WO2015194286A1

WO2015194286A1 - ヘッドマウントディスプレイ、その制御方法、及び、制御プログラム

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Publication number: WO2015194286A1
Application number: PCT/JP2015/063575
Authority: WO
Inventors: 加藤　剛
Original assignee: コニカミノルタ株式会社
Priority date: 2014-06-20
Filing date: 2015-05-12
Publication date: 2015-12-23

Abstract

　ヘッドマウントディスプレイを装着したユーザーの視認性を損なうことなく、カメラがユーザーの撮影指示により撮影を開始しない動作モードにあるときに遮蔽部材が開放位置にあることをユーザーに知らせることができるヘッドマウントディスプレイ、その制御方法、及び、制御プログラムを提供する。ヘッドマウントディスプレイを、ユーザーの頭部に装着される装着部材に設けられ、ユーザーの撮影指示によりユーザーの周囲の被写体の撮影を開始し得る第１の動作モードと、ユーザーの撮影指示では撮影を開始しない第２の動作モードとを有する撮影装置を有し、撮影装置が前記第２の動作モードにあり、装着部材に取り付けられユーザーに視認されない位置で移動するカバー部材が、撮像装置の光学系を開放する位置にあるときに、警報装置に警報を出力させるように構成する。

Description

ヘッドマウントディスプレイ、その制御方法、及び、制御プログラム

　本発明はヘッドマウントディスプレイ、その制御方法、及び、制御プログラムに関する。

　最近、スマートフォンに代わる端末として、ユーザーの身体に装着可能なウェラブル端末が開発され既に上市されている。中でもメガネタイプのヘッドマウントディスプレイ（Ｈｅａｄ　Ｍｏｕｎｔ　Ｄｉｓｐｌａｙ、以下ＨＭＤと記す）は、業務用途に限られず、一般のユーザーが使用可能な製品も増えつつある。また、ＨＭＤにカメラを搭載することも提案されており、そのようなＨＭＤをユーザー（以下、ＨＭＤユーザー）の頭部に装着することで、搭載したカメラにより周囲を撮影することができ、ＨＭＤユーザーの見たままの画像を生成し、画像を解析して必要な情報を取り出して利用したり、ＨＭＤユーザーの見たままの映像を遠方に送信したりすることができる。また、ＨＭＤユーザーが実際に見ている対象物を、そのままの姿勢にて写真やビデオで撮ることができるため、カメラを構えるといった旧来行っていた動作が不要になり撮影の概念を変えるものと期待されている。

　ＨＭＤに搭載されたカメラは、その機動性を一つの特徴としており、一般的にはＨＭＤユーザーの頭部上部に眼鏡型フレームなどの装着部材を用いて保持され、カメラを搭載した場合そのレンズはＨＭＤユーザーの頭部と一体で動き、レンズ光軸が常に顔の前方を向く場合が多い。そのため、ＨＭＤを装着したＨＭＤユーザーが他人に近づいたり、或いは人混みの中に居る場合など、たとえＨＭＤユーザーに撮影の意思が無かったとしても、ＨＭＤユーザーの前方にいる人にとってみれば、許可なく無断で映像或いは写真を撮ろうとしていると誤解を招く恐れが強い。それは、カメラを有するＨＭＤを装着するという行為が、被写体としてカメラで狙っているのと同等の行為として,周囲の人に受け止められやすいためである。しかも、実際に被写体の画像が記録されているか否かは、ＨＭＤユーザー側でないとわかりにくいことが多く、被写体となる人が撮影を許容している場合を除き、プライバシーの侵害の問題が生じやすくトラブルの原因となりかねないという懸念がある。

　従来のアナログカメラ又はデジタルカメラを身体に装着し撮影するケースでは、特別な目的や限定された場所に限られており、撮影者も目的以外の場所ではカメラを装着しないため、プライバシーの侵害がクローズアップされることは殆どなかった。しかしながら、ＨＭＤはスマートフォンのように日常的に使用される場面も想定され、カメラ機能以外にも、コミュニケーションツールやナビゲーション等の機能を持つことが多い。それらの機能は、カメラ機能と連携させて使用する場合もある。このようにＨＭＤはカメラと違って撮影することのみを用途としておらず、従って撮影意思がない場所でも、ＨＭＤユーザーがカメラ機能を備えたＨＭＤを使用することは十分あり得る。これに対し、ＨＭＤに対してカメラを着脱可能な構成とし、プライバシー侵害が疑われる場合など必要に応じてカメラを取り外せば良いという考えもある。しかしながら、コンパクト性、操作性、利便性等の観点からは、ＨＭＤとカメラは一体化されていることが望ましく、カメラを脱着する作業をユーザーに求めることは必ずしも好ましいとは言えない。また、着脱可能とすると構造が複雑になり、コンパクト性が損なわれたり、コスト増を招いたりするという問題もある。

　ＨＭＤにカメラを搭載することで多くの利便性を得ることができるが、その反面、上述したようなプライバシー侵害に関わるトラブルが起こりうる。そこで、カメラを搭載したＨＭＤを装着していても、プライバシーを侵害していると誤解されない対策を確立することが急務となっている。その対策として、カメラを搭載したＨＭＤを使用している際に、周囲の人に、カメラが撮影状態であるのか或いは非撮影状態であるのかを認識させる装置又は部材を設けることが考えられる。例えば、タリーランプや撮影時のシャッター音を発するスピーカなど、カメラの撮影状態を明示する報知装置を設けることが考えられる。しかしながら、第三者はたとえタリーランプが非点灯でスピーカが音を発生しなくても撮影されているかも知れないと考えて不快に思うことがある。そこで、カメラのレンズを遮蔽することで、カメラの非撮影状態を間接的に明示する遮蔽部材などをＨＭＤに設けることが考えられる。

　一方、一般のカメラにおけるレンズキャップと異なり、ＨＭＤの場合は、使用者がＨＭＤを頭部に装着して使用するので、自らカメラのレンズを視認することが困難であり、レンズ前面にカバーがされているかどうかを直ちに判別できないことが多い。よって、カバーが外れていることに気づかずＨＭＤユーザーがＨＭＤを使用していると、その意に反して周囲の者からプライバシーを侵害していると誤解される可能性もある。

　特許文献１には、カメラを覆う第１位置と眼前の第２位置とを移動可能なアーム状の部材の先端に表示部を設け、第１位置ではアーム状部材の先端がカメラを覆って第三者に撮影していないことを明示し、第２位置ではカメラを開放して撮像開始信号を発するとともにユーザーに表示を視認させるようにする頭部装着型撮像装置が提案されている。アーム状部材の位置によって、撮影を行っているかユーザー自身が判断できるので、トラブルの未然防止に貢献するとされている。

特開2013-247639号公報

　しかしながら、特許文献１の装置では、撮影の最中にアーム状部材の表示部を支持する柄の部分がユーザーの視界に入り、被写体を遮ると共にユーザーが違和感を覚える恐れがあるため、ＨＭＤの利点を十分に生かし切れていないという問題がある。又、特許文献１の第１実施形態の装置では、アーム状部材が表示可能な位置まで倒された場合、カメラが覆われていないので、第三者に撮影状態と誤解される恐れがある。また、瞳の正面から下方にずれた位置までアームを回動させることで視界を確保しつつ表示部による表示を行い、撮影は行わないようにすることも記載されているが、アーム状部材が撮影可能な位置を通過した後、表示可能な位置へと移動するので、ユーザーが表示のみを欲した場合でも、その前にアーム状部材が撮影可能な位置を必ず通過するため無駄な動作が入り、操作性が低下する。更に、アーム状部材を倒すことで直ちにカメラが起動してしまうので、ユーザーの意図通りにカメラを起動することができず、やはり操作性が損なわれてしまうという問題がある。

　一方、特許文献１の第２実施形態の装置では、アーム状部材に連動して移動する遮蔽部材を設け、撮影停止時に遮蔽部材によりカメラを覆うようにしているが、部品点数が増えると共に連動する機構により複雑な構成になる。また、常にアームと遮光部材とが連動するので、第三者に撮影状態と誤解される恐れのない環境にあるときには、カメラを開放したままにすることができないという問題を生じる。

　本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、ＨＭＤを装着したユーザーの視認性を高めることができ、カメラが非撮影状態であることをユーザーに知らせることができるＨＭＤ及びその制御方法並びに制御プログラムを提供することを目的とする。

　上述した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映したヘッドマウントディスプレイは、
　ユーザーの頭部に装着される装着部材と、
　前記装着部材に保持され、前記ユーザーが視認可能に画像を表示するディスプレイと、　前記装着部材に取り付けられ、光学系と固体撮像素子とを備えてなり、前記ユーザーの撮影指示により前記ユーザーの周囲の被写体の撮影を開始し得る第１の動作モードと、前記ユーザーの撮影指示では撮影を開始しない第２の動作モードとを有する撮影装置と、
　前記装着部材に取り付けられ、前記ユーザーに視認されない位置で、前記ユーザーの操作によって、前記撮影装置の光学系を開放する開放位置と、前記光学系を遮蔽する遮蔽位置との間で移動し得るカバー部材と、
　前記ユーザーが感知可能な警報を出力する警報装置と、
　前記撮影装置が前記第２の動作モードにあり且つ前記カバー部材が前記開放位置にあるときに、前記警報装置を制御して警報を出力させる制御部と、を有することを特徴とする。

　このヘッドマウントディスプレイによれば、前記カバー部材が、前記ヘッドマウントディスプレイを装着したユーザーに視認されない位置で前記装着部材に取り付けられているので、かかるユーザーの視認性を高めることができる。かかる場合、前記カバー部材が前記開放位置にあるのか前記遮蔽位置にあるのか,前記ユーザーからは視覚により直接判断できないこととなる。そこで、前記警報装置が、前記撮影装置が前記第２の動作モードにあり且つ前記カバー部材が前記開放位置にあるときに、前記警報装置が警報を出力するのである。これにより、前記ユーザーが撮影を行う意思がない場合には、前記警報によって、自らは視認できない前記カバー部材が開放位置にあることが分かるため、前記カバー部材を遮蔽位置に移動させる操作を行うことが出来、それにより周囲の者にプライバシー侵害の誤解を与えることを抑制できる。一方、前記ユーザーが自らの意思で撮影を行おうとする場合には、前記警報によって前記カバー部材が撮影を妨げない開放位置にあることが分かるので、適切に撮影を行うことができる。

　また、上述した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映したヘッドマウントディスプレイの制御方法は、
　ユーザーの頭部に装着される装着部材と、前記装着部材に保持され、前記ユーザーが視認可能に画像を表示するディスプレイと、前記装着部材に取り付けられ、光学系と固体撮像素子とを備え前記ユーザーの周囲の被写体を撮影する撮影装置と、前記装着部材に取り付けられ、前記ユーザーに視認されない位置で、前記ユーザーの操作によって、前記撮影装置の光学系を開放する開放位置と、前記光学系を遮蔽する遮蔽位置との間で移動し得るカバー部材と、前記ユーザーが感知可能な警報を出力する警報装置とを有するヘッドマウントディスプレイにおいて、前記撮影装置が、前記ユーザーの撮影指示では撮影を開始しない動作モードにあり且つ前記カバー部材が前記開放位置にあるときに、前記警報装置に警報を出力させるように制御することを特徴とする。

　更に、上述した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映したヘッドマウントディスプレイの制御プログラムは、
　ユーザーの頭部に装着される装着部材と、前記装着部材に保持され、前記ユーザーが視認可能に画像を表示するディスプレイと、前記装着部材に取り付けられ、光学系と固体撮像素子とを備え前記ユーザーの周囲の被写体を撮影する撮影装置と、前記装着部材に取り付けられ、前記ユーザーに視認されない位置で、前記ユーザーの操作によって、前記撮影装置の光学系を開放する開放位置と、前記光学系を遮蔽する遮蔽位置との間で移動し得るカバー部材と、前記ユーザーが感知可能な警報を出力する警報装置と、少なくとも前記警報装置を制御するプロセッサとを有するヘッドマウントディスプレイにおいて、前記プロセッサに内蔵されたコンピュータを、前記撮影装置が、前記ユーザーの撮影指示では撮影を開始しない動作モードにあり且つ前記カバー部材が前記開放位置にあるときに、前記警報装置が警報を出力するように機能させることを特徴とする。

　本発明によれば、ヘッドマウントディスプレイを装着したユーザーの視認性を損なうことなく、カメラがユーザーの撮影指示により撮影を開始しない動作モードにあるときに遮蔽部材が開放位置にあることをユーザーに知らせることができるヘッドマウントディスプレイ、その制御方法、及び、制御プログラムを提供することができる。

第１の実施形態のＨＭＤ１００を装着したユーザーの斜視図である。ＨＭＤ１００のカバー部材を開放状態にして示す図である。ＨＭＤ１００のカバー部材を遮蔽状態にして示す図である。図２に示す構成をIV-IV線で切断して矢印方向に見た図である。ＨＭＤ１００の回路構成を示すブロック図である。遮蔽位置近傍におけるカバー部材１０５の遮蔽部１０５ｂの周囲を示す図である。遮蔽位置におけるカバー部材１０５の遮蔽部１０５ｂの周囲を示す図である。ユーザーＵＳの操作とＨＭＤ１００の動作との関係を示す梯子チャートである。第１の実施形態にかかるプロセッサ１１６の監視動作を示すフローチャートである。ディスプレイ１０４の撮影注意警報の表示例を示す図である。ＨＭＤ１００を装着したユーザーＵＳが視認する対象物の例である。第２の実施形態にかかるＨＭＤ１００の回路構成を示すブロック図である。第２の実施形態にかかるプロセッサ１１６の監視動作を示すフローチャートである。第３の実施形態にかかるＨＭＤ１００の回路構成を示すブロック図である。第３の実施形態にかかるプロセッサ１１６の監視動作を示すフローチャートである。第４の実施形態にかかるＨＭＤ１００の回路構成を示すブロック図である。第４の実施形態にかかるＨＭＤ１００と外部サーバ２００の動作を示すフローチャートである。ディスプレイ１０４の撮影禁止警報の表示例を示す図である。ＨＭＤ１００を装着したユーザーＵＳが視認する対象物の例である。

（第１の実施形態）
　以下に本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図１は、第１の実施形態のＨＭＤ１００を装着したユーザーの斜視図である。図２は、ＨＭＤ１００のカバー部材を開放状態にして示す図であり、図３は、ＨＭＤ１００のカバー部材を遮蔽状態にして示す図である。図４は、図２に示す構成をIV-IV線で切断して矢印方向に見た図である。図５は、ＨＭＤ１００の回路構成を示すブロック図である。

　図１に示すように、本実施形態のＨＭＤ１００は，装着部材である眼鏡型のフレーム１０１を有しており、ユーザーＵＳの両耳にフレーム１０１をかけて用いるタイプである。眼鏡レンズ１０２における屈折力の有無には拘らない。

　図２，３において、フレーム１０１上の片側（本例では右目側）に、Ｌ字状をした筐体１０３が一体的に取り付けられており、更に筐体１０３から下方に向かい、片方の眼鏡レンズ１０２に平行に延在するように配置された板状の表示部材を含むディスプレイ１０４が設けられている。ディスプレイ１０４は、筐体１０３内に設けられた液晶表示素子やエレクトロルミネセンス表示素子と、表示素子が生成する画像を上記表示部材へ導光するプリズム等の光学素子と、ガラスやプラスチックなど透明な素材からなり、ハーフミラーやホログラムなどを備えた上記表示部材とによって構成される。ディスプレイ１０４が非表示状態のとき、表示部材は素通しとなり、ユーザーＵＳ前方の対象物からの光を透過できる。また、表示状態ではハーフミラーやホログラムによってユーザーの眼に画像を導くことにより、表示部材の少なくとも一部に画像をユーザーＵＳが視認可能に表示する。

　筐体１０３の側面には、ＨＭＤ１００を装着したユーザーＵＳの視野内に含まれない位置に、カバー部材１０５が取り付けられている。具体的には、図３に示すように、筐体１０３の側面に形成された一対のガイドレール１０３ａは、フレーム１０１に沿ってＬ字状に延在している。又、ガイドレール１０３ａは、図４の断面に示すように相互に対向して庇状に突き出している。なお、図４において、筐体１０３内に配置される電子回路や配線などは図示を省略している。

　図２，３において、プラスチック製やゴム製などの可撓性のカバー部材１０５は、肉厚の厚いつまみ部１０５ａと、つまみ部１０５ａの端部から延在する薄板状の可撓性を有する遮蔽部１０５ｂとから一体的に形成されている。つまみ部１０５ａは、上下に突出した薄板状の係合部１０５ｃ（図４）を有し、遮蔽部１０５ｂの幅は係合部１０５ｃの全幅に等しくなっている。

　カバー部材１０５は、ガイドレール１０３ａの内側に配置されたとき、係合部１０５ｃ及び遮蔽部１０５ｂがガイドレール１０３ａに係合して脱落が抑制される。また、つまみ部１０５ａを把持したユーザーＵＳの手動操作に従い、カバー部材１０５はガイドレール１０３ａに沿って、図２に示す開放位置と、ガイドレール１０３ａの末端である図３に示す遮蔽位置との間でスライド可能となっている。遮蔽位置へとスライドする際に、遮蔽部１０５ｂはガイドレール１０３ａに沿って曲がりながら進行し、遮蔽位置へと到達したときには、筐体１０３から前方を向くようにして露出したレンズ１１２aとタリーランプ１１２ｃを遮蔽するようになっている。従って、カバー部材１０５が遮蔽位置にあると、第三者はレンズ１１２ａ及びタリーランプ１１２ｃが視認できなくなる。なお、本実施形態では、「開放位置」とは、遮蔽位置以外の位置を意味するものとする。

　図６は、開放位置におけるカバー部材１０５の遮蔽部１０５ｂの周囲を示す図であり、図７は、遮蔽位置におけるカバー部材１０５の遮蔽部１０５ｂの周囲を示す図である。図２，３では図示していないが、筐体１０３に形成された絶縁部１０３ｂ上に第１の端子１０３ｃが取り付けられている。一方、絶縁部１０３ｂに対してＵ字状に折り曲げた形状のバネ板１０３ｄの一端が取り付けられ、その他端には、第１の端子１０３ｃに対向するようにして第２の端子１０３ｅが取り付けられている。バネ板１０３ｄは、スライドする遮蔽部１０５ｂに係合可能な位置に配置されている。両端子１０３ｃ、１０３ｅは、不図示の配線により，後述するプロセッサ１１６に接続されている。

　図６に示すように、遮蔽位置になるまで（すなわち開放位置で）は、後述するカメラ部１１２のレンズ１１２ａの少なくとも一部が遮蔽部１０５ｂにより開放されており、またバネ板１０３ｄが遮蔽部１０５ｂにより押圧されないので傾いた状態に保持され、両端子１０３ｃ、１０３ｅは離間した状態に保持される。一方、図７に示すように、遮蔽位置に到達すると、レンズ１１２ａの全てが遮蔽部１０５ｂにより遮蔽され、またバネ板１０３ｄがスライドした遮蔽部１０５ｂにより押圧されて弾性変形するため、両端子１０３ｃ、１０３ｅは接触した状態になる。これにより両端子１０３ｃ、１０３ｅ間に電気的導通が確立されるので、それにより出力された遮蔽信号をプロセッサ１１６が受信することで、カバー部材１０５が遮蔽位置にあることを検出できる。遮蔽部１０５ｂが遮蔽位置から退避すると、バネ板１０３ｄは弾性変形から復帰して、図６に示す姿勢に戻るので、再び両端子１０３ｃ、１０３ｅは離間した状態に保持される。尚、上述したような接触式センサの代わりに、光電式センサなどの非接触式のセンサを用いても良く、カバー部材の位置を認識するための構成は種々の態様を採用することができる。

　本実施形態では、スライド式のカバー部材１０５としているが、このタイプに限る必要はない。一眼レフカメラやビデオカメラに搭載されている，レンズに対して脱着が可能な丸いカバー部材や、ヒンジを持つフタのように開閉するカバー部材、上下或いは左右両側から閉じられるカバー部材なども使用できる。但し、スライド式のカバー部材の場合、一般的な脱着で使用するカバー部材に比べて、脱着の手間がなく操作性に優れるという利点がある。いずれにしても、ユーザーに視認されない位置で、カバー部材が開放位置と遮蔽位置との間で移動し得るように構成することで、カバー部材がユーザーの視界を遮ることがなくなり、視認性がカバー部材によって妨げられることがない。

　筐体１０３内には、ＨＭＤ１００の機能を発揮するための電子回路が収容されている。具体的には、図５に示すように、操作部１１１，レンズ１１２ａと固体撮像素子１１２ｂとを備えたカメラ部（撮影装置）１１２，通信部１１３，メモリ１１４，ディスプレイ１０４を駆動する表示駆動部１１５，及び制御部としてのプロセッサ１１６が、筐体１０３内に収容されている。ＳｏＣ（Ｓｙｓｔｅｍ　ｏｎ　Ｃｈｉｐ）プロセッサ１１６は、入出力デバイスと通信を行い、信号処理、画像処理を行うようになっており、内蔵されたコンピュータが制御プログラムに応じて後述する制御方法を実行する。本実施形態においては、表示駆動部１１５と、ディスプレイ１０４とで警報装置を構成する。

　操作部１１１は、表示駆動部１１５のオンオフ操作やカメラ部１１２のアプリケーションの起動及びレリーズ操作等を行う為の、図示していないスイッチやポインティングデバイスなどを含む入力装置である。なお、操作部１１１は、ユーザーの声によって操作を行うマイクであってもよい。カメラ部１１２は、レンズ１１２ａを介して固体撮像素子１１２ｂに結像された被写体光を光電変換して、プロセッサ１１６に画像信号を出力するように動作する。カメラ部１１２の撮影用アプリケーションが作動している間、赤色ＬＥＤ等のタリーランプ１１２ｃが点灯する。動画撮影中はタリーランプ１１２ｃが点滅するようにしてもよい。本実施形態において、撮影装置としてのカメラ部１１２は、操作部１１１の操作によるユーザーからの撮影指示により、ユーザーの周囲の被写体の撮影を開始し得る第１の動作モードと、ユーザーの撮影指示では撮影を開始しない第２の動作モードとを有する。第１の動作モードは、プロセッサ１１６においてカメラ部１１２を制御して撮影を可能とするアプリケーションが作動している状態（レリーズ時を含む）であり、アプリケーションが起動した後はレリーズ操作に応じて撮影ができる。つまり、カメラ部１１２が撮影動作中であるときや撮影待機中の状態を含む。一方、第２の動作モードは、プロセッサ１１６においてカメラ部１１２を制御して撮影を可能とするアプリケーションが終了又は中断した状態であり、例えばカメラ部１１２がスリープした状態や電源オフされた状態である。

　通信部１１３は、外部端末との通信を行い、インターネットやＬＡＮを介して、ネットワークからの情報を取得し、表示駆動部１１５からディスプレイ１０４への表示を行ったり、カメラ部１１２や不図示のセンサからの入力情報をネットワークへ送信する役割を担う。メモリ１１４は、カメラ部１１２から得られた画像データを記憶する。表示駆動部１１５は、プロセッサ１１６からの制御に従い、既定の画像や記号をディスプレイ１０４に表示する。

　次に、図８、９を参照して、本実施形態にかかるＨＭＤ１００の制御方法について説明する。図８は、ユーザーＵＳの操作とＨＭＤ１００の動作との関係を示す梯子チャートである。ここでは動画撮影を例にとり説明する。カバー部材１０５の開閉監視動作が実行されているものとする。ここで、図８のステップＳ１０１で、ユーザーＵＳがカバー部材１０５を遮蔽位置から開放位置へと移動させることで、ＨＭＤ１００のプロセッサ１１６は、ステップＳ１２１でカバーオープン警報が発せられるように制御を行う。換言すれば、撮像装置であるカメラ部１１２は、カメラ部のアプリケーションが動作する第１の動作モードと、カメラ部のアプリケーションが停止している第２の動作モードとを有しており、プロセッサ１６は、カメラ部のアプリケーションが動作中であり且つカバー部材が開放位置にあるときに警報装置を制御して警報を発する、とも言える。次いでユーザーＵＳがステップＳ１０２で操作部１１１を用いてカメラ部１１２の撮影用アプリケーションの起動操作を行うと、プロセッサ１１６は、ステップＳ１１１でカメラ部１１２のアプリケーションを起動させると共に、タリーランプ１１２ｃを点灯させ，更にステップＳ１２２でカバーオープン警報を停止する。なお、カバー部材１０５が開放位置へ移動することに連動して、カメラ部１１２のアプリケーションを起動させ、ステップＳ１２１の警報を無くすようにしてもよい。

　更にユーザーＵＳが、ステップＳ１０３で操作部１１１のレリーズスイッチをオン操作すると、プロセッサ１１６は、ステップＳ１１２でカメラ部１１２に撮影動作を行わせ、メモリ１１４に動画像データを取り込む。またユーザーＵＳが、ステップＳ１０４でレリーズスイッチをオフ操作すると、プロセッサ１１６は、ステップＳ１１３でカメラ部１１２の撮影動作を終了させる。更にユーザーＵＳが、ステップＳ１０５で操作部１１１を用いてカメラ部１１２の撮影用アプリケーションの停止操作を行うと、プロセッサ１１６は、ステップＳ１１４でカメラ部１１２の撮影用アプリケーションを終了してタリーランプ１１２ｃを消灯すると同時に、ステップＳ１２３でカバーオープン警報を発する。ユーザーＵＳが、ステップＳ１０６でカバー部材１０５を開放位置から遮蔽位置へと移動させることで、プロセッサ１１６は、ステップＳ１２４でカバーオープン警報を停止する。尚、静止画像の撮影も同様である。

　次に，図９を用いて、具体的なカバー部材１０５の開閉監視動作について説明する。図９のステップＳ２０１で、プロセッサ１１６は、両端子１０３ｃ、１０３ｅを含む回路（検出装置）内の信号を検出することで、カバー部材１０５が遮蔽位置にあるか否かを検出する。カバー部材１０５が遮蔽位置にある場合、ＨＭＤ１００に備えられたレンズ１１２ａもタリーランプ１１２ｃも周囲から観察されないのでカメラ撮影が不能とわかり、周囲の者に不安を与える恐れがないため、フローはステップＳ２０４へと進んでプロセッサ１１６は、ステップＳ２０４で警報が発せられているか否かを判断する。ステップＳ２０４において、警報が発せられている場合、ステップＳ２０５で警報を停止する一方、警報が発せられていないと判断した場合はそのまま、ステップＳ２０１へとフローを戻し監視動作を続行する。

　一方、ユーザーＵＳがカバー部材１０５を遮蔽位置から開放位置へとスライドさせたとすると、遮蔽部１０５ｂの退避により両端子１０３ｃ、１０３ｅが離間するので回路の導通が断たれるため、ステップＳ２０１でプロセッサ１１６はカバー部材１０５が開放位置へと移動したと判断し、更にステップＳ２０２で、カメラ部１１２のアプリケーションが作動しているか否かを判断する。カバー部材１０５の操作とは独立した不図示のスイッチの操作により、カメラ部１１２の撮影用アプリケーションが作動している場合、ユーザーＵＳ自らの意思により撮影を行うものと判断できるので警報は行わない。このとき、プロセッサ１１６は、ステップＳ２０４で警報が発せられているか否かを判断し、警報が発せられている場合、ステップＳ２０５で警報を停止する一方、警報が発せられていないと判断した場合はそのまま、ステップＳ２０１へとフローを戻し監視動作を続行する。

　尚、カメラ部１１２の撮影用アプリケーションの起動に応じて、タリーランプ１１２ｃが点灯又は点滅することで、第三者に撮影の準備又は撮影を行っていることを知らしめることができる。かかる状態では、ユーザーＵＳがレリーズスイッチをオン操作することで、直ちに静止画又は動画の撮影が行われるため、シャッタチャンスを逃す恐れが少ない。

　一方、プロセッサ１１６が、ステップＳ２０２で、カメラ部１１２のアプリケーションが作動していないと判断したときは、ユーザーＵＳに撮影の意図がないにも関わらず、退避したカバー部材１０５の遮蔽部１０５ｂによりレンズ１１２ａ及びタリーランプ１１２ｃが露出されていることを意味する。よって、周囲の者がプライバシー侵害を恐れる可能性があることをユーザーに知らしめるべく、ステップＳ２０３でプロセッサ１１６は，カバーオープン警報が発生されるように制御を行う。その後フローは、ステップＳ２０１へと戻り、ユーザーＵＳがカバー部材１０５を開放位置から遮蔽位置へとスライドさせれば、ステップＳ２０４，Ｓ２０５を経てカバーオープン警報は中止される。

　図１０は、ディスプレイ１０４の警報の表示例を示す図である。図１１は、ＨＭＤ１００を装着したユーザーＵＳが視認する対象物の例である。図１０において、ディスプレイ１０４は、カメラ部１１２の撮影用アプリケーションが起動した時は、アプリマークＭＫ１を右下に表示し、プロセッサ１１６がカバーオープン警報を発するように制御したときは、警報マークＭＫ２が右下に表示される。尚、両者は一緒に表示されることはないので、互いに重なる位置に表示するようにしても構わない。

　図９のステップＳ２０３で、プロセッサ１１６がカバーオープン警報を発したことに応動し、表示駆動部１１５は、ディスプレイ１０４に警報マークＭＫ２を表示させる。これにより図１１に示すように、ユーザーＵＳは、素通しのディスプレイ１０４を介して前方の対象物を視認すると共に、ディスプレイ１０４に表示された警報マークＭＫ２を視認できるので、視界を確保しつつ、周囲の者がプライバシー侵害を恐れる可能性があることを認識できる。そこでユーザーＵＳは、カバー部材１０５を開放位置から遮蔽位置へとスライドさせるか、或いは撮影の意図がある場合には、カメラ部１１２のアプリケーションを起動することができ，それにより警報マークＭＫ２は非表示となる。

　ユーザーＵＳへのカバーオープン警報は、ディスプレイ１０４における表示に限らず、例えばＨＭＤ１００に小型のスピーカ等を装備し、スピーカ等からビープ音や、警報の音声アナウンスを行ってもよく、これらいずれかを表示と同時に行うことも可能である。尚、警報音は、撮影を行う場合にも、ユーザーＵＳと周囲にいる第三者に、タリーランプ１１２ｃのように撮影を明示的に示す手段としても利用できる。例えば、スピーカを用いて別の警報を発することも出来、例えばカバー部材１０５が開放位置にあり、且つカメラ部１１２のアプリケーションが起動されたときに、「写真を撮ります」、「ビデオを撮ります」といったアナウンスや効果音を発することで、周囲の第三者はユーザーＵＳが撮影の意図があることを認識可能となる。

（第２の実施形態）
　次に、第２の実施形態について説明する。図１２は、第２の実施形態にかかるＨＭＤ１００の回路構成を示すブロック図である。図１３は、本実施形態にかかるプロセッサ１１６の監視動作を示すフローチャートである。図１２において、本実施形態にかかるＨＭＤ１００では、端子１０３ｃ、１０３ｅの代わりに、カメラ部１１２の固体撮像素子１１２ｂを、カバー部材１０５が遮蔽位置にあることを検出する検出センサとして用いている。又、警報を発生する装置としてスピーカ１１７を設けているが、ディスプレイ１０４の警報表示と併用しても良い。

　具体的に、本実施形態の監視動作を説明する。ここで、プロセッサ１１６は、ユーザーの撮影指示では撮影を開始しない第２の動作モードにおいて、輝度を取得する処理を行うプログラムを実行することにより、操作部１１１の操作によるユーザーの撮影指示では撮影を開始しないように制御しつつ、所定の時間間隔で規定の時間起動するように（つまり、周期的に一時起動するように）カメラ部１１２を制御する。本実施形態の第２の動作モードにおいては、プロセッサ１１６が以下のフローを実行する。図１３のステップＳ３０１で、プロセッサ１１６は、ユーザーの撮影意思の有無にかかわらずカメラ部１１２をバックグラウンドで動作させ、固体撮像素子１１２ｂから画像信号を定期的（例えば数秒間に１回程度）取得して、明るさを表す画像信号としての輝度値を抽出する。この時点ではカメラ部１１２の撮影用アプリケーションは起動されていないので、固体撮像素子１１２ｂの画像信号は画像形成のための画像処理が行われず、処理に時間がかかることはない。また画像信号取り込みの頻度を少なくし、或いは画像信号を取り込む画素を絞り込むことで、監視に要する消費電力を抑えることができる。次いで、ステップＳ３０２で、プロセッサ１１６は、求めた輝度値を閾値と比較する。ここで、閾値としては、例えば、１ｌｕｘとすることができる。

　求めた輝度値が閾値未満である場合、カバー部材１０５が遮蔽位置にあると推認でき、ＨＭＤ１００に備えられたレンズ１１２ａもタリーランプ１１２ｃも周囲から観察されないのでカメラ撮影が不能とわかり、周囲の者に不安を与える恐れがないため、フローはステップＳ３０５へと進む。尚、夜間等周囲が暗い場合には、カバー部材１０５が開放位置にあったとしても、入射する被写体光量が低いので、求めた輝度値が閾値未満となる場合もあるが、その場合には例えユーザーの周囲に第三者がいても、カバー部材１０５が開放位置にあることを視認不能なケースが殆どであるので特に問題はない。

　更にプロセッサ１１６は、ステップＳ３０５で警報が発せられているか否かを判断し、警報が発せられている場合、ステップＳ３０６で警報を停止する一方、警報が発せられていないと判断した場合はそのまま、ステップＳ３０１へとフローを戻し監視動作を続行する。

　一方、ユーザーＵＳがカバー部材１０５を遮蔽位置から開放位置へとスライドさせたとすると、遮蔽部１０５ｂがレンズ１１２ａから退避するので被写体光が入射するようになる。よって、ステップＳ３０２でプロセッサ１１６が、固体撮像素子１１２ｂから出力された画像信号に基づく輝度値が閾値以上に増大していると判断したときは、更にステップＳ３０３で、カメラ部１１２の撮影用アプリケーションが起動しているか否かを判断する。カメラ部１１２の撮影用アプリケーションが起動している場合、ユーザーＵＳ自らの意思により撮影を行うものと判断できるので警報は行わない。このとき、プロセッサ１１６は、ステップＳ３０５で警報が発せられているか否かを判断し、警報が発せられている場合、ステップＳ３０６で警報を停止する一方、警報が発せられていないと判断した場合はそのまま、ステップＳ３０１へとフローを戻し監視動作を続行する。

　一方、プロセッサ１１６が、ステップＳ３０３で、カメラ部１１２の撮影用アプリケーションが起動していないと判断したときは、ユーザーＵＳに撮影の意図がないにも関わらず、退避したカバー部材１０５の遮蔽部１０５ｂによりレンズ１１２ａ及びタリーランプ１１２ｃが露出されていることを意味する。よって、周囲の者がプライバシー侵害を恐れる可能性があることをユーザーに知らしめるべく、ステップＳ３０４でプロセッサ１１６は，スピーカ１１７からカバーオープン警報を発するように制御する。その後フローは、ステップＳ３０１へと戻り、ユーザーＵＳがカバー部材１０５を開放位置から遮蔽位置へとスライドさせれば、ステップＳ３０５，Ｓ３０６を経てカバーオープン警報は中止される。

（第３の実施形態）
　図１４は、第３の実施形態にかかるＨＭＤ１００の回路構成を示すブロック図である。図１５は、本実施形態にかかるプロセッサ１１６の監視動作を示すフローチャートである。本実施形態においては、プロセッサ１１６が内蔵している画像処理部１１６ａを用いて、カメラ部１１２の固体撮像素子１１２ｂから出力された画像信号を画像処理し、パターンマッチングで画像認識を行うことなどにより、人物が含まれているか否かを検出する。

　具体的に、本実施形態の監視動作を説明する。ここで、プロセッサ１１６は、ユーザーの撮影指示では撮影を開始しない第２の動作モードにおいて、人物を抽出する処理を行うプログラムを実行することにより、操作部１１１の操作によるユーザーの撮影指示では撮影を開始しないように制御しつつ、所定の時間間隔で規定の時間起動するように（つまり、周期的に一時起動するように）カメラ部１１２を制御する。本実施形態の第２の動作モードにおいては、プロセッサ１１６が以下のフローを実行する。

　図１４のステップＳ４０１で、プロセッサ１１６は、ユーザーの撮影意思の有無にかかわらずカメラ部１１２をバックグラウンドで動作させ、固体撮像素子１１２ｂから画像信号を定期的（例えば数秒間に１回程度）入力する。このときタリーランプ１１２ｃは点灯させない。次いで、ステップＳ４０２で、内蔵された画像処理部１１６ａが、入力された画像信号から人物画像を抽出する。人物画像の抽出については、例えば特開２００４－２２８７７０号公報に記載の技術を用いることができる。尚、画像処理部１１６ａが人物を抽出したとしても、画像信号の入力から人物判定までの時間が短いので、第三者が問題視する恐れは少ない。人物画像の抽出に供される画像信号をユーザーが閲覧したり利用できないように構成してもよい。

　プロセッサ１１６は、ステップＳ４０３で、画像処理部１１６ａが入力された画像信号から人物画像を抽出できたか否かを判断し、抽出できなかった場合は、カバー部材１０５が遮蔽位置にあるか、又は開放位置にあったとしてもカメラ部１１２の画角内に人物がいないと推認し、プライバシーに関わる問題は生じないとして、フローをステップＳ４０６へと進める。

　更にプロセッサ１１６は、ステップＳ４０６で警報が発せられているか否かを判断し、警報が発せられている場合、ステップＳ４０７で警報を停止する一方、警報が発せられていないと判断した場合はそのまま、ステップＳ４０１へとフローを戻し監視動作を続行する。

　一方、ステップＳ４０３で、画像処理部１１６ａが入力された画像信号から人物画像を抽出できたと判断したときは、カバー部材１０５が開放位置にあって且つカメラ部１１２の画角内に人物がいると推認し、プロセッサ１１６は、更にステップＳ４０４で、カメラ部１１２の撮影用アプリケーションが起動しているか否かを判断する。カメラ部１１２のアプリケーションが起動している場合、ユーザーＵＳ自らの意思により人物の撮影を行うものと判断できるので警報は不要である。このとき、プロセッサ１１６は、ステップＳ４０６で警報が発せられているか否かを判断し、警報が発せられている場合、ステップＳ４０７で警報を停止する一方、警報が発せられていないと判断した場合はそのまま、ステップＳ４０１へとフローを戻し監視動作を続行する。

　一方、プロセッサ１１６が、ステップＳ４０５で、カメラ部１１２のアプリケーションが起動していないと判断したときは、ユーザーＵＳに撮影の意図がないにも関わらず、退避したカバー部材１０５の遮蔽部１０５ｂによりレンズ１１２ａ及びタリーランプ１１２ｃが露出されていることを意味する。よって、周囲の者がプライバシー侵害を恐れる可能性があることをユーザーに知らしめるべく、ステップＳ４０５でプロセッサ１１６は，カバーオープン警報が発せられるように制御を行う。その後フローは、ステップＳ４０１へと戻り、ユーザーＵＳがカバー部材１０５を開放位置から遮蔽位置へとスライドさせれば、ステップＳ４０６，Ｓ４０７を経てカバーオープン警報は中止される。

（第４の実施形態）
　図１６は、第４の実施形態にかかるＨＭＤ１００の回路構成を示すブロック図である。図１７は、本実施形態にかかるＨＭＤ１００と外部サーバ２００の動作を示すフローチャートである。本実施形態においては、ＨＭＤ１００は、測位装置として、ＧＰＳ（Ｇｌｏｂａｌ　Ｐｏｓｉｔｉｏｎｉｎｇ　Ｓｙｓｔｅｍ）受信装置１１８を有しており、現在位置を検出可能となっている。又、通信部１１３は、ネットワークを介して外部サーバ２００にアクセスできるようになっている。

　ここで、撮影は完全に禁止されてはいないが、例えば駅や交差点など人が多い場所、住宅街など撮影するとプライバシー侵害の可能性が高いことが予め判っている場所、または許可なく撮影を禁ずると申告されている場所などは、「撮影を注意すべき場所」と規定する。これに対し、著作権の侵害の恐れがある劇場や映画館、規則により撮影を禁止される法廷や公的機関、機密保護のため撮影が禁止されている一般企業内などは、「撮影を禁止される場所」と規定する。上述したように、ＨＭＤ１００はユーザーＵＳが装着して任意に移動できるものであるから、ユーザーＵＳが意図せず「撮影を注意すべき場所」や「撮影を禁止される場所」に進入してしまい、第三者との間でトラブルを招く恐れがある。本実施形態では、かかる問題を解消するものである。

　より具体的に、本実施形態の監視動作について説明する。まず、外部サーバ２００には、「撮影を注意すべき場所」及び「撮影を禁止される場所」の位置情報が記録されているものとする。ここで、ＨＭＤ１００のプロセッサ１１６は、図１７のステップＳ５０１において、ＧＰＳ受信装置１１８を介して現在位置を取得する。これはＨＭＤ１００の電源をオン操作した後に、バックグラウンドにて行える。或いは、カバー部材１０５が開放位置に移動したことを検出して、ステップＳ５０１からのフローを実行しても良い。

　更にプロセッサ１１６は、ステップＳ５０２において、通信部１１３を介して外部のサーバ２００にアクセスし、取得した現在位置を送信する。すると、外部サーバ２００は、ステップＳ５２１において、送信された現在位置が、記録されている「撮影を注意すべき場所」及び「撮影を禁止される場所」に含まれるか否かを判定し、その判定結果の情報をＨＭＤ１００へと返信する。

　プロセッサ１１６は、ステップＳ５０４において、通信部１１３を介して判定結果の情報を受信し、それに基づいて、ステップＳ５０４で現在位置が、「撮影を注意すべき場所」又は「撮影を禁止される場所」であるか否かを判断する。現在位置が、「撮影を注意すべき場所」及び「撮影を禁止される場所」のいずれでもないと判断した場合、プロセッサ１１６は、ステップＳ５１０にて、ステップＳ５１０で警報発令又は撮影禁止が実行されているか否かを判断する。ここで、警報発令又は撮影禁止が実行されている場合、プロセッサ１１６は、ステップＳ５１１で警報発令又は撮影禁止を解除する一方、警報発令又は撮影禁止が実行されていないと判断した場合はそのまま、ステップＳ５０１へとフローを戻し監視動作を続行する。

　これに対し、ステップＳ５０４で、現在位置が、「撮影を注意すべき場所」又は「撮影を禁止される場所」であると判断した場合、プロセッサ１１６は、ステップＳ５０６にて、カバー部材１０５が開放位置にあるか否かを判断する。プロセッサ１１６が、カバー部材１０５が遮蔽位置にあると判断すれば、撮影を行うことができないのであるから、フローをステップＳ５１０へと移行して、警報発令又は撮影禁止が実行されている場合には、これを解除して監視動作を続行する。

　一方、カバー部材１０５が開放位置にあると判断した場合、プロセッサ１１６は、外部サーバ２００から受信した情報に基づいて、現在位置が、「撮影を注意すべき場所」又は「撮影を禁止される場所」のいずれであるかを判定する。ここで、現在位置が「撮影を注意すべき場所」であると判断した場合、プロセッサ１１６は、ステップＳ５１２でカメラ部１１２の撮影用アプリケーションが起動しているか否かを判断する。カメラ部１１２の撮影用アプリケーションが起動している場合、ユーザーＵＳ自らの意思により撮影を行うものと判断できるから、フローをステップＳ５１０へと移行して、警報発令又は撮影禁止が実行されている場合には、これを解除して監視動作を続行する。

　これに対し、プロセッサ１１６が、ステップＳ５１２で、カメラ部１１２の撮影用アプリケーションが起動していないと判断したときは、ユーザーＵＳに撮影の意図がないにも関わらず、退避したカバー部材１０５の遮蔽部１０５ｂによりレンズ１１２ａ及びタリーランプ１１２ｃが露出されていることを意味する。よって、「撮影を注意すべき場所」にいる者がプライバシー侵害を恐れる可能性があることをユーザーに知らしめるべく、ステップＳ５１３でプロセッサ１１６は，カバーオープン警報が発せられるように制御を行う。その後フローをステップＳ５０１へと移行して、監視動作を続行する。

　更に、ステップＳ５０７にて、現在位置が「撮影を禁止される場所」であると判断した場合、強制装置としてのプロセッサ１１６が、ステップＳ５０８で、カメラ部１１２の撮影用アプリケーションの起動を禁止し、ステップＳ５０９で、撮影禁止警報を発する。その後フローをステップＳ５０１へと移行して、監視動作を続行する。

　図１８は、ディスプレイ１０４の撮影禁止警報の表示例を示す図である。図１９は、ＨＭＤ１００を装着したユーザーＵＳが視認する対象物の例である。図１８において、ディスプレイ１０４は、プロセッサ１１６が撮影禁止警報を発したときは、撮影禁止警報マークＭＫ３を中央に大きく表示する。これにより、ユーザーＵＳは現在位置が撮影禁止を禁止される場所であると認識できる。かかる撮影禁止警報は、ユーザーＵＳがカバー部材１０５を遮蔽位置へとスライドすることによって解除される（図１７のステップＳ５０６，Ｓ５１１）。尚、カバーオープン警報については、図１１に示すものと同様である。

　以上の実施形態では、カメラ部１１２の光軸が、ＨＭＤ１００の前方に向けられているが、後方や横方向を撮影可能なカメラ部をＨＭＤ１００に装備することも可能である。その場合も、ユーザーＵＳがレンズカバーをしていることを直接視認することが困難である為、本発明の効果がより期待できる。

　カメラ部１１２の撮影用アプリケーション起動に応じて、カバー部材１０５を自動で開閉する駆動機構等を設けてもよい。但し、ＨＭＤ１００には、できるだけ小型で軽量なことが求められるため、限られたスペースにカバー部材１０５を開閉する駆動機構を設けることは一般的には困難である。また、種々の撮影モードを備えている場合に、ユーザーＵＳにモード選択を行わせる機会を与えるようにするという観点や、モバイル機器としてバッテリー駆動されることが多いＨＭＤ１００の電力消費を極力抑えるという観点から、カメラ部１１２のアプリケーション起動と、カバー部材１０５の開閉動作とを必ずしも連動させる必要はないといえる。

　カバー部材１０５の開閉を検知する装置として、小型化が可能な磁気スイッチを用いても良い。また、上記各実施形態では、右目の前にディスプレイを配置しているが、左目の前に配置してもよいし、両眼の前にそれぞれディスプレイを配置してもよい。

　以上述べた本実施形態によれば、前記カバー部材が前記遮蔽位置に移動したことを検出して遮蔽信号を出力する検出装置を更に有し、前記制御部は、前記撮影装置が前記第２の動作モードにあり、前記検出装置から前記遮蔽信号を受信しない場合，前記警報装置に前記警報を出力させるので、プライバシー侵害に関わるトラブルを未然に防止できる。

　更に、前記制御部は、前記検出装置から前記遮蔽信号を受信した場合、プライバシー侵害の恐れが少ないとして、前記警報装置が前記警報を出力するのを禁止する。

　更に、前記撮影装置は、前記第２の動作モードにおいて周期的に一時起動し、前記制御部は、前記撮影装置が前記第２の動作モードにあるときに一時起動した前記撮影装置の前記固体撮像素子が閾値以上の明るさを表す画像信号を出力した場合、前記警報装置に前記警報を出力させるので、プライバシー侵害に関わるトラブルを未然に防止できる。

　更に、前記制御部は、前記固体撮像素子が閾値未満の明るさを表す画像信号を出力した場合、プライバシー侵害の恐れが少ないとして、前記警報装置が前記警報を出力しないように制御する。

　更に、前記撮影装置から出力される画像信号を処理して画像認識する画像処理部をさらに備え、前記撮影装置は、前記第２の動作モードにおいて周期的に一時起動し、前記撮影装置が前記第２の動作モードにあるときに一時起動した前記撮影装置の前記固体撮像素子が、前記光学系を介して被写体光を受光して，それに対応する画像信号を前記画像処理部に入力し、前記画像処理部が、入力された画像信号の表す画像に人物が含まれていると判断したときは、前記制御部は、前記警報装置に前記警報を出力させるので、プライバシー侵害に関わるトラブルを未然に防止できる。

　更に、前記画像処理部が、入力された画像信号の表す画像に人物が含まれていないと判断したときは、プライバシー侵害の恐れが少ないとして、前記制御部は、前記警報装置に前記警報を出力するのを禁止する。

　更に、前記警報装置は、前記ディスプレイに警報に関する画像を表示することにより前記警報を出力するので、ユーザーが視覚を通じて認識できる。

　更に、前記警報装置は、スピーカにより警報に関する音を発生させることにより前記警報を出力するので、ユーザーが聴覚を通じて認識できる。

　更に、前記ＨＭＤが撮影を禁止されるべき場所にあることを検知する測位装置をさらに備え、前記ＨＭＤが撮影を禁止されるべき場所にあることを前記測位装置が検知したときは、前記制御部は、前記撮影装置を強制的に前記第２の動作モードにするので、ユーザーが撮影を禁止されるべき場所で，誤って撮影を行うことを回避できる。

　更に、前記測位装置は、前記ＨＭＤが撮影を注意すべき場所にあることをさらに検知し、前記制御部は、前記ＨＭＤが撮影を注意すべき場所にあることを前記測位装置が検知し、前記撮影装置が前記第２の動作モードにあり且つ前記カバー部材が前記開放位置にあるときに、前記警報装置に警報を出力させるので、ユーザーに、撮影を注意すべき場所にいるから、前記ＨＭＤの取り扱いに注意するよう促すことができる。

　本発明は、本明細書に記載の実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態や変形例を含むことは、本明細書に記載された実施形態や技術思想から本分野の当業者にとって明らかである。

１００　　　　　　ヘッドマウントディスプレイ（ＨＭＤ）
１０１　　　　　　フレーム
１０２　　　　　　眼鏡レンズ
１０３　　　　　　筐体
１０３ａ　　　　　ガイドレール
１０３ｂ　　　　　絶縁部
１０３ｃ　　　　　端子
１０３ｄ　　　　　バネ板
１０３ｅ　　　　　端子
１０４　　　　　　ディスプレイ
１０５　　　　　　カバー部材
１０５ａ　　　　　つまみ部
１０５ｂ　　　　　遮蔽部
１０５ｃ　　　　　係合部
１１１　　　　　　操作部
１１２　　　　　　カメラ部
１１２ａ　　　　　レンズ
１１２ｂ　　　　　固体撮像素子
１１２ｃ　　　　　タリーランプ
１１３　　　　　　通信部
１１４　　　　　　メモリ
１１５　　　　　　表示駆動部
１１６　　　　　　プロセッサ
１１６ａ　　　　　画像処理部
１１７　　　　　　スピーカ
１１８　　　　　　受信装置
２００　　　　　　外部サーバ
ＭＫ１　　　　　　アプリマーク
ＭＫ２　　　　　　警報マーク
ＭＫ３　　　　　　撮影禁止警報マーク
ＵＳ　　　　　　　ユーザー

Claims

　ユーザーの頭部に装着される装着部材と、
　前記装着部材に保持され、前記ユーザーが視認可能に画像を表示するディスプレイと、　前記装着部材に取り付けられ、光学系と固体撮像素子とを備えてなり、前記ユーザーの撮影指示により前記ユーザーの周囲の被写体の撮影を開始し得る第１の動作モードと、前記ユーザーの撮影指示では撮影を開始しない第２の動作モードとを有する撮影装置と、
　前記装着部材に取り付けられ、前記ユーザーに視認されない位置で、前記ユーザーの操作によって、前記撮影装置の光学系を開放する開放位置と、前記光学系を遮蔽する遮蔽位置との間で移動し得るカバー部材と、
　前記ユーザーが感知可能な警報を出力する警報装置と、
　前記撮影装置が前記第２の動作モードにあり且つ前記カバー部材が前記開放位置にあるときに、前記警報装置を制御して警報を出力させる制御部と、を有することを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
　前記カバー部材が前記遮蔽位置に移動したことを検出して遮蔽信号を出力する検出装置を更に有し、前記制御部は、前記撮影装置が前記第２の動作モードにあり、前記検出装置から前記遮蔽信号を受信しない場合，前記警報装置に前記警報を出力させる請求項１に記載のヘッドマウントディスプレイ。
　前記制御部は、前記検出装置から前記遮蔽信号を受信した場合、前記警報装置が前記警報を出力するのを禁止する請求項２に記載のヘッドマウントディスプレイ。
　前記撮影装置は、前記第２の動作モードにおいて周期的に一時起動し、前記制御部は、前記撮影装置が前記第２の動作モードにあるときに一時起動した前記撮影装置の前記固体撮像素子が閾値以上の明るさを表す画像信号を出力した場合、前記警報装置に前記警報を出力させる請求項１に記載のヘッドマウントディスプレイ。
　前記制御部は、前記固体撮像素子が閾値未満の明るさを表す画像信号を出力した場合、前記警報装置が前記警報を出力しないように制御する請求項４に記載のヘッドマウントディスプレイ。
　前記撮影装置から出力される画像信号を処理して画像認識する画像処理部をさらに備え、前記撮影装置は、前記第２の動作モードにおいて周期的に一時起動し、前記撮影装置が前記第２の動作モードにあるときに一時起動した前記撮影装置の前記固体撮像素子が、前記光学系を介して被写体光を受光して，それに対応する画像信号を前記画像処理部に入力し、前記画像処理部が、入力された画像信号の表す画像に人物が含まれていると判断したときは、前記制御部は、前記警報装置に前記警報を出力させる請求項１に記載のヘッドマウントディスプレイ。
　前記画像処理部が、入力された画像信号の表す画像に人物が含まれていないと判断したときは、前記制御部は、前記警報装置に前記警報を出力するのを禁止する請求項６に記載のヘッドマウントディスプレイ。
　前記警報装置は、前記ディスプレイに警報に関する画像を表示することにより前記警報を出力する請求項１～７のいずれかに記載のヘッドマウントディスプレイ。
　スピーカをさらに有し、前記警報装置は、前記スピーカにより警報に関する音を発生させることにより前記警報を出力する請求項１～８のいずれかに記載のヘッドマウントディスプレイ。
　前記ヘッドマウントディスプレイが撮影を禁止されるべき場所にあることを検知する測位装置をさらに備え、前記ヘッドマウントディスプレイが撮影を禁止されるべき場所にあることを前記測位装置が検知したときは、前記制御部は、前記撮影装置を強制的に前記第２の動作モードにする請求項１～９のいずれかに記載のヘッドマウントディスプレイ。
　前記測位装置は、前記ヘッドマウントディスプレイが撮影を注意すべき場所にあることをさらに検知し、前記制御部は、前記ヘッドマウントディスプレイが撮影を注意すべき場所にあることを前記測位装置が検知し、前記撮影装置が前記第２の動作モードにあり且つ前記カバー部材が前記開放位置にあるときに、前記警報装置に警報を出力させる請求項１０に記載のヘッドマウントディスプレイ。
　ユーザーの頭部に装着される装着部材と、前記装着部材に保持され、前記ユーザーが視認可能に画像を表示するディスプレイと、前記装着部材に取り付けられ、光学系と固体撮像素子とを備え前記ユーザーの周囲の被写体を撮影する撮影装置と、前記装着部材に取り付けられ、前記ユーザーに視認されない位置で、前記ユーザーの操作によって、前記撮影装置の光学系を開放する開放位置と、前記光学系を遮蔽する遮蔽位置との間で移動し得るカバー部材と、前記ユーザーが感知可能な警報を出力する警報装置とを有するヘッドマウントディスプレイにおいて、前記撮影装置が、前記ユーザーの撮影指示では撮影を開始しない動作モードにあり且つ前記カバー部材が前記開放位置にあるときに、前記警報装置に警報を出力させるように制御することを特徴とするヘッドマウントディスプレイの制御方法。
　ユーザーの頭部に装着される装着部材と、前記装着部材に保持され、前記ユーザーが視認可能に画像を表示するディスプレイと、前記装着部材に取り付けられ、光学系と固体撮像素子とを備え前記ユーザーの周囲の被写体を撮影する撮影装置と、前記装着部材に取り付けられ、前記ユーザーに視認されない位置で、前記ユーザーの操作によって、前記撮影装置の光学系を開放する開放位置と、前記光学系を遮蔽する遮蔽位置との間で移動し得るカバー部材と、前記ユーザーが感知可能な警報を出力する警報装置と、少なくとも前記警報装置を制御するプロセッサとを有するヘッドマウントディスプレイにおいて、前記プロセッサに内蔵されたコンピュータを、前記撮影装置が、前記ユーザーの撮影指示では撮影を開始しない動作モードにあり且つ前記カバー部材が前記開放位置にあるときに、前記警報装置が警報を出力するように機能させることを特徴とする制御プログラム。