WO2015163191A1 - コア片及びリアクトル - Google Patents

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Abstract

樹脂部との接合性に優れる上に、低損失なコア片及びリアクトルを提供する。 巻線を巻回してなるコイルの内外に配置される磁性コアを構成するコア片であって、前記コイルの磁束に平行すると共に、隣り合うコア片同士を一体に保持する周面樹脂部が接合される周面を備え、前記周面は、その周方向に沿った導通を分断する非導通領域と、前記非導通領域を通過しない複数の溝とを備えるコア片。前記非導通領域及び前記複数の溝は、例えば、レーザ加工によって形成されている。

Description

コア片及びリアクトル
 本発明は、リアクトルなどの磁気部品に備える磁性コアを構成するコア片、ハイブリッド自動車などの車両に搭載される車載用DC-DCコンバータや電力変換装置の構成部品などに利用されるリアクトルに関する。特に、樹脂部との接合性に優れる上に、低損失なコア片及びリアクトルに関する。
 電圧の昇圧動作や降圧動作を行う回路の部品の一つに、リアクトルがある。特許文献1は、ハイブリッド自動車などの車両に載置されるコンバータに利用されるリアクトルとして、巻線を螺旋状に巻回してなるコイルと、複数のコア片を組み合わせて環状に形成される磁性コアとを備えるものを開示している。また、特許文献1は、磁性コアのうち、コイル内に配置される複数のコア片を一体に絶縁被覆層(樹脂層)で覆うことを開示している。
 特許文献2は、リアクトルに用いられるコア片を、絶縁被覆を備える鉄粉(被覆粉末)の圧粉成形体とする場合に、ダイとの摺接面に、鉄粒子が展延してなる導通部をレーザで分断して、高抵抗領域を形成することを開示している。
特開2012-119454号公報 特開2013-131676号公報
 樹脂部との接合性に優れる上に、低損失なコア片及びリアクトルが望まれている。
 リアクトルなどの磁気部品に備えるコイルは、通電時、ジュール熱によって発熱し、非通電時には発熱しない。特に、車載用コンバータに利用されるリアクトルなどのように、通電電流値が大きい場合には、コイルの発熱が大きい。従って、コイル近傍に配置されるコア片やコア片を覆う樹脂層は、コイルに起因するヒートサイクルを受けて熱伸縮する。鉄などの金属を主体とするコア片と、樹脂とでは、熱膨張係数が異なるため、樹脂層がコア片から剥離する恐れがある。樹脂層が剥離することで、樹脂層の機能を十分に発揮できない恐れがある。例えば、樹脂層が剥離した箇所は、コイルとコイル内に配置されるコア片との間の絶縁の弱点となる可能性がある。また、例えば、樹脂層が剥離して複数のコア片の一体化が不十分になると、剥離前後の共振周波数が変化して、剥離前と比較して振動や騒音が大きくなる恐れがある。
 そこで、本発明者らは、コア片と樹脂部との接合性を高めるために、コア片における樹脂部との接合面を凹凸形状にすること、具体的には溝を形成することを検討した。例えば、コイル内に配置されるコア片において、その周面(コイルの内周面に対向する面)に溝を形成することでコア片と樹脂部との接合性を高められて、複数のコア片を強固に一体化できる。しかし、この場合、溝部分が導通することで、コア片の周面の周方向(コイルの内周面の周方向に実質的に同じ)に沿った渦電流が生じて、渦電流による損失が多くなり得るとの知見を得た。
 本発明は、上述の事情を鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、樹脂部との接合性に優れる上に、低損失なコア片を提供することにある。本発明の別の目的は、樹脂部との接合性に優れる上に、低損失なリアクトルを提供することにある。
 本発明の一態様に係るコア片は、巻線を巻回してなるコイルの内外に配置される磁性コアを構成するコア片であって、前記コイルの磁束に平行すると共に、隣り合うコア片同士を一体に保持する周面樹脂部が接合される周面を備え、前記周面は、その周方向に沿った導通を分断する非導通領域と、前記非導通領域を通過しない複数の溝とを備える。
 本発明の一態様に係るリアクトルは、巻線を巻回してなるコイルと、上記本発明の一態様に係るコア片を含む複数のコア片を備える磁性コアと、前記非導通領域及び前記複数の溝を備えるコア片の周面に接合されて、このコア片と隣り合うコア片とを一体に保持する周面樹脂部とを備える。
 上記のコア片は、樹脂部との接合性に優れる上に、低損失である。上記のリアクトルは、樹脂部との接合性に優れる上に、低損失である。
実施形態1のコア片及びこのコア片を備えるリアクトルを示す概略斜視図である。 実施形態1のコア片及びこのコア片を備えるリアクトルを示す分解斜視図である。 周面に非導通領域と突出溝を含む複数の溝とを備える変形例1-1のコア片を説明する説明図である。 周面及び端面に複数の溝を備える変形例1-3のコア片を説明する説明図である。 周面及び端面に複数の溝を備え、かつ周面に複数の非導通領域を備える変形例1-3のコア片を説明する説明図である。
 [本発明の実施の形態の説明]
 最初に、本発明の実施態様を列記して説明する。
 (1) 本発明の一態様に係るコア片は、巻線を巻回してなるコイルの内外に配置される磁性コアを構成するコア片であって、上記コイルの磁束に平行すると共に、隣り合うコア片同士を一体に保持する周面樹脂部が接合される周面を備え、上記周面は、その周方向に沿った導通を分断する非導通領域と、上記非導通領域を通過しない複数の溝とを備える。
 上記のコア片は、複数の溝によってコア片と周面樹脂部との接合強度の向上を図ることができる。かつ、上記のコア片は、リアクトルなどの磁気部品に用いられた場合に、上記溝を有していながらも、非導通領域を備えることで、コア片の周面にその周方向に沿って生じ得る渦電流の低減、抑制を図ることができる。従って、上記のコア片は、樹脂部との接合性に優れる上に、渦電流に起因する損失も低減でき、低損失なリアクトルなどの磁気部品の構築に寄与することができる。
 詳しくは、上記のコア片は、隣り合うコア片を一体に保持する周面樹脂部が接合される周面に複数の溝が設けられているため、このコア片と樹脂との接触面積が、溝が無い場合(特許文献1など)に比較して大きく、コア片と周面樹脂部とを強固に接合できる。従って、上記のコア片は、周面樹脂部による複数のコア片の強固な一体化に寄与することができる。例えば、上記のコア片を備えるリアクトルなどの磁気部品は、隣り合うコア片同士が周面樹脂部によって強固に一体化される。その結果、このリアクトルなどは、樹脂部の剥離に起因する絶縁性能の劣化や、振動・騒音の増大を抑制して、コイルとコア片との間の絶縁性、耐振性にも優れる。
 かつ、上記のコア片がリアクトルなどの磁気部品のコイル内に配置された場合でも、このコア片の周面に備える非導通領域が、この周面の周方向に沿ったループ状の渦電流の発生を抑制できる、即ちコア片に生じ得る渦電流のうち大きな電流の一つを抑制できる。
 ここで、コア片に、金属粒子間に絶縁材が介在する圧粉成形体を利用すると、金属粒子間が絶縁されるため、渦電流を低減できる。しかし、このような圧粉成形体を用いても、溝の形成時に絶縁材が除去されて隣り合う金属粒子同士が導通した状態になり得る。溝部分が導通部分となることで、溝に沿ってコア片に渦電流が流れ得る。溝がコア片の周面に連続したループ状になっていれば、上記ループ状の渦電流が生じ得る。また、コア片の周面がダイとの摺接面であれば、溝の有無に係わらず導通状態であることが多く、上記ループ状の渦電流が生じ得る。上記のコア片では、その周面に設けられた溝が、同じく周面に設けられた非導通領域を通過しておらず、この非導通領域によって上記周面の周方向に分断されている。換言すれば、上記溝はいずれも、上記のコア片の周面にその周方向に沿ってループ状に存在しない。上記のコア片は、その周面の周方向に溝を分断すると共に、ダイとの摺接面における導通をも分断できる非導通領域を備えて、渦電流を低減できる。
 上記絶縁材を備える圧粉成形体が非導通領域を有するには、上記のコア片の周面の一部に適宜な非導通処理(後述するレーザ加工など)を施すことが挙げられる。この処理によって、金属粒子間を渡るように延びていた導通部分が除去される結果、金属粒子の形状が圧粉成形体の表面に表れる。この圧粉成形体における非導通処理が施された領域の表面は、金属粒子の形状に応じた微細な凹凸で構成される。この微細な凹凸は、例えば、深さが数μm程度~10μm程度である。この微細な凹凸に周面樹脂部の構成樹脂が入り込むことによって、上記のコア片における非導通領域と周面樹脂部との接合強度をある程度高められる。即ち、非導通処理によって生じた微細な凹凸を、周面樹脂部との接合性の強化に利用できる。従って、上記のコア片は、複数の溝による周面樹脂部との高い接合性と、非導通領域による渦電流の遮断及び周面樹脂部とのある程度の接合性とを兼備できる。
 (2) 上記のコア片の一例として、上記非導通領域及び上記複数の溝がレーザ加工によって形成されている形態が挙げられる。
 上記形態は、レーザの加工条件を調整することで、非導通領域と溝との双方を容易に形成でき、製造性に優れる。
 (3) 上記のコア片の一例として、金属粒子と上記金属粒子間に介在する絶縁材とを備える圧粉成形体である形態が挙げられる。
 上記形態は、金属粒子間が絶縁材によって絶縁されるため、リアクトルなどの磁気部品に用いられた場合に渦電流を低減できる。かつ、溝の形成時に溝部分の絶縁材が除去され得るものの、非導通領域を有するため、コア片の周方向に沿った渦電流を低減したり、上記ループ状の渦電流を抑制したりできる。
 (4) 上記のコア片の一例として、上記複数の溝のうち一部の溝が上記非導通領域に侵入する一端部を有する突出溝である形態が挙げられる。
 上記形態は、突出溝によって非導通領域における周面樹脂部との接合性を向上でき、コア片と周面樹脂部との接合強度をより高められる。
 (5) 上記のコア片の一例として、更に、上記コイルの磁束に直交すると共に、端面樹脂部が接合される端面を備え、上記端面が複数の溝を備える形態が挙げられる。
 上記形態は、コア片の端面にも複数の溝を備えるため、この端面と端面樹脂部との接合性にも優れる。樹脂は一般に非磁性材であるため、上記形態のコア片をリアクトルなどの磁気部品に用いる場合に端面樹脂部をギャップとして利用することで、ギャップ材の省略によるリアクトルなどの製造性の向上を図ることができる。つまり、上記形態は、リアクトルなどの部品点数を低減して、リアクトルなどの製造性の向上に寄与することができる。上記形態のコア片をリアクトルなどに用いる場合に上記端面に設けられた溝に沿って渦電流が生じ得ることから、上記端面に備える複数の溝は、ループを形成することなく交差した交差溝が好ましい。
 また、上記形態のコア片を含む複数のコア片と周面樹脂部及び端面樹脂部とを備えるリアクトルなどであって、周面樹脂部と端面樹脂部とが連続している場合、具体的には両樹脂部が上記複数のコア片を一体に覆う樹脂モールド部の一部である場合、例えば、複数のコア片の組物における一方の外端面から組物の周面を経て他方の外端面までを樹脂モールド部によって一体化できる。このような樹脂モールド部によって一体化されたコア部品は、複数のコア片の一体性を更に高められて振動や騒音を低減し易いと期待される。また、このコア部品は、樹脂モールド部の形成によって両樹脂部を同時に形成でき、製造工程数を低減できてリアクトルなどの製造性にも優れる。つまり、上記形態は、複数のコア片の一体性をより高められてリアクトルなどの振動や騒音の低減、及びリアクトルなどの製造性の向上に寄与すると期待される。
 (6) 本発明の一態様に係るリアクトルは、巻線を巻回してなるコイルと、上記(1)~(5)のいずれか1つに記載のコア片を含む複数のコア片を備える磁性コアと、上記非導通領域及び上記複数の溝を備えるコア片の周面に接合されて、このコア片と隣り合うコア片とを一体に保持する周面樹脂部とを備える。換言すれば、このリアクトルは、巻線を巻回してなるコイルと、複数のコア片を備える磁性コアと、上記複数のコア片のうち、少なくとも一つのコア片における上記コイルの磁束に平行する周面に接合されて、隣り合うコア片同士を一体に保持する周面樹脂部とを備え、上記周面に、上記周面における周方向に沿った導通を分断する非導通領域と、上記非導通領域を通過しない複数の溝とを備える。
 上記のリアクトルは、周面樹脂部が接合される周面に上述の非導通領域及び複数の溝を備えるコア片を構成要素とするため、このコア片と、その周面に接合された周面樹脂部との接合強度が高く、コア片と周面樹脂部との接合性に優れる。かつ、上記のリアクトルは、非導通領域によって、コア片の周面にその周方向に沿ったループ状の渦電流の発生を抑制でき、低損失である。
 その他、上記のリアクトルは、周面に接合された周面樹脂部によって、コイルとコア片との間の絶縁性の向上、コア片の機械的保護、環境からの保護などを図ることができる。また、上記のリアクトルは、複数のコア片を備えていながらも、周面樹脂部によって一体化されていることで、組立部品点数が少なく、製造性にも優れる。
 [本発明の実施形態の詳細]
 以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るリアクトルを具体的に説明する。図中の同一符号は、同一名称物を示す。
 [実施形態1]
 図1~図5を参照して、実施形態1のコア片31m及びこのコア片31mを備えるリアクトル1を説明する。図1~図5に示すコア片31mに備える溝35A~35C,突出溝358は、分かり易いように誇張して示し、実際の大きさとは異なる場合がある。図1~図5では、分かり易いように非導通領域36にはクロスハッチングを付している。また、図1では、コイル2において一方(手前側)の巻回部2aの一部、及び内側コア部品310のミドル樹脂モールド部310mの一部を切欠いて、コア片31mの周面31sの一部が露出した状態を示す。図2では、一方(手前側)の内側コア部品310のミドル樹脂モールド部310mの一部を切欠いて、コア片31mの周面31sの一部が露出した状態を示す。
 (リアクトル)
 ・全体構成
 リアクトル1は、巻線2wを螺旋状に巻回してなるコイル2と、コイル2の内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コア3とを備える。磁性コア3は、複数の柱状のコア片31m,32mを備え、コイル2内に複数のコア片31m,…が配置される。コア片31mは、コイル2の軸方向に直交に配置される端面31eと、コイル2の軸方向に平行に配置される周面31sとを備える。コイル2が励磁されると、コイル2の磁束がコア片31mの端面31eに直交にするように通過し、周面31s(図2~図5も参照)に平行する。コア片31mの周面31sには、樹脂部(ここではミドル樹脂モールド部310mの一部)が接合される点、複数の溝(ここでは交差溝35A)を備える点、周面31sの周方向に沿った導通を分断する非導通領域36を備える点を特徴の一つとする。以下、より詳細に説明する。
 ・コイル
 コイル2は、図1,図2に示すように1本の連続する巻線2wを螺旋状に巻回して形成された一対の筒状の巻回部2a,2bと、巻線2wの一部から形成されて両巻回部2a,2bを接続する連結部2rとを備える。各巻回部2a,2bは、各軸方向が平行するように並列(横並び)されている。この例では、巻線2wは、平角線の導体(銅など)と、この導体の外周を覆う絶縁被覆(ポリアミドイミドなど)とを備える被覆平角線(いわゆるエナメル線)であり、巻回部2a,2bはエッジワイズコイルである。巻線2wの両端部2e,2eはいずれも、巻回部2a,2bから適宜な方向に引き出されて、その先端の導体部分に端子金具8,8が接続される。コイル2は、端子金具8を介して電源などの外部装置(図示せず)に電気的に接続される。
 ・磁性コア
 磁性コア3は、コイル2(巻回部2a,2b)内に配置される部分と、コイル2が実質的に配置されず、コイル2から突出した部分とを備える。この例の磁性コア3は、磁路を構築する部分が樹脂で覆われたコア部品、具体的には2個の内側コア部品310,310と2個の外側コア部品320,320とを構成要素とする。図2に示すように、内側コア部品310は、磁路を構築するミドル本体部31と、ミドル樹脂モールド部310mとを備える。外側コア部品320は、磁路を構築するサイド本体部32と、サイド樹脂モールド部320mとを備える。磁性コア3は、横並びされた一対の内側コア部品310,310を繋ぐように一対の外側コア部品320,320が組み付けられて、ミドル本体部31,31、サイド本体部32,32が環状に配置され、コイル2を励磁したときに閉磁路を形成する。
 ・・ミドル本体部
 ミドル本体部31は、図2の破線円内に示すように、軟磁性材料によって構成された複数のコア片31m,…と、コア片31mよりも比透磁率が小さい材料(例えば、アルミナなどの非磁性材)からなるギャップ材31gとが交互に積層されて柱状(この例では角部を丸めた直方体状)に形成されている。このミドル本体部31の外形に沿って、その外周全体を覆うようにミドル樹脂モールド部310mが設けられている。樹脂モールド部310mの一部は、ミドル本体部31の周面(ここではコア片31mの周面31sとギャップ材31gの周面とでつくられる面)を覆う周面樹脂部375であり、他部は、ミドル本体部31の一対の外端面(ここでは最外側に位置する2個のコア片31mにおける一方の端面31e)を覆う端面樹脂部372である。周面樹脂部375は、ギャップ材31gを介して積層されたコア片31m,…に渡って設けられており、隣り合うコア片31m,31mを一体に保持する。コア片31m、ギャップ材31gの個数は適宜変更できる。
 端面樹脂部372は平板状の樹脂層であり、ミドル本体部31の外端面をつくるコア片31mと、このコア片31mに隣り合うサイド本体部32のコア片32mとの間に介在されて、ギャップとして機能する。即ち、この例のリアクトル1は、異なる材料から構成された複数のギャップ(ギャップ材31g及び端面樹脂部372)を備える。
 ・・サイド本体部
 サイド本体部32は、軟磁性材料によって構成されたコア片32mである。この例に示すコア片32mは、一対の内側コア部品310,310が接続される内端面32eが平面であり、上面及び下面が内端面32eから外方に向かって断面積が小さくなるドーム状(変形台形状)である。コア片32mのうち、ドーム状の周面は、コイル2の磁束に概ね平行する面であり、内端面32eは、コイル2の磁束に直交する面である。内端面32eのうち、内側コア部品310,310が接続される領域を除いて、サイド本体部32の外形に沿ってサイド本体部32の外周を覆うようにサイド樹脂モールド部320mが設けられている。
 ・・材質
 この例では、コア片31m,32mはいずれも、金属粒子と、金属粒子間に介在する絶縁材とによって実質的に構成される圧粉成形体である。ミドル樹脂モールド部310m,サイド樹脂モールド部320mの構成樹脂は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂である。その他、上記構成樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン10T、ナイロン9T、ナイロン6T、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられる。
 圧粉成形体は、代表的には、鉄や鉄合金(Fe-Si合金、Fe-Ni合金など)といった金属の粉末と、適宜バインダ(樹脂など)や潤滑剤とを含む原料粉末を成形した後、成形に伴う歪みの除去などを目的とした熱処理を施して得られる。金属粉末に絶縁処理を施した被覆粉末や、金属粉末と絶縁材とを混合した混合粉末を原料粉末に用いることで、成形後、金属粒子間に絶縁材が介在する圧粉成形体が得られる。代表的には、圧粉成形体は、金属粒子が絶縁被覆で覆われた被覆粉末から構成される。成形には、一般に、貫通孔を有するダイと、貫通孔に挿入されてダイの内周面を含む成形空間に充填された原料粉末を圧縮する上パンチ及び下パンチとが利用される。圧粉成形体における上パンチ及び下パンチが形成した押圧面は、代表的には、金属粒子間に絶縁材が介在して、電気絶縁性に優れる面である。このような押圧面をコア片31m,32mにおけるコイル2の磁束に直交に配置される面とすると、リアクトル1はコイル2に起因する渦電流を低減できる。
 一方、ダイとの摺接面では、金属粒子が変形して延びて、隣り合う金属粒子同士が接触して導通する。このようなダイとの摺接面を、コイル2内に配置されるコア片31mにおける磁束に平行に配置される面とし、リアクトル1のコイル2が通電されると、コア片31mの周面31sに沿ってループ状に渦電流が生じる。この例では、角部を丸めた直方体状の立体(コア片31m)における四つの平面とこれらの平面間を繋ぐ4つの湾曲面とに亘ってループ状に渦電流が生じる。しかし、ダイとの摺接面を周面31sとした場合でも、更には複数の溝を備える場合でも、コア片31mが後述の非導通領域36を備えることで、リアクトル1は上記ループ状の渦電流を防止できる。
 ・・接合強化領域
 コイル2内に配置されるミドル本体部31を構成する各コア片31mは、その周面31sの一部に、複数の溝を備える。この例では、周面31sをつくる4個の平面及び4個の湾曲面のうち、4個の平面にのみ複数の交差溝35Aを備える。より具体的には3個の平面の全域に複数の溝を備える。残り1個の平面のうちの一部(ここでは中央部分)に非導通領域36を備え、残部(ここでは上記中央部分の両側にある二つの領域)に複数の溝を備える。これらの溝はいずれも、非導通領域36を通過しておらず、非導通領域36に侵入もしていない。
 ・・・溝の形状
 周面31sに備える溝は、種々の形状とすることができる。例えば、直線状(図3の溝350参照)、波線や円弧などの曲線状、円環などの環状が挙げられる。これらの任意の形状の溝は、コア片31mの周面31sの周方向にループ状に連続してループ状の導通部分を形成することなく配置されていればよく、並列して存在する形態、又は放射状に存在する形態、又は(均一的に)分散して存在する形態などが挙げられる。このような形状の溝を複数備えることで、コア片31mと樹脂との接触面積が、溝が無い場合(特許文献1など)に比較して大きく、コア片31mと樹脂部との接合強度を高められる。
 上記に列挙したように複数の溝のそれぞれが重なり合うことなく独立して存在するよりも、複数の溝の一部が重なって存在する方が樹脂部との接合強度をより高められて好ましい。複数の溝の一部が重なってできる複合溝として、例えば、L字状、T字状、V字状、Y字状などのある溝の端部が別の溝から突出しない形状のものや、例えば、X字状などのある溝の端部が別の溝から突出した形状のものが挙げられる。一つの複合溝を構成する各溝は、その形成方向がそれぞれ異なるため、ある溝の形成方向に沿った樹脂部の剥離を別の溝によって防止できる。従って、複合溝を複数備えることで、例えば、直線状の溝が並列している場合と比較して、任意の方向における樹脂部の剥離を抑制でき、接合強度をより高められる。
 上記突出した形状の複合溝をより具体的に説明する。例えば、格子状に交差した溝(例えば、縦間隔が100μm程度、横間隔が100μm程度の格子)が挙げられる。格子状の複合溝は、直線状の溝を連続的に加工すればよく、溝加工性に優れる。又は、例えば、交差溝35Aのように複数の溝がループを形成することなく交差している溝(以下、特定の交差溝と呼ぶことがある)が挙げられる。
 交差溝35Aは、同一長さの2本の直線状の溝が直交した+形状である。溝の交差角度は直交に限らず、適宜変更でき、例えば、図3に示すX形状の交差溝35Bのように鈍角(鋭角)にすることができる。交差する溝の長さ、本数、形状(直線状、曲線状)などは適宜変更できる。例えば、*、≠、Ψ、※、жなど種々の形状とすることができる。また、図4に示す交差溝35Cのように1本の長い溝に複数の短い溝が交差した形状(ここでは、長い直線状の溝に短い直線状の溝が複数直交した形状)などとすることができる。
 コア片31mの周面31sに備える複数の溝の形状は、種々の形状をとり得る。図1などに示すようにその全てが同一形状である他、異なる形状を含むことができる。例えば、後述の図3では、直線状の溝350と、X形状の交差溝35Bとを含む形態を示す。
 図1、図2に示す複数の溝(ここでは交差溝35A)は、所定の間隔をあけて整列配置されており、コア片31mの周面31sにおける所定の領域(ここでは3個の平面と1個の平面の一部)の全体に亘って万遍なく形成されている。具体的には、ある横列をつくる隣り合う交差溝35A,35Aの間に、この横列の上又は下に位置する別の横列をつくる交差溝35Aが位置している。複数の交差溝35Aの配置は、適宜変更でき、図1、図2は例示である。交差溝35Aの個数によっても、その他の配置もとり得る。
 ・・・溝の大きさ
 各溝の深さ、幅、長さは適宜選択できる。溝の幅とは、コア片31mの周面31sを平面視したときに溝の外形をつくる輪郭線のうち、溝の端部をつくる一辺の長さとし、溝の長さとは、上記一辺に連続する他辺とする。複合溝のうち、上記突出しない形状の溝については、溝の長さとは、上記輪郭線のうち、上記溝の端部をつくる一辺から重複部分までの長さとする。上述の特定の交差溝については、溝の長さとは、上記輪郭線のうち、交差角をつくる線の長さとする。各溝の深さが深いほど、又は溝の幅や溝の長さが広いほど、周面樹脂部375との接触面積が多く、周面樹脂部375との接合強度を高められると考えられる。但し、深過ぎたり、幅や長さが大き過ぎたりすると、磁性成分が減少したり、溝加工時間が長くなってコア片31mの生産性の低下、引いてはリアクトル1の生産性の低下を招いたりする。この点から、各溝の深さは、10μm以上200μm以下、更に30μm以上150μm以下が好ましいと考えられる。この例では、各溝の深さは、50μm以上120μm以下である。溝の幅や長さは、溝の形状などによって選択するとよい。
 ・・・溝の占有率
 コア片31mの周面31sを平面視したときに複数の溝の合計面積が周面31sの面積に占める割合(以下、占有率と呼ぶ)は、適宜選択できる。占有率が高いほど、周面31sと周面樹脂部375との接合強度を高められることから、10%以上、15%以上、更に20%以上が好ましいと考えられる。上述の磁気特性と生産性とを考慮すると、占有率は80%以下、70%以下、更に50%以下が好ましいと考えられる。
 図1,図2に示す例では、複数の溝の大きさ(ここでは交差溝35Aの深さ、幅、長さ)がいずれも等しいが、大きさが異なる溝を備えることができる。この場合、同じ形状の溝であって、大きさのみが異なる形態、異なる形状の交差溝であって、大きさも異なる形態のいずれでもよい。
 また、コア片31mの周面31sにおける複数の溝を備える領域は広いほど、周面31sと周面樹脂部375との接合強度を高められて好ましい。この例では、コア片31mの周面31sのうち、非導通領域36及び角部の曲面に溝を備えていないが、非導通領域36を除く全領域に溝を備えたり、後述するように非導通領域36に侵入して溝を備えたりすることができる。
 ・・・溝の形成方法
 溝の形成には、例えば、レーザ光の照射といったレーザ加工を利用できる。照射条件は、溝の大きさが所望の値となるように適宜選択できる。この例ではレーザ加工を利用している。その他の溝の形成方法として、切削工具による切削加工などが挙げられる。ここで、上述の圧粉成形体の一面にレーザ加工などで溝を設けると、金属粒子間に介在する絶縁材が除去され得るため、溝部分は導通し得る。上述のダイとの摺接面に溝を形成する場合、通常、上述のようにこの面は溝加工前から導通しているため、溝加工に起因する渦電流の増大は実質的に生じない。
 ・・非導通領域
 コイル2内に配置されるミドル本体部31を構成する各コア片31mは、その周面31sの他部に、非導通領域36を備える。非導通領域36は、代表的には、交差溝35Aなどの複数の溝が設けられておらず、圧粉成形体自体に含む絶縁材によって金属粒子間を絶縁して、コア片31mの周面31sの周方向に沿ったループ状の導通を分断する領域である。この機能を果たすために、非導通領域36は、コア片31mの長さ方向にその全長に亘って設けられている。なお、コア片31mにおける一方の端面31eから他方の端面31eに向かう方向を長さ方向(図2では磁束に平行する方向)とする。
 ・・・領域の大きさ
 非導通領域36におけるコア片31mの長さ方向に沿った長さは、上述のようにコア片31mの長さ方向の全長とする。非導通領域36におけるコア片31mの周方向に沿った長さ(以下、周方向長さと呼ぶ)は、短くてもよく、適宜選択できる。例えば、上記周方向長さは、コア片31mにおける周面31sの周方向に沿った長さの30%以下、更に20%以下、更には10%以下とすることができる(この例では5%以上15%以下)。この例では、コア片31mの周面31sに非導通領域36を一つのみ備えているが、複数の非導通領域36を備えることができる(後述の図5参照)。また、この例ではコア片31mの周面31sのうち、一つの平面に非導通領域36を一つのみ備えているが、一つの平面に複数の非導通領域36を備えることができる。
 ・・・非導通処理
 非導通領域36の形成には、コア片31mの周面31sの適宜な領域に非導通処理を施すことが挙げられる。非導通処理は、化学的、機械的、電気的、光学的、熱的、及びこれらの複合的な処理などが利用できる。例えば、上述の絶縁材を備える圧粉成形体におけるダイとの摺接面にこれらの処理を施すと、この面の最表及びその近傍の領域を構成する金属粒子が展延した部分(金属粒子の一部)を良好に除去できる。そのため、金属粒子間に絶縁材が介在する状態を表出でき、この絶縁材によって金属粒子間の導通を分断する。また、これらの処理によって、周面31sの表面を深さが数μm~10μm程度の微細な凹凸形状とすることができる。この微細な凹凸によって、周面31sにおける非導通処理が施された領域は、周面樹脂部375との接触面積をある程度増加でき、コア片31mと周面樹脂部375との接合性をある程度高められると期待される。
 非導通処理には、レーザ光の照射といったレーザ加工を利用できる。照射条件は、公知の条件(特許文献2参照)を利用できる。この例ではレーザ加工を利用している。
 その他、非導通処理には、1.塩酸、硫酸などの無機酸を用いた酸処理、2.硝酸ナトリウムなどの溶液を電解液に用いた電解処理、3.ウォータージェットを用いた処理などが挙げられる。コア片31mにおける非導通処理を施さない領域(ここでは平面における複数の溝を備える領域、及び角部の曲面)にはマスキングを適宜施してから、非導通処理を行うとよい。これらの処理も、公知の条件(特許文献2参照)を利用できる。
 (リアクトルの製造方法)
 図2を主に参照して、リアクトル1の製造方法の一例を説明する。
 まず、コア片31mの周面31sの所定の領域にそれぞれ、非導通領域36を形成すると共に、複数の溝(ここでは交差溝35A)を設ける。非導通領域36の形成と溝の形成とはいずれが先でもよい。このコア片31mの端面31eとギャップ材31gとを接着剤(図示せず)などによって接合し、ミドル本体部31を形成する。
 用意したミドル本体部31,31、別途作製したサイド本体部32,32を中子とし、内側コア部品310,310、外側コア部品320,320をインサート成形などの射出成形によって製造する。得られた内側コア部品310をみると、ミドル本体部31に備える隣り合うコア片31m,31mの周面31s,31sに、これらコア片31m,31mを一体に覆うミドル樹脂モールド部310mの一部が接合され、この一部が周面樹脂部375を構成している。また、ミドル本体部31の両端部に位置するコア片31m,31mの各端面(外端面)31e,31eにはそれぞれ、ミドル樹脂モールド部310mの他部が接合され、この他部が端面樹脂部372を構成している。
 そして、内側コア部品310,310、別途作製したコイル2、外側コア部品320,320を組み付けて、環状の磁性コア3を形成すると共に、コイル2を磁性コア3によって支持する。各内側コア部品310,310の端面310e,310eと外側コア部品320の内端面(サイド本体部32の内端面32e)とを接着剤(図示せず)などで接合してもよい。上記の工程により、リアクトル1が得られる。
 (作用効果)
 実施形態1のコア片31mは、その周面31sに複数の溝(ここでは交差溝35A)を備えることで、この周面31sに周面樹脂部375が接合された場合に強固に接合できる。また、このコア片31mは、その周面31sに非導通領域36を備えることで、この周面31sがコイル2の磁束に平行するように配置された場合に、周面31sの周方向に沿ったループ状の渦電流の発生を抑制できる。実施形態1のリアクトル1は、磁性コア3に備える複数のコア片31m,32mのうち、コイル2内に配置されるコア片31mについて、コイル2の磁束に平行する周面31sに複数の溝(ここでは交差溝35A)と非導通領域36とを備える隣り合うコア片31m,31mの組を備える。そのため、リアクトル1は、コア片31mと樹脂部(周面樹脂部375)との強固な接合と、コア片31mの周面31sに生じる渦電流の低減による低損失とを両立できる。
 詳しくは、複数の溝によって、コア片31mの周面31sと、周面31sに接合された周面樹脂部375との接触面積が多いことから、コア片31mと周面樹脂部375との接合強度が高く、接合性に優れる。特に、実施形態1のリアクトル1では、特定の交差溝(交差溝35A)とすることで、任意の方向における周面樹脂部375の剥離を効果的に抑制できて、上記接合強度をより高められる。従って、複数のコア片31mを備えていながらも周面樹脂部375によって強固に一体化されるため、リアクトル1は、樹脂部の剥離に起因する絶縁性の低下、振動・騒音を低減できる。かつ、リアクトル1は、非導通領域36によって、コア片31mの周面31sの周方向に沿ったループ状の渦電流を効果的に抑制できる。
 [変形例1-1]
 実施形態1では、複数の溝が設けられた接合強化領域と非導通領域36とが完全に独立した形態を説明した。図3に示すように、コア片31mの周面31sに備える複数の溝として、一端部が非導通領域36に侵入する突出溝358を含むことができる。即ち、コア片31mの周面31sは、接合強化に利用する溝と非導通領域36とが重複する重複領域38を備えることができる。重複領域38は、代表的には上述の非導通処理が施されて、深さが数μm~10μm程度の微細な凹凸を有すると共に、突出溝358の一端部が存在する。図3に示す例では、X形状の交差溝35Bのうち、非導通領域36の左側の境界近傍に位置するものは、交差する2個の溝の各端部がそれぞれ、重複領域38に侵入した突出溝358となっている。非導通領域36の右側の境界近傍に位置する直線状の溝350は、その一端部のみが重複領域38に侵入した突出溝358となっている。
 コア片31mは、非導通領域36に侵入する突出溝358を有することで、非導通領域36における周面樹脂部375との接合強度を高められる。突出溝358における非導通領域36への突出長さが長いほど、突出溝358の個数が多いほど、接合強度が高められて好ましい。例えば、突出長さは、非導通領域36の周方向長さの5%以上50%以下が挙げられる。コア片31mの周面31sにその周方向に連続するループ状の導通部分が生じなければ、突出溝358の形状などは適宜選択できる。周面31sを上述の圧粉成形体のダイとの摺接面とする場合、突出溝358が非導通領域36を通過すると、突出溝358によって非導通領域36の両側の領域が導通し、その結果上記ループ状の導通部分が生じ得る。そのため、この場合には突出溝358は、非導通領域36を通過しないことが好ましい。
 [変形例1-2]
 実施形態1では、ミドル本体部31に含むコア片31m,…の全てが、複数の溝と非導通領域36とを備える形態を説明した。ミドル本体部31に含む複数のコア片31m,…のうち、一部のコア片が複数の溝と非導通領域36との少なくとも一方を備えていない形態とすることができる。この場合、例えば、複数の溝や非導通領域36などを備えていないコア片の両側に、このコア片を挟むように複数の溝と非導通領域36との双方を備えるコア片31m,31mを備えると、複数の溝を備えるコア片31m,31mが周面樹脂部375を強固に保持できる。そのため、複数のコア片31m,…の一体性をある程度高められると期待される。
 [変形例1-3]
 実施形態1では、コア片31mの周面31sにのみ、溝を備える形態を説明した。図4、図5に示すように、コア片31mは、周面31s及び端面31eの双方に溝を備えることができる。図4では、周面31sに交差溝35C、端面31eに交差溝35Aを備える場合を示す。図5では、周面31s及び端面31eに交差溝35Aを備える場合を示す。
 コア片31mの端面31eに備える溝は、上述の特定の交差溝であることが好ましい。上述のようにコア片31mが上述の絶縁材を備える圧粉成形体であり、上述押圧面を端面31eとした場合、即ち溝加工前は絶縁材が十分に存在して金属粒子同士が絶縁された状態であっても、溝加工によって溝部分が導通し得る。そのため、環状の溝や上述の格子状の複合溝などをコイル2の磁束に直交する面(ここでは端面31e)に備えると、溝のループ部分に沿って渦電流が生じ得る。しかし、ループを有さない特定の交差溝35Aなどでは、交差する各溝がループをつくらず途切れているため、特定の交差溝35Aなどを備える端面31eがコイル2の磁束に直交するようにコア片31mが配置された場合、溝に沿ったループ状の渦電流が流れない。そのため、上記押圧面をコイル2の磁束に直交する面とし、この面(ここでは端面31e)に交差溝35Aなどを備えることで、コイル2の励磁時、端面31eにコイル2の磁束が通過しても、交差溝35Aなどに沿ってループ状に渦電流が流れることを防止でき、低損失なリアクトルとすることができる。
 コア片31mの端面31eにも複数の溝を備えることで、実施形態1に示すように一方の端面31eにも樹脂部(ここではミドル樹脂モールド部310mの一部である端面樹脂部372)が接合される場合に、端面31eと樹脂部との接合強度を高められる。特に、コア片31mの端面31eに備える複数の溝が上述の交差溝35Aなどであれば、任意の方向の樹脂部の剥離を抑制し易く、接合性により優れる。
 コア片31mの一方の端面31eにのみ樹脂部が接合される場合には、一方の端面31eにのみ、交差溝35Aなどを備えるとよい。両端面31e,31eに樹脂部が接合される場合には、両端面31e,31eに交差溝35Aなどを備えることが好ましい。例えば、一方の端面31eにミドル樹脂モールド部310mの一部が接合され、他方の端面31eに上述のように接着剤などの樹脂が接合される場合、コア片31mは、その両端面31e,31eに交差溝35Aなどを備えることで、樹脂部(樹脂モールド部310mの一部と接着剤)との接合性に優れる。又は、例えば、ギャップ材31g及び接着剤を省略して、コア片31m,31m間のギャップ、コア片31m,32m間のギャップを全て樹脂モールド部310mの一部によって構成する場合、コア片31mは、その両端面31e,31eに交差溝35Aなどを備えることで、樹脂モールド部310mの一部との接合性に優れる。この場合、例えば、樹脂モールド部310mの形成にあたり、成形型に、周面31sに複数の溝及び非導通領域36を設け、かつ両端面31e,31eに交差溝35Aなどを設けたコア片31mを、所定の間隔をあけて配置して、隣り合うコア片31m,31m間に樹脂が充填されるようにすることで、樹脂ギャップを容易に形成できる。また、この場合、コア片31m,31m間に介在される樹脂部は、上述のギャップに加えて、コア片31m,31m同士を接合する接着剤としても機能する。
 変形例1-3のリアクトルは、非導通領域36によって渦電流を低減できる上に、コイル2内に配置されるコア片31mの周面31sに加えて端面31eにも複数の溝を備えることで、樹脂部との接合性により優れて、樹脂部の剥離を良好に防止できる。その結果、このリアクトルは、樹脂部の剥離に起因する絶縁性の低下、振動・騒音をより低減できると期待される。特に、このリアクトルは、周面樹脂部375と端面樹脂部372とが一つのミドル樹脂モールド部310mによって構成されて複数のコア片31mを保持することから、これらコア片31mの一体化をより強固にし易い。そのため、このリアクトルは、複数のコア片31mを備えていながらも樹脂モールド部310mによって各コア片31mの任意の面が強固に一体化されており、振動や騒音をより一層低減できると期待できる。その他、両樹脂部375,372を一つの樹脂モールド部310mとする形態は、両樹脂部375,372を同時に形成できて製造性にも優れる。
 [変形例1-4]
 実施形態1では、コイル2内に配置されるコア片31mにのみ複数の溝及び非導通領域36を備える形態を説明した。コイル2が配置されないコア片32mにも複数の溝及び非導通領域36を備えることができる。コア片32mの周面は、概ねコイル2の磁束に平行な面であるから非導通領域36を設けなくてもよく、上述の適宜な形状の溝を設けることで、サイド樹脂モールド部320mとの接合強度を高められる。
 一方、図2に示すコア片32mの内端面32eは、ミドル本体部31のコア片31mの端面31eと同様にコイル2の磁束に直交する面であるため、交差溝35Aなどを備えることができる。この場合、内端面32eと内側コア部品310の端面310eとの接合に上述のように接着剤を用いると、コア片32mにおけるコイル2の磁束に直交する内端面32eと、この内端面32eに接合された接着剤やサイド樹脂モールド部320mの一部といった樹脂部との接合強度を高められる。
 又は、サイド樹脂モールド部320mの被覆領域を変更し、内端面32eを含むコア片32mの外周全体を樹脂モールド部320mによって覆うことができる。この場合、コイル2の磁束に直交する内端面32eに接合された樹脂モールド部320mの一部(内端面32eを覆う平板状の樹脂層)との接合強度を高められる。
 [変形例1-5]
 実施形態1では、磁性コア3が4個のコア部品(内側コア部品310,310,外側コア部品320,320)を備える形態を説明した。その他、一方のミドル本体部31と一方のサイド本体部32とがL状に組み付けられて樹脂モールド部に一体に保持されたL字コア部品を一組備える形態、2個のミドル本体部31,31と一方のサイド本体部32とがU状に組み付けられて樹脂モールド部に一体に保持されたU字コア部品と、1個の外側コア部品とを備える形態などとすることができる。
 [実施形態2]
 実施形態1は、磁性コア3が樹脂モールド部310m,320mを備えており、コア片31m,32mの周面が樹脂モールド部310m,320mの一部によって覆われた形態を説明した。その他、樹脂モールド部310m,320mを省略し、コイル2と磁性コア3との組物を収納するケース(図示せず)と、ケース内に充填されて組物の外周を覆う封止樹脂(図示せず)とを備えることができる。この場合、封止樹脂の一部が周面樹脂部や端面樹脂部、コア片32mを覆う樹脂部となる。封止樹脂は、エポキシ樹脂やウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂などが利用できる。
 実施形態2のリアクトルにおいても、ミドル本体部31のコア片31mの周面31sに複数の溝と非導通領域36とを備えることで、封止樹脂との接合強度の向上と、渦電流に起因する損失の低減とを図ることができる。更に、実施形態2のリアクトルにおいても、変形例1-4で説明したようにサイド本体部32のコア片32mにも複数の溝(好ましくは上述の特定の交差溝)を備えることで、封止樹脂との接合強度を向上できる。
 (その他の構成など)
 図1に示すリアクトル1では、ミドル樹脂モールド部310mやサイド樹脂モールド部320mで構成される以下の係合部、取付部325、仕切り部を備える。係合部、取付部325、及び仕切り部の少なくとも一つを省略できる。
 ・内側コア部品310と外側コア部品320との係合部
 この例では、ミドル樹脂モールド部310mは、ミドル本体部31の周面31sを覆う部分のうち、端面310e近傍に厚さが薄い領域を備える。サイド樹脂モールド部320mは、外側コア部品320の内端面から突出して設けられた2個の筒部を備える。上記薄い領域と筒部とが係合部として機能する。
 ・設置対象にリアクトル1を取り付ける取付部325(図1,図2)
 この例では、サイド樹脂モールド部320mは、外方に突出する突片を有する。突片にはボルト孔325hが設けられており、この突片が取付部325に利用される。
 ・巻回部2a,2b間に介在される仕切り部
 この例では、サイド樹脂モールド部320mは、外側コア部品320の内端面から突出し、かつ上記2個の筒部間に設けられた板片を備える。この板片が仕切り部として機能し、両巻回部2a,2b同士の絶縁を確保する。
 その他、上述の実施形態1,2、変形例のリアクトルは、以下の部材を備えることができる。これらの部材の少なくとも一つを省略することもできる。
 ・・センサ
 温度センサ、電流センサ、電圧センサ、磁束センサなどのリアクトル1の物理量を測定するセンサ(図示せず)を備えることができる。
 ・・放熱板
 コイル2の外周面の任意の箇所に放熱板(図示せず)を備えることができる。例えば、コイル2の設置面(ここでは下面)に放熱板を備えると、コンバーターケースなどの設置対象にコイル2の熱を、放熱板を介して良好に伝えられて放熱性を高められる。放熱板の構成材料は、アルミニウムやその合金といった金属や、アルミナなどの非金属などの熱伝導性に優れるものを利用できる。放熱板をリアクトル1の設置面(ここでは下面)全体に設けてもよい。放熱板は、例えば、後述の接合層によってコイル2と磁性コア3との組物に固定できる。
 ・・接合層
 リアクトル1の設置面(ここでは下面)のうち、少なくともコイル2の設置面(ここでは下面)に接合層(図示せず)を備えることができる。接合層を備えることで、設置対象又は上述の放熱板を備える場合には放熱板にコイル2を強固に固定でき、コイル2の動きの規制、放熱性の向上、設置対象又は上記放熱板への固定の安定性などを図ることができる。接合層の構成材料は、絶縁性樹脂、特にセラミックスフィラーなどを含有して放熱性に優れるもの(例えば、熱伝導率が0.1W/m・K以上、更に1W/m・K以上、特に2W/m・K以上)が好ましい。具体的な樹脂は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂や、PPS樹脂、LCPなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。
 なお、本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。例えば、巻回部が一つのみのコイルを備えるリアクトルとすることができる。例えば、上述の非導通領域及び複数の溝を備えるコア片をリアクトル以外の磁気部品の磁性コアの構成要素に利用できる。
 本発明のコア片は、リアクトル、トランス、モータ、チョークコイルなどの磁気部品の構成要素に好適に利用できる。本発明のリアクトルは、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車などの車両に搭載される車載用コンバータ(代表的にはDC-DCコンバータ)や、空調機のコンバータなどの種々のコンバータ、並びに電力変換装置の構成部品に好適に利用できる。
 1 リアクトル
 2 コイル 2a,2b 巻回部 2r 連結部 2w 巻線 
  2e 端部
 3 磁性コア 310 内側コア部品 320 外側コア部品
  310m ミドル樹脂モールド部 320m サイド樹脂モールド部
  31 ミドル本体部 32 サイド本体部
  31m,32m コア片 31g ギャップ材
  31e,310e 端面 31s 周面 32e 内端面
  35A,35B,35C 交差溝(溝) 350 溝 358 突出溝
  36 非導通領域 38 接合強化領域と非導通領域との重複領域
  375 周面樹脂部 372 端面樹脂部
  325 取付部 325h ボルト孔
 8 端子金具

Claims (6)

  1.  巻線を巻回してなるコイルの内外に配置される磁性コアを構成するコア片であって、
     前記コイルの磁束に平行すると共に、隣り合うコア片同士を一体に保持する周面樹脂部が接合される周面を備え、
     前記周面は、その周方向に沿った導通を分断する非導通領域と、前記非導通領域を通過しない複数の溝とを備えるコア片。
  2.  前記非導通領域及び前記複数の溝は、レーザ加工によって形成されている請求項1に記載のコア片。
  3.  金属粒子と前記金属粒子間に介在する絶縁材とを備える圧粉成形体である請求項1又は請求項2に記載のコア片。
  4.  前記複数の溝のうち一部の溝は、前記非導通領域に侵入する一端部を有する突出溝である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のコア片。
  5.  更に、前記コイルの磁束に直交すると共に、端面樹脂部が接合される端面を備え、
     前記端面は、複数の溝を備える請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のコア片。
  6.  巻線を巻回してなるコイルと、
     請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のコア片を含む複数のコア片を備える磁性コアと、
     前記非導通領域及び前記複数の溝を備えるコア片の周面に接合されて、このコア片と隣り合うコア片とを一体に保持する周面樹脂部とを備えるリアクトル。
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