WO2015029202A1 - 有機発光素子 - Google Patents

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Abstract

 光取り出し効率が高効率であるとともに、ITO表面の平坦性に優れたことを特徴とする有機発光素子を提供する 本発明は、光取り出し効率の向上を図るために、第二の光取り出し層、基板、第一の光取り出し層、平坦化層、第一の電極、有機層、及び第二の電極を順に設けた有機発光素子であって、前記有機層には発光層が含まれ、前記第一の光取り出し層及び前記第二の光取り出し層には散乱微粒子が含まれ、発光層におけるドーパントの発光位置の膜厚方向の中央を示す発光点について、前記第二の電極側から青、緑、赤の順に配置し、前記緑の発光点から前記第二の電極までの長さが145nm~235nmの範囲内とした。

Description

有機発光素子
 本発明は、照明器具、表示装置、液晶バックライト、表示装置などに用いられる有機発光素子に関するものである。
 有機エレクトロルミネセンス素子(以下「有機発光素子」という。)は、薄型表示装置、液晶表示装置の照明装置として期待されている。有機発光表示装置は基板上に画素を構成する複数の有機発光素子と、その有機発光素子を駆動する駆動層からなる。この有機発光素子は反射電極と透明電極の間に複数の有機層が挟まれた構造を有している。複数の有機層としては、少なくとも正孔を輸送する輸送層と、電子を有する輸送層と、正孔と電子が再結合する発光層とを有している。そして、有機発光素子は両電極間に電圧を印加することにより、電極から注入された正孔と電子が発光層で再結合して発光するようになっている。
 この有機発光素子は、屈折率が2弱の発光層で発光した光を屈折率が1の空気層に取り出す必要がある。屈折率の高い層から屈折率の低い層の界面では、界面法線方向に対して深い角度で入射した光が100%反射する臨界角を有する。すなわち、臨界角より深い角度で入射した光は、空気層へ出射されず、有機発光素子の内部に反射されてしまう。一般に、有機発光素子の空気層へ取り出せる光の割合は2割程度であり、8割の光は有機発光素子の内部に留まってしまう。約40%は非発光モード、約20%は薄膜モード(透明電極で減衰する光)、約20%は基板モード(基板で減衰する光)の光である。なお、非発光モードとはエバネッセントモード(表面プラズモン損失)ともいう。これは発光位置が反射電極(金属)に近い領域では、発光する光が金属電極表面とプラズモンカップリングにより、熱失活により損失してしまう現象である。
 この課題に対して、近年、透明性の基板と透明電極の間に光取り出し層を備え、有機発光層で発行した光を光取り出し層および透明電極から透明性の基板を通して取りだす有機EL発光素子が開示されている(例えば特許文献1、2、3、6参照)。また、基板から空気層に光を取り出す際の界面における全反射の低減も課題となっており、全反射を低減する目的で低屈折率層を設ける試みもされている(例えば特許文献4と5参照)。
 特許文献1では光取り出し層は光散乱層と平坦化層を備えている。光散乱層は光散乱粒子とバインダー樹脂からなる光散乱領域と光散乱領域より光散乱粒子の含有比率が低い光透過領域が面方向で混在して形成されている。このような構成を設けることにより、正面取り出し光の低減を抑制しつつ、斜め方向への光取り出しの効率を増大して、高効率で光を取り出すことができることを報告している。しかし、光散乱粒子の含有密度が面方向で異なると、面方向での膜厚の均一性は劣ると考えられる。また、光散乱層表面の凹凸を平滑にするために平坦化層を設置している。しかし、平坦化層を構成する樹脂の屈折率がITOに比べると小さいために平坦化層へ取りだされる光が大きく減少することが懸念される。
 特許文献2でも光取り出し層、透明樹脂と光透過性粒子を含有する平坦化層を具備した有機発光素子について報告しているが、透明樹脂の屈折率が小さいために平坦化層へ取りだされる光が減少することや、光透過性粒子への表面処理もされていないことから粒子の凝集が予想される。
 特許文献3では光取り出し層に含まれる微粒子にシランカップリング処理を施しているが、平坦化層は設けていないために平坦性は十分に得られないと考えられる。
 特許文献4では透明基板側から素子外部側に向けて屈折率が低下するように構成され、多孔質性の反射防止膜の屈折率が連続して変化する単層膜であることを特徴としている。
 しかし、孔径が制御されていないことから十分な光取り出し効率を得ることができない。
 特許文献5では光取り出し層が樹脂層、樹脂層とは異なる屈折率の微粒子、樹脂が白濁するレベルの気泡から構成されているが、微粒子に表面処理はされていない上、多数の気泡を含むことから膜内での界面密着性は劣ると考えられる。
 特許文献6で透明樹脂からなるマトリックスと、扁平なドメインからなる異方性散乱層について報告している。この文献によると、扁平なドメインのアスペクト比(直径/厚さ)が2以上であり、扁平なドメインの主平面と異方性散乱層のなす角が30度以内であると光取り出し効率が向上すると述べている。しかし上記配光性のばらつきがあると表面凹凸の悪化や光取り出し効率の面内ばらつき等が懸念される。
特開2009-76452号公報 特開2006-100042号公報 特開2012-155868号公報 特開2005-339927号公報 特開2009-245786号公報 特開2010-212184号公報
 有機発光素子においては、有機発光素子内や空気界面における全反射を低減して光取り出し効率を向上させることが重要である。特に有機層内で発光した光を陽極(ITO)側から取り出すボトムエミッション型有機発光素子では、ITO表面の平坦性が重要である。
 そこで、本発明者は、光取り出し効率が高効率であるとともに、ITO表面の平坦性に優れたことを特徴とする有機発光素子を提供する。
 本発明は、光取り出し効率の向上を図るために、第二の光取り出し層、基板、第一の光取り出し層、平坦化層、第一の電極、有機層、及び第二の電極を順に設けた有機発光素子であって、前記有機層には発光層が含まれ、前記第一の光取り出し層及び前記第二の光取り出し層には散乱微粒子が含まれ、発光層におけるドーパントの発光位置の膜厚方向の中央を示す発光点について、前記第二の電極側から青、緑、赤の順に配置し、前記緑の発光点から前記第二の電極までの長さが145nm~235nmの範囲内とした。
 本発明によれば、有機発光素子の光取り出し効率の向上とともに、ITO表面の平坦性を改善することが可能となる。
本発明の実施形態の1例を示す有機発光装置の図である。 図1の発光エリア111の詳細を示す。 各発光色の発光位置と外部に取り出す光の量の関係を示す。 発光位置の順番の異なる2つのSampleの光取り出し効率の関係を示す。 平坦化層108の屈折率に対する発光層203で発光した光の取り出し効率の関係性を示したグラフである。
 以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。なお、本発明は、以下の例に限定されるものではない。
 図1は本発明の実施形態の1例を示す有機発光装置の図であり、基板100側から光を取り出すボトムエミッション型の光源装置である。図1では、基板100上に透明電極102,第一のバンク105、第二のバンク106、有機層104、反射電極103、第一の光取り出し層107、平坦化層108、封止基板109、反射層・補助配線110が配置されている。透明電極102を陽極、反射電極103を陰極とした。また、基板100の反対側には第二の光取り出し層101を備えている。図1に図示されていない駆動回路および筐体などが備えられることで光源装置となる。反射電極103は隣接する発光部の透明電極102と反射・補助配線110を介して接続される。これにより、発光部を直列接続することができる。透明電極102の下面に、透明電極102及び有機層104に閉じ込められる光を取出す第一の光取り出し層107、第二の光取り出し層101を備えている。
 図2に図1の発光エリア111の詳細を示す。反射電極103と発光層203の位置を光学的に調整する機能を有する配光制御層206を用いた。
[基板]
 基板100は、絶縁性の材料であれば広い範囲から選択することが可能である。
 具体的には、ガラス、アルミナ焼結体等の無機材料、ポリイミド膜、ポリエステル膜、ポリエチレン膜、ポリフェニルレンスルフィド膜、ポリパラキシレン膜等の各種絶縁性プラスチック等が使用可能である。また、上記絶縁性の材料を表面上に形成すれば、金属材料(例えば、ステンレス、Al、Cu、上記金属が含まれた合金等)でも問題ない。
[透明電極]
 陽極として形成される透明電極102は、有機層104にホールを注入するための電極であり、正孔の注入効率を高める仕事関数の大きな導電膜が望ましい。
 具体的には、金、白金、が挙げられるが、これらの材料に限定されるわけではない。また、陽極として、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化インジウムゲルマニウム等の2元系、或いは酸化インジウムスズ亜鉛等の3元系であってもよい。また、酸化インジウム以外にも酸化スズ、酸化亜鉛等を主成分とした組成であってもよい。また、ITOであれば、酸化インジウムに対して5-10wt%の酸化スズを含む組成が良く用いられる。
 酸化物半導体の製造法は、スパッタ法、EB蒸着法、イオンプレーティング法等が挙げられる。ITO膜、IZO膜の仕事関数は、それぞれ、4.6eV、4.6eVであるが、UVオゾン照射、酸素プラズマ処理、等により、5.2eV程度まで増大させることが可能である。
 ITO膜は、スパッタ法を用い、基板温度を200℃程度まで高めた条件で作製すると多結晶状態になる。この多結晶状態では、結晶粒により、表面平坦性が悪いため、表面を研磨したものが望ましい。他の方法として、アモルファス状態で形成したものを加熱して多結晶状態にしたものが望ましい。
 また、陽極は、前記正孔注入層を設けることにより、仕事関数を大きい材料を用いる必要がなくなり、通常の導電膜でよくなる。具体的には、Al、In、Mo、Ni等の金属や、これら金属を用いた合金や、ポリシリコン、アモルファスシリコン、錫酸化物、酸化インジウム、インジウム・錫酸化物(ITO)等の無機材料が望ましい。
[第一のバンク]
 有機発光素子の側面に形成された第一のバンク105は順テーパとなっており、パターンニングされた透明電極102の端部および一部反射層・補助配線110として設けた金属層(例えばAg)を覆い、発光部の部分的なショート故障を防止する。バンク形成材料を塗布した後、所定のフォトマスクを用いて現像露光することにより、第一のバンク105が形成される。第一のバンク105の有機層が存在する側の表面に撥水性処理を施してもよい。例えば、第一のバンク105の表面にフッ素系ガスのプラズマ処理を行い、第一のバンク105の表面をフッ素化することで撥水性処理を行う。これにより、第一のバンク105の表面には撥水層が形成される。第一のバンク105として、感光性ポリイミドが好ましい。また、第一のバンクとして、アクリル樹脂,ノボラック樹脂,フェノール樹脂,非感光性材料なども用いることができる。
[第二のバンク]
 第二のバンク106は第一のバンク105の上に形成される。第二のバンク106は逆テーパとなっており、隣接する発光部の上部電極が導通しないようにするために用いられる。バンク形成材料を塗布した後、所定のフォトマスクを用いて現像露光することにより、第二のバンク106が形成される。第二のバンク106の有機層が存在する側の表面には撥水性処理を施してもよい。例えば、第二のバンク106の表面にフッ素系ガスのプラズマ処理を行い、第二のバンク106の表面をフッ素化することで撥水性処理を行う。これにより、第二のバンク106の表面には撥水層が形成される。第二のバンク106として、ネガ型フォトレジストを用いることが好ましい。また、第二のバンク106として、アクリル樹脂、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、非感光性材料なども用いることができる。
[有機層]
 図2に有機層104の詳細を示す。有機層104は発光層203のみの単層構造、あるいは電子注入層205、電子輸送層204、正孔輸送層202及び正孔注入層201のいずれか一層以上を含む多層構造でも構わない。電子注入層205および電子輸送層204、電子輸送層204および発光層203、発光層203および正孔輸送層202、正孔輸送層202および正孔注入層201はそれぞれ接していても構わず、各層の間に上述の他の層を介在させてもよい。また、発光層203はホスト分子(以下ホストと称す)及びドーパント分子(以下ドーパントと称す)を含む。
 図1における有機発光素子に駆動回路および筐体などが備えられることで光源装置となる。
 以下、有機層104に含まれる各々の層について詳細を記す。
[正孔注入層]
 正孔注入層201は、陽極と正孔輸送層の注入障壁を下げる役割を果たしている。したがって、正孔注入層201には、適当なイオン化ポテンシャルを有する材料が望ましい。また、正孔注入層201は、下地層の表面凹凸を埋める役割を果たすことが望ましい。
 具体的には、銅フタロシアニン、スターバーストアミン化合物、ポリアニリン、ポリチオフェン、酸化バナジウム、酸化モリブテン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム等が挙げられるが、これらに限定されない。
[正孔輸送層]
 また、正孔輸送層202は、正孔を輸送し、発光層203へ注入する役割を有する。そのため、正孔輸送層202は、正孔移動度が高い正孔輸送性材料からなることが望ましい。また、正孔輸送層202は、化学的に安定であり、イオン化ポテンシャルが小さい、電子親和力が小さい、ガラス転移温度が高いなどの性質を備えることが望ましい。
 具体的には、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニル-[1,1’-ビフェニル]-4,4’ジアミン(TPD)、4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(α-NPD)、4,4’,4’’-トリ(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)、1,3,5-トリス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)フェニルアミノ]ベンゼン(p-DPA-TDAB)、4,4’,4’’-トリス(N-カルバゾール)トリフェニルアミン(TCTA)、1,3,5-トリス[N,N-ビス(2-メチルフェニル)-アミノ]-ベンゼン(o-MTDAB)、1,3,5-トリス[N,N-ビス(3-メチルフェニル)-アミノ]-ベンゼン(m-MTDAB)、1,3,5-トリス[N,N-ビス(4-メチルフェニル)-アミノ]-ベンゼン(p-MTDAB)、4,4’,4’’-トリス[1-ナフチル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン(1-TNATA)、4,4’,4’’-トリス[2-ナフチル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン(2-TNATA)、4,4’,4’’-トリス[ビフェニル-4-イル-(3-メチルフェニル)アミノ]トリフェニルアミン(p-PMTDATA)、4,4’,4’’-トリス[9,9-ジメチルフルオレン-2-イル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン(TFATA)、4,4’,4’’-トリス(N-カルバゾイル)トリフェニルアミン(TCTA)、1,3,5-トリス-[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)フェニルアミノ]ベンゼン(p-DPA-TDAB)、1,3,5-トリス{4-[メチルフェニル(フェニル)アミノ]フェニル}ベンゼン(MTDAPB)、N,N’-ジ(ビフェニル-4-イル)-N,N’-ジフェニル[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン(p-BPD)、N,N’-ビス(9,9-ジメチルフルオレン-2-イル)-N,N’-ジフェニルフルオレン-2,7-ジアミン(PFFA)、N,N,N’,N’-テトラキス(9,9-ジメチルフルオレン-2-イル)-[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジアミン(FFD)、(NDA)PP、4-4’-ビス[N,N’-(3-トリル)アミノ]-3-3’-ジメチルビフェニル(HMTPD)が例示される。もちろんこれらの材料に限られず、また、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
 また、正孔輸送層202は、陽極との障壁を低下させる、或いは電気伝導度を向上させるなどの目的で、前記のような正孔輸送性材料に酸化剤を添加して用いることができる。
 酸化剤の具体例としては、塩化第2鉄、塩化アンモニウム、塩化ガリウム、塩化インジウム、五塩化アンチモン等のルイス酸化合物であり、トリニトロフルオレン等の電子受容性化合物である。もちろんこれらの材料に限られず、また、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
[発光層]
 発光層203は、注入された正孔、電子が再結合し、材料固有の波長で発光する層をさす。発光層203には、発光層を形成するホスト材料自体が発光する場合とホストに微量添加したドーパント材料が発光する場合がある。
 具体的なホスト材料としては、ジスチリルアリーレン誘導体(DPVBi)、骨格にベンゼン環を有するシロール誘導体(2PSP)、トリフェニルアミン構造を両端に有するオキソジアゾール誘導体(EM2)、フェナンスレン基を有するペリノン誘導体(P1)、トリフェニルアミン構造を両端に有するオリゴチオフェン誘導体(BMA-3T)、ペリレン誘導体(tBu-PTC)、トリス(8-キノリノール)アルミニウム、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体が挙げられる。
 また、発光層203に用いる具体的なドーパント材料としては、キナクリドン、クマリン6、ナイルレッド、ルブレン、4-(ジシアノメチレン)-2-メチル-6-(パラ-ジメチルアミノスチリル)-4H-ピラン(DCM)、ジカルバゾール誘導体、ポルフィリン白金錯体(PtOEP)、イリジウム錯体(Ir(ppy)3)が挙げられる。発光層はこれらの材料に限られず、また、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
[電子輸送層]
 電子輸送層204は、電子を輸送し、発光層へ注入する役割を有する。そのため、電子輸送層204は、電子移動度が高い電子輸送性材料からなることが望ましい。
 具体的には、トリス(8-キノリノール)アルミニウム、オキサジアゾール誘導体、シロール誘導体、亜鉛ベンゾチアゾール錯体、バソキュプロイン(BCP)が望ましい。
 電子輸送層204では、前記電子輸送性材料に還元剤を含有して陰極との障壁を低くしたり、電気伝導度を向上させることが望ましい。
 還元剤の具体例としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類酸化物、希土類酸化物、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類ハロゲン化物、希土類ハロゲン化物、アルカリ金属と芳香族化合物で形成される錯体が挙げられる。
特に、好ましいアルカリ金属はCs、Li、Na、Kである。
[電子注入層]
 電子注入層205は、陰極から電子輸送層204への電子注入効率を向上させるために用いるものである。具体的には、電子注入層205の材料としては、弗化リチウム、弗化マグネシウム、弗化カルシウム、弗化ストロンチウム、弗化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムが望ましい。
[反射電極]
 陰極として形成される反射電極103、有機層104に電子を注入するための電極であり、電子の注入効率を高める仕事関数の小さな導電膜を使用することが望ましい。
 具体的には、反射電極103の材料としては、Mg・Ag合金、Al・Li合金、Al・Ca合金、Al・Mg合金が挙げられる。
 一方、反射電極103に前述の電子注入層205を設ければ、反射電極103の条件として、低仕事関数の材料を用いる必要がなくなり、一般的な金属材料を用いることが可能となる。この場合の反射電極の材料としては、具体的には、Al、In、Mo、Ni、等の金属や、これら金属を用いた合金や、ポリシリコン、アモルファスシリコンを使用することができる。
[配光制御層]
 発光層203と反射電極層103の間の電子注入層205および電子輸送層204により、反射電極103から発光層203までの距離を制御する配光制御層206とした。配光制御層206は、電子注入層205および電子輸送層204のどちらで上述の距離を制御しても良いが、厚膜化が必要なため抵抗率の小さい材料を選択することが重要となる。
 白色発光では、複数の発光色の発光点を有する。光学干渉条件では、発光点から反射電極までを構成する有機膜の膜厚に有機材料の屈折率を乗じた光学長を発光波長で除した値で一意的に決まる。よって、最適な光学条件と有機膜の膜厚は、短波長に比べて、長波長の発光では長くなることがわかる。ここで述べた発光点は、有機発光素子を構成する有機層の発光層において各色のドーパントが有する発光位置の膜厚方向の中央と定義する。
 図3に白色有機EL用の各ドーパントとして青(B):Flrpic、緑(G):Ir(pbi)2OcOPhtaz、黄(Y):Ir(t-Bu-ptp)2OcOPhtaz、 赤(R):Ir(pq)2F7tazを用いた時の各発光色の発光位置と外部に取り出す光の量の関係を示す。図3から分かるように、各発光色ごとに、光取出し効率の最大となる発光位置が異なる。各色の光取出し効率が最大となるピーク位置の配光分布は、完全拡散(ランバーシアン)に近い分布となる。つまり、各発光は配光分布の関係から、光取出し効率を向上させる適正距離が存在し、図3中のピーク値の半値以上の発光位置範囲で光学設計することが重要となる。例えば、緑色ドーパントの発光位置は発光中心から反射電極までの距離が145nmから235nmの範囲、青色ドーパントの発光位置は発光中心から反射電極までの距離が130nmから200nmの範囲、赤色ドーパントの発光位置は発光中心から反射電極までの距離が170nmから275nmの範囲となる。上記の範囲から離れることで、著しく光取出し効率は低下する。
 また、図4に発光位置を電極側から赤、黄、青の順に配置したSampleAと、電極側から青、黄、赤の順に配置したSampleBの非伝搬光を含めた光取り出し効率の関係を示す。ここでは反射電極での吸収、プラズモンによって損失される13%をのぞいた残りの87%を取り出せた場合、光取り出し効率が100%であると定義する。
 外部モードは光取り出し層を設けない場合、SampleAとSampleBは光取り出し層を1層有する場合の光取り出し効率である。光取り出し層を設けない場合、外部に取り出せる光は全体の約20%程度である。一方、発光位置の順番と配光制御層の制御と光取り出し層を用いることで、光取り出し効率は約70%にまで向上することが分かる。
 このように発光位置の順番を制御し、発光色の中心波長付近に発光位置を制御することで光取り出し効率は大幅に増加する。また、発光位置が反射電極に近い領域では、エバネッセントモード(表面プラズモン損失)による非伝搬光の割合が大きく、発光位置の距離を反射電極から離し伝搬光の割合を増やすことが光取り出し効率向上には重要である。ここで発光色の中心波長で光学設計し、かつ発光位置が電極側から波長順に配置した白色有機EL素子において最も光取り出し量が向上する。その時の発光色の中心波長の発光位置が、反射電極から155nm~250nmであれば配光制御することで、60%以上の光取り出し効率を得ることが可能となる。さらには、配光制御しなくとも、170nm~225nmの発光位置にすることで50%以上の光取り出し効率が得られる。
[封止基板]
 封止基板109は、大気中の水、酸素が反射電極103、或いはその下の有機層104に入りこむことを防ぐ役割を有する。封止基板109は光透過性であれば良く、特に380~780nmの波長範囲の光を透過させるものが望ましい。
 具体的には、封止基板109の材料としては、SiO2、SiNx、Al23等の無機材料やポリクロロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリオキシメチレン、ポリビニルクロライド、ポリフッ化ビニリデン、シアノエチルプルラン、ポリメチルメタクリレート、ポリサルフォン、ポリカーボネート、ポリイミド等の有機材料を使用することができる。
[反射層・補助配線]
 本実施例で形成される反射層・補助配線110は、発光した光を反射させて、光を取り出す反射層として用いるものと、透明電極102上に1μm~20μmの幅でライン上に配置することで、電極の抵抗成分を低減する働きをする。これらの反射層・補助配線110は、反射率の高く抵抗値の低い金属、合金からなる材料を用いることが好ましい。このような材料としては、アルカリ金属、アルカリ金属のハロゲン化物、これらと他の金属との合金などを用いることができるものであり、例えばAg、Al、Na、Na・K合金、Li、Mg、Al、Mg-Ag混合物、Mg-In混合物、Al-Li合金、Al―Al2O3混合物、Al-LiF混合物などを例として挙げることができる。反射電極・補助配線110は、例えば上記の電極材料を、真空蒸着法やスパッタリング法等の方法や印刷法などにより、薄膜に形成することによって作製することができる。光透過率は10%以下にすることが好ましい。
[光取り出し層(光散乱層)]
 有機発光素子では発光層で発光した光を高効率で取り出すことを目的として、光取り出し層(光散乱層)を設けることが多い。光取り出し効率を向上させる手段としては、マイクロレンズアレイ構造、散乱構造、回折構造等がある。中でも透明性樹脂と無機系散乱微粒子を組み合わせた光取り出し層は比較的容易に作製でき、ボトムエミッション型への展開が容易である。
 光取り出し層の塗布方法は、スピンコート、ディップコート、ダイコート、キャスト、スプレーコート、グラビアコート等が挙げられる。膜の均質性の観点から、スピンコート、ディップコート、ダイコートが特に好ましい。光取り出し層は2~20μmの膜厚であることが好ましい。2μmを下回ると散乱微粒子の混合が困難になり、20μmを超えると塗布形成が困難になるためである。
[第一の光取り出し層]
 発光層203で発光した光を取り出す目的で基板100上に第一の光取り出し層107を形成する。第一の光取り出し層107を構成する樹脂の屈折率は1.7以上のものを選べば良く、あるいは樹脂の屈折率が1.7以下であるならば屈折率が2以上、2.6以下のナノ粒子を加えて屈折率を1.7以上に調整しても構わない。第一の光取り出し層107を構成する樹脂は塩素、臭素で構造式の一部が置換されている、あるいは窒素、硫黄などの複素環を含有する樹脂、あるいはフルオレン骨格を有するエポキシ樹脂を選ぶことが好ましい。
 一般的に上記樹脂は屈折率が1.6以上で高屈折率の場合が多い。
 屈折率が1.7に満たず、ナノ粒子を加える場合は粒径が数nm~数十nmもの(好ましくは1nm~40nm)を選ぶことが好ましい。ナノ粒子は、ZrO2、ルチル型TiO2、BaTiO3の屈折率が2以上の無機粒子を選ぶことが好ましく、含有量は樹脂とナノ粒子の全体量に対して25~60vоl%であることが望ましい。25vоl%を下回ると十分な高屈折率化の硬化が得られず、60vоl%を超えると膜中に空隙ができて膜質が著しく低下するためである。
 散乱微粒子として、透明樹脂層に粒径数十~数μmのBaTiO3、ZrO2、ルチル型TiO2などの高屈折率微粒子を添加する。散乱微粒子は凝集が起こりやすいため、散乱微粒子表面にシランカップリング剤等の分散剤を修飾することができる。散乱微粒子の添加量は5~15vоl%であることが望ましい。5vоl%を下回ると散乱回数が減少して十分な光取り出し効率が得られず、15vоl%を超えると第一の光取り出し層107を構成する樹脂との間に空隙ができやすく、十分な密着性を得ることができない。散乱微粒子の粒径の範囲は100~800nmであることが望ましい。この粒径範囲では光取り出し効率が高効率で得られることが、シミュレーションより明らかになっている。粒径が100nmを下回ると非常に凝集しやすく、800nmを超えると表面の凹凸が大きくなってしまう。
[平坦化層]
 第一の光取り出し層107の表面の凹凸をならすために、第一の光取り出し層上107に平坦化層108を設置することができる。有機発光素子では電界集中による部分劣化を避けるために、透明電極102表面の表面粗さをRa≦5nmにすることが求められる。そのため透明電極102の下地層である第一の光取り出し層107の表面粗さもRa≦5nmを目標とする。散乱微粒子の分散性を向上させることで平坦性は改善されるが、第一の光取り出し層107上に平坦化層108を設置して平坦性をより改善するのが好ましい。
 平坦化層108を構成する樹脂は光取り出し層を構成する高屈折率樹脂の候補群から選択すれば良い。第一の光取り出し層107と平坦化層108の密着性を確保するには、平坦化時に第一の光取り出し層107の溶出を起こさないことが必要である。したがって第一の光取り出し層107の未硬化成分を溶出させる溶媒を平坦化層108の溶媒に用いることはできない。第一の光取り出し層107の耐薬品性は分子間架橋をすることで高めることができるため、分子間架橋する樹脂ならばさらに好ましい。なお、平坦化層108は光取り出し層を溶出させなければ良く、メタクリル酸メチル樹脂のように分子間架橋しない樹脂でも構わない。
 樹脂と樹脂の積層を行う際には、界面の密着性を向上させるために樹脂の硬化を完全に行わず、未硬化成分(反応性官能基)を残すこともある。しかし、BaTiO3などの無機物を入れた樹脂層の積層は、有機物と無機物が混ざった界面であるために接着性を得るのは難しい。つまり、このような複合材料の界面である場合、上層の樹脂を塗布する溶媒が下層の樹脂の未硬化成分を溶解させ、界面の接着性を低下させることがある。本発明では上層(平坦化層108)と下層(第一の光取り出し層107)が互いの樹脂を溶解させない組み合わせにすることによって、有機物と無機物が混ざった界面においても良好な密着性を得ることができる。
 図5は平坦化層108の屈折率に対する発光層203で発光した光の取り出し効率の関係性を示したグラフである。ここでは、発光層203で発光した光が平坦化層108に取りだされるモデルを用いてシミュレーションを行い、平坦化層108は空気層に接していると仮定した。外部モードが空気層に取りだされる光、基板モードが平坦化層108に取りだされる光、薄膜モードはITOに取りだされる光である。これによると平坦化層108の屈折率が上昇するにつれて平坦化層108に取り出せる光は増加している。特許文献の光取り出し層(光散乱層と平坦化層を合わせたもの)を構成する樹脂の屈折率は1.45~1.6であり、平坦化層における取り出し効率は最大で64%である。本発明では平坦化層の樹脂の屈折率を1.7以上に定めているが、その理由は下記の通りである。白色の有機発光素子では発光効率は最大で400lm/Wである。有機層104で発光した光は表面プラズモンや熱によって10%程度失われるため、残りの90%を効率良く取り出せるかどうかが課題である。
 白色LEDの発光効率は将来的に200~250lm/Wと予測されていることから、有機発光素子でも250lm/W程度の光を取り出す必要がある。この数値を達成するにはシミュレーションの計算結果から平坦化層に76%以上の光を取り出せれば良く、図5に示すように平坦化層108の屈折率が1.7以上であれば取り出し効率が76%以上になることが分かる。
 平坦化層108は2~10μmの膜厚であれば十分な平坦化が得られると考えられる。2μmを下回ると十分な平坦化効果が得られず、10μmを超えると平坦化層の硬化に時間がかかり、作業性が低下するためである。
[第二の光取り出し層]
 空気界面における全反射を低減して光を取り出す目的で、基板の反対側に第二の光取り出し層101を形成する。第二の光取り出し層101を構成する樹脂は屈折率が1.3以上、1.65以下の透明の高い樹脂を選択すれば良い。例えばポリスチレン、ポリスルホン、アクリル、フッ素樹脂、エポキシ、シリコン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等が挙げられる。第二の光取り出し層101には散乱体として粒径数十~数μmの屈折率が1.3以上、1.8以下の散乱微粒子を入れれば良い。具体的にはAl2O3、BaCO3、MgO、SrCO3、SiO2、CaF2等の微粒子を選択すれば良く、散乱微粒子の添加量は5~15vоl%であることが望ましい。第二の光取り出し層108の塗布方法、膜厚の範囲は第一の光取り出し層と同様である。
(実施例1)
 基板(無アルカリガラス)101にスピンコートにより厚み約2μmの第一光取り出し層107を以下の方法で形成した。
 メチルエチルケトンを溶媒とするZrO2ナノ粒子スラリ(堺化学工業株式会社製 SZR-K)、フルオレン系エポキシ樹脂(大阪ガスケミカル株式会社製 CG-500)、フェノールノボラック系硬化剤(大阪ガスケミカル株式会社製 NV-203-R)、トリフェニルホスフィン(関東化学社製)を混ぜ合わせて塗布液を作製した。BaTiO3散乱微粒子は分散性を上げるため、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(信越化学社製 KBE-9007)を用いて表面処理を施し、前記塗布液に加えて基板101にスピンコート法により塗布して加熱硬化した。
 このように形成した第一の光取り出し層107の表面に、シクロヘキサノンを溶媒とするトリアジン環含有樹脂塗布液(日産化学工業社株式会社製 UR-501)をスピンコーターに塗布して厚み約2μmの平坦化層108を形成し、加熱硬化した。
 平坦化層108形成後の密着性を粘着テープ剥離試験によって評価したところ、剥離は見られなかった。基板100と第一の光取り出し層107、第一の光取り出し層107と平坦化層108の密着性は良好であった。第一の光取り出し層107と平坦化層108の平坦性についてAFMによる表面形状測定結果からライン分析して表面粗さRa(N=3)を算出したところ、第一の光取り出し層107のRaは37.0nm、平坦化層108のRaは4.58nmであり、平坦性は大きく向上した。
 次に、スパッタリング法により、膜厚50nmの透明電極102(ITO)をパターン形成後、透明電極102上に反射層・補助配線としてAgを真空蒸着法により形成した。
 さらに、ポリイミドからなる第一のバンク105、アクリル樹脂からなる第二のバンク106を形成した。
 続いて、有機層104を以下の手順で形成した。真空蒸着法により4,4’-ビス〔N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ〕ビフェニル(以下、α-NPDと称する。)と五酸化バナジウム(V25)とを共蒸着して膜厚が50nm程度の第1の共蒸着膜を形成する。α-NPDとV25の混合比は、モル比で1:1となるよう、それぞれの蒸着速度を決定した。この第1の共蒸着膜は正孔注入層201として機能する。正孔注入層201上に、真空蒸着法により膜厚50nmのα-NPD膜を形成する。α-NPD膜は正孔輸送層202として機能する。
 正孔輸送層202上に、真空蒸着法により4,4’-N,N’-ジカルバゾール-ビフェニル(以下「CBP」という。)及びビス〔2-(2’-ベンゾ[4,5-a]チエニル)ピリジネイト-N,C3’〕イリジウム(アセチラセトネイト)(以下「Brp2Ir(acac)」という。)を共蒸着して膜厚が40nm程度の第2の共蒸着膜を形成する。第2の共蒸着膜は、発光層203として機能する。また、発光層203の中で、Brp2Ir(acac)が発光色を決定するドーパントとして機能する。次に、発光層203の上に、真空蒸着法により、膜厚60nmのトリス(8-キノリノール)アルミニウム(以下「Alq3」という。)膜を形成する。このAlq3膜は電子輸送層204として機能する。
 電子輸送層204の上に、バッファ層としてMgとAgの共蒸着膜を形成する。MgとAgの共蒸着膜は、その上の上部電極形成時の下地有機膜保護と電子注入層205の両方の機能を有する。本実施例では、電子輸送層204を制御することで、配光制御層206とした。Agからなる反射電極103を150nm膜厚で形成後、PENからなる封止基板109を取り付けた。最後に基板100の反対側に第二の光取り出し層101を以下の方法で形成した。
 基板(無アルカリガラス)100にスピンコートにより厚み約2μmの第二の光取り出し層101を以下の方法で形成した。
 トルエンに溶解させたエポキシと(日立化成株式会社製)、脂環式酸無水物系硬化剤(日立化成化株式会社製)、トリフェニルホスフィン(関東化学株式会社製)を混ぜ合わせて塗布液を作製した。Al2O3散乱微粒子は分散性を上げるため、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製 KBE-9007)を用いて表面処理を施し、前述の塗布液に加えて基板100にスピンコート法により塗布して加熱硬化した。
 このようにしてボトムエミッション型有機発光素子は完成し、光取り出し効率を測定したところ、85%であった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 表1は実施例2~7の第一の光取り出し層107、平坦化層108、第二の光取り出し層101の組成、配光制御の有無、光取り出し効率の評価結果について示したものである。
(実施例2~7)
 実施例2~7では第一の光取り出し層107、第二の光取り出し層101の樹脂組成、それぞれの光取り出し層に含まれる散乱微粒子を修飾するシランカップリング剤の種類、場合の光取り出し効率を評価した結果を示したものである。すべての実施例において配光性制御は行ったところ、すべての場合において84%以上の光取り出し効率が得られた。
(比較例1)
 実施例1~7と同様の手法で第一の光取り出し層107、平坦化層108を形成した。配光制御を行なったところ、光取り出し効率は78%であり、第二の光取り出し層101を設けた実施例1~7に比べると低い値であった。
(比較例2)
 実施例1~7と同様の手法で第一の光取り出し層107、平坦化層108、第二の光取り出し層101を形成した。配光制御を行なわなかったところ、光取り出し効率は74%であり、配光制御を行った場合に比べると低い値であった。
(比較例3)
 実施例1~7と同様の手法で第一の光取り出し層107、平坦化層108を形成した。配光制御を行わなかったところ、光取り出し効率は68%であり、配光制御を行った場合や第二の光取り出し層101を形成した場合に比べると低い値であった。
(補足)
 実施例1において、フルオレン含有エポキシ樹脂はフルオレン骨格を有するエポキシ樹脂であり、トリアジン環含有樹脂は窒素の複素環を有する樹脂である。散乱微粒子はB:3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランにより表面処理されている。
 実施例2において、フルオレン含有エポキシ樹脂はフルオレン骨格を有するエポキシ樹脂であり、トリアジン環含有樹脂は窒素の複素環を有する樹脂である。散乱微粒子はC:3-グリシドプロピルトリエトキシシランにより表面処理されている。
 実施例3において、フルオレン含有エポキシ樹脂はフルオレン骨格を有するエポキシ樹脂であり、トリアジン環含有樹脂は窒素の複素環を有する樹脂である。散乱微粒子はD:3-アミノプロピルトリメトキシシランにより表面処理されている。
 実施例4において、フルオレン系エポキシ樹脂はフルオレン骨格を有するエポキシ樹脂であり、チオウレタン樹脂は構造式の繰り返し単位の一部が硫黄で置換されている樹脂である。散乱微粒子はD:3-アミノプロピルトリメトキシシランにより表面処理されている。
 実施例5において、エピスルフィド樹脂は硫黄の複素環を有する樹脂であり、トリアジン環含有樹脂は窒素の複素環を有する樹脂である。散乱微粒子はB:3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランにより表面処理されている。
 実施例6において、ポリメタルクル酸メチル樹脂はメタクリル酸メチルの樹脂であり、チオウレタンは構造式の繰り返し単位の一部が硫黄で置換されている樹脂である。散乱微粒子はD:3-アミノプロピルトリメトキシシランにより表面処理されている。
 実施例7において、S含有塩化ビニルは構造式の繰り返し単位の一部が硫黄で置換されている樹脂であり、エピスルフィド樹脂は硫黄の複素環を有する樹脂である。散乱微粒子はC:3-グリシドプロピルトリエトキシシランにより表面処理されている。
 以上、実施例1~7において、第一の光取り出し層107と平坦化層108とを異なる樹脂で構成している。これらの樹脂はいずれも互いに一方の樹脂を溶解させない関係にある。ここでは全てを例示しないが、いずれも互いに一方の樹脂を溶解させない関係にあれば、第一の光取り出し層107の樹脂は、構造式の繰り返し単位の一部が塩素、臭素または硫黄で置換されている樹脂、窒素または硫黄の複素環を有する樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂から選択して用いることができる。平坦化層108の樹脂は、構造式の繰り返し単位の一部が塩素、臭素または硫黄で置換されている樹脂、窒素または硫黄の複素環を有する樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂、メタクリル酸メチル樹脂から選択して用いることができる。
 100…基板、101…第二の光取り出し層、102…透明電極、103…反射電極、104…有機層、105…第一のバンク、106…第二のバンク、107…第一の光取り出し層、108…平坦化層、109…封止基板、110…反射層・補助配線、201…正孔注入層、202…正孔輸送層、203…発光層、204…電子輸送層、205…電子注入層、206…配光制御層

Claims (17)

  1.  第二の光取り出し層、基板、第一の光取り出し層、平坦化層、第一の電極、有機層、及び第二の電極を順に設けた有機発光素子であって、
     前記有機層には発光層が含まれ、
     前記第一の光取り出し層及び前記第二の光取り出し層には散乱微粒子が含まれ、
     前記発光層におけるドーパントの発光位置の膜厚方向の中央を示す発光点について、前記第二の電極側から青、緑、赤の順に配置し、
     前記緑の発光点から前記第二の電極までの長さが145nm~235nmの範囲内にあることを特徴とする有機発光素子。
  2.  請求項1に記載の有機発光素子において、
     前記青の発光点から、前記第二の電極までの長さが130nm~200nmの範囲内にあることを特徴とする有機発光素子。
  3.  請求項1または2に記載の有機発光素子において、
     前記赤の発光点から、前記第二の電極までの長さが170nm~275nmの範囲内にあることを特徴とする有機発光素子。
  4.  請求項1乃至3のいずれかに記載の有機発光素子において、
     前記散乱微粒子は分散剤により表面処理されていることを特徴とする有機発光素子。
  5.  請求項1乃至4のいずれかに記載の有機発光素子において、
     前記第一の光取り出し層の屈折率は1.7以上であり、
     前記第二の光取り出し層の屈折率は前記第一の光取り出し層の屈折率より小さいことを特徴とする有機発光素子。
  6.  請求項5に記載の有機発光素子において、
     前記第一の光取り出し層に含まれる樹脂の屈折率が1.7以下、
     前記第一の光取り出し層に含まれる散乱微粒子の屈折率は2以上2.6以下であることを特徴とする有機発光素子。
  7.  請求項5に記載の有機発光素子において、
     前記第二の光取り出し層に含まれる樹脂の屈折率が1.3以上、1.65以下、
     前記第二の光取り出し層に含まれる散乱微粒子の屈折率は1.3以上、1.8以下であることを特徴とする有機発光素子。
  8.  請求項1乃至7のいずれかに記載の有機発光素子において、
     前記第一の光取り出し層及び前記第二の光取り出し層に含まれる前記散乱微粒子の平均粒径が100~800nmであることを特徴とする有機発光素子。
  9.  請求項1乃至8のいずれかに記載の有機発光素子において、
     前記散乱微粒子の種類は、第一の光取り出し層ではBaTiO3またはルチル型TiO2であり、第二の光取り出し層ではAl2O3、BaCO3、MgO、SrCO3、SiO2、CaF2であることを特徴とする有機発光素子。
  10.  請求項1乃至9のいずれかに記載の有機発光素子において、
     前記散乱微粒子が前記光取り出し層において5~15vol%含まれることを特徴とする有機発光素子。
  11.  請求項1乃至10のいずれかに記載の有機発光素子において、
     前記光取り出し層または前記平坦化層には、屈折率が2以上で、粒径が1~40nmのナノ粒子が含まれることを特徴とする有機発光素子。
  12.  請求項11に記載の有機発光素子において、
     前記平坦化層の厚さが2~10μmであることを特徴とする有機発光素子。
  13.  請求項11に記載の有機発光素子において、
     前記ナノ粒子が前記光取り出し層または前記平坦化層において25~60vol%含まれることを特徴とする有機発光素子。
  14.  請求項1乃至13のいずれかに記載の有機発光素子において、
     前記第一の光取り出し層には第一の高屈折率樹脂が含まれ、
     前記平坦化層には第二の高屈折率樹脂が含まれ、
     前記第一の高屈折率樹脂と前記第二の高屈折率樹脂とは、互いに一方の樹脂を溶解させない関係にあることを特徴とする有機発光素子。
  15.  請求項14に記載の有機発光素子において、
     前記第一の高屈折率樹脂の溶解パラメータを示すSP値と、前記第二の高屈折率樹脂の溶解パラメータを示すSP値の差が、1以上であることを特徴とする有機発光素子。
  16.  請求項14に記載の有機発光素子において、
     前記第一の高屈折率樹脂は、構造式の繰り返し単位の一部が塩素、臭素または硫黄で置換されている樹脂、窒素または硫黄の複素環を有する樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂のいずれかであることを特徴とする有機発光素子。
  17.  請求項14に記載の有機発光素子において、
     前記第二の高屈折率樹脂は、構造式の繰り返し単位の一部が塩素、臭素または硫黄で置換されている樹脂、窒素または硫黄の複素環を有する樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂、メタクリル酸メチル樹脂のいずれかであることを特徴とする有機発光素子。
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