WO2015163194A1 - 細胞外小胞体分析チップ、細胞外小胞体分析方法、細胞外小胞体分析装置 - Google Patents

細胞外小胞体分析チップ、細胞外小胞体分析方法、細胞外小胞体分析装置 Download PDF

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    • G01N33/483Physical analysis of biological material

Abstract

 複数の第1リザーバーと、複数の第2リザーバーと、前記第1リザーバーと前記第2リザーバーとをそれぞれ接続し、細胞外小胞体、あるいは、前記細胞外小胞体の表面に存在する分子に特異的に結合する特異的結合物質と前記細胞外小胞体とが相互作用してなる、特異的結合物質-細胞外小胞体複合体、が泳動する、複数の泳動流路と、を備える、細胞外小胞体分析チップ。

Description

細胞外小胞体分析チップ、細胞外小胞体分析方法、細胞外小胞体分析装置
 本発明は、細胞外小胞体分析チップ、細胞外小胞体分析方法、細胞外小胞体分析装置に関する。
 本願は、2014年4月25日に日本に出願された特願2014-092145号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
 エクソソーム(エキソソーム)は、直径30~100nm程度の脂質小胞であり、エンドソームと細胞膜との融合体として、腫瘍細胞、樹状細胞、T細胞、B細胞等、種々の細胞から、血液、尿、唾液等の体液中に分泌される。
 癌細胞等の異常細胞は、細胞膜に特有のタンパク質を発現している場合がある。そして、エクソソームの膜表面は、分泌源の細胞由来のタンパク質を発現しているため、体液中のエクソソームの膜表面に存在するタンパク質を分析することで、バイオプシー検査をしなくとも、生体内の異常を調べることができる技術の確立が期待されている。
 このような期待に対して、エクソソームの膜表面に発現しているCD63を抗原とする抗体で修飾したビーズを用いて、CD63陽性のエクソソームを捕捉し蛍光修飾抗体で標識し、フローサイトメトリーを用いて計測することにより、エクソソームの膜表面を分析する方法が提案されている(非特許文献1参照)。
Lasser C.,et.al.,J.Vis.Exp.,(2012)vol.59,e3037.
 しかし、エクソソームの膜表面におけるCD63等の糖タンパク質の発現量は少ないため、非特許文献1に記載のエクソソームの分析方法は、多量のサンプルを用いて、複数粒子のエクソソームを抗体修飾ビーズに捕捉させなければ、エクソソームの膜表面における糖タンパク質の発現を検出できない。非特許文献1に記載のエクソソームの分析方法は、簡便かつ高感度にサンプル由来のエクソソームを分析するという点においては改良の余地がある。
 本発明の一実施態様は、下記(1)~(7)を提供するものである。
(1)本発明の一実施態様における細胞外小胞体分析チップは、複数の第1リザーバーと、複数の第2リザーバーと、前記第1リザーバーと前記第2リザーバーとをそれぞれ接続し、細胞外小胞体、あるいは、前記細胞外小胞体の表面に存在する分子に特異的に結合する特異的結合物質と前記細胞外小胞体とが相互作用してなる、特異的結合物質-細胞外小胞体複合体、が泳動する、複数の泳動流路と、を備えることを特徴とする。
(2)本発明の一実施態様における細胞外小胞体分析チップは、複数の泳動部を備え、前記泳動部は、泳動流路と、前記泳動流路の一方端側に設けられた一方端側リザーバーと、前記泳動流路の他方端側に設けられた他方端側リザーバーとを備え、複数の前記泳動流路は同じ基板上に形成され、少なくとも一つの前記泳動流路は特異的結合物質-細胞外小胞体複合体が泳動することを特徴とする。
(3)本発明の一実施態様における細胞外小胞体分析方法は、上記実施態様の細胞外小胞体分析チップを用いた細胞外小胞体分析方法であって、第1の前記泳動流路に、前記細胞外小胞体を泳動させ、第1のゼータ電位を計測する工程と、第2の前記泳動流路に、前記細胞外小胞体の表面に存在する分子に特異的に結合する特異的結合物質と前記細胞外小胞体とが相互作用してなる、特異的結合物質-細胞外小胞体複合体を泳動させ、第2のゼータ電位を計測する工程と、を含むことを特徴とする。
(4)本発明の一実施態様における細胞外小胞体分析方法は、上記実施態様の細胞外小胞体分析チップを用いた細胞外小胞体分析方法であって、第1の前記泳動流路に、第1の特異的結合物質と細胞外小胞体とが結合してなる、第1の特異的結合物質-細胞外小胞体複合体を泳動させて、第1のゼータ電位を計測する工程と、第2の前記泳動流路に、第2の特異的結合物質と細胞外小胞体とが結合してなる、第2の特異的結合物質-細胞外小胞体複合体を泳動させて、第2のゼータ電位を計測する工程と、を含むことを特徴とする。
(5)本発明の一実施態様における細胞外小胞体分析装置は、上記実施態様の細胞外小胞体分析チップを保持する保持部と、前記細胞外小胞体あるいは前記特異的結合物質-細胞外小胞体複合体のゼータ電位を計測する計測部と、を備えることを特徴とする。
細胞外小胞体分析チップの基本構造を示す斜視図である。 図1のII-II線断面図である。 細胞外小胞体分析チップの一実施態様を示す上面図である。 図3のIV-IV線断面図である。 細胞外小胞体分析チップの一実施態様を示す上面図である。 細胞外小胞体分析チップの一実施態様を示す上面図である。 細胞外小胞体分析チップの一実施態様を示す上面図である。 図6のVII-VII線断面図である。 図6のVIII-VIII線断面図である。 細胞外小胞体分析チップの一実施態様を示す上面図である。 細胞外小胞体分析チップの一実施態様を示す上面図である。 細胞外小胞体分析チップの一実施態様を示す上面図である。 図11のXII-XII線断面図である。 細胞外小胞体分析チップの一実施態様を示す上面図である。 一実施態様に係る細胞外小胞体分析チップの使用方法を説明する上面図である。 一実施態様に係る細胞外小胞体分析チップの使用方法を説明する上面図である。 一実施態様に係る細胞外小胞体分析チップの使用方法を説明する上面図である。 一実施態様に係る細胞外小胞体分析チップの使用方法を説明する上面図である。 一実施態様に係る細胞外小胞体分析チップの使用方法を説明する上面図である。 細胞外小胞体分析装置の一実施態様を示す模式図である。 細胞外小胞体分析チップの一実施態様を示す断面図である。 チップホルダーの一実施態様を示す上面図である。 細胞外小胞体分析チップを構成する電極コートガラス基板の一実施態様を示す上面図である。 細胞外小胞体分析チップの一実施態様を示す上面図である。 細胞外小胞体分析チップの一実施態様を示す断面図である。 細胞外小胞体分析チップのローディング前の細胞外小胞体分析装置のステージ部の状態を示す図である。 細胞外小胞体分析チップのローディング後の細胞外小胞体分析装置のステージ部の状態を示す図である。 一実施態様に係るウェルカバーを備える、細胞外小胞体分析チップの断面図である。 細胞外小胞体分析チップの一実施態様を示す斜視図である。 細胞外小胞体分析チップの一実施態様を示す斜視図である。 細胞外小胞体分析装置の検出部により撮影された、電気泳動中の細胞外小胞体の画像に基づいて作成された、解析画面の一例を示す模式図である。 細胞外小胞体分析チップの一実施態様を示す斜視図である。
 一実施態様において、本発明は、細胞外小胞体分析チップを提供する。本明細書において、細胞外小胞体とは、エクソソーム、アポトーシス小体、マイクロベシクル等を含む、脂質小胞を意味するものとする。以下に、エクソソームを分析する場合を例として、細胞外小胞体分析チップについて説明する。
[エクソソーム]
 生体内に存在する癌細胞等の異常細胞は、その細胞膜に特有のタンパク質を発現している。エクソソームは細胞の分泌物であり、その表面に分泌源の細胞由来のタンパク質を発現している。
 そこで、エクソソームの表面に発現しているタンパク質を分析することで、分泌源の細胞の異常を検出することができる。ここで、エクソソームの表面とは、細胞から分泌される脂質小胞の膜表面であって、生体内で分泌されたエクソソームが生体内の環境と接する部分をいう。
 エクソソームは、生体内で循環している血液などの体液中で検出され、エクソソームを分析することで、バイオプシー検査をしなくとも、生体内の異常を検出することができる。
[エクソソームの分析]
 細胞外小胞体分析チップを用いたエクソソームの分析は、一例として次のようにして行うことができる。まず、検出対象のエクソソームを精製する。次に、エクソソームと特異的結合物質とを接触させる。ここで、特異的結合物質とは、エクソソームの表面に存在する分子に特異的に結合することができる物質を意味し、詳細は後述する。次に、細胞外小胞体分析チップを用いて、エクソソームのゼータ電位を計測し、分析を行う。本分析は、エクソソームに限らず、広く細胞外小胞体一般の分析にも適用できる。
(特異的結合物質)
 特異的結合物質としては、例えば、抗体、改変抗体、アプタマー、リガンド分子等が挙げられる。抗体としては、IgG、IgA、IgD、IgE、IgM等が挙げられる。IgGとしては、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4等が挙げられる。IgAとしては、IgA1、IgA2等が挙げられる。IgMとしては、IgM1、IgM2等が挙げられる。改変抗体としては、Fab、F(ab’)、scFv等が挙げられる。アプタマーとしては、ペプチドアプタマー、核酸アプタマー等が挙げられる。リガンド分子としては、エクソソームの表面に存在する検出対象分子が、レセプタータンパク質である場合の、当該レセプタータンパク質のリガンド等が挙げられる。例えば、エクソソームの表面に存在する分子がインターロイキンである場合、リガンド分子としてはGタンパク質等が挙げられる。
 また、特異的結合物質は、標識物質で標識されていてもよい。標識物質としては、例えば、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラビジン、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、グルタチオン、蛍光色素、ポリエチレングリコール、メリト酸等の電荷分子等が挙げられる。
(エクソソームの精製)
 本分析の各工程について説明する。まず、エクソソームを含有する試料から該エクソソームを精製する。試料としては、目的に応じて、血液、尿、母乳、気管支肺胞洗浄液、羊水、悪性滲出液、唾液、細胞培養液等が挙げられる。中でも、血液及び尿からは、エクソソームを精製しやすい。
 エクソソームを精製する方法としては、超遠心分離、限外ろ過、連続フロー電気泳動、クロマトグラフィー、μ-TAS(Micro-Total Analysis Systems)デバイスを使用する方法等が挙げられる。
(エクソソームと特異的結合物質との反応)
 次に、エクソソームと特異的結合物質(抗体、アプタマー等)とを接触させる。特異的結合物質は検出対象の分子と特異的に結合する。エクソソームの表面に検出対象の分子が存在した場合、特異的結合物質がエクソソーム表面の検出対象分子に結合し、特異的結合物質-エクソソーム複合体が形成される。特異的結合物質を適切に特異的に選択することにより、例えば、癌、肥満、糖尿病、神経変性疾患等の疾患に関連する異常を検出することができる。詳細については後述する。
(ゼータ電位の計測)
 一例として、特異的結合物質として抗体を使用した場合について説明する。エクソソームと抗体とを反応させた後、抗体と反応させたエクソソーム(抗体-エクソソーム複合体)のゼータ電位を計測する。ゼータ電位とは、溶液中の微粒子の表面電荷である。エクソソームが負に帯電しているのに対し、抗体は正に帯電している。このため、抗体-エクソソーム複合体のゼータ電位は、エクソソーム単独のゼータ電位と比較して正にシフトしている。したがって、抗体と反応させたエクソソームのゼータ電位を測定することによって、エクソソームの膜表面における抗原の発現を検出することができる。これは、抗体に限らず、正に帯電した特異的結合物質でも同様である。
 エクソソームのゼータ電位ζは、一例として、細胞外小胞体分析チップのマイクロ流路内で、エクソソームの電気泳動を行い、エクソソームの電気泳動速度Sを光学的に測定し、測定されたエクソソームの電気泳動速度Sに基づいて、以下の式(1)に示すスモルコフスキー(Smoluchowski)の式を用いて算出することができる。
 U=(ε/η)ζ …(1)
 式(1)中、Uは測定対象のエクソソームの電気泳動移動度、ε及びηは、それぞれ、サンプル溶液の誘電率及び粘性係数である。また、電気泳動移動度Uは、電気泳動速度Sをマイクロ流路内の電界強度で除して算出することができる。
 エクソソームの電気泳動速度Sは、一例として、エクソソームを、細胞外小胞体分析チップのマイクロ流路内で電気泳動し、一例として、レーザー光を、マイクロ流路内を流れるエクソソームに照射して、レイリー散乱光による粒子画像を取得することにより、測定することができる。レーザー光としては、一例として、波長488nm、強度50mWのものが挙げられる。
[細胞外小胞体分析チップの基本構造]
 図1は、細胞外小胞体分析チップの基本構造を示す斜視図である。図2は、図1のII-II線断面図である。細胞外小胞体分析チップ100は、第1リザーバー110と、第2リザーバー120と、第1リザーバー110と第2リザーバー120とを接続する泳動流路150を備えている。泳動流路150は、例えばマイクロスケールやミリスケールである。一例として、幅200μm、高さ50μm、長さ1000μm程度の大きさである。泳動流路150は、細胞外小胞体、あるいは、前記細胞外小胞体の表面に存在する分子に特異的に結合する特異的結合物質と前記細胞外小胞体とが相互作用してなる、特異的結合物質-細胞外小胞体複合体(一例として、抗体-エクソソーム複合体)を電気泳動するものである。第1リザーバー110及び第2リザーバー120は、それぞれ電極130及び電極140を有している。
 本細胞外小胞体分析チップは、細胞外小胞体のゼータ電位を計測するのに好適である。以下に、エクソソームを分析する場合を例として、本細胞外小胞体分析チップを用いた、エクソソームのゼータ電位の測定方法について説明する。
 まず、分析対象のエクソソームを、第1リザーバー110に導入する。エクソソームは、特異的結合物質と反応させたものであってもよい。次に、エクソソームを泳動流路150に導入する。一例として、シリンジを第2リザーバー120に接続して吸引することにより、エクソソームを泳動流路150に導入することができる。次に、リン酸緩衝液(Phosphate Buffered Saline、PBS)等の緩衝液を、第1リザーバー110及び第2リザーバー120に入れ、液面高を調整する。液面高の調整は、静水圧流の発生を防ぎ、正しいゼータ電位を測定する観点から、行うことが好ましい。続いて、電極130及び140の間に電圧を印加し、エクソソームを電気泳動する。一例として、約50V/cmの電界強度の電圧を約10秒間印加するとよい。
 電気泳動中に、泳動流路150にレーザー光を照射し、出射光であるエクソソーム由来の散乱光を、倍率60倍程度の対物レンズ等を用いて集光し、高感度カメラを用いて、エクソソーム又は特異的結合物質-エクソソーム複合体を撮影する。レーザーの波長及び強度は、一例として、波長488nm、強度50mWである。
 続いて、撮影した画像をもとに、エクソソーム又は特異的結合物質-エクソソーム複合体の電気泳動速度Sを算出する。続いて、電気泳動速度Sを電界強度で除して、電気泳動移動度Uを算出する。続いて、上述したスモルコフスキーの式を用いて、エクソソーム又は特異的結合物質-エクソソーム複合体のゼータ電位を算出する。
 本細胞外小胞体分析チップを用いることにより、特異的結合物質-エクソソーム複合体のゼータ電位の平均値だけでなく、特異的結合物質-エクソソーム複合体のゼータ電位を1粒子レベルで計測することができる。そのため、ゼータ電位の平均値からは、特異的結合物質が認識する分子を有するエクソソームが試料中に存在しないように思われる場合であっても、マイナーポピュレーションとして存在する、該抗原を有するエクソソームを検出することができる。
[細胞外小胞体分析チップの実施形態]
 図3は、一実施態様に係る細胞外小胞体分析チップ300を示す上面図である。図4は、図3のIV-IV線断面図である。本実施形態の細胞外小胞体分析チップ300は、複数の第1リザーバー310と、複数の第2リザーバー320と、第1リザーバー310と第2リザーバー320とをそれぞれ接続し、細胞外小胞体、あるいは、前記細胞外小胞体の表面に存在する分子(例えば、タンパク質、ペプチド、核酸、糖鎖等)に特異的に結合する特異的結合物質(例えば、抗体、アプタマー等)と前記細胞外小胞体とが相互作用してなる、特異的結合物質-細胞外小胞体複合体、が泳動する、複数の泳動流路350と、を備える。
 本実施形態において、細胞外小胞体分析チップ300は、例えば、第1リザーバー310、第2リザーバー320、泳動流路350を、それぞれ同数ずつ備える。複数の泳動流路350は、基板390上に形成されており、略同一平面内に配置されている。
 第1リザーバー310は、壁311及び堀312を備えてもよい。同様に、第2リザーバー320は、壁321及び堀322を備えてもよい。これにより、複数の第1リザーバー310同士の間、又は複数の第2リザーバー320同士の間の距離が狭い場合であっても、リザーバーに導入する液体のコンタミネーションを抑制することができる。したがって、泳動流路350を集積させて、細胞外小胞体分析チップを小型化することができる。細胞外小胞体分析チップ300は、第1リザーバー310及び第2リザーバー320を覆うシール部材380を備えていてもよい。これにより、リザーバーに導入する液体のコンタミネーションを抑制することができる。
 泳動流路350の少なくとも一部の表面は、親水性化処理されていてもよい。親水性化処理の方法としては、一例として、酸素プラズマを照射することが挙げられる。例えば、プラズマクリーナー(商品名、ヤマト科学株式会社製、型番:PDC210)等を使用して酸素プラズマを泳動流路に照射することが挙げられる。
 また、泳動流路350の少なくとも一部の表面は、特異的結合物質の非特異的な吸着を抑制するために、ポリマーでコーティングされていてもよい。ポリマーとしては、ポリエチレングリコール、ポリ(2-メトキシエチルアクリレート)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンポリマー等が挙げられる。
 泳動流路350は、細胞外小胞体又は特異的結合物質-細胞外小胞体複合体のゼータ電位を算出するために、光照射される照射領域370を有してもよい。照射領域370において、レーザー光を照射し、泳動流路350内を泳動する細胞外小胞体あるいは前記特異的結合物質-細胞外小胞体複合体を撮影し、上述したようにしてゼータ電位を算出する。
 第1リザーバー310及び第2リザーバー320は、それぞれ電極330及び電極340を備えてもよい。第1リザーバー310及び第2リザーバー320に電極を挿入して電気泳動することも可能であるが、電極330及び電極340を備えていれば、より簡便で確実に電圧を印加することができる。また、電極が細胞外小胞体分析チップに内蔵されていることにより、ヒトに感染する病原菌やウイルスで汚染されている可能性がある、ヒト由来のサンプルを分析する場合であっても、汚染を抑制することができる。
 図3に示すように、複数の第1リザーバー310は、それぞれ電極330を備えていてもよい。また、複数の第2リザーバー320も、それぞれ電極340を備えていてもよい。
 図5A及び図5Bは、それぞれ電極の配置の異なる細胞外小胞体分析チップ500及び500’を説明する上面図である。図5Aに示す細胞外小胞体分析チップ500のように、複数の第1リザーバー510は、それぞれ電極530を備えており、複数の第2リザーバー520は、第2リザーバー520に共有される、共通の電極540を備えていてもよい。この場合、電極530は正極であり、電極540は負極であってもよい。
 また、図5Bに示す細胞外小胞体分析チップ500’のように、複数の第1リザーバー510’は、それぞれ電極530’を備えており、複数の第2リザーバー520’も、それぞれ電極540’を備えていてもよい。また、図5Bに示すように、電極530’及び電極540’の配線の一端が、細胞外小胞体分析チップ500’の一辺に集中するように配置されていてもよい。
 細胞外小胞体分析チップ300、500及び500’において、泳動流路350、550及び550’は、それぞれ流路長が等しくてもよい。また、複数の泳動流路350、550及び550’は、それぞれ互いに略平行に配置されていてもよい。
 細胞外小胞体分析チップは、一例として、樹脂製の鋳型に、未重合のポリジメチルシロキサン(PDMS)等の材料及び重合開始剤を混合したものを流し込み、加熱硬化させ、硬化後に鋳型から引き剥がすことにより作製することができる。細胞外小胞体分析チップは、一例として、リザーバー部分及び泳動流路部分を別々に作製し、これらのパーツを貼りあわせて作製してもよい。また、一例として、スパッタリング加工により電極を作製したガラス板を基板に用い、基板上に上記のPDMS製のパーツを貼りあわせて、細胞外小胞体分析チップを作製してもよい。電極の素材としては、金、白金、カーボン等が挙げられる。
 図16は、一実施態様に係る細胞外小胞体分析チップ1600の断面図である。細胞外小胞体分析チップ1600は、電極コートガラス基板1690の上に、PDMS製のマイクロ流路構造体1655及びリザーバー構造体1625を貼り合せて作製されている。リザーバー構造体の上には、ウェルカバー1685が載せられている。マイクロ流路構造体1655と電極コートガラス基板1690との間に形成された空隙1689が泳動流路を形成している。
 図6は、一実施態様に係る細胞外小胞体分析チップ600を示す上面図である。図7は、図6のVII-VII線断面図である。図8は、図6のVIII-VIII線断面図である。本実施形態の細胞外小胞体分析チップ600は、複数の第1リザーバー610と、複数の第2リザーバー620と、複数の泳動流路650と、を備え、更に、検体導入口605と、検体導入口605と複数の第1リザーバー610とをそれぞれ接続する、複数の検体導入流路615と、を備える。複数の検体導入流路615は、それぞれ等しい流路長を有していてもよい。また、例えば、検体導入流路615の幅又は高さは、泳動流路650よりも大きい。細胞外小胞体分析チップ600は、第1リザーバー610、第2リザーバー620及び検体導入口605を覆うシール部材680を備えていてもよい。これにより、検体導入口に導入する液体のコンタミネーションを抑制することができる。
 図6に示すように、複数の第1リザーバー610は、それぞれ電極630を備えていてもよい。また、複数の第2リザーバー620も、それぞれ電極640を備えていてもよい。なお、図6では、電極の配線を図示していないが、上述した細胞外小胞体分析チップ300、500、500’の電極に例示されるような配置の配線を有していてもよい。
 細胞外小胞体分析チップ600では、検体導入口605に検体を導入することにより、導入された検体が、複数の検体導入流路615内を流れて複数の第1リザーバー610に分配されて導入され、複数の泳動流路650を用いた電気泳動を行うことができる。このため、複数の第1リザーバー610にそれぞれ検体を導入する場合と比較して、操作の工数を減らし、分析に要する労力や時間を軽減させることができる。また、操作の工数が減少することにより、検体による汚染の可能性を減少させることができる。検体としては、上述したエクソソームを用いることができる。エクソソームは特異的結合物質と反応したものであってもよい。
 図9は、一実施態様に係る細胞外小胞体分析チップ900を示す上面図である。本実施形態の細胞外小胞体分析チップ900は、複数の第1リザーバー910と、複数の第2リザーバー920と、複数の泳動流路950と、を備える。泳動流路950は、細胞外小胞体又は特異的結合物質-細胞外小胞体複合体のゼータ電位を算出するために、光照射される照射領域970を有しており、複数の泳動流路950の全てが照射領域970内を通過するように配置されている。
 細胞外小胞体分析チップ900では、複数の泳動流路について共通の照射領域970を有する。そのため、複数の泳動流路950内を泳動する細胞外小胞体又は特異的結合物質-細胞外小胞体複合体を、一度に光照射して撮影することができるため、分析に要する労力や時間を軽減させることができる。
 このように、細胞外小胞体分析チップの照射領域は、少なくとも2つの泳動流路において共通であってもよい(共有されていてもよい)。一例として、細胞外小胞体分析チップ900に例示されるように、少なくとも2つの泳動流路が、互いに近接するように配置された部分を備え、共通の照射領域を有していてもよい。
 図9に示すように、複数の第1リザーバー910は、それぞれ電極930を備えていてもよい。また、複数の第2リザーバー920も、それぞれ電極940を備えていてもよい。
 図10は、一実施態様に係る細胞外小胞体分析チップ1000を示す上面図である。本実施形態の細胞外小胞体分析チップ1000は、複数の第1リザーバー1010と、複数の第2リザーバー1020と、複数の泳動流路1050と、を備え、更に、検体導入口1005と、検体導入口1005と第1リザーバー1010とをそれぞれ接続する、複数の検体導入流路1015と、を備える。また、泳動流路1050は、細胞外小胞体又は特異的結合物質-細胞外小胞体複合体のゼータ電位を算出するために、光照射される照射領域1070を有しており、複数の泳動流路1050の全てが照射領域1070内を通過するように配置されている。複数の検体導入流路1015は、それぞれ等しい流路長を有していてもよい。また、検体導入流路1015の幅又は高さは、泳動流路1050よりも大きくてもよい。
 図10に示すように、複数の第1リザーバー1010は、それぞれ電極1030を備えていてもよい。また、複数の第2リザーバー1020も、それぞれ電極1040を備えていてもよい。なお、図10では、電極の配線を図示していないが、上述した細胞外小胞体分析チップ300、500、500’、900の電極に例示されるような配置の配線を有していてもよい。
 細胞外小胞体分析チップ1000では、検体導入口1005に検体を導入することにより、導入された検体が、複数の検体導入流路1015内を流れて複数の第1リザーバー1010に分配されて導入され、複数の泳動流路1050を用いた電気泳動を行うことができる。このため、複数の第1リザーバー1010にそれぞれ検体を導入する場合と比較して、操作の工数を減らし、分析に要する労力や時間を軽減させることができる。また、操作の工数が減少することにより、検体による汚染の可能性を減少させることができる。
 さらに、細胞外小胞体分析チップ1000では、複数の泳動流路950内を泳動する細胞外小胞体又は特異的結合物質-細胞外小胞体複合体を、一度に光照射して撮影することができるため、分析に要する労力や時間を軽減させることができる。
 図11は、一実施態様に係る細胞外小胞体分析チップ1100を示す上面図である。図12は、図11のXII-XII線断面図である。本実施形態の細胞外小胞体分析チップ1100は、複数の第1リザーバー1110と、複数の第2リザーバー1120と、複数の泳動流路1150と、を備える。細胞外小胞体分析チップ1100では、第1リザーバー1110が、同心円上に配置されており、泳動流路1150が、放射状に配置されている。
 細胞外小胞体分析チップ1100は、このような構成を備えることにより、細胞外小胞体分析チップ1100を回転させたときに発生する遠心力を利用して、第1リザーバー1110に導入した検体を、泳動流路1150に導入することができる。これにより、検体の泳動流路1150への導入を自動化することが可能になる。また、検体による汚染の可能性を減少させることができる。検体としては、上述したエクソソームを用いることができる。エクソソームは特異的結合物質と反応したものであってもよい。
 図11に示すように、細胞外小胞体分析チップ1100は、更に、検体導入口1105と、検体導入口1105と第1リザーバー1110とをそれぞれ接続する、複数の検体導入流路1115と、を備えていてもよい。複数の検体導入流路1115は、それぞれ等しい流路長を有していてもよい。また、検体導入流路1115の幅又は高さは、泳動流路1150よりも大きくてもよい。
 細胞外小胞体分析チップ1100では、検体導入口1105に検体を導入することにより、導入された検体が、複数の検体導入流路1115内を流れて複数の第1リザーバー1110に分配されて導入され、複数の泳動流路1150を用いた電気泳動を行うことができる。このため、複数の第1リザーバー1110にそれぞれ検体を導入する場合と比較して、操作の工数を減らし、分析に要する労力や時間を軽減させることができる。また、操作の工数が減少することにより、検体による汚染の可能性を減少させることができる。
 図11に示すように、複数の第1リザーバー1110は、それぞれ電極1130を備えていてもよい。また、複数の第2リザーバー1120も、それぞれ電極1140を備えていてもよい。
 図13は、一実施態様に係る細胞外小胞体分析チップ1300を示す上面図である。細胞外小胞体分析チップ1300は、上述した細胞外小胞体分析チップ1100における、検体導入口1105と、第1リザーバー1110と、検体導入流路1115とが一体化したものに相当する、構造体1325を備える。細胞外小胞体分析チップ1300では、構造体1325は、壁1335によって区切られた扇形である。
 細胞外小胞体分析チップ1300は、複数の構造体1325と、複数の第2リザーバー1320と、複数の構造体1325と複数の第2リザーバー1320とをそれぞれ接続する、複数の泳動流路1350とを備える。細胞外小胞体分析チップ1300では、泳動流路1350が、放射状に配置されている。
 図13に示すように、複数の構造体1325は、電極1330を備えていてもよい。細胞外小胞体分析チップ1300では、1つの電極1330が複数の構造体1325に共有されている。また、複数の第2リザーバー1320は、それぞれ電極1340を備えていてもよい。
 図14A~Eは、一実施態様に係る細胞外小胞体分析チップ1400を使用して、細胞外小胞体のゼータ電位を計測する一連の工程を説明する図である。図14Aに示すように、細胞外小胞体分析チップ1400は、検体導入口、第1リザーバー及び検体導入流路が一体化した複数の構造体1425と、複数の第2リザーバー1420と、複数の構造体1425と複数の第2リザーバー1420とをそれぞれ接続する、複数の泳動流路1450とを備える。細胞外小胞体分析チップ1400では、泳動流路1450が、放射状に配置されている。
 まず、複数の構造体1425に検体を導入する。検体としては、上述したエクソソームを用いることができる。エクソソームは特異的結合物質と反応したものであってもよい。
 続いて、図14Bに示すように、細胞外小胞体分析チップ1400を矢印Wの方向に回転させる。この回転により発生する遠心力により、検体を矢印Vの方向に移動させ、泳動流路1450に導入する。
 次に、図14Cにおいて、複数の構造体1425と複数の第2リザーバー1420にリン酸緩衝液等の緩衝液を入れ、液面高を調整する。
 続いて、図14Dに示すように、細胞外小胞体分析チップ1400を矢印Wの方向に回転させて、泳動流路1450の照射領域1470が所定の位置に来るように調整する。続いて、電極1430と電極1440との間に電圧を印加して電気泳動を行う。電気泳動中に、照射領域1470から光を照射して、泳動流路1450内を泳動する細胞外小胞体を撮影し、上述したようにしてゼータ電位を算出する。
 泳動流路1450のうちの1つにおいて、ゼータ電位の算出が終了したら、図14Eに示すように、細胞外小胞体分析チップ1400を矢印Wの方向に回転させて、次の泳動流路1450の照射領域1470が所定の位置に来るように調整する。続いて、上述したものと同様にして電気泳動及びゼータ電位の算出を行う。以上の操作を繰り返すことにより、細胞外小胞体の分析を行う。
 本実施形態の細胞外小胞体分析チップによれば、検体の泳動流路内への導入を、細胞外小胞体分析チップの回転により行うことができる。このため、検体の泳動流路内への導入工程を自動化することが容易である。
 一実施態様において、細胞外小胞体分析チップは、第1リザーバー、第2リザーバー、検体導入口等の開口部を覆うウェルカバーを備えていてもよい。このようなウェルカバーにより、検体による周囲の汚染又は周囲環境による検体の汚染を防止することができる。
 図20は、一実施態様に係るウェルカバー2085を備える、細胞外小胞体分析チップ2000の断面図である。図20では、細胞外小胞体分析チップ2000の複数の第1リザーバー2010の断面が示されている。ウェルカバー2085は、複数の第1リザーバー2010に対応する突起を備えている。突起の形状は例えば円錐形である。ウェルカバー2085は、上記の突起が第1リザーバー2010にはまるようにかぶせると、位置決めされるように構成されている。
 細胞外小胞体分析チップ2000は、壁2035を備えており、第1リザーバー2010から検体があふれにくくなっている。また、堀2012を備えているため、ウェルカバー2085をかぶせた時に、突起が第1リザーバー2010の内部に挿入されて、検体が第1リザーバー2010からあふれた場合においても、あふれた検体が堀2012に留められ、周囲への汚染が防止される。
 壁2035の上端、すなわちウェルカバー2085と接触する部分には、ウェルカバー2085の突起と密着できるようにテーパーが形成されていてもよい。
 図21Aは、一実施態様に係る細胞外小胞体分析チップ2100を示す図である。細胞外小胞体分析チップ2100は、第1リザーバー2110と、第2リザーバー2120と、泳動流路2150と、電極2130と、電極2140とを備えている。
 図21Bは、一実施態様に係る細胞外小胞体分析チップ2100’を示す図である。細胞外小胞体分析チップ2100’は、細胞外小胞体分析チップ2100が複数積み重ねられた構造を有している。すなわち、細胞外小胞体分析チップ2100’においては、複数の泳動流路2150’が、第1リザーバー2110’又は第2リザーバー2120’の深さ方向(垂直方向)に配置されている。図21Bでは、1本の泳動流路2150’を有する細胞外小胞体分析チップが積み重ねられているが、複数の泳動流路を有する細胞外小胞体分析チップが積み重ねられていてもよい。
 図23は、一実施態様に係る細胞外小胞体分析チップ2300を示す斜視図である。細胞外小胞体分析チップ2300は、基板2390と、第1リザーバー2310と、第2リザーバー2320と、泳動流路2350を備えている。図23に示すように、第1リザーバー2310及び第2リザーバー2320の壁面にはテーパーが形成されている。上述した様々な実施態様に係る細胞外小胞体分析チップにおいても、第1リザーバー及び第2リザーバーの壁面にテーパーが形成されていてもよい。
[特異的結合物質を保持している細胞外小胞体分析チップ]
 細胞外小胞体分析チップは、上記の第1リザーバーの少なくとも1つ、又は上記の第2リザーバーの少なくとも1つが、特異的結合物質を保持していてもよい。あるいは、上記の泳動流路のいずれかが、特異的結合物質を保持していてもよい。あるいは、上記の検体導入流路のいずれかが、特異的結合物質を保持していてもよい。
 このような構成を有することにより、細胞外小胞体分析チップの第1リザーバー又は検体導入口に細胞外小胞体を導入するだけで、細胞外小胞体と特異的結合物質とを接触させ、反応させることができる。
 ここで、複数の泳動流路において、それぞれ異なる特異的結合物質と反応させた細胞外小胞体が電気泳動されるように、特異的結合物質を配置することにより、一度の分析で細胞外小胞体の表面に存在する複数の分子の存在を検出することができる。これにより、細胞外小胞体と特異的結合物質との反応に要する労力や時間を低減させることができる。
 上記の細胞外小胞体はエクソソームであり、上記の特異的結合物質は、該エクソソームの表面に存在するマーカーを認識する物質であってもよい。エクソソームの表面に存在するマーカーとしては、CD9、CD81、Alix等が挙げられる。
 上記の特異的結合物質は、異常細胞特異的又は正常細胞特異的に発現が認められるタンパク質若しくは糖タンパク質を認識する物質であってもよい。
 一例として、正常の乳腺上皮細胞株では、CD10、CD5/6、CAV1、MOESIN、ETS1等のタンパク質が高発現しているのに対し、乳癌細胞株においては、これらのタンパク質の発現が低下している旨の報告がなされている(Charafe-Jauffret E,et.al.,Oncogene(2006) vol.25,pp2273-2284.)。そこで、これらのタンパク質に対する特異的結合物質を使用して、エクソソームの表面に存在する上記のタンパク質を検出することにより、乳癌細胞の存在を検出することができる。
 また、一例として、PSA、PSCA、PSMA等の前立腺癌マーカー;CA15-3、BCA225、HER2等の乳癌マーカー等の疾患マーカーに対する特異的結合物質を用いることにより、前立腺癌、乳癌等の疾患の存在を検出することができる。なお、疾患は癌に限定されず、肥満、糖尿病、神経変性疾患等に関連する特異的結合物質を用いることにより、これらの疾患に関連する異常を検出することができる。
 また、上記の特異的結合物質は、臓器特異的に発現が認められるタンパク質又は糖タンパク質を認識する物質であってもよい。臓器特異的に発現が認められるタンパク質としては、一例として、PSA、PSCA、PSMA等の前立腺癌マーカー;CA15-3、BCA225、HER2等の乳癌マーカー等が例示できる。
 一例として、特異的結合物質は抗体であってもよい。泳動流路でエクソソームを電気泳動した場合、エクソソームは負極側から正極側に向かって移動する。これに対し、一般的な抗体は、正極側から負極側に向かって移動する。したがって、一例として、第1リザーバーに抗体を保持させておき、第2リザーバーにエクソソームを導入し、第1リザーバーに正極を、第2リザーバーに負極を接続して電圧を印加すると、抗体は第1リザーバー側から第2リザーバー側に向かって移動し、エクソソームは第2リザーバー側から第1リザーバー側に向かって移動する。その結果、泳動中にエクソソームと抗体とを接触させることができる。接触したエクソソームと抗体は瞬間的に反応する。このため、抗体とエクソソームとの反応時間が不要となり、分析に要する時間を短縮することができる。これは、抗体に限らず、電気泳動した場合に正極側から負極側に向かって移動する特異的結合物質に適用できる。
 一例として、第1リザーバーにエクソソームを導入し、第2リザーバーに抗体を保持させておき、第1リザーバーに負極を、第2リザーバーに正極を接続して電圧を印加してもよい。この場合、抗体は第2リザーバー側から第1リザーバー側に向かって移動し、エクソソームは第1リザーバー側から第2リザーバー側に向かって移動する。その結果、泳動中にエクソソームと抗体とを接触させることができる。接触したエクソソームと抗体は瞬間的に反応する。このため、抗体とエクソソームとの反応時間が不要となり、分析に要する時間を短縮することができる。これは、抗体に限らず、電気泳動した場合に正極側から負極側に向かって移動する特異的結合物質に適用できる。
 特異的結合物質は、凍結乾燥させて粉末にしたものを、第1リザーバーの内部、第2リザーバーの内部、泳動流路の内部又は検体導入流路の内部に設置することにより保持させてもよい。あるいは、特異的結合物質溶液を、第1リザーバーの内部、第2リザーバーの内部、泳動流路の内部又は検体導入流路の内部に導入し、その場で乾燥させることにより保持させてもよい。
[細胞外小胞体分析方法]
 一実施態様において、本発明は、上記のいずれかの細胞外小胞体分析チップを用いた細胞外小胞体分析方法であって、第1の泳動流路に、前記細胞外小胞体を泳動させ、第1のゼータ電位を計測する工程と、第2の泳動流路に、前記細胞外小胞体の表面に存在する分子に特異的に結合する特異的結合物質と前記細胞外小胞体とが相互作用してなる、特異的結合物質-細胞外小胞体複合体を泳動させ、第2のゼータ電位を計測する工程と、を含むことを特徴とする細胞外小胞体分析方法を提供する。
 本実施形態において、第1の泳動流路中で泳動させる細胞外小胞体は、特異的結合物質と未反応のものである。一方、第2の泳動流路中で泳動させる細胞外小胞体は、特異的結合物質と反応させたものである。ここで、特異的結合物質とは、上述したように、細胞外小胞体の表面に存在する分子に特異的に結合する物質を意味する。また、細胞外小胞体の表面に存在する分子としては、タンパク質、ペプチド、核酸、糖鎖等が挙げられる。第1のゼータ電位と第2のゼータ電位とを比較することにより、細胞外小胞体の表面に検出対象である分子が存在するか否かを分析することができる。
 一実施態様において、本発明は、上記のいずれかの細胞外小胞体分析チップを用いた細胞外小胞体分析方法であって、第1の泳動流路に、第1の特異的結合物質と細胞外小胞体とが結合してなる、第1の特異的結合物質-細胞外小胞体複合体を泳動させて、第1のゼータ電位を計測する工程と、第2の泳動流路に、第2の特異的結合物質と細胞外小胞体とが結合してなる、第2の特異的結合物質-細胞外小胞体複合体を泳動させて、第2のゼータ電位を計測する工程と、を含むことを特徴とする、細胞外小胞体分析方法を提供する。ここで、第1の特異的結合物質及び第2の特異的結合物質は、抗体やアプタマー等の、細胞外小胞体の表面に存在する分子に特異的に結合することができる物質を意味する。
 本実施形態において、第2の特異的結合物質は、第1の特異的結合物質とは異なるものであり、第1の特異的結合物質により特定される細胞外小胞体の性質とは異なる性質を特定できるものであってもよい。一例として、第1の特異的結合物質としてがん特異的に発現するタンパク質と特異的に結合するものを用いた場合、第2の特異的結合物質として臓器特異的に発現するタンパク質をと特異的に結合するものを用いてもよい。
 これにより、細胞外小胞体の分泌源の細胞ががん細胞であるかどうかを特定できるだけではなく、細胞外小胞体の分泌源の細胞が生体内のどの臓器由来であるかを特定できる。
 一実施態様に係る細胞外小胞体分析方法において、細胞外小胞体分析チップの複数の泳動流路内を泳動する細胞外小胞体又は特異的結合物質-細胞外小胞体複合体のゼータ電位の計測は、各泳動流路毎に順次行ってもよいし、複数の泳動流路について一度に(同時に)行ってもよいし、複数の泳動流路について数回に分けて行ってもよい。
 また、複数の流路を使用して、例えば、ネガティブコントロールと第1の特異的結合物質-細胞外小胞体複合体の組み合わせ、ポジティブコントロールと第1の特異的結合物質-細胞外小胞体複合体との組み合わせ、第1の特異的結合物質-細胞外小胞体複合体と第2の特異的結合物質-細胞外小胞体複合体との組み合わせ等の検体を電気泳動し、分析を行ってもよい。
[細胞外小胞体分析装置]
 一実施態様において、本発明は、上記のいずれかの細胞外小胞体分析チップを保持する保持部と、細胞外小胞体、又は特異的結合物質-細胞外小胞体複合体のゼータ電位を計測する計測部と、を備えた、細胞外小胞体分析装置を提供する。ここで、特異的結合物質-細胞外小胞体複合体とは、抗体やアプタマー等の、細胞外小胞体の表面に存在する分子に特異的に結合することができる物質と細胞外小胞体との複合体を意味する。
 上記の計測部は、細胞外小胞体又は特異的結合物質-細胞外小胞体複合体のゼータ電位を算出するために、例えば、細胞外小胞体分析チップの泳動流路の照射領域に、光を照射する光照射部と、細胞外小胞体又は特異的結合物質-細胞外小胞体複合体を光学的に検出する検出部と、検出データから細胞外小胞体又は特異的結合物質-細胞外小胞体複合体の移動度を算出する移動度算出部と、を含む。
 図15は、一実施態様の細胞外小胞体分析装置1500を示す模式図である。細胞外小胞体分析装置1500は、筐体1510と、細胞外小胞体分析チップ導入口1520と、細胞外小胞体分析チップαを保持する保持部1530と信号ケーブル1511と、コンピュータ1513と、オペレーションスクリーン1515とを備える。筐体1510内には、計測部が内蔵されている(図示せず)。上記の計測部は、光照射部と検出部と移動度算出部とを含む(図示せず)。
 本実施形態の細胞外小胞体分析装置1500は次のように動作する。まず、検査対象の細胞外小胞体を導入した、細胞外小胞体分析チップαを、保持部1530にセットする。続いて、保持部1530が矢印βの方向に移動することにより、細胞外小胞体分析チップαが、細胞外小胞体分析装置1500の内部に移動する。
 この過程について、より詳細に説明する。保持部1530は、図17に示すようなチップホルダーを備えている。チップホルダー1700は、ホルダー本体1708と、蝶番1718と、細胞外小胞体分析チップαの電極接点を押さえつける、押え部材1728とを備えている。
 保持部1530のチップホルダー1700に細胞外小胞体分析チップαをセットしてローディング操作を行うと、保持部1530が矢印βの方向に移動する。そして、細胞外小胞体分析チップαは、細胞外小胞体分析装置1500の内部に存在するステージにセットされる。
 図18Aは、細胞外小胞体分析チップαを構成する電極コートガラス基板1800の上面図である。図18Aに示すように、本電極コートガラス基板は、ガラス基板1890上に形成された、複数の電極1830及び複数の電極1840を備えている。細胞外小胞体分析チップαは、例えば、上記電極コートガラス基板1800上に、上述したマイクロ流路構造体を貼り付けることにより作製されている。電極コートガラス基板をマイクロ流路構造体に貼り付けることにより、流路が形成されている。
 図18Bは、細胞外小胞体分析チップαの上面図であり、図18Cは、細胞外小胞体分析チップαの電極1830が存在する部分の断面図である。図18B、図18Cに示すように、細胞外小胞体分析チップαの電極1830及び1840は、一部が露出し、電極接点を形成している。そして、この電極接点の配置は、細胞外小胞体分析装置1500の内部に存在するステージに設けられた電極接点と一致するように構成されている。
 図19A及び図19Bは、細胞外小胞体分析装置1500の内部に存在するステージ部1900を示す図である。ステージ部1900は、ステージ1927と、コネクタ部1907と電極接点1917を備えている。図19Aは、細胞外小胞体分析チップαのローディング前の状態を示す図であり、図19Bは、細胞外小胞体分析チップαのローディング後の状態を示す図である。
 保持部1530のローディング及びイジェクトは、コンピュータ1513からの信号により制御される。コンピュータ1513からの信号により、細胞外小胞体分析装置1500内部から、保持部1530が矢印βと逆の方向に移動し、細胞外小胞体分析チップαをチップホルダー1700にセットすることが可能となる。
 細胞外小胞体分析チップαを保持部1530のチップホルダー1700にセットしてローディングさせると、保持部1530が移動する。その結果、図19Bに示すように、細胞外小胞体分析チップαの電極1930は、コネクタ部1907に備えられた電極接点1917と電気的に接続される。
 細胞外小胞体分析装置1500の内部では、電極への電圧の印加が行われ、細胞外小胞体分析チップα上で細胞外小胞体の電気泳動が行われる。電気泳動中、光照射部から泳動流路に光が照射される。また、検出部により、細胞外小胞体が光学的に検出され、撮影される。また、撮影された画像に基づいて、移動度算出部が電気泳動移動度Uを算出し、細胞外小胞体のゼータ電位を算出する。算出されたゼータ電位等のデータは、例えば、オペレーションスクリーン1515又はコンピュータ1513のディスプレイ上に表示される。オペレーションスクリーン1515は、細胞外小胞体分析チップ上に複数存在する泳動流路の中から、ゼータ電位の測定を行う泳動流路を選択するための画面、印加電圧や印加時間を表示する画面、撮影画像を表示する画面、保持部1530をローディング又はイジェクトさせるための操作画面、分析を開始又は停止させるための画面、分析ステータス(分析進捗状況、エラー状況等)を表示する画面等を表示可能に構成されている。
 細胞外小胞体分析チップαを用いた一連の測定が終わると、コンピュータ1513からの信号により、保持部1530をイジェクトさせ、細胞外小胞体分析チップαを取り出す。ひき続き、別の細胞外小胞体分析チップをセットして測定することも可能である。
 図22は、細胞外小胞体分析装置1500の検出部により撮影された、電気泳動中の細胞外小胞体の画像に基づいて作成された、解析画面の一例を示す模式図である。図22では、複数の細胞外小胞体及び細胞外小胞体が、電気泳動やブラウン運動等により移動した軌跡を、画像処理により可視化した線2201~2205が表示されている。この画像は、細胞外小胞体分析装置1500のオペレーションスクリーン1515又はコンピュータ1513のディスプレイ上に表示させることができる。
[キット]
 一実施態様において、本発明は、複数の第1リザーバーと、前記第1リザーバーと同数の第2リザーバーと、前記第1リザーバーと前記第2リザーバーとをそれぞれ接続する、前記第1リザーバーと同数の泳動流路と、を備え、前記第1リザーバー及び前記第2リザーバーが、それぞれ電極を有し、前記泳動流路が、それぞれ等しい流路長を有し、前記第1リザーバーのいずれか若しくは前記第2リザーバーのいずれか、又は、前記泳動流路のいずれかが、特異的結合物質を保持している、細胞外小胞体分析チップ、を含む、キットを提供する。
 別の実施形態において、本発明は、複数の第1リザーバーと、前記第1リザーバーと同数の第2リザーバーと、前記第1リザーバーと前記第2リザーバーとをそれぞれ接続する、前記第1リザーバーと同数の泳動流路と、検体導入口と、前記検体導入口と前記第1リザーバーとをそれぞれ接続する、前記第1リザーバーと同数の検体導入流路と、を備え、前記第1リザーバー及び前記第2リザーバーが、それぞれ電極を有し、前記泳動流路が、それぞれ等しい流路長を有し、前記第1リザーバーのいずれか若しくは前記第2リザーバーのいずれか、又は、前記泳動流路のいずれか若しくは前記検体導入流路のいずれかが、特異的結合物質を保持している、細胞外小胞体分析チップ、を含む、キットを提供する。
 これらのキットは、更に、緩衝液、シリンジ等を含んでいてもよい。これらのキットは、上述した細胞外小胞体分析方法を実施するのに好適に用いることができる。本キットにより、細胞外小胞体を効率的に分析することができる。
 本発明により、簡便かつ高感度に細胞外小胞体を分析することができる、細胞外小胞体分析チップを提供することができる。また、上記の細胞外小胞体分析チップを用いた細胞外小胞体分析方法、細胞外小胞体分析装置及びキットを提供することができる。
 100,300,500,500’,600,900,1000,1100,1300,1400,1600,2000,2100,2100’,2300,α…細胞外小胞体分析チップ、110,310,510,510’,610,910,1010,1110,2010,2110,2110’,2310…第1リザーバー、120,320,520,520’,620,920,1020,1120,1320,1420,2120,2120’,2320…第2リザーバー、311,321,611,621,1335,2035…壁、312,322,612,622,2012…堀、370,970,1070,1470…照射領域、380,680…シール部材、130,140,330,340,530,540,530’,540’,630,640,930,940,1030,1040,1130,1140,1330,1340,1430,1440,1830,1840,2130,2130’,2140,2140’…電極、150,350,550,550’,650,950,1050,1150,1350,1450,1689,2150,2150’,2350…泳動流路、160,360,660,1860…本体、590,590’,690,1090,1190,1690,1890,2390…基板、1325,1425…構造体、1500…細胞外小胞体分析装置、1510…筐体、1511…信号ケーブル、1513…コンピュータ、1515…オペレーションスクリーン、1520…細胞外小胞体分析チップ導入口、1530…保持部、1655…マイクロ流路構造体、1625…リザーバー構造体、1685,2085…ウェルカバー、1700…チップホルダー、1708…ホルダー本体、1718…蝶番、1728…押え部材、1800…電極コートガラス基板、1900…ステージ部、1927…ステージ、1907…コネクタ部、1917…電極接点、2131’,2141’…配線、2109,2119…電圧制御装置、2201,2202,2203,2204,2205,2206,2207…線(軌跡)、W,V,β…矢印。

Claims (26)

  1.  複数の第1リザーバーと、
     複数の第2リザーバーと、
     前記第1リザーバーと前記第2リザーバーとをそれぞれ接続し、細胞外小胞体、あるいは、前記細胞外小胞体の表面に存在する分子に特異的に結合する特異的結合物質と前記細胞外小胞体とが相互作用してなる、特異的結合物質-細胞外小胞体複合体、が泳動する、複数の泳動流路と、
     を備える、細胞外小胞体分析チップ。
  2.  前記泳動流路は、前記細胞外小胞体あるいは前記特異的結合物質-細胞外小胞体複合体のゼータ電位を算出するために光照射される照射領域を有する、請求項1に記載の細胞外小胞体分析チップ。
  3.  前記照射領域は、少なくとも2つの前記泳動流路において共通であることを特徴とする、請求項2に記載の細胞外小胞体分析チップ。
  4.  前記第1リザーバー及び前記第2リザーバーは、それぞれ電極を備えることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の細胞外小胞体分析チップ。
  5.  前記複数の第1リザーバーはそれぞれ電極を有し、前記複数の第2リザーバーは少なくとも2つの前記第2リザーバーにおいて共通の電極を備えることを特徴とする、請求項4に記載の細胞外小胞体分析チップ。
  6.  前記電極の少なくとも一部が露出した電極接点を備える、請求項4又は5に記載の細胞外小胞体分析チップ。
  7.  前記複数の泳動流路は、それぞれ流路長が等しいことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の細胞外小胞体分析チップ。
  8.  更に、検体導入口と、
     前記検体導入口と前記複数の第1リザーバーとをそれぞれ接続する、複数の検体導入流路と、
     を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の細胞外小胞体分析チップ。
  9.  前記複数の泳動流路が、互いに略平行に配置されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の細胞外小胞体分析チップ。
  10.  少なくとも2つの前記泳動流路が、互いに近接するように配置された部分を備え、共通の前記照射領域を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の細胞外小胞体分析チップ。
  11.  前記第1リザーバーが、同心円上に配置されており、
     前記泳動流路が、放射状に配置されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の細胞外小胞体分析チップ。
  12.  前記検体導入口と、前記第1リザーバーと、前記検体導入流路とが一体化している、請求項11に記載の細胞外小胞体分析チップ。
  13.  前記細胞外小胞体はエクソソームであり、前記特異的結合物質が、該エクソソームの表面に存在するマーカーを認識する物質である、請求項1~12のいずれか一項に記載の細胞外小胞体分析チップ。
  14.  前記特異的結合物質が、異常細胞特異的又は正常細胞特異的に発現が認められるタンパク質若しくは糖タンパク質を認識する物質である、請求項1~13のいずれか一項に記載の細胞外小胞体分析チップ。
  15.  前記特異的結合物質が、臓器特異的に発現が認められるタンパク質又は糖タンパク質を認識する物質である、請求項1~14のいずれか一項に記載の細胞外小胞体分析チップ。
  16.  複数の第1リザーバーは、
     第1の特異的結合物質と細胞外小胞体とが結合した第1の特異的結合物質-細胞外小胞体複合体を含む第1試料を導入する第1試料導入口を含む請求項1~15のいずれか一項に記載の細胞外小胞体分析チップ。
  17.  複数の第1リザーバーは、
     第2の特異的結合物質と細胞外小胞体とが結合した第2の特異的結合物質-細胞外小胞体複合体を含む第2試料を導入する第2試料導入口を含む請求項16に記載の細胞外小胞体分析チップ。
  18.  複数の第1リザーバーは、
     細胞外小胞体を含む第3試料を導入する第3試料導入口を含む請求項17に記載の細胞外小胞体分析チップ。
  19.  複数の第2リザーバーは、
     緩衝液を導入する緩衝液導入口を含む請求項1~18のいずれか一項に記載の細胞外小胞体分析チップ。
  20.  複数の泳動部を備え、
     前記泳動部は、同じ基板上に形成された泳動流路を含み、
     複数の前記泳動流路は同じ基板上に形成され、
     少なくとも一つの前記泳動部は特異的結合物質-細胞外小胞体複合体が泳動する、
    細胞外小胞体分析チップ。
  21.  前記複数の泳動部は、
     前記泳動流路の一方端側に設けられた一方端側リザーバーと、
     前記泳動流路の他方端側に設けられた他方端側リザーバーとを備える、請求項20に記載の細胞外小胞体分析チップ。
  22.  請求項1~21のいずれか一項に記載の細胞外小胞体分析チップを用いた細胞外小胞体分析方法であって、
     第1の前記泳動流路に、前記細胞外小胞体を泳動させ、第1のゼータ電位を計測する工程と、
     第2の前記泳動流路に、前記細胞外小胞体の表面に存在する分子に特異的に結合する特異的結合物質と前記細胞外小胞体とが相互作用してなる、特異的結合物質-細胞外小胞体複合体を泳動させ、第2のゼータ電位を計測する工程と、
     を含むことを特徴とする細胞外小胞体分析方法。
  23.  請求項1~21のいずれか一項に記載の細胞外小胞体分析チップを用いた細胞外小胞体分析方法であって、
     第1の前記泳動流路に、第1の特異的結合物質と細胞外小胞体とが結合してなる、第1の特異的結合物質-細胞外小胞体複合体を泳動させて、第1のゼータ電位を計測する工程と、
     第2の前記泳動流路に、第2の特異的結合物質と細胞外小胞体とが結合してなる、第2の特異的結合物質-細胞外小胞体複合体を泳動させて、第2のゼータ電位を計測する工程と、
     を含むことを特徴とする、細胞外小胞体分析方法。
  24.  請求項1~21のいずれか一項に記載の細胞外小胞体分析チップを保持する保持部と、
     前記細胞外小胞体あるいは前記特異的結合物質-細胞外小胞体複合体のゼータ電位を計測する計測部と、
     を備えた、細胞外小胞体分析装置。
  25.  前記計測部は、
     前記照射領域を照射する光照射部と、
     前記細胞外小胞体あるいは前記特異的結合物質-細胞外小胞体複合体を光学的に検出する検出部と、
     検出データから前記細胞外小胞体あるいは前記特異的結合物質-細胞外小胞体複合体の移動度を算出する移動度算出部と、
     を含む、請求項22に記載の細胞外小胞体分析装置。
  26.  請求項4~21のいずれか一項に記載の細胞外小胞体分析チップを保持する保持部と、
     前記細胞外小胞体あるいは前記特異的結合物質-細胞外小胞体複合体のゼータ電位を計測する計測部と、
     を備え、
     前記保持部は、前記細胞分析チップ上の前記電極に接続する電極接点、を含む、
    細胞外小胞体分析装置。
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