WO2015037357A1 - 工具マガジン装置及び工作機械 - Google Patents

Abstract

　工具マガジン装置（１２）は、環状に形成されて周方向の一部に分離部（１４１）を有するレール（１４）と、レール（１４）と同軸上に配置されて駆動モータ（１６）により回転する保持リング（１５）とを備えている。保持リング（１５）には、保持リング（１５）の軸心方向に開放された複数の保持部（１７１）が設けられている。複数の保持部（１７１）は、保持リング（１５）の周方向に沿って配列されている。工具ポット（１８）は、各保持部（１７１）内に抜き出し可能に保持される。搬送装置（２１）は、保持部（１７１）内の工具ポット（１８）を交換位置へ送り出すと共に、工具ポット（１８）を交換位置から保持部（１７１）へ送り込む。保持リング（１５）の回転に伴い、各工具ポット（１８）に支持されたローラ（２０）は、レール（１４）上を転動する。

Description

工具マガジン装置及び工作機械

　この発明は、複数の工具を収納する工具マガジン装置及びそれを備えた工作機械に関する。

　特許文献１は、この種の工具マガジン装置を開示する。この従来の工具マガジン装置は、マガジン本体と、マガジン本体に支持された複数の工具ポットと、複数の工具ポットの割出し回転を行う割出し円板とを備えている。マガジン本体の下面には、円環状のレールが形成されている。レールの内側面、外側面及び下面には、案内溝がそれぞれ形成されている。各工具ポットは、各案内溝に係合される複数のローラを有している。各工具ポットは、複数のローラを介してレールに吊り下げられると共に、周方向へ移動可能に支持されている。割出し円板は、マガジン本体の下部において回転可能に支持されている。

　この従来の工具マガジン装置では、複数の工具のそれぞれが、工具ポットに装着された状態で、マガジン本体の下部に吊り下げられている。このため、複数の工具は、マガジン本体の外周面に沿って放射状に配列されている。この構成により、工具マガジン装置の高さを低く抑えつつ、工具マガジン装置に収納可能な工具の数を多くすることができる。

　しかしながら、この構成によれば、上述したように、レールの内側面、外側面及び下面のそれぞれに案内溝を形成すると共に、各案内溝に係合される複数のローラを工具ポットに設ける必要がある。また、工具ポットと工具ポットに装着された工具とをレールに吊下げて支持するように、マガジン本体を構成する必要もある。このため、工具マガジン装置の構成が複雑になるという問題があった。

特開平１０－１０９２４３号公報

　この発明の目的は、装置の構成が簡素化されると共に、収納可能な工具の数を多くすることもできる工具マガジン装置、及びその工具マガジン装置を備えた工作機械を提供することにある。

　上記課題を解決するため、本発明の第一の態様によれば、環状に形成され、周方向の一部に分離部を有するレールと、レールと同軸上に配置され、レールの軸心方向に開放された複数の保持部を有し、複数の保持部は周方向に沿って配列されている保持リングと、保持リングをその軸心を中心に回転させるための駆動モータと、保持部内に抜き出し可能に保持され、工具が着脱される工具ポットと、保持部内の工具ポットを交換位置へ送り出すと共に、工具ポットを交換位置から保持部内へ送り込む搬送装置とを備え、保持リングの回転に伴い、工具ポットに支持されたローラがレール上を転動し、搬送装置による工具ポットの移動に際し、工具ポットに支持されたローラがレールの分離部を通るように構成した工具マガジン装置が提供される。

　この構成によれば、工具マガジン装置の高さを低く抑えて、複数の工具を、保持リングの外周面に沿って放射状に配列することができる。また、複数の工具のそれぞれを、１つのローラを介して、レール上に安定的に支持することができる。よって、工具をレールに吊下げて支持する従来構成とは異なり、レールに複数の案内溝を形成する必要がなく、また、工具に複数のローラを設ける必要はない。よって、工具マガジン装置の構成を簡素化することができる。

本発明の一実施形態に係る工具マガジン装置を示す斜視図。 工具マガジン装置を下方から見た斜視図。 工具マガジン装置の部分分解斜視図。 図１の４－４線に沿った断面図。 工具マガジン装置の動作を示す断面図。

　以下、工具マガジン装置及びその装置を備えた工作機械を具体化した一実施形態について図１～図５を参照して説明する。
　図１、図２及び図４に示すように、工作機械は、装置フレーム１１と、装置フレーム１１の上端に設置された工具マガジン装置１２とを備えている。工具マガジン装置１２は、装置フレーム１１上に固定された支持台１３を備えている。支持台１３上には、図示しないステーを介して、円環状をなすレール１４が固定されている。レール１４の上面は水平に配置されている。レール１４の周方向の一部には、所定の開口幅を有する分離部１４１が形成されている。

　図１及び図４に示すように、支持軸１３１は、レール１４の中心位置に配置されると共に、支持台１３の上面に形成されている。支持軸１３１の外周面には、支持リング１５１が回転可能に嵌合されている。支持リング１５１は、レール１４とほぼ同径の保持リング１５を備えている。保持リング１５は、複数の支持アーム１５２を介して、レール１４と同軸上に配置されている。支持軸１３１上には、保持リング１５を回転させるための駆動モータ１６が配置されている。保持リング１５の外周面には、複数の保持板１７が固定されている。複数の保持板１７は、保持リング１５の周方向に沿って配列されている。

　図３に示すように、各保持板１７には、凹状の保持部１７１が形成されている。保持部１７１は、保持リング１５の軸心方向の下方に開放されている。各保持部１７１内には、工具ポット１８が保持されている。工具ポット１８は、保持部１７１内から下側に抜き出し可能である。工具ポット１８の両側面のそれぞれには、係合溝１８１が一つずつ形成されている。係合溝１８１は、保持部１７１の内側縁に係合可能である。

　工具ポット１８の外面には、装着孔１８２が形成されている。工具１９は、装着孔１８２に抜き差し可能である。工具ポット１８の後側面の下端には、１つのローラ２０が回転可能に支持されている。ローラ２０は、レール１４の上面と接触して回転する。これにより、工具ポット１８は、レール１４により保持部１７１内に保持されながら、レール１４の上面に沿って移動することができる。

　図１～図３に示すように、種類や大きさ等の異なる複数の工具１９が、工具ポット１８の装着孔１８２に装着される。複数の工具ポット１８のそれぞれは、対応する保持板１７の保持部１７１に保持される。これにより、複数の工具１９は、保持リング１５の外周面に沿って放射状に配列される。この状態で、駆動モータ１６が駆動して保持リング１５が回転すると、各工具ポット１８のローラ２０がレール１４の上面を転動する。その結果、図４に示すように、所要の工具１９を保持する工具ポット１８が、レール１４の分離部１４１と対応する待機位置Ｐ１に配置される。

　図２～図５に示すように、搬送装置２１は、支持台１３上に設置されている。搬送装置２１は、レール１４の分離部１４１と対応する位置に配置されている。搬送装置２１は、工具１９が装着された工具ポット１８を、待機位置Ｐ１と、待機位置Ｐ１よりも下方に位置する交換位置Ｐ２との間で移動させる。待機位置Ｐ１は、保持リング１５上における保持部１７１内の上端に位置する。

　以下、搬送装置２１の構成について図１～図４を参照して説明する。
　図３及び図４に示すように、ガイド部材２３は、ブラケット２２を介して支持台１３上に固定されている。ガイド部材２３は、レール１４の分離部１４１と対応する位置に配置されている。ガイド部材２３は、内側壁部２３１と外側壁部２３２とを有している。ガイド部材２３は、側面視で略Ｕ字状に形成されている。外側壁部２３２には、凹状のガイド部２３３が形成されている。ガイド部２３３は、待機位置Ｐ１に配置された工具ポット１８を保持する保持部１７１に連通可能である。

　図２～図４に示すように、内側壁部２３１には、昇降部材２４が、レール２５を介して昇降可能に支持されている。昇降部材２４の上端には突起２４１が形成され、昇降部材２４の下端には突起２４２が形成されている。両突起２４１，２４２は、レール１４の分離部１４１内を上下方向に移動可能である。突起２４２の先端には、係合溝２４３が形成されている。レール１４上を移動する工具ポット１８上のローラ２０は、係合溝２４３を通過する。また、待機位置Ｐ１に配置された工具ポット１８のローラ２０は、係合溝２４３に収容される。

　図１、図３及び図４に示すように、昇降用モータ２６は、ブラケット２２上に設置されると共に、ガイド部材２３の内側近傍に配置されている。昇降用モータ２６が駆動すると、昇降用モータ２６の回転運動がボールネジ２７及びナット部材２８により直線運動に変換されて、昇降部材２４に伝達される。これにより昇降部材２４が昇降すると、ローラ２０と係合溝２４３とが係合しているため、工具ポット１８は、工具１９と共に、待機位置Ｐ１である保持部１７１から交換位置Ｐ２へ送り出されたり、交換位置Ｐ２から保持部１７１内へ送り込まれたりする。

　次に、工具マガジン装置１２の作用について図４及び図５を参照して説明する。
　工作機械において、図示しない主軸に装着された工具を別の工具に交換することがある。この場合、駆動モータ１６が駆動して保持リング１５が回転すると、保持リング１５に保持された複数の工具ポット１８のローラ２０がレール１４の上面を転動し、昇降部材２４の係合溝２４３を順次通過する。そして、図４に示すように、所要の工具１９が装着された工具ポット１８が、レール１４の分離部１４１と対応する待機位置Ｐ１に配置される。このため、待機位置Ｐ１に配置される工具ポット１８のローラ２０が、レール１４の分離部１４１に配置されると共に、昇降部材２４の係合溝２４３内に収容される。

　この状態で、搬送装置２１の昇降用モータ２６が駆動すると、昇降用モータ２６の回転運動がボールネジ２７及びナット部材２８により直線運動に変換されて、昇降部材２４に伝達される。これにより昇降部材２４が下降すると、ローラ２０と係合溝２４３とが係合しているため、工具ポット１８は、工具１９と共に、待機位置Ｐ１である保持部１７１から抜き出されて、ガイド部材２３のガイド部２３３に沿って下方に移動し、図５に示す交換位置Ｐ２へ送り出される。そして、図示しない工具交換装置は、交換位置Ｐ２において、工具ポット１８の装着孔１８２から工具１９を抜き取り、主軸に装着する。また、工具交換装置は、主軸から抜き取られた使用済みの工具１９を、交換位置Ｐ２の工具ポット１８の装着孔１８２に装着する。

　その後、昇降用モータ２６が昇降部材２４の下降時とは逆方向に回転すると、昇降部材２４は上昇する。昇降部材２４が上昇すると、ローラ２０と係合溝２４３とが係合しているため、工具ポット１８は、使用済みの工具１９と共に、交換位置Ｐ２からガイド部材２３のガイド部２３３に沿って上方に移動し、待機位置Ｐ１である保持部１７１内へ送り込まれる。

　従って、この実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
　（１）工具マガジン装置１２は、円環状をなすレール１４と、レール１４と同軸上に配置される保持リング１５と、保持リング１５をその軸心を中心に回転させるための駆動モータ１６とを備えている。レール１４の周方向の一部には、分離部１４１が形成されている。保持リング１５の外周面には、複数の保持板１７が固定されている。複数の保持板１７は、保持リング１５の周方向に沿って配列されている。各保持板１７は、保持リング１５の軸心方向の下方に開放された保持部１７１を有している。各保持部１７１内には、工具ポット１８が保持されている。工具ポット１８は、保持部１７１内から下側に抜き出し可能である。搬送装置２１は、保持部１７１内の工具ポット１８を交換位置Ｐ２へ送り出すと共に、工具ポット１８を交換位置Ｐ２から保持部１７１内へ送り込む。各工具ポット１８には、ローラ２０が回転可能に支持されている。保持リング１５の回転に伴い、ローラ２０はレール１４上を転動する。

　この構成によれば、工具マガジン装置１２の高さを低く抑えて、横幅を広げることもなく、複数の工具１９を、保持リング１５の外周面に沿って放射状に配列することができる。更に、複数の工具１９のそれぞれを、１つのローラ２０を介して、レール１４上に安定的に支持することができる。よって、工具をレールに吊下げて支持する従来構成とは異なり、レール１４に複数の案内溝を形成する必要がなく、また、工具に複数のローラ２０を設ける必要もない。よって、工具マガジン装置１２の構成を簡素化することができる。また、工具マガジン装置１２に収納可能な工具１９の数を多くすることもできる。従って、工作機械の上端等において、工具マガジン装置１２をコンパクトに配置することができる。

　（２）レール１４は水平に配置されている。このため、保持リング１５に保持された複数の工具１９を、水平面であるレール１４の上面において均等に支持することができる。従って、工具１９の割出しを円滑に行うことができる。

　（３）工具ポット１８は、ローラ２０を介してレール１４に支持される。このため、工具ポット１８を保持する保持リング１５や保持板１７等の剛性を低くすることができる。従って、工具マガジン装置を軽量化することができる。また、工具ポット１８は、保持板１７に保持されることで、上下方向以外の方向への移動が規制されている。このため、ローラ２０は、主として工具ポット１８の重量を受ければよい。よって、ローラ２０の数が少なくて済み、工具マガジン装置１２の構成を簡素化することができる。

　（４）保持リング１５を回転させるだけで、工具１９の割出しが行なわれる。このため、工具１９の割出しに要する時間が短くなり、工具１９を効率良く交換することができる。

　この実施形態は、次のように変更してもよい。
　・保持板１７を省略する代りに、工具ポット１８を保持するための保持部１７１を、保持リング１５に直接形成してもよい。

　・各工具ポット１８は、複数のローラ２０を有してもよい。

Claims (4)

1. 環状に形成され、周方向の一部に分離部を有するレールと、
   　前記レールと同軸上に配置され、前記レールの軸心方向に開放された複数の保持部を有し、前記複数の保持部は周方向に沿って配列されている保持リングと、
   　前記保持リングをその軸心を中心に回転させるための駆動モータと、
   　前記保持部内に抜き出し可能に保持され、工具が着脱される工具ポットと、
   　前記保持部内の工具ポットを交換位置へ送り出すと共に、前記工具ポットを前記交換位置から前記保持部内へ送り込む搬送装置とを備え、
   　前記保持リングの回転に伴い、前記工具ポットに支持されたローラが前記レール上を転動し、前記搬送装置による前記工具ポットの移動に際し、前記工具ポットに支持されたローラが前記レールの分離部を通るように構成したことを特徴とする工具マガジン装置。
2. 請求項１記載の工具マガジン装置において、
   　前記レールは水平に配置されていることを特徴とする工具マガジン装置。
3. 請求項１又は２記載の工具マガジン装置において、
   　前記保持リングには、複数の保持板が、前記保持リングの周方向に沿って設けられ、
   　前記複数の保持板のそれぞれには、前記保持部が形成されていることを特徴とする工具マガジン装置。
4. 請求項１～３のうちのいずれか一項に記載の工具マガジン装置を備える工作機械であって、
   　前記工具マガジン装置が設置される装置フレームを備え、
   　前記工具マガジン装置は、前記装置フレームの上端に設置されていることを特徴とする工作機械。

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