WO2015190582A1

WO2015190582A1 - ツイスト線製造装置、及び、ツイスト線製造方法

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Publication number: WO2015190582A1
Application number: PCT/JP2015/066953
Authority: WO
Inventors: 実良間渕
Original assignee: 矢崎総業株式会社
Priority date: 2014-06-13
Filing date: 2015-06-11
Publication date: 2015-12-17
Also published as: JP6159482B2; JPWO2015190582A1; CN106415739A; CN106415739B

Abstract

　ツイスト線製造装置（１）は、複数の電線（Ｗ１，Ｗ２）を回転不能に保持しながら撚りローラ（２）に向けて供給する保持ローラ（３６，３７）と、複数の電線を挟持すると共に撚りローラのローラ軸及び所定の送出方向に平行なツイスト軸の双方の周りに回転可能である撚りローラ（２）と、を備え、撚りローラ（２）のツイスト軸周りの回転によって複数の電線をひねると共に、ローラ軸周りの回転によって複数の電線を送出することにより、ツイスト線（Ｗｔ）を製造する。

Description

ツイスト線製造装置、及び、ツイスト線製造方法

　本発明は、複数の電線が撚り合わされたツイスト線を製造するための製造装置、及び、ツイスト線を製造するための製造方法に関する。

　従来から、電線を介して伝送される信号が外部から受ける影響（外部磁束によるノイズ）を低減すると共に、その信号が外部へ及ぼす影響（外部への磁束放出）を低減することを目的とし、各種のツイスト線が提案されている。図８（Ａ）及び図８（Ｂ）に示すように、一般に、ツイスト線Ｗｔは複数の（本例では２本の）電線Ｗ１，Ｗ２を撚り合わせることによって製造される。

　例えば、従来のツイスト線製造装置の一つ（以下「従来装置」という。）は、撚り合わせる前の２本の電線を略平行に並べて電線対を形成し、その電線対の一端を回転不能に固定すると共に、その他端を電線対の軸線周りに回転させることにより、ツイスト線を製造するようになっている（例えば、特許文献１及び特許文献２を参照。）。

　図７は、従来装置と同様の原理によってツイスト線を製造する装置の概略斜視図である。図７に示される装置１００は、２本の電線Ｗ１，Ｗ２（電線対）を撚り合わせてツイスト線を製造する２つの機構１０１，１０２を備えている。この装置１００は、ほぼ同じ長さの２本のツイスト線Ｗｔを同時に製造するようになっている。具体的には、機構１０１，１０２は、共用のレール１００Ａ、各電線対の一端を把持すると共に各電線対の軸線周りに回転可能な回転側チャック１００Ｂ、回転側チャック１００Ｂを回転させる共用のモータ１００Ｃ、各電線対の他端を把持すると共に回転不能に固定する固定側チャック１００Ｄ、固定側チャック１００Ｄを介して各電線対に張力を付与するテンション付与部１００Ｅ、テンション付与部１００Ｅが固定された共用の支持台１００Ｆ、及び、これらを支持する基台１００Ｇ、を備える。

　図７の装置１００は、各電線対に張力を付与した状態にて回転側チャック１００Ｂを回転させることにより、図８（Ｃ）に示すように、電線対を形成する電線Ｗ１，Ｗ２（図中ではＡ，Ｂ）を互いの位置を入れ替えるように回転させ、電線Ｗ１，Ｗ２を撚り合わせるようになっている。具体的には、回転側チャック１００Ｂの１回転は図８（Ｃ）の（１）～（５）の工程に対応し、回転側チャック１００Ｂが２回転することによって図８（Ｂ）のツイスト線Ｗｔが形成されることになる。

　なお、図８（Ｂ）に示す長さＬｐは、電線対がその軸線周りに３６０度回転するためのツイスト線Ｗｔの長さ（換言すると、図８（Ｃ）の（１）～（５）の工程に対応する長さ）であり、ツイスト線Ｗｔの「ピッチ長」と称呼される。また、図８（Ｂ）に示す長さＬｔは、ツイスト線Ｗｔの両端の端子部分を除いた電線部分の長さであり、ツイスト線Ｗｔの「全長」（又は単に「長さ」）と称呼される。

日本国特開２００７－２２０３７８号公報日本国特開２００２－８４６７号公報

　図７に示す装置１００（及び従来装置）は、電線Ｗ１，Ｗ２同士を適切に撚り合わせる観点から、常に電線対Ｗ１，Ｗ２を長さ方向に引っ張った状態（引張応力を付与した状態）を維持しながら、回転側チャック１００Ｂを回転させるようになっている。これは、電線Ｗ１，Ｗ２がたるんだ状態にて回転側チャック１００Ｂを回転させると、ツイスト線のピッチ長Ｌｐが不均一になる等の不具合が生じる可能性があるためである。

　ところが、電線対Ｗ１，Ｗ２を長さ方向に引っ張った状態を保つためには、基台１００Ｇの長さを電線Ｗ１，Ｗ２の長さ（ひいては、最終的なツイスト線の目標長さ）以上とする必要がある。そのため、ツイスト線の目標長さが長くなるにつれて、装置１００が大型化する。また、ツイスト線の目標長さの変更に応じて固定側チャック１００Ｄの位置を変更する必要があり、ツイスト線を製造する工程が煩雑化する。

　本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来装置よりも小型化が可能であり、ツイスト線の目標長さが変更されてもツイスト線の製造工程の煩雑化を出来る限り防ぐことが可能な、ツイスト線製造装置及びツイスト線製造方法を提供することにある。

　上記した目的を達成するため、本発明に係るツイスト線製造装置は下記（１）～（４）の特徴を有し、本発明に係るツイスト線製造方法は下記（５）の特徴を有している。
（１）
　複数の電線が通過する保持ローラと、前記保持ローラを経た前記複数の電線を撚り合わせながら所定の送出方向に送出する撚りローラと、を備え、前記複数の電線が撚り合わされたツイスト線を製造するツイスト線製造装置であって、
　前記保持ローラは、
　前記複数の電線を回転不能に保持しながら前記撚りローラに供給し、
　前記撚りローラは、
　前記複数の電線を挟持すると共に、該撚りローラのローラ軸及び前記送出方向に平行なツイスト軸の双方の周りに回転可能であり、前記ツイスト軸周りのツイスト回転によって前記複数の電線をひねると共に、前記ローラ軸周りのローラ回転によって前記複数の電線を送出する、
　ツイスト線製造装置であること。
（２）
　上記（１）に記載のツイスト線製造装置において、
　前記撚りローラが、
　前記ツイスト線の目標ピッチ長に基づいて定められた前記ツイスト回転１回あたりの前記ローラ回転の回転角度の大きさに従い、前記複数の電線を送出する、
　ツイスト線製造装置。
（３）
　上記（１）又は上記（２）に記載のツイスト線製造装置であって、
　前記撚りローラを回転させるためのモータと、
　前記モータに対応して回転する筒状の第１軸、前記第１軸に同軸に固定された中心ギア、前記中心ギアの周りを周回する遊星ギア、前記遊星ギアのギア軸を支持すると共に前記第１軸に相対回転可能に取り付けられた回転体、前記回転体から延びる延長片であって前記第１軸と垂直な柱状の第２軸を回転可能に支持する延長片、及び、前記遊星ギアと前記第２軸とをトルク伝達可能に接続する伝達部、を含む駆動機構と、
　を備え、
　前記撚りローラが、前記第２軸に同軸に取り付けられ、
　前記複数の電線が、前記第１軸の中空部分を貫通して前記撚りローラに供給される、
　ツイスト線製造装置であること。
（４）
　上記（３）に記載のツイスト線製造装置であって、
　前記第１軸が、
　該第１軸の軸線方向に沿って該第１軸の一端から他端まで伸びる第１切欠きであって該第１軸の中空部分を外部に開放する第１切欠きを有し、
　前記中心ギアが、
　前記軸線方向に沿って該中心ギアの一端から他端まで伸びる第２切欠きを有し、
　前記回転体が、
　前記軸線方向に沿って該回転体の一端から他端まで伸びる第３切欠きを有する、
　と共に、
　前記回転体が所定の回転位置にあるとき、前記第１切欠き、前記第２切欠き及び前記第３切欠きが直線状に並ぶ、
　ツイスト線製造装置であること。
（５）
　複数の電線を回転不能に保持する保持ローラと、前記複数の電線を撚り合わせながら所定の送出方向に送出する撚りローラであって該撚りローラのローラ軸及び前記送出方向に平行なツイスト軸の双方の周りに回転可能な撚りローラと、を用い、前記複数の電線が撚り合わされたツイスト線を製造するツイスト線製造方法であって、
　複数の電線を、前記保持ローラを通過させた後、前記撚りローラに供給する工程と、
　前記撚りローラを前記ツイスト軸周りに回転させて前記複数の電線をひねると共に、前記撚りローラを前記ローラ軸周りに回転させて前記複数の電線を送出する工程と、
　を含む、ツイスト線製造方法であること。

　上記（１）の構成のツイスト線製造装置によれば、保持ローラから撚りローラに供給された複数の電線（例えば、電線が２本の場合は電線対）は、保持ローラ側の端部が保持ローラによって回転不能に保持され、撚りローラ側の端部が撚りローラのツイスト回転に伴って回転（ツイスト軸周りに、ひねられながら回転）することになる。換言すると、撚りローラのツイスト回転により、従来装置と同様、複数の電線がひねられることになる。更に、このようにひねられた複数の電線は、撚りローラのローラ回転によって送出される。その結果、ツイスト線の目標長さに応じて撚りローラのツイスト回転およびローラ回転の回数を増減すれば、装置を肥大化させることなく、任意の目標長さに対応できることになる。したがって、本ツイスト線製造装置は、従来装置よりも小型化が可能であり、ツイスト線の目標長さが変更されてもツイスト線の製造工程の煩雑化を出来る限り防止できる。

　なお、撚りローラから送出された複数の電線（ツイスト線）は、例えば、撚りローラのツイスト回転と同期して回転しながら複数の電線（ツイスト線）を巻き取る巻取ローラを用いて回収し得る。この巻取ローラによれば、撚りローラを経た後の複数の電線の回転が吸収され、電線の絡み等を出来る限り防止できる。

　上記（２）の構成のツイスト線製造装置によれば、撚りローラのツイスト回転１回あたりのローラ回転の回転角度の大きさを目標ピッチ長に基づいて設定することにより、任意のピッチ長を有するツイスト線を製造できる。

　上記（３）の構成のツイスト線製造装置によれば、モータが作動すると、第１軸が回転すると共に中心ギアが回転し、遊星ギア及び遊星ギアを支持する回転体が第１軸を中心に回転する。そして、回転体から延びる延長片に支持された第２軸および第２軸に取り付けられた撚りローラが、第１軸の軸線周りを回転する。この回転が、ツイスト回転に相当する。一方、遊星ギアの回転トルクが伝達部を介して第２軸に伝達されると、第２軸に取り付けられた撚りローラが回転する。この回転が、ローラ回転に相当する。即ち、駆動機構は、撚りローラをツイスト回転およびローラ回転させるための機構である。よって、本ツイスト線製造装置は、撚りローラのツイスト回転とローラ回転とを連動して行うことができる。

　なお、撚りローラは、駆動ローラと、駆動ローラにバネ等によって押圧される従動ローラと、を有するように構成され得る。この構成によれば、駆動ローラと従動ローラとの間に容易に複数の電線を挟持できる。

　上記（４）の構成のツイスト線製造装置によれば、撚り合わされる前の複数の電線を最初に第１軸の中空部分に挿入するとき、複数の電線を、直線状に並んだ一連の切欠き（第１切欠き、第２切欠き及び第３切欠き）を通じて第１軸の中空部分に挿入できる。その結果、複数の電線を容易に第１軸の中空部分に挿入できる。

　上記（５）の構成のツイスト線製造方法によれば、上記（１）と同様、ツイスト線の目標長さに応じて撚りローラのツイスト回転およびローラ回転の回数を増減することにより、任意の目標長さに対応できる。したがって、本ツイスト線製造方法によれば、製造装置を従来装置よりも小型化させることが可能であり、ツイスト線の目標長さが変更されてもツイスト線の製造工程の煩雑化を出来る限り防止できる。

　本発明のツイスト線製造装置およびツイスト線製造方法によれば、従来装置よりも装置の小型化が可能であり、ツイスト線の目標長さが変更されてもツイスト線の製造工程の煩雑化を出来る限り防ぐことが可能である。

図１は、本発明の実施形態に係るツイスト線製造装置を示した概略斜視図である。図２は、図１のツイスト線製造装置を上方向から見た模式図である。図３は、図２に示すツイスト線製造装置のＡ―Ａ線断面図である。図４は、図２に示すツイスト線製造装置のＢ―Ｂ線断面図である。図５は、図２に示すツイスト線製造装置のＣ―Ｃ線端面図である。図６は、図５に示すツイスト線製造装置をＤ方向から見た模式図である。図７は、従来のツイスト線製造装置を説明する図である。図８（Ａ）～図８（Ｃ）は、ツイスト線を製造するための原理を説明する図である。

　以下、本発明の一の実施形態に係るツイスト線製造装置（以下「装置１」という。）を、図１～図６を参照しながら説明する。

＜主要な構成＞
　装置１は、図１～図４に示すように、複数の電線Ｗ１，Ｗ２を撚り合わせながら送出する撚りローラ２、フレーム３、所定の軸線周りに回転可能な第１軸４、及び、第１軸４に相対回転可能に取り付けられた回転体であるブラケット５、を備えている。

　更に、装置１は、フレーム３の後方側（図中の左方向）において、第１軸４と同軸にその外周面に固定された歯車６、フレーム３に支持されて装置１の後方側に延びるギア軸７，８、歯車６に噛み合うようにギア軸７，８に相対回転可能に取り付けられた歯車９，１０、フレーム３に支持されて装置１の後方側に延びるギア軸１１、歯車９，１０に噛み合うようにギア軸１１に相対回転可能に取り付けられた歯車１２、歯車１２と同軸にギア軸１１に取り付けられた傘歯車１３、ギア軸１１と垂直になるようにフレーム３に支持されて装置１の上方側（図中の上方向）に延びるギア軸１４、傘歯車１３に噛み合うようにギア軸１４の端部に固定された傘歯車１５、ギア軸１４に相対回転不能に取り付けられたプーリ１６、及び、プーリ１６とベルト１７を介して接続された撚りローラ２を回転させるためのモータ１８、を備えている。

　更に、装置１は、フレーム３の前方側（図中の右方向）において、第１軸４と同軸にその外周面に固定された中心ギア１９、ブラケット５に支持されてブラケット５からフレーム３に向けて延びる（但し、フレーム３からは独立している）ギア軸２０，２１、中心ギア１９に噛み合うようにギア軸２０，２１に固定された遊星ギア２２，２３、ブラケット５を後方側から前方側に（図中の左から右に）貫通する伝達軸２４、遊星ギア２２，２３に噛み合うように伝達軸２４に固定された伝達ギア２５、伝達ギア２５の前方側（図中の右方向）の端部に固定された傘歯車２６、ブラケット５の本体５ａから延びる延長片５ｂに相対回転可能に支持されて第１軸４と垂直な方向に伸びる柱状の第２軸２７、及び、傘歯車２６に噛み合うように第２軸２７に相対回転不能に支持された傘歯車２８、を備えている。傘歯車２８は第２軸２７に沿って僅かに摺動可能となっており、必要に応じて、傘歯車２６と噛み合った状態と、傘歯車２６と噛み合っていない状態と、を切り替える（スイッチする）ことが可能である。なお、第２軸２７は、撚りローラ２を構成する駆動ローラ２ａが取り付けられる駆動ローラ軸でもある。

　更に、装置１の撚りローラ２周辺の構造についてより詳細に説明すると、図５に示すように、装置１は、ブラケット５の本体５ａから前方側に突出した支持板２９、支持板２９から延びるアーム軸３０、アーム軸３０に相対回転可能に取り付けられたアーム３１、アーム３１の一端に取り付けられた従動ローラ軸３２、アーム３１の従動ローラ軸３２とは反対側の他端に設けられたスプリング受け３３、及び、ブラケット５に設けられたスプリング受け３４、スプリング受け３３，３４を繋ぐように設けられたスプリング３５、を備えている。なお、従動ローラ軸３２には、撚りローラ２の駆動ローラ２ａにスプリング３５の弾性力によって押圧される従動ローラ２ｂが取り付けられる。

　更に、装置１は、複数の電線Ｗ１，Ｗ２を回転不能に保持しながら撚りローラ２に供給する保持ローラ３６，３７を備えている。加えて、装置１は、撚りローラ２から送出された複数の電線Ｗ１，Ｗ２（ツイスト線Ｗｔ）を巻き取る巻取ドラム３９を駆動するモータ３８を備えている。

　フレーム３は、第１軸４の軸線方向に沿ってフレーム３の一端から他端まで伸びる切欠き４０ａを有している。同様に、ブラケット５の本体５ａは、本体５ａの一端から他端まで伸びる切欠き４０ｂを有している。第１軸４は、その軸線方向に沿って第１軸４の一端から他端まで伸びる切欠き４０ｃを有している。歯車６は、歯車６の一端から他端まで伸びる切欠き４０ｄを有している。中心ギア１９は、一端から他端まで伸びる切欠き４０ｅを有している。なお、第１軸４の中空部分はパイプ４１が設けられており、パイプ４１も同様の切欠き４０ｆを有している。

　切欠き４０ａ，４０ｂ，４０ｃ，４０ｄ，４０ｅ，４０ｆは、ブラケット５が所定の回転位置（ブラケット５の回転については後述される。）にあるとき、一つの直線上に並ぶようになっている。これにより、撚り合わされる前の複数の電線Ｗ１，Ｗ２を最初に第１軸４の中空部分に挿入するとき、複数の電線Ｗ１，Ｗ２を、直線状に並んだ一連の切欠き４０ａ～４０ｆを通じて第１軸４の中空部分に挿入できる。よって、複数の電線Ｗ１，Ｗ２を容易に第１軸４の中空部分に挿入できる。

＜撚りローラのツイスト回転＞
　次いで、撚りローラ２をツイスト回転させるための機構について説明する。図１に示すように、保持ローラ３６，３７から供給された複数の電線Ｗ１，Ｗ２は、第１軸４の中空部分（より具体的には、図２に示すように、パイプ４１）を貫通して撚りローラ２に到達する。撚りローラ２は、図６に示すように、駆動ローラ２ａと従動ローラ２ｂとの間に複数の電線Ｗ１，Ｗ２を挟持する。

　モータ１８が駆動されると、ベルト１７、プーリ１６、ギア軸１４、傘歯車１５、傘歯車１３、歯車９，１０及び歯車６を介して第１軸４が回転され、第１軸４に固定された中心ギア１９が回転する。中心ギア１９が回転すると、遊星ギア２２，２３が中心ギア１９の周りを周回するように移動する。そして、遊星ギア２２，２３のギア軸２０，２１を支持するブラケット５が、遊星ギア２２，２３の周回に伴い、第１軸４を中心として（第１軸４の軸線周りに）回転する。

　このとき、撚りローラ２は、ブラケット５の回転に伴い、複数の電線Ｗ１，Ｗ２を挟持したまま第１軸４の軸線周りに回転する。これにより、複数の電線Ｗ１，Ｗ２が、第１軸４の軸線周りにひねられる。その結果、複数の電線Ｗ１，Ｗ２がひねられてツイスト線Ｗｔが形成される。

　上述した機構を踏まえ、第１軸４の軸線はツイスト軸とも称呼され、このツイスト軸周りの撚りローラ２の回転はツイスト回転とも称呼される。

＜撚りローラのローラ回転＞
　次いで、撚りローラ２をローラ回転させるための機構について説明する。図１に示すように、第１軸４の回転は中心ギア１９及び遊星ギア２２を経て伝達ギア２５に伝達される。伝達ギア２５が回転すると、図５に示すように、ブラケット５を貫通する伝達軸２４、傘歯車２６、傘歯車２８及び第２軸２７を介し、撚りローラ２の駆動ローラ２ａが回転する。

　このとき、撚りローラ２は、第２軸２７の回転に伴い、複数の電線Ｗ１，Ｗ２を挟持したまま第２軸２７の軸線周りに回転する。その結果、複数の電線Ｗ１，Ｗ２（ツイスト線Ｗｔ）が、巻取ドラム３９に向けて（図５の紙面前方に向けて）送出される。

　上述した機構を踏まえ、第２軸２７の軸線はローラ軸とも称呼され、このローラ軸周りの撚りローラ２の回転はローラ回転とも称呼される。

　更に、撚りローラ２をツイスト回転およびローラ回転させるための上述した一連のギア列は、駆動機構とも称呼される。

＜ツイスト線の製造方法＞

　以下、装置１を用いてツイスト線を製造するための工程（１）及び（２）、並びに、製造されたツイスト線を装置１から取り外す工程（３）をより詳細に説明する。

（１）ピッチ長の設定
　上述したように保持ローラ３６，３７を通過した複数の電線Ｗ１，Ｗ２（以下、便宜上、「電線対Ｗ１，Ｗ２」という。）を、直線上に並んだ切欠き４０ａ～４０ｆを通じて第１軸４の中空部分に挿入し、撚りローラ２の駆動ローラ２ａ及び従動ローラ２ｂによって挟持した後、モータ１８を駆動する。即ち、撚りローラ２をツイスト回転させると共にローラ回転させる。このとき、撚りローラ２のツイスト回転の向きは特に制限されない。

　例えば、撚りローラ２をローラ回転させる傘歯車２８が傘歯車２６と噛み合っていない状態にて、撚りローラ２を１回（３６０度）ツイスト回転させると、保持ローラ３６，３７と撚りローラ２との間に存在する電線対Ｗ１，Ｗ２が互いの位置を入れ替えるように回転する（図８（Ｃ）を参照。）。これにより、電線対Ｗ１，Ｗ２に１つのひねりが生じる。別の言い方をすると、このようにひねられた電線対Ｗ１，Ｗ２から形成されるツイスト線のピッチ長Ｌｐ（図８参照）は、保持ローラ３６，３７と撚りローラ２との間の距離Ｌとなる。そして、撚りローラ２のツイスト回転を繰り返すと（例えば、撚りローラ２をＭ回公転させると）、長さＬの電線対Ｗ１，Ｗ２にＭ個のひねりが生じると共に、その電線対Ｗ１，Ｗ２から形成されるツイスト線のピッチ長ＬｐがＬ／Ｍとなる。

　そこで、ツイスト線のピッチ長Ｌｐの目標値（目標ピッチ長）に対応した回数だけ上述した処理を繰り返すことにより、保持ローラ３６，３７と撚りローラ２との間に、その目標ピッチ長を有する電線対Ｗ１，Ｗ２（ツイスト線）を形成できる。なお、この時点では、電線対Ｗ１，Ｗ２は巻取ドラム３９に巻き取られていない。

（２）電線の巻き取り
　上述したように保持ローラ３６，３７と撚りローラ２との間に目標ピッチ長を有する電線対Ｗ１，Ｗ２（ツイスト線）を形成した後、傘歯車２８と傘歯車２６とを噛み合わせる。そして、撚りローラ２を、１回ツイスト回転させながら、「目標ピッチ長に相当する回転角度α」だけローラ回転させる。即ち、この場合、ツイスト回転１回あたりの撚りローラ２のローラ回転の回転角度の大きさは、「α」度である。なお、この回転角度αは、上述した駆動機構を構成する各ギアのギア比を適宜設定することにより、任意に調整することが可能である。

　上記ローラ回転により、撚りローラ２から目標ピッチ長の分だけ電線対Ｗ１，Ｗ２が巻取ドラム３９に向けて送出されつつ、保持ローラ３６，３７から目標ピッチ長の分だけ新たな電線対Ｗ１，Ｗ２が引き出され、引き出された新たな電線対Ｗ１，Ｗ２がツイスト回転によって１回ひねられる。その結果、保持ローラ３６，３７と撚りローラ２との間の電線対Ｗ１，Ｗ２のピッチ長が目標ピッチ長に維持されながら、撚りローラ２から巻取ドラム３９に電線対Ｗ１，Ｗ２（ツイスト線）が送出されることになる。

　なお、“目標ピッチ長に相当する回転角度α”とは、その回転角度だけ撚りローラ２をローラ回転したときに電線対Ｗ１，Ｗ２が目標ピッチ長だけ撚りローラ２から送出されることになる回転角度である。即ち、撚りローラ２の断面（円形）の半径がｒであり、目標ピッチ長がＬｐｔであるとき、「２πｒ×α／３６０＝Ｌｐｔ」の関係式を満たす回転角度である。

　そこで、ツイスト線の全長Ｌｔの目標値（目標長さ）に対応した回数だけ上述した処理を繰り返すことにより、目標ピッチ長を有する電線対Ｗ１，Ｗ２（ツイスト線）を所望の長さだけ撚りローラ２に巻き付けることができる。

　このように、上述した工程（１）及び（２）を経て、目標ピッチ長および目標長さを有するツイスト線が製造される。

　以上が、本発明の一の実施形態に係る装置１及び同装置１を用いたツイスト線製造方法についての説明である。本実施形態のツイスト線制御装置およびツイスト線製造方法によれば、従来装置よりも装置の小型化が可能であり、ツイスト線の目標長さが変更されてもツイスト線の製造工程の煩雑化を出来る限り防ぐことが可能である。

　なお、上述した装置１では２本の電線Ｗ１，Ｗ２からツイスト線Ｗｔが形成されている。しかし、本発明のツイスト線製造装置および製造方法は、必ずしも２本の電線からツイスト線Ｗｔを形成する必要はなく、３本以上の電線からツイスト線Ｗｔを形成するように構成されてもよい。

　ここで、上述した本発明に係るツイスト線製造装置およびツイスト線製造方法の実施形態の特徴を、下記（１）～（５）に簡潔に纏めて列記する。
（１）
　複数の電線（Ｗ１，Ｗ２）が通過する保持ローラ（３６，３７）と、前記保持ローラを経た前記複数の電線を撚り合わせながら所定の送出方向に送出する撚りローラ（２）と、を備え、前記複数の電線が撚り合わされたツイスト線（Ｗｔ）を製造するツイスト線製造装置（１）であって、
　前記保持ローラ（３６，３７）は、
　前記複数の電線を回転不能に保持しながら前記撚りローラ（２）に供給し、
　前記撚りローラ（２）は、
　前記複数の電線を挟持すると共に、該撚りローラのローラ軸（第２軸２７の軸線）及び前記送出方向に平行なツイスト軸（第１軸４の軸線）の双方の周りに回転可能であり、前記ツイスト軸周りのツイスト回転（ブラケット５の回転に伴う撚りローラ２の回転）によって前記複数の電線をひねると共に、前記ローラ軸周りのローラ回転（第２軸２７の回転に伴う撚りローラ２の回転）によって前記複数の電線を送出する、
　ツイスト線製造装置。
（２）
　上記（１）に記載のツイスト線製造装置において、
　前記撚りローラ（２）が、
　前記ツイスト線の目標ピッチ長に基づいて定められた前記ツイスト回転１回あたりの前記ローラ回転の回転角度の大きさに従い、前記複数の電線を送出する、
　ツイスト線製造装置。
（３）
　上記（１）又は上記（２）に記載のツイスト線製造装置であって、
　前記撚りローラ（２）を回転させるためのモータ（１８）と、
　前記モータに対応して回転する筒状の第１軸（４）、前記第１軸に同軸に固定された中心ギア（１９）、前記中心ギアの周りを周回する遊星ギア（２２，２３）、前記遊星ギアのギア軸（２０，２１）を支持すると共に前記第１軸（４）に相対回転可能に取り付けられた回転体（ブラケット５）、前記回転体から延びる延長片（５ｂ）であって前記第１軸と垂直な柱状の第２軸（２７）を回転可能に支持する延長片（５ｂ）、及び、前記遊星ギア（２２，２３）と前記第２軸（２７）とをトルク伝達可能に接続する伝達部（伝達軸２４、伝達ギア２５、傘歯車２６、傘歯車２７）、を含む駆動機構と、
　を備え、
　前記撚りローラ（２）が、前記第２軸（２７）に同軸に取り付けられ、
　前記複数の電線（Ｗ１，Ｗ２）が、前記第１軸（４）の中空部分を貫通して前記撚りローラ（２）に供給される、
　ツイスト線製造装置。
（４）
　上記（３）に記載のツイスト線製造装置であって、
　前記第１軸（４）が、
　該第１軸の軸線方向に沿って該第１軸の一端から他端まで伸びる第１切欠き（４０ｃ）であって該第１軸の中空部分を外部に開放する第１切欠き（４０ｃ）を有し、
　前記中心ギア（１９）が、
　前記軸線方向に沿って該中心ギアの一端から他端まで伸びる第２切欠き（４０ｅ）を有し、
　前記回転体（５）が、
　前記軸線方向に沿って該回転体の一端から他端まで伸びる第３切欠き（４０ｂ）を有する、
　と共に、
　前記回転体（５）が所定の回転位置にあるとき、前記第１切欠き（４０ｃ）、前記第２切欠き（４０ｅ）及び前記第３切欠き（４０ｂ）が直線状に並ぶ、
　ツイスト線製造装置。
（５）
　複数の電線（Ｗ１，Ｗ２）を回転不能に保持する保持ローラ（３６，３７）と、前記複数の電線を撚り合わせながら所定の送出方向に送出する撚りローラ（２）であって該撚りローラのローラ軸及び前記送出方向に平行なツイスト軸の双方の周りに回転可能な撚りローラ（２）と、を用い、前記複数の電線が撚り合わされたツイスト線（Ｗｔ）を製造するツイスト線製造方法であって、
　複数の電線を、前記保持ローラ（３６，３７）を通過させた後、前記撚りローラ（２）に供給する工程と、
　前記撚りローラ（２）を前記ツイスト軸周りに回転させて前記複数の電線をひねると共に、前記撚りローラ（２）を前記ローラ軸周りに回転させて前記複数の電線を送出する工程と、
　を含む、ツイスト線製造方法。

　本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。

　本出願は、２０１４年６月１３日出願の日本特許出願（特願２０１４－１２２６５３）に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

　本発明によれば、従来装置よりも装置の小型化が可能であり、ツイスト線の目標長さが変更されてもツイスト線の製造工程の煩雑化を出来る限り防ぐことが可能である。この効果を奏する本発明は、複数の電線が撚り合わされたツイスト線を製造するための製造装置に関して有用である。

　１　ツイスト線製造装置
　２　撚りローラ
　２ａ　駆動ローラ
　２ｂ　従動ローラ
　４　第１軸
　５　ブラケット
　５ｂ　延長片
　１８　モータ
　１９　中心ギア
　２２，２３　遊星ギア
　２４　伝達軸
　２５　伝達ギア
　２７　第２軸
　３６，３７　保持ローラ
　４０ａ～４０ｅ　切欠き
　Ｗ１，Ｗ２　電線
　Ｗｔ　ツイスト線

Claims

　複数の電線が通過する保持ローラと、前記保持ローラを経た前記複数の電線を撚り合わせながら所定の送出方向に送出する撚りローラと、を備え、前記複数の電線が撚り合わされたツイスト線を製造するツイスト線製造装置であって、
　前記保持ローラは、
　前記複数の電線を回転不能に保持しながら前記撚りローラに供給し、
　前記撚りローラは、
　前記複数の電線を挟持すると共に、該撚りローラのローラ軸及び前記送出方向に平行なツイスト軸の双方の周りに回転可能であり、前記ツイスト軸周りのツイスト回転によって前記複数の電線をひねると共に、前記ローラ軸周りのローラ回転によって前記複数の電線を送出する、
　ツイスト線製造装置。
　請求項１に記載のツイスト線製造装置において、
　前記撚りローラが、
　前記ツイスト線の目標ピッチ長に基づいて定められた前記ツイスト回転１回あたりの前記ローラ回転の回転角度の大きさに従い、前記複数の電線を送出する、
　ツイスト線製造装置。
　請求項１又は請求項２に記載のツイスト線製造装置であって、
　前記撚りローラを回転させるためのモータと、
　前記モータに対応して回転する筒状の第１軸、前記第１軸に同軸に固定された中心ギア、前記中心ギアの周りを周回する遊星ギア、前記遊星ギアのギア軸を支持すると共に前記第１軸に相対回転可能に取り付けられた回転体、前記回転体から延びる延長片であって前記第１軸と垂直な柱状の第２軸を回転可能に支持する延長片、及び、前記遊星ギアと前記第２軸とをトルク伝達可能に接続する伝達部、を含む駆動機構と、
　を備え、
　前記撚りローラが、前記第２軸に同軸に取り付けられ、
　前記複数の電線が、前記第１軸の中空部分を貫通して前記撚りローラに供給される、
　ツイスト線製造装置。
　請求項３に記載のツイスト線製造装置であって、
　前記第１軸が、
　該第１軸の軸線方向に沿って該第１軸の一端から他端まで伸びる第１切欠きであって該第１軸の中空部分を外部に開放する第１切欠きを有し、
　前記中心ギアが、
　前記軸線方向に沿って該中心ギアの一端から他端まで伸びる第２切欠きを有し、
　前記回転体が、
　前記軸線方向に沿って該回転体の一端から他端まで伸びる第３切欠きを有する、
　と共に、
　前記回転体が所定の回転位置にあるとき、前記第１切欠き、前記第２切欠き及び前記第３切欠きが直線状に並ぶ、
　ツイスト線製造装置。
　複数の電線を回転不能に保持する保持ローラと、前記複数の電線を撚り合わせながら所定の送出方向に送出する撚りローラであって該撚りローラのローラ軸及び前記送出方向に平行なツイスト軸の双方の周りに回転可能な撚りローラと、を用い、前記複数の電線が撚り合わされたツイスト線を製造するツイスト線製造方法であって、
　複数の電線を、前記保持ローラを通過させた後、前記撚りローラに供給する工程と、
　前記撚りローラを前記ツイスト軸周りに回転させて前記複数の電線をひねると共に、前記撚りローラを前記ローラ軸周りに回転させて前記複数の電線を送出する工程と、
　を含む、ツイスト線製造方法。