WO2015015641A1 - イオン化装置及び質量分析装置 - Google Patents

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Abstract

本発明のイオン化装置は、DARTイオン化ユニット(10)のノズル(18)から噴出するガスが、試料(25)中の成分を気化するとともにイオン化する。その際にイオン化されなかった気体状の試料成分分子は、針電極(20)によるコロナ放電で生成される反応イオンとの反応でイオン化される。このように、試料成分分子を二段階でイオン化をすることにより、イオン化効率が改善される。また、針電極支持機構(21)は前記針電極(20)の位置や角度を調整して電位勾配を制御する。そのため、特定の試料由来イオン種を効率よくイオン導入管(31)へと導入し、感度よく検出することができる。

Description

イオン化装置及び質量分析装置
 本発明は、主として質量分析装置のイオン源として用いられるイオン化装置、及び該イオン化装置を用いた質量分析装置に関し、さらに詳しくは、大気圧雰囲気の下で試料中の成分をイオン化するイオン化装置及び質量分析装置に関する。
 質量分析装置において試料成分をイオン化する手法として、従来、様々なイオン化法が知られている。こうしたイオン化法は、真空雰囲気の下でイオン化を行う手法と、略大気圧雰囲気の下でイオン化を行う手法とに大別でき、後者は一般に、大気圧イオン化法(API=Atmospheric Pressure Ionization)と総称される。大気圧イオン化法は、イオン化室内を真空排気する必要がなく、また、液体状の試料や水分を多く含む試料など真空雰囲気中では扱いが困難である試料も容易にイオン化できる、といった利点がある。
 よく知られている大気圧イオン化法には、液体クロマトグラフ質量分析装置などで使用される、エレクトロスプレイイオン化法(ESI=ElectroSpray Ionization)や大気圧化学イオン化法(APCI=Atmospheric Pressure Chemical Ionization)などがあるが、近年、新しい大気圧イオン化法が次々に開発又は提案され、注目を集めている。
 こうした新しい大気圧イオン化法の多くは、我々の身近な周辺環境(Ambient)に存在する物質そのものを手軽に分析したいという要求に応えて開発されたものであり、これらイオン化法はアンビエントイオン化(Ambient Ionization)法と呼ばれ、これらイオン化法を利用した質量分析はアンビエント質量分析(Ambient Mass Spectrometry)と呼ばれている(非特許文献1~3など参照)。アンビエントイオン化法を厳密に定義することは難しいが、一般には、特別な試料の調製や前処理を行うことなく、リアルタイムで、その場(in situ)計測が可能であるのがその基本的な概念であるといえる。
 代表的なアンビエントイオン化法としては、リアルタイム直接分析(DART=Direct Analysis in Real Time)法、脱離エレクトロスプレイイオン化(DESI=Desorption ElectroSpray Ionization)法などがあるが、非特許文献2、3に示されているように、プローブエレクトロスプレイイオン化(PESI=Probe ElectroSpray Ionization)法、エレクトロスプレイ支援/レーザ脱離イオン化(ELDI=ElectroSpray Laser Desorption Ionization)法、大気圧固体分析プローブ(ASAP=Atmospheric Solids Analysis Probe)法など、多種多様なイオン化法がアンビエントイオン化法に包含される。
 例えばDART法では、加熱されたガスが混じった励起状態の水分子の噴霧流に固体状や液体状の試料をかざすだけで、該試料中の成分のイオン化を行うことができる。一方、DESI法では、帯電させた溶媒の微小液滴を試料に噴霧することで試料中の成分のイオン化を行うことができる。そのため、これらイオン化法には、イオン化のための特別な試料調製が不要である、イオン源の構造が簡単であってコスト的にも有利である、イオン化のために外部から供給するのは不活性ガスのみであるので取扱いも容易である、試料に溶媒等の液体が吹き掛けられることがないので、分析後の試料の扱いも簡便である、といった利点がある。
 近年、質量分析装置が利用される分野の拡がりや分析対象物質の多様化などに伴って、試料中にごく微量含まれる化合物を精度よく検出したいという要望はますます強まっている。そのため、イオン源にもより一層の高感度化が求められており、これは上述した大気圧イオン化法によるイオン源、アンビエントイオン化法によるイオン源でも同様である。
 例えば上述したDARTイオン源においては、噴霧流に対する試料の配置の最適化(非特許文献4~6参照)、質量分析部への試料由来イオンの導入効率の改善(非特許文献7参照)、或いは、赤外レーザ光を用いた試料中の成分の気化効率の改善(非特許文献8参照)などによる高感度化の試みがなされている。
特開2013-37962号公報
高山光男、「入門講座 質量分析装置のためのイオン化法 総論」、ぶんせき 2009年第1号、日本化学分析学会 高山光男、ほか3名、「現代質量分析学 基礎原理から応用研究まで」、化学同人、2013年1月15日発行 ミンゾン・ファン(Min-Zong Huang)、ほか3名、「アンビエント・イオニゼイション・マス・スペクトロメトリ:ア・チュートリアル(Ambient ionization mass spectrometry: A tutorial)」、アナリティカ・ケミカ・アクタ(Analytica Chemica Acta)、2011年、702巻、pp.1-15 「12・ディップ-イット・ホルダ(12 DIP-it Holder)」、米国イオンセンス(Ion Sense)社、[平成25年7月22日検索]、インターネット<URL: http://www.ionsense.com/12_dip_its> 「ダイレクト・キャピラリ(Direct Capillary)」、米国イオンセンス(Ion Sense)社、[平成25年7月22日検索]、インターネット<URL: http://www.ionsense.com/single_pusher> 「アジャスタブル・トウィーザー・ベース(Adjustable Tweezer Base)」、米国イオンセンス(Ion Sense)社、[平成25年7月22日検索]、インターネット<URL: http://www.ionsense.com/tweezers> 「SVP-45A」、米国イオンセンス(Ion Sense)社、[平成25年7月22日検索]、インターネット<URL: http://www.ionsense.com/dart_svpa> 「インフラレッド・ダイレクト・アナリシス・イン・リアル・タイム・マス・スペクトロメトリ(Infrared Direct Analysis in Real Time Mass Spectrometry)」、米国オポテック(Opotek)社、[平成25年7月22日検索]、インターネット<URL: http://www.opotek.com/app_notes/MS/IR_DART_MS.pdf>
 しかしながら、上記のようなDARTイオン源における従来の高感度化手法では感度向上に限界がある。何故なら、従来の高感度手法の多くは、試料の気化効率の向上や生成されたイオンの収集効率の向上に向けられており、試料から気化した成分、つまりは気体状分子をイオン化させる効率自体を向上させるような試みではないからである。DARTイオン源に限らず、一般に、試料の気化と同時に又は試料の気化に続いてイオン化を行うイオン源では、気体状分子のうちイオン化されるのは一部にすぎず、多くは質量分析に使用されずに排気される。そのため、イオン源の感度を上げるには、試料の気化効率を上げることはもとより、イオン化効率自体を上げることが重要である。
 また特に、アンビエントイオン化法では一般に、液体クロマトグラフ等による成分分離が行われない試料がそのまま分析に供されるため、分析対象である目的成分とともに多くの夾雑成分が同時にイオン化される。そのため、マススペクトルには目的成分のピークと夾雑成分のピークとが混在することとなり、単純に感度を高くしても、目的成分の分析精度を上げることは難しい。こうしたことから、特定の成分のみの感度を選択的に上げることが望ましいものの、こうしたことは従来の高感度手法では実現が難しい。
 本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、主としてイオン源におけるイオンの生成効率自体を高めることで、より多くの試料由来のイオンを質量分析に供し、それによって分析感度を高めることができるイオン化装置及び該イオン化装置を用いた質量分析装置を提供することである。また本発明の他の目的は、試料中の特定の成分由来のイオンの生成効率を高めることができるイオン化装置及び該イオン化装置を用いた質量分析装置を提供することである。
 本願発明者は、イオン化のメカニズムなどの研究を長年に亘り続ける中で、これまでの大気圧コロナ放電イオン化法とは異なる発想に基づく、新規な大気圧コロナ放電イオン化法を開発し、特許文献1などにおいて提案している。この大気圧コロナ放電イオン化法は、試料成分をイオン化するメカニズム自体はAPPI等に使用されている一般的な大気圧コロナ放電イオン化法と同様であるが、コロナ放電用の針電極の形状とその配置、或いは、針電極に印加する電圧を工夫することにより、化学反応によるイオン化領域の電位勾配を調整し、イオン化のための反応イオン種を制御することができるようになっている。本願発明者は、上述した従来の大気圧イオン化法、或いはアンビエントイオン化法によるイオン化装置におけるイオン化効率を改善するために、上記新規な大気圧コロナ放電イオン化法を適切に利用することに想到し、本発明をするに至った。
 即ち、上記課題を解決するためになされた本発明に係るイオン化装置は、大気圧雰囲気の下で試料由来のイオンを生成し、該イオンをイオン導入開口を通して、よりガス圧の低い後段へと導入するイオン化装置であって、
 a)大気圧雰囲気の下で固体状又は液体状である試料中の試料成分を気化又は脱離させつつイオン化する第1イオン化部と、
 b)前記第1イオン化部により生成されたイオンを含む気体状分子が前記イオン導入開口に到達するまでの領域に配置され、先端部が曲面状に形成された針電極と、前記イオン導入開口に対する前記針電極の相対位置及び/又は相対角度を調整するためのイオン化条件調整部と、前記針電極に高電圧を印加する電圧印加部と、を含み、前記電圧印加部から前記針電極に電圧を印加してコロナ放電を生じさせ、該コロナ放電により大気成分又は溶媒分子をイオン化して反応イオンを生成し、試料分子と該反応イオンとの反応によって該試料分子をイオン化する第2イオン化部と、
 を備えることを特徴としている。
 本発明に係るイオン化装置において第1イオン化部は、大気圧雰囲気の下で、固体状又は液体状である試料中の試料成分を気化させつつイオン化する。この第1イオン化部で利用されるイオン化法は、試料中の成分をイオン化する際に、該成分分子を試料から気化又は脱離させると同時にイオン化するもの、試料から成分分子を気化させたあとにその気体状分子をイオン化するもの、のいずれでもよい。また、試料から直接的に試料由来イオンを生成させるもので、同時にイオン以外の中性の分子が試料から生成するイオン化法でもよい。
 第1イオン化部において試料中の成分はイオン化されるものの、一般に、そうして生成されたイオンが集まったイオン流やイオン雲には、イオン化されなかった中性の分子が多く存在する。このような中性の分子を含むイオン流又はイオン雲がイオン導入開口に向かって進行する際に、第2イオン化部の針電極によるコロナ放電で生成された反応イオンに中性分子が接触すると、化学反応によってイオン化される。即ち、まず第1イオン化部で試料中の成分がイオン化され、その際にイオンにならなかった中性の成分分子も第2イオン化部によってイオン化される。このように本発明に係るイオン化装置では、二つの段階でそれぞれイオン化を行うことができ、イオン化効率を改善することができる。
 特に第2イオン化部では、針電極の先端面が回転双曲面等の曲面状に形成されているため、先端面上の異なる部位から放出された電子はそれぞれ異種の反応イオンを生成する。また、こうして生成された反応イオンは、針電極の先端面とイオン導入開口が形成されている部材(対向電極)との間のイオン化領域の電位勾配によってそれぞれ移動する。イオン化条件調整部によりイオン導入開口に対する針電極の相対位置や相対角度を変更すると、上記イオン化領域における電位勾配が変化して、イオン導入開口に導入される反応イオンの種類も変化する。この反応イオンの移動軌跡は、該反応イオンとの反応によって生じる試料由来イオンの軌跡と同一であるとみなせるから、イオン化条件調整部によりイオン導入開口に対する針電極の相対位置や相対角度を適切に調整すると、試料に含まれる各種成分(夾雑成分も含む)の中で、目的成分をイオン化するのに適した反応イオン種を効率よく針電極からイオン導入開口まで移動させることができ、ひいては該反応イオンとの反応によって生成された目的成分由来のイオンを効率よくイオン導入開口近傍に集めることができる。その結果、単にイオン化効率を上げるだけでなく、試料中の目的成分由来のイオンを効率よく生成し、イオン導入開口を通して後段へと送ることができる。
 また、第2イオン化部において針電極に印加する電圧を変化させても針電極の先端面上の各部位の電位が変化するから、上記イオン化領域における電位勾配も変化する。そこで、本発明に係るイオン化装置において、好ましくは、上記電圧印加部は電圧を調整可能であり、上記イオン化条件調整部によりイオン導入開口に対する針電極の相対位置及び/又は相対角度を調整するとともに、上記電圧印加部から針電極に印加する電圧を調整することにより、試料中の特定の成分のイオンがイオン導入開口を通過する量を調整可能とした構成とするとよい。
 この構成により、第2イオン化部におけるイオン化効率をさらに向上させ、第1イオン化部と第2イオン化部とを合わせた総合的なイオン化効率を改善することができる。
 また本発明に係るイオン化装置において、第1イオン化部におけるイオン化法として、ESI法やAPCI法を含む各種大気圧イオン化法を用いることができるが、その中でも特に、アンビエントイオン化法を用いるとよい。上述したように、アンビエントイオン化では、通常、試料の調製や前処理を行わないので、試料に含まれる夾雑成分が比較的多いが、本発明に係るイオン化装置によれば、目的成分を狙ってその感度を特に上げることができるので、夾雑成分の影響を相対的に下げることができる。
 上述したように、アンビエントイオン化法には、すでに述べたDART法、DESI法、PESI法、ELDI法、ASAP法のほか、様々なイオン法がある。その中でも特に、第1イオン化部のイオン化法としては、固体状又は液体状の試料から気化又は脱離によって気体状の試料成分分子を発生させ、発生した試料成分分子をイオン化する、という2段階の過程で試料中の成分をイオン化するイオン化法が好ましい。
 何故なら、こうしたイオン化法では一般に、第1段階において多量に生成された気体状の試料成分分子のうち、第2段階でイオン化されない成分分子がかなりの割合で残る場合があるからである。即ち、第1イオン化部がこうしたイオン化法である場合、比較的多量の気体状の試料成分分子が第2イオン化部のイオン化領域に供給される可能性が高く、第2イオン化部でのイオン化が活きることになる。
 また、一般にイオン化は様々なメカニズムで行われ、同じ成分が含まれる試料であっても、イオン化のメカニズムが異なると、生成されるイオン種が大きく相違することがある。そのため、第1イオン化部におけるイオン化のメカニズムが第2イオン化部におけるイオン化のメカニズムと大きく異なると、生成されるイオンの種類が増える代わりに各イオンの感度自体は上がらない可能性がある。そのため、イオンの感度向上のためには、第1イオン化部におけるイオン化のメカニズムと第2イオン化部におけるイオン化のメカニズムとが同じ又は近いことが望ましい。
 こうしたことから、第1イオン化部のイオン化法として最も好ましいものの一つはDART法である。即ち、まずDART法で試料中の成分のイオン化を行い、その際にイオン化されなかった気体状の試料成分分子を第2イオン化部による大気圧コロナ放電イオン化法でイオン化することにより、DART法のみのイオン化を行った際に得られるマススペクトルの質を殆ど変えずに(つまり、検出されるイオン種を変えずに)、それぞれのイオンの感度を向上させることができる。
 また、第1イオン化部としてDART法を用いる場合、励起三重項分子ヘリウムなどの励起種を含む加熱ガスを吹き出すノズルの出口端に対する針電極の配置が重要である。即ち、該ノズル出口端と針電極とを或る程度の距離離す必要がある。これは、主として、ノズル出口端と針電極との間に試料を配置する場合に、ノズル出口端から出た励起種が周囲の大気中の水分子をペニングイオン化するための空間が、ノズル出口端と試料との間に必要であることによる。ただし、試料と針電極との間隔を広げすぎると、中性であって電場の影響を受けない試料成分分子が拡散してしまって、針電極からのコロナ放電で生成される反応イオンが存在する領域に到達しにくくなる。
 そこで、例えば、イオン導入開口に対する針電極の位置は、コロナ放電により生成された反応イオンをイオン導入開口に導くのに十分な電位勾配がイオン導入開口(又は対向電極)との間に形成されるような位置に定めるとよい。一方、ノズル出口端に対する針電極の位置は、ノズル出口端から放出されたガスが針電極からのコロナ放電の作用によりプラズマ化し、ノズル出口端から針電極近傍まで延伸するプラズマジェットが形成されるような位置に定めるとよい。このとき、試料は、目視でも観測可能なプラズマジェット中に配置するとよい。ノズル出口端、針電極、及び試料の相対位置をこのように定めることで、大気圧コロナ放電イオン化を有効に利用して高い感度を達成することができる。
 また、上記ノズルから吹き出す加熱ガスの流れは、針電極と対向電極との間の電位勾配に応じたイオン導入開口へのイオンの誘引を妨げる一因になり得る。そこで、好ましくは、ノズルから吹き出すガス流の中心軸とイオン導入開口の中心軸とを一直線上に配置しない、軸ずらし又は軸外しの配置とするとよい。
 本発明に係るイオン化装置及び質量分析装置によれば、試料から生成された気体状の成分分子をイオン化する効率を高めることができるので、より多くのイオンを質量分析に供することができ、高い分析感度を達成することができる。また、本発明に係るイオン化装置及び質量分析装置では、第2イオン化部の針電極とイオン導入開口との間に形成される電場の作用により、試料由来のイオンを効率よくイオン導入開口の近傍に集めることができる。それにより、イオン導入開口を通した後段へとのイオンの導入効率も向上し、質量分析により多くのイオンを供給するのに有効である。
 さらにまた、本発明に係るイオン化装置及び質量分析装置によれば、試料に含まれる各種成分のイオン化効率を全体的に高めるほかに、例えば分析者が着目している目的成分由来のイオンのイオン化効率を選択的に高めることができる。それにより、夾雑成分が比較的多い試料を分析するような場合でも、目的成分の検出が容易になり、例えば該成分の存在の有無の判定の正確性が向上する。
本発明に係るイオン化装置を用いた質量分析装置の一実施例の要部の構成図。 図1中の針電極支持機構の概略構成図。 針電極とイオン導入管(イオン導入開口)との間に形成される電場中の電気力線の概念図。 本発明の効果の確認実験におけるイオン化装置の構成要素の配置を示す図。 本発明の効果の確認実験結果を示す図。
 以下、本発明に係るイオン化装置を用いた質量分析装置の一実施例について、添付図面を参照して説明する。
 図1は本実施例の質量分析装置の要部の構成図である。
 本実施例の質量分析装置は、大気圧雰囲気であるイオン化室30と図示しない高性能の真空ポンプにより真空排気される高真空雰囲気である分析室37との間に、段階的に真空度が高められた第1中間真空室32及び第2中間真空室35を備えた多段差動排気系の構成を有する。イオン化室30には、DARTイオン化ユニット10と、大気圧コロナ放電イオン化用の針電極20と、試料ホルダ26により保持される分析対象である試料25と、が配設されている。このイオン化室30と次段の第1中間真空室32との間は、細径のイオン導入管31を通して連通している。
 第1中間真空室32と第2中間真空室35との間は頂部に小孔(オリフィス)を有するスキマー34で隔てられ、第1中間真空室32と第2中間真空室35とにはそれぞれ、イオンを収束させつつ後段へ輸送するためのイオンガイド33、36が設置されている。この例では、イオンガイド33は、イオン光軸Cに沿って配列された複数の電極板を1本の仮想的なロッド電極とし、イオン光軸Cの周囲に複数本(例えば4本)の仮想的ロッド電極を配置した構成である。また、イオンガイド36は、イオン光軸Cに沿う方向に延伸するロッド電極をイオン光軸Cの周囲に複数本(例えば8本)配置した構成である。ただし、イオンガイド33、36の構成はこれに限らず適宜変更することができる。また、分析室37内部には、イオンを質量電荷比m/zに応じて分離する四重極マスフィルタ38と該四重極マスフィルタ38を通り抜けたイオンを検出するイオン検出器39が設置されている。このイオン検出器39による検出信号はデータ処理部40へと送られる。
 電源部41は、分析制御部42の制御の下に、DARTイオン化ユニット10、イオンガイド33、36、四重極マスフィルタ38などにそれぞれ所定の電圧を印加するものである。分析制御部42には、ユーザ(分析者)により操作される入力部43や表示部44が接続されている。なお、一般に、分析制御部42やデータ処理部40は、パーソナルコンピュータをハードウエア資源とし、該コンピュータに予めインストールされた専用の制御・処理ソフトウエアを実行することにより、それぞれの機能を達成する構成となっている。
 図1に示すように、DARTイオン化ユニット10は、放電室11、反応室12、加熱室13の3室を有する。初段の放電室11にはヘリウム(又はネオン、窒素などの他の不活性ガスでもよい)を導入するためのガス導入管14が接続され、また放電室11内部には針電極15が配設されている。最終段の加熱室13には図示しないヒータが付設されており、また該加熱室13の出口であるノズル18にはグリッド電極19が設けられている。このDARTイオン化ユニット10は、以下のような動作原理により、ノズル18の前方に設置された試料25に含まれる各種成分をイオン化する。
 即ち、ガス導入管14を通して放電室11内にヘリウムが供給され、ヘリウムが放電室11内に充満した状態で針電極15に高電圧が印加されると、針電極15と例えば接地電位である隔壁16との間で放電が生じる。この放電によって、例えば基底一重項分子ヘリウムガス(11S)は、ヘリウムイオン、電子、及び励起された励起三重項分子ヘリウム(23S)の混合物に変化する。これら混合物は次の反応室12に入るが、反応室12の入口側隔壁16と出口側隔壁17とにそれぞれ印加されている電圧により生成される電場の作用により、電荷を有するヘリウムイオンと電子とは反応室12で遮断され、電気的に中性である励起三重項分子ヘリウムのみが加熱室13へと送り込まれる。
 そうして加熱室13において高温に加熱された励起三重項分子ヘリウムが、グリッド電極19を通してノズル18から噴出する。DARTイオン化ユニット10が設置されたイオン化室30内は大気雰囲気であり、ノズル18の外側には大気が存在する。加熱された励起三重項分子ヘリウムはこの大気中の水分子をペニングイオン化する。これにより生成された水分子イオンは励起状態にある。また、励起三重項分子ヘリウムを含むガスは高温であるため、このガスが試料25に吹き掛けられると、試料25中の成分分子は気化する。気化により発生した成分分子に励起状態の水分子イオンが作用すると、反応を生じて該成分分子をイオン化する。このようにしてDARTイオン化ユニット10では、固体状や液体状の試料をそのまま、つまり、その場に置いた状態でイオン化することができる。
 一般的なDARTイオン源搭載質量分析装置では、上記のようにして試料25から生成されたイオンがそのまま質量分析に供される。それに対し、本実施例の質量分析装置では、DARTイオン化ユニット10だけでなく、針電極20、針電極支持機構21、針電極位置駆動部22、高電圧発生部23等を含む大気圧コロナ放電イオン源が、試料25から発生した気体状の成分分子のイオン化を促進する。この大気圧コロナ放電イオン源の基本的な構成やイオン化の原理は、特許文献1に開示されているものである。
 図2は、DARTイオン化ユニット10のノズル18とイオン導入管31のイオン導入開口31aとの間に配置される針電極20及び針電極支持機構21の概略図である。
 針電極20の先端部20aは、中心軸Sの周りに回転対称である双曲面、放物面、又は楕円面で近似され、且つ最先端の曲率が3マイクロメートル以下の曲面状に形成されている。この針電極20を支持する針電極支持機構21は、該針電極20を図中のX軸及びY軸の2軸方向にそれぞれ移動可能なX-Y軸駆動機構213と、Z軸方向に移動可能なZ軸駆動機構212と、Z軸方向を中心にその全周で所定角度だけ針電極20を傾動可能である傾動機構211と、を含む。なお、ここでは便宜上、ノズル18からのガスの噴出方向及びイオン導入管31のイオン吸い込み方向を共にX軸方向と定めている。
 上記各機構211~213はいずれもモータ又はそれ以外のアクチュエータを含み、それぞれ針電極位置駆動部22から供給される駆動信号により駆動される。これによって、イオン導入管31に対する針電極20の相対位置や相対角度は、所定範囲で自由に設定可能となっている。ただし、このような針電極20の位置や傾き角度の調整は、モータ等の駆動源に依らず、マニュアルで行えるようにしてもよい。
 高電圧発生部23は分析制御部42からの指示に従って、正極性、負極性の所定電圧範囲の高電圧を針電極20に印加する。通常、本実施例の質量分析装置では、負極性の高電圧が針電極20に印加され、針電極20の先端部201は大気圧雰囲気の下で負コロナ放電により発光する。イオン導入管31は、例えば接地されることで0Vに固定されるか、或いは、電源部40から印加される所定の直流電位に設定される。そのため、針電極20に高電圧が印加されたとき、針電極20の先端部201とイオン導入管31の入口側壁面(イオン導入開口31aの周縁部)との間に電場が形成される。
 図3はこの電場中の電気力線の概念図である。針電極20の先端部201とイオン導入管31の入口側壁面との間の空間には、電場による電位勾配が形成される。この電位勾配によって、針電極20の先端部201の面上の異なる位置とイオン導入管31の入口側壁面との間には、図3中に点線で示すような電気力線があるものとみなすことができる。この電気力線は電場中の等電位面に直交する線である。そのため、図3(a)及び(b)に示すように、イオン導入管31の入口側壁面に対する針電極20の位置や角度が異なると、針電極20の先端部201の面上の同一位置から出た電気力線が、イオン導入管31の入り口側壁面上の異なる位置に達する。換言すれば、イオン導入管31のイオン導入開口31aに達する電気力線が出発する針電極20の先端部201の面上の位置は、イオン導入管31の入口側壁面に対する針電極20の位置や角度に依存する。また、針電極20に印加する電圧が変わると電場中の等電位面が変わるため、イオン導入管31のイオン導入開口31aに達する電気力線が出発する針電極20の先端部201の面上の位置が変化する。
 例えば図3には、針電極20の先端部201の面上の異なる位置の負電位点201a、201b、201cから発する電気力線を示しているが、図3(a)の状態では、中心軸S上に位置する負電位点201aから発した電気力線がイオン導入管31のイオン導入開口31aに達している。一方、図3(b)の状態では、中心軸Sから外れた負電位点201bから発した電気力線がイオン導入管31のイオン導入開口31aに達している。
 針電極20が負コロナ放電を生じるとき、針電極20の先端部201からは電子が放出される。針電極20の周囲には大気が存在するため、大気中の各種成分は針電極20から放出された電子によりイオン化され、負の反応イオンとなる。この負の反応イオンは上記電場による電位勾配に従って移動する。即ち、図3に示したような電気力線に沿って、針電極20の先端部201のごく近傍からイオン導入管31の入口側壁面の方向へと移動する。特許文献1にも記載されているように、針電極20の先端部201上の異なる負電位点から放出された電子はそれぞれ異なる種類の反応イオン(例えばNOx-、COx-、HO-など)を生成する。そのため、例えば図3において、負電位点201aの付近で生成される反応イオンと負電位点201bの付近で生成される反応イオンとは種類が異なる。この反応イオンが電気力線に沿って移動するから、図3(a)の場合と図3(b)の場合とでは、電場の作用でイオン導入管31のイオン導入開口31aに達する反応イオンの種類は相違することになる。
 上述したようにDARTイオン化ユニット10のノズル18から噴出したガスの作用により、試料25中の成分由来のイオンが生成されるが、それ以外に、イオン化されない中性の気体状成分分子がイオンとともに針電極20の先端部201付近を通り、イオン導入開口31aの方向へと向かう。その途中で、試料成分分子が反応イオンと接触すると、反応を生じて試料成分由来のイオンが生成される。試料成分分子は同じであっても反応イオン種が異なると生成されるイオンが異なり、そうして生成された試料成分由来のイオンも反応イオンと同様に電気力線に沿って移動する。そのため、針電極20の位置や傾き角度を変化させると、電気力線に沿ってイオン導入管31のイオン導入開口31aに達する試料成分由来のイオン種も変わることになる。また、針電極20に印加する電圧を変化させるようにしても同様である。
 上述したように、高電圧発生部23から針電極20に高電圧を印加してコロナ放電を発生させ、それによって反応イオンを生成させることで、DARTイオン化ユニット10ではイオン化されずに気体状分子として存在していた試料成分のイオン化を促進させることができる。それによって、試料25からの成分分子の気化や脱離の効率ではなく、イオン化の効率自体が向上する。それによって、イオン化室30内で生成される試料由来のイオンの量が増加し、イオン導入開口31aからイオン導入管31へと送り込まれるイオンの量も増加することなる。
 また、二段目の大気圧コロナ放電イオン源では、針電極支持機構21によりイオン導入開口31aに対する針電極20の相対的な位置や角度、さらには針電極20に印加する電圧を適宜調整することで、生成された試料成分由来の各種イオンの中で、特定の試料成分由来イオンを優先的にイオン導入開口31aに導くことができる。そのため、例えば、分析者がマススペクトルをリアルタイムで確認しながら、目的とする試料成分由来イオンのピーク強度が最大になるように、針電極20の相対的な位置や角度、及び/又は針電極20に印加する電圧を調整することで、全てのイオンの感度を上げるのではなく、目的とする試料成分由来イオンの感度を特に上げるようにすることができる。
 次に、本実施例の質量分析装置に搭載したイオン化装置の効果を検証した実験結果について説明する。この実験では、米国イオンセンス(Ion Sense)社製の大気圧直接分析イオンソースDART-SVPと島津製作所製の四重極型質量分析装置LCMS-2020との組み合わせに、大気圧コロナ放電イオン源を加えてシステムを構成した。ただし、このシステムでは、もともと質量分析装置に備えられているイオン化室の外側(大気圧雰囲気中)でイオン化を行い、生成されたイオンをイオン導入配管を通して一旦イオン化室内部へと導き、さらにイオン化室と第1中間真空質との連通するイオン導入管へと送り込むようにした。
 この実験に用いたシステムにおける、DARTイオンソースのノズル(図1中のDARTイオン化ユニット10のノズル18に相当するため符号18で示す)、針電極20、及びイオン導入配管(図1中のイオン導入管31に相当するため符号31で示す)の位置関係を図4に示す。
 ノズル18末端とイオン導入管31末端との間隔は10mmであり、ノズル18の中心軸C1とイオン導入管31の中心軸C2とは平行で且つ1~2mm程度ずらしてある。また、針電極21はその先端部201がノズル18末端から6mm離れた位置に配置され、その先端部201はノズル18の中心軸C1から中心軸C2とは反対方向に1mm程度離して配置されている。
 このような配置において、針電極21に所定の負極性の高電圧(例えば-1.5~-5kV程度の電圧)を印加して、負コロナ放電を生じさせると、針電極20の先端部201には青白い光を発する領域Bが形成される。一方、ノズル18の末端(ガス出口端)から中心軸C1に沿って紫色の光が細長く伸びる領域Aが形成される。この領域Aにおける光は、ガス中の物質によるプラズマジェットであると推測される。この領域A中に試料を配置すると、該試料中の成分の検出感度が高くなる。
 上記配置において試料の位置を最適位置としたときの実験結果を図5に示す。図5(a)は試料成分由来のイオンの信号強度の時間的変化を示すグラフであり、前半のピークP1は針電極20に電圧を印加しない(つまりコロナ放電がない)状態、後半のピークP2は針電極20に電圧を印加してコロナ放電を生じさせた状態に対応している。また、図5(b)は図5(a)中のピークP1に対応したマススペクトル、図5(c)は図5(a)中のピークP2に対応したマススペクトルである。即ち、図5(b)はDARTのみよるイオン化を行ったときのマススペクトルであり、図5(c)はDARTによるイオン化に大気圧放電コロナ放電イオン化を組み合わせたときのマススペクトルである。
 図5(b)と図5(c)とを比較すれば分かるように、DARTのみで比較的高い感度で検出されていたm/z164.0、及びm/z329.0である試料成分由来イオンの信号強度が、図5(c)では3倍以上に増加している。この実験結果から、本実施例の質量分析装置で採用したイオン化装置により、従来に比べて大幅な感度向上が達成できることが確認できる。
 上記実施例では、イオン化の第1段階においてDARTを利用していたが、DART以外の、上述した様々なイオン化法を用いることも可能である。もちろん、固体状又は液体状の試料を前処理することなくその場計測したい場合には、アンビエントイオン化と呼ばれる各種のイオン化法を用いることが好ましく、その中でも特に、イオン化の過程で気化又は脱離によって気体状の試料成分分子が多く生成されるイオン化法が好ましい。また、マススペクトルが複雑になることを避けつつ高感度化を図るには、大気圧コロナ放電イオン化法とイオン化のメカニズムが同じ又は近いイオン化法が好ましい。具体的には、上述したASAP法のほか、電荷支援レーザ脱離イオン化(CALDI=Charge assisted laser desorption/ionization)法などが好適である。CALDIは例えば、ジョラブチ(Jorabchi K)らの文献(「チャージ・アシステッド・レーザ・デソープション/イオナイゼイション・マス・スペクトロメトリ・オブ・ドロップレッツ(Charge assisted laser desorption/ionization mass spectrometry of droplets)」、ジャーナル・オブ・アメリカン・ソサイエティ・マス・スペクトロメトリ(J Am Soc Mass Spectrom.)、2008年、19巻、pp.833-840)などに詳述されている。
 また、上記実施例は本発明の一例にすぎず、第1段階に用いるイオン化法以外の点において、本発明の趣旨の範囲で適宜に修正、変更、追加などを行っても本願請求の範囲に包含されることは明らかである。
10…DARTイオン化ユニット
11…放電室
12…反応室
13…加熱室
14…ガス導入管
15…針電極
16…入口側隔壁
17…出口側隔壁
18…ノズル
19…グリッド電極
20…針電極
20a…先端部
21…針電極支持機構
22…針電極位置駆動部
23…高電圧発生部
25…試料
26…試料ホルダ
30…イオン化室
31…イオン導入管
31a…イオン導入開口
32、35…中間真空室
33、36…イオンガイド
34…スキマー
38…四重極マスフィルタ
39…イオン検出器
40…データ処理部
41…電源部
42…分析制御部
43…入力部
44…表示部

Claims (8)

  1.  大気圧雰囲気の下で試料由来のイオンを生成し、該イオンをイオン導入開口を通して、よりガス圧の低い後段へと導入するイオン化装置であって、
     a)大気圧雰囲気の下で固体状又は液体状である試料中の試料成分を気化又は脱離させつつイオン化する第1イオン化部と、
     b)前記第1イオン化部により生成されたイオンを含む気体状分子が前記イオン導入開口に到達するまでの領域に配置され、先端部が曲面状に形成された針電極と、前記イオン導入開口に対する前記針電極の相対位置及び/又は相対角度を調整するためのイオン化条件調整部と、前記針電極に高電圧を印加する電圧印加部と、を含み、前記電圧印加部から前記針電極に電圧を印加してコロナ放電を生じさせ、該コロナ放電により大気成分又は溶媒分子をイオン化して反応イオンを生成し、試料分子と該反応イオンとの反応によって該試料分子をイオン化する第2イオン化部と、
     を備えることを特徴とするイオン化装置。
  2.  請求項1に記載のイオン化装置であって、
     前記電圧印加部は電圧を調整可能であり、前記イオン化条件調整部によりイオン導入開口に対する針電極の相対位置及び/又は相対角度を調整するとともに、前記電圧印加部から針電極に印加する電圧を調整することにより、試料中の特定の成分のイオンがイオン導入開口を通過する量を調整可能としたことを特徴とするイオン化装置。
  3.  請求項1又は2に記載のイオン化装置であって、
     前記第1イオン化部はアンビエントイオン化法によるイオン化を行うものであることを特徴とするイオン化装置。
  4.  請求項3に記載のイオン化装置であって、
     前記第1イオン化部はリアルタイム直接イオン化法によるイオン化を行うものであることを特徴とするイオン化装置。
  5.  請求項4に記載のイオン化装置であって、
     前記イオン導入開口に対する前記針電極の位置は、コロナ放電により生成された反応イオンを前記イオン導入開口に導くのに十分な電位勾配が該イオン導入開口との間に形成される位置に定められることを特徴とするイオン化装置。
  6.  請求項4又は5に記載のイオン化装置であって、
     前記第1イオン化部は、リアルタイム直接イオン化法によるイオン化のために励起種を含むガスを噴出するノズルを含み、該ノズル出口端に対する前記針電極の位置は、該ノズル出口端から放出されたガスが該針電極からのコロナ放電の作用によりプラズマ化し、該ノズル出口端から前記針電極近傍まで延伸するプラズマジェットが形成されるような位置に定められることを特徴とするイオン化装置。
  7.  請求項6に記載のイオン化装置であって、
     前記ノズルから吹き出すガス流の中心軸と前記イオン導入開口の中心軸とを軸ずらし又は軸外しの配置としたことを特徴とするイオン化装置。
  8.  請求項1~7に記載のイオン化装置をイオン源として用いたことを特徴とする質量分析装置。
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