WO2016035443A1

WO2016035443A1 - 除電装置

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Publication number: WO2016035443A1
Application number: PCT/JP2015/069528
Authority: WO
Inventors: 啓司川田
Original assignee: パナソニックデバイスＳｕｎｘ株式会社
Priority date: 2014-09-02
Filing date: 2015-07-07
Publication date: 2016-03-10
Also published as: KR101898401B1; JP6452998B2; KR20170041811A; CN206977775U; JP2016054025A

Abstract

　除電装置（１０）は、接続ケーブル（１２）であって、接続ケーブル（１２）の内部に挿通された部分（１５ｂ）と、接続ケーブルの先端から導出された先端導出部（１５ｄ）と有する高電圧ケーブル（１５）を含む接続ケーブル（１２）と、接続ケーブル（１２）の先端に設けられたヘッド部（１３）とを備える。高電圧ケーブル（１５）の先端導出部（１５ｄ）は、ヘッド部（１３）内に導入されている。ヘッド部（１３）は、高電圧ケーブル（１５）と電気的に接続され、且つ高電圧ケーブル（１５）を介して印加された高電圧によって除電イオンを生成する放電電極（２３）と、放電電極（２３）の外周を包囲し、且つ該放電電極（２３）を保持する絶縁性を有する電極ホルダ（２２）と、電極ホルダ（２２）の外周に配置された対向電極（２１）と、放電電極（２３）と高電圧ケーブル（１５）とを電気的に接続する接続部（３４）と、対向電極（２１）と放電電極（２３）との間に配置され、且つ接続部（３４）を包囲して保持する絶縁パイプ（２５）と、ヘッド部（１３）内に導入された高電圧ケーブル（１５）の先端導出部（１５ｄ）を保持する保持部材（２４）とを含む。電極ホルダ（２２）は、フッ素樹脂にて形成されている。

Description

除電装置

　本発明は、静電気を除去する除電装置に関するものである。

　従来、例えば特許文献１に開示されるように、除電対象物に対してスポット的にイオンを供給するタイプの除電装置がある。この種の除電装置では、接続ケーブルが、本体コントローラから延出されている。接続ケーブルの内部には高電圧ケーブルが挿通され、接続ケーブルの先端部にはイオンを発生する小型のヘッド部が設けられている。ヘッド部は、高電圧ケーブルと電気的に接続された針状の放電電極と、放電電極の外周を包囲するとともに該放電電極を保持する絶縁性を有する電極ホルダと、電極ホルダの外周に配置された筒状の対向電極（接地電極）とを備える。除電装置は、放電電極に高電圧を印加することでコロナ放電を発生させ、それにより生成されるイオンを除電対象物に供給して除電を行うように構成されている。

特開２００５－２０３２９１号公報

　ところで、上記ヘッド部の電極ホルダは、放電電極と対向電極との間の電気的絶縁を図るべく絶縁体で形成されている。上記特許文献１では、電極ホルダは、絶縁破壊が生じにくいセラミックで形成されている。これにより、電極ホルダを小型にして放電電極と対向電極との間隔を狭くすることが可能となり、ヘッド部の小型化を実現している。しかしながら、セラミックは比誘電率が高い物質であるため、放電電極に高電圧を印加させた時に電極ホルダ内に誘電分極が生じて電界が大きくなる。それにより、電極ホルダと対向電極との間で放電が発生して電極ホルダが劣化するという問題があった。

　本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、電極ホルダの劣化を抑えつつもヘッド部の小型化を可能な除電装置を提供することにある。

　本願発明の一側面は、除電イオンを生成する除電装置であって、接続ケーブルであって、前記接続ケーブルの内部に挿通された部分と、前記接続ケーブルの先端から導出された先端導出部とを有する高電圧ケーブルを含む前記接続ケーブルと、前記接続ケーブルの先端に設けられたヘッド部とを備え、前記高電圧ケーブルの前記先端導出部が、前記ヘッド部内に導入され、前記ヘッド部は、前記高電圧ケーブルと電気的に接続され、且つ前記高電圧ケーブルを介して印加された高電圧によって前記除電イオンを生成する放電電極と、前記放電電極の外周を包囲し、且つ該放電電極を保持する絶縁性を有する電極ホルダと、前記電極ホルダの外周に配置された対向電極と、前記放電電極と前記高電圧ケーブルとを電気的に接続する接続部と、前記対向電極と前記放電電極との間に配置され、且つ前記接続部を包囲して保持する絶縁パイプと、前記ヘッド部内に導入された前記高電圧ケーブルの前記先端導出部を保持する保持部材とを含み、前記電極ホルダは、フッ素樹脂にて形成されている。

　上記除電装置において、前記保持部材は、フッ素樹脂にて形成されていることが好ましい。
　上記除電装置において、前記電極ホルダは、前記絶縁パイプと前記対向電極との間に介在され、且つ前記絶縁パイプの外周における前記接続部と対応する部分を包囲する包囲部を含み、前記包囲部は、前記電極ホルダと一体的に形成されていることが好ましい。

　上記除電装置において、前記保持部材は、前記高電圧ケーブルの前記先端導出部の外周を包囲する筒状を有し、前記保持部材は、前記電極ホルダの包囲部の内周側に位置していることが好ましい。

　上記除電装置において、前記接続ケーブルは、該接続ケーブルの内部に挿通されたエアーチューブを含み、前記ヘッド部は、前記エアーチューブを介して供給された圧縮エアーを案内するエアー供給通路を含み、前記電極ホルダは、前記エアー供給通路と連通する複数のエアー放出孔を有し、前記ヘッド部は、前記除電イオンを前記複数のエアー放出孔から放出される前記圧縮エアーに乗せて除電対象物に供給するように構成されていることが好ましい。

　上記除電装置において、前記電極ホルダは、前記放電電極の外周を包囲する筒状の周壁部を有し、前記電極ホルダの前記周壁部の内周面によって、イオン生成室が区画され、前記電極ホルダは、前記電極ホルダの周壁部先端に形成されたイオン放出口を有し、前記電極ホルダは、前記イオン生成室内で生成された前記除電イオンを前記イオン放出口から放出するように構成され、前記電極ホルダの前記複数のエアー放出孔は、前記電極ホルダにおける前記イオン放出口の外周側に位置することが好ましい。

　上記除電装置において、前記電極ホルダの前記周壁部は、前記エアー供給通路と前記イオン生成室とを連通する連通孔を有することが好ましい。

　本発明の除電装置によれば、電極ホルダの劣化を抑えつつもヘッド部の小型化を可能となる。

（ａ）（ｂ）は、実施形態の除電装置におけるヘッド部付近の断面図である。

　以下、除電装置の一実施形態について説明する。
　図１（ａ）に示すように、除電装置１０は、スポット型の除電装置であり、本体コントローラ１１と、本体コントローラ１１から延び且つ可撓性を有する接続ケーブル１２と、接続ケーブル１２の先端に装着されるヘッド部１３とを備える。このような除電装置１０は、ヘッド部１３から除電イオンを圧縮エアーに乗せて除電対象物にスポット的に供給するように構成されている。

　本体コントローラ１１は、コロナ放電によるイオン生成のための例えば数ｋＶの交流高電圧を生成する電源生成部１１aと、外部から供給される圧縮エアーの流量を調整するエアー供給部１１ｂとを備えている。

　接続ケーブル１２は、樹脂ジャケット１４と、該樹脂ジャケット１４内に並列で挿通された高電圧ケーブル１５およびエアーチューブ１６とを含む。高電圧ケーブル１５は、交流高電圧をヘッド部１３に供給し、エアーチューブ１６は、圧縮エアーをヘッド部１３に供給する。つまり、高電圧ケーブル１５とエアーチューブ１６とは別体であるが、両者が共に樹脂ジャケット１４内に挿通されることで、１本の接続ケーブル１２として構成されている。

　高電圧ケーブル１５は、芯線１５ａと、芯線１５ａの外周を覆い芯線１５ａに印加される数ｋＶの交流高電圧との絶縁を図る絶縁部１５ｂと、絶縁部１５ｂの外周を覆うシールド部１５ｃとを含む。例えば、芯線１５ａは、銅線を含む。絶縁部１５ｂは、シリコン系やフッ素系の樹脂により形成される。シールド部１５ｃは、金属ネットを含む。シールド部１５ｃは、芯線１５ａに流れる交流高電圧による放電が高電圧ケーブル１５の外部において生じないようにシールドする。例えば、エアーチューブ１６は、主として圧縮エアーの圧力に耐え得るウレタン系樹脂にて形成されている。高電圧ケーブル１５及びエアーチューブ１６を覆う樹脂ジャケット１４は、ウレタン系樹脂にて形成されている。

　接続ケーブル１２の先端には、ヘッド部１３と連結するための連結部材１７が装着されている。例えば、連結部材１７は、円筒状に形成される。連結部材１７は、高電圧ケーブル１５とエアーチューブ１６とを導出するための開口部を有する。開口部における高電圧ケーブル１５およびエアーチューブ１６以外の間隙は、樹脂性の封止剤１８にて封止されている。これにより、接続ケーブル１２（連結部材１７）と連結するヘッド部１３に供給された圧縮エアーの一部が、連結部材１７の開口部から接続ケーブル１２の樹脂ジャケット１４内に進入（逆流）しない。なお、高電圧ケーブル１５のシールド部１５ｃは、その封止剤１８の手前部分で捲られている。

　［ヘッド部の構成］
　接続ケーブル１２の先端部には、接続ケーブル１２と同軸かつ略同一の径を有する外形円形状のヘッド部１３が一体的に装着されている。

　ヘッド部１３は、接続ケーブル１２の先端の連結部材１７に装着される円筒状の対向電極２１と、対向電極２１の先端部に装着された電極ホルダ２２と、電極ホルダ２２に保持された針状の放電電極２３とを含む。対向電極２１と電極ホルダ２２とで、ヘッド部１３の外殻部分が構成されている。また、ヘッド部１３は、対向電極２１の内側に配置された筒状の保持ブロック２４（保持部材）と、保持ブロック２４に保持された円筒状の絶縁パイプ２５とを含む。

　例えば、ヘッド部１３の外殻を構成する対向電極２１は、ステンレス鋼により形成される。連結部材１７の先端外周面には、ねじ部１７ａが形成されている。対向電極２１の軸方向における基端部には、連結部材１７のねじ部１７ａに螺着される螺着部２１ａが形成されている。なお、連結部材１７は、接続ケーブル１２（樹脂ジャケット１４）内に配線された図示しないアース線と接触されている。これにより、その連結部材１７と接触する対向電極２１もアース電位になっている。

　対向電極２１は、対向電極２１における螺着部２１ａよりも先端側の位置に形成された段差部２１ｂを含む。保持ブロック２４は、被挟持部２４ａとガイド部２４ｂとを含む。被挟持部２４ａは、対向電極２１の段差部２１ｂと連結部材１７の先端部とによって軸方向において挟持されている。ガイド部２４ｂは、被挟持部２４ａから対向電極２１の先端に向かって延びている。例えば、保持ブロック２４は、全体としてＰＴＦＥ（ポリテトラフルオロエチレン）等のフッ素樹脂にて形成される部材であり、本実施形態では切削加工により形成されている。

　保持ブロック２４のガイド部２４ｂは、接続ケーブル１２と同軸であって被挟持部２４ａよりも小径である円筒状を有している。ガイド部２４ｂは、連結部材１７の開口部（封止剤）からヘッド部１３内に導入された高電圧ケーブルの先端導出部１５ｄを、ヘッド部１３の径方向中心に案内しつつ保持している。なお、先端導出部１５ｄにおいて、シールド部１５ｃが剥がされて、芯線１５ａが絶縁部１５ｂのみで被覆されている。また、ガイド部２４ｂには、そのガイド部２４ｂの内外を連通するように径方向に貫通する貫通孔２４ｃが形成されている。

　図１（ｂ）に示すように、対向電極２１の先端部（螺着部２１ａとは反対側の端部）に装着された電極ホルダ２２は、例えば、全体としてＰＦＡ（テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体）等のフッ素樹脂にて形成され、本実施形態では射出成形にて形成されている。

　電極ホルダ２２は、対向電極２１先端の開口部２１ｃに挿入された円筒状の外周部３１（包囲部）と、外周部３１の内周側に設けられた電極保持部３２と、電極ホルダ２２の先端において電極保持部３２の周壁部３２ａおよび外周部３１を連結する先端連結部３３とを含む。例えば、電極保持部３２は、有底円筒状を有する。外周部３１は、対向電極２１と同軸を有し、外周部３１の外周面の一部は、対向電極２１の内周面と径方向において当接している。なお、外周部３１の外周面と対向電極２１の内周面との間には環状のシール部材Ｓが介装され、その間からのエアー漏れが抑制されている。

　外周部３１は、外周部３１の先端部に形成され且つ開口部２１ｃから対向電極２１の外側に突出する位置決め部３１ａを含む。電極ホルダ２２を対向電極２１の先端部に組み付ける際には、位置決め部３１ａが対向電極２１の先端部と当接するまで外周部３１を対向電極２１に挿入する。

　電極保持部３２は、電極ホルダ２２の先端面の径方向中心部において軸方向内側（基端側）に窪むように形成されている。電極保持部３２の周壁部３２ａは、外周部３１の内周面と空隙を介して径方向において対向している。

　先端連結部３３は、電極ホルダ２２の軸線を中心とする円環状を有する。先端連結部３３には、電極ホルダ２２の軸方向に沿って貫通する複数のエアー放出孔３３ａが周方向に沿って形成されている。また、電極保持部３２の周壁部３２ａには、該周壁部３２ａの内周側の空間と、周壁部３２ａと外周部３１との間の空間とを連通する連通孔３２ｂが形成されている。

　電極保持部３２の底部（電極保持部３２における先端連結部３３とは反対側の端部）には、電極ホルダ２２の軸方向に貫通する保持孔３２ｃが形成されている。保持孔３２ｃには、針状の放電電極２３が挿入されている。これにより、放電電極２３の軸方向中央部が、保持孔３２ｃにて保持される。放電電極２３の先端部は、電極保持部３２の周壁部３２ａによって包囲されている。放電電極２３の基端部は、保持孔３２ｃからヘッド部１３の内部側に突出している。

　このような構成により、放電電極２３の先端部を包囲する周壁部３２ａの内周面によってイオン生成室Ｇが区画されている。放電電極２３へ高電圧が印加された場合、イオン生成室Ｇにおいて除電イオンが生成され、生成された除電イオンが、周壁部３２ａの先端部のイオン放出口３２ｄから放出される。

　絶縁パイプ２５は、電極保持部３２の基端側に配置され、保持ブロック２４のガイド部２４ｂに挿入されて保持されている。絶縁パイプ２５は、例えばＰＴＦＥ（ポリテトラフルオロエチレン）等のフッ素樹脂にて形成されている。なお、電極ホルダ２２、絶縁パイプ２５及び保持ブロック２４は、同軸を有するように配置されている。また、電極保持部３２の底部の一部（保持孔３２ｃを含む部位）が、絶縁パイプ２５に挿入されるように構成されている。また、絶縁パイプ２５の外径は、電極保持部３２の周壁部３２ａの外径と略等しくなるように設定されている。

　絶縁パイプ２５の先端側の保持孔３２ｃには、放電電極２３の基端部が挿通されている。一方、絶縁パイプ２５の基端側には、高電圧ケーブル１５の先端部が挿通されて保持されている。絶縁パイプ２５内には、高電圧ケーブル１５の先端から突出する芯線１５ａと、放電電極２３とを電気的に接続する接続部３４が設けられている。絶縁パイプ２５は、接続部３４の外周を覆って該接続部３４を保持している。

　接続部３４は、端子部材３５（接続端子部）と、接触子３６とを含む。端子部材３５（接続端子部）は、高電圧ケーブル１５の芯線１５ａに装着されている。接触子３６は、放電電極２３の基端部に固定され、かつ端子部材３５と接触する。例えば、接触子３６は、コイルばねを含む。端子部材３５は、絶縁パイプ２５の軸方向（長手方向）の略中央に位置するように構成されている。電極ホルダ２２を対向電極２１に装着する際に、接触子３６は、電極ホルダ２２に放電電極２３と共に予め組み付けられている。これにより、電極ホルダ２２を対向電極２１に装着することによって、接触子３６が端子部材３５と弾性的に接触する。

　次に、電極ホルダ２２、保持ブロック２４、絶縁パイプ２５及び接続部３４の位置関係について詳述する。
　電極ホルダ２２の外周部３１の一部と、保持ブロック２４のガイド部２４ｂの先端部２４ｄは、絶縁パイプ２５の外周に位置している。つまり、外周部３１の一部とガイド部２４ｂの先端部２４ｄは、絶縁パイプ２５と対向電極２１との間に介在されている。

　保持ブロック２４のガイド部２４ｂは、絶縁パイプ２５の軸方向中央よりも基端側（連結部材１７側）の外周を包囲している。ガイド部２４ｂは、ガイド部２４ｂの先端部２４ｄ（被挟持部２４ａとは反対側の端部）が、絶縁パイプ２５内の端子部材３５よりもヘッド部１３の基端側（以下、ヘッド基端側と言う）に位置するように構成されている。

　電極ホルダ２２の外周部３１は、その基端部３１ｂ（連結部材１７側の端部）が絶縁パイプ２５内の端子部材３５よりもヘッド基端側に位置するように構成されている。絶縁パイプ２５におけるガイド部２４ｂから突出する部位と外周部３１とが、空隙を介して径方向において対向している。更に、外周部３１の基端部３１ｂは、ガイド部２４ｂの先端部２４ｄの外周を包囲している。外周部３１の基端部３１ｂとガイド部２４ｂの先端部２４ｄとは、空隙を介して径方向に対向している。

　つまり、絶縁パイプ２５の径方向において、絶縁パイプ２５の軸方向中間部から先端部までの部位と対向電極２１との間には、電極ホルダ２２の外周部３１のみが介在されている。また、絶縁パイプ２５の径方向において、絶縁パイプ２５の基端部と対向電極２１との間には、ガイド部２４ｂのみが介在されている。また、絶縁パイプ２５の径方向において、絶縁パイプ２５の軸方向中間位置であって端子部材３５よりもヘッド基端側の位置と対向電極２１との間には、外周部３１とガイド部２４ｂの両方が介在されている。

　上記のように構成されたヘッド部１３内には、保持ブロック２４の貫通孔２４ｃを含むエアー供給通路Ｐが、絶縁パイプ２５及び電極ホルダ２２の電極保持部３２にて高電圧印加部分（放電電極２３及び接続部３４）と隔離されて構成されている。詳しくは、エアー供給通路Ｐは、径方向におけるガイド部２４ｂと対向電極２１との間、径方向におけるガイド部２４ｂ先端と電極ホルダ２２の外周部３１基端との間、径方向における絶縁パイプ２５と外周部３１との間、及び径方向における電極保持部３２の周壁部３２ａと外周部３１との間に構成されている。エアー供給通路Ｐは、電極ホルダ２２に形成された複数のエアー放出孔３３ａ及び電極保持部３２に形成された前記連通孔３２ｂと連通している。

　次に、本実施形態の作用について説明する。
　高電圧ケーブル１５の芯線１５ａから端子部材３５及び接触子３６を介して放電電極２３に交流高電圧が供給されると、対向電極２１と放電電極２３との関係で、放電電極２３の先端部の周囲のイオン生成室Ｇ内でコロナ放電が発生し除電イオンが生成される。生成された除電イオンは、イオン生成室Ｇのイオン放出口３２ｄ（周壁部３２ａの先端部）から放出される。そして、放電電極２３でのコロナ放電と連動して、圧縮エアーがヘッド部１３内のエアー供給通路Ｐに供給され、主に複数のエアー放出孔３３ａから放出される。これにより、イオン放出口３２ｄから放出された除電イオンが、主に複数のエアー放出孔３３ａから放出される圧縮エアーに乗って除電対象物に対して供給される。なお、このとき、電極保持部３２の周壁部３２ａに形成された連通孔３２ｂによってその周壁部３２ａの内周側が正圧となるため、塵埃を含む外気が周壁部３２ａの内周側に入り込むことが抑制される。その結果、放電電極２３への塵埃の付着が抑制される。

　次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
　（１）放電電極２３を保持し、且つ該放電電極２３と対向電極２１との間の電気的絶縁を図る電極ホルダ２２がフッ素樹脂（本実施形態ではＰＦＡ）にて形成される。フッ素樹脂は比誘電率が比較的低い（ＰＦＡの比誘電率は２．１）ため、放電電極２３への高電圧印加時に電極ホルダ２２の例えば外周部３１と対向電極２１との間での放電の発生が抑制され、その結果、電極ホルダ２２の劣化が抑制される。更に、フッ素樹脂は耐熱性が高いため、電極ホルダ２２（外周部３１）を小径として放電電極２３と対向電極２１との径方向の間隔を狭くしても電極ホルダ２２の絶縁破壊が生じにくい。このように、電極ホルダ２２にフッ素樹脂を用いることで、電極ホルダ２２の劣化を抑えつつもヘッド部１３の小型化を可能となる。また、本実施形態のようにフッ素樹脂の中でも射出成形可能なＰＦＡを電極ホルダ２２に採用することで、射出成形によって低コストで電極ホルダ２２を複雑形状に形成する（例えば、電極保持部３２の周壁部３２ａに連通孔３２ｂを形成する）ことが可能となる。

　（２）電極ホルダ２２には、絶縁パイプ２５と対向電極２１との間に介在されるとともに絶縁パイプ２５の外周における接続部３４と対応する部位を包囲する外周部３１（包囲部）が一体形成される。これにより、放電電極２３と高電圧ケーブル１５との接続部３４の外周が、共にフッ素樹脂よりなる絶縁パイプ２５と電極ホルダ２２の外周部３１とによって包囲されるため、絶縁パイプ２５及び電極ホルダ２２の絶縁部に絶縁破壊が生じることがより一層抑制され、その結果、ヘッド部１３のより一層の小型化に寄与できる。また、電極ホルダ２２の外周部３１が絶縁パイプ２５と対向電極２１との間に介在されるため、絶縁パイプ２５と対向電極２１との間での放電の発生を抑制することができる。

　（３）ヘッド部１３は、接続ケーブル１２の先端部から導出され且つヘッド部１３内に挿通された高電圧ケーブル１５の先端導出部１５ｄを保持する保持ブロック２４（保持部材）を備える。該保持ブロック２４が、フッ素樹脂（本実施形態では、比誘電率が２．１であるＰＴＦＥ）にて形成される。これにより、電極ホルダ２２にフッ素樹脂を用いた場合と同様に、保持ブロック２４と対向電極２１との間での放電の発生が抑制されて保持ブロック２４の劣化が抑制されるとともに、フッ素樹脂の耐熱性の高さから保持ブロック２４を小型としても絶縁破壊が生じることが抑制され、その結果、ヘッド部１３のより一層の小型化に寄与できる。

　（４）保持ブロック２４は、高電圧ケーブル１５の先端導出部１５ｄの外周を包囲する筒状を有し、保持ブロック２４の先端部（ガイド部２４ｂの先端部２４ｄ）は、電極ホルダ２２の外周部３１の基端部３１ｂの内周側に位置している。この構成によれば、高電圧ケーブル１５の先端導出部１５ｄから放電電極２３に亘る高電圧印加部分の全体がフッ素樹脂よりなる電極ホルダ２２及び保持ブロック２４の少なくとも一方にて包囲されるため、放電電極２３と対向電極２１との間の絶縁部分の絶縁破壊をより一層抑制することができる。

　（５）電極ホルダ２２には、ヘッド部１３に供給された圧縮エアーを放出する複数のエアー放出孔３３ａが形成され、除電イオンを複数のエアー放出孔３３ａから放出される圧縮エアーに乗せて除電対象物に供給可能に構成される。これにより、ヘッド部１３で生成された除電イオンを除電対象物に効率的に供給することが可能となる。

　（６）電極ホルダ２２は、放電電極２３の外周を包囲する筒状の周壁部３２ａを有する。周壁部３２ａの内周面により区画されるイオン生成室Ｇ内で生成された除電イオンが、周壁部３２ａ先端のイオン放出口３２ｄから放出される。そして、圧縮エアーを放出する複数のエアー放出孔３３ａは、電極ホルダ２２におけるイオン放出口３２ｄよりも外周側の位置に形成されるため、除電イオンを除電対象物により効率的に供給することが可能となる。

　（７）周壁部３２ａには、エアー供給通路Ｐとイオン生成室Ｇとを連通する連通孔３２ｂが形成される。これにより、電極ホルダ２２の周壁部３２ａに形成された連通孔３２ｂによってイオン生成室Ｇ内が正圧となるため、周壁部３２ａのイオン放出口３２ｄからイオン生成室Ｇに外気が入り込むことを抑制することができる。その結果、外気に含まれる塵埃等がイオン生成室Ｇ内及び放電電極２３に付着することを抑制することができる。

　（８）電極ホルダ２２の各エアー放出孔３３ａの放出口が、放電電極２３先端よりもヘッド先端側に位置している。これにより、電極ホルダ２２の先端部付近に形成される除電イオンを、複数のエアー放出孔３３ａから放出される圧縮エアーに乗せてより効率的に除電対象物に供給することができる。

　（９）ヘッド部１３を構成する電極ホルダ２２、保持ブロック２４及び絶縁パイプ２５の３部品が全てフッ素樹脂よりなるため、対向電極２１との間の放電の発生をより一層抑制することが可能となり、また、セラミックを用いる場合に比べて省コスト化に寄与できる。

　なお、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
　・電極ホルダ２２、保持ブロック２４及び絶縁パイプ２５に用いるフッ素樹脂の種類は上記実施形態のものに限定されるものではなく、構成に応じて適宜変更してもよいが、対向電極２１との間の放電を抑制する点から上記実施形態のようにＰＦＡやＰＴＦＥ等の比誘電率が２．１以下のフッ素樹脂を用いるのが好ましい。

　・上記実施形態では、電極ホルダ２２、保持ブロック２４及び絶縁パイプ２５をそれぞれ別体で構成したが、絶縁パイプ２５を電極ホルダ２２及び保持ブロック２４の少なくとも一方と同一材料にて一体形成することで、ヘッド部１３の構成を簡素化することが可能となる。

　・上記実施形態では、保持ブロック２４をフッ素樹脂にて形成したが、これ以外に例えば、セラミック等にて形成してもよい。
　・上記実施形態では、放電電極２３と対向電極２１との間の絶縁部分において、放電電極２３と高電圧ケーブル１５との接続部３４を覆う被覆部（絶縁パイプ２５）をフッ素樹脂で構成したが、これに限定されるものではなく、耐熱性に優れた例えばセラミックで構成してもよい。絶縁パイプ２５は、放電電極２３と高電圧ケーブル１５との接続部３４を覆っていることから、放電電極２３と対向電極２１との間の絶縁部を構成する部位の中で特に絶縁破壊が生じやすい。そして、その絶縁パイプ２５のみをセラミックにて形成することで、放電電極２３と対向電極２１との間の電極ホルダ２２を含めた絶縁部分の絶縁破壊をより抑えることができ、ヘッド部１３のより一層の小型化に寄与できる。

　電極ホルダ２２及び保持ブロック２４の形状等の構成は上記実施形態に限定されるものではなく、構成に応じて適宜変更してもよい。
　・本体コントローラ１１は、高電圧の生成とエアーの流量とを調整する機能を有するものであったが、備える機能はこれに限定されるものではない。

Claims

　除電イオンを生成する除電装置であって、
　接続ケーブルであって、前記接続ケーブルの内部に挿通された部分と、前記接続ケーブルの先端から導出された先端導出部とを有する高電圧ケーブルを含む前記接続ケーブルと、
　前記接続ケーブルの先端に設けられたヘッド部とを備え、
　前記高電圧ケーブルの前記先端導出部が、前記ヘッド部内に導入され、
　前記ヘッド部は、
　前記高電圧ケーブルと電気的に接続され、且つ前記高電圧ケーブルを介して印加された高電圧によって前記除電イオンを生成する放電電極と、
　前記放電電極の外周を包囲し、且つ該放電電極を保持する絶縁性を有する電極ホルダと、
　前記電極ホルダの外周に配置された対向電極と、
　前記放電電極と前記高電圧ケーブルとを電気的に接続する接続部と、
　前記対向電極と前記放電電極との間に配置され、且つ前記接続部を包囲して保持する絶縁パイプと、
　前記ヘッド部内に導入された前記高電圧ケーブルの前記先端導出部を保持する保持部材とを含み、
　前記電極ホルダは、フッ素樹脂にて形成されている、除電装置。
　前記保持部材は、フッ素樹脂にて形成されている、請求項１に記載の除電装置。
　前記電極ホルダは、
　前記絶縁パイプと前記対向電極との間に介在され、且つ前記絶縁パイプの外周における前記接続部に対応する部分を包囲する包囲部を含み、
　前記包囲部は、前記電極ホルダと一体的に形成されている、請求項１または２に記載の除電装置。
　前記保持部材は、前記高電圧ケーブルの前記先端導出部の外周を包囲する筒状を有し、
　前記保持部材は、前記電極ホルダの包囲部の内周側に位置している、請求項３に記載の除電装置。
　前記接続ケーブルは、該接続ケーブルの内部に挿通されたエアーチューブを含み、
　前記ヘッド部は、前記エアーチューブを介して供給された圧縮エアーを案内するエアー供給通路を含み、
　前記電極ホルダは、前記エアー供給通路と連通する複数のエアー放出孔を有し、
　前記ヘッド部は、前記除電イオンを前記複数のエアー放出孔から放出される前記圧縮エアーに乗せて除電対象物に供給するように構成されている、請求項１～４のいずれか１項に記載の除電装置。
　前記電極ホルダは、前記放電電極の外周を包囲する筒状の周壁部を有し、
　前記電極ホルダの前記周壁部の内周面によって、イオン生成室が区画され、
　前記電極ホルダは、
　前記電極ホルダの周壁部先端に形成されたイオン放出口を有し、
　前記電極ホルダは、前記イオン生成室内で生成された前記除電イオンを前記イオン放出口から放出するように構成され、
　前記電極ホルダの前記複数のエアー放出孔は、前記電極ホルダにおける前記イオン放出口の外周側に位置する、請求項５に記載の除電装置。
　前記電極ホルダの前記周壁部は、前記エアー供給通路と前記イオン生成室とを連通する連通孔を有する、請求項６に記載の除電装置。