる。その保護カバーに複数の突起部を設けることによって、洗濯物をゴシゴシ洗う効果(すなわち複数の突起部により洗濯物を擦り洗いする効果)が得られる。

　〔第２実施形態〕
　図８はこの発明の第２実施形態の撹拌翼２００の上面図を示している。この撹拌翼２００は、第１実施形態の洗濯機１と同様の構成の洗濯機に用いられる。

　上記撹拌翼２００は、図８に示すように、直径が４００ｍｍの円盤状であり、周縁部２００ａに対して中心に行くほど深くなる盆状に形成されている。この撹拌翼２００の表面には、中心角９０°で放射状に配列された羽根部２１０および羽根部２２０が突出して形成されている。この羽根部２１０および羽根部２２０は、周方向に交互に配列されているまた、羽根部２１０,２２０に対して周方向に隣接する４つの凹部２０２を設けている。なお、撹拌翼２００の直径は、洗濯機の構成などに応じて適宜設定してよい。

　上記２つの羽根部２１０は、回転中心に対して点対称で、かつ、径方向の内周と外周との中間付近が最も高く上方に膨らんだ形状をしている。一方、２つの羽根部２２０は、回転中心に対して点対称で、かつ、外周側付近が最も高く上方に膨らんだ形状をしている。

　この羽根部２１０,２２０は、撹拌翼２００の一面に配されて軸方向に突出している。

　また、羽根部２１０の前縁側(反時計回りを正回転とした場合)に径方向に間隔をあけて並ぶように複数のこぶ状の突起部２１１を設けている。この羽根部２１０の複数の突起部２１１は、径方向内側から径方向外側に向かって、互いに隣接する突起部２１１の間隔が徐々に狭くなっており、かつ、径方向内側から径方向外側に向かって突起部２１１の大きさが徐々に小さくなっている。

　また、羽根部２２０の前縁側(反時計回りを正回転とした場合)に径方向に間隔をあけて並ぶように複数のこぶ状の突起部２２１を設けている。この羽根部２２０の複数の突起部２２１は、径方向内側から径方向外側に向かって、互いに隣接する突起部２２１の間隔が徐々に狭くなっており、かつ、径方向内側から径方向外側に向かって突起部２２１の大きさが徐々に小さくなっている。

　上記撹拌翼２００の羽根部２１０,２２０表面に複数のリブ２０３ａを設けると共に、撹拌翼２００の凹部２０２表面に複数のリブ２０３ｂを設けている。

　隣接するリブ２０３ａ間およびリブ２０３ｂ間に撹拌翼２００を貫通する多数の小孔２０４が設けられている。この小孔２０４は、羽根部２１０,２２０にも設けられている。小孔２０４は、撹拌翼２００の回転時、負圧となる撹拌翼２００の裏側の空間へ吸い込まれる水流を発生させる。

　上記撹拌翼２００と撹拌槽３０で撹拌装置を構成している。

　上記第２実施形態の撹拌翼２００は、図２に示す第１実施形態の撹拌翼１００の羽根部１２０の複数の突起部１２２が無いという点で相違するが、第１実施形態の撹拌翼１００と同様の効果を有する。

　また、上記複数の突起部２１１,２２１は、径方向内側から径方向外側に向かって、互いに隣接する突起部２１１,２２１の間隔が徐々に狭くなるようにすると共に、上記複数の突起部２１１,２２１は、径方向内側から径方向外側に向かって突起部２１１,２２１の大きさが徐々に小さくなるようにすることによって、洗濯水の平均の速さが大きい領域(径方向外側)と小さい領域(径方向内側)における撹拌翼２００表面のレイノルズ数が一定になるようにすることが可能になる。これにより、洗濯水の撹拌翼２００に対する作用が均等になるので、撹拌翼２００表面の水流アップ効果が均等に得られる。

　なお、複数の突起部は、径方向内側から径方向外側に向かって、互いに隣接する突起部の間隔が徐々に狭くして、突起部の大きさを同じにしてもよい。また、複数の突起部は、径方向内側から径方向外側に向かって突起部の大きさが徐々に小さくして、互いに隣接する突起部の間隔が等しくしてもよい。

　また、撹拌翼２００を正逆反転する回転によって洗濯水を撹拌する洗濯機において、上方から見て反時計回りを正回転方向としたとき、羽根部２１０,２２０の正回転方向の前縁側のみに複数の突起部２１１,２２１が設けられている。これにより、正回転方向の洗濯水の流れが強化される一方、逆回転方向では、洗濯水の流れが強化されないので、回転方向によって異なる水流を作り出すことが可能になり、より複雑な水流を形成できる。このような複雑な水流により洗剤などが溶けやすくなり、洗浄力を向上できる。

　なお、撹拌翼２００(撹拌翼本体)の中央部分に、撹拌翼２００と共に一体となって回転するスクリューなどの撹拌翼部(流体流発生部)を設けてもよい。この撹拌翼部によって、上下方向の水流を発生する。これにより、撹拌翼の中心側から吹き出す水流を生成することが可能になり、羽根部に設けられた複数の突起部によって強化された水流をさらに強化できる。この場合は、洗濯物と撹拌翼部との接触を防ぐように撹拌翼部を覆う蓋体を備え、撹拌翼部は、水にせん断力を与える複数のブレードを有すると共に、蓋体は、複数の貫通孔を有する。

　また、撹拌翼２００の中央に開口部を設けてもよい。この開口部を介して、撹拌翼の下側から吸い込めるため、羽根部の複数の突起部において発生する縦渦により強化された水流により、中央部の吹き出し水流を強化することができる。羽根部の両側に複数の突起部を設けると、反転時に発生する中央部の吸込み流がさらに強化されるため、吹き出しにくくなってしまう可能性がある。中央部の吹き出し水流のみを強化したい場合には、吹き出すときにのみ機能する複数の突起部を設けるとよい。

　〔第２実施形態の変形例〕
　図９は上記第２実施形態の撹拌翼２００の変形例を示す斜視図を示している。

　この図９に示す変形例は、中央部分に貫通穴２４０が設けられている点が図８に示す第２実施形態の撹拌翼２００と相違し、図８と同一の構成部には同一参照番号を付している。

　図９では、撹拌翼２００が反時計方向に回転すると、凹部２０２からの水流ｆ１１が羽根部２１０の複数の突起部２１１に衝突して、各突起部２１１から下流に向かって縦渦が形成される(羽根部２２０の複数の突起部２２１も同様)。この縦渦により下流側の水流ｆ１２に対して揚力が発生する。この水流に対する揚力とは、羽根部１１０の上側の水流ｆ１２が下流側で剥離しないように抑え込む力である。

　これにより、周方向の水流が強化されることによって、撹拌翼２００の中央部分から外向の水流ｆ１３が発生するので、撹拌翼２００の中央部分に貫通穴２４０から吹き出し水流ｆ１４が強化される。

　これにより、簡単な構成で撹拌槽３０内の水流を強化することができ、洗濯水中の流れに乗る洗濯物をより強力に撹拌することができる。

　〔第３実施形態〕
　図１０はこの発明の第３実施形態の撹拌翼３００の斜視図を示している。この撹拌翼３００は、第１実施形態の洗濯機１と同様の構成の洗濯機に用いられる。

　この第３実施形態の撹拌翼３００は、図１０に示すように、直径が４００ｍｍの円盤状であり、撹拌翼３００の表面は、周縁部３００ａに対して中心に行くほど深くなる盆状に形成されている。撹拌翼３００の表面には中心角１８０°で放射状に配される２つの羽根部３０１,３０１が突出して形成されている。この２つの羽根部３０１,３０１は、隆起部である。なお、撹拌翼３００の直径は、洗濯機の構成などに応じて適宜設定してよい。

　２つの羽根部３０１,３０１は同一形状に形成され、撹拌翼３００が２回対称の回転対称に形成されている。この撹拌翼３００を３回対称や４回対称に形成してもよい。羽根部３０１は、回転方向に対向する第１側壁３０１ａと第２側壁３０１ｂの上端を略平面形状となる上壁３０１ｃで連結されている。上壁３０１ｃの両側縁は、上方から見て撹拌翼３００の中心線に対して外周を第１側壁３０１ａの側に傾斜するように湾曲して形成される。

　また、隣接する羽根部３０１間に中央が下がる曲面の底面部３０２が設けられ、第１側壁３０１ａの下端と第２側壁３０１ｂの下端とが底面部３０２により連結される。洗濯時に撹拌翼３００が回転し、羽根部３０１によって撹拌槽３０(図１に示す)内に洗濯水の水流を発生させる。上記底面部３０２は、凹部の一例である。

　上記底面部３０２に撹拌翼３００を貫通する多数の小孔３０４が設けられている。この小孔３０４は、羽根部３０１にも設けられている。小孔３０４は、撹拌翼３００の回転時、負圧となる撹拌翼３００の裏側の空間へ吸い込まれる水流を発生させる。

　上記２つの羽根部３０１の径方向に延びる稜線ＲＬ１に並ぶように複数のこぶ状の突起部３１１を設けている。

　この羽根部３０１の複数の突起部３１１は、径方向内側から径方向外側に向かって、互いに隣接する突起部３１１の間隔が徐々に狭くし、かつ、径方向内側から径方向外側に向かって突起部３１１の大きさを徐々に小さくしている。これによって、洗濯水の平均の速さが大きい領域(径方向外側)と小さい領域(径方向内側)における撹拌翼３００表面のレイノルズ数が一定になるようにすることが可能になる。このため、洗濯水の撹拌翼３００に対する作用が均等になるので、撹拌翼３００表面の水流アップ効果が均等に得られる。

　羽根部３０１(隆起部)の径方向に延びる稜線ＲＬ１に並ぶように複数の突起部３１１を設けることによって、各突起部３１１から下流に向かって縦渦が形成され、この縦渦により洗濯水に対して揚力が発生する。この洗濯水に対する揚力とは、羽根部３０１の上側を流れる洗濯水が下流側で剥離しないように抑え込む力である。これにより、簡単な構成で洗濯水の流れを強化することにより、洗濯水中の流れに乗る洗濯物をより強力に撹拌することができる。

　上記撹拌翼３００において、２つの羽根部３０１(隆起部)のうちの一方から回転中心に対して周回しつつ徐々に高さが低くなって底面部３０２(凹部)に至り、さらに周回しつつ徐々に高さが高くなって他方の羽根部３０１に連なる。

　なお、上記複数の突起部３１１が形成される羽根部３０１の稜線ＲＬ１は、周方向における最大高さ位置を結んだ曲線で表される。

　上記構成の撹拌翼３００によると、撹拌翼３００が回転すると、底面部３０２からの水流が羽根部３０１の複数の突起部３１１に衝突して、各突起部３１１から下流に向かって縦渦が形成される。この縦渦により下流側の水流に対して揚力が発生する。この揚力によって、羽根部１１０の上側を通過する水流が下流側で剥離しないように抑え込み、周方向の水流を強化する。

　上記撹拌翼３００と撹拌槽３０で撹拌装置を構成している。

　なお、撹拌翼３００(撹拌翼本体)の中央部分に、撹拌翼３００と共に一体となって回転するスクリューなどの撹拌翼部(流体流発生部)を設けてもよい。この撹拌翼部によって、上下方向の水流を発生する。これにより、撹拌翼の中心側から吹き出す水流を生成することが可能になり、羽根部に設けられた複数の突起部によって強化された水流をさらに強化できる。この場合は、洗濯物と撹拌翼部との接触を防ぐように撹拌翼部を覆う蓋体を備え、撹拌翼部は、水にせん断力を与える複数のブレードを有すると共に、蓋体は、複数の貫通孔を有する。

　また、撹拌翼３００の中央に開口部を設けてもよい。この開口部を介して、撹拌翼の下側から吸い込めるため、羽根部の複数の突起部において発生する縦渦により強化された水流により、中央部の吹き出し水流を強化することができる。羽根部の両側に複数の突起部を設けると、反転時に発生する中央部の吸込み流がさらに強化されるため、吹き出しにくくなってしまう可能性がある。中央部の吹き出し水流のみを強化したい場合には、吹き出すときにのみ機能する複数の突起部を設けるとよい。

　〔第４実施形態〕
　図１１はこの発明の第４実施形態の撹拌翼４００の斜視図を示している。この撹拌翼４００は、第１実施形態の洗濯機１と同様の構成の洗濯機に用いられ、図１を援用する。

　この第４実施形態の撹拌翼４００は、図１１に示すように、撹拌翼４００は、直径が４００ｍｍの円盤状であり、撹拌翼４００の表面には中心角１８０°で放射状に配される２つの羽根部４０１,４０１が突出して形成されている。この２つの羽根部４０１,４０１は、隆起部である。なお、撹拌翼４００の直径は、洗濯機の構成などに応じて適宜設定してよい。

　２つの羽根部４０１,４０１は同一形状に形成され、撹拌翼４００が２回対称の回転対称に形成されている。この撹拌翼４００を３回対称や４回対称に形成してもよい。

　また、隣接する羽根部４０１間に底面部４０２が設けられている。上記底面部４０２は、凹部の一例である。

　上記２つの羽根部４０１,４０１の径方向に延びる稜線ＲＬ２に対して周方向の一方に間隔をあけてかつ稜線ＲＬ２に沿うように複数のこぶ状の突起部４１１を設けている。

　この羽根部４０１の複数の突起部４１１は、径方向内側から径方向外側に向かって、互いに隣接する突起部４１１の間隔を徐々に狭くし、かつ、径方向内側から径方向外側に向かって突起部４１１の大きさを徐々に小さくしている。これによって、洗濯水の平均の速さが大きい領域(径方向外側)と小さい領域(径方向内側)における撹拌翼４００表面のレイノルズ数が一定になるようにすることが可能になる。このため、洗濯水の撹拌翼４００に対する作用が均等になるので、撹拌翼４００表面の水流アップ効果が均等に得られる。

　上記撹拌翼４００において、２つの羽根部４０１(隆起部)のうちの一方から回転中心に対して周回しつつ徐々に高さが低くなって底面部４０２(凹部)に至り、さらに周回しつつ徐々に高さが高くなって他方の羽根部４０１に連なる。

　なお、上記複数の突起部４１１が形成される羽根部４０１の稜線ＲＬ２は、周方向における最大高さ位置を結んだ曲線で表される。

　上記撹拌翼４００と撹拌槽３０で撹拌装置を構成している。

　上記構成の撹拌翼４００によれば、水流が衝突する箇所に複数の突起部４１１を設けたことによって、各突起部４１１から下流に向かって縦渦が形成される。この縦渦により下流側の水流に対して揚力が発生する。この揚力によって、羽根部１１０の上側を通過する水流が下流側で剥離しないように抑え込み、周方向の水流を強化する。

　さらに、撹拌翼４００を正逆反転する回転によって洗濯水を撹拌する洗濯機において、上方から見て反時計回りを正回転方向としたとき、羽根部４０１,４０１の正回転方向の前縁側のみに複数の突起部４１１が設けられている。これにより、正回転方向の洗濯水の流れが強化される一方、逆回転方向では、洗濯水の流れが強化されないので、回転方向によって異なる水流を作り出すことが可能になり、より複雑な水流を形成できる。このような複雑な水流により洗剤などが溶けやすくなり、洗浄力を向上できる。

　また、羽根部４０１(隆起部)の径方向に延びる稜線ＲＬ２に対して周方向の一方に間隔をあけてかつ稜線ＲＬ２に沿うように複数の突起部４１１を設けることによって、正逆反転する回転をすることで複雑な水流を形成することができる。

　なお、撹拌翼４００(撹拌翼本体)の中央部分に、撹拌翼４００と共に一体となって回転するスクリューなどの撹拌翼部(流体流発生部)を設けてもよい。この撹拌翼部によって、上下方向の水流を発生する。これにより、撹拌翼の中心側から吹き出す水流を生成することが可能になり、羽根部に設けられた複数の突起部によって強化された水流をさらに強化できる。この場合は、洗濯物と撹拌翼部との接触を防ぐように撹拌翼部を覆う蓋体を備え、撹拌翼部は、水にせん断力を与える複数のブレードを有すると共に、蓋体は、複数の貫通孔を有する。

　また、撹拌翼４００の中央に開口部を設けてもよい。この開口部を介して、撹拌翼の下側から吸い込めるため、羽根部の複数の突起部において発生する縦渦により強化された水流により、中央部の吹き出し水流を強化することができる。羽根部の両側に複数の突起部を設けると、反転時に発生する中央部の吸込み流がさらに強化されるため、吹き出しにくくなってしまう可能性がある。中央部の吹き出し水流のみを強化したい場合には、吹き出すときにのみ機能する複数の突起部を設けるとよい。

　〔第５実施形態〕
　図１２はこの発明の第５実施形態の撹拌翼５００の分解斜視図を示している。この撹拌翼５００は、第１実施形態の洗濯機１と同様の構成の洗濯機に用いられ、図１を援用する。

　上記撹拌翼５００は、図１２に示すように、直径が４００ｍｍの円盤状の撹拌翼本体５０１を備えている。撹拌翼本体５０１は、周縁部５０１ａに対して中心に行くほど深くなる盆状に形成されている。この撹拌翼本体５０１の表面には、中心角９０°で放射状に配列された羽根部５１０および羽根部５２０が突出して形成されている。羽根部５１０および羽根部５２０は、周方向に交互に配列されている。また、羽根部５１０,５２０に対して周方向に隣接する４つの凹部５０２を設けている。なお、撹拌翼５００の直径は、洗濯機の構成などに応じて適宜設定してよい。

　上記２つの羽根部５１０は、回転中心に対して点対称で、かつ、径方向の内周と外周との中間付近が最も高く上方に膨らんだ形状をしている。一方、２つの羽根部５２０は、回転中心に対して点対称で、かつ、外周側付近が最も高く上方に膨らんだ形状をしている。

　この羽根部５１０,５２０は、撹拌翼本体５０１の一面に配されて軸方向に突出している。

　また、羽根部５１０の前縁側(反時計回りを正回転とした場合)に径方向に等間隔で並ぶように複数のこぶ状の突起部５１１を設けている。この羽根部５１０の複数の突起部５１１は、径方向内側から径方向外側に向かって、互いに隣接する突起部５１１の間隔が徐々に狭くなっており、かつ、径方向内側から径方向外側に向かって突起部５１１の大きさが徐々に小さくなっている。

　また、羽根部５２０の前縁側(反時計回りを正回転とした場合)に径方向に間隔をあけて並ぶように複数のこぶ状の突起部５２１を設けている。この羽根部５２０の複数の突起部５２１は、径方向内側から径方向外側に向かって、互いに隣接する突起部５２１の間隔が徐々に狭くなっており、かつ、径方向内側から径方向外側に向かって突起部５２１の大きさが徐々に小さくなっている。

　これによって、洗濯水の平均の速さが大きい領域(径方向外側)と小さい領域(径方向内側)における撹拌翼本体５０１表面のレイノルズ数が一定になるようにすることが可能になる。これにより、洗濯水の撹拌翼本体５０１に対する作用が均等になるので、撹拌翼５００表面の水流アップ効果が均等に得られる。

　上記撹拌翼本体５０１の羽根部５１０,５２０表面に複数のリブ５０３ａを設けると共に、撹拌翼５００の凹部５０２表面に複数のリブ５０３ｂを設けている。

　隣接するリブ５０３ａ間およびリブ５０３ｂ間に撹拌翼本体５０１を貫通する多数の小孔５０４が設けられている。この小孔５０４は、羽根部５１０,５２０にも設けられている。小孔５０４は、撹拌翼５００の回転時、負圧となる撹拌翼本体５０１の裏側の空間へ吸い込まれる水流を発生させる。

　また、撹拌翼本体５０１の中央部分に、直径が１００ｍｍのスクリュー収納部５４０が設けられている。このスクリュー収納部５４０の中心に軸部５５０を立設している。

　また、撹拌翼５００は、撹拌翼本体５０１の軸部５５０に取り付けられたスクリュー６００と、そのスクリュー６００を収容するスクリュー収納部５４０を覆うように取り付けられたキャップ状の保護カバー７００を有する。このスクリュー６００は、撹拌翼部（上下方向の流体流れを発生させる流体流発生部）の一例である。上記保護カバー７００は、蓋体の一例であり、透明樹脂からなり、内側のスクリュー６００が目視できるようになっている。

　図１３は撹拌翼５００のスクリュー６００を斜め上方から見た斜視図を示し、図１４は撹拌翼５００のスクリュー６００を斜め下方から見た斜視図を示している。

　このスクリュー６００は、図１３,図１４に示すように、軸穴６０１ａを有する円筒部６０１と、円筒部６０１の側面に周方向等間隔に設けられた４つのブレード６０２を有する。

　上記スクリュー６００は、上方から見て反時計回りに回転するときの前縁部６０２ａが波形状をしている。この波形状の前縁部６０２ａは、径方向内側から径方向外側に向かって、互いに隣接する波のピッチが徐々に狭くなっており、かつ、径方向内側から径方向外側に向かって波の大きさが徐々に小さくなっている。

　上記スクリュー６００によれば、流体の平均の速さが大きい領域(径方向外側)と小さい領域(径方向内側)におけるブレード６０２表面のレイノルズ数が一定になるようにすることが可能になる。これにより、水流のスクリュー６００に対する作用が均等になるので、上下方向の往復水流の効果も均等に得られる。

　スクリュー６００の円筒部６０１の軸穴６０１ａに撹拌翼本体５０１の軸部５５０(図１２に示す)が挿入される。このとき、スクリュー６００の円筒部６０１に設けられたキー溝６０１ｂ,６０１ｂに軸部５５０(図１２に示す)のキー５５０ａ,５５０ａが嵌合する。

　また、図１４に示すように、スクリュー６００(撹拌翼部)の複数のブレード６０２のエッジＥＧ１のアールＲを２ｍｍ以下とし、かつ、スクリュー６００の直径を撹拌翼本体５０１の直径(４００ｍｍ)の１／２以下(この第５実施形態では１００ｍｍ)にすることによって、保護カバー７００(蓋体)に覆われたスクリュー６００では、複数のブレード６０２が洗濯物と接触しないので、エッジＥＧ１のアールＲが２ｍｍ以下の複数のブレード６０２によってより強力な水流を発生させることができる。ここで、複数のブレード６０２のエッジＥＧ１は、各ブレード６０２の前縁および後縁の角部である。

　また、スクリュー６００は、粉末洗剤や洗濯石鹸などを溶けやすくする機能と、上下水流によって撹拌能力を上げる機能を有し、スクリュー６００が大きい程、粉末洗剤や洗濯石鹸などを溶けやすくなるが、撹拌能力は、撹拌翼本体５０１の直径(４００ｍｍ)の１／２を超えると、撹拌翼本体５０１の洗浄力が低下してしまうので、スクリュー６００の直径は撹拌翼本体５０１の直径の１／２以下が望ましい。

　また、スクリュー６００(撹拌翼部)は保護カバー７００(蓋体)で覆われているので、複数のブレード６０２の幅Ｗ１(図１４に示す)を１０ｍｍ以下にすることが可能になり、より軽量で動きやすくなって回転に必要な力を小さく抑えつつ、強力なせん断力を発生できる。ここで、複数のブレード６０２の幅Ｗ１は、各ブレード６０２の厚みである。

　また、図１５は上記撹拌翼５００の保護カバー７００を斜め上方から見た斜視図を示している。この保護カバー７００は、図１５に示すように、ドーム部７０１と、ドーム部７０１の下側縁から下方に延びる筒部７０２と、筒部７０２の下端から下方に延びる４つの脚部７０３を有する。この脚部７０３の下端に係合爪７０３ａが設けられている。

　上記ドーム部７０１の表面に複数のこぶ状の第１突起部７１０とその第１突起部７１０よりも小さい複数のこぶ状の第２突起部７２０を設けている。また、ドーム部７０１の第１,第２突起部７１０,７２０を除く領域に、複数の小孔７０４を設けている。この複数の小孔７０４は、貫通孔の一例である。

　上記保護カバー７００の表面に複数の第１,第２突起部７１０,７２０を設けることによって、この撹拌翼５００を用いた洗濯機では、洗濯物をゴシゴシ洗う効果が得られる。また、保護カバー７００の複数の第１,第２突起部７１０,７２０を除く領域に複数の小孔７０４を設けることによって、スクリュー６００により発生させる上下方向の往復水流が保護カバー７００に妨げられない。

　図１６に示す撹拌翼５００は、スクリュー６００と保護カバー７００を取り付けた状態の上面図を示している。図１６において、図１２と同一の構成部には同一参照番号を付している。

　図１７は図１６のXVII－XVII線から見た縦断面図を示している。図１７において、図１２と同一の構成部には同一参照番号を付している。

　また、図１８はスクリュー６００と保護カバー７００を取り付けた状態の撹拌翼５００の斜視図を示している。図１８において、図１２と同一の構成部には同一参照番号を付している。

　図１８に示すように、撹拌翼本体５０１の羽根部５１０,５２０のエッジＥＧ２のアールＲを２ｍｍ以上とし、かつ、撹拌翼本体５０１の直径を４００ｍｍにすることによって、衣類に接触する撹拌翼本体５０１の撹拌力を高めつつ、布が羽根部５１０,５２０に引っ掛かって傷むのを防ぐことができる。ここで、羽根部５１０,５２０のエッジＥＧ２は、各羽根部５１０,５２０の周方向の前縁側および後縁側の角部である。

　また、衣類に接触する撹拌翼本体５０１は、撹拌力を高めるために羽根部５１０,５２０を鋭利に細くして多く設けると、布が引っ掛かって傷んでしまうため、撹拌翼本体５０１の羽根部５１０,５２０の幅Ｗ２(図１８に示す)を１０ｍｍ以上に設定するのがよい。ここで、撹拌翼本体５０１の羽根部５１０,５２０の幅Ｗ２は、各羽根部５１０,５２０の周方向の長さである。

　また、上記撹拌翼本体５０１の羽根部５１０,５２０の径方向に延びる稜線の延長線に少なくとも一部が連なるように、保護カバー７００(蓋体)を配置することによって、洗濯物に対して保護カバー７００が引っ掛かりにくく、撹拌翼本体５０１の羽根部５１０,５２０と保護カバー７００の境界付近の流れがスムーズになることで水流を強化できる。

　また、図１９は保護カバー７００を外した状態の撹拌翼５００の上面図を示している。図１９において、図１２と同一の構成部には同一参照番号を付している。

　さらに、図２０は図１９に示す撹拌翼５００を右側方から見た側面図を示している。図２２において、図１２～図１９と同一の構成部には同一参照番号を付している。

　図２０に示すように、羽根部５１０の裏側の溝部５１７に、径方向に延びる薄板状のブレード部５１８を立設している。

　図２１は上記撹拌翼５００の裏面図を示している。図２１に示すように、撹拌翼５００の下面の中心に、軸孔５０６を有するボス部５３０を立設している。このボス部５３０の軸孔５０６に撹拌翼軸４５の先端を固定する。また、羽根部５１０(図１９に示す)の裏側の溝部５１７に、径方向に延びる薄板状のブレード部５１８を立設している。また、羽根部５２０(図１９に示す)の裏側の溝部５２７に、径方向に延びる薄板状のブレード部５２８を立設している。

　この羽根部５１０と溝部５１７とは、表裏一体の関係にある。また、この羽根部５２０と溝部５２７とは、表裏一体の関係にある。この溝部５１７,５２７の外周側の開放端５１７ａ,５２７ａは、撹拌槽３０の周壁３０ｂ(図１に示す)に面する。

　上記ブレード部５１８,５２８は撹拌翼５００の中心に近い内端から径方向に一定の高さで水平方向に延びた後、外端に行くほど内周側に対して外周側の高さが徐々に低くなるように形成されている。このような形状のブレード部５１８,５２８は径方向に水を掻くのに適する。したがって、撹拌翼５００の回転によって、ブレード部５１８,５２８は、撹拌翼５００と撹拌槽３０の周壁３０ｂとの間の洗濯水を掻いて溝部５１７,５２７に沿って径方向の外側に強い水流を発生させる。

　上記撹拌翼５００と撹拌槽３０で撹拌装置を構成している。

　また、図２２は上記撹拌翼５００の保護カバー７００とスクリュー６００を外した状態の上面図を示している。図２２において、図１２～図１９と同一の構成部には同一参照番号を付している。

　図２２に示すように、撹拌翼５００の中央部分のスクリュー収納部５４０に、複数の開口部５４０ａを設けている。この開口部５４０ａは、扇状の開口を複数有する。この開口部５４０ａによって、撹拌翼５００の中央部分の裏面側と上面側との間で上下方向に洗濯水が流れる流路を形成する。

　次に、図２３,図２４に従って撹拌翼５００の水流について説明する。

　図２３は撹拌翼５００を上方から見て時計回りに回転させたときの水流を示し、図２４は撹拌翼５００を上方から見て反時計回りに回転させたときの水流を示している。図１２～図１９と同一の構成部には同一参照番号を付している。また、図２３,図２４では、図を見やすくするために保護カバー７００を省略している。

　上記構成の撹拌翼５００によれば、図２３に示すように、上方から見て時計回りに撹拌翼５００を回転させることによって、撹拌翼５００の中央のスクリュー６００も撹拌翼５００と共に一体に回転する。

　このとき、撹拌翼５００の裏側の空間は、洗濯水が外側に押し出された後、負圧の状態となるため、撹拌翼５００の中心近傍の複数の小孔５０４から新たな洗濯水が流入し、撹拌翼５００の上方の回転中心付近では下方向に下降する水流が発生する。これにより、中心側を下降する水流と外周側を上昇する水流により撹拌槽３０内で洗濯水が継続して循環する。

　このスクリュー６００の時計回りの回転(逆回転)により、撹拌翼５００の中央部分で洗濯水が吸い込まれて、開口部５４０ａ(図２２に示す)を介して撹拌翼５００の下側に流入し、遠心力によって溝部５１７,５２７(図２１に示す)の内周側から外周側に向かって径方向に水が流れる。このとき、溝部５１７の薄板状のブレード部５１８および溝部５２７の薄板状のブレード部５２８がオール(oar)のように機能して水が外側に掻き出され、撹拌槽３０の周壁３０ｂ(図２１に示す)に向かって強い水流が形成される。

　そして、撹拌翼５００の溝部５１７,５２７から流出した水は、撹拌翼５００と周壁３０ｂとの隙間を通り、周壁３０ｂに沿って上昇する。

　一方、図２４に示すように、上方から見て反時計回りに撹拌翼５００を回転させることによって、撹拌翼５００の中央のスクリュー６００が撹拌翼５００と共に一体に回転する。

　このスクリュー６００の反時計回りの回転(正回転)により、撹拌翼５００の中央部分の下側から開口部５４０ａ(図２２に示す)を介して洗濯水が吹き出する。このとき、遠心力によって溝部５１７,５２７の内周側から外周側に向かって径方向に水が流れる。このとき、溝部５１７の薄板状のブレード部５１８および溝部５２７の薄板状のブレード部５２８がオール(oar)のように機能して水が外側に掻き出され、撹拌槽３０の周壁３０ｂに向かって強い水流が形成される。

　そして、撹拌翼５００の溝部５１７,５２７から流出した水は、撹拌翼５００と周壁３０ｂとの隙間を通り、周壁３０ｂに沿って撹拌槽３０の上部へ上昇する。

　このとき、撹拌翼５００の正回転,逆回転のいずれにおいても、撹拌槽３０の水面には上下に振動する波が発生し、溝部の数に応じた隆起部分が形成される。

　上記撹拌翼５００によれば、スクリュー６００の回転によって、撹拌槽３０の中央部分に上下往復水流(吸い込み水流・吹き出し水流)を発生させることが可能となる。特に、これまでの撹拌翼では発生できなかった吹き出し水流の発生によって、撹拌力が大幅に高まる。

　また、撹拌翼５００に開口部５４０ａを設けることによって、図２４に示すように、羽根部５１０の複数の突起部５１１および羽根部１２０の複数の突起部５２１により強化された水流で、開口部５４０ａからの吹き出し水流をさらに強化できる。

　上記第５実施形態の撹拌翼５００によれば、撹拌翼５００自体の回転によって洗濯水が衝突する羽根部５１０,５２０の前縁側に、径方向に間隔をあけて並ぶように複数の突起部５１１,５２１を設けることによって、各突起部５１１,５２１から下流に向かって縦渦が形成される。この縦渦により洗濯水に対して揚力が発生する。この洗濯水に対する揚力によって、羽根部５１０,５２０の上側を流れる洗濯水が下流側で剥離しないように抑え込む。これにより、簡単な構成で洗濯水の流れを強化することにより、洗濯水中の流れに乗る洗濯物をより強力に撹拌することができる。

　また、撹拌翼５００を正逆反転する回転によって洗濯水を撹拌する洗濯機において、上方から見て反時計回りを正回転方向としたとき、羽根部５１０,５２０の正回転方向の前縁側のみに複数の突起部５１１,５２１が設けられている。これにより、正回転方向の洗濯水の流れが強化される一方、逆回転方向では、洗濯水の流れが強化されないので、回転方向によって異なる水流を作り出すことが可能になり、より複雑な水流を形成できる。特に撹拌翼を用いた洗濯機では、このような複雑な水流により洗剤などが溶けやすくなり、洗浄力を向上できる。

　また、撹拌翼本体５０１の中央部分に設けられたスクリュー６００(撹拌翼部（流体流発生部）)が撹拌翼本体５０１と共に一体となって回転することにより、上下方向の水流を発生する。これにより、撹拌翼５００の中心側から吹き出す水流を生成することが可能になり、羽根部５１０,５２０に設けられた複数の突起部５１１,５２１によって強化された水流をさらに強化できる。また、これまでの撹拌翼では発生できなかった中央部分からの吹き出し水流の発生によって、撹拌力が大幅に高まる。特に洗濯機では、このような上下方向の往復水流を発生させることにより、撹拌力を強化でき、洗剤などが溶けやすくなり、洗浄力を向上できる。

　さらに、撹拌翼本体５０１の中央に開口部５４０ａがあり、撹拌翼本体５０１の下側から吸い込めるため、羽根部５１０,５２０の複数の突起部５１１,５２１において発生する縦渦により強化された水流により、中央部の吹き出し水流を強化することができる。この撹拌翼本体５０１の開口部５４０ａは、撹拌翼本体５０１の中心からの半径が、撹拌翼本体５０１の外形半径の１／４の領域に設けたが、撹拌翼本体の外形半径の１／２未満の領域に設ければよく、これにより、羽根部による撹拌力を保ちつつ、必要な上下方向の往復水流を発生させることができる。

　上記羽根部５１０,５２０の両側に複数の突起部を設けると、反転時に発生する中央部の吸込み流がさらに強化されるため、吹き出しにくくなってしまう可能性がある。中央部の吹き出し水流のみを強化したい場合には、吹き出すときにのみ機能する複数の突起部を設けるとよい。

　さらに、キャップ状の保護カバー７００に複数の突起部７１０,７２０を設けることによって、洗濯物をゴシゴシ洗う効果(すなわち複数の突起部７１０,７２０により洗濯物を擦り洗いする効果)が得られる。

　従来の撹拌翼では、例えば粉末洗剤や洗濯石鹸が溶けにくく、粉末洗剤や洗濯石鹸が溶け残ると、洗浄液に含まれる洗剤の濃度が低くなり洗浄力が弱くなるだけでなく、溶け残りが撹拌翼や洗濯機の壁面や底などに蓄積し、そこに黒カビなどの雑菌が繁殖して、撹拌翼や洗濯機が汚染されてしまうという問題があった。

　これに対して、この第５実施形態の撹拌翼５００によれば、図１３に示すように、上方から見て反時計回り(左回転)において、スクリュー６００(撹拌翼部（流体流発生部）)のブレード６０２の前縁部６０２ａの複数の波形状の先端側から縦渦が発生して、各ブレード６０２で発生した縦渦同士がぶつかり合うことで洗剤粉を効率よく撹拌して溶かし、洗浄効果を高めることができる。

　上記構成の洗濯機によれば、撹拌槽３０内に配置された撹拌翼５００が回転することにより、粉末洗剤や洗濯石鹸などを速やかに水に溶かすことができる。これによって、黒カビや雑菌などの繁殖を抑止できると共に、洗濯水に含まれる洗剤の濃度を高めて洗浄力を向上できると共に、上下方向の往復水流によって衣類に伝達する機械力を高めることができ、洗濯能力を大幅に向上できる。

　また、撹拌槽３０内に配置された撹拌翼５００が回転することにより、粉末洗剤や洗濯石鹸などを速やかに水に溶かすことができる。これによって、黒カビや雑菌などの繁殖を抑止できると共に、洗濯水に含まれる洗剤の濃度を高めて洗浄力を向上できると共に、上下方向の往復水流によって衣類に伝達する機械力を高めることができ、洗濯能力を大幅に向上できる。

　上記構成の洗濯機用の撹拌翼５００によれば、回転する撹拌翼本体５０１の羽根部５１０,５２０によって水と洗濯物を撹拌するとき、撹拌翼本体５０１の中央部分に配置されたスクリュー６００(撹拌翼部)が撹拌翼本体５０１と共に一体となって回転して、スクリュー６００の複数のブレード６０２が水にせん断力を与える。これにより、撹拌翼本体５０１によって生じた回転方向の流れとスクリュー６００によって生じたせん断方向の流れとが混ざり合う複雑な流れが生じて撹拌力が高まるので、粉末洗剤や洗濯石鹸などを効率よく溶かすことができる。このとき、スクリュー６００の複数のブレード６０２を蓋体７００が覆うことにより、洗濯物とスクリュー６００との接触が防がれる。したがって、簡単な構成で、衣類へのダメージを抑えつつ、粉末洗剤や洗濯石鹸などを速やかに溶かすことができる。また、粉末洗剤や洗濯石鹸などの溶け残りを防止することにより、黒カビや雑菌などの繁殖を抑止できると共に、洗浄液に含まれる洗剤の濃度を高めて洗浄力を向上できる。

　なお、上記第５実施形態では、撹拌翼本体５０１と保護カバー７００(蓋体)を別部材としたが、撹拌翼本体と蓋体を一体に形成してもよい。この場合、撹拌翼の構造を簡略化でき、コストを低減できる。

　〔第６実施形態〕
　図２５はこの発明の第６実施形態の撹拌翼８００の上面図を示している。この第６実施形態の撹拌翼８００は、スクリュー９００を除いて第５実施形態の撹拌翼５００と同一の構成をしており、第１実施形態の洗濯機１と同様の構成の洗濯機に用いられ、図１を援用する。

　上記撹拌翼８００は、図２５に示すように、直径が４００ｍｍの円盤状の撹拌翼本体８０１を有している。この撹拌翼本体８０１は、周縁部８０１ａに対して中心に行くほど深くなる盆状に形成されている。この撹拌翼本体８０１の表面には、中心角９０°で放射状に周方向に交互に配列された羽根部８１０および羽根部８２０が突出して形成されている。また、羽根部８１０,８２０に対して周方向に隣接する４つの凹部８０２を設けている。なお、撹拌翼８００の直径は、洗濯機の構成などに応じて適宜設定してよい。

　上記２つの羽根部８１０は、回転中心に対して点対称で、かつ、径方向の内周と外周との中間付近が最も高く上方に膨らんだ形状をしている。一方、２つの羽根部８２０は、回転中心に対して点対称で、かつ、外周側付近が最も高く上方に膨らんだ形状をしている。

　この羽根部８１０,８２０は、撹拌翼本体８０１の一面に配されて軸方向に突出している。

　また、羽根部８１０の前縁側(反時計回りを正回転とした場合)に径方向に等間隔で並ぶように複数のこぶ状の突起部８１１を設けている。この羽根部８１０の複数の突起部８１１は、径方向内側から径方向外側に向かって、互いに隣接する突起部８１１の間隔が徐々に狭くなっており、かつ、径方向内側から径方向外側に向かって突起部８１１の大きさが徐々に小さくなっている。

　また、羽根部８２０の前縁側(反時計回りを正回転とした場合)に径方向に間隔をあけて並ぶように複数のこぶ状の突起部８２１を設けている。この羽根部８２０の複数の突起部８２１は、径方向内側から径方向外側に向かって、互いに隣接する突起部８２１の間隔が徐々に狭くなっており、かつ、径方向内側から径方向外側に向かって突起部８２１の大きさが徐々に小さくなっている。

　上記撹拌翼８００の羽根部８１０,８２０表面に複数のリブ８０３ａを設けると共に、撹拌翼８００の凹部８０２表面に複数のリブ８０３ｂを設けている。

　隣接するリブ８０３ａ間およびリブ８０３ｂ間に撹拌翼本体８０１を貫通する多数の小孔８０４が設けられている。この小孔８０４は、羽根部８１０,８２０にも設けられている。小孔８０４は、撹拌翼８００の回転時、負圧となる撹拌翼本体８０１の裏側の空間へ吸い込まれる水流を発生させる。

　また、撹拌翼本体８０１の中央部分にスクリュー収納部８４０が設けられている。このスクリュー収納部８４０の中心に軸部８５０を立設している。

　そして、上記撹拌翼８００は、軸部８５０に取り付けられたスクリュー９００と、そのスクリュー９００を収容するスクリュー収納部８４０を覆うように取り付けられたキャップ状の保護カバー１０００(図２７に示す)を有する。このスクリュー９００は、撹拌翼部（流体流発生部）の一例である。また、保護カバー１０００は、蓋体の一例である。

　上記第６実施形態の撹拌翼８００は、スクリュー９００を除いて第５実施形態の撹拌翼５００と同一の構成をしており、第５実施形態の撹拌翼５００と同様の効果を有する。

　また、図２６は上記撹拌翼８００のスクリュー９００を斜め上方から見た斜視図を示している。このスクリュー９００は、図２６に示すように、軸穴９０１ａを有する円筒部９０１と、円筒部９０１の側面に周方向等間隔に設けられた８つのブレード９０２を有する。

　上記スクリュー９００は、上方から見て反時計回りに回転するときの前縁部９０２ａが波形状をしている。この波形状の前縁部９０２ａは、径方向内側から径方向外側に向かって、互いに隣接する波のピッチが徐々に狭くなっており、かつ、径方向内側から径方向外側に向かって波の大きさが徐々に小さくなっている。

　また、スクリュー９００は、上方から見て反時計回りに回転するときの後縁部９０２ｂが波形状をしている。この波形状の後縁部９０２ｂは、径方向内側から径方向外側に向かって、互いに隣接する波のピッチが徐々に狭くなっており、かつ、径方向内側から径方向外側に向かって波の大きさが徐々に小さくなっている。

　上記スクリュー９００によれば、流体の平均の速さが大きい領域(径方向外側)と小さい領域(径方向内側)におけるブレード９０２表面のレイノルズ数が一定になるようにすることが可能になる。これにより、水流のスクリュー９００に対する作用が均等になるので、上下方向の往復水流の効果も均等に得られる。

　スクリュー９００の円筒部９０１の軸穴９０１ａに軸部８５０(図２５に示す)が挿入される。このとき、スクリュー９００の円筒部９０１に設けられた２つのキー溝９０１bに軸部８５０のキー(図示せず)が嵌合する。

　図２７は上記スクリュー９００を含む要部の側面図を示しており、図２７において、１０００は保護カバーである。図２７に示すように、上方から見て反時計回りに回転すると、下側から上側に向かって水流が発生する。

　図２８は上記スクリュー９００のブレード９０２により発生する縦渦を示す模式図である。図２８の(ａ)において、上方から見て反時計回り(左回転)において、ブレード９０２の前縁部９０２ａの複数の波形状の先端側から縦渦が発生する。そして、各ブレード９０２で発生した縦渦同士がぶつかり合うことで洗剤粉を効率よく撹拌して溶かし、洗浄効果を高めることができる。

　一方、図２８の(ｂ)において、上方から見て時計回り(右回転)において、ブレード９０２の後縁部９０２ｂが前縁側となって、その複数の波形状の先端側から縦渦が発生する。そして、各ブレード９０２で発生した縦渦同士がぶつかり合うことで洗剤粉を効率よく撹拌して溶かし、洗浄効果を高めることができる。

　また、スクリュー９００のブレード９０２により発生する縦渦によりブレード９０２からの剥離が抑制されるので、ブレード９０２の傾きを大きくすることが可能になり、上下方向の水流をさらに強化することができる。

　〔第７実施形態〕
　図２９はこの発明の第７実施形態の撹拌翼１１００の上面図を示している。この撹拌翼１１００は、第１実施形態の洗濯機１と同様の構成の洗濯機に用いられ、図１を援用する。

　この第７実施形態の撹拌翼１１００は、図２９に示すように、撹拌翼１１００は、直径が４００ｍｍの円盤状の撹拌翼本体１１１０を有している。この撹拌翼本体１１１０は、周縁部１１１０ａに対して中心に行くほど深くなる盆状に形成されている。撹拌翼本体１１１０の表面には中心角１８０°で放射状に配される２つの羽根部１１０１が突出して形成されている。この２つの羽根部１１０１は、隆起部である。なお、撹拌翼本体１１１０の直径は、洗濯機の構成などに応じて適宜設定してよい。

　２つの羽根部１１０１,１１０１は同一形状に形成され、撹拌翼１１００が２回対称の回転対称に形成される。この撹拌翼１１００を３回対称や４回対称に形成してもよい。羽根部１１０１は、回転方向に対向する第１側壁１１０１ａと第２側壁１１０１ｂの上端を略平面形状となる上壁１１０１ｃで連結される。上壁１１０１ｃの両側縁は、上方から見て撹拌翼１１００の中心線に対して外周を第１側壁１１０１ａの側に傾斜するように湾曲して形成される。

　また、隣接する羽根部１１０１間に中央が下がる曲面の底面部１１０２が設けられ、第１側壁１１０１ａの下端と第２側壁１１０１ｂの下端とが底面部１１０２により連結される。洗濯時に撹拌翼１１００が回転し、羽根部１１０１によって撹拌槽３０(図１に示す)内に洗濯水の水流を発生させる。上記底面部１１０２は、凹部の一例である。

　上記撹拌翼１１００と撹拌槽３０で撹拌装置を構成している。

　上記撹拌翼１１００において、２つの羽根部１１０１(隆起部)のうちの一方から回転中心に対して周回しつつ徐々に高さが低くなって底面部１１０２(凹部)に至り、さらに周回しつつ徐々に高さが高くなって他方の羽根部１１０１に連なる。

　また、撹拌翼本体１１１０の中央部分に、直径が１６０ｍｍのスクリュー収納部１１４０が設けられている。このスクリュー収納部１１４０の中心に軸部１１５０を立設している。また、スクリュー収納部１１４０に、複数の開口部１１４０ａを設けている。この開口部１１４０ａは、扇状の開口を複数有する。この開口部１１４０ａによって、撹拌翼１１００の中央部分の裏面側と上面側との間で上下方向に洗濯水が流れる流路を形成する。

　この撹拌翼本体１１１０の開口部１１４０ａは、撹拌翼本体１１１０の中心からの半径が、撹拌翼本体１１１０の外形半径の２／５の領域に設けたが、撹拌翼本体の外形半径の１／２未満の領域に設ければよく、これにより、羽根部による撹拌力を保ちつつ、必要な上下方向の往復水流を発生させることができる。

　そして、撹拌翼１１００は、軸部１１５０に取り付けられたスクリュー１２００と、そのスクリュー１２００を収容するスクリュー収納部１１４０を覆うように取り付けられたキャップ状の保護カバー(図示せず)を有する。このスクリュー１２００は、撹拌翼部（流体流発生部）の一例である。

　このスクリュー１２００は、第５実施形態のスクリュー６００と同一の構成をしている。また、保護カバーは、第５実施形態の保護カバー７００と同一の構成をしている。

　上記構成の洗濯機用の撹拌翼５００によれば、回転する撹拌翼本体１１１０の羽根部５１０,５２０によって水と洗濯物を撹拌するとき、撹拌翼本体１１１０の中央部分に配置されたスクリュー１２００(撹拌翼部)が撹拌翼本体１１１０と共に一体となって回転して、スクリュー１２００の複数のブレードが水にせん断力を与える。これにより、撹拌翼本体１１１０によって生じた回転方向の流れとスクリュー１２００によって生じたせん断方向の流れとが混ざり合う複雑な流れが生じて撹拌力が高まるので、粉末洗剤や洗濯石鹸などを効率よく溶かすことができる。このとき、スクリュー１２００の複数のブレードを保護カバー(蓋体)が覆うことにより、洗濯物とスクリュー１２００との接触が防がれる。したがって、簡単な構成で、衣類へのダメージを抑えつつ、粉末洗剤や洗濯石鹸などを速やかに溶かすことができる。また、粉末洗剤や洗濯石鹸などの溶け残りを防止することにより、黒カビや雑菌などの繁殖を抑止できると共に、洗浄液に含まれる洗剤の濃度を高めて洗浄力を向上できる。

　上記撹拌翼１１００の中央部分に設けられたスクリュー１２００（撹拌翼部(流体流発生部)）が撹拌翼１１００と共に一体となって回転することにより、上下方向の水流を発生する。これにより、撹拌翼１１００の中心側から吹き出す水流を生成することが可能になり、水流を強化できる。また、これまでの撹拌翼では発生できなかった中央部分からの吹き出し水流の発生によって、撹拌力が大幅に高まる。特に洗濯機では、このような上下方向の往復水流を発生させることにより、撹拌力を強化でき、洗剤などが溶けやすくなり、洗浄力を向上できる。

　さらに、撹拌翼１１００の中央に開口部１１４０ａがあり、撹拌翼１１００の下側から吸い込めるため、中央部の吹き出し水流を強化することができる。

　さらに、キャップ状の保護カバーに複数の突起部を設けることによって、洗濯物をゴシゴシ洗う効果(すなわち複数の突起部により洗濯物を擦り洗いする効果)が得られる。

　なお、上記第７実施形態の撹拌翼１１００において、第３実施形態の撹拌翼３００と同様に、２つの羽根部１１０１の径方向に延びる稜線上に並ぶように複数の突起部を設けてもよい。

　上記第１～第７実施形態では、撹拌翼を備えた洗濯機について説明したが、撹拌翼はこれに限らず、様々な流体を撹拌するための撹拌装置に適用することができる。

　また、上記第１～第６実施形態では、羽根部１１０,１２０,２１０,２２０,３０１,４０１,５１０,５２０,８１０,８２０,１１００に複数のこぶ状の突起部１１１,１２１,１２２,２１１,２２１,３１１,４１１,５１１,５２１,８１１,８２１,１１０１を設けたが、突起部の形状はこれに限らない。

　また、上記第１～第７実施形態では、撹拌翼１００,２００,３００,４００,５００,８００の上面に羽根部１１０,１２０,２１０,２２０,３０１,４０１,５１０,５２０,８１０,８２０を設けたが、羽根部を上面と下面の両方に設けた撹拌翼にこの発明を適用してもよい。

　〔第８実施形態〕
　次に、この発明の第８実施形態の撹拌翼を備えた撹拌装置について説明する。

　この第８実施形態の撹拌装置は、上記第１～第７実施形態のいずれか１つの撹拌翼と、その撹拌翼が回転可能に配置され、流体が貯留される撹拌槽(図示せず)とを備えている。ここで、流体は、洗濯水に限らず、あらゆる流体の撹拌にこの第８実施形態の撹拌装置を適用することができる。

　上記構成の撹拌装置によれば、撹拌槽内に配置された撹拌翼が回転することにより、撹拌槽内の流体を効果的に撹拌することができる。

　また、上記第５～第７実施形態のいずれか１つの撹拌翼を備えた撹拌装置では、撹拌槽内に配置された撹拌翼が回転することにより、スクリュー(流体流発生部)により撹拌槽内に上下方向の往復水流を発生させて、溶媒に効率よく溶質を溶かすことができる。

　〔第９実施形態〕
　本発明の第９実施形態の撹拌翼２００２を備えた洗濯機１は、図１に示すように、外箱１０を備える全自動型の洗濯機である。外箱１０は、金属または合成樹脂からなり、直方体形状を有している。外箱１０の上面および底面は開口しており、上面側の開口には、操作パネル等が設けられた合成樹脂製の上面板１１が固定され、底面側の開口には、合成樹脂製のベース１２がネジ(図示せず)で固定されている。

　外箱１０の内部には、撹拌槽３０とその撹拌槽３０を収納する水槽２０が収容されている。撹拌槽３０には、洗剤を溶かした水またはすすぎ用の水などの洗濯水が溜められる。水槽２０および撹拌槽３０の夫々は、上面が開口した有底筒状のカップの形状を呈しており、各々軸線を垂直にして水槽２０を外側、撹拌槽３０を内側とする形で同心的に配置される。なお、洗濯水は、流体の一例である。

　上面板１１には、洗濯機１内に被撹拌物の一例の洗濯物を投入するための洗濯物投入口１４が設けられている。また、この上面板１１には、上蓋１５が、洗濯機１の奧側で水平回動軸により回動可能に取り付けられている。この上蓋１５を手前側に上下に回動させて洗濯物投入口１４を開閉することにより、外箱１０内に収納された撹拌槽３０に洗濯物を投入したり、撹拌槽３０から洗濯物を取り出したりすることができる。

　ベース１２には、外箱１０を支えるための脚部１３が設けられている。この脚部１３は、ベース１２の四隅にそれぞれ配置されている。

　水槽２０は、その底部に開口する排水口６１を有し、外箱１０に対してサスペンション部材(図示せず)によって吊り下げられている。このサスペンション部材は、水槽２０の下方と外箱１０の上方とを連結する形で計４箇所に配備され、水槽２０を揺動可能に支持している。

　撹拌槽３０は、底壁３０ａから上方に向かってテーパ状に広がる周壁３０ｂを有している。この周壁３０ｂには、その最上部に複数の脱水孔３１を環状に配置している。この周壁３０ｂには、複数の脱水孔３１除いて液体を通すための開口部はない。すなわち、撹拌槽３０はいわゆる「孔なし」タイプである。また、底壁３０ａには、４つの排水孔６７が設けられ、円周上に間隔を空けて配置されている。

　なお、以下の実施形態の説明においては、「孔なし」タイプの撹拌槽３０を例に説明するが、周壁３０ｂに複数個の孔がある様な孔ありタイプの撹拌槽でも、この発明の構成をそのまま実施できる。なお、孔ありタイプの撹拌槽は、周壁３０ｂがテーパ状に広がっていないものでもよいし、周壁３０ｂがテーパ状に広がっているものでもよい。

　撹拌槽３０の上部開口部の縁には、洗濯物を脱水するため、撹拌槽３０を高速回転させたときに振動を抑制する働きをする環状のバランサ３２が装着されている。撹拌槽３０の内部底面には、槽内で洗濯水の流動を生じさせるための撹拌翼２００２が回動可能に配置されている。

　水槽２０の下側には、駆動ユニット４０が設けられている。この駆動ユニット４０は、モータ４１と、モータ４１の回転出力を伝達するベルト機構４２と、クラッチ・ブレーキ機構４３と、クラッチ・ブレーキ機構４３の中央部に同軸に配された脱水軸４４および撹拌翼軸４５とを含んでいる。脱水軸４４および撹拌翼軸４５は、脱水軸４４が外側に配置され、撹拌翼軸４５が内側に配置された二重軸構造となっている。脱水軸４４は、下方から上方に向かって水槽２０底面を貫き、撹拌槽３０を支持している。撹拌翼軸４５は、下方から上方に向かって水槽２０を貫通し、さらに撹拌槽３０の底壁３０ａを貫き、撹拌翼２００２を支持している。

　また、水槽２０の下側には、排水口６１に接続された排水路６２と、排水路６２に接続され、外箱１０の外部に配置された接続管６０とが設けられている。排水路６２の排水口６１と接続管６０との間には、排水弁６８が設けられている。接続管６０には、排水ホース（図示せず）が接続され、排水口６１、排水路６２、接続管６０、および、排水ホースを介して、水槽２０および撹拌槽３０内の水を外箱１０の外に排水するようになっている。なお、脱水時に撹拌槽３０の外側へ排出された水は、配水管(図示せず)を介して排水ホースに流される。

　撹拌翼２００２は、駆動ユニット４０によって、運転コース等に応じて回動する。例えば、洗濯またはすすぎ運転を行う場合、撹拌翼２００２は、５０～１５０ｒｐｍの回転速度で、正回転方向および逆回転方向に交互に繰り返し回転する。また、脱水運転を行う場合、撹拌翼２００２は、撹拌槽３０と一緒に０～１０００ｒｐｍの回転速度で逆回転方向に回転する。

　水槽２０と撹拌槽３０との間には、水槽２０の排水口６１に接続されていると共に、排水孔６７を介して撹拌槽３０の内部と連通しているシールホルダ６３が設けられている。このシールホルダ６３の内側には、オイルシール(図示せず)が圧入され、これにより撹拌槽３０がシールされ、水槽２０と撹拌槽３０との間に独立した排水空間６６が形成されている。

　なお、排水孔６７、シールホルダ６３、排水口６１、排水路６２、および、接続管６０で、洗濯機１の排水経路を構成している。

　上面板１１内には、電磁的に開閉する給水弁(図示せず)が配置されている。給水弁の上流側には、上面板１１を貫通して上方に突き出す接続管５１が接続されている。この接続管５１には、水道水などの上水を供給する給水ホース(図示せず)が接続される。また、給水弁の下流側は、撹拌槽３０の内部に臨む位置に配置された容器状の給水口(図示せず)に接続されている。

　また、上面板１１内には、制御部７０が設けられている。この制御部７０は、上面板１１の上面に設けられた操作表示部(図示せず)を通じて使用者からの操作指令を受け、駆動ユニット４０、給水弁および排水弁６８に動作指令を発する。また、制御部７０は、操作表示部に対して、運転コースや各工程の所要時間等の運転内容の表示指令を発する。

　脱水運転を行うときは、制御部７０によって排水弁６８が開かれ、撹拌槽３０内の水は外部に排水される。このとき、脱水軸４４と撹拌翼軸４５と撹拌槽３０がモータ４１の駆動により回転するが、シールホルダ６３の内側に圧入されたオイルシールにより、撹拌槽３０は、シールホルダ６３に対して相対的に回動可能な状態で、かつ、水密構造を取り続けることができる。

　なお、洗濯またはすすぎ運転を行う場合、制御部７０によって排水弁６８が閉じられ、撹拌槽３０内にのみ水が貯められるようにする。このとき、撹拌槽３０と水槽２０との間には水が貯まらないため、洗濯またはすすぎ運転時における高い節水性を実現している。

　次に、撹拌翼２００２について説明する。この撹拌翼２００２は、本発明の洗濯機用の撹拌翼の一例である。

　撹拌翼２００２は、図３３に示すように、撹拌翼本体２１００と、撹拌翼部の一例のスクリュー２２００と、蓋体２３００とを備えている。スクリュー２２００は、撹拌翼本体２１００とは別体に形成されている。

　撹拌翼本体２１００は、図３３に示すように、その表面の中央部に収納部２１１０が設けられており、周縁部から収納部２１１０に向かって凹んだ円盤形状を有している。撹拌翼本体１００の表面には、収納部２１１０から径方向に延びる羽根部２１２０、２１３０が設けられている。

　収納部２１１０は、上面が開口した円形凹形状を有し、撹拌翼本体２１００の表面から軸方向に突出した側壁２１１０ａを有している。この側壁２１１０ａと羽根部２１２０との連結部分には、一対の側方開口部２１１１、２１１２が設けられている。この一対の側方開口部２１１１、２１１２は、図３４に示すように、収納部２１１０内と、後述する羽根部２１２０の裏側の溝部２１２１とを連通しており、収納部２１１０内と羽根部２１２０の裏側との間に流路を形成している。また、側壁２１１０ａと羽根部２１３０との連結部分には、一対の側方開口部２１１３、２１１４が設けられている。この一対の側方開口部２１１３、２１１４は、収納部２１１０内と、後述する羽根部２１３０の裏側の溝部２１３１（図３９に示す）とを連通しており、収納部２１１０内と羽根部２１３０の裏側との間に流路を形成している。このように、２つの羽根部２１２０と側壁２１１０ａとの連結部分に、それぞれ一対の側方開口部２１１１、２１１２が設けられている。また、２つの羽根部２１３０と側壁２１１０ａとの連結部分に、それぞれ一対の側方開口部２１１３、２１１４が設けられている。従って、第９実施形態の撹拌翼２００２には、合計で８つの側方開口部２１１１、２１１２、２１１３、２１１４が設けられている。なお、第９実施形態では、一対の側方開口部（側方開口部２１１１、２１１２および側方開口部２１１３、２１１４）を設けているが、これに限らない。例えば、羽根部と側壁との各連結部に、側方開口部を１つ設けてもよいし、可能ならば、側方開口部を３以上設けてもよい。また、羽根部と側壁との各連結部に設ける側方開口部の数は、全て同じである必要はなく、それぞれ異なっていてもよい。

　収納部２１１０の底には、図３８に示すように、第１ボス部２１１５と、一対の取付孔２１１６と、底開口部２１１７とが設けられている。第１ボス部２１１５は、図３３、図３４に示すように、中心に軸孔２１１５ａを有し、収納部２１１０の底の中央部に配置されている。この第１ボス部２１１５の軸孔２１１５ａに撹拌翼軸４５(図１に示す)が挿入され、撹拌翼２００２が回動可能に支持されている。一対の取付孔２１１６は、それぞれ、後述するスクリュー２２００の第２ボス部２２２６、２２４６が嵌挿可能な形状を有し、第１ボス部２１１５を中心に対称に配置されている。底開口部２１１７は、第１ボス部２１１５から径方向に延びており、周方向に沿って９０度毎に配置されている。また、この底開口部２１１７は、収納部２１１０内と収納部２１１０の裏側とを連通しており、収納部２１１０内と収納部２１１０の裏側との間に流路を形成している。

　また、収納部２１１０内の底面の隣接する底開口部２１１７の間には、それぞれ、畝部２１０１が設けられている。畝部２１０１は、第１ボス部２１１５から収納部２１１０の側壁２１１０ａに向かって径方向に延びており、周方向に沿って９０度毎に間隔を空けて配置されている。この畝部２１０１は、径方向の内側から徐々に周方向の幅が大きくなるように形成された幅広部２１０１ａと、この幅広部および収納部２１１０の側壁２１１０ａに連結され、周方向の幅が幅広部よりも小さくなるように形成された幅狭部２１０１ｂとで構成されている。すなわち、畝部２１０１によって、収納部２１１０の側壁２１１０ａと第１ボス部２１１５とが面で連結され、これにより、撹拌翼２００２の強度が高められている。

　なお、収納部２１１０の開口の内側縁には、蓋体２３００を固定するための複数の係合受部２１１８が設けられている。この係合受部２１１８は、図３８に示すように、周方向に沿って９０度毎に間隔を空けて配置されている。

　羽根部２１２０、２１３０は、図３８に示すように、周方向に沿って９０度毎に間隔を空けて交互に並設されている。

　羽根部２１２０は、径方向の内周と外周との中間付近が撹拌翼本体２１００の表面から軸方向に最も膨らんだ形状を有している。羽根部２１３０は、径方向の外周側付近が撹拌翼本体２１００の表面から軸方向に最も膨らんだ形状を有している。すなわち、羽根部２１２０、２１３０は、収納部２１１０と同一軸方向に突出している。

　なお、羽根部２１２０、２１３０の形状は、これに限らず、撹拌翼の設計に応じた任意の形状を採用できる。

　また、羽根部２１２０、２１３０の上面の周方向の一縁側には、複数のこぶ状の突起２１２４、２１３４がそれぞれ設けられている。この突起２１２４、２１３４は、径方向の内側から径方向の外側に向かって、互いに隣接する突起２１２４、２１３４の間隔が徐々に狭くなり、かつ、径方向の内側から径方向の外側に向かって突起２１２４、２１３４の大きさが徐々に小さくなるように配置されている。これにより、撹拌翼２００２の表面において、洗濯水の平均の速さが大きい径方向外側の領域のレイノルズ数と、洗濯水の平均の速さが小さい径方向内側の領域のレイノルズ数とが一定になる。このため、洗濯水の撹拌翼２００２に対する作用が均等になるので、撹拌翼２００２の表面の水流アップ効果が均等に得られる。

　なお、突起２１２４、２１３４の形状および大きさは、これに限らず、撹拌翼の設計に応じた任意の形状を採用してもよいし、設けなくてもよい。

　また、図３３に示すように、撹拌翼本体２１００の表面には、複数のリブ２１０２、２１０３と、撹拌翼本体２１００を貫通する小孔２１０４とが設けられている。

　羽根部２１２０、２１３０の上面には、複数の直線状リブ２１０２が周方向に並設されている。この直線状リブ２１０２は、隣接する直線状リブ２１０２との間隔が径方向の内側から外側に向かって狭くなるように、配置されている。また、隣接する羽根部２１２０、２１３０の間の表面には、複数の湾曲リブ２１０３が配置されている。この湾曲リブ２１０３は、隣接する湾曲リブ２１０３との間隔が羽根部２１２０、２１３０に近づくほど狭くなるように、配置されている。すなわち、これらのリブ２１０２、２１０３は、撹拌翼本体２１００の表面において、洗濯水の水流の平均速度が大きくなる領域ほど、間隔が狭くなるように配置されている。

　小孔２１０４は、羽根部２１２０、２１３０の上面、および、羽根部２１２０、２１３０の間の表面に配置され、撹拌翼２００２を回動させたときに、負圧となる撹拌翼本体２１００の裏面側の空間に吸い込まれる水流を発生させる。

　撹拌翼本体２１００の裏面には、図３４に示すように、羽根部２１２０、２１３０に沿って設けられた溝部２１２１、２１３１と、溝部２１２１、２１３１の各々に第１ボス部２１１５から放射状に設けられた複数の第１ブレード部２１４０と、隣接する第１ブレード部２１４０の間の各々に第１ボス部２１１５から放射状に設けられた複数の第２ブレード部２１５０とが設けられている。

　第１ブレード部２１４０は、図３４に示すように、径方向の内側に底面視略菱形の基部２１４１を有し、径方向の外側に湾曲した先端角部２１４２を有している。図３９に示すように、この第１ブレード部２１４０によって、溝部２１２１、２１３１が、収納部２１１０の側壁２１１０ａの側方開口部２１１１、２１１３を介して収納部２１１０内に連通する溝部２１２２、２１３２と、収納部２１１０の側壁２１１０ａの側方開口部２１１２、２１１４を介して収納部２１１０内に連通する溝部２１２３、２１３３とに仕切られている。また、基部２１４１は、収納部２１１０の側壁２１１０ａにより径方向に分割されている。分割された基部２１４１のうち、径方向の内側の領域に、収納部２１１０の底の底開口部２１１７が位置している。

　また、隣接する第１ブレード部２１４０の間の各々には、第１ボス部２１１５から径方向の外側に延びる板状の第２ブレード部２１５０が複数設けられている。この第２ブレード部２１５０は、図３４に示すように、小孔２１０４と重なる部分に設けられた複数の円筒部２１５１を有し、径方向外側の先端角部２１５２が湾曲している。円筒部２１５１は、図３９に示すように、小孔２１０４に略等しい大きさの内径を有している。

　スクリュー２２００は、図４０～図４７に示すように、軸部２２１０と、この軸部２２１０から径方向に延びる複数のブレード２２２０、２２３０、２２４０、２２５０とで構成されている。また、スクリュー２２００は、図４８、図４９に示すように、撹拌翼本体２１００の中央部の収納部２１１０内に固定され、撹拌翼本体２１００と一体となって回動する。

　なお、本明細書では、図４２に示す方向Ｒ１、すなわち、平面視において、スクリュー２２００が反時計に回転する方向Ｒ１を撹拌翼２００２の正回転方向とし、図４２に示す方向Ｒ２、すなわち、平面視において、スクリュー２２００が時計回りに回転する方向Ｒ２を撹拌翼２００２の逆回転方向とする。

　軸部２２１０は、図４０、図４１に示すように、筒形状を有し、軸方向の両端面に開口２２１１、２２１２が設けられている。この軸部２２１０は、開口２２１１側から開口２２１２（図４０の上側から下側）に向かって径が大きくなるように形成されている。図４０に示す開口２２１１は、撹拌翼本体２１００を図１に示す撹拌翼軸４５に取り付け可能な形状を有している。一方、図４１に示す開口２２１２は、収納部２１１０の第１ボス部２１１５（図３３に示す）を嵌合可能な形状を有している。

　なお、スクリュー２２００は、図４８、図４９に示すように、図４０に示す開口２２１１が先端となり、図４１に示す開口２２１２が収納部２１１０内の底面と向かい合うように、収納部２１１０内に配置されている。すなわち、軸部２２１０は、先端から収納部２１１０の底に向かって、軸方向に直交する円形断面の面積が徐々に大きくなるように形成された筒形状を有している。

　ブレード２２２０、２２３０、２２４０、２２５０は、図４０～図４７に示すように、撹拌翼２００２が正回転方向に回転したときに圧力面となる第１圧力面２２２１、２２３１、２２４１、２２５１と、撹拌翼２００２が逆回転方向に回転したときに圧力面となる第２圧力面２２２２、２２３２、２２４２、２２５２と、外側面２２２３、２２３３、２２４３、２２５３と、上面２２２４、２２３４、２２４４、２２５４とで構成されている。なお、図１０に示すように、ブレード２２２０、２２３０、２２４０、２２５０は中空で、その底に開口部２２２５、２２３５、２２４５、２２５５を有している。

　また、ブレード２２２０、２２３０、２２４０、２２５０は、図４９に示すように、収納部２１１０内に配置したときに、軸方向において、収納部２１１０の底の底開口部２１１７と重ならない位置に配置されている。すなわち、底開口部２１１７は、スクリュー２２００の軸方向において、隣接するブレード２２２０、２２３０、２２４０、２２５０の間に配置されている。

　第１圧力面２２２１、２２３１、２２４１、２２５１は、図４０に示すように、スパイラル状にねじれた湾曲形状を有しており、撹拌翼２００２が正回転方向に回転したときに、撹拌翼本体２１００の裏面側から撹拌翼本体２１００の表面側（図４０の下側から上側）に向かって軸方向に上昇する洗濯水の流れが発生するように、傾斜している。また、図４２、図４３に示すように、第１圧力面２２２１、２２３１、２２４１、２２５１は、平面視波形状の周方向端部２２２１ａ、２２３１ａ、２２４１ａ、２２５１ａを有している。

　第２圧力面２２２２、２２３２、２２４２、２２５２は、図４４～図４７に示すように、略平坦面であり、撹拌翼２００２が逆回転方向（脱水回転方向）に回転したときに、撹拌翼本体２１００の中央部に軸方向の洗濯水の流れが発生しないように、傾斜しており、スクリュー２２００の回転により径方向外側に向かって流れる洗濯水の流れを強化する。

　外側面２２２３、２２３３、２２４３、２２５３は、図４２、図４３に示すように、軸部２２１０の外周面に沿った湾曲形状を有している。この外側面２２２３、２２３３、２２４３、２２５３の底部には、図４４～図４７に示すように、収納部２１１０の畝部２１０１の幅広部２１０１ａ（図３３に示す）に嵌合可能な形状を有する切欠２２２３ａ、２２３３ａ、２２４３ａ、２２５３ａが設けられている。この切欠２２２３ａ、２２３３ａ、２２４３ａ、２２５３ａは、スクリュー２２００を収納部２１１０内に配置するときに畝部２１０１の幅広部２１０１ａに嵌合され、撹拌翼２００２の回動時におけるスクリュー２２００の振れを抑制する。このように、回動中心となる軸部２２１０から最も径方向外側の面である外側面２２２３、２２３３、２２４３、２２５３に、切欠２２２３ａ、２２３３ａ、２２４３ａ、２２５３ａを設けることで、スクリュー２２００の振れ止め効果を高めている。

　上面２２２４、２２３４、２２４４、２２５４は、図４４～図４７に示すように、略平坦面であり、軸部２２１０側から径方向外側に向かって、底からの距離が次第に小さくなるように傾斜している。すなわち、ブレード２２２０、２２３０、２２４０、２２５０は、径方向の外側に向かって、軸方向の高さが徐々に小さくなるように形成されている。

　また、ブレード２２２０、２２４０の底面２２２５、２２４５には、スクリュー２２００を収納部２１１０内に固定するための第２ボス部２２２６、２２４６が設けられている。第２ボス部２２２６、２２４６は、図４４～図４７に示すように、ブレード２２２０、２２４０の底面から軸方向に突出しており、収納部２１１０の取付孔２１１６に嵌合可能な形状を有している。このように、ブレード２２２０、２２４０の底に第２ボス部２２２６、２２４６を設けることで、スクリュー２２００の機能を損なうことなく、意匠性を向上できると共に、スクリュー２２００を収納部２１１０内に確実に固定できる。

　蓋体３００は、図５０、図５１に示すように、ドーム部２３１０と、このドーム部２３１０に設けられた４つの脚部２３２０とを有している。この蓋体２３００は、図３５～図３７に示すように、収納部２１１０の開口を覆うように撹拌翼本体２１００に取り付けられており、スクリュー２２００に洗濯物が絡んだり、スクリュー２２００が直接洗濯物に触れることにより洗濯物が傷んだりするのを防止している。

　ドーム部２３１０は、中空の半球形状を有し、その表面には、複数のこぶ状の第１突起部２３１１と、第１突起部２３１１よりも小さい複数のこぶ状の第２突起部２３１２と、貫通穴２３１３と、突出部２３１４とが設けられている。第１突起部２３１１および第２突起部２３１２は、蓋体２３００を撹拌翼本体２１００に取り付けたときに、平面視において、スクリュー２２００の軸部２２１０の開口２２１１と重ならない領域（すなわち、軸部２２１０の開口２２１１に対向し、この開口２２１１を覆う領域を除く領域）に、等間隔で環状に配置されている。貫通穴２３１３は、ドーム部２３１０の表面の第２突起部２３１２および突出部２３１４を除く領域に配置され、第１突起部２３１１に配置された第１貫通穴２３１３ａと、ドーム部２３１０の表面に配置された第２貫通穴２３１３ｂとで構成されている。突出部２３１４は、ドーム部２３１０の表面の中央部に配置され、蓋体２３００を撹拌翼本体２１００に取り付けた状態では、ドーム部２３１０の表面から撹拌翼本体２１００の軸方向に突出している。

　また、ドーム部２３１０の底面は開口しており、突出部２３１４の裏側に環状封止部２３１５が設けられている。この環状封止部２３１５は、蓋体２３００を撹拌翼本体２１００に取り付けたときに、収納部２１１０の第１ボス部２１１５と共にスクリュー２２００を固定すると同時に、スクリュー２２００の軸部２２１０の先端の開口２２１１を塞ぐことができるように形成されている。すなわち、蓋体２３００を撹拌翼本体２１００に取り付けた状態では、収納部２１１０の開口が覆われると共に、収納部２１１０内でスクリュー２２００が固定され、かつ、スクリュー２２００の軸部２２１０の開口２２１１が塞がれている。

　脚部２３２０は、ドーム部２３１０の底の開口縁から下方（図５０の下側）に延びている。脚部２３２０の中央部には、スリット２３２１が設けられている。このスリット２３２１には、蓋体２３００を撹拌翼本体２１００に取り付けたときに、収納部２１１０の畝部２１０１の幅狭部２１０１ｂ（図３８に示す）が嵌挿されるようになっている。

　また、隣接する脚部２３２０の間には、それぞれ、係合爪部２３３０が設けられている。この係合爪部２３３０は、収納部２１１０の係合受部２１１８にそれぞれ係合可能に配置されている。この係合爪部２３３０を収納部２１１０の係合受部２１１８に係合させることで、蓋体２３００が撹拌翼本体２１００に着脱可能に取り付けられている。このように、蓋体２３００の着脱に特殊な工具を必要としないので、収納部２１１０の清掃およびメンテナンスを容易に行うことができる。

　なお、この蓋体２３００は、透明系樹脂からなり、収納部２１１０内に配置されているスクリュー２２００が目視できるようになっている。このため、スクリュー２２００の色彩、あるいは、外観の模様等の撹拌翼２００２のデザインを容易に変更できる。また、収納部２１１０内の汚れを容易に確認できるので、メンテナンスの必要性を容易に判断できる。

　次に、図５２を参照して、洗濯またはすすぎ運転時に撹拌翼２００２の回転により発生する水流について説明する。

　図５２に示すように、撹拌翼２００２を正回転方向（矢印Ｒ３方向）に回転させると、回転により周方向の水流ｆ１が発生し、羽根部２１２０の複数の突起２１２４に衝突する。水流ｆ１が突起２１２４に衝突することにより、突起２１２４から下流に向かって縦渦が形成される。形成された縦渦は、突起２１２４の下流側の周方向の水流ｆ２に揚力を発生させ、突起２１２４の下流側で水流ｆ２が剥離しないように抑え込む。これにより、周方向の水流ｆ２が強化される。また、図示していないが、羽根部２１３０の突起２１３４の下流側の水流についても同様に揚力が発生し、周方向の水流が強化される。周方向の水流が強化されると、撹拌翼本体２１００の中央部から径方向外側に向かう水流ｆ３が発生し、収納部２１１０から吹き出す水流ｆ４が発生する。

　また、撹拌翼２００２の回転と一体となってスクリュー２２００が回転し、第１圧力面２２２１，２２３１，２２４１，２２５１により効率良くスムーズに撹拌翼本体２１００の裏面側から撹拌翼本体２１００の表面側（図５２の下側から上側）に向かって水流ｆ５が発生する。この水流ｆ５によって、撹拌翼本体２１００の裏面側の洗濯水が、側方開口部２１１１、２１１２、２１１３、２１１４および底開口部２１１７により形成される流路を介して収納部２１１０内に流れ、さらに、蓋体２３００の表面に設けられている貫通穴２３１３を介して、撹拌翼本体２１００の表面側に流れる。このように、スクリュー２２００により、撹拌槽２３０の中央部を上方に流れる新たな水流が作り出され、高い洗浄効果が発揮される。

　なお、撹拌翼２００２が正回転方向に回転するとき、図４２に示すスクリュー２２００の第１圧力面２２２１、２２３１、２２４１、２２５１がブレード２２２０、２２３０、２２４０、２２５０の圧力面となるため、洗濯水が波形状の周方向端部２２２１ａ、２２３１ａ、２２４１ａ、２２５１ａに衝突し、下流に縦渦が発生する。各ブレード２２２０、２２３０、２２４０、２２５０の周方向端部２２２１ａ、２２３１ａ、２２４１ａ、２２５１ａで発生した縦渦は相互にぶつかり合い、洗濯水を効率よく撹拌することができる。このため、洗剤を十分に溶かすことができ、洗浄効果を高めることができる。

　また、撹拌翼２００２を逆回転方向（矢印Ｒ４方向）に回転させた場合も、基本的には、撹拌翼２００２を正回転方向に回転させた場合と同様の水流が発生する。この場合、第１圧力面２２２１、２２３１，２２４１，２２５１よりも面の角度が垂直に近い第２圧力面２２２２、２２３２、２２４２、２２５２がブレード２２２０、２２３０、２２４０、２２５０の圧力面となるため、撹拌翼２００２を正回転方向に回転させた場合と比べて、スクリュー２２００の回転によって発生する撹拌翼本体２１００の中央部の軸方向の洗濯水の流れが弱くなる。その結果、径方向の内側から外側に向かって流れる洗濯水の量を増加させて、洗浄効果を高めることができる。また、また第２圧力面２２２２，２２３２，２２４２，２２５２には、波形状の周方向端部２２２１ａ、２２３１ａ、２２４１ａ、２２５１ａのような形状を有していないため、縦渦が発生しない。

　続いて、図５３および図５４を参照して、洗濯またはすすぎ運転時の洗濯機１の撹拌槽３０内の水流について説明する。なお、図５３に、撹拌翼２００２を正回転方向に回転させた場合の水流を示し、図５４に、撹拌翼２００２を逆回転方向に回転させた場合の水流を示す。

　図５３に示すように、撹拌翼２００２が正回転方向に回転すると、撹拌翼本体２１００の羽根部２１２０、２１３０の回転によって逆回転方向に向かって流れる周方向の水流Ｘが発生する。また、撹拌翼２００２の回転と一体となってスクリュー２２００が回転し、撹拌翼２００２の裏面側から撹拌翼２００２の表面側（図５３の下側から上側）に向かって軸方向に上昇する水流Ｙ１が発生する。

　このとき、撹拌翼２００２の裏面側では、撹拌翼２００２の回転により発生する遠心力によって、溝部２１２１、２１３１（図３９に示す）の径方向内側から径方向外側に向かって水が流れる。このとき、第１ブレード部２１４０および第２ブレード部２１５０がオール(oar)のように機能して水を径方向外側に掻き出し、撹拌槽３０の周壁３０ｂに向かう強い水流をより強くする。

　溝部２１２１、２１３１から流出した水は、撹拌翼２と周壁３０ｂとの隙間を通り、周壁３０ｂに沿って上昇する水流Ｙ２となる。このとき、底壁３０ａと周壁３０ｂとの連結部分を湾曲させて、水流が円滑に上昇するようにしている。

　洗濯水が外側に押し出された後、撹拌翼２の裏面側の空間は負圧の状態となるため、小孔１０４（図３３に示す）を介して、新たな洗濯水が撹拌翼２００２の表面側から裏面側に流入する。また、撹拌翼２００２の上方の回転中心付近では、水流Ｙ１と水流Ｙ２とがぶつかって、軸方向に下降する水流Ｚが発生する。これにより、撹拌槽３０内で洗濯水が継続して循環する。

　一方、図５４に示すように、撹拌翼２００２が逆回転方向に回転すると、撹拌翼本体２１００の羽根部２１２０、２１３０の回転によって正回転方向に向かって流れる周方向の水流（水流Ｘの逆の方向の水流）が発生する。また、正回転方向の場合と同様に、撹拌翼２００２の回転により発生する遠心力によって、撹拌翼２００２の裏面側に、溝部２１２１、２１３１の径方向内側から径方向外側に向かって流れる水流が発生する。

　なお、撹拌翼２００２が逆回転方向に回転した場合、撹拌翼２００２を正回転方向させた場合と比べて、スクリュー２２００により撹拌翼本体２１００の中央部に発生する軸方向の洗濯水の流れが弱くなり、径方向の外側に向かって流れる洗濯水の量が増加するため、撹拌翼２００２の上方の回転中心付近では、周壁３０ｂに沿って上昇する水流Ｙ２が相互にぶつかって、軸方向に下降する水流Ｚが発生する。

　このように、撹拌翼２００２を正回転方向に回転させたときに発生する洗濯水の上下方向の流れと、逆回転方向に回転させたときに発生する洗濯水の上下方向の流れとが異なっているため、洗濯運転時に、洗濯水の水流によって洗濯物には多様な動作が働く。特に、外周部に比べて、移動距離が短く、撹拌翼２００２による機械力の印加が少ない中央部の洗濯物に対し、スクリュー２２００によって、上下に積極的に動く水流を発生させることで、洗濯物の動きを活発にし、洗浄効果が向上すると共に、洗浄効果のバラツキ（むら）を改善することができる。

　本発明の撹拌翼２００２によれば、収納部２１１０の側壁２１１０ａに、収納部２１１０内と羽根部２１２０、２１３０の裏側との間に流路を形成する側方開口部２１１１、２１１２、２１１３、２１１４を設けているので、側方開口部２１１１、２１１２、２１１３、２１１４を介して羽根部２１２０、２１３０の裏側から収納部２１１０内に洗濯水を流入させたり、収納部２１１０内から羽根部２１２０、２１３０の裏側に洗濯水を流出させたりすることができる。このため、スクリュー２２００の回動に伴って撹拌翼本体２１００の中央部に発生する軸方向の洗濯水の流れを強化することができる。

　また、スクリュー２２００が、径方向の外側に向かって、軸方向の高さが徐々に低くなるように形成されたブレード２２２０、２２３０、２２４０、２２５０を有している。これにより、洗濯またはすすぎ運転時に、糸屑等がブレード２２２０、２２３０、２２４０、２２５０に付着し難くなるので、糸屑等がスクリュー２２００に付着することに起因する不具合の発生を防止できる。

　また、ブレード２２２０、２２３０、２２４０、２２５０の第１圧力面２２２１、２２３１、２２４１、２２５１が、撹拌翼２００２が正回転方向に回転する時に、撹拌翼本体２１００の裏面側から撹拌翼本体２１００の表面側に向かって洗濯水の流れを発生させるように傾斜している。このため、撹拌翼部２２００の回動に伴って発生する上記撹拌翼本体２１００の裏面側から表面側に向かって軸方向に上昇する水流ｆ５を強化できる。

　また、収納部２１１０の底に、収納部２１１０内と収納部２１１０の裏側との間に流路を形成する底開口部２１１７を設けている。これにより、収納部２１１０内への洗濯水の流入量、および、収納部２１１０内から収納部２１１０の裏側への洗濯水の排出量が増加するので、スクリュー２２００の回動により生成される洗濯水の流れを強化できる。また、スクリュー２２００の軸方向において、底開口部２１１７が、隣接するブレード２２２０、２２３０、２２４０、２２５０の間に配置されている。これにより、底開口部２１１７を介して流出入する洗濯水の流れがスクリュー２２００によって妨げられることがないので、収納部２１１０内への洗濯水の流入量、および、収納部２１１０内から収納部２１１０の裏側への洗濯水の排出量を確実に増加でき、効率よくスクリュー２２００による水流発生効果を発揮することができる。

　また、スクリュー２２００が、先端から収納部２１１０の底に向かって、軸方向に直交する断面の面積が徐々に大きくなるように形成された軸部２２１０を有している。これにより、スクリュー２２００の回動により生成される撹拌翼本体２１００の裏面側から表面側に向かって上昇する洗濯水の流れが軸部２２１０の軸心に向かって導かれ、強化された強い水流を作ることができるので、洗濯水の流れに乗る洗濯物を強力に撹拌し、水流による洗浄効果を強化することができる。

　また、収納部２１１０の開口を覆うように、かつ、スクリュー２２００の軸部２２１０の開口２２１１を塞ぐように、撹拌翼本体２１００に蓋体２３００を取り付けている。これにより、蓋体２３００の内部に糸屑等が侵入しても、この糸屑等が軸部２２１０の開口２２１１内に入り込み難くなる。このため、例えば、軸部２２１０の中央部に設けられ、撹拌翼２００２と撹拌翼軸４５とを締結するためのねじ（図示せず）に糸屑等が付着し難くなるため、蓋体２３００が透明材料で形成されている場合に、糸屑等が軸部２２１０の開口２２１１内に入り込むことによる意匠性の低下および糸屑等が上記ねじに付着することによる不具合等の発生を防止することができる。

　また、蓋体２３００の軸部２２１０の開口２２１１を覆う部分を除く領域に、第１貫通穴２３１３ａが設けられた突起部２３１１を設けているので、例えば、洗濯運転時に、洗濯物をゴシゴシ洗う効果を得ることができる。また、突起部２３１１に２第１貫通穴３１３ａを設けているので、例えば、洗濯運転時に、洗濯物が突起部２３１１に強く押し当てられたとしても、第１貫通穴２３１３ａを介してスクリュー２２００により発生させた水流が洗濯物に効率よく作用して、蓋体２３００に付着した洗濯物の布離れがよくなる。これにより、洗濯物の布地と突起部２３１１とがぶつかることによる布傷みの増加を抑制できる。

　また、ドーム部２３１０の表面の中央部に、撹拌翼本体２１００の軸方向に突出する突出部２３１４を設けている。突出部２３１４を設けることで、洗濯またはすすぎ運転時に、突出部２３１４が洗濯物の間に楔のように打ち込まれ、洗濯物を分離させる。このため、洗濯またはすすぎ運転中に、洗濯物が絡むのを防止でき、洗浄効果を高めることができる。

　なお、蓋体２３００は、撹拌翼本体２１００に取り付けたときに、スクリュー２２００のブレード２２２０、２２３０、２２４０、２２５０の第１圧力面２２２１、２２３１、２２４１、２２５１の上端、すなわち、ブレード２２２０、２２３０、２２４０、２２５０の正回転方向（脱水回転方向の逆の方向）の後縁側の近傍に位置するように、複数の貫通穴２３１３が形成されている。このため、洗濯またはすすぎ運転時に、スクリュー２２００により生成された水流の勢いが低減されることなく、上昇する水流ｆ５が発生するようになっている。なお、貫通穴２３１３は、少なくとも１つ形成されていればよい。

　ところで、撹拌翼２００２の回転により洗濯水の流れが発生すると、撹拌翼本体２１００の表面上に洗濯水の境界層が生じる場合がある。この境界層には、粘性の高い領域が存在しており、洗濯水の摩擦抵抗を増加させる原因となる。しかしながら、撹拌翼本体２１００の表面にリブ２１０２、２１０３を設けることによって、境界層を破壊して、洗濯水の摩擦抵抗の増加を防ぐことができる。

　また、リブ２１０２、２１０３の間には、洗濯水の一部が渦となり停滞して停滞部(渦)が形成される。停滞部は、その上方を流れる洗濯水にベアリング効果を与えるため、撹拌翼本体２１００の表面上を流れる洗濯水の摩擦抵抗が、リブ２１０２、２１０３を設けることにより増加しないようにしている。

　（第１０実施形態）
　本発明の第１０実施形態の洗濯機用の撹拌翼は、スクリュー２２００のブレード２２２０、２２３０、２２４０、２２５０の第２圧力面が、逆回転方向（脱水回転方向）に回転したときに、撹拌翼本体２１００の表面側から撹拌翼本体２１００の裏面側に向かって軸方向に下降する流体流が発生するように傾斜している点で、第１実施形態の撹拌翼２００２と異なっている。なお、第９実施形態と同じ部分には、同じ番号を付して説明を省略する。

　このように、撹拌翼が脱水回転方向に回転したときに、撹拌翼本体２１００の表面側から撹拌翼本体２１００の裏面側に向かって軸方向に下降する流体流が発生するように傾斜している第２圧力面を設けているので、回転方向により異なる方向の流体流が生成される。このため、例えば、洗濯運転時には、被撹拌物の軸方向の上下動が強化されるので、高い洗浄効果が発揮される。

　また、撹拌翼本体２１００の表面側から撹拌翼本体２１００の裏面側に向かって、軸方向に下降する洗濯水の流れが強化されるので、スクリュー２２００に付いた洗剤粕あるいは糸屑等が洗濯水の下降流で効率よく取り除かれる。このため、収納部２１１０内の清掃およびメンテナンスが容易になる。なお、取り除かれた洗剤粕等は、収納部２１１０の底の底開口部２１１７を介して、収納部２１１０内から撹拌翼本体２１００の裏面側に排出される。

　（第１１実施形態）
　本発明の第１１実施形態の洗濯機用の撹拌翼は、収納部２１１０の側壁２１１０ａに側方開口部を設けていない点で、第９実施形態の撹拌翼２と異なっている。なお、第９実施形態と同じ部分には、同じ番号を付して説明を省略する。

　このように、収納部２１１０の側壁２１１０ａに側方開口部を設けないことで、収納部２１１０内に流入する洗濯水の流量は、第９実施形態の撹拌翼２００２と比較して少なくなるが、その代わりに、収納部２１１０の底の底開口部２１１７から収納部２１１０内に流入した洗濯水が、撹拌翼の回転に伴って発生する遠心力によって径方向に逃げるのを防止できる。従って、この第１１実施形態の撹拌翼であっても、スクリュー２２００の回動により生成される撹拌翼本体２１００の裏面側から撹拌翼本体２１００の表面側に向かう軸方向の上昇水流ｆ５を強化でき、洗濯水中の流れに乗る洗濯物を強力に撹拌することができる。

　（その他の実施形態）
　上記第９～第１１実施形態では、撹拌翼本体２１００とスクリュー２２００とを別体として形成し、スクリュー２２００を収納部２１１０内に取り付けて一体化しているが、これに限らず、撹拌翼本体とスクリューとを一体に形成してもよい。これにより、スクリューを収納部内に取り付ける工程を省略できるので、生産性を高めることができる。また、撹拌翼本体とスクリューとを一体に形成することで、撹拌翼の回転軸部分の強度を高めることができる。

　上記第９～第１１実施形態では、スクリュー２２００の軸部２２１０が、軸方向に直交する円形断面の面積が徐々に大きくなるように形成された筒形状を有しているが、これに限らない。軸部は、軸方向に直交する断面の形状が多角形であってもよいし、筒形状でなくてもよい。

　スクリュー２２００のブレード２２２０、２２３０、２２４０、２２５０は、設ける枚数に応じて、任意の角度毎に間隔を空けて設けることができる。また、底開口部２１１７は、隣接するブレード２２２０、２２３０、２２４０、２２５０の間に配置されていればよく、任意の角度毎に間隔を空けて設けることができる。

　〔洗浄性能の評価試験〕
　本発明者は、上記第５実施形態の撹拌翼において洗浄性能を評価するため、スクリューの大きさを変化させながら試験を行った。この評価試験では、スクリューを設けていない撹拌翼を比較例とし、０.５ｋｇの洗濯物を８５ｒｐｍで所定時間回転させて洗浄率を測定して比較すると共に、４.５ｋｇの洗濯物を８５ｒｐｍで所定時間回転させて洗浄率を測定して比較した。

　この洗浄性能の評価は、ＪＩＳ規格の規格番号「ＪＩＳ　Ｃ　９６０６」の方法に従って行い、洗浄前後の汚染布の反射率から洗浄率を算出した。

　ここで、洗浄率とは、ＪＩＳ規格の規格番号「ＪＩＳ　Ｃ　９６０６」で規定される標準洗濯機で洗濯した洗浄度を基準として、各洗濯機で測定した洗浄度を比率で示したものである。また、洗濯物は、１枚１００ｇの試験布を５枚(負荷０.５ｋｇ)または１枚５００ｇの試験布９枚(負荷４.５ｋｇ)使用して実施した。

　図３０は洗浄性能の評価におけるスクリューの占める割合と洗浄率の比との関係を示している。このグラフでは、横軸はスクリューの占める割合(スクリューの直径／撹拌翼の直径)を表し、縦軸は洗浄率の比(スクリューを設けた撹拌翼の洗浄率／スクリューを設けていない撹拌翼の洗浄率)を表す。

　これによると、スクリューの占める割合が０.５までは、スクリューを設けることにより洗浄率が強化されるが、スクリューの占める割合が０.５を超えると急激に洗浄率は低下する。

　より望ましくは、０.５ｋｇ時に１０％以上の効果が得られる０.１８～０.３２の範囲にスクリューの占める割合を設定することにより、明らかな洗浄率の向上が得られる。

　なお、図３０のグラフに用いた詳細データを図３１,図３２に示している。この図３１は洗濯物０.５ｋｇにおける洗浄率と洗浄率の比を示し、図３２は洗濯物４.５ｋｇにおける洗浄率と洗浄率の比を示す。ここで、撹拌翼の直径は４００ｍｍである。

　この発明および実施形態をまとめると、次のようになる。

　この発明の撹拌翼１００,２００,３００,４００,５００,８００は、
　少なくとも一面に配されて軸方向に突出した羽根部１１０,１２０,２１０,２２０,３０１,４０１,５１０,５２０,８１０,８２０と、上記羽根部１１０,１２０,２１０,２２０,３０１,４０１,５１０,５２０,８１０,８２０に対して周方向に隣接した凹部１０２,２０２,５０２,８０２とを備え、回転によって流体を撹拌する撹拌翼１００,２００,３００,４００,５００,８００であって、
　上記羽根部１１０,１２０,２１０,２２０,３０１,４０１,５１０,５２０,８１０,８２０の回転方向の前縁側に径方向に間隔をあけて並ぶように設けられ、上記流体が衝突する複数の突起部１１１,１２１,１２２,２１１,２２１,３１１,４１１,５１１,５２１,８１１,８２１を有することを特徴とする。

　上記構成によれば、撹拌翼１００,２００,３００,４００,５００,８００自体の回転によって流体が衝突する羽根部１１０,１２０,２１０,２２０,３０１,４０１,５１０,５２０,８１０,８２０の前縁側に、径方向に間隔をあけて並ぶように複数の突起部１１１,１２１,１２２,２１１,２２１,３１１,４１１,５１１,５２１,８１１,８２１を設けることによって、各突起部１１１,１２１,１２２,２１１,２２１,３１１,４１１,５１１,５２１,８１１,８２１から下流に向かって縦渦が形成される。この縦渦により流体に対して揚力が発生する。この流体に対する揚力とは、羽根部１１０,１２０,２１０,２２０,３０１,４０１,５１０,５２０,８１０,８２０の上側を流れる流体が下流側で剥離しないように抑え込む力である。これにより、簡単な構成で流体の流れを強化することにより、流体中の流れに乗る被撹拌物をより強力に撹拌することができる。

　例えば、上記複数の突起部１１１,１２１,１２２,２１１,２２１,３１１,４１１,５１１,５２１,８１１,８２１は、剥離ポイントとなる羽根部１１０,１２０,２１０,２２０,３０１,４０１,５１０,５２０,８１０,８２０の軸方向最大高さ位置から流れのやや上流側、すなわち最大高さ位置から周方向片側に寄った位置に設ける。

　なお、上記羽根部１１０,１２０,２１０,２２０,３０１,４０１,５１０,５２０,８１０,８２０の回転方向の前縁側に複数の突起部１１１,１２１,１２２,２１１,２２１,３１１,４１１,５１１,５２１,８１１,８２１を設けたが、正回転と逆回転が可能な撹拌翼では、正回転時は羽根部の正回転方向の前縁側に複数の突起部を設け、逆回転時は羽根部の逆回転方向の前縁側に複数の突起部を設ければよい。また、上記羽根部は、少なくとも一面に配されて軸方向に突出した１または複数の隆起部であってもよい。

　上記複数の突起部１１１,１２１,１２２,２１１,２２１,３１１,４１１,５１１,５２１,８１１,８２１は、流体がぶつかって最も撹拌に寄与する箇所(隆起する羽根部１１０,１２０,２１０,２２０,３０１,４０１,５１０,５２０,８１０,８２０の最も高い箇所や壁のように立ち上がった部分等)に設けて、敢えて流体を各突起部１１１,１２１,１２２,２１１,２２１,３１１,４１１,５１１,５２１,８１１,８２１にぶつけることによって凹凸形状の凸部(突起部１１１,１２１,１２２,２１１,２２１,３１１,４１１,５１１,５２１,８１１,８２１)から縦渦を形成することで新たな運動エネルギー(回転エネルギー)を流体に与えて、羽根部１１０,１２０,２１０,２２０,３０１,４０１,５１０,５２０,８１０,８２０からの剥離を物理的に抑え込み、それによって流体の流れを強化する。

　また、正逆反転する回転によって流体を撹拌する撹拌翼では、羽根部の回転方向の前縁側および後縁側の両方に複数の突起部を設けた場合は、どちらの回転方向においても流体の流れを強化できる。

　また、この発明の撹拌翼２００,３００,４００,５００,８００は、
　少なくとも一面に配されて軸方向に突出した羽根部２１０,２２０,３０１,４０１,５１０,５２０,８１０,８２０と、上記羽根部２１０,２２０,３０１,４０１,５１０,５２０,８１０,８２０に対して周方向に隣接した凹部２０２,５０２,８０２とを備え、回転によって流体を撹拌する撹拌翼２００,３００,４００,５００,８００であって、
　上記羽根部２１０,２２０,３０１,４０１,５１０,５２０,８１０,８２０に径方向に間隔をあけて並ぶように設けられ、上記流体が衝突する複数の突起部２１１,２２１,３１１,４１１,５１１,５２１,８１１,８２１を有し、
　上記複数の突起部２１１,２２１,３１１,４１１,５１１,５２１,８１１,８２１は、径方向内側から径方向外側に向かって、互いに隣接する上記突起部２１１,２２１,３１１,４１１,５１１,５２１,８１１,８２１の間隔が徐々に狭くなっている。

　上記構成によれば、撹拌翼２００,３００,４００,５００,８００自体の回転によって流体が衝突する羽根部１２０,２１０,２２０,３０１,４０１,５１０,５２０,８１０,８２０に、径方向に間隔をあけて並ぶように複数の突起部２１１,２２１,３１１,４１１,５１１,５２１,８１１,８２１を設けることによって、各突起部２１１,２２１,３１１,４１１,５１１,５２１,８１１,８２１から下流に向かって縦渦が形成される。この縦渦により流体に対して揚力が発生する。この流体に対する揚力とは、羽根部１２０,２１０,２２０,３０１,４０１,５１０,５２０,８１０,８２０の上側を流れる流体が下流側で剥離しないように抑え込む力である。これにより、簡単な構成で流体の流れを強化することにより、流体中の流れに乗る被撹拌物をより強力に撹拌することができる。

　また、上記複数の突起部２１１,２２１,３１１,４１１,５１１,５２１,８１１,８２１は、径方向内側から径方向外側に向かって、互いに隣接する突起部２１１,２２１,３１１,４１１,５１１,５２１,８１１,８２１の間隔が徐々に狭くなるようにすることによって、流体の平均の速さが大きい領域(径方向外側)と小さい領域(径方向内側)における撹拌翼２００,３００,４００,５００,８００表面のレイノルズ数が一定になるようにすることが可能になる。これにより、流体の撹拌翼２００,３００,４００,５００,８００に対する作用が均等になるので、撹拌翼２００,３００,４００,５００,８００表面の水流アップ効果が均等に得られる。

　また、この発明の撹拌翼２００,３００,４００,５００,８００は、
　少なくとも一面に配されて軸方向に突出した羽根部２１０,２２０,３０１,４０１,５１０,５２０,８１０,８２０と、上記羽根部２１０,２２０,３０１,４０１,５１０,５２０,８１０,８２０に対して周方向に隣接した凹部２０２,５０２,８０２とを備え、回転によって流体を撹拌する撹拌翼２００,３００,４００,５００,８００であって、
　上記羽根部１２０,２１０,２２０,３０１,４０１,５１０,５２０,８１０,８２０に径方向に間隔をあけて並ぶように設けられ、上記流体が衝突する複数の突起部２１１,２２１,３１１,４１１,５１１,５２１,８１１,８２１を有し、
　上記複数の突起部２１１,２２１,３１１,４１１,５１１,５２１,８１１,８２１は、径方向内側から径方向外側に向かって上記突起部２１１,２２１,３１１,４１１,５１１,５２１,８１１,８２１の大きさが徐々に小さくなっている。

　上記実施形態によれば、撹拌翼２００,３００,４００,５００,８００自体の回転によって流体が衝突する羽根部１２０,２１０,２２０,３０１,４０１,５１０,５２０,８１０,８２０に、径方向に間隔をあけて並ぶように複数の突起部２１１,２２１,３１１,４１１,５１１,５２１,８１１,８２１を設けることによって、各突起部２１１,２２１,３１１,４１１,５１１,５２１,８１１,８２１から下流に向かって縦渦が形成される。この縦渦により流体に対して揚力が発生する。この流体に対する揚力とは、羽根部１２０,２１０,２２０,３０１,４０１,５１０,５２０,８１０,８２０の上側を流れる流体が下流側で剥離しないように抑え込む力である。これにより、簡単な構成で流体の流れを強化することにより、流体中の流れに乗る被撹拌物をより強力に撹拌することができる。

　また、上記複数の突起部２１１,２２１,３１１,４１１,５１１,５２１,８１１,８２１は、径方向内側から径方向外側に向かって上記突起部２１１,２２１,３１１,４１１,５１１,５２１,８１１,８２１の大きさが徐々に小さくなるようにすることによって、流体の平均の速さが大きい領域(径方向外側)と小さい領域(径方向内側)における撹拌翼２００,３００,４００,５００,８００表面のレイノルズ数が一定になるようにすることが可能になる。これにより、流体の撹拌翼２００,３００,４００,５００,８００に対する作用が均等になるので、撹拌翼２００,３００,４００,５００,８００表面の水流アップ効果が均等に得られる。

　また、一実施形態の撹拌翼２００,４００,５００,８００では、
　正逆反転する回転によって上記流体を撹拌する撹拌翼２００,４００,５００,８００であって、
　上記複数の突起部２１１,２２１,４１１,５１１,５２１,８１１,８２１は、上記羽根部２１０,２２０,４０１,５１０,５２０,８１０,８２０の正回転方向の前縁側または後縁側の一方に設けられている。

　上記実施形態によれば、正逆反転する回転によって流体を撹拌する撹拌翼２００,４００,５００,８００において、羽根部２１０,２２０,４０１,５１０,５２０,８１０,８２０の正回転方向の前縁側または後縁側の一方に複数の突起部２１１,２２１,４１１,５１１,５２１,８１１,８２１が設けられていることによって、複雑な流体流れを形成することができる。

　例えば、複数の突起部２１１,２２１,４１１,５１１,５２１,８１１,８２１を、羽根部２１０,２２０,４０１,５１０,５２０,８１０,８２０の正回転方向の前縁側のみに設けた場合、正回転方向の流体の流れが強化される一方、逆回転方向では、流体の流れが強化されないので、回転方向によって異なる流体流れを作り出すことが可能になり、より複雑な流体流れを形成できる。特に撹拌翼２００,４００,５００,８００を用いた洗濯機において、このような複雑な流体流れにより洗剤などが溶けやすくなり、洗浄力を向上できる。

　また、一実施形態の撹拌翼３００では、
　上記羽根部３０１は、少なくとも一面に配されて軸方向に突出した１または複数の隆起部であり、
　上記複数の突起部３１１は、上記隆起部の径方向に延びる稜線上に並ぶように設けられている。

　上記実施形態によれば、羽根部３０１としての隆起部の径方向に延びる稜線上に並ぶように複数の突起部３１１を設けることによって、各突起部３１１から下流に向かって縦渦が形成され、この縦渦により流体に対して揚力が発生する。この流体に対する揚力とは、隆起部の上側を流れる流体が下流側で剥離しないように抑え込む力である。これにより、簡単な構成で流体の流れを強化することにより、流体中の流れに乗る被撹拌物をより強力に撹拌することができる。

　上記撹拌翼３００において隆起部が１つの場合、隆起部の周方向における一端部から回転中心に対して周回しつつ徐々に高さが低くなって凹部３０２に至り、さらに周回しつつ徐々に高さが高くなって隆起部の周方向における他端部に連なる。また、上記撹拌翼３００において隆起部が複数の場合、複数の隆起部のうちの１つの隆起部から回転中心に対して周回しつつ徐々に高さが低くなって凹部３０２に至り、さらに周回しつつ徐々に高さが高くなって上記複数の隆起部のうちの他の隆起部に連なる。

　また、一実施形態の撹拌翼４００では、
　上記羽根部４０１は、少なくとも一面に配されて軸方向に突出した１または複数の隆起部であり、
　上記複数の突起部４１１は、上記隆起部の径方向に延びる稜線に対して周方向の一方に間隔をあけてかつ上記稜線に沿うように設けられている。

　上記実施形態によれば、羽根部４０１としての隆起部の径方向に延びる稜線に対して周方向の一方に間隔をあけてかつ稜線に沿うように複数の突起部４１１を設けることによって、正逆反転する回転をすることで複雑な流体流れを形成することができる。

　上記実施形態の撹拌翼４００において、隆起部が１つの場合、隆起部の周方向における一端部から回転中心に対して周回しつつ徐々に高さが低くなって凹部４０２に至り、さらに周回しつつ徐々に高さが高くなって隆起部の周方向における他端部に連なる。また、上記実施形態の撹拌翼４００において、隆起部が複数の場合、複数の隆起部のうちの１つの隆起部から回転中心に対して周回しつつ徐々に高さが低くなって凹部４０２に至り、さらに周回しつつ徐々に高さが高くなって上記複数の隆起部のうちの他の隆起部に連なる。

　また、一実施形態の撹拌翼５００,８００では、
　上記撹拌翼５００,８００の中央部分に設けられ、上記撹拌翼５００,８００と共に一体となって回転することにより上下方向の流体流れを発生する流体流発生部６００,９００を備えた。

　上記実施形態によれば、撹拌翼５００,８００の中央部分に設けられた流体流発生部６００,９００が撹拌翼５００,８００と共に一体となって回転することにより、上下方向の流体流れを発生する。これにより、撹拌翼５００,８００の中心側から吹き出す流体流れを生成することが可能になり、羽根部５１０,５２０,８１０,８２０に設けられた複数の突起部５１１,５２１,８１１,８２１によって強化された流体流れをさらに強化できる。

　なお、上記流体流発生部６００,９００は、プロペラやリボンスクリューなどの回転軸方向に流体の流れを生む推進装置であればよい。

　また、この発明の撹拌装置は、
　上記撹拌翼１００,２００,３００,４００,５００,８００と、
　上記撹拌翼１００,２００,３００,４００,５００,８００が回転可能に配置され、上記流体が貯留される撹拌槽３０と
を備えたことを特徴とする。

　上記構成によれば、撹拌槽３０内に配置された撹拌翼１００,２００,３００,４００,５００,８００が回転することにより、撹拌槽３０内の流体を効果的に撹拌することができる。

　また、この発明の洗濯機１は、
　上記撹拌装置を備えたことを特徴とする。

　上記構成によれば、撹拌槽３０内に配置された撹拌翼１００,２００,３００,４００,５００,８００が回転することにより、撹拌槽３０内の水流を強化して効果的に撹拌でき、流体中の流れに乗る洗濯物をより強力に撹拌して洗浄力を向上できる。

　また、この発明の撹拌翼５００,８００,１１００は、
　少なくとも一面に配されて軸方向に突出した羽根部５１０,５２０,８１０,８２０,１１０１と、上記羽根部５１０,５２０,８１０,８２０,１１０１に対して周方向に隣接した凹部５０２,８０２,１１０２とを有し、正逆反転する回転によって流体を撹拌する撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０と、
　上記撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０の中央部分に設けられ、上記撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０の裏面側と上面側との間に流路を形成する開口部５４０ａ,１１４０ａと
　上記撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０の中央部分かつ上記開口部５４０ａ,１１４０ａ上に配置され、上記撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０と共に一体となって回転することにより上下方向の流体流れを発生させる流体流発生部６００,９００,１２００と
を備えたことを特徴とする。

　上記構成によれば、撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０の正逆反転する回転によって、撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０の中央部分かつ開口部５４０ａ,１１４０ａ上に配置された流体流発生部６００,９００,１２００が撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０と共に一体となって回転する。例えば、撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０の正回転において、流体流発生部６００,９００,１２００により上方に向かって流体流れを発生させると、撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０の開口部５４０ａ,１１４０ａにより形成された流路を介して撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０の裏面側から上面側に流体が吹き出す。一方、撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０の逆回転において、流体流発生部６００,９００,１２００により下方に向かって流体流れを発生させると、撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０の開口部５４０ａ,１１４０ａにより形成された流路を介して撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０の上面側から裏面側に流体が吸い込まれる。このように、撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０の中心部分における上下方向の流体流れを発生することが可能となる。これまでの撹拌翼では発生できなかった中央部分からの吹き出し水流の発生によって、撹拌力が大幅に高まる。特に撹拌翼を用いた洗濯機では、このような上下方向の往復水流を発生させることにより、撹拌力を強化でき、洗剤などが溶けやすくなり、洗浄力を向上できる。

　また、一実施形態の撹拌翼５００,８００,１１００では、
　上記流体流発生部６００,９００,１２００は、複数のブレード６０２,９０２を有し、
　上記複数のブレード６０２,９０２は、上記撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０の回転方向の前縁側または後縁側の少なくとも一方が波形状である。

　上記実施形態によれば、回転する流体流発生部６００,９００,１２００のブレード６０２,９０２の前縁部または後縁側の少なくとも一方の複数の波形状の先端側から縦渦が発生して、各ブレード６０２,９０２で発生した縦渦同士がぶつかり合うことで溶媒に効率よく溶質を溶かすことができる。例えば、この撹拌翼５００,８００,１１００が用いられた洗濯機では、洗剤粉を効率よく撹拌して溶かし、洗浄効果を高めることができる。

　また、一実施形態の撹拌翼５００,８００,１１００では、
　上記流体流発生部６００,９００,１２００の上記複数のブレード６０２,９０２の波形状は、径方向内側から径方向外側に向かって、互いに隣接する波の間隔が徐々に狭くなっており、かつ、径方向内側から径方向外側に向かって上記波の大きさが徐々に小さくなっている。

　上記実施形態によれば、流体の平均の速さが大きい領域(径方向外側)と小さい領域(径方向内側)におけるブレード６０２,９０２表面のレイノルズ数が一定になるようにすることが可能になる。これにより、流体の流体流発生部６００,９００,１２００に対する作用が均等になるので、上下方向の往復流の効果も均等に得られる。

　また、一実施形態の撹拌翼５００,８００,１１００では、
　上記開口部５４０ａ,１１４０ａおよび上記流体流発生部６００,９００,１２００を覆うように、上記撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０に取り付けられた蓋体７００,１０００を備え、
　上記蓋体７００,１０００の表面に複数の突起部を設けると共に、上記蓋体７００,１０００の上記複数の突起部を除く領域に複数の貫通孔を設けた。

　上記実施形態によれば、蓋体７００,１０００の表面に複数の突起部を設けることによって、この撹拌翼５００,８００,１１００を用いた洗濯機では、洗濯物をゴシゴシ洗う効果が得られる。また、蓋体７００,１０００の複数の突起部を除く領域に複数の貫通孔を設けることによって、流体流発生部６００,９００,１２００により発生させる上下方向の往復流が蓋体７００,１０００に妨げられない。

　また、一実施形態の撹拌翼５００,８００では、
　上記羽根部１１０,１２０,２１０,２２０,３０１,４０１,　上記羽根部５１０,５２０,８１０,８２０の回転方向の前縁側に径方向に間隔をあけて並ぶように設けられ、上記流体が衝突する複数の突起部５１１,５２１,８１１,８２１を有する。

　上記実施形態によれば、各突起部５１１,５２１,８１１,８２１から下流に向かって縦渦が形成され、この縦渦により流体に対して揚力が発生する。この流体に対する揚力とは、羽根部５１０,５２０,８１０,８２０の上側を流れる流体が下流側で剥離しないように抑え込む力である。これにより、簡単な構成で流体の流れを強化することにより、流体中の流れに乗る被撹拌物をより強力に撹拌することができる。

　また、この発明の撹拌装置は、
　上記撹拌翼５００,８００,１１００と、
　上記撹拌翼５００,８００,１１００が回転可能に配置され、上記流体が貯留される撹拌槽３０と
を備えたことを特徴とする。

　上記構成によれば、撹拌槽３０内に配置された撹拌翼５００,８００,１１００が回転することにより、流体流発生部６００,９００,１２００により撹拌槽３０内に上下方向の往復流を発生させて、溶媒に効率よく溶質を溶かすことができる。

　上記構成によれば、撹拌槽３０内に配置された撹拌翼５００,８００,１１００が回転することにより、粉末洗剤や洗濯石鹸などを速やかに水に溶かすことができる。これによって、黒カビや雑菌などの繁殖を抑止できると共に、洗濯水に含まれる洗剤の濃度を高めて洗浄力を向上できると共に、上下方向の往復水流によって衣類に伝達する機械力を高めることができ、洗濯能力を大幅に向上できる。

　この発明の洗濯機用の撹拌翼は、
　回転によって水と洗濯物を撹拌する羽根部５１０,５２０,８１０,８２０,１１０１を有する撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０と、
　上記撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０の中央部分に配置され、上記撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０と共に一体となって回転する撹拌翼部６００,９００,１２００と、
　上記洗濯物と上記撹拌翼部６００,９００,１２００との接触を防ぐように上記撹拌翼部６００,９００,１２００を覆う蓋体７００,１０００と
を備え、
　上記撹拌翼部６００,９００,１２００は、水にせん断力を与える複数のブレード６０２,９０２を有すると共に、
　上記蓋体７００,１０００は、複数の貫通孔７０４を有することを特徴とする。

　上記構成によれば、回転する撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０の羽根部５１０,５２０,８１０,８２０,１１０１によって水と洗濯物を撹拌するとき、撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０の中央部分に配置された撹拌翼部６００,９００,１２００が撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０と共に一体となって回転して、撹拌翼部６００,９００,１２００の複数のブレード６０２,９０２が水にせん断力を与える。これにより、撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０によって生じた回転方向の流れと撹拌翼部６００,９００,１２００によって生じたせん断方向の流れとが混ざり合う複雑な流れが生じて撹拌力が高まるので、粉末洗剤や洗濯石鹸などを効率よく溶かすことができる。このとき、撹拌翼部６００,９００,１２００の複数のブレード６０２,９０２を蓋体７００,１０００が覆うことにより、洗濯物と撹拌翼部６００,９００,１２００との接触が防がれる。したがって、撹拌翼部６００,９００,１２００を駆動する機構を別に設けることなく、簡単な構成で、衣類へのダメージを抑えつつ、粉末洗剤や洗濯石鹸などを速やかに溶かすことができる。また、粉末洗剤や洗濯石鹸などの溶け残りを防止することにより、黒カビや雑菌などの繁殖を抑止できると共に、洗浄液に含まれる洗剤の濃度を高めて洗浄力を向上できる。

　また、一実施形態の洗濯機用の撹拌翼では、
　上記撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０の上記羽根部５１０,５２０,８１０,８２０,１１０１のエッジＥＧ２のアールＲが２ｍｍ以上で、かつ、上記撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０の直径が３００ｍｍ以上である。

　上記実施形態によれば、撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０の羽根部５１０,５２０,８１０,８２０,１１０１のエッジＥＧ２のアールＲを２ｍｍ以上とし、かつ、撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０の直径を３００ｍｍ以上にすることによって、衣類に接触する撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０の撹拌力を高めつつ、布が羽根部５１０,５２０,８１０,８２０,１１０１に引っ掛かって傷むのを防ぐことができる。

　また、一実施形態の洗濯機用の撹拌翼では、
　上記撹拌翼部６００,９００,１２００の上記複数のブレード６０２,９０２のエッジＥＧ１のアールＲが２ｍｍ以下で、かつ、上記撹拌翼部６００,９００,１２００の直径が上記撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０の直径の１／２以下である。

　上記実施形態によれば、撹拌翼部６００,９００,１２００の複数のブレード６０２,９０２のエッジＥＧ１のアールＲを２ｍｍ以上とし、かつ、撹拌翼部６００,９００,１２００の直径を撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０の直径の１／２以下にすることによって、蓋体７００,１０００に覆われた撹拌翼部６００,９００,１２００では、複数のブレード６０２,９０２が洗濯物と接触しないので、エッジのアールＲが２ｍｍ以下の複数のブレード６０２,９０２でより強力な水流を発生させることができる。

　また、撹拌翼部６００,９００,１２００は、粉末洗剤や洗濯石鹸などを溶けやすくする機能と、上下水流によって撹拌能力を上げる機能を有し、撹拌翼部６００,９００,１２００が大きい程、粉末洗剤や洗濯石鹸などを溶けやすくなるが、撹拌能力は、撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０の直径の１／２を超えると、撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０の洗浄力が低下してしまうので、撹拌翼部６００,９００,１２００の直径は撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０の直径の１／２以下が望ましい。

　また、一実施形態の洗濯機用の撹拌翼では、
　上記撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０の上記羽根部５１０,５２０,８１０,８２０,１１０１の幅Ｗ２が１０ｍｍ以上である。

　上記実施形態によれば、衣類に接触する撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０は、撹拌力を高めるために羽根部５１０,５２０,８１０,８２０,１１０１を鋭利に細くして多く設けると、布が引っ掛かって傷んでしまうため、羽根部５１０,５２０,８１０,８２０,１１０１の幅Ｗ２を１０ｍｍ以上に設定するのがよい。

　また、一実施形態の洗濯機用の撹拌翼では、
　上記撹拌翼部６００,９００,１２００の上記複数のブレード６０２,９０２の幅Ｗ１が１０ｍｍ以下である。

　上記実施形態によれば、撹拌翼部６００,９００,１２００は蓋体７００,１０００で覆われているので、複数のブレード６０２,９０２の幅Ｗ１を１０ｍｍ以下にすることが可能になり、より軽量で動きやすくなって回転に必要な力を小さく抑えつつ、強力なせん断力を発生できる。

　また、一実施形態の洗濯機用の撹拌翼では、
　上記蓋体７００,１０００は、上記撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０の上記羽根部５１０,５２０,８１０,８２０,１１０１の径方向に延びる稜線の延長線に少なくとも一部が連なるように配置されている。

　上記実施形態によれば、撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０の羽根部５１０,５２０,８１０,８２０,１１０１の径方向に延びる稜線の延長線に少なくとも一部が連なるように、蓋体７００,１０００を配置することによって、洗濯物に対して蓋体７００,１０００が引っ掛かりにくく、撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０の羽根部５１０,５２０,８１０,８２０,１１０１と蓋体７００,１０００の境界付近の流れがスムーズになることで水流を強化できる。

　また、一実施形態の洗濯機用の撹拌翼では、
　上記蓋体７００,１０００の表面に複数の突起部７１０,７２０を設けると共に、
　上記複数の貫通孔７０４を上記蓋体７００,１０００の上記複数の突起部７１０,７２０を除く領域に設けた。

　上記実施形態によれば、蓋体７００,１０００の表面に設けられた複数の突起部７１０,７２０によって、洗濯物をゴシゴシ洗う効果(すなわち複数の突起部７１０,７２０により洗濯物を擦り洗いする効果)が得られる。

　また、蓋体７００,１０００の複数の突起部７１０,７２０を除く領域に複数の貫通孔７０４を設けることによって、撹拌翼部６００,９００,１２００により発生させる上下方向の往復水流が蓋体７００,１０００に妨げられない。

　また、一実施形態の洗濯機用の撹拌翼では、
　上記撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０と上記蓋体７００,１０００を一体に形成した。

　上記実施形態によれば、撹拌翼本体５０１,８０１,１１１０と蓋体７００,１０００を一体に形成したことによって、構造を簡略化でき、コストを低減できる。

　上記構成によれば、黒カビや雑菌などの繁殖を抑止できると共に、洗濯水に含まれる洗剤の濃度を高めて洗浄力を向上できる。

　本発明の洗濯機用の撹拌翼２００２は、
　回動によって流体を撹拌するための撹拌翼本体２１００と、
　上記撹拌翼本体２１００と共に一体となって回動するように上記撹拌翼本体２１００に設けられた撹拌翼部２２００と
を備え、
　上記撹拌翼本体２１００が、表面の中央部に配置され、軸方向に設けられた側壁２１１０ａを有する凹形状の収納部２１１０と、この収納部２１１０の側壁２１１０ａから径方向の外側に延びる羽根部２１２０、２１３０とを有し、
　上記撹拌翼部２２００が、径方向の外側に向かって軸方向の高さが徐々に低くなるように形成されたブレード２２２０，２２３０，２２４０，２２５０を有し、上記収納部２１１０内に配置されていることを特徴としている。

　本発明の洗濯機用の撹拌翼２００２によれば、例えば、洗濯またはすすぎ運転時に、糸屑等がブレード２２２０、２２３０、２２４０、２２５０に付着し難くなるので、糸屑等が撹拌翼部２００に付着することに起因する不具合の発生を防止できる。

　また、一実施形態の洗濯機用の撹拌翼２は、
　上記ブレード２２２０、２２３０、２２４０、２２５０が、脱水回転方向に対して逆の方向に回転させたときに、上記撹拌翼本体２１００の裏面側から表面側に向かって軸方向に上昇する流体流が発生する形状を有している。

　上記実施形態によれば、撹拌翼部２２００の回動に伴って発生する上記撹拌翼本体２１００の裏面側から表面側に向かって軸方向に上昇する流体流ｆ５を強化できる。また、脱水回転時に、撹拌翼部２２００の表面に付着した糸屑または汚れを効率よく取り除くことができるので、撹拌翼部２２００に付着した糸屑等による不具合の発生を抑制できる。

　また、一実施形態の洗濯機用の撹拌翼２は、
　上記撹拌翼部２２００が、先端から上記収納部の底に向かって、軸方向に直交する断面の面積が徐々に大きくなるように形成された軸部２２１０を有している。

　上記実施形態によれば、撹拌翼部２２００の回動により生成される撹拌翼本体２１００の裏面側から表面側に向かって軸方向に上昇する流体流が、軸部２２１０の軸心に向かって導かれ、強化された強い水流を作ることができるので、流体流に乗る被撹拌物を強力に撹拌し、水流による洗浄効果を強化することができる。

　また、一実施形態の撹拌翼２００２は、
　上記側壁２１１０ａに、上記収納部２１１０内と上記羽根部２１２０、２１３０の裏側との間に流路を形成する側方開口部２１１１、２１１２、２１１３、２１１４が設けられている。

　上記実施状態によれば、収納部２１１０の側壁２１１０ａに、収納部２１１０内と羽根部２１２０、２１３０の裏側との間に流路を形成する側方開口部２１１１、２１１２、２１１３、２１１４を設けているので、側方開口部２１１１、２１１２、２１１３、２１１４を介して羽根部２１２０、２１３０の裏側から収納部２１１０内に流体を流入させたり、収納部２１１０内から羽根部２１２０、２１３０の裏側に流体を流出させたりすることができる。このため、撹拌翼部２２００の回動に伴って撹拌翼本体２１００の中央部に発生する軸方向の流体流を強化することができる。

　また、一実施形態の撹拌翼２００２は、
　上記収納部２１１０の底に、上記収納部２１１０内と上記収納部２１１０の裏側との間に流路を形成する底開口部２１１７が、隣接する上記ブレード２２２０、２２３０、２２４０、２２５０の間に設けられている。

　上記実施形態によれば、収納部２１１０の底に、収納部２１１０内と収納部２１１０の裏側との間に流路を形成する底開口部２１１７を設けている。これにより、収納部２１１０内への流体の流入量、および、収納部２１１０内から収納部２１１０の裏側への洗濯水の排出量が増加するので、撹拌翼部２２００の回動により生成される流体流を強化できる。また、底開口部２１１７が、隣接するブレード２２２０、２２３０、２２４０、２２５０の間に設けられている。これにより、底開口部２１１７を介して流出入する流体の流れが撹拌翼部２２００によって妨げられることがないので、収納部２１１０内への流体の流入量、および、収納部２１１０内から収納部２１１０の裏側への洗濯水の排出量を確実に増加でき、効率よく撹拌翼部２２００による水流発生効果を発揮することができる。

　また、一実施形態の撹拌翼２００２は、
　上記撹拌翼部２２００が、先端が開口した筒形状の軸部２２１０を有し、
　上記収納部２１１０の開口を覆うように、かつ、上記軸部２２１０の開口２２１１を塞ぐように、上記撹拌翼本体２１００に取り付けられた蓋体２３００を備えた。

　上記実施形態によれば、蓋体２３００の内部に糸屑等が侵入しても、この糸屑等が軸部２２１０の開口２２１１内に入り込み難くなる。このため、例えば、軸部２２１０の中央部に設けられ、スクリュー２２００と撹拌翼軸４５とを締結するためのねじ（図示せず）に糸屑等が付着し難くなるため、蓋体２３００が透明材料で形成されている場合に、糸屑等が軸部２２１０の開口２２１１内に入り込むことによる意匠性の低下および糸屑等が上記ねじに付着することによる不具合等を避けることができる。

　また、一実施形態の撹拌翼２００２は、
　上記軸部２２１０の開口２２１１を覆う部分を除く領域に、貫通穴２３１３が設けられた突起部２３１１を複数有している。

　上記実施形態によれば、軸部２２１０の開口２２１１を覆う部分を除く領域に、貫通穴２３１３が設けられた突起部２３１１を設けているので、例えば、洗濯運転時に、洗濯物をゴシゴシ洗う効果を得ることができる。また、突起部２３１１に貫通穴２３１３を設けているので、例えば、洗濯運転時に、洗濯物が突起部２３１１に強く押し当てられたとしても、第１貫通穴２３１３ａを介してスクリュー２２００により発生させた水流が洗濯物に効率よく作用して、蓋体２３００に付着した洗濯物の布離れがよくなる。これにより、洗濯物の布地と突起部２３１１とがぶつかることによる布傷みの増加を抑制できる。

　また、一実施形態の撹拌翼２００２は、
　上記ブレード２２２０、２２３０、２２４０、２２５０の脱水回転方向に対して逆の方向の後縁側の近傍に、上記貫通穴２３１３が設けられた上記突起部２３１１を配置した。

　上記実施形態によれば、撹拌翼部２２００の回動に伴って撹拌翼本体２１００の中央部に発生する軸方向の流体流の勢いを低減することなく、蓋体２３００を設けることができる。

　また、一実施形態の撹拌翼２００２は、
　上記蓋体２３００の中央部の上記軸部２２１０の開口２２１１を覆う部分の領域内に、上記撹拌翼本体２１００の軸方向に突出する突出部２３１４を設けた。

　上記実施形態によれば、撹拌翼２００２の回転中に、突出部２３１４が被撹拌物の間に楔のように打ち込まれ、これらを分離させる。このため、例えば、洗濯またはすすぎ運転中に、被撹拌物が絡むのを防止でき、洗浄効果を高めることができる。

　また、一実施形態の撹拌翼２００２は、
　上記収納部２１１０の底に、上記収納部２１１０内と上記収納部２１１０の裏側との間に流路を形成する底開口部２１１７が設けられていることを特徴としている。

　上記実施形態によれば、収納部２１１０内に流入した流体が、撹拌翼部２２００の回転に伴って発生する遠心力によって径方向に逃げるのを防止できる。このため、撹拌翼部２２００の回動により生成される軸方向の流体流を強化でき、流体中の流れに乗る被撹拌物をより強力に撹拌することができる。

　また、本発明の洗濯機１は、
　上記撹拌翼２００２と、
　上記撹拌翼２００２が回動可能に配置され、流体が貯留される撹拌槽３０と、
を備えたことを特徴としている。

　本発明の洗濯機１によれば、上記撹拌翼２００２によって、撹拌翼部２２００の回動に伴って撹拌翼本体２１００の中央部に発生する軸方向の流体流を強化することができるので、洗濯能力を向上できる。

　この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記第１～第８実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、上記第１～第１１実施形態およびその他の実施形態で述べた構成要素は、適宜、組み合わせてもよく、また、適宜、選択、置換、あるいは、削除してもよい。

　この発明は、流体を撹拌する撹拌翼、撹拌装置および洗濯機に利用することができる。

１…洗濯機
１０…外箱
１１…上面板
１２…ベース
１３…脚部
１４…洗濯物投入口
１５…上蓋
２０…水槽
３０…撹拌槽
３０ａ…底壁
３０ｂ…周壁
３１…脱水孔
３２…バランサ
４０…駆動ユニット
４１…モータ
４２…ベルト機構
４３…クラッチ・ブレーキ機構
４４…脱水軸
４５…撹拌翼軸
５１…接続管
６０…排水ホース
６１…排水口
６２…排水路
６３…シールホルダ
６６…排水空間
６７…排水孔
６８…排水弁
７０…制御部
１００,２００,３００,４００,５００,８００,１１００，２００２…撹拌翼
１００ａ,２００ａ,３００ａ…周縁部
１０２,２０２,５０２,８０２…凹部
１０３ａ,１０３ｂ,２０３ａ,２０３ｂ,５０３ａ,５０３ｂ,８０３ａ,８０３ｂ…リブ
１０４,２０４,３０４,５０４,８０４,２１０４…小孔
１０６,５０６…軸孔
１１０,１２０,２１０,２２０,３０１,４０１,５１０,５２０,８１０,８２０,１１０１…羽根部
１１１,１２１,１２２,２１１,２２１,３１１,４１１,５１１,５２１,８１１,８２１…突起部
１１７,１２７,５１７,５２７…溝部
１１７ａ,５１７ａ,５２７ａ…開放端
１１８,５１８,５２８…ブレード部
１３０,５３０…ボス部
２４０…貫通穴
３０１ａ,１１０１ａ…第１側壁
３０１ｂ,１１０１ｂ…第２側壁
３０１ｃ,１１０１ｃ…上壁
３０２,４０２,１１０２…底面部
５０１,８０１,１１１０,２１００…撹拌翼本体
５０１ａ,８０１ａ,１１１０ａ…周縁部
５４０,８４０,１１４０…スクリュー収納部
５４０ａ,１１４０ａ…開口部
５５０,８５０,１１５０…軸部
５５０ａ…キー
６００,９００,１２００…スクリュー
６０１,９０１…円筒部
６０１ａ,９０１ａ…軸穴
６０１ｂ,９０１ｂ…キー溝
６０２,９０２…ブレード
６０２ａ,９０２ａ…前縁部
７００,１０００…保護カバー
７０１…ドーム部
７０２…筒部
７０３…脚部
７０３ａ…係合爪
７０４…小孔
７１０…第１突起部
７２０…第２突起部
９０２ｂ…後縁部
２１０１　畝部
２１０２、２１０３　リブ
２１１０　収納部
２１１０ａ　側壁
２１１１、２１１２、２１１３、２１１４　側方開口部
２１１５　第１ボス部
２１１５ａ　軸孔
２１１６　取付孔
２１１７　底開口部
２１１８　係合受部
２１２０、２１３０　羽根部
２１２１、２１２２、２１２３、２１３１、２１３２、２１３３　溝部
２１２４、２１３４　突起
２１４０　第１ブレード部
２１４１　基部
２１４２　先端角部
２１５０　第２ブレード部
２１５１　円筒部
２１５２　先端角部
２２００　スクリュー
２２１０　軸部
２２１１、２２１２　開口
２２２０、２２３０、２２４０、２２５０　ブレード
２２２１、２２３１、２２４１、２２５１　第１圧力面
２２２１ａ、２２３１ａ、２２４１ａ、２２５１ａ　周方向端部
２２２２、２２３２、２２４２、２２５２　第２圧力面
２２２３、２２３３、２２４３、２２５３　外側面
２２２３ａ、２２３３ａ、２２４３ａ、２２５３ａ　切欠
２２２４、２２３４、２２４４、２２５４　上面
２２２５、２２３５、２２４５、２２５５　開口部
２２２６、２２４６　第２ボス部
２３００　蓋体
２３１０　ドーム部
２３１１　第１突起部
２３１２　第２突起部
２３１３　貫通穴
２３１３ａ　第１貫通穴
２３１３ｂ　第２貫通穴
２３１４　突出部
２３１５　環状封止部
２３２０　脚部
２３２１　スリット
２３３０　係合爪部

Claims

　少なくとも一面に配されて軸方向に突出した羽根部と、上記羽根部に対して周方向に隣接した凹部とを備え、回転によって流体を撹拌する撹拌翼であって、
　上記羽根部の回転方向の前縁側に径方向に間隔をあけて並ぶように設けられ、上記流体が衝突する複数の突起部を有することを特徴とする撹拌翼。
　少なくとも一面に配されて軸方向に突出した羽根部と、上記羽根部に対して周方向に隣接した凹部とを備え、回転によって流体を撹拌する撹拌翼であって、
　上記羽根部に径方向に間隔をあけて並ぶように設けられ、上記流体が衝突する複数の突起部を有し、
　上記複数の突起部は、径方向内側から径方向外側に向かって、互いに隣接する上記突起部の間隔が徐々に狭くなっていることを特徴とする撹拌翼。
　少なくとも一面に配されて軸方向に突出した羽根部と、上記羽根部に対して周方向に隣接した凹部とを備え、回転によって流体を撹拌する撹拌翼であって、
　上記羽根部に径方向に間隔をあけて並ぶように設けられ、上記流体が衝突する複数の突起部を有し、
　上記複数の突起部は、径方向内側から径方向外側に向かって上記突起部の大きさが徐々に小さくなっていることを特徴とする撹拌翼。
　請求項１から３までのいずれか１つに記載の撹拌翼において、
　正逆反転する回転によって上記流体を撹拌する撹拌翼であって、
　上記複数の突起部は、上記羽根部の正回転方向の前縁側または後縁側の一方に設けられていることを特徴とする撹拌翼。
　請求項２または３に記載の撹拌翼において、
　上記羽根部は、少なくとも一面に配されて軸方向に突出した１または複数の隆起部であり、
　上記複数の突起部は、上記隆起部の径方向に延びる稜線上に並ぶように設けられていることを特徴とする撹拌翼。
　請求項１から４までのいずれか１つに記載の撹拌翼において、
　上記羽根部は、少なくとも一面に配されて軸方向に突出した１または複数の隆起部であり、
　上記複数の突起部は、上記隆起部の径方向に延びる稜線に対して周方向の一方に間隔をあけてかつ上記稜線に沿うように設けられていることを特徴とする撹拌翼。
　請求項１から６までのいずれか１つに記載の撹拌翼と、
　上記撹拌翼が回転可能に配置され、上記流体が貯留される撹拌槽と
を備えたことを特徴とする撹拌装置。
　請求項７に記載の撹拌装置を備えたことを特徴とする洗濯機。
　少なくとも一面に配されて軸方向に突出した羽根部と、上記羽根部に対して周方向に隣接した凹部とを有し、正逆反転する回転によって流体を撹拌する撹拌翼本体と、
　上記撹拌翼本体の中央部分に設けられ、上記撹拌翼本体の裏面側と上面側との間に流路を形成する開口部と
　上記撹拌翼本体の中央部分かつ上記開口部上に配置され、上記撹拌翼本体と共に一体となって回転することにより上下方向の流体流れを発生させる流体流発生部と
を備えたことを特徴とする撹拌翼。
　請求項９に記載の撹拌翼において、
　上記流体流発生部は、複数のブレードを有し、
　上記複数のブレードは、上記撹拌翼本体の回転方向の前縁側または後縁側の少なくとも一方が波形状であることを特徴とする撹拌翼。
　請求項１０に記載の撹拌翼において、
　上記流体流発生部の上記複数のブレードの波形状は、径方向内側から径方向外側に向かって、互いに隣接する波の間隔が徐々に狭くなっており、かつ、径方向内側から径方向外側に向かって上記波の大きさが徐々に小さくなっていることを特徴とする撹拌翼。
　請求項９から１１までのいずれか１つに記載の撹拌翼と、
　上記撹拌翼が回転可能に配置され、上記流体が貯留される撹拌槽と
を備えたことを特徴とする撹拌装置。
　請求項１２に記載の撹拌装置を備えたことを特徴とする洗濯機。
　回転によって水と洗濯物を撹拌する羽根部を有する撹拌翼本体と、
　上記撹拌翼本体の中央部分に配置され、上記撹拌翼本体と共に一体となって回転する撹拌翼部と、
　上記洗濯物と上記撹拌翼部との接触を防ぐように上記撹拌翼部を覆う蓋体と
を備え、
　上記撹拌翼部は、水にせん断力を与える複数のブレードを有すると共に、
　上記蓋体は、複数の貫通孔を有することを特徴とする洗濯機用の撹拌翼。
　請求項１４に記載の洗濯機用の撹拌翼において、
　上記撹拌翼本体の上記羽根部のエッジのアールＲが２ｍｍ以上で、かつ、上記撹拌翼本体の直径が３００ｍｍ以上であることを特徴とする洗濯機用の撹拌翼。
　請求項１４または１５に記載の洗濯機用の撹拌翼において、
　上記撹拌翼部の上記複数のブレードのエッジのアールＲが２ｍｍ以下で、かつ、上記撹拌翼部の直径が上記撹拌翼本体の直径の１／２以下であることを特徴とする洗濯機用の撹拌翼。
　請求項１４から１６までのいずれか１つに記載の洗濯機用の撹拌翼において、
　上記蓋体の表面に複数の突起部を設けると共に、
　上記複数の貫通孔を上記蓋体の上記複数の突起部を除く領域に設けたことを特徴とする洗濯機用の撹拌翼。
　請求項１４から１７までのいずれか１つに記載の洗濯機用の撹拌翼を備えたことを特徴とする洗濯機。
　回動によって流体を攪拌するための攪拌翼本体と、
　上記攪拌翼本体と共に一体となって回動するように上記攪拌翼本体に設けられた攪拌翼部と
を備え、
　上記攪拌翼本体が、中央部に配置され、軸方向に設けられた側壁を有する凹形状の収納部と、この収納部の側壁から径方向の外側に延びる羽根部とを有し、
　上記攪拌翼部が、径方向の外側に向かって軸方向の高さが徐々に低くなるように形成されたブレードを有し、上記収納部内に配置されていることを特徴とする洗濯機用の攪拌翼。
　請求項１９に記載の洗濯機用の攪拌翼において、
　上記ブレードが、脱水回転方向に対して逆の方向に回転させたときに、上記攪拌翼本体の裏面側から表面側に向かって軸方向に上昇する流体流が発生する形状を有していることを特徴とする洗濯機用の攪拌翼。
　請求項１９または２０に記載の洗濯機用の攪拌翼において、
　上記攪拌翼部が、先端から上記収納部の底に向かって、軸方向に直交する断面の面積が徐々に大きくなるように形成された軸部を有していることを特徴とする洗濯機用の攪拌翼。
　請求項１９から２１のいずれか１つに記載の洗濯機用の攪拌翼において、
　上記側壁に、上記収納部内と上記羽根部の裏側との間に流路を形成する側方開口部が設けられていることを特徴とする洗濯機用の攪拌翼。
　請求項１９から２２のいずれか１つに記載の洗濯機用の攪拌翼において、
　上記収納部の底に、上記収納部内と上記収納部の裏側との間に流路を形成する底開口部が、隣接する上記ブレードの間に設けられていることを特徴とする洗濯機用の攪拌翼。
　請求項１９から２３のいずれか１つに記載の洗濯機用の攪拌翼において、
　上記攪拌翼部が、先端が開口した筒形状の軸部を有し、
　上記収納部の開口を覆うように、かつ、上記軸部の開口を塞ぐように、上記攪拌翼本体に取り付けられた蓋体を備えたことを特徴とする洗濯機用の攪拌翼。
　請求項２４に記載の洗濯機用の攪拌翼において、
　上記蓋体が、上記軸部の開口を覆う部分を除く領域に、貫通穴が設けられた突起部を複数有していることを特徴とする洗濯機用の攪拌翼。
　請求項２５に記載の洗濯機用の攪拌翼において、
　上記ブレードの脱水回転方向に対して逆の方向の後縁側の近傍に、上記貫通穴が設けられた上記突起部を配置したことを特徴とする洗濯機用の攪拌翼。
　請求項２４から２６のいずれか１つに記載の洗濯機用の攪拌翼において、
　上記蓋体の中央部の上記軸部の開口を覆う部分の領域内に、上記攪拌翼本体の軸方向に突出する突出部を設けたことを特徴とする洗濯機用の攪拌翼。
　請求項１９に記載の洗濯機用の攪拌翼において、
　上記収納部の底に、上記収納部内と上記収納部の裏側との間に流路を形成する底開口部が設けられていることを特徴とする洗濯機用の攪拌翼。
　請求項１９から２８のいずれか１つに記載の洗濯機用の攪拌翼と、
　上記攪拌翼が回動可能に配置され、流体が貯留される攪拌槽と、
を備えた洗濯機。