WO2016143375A1 - 情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび記録媒体 - Google Patents

Abstract

　情報処理装置（４００）は、電力消費体または電力消費体の使用者毎に、バッテリの劣化度に応じて予め定められた複数の区分のそれぞれに対して、当該区分に属するバッテリを使用したときの単位時間当たりに消費する電力量を示す平均電力を、当該区分に対応する前記貸出期間および前記消費電力量に基づいて算出する平均電力算出部（６０３）を備える。

Description

情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび記録媒体

　本発明は、バッテリ交換ステーションを利用する電力消費体について精度よく消費電力量の予測を行うことができる情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび記録媒体に関する。

　電気自動車に代表される電動車両等の電力消費体には、充放電可能なバッテリが備えられており、電動車両は、自宅や各地に設けられた充電ステーション等においてバッテリの充電を行っている。
　ここで、バッテリの充電は、次回電動車両が使用する消費電力量を予測し、予測した消費電力量に基づいて行われている。

　例えば、特許文献１には、単位距離当たりの消費電力量である電費に、走行距離を乗じることで消費電力量の予測を行う演算装置を備える電気自動車が開示されている。
　また、特許文献２には、ユーザの電動車両使用履歴に基づいて、次回使用される場合に最低限必要とされる充電量を推定する推定部を備える充電スケジュール管理装置が開示されている。

　ところで、近年、電気自動車等の電動車両のバッテリの残容量が少なくなった際に、ユーザの待機時間を抑制すべく、バッテリ交換方式（バッテリスワップ方式）が提案されている（例えば特許文献３参照）。このバッテリ交換方式では、電動車両に搭載されている状態の少残量のバッテリに対して充電を行うのではなく、バッテリ交換ステーションにおいて、電動車両に搭載されている少残量のバッテリを事前に充電済のバッテリに交換する。

特開２０１３－９０３６０号公報（２０１３年５月１３日公開） 特開２０１４－９６９２８号公報（２０１４年５月２２日公開） 特開２０１２－６５９１号公報（２０１２年１月１２日公開）

　上述したバッテリスワップ方式では、顧客によるバッテリの交換要求を受け付けるために、バッテリ交換ステーションに充電済みのバッテリを準備しておく必要がある。また、充電済みのバッテリには、顧客が必要とする消費電力量以上の容量を有している必要がある。そのためには、顧客が必要とする消費電力量を予測する必要がある。
　ここで、特許文献１および特許文献２では、バッテリと電動車両との組み合わせは毎回同じである。これに対して、バッテリスワップ方式では、複数の電動車両が複数のバッテリを使用するため、電動車両とバッテリとの組み合わせは毎回異なる。また、バッテリは使用に伴って劣化するものであり、劣化が進行するにつれ、出力可能な電流の最大値が低下する。

　そのため、新品のバッテリを使用した場合、出力可能な電流の最大値が大きく、単位時間当たりの使用電力量が多くなる。よって、劣化が進行したバッテリを使用した場合、新品のバッテリに比べて出力可能な電流値が低いため、単位時間当たりの使用電力量が少なくなることがある。このように、使用電力量は、バッテリの劣化度にも依存する。
　そのため、ある電動車両が同じ時間走行したとしても、異なるバッテリを使用することで毎回消費電力量が変化する。これにより、バッテリスワップ方式のように、バッテリと電動車両との組み合わせが入れ替わる場合においては、特許文献１および特許文献２の方法を用いたとしても、消費電力量を精度よく予測することは難しいという問題がある。

　本発明は上記の問題に鑑みて成されたものであり、その目的は、バッテリ交換ステーションを利用する電力消費体について精度よく消費電力量の予測を行うことができる情報処理装置を提供することにある。
（課題を解決するための手段）
　上記の課題を解決するために、本発明は、複数の電力消費体に対してバッテリの貸し出しを行うステーションの情報処理装置であって、ステーション内のバッテリが、バッテリの特性に応じて予め定められた複数の区分の何れに分類されており、履歴情報取得部と、平均電力算出部と、を備えている。履歴情報取得部は、電力消費体または電力消費体の使用者毎に、過去に貸し出したバッテリが属する区分と、当該バッテリの貸出期間と、当該貸出期間中に使用した消費電力量とを対応付けた履歴情報を取得する。平均電力算出部は、電力消費体または電力消費体の使用者毎に、複数の区分のそれぞれに対して、当該区分に属するバッテリを使用したときの単位時間当たりに消費する電力量を示す平均電力を、当該区分に対応する貸出期間および消費電力量に基づいて算出する。

　上記の構成によれば、バッテリを借り受ける顧客が単位時間当たりに消費する電力量を示す平均電力を、バッテリの特性に応じて予め定められた区分毎に、また、顧客毎に算出することができる。そのため、算出した平均電力に基づいて顧客が消費する電力量を予測することで、バッテリと電力消費体との組み合わせが入れ替わったとしても消費電力量を精度よく予測することが可能となる。

　さらに、本発明に係る情報処理装置は、バッテリを借り受ける予定期間を示す貸出予定期間を取得する貸出予定期間取得部と、貸出予定のバッテリを決定する貸出バッテリ決定部と、平均電力算出部が算出した平均電力の中から、貸出予定のバッテリが属する区分に対応し、かつ、バッテリを借り受ける電力消費体または電力消費体の使用者に対応する平均電力を特定し、特定した平均電力と貸出予定期間とに基づいて、電力消費体または電力消費体の使用者による貸出予定のバッテリの消費電力量を予測する予測部とを備えていてもよい。

　上記の構成によれば、貸出予定期間取得部と、予測部とを備えることで、バッテリの貸出の予約を行った顧客に対して、当該顧客がバッテリを借り受けている期間に消費する電力量を予測することができる。
　さらに、本発明に係る情報処理装置は、ステーションで消費される電力量の予測を行う期間を示す予測期間を取得する予測期間取得部と、電力消費体または電力消費体の使用者毎に、複数の区分のそれぞれに対して算出した平均電力の代表値を算出し、代表値と予測期間とに基づいて、当該電力消費体または電力消費体の使用者が予測期間に消費する消費電力量を予測する予測部を備えていてもよい。

　上記の構成によれば、予測部が予測した消費電力量に基づいて、ステーションにおける予測期間の消費電力量を予測することができる。
　さらに、本発明に係る情報処理装置は、予測期間取得部と、予測部と、をさらに備えていてもよい。予測期間取得部は、ステーションで消費される電力量の予測を行う期間を示す予測期間を取得する。予測部は、複数の区分毎に平均電力の代表値を算出し、代表値と予測期間とに基づいて、当該区分に属するバッテリを予測期間使用した場合の消費電力量を予測する。

　上記の構成によれば、予測部が予測した消費電力量に基づいて、ステーションにおける予測期間の消費電力量を予測することができる。
　さらに、本発明に係る情報処理装置は、複数の電力消費体に対してバッテリの貸し出しを行うステーションの情報処理装置であって、ステーション内のバッテリが、バッテリの特性に応じて予め定められた複数の区分の何れに分類されている。そして、本情報処理装置は、履歴情報取得部と、貸出バッテリ決定部と、平均電力算出部と、を備える。履歴情報取得部は、バッテリを借り受ける電力消費体または電力消費体の使用者に対して過去に貸し出したバッテリが属する区分と、当該バッテリの貸出期間と、当該貸出期間中に使用した消費電力量とを対応付けた履歴情報を取得する。貸出バッテリ決定部は、貸出予定のバッテリを決定する。平均電力算出部は、履歴情報の中から、貸出予定のバッテリが属する区分に対応する履歴情報を抽出し、抽出した履歴情報で示される貸出期間および消費電力量に基づいて、貸出予定のバッテリを使用するときの単位時間当たりに消費する電力量を示す平均電力を算出する。

　上記の構成によれば、バッテリを借り受ける顧客が、貸出予定のバッテリを使用した場合に、単位時間当たりに消費する電力量を示す平均電力を算出することができる。そのため、算出した平均電力に基づいて顧客が消費する電力量を予測することで、バッテリと電力消費体との組み合わせが入れ替わったとしても消費電力量を精度よく予測することが可能となる。

　さらに、本発明に係る情報処理装置は、貸出予定期間取得部と、予測部と、を備えていてもよい。貸出予定期間取得部は、バッテリを借り受ける予定期間を示す貸出予定期間を取得する。予測部は、平均電力算出部が算出した平均電力と貸出予定期間とに基づいて、電力消費体または電力消費体の使用者による貸出予定のバッテリの消費電力量を予測する。

　上記の構成によれば、貸出予定期間取得部と、予測部とを備えることで、バッテリの貸出の予約を行った顧客に対して、当該顧客がバッテリを借り受けている期間に消費する電力量を予測することができる。
　さらに、本発明に係る情報処理装置は、複数の区分が、バッテリの使用年数、バッテリの累積使用回数、およびバッテリの劣化状態を示すＳＯＨのうち少なくとも１つに基づいて設定されていてもよい。

　上記の構成によれば、バッテリを特性に応じた複数の区分に精度よく分類を行うことができる。そのため、消費電力量をより精度よく予測することが可能となる。
　さらに、本発明に係る情報処理装置は、平均電力算出部が、平均電力を算出する対象である電力消費体または電力消費体の使用者に対応し、かつ、平均電力を算出する対象である区分に対応する履歴情報が存在しない場合に、（１）他の電力消費体または電力消費体の使用者が、平均電力を算出する対象である区分に属するバッテリを使用した場合の平均電力、および、（２）平均電力を算出する対象である電力消費体または電力消費体の使用者が、他の区分に属するバッテリを使用した場合の平均電力、の少なくとも一方を用いて当該平均電力を算出してもよい。

　上記の構成によれば、バッテリの履歴情報が存在しない場合でも、平均電費を算出することができる。そのため、消費電力量の予測の精度を向上することが可能となる。
　さらに、本発明に係る情報処理方法は、複数の電力消費体に対してバッテリの貸し出しを行うステーションの情報処理方法であって、ステーション内のバッテリが、バッテリの特性に応じて予め定められた複数の区分の何れに分類されている。そして、本情報処理方法は、履歴情報取得ステップと、平均電力算出ステップと、を含む。履歴情報取得ステップは、電力消費体または電力消費体の使用者毎に、過去に貸し出したバッテリが属する区分と、当該バッテリの貸出期間と、当該貸出期間中に使用した消費電力量とを対応付けた履歴情報を取得する。平均電力算出ステップは、電力消費体または電力消費体の使用者毎に、複数の区分のそれぞれに対して、当該区分に属するバッテリを使用したときの単位時間当たりに消費する電力量を示す平均電力を、当該区分に対応する貸出期間および消費電力量に基づいて算出する。

　上記の構成によれば、上述した情報処理装置と同様の効果を奏し、バッテリを借り受ける顧客が単位時間当たりに消費する電力量を示す平均電力を、バッテリの特性に応じて予め定められた区分毎に、また、顧客毎に算出することができる。そのため、算出した平均電力に基づいて顧客が消費する電力量を予測することで、バッテリと電力消費体との組み合わせが入れ替わったとしても消費電力量を精度よく予測することが可能となる。

　さらに、本発明に係る情報処理方法は、複数の電力消費体に対してバッテリの貸し出しを行うステーションの情報処理方法であって、ステーション内のバッテリが、バッテリの特性に応じて予め定められた複数の区分の何れに分類されている。そして、本情報処理方法は、履歴情報取得ステップと、貸出バッテリ決定ステップと、平均電力算出ステップと、を含む。履歴情報取得ステップは、バッテリを借り受ける電力消費体または電力消費体の使用者に対して過去に貸し出したバッテリが属する区分と、当該バッテリの貸出期間と、当該貸出期間中に使用した消費電力量とを対応付けた履歴情報を取得する。貸出バッテリ決定ステップは、貸出予定のバッテリを決定する。平均電力算出ステップは、履歴情報の中から、貸出予定のバッテリが属する区分に対応する履歴情報を抽出し、抽出した履歴情報で示される貸出期間および消費電力量に基づいて、貸出予定のバッテリを使用するときの単位時間当たりに消費する電力量を示す平均電力を算出する。

　上記の構成によれば、上述した情報処理装置と同様の効果を奏し、バッテリを借り受ける顧客が、貸出予定のバッテリを使用した場合に、単位時間当たりに消費する電力量を示す平均電力を算出することができる。そのため、算出した平均電力に基づいて顧客が消費する電力量を予測することで、バッテリと電力消費体との組み合わせが入れ替わったとしても消費電力量を精度よく予測することが可能となる。

　また、本発明の情報処理装置は、コンピュータによって実現されてもよく、この場合には、コンピュータを情報処理装置が備える各部として動作させることにより、情報処理装置をコンピュータにて実現させるプログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
（発明の効果）
　本発明は、バッテリ交換ステーションを利用する電力消費体について精度よく消費電力量の予測を行うことができるという効果を奏する。

本発明の実施形態１に係る消費電力量予測システムの構成概略を示すブロック図である。 図１の消費電力量予測システムが備える情報処理装置の構成を示すブロック図である。 図２の情報処理装置が備える記憶部に保存されている履歴テーブルの一例を示す図である。 図２の情報処理装置が備える記憶部に保存されている区分テーブルの一例を示す図である。 図２の情報処理装置が備える記憶部に保存されている平均電力テーブルの一例を示す図である。 図２の情報処理装置が備える区分分類部による劣化区分の分類の一例を示す図である。 バッテリがバッテリ交換ステーションに返却された際の情報処理部の処理の流れを示すフローチャートである。 予約受付部に対してバッテリを交換したい顧客からの入力が行われた際の情報処理部の処理の流れを示すフローチャートである。 図２の情報処理装置が備える区分分類部による劣化区分の分類の他の一例を示す図である。 本発明の実施形態２に係る消費電力量予測システムの構成概略を示すブロック図である。 本発明の実施形態３に係る消費電力量予測システムの構成概略を示すブロック図である。

　〔実施形態１〕
　以下、本発明の情報処理装置の一実施形態について図に基づいて説明する。図１は、本実施形態に係る情報処理装置を備える消費電力量予測システムの概略構成を示すブロック図である。
　図１に示される消費電力量予測システム１００はバッテリ交換ステーション（ステーション）に設置されるものである。まず、本実施形態の前提事項としてバッテリ交換ステーションについて、説明する。

　バッテリ交換ステーションは、電動車両（電力消費体）に搭載されている少残量のバッテリを、事前に充電済のバッテリに交換するサービスを顧客（ドライバ（電力消費体の使用者））に提供する施設である。
　本実施形態のバッテリ交換ステーションのサービスを利用できる顧客としては、当該バッテリ交換ステーションを経営する業者と予め契約した会員のみに限定される。そして、バッテリ交換ステーションでは、バッテリ交換を必要とする電動車両に乗った顧客Ａ（勿論会員である）が入店すると、当該電動車両に搭載されている少残量のバッテリが予め用意されている充電済のバッテリに交換される。顧客Ａの電動車両から外された少残量のバッテリは、バッテリ交換ステーションに設置されている充電装置によって充電される。そして、そのバッテリは、後に来店するいずれかの顧客（顧客Ａに限定されない）の電動車両のバッテリ交換において充電済のバッテリとして用いるためにストックされる。つまり、本実施形態のバッテリ交換ステーションにて用いられる各バッテリは、単独の顧客に専ら用いられるのではなく、複数の顧客（会員）に使いまわされるようになっている。

　続いて図１の消費電力量予測システム１００を説明する。図１の消費電力量予測システム１００は、あるバッテリ交換ステーションに設置されているシステムである。図１に示されるように、消費電力量予測システム１００は、バッテリ３００との間で無線通信を行う通信装置２００と、顧客毎に平均電力を算出する情報処理装置４００とを備えている。なお、通信装置２００と情報処理装置４００とはネットワークを介して通信可能に接続されている。

　（１．　通信装置２００およびバッテリ３００の構成）
　バッテリ３００は、会員資格を有する顧客に貸し出されるバッテリであり、バッテリ交換作業において顧客の電動車両に取り付けられることによって顧客に貸し出され、バッテリ交換作業において顧客の電動車両から取り外されることによってバッテリが回収（返却）される。なお、バッテリ３００は、２次電池として機能するセル３０１を収容しているバッテリパッケージである。

　通信装置２００は、バッテリ交換作業において電動車両に取り付けられる直前の充電済のバッテリと通信を行い、また、当該バッテリ交換作業において電動車両から取り外されて回収されたバッテリと通信を行う装置である。なお、通信装置２００は、バッテリ３００を充電するための図示しない充電装置に組み込まれていてもよい。以下、通信装置２００およびバッテリ３００の構成を説明する。

　図１に示すように、バッテリ３００は、セル３０１の他、無線通信部３０２と、記憶部３０３と、制御部３０４と、ＳＯＨ計測部３０５と、ＳＯＣ計測部３０６とを少なくとも収容する。通信装置２００は、無線通信部２０１と、ＩＤ入力部２０２と、制御部２０３と、記憶部２０４とを備えている。
　まず、バッテリ３００側の構成を説明する。セル３０１は、バッテリ３００が搭載される電動車両のモータに対して電力を供給する２次電池である。なお、本実施形態のバッテリ交換ステーションでは、セル３０１は、バッテリ３００が電動車両から外されている間に、充電装置（不図示）によって充電される。

　無線通信部３０２は、通信装置２００の無線通信部２０１の通信可能エリアに入った時のみ、無線通信部２０１との間で無線通信を行うようになっているアンテナである。
　具体的には、通信装置２００における所定の通信位置にバッテリ３００が置かれると、バッテリ３００に構成される無線通信部３０２が無線通信部２０１の通信可能エリアに入る。これにより、無線通信部３０２と無線通信部２０１とが、無線通信可能に接続される。

　ＳＯＨ計測部３０５は、バッテリ３００が電気自動車へ着脱された等の所定タイミングにおいてバッテリ３００の劣化状態を示す指標であるＳＯＨ（Ｓｔａｔｅ　Ｏｆ　Ｈｅａｌｔｈ）を計測する計測装置である。ＳＯＨとは、（現時点の満充電容量／初期の満充電容量）を百分率（％）で示した値である。
　ＳＯＣ計測部３０６は、バッテリ３００が電気自動車へ着脱された等の所定タイミングにおいてバッテリ３００の充電状態を示す指標であるＳＯＣ（Ｓｔａｔｅ　Ｏｆ　Ｃｈａｒｇｅ）を計測する計測装置である。ＳＯＣとは、（現時点の蓄電量／現時点の満充電容量）を百分率（％）で示した値である。

　制御部３０４は、バッテリ３００が備えている各ハードウェアを制御する制御用集積回路である。
　記憶部３０３は、制御部３０４によって情報の記憶および読み出しが行われる記憶装置であり、バッテリ３００の識別情報を示すバッテリＩＤと導入年月日と貸出回数（累積使用回数）とバッテリの定格（初期の満充電容量）とが記憶されている。なお、記憶部３０３は、制御部３０４と別体で構成される記憶装置であってもよいし、制御部（制御用集積回路）３０５内に備えられる記憶装置であってもよい。

　次に、通信装置２００側の構成を説明する。無線通信部２０１は、前述したように、通信装置２００における所定の通信位置に置かれたバッテリ３００の無線通信部３０２との間で無線通信を行うアンテナである。
　ＩＤ入力部２０２は、バッテリ交換作業の対象となる顧客に固有の顧客ＩＤ（識別情報）を受け付ける装置である。ＩＤ入力部２０２は、例えば会員カードから顧客ＩＤを読み出すカードリーダであってもよいし、顧客ＩＤを示す番号を入力する入力装置（キーボード等）であってもよい。

　制御部２０３は、通信装置２００の各ハードウェアを制御するプロセッサ、ＲＡＭ、ＲＯＭ等からなるコンピュータである。制御部２０３としては、例えば汎用のパーソナルコンピュータを用いることができる。記憶部２０４は、制御部２０３にて処理された情報を保存するハードディスクまたは半導体メモリであり、制御部２０３に接続されていてもよいし、制御部２０３に組み込まれていてもよい。

　（２．　通信装置２００およびバッテリ３００の処理）
　次に、通信装置２００およびバッテリ３００にて行われる処理について具体的に説明する。以下では、まずバッテリ３００がバッテリ交換ステーションに導入される際の通信装置２００およびバッテリ３００の処理について説明する。
　次に、顧客Ａの電動車両のバッテリ交換作業において当該電動車両に取り付けられる前の充電済のバッテリ３００に対する通信装置２００の通信処理を説明する。その後、顧客Ａの電動車両のバッテリ交換作業において顧客Ａの電動車両から外されて回収（返却）されるバッテリ３００に対する通信処理を説明する。

　（２．１　バッテリ３００が導入される際の処理）
　本実施形態では、バッテリ３００の記憶部３０３には、バッテリＩＤと導入年月日と貸出回数（累積使用回数）とバッテリの定格とが記憶されている。この点について説明する。
　バッテリ３００がバッテリ交換ステーションに導入される際、バッテリ３００は、通信装置２００の所定の通信位置に置かれる。そして、通信装置２００からバッテリ３００に、バッテリＩＤ（バッテリ識別情報）、現時点の年月日を示す導入年月日（バッテリの導入年月日）、およびバッテリ３００の定格が送信される。

　バッテリ３００の制御部３０４は、受信したバッテリＩＤ、導入年月日、および定格を記憶部３０３に保存する。このとき、制御部３０４は、貸出回数をゼロとして、記憶部３０３に保存する。これにより、バッテリ交換ステーションにてバッテリ３００が使用され続ける間、バッテリＩＤ、導入年月日、バッテリの定格、および貸出回数が記憶部３０３に保存され続ける。

　次に、制御部３０４は、ＳＯＨ計測部３０５からＳＯＨの値を取得し、記憶部３０３から貸出回数（ここではゼロ）とバッテリＩＤとを読み出し、ＳＯＨの値と、貸出回数と、バッテリＩＤとを対応付けたバッテリ登録情報を、通信装置２００へ送信する。
　通信装置２００の制御部２０３は、バッテリ３００から受信したバッテリ登録情報を情報処理装置４００に送信する。

　（２．２　電動車両に取り付けられる前の充電済のバッテリに対する通信処理）
　顧客Ａがバッテリ交換のためにバッテリ交換ステーションに入店すると、バッテリ交換作業前に、顧客Ａの会員カードをＩＤ入力部２０２に読み取らせることにより、顧客Ａの顧客ＩＤが通信装置２００に入力される。これにより、通信装置２００の制御部２０３はバッテリ交換作業の対象となる顧客Ａの顧客ＩＤを検出する。

　また、顧客Ａの電動車両に対するバッテリ交換作業の前に、当該バッテリ交換作業において顧客Ａの電動車両に取り付けられようとする充電済のバッテリ３００は通信装置２００の所定の通信位置に置かれる。
　電動車両に取り付けられる前の充電済のバッテリ３００が当該通信位置に置かれると、通信装置２００の制御部２０３は、無線通信部２０１を介して、ＩＤ入力部２０２から入力された顧客ＩＤ（顧客Ａの顧客ＩＤ）をバッテリ３００側に送信する。なお、制御部２０３は、所定の通信位置に置かれたバッテリ３００が電動車両に取り付けられる前の充電済のバッテリ３００であるか否かを、当該バッテリ３００の記憶部３０３に顧客ＩＤが格納されているか否かで判断することができる。すなわち、制御部２０３は、所定の通信位置に置かれたバッテリ３００の記憶部３０３に顧客ＩＤが格納されていない場合に、当該バッテリ３００が電動車両に取り付けられる前の充電済のバッテリであると判断する。

　バッテリ３００の制御部３０４は、無線通信部３０２を介して、通信装置２００から送信されてくる顧客ＩＤを受信する。制御部３０４は受信した顧客ＩＤを記憶部３０３に保存する。
　制御部３０４は、ＳＯＣ計測部３０６からＳＯＣの値を取得し、ＳＯＨ計測部３０５からＳＯＨの値を取得し、記憶部３０３に記憶されているバッテリ３００の定格を読み出す。そして、制御部３０４は、定格（Ｗｈ）×ＳＯＨ（％）×ＳＯＣ（％）を演算し、演算結果を貸出時蓄電量として記憶部３０３に保存する。また、制御部３０４は、ＲＴＣ（リアルタイムクロック）に基づいて、貸出時点の日時を貸出時刻として記憶部３０３に保存する。

　このようにしてバッテリ３００の記憶部３０３に情報が書き込まれた後、顧客Ａの電動車両に対してバッテリ３００が取り付けられる。
　（２．３　電動車両から取り外されて回収（返却）されるバッテリに対する通信処理）
　顧客Ａの電動車両に搭載されているバッテリ３００の残量が僅かになり、顧客Ａがバッテリ交換のためにバッテリ交換ステーションに入店したものとする。なお、顧客Ａが入店すると、顧客Ａの会員カードをＩＤ入力部２０２に読み取らせることにより通信装置２００が顧客Ａの顧客ＩＤを入力する点や、バッテリ交換作業において顧客Ａの電動車両に取り付けられようとする充電済のバッテリに顧客Ａの顧客ＩＤが書き込まれる点は、前述した通りである。

　バッテリ交換作業によって顧客Ａの電動車両からバッテリ３００が外されて回収されると、回収済のバッテリ３００は通信装置２００の所定の通信位置に置かれる。回収済のバッテリ３００が当該通信位置に置かれると、通信装置２００の制御部２０３は、無線通信部２０１を介して、バッテリ３００に記憶されている情報の送信要求コマンドをバッテリ３００側に送信する。なお、制御部２０３は、所定の通信位置に置かれたバッテリ３００が回収済のバッテリであるか否かを、当該バッテリの記憶部３０３に顧客ＩＤが格納されているか否かで判断することができる。すなわち、制御部２０３は、所定の通信位置に置かれたバッテリ３００の記憶部３０３に顧客ＩＤが格納されている場合に、当該バッテリ３００が回収済のバッテリであると判断する。

　バッテリ３００の制御部３０４は、無線通信部３０２を介して送信要求コマンドを受信すると、ＳＯＣ計測部３０６からＳＯＣの値を取得する。そして、制御部３０４は、ＳＯＨ計測部３０５からＳＯＨの値を取得し、記憶部３０３に記憶されているバッテリ３００の定格を読み出す。さらに、制御部３０４は、定格（Ｗｈ）×ＳＯＨ（％）×ＳＯＣ（％）を演算し、返却時蓄電量を算出する。次に、制御部３０４は、記憶部３０３から貸出時蓄電量を読み出し、貸出時蓄電量と返却時蓄電量との差分である消費電力量を算出する。

　制御部３０４はまた、ＲＴＣ（リアルタイムクロック）に基づいて、返却時点の日時を返却時刻とし、さらに、記憶部３０３から貸出時刻を読み出し、貸出時刻と返却時刻との差から貸出期間を算出する。
　そして、制御部３０４は、記憶部３０３から、バッテリＩＤおよび顧客ＩＤを読み出す。制御部３０４は、読み出したバッテリＩＤと、顧客ＩＤと、算出した消費電力量と、貸出期間とを対応付けた使用情報を通信装置２００へ送信する。

　この送信の終了後、制御部３０４は、記憶部３０３に記憶されている顧客ＩＤ、貸出時蓄電量、および貸出時刻を消去し、記憶部３０３に記憶されている貸出回数に１を加算（インクリメント）する。
　さらに、制御部３０４は、記憶部３０３から貸出回数を読み出し、貸出回数と、ＳＯＨ計測部３０５から取得したＳＯＨの値と、読みだしたバッテリＩＤとを対応付けたバッテリ状態情報を通信装置２００へ送信する。

　通信装置２００の制御部２０３は、バッテリ３００から受信した使用情報およびバッテリ状態情報を記憶部２０４に一旦書き込む。
　これにより、バッテリ交換ステーションの通信装置２００は、バッテリ交換作業が行われる度に、バッテリ交換作業の対象となる顧客（会員）の顧客ＩＤと、バッテリ交換作業にて回収されたバッテリ３００がバッテリ交換作業の対象の電動車両に搭載されていた期間における当該バッテリ３００の消費電力量と、当該バッテリ３００の識別情報を示すバッテリＩＤと、当該バッテリ３００が貸し出されていた貸出期間とを対応付けて検出することが可能になる。

　そして、制御部２０３は、使用情報およびバッテリ状態情報を記憶部２０４から読み出して情報処理装置４００に送信するようになっている。
　（３．　情報処理装置４００の構成）
　次に、情報処理装置４００の構成を説明する。情報処理装置４００は、情報処理部４０１、記憶部４０２、予約受付部４０３を備える。情報処理装置４００は、バッテリを交換したい（借り受けたい）顧客から、顧客の識別情報を示す顧客ＩＤおよび当該顧客がバッテリを借り受けたい期間の入力が行われると、当該顧客ＩＤに対応する消費電力量を予測する装置である。

　（３．１　予約受付部の構成）
　予約受付部４０３は、バッテリ交換を予約したい顧客による顧客ＩＤの入力、および、当該顧客がバッテリを借り受けたい期間を示す貸出予定期間の入力を受け付けるブロックである。予約受付部４０３は、会員カードから顧客ＩＤを読み出すカードリーダ等のＩＤ入力装置に加えて、貸出予定期間を入力するための期間入力装置を備えている。なお、ＩＤ入力装置と期間入力装置とは、一体であってもよいし別体であってもよい。また、予約受付部４０３は、図示しない通信部を備え、顧客からネットワークを介して顧客ＩＤ、および貸出予定期間の入力を受け付けてもよい。予約受付部４０３は、入力された顧客ＩＤと貸出予定期間とを対応付けた予約情報を情報処理部４０１に対して出力する。

　（３．２　記憶部４０２の構成）
　図２は、情報処理装置４００が備える情報処理部４０１、記憶部４０２および予約受付部４０３の詳細構成を示すブロック図である。図２に示されるように、記憶部４０２には、区分テーブル８００、履歴テーブル８５０、および平均電力テーブル９００が保存されており、情報処理部４０１にて扱われる情報を保存するハードディスクまたは半導体メモリである。なお、記憶部４０２は、情報処理部４０１に外付けされていてもよいし、情報処理部４０１に組み込まれていてもよい。

　図３は、記憶部４０２に保存されている区分テーブル８００の一例を示す図である。図４に示すように、区分テーブル８００は、バッテリＩＤと、劣化度に応じて設定された複数の劣化区分のうち、当該バッテリＩＤで示されるバッテリ３００が属している劣化区分との対応関係を示すテーブルである。
　図４は、記憶部４０２に保存されている履歴テーブル８５０の一例を示す図である。図４に示すように、履歴テーブル８５０には、貸出履歴毎に、貸出先である顧客を識別する顧客ＩＤと、貸し出されたバッテリ３００の劣化度を示す指標である劣化区分と、貸出期間と、消費電力量とが対応付けられて記録されている。

　図５は、記憶部４０２に保存されている平均電力テーブル９００の一例を示す図である。図５に示すように、平均電力テーブル９００は、顧客ＩＤと、劣化区分と、当該顧客ＩＤで示される顧客に対して当該劣化区分のバッテリ３００を貸し出したときの、貸出期間中における単位時間当たりの消費電力量を示す値である平均電力との対応関係を示すテーブルである。

　（３．３　情報処理部４０１の構成）
　情報処理部４０１は、プロセッサ、ＲＡＭ、ＲＯＭ等からなるコンピュータであり、例えば汎用のパーソナルコンピュータを用いることができる。
　次に、情報処理部４０１について詳細に説明する。図２に示すように、情報処理部４０１は、少なくとも、区分分類部６０１、履歴テーブル更新部（履歴情報取得部）６０２、平均電力算出部６０３、予定情報設定部６０４、予測部６０５を備えている。なお、情報処理部４０１はハードウェアであるが、情報処理部４０１に含まれる各ブロック６０１～６０５は、情報処理部４０１が実行するソフトウェアの機能を示す機能ブロックである。

　区分分類部６０１は、バッテリ３００が導入されたタイミングまたはバッテリ３００が返却されたタイミング、つまり、貸出回数とＳＯＨの値とバッテリＩＤとが対応付けられたバッテリ登録情報またはバッテリ状態情報が通信装置２００から情報処理装置４００に送信されたタイミングで、記憶部４０２に保存されている区分テーブル８００の更新を行う。すなわち、区分分類部６０１は、バッテリ登録情報またはバッテリ状態情報に基づいて、バッテリＩＤと、当該バッテリＩＤで示されるバッテリ３００が属する劣化区分とを対応付けた区分情報を生成する。そして、区分分類部６０１は、記憶部４０２に保存されている区分テーブル８００を更新する。

　具体的には、区分分類部６０１は、予め設定されたＳＯＨの閾値および貸出回数の閾値と、受信したバッテリ登録情報またはバッテリ状態情報で示されるＳＯＨおよび貸出回数とをそれぞれ比較し、バッテリがどの劣化区分に属するかを特定する。
　図６は、区分分類部６０１による劣化区分の分類の一例を示す図である。図６に示される例では、ＳＯＨの閾値として８０％および７０％の２つの値が設定されており、貸出回数の閾値として５００回および１０００回の２つの値が設定されている。

　そのため、区分分類部６０１は、これら閾値と比較することで、ＳＯＨが（１）８０％以上、（２）７０％以上８０％未満、（３）７０％未満の何れであるかを判定する。そして、区分分類部６０１は、さらに貸出回数が、（ａ）５００回未満、（ｂ）５００回以上１０００回未満、（ｃ）１０００回以上の何れであるかを判定する。例えば、バッテリＩＤ「０１００１」で示されるバッテリ３００の貸出回数が７００回、ＳＯＨが８５％であることを示すバッテリ状態情報を取得した場合、区分分類部６０１は、バッテリＩＤ「０１００１」で示されるバッテリ３００が劣化区分「Ｙ」に属するバッテリであると特定する。

　区分分類部６０１は、このようにしてバッテリ登録情報またはバッテリ状態情報に含まれるバッテリＩＤで示されるバッテリ３００の劣化区分を特定し、バッテリＩＤと劣化区分とを対応付けた区分情報を生成する。そして、区分分類部６０１は、生成した区分情報を基に、記憶部４０２に保存されている区分テーブル８００を更新する。つまり、区分分類部６０１は、バッテリ状態情報を受信した場合には、生成した区分情報と同一のバッテリＩＤを区分テーブル８００から特定し、当該バッテリＩＤに対応する劣化区分を、生成した区分情報の劣化区分に書き換える。また、区分分類部６０１は、バッテリ登録情報を受信した場合には、生成した区分情報を区分テーブル８００に追加する。

　区分分類部６０１は、情報処理装置４００がバッテリ状態情報を受信し、区分テーブル８００の更新を終えた場合には、履歴テーブル更新部６０２に対して処理実行命令を送信する。また、区分分類部６０１は、情報処理装置４００がバッテリ登録情報を受信し、区分テーブル８００の更新を終えた場合には、これ以上処理を行わない。
　履歴テーブル更新部６０２は、区分分類部６０１から処理実行命令を受信すると、情報処理装置４００が受信した、バッテリＩＤと顧客ＩＤと貸出期間と消費電力量とが対応付けられた使用情報に基づいて、記憶部４０２に保存されている履歴テーブル８５０の更新を行う。

　具体的には、まず、履歴テーブル更新部６０２は、区分テーブル８００を参照し、受信した使用情報で示されるバッテリＩＤの劣化区分を特定する。次に、履歴テーブル更新部６０２は、特定した劣化区分と、使用情報で示される顧客ＩＤ、貸出期間および消費電力量とを対応付けた履歴情報を生成する。次に、履歴テーブル更新部６０２は、履歴情報で示される顧客ＩＤに対応する履歴テーブル８５０の最新貸出履歴を更新する。このとき、履歴テーブル８５０に当該顧客ＩＤに対応する最新貸出履歴が存在する場合には、既に存在する最新貸出履歴を１回前貸出履歴として記録し、以降同様に、ｎ回前貸出履歴をｎ＋１回前貸出履歴として記録することで履歴テーブル８５０を更新する。そのため、履歴テーブル８５０には、貸出回数毎に、顧客ＩＤと、貸出期間と、消費電力量と、劣化区分とが対応付けて記録されている。

　履歴テーブル更新部６０２は、履歴テーブル８５０の更新を終えると、更新後の履歴テーブル８５０から、すべての貸出履歴について、顧客ＩＤと、劣化区分と、貸出期間と、消費電力量とが対応付けられた履歴情報を取得し、平均電力算出部６０３に送信する。
　平均電力算出部６０３は、履歴テーブル更新部６０２から履歴情報を受信すると、当該履歴情報に基づいて、顧客ＩＤ毎かつ劣化区分毎に、当該顧客ＩＤが当該劣化区分のバッテリ３００を使用したときの単位時間当たり消費電力量の平均値を示す平均電力を求める。具体的には、平均電力算出部６０３は、顧客ＩＤ毎かつ劣化区分毎に、当該顧客ＩＤに対応し、かつ、当該劣化区分に対応する履歴情報で示される消費電力量を貸出期間で除算した値の平均値を、平均電力として算出する。

　ここで、ある顧客が、以前に何れかの劣化区分に属するバッテリ３００を使用していない場合がある。そのような場合には、当該顧客が他の劣化区分に属するバッテリを使用した場合の平均電力や、他の顧客が当該劣化区分に属するバッテリを使用した場合の平均電力を用いて補間することで平均電力を算出する。
　例えば、補間により算出する対象となっている、当該顧客が当該劣化区分に属するバッテリを使用した場合の平均電力をａとする。そして、当該顧客が他の劣化区分に属するバッテリを使用した場合の平均電力をｂ、他の顧客が当該劣化区分に属するバッテリを使用した場合の平均電力をｃ、他の顧客が他の劣化区分に属するバッテリを使用した場合の平均電力をｄとする。ここで、ａ：ｂ＝ｃ：ｄとの関係式を満たすと仮定し、ａ＝（ｂ×ｃ）/ｄの式からａを算出する方法が考えられる。

　具体的には、図５において、顧客ＩＤ「０００１」で示される顧客Ａは、劣化区分Ｙに属するバッテリ３００を使用したことが無いが、劣化区分ＸおよびＺに属するバッテリについては、過去に使用していたとする。また、顧客ＩＤ「０００２」で示される顧客Ｂ、および、顧客ＩＤ「０００３」で示される顧客Ｃは、劣化区分Ｘ，Ｙ，Ｚの何れについても過去に当該劣化区分に属するバッテリ３００を使用したことがあるとする。なお以下では、説明の便宜上、「顧客Ａが劣化区分Ｘに属するバッテリ３００を使用した場合の平均電力」を、「顧客Ａの劣化区分Ｘの平均電力」と略することがある。

　ここで、顧客Ａ，Ｂ，Ｃのそれぞれについて劣化区分Ｘ，Ｙ，Ｚの平均電力を算出する場合を考える。このとき、顧客ＩＤ「０００１」で示される顧客Ａが劣化区分Ｙに属するバッテリ３００を使用した場合の平均電力は、履歴テーブル８５０から直接算出することはできない。しかしながら、図５に示すように、顧客Ａの劣化区分Ｘおよび劣化区分Ｚの平均電力は、何れも、顧客Ｂの劣化区分Ｘおよび劣化区分Ｚの平均電力と、顧客Ｃの劣化区分Ｘおよび劣化区分Ｚの平均電力との間の値である。そのため、顧客Ａの劣化区分Ｙの平均電力についても、顧客Ｂの劣化区分Ｙの平均電力と、顧客Ｃの劣化区分Ｙの平均電力との間の値をとる事が推定される。

　また、顧客Ｂおよび顧客Ｃにおいては、何れも劣化区分Ｚ、劣化区分Ｙ、劣化区分Ｘの順で平均電力が大きくなっている（単位時間当たりの消費電力量が大きくなっている）。そのため、顧客Ａにおいても、この順で平均電力が大きくなることが推定され、さらに顧客Ｂおよび顧客Ｃにおいては何れも、劣化区分Ｙの平均電力は、劣化区分Ｘの平均電力と、劣化区分Ｚの平均電力との中間値である。そのため、顧客ＩＤ「０００１」で示される顧客Ａが劣化区分Ｙに属するバッテリ３００を使用した場合の平均電力を１２００Ｗであると推定することができる。このようにして過去の使用履歴が無い劣化区分に属するバッテリ３００を使用した場合の平均電力を補間により算出する。

　平均電力算出部６０３は、算出した平均電力と、顧客ＩＤと、劣化区分とを対応付けた平均電力情報を生成し、生成した平均電力情報に基づいて記憶部４０２の平均電力テーブル９００を更新する。
　予定情報設定部６０４は、貸出予定期間取得部６１４と、貸出バッテリ決定部６２４とを備える。

　貸出予定期間取得部６１４は、予約受付部４０３から、顧客ＩＤと貸出予定期間とが対応づけられた予約情報を受信する。貸出予定期間取得部６１４は、予約情報を受信すると、貸出バッテリ決定部６２４に対して処理実行命令を送信する。
　貸出バッテリ決定部６２４は、貸出予定期間取得部６１４から処理実行命令を受信すると、予約情報に含まれる顧客ＩＤで示される顧客に対して貸し出す予定である貸出予定のバッテリ３００を選択する。

　具体的には、貸出バッテリ決定部６２４は、予約受付部４０３に対して顧客ＩＤおよび貸出予定期間の入力が行われた時点でバッテリ交換ステーションに存在するバッテリ３００の中から、貸出予定のバッテリ３００を任意に選択する。そして、貸出バッテリ決定部６２４は、当該バッテリ３００のバッテリＩＤを取得する。
　ここでは、貸出バッテリ決定部６２４は、バッテリＩＤ「０１００１」で示されるバッテリ３００を貸出予定のバッテリ３００として選択し、バッテリＩＤ「０１００１」を取得したとする。

　予定情報設定部６０４は、貸出予定期間取得部６１４が設定した貸出予定期間と、貸出バッテリ決定部６２４が取得したバッテリＩＤと、予約受付部４０３から受信した、バッテリ交換を予約した顧客の顧客ＩＤとを対応づけた予定情報を予測部６０５に送信する。
　予測部６０５は、予定情報設定部６０４から予定情報を受信すると、まず、区分テーブル８００を参照し、予定情報で示される貸出予定のバッテリＩＤに対応する劣化区分を特定する。

　次に、予測部６０５は、平均電力テーブル９００を参照し、区分テーブル８００から特定した劣化区分と、予定情報で示される顧客ＩＤとに対応する平均電力を抽出する。最後に、予測部６０５は、平均電力テーブル９００から抽出した平均電力と、予定情報で示される貸出予定期間とを乗算することで、バッテリ交換を予約した顧客が貸出予定のバッテリ３００で使用する電力量の推定値である推定消費電力量を算出する。

　（４．　情報処理部４０１の処理の流れ）
　（４．１．　平均電力算出時の処理の流れ）
　まず、情報処理部４０１の区分分類部６０１、履歴テーブル更新部６０２、および平均電力算出部６０３による平均電力算出の処理の流れについて説明する。ここでは一例として、バッテリ３００がバッテリ交換ステーションに返却された場合の処理について説明する。

　図７は、バッテリ３００がバッテリ交換ステーションに返却された場合の情報処理部４０１の処理の流れを示すフローチャートである。
　バッテリ３００がバッテリ交換ステーションに返却されることで、通信装置２００から情報処理装置４００にバッテリ状態情報および使用情報が送信される。
　情報処理装置４００がバッテリ状態情報および使用情報を受信すると（Ｓ１）、区分分類部６０１は、バッテリ状態情報で示されるバッテリＩＤと、バッテリ状態情報で示されるＳＯＨの値と貸出回数とに基づいて分類された劣化区分とを対応付けた区分情報を生成する（Ｓ２）。

　次に、区分分類部６０１は、生成した区分情報に基づいて、記憶部４０２に保存されている区分テーブル８００を更新する（Ｓ３）。
　次に、履歴テーブル更新部６０２は、区分テーブル８００を参照し、使用情報で示されるバッテリＩＤの劣化区分を特定する（Ｓ４）。次に、履歴テーブル更新部６０２は、Ｓ３にて特定した劣化区分と、使用情報で示される顧客ＩＤと、貸出期間と、消費電力量とを対応付けた履歴情報を生成し（Ｓ５）、生成した履歴情報に基づいて履歴テーブル８５０を更新する。そして、履歴テーブル更新部６０２は、更新後の履歴テーブル８５０から、すべての貸出履歴について、顧客ＩＤと、劣化区分と、貸出期間と、消費電力量とが対応付けられた履歴情報を取得し、平均電力算出部６０３に送信する（Ｓ６）。

　次に、平均電力算出部６０３は、Ｓ６にて受信した履歴情報に基づいて、消費電力量を貸出期間で除算し、貸出期間中における、単位時間当たりの消費電力量の平均値を示す平均電力を顧客ＩＤ毎かつ劣化区分毎に算出する（Ｓ７）。
　平均電力算出部６０３は、顧客ＩＤ毎かつ劣化区分毎にＳ７で算出した平均電力と、当該顧客ＩＤと、当該劣化区分とを対応付けた平均電力情報を生成し（Ｓ８）、生成した平均電力情報に基づいて記憶部４０２の平均電力テーブル９００を更新する（Ｓ９）。

　（４．２．予約時の処理の流れ）
　次に、予約受付部４０３に対して、バッテリ交換を希望する顧客によって顧客ＩＤおよび貸出予定期間の入力が行われた場合の情報処理部４０１の処理の流れについて具体的に説明する。
　図８は、予約受付部４０３に対して、バッテリ交換を希望する顧客によって顧客ＩＤおよび貸出予定期間の入力が行われた場合の情報処理部４０１の処理の流れを示すフローチャートである。

　バッテリ交換を希望する顧客によって、予約受付部４０３に顧客の顧客ＩＤと、当該顧客がバッテリを借り受けたい期間を示す貸出予定期間との入力が行われると（Ｓ１１）、予約受付部４０３は、入力された顧客ＩＤと貸出予定期間とを対応付けた予約情報を予定情報設定部６０４へ送信する（Ｓ１２）。ここでは、予約受付部４０３に対して、顧客Ａにより顧客ＩＤ「０００１」、貸出予定期間「２時間」との入力が行われ、顧客ＩＤ「０００１」と貸出予定期間「２時間」とが対応付けられた予約情報が予定情報設定部６０４へと送信されたとする。

　予定情報設定部６０４の貸出予定期間取得部６１４は、予約受付部４０３から予約情報を受信すると、貸出バッテリ決定部６２４に処理実行命令を送信する。そして、貸出バッテリ決定部６２４は、予約情報で示される顧客ＩＤの顧客に対して貸し出す予定である貸出予定のバッテリ３００を任意に選択し、選択した貸出予定のバッテリ３００の識別情報を示すバッテリＩＤを取得する（Ｓ１３）。ここでは、貸出バッテリ決定部６２４がバッテリＩＤ「０１００１」で示されるバッテリを貸出予定のバッテリ３００として決定し、貸出予定のバッテリの識別情報を示すバッテリＩＤ「０１００１」を取得したとする。

　次に、予定情報設定部６０４は、予約受付部４０３から受信した貸出予定期間と、顧客ＩＤと、Ｓ１３にて取得したバッテリＩＤとを対応付けた予定情報を予測部６０５に送信する（Ｓ１４）。
　予測部６０５は、予定情報を受信すると、区分テーブル８００を参照し、予定情報で示されるバッテリＩＤ（つまり、貸出予定のバッテリ３００のバッテリＩＤ）に対応する劣化区分を特定する（Ｓ１５）。ここでは、予測部６０５は、図４に示した区分テーブル８００を参照し、バッテリＩＤ「０１００１」に対応する劣化区分Ｙを特定したとする。

　次に、予測部６０５は、平均電力テーブル９００を参照し、Ｓ１４にて特定した、貸出予定のバッテリが属する劣化区分と、Ｓ１４にて受信した予定情報で示される顧客ＩＤとに基づいて、バッテリ交換を予約した顧客が、貸出予定のバッテリ３００を使用した場合の、貸出期間における単位時間当たりの消費電力量を示す平均電力を特定する（Ｓ１６）。ここでは、予測部６０５が、図５に示した平均電力テーブル９００を参照し、顧客ＩＤ「０００１」で示される顧客が、劣化区分Ｙに属するバッテリを使用した場合の平均電力「１２００Ｗ」を特定したとする。

　最後に、予測部６０５は、Ｓ１３にて受信した貸出予定期間と、Ｓ１５にて特定した平均電力とに基づいて、バッテリの交換を予約した顧客が貸出予定のバッテリ３００で使用する電力量の推定値である推定消費電力量を算出する（Ｓ１７）。ここでは予測部６０５は、２時間×１２００Ｗ＝２４００Ｗｈの式に基づいて、推定消費電力量「２４００Ｗｈ」と算出する。

　このように、本実施形態に係る情報処理装置４００は、バッテリ３００を借り受ける顧客が単位時間当たりに消費する電力量を示す平均電力を、顧客ＩＤ毎、かつ、バッテリの劣化区分毎に保存している。バッテリ３００は使用するにつれ劣化し、バッテリ３００の劣化度と、単位時間当たりの消費電力量との間には相関がある。つまり、劣化が進んだバッテリ３００は、劣化が進んでいないバッテリ３００と比較して、単位時間当たりの消費電力量が減少することがある。そのため、ある顧客に対して毎回異なるバッテリが貸し出されたとしても、当該顧客が消費する電力量を精度よく予測することができる。

　（変形例）
　本実施形態では、区分分類部６０１は、バッテリの劣化状態を示すＳＯＨと、バッテリの貸出回数に基づいて、劣化区分の分類を行う。しかしながら、区分分類部６０１による劣化区分の分類としては、バッテリの劣化度に応じた区分の分類であればよく、上述した方法に限られるものでは無い。図９の（ａ）～（ｃ）は、区分分類部６０１による、バッテリの劣化区分の分類の他の方法を示す図である。例えば、図９の（ａ）に示すように、バッテリのＳＯＨのみに基づいて分類する方法や、図９の（ｂ）に示すように、バッテリの貸出回数のみに基づいてバッテリの劣化区分を分類する方法が考えられる。また、図９の（ｃ）に示すように、バッテリの使用年数に基づいて劣化区分の分類を行う方法も考えられる。

　バッテリの使用年数に基づいて劣化区分の分類を行う場合には、バッテリ返却時に、バッテリ３００の制御部３０４が、記憶部３０３に記憶されている導入年月日を読み出す。そして、返却時の年月日と比較を行い、バッテリの使用年数を算出し、バッテリ状態情報として合わせて送信すればよい。さらに、区分分類部６０１は、劣化区分の分類方法としては、上述した分類方法を組み合わせて分類を行ってもよい。すなわち、区分分類部６０１は、バッテリの使用年数、バッテリの累積使用回数、およびバッテリの劣化状態を示すＳＯＨのうち少なくとも１つに基づいて劣化区分の分類を行えばよい。

　また、本実施形態では、予約受付部４０３に顧客が貸出予定期間を入力することで、貸出予定期間取得部６１４が、貸出予定期間の取得を行う構成とした。しかしながら貸出予定期間の取得方法はこれに限られるものでは無い。例えば、バッテリを交換したい顧客の履歴情報に基づいて、貸出予定期間取得部６１４が貸出予定期間の取得を行う構成であってもよい。具体的には、予約受付部４０３に対して、バッテリを交換したい顧客により顧客ＩＤの入力が行われると、貸出予定期間取得部６１４は、記憶部の履歴テーブル８５０から当該顧客ＩＤの履歴情報を取得する。そして、貸出予定期間取得部６１４は、履歴情報で示される貸出期間に基づいて、貸出予定期間の設定を行う。貸出予定期間の設定方法の一例としては、当該顧客の貸出期間の分布が正規分布に従うと仮定し、貸出期間の平均値μおよび標準偏差σを算出し、μ＋２σの値を貸出予定期間として設定することが考えられる。貸出予定期間をμ＋２σの値に設定することで、貸出履歴に含まれる貸出期間のうち、９７．８％の貸出が貸出予定期間に含まれることになる。そのため、貸出予定期間をμ＋２σに設定することで、顧客が借り受けると予想される期間の大部分をカバーすることができる。

　なお、本実施形態では、顧客と電動車両とは一対一で対応しており、顧客は、毎回同じ電動車両を使用するため、顧客毎に顧客の識別情報を示す顧客ＩＤを付与し、顧客ＩＤ毎に平均電力を算出した。しかしながら、平均電力の算出方法はこれに限られるものではなく、例えば電動車両毎にＩＤを付与し、電動車両毎に平均電力を算出してもよい。すなわち、電動車両または電動車両のドライバ（顧客）毎にＩＤを付与し、付与したＩＤ毎に、また、劣化区分毎に平均電力を算出する構成であればよい。

　また、本実施形態では、予測部６０５は、予約受付部４０３に対して、バッテリ交換を希望する顧客によって顧客ＩＤおよび貸出予定期間の入力が行われた場合に、当該顧客が貸出期間中に消費する消費電力量を予測する構成とした。しかしながら予測部６０５が予測する消費電力量はこれに限られるものではない。
　例えば、予測部６０５は、情報処理装置４００が備えられるバッテリ交換ステーションで消費される電力量を予測する構成であってもよい。そのような場合には、情報処理装置４００は、バッテリ交換ステーションで消費される電力量の予測を行う期間を示す予測期間を取得する予測期間取得部（不図示）をさらに備える。ここで、バッテリ交換ステーションで予測期間に消費される電力量とは、予測期間内に当該バッテリ交換ステーションからバッテリを借り受けた顧客が、貸出期間中に消費した電力量の総和である。予測部６０５がバッテリ交換ステーションで予測期間に消費される電力量を予測する場合には、予測部６０５は、まず平均電力テーブル９００に基づいて、顧客ＩＤ毎に、平均電力の代表値を算出する。代表値として平均値を用いる場合には、予測部６０５は、劣化区分毎に算出されている平均電力の平均値を顧客ＩＤ毎に算出し、代表値とする。そして予測部６０５は、算出した代表値と予測期間との積を求め、顧客ＩＤ毎に、当該顧客が予測期間で使用する消費電力量を予測する。このように、顧客ＩＤ毎に当該顧客が予測期間で使用する消費電力量を予測することで、その総和を求め、バッテリ交換ステーションで予測期間に消費される電力量を予測することができる。

　また、予測部６０５がバッテリ交換ステーションで予測期間に消費される電力量の推定を行う方法はこれに限られるものでは無い。
　例えば、予測部６０５は、平均電力テーブル９００に基づいて、劣化区分毎に平均電力の代表値（例えば平均値）を算出し、算出した代表値と、予測期間取得部が取得した予測期間とに基づいて、一人の顧客が当該劣化区分に属するバッテリを予測期間の間使用した場合の消費電力量を予測してもよい。

　このように、一人の顧客が当該劣化区分に属するバッテリを予測期間の間使用した場合の消費電力量を予測し、予測した消費電力量と、バッテリ交換ステーションと契約を行っている会員の数との積を求めることで、当該劣化区分に属しているバッテリのみを顧客が使用した場合の予測期間におけるバッテリ交換ステーションの消費電力量を予測することができる。そして、区分テーブル８００を参照し、バッテリ交換ステーションに存在するバッテリの劣化区分の分布に基づいて、劣化区分毎に算出した予測期間における消費電力量に重みづけを行うことで、予測期間にバッテリ交換ステーションで消費される電力量の予測を行う。
　このようにして予測期間にバッテリ交換ステーションで消費される電力量を予測することで、バッテリ交換ステーションが保有すべき電力量を見積もることが可能となる。

　〔実施形態２〕
　本発明の他の実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した実施形態で説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。以下では、実施形態１との相違点について説明する。

　図１０は、本発明の実施形態２に係る消費電力量予測システム１１０の構成を示すブロック図である。本実施形態に係る消費電力量予測システム１１０は、実施形態１に係る消費電力量予測システム１００とは異なるバッテリ３１０を備え、バッテリ交換ステーションにバッテリが返却された際に、貸出期間中に消費された消費電力量の算出方法が異なる。

　具体的には、第１の実施形態に係るバッテリ３００は、ＳＯＨ計測部３０５とＳＯＣ計測部３０６とを備え、制御部３０４が貸出時蓄電量および返却時蓄電量を算出し、算出した貸出時蓄電量と返却時蓄電量との差を貸出期間中に消費された消費電力量とした。これに対して本実施形態に係るバッテリ３１０は、電流値計測部３０７を備える。電流値計測部３０７は、バッテリ３１０が貸し出されている間、所定時間（例えば１秒）毎にセル３０１が出力する電流値を測定し、測定した電流値を制御部３０４に出力する。また、記憶部３０３には、予め当該バッテリ３１０の出力電圧の値を示す電圧値が保存されている。ここで、バッテリ３１０は、電動車両に搭載されている間、記憶部３０３に保存されている電圧値で、一定の電圧を出力するとみなせるものとする。

　制御部３０４は、ＲＴＣ（リアルタイムクロック）に基づいて、電流値計測部３０７から入力された電流値と、当該電流値が入力された日時とを対応付けた電流値情報として記憶部３０３に保存する。バッテリ３１０バッテリ交換ステーションに返却されると、制御部３０４は、電流値情報と電圧値に基づいて貸出期間中における消費電力量を算出する。
　具体的には、制御部３０４は、電流値情報に基づいて、横軸に電流値が入力された時刻、縦軸に当該時刻における電流値を取りグラフを作成する。制御部３０４は、作成したグラフにおいて、貸出時から返却時までの電流値を積分し、積分結果と、記憶部３０３に保存されている電圧値とを乗じることにより消費電力量を算出する。そして、実施形態１と同様に、算出した消費電力量と、バッテリＩＤと、顧客ＩＤと、貸出期間とを対応付け、使用情報として通信装置２００へ送信する。制御部３０４は、使用情報を送信した後、記憶部３０３に保存されている電流値情報を削除する。

　なお、電流値情報から消費電力量を算出する方法はこれに限られるものでは無い。
　例えば、電流値計測部３０７は、所定時間毎に電流値の計測を行うため、制御部３０４が電流値情報で示される電流値の平均値を算出し、算出した平均値と、貸出期間と、記憶部３０３に保存されている電圧値とを乗ずることで消費電力量を算出してもよい。
　また、上記の説明では、バッテリ３００の返却時に、通信装置２００は、バッテリ３００に対して送信要求コマンドを送信し、消費電力量を含む履歴情報を取得するものとした。しかしながら、バッテリ３００の制御部３０４は、貸出期間中に定期的に電流値情報とバッテリＩＤとドライバＩＤとを対応付けた電流履歴情報を、無線通信を用いて通信装置２００に送信し、通信装置２００の制御部３０４が貸出中のバッテリ３００の消費電力量を定期的に算出してもよい。

　〔実施形態３〕
　本発明の他の実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した実施形態で説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。以下では、実施形態１との相違点について説明する。
　図１１は、本実施形態に係る消費電力量予測システム１２０の構成を示すブロック図である。本実施形態に係る消費電力量予測システム１２０は、実施形態１に係る消費電力量予測システム１００とは異なる情報処理装置４１０を備える。

　情報処理装置４１０は、情報処理部４１１と、記憶部４１２と、予約受付部４０３とを備える。
　記憶部４１２は、平均電力テーブル９００が保存されていない点を除いて、実施形態１に係る記憶部４０２と同じ構成である。
　上述した実施形態１において、情報処理装置４００は、通信装置２００からバッテリ状態情報および使用情報を受信すると、区分分類部６０１が区分テーブル８００の更新を行い、履歴テーブル更新部６０２が履歴テーブルの８００の更新を行う。そして、履歴テーブルの８００の更新が行われると、平均電力算出部６０３が平均電力テーブル９００の更新を行う構成であった。そのため、情報処理部４０１は、予約受付部４０３から予約情報を受信した際には、記憶部４０２に保存されている平均電力テーブル９００を参照し、消費電力量の推定を行っていた。

　これに対して、本実施形態に係る情報処理装置４１０は、平均電力算出部６０３の代わりに平均電力算出部６１３を備え、さらに履歴情報取得部６０６を備える点で実施形態１と相違する。また、本実施形態の予定情報設定部６０４は、設定した予定情報を予測部６０５ではなく、平均電力算出部６１３に対して送信する点でのみ実施形態１と異なる。
　平均電力算出部６１３は、予定情報設定部６０４から予定情報を受信すると、予定情報で示される顧客ＩＤの顧客が、予定情報で示されるバッテリＩＤのバッテリ３００（つまり、貸出予定のバッテリ３００）が属する劣化区分のバッテリ３００を使用するときの、単位時間当たりの消費電力量である平均電力の算出を行う。

　具体的には、平均電力算出部６１３は、予定情報設定部６０４から予定情報を受信すると、履歴情報取得部６０６に対して処理実行命令を送信する。
　履歴情報取得部６０６は、平均電力算出部６１３から処理実行命令を受信すると、履歴テーブル８５０から履歴情報を取得し、取得した履歴情報を平均電力算出部６１３に送信する。

　平均電力算出部６１３は、履歴情報取得部６０６から履歴情報を受信すると、区分テーブル８００を参照し、予定情報で示されるバッテリＩＤ（つまり、貸出予定のバッテリ３００のバッテリＩＤ）に対応する劣化区分を特定する。そして、平均電力算出部６１３は、履歴情報取得部６０６から受信した履歴情報の中から、特定した劣化区分に対応し、かつ、予定情報で示される顧客ＩＤに対応する履歴情報を抽出し、抽出した履歴情報で示される消費電力量を貸出期間で除算した値の平均値を算出する。これにより、バッテリ交換の予約を行った顧客が、貸出予定のバッテリ３００が属する劣化区分のバッテリ３００を使用するときの、単位時間当たりの消費電力量を示す平均電力を求める。

　なお、履歴情報の中に、貸出予定のバッテリ３００が属する劣化区分に対応し、かつ、予定情報で示される顧客ＩＤに対応する履歴情報が存在しない場合、平均電力算出部６１３は、実施形態１の平均電力算出部６０３と同様に、当該顧客ＩＤの顧客が他の劣化区分に属するバッテリを使用した際の平均電力、および他の顧客が当該劣化区分に属するバッテリを使用した際の平均電力、の少なくとも一方を算出する。そして、平均電力算出部６１３は、算出した平均電力を用いて補間することで、バッテリ交換の予約を行った顧客が、予定情報で示される貸出予定のバッテリを使用したときの、単位時間当たりの消費電力量を示す平均電力を算出すればよい。

　平均電力算出部６１３は、このようにして算出した平均電力と、予定情報で示される貸出予定期間とを対応付け、予測部に送信する。
　予測部６０５は、平均電力算出部６１３から、平均電力と、貸出予定期間とが対応付けられた情報を受信すると、平均電力と貸出予定期間とに基づいて、バッテリの交換を予約した顧客が、今回の貸出で使用する電力量の推定値である推定消費電力量を算出する。

　このように、本実施形態に係る消費電力量予測システム１２０は、バッテリの交換を予約した顧客が、貸出予定のバッテリが属する区分のバッテリを使用した場合に、単位時間当たりに消費する電力量を示す平均電力を算出する。そのため、顧客が毎回異なるバッテリを使用したとしても、当該顧客が消費する電力量を精度よく予測することができる。
　〔その他の実施形態〕
　（Ａ）
　上記実施形態では、バッテリが搭載される電力消費体として、電気自動車等の電動車両を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。

　例えば、バッテリが搭載されるモビリティとしては、電動自動車以外にも、電動自動二輪車、電動一輪車、電動自転車、電動アシスト自転車、ＰＨＶ（Plug-in Hybrid Vehicle）等の他のモビリティであってもよい。
　また、バッテリが搭載される電力消費体としては、モビリティに限らず、交換可能なバッテリによって駆動される他の電気製品であってもよい。

　電気製品としては、例えば、バッテリパックからの電力によって機能する冷蔵庫、洗濯機、掃除機、炊飯器、湯沸しポット等の家電製品も含まれる。
　さらに、バッテリが搭載される電力消費体として、電動工具を用いてもよい。
　この場合には、貸し出し可能な複数のバッテリの充電を行うバッテリステーション等において、電動工具に使用されるバッテリを充電する。そして、充電時におけるバッテリの劣化度ができるだけ小さいバッテリを選択して充電を行うことで、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。

　また、電力消費体の使用者についても同様に、電気自動車等の電動車両のドライバに限定されるものではない。
　例えば、電力消費体が電動アシスト自転車の場合には、自転車に乗る人であってもよい。さらに、電力消費体が電動工具の場合には、電動工具を使用する大工等の使用者であってもよい。

　（Ｂ）
　上記実施形態では、バッテリの劣化度に応じて分類された複数の区分に対応する貸出期間および消費電力量に基づいて、平均電力を算出する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
　例えば、バッテリの特性に応じて分類された複数の区分に対応する貸出期間および消費電力量に基づいて、平均電力を算出してもよい。

　なお、バッテリの特性としては、満充電容量、出力、劣化度、残寿命等が異なるバッテリが考えられる。
　〔ソフトウェアによる実現例〕
　情報処理装置４００、４１０の制御ブロック（特に、情報処理部４０１、４１１の各部）は、集積回路（ＩＣチップ）等に形成された論理回路（ハードウェア）によって実現してもよいし、ＣＰＵ（Central Processing Unit）を用いてソフトウェアによって実現してもよい。

　後者の場合、情報処理装置４００、４１０は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するＣＰＵ、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ（またはＣＰＵ）で読み取り可能に記録されたＲＯＭ（Read Only Memory）または記憶装置（これらを「記録媒体」と称する）、上記プログラムを展開するＲＡＭ（Random Access Memory）などを備えている。そして、コンピュータ（またはＣＰＵ）が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体（通信ネットワークや放送波等）を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。

　本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。

　本発明は、バッテリスワップ方式のバッテリ交換ステーションにおいて、消費電力量を予測するための消費電力量予測システムに利用することができる。

　１００、１１０、１２０　消費電力量予測システム
　４００、４１０　情報処理装置
　４０２　記憶部
　４０３　予約受付部
　４０１、４１１　情報処理部
　６０２　履歴テーブル更新部（履歴情報取得部）
　６０３、６１３　平均電力算出部
　６０５　予測部
　６０６　履歴情報取得部
　６１４　貸出予定期間取得部
　６２４　貸出バッテリ決定部

Claims (13)

1. 　複数の電力消費体に対してバッテリの貸し出しを行うステーションの情報処理装置であって、
   　前記ステーション内のバッテリが、バッテリの特性に応じて予め定められた複数の区分の何れに分類されており、
   　電力消費体または電力消費体の使用者毎に、過去に貸し出したバッテリが属する区分と、当該バッテリの貸出期間と、当該貸出期間中に使用した消費電力量とを対応付けた履歴情報を取得する履歴情報取得部と、
   　電力消費体または電力消費体の使用者毎に、前記複数の区分のそれぞれに対して、当該区分に属するバッテリを使用したときの単位時間当たりに消費する電力量を示す平均電力を、当該区分に対応する前記貸出期間および前記消費電力量に基づいて算出する平均電力算出部と、
   を備えた情報処理装置。
2. 　バッテリを借り受ける予定期間を示す貸出予定期間を取得する貸出予定期間取得部と、
   　貸出予定のバッテリを決定する貸出バッテリ決定部と、
   　前記平均電力算出部が算出した平均電力の中から、前記貸出予定のバッテリが属する区分に対応し、かつ、バッテリを借り受ける電力消費体または電力消費体の使用者に対応する平均電力を特定し、特定した平均電力と前記貸出予定期間とに基づいて、電力消費体または電力消費体の使用者による前記貸出予定のバッテリの消費電力量を予測する予測部と、
   をさらに備えた、
   請求項１に記載の情報処理装置。
3. 　前記ステーションで消費される電力量の予測を行う期間を示す予測期間を取得する予測期間取得部と、
   　電力消費体または電力消費体の使用者毎に、前記複数の区分のそれぞれに対して算出した前記平均電力の代表値を算出し、前記代表値と前記予測期間とに基づいて、当該電力消費体または電力消費体の使用者が前記予測期間に消費する消費電力量を予測する予測部と、
   をさらに備えた、
   請求項１に記載の情報処理装置。
4. 　前記ステーションで消費される電力量の予測を行う期間を示す予測期間を取得する予測期間取得部と、
   　前記複数の区分毎に前記平均電力の代表値を算出し、前記代表値と前記予測期間とに基づいて、当該区分に属するバッテリを前記予測期間使用した場合の消費電力量を予測する予測部と、
   をさらに備えた、
   請求項１に記載の情報処理装置。
5. 　複数の電力消費体に対してバッテリの貸し出しを行うステーションの情報処理装置であって、
   　前記ステーション内のバッテリが、バッテリの特性に応じて予め定められた複数の区分の何れに分類されており、
   　バッテリを借り受ける電力消費体または電力消費体の使用者に対して過去に貸し出したバッテリが属する区分と、当該バッテリの貸出期間と、当該貸出期間中に使用した消費電力量とを対応付けた履歴情報を取得する履歴情報取得部と、
   　貸出予定のバッテリを決定する貸出バッテリ決定部と、
   　前記履歴情報の中から、前記貸出予定のバッテリが属する区分に対応する履歴情報を抽出し、抽出した履歴情報で示される前記貸出期間および前記消費電力量に基づいて、前記貸出予定のバッテリを使用するときの単位時間当たりに消費する電力量を示す平均電力を算出する平均電力算出部と、
   を備えた情報処理装置。
6. 　バッテリを借り受ける予定期間を示す貸出予定期間を取得する貸出予定期間取得部と、
   　前記平均電力算出部が算出した平均電力と前記貸出予定期間とに基づいて、電力消費体または電力消費体の使用者による前記貸出予定のバッテリの消費電力量を予測する予測部と、
   をさらに備えた、
   請求項５に記載の情報処理装置。
7. 　前記複数の区分は、バッテリの使用年数、バッテリの累積使用回数、およびバッテリの劣化状態を示すＳＯＨのうち少なくとも１つに基づいて設定されている、
   請求項１から６の何れか１項に記載の情報処理装置。
8. 　前記平均電力算出部は、平均電力を算出する対象である電力消費体または電力消費体の使用者に対応し、かつ、平均電力を算出する対象である区分に対応する履歴情報が存在しない場合に、
   （１）他の電力消費体両または電力消費体の使用者が、平均電力を算出する対象である区分に属するバッテリを使用した場合の平均電力、および、
   （２）平均電力を算出する対象である電力消費体または電力消費体の使用者が、他の区分に属するバッテリを使用した場合の平均電力、の少なくとも一方を用いて当該平均電力を算出する、
   請求項１から７の何れか１項に記載の情報処理装置。
9. 　前記バッテリの特性には、前記バッテリの劣化度が含まれる、
   請求項１または５に記載の情報処理装置。
10. 　複数の電力消費体に対してバッテリの貸し出しを行うステーションの情報処理方法であって、
    　前記ステーション内のバッテリが、バッテリの特性に応じて予め定められた複数の区分の何れに分類されており、
    　電力消費体または電力消費体の使用者毎に、過去に貸し出したバッテリが属する区分と、当該バッテリの貸出期間と、当該貸出期間中に使用した消費電力量とを対応付けた履歴情報を取得する履歴情報取得ステップと、
    　電力消費体または電力消費体の使用者毎に、前記複数の区分のそれぞれに対して、当該区分に属するバッテリを使用したときの単位時間当たりに消費する電力量を示す平均電力を、当該区分に対応する前記貸出期間および前記消費電力量に基づいて算出する平均電力算出ステップと、
    を含む情報処理方法。
11. 　複数の電力消費体に対してバッテリの貸し出しを行うステーションの情報処理方法であって、
    　前記ステーション内のバッテリが、バッテリの特性に応じて予め定められた複数の区分の何れに分類されており、
    　バッテリを借り受ける電力消費体または電力消費体の使用者に対して過去に貸し出したバッテリが属する区分と、当該バッテリの貸出期間と、当該貸出期間中に使用した消費電力量とを対応付けた履歴情報を取得する履歴情報取得ステップと、
    　貸出予定のバッテリを決定する貸出バッテリ決定ステップと、
    　前記履歴情報の中から、前記貸出予定のバッテリが属する区分に対応する履歴情報を抽出し、抽出した履歴情報で示される前記貸出期間および前記消費電力量に基づいて、前記貸出予定のバッテリを使用するときの単位時間当たりに消費する電力量を示す平均電力を算出する平均電力算出ステップと、
    を含む情報処理方法。
12. 　請求項１から９の何れか１項に記載の情報処理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、上記各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
13. 　請求項１２に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

Images