以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
説明の便宜上、添付図面上に互いに直交するX、Y、Zの3軸を設定した。X軸は車両の前後方向(略水平縦方向)に延びる軸であり、Y軸は車両の左右方向(略水平横方向)に延びる軸であり、Z軸は車両の上下方向(略鉛直方向)に延びる軸である。さらに、X軸を中心とする回転方向をロール方向と称し、Z軸を中心とする回転方向をヨー方向と称する。
図1は、本実施形態における散布装置100を搭載した作業車1の平面図である。図2は、本実施形態における散布装置100を搭載した作業車1の側面図であり、図1の作業車1をY軸方向から見た状態を示す。図3は、作業車1に搭載される散布装置100の斜視図である。
散布装置100は、圃場を走行するトラクタ等の作業車1の前方側に搭載され、作業車1から防除液(農薬)を散布する農業用の装置である。
散布装置100は、作業車1の前方に取り付けられたリンクアーム2と、リンクアーム2を昇降させる昇降シリンダ3と、リンクアーム2によって作業車1に対して昇降可能に支持される昇降台4と、昇降台4に対してロール方向に回動自在に支持されるロール台5と、ロール台5から作業車1の左右方向(Y軸方向)に延びるブーム6と、を備える。
リンクアーム2は、作業車1の左右に一対設けられる上部リンク21と下部リンク22とから構成されるリンク機構である。上部リンク21及び下部リンク22は互いに平行に延び、側面から見た場合に平行四辺形となるように配置される(図2)。
上部リンク21は、基端部がピン23を介して作業車1に対して回動自在に連結され、先端部がピン24を介して昇降台4に回動自在に連結される。下部リンク22は、基端部がピン25を介して作業車1に回動自在に連結され、先端部がピン26を介して昇降台4に回動自在に連結される。
リンクアーム2は、昇降台4を昇降可能に支持するが、これに代えて、作業車1の前部にZ軸方向に延びるガイドレールを設け、このガイドレールによって昇降台4を昇降可能に支持してもよい。
昇降シリンダ3は、作業車1の左右に一対設けられる。各昇降シリンダ3は、作業車1と上部リンク21との間に介装され、作動油の給排に応じて伸縮する。昇降シリンダ3を伸長させると、リンクアーム2が上方に回動し、昇降台4及びブーム6が上昇する。昇降シリンダ3を収縮させると、リンクアーム2が下方に回動し、昇降台4及びブーム6が下降する。
昇降台4は、上部リンク21及び下部リンク22の先端にピン24、26を介して連結され、リンクアーム2の上昇及び下降に応じて上下方向に移動する。
ロール台5は、昇降台4の前方に設けられ、昇降台4に支持軸51を介して回動自在に支持される(図3)。ロール台5は、支持軸51を中心として昇降台4に対してロール方向に回動自在であり、左右のブーム61、62を支持する中央ブームを構成する。支持軸51は、円柱状のピンであるが、これに限らず球面軸受け等を用いてもよい。
ブーム6は、作業車1の右方向に展開可能な右ブーム61と、作業車1の左方向に展開可能な左ブーム62と、を有する。右ブーム61及び左ブーム62は、それぞれロール台5に片持ち支持される。すなわち、右ブーム61及び左ブーム62はそれぞれ、基端部が回動軸を中心としてヨー方向に回動可能にロール台5に片持ち支持され、先端部が自由端となる。なお、回動軸については後述する。
右ブーム61は、基端部を有する基端側フレーム61Aと、基端側フレーム61Aの先端側に伸縮可能に支持され先端部を有する先端側フレーム61Bと、を有する。左ブーム62は、基端部を有する基端側フレーム62Aと、基端側フレーム62Aの先端側に伸縮可能に支持され先端部を有する先端側フレーム62Bと、を有する(図1)。
ブーム6には、防除液を散布するノズル(図示せず)が取り付けられる。散布装置100の作業時には、作業車1が圃場を走行しながら散布装置100のブーム6のノズルから防除液が散布される。
右ブーム61及び左ブーム62は、図1に示す展開状態にあるとき、作業車1の左右水平方向に延在する。この展開状態にある場合を、ブーム6が作業位置にあると称する。ブーム6の格納時には、先端側フレーム61B、62Bを基端側フレーム61A、62A側に摺動させてブーム6を収縮させ、その後、回動軸を中心としてブーム6を後方に回動させる。これにより、ブーム6は作業車1の側方に沿って前後方向に延在するように折り畳まれる。
散布装置100はさらに、昇降台4とロール台5との間に設けられブーム6のロール方向の振動を抑制するブーム制振装置7を備える。
図4は、本実施形態におけるブーム制振装置7の構成図である。なお、以下の説明において、作業車1を運転者から見てX軸を中心とする右回転方向を右ロール方向と称し、左回転方向を左ロール方向と称する。
ブーム制振装置7は、ブーム6が左右ロール方向に回動するのに連動して伸縮する1本の油圧シリンダ71を備える。
流体圧シリンダとしての油圧シリンダ71は、作動油が封入されるシリンダチューブ72と、シリンダチューブ72内に摺動自在に挿入されたピストン73の両端に連結されるピストンロッド74と、を有する。シリンダチューブ72内は、ピストン73によって上方に配置される一方室としての第1室75と下方に配置される他方室としての第2室76とに区画される。
なお、油圧シリンダ71は、作動流体として作動油を用いるが、作動油の代わりに例えば水溶性代替液等の作動液を用いてもよいし、ガスを用いてもよい。
シリンダチューブ72は、昇降台4に回動自在に連結される。ピストンロッド74の下端部は、ロール台5に回動自在に連結される。すなわち、シリンダチューブ72が昇降台4を介して作業車1に連結され、ピストンロッド74がロール台5を介してブーム6に連結される。これにより、ブーム6がロール方向に回動すると、油圧シリンダ71が伸縮する。
なお、上述した構成に限らず、ピストンロッド74の上端部が昇降台4を介して作業車1に連結され、シリンダチューブ72がロール台5を介してブーム6に連結される構成としてもよい。
ブーム制振装置7はさらに、油圧シリンダ71の第1室75を加圧する第1蓄圧器としての第1アキュムレータ77と、油圧シリンダ71の第2室76を加圧する第2蓄圧器としての第2アキュムレータ78と、第1アキュムレータ77と第1室75とを接続する第1通路79と、第2アキュムレータ78と第2室76とを接続する第2通路80と、第1通路79を通過する作動油の流れに抵抗を付与する第1減衰バルブ81と、第2通路80を通過する作動油の流れに抵抗を付与する第2減衰バルブ82と、を備える。
第1アキュムレータ77は、第1通路79に連通する油室77Aと、油室77Aを加圧する圧縮ガスを蓄える蓄圧室77Bと、を有する。ブーム6がロール方向に回動すると、油圧シリンダ71が伸縮して、作動油が第1通路79を介して第1アキュムレータ77に出入りする。
第2アキュムレータ78は、第2通路80に連通する油室78Aと、油室78Aを加圧する圧縮ガスを蓄える蓄圧室78Bと、を有する。ブーム6がロール方向に回動すると、油圧シリンダ71が伸縮して、作動油が第2通路80を介して第2アキュムレータ78に出入りする。
ブーム6が左ロール方向に回動する油圧シリンダ71の収縮時には、収縮する第1室75の作動油が第1アキュムレータ77に流入するとともに、第2アキュムレータ78の作動油が拡張する第2室76に流入する。
反対に、ブーム6が右ロール方向に回動する油圧シリンダ71の伸長時には、第1アキュムレータ77からの作動油が拡張する第1室75に流入するとともに、収縮する第2室76の作動油が第2アキュムレータ78に流入する。
このように、ブーム6が右ロール方向及び左ロール方向に回動するのに伴って第1アキュムレータ77及び第2アキュムレータ78に同量の作動油が給排される。これにより、第1アキュムレータ77の蓄圧室77Bと第2アキュムレータ78の蓄圧室78Bとの間に圧力差が生じる。ブーム6は、第1アキュムレータ77のガス圧力によって右ロール方向に付勢される付勢力と、第2アキュムレータ78のガス圧力によって左ロール方向に付勢される付勢力と、が釣り合う位置に保持される。
油圧シリンダ71は、ピストンロッド74がシリンダチューブ72の両端から突出する両ロッドタイプである。これにより、油圧シリンダ71が伸縮する場合に、第1通路79を移動する作動油の流量と第2通路80を移動する作動油の流量とが等しくなり、第1アキュムレータ77のガス圧力の変化分と第2アキュムレータ78のガス圧力の変化分とが互いに等しくなる。
第1減衰バルブ81は、油圧シリンダ71の伸縮に伴って第1通路79を通過する作動油に抵抗を付与することで、ブーム6がロール方向に振動することを抑える減衰力を発生する。
第2減衰バルブ82は、油圧シリンダ71の伸縮に伴って第2通路80を通過する作動油に抵抗を付与することで、ブーム6がロール方向に振動することを抑える減衰力を発生する。
つまり、第1減衰バルブ81及び第2減衰バルブ82は、ブーム6がロール方向に振動することを抑えるロールダンパとして機能する。なお、第1減衰バルブ81及び第2減衰バルブ82は、固定絞りであってもよいし、通過する作動油の流速が高まるのに応じて開口面積が増大する可変絞りであってもよい。また、第1減衰バルブ81及び第2減衰バルブ82に代えて、オリフィス等の固定絞りを介装し、その絞り流路面積又は絞り流路長を手動で調整可能な構成としてもよい。
ブーム制振装置7はさらに、第1通路79に介装される遮断器としての第1遮断弁83と、第2通路80に介装される遮断器としての第2遮断弁84と、右ブーム61の展開状態を検出する右ブーム検出器としての右ブームセンサ85と、左ブーム62の展開状態を検出する左ブーム検出器としての左ブームセンサ86と、第1遮断弁83及び第2遮断弁84を制御する制御部としてのコントローラ87と、を備える。
第1遮断弁83は、第1通路79を連通させる連通位置と、第1通路79を遮断する遮断位置と、に切り換え可能な遮断弁である。遮断位置では、第1通路79は完全には閉塞されず、第1アキュムレータ77から第1室75へ向かう作動油の流れのみ許容される。
第2遮断弁84は、第2通路80を連通させる連通位置と、第2通路80を遮断する遮断位置と、に切り換え可能な遮断弁である。遮断位置では、第2アキュムレータ78から第2室76へ向かう作動油の流れのみ許容される。
第1遮断弁83及び第2遮断弁84は、スプリング83A、84Aの付勢力によって遮断位置に保持されており、コントローラ87から供給される駆動信号に基づいてソレノイド83B、84Bが励磁すると連通位置に切り換わる。
第1遮断弁83及び第2遮断弁84は、両者が同一の切換位置になるように連動して切り換え制御される。したがって、第1遮断弁83及び第2遮断弁84が遮断位置に切り換えられた場合には、第1室75及び第2室76の作動油は第1アキュムレータ77及び第2アキュムレータ78のいずれにも流れることができないので、第1通路79が実質的に遮断されるとともに第2通路80が実質的に遮断される。
右ブームセンサ85は、右ブーム61がロール台5の延長線上に配置されるまで展開して作業車1の左右方向に延在する作業位置にあるか否かを検出し、検出結果をコントローラ87に送信する。なお、先端側フレーム61Bを基端側フレーム61A側に摺動させて右ブーム61を収縮させても、右ブーム61が作業車1の左右方向に延在していれば、右ブーム61が作業位置にあると検出される。
左ブームセンサ86は、左ブーム62がロール台5の延長線上に配置されるまで展開して作業車1の左右方向に延在する作業位置にあるか否かを検出し、検出結果をコントローラ87に送信する。なお、先端側フレーム62Bを基端側フレーム62A側に摺動させて左ブーム62を収縮させても、左ブーム62が作業車1の左右方向に延在していれば、左ブーム62が作業位置にあると検出される。
ここで、図5A及び図5Bを参照して左ブームセンサ86の作動について説明する。
図5A及び図5Bは、ロール台5と左ブーム62との連結箇所を拡大して示す拡大図である。
図5Aに示すように、ロール台5の端部には、左ブーム62を回動可能に軸支する前述の回動軸としてのピン63と、ロール台5から前方に延出するロール台側ブラケット52と、一端側が左ブーム62とともにピン63によって軸支される略L字形状のブーム側ブラケット64と、ロール台側ブラケット52とブーム側ブラケット64との間に連結される油圧シリンダ65と、ブーム側ブラケット64の他端側と左ブーム62との間に連結されるスプリング66と、ロール台5のピン63の近傍から前方に延出した左ブームセンサ86と、が設けられる。なお、油圧シリンダ65の伸縮は、運転者のレバー操作等に応じて行われる。
図5Aは、左ブーム62が作業車1の側方に沿って前後方向に延在するように折り畳まれている状態を示す。この状態で油圧シリンダ65を伸長させると、ブーム側ブラケット64がピン63を中心として図5Aにおける時計回りに回動する。これに伴って、左ブーム62がスプリング66を介してブーム側ブラケット64に押されて回動する。
図5Bは、左ブーム62が作業車1の左右水平方向に延在するように展開した状態を示す。油圧シリンダ65の伸長によって左ブーム62が作業位置まで展開すると、ブーム側ブラケット64のピン63より一端側が左ブームセンサ86に接触する。これにより、左ブームセンサ86はON状態となり、検出信号がコントローラ87に送信される。
なお、ブーム側ブラケット64と左ブーム62との間にはスプリング66が介装されるので、左ブーム62が完全に展開した状態で作業中に、左ブーム62が障害物に接触したとしても、スプリング66が収縮することで衝撃を吸収することができる。
油圧シリンダ65が収縮して左ブーム62が折り畳まれ、ブーム側ブラケット64が左ブームセンサ86から離間すると、左ブームセンサ86はOFF状態となり、検出信号がコントローラ87に送信される。
以上、左ブームセンサ86について説明したが、右ブームセンサ85についても同様であるので、その説明を省略する。
図4に戻って、コントローラ87は、右ブームセンサ85及び左ブームセンサ86の検出信号に基づいて第1遮断弁83及び第2遮断弁84を切り換え制御する。コントローラ87は、右ブームセンサ85及び左ブームセンサ86の少なくとも一方がOFF状態である場合、第1遮断弁83及び第2遮断弁84を遮断位置に切り換え、右ブームセンサ85及び左ブームセンサ86の両方がON状態である場合のみ第1遮断弁83及び第2遮断弁84を連通位置に切り換える。
これにより、右ブーム61及び左ブーム62の少なくとも一方を折り畳んだ場合には、第1遮断弁83及び第2遮断弁84が遮断位置に切り換えられるので、油圧シリンダ71の伸縮が規制される。よって、ブーム6の左右重量バランスが崩れた際でもロール台5が回転することが防止されるとともに、ロール台5の回転によるブーム6の破損が防止される。
さらに、右ブーム61及び左ブーム62を両方とも展開した場合には、第1遮断弁83及び第2遮断弁84が連通位置に切り換えられるので、第1減衰バルブ81及び第2減衰バルブ82が第1通路79及び第2通路80における作動油の流れに抵抗を付与することで、ブーム6がロール方向に振動することが抑制される。
ブーム制振装置7はさらに、油圧シリンダ71に対して作動油を給排する作動油給排機構90を備える。作動油給排機構90は、油圧シリンダ71に作動油を給排することによって油圧シリンダ71を伸縮させ、ブーム6が水平方向に保持されるようにブーム6のロール角を調節する。なお、作業車1が傾斜地などで傾いている場合には、作動油給排機構90は、ブーム6が水平ではなく傾斜に沿った所望の角度に保持されるようにブーム6のロール角を調節する。
作動油給排機構90は、油圧シリンダ71の第1室75に連通する給排通路91と、給排通路91に介装されるオペレートチェック弁92と、給排通路91に対する油圧ポンプ93とタンクTとの連通を切り換える方向切換弁94と、を備える。
方向切換弁94には、油圧ポンプ93から吐出される作動油を導く供給通路95と、タンクTに作動油を戻す排出通路96と、オペレートチェック弁92のパイロット圧室に連通するオペレート通路97と、第1室75に連通する給排通路91と、が接続される。また、供給通路95と排出通路96とを接続するリリーフ通路98には、供給通路95の油圧が設定圧を超えた場合に開弁するリリーフ弁99が設けられる。
方向切換弁94は、左ロールポジションAと、右ロールポジションBと、中立ポジションCと、を有し、ブーム6が水平方向又は圃場の傾斜に沿った所望の角度に保持されるようにいずれかのポジションに切り換えられる。
方向切換弁94が左ロールポジションAに切り換えられると、供給通路95とオペレート通路97とが連通されるとともに、給排通路91と排出通路96とが連通される。油圧ポンプ93の吐出圧は、オペレート通路97を介してオペレートチェック弁92にパイロット圧として導かれるので、オペレートチェック弁92が開弁し、第1室75の作動油が給排通路91、排出通路96を通じてタンクTに戻される。これにより、油圧シリンダ71のピストン73が図4における上方に移動し、ブーム6が左ロール方向に回動する。
方向切換弁94が右ロールポジションBに切り換えられると、排出通路96とオペレート通路97とが連通されるとともに、給排通路91と供給通路95とが連通される。油圧ポンプ93から吐出される作動油は、供給通路95と給排通路91とを通じて第1室75に流入する。これにより、油圧シリンダ71のピストン73が図4における下方に移動し、ブーム6が右ロール方向に回動する。
方向切換弁94が中立ポジションCに切り換えられると、供給通路95、排出通路96、オペレート通路97、及び給排通路91それぞれが連通し、作動油がタンクTに戻される。これにより、給排通路91を通じて第1室75に出入りする作動油が遮断されるとともに、オペレートチェック弁92が閉弁する。よって、油圧シリンダ71におけるピストン73の移動が停止し、ブーム6の回動が停止する。
コントローラ87は、運転者の操作指令に基づいて、ブーム6が所望の角度に保持されるように方向切換弁94のソレノイドを駆動する。これにより、ブーム6が左右ロール方向に回動してブーム6のロール角が調整され、作業車1の姿勢変化にかかわらず常にブーム6を所望の角度に保つことができる。なお、作動油給排機構90は、油圧シリンダ71の第1室75に作動油を給排してブーム6をロール方向に回動させる構成に限らず、第2室76に作動油を給排してブーム6をロール方向に回動させる構成であってもよい。
作業車1は作業時に圃場を走行しながら、散布装置100のブーム6のノズルから防除液を散布する。このとき、左右のブーム61、62は、油圧シリンダ71のストロークに応じて第1アキュムレータ77及び第2アキュムレータ78の蓄圧室77B、78Bのガス圧力が釣り合う位置にセンタリングされる。
例えば、作業車1が圃場の凹凸を乗り越えながら走行し、作業車1の姿勢がロール方向に変化する場合、油圧シリンダ71を介してロール台5にブーム6をロール方向に回動させようとする力が働く。このとき、ブーム6は慣性力によりその場にとどまろうとするので、油圧シリンダ71はブーム6の慣性力によって伸縮し、作業車1の傾きを吸収する。
油圧シリンダ71が作業車1の傾きを吸収しきれずに、第1アキュムレータ77及び第2アキュムレータ78の蓄圧室77B、78Bのガス圧力差による力がブーム6の慣性力を超えると、ブーム6がロールする。しかし、第1減衰バルブ81及び第2減衰バルブ82によってロール振動は速やかに減衰される。こうして、油圧シリンダ71が伸縮することにより作業車1からロール台5に働く力の変化が緩和されるため、ブーム6がロール方向に大きく回動することが抑えられ、ブーム6の先端部が圃場等に衝突することが防止される。
また、油圧シリンダ71が伸縮するのに伴って、第1アキュムレータ77及び第2アキュムレータ78に出入りする作動油の流れに対して、第1減衰バルブ81及び第2減衰バルブ82が抵抗を付与するので、ブーム6がロール方向に振動することが抑えられる。これにより、ブーム6のノズルから噴射される防除液を均一に散布することができる。
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
右ブーム61及び左ブーム62の少なくとも一方を折り畳んだ場合、第1通路79が遮断されるとともに第2通路80が遮断されるので、油圧シリンダ71の伸縮作動を停止させることができる。よって、ブーム6の左右の重量バランスが崩れてもブーム6の回動を制止できるので、展開したままのブーム6が降下して地面に接触することを防止することができる。
さらに、右ブームセンサ85及び左ブームセンサ86によって右ブーム61及び左ブーム62の展開状態を検出し、右ブームセンサ85及び左ブームセンサ86の少なくとも一方がOFF状態である場合、第1遮断弁83及び第2遮断弁84を遮断位置に切り換える。これにより、右ブーム61及び左ブーム62の少なくとも一方が作業位置にないことをより確実に検出して、ブーム6の回動を制止することができる。
さらに、右ブームセンサ85は、右ブーム61がロール台5の延長線上に配置される向きに展開した場合、右ブーム61が作業位置にあると検出し、左ブームセンサ86は、左ブーム62がロール台5の延長線上に配置される向きに展開した場合、左ブーム62が作業位置にあると検出する。これにより、右ブーム61及び左ブーム62が作業位置であることをそれぞれ精度よく検出することができるので、不用意にブーム6がロール方向に回動してしまうことをより確実に防止することができる。
さらに、第1遮断弁83及び第2遮断弁84は、第1通路79及び第2通路80を連通させる連通位置と、第1通路79を遮断するとともに第2通路80を遮断する遮断位置と、に切り換え可能な遮断弁であり、コントローラ87は、右ブームセンサ85及び左ブームセンサ86の検出信号に基づいて第1遮断弁83及び第2遮断弁84を切り換え制御する。これにより、運転者の操作によって右ブーム61及び左ブーム62の少なくとも一方が折り畳まれたことによってブーム6の左右の重量バランスが崩れても、自動的にブーム6の回動が制止され、ブーム6の破損を防止することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
例えば、上記実施形態では、電磁式の方向切換弁94を例示したが、運転者のレバー操作に基づいてポジションが切り換わる機械式の方向切換弁を用いてもよい。
さらに、ロールダンパの作動をON/OFFできるスイッチを設け、運転者が当該スイッチをON操作した場合に、第1遮断弁83及び第2遮断弁84を連通位置に切り換えるようにしてもよい。この場合、コントローラ87は、上記スイッチがON操作され、かつ右ブームセンサ85及び左ブームセンサ86の両方がON状態である場合に、第1遮断弁83及び第2遮断弁84を連通位置に切り換えるようにすればよい。
さらに、上記実施形態では、右ブームセンサ85及び左ブームセンサ86として接触センサを例示したが、その他の近接センサ、角度センサ、ストロークセンサ等を用いてもよい。
さらに、上記実施形態では、ブーム側ブラケット64を略L字形状とし、右ブーム61及び左ブーム62が作業車1の左右水平方向に延在するように展開した時、右ブームセンサ85及び左ブームセンサ86に接触するよう配置したが、ブーム側ブラケット64の形状や屈曲角度を変えることで、ブーム側ブラケット64が右ブームセンサ85及び左ブームセンサ86に接触する(ON状態となる)位置を変えることができる。
本願は、2014年2月19日に日本国特許庁に出願された特願2014-29482に基づく優先権を主張し、この出願の全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。