WO2015189892A1

WO2015189892A1 - 自動分析システム

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Publication number: WO2015189892A1
Application number: PCT/JP2014/065224
Authority: WO
Inventors: 清浩杉山
Original assignee: 株式会社島津製作所
Priority date: 2014-06-09
Filing date: 2014-06-09
Publication date: 2015-12-17

Abstract

制御装置は、通信状態の自動分析装置を管理下に置き、管理下の自動分析装置に対して動作に必要な情報を与えることによってその動作制御と管理を行なう。制御装置は、管理下の自動分析装置に関する情報を管理情報として保持するとともに通信状態でなくなった自動分析装置に関する情報も管理情報として保持しておく管理情報保持部と、通信状態でなかった自動分析装置が通信状態となったときに、管理情報保持部が記憶している該自動分析装置についての管理情報に基づいて該自動分析装置を管理下に復帰させる管理再開手段と、を備えている。

Description

自動分析システム

　本発明は、独立して分析動作を実行することのできる複数の自動分析装置が連結されて構成された自動分析システムに関するものである。

　自動分析装置は、容器に収容された検体を自動的にサンプリングして分析を行なうように構成されている。かかる自動分析装置は、検体を搬送する機構として、複数の検体容器を保持した検体ラックを載置して搬送するベルトコンベアと、ベルトコンベアによって所定位置まで搬送された検体ラックをベルトコンベアから装置内へ引き込むアームなどの機構を備えている（例えば、特許文献１参照。）。

　かかる自動分析装置では、ベルトコンベアの始端側にオペレータが検体ラックを設置するための設置部が設けられ、終端側にサンプリングの終了した検体ラックを回収するための検体ラック回収部が設けられている。オペレータが設置部に検体ラックを設置すると、その検体ラックがベルトコンベアによって搬送され、所定の位置でアームによって装置内に引き込まれ、検体のサンプリングが行なわれる。サンプリングの終了した検体ラックはアームによって再びベルトコンベア上に戻され、ベルトコンベアによって終端側の検体ラック回収部まで搬送されて回収される。

特開２０１１－１８５８９３号公報特開平９－５４０９６号公報

　１台の自動分析装置では、同時に分析できる検体の数には限度があるため、分析すべき検体が多い場合、すべての検体についての分析を終了するまでに長時間を要する。また、一つの検体に対して複数の分析項目を実施する必要があるときに、１台の自動分析装置だけではそれらの分析項目のすべてを実行することができない場合がある。かかる場合、その検体を収容した検体容器を１台目の自動分析装置に設置して自動分析装置にサンプリングを実行させ、サンプリングの終了した検体ラックをオペレータが自動分析装置の回収部から取り出し、別の自動分析装置に設置する必要があった。

　検体容器を複数の分析装置間で移送して分析するようなシステムは従来から存在する（例えば、特許文献２参照。）。しかし、そのようなシステムは、自動分析装置とは別に大掛かりな搬送装置を必要とする上、その搬送装置に不具合が発生するとシステム全体に影響を与えるなどの問題がある。

　また、複数の自動分析装置によって一つの自動分析システムを構築した場合に、分析すべき検体の数や分析スケジュールによっては、使用予定のない自動分析装置が存在することがある。使用予定のない自動分析装置を起動状態にしておくと、無駄な電力を消費する上、洗浄液や純水などの消耗品を消費してしまうため、使用予定のない自動分析装置の電源をオフにしておきたいという要望がある。しかし、一度電源をオフにした自動分析装置の電源をオンにすると、その自動分析装置に対する設定をやり直す必要があり、すぐにその自動分析装置を用いて分析することができないという問題があった。

　そこで、本発明は、簡易な構成で複数の自動分析装置に共通の検体容器を自動的に順次導入して分析することができ、かつ、必要に応じて自動分析装置の停止や復帰を手軽にかつ迅速に行なうことができる自動分析システムを提供することを目的とするものである。

　本発明にかかる自動分析システムは、並んで配置された複数の自動分析装置からなる分析装置群と、それらの自動分析装置を連結して隣接する自動分析装置間で検体容器の輸送を行なう検体輸送装置と、それらの自動分析装置及び検体輸送装置の動作制御と管理を行なう制御装置と、を備えている。自動分析装置群を構成する各自動分析装置は、検体を採取してその検体に所定の試薬を添加して分析を行なう分析動作部、分析動作部で分析すべき検体を収容した検体容器を設置するための検体設置部、検体設置部に設置された検体容器を分析動作部に導入するための搬送部及びそれら各部の動作を制御する分析制御部を備えている。検体輸送装置は、互いに隣接する自動分析装置の間に配置されて両自動分析装置に連結され、それらの自動分析装置のうち一方の自動分析装置から他方の自動分析装置へ検体容器を輸送する輸送機構を有する。制御装置は、通信状態にある自動分析装置を管理下に置き、管理下の自動分析装置に対して動作に必要な情報を与えることによってその動作制御と管理を行なうものである。制御装置は、管理下の自動分析装置に関する情報を管理情報として保持するとともに通信状態でなくなった自動分析装置に関する情報も管理情報として保持しておく管理情報保持部、及び通信状態でなかった自動分析装置が通信状態となったときに、管理情報保持部が記憶している該自動分析装置についての管理情報に基づいて該自動分析装置を管理下に復帰させる管理再開手段を備えている。

　本発明の自動分析システムは、並んで配置された複数の自動分析装置をそれら自動分析装置の間に配置された検体輸送装置で連結して構成しているので、複数の自動分析装置に検体を導入して分析することのできる自動分析システムの構成を簡易にすることができる。互いに連結された複数の自動分析装置及び検体輸送装置は、共通の制御装置によって動作管理がなされるようになっているが、自動分析装置のそれぞれが分析動作部及び分析制御部を備えているので、互いに独立して動作することができ、検体輸送装置や一部の自動分析装置に不具合が生じたとしても、残りの自動分析装置で分析を行なうことができる。

　そして、該自動分析システム全体を統括して管理する制御装置は、管理下の自動分析装置に関する情報を管理情報として保持するとともに、通信状態でなくなった自動分析装置に関する情報も管理情報として保持しておく管理情報保持部及び通信状態でなかった自動分析装置が通信状態になったときに、管理情報保持部が記憶している該自動分析装置についての管理情報に基づいて該自動分析装置を管理下に復帰させる管理再開手段を備えているので、電源がオフにされるなどして制御装置と通信状態でなくなった自動分析装置が通信状態に復帰したときに、その自動分析装置を迅速に管理下に置いてその自動分析装置を用いた分析を実行することができる。

自動分析システムの一実施例における自動分析装置及び検体輸送装置を示す斜視図である。同実施例の自動分析装置及び検体輸送装置を概略的に示す平面図である同実施例全体の構成を示すブロック図である。同実施例の制御装置による自動分析装置の管理動作の一例を示すフローチャートである。同実施例の検体輸送装置の輸送機構の斜視図である。同輸送機構の側面図である。同輸送機構の斜め上方向から見た分解斜視図である。

　本発明にかかる自動分析システムは、特に、自動分析装置のそれぞれが、搬送部、検体採取部及び分析制御部に対して電力を供給する電源装置、及びその電源装置から各部への電力供給のオン／オフを切り替える電源スイッチを独自に備え、電源スイッチによって各部への電力供給が停止された自動分析装置は制御装置と通信状態でなくなるように構成されているものに適用される。ある自動分析装置の電源スイッチがオフになって制御装置と通信状態でなくなったときでも、その自動分析装置に関する管理情報が制御装置の管理情報保持部に保持されるので、自動分析装置の電源がオンにされて制御装置とその自動分析装置が通信状態となったときに、その自動分析装置に関する管理情報に基づいてすぐに該自動分析装置を管理下に置いて動作管理を行なうことができる。したがって、各自動分析装置の動作の停止や停止状態からの復帰を手軽にかつ迅速に行なうことができる。

　管理再開手段は、管理下に復帰させた自動分析装置の分析制御部に該自動分析装置についての前記管理情報を送信するように構成されていることが好ましい。そうすれば、自動分析装置の分析制御部に記憶されていた管理情報が電源のオフによって初期化されてしまった場合でも、制御装置との通信状態が復活したときに制御装置側から管理情報を受け取ることができ、制御装置の管理下に復帰した自動分析装置が自身に関する情報を取得するための動作を実行する必要がなくなる。これにより、制御装置との通信状態が復活した自動分析装置が使用可能な状態になるまでの時間を短縮することができる。

　制御装置は、管理下にあった自動分析装置が通信状態でなくなったときに、その自動分析装置に連結されている検体輸送装置の動作を停止させる輸送装置停止手段、及び管理下から外れていた自動分析装置が管理下に復帰したときにその自動分析装置に連結されている検体輸送装置の動作を再開させる輸送装置再開手段をさらに備えていることが好ましい。そうすれば、制御装置の管理下から外れた自動分析装置に検体容器が輸送されることを防止でき、制御装置の管理下に復帰した自動分析装置に対する検体容器の輸送を自動的に再開することができる。

　検体輸送装置に検体容器が存在する状態でその検体輸送装置に連結された自動分析装置の電源をオフにしてしまうこともありうる。その状態で検体輸送装置の動作が停止し、検体輸送装置に関する情報が初期化されてしまうと、検体輸送装置の動作が再開されたときに検体輸送装置に残っていた検体容器を正しく輸送することができなくなることが考えられる。そこで、制御装置は、検体輸送装置を停止させたときの該検体輸送装置に関する情報を管理情報保持部に保持させ、その検体輸送装置の動作を再開させたときにその情報に基づいて該検体輸送装置を制御するように構成されていることが好ましい。そうすれば、自動分析装置及び検体輸送装置の動作が再開されたときに検体輸送装置に残っていた検体容器を正しく輸送することが可能となる。

　制御装置に接続され制御装置からの情報を表示する情報表示部をさらに備え、管理情報は各自動分析装置に設置されている試薬に関する情報を含み、制御装置は、管理下にある自動分析装置に設置されている試薬の情報に基づいて該自動分析システムで実行可能な分析項目を割り出す分析項目管理手段、分析項目管理手段により割り出された実行可能な分析項目をオペレータからの求めに応じて情報表示部に表示する分析項目表示手段及び情報表示部に表示した分析項目の中から検体に対して実行すべき分析項目を選択する分析項目選択手段をさらに備えていることが好ましい。制御装置の管理下にある分析項目が情報表示部に表示されるため、管理下から外れた自動分析装置でのみ実行可能な分析項目は表示されず、その自動分析装置が制御装置の管理下に復帰したときにその分析項目が表示されることになる。したがって、オペレータにとって実行可能な分析項目が把握しやすくなり、実行不可能な分析項目が選択されることが防止される。

　本発明の好ましい実施の態様は、各自動分析装置の搬送部が、検体容器を載置して水平な一方向へ搬送するベルトコンベアを備えており、互いに隣接する自動分析装置のベルトコンベアは同一直線上に配置され、かつ一方のベルトコンベアの終端と他方のベルトコンベアの始端が対向するように配置されており、それらのベルトコンベアの間に検体輸送装置が配置され、該検体輸送装置は、一方のベルトコンベアの終端に到達した検体容器を保持して他方のベルトコンベアの始端へ輸送するように構成されているものである。

　図１及び図２を用いて自動分析システムの一実施例について説明する。図１及び図２には、自動分析システムを構成する２台の自動分析装置及びそれらの自動分析装置を連結する検体輸送装置が示されており、これらの装置の動作を管理する制御装置については図示されていない。

　この自動分析システム１は、２つの自動分析装置２ａ，２ｂからなる分析装置群、検体輸送装置１２、これらの装置２ａ，２ｂ，１２に接続された制御装置３４（図３参照）により構成されている。分析装置群を構成する２台の自動分析装置２ａ，２ｂは水平面内の一方向であるＸ方向に並んで配置され、両自動分析装置２ａ，２ｂのそれぞれの搬送部６ａと６ｂの間が検体輸送装置１２によって連結されている。この実施例では、分析装置群を２台の自動分析装置２ａ及び２ｂによって構成しているが、３台以上の自動分析装置によって構成してもよい。ｎ台（ｎ≧３）の自動分析装置によって分析装置群を構成する場合には、ｎ－１台の検体輸送装置１２が必要となる。

　自動分析装置２ａは、分析動作部４ａ、搬送部６ａ及び検体導入機構１８ａを備えている。自動分析装置２ｂも同様に、分析動作部４ａ、搬送部６ａ及び検体導入機構１８ａを備えている。自動分析装置２ａと自動分析装置２ｂのそれぞれは独自の電源部３３ａ，３３ｂ（図３参照）を備えており、電源スイッチ１５ａ，１５ｂを切り替えることによってオペレータが各装置２ａ，２ｂのそれぞれの電源のオン・オフを行なうことができるようになっている。自動分析装置２ａと２ｂは互いに独立して動作することが可能であり、いずれか一方の自動分析装置の電源がオフになっても、他方の自動分析装置のみで分析動作を実行することができる。

　自動分析装置２ａ，２ｂの両方が正常に動作しているときは、検体を収容した検体容器が自動分析装置２ａ側に設置され、検体輸送装置１２を介して自動分析装置２ｂ側へ導入されるように構成されている。自動分析装置２ａ，２ｂの一方の動作が停止しているときは、他方の自動分析装置のみによって検体の分析を実行することができるように構成されている。

　自動分析装置２ａと２ｂは同じ構成を有する装置である。自動分析装置２ａの各構成について説明すると、搬送部６ａは検体容器を保持した検体ラック２０をＸ方向の一方向（図１及び図２において右側から左側へ向かう方向）へ搬送するベルトコンベア７ａを備えている。ベルトコンベア７ａの周囲はカバーで覆われている。搬送部６ａの始端側（図１及び図２において右側）に検体ラック配置部８ａが設けられ、終端側（同図において左側）に検体ラック回収部１０ａが設けられている。検体ラック配置部８ａと検体ラック回収部１０ａのカバーは開閉可能であり、オペレータが検体ラック配置部８ａのカバーを開けて検体ラックをベルトコンベア７ａ上に配置したり、検体ラック回収部１０ａのカバーを開けてサンプリングの終了した検体ラックを取り出したりすることができる。

　検体導入機構１８ａは水平面内においてＸ方向と直交するＹ方向へ移動し、ベルトコンベア７ａ上の検体ラック２０を保持して分析動作部４ａ側へ導入したり、サンプリングの終了した検体ラック２０をベルトコンベア７ａ上に戻したりするものである。搬送部６ａの検体ラック配置部８ａと検体ラック回収部１０ａの間に検体ラック導入部９ａが設けられている。図示は省略されているが、この検体ラック導入部９ａには、ベルトコンベア７ａによって搬送される検体ラック２０の停止とその解除を行なうストッパが設けられている。検体導入機構１８ａは、そのストッパにより所定位置で停止させられた検体ラック２０を保持して分析動作部４ａ内に移送する。また、検体導入機構１８は、検体ラック導入部９ａにおいて分析動作部４ａにおける処理が終了した検体ラック２０をベルトコンベア７ａ上に戻す。

　分析動作部４ａは、検体導入機構１８ａにより移送された検体容器から検体を採取するための吸入プローブなどを有する検体採取機構（図示は省略）のほか、試薬設置部２２ａ、検体ラック収容部２４ａ及び測定部２６ａを備えている。検体ラック収容部２４ａには、検体導入機構１８ａによってベルトコンベア７ａ上から移送された検体ラック２０が複数収容される。検体ラック収容部２４ａはターンテーブルになっていて、検体ラック２０上の検体容器を、吸入プローブが検体を採取するときの所定位置に配置する。

　試薬設置部２２ａには、試薬を収容した試薬容器を設置するための複数の試薬ホルダー２３ａが設けられている。試薬設置部２２ａの各試薬ホルダー２３ａに設置される試薬容器の試薬情報は、設置した試薬容器の試薬情報をオペレータが制御装置３４（図３参照）に入力することで、又は、各試薬容器に添付された情報媒体としてのバーコードの情報が情報読取器としてのバーコードリーダーによって読み取られることで、制御装置３４に入力され、どの試薬ホルダー２３ａにどのような試薬が収容されているかが制御装置３４に登録されるようになっている。

　測定部２６ａには、吸入プローブによって採取された検体と試薬を混合する容器が複数個設けられており、容器内の反応を光学的に測定するように構成されている。かかる構成により、分析動作部４ａでは、検体ラック２０が検体導入機構１８ａによって検体ラック収容部２４ａに収容され、その検体ラック２０に保持されている検体容器が所定位置に配置され、吸入プローブによって検体が採取される。採取された検体は測定部２６ａに設けられた容器に注入され、分析項目に応じた試薬が吸入プローブによって添加された後、検体と試薬の反応が吸光度や蛍光強度など光学的に測定される。

　自動分析装置２ｂのベルトコンベア７ｂは自動分析装置２ａのベルトコンベア７ａと同一直線上に配置され、ベルトコンベア７ｂの始端がベルトコンベア７ａの終端と対向して配置されている。

　検体輸送装置１２は、検体輸送装置１２はベルトコンベア７ａと７ｂの間に配置され、両ベルトコンベア７ａと７ｂの間を連結している。検体輸送装置１２は、ベルトコンベア７ａの終端にきた検体ラック２０を保持してベルトコンベア７ｂの始端に配置する輸送機構１００（図５－図７参照）を備えており、その輸送機構は開閉式の遮蔽カバー１４によって覆われている。検体輸送装置１２はベルトコンベア７ａの終端に到達した検体ラック２０を検出する第１センサ１１０と、ベルトコンベア７ｂの始端に到達した検体ラック２０を検出する第２センサ１１２を備えている（図５－図７参照）。検体輸送装置１２は、第１センサによってベルトコンベア７ａの終端に検体ラック２０が到達したことを検知すると自動的にその検体ラック２０の輸送を開始するようになっている。

　次に、この自動分析システム１全体の制御系統について図３を用いて説明する。

　自動分析装置２ａは、分析動作部４ａ、ベルトコンベア７ａ及び検体導入機構１８ａの動作制御と状態の管理を行なう分析制御部３２ａとそれら各部に対して必要な電力を供給する電源部３３ａを備えている。電源部３３ａに電源スイッチ１５ａが設けられており、電源スイッチ１５ａの切替えによって分析動作部４ａ、ベルトコンベア７ａ、検体導入機構１８ａ及び分析制御部３２ａへの電力の供給のオン・オフが切り換えられるようになっている。

　同様に、自動分析装置２ｂは、分析動作部４ｂ、ベルトコンベア７ｂ及び検体導入機構１８ｂの動作制御と状態の管理を行なう分析制御部３２ｂとそれら各部に対して必要な電力を供給する電源部３３ｂを備えている。電源部３３ｂに電源スイッチ１５ａが設けられており、電源スイッチ１５ｂの切替えによって分析動作部４ｂ、ベルトコンベア７ｂ、検体導入機構１８ｂ及び分析制御部３２ｂへの電力の供給のオン・オフが切り換えられるようになっている。

　検体輸送装置１２は、検体ラックの輸送動作を行なう輸送機構１００、ベルトコンベア７ａの終端に到達した検体ラック２０を検知するための第１センサ１１０、ベルトコンベア７ｂの始端に到達した検体ラック２０を検知するための第２センサ１１２及び輸送機構１００の動作制御を行なう輸送制御部１０１を備えている。第１センサ１１０と第２センサ１１２の検知信号は輸送制御部１０１を介して制御装置３４に取り込まれ、検体輸送装置１２における検体ラック２０の輸送状態が制御装置３４によって管理されるように構成されている。

　分析制御部３２ａ，３２ｂ及び輸送制御部１０１は通信ケーブルを介して制御装置３４と接続されており、制御装置３４との間で相互に情報の通信が行われる。分析制御部３２ａは電源部３３ａから供給される電力によって動作しているため、電源部３３ａの電源スイッチ１５ａがオフにされると分析制御部３２ａへの電力供給が遮断され、制御装置３４との間における相互の情報通信を行なうことができなくなる。分析制御部３２ｂも同様に、電源部３３ｂの電源スイッチ１５ｂがオフにされると制御装置３４との間における相互の情報通信を行なうことができなくなる。すなわち、電源スイッチ１５ａ又は１５ｂがオンにされている自動分析装置２ａ又は２ｂは制御装置３４との間で相互の情報通信が可能な通信状態であり、電源スイッチ１５ａ又は１５ｂがオフにされている自動分析装置２ａ又は２ｂは通信状態でない。

　制御装置３４は各自動分析装置２ａ及び２ｂとの間の通信状態を定期的に確認し、通信状態にある自動分析装置２ａ又は２ｂを管理下に置いて、管理下の自動分析装置２ａ又は２ｂの分析制御部３２ａ又は３２ｂとの間で相互に情報の通信を行なう。制御装置３４は、管理下の分析制御部３２ａ又は３２ｂに分析項目に関する情報など必要な情報を与え、管理下の分析制御部３２ａ又は３２ｂからその自動分析装置２ａ又は２ｂに関する管理情報を取得する。入手した管理情報は、後述する管理情報保持部４２に保持させる。制御装置３４は、通信状態でない自動分析装置が存在する場合は、その自動分析装置が通信状態でない旨の情報を管理情報保持部４２に保持させておく。

　制御装置３４は、分析項目管理手段３５、分析項目表示手段３６、分析項目選択手段３７、通信状態検知手段３８、管理再開手段３９、輸送装置停止手段４０、輸送装置再開手段４１及び管理情報保持部４２を備えている。制御装置３４は、この自動分析システムの専用コンピュータにより、又は汎用のパーソナルコンピュータにより実現することができる。

　管理情報保持部４２は、各自動分析装置２ａ，２ｂに関する情報、例えば、試薬設置部２２ａ及び２２ｂに設置されている試薬の種類、試薬容器の種類及び容量、試薬容器の設置場所などの情報を管理情報として保持する。これらの情報は、この自動分析システムが立ち上げられたときにオペレータによって又は各自動分析装置２ａ，２ｂが自動的にバーコードなどの情報媒体を読み取ることによって設定される。既述のように、制御装置３４は定期的に各自動分析装置２ａ，２ｂに関する情報を取得するようになっており、取得された情報も管理情報として管理情報保持部４２に保持される。管理情報保持部４２の各自動分析装置２ａ，２ｂについての管理情報は、各自動分析装置２ａ，２ｂから情報が取得されるたびに更新される。各自動分析装置２ａ，２ｂについての管理情報は各自動分析装置２ａ，２ｂの分析制御部３２ａ，３２ｂも保持しており、それらの情報に基づいた制御が行われる。

　分析項目管理手段３５は、自動分析装置２ａ，２ｂに設置された試薬の情報に基づき、各自動分析装置２ａ，２ｂにおいて実行可能な分析項目を特定するように構成されている。分析項目表示手段３６は、特定された実行可能な分析項目をオペレータからの要求に応じて情報表示部４４に表示するように構成されている。分析項目選択手段３７は、情報表示部４４に表示された分析項目の中からオペレータが選択した分析項目を対象の検体に対して実行する分析項目として設定し、設定された分析項目に関する情報を自動分析装置２ａ又は２ｂに送信するように構成されている。

　オペレータは、検体容器をこの自動分析システムに設置する際に又は設置した後で、情報表示部４４に実行可能な分析項目を表示させ、表示された分析項目の中から実行すべき分析項目を選択する。オペレータが分析項目を選択すると、その分析項目に関する情報と設置した検体容器に関する情報とが関連付けられて自動分析装置２ａ，２ｂに送信される。自動分析装置２ａ，２ｂは制御装置３４からの情報に基づいて対象の検体に対し選択された分析項目を実行する。

　通信状態検知手段３８は、各分析制御部３２ａ，３２ｂが制御装置３４と通信状態にあるか否かを検知するように構成されている。例えば、自動分析装置２ｂの電源スイッチ１５ｂがオフに切り替えられると、電源部３３ｂから分析制御部３２ｂへの電源供給が停止され、該自動分析装置２ｂは制御装置３４と通信状態ではなくなり、制御装置３４の管理下から外れる。自動分析装置２ｂが制御装置３４の管理下から外れると、自動分析装置２ｂに設置されている試薬に基づく分析項目が情報表示部４４に表示される実行可能な分析項目から除外される。管理下から除外された自動分析装置２ｂについての管理情報は管理情報保持部４２に保持される。この管理情報には、自動分析装置２ｂが通信状態でない旨の情報が含まれる。自動分析装置２ａの電源がオフに切り替えられたときも同様である。

　管理再開手段３９は、制御装置３４と通信状態でなかった自動分析装置２ａ又は２ｂが通信状態となったときに、その自動分析装置２ａ又は２ｂについて管理情報保持部４２が保持している管理情報を用いてその自動分析装置２ａ又は２ｂを再び管理下に復帰させ、復帰させる自動分析装置２ａ又は２ｂに管理情報を送信するように構成されている。制御装置３４の管理下に復帰した自動分析装置２ａ又は２ｂが制御装置３４から管理情報を受け取ることにより、自動分析装置２ａ又は２ｂにおいて試薬に関する情報などを自身で再取得する動作を行なう必要がないので、検体の分析を実行することが可能な状態に復帰するまでの時間が短くてすむ。

　輸送装置停止手段４０は、いずれか一方の自動分析装置２ａ又は２ｂの電源がオフにされて制御装置３４と通信状態でなくなったときに、検体輸送装置１２の動作を停止するように構成されている。自動分析装置２ａの動作が停止して制御装置３４の管理下から外れた場合には、自動分析装置２ａのベルトコンベア７ａの終端に検体ラック２０が到達することがないため、検体輸送装置１２が動作していても問題になることはないが、自動分析装置２ｂの動作が停止したときに検体輸送装置１２が動作していると、検体ラック２０が自動分析装置２ａのベルトコンベア７ａの終端に到達した検体ラック２０を検知して自動的に自動分析装置２ｂへ輸送してしまうという不具合が発生する。そのため、一方の自動分析装置２ａ又は２ｂが制御装置３４の管理下から外れたときは検体輸送装置１２の動作を停止する。

　輸送装置再開手段４１は、電源がオフにされていたいずれか一方の自動分析装置２ａ又は２ｂの電源がオンにされて両自動分析装置２ａ及び２ｂが制御装置３４の管理下になったときに検体輸送装置１２の動作を再開するように構成されている。

　制御装置３４による自動分析装置２ａ，２ｂ及び検体輸送装置１２の管理と制御について図４のフローチャートを用いて説明する。

　制御装置３４は一定時間ごとに各自動分析装置２ａ及び２ｂについて以下の動作を実行する。まず、制御装置３４と通信状態か否かを確認する。対象の自動分析装置が通信状態でない場合には、前回は通信状態であったか否かを確認し、前回は通信状態であったときはその自動分析装置を管理下から外し、検体輸送装置１２の動作を停止させる。その自動分析装置に関する管理情報を管理情報保持部４２に保持される。管理情報保持部４２に保持される管理情報には、その自動分析装置が通信状態でない旨の情報も含まれる。

　制御装置３４は検体輸送装置１２の第１センサ１１０及び第２センサ１１２（図５－図７参照）の検知信号によって検体輸送装置１２における検体ラック２０の輸送状態を把握しており、検体輸送装置１２の動作を停止させる際に検体輸送装置１２における検体ラック２０の輸送状態に関する情報も管理情報として管理情報保持部４２に保持される。

　通信状態を確認し、対象の自動分析装置が通信状態である場合、前回も通信であった場合には、その自動分析装置の管理情報を取得して管理情報保持部４２の管理情報を更新する。現在は通信状態であるが前回は通信状態でなかった場合には、当該分析装置を含めたシステム全体の状態を示すシステム状態を確認し、待機中（分析中やメンテナンス中などでない状態）を示す状態であれば、その自動分析装置を制御装置３４の管理下に復帰させる。システム状態が待機中でない場合は、引き続き通信状態とシステム状態の監視を続ける。管理下に復帰させた自動分析装置に対してその自動分析装置についての管理情報を送信し、検体輸送装置の動作を再開させる。制御装置３４から管理情報を受け取った自動分析装置は、その情報に基づいて分析動作を行なう。自動分析装置が前回通信状態であった否かは、管理情報保持部４２にその自動分析装置が通信状態でない旨の情報が存在するか否かにより判断することができる。

　次に、検体輸送装置１２に設けられた輸送機構１００の一例について図５から図７を用いて説明する。

　輸送機構１００は水平面を有するテーブル１０２を備えている。テーブル１０２は基台１１８によって支持されている。テーブル１０２の水平面は両端に配置されるベルトコンベア７ａ，７ｂの搬送面とほぼ同じ高さに設定されている。テーブル１０２のＸ方向における一方側（図において右側）の端部近傍の位置は検体ラックの搬送を開始する搬送開始位置１０３ａであり、この搬送開始位置１０３ａに前段側のベルトコンベア７ａの終端がくるように配置されている。テーブル１０２のＸ方向における他方側（図において左側）の端部近傍の位置は検体ラックの搬送完了位置１０３ｂであり、この搬送完了位置１０３ｂに後段側のベルトコンベア７ｂの始端がくるように配置されている。

　テーブル１０２上の両側縁部にＸ方向に延びた腕部材１０４と腕部材１０６が対向して配置されている。腕部材１０４と腕部材１０６はテーブル１０２の側縁部においてＸ方向とＹ方向へ駆動される。腕部材１０４と腕部材１０６は、Ｘ方向に対しては同時に同方向へ連動して移動し、Ｙ方向に対してテーブル１０２を中心として対称な方向へ連動して移動する。図には示されていないが、腕部材１０４と腕部材１０６を駆動するモータ等の機構は基台１１８の内部に収容されている。

　腕部材１０４は、搬送開始位置１０３ａ側の端部に内側（Ｙ方向でテーブル１０２側）を向く突起１０４ａを備え、輸送完了位置１０３ｂ側の端部にも内側を向く突起１０４ｂを備えている。突起１０４ａと突起１０４ｂはＹ方向でテーブル１０２側へ突出している。検体ラック２０の側面には凹部（図示は省略）が設けられている。検体ラック２０は、その凹部がＹ方向で外側を向くようにテーブル２０上に載置される。突起１０４ａと１０４ｂは検体ラック２０のその凹部に嵌め込まれて検体ラックと係合するものである。腕部材１０４のＹ方向への移動は、突起１０４ａ，１０４ｂが検体ラックの凹部に嵌め込まれる位置と検体ラック自体に接触しない位置との間で行なわれる。

　腕部材１０６は、搬送開始位置１０３ａ側の端部に内側（Ｙ方向でテーブル１０２側）を向く突起１０６ａを備え、輸送完了位置１０３ｂ側にも内側を向く突起１０６ｂを備えている。突起１０６ａと突起１０６ｂは検体ラックの後背面（進行方向に対して）と係合するものである。腕部材１０６のＹ方向への移動は、突起１０６ａ，１０６ｂが検体ラックの背面に係合する位置と突起１０６ａ，１０６ｂが検体ラックに接触しない位置との間で行なわれる。

　腕部材１０４と１０６は、検体ラックを保持して搬送開始位置１０３ａから輸送完了位置１０３ｂまでテーブル１０２上をスライドさせて輸送するハンドラを構成している。このハンドラは、搬送開始位置１０３ａ側と輸送完了位置１０３ｂ側の２箇所で保持部を構成する。搬送開始位置１０３ａ側の保持部は腕部材１０４の突起１０４ａと腕部材１０６の突起１０６ａで構成され、輸送完了位置１０３ｂ側の保持部は腕部材１０４の突起１０４ｂと腕部材１０６の突起１０６ｂで構成される。

　以下において、腕部材１０４と腕部材１０６をまとめて「ハンドラ１０４，１０６」、ハンドラ１０４，１０６の搬送開始位置１０３ａ側の保持部を「第１保持部１０４ａ，１０６ａ」、輸送完了位置１０３ｂ側の保持部を「第２保持部１０４ｂ，１０６ｂ」と称する。

　第１保持部１０４ａ，１０６ａは、ハンドラ１０４と１０６の搬送開始位置１０３ａ側の端部で検体ラックを両側から挟むことによって、検体ラックの一方側の側面の凹部に突起１０４ａを嵌め込むとともに検体ラックの反対側後背面を突起１０６ａで支持する。第２保持部１０４ｂ，１０６ｂは、腕部材１０４と１０６の搬送開始位置１０３ｂ側の端部で検体ラックを両側から挟むことによって、検体ラックの一側面の凹部に突起１０４ｂを嵌め込むとともに検体ラックの反対側後背面を突起１０６ｂで支持する。ハンドラ１０４，１０６は、検体ラックを保持した状態でＸ方向へ移動し、検体ラックをテーブル１０２上でスライドさせて輸送する。

　テーブル１０２の腕部材１０６側の側縁部には、テーブル１０２上をスライドする検体ラックの側面に設けられた溝に嵌め込まれて検体ラックの転倒を防止するガイドレール１０８が設けられている。

　搬送開始位置１０３ａの側方には、搬送開始位置１０３ａへの検体ラックの到達を検知する第１センサ１１０が設けられている。輸送完了位置１０３ｂの側方には、輸送完了位置１０３ｂへの検体ラックの到達を検知する第２センサ１１２が設けられている。

　搬送開始位置１０３ａの近傍にストッパ１１４が設けられており、ベルトコンベア７ａによって搬送されてきた検体ラック２０を搬送開始位置１０３ａで停止させる。ストッパ１１４は、ハンドラ１０４，１０６が検体ラック２０を保持する直前までは検体ラック２０を搬送開始位置１０３ａで停止させ、ハンドラ１０４，１０６が検体ラック２０を保持して輸送を開始する際にはストッパ１１４が解除されるようになっている。

　基台１１８の側部に回路基板１１６が設けられている。回路基板１１６はハンドラ１０４，１０６の動作を制御する輸送制御部１０１をなしている。第１センサ１１０及び第２センサ１１２は配線によって回路基板１１６に接続され、それらの検知信号が回路基板１１６に取り込まれるようになっている。回路基板１１６は、第１センサ１１０が検体ラックの到達を検知したときの検知信号に基づいて検体ラックの輸送動作を開始するように構成されている。

　回路基板１１６は制御装置３４と接続されており、第１センサ１１０と第２センサ１１２の検知信号が回路基板１１６を介して制御装置３４に取り込まれ、検体輸送装置１２における検体ラックの輸送状態が制御装置３４によって管理されている。

　なお、図６では配線や回路基板１１６に搭載されているモジュールの図示を省略している。図７では回路基板１１６に搭載されているモジュールの一部は図示しているが、配線の図示を省略している。

　　　１　　　自動分析システム
　　　２ａ，２ｂ　　　自動分析装置
　　　４ａ，４ｂ　　　分析動作部
　　　６ａ，６ｂ　　　搬送部
　　　７ａ，７ｂ　　　ベルトコンベア
　　　８ａ，８ｂ　　　検体ラック配置部
　　　９ａ，９ｂ　　　検体ラック導入部
　　　１０ａ，１０ｂ　　　検体ラック回収部
　　　１２　　　検体輸送装置
　　　１４　　　遮蔽カバー
　　　１５ａ，１５ｂ　　　電源スイッチ
　　　１８ａ，１８ｂ　　　検体導入機構
　　　２０　　　検体ラック
　　　２２ａ，２２ｂ　　　試薬設置部
　　　２４ａ，２４ｂ　　　検体ラック収容部
　　　２６ａ，２６ｂ　　　測定部
　　　３２ａ，３２ｂ　　　分析制御部
　　　３３ａ，３３ｂ　　　電源部
　　　３４　　　制御装置
　　　３５　　　分析項目管理手段
　　　３６　　　分析項目表示手段
　　　３７　　　分析項目選択手段
　　　３８　　　通信状態検知手段
　　　３９　　　管理再開手段
　　　４０　　　輸送装置停止手段
　　　４１　　　輸送装置再開手段
　　　４２　　　管理情報保持部
　　　４４　　　情報表示部
　　　１００　　　輸送機構
　　　１０１ａ　　　Ｘ方向駆動モータ
　　　１０１ｂ　　　Ｙ方向駆動モータ
　　　１０２　　　テーブル
　　　１０３ａ　　　搬送開始位置
　　　１０３ｂ　　　搬送完了位置
　　　１０４，１０６　　　腕部材（ハンドラ）
　　　１０４ａ，１０４ｂ，１０６ａ，１０６ｂ　　　突起（保持部）
　　　１０８　　　ガイドレール
　　　１１０　　　第１センサ
　　　１１２　　　第２センサ
　　　１１４　　　ストッパ
　　　１１６　　　回路基板（制御部）
　　　１１６ａ　　　モータドライバ
　　　１１８　　　基台

Claims

　並んで配置された自動分析装置を備え、各自動分析装置は、検体を採取してその検体に所定の試薬を添加して分析を行なう分析動作部、前記分析動作部で分析すべき検体を収容した検体容器を設置するための検体設置部、検体設置部に設置された検体容器を前記分析動作部に導入するための搬送部及びそれら各部の動作を制御する分析制御部を備えている分析装置群と、
　互いに隣接する前記自動分析装置の間に配置されて両自動分析装置に連結され、それらの自動分析装置のうち一方の自動分析装置から他方の自動分析装置へ検体容器を輸送する輸送機構を有する検体輸送装置と、
　通信状態にある前記自動分析装置を管理下に置き、管理下の前記自動分析装置に対して動作に必要な情報を与えることによってその動作制御と管理を行なう制御装置と、を備え、
　前記制御装置は、管理下の前記自動分析装置に関する情報を管理情報として保持するとともに、通信状態でなくなった自動分析装置に関する情報も管理情報として保持しておく管理情報保持部及び通信状態でなかった自動分析装置が通信状態となったときに、前記管理情報保持部が記憶している該自動分析装置についての前記管理情報に基づいて該自動分析装置を管理下に復帰させる管理再開手段を備えている自動分析システム。
　前記自動分析装置のそれぞれは、前記搬送部、前記検体採取部及び前記分析制御部に対して電力を供給する電源装置、及びその電源装置から前記各部への電力供給のオン／オフを切り替える電源スイッチを独自に備え、前記電源スイッチによって前記各部への電力供給が停止された自動分析装置は前記制御装置と通信状態でなくなるように構成されている請求項１に記載の自動分析システム。
　前記管理再開手段は、管理下に復帰させた前記自動分析装置の前記分析制御部に該自動分析装置についての前記管理情報を送信するように構成され、
　前記制御装置の管理下に復帰した前記自動分析装置の前記分析制御部は前記制御装置から送信された前記管理情報に基づいて該自動分析装置の前記各部の動作を制御するように構成されている請求項１又は２に記載の自動分析システム。
　前記制御装置は、管理下にあった自動分析装置が通信状態でなくなったときに、その自動分析装置に連結されている前記検体輸送装置の動作を停止させる輸送装置停止手段、及び管理下から外れていた自動分析装置が管理下に復帰したときにその自動分析装置に連結されている前記検体輸送装置の動作を再開させる輸送装置再開手段をさらに備えている請求項１から３のいずれか一項に記載の自動分析システム。
　前記制御装置は、前記検体輸送装置を停止させたときの該検体輸送装置に関する情報を前記管理情報保持部に保持させ、その前記検体輸送装置の動作を再開させたときにその情報に基づいて該検体輸送装置を制御するように構成されている請求項４に記載の自動分析システム。
　前記制御装置に接続され前記制御装置からの情報を表示する情報表示部をさらに備え、
　前記管理情報保持部は、前記管理情報として各自動分析装置に設置されている試薬に関する情報も保持するように構成されており、
　前記制御装置は、管理下にある自動分析装置に設置されている試薬の情報に基づいて該自動分析システムで実行可能な分析項目を割り出す分析項目管理手段、前記分析項目管理手段により割り出された実行可能な分析項目をオペレータからの求めに応じて前記情報表示部に表示する分析項目表示手段、及び前記情報表示部に表示した分析項目の中から検体に対して実行すべき分析項目を選択する分析項目選択手段をさらに備えている請求項１から５のいずれか一項に記載の自動分析システム。
　前記各自動分析装置の前記搬送部は、検体容器を載置して水平な一方向へ搬送するベルトコンベアを備えており、互いに隣接する自動分析装置のベルトコンベアは同一直線上に配置され、かつ一方のベルトコンベアの終端と他方のベルトコンベアの始端が対向するように配置されており、それらのベルトコンベアの間に前記検体輸送装置が配置され、該検体輸送装置は、前記一方のベルトコンベアの終端に到達した検体容器を保持して前記他方のベルトコンベアの始端へ輸送するように構成されている請求項１から６のいずれか一方に記載の自動分析システム。