WO2014178144A1 - 油処理剤、その製造方法及び油処理方法 - Google Patents

油処理剤、その製造方法及び油処理方法 Download PDF

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Abstract

 本発明は、タンカーからの流出原油などの油を低コストで容易に分解・浄化することができる油処理方法、前記油処理方法に使用する新規な油処理剤及びその製造方法を提供する。 本発明の油処理剤は、砂及び/又はガラスに、溶融化剤と発泡剤を加え、加熱して発泡させた多孔質で独立気泡と連通気泡を有するペレットに、金属酸化物をコーティングし、さらに酸化剤を吸着させることによって製造され、該油処理剤を、水面に浮遊している油膜に散布し、その際に、太陽光などの光が当たるようにすることにより、流出原油などの油を効率良く分解し、浄化することができる。

Description

油処理剤、その製造方法及び油処理方法
 本発明は、タンカーからの流出原油などの油を分解・除去し清浄化する技術に関するものであり、さらに詳しくは、本発明は、タンカーからの流出原油などの油を容易に分解・除去し、清浄化することができる油処理剤、その製造方法及び油処理方法に関するものである。
 2010年4月20日に、米国ルイジアナ州沖合のメキシコ湾で、英石油大手BPの石油掘削施設(リグ)の爆発事故が起き、膨大な量の原油が流れ出した。この原油汚染は、流出が止まらず、広範囲に拡がって、過去最悪の環境汚染となった。また、我が国の近海でも、1997年1月17日に、ロシアタンカー「ナホトカ号」が島根県沖で座礁し、大量の原油が流出して、広範囲に拡がり、福井県や石川県など、北陸沿岸に漂着して、大きな被害が出た。
 このタンカーからの流出原油は、海岸の岩や砂にべっとりと付着し、海鳥なども原油まみれになり、それらを取り除くのに大変な労力が費やされた。このように、原油流出事故は、一度起きてしまうと、環境に極めて大きな被害を与える。
 また、流出原油の処理に関する先行技術として、例えば、“The anatase phase of titania is being considered for use in oil spill remediation due to its high photocatalytic efficiency and its activity under a wide range of environmental conditions”に関する総説(非特許文献1)や、“Photocatalytic pre-treatment with food-grade TiO increases the bioavailability and bioremediation potential of weathered oil from the Deepwater Horizon oil spill in the Gulf of Mexico”に関する研究論文(非特許文献2)による報告例がある。
 また、他の先行技術として、米国のAdam Hellerらによる実験では、中空のガラスビーズの表面に酸化チタン光触媒をコーティングして、これをタンカー事故の際に海上に流出する油類の分解に利用すること、すなわち酸化チタンをコーティングしたガラスビーズを油で汚染された海上に浮遊させて油を分解することが提案されている。
 また、他の先行技術として、特開2001-19954号公報では、天然の珪砂(SiO2)、ゼオライト、または珪藻土などの多孔構造の無機酸化物を砂状粒子に形成し、これを担体として、その表面および細孔に酸化チタン(TiO)光触媒の微粒子、または酸化チタンと金属酸化物との組み合わせ(TiOとZnOまたはNiOなど)による二元光触媒の微粒子、あるいは酸化チタンと遷移金属との組み合わせ(TiOと、Cu、Cr、Mo、またはCoなど)による二元光触媒の微粒子を高分散、高密度状態で担持した光分解性地表浄化剤が提案されている。
 そして、この特許文献には、油類分解作用として、上述の光分解性地表浄化剤は、タンカー事故の際に、原油や重油の流出による海岸一帯の地表汚染、すなわち岩石や砂場の表面に残留する油の、自然浄化力による分解を加速することが示されている。
 また、他の先行技術として、WO2007/082299には、基剤のオイルと、ホウ砂などのナノ粒子と、植物油などの有機媒体とを含む組成物、および該組成物を光触媒などの用途に利用することが提案されている。
 従来、こうした流出原油などの油を処理するため、ナホトカ号の事故では、人海戦術で流出した原油を柄杓ですくうという方法が採られたが、作業員は、原油の臭いで気分が悪くなったり、体調が悪くなったり、病気になって入院したりする人が続出した。また、メキシコ湾での事故では、合成洗剤や界面活性剤、中和剤などの化学処理剤で原油を海水に分散させて、海中に沈め、微生物によって分解させる方法が採られた。
 しかし、化学処理剤を用いる方法は、海洋生物に悪影響を与えて、生態系を破壊する可能性が非常に大きく、環境破壊が危惧されており、多量の化石資源を消費し、かつ非常にコストがかかるという問題があった。その上、化学分散剤では、海洋生物に与える悪影響を考慮して多くの国では水深10m以下の海域においては使用を禁止している。また、流出原油などの油に微生物を直接散布する方法も知られているが、そこに生息していない微生物を散布して繁殖させるため、生態系を破壊するという問題があった。さらに、中空のガラスビーズの表面や天然の珪砂などの多孔構造の無機酸化物の表面に酸化チタンをコーティングまたは担持させただけのものは、油膜との接触性や、酸化分解の効率性、光の利用性などの点で問題があり、油類の分解に非常に長い時間がかかるため、実用に供することができないのが実情であった。すなわち、光触媒は対象物質と接触しないと対象物質を分解することができないが、油が撥水性であるのに対し、酸化チタンは親水性であり、油類と接触しにくいため、また、酸化チタンは太陽光に約3%しか含まれていない紫外線しか利用できないため、分解の反応が遅く、油類の分解に非常に長い時間がかかっていた。しかも、油類が黒色で酸化チタンを覆った場合には、酸化チタンに光が当たらないため、分解反応を起こすことができなかった。そのため、実用に供することができなかった。
特開2001-19954号公報 WO2007/082299
Materialstoday,September 2010,Volume 13,Number 9 J.A.Brame et.al.,Chemosphere 90(2013),2315-2319
 以上のように、従来のタンカーからの流出原油などの油の処理方法は、人海戦術で流出した原油を柄杓ですくうという原始的な方法や、有害な化学処理剤、あるいは微生物を散布する方法であり、資源やエネルギーを浪費し、生態系を破壊する方法であった。特に浅い海での原油流出事故に対しては、有効な手段が無いのが現状である。そのため、当技術分野においては、安全性、簡易性に優れ、省資源かつ省エネルギーの油処理方法の開発が強く求められていた。
 このような状況の中で、本発明者らは、安全性、簡便性に優れ、しかも顕著な処理効果が得られる新しい流出原油などの油の処理方法を確立することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、砂に、溶融化剤と発泡剤を加えて発泡させたペレットに、金属酸化物をコーティングし、さらに酸化剤を吸着させ、これを、水面に浮遊している油膜に散布することにより、油が分解されて所期の目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
 すなわち、本発明は、安全性、簡便性に優れ、太陽光などの光エネルギーを利用して顕著な油分解処理効果が得られる新しい油処理方法を提供することを目的とする。また、本発明は、上記油処理方法に使用する新規な油処理剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
 上記課題を解決する本発明は、以下の技術的手段からなる。
(1)多孔質で独立気泡と連通気泡を有するペレットに、金属酸化物をコーティングし、酸化剤を吸着させた構造を有し、所定の表面積及びかさ比重を有することを特徴とする油処理剤。
(2)金属酸化物をコーティングし、
酸化剤を吸着させるとともに表面を撥水性にした構造を有する、前記(1)に記載の油処理剤。
(3)かさ比重が1以下である、前記(1)又は(2)に記載の油処理剤。
(4)水に漬けたときに水面に露出している表面積が全体の表面積の3割以上である、前記(1)又は(2)に記載の油処理剤。
(5)金属酸化物が、酸化チタン、酸化タングステン、酸化鉄、酸化亜鉛の内から選ばれた少なくとも一種である、前記(1)又は(2)に記載の油処理剤。
(6)酸化剤が、酸素、オゾン、過酸化水素、過酸化物の内から選ばれた少なくとも一種である、前記(1)又は(2)に記載の油処理剤。
(7)ペレットが、砂及び/又はガラスに、溶融化剤及び/又は発泡剤を加えて発泡させたものである、前記(1)又は(2)に記載の油処理剤。
(8)溶融化剤が、アルカリ性化学物質である、前記(7)に記載の油処理剤。
(9)発泡剤が、炭酸塩あるいは炭化物から選ばれた少なくとも一種である、前記(7)に記載の油処理剤。
(10)砂及び/又はガラスに、溶融化剤及び/又は発泡剤を加え、加熱し、多孔質で独立気泡と連通気泡を有するペレットに成形し、その表面に金属酸化物をコーティングする、あるいは金属酸化物をコーティングするとともに、酸化剤を吸着させることを特徴とする油処理剤の製造方法。
(11)溶融化剤及び/又は発泡剤を加え、加熱し、多孔質で独立気泡と連通気泡を有するペレットに成形し、その表面に金属酸化物をコーティングし、酸化剤を吸着させるとともに表面を撥水性にする、前記(10)に記載の油処理剤の製造方法。
(12)溶融化剤が、アルカリ性化学物質である、前記(10)又は(11)記載の油処理剤の製造方法。
(13)発泡剤が、炭酸塩あるいは炭化物から選ばれた少なくとも一種である、前記(10)又は(11)記載の油処理剤の製造方法。
(14)金属酸化物が、酸化チタン、酸化タングステン、酸化鉄、酸化亜鉛の内から選ばれた少なくとも一種である、前記(10)又は(11)記載の油処理剤の製造方法。
(15)酸化剤が、酸素、オゾン、過酸化水素、過酸化物の内から選ばれた少なくとも一種である、前記(10)又は(11)記載の油処理剤の製造方法。
(16)ペレット表面をアルキル化あるいはフッ素化することにより、表面を撥水性にする、前記(11)記載の油処理剤の製造方法。
(17)ペレット表面に撥水剤を塗布することにより、表面を撥水性にする、前記(11)記載の油処理剤の製造方法。
(18)砂及び/又はガラスに、溶融化剤及び/又は発泡剤を加えて発泡させたペレットに、金属酸化物をコーティングし、さらに酸化剤を吸着させた油処理剤を、そのまま、又はさらに表面を撥水性にして、水面に浮遊している油膜に散布することにより油を分解、浄化することを特徴とする油の処理方法。
(19)溶融化剤及び/又は発泡剤を加えて発泡させたペレットに、金属酸化物をコーティングし、酸化剤を吸着させ、さらに表面を撥水性にした油処理剤を、水面に浮遊している油膜に散布し、さらに酸化剤又は酸化剤と金属酸化物の混合物を散布することにより油を分解、浄化する、前記(18)に記載の油の処理方法。
(20)溶融化剤及び/又は発泡剤を加えて発泡させたペレットに、金属酸化物をコーティングし、酸化剤を吸着させた油処理剤を、そのまま、又はさらに表面を撥水性にして、水面に浮遊している油膜に散布し、又はさらに酸化剤又は酸化剤と金属酸化物の混合物を散布して、油を分解した後、油処理剤が沈降して水面から消失するようにすることを特徴とする油の処理方法。
(21)溶融化剤が、アルカリ性化合物である、前記(18)又は(20)に記載の油の処理方法。
(22)発泡剤が、炭酸塩あるいは炭化物である、前記(18)又は(20)に記載の油の処理方法。
(23)金属酸化物が、酸化チタン、酸化タングステン、酸化鉄の内から選ばれた少なくとも一種である、前記(18)又は(20)に記載の油の処理方法。
(24)酸化剤が、酸素、オゾン、過酸化水素、過酸化物の内から選ばれた少なくとも一種である、前記(18)又は(20)に記載の油の処理方法。
(25)酸化剤を吸着させた油処理剤を、そのまま、又はさらに表面を撥水性にして、水面に浮遊している油膜に散布し、可視光を含む光を照射する、前記(18)又は(20)に記載の油の処理方法。
 次に、本発明についてさらに詳細に説明する。
 上記の目的を達成するための、本発明の油処理剤は、砂及び/又はガラスに、溶融化剤及び/又は発泡剤を加えて発泡させて多孔質で独立気泡と連通気泡を有するペレットを作製し、それを基材として、これに金属酸化物をコーティングし、それに、さらに酸化剤を吸着させ、必要により表面を撥水性にしたものである。本発明では、該油処理剤を、水面に浮遊している、タンカーからの流出原油などの油膜に散布することにより、太陽光などの可視光を含む光が油処理剤の表面に当たって活性酸素が発生し、その強力な酸化力により油が分解されて所期の目的を達成するものである。
 本発明の油処理剤は、有害な化学物質を使用せず、これまで未利用、かつ無尽蔵で、低コストで大量に入手可能な砂漠の砂やガラスを原料として使用し、化石燃料などを利用せず、太陽光などのその場にある光のエネルギーを利用するだけで油を処理することができるため、その経済性、作業の簡易性で有利であり、その環境浄化効果は顕著である。
 本発明の油処理剤は、一つの好適な態様として、砂及び/又はガラスに、溶融化剤及び/又は発泡剤を加えて、加熱し、発泡させて、多孔質で独立気泡と連通気泡を有するペレットを作製し、それを基材として、その表面に金属酸化物をコーティングし、それに、さらに酸化剤を吸着させ、必要により表面を撥水性にすることによって製造される。
 ここで、原料の砂としては、例えば、サウジアラビアなどの砂漠の砂やそれと同等又は類似の砂漠の砂を用いることができる。また、原料のガラスとしては、例えば、ホウ砂、廃ガラス、毒性の強い鉛やヒ素等の添加物の入っていないビンやこれらと同等又は類似のものを用いることができる。
 ここで、溶融化剤は、砂及び/又はガラスの融点を下げて低温で砂及び/又はガラスを溶融させ、油処理剤を省エネルギーで製造するためのものであり、具体的には、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウムなどのアルカリ性化学物質が挙げられる。
 また、発泡剤は、製造時にガスを発生させて発泡させるものであり、具体的には、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの炭酸塩、あるいは炭化チタン、炭化珪素などの炭化物、それらの混合物が挙げられる。例えば、砂をそのまま加熱して融解しようとすると、2000℃程度の温度が必要であるが、砂に溶融化剤を加えると、1000℃以下の低温で融解できるため、省エネルギーで融解することができる。
 本発明の油処理剤は、通常、水や海水に浮かべて使用するため、かさ比重が1又はそれ以下であることが望ましい。そして、該油処理剤を水面に浮遊している油膜に散布することにより、油処理剤が油と接触して油を分解していくため、水面に露出している油処理剤の表面積が大きいほど、油と接触しやすくなり、処理効率が大きくなる。そのため、油処理剤を水に漬けたときに水面に露出している該油処理剤の表面積が全体の表面積の3割以上であることが望ましい。これ以上、表面積が小さいと処理効率が小さくなって処理に時間がかかってしまう。
 そして、この砂及び/又はガラスに発泡剤を加えて加熱すると、発泡して軽量の発泡ガラスができ、それを砕くことで、水に浮く軽量の発泡ガラスのペレットを作ることができる。この際、加熱時間を長く取ると、細孔の大きな、比重の軽いペレットを作ることができるが、加熱時間があまりに長すぎると連通気泡の割合が多くなり、水がしみ込んで直ぐに沈んでしまう。
 油を分解するためには、一定時間ペレットが水面に浮遊して光に当たる必要がある。その反面、油を分解した後も長くペレットが水面に浮遊していると邪魔になってしまう。そのため、必要な時間だけペレットが水面に浮遊して、その後は沈んでしまうようにするために、ペレットが有する独立気泡と連通気泡の割合が最適になるように、適切な加熱時間を取る必要がある。
 本発明で用いられる、水に浮く、軽量の発泡ガラスのペレットの形は、粒状、球状、棒状、円板状、板状など、どのような形でもかまわないが、通常、発泡ガラスを破砕して製造するため、粒状や粉状などになっている。そのペレットの大きさは、あまり細かすぎると風で飛んだりして散布しにくく、大きすぎると油膜に散布した時に油と十分に接触することが難しくなるため、通常、径が数mm~数cmの大きさのものが用いられる。
 本発明で用いられる金属酸化物は、光の照射によって活性酸素を生成して油を二酸化炭素や水に分解するものであり、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化銅、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化鉄.酸化インジウム、酸化タングステン、及びそれらを組み合わせたもの、さらに、それらをシリカやアルミナ、ゼオライトなどの担体に担持したものが挙げられる。
 その中で、酸化チタン、酸化タングステン、酸化鉄、酸化亜鉛などが、性能面や安全性などから好ましいが、光の利用効率を上げるために、酸素欠陥型や、金属ドープ型、金属担持型、窒素ドープ型の窒素置換型酸化チタンなどにしたものや、窒化物や炭化物などにしたものであっても良く、特に好適であるのは酸化チタン-酸化鉄複合体や酸化チタンにアパタイトと鉄を複合化した酸化チタン-アパタイト-鉄複合体である。
 酸化チタンとアパタイト、鉄は、安全性・耐久性に優れた物質であり、酸素欠陥型や金属ドープ型、金属担持型、窒素ドープ型、窒化物、炭化物などは、酸化剤との反応により化学変化を起こしてしまうため、少し不安定である。金属酸化物の形状としては、例えば、粒子径約4~100nmの微粒子又はそれを主体とするものが好適なものとして用いられるが、これらに限らず、薄片状など、その形態、性状を問わず同様に使用することができる。
 水に浮く、軽量の発泡ガラスのペレットに、金属酸化物をコーティングするための方法としては、金属酸化物の微粒子を分散して調製した溶液/ペーストに、発泡ガラスペレットを浸漬したり、ペレットに塗布したりした後、乾燥する方法と、金属酸化物の前駆体である金属アルコキシド、例えば、酸化チタンの前駆体であるチタンテトライソプロオキシドなどの有機金属化合物の溶液に、発泡ガラスのペレットを浸漬したり、ペレットに塗布や吹き付け、コーティングなどで付着したりした後、焼成する方法が挙げられる。その場合の焼成温度は、通常、500~600℃程度である。
 この際、発砲ガラスのペレットの粒子径の小さいものは、高活性が期待できること、該ペレットに付着させる金属酸化物の量が少なくて済み、使用量を低減できること、透明な溶液/ペーストを調製できること、などの利点があり、塗布膜を薄くでき、光の散乱が抑えられて溶液/ペーストの中まで光が通るので、高い油分解効果や環境浄化効果が得られることから、特に、望ましい。
 本発明で用いられる酸化剤は、効率良く活性酸素を生成させるためのものであり、例えば、酸素、オゾン、過酸化水素、過酸化物などが挙げられ、特に過酸化水素や過炭酸カリウムが好適であり、使用する際の濃度は6%以下の低濃度で十分であり、安全に使用できる。
 金属酸化物をコーティングした発泡ガラスペレットに酸化剤を吸着させるための方法としては、通常、酸化剤のガスや水溶液の中に金属酸化物をコーティングした水に浮く軽量の発泡ガラスのペレットを浸漬した後、取り出して乾燥するなどの方法が挙げられる。この際、乾燥は、自然乾燥や天日乾燥で良いが、短時間で行う場合には、オーブンなどを用いた加熱乾燥を行っても良い。そのときの温度は、あまり高温にすると酸化剤が分解してしまうので、100℃以下が望ましい。
 上記金属酸化物や酸化剤などの成分の量は、例えば、処理する油の色の濃淡や油膜の厚さ、油中の汚れや雑菌、有害物質が少ない場合と多い場合で、適宜、変更、調節することが可能であり、それにより、状況に応じた製品を揃えることができる。また、本発明で、発砲ガラスのペレットへの金属酸化物の塗布や浸漬、吹き付け、コーティングの回数は、油の色の濃淡や、油膜の厚さ、油中の汚れなどの油の特性に応じて適宜調整すれば良い。
 本発明の油処理剤は、表面に付けられている金属酸化物や酸化剤が親水性であるため、表面が親水性となっており、油を吸着しにくいため、接触してくる油を順番に分解していくが、表面を撥水性にすると、油を一旦吸着して、それから徐々に分解していくことができる。
 この油処理剤の表面を撥水性にする方法としては、エチルシリケートなどのアルキル化剤の溶液や、フッ化物などの溶液に、発砲ガラスのペレット、すなわち、該ペレットの表面に金属酸化物をコーティングし、酸化剤を吸着させた発泡ガラスのペレットを浸漬し、取り出した後、乾燥することによって、油処理剤の表面の水酸基をアルキル化やフッ素化させて撥水性にする方法や、フッ素系やシリコン系などの撥水剤を、酸化剤を吸着させた発泡ガラスのペレットに塗布することなどによって、撥水性にする方法が挙げられる。
 なお、発泡ガラスのペレットの表面に金属酸化物をコーティングし、酸化剤を吸着させる場合、金属酸化物と酸化剤の混合物をコーティングしても良い。また、金属酸化物をコーティングした発泡ガラスのペレットに酸化剤を吸着させ、表面を撥水性にする場合、酸化剤を吸着させた後に表面を撥水性にしても良いし、表面を撥水性にした後に酸化剤を吸着させても良い。さらに、酸化剤と撥水剤を混合して金属酸化物をコーティングした発泡ガラスのペレットに塗布しても良い。
 本発明の油処理剤による油の分解は、例えば、タンカーからの流出原油や港湾に浮いている油、切削油の廃水などの、水面に浮遊している油膜に散布し、太陽光などの光が当たるようにすることにより実施され、それにより、油を酸化して効率良く分解することができる。この際、本発明の油処理剤を油膜に散布した後、さらに、酸化剤又は酸化剤と金属酸化物の混合物を散布すると、より効率的に油を分解することができる。ここで、油の処理コストを下げるため、油処理剤として、金属酸化物をコーティングした発泡ガラスのペレットに酸化剤を吸着させず、表面を撥水性にしただけのものを用いても良い。
 本発明に用いられる光としては、太陽光でも、電灯などの人工光であっても良く、人工光源としては、一般に、白熱灯、UVランプなどが例示されるが、安全性、簡便性、環境浄化効果の点から、特に、LED(発光ダイオード)、半導体レーザー、ケミカルランプ、ブラックライトなどが好適なものとして挙げられる。照射する光は、光触媒作用による活性酸素の発生及びその酸化作用の点から、紫外線など、エネルギーの大きな短波長の光を多く含む光が望ましいが、紫外線は、人体に炎症やガンを引き起こし、有害であるため、安全性の面からは、可視光、特に波長の短い紫や青などの可視光が好ましい。
 本発明の油処理剤は、粉末やペレットの形態にして用いられ、いろいろな大きさのものがあり、処理する油膜に応じて適宜最適なものが選択されるが、通常、油が広がっている水面の面積が大きい場合は、油処理剤のペレットも大きい方が使いやすく、さらに、さまざまな大きさのものを混ぜて使用しても良い。また、回収を容易にするために、数珠つなぎにしたり、ネットに入れたりして使用しても良い。
 本発明の油処理剤の主たる作用は、光触媒作用であり、金属酸化物に光を照射すると電子と正孔を生じ、その正孔が水酸イオンなどと反応して活性酸素が生じる。この活性酸素は、オゾンよりもはるかに強力な酸化力を持ち、ほぼすべての有機物を炭酸ガスにまで酸化分解することができ、これによって、有機物に起因する汚れを分解して除去することができる。
 その際に、光を照射し続けると、電子が蓄積し、蓄積された電子が正孔と結合してしまうため、酸化分解反応が止まってしまうが、本発明の油処理剤の中の酸化剤がこの電子と反応して電子を除去するため、連続的に、効率良く酸化分解反応を進めることができる。
 また、本発明の油処理剤を、タンカーからの流出原油や港湾に浮いている油、切削油の廃水などの、水面に浮遊している油膜に散布することにより、油処理剤は、効率良く油膜と接触させることができ、該油処理剤の表面に酸化剤が添加されているため、油処理剤と油との界面に容易に活性酸素を生じ、それにより、該油処理剤の表面の油を効率良く酸化分解することができる。
 さらに、金属酸化物、特に、酸化チタンにアパタイトと鉄を複合化した複合体は、紫外線だけでなく、可視光の照射により容易に強力な酸化力を有する活性酸素を生じ、熱反応などによる活性酸素の生成効果も得られるため、酸化チタンにアパタイトと鉄を複合化した該複合体は、太陽光や電灯の利用効率に優れ、危険な紫外光を使用しなくても、効率良く油を分解して除去することができる。
 次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例1
 サウジアラビアの砂漠の砂に、珪酸ナトリウムと炭酸ナトリウムの粉末を加えて、よく混合し、800℃に加熱して、発泡ガラスのペレットを作製した。該ペレットに、粒子径20nmの酸素欠陥型酸化チタンの分散液をコーティングし、これに、5%過酸化水素水を塗布して、油処理剤を調製した。
 該油処理剤を、原油を水面の全面に浮かべたビーカーに散布し、7日間太陽光に晒した。その結果、水面の黒い原油が分解されて消失し、きれいに浄化された。珪酸ナトリウムと炭酸ナトリウムの粉末を使用しない場合には、800℃に加熱しても、発泡ガラスのペレットが作製できなかった。また、酸素欠陥型酸化チタンを使用しない場合には、原油を浄化できなかった。さらに、酸化剤である過酸化水素を使用しない場合には、ほとんど原油の分解、浄化効果が見られなかった。
実施例2
 バーレーンの砂漠の砂に、水酸化ナトリウムと炭化珪素の粉末を加えて、よく混合し、850℃に加熱して、発泡ガラスのペレットを作製した。該ペレットに、粒子径40nmのシリカに担持した酸化鉄の分散液をコーティングし、これに、過酸化カリウム1gを水50m1に添加したものを塗布して、油処理剤を調製した。
 該油処理剤を、原油を水面の全面に浮かべたビーカーに散布し、ケミカルランブの光を当て10日放置した。その結果、水面の黒い原油が分解されて消失し、きれいに浄化された。水酸化ナトリウムと炭化珪素の粉末を使用しない場合には、850℃に加熱しても、発泡ガラスのペレットが作製できなかった。また、シリカに担持した酸化鉄を使用しない場合には、原油を浄化できなかった。さらに、酸化剤である過酸化カリウムを使用しない場合には、ほとんど原油の分解、浄化効果が見られなかった。
実施例3
 ドバイの砂漠の砂に、水酸化カリウムと炭酸水素カリウムの粉末を加えて、よく混合し、900℃に加熱して、発泡ガラスのペレットを作製した。該ペレットに、チタンテトライソプロポキシドを塗布し、600℃で焼成し、酸化チタンをコーティングし、これに、過酸化ナトリウム1gを水50m1に添加したものを塗布して、油処理剤を調製した。
 該油処理剤を、油が浮いている港湾の水をバケツに入れて、100Wの蛍光灯の光を5日間当てた。その結果、水面の油が分解されて消失し、きれいに浄化され、いやな臭いもなくなった。水酸化カリウムと炭酸水素カリウムの粉末を使用しない場合には、900℃に加熱しても、発泡ガラスのペレットが作製できなかった。また、酸化チタンを使用しない場合には、油を浄化できなかった。さらに、酸化剤である過酸化ナトリウムを使用しない場合には、あまり浄化効果が見られなかった。
実施例4
 エジプトの砂漠の砂に、水酸化リチウムと炭酸カルシウムの粉末を加えて、よく混合し、820℃に加熱して、発泡ガラスのペレットを作製した。該ペレットに、粒子径30nmの酸化チタン-酸化鉄複合体0.5gを水100m1に添加した溶液をコーティングし、これに、過炭酸カリウム1gを水50m1に添加したものを塗布して、油処理剤を調製した。
 該油処理剤に切削油を塗布し、集光したブラックライトの光を4時間照射した。その結果、切削油が分解されて消失し、浄化された。水酸化リチウムと炭酸カルシウムの粉末を使用しない場合には、920℃に加熱しても、発泡ガラスのペレットが作製できなかった。また、酸化チタン-酸化鉄複合体を使用しない場合には、切削油を浄化できなかった。さらに、酸化剤である過炭酸カリウムを使用しなかった場合には、浄化効果が非常に低かった。
実施例5
 トルコの砂漠の砂に、水酸化カルシウムと炭酸水素ナトリウムの粉末を加えて、よく混合し、870℃に加熱して、発泡ガラスのペレットを作製した。該ペレットを、酸化チタンにアパタイトと鉄を複合化した径50nmの粒子1kgを水1トンに添加し、分散させて調製した溶液に浸漬した後、乾燥し、これに、過炭酸ナトリウム1gと過酸化水素1gを水100m1に添加したものを塗布して、油処理剤を調製した。
 該油処理剤を、原油を海水の表面全面に浮かべた状態でステンレス容器に入れ、これに、さらに、過酸化水素1gを水100m1溶解したものを散布し、紫外線と可視光を含んだ光を8日間照射した。その結果、原油が分解・除去されて消失し、きれいに浄化された。水酸化カルシウムと炭酸水素ナトリウムの粉末を使用しない場合には、870℃に加熱しても、発泡ガラスのペレットが作製できなかった。また、酸化チタン-アパタイト-鉄複合体を使用しない場合には、原油を浄化できなかった。さらに、酸化剤である過炭酸ナトリウムや過酸化水素を用いなかった場合には、浄化効果が非常に低かった。
実施例6
 粒径0.3mm以下サウジアラビアの砂に、炭酸ナトリウムとホウ砂を加えて、よく混合して、1000℃に加熱してできた焼成物を微粉砕し、これに、炭酸カルシウム、炭化珪素、ホウ砂を加えて900℃に加熱して、発泡ガラスのペレットを作製した。該ペレットを、鉄とアパタイトを複合化した酸化チタンの酸化チタン-アパタイト-鉄複合体をチタン錯体水溶液に添加した溶液に浸漬して乾燥した後、550℃で焼成し、これに、過炭酸ナトリウム5gを水50mlに添加したものを塗布し乾燥して、油処理剤を調製した。
 該油処理剤を、原油を海水の表面全面に浮かべた状態でステンレス容器に入れ、紫外線と可視光を含んだ光を8日間照射した。その結果、原油が分解・除去されて消失し、きれいに浄化された。炭酸ナトリウムや炭酸カルシウム、炭化珪素、ホウ砂を使用しない場合には、発泡ガラスのペレットが作製できなかった。また、酸化チタン-アパタイト-鉄複合体を使用しない場合には、原油を浄化できなかった。さらに、酸化剤である過炭酸ナトリウムを用いなかった場合には、浄化効果が非常に低かった。
実施例7
 粒径0.3mm以下のサウジアラビアの砂に、廃ガラスの微粉末と炭酸ナトリウムを加えて、よく混合して、960℃に加熱してできた焼成物を微粉砕し、これに、炭酸カルシウム、炭化珪素、ホウ砂を加えて900℃に加熱して、発泡ガラスのペレットを作製した。該ペレットを、鉄とアパタイトを複合化した酸化チタンの酸化チタン-アパタイト-鉄複合体をイソプロピルアルコールで希釈されたチタニウムアセチルアセトネート溶液に添加した溶液に浸漬して乾燥後、630℃で焼成した。これをシリコン系撥水剤の溶液に浸漬した後、過炭酸ナトリウム10gを水50mlに添加したものを塗布し、乾燥して、油処理剤を調製した。
 該油処理剤を、原油を海水の表面全面に浮かべた状態でステンレス槽に入れた後、過酸化カリウムの1%水溶液を散布し、紫外線と可視光を含んだ光を18日間照射した。その結果、原油が油処理剤に吸着され水面からなくなるとともに、油処理剤に吸着された原油が分解・除去されて消失し、きれいに浄化された。炭酸ナトリウムや炭酸カルシウム、炭化珪素、ホウ砂を使用しない場合には、発泡ガラスのペレットが作製できなかった。また、酸化チタン-アパタイト-鉄複合体を使用しない場合には、原油を浄化できなかった。さらに、酸化剤である過炭酸ナトリウムを用いなかった場合には、浄化効果が非常に低かった。
実施例8
 粒径0.4mm以下の中国の砂に、廃ガラスの微粉末と水酸化ナトリウムと炭化珪素、ホウ砂を加えて800℃に加熱して、発泡ガラスのペレットを作製した。該ペレットを、酸化亜鉛と酸化タングステンの微粒子を分散したガラスコーティング液に浸漬して乾燥し、これに、過炭酸カリウム10gをフッ素系撥水剤の水溶液50mlに添加したものを塗布し、乾燥して、油処理剤を調製した。
 該油処理剤を、原油を海水の表面全面に浮かべた状態でステンレス槽に入れた後、粒子径50nmの窒素置換型酸化チタンをオゾン水に分散した液を散布し、太陽光に3週間暴露した。その結果、原油が油処理剤に吸着されて水面からなくなるとともに、油処理剤に吸着された原油が分解されて消失し、きれいに浄化された後、油処理剤が水面から沈降して消失した。水酸化ナトリウムや炭化珪素、ホウ砂を使用しない場合には、発泡ガラスのペレットが作製できなかった。また、酸化亜鉛や酸化タングステン、窒素置換型酸化チタンを使用しない場合には、原油を浄化できなかった。さらに、酸化剤である過炭酸カリウムやオゾン水を用いなかった場合には、浄化効果が非常に低かった。
 以上詳述したように、本発明は、光を照射することにより生ずる光触媒作用によりタンカーからの流出原油などの油を低コストで分解・除去し清浄化するための油処理剤に係るものである。該油処理剤は、砂及び/又はガラスに溶融化剤と発泡剤を加え、加熱して発泡させたペレットに、金属酸化物をコーティングし、さらに酸化剤を吸着させることによって製造したことを特徴とするものである。本発明では、上記油処理剤を、水面に浮遊している油膜に散布するという簡便な方法で油を分解処理することができ、安全性に優れ、常温常圧のマイルドな条件で処理できる。本発明は、簡便で、化石燃料を使用しないで、太陽光や電灯の光を利用し、顕著な油分解処理効果が得られる新しい油処理方法を提供するとともに。しかも、抗菌抗かび効果や脱臭効果も有し、環境浄化の幅広い分野に使用でき、波及効果が極めて大きい新しい油処理剤を提供することを可能とするものとして有用である。
 

Claims (25)

  1.  多孔質で独立気泡と連通気泡を有するペレットに、金属酸化物をコーティングし、酸化剤を吸着させた構造を有し、所定の表面積及びかさ比重を有することを特徴とする油処理剤。
  2.  金属酸化物をコーティングし、酸化剤を吸着させるとともに表面を撥水性にした構造を有する、請求項1に記載の油処理剤。
  3.  かさ比重が1以下である、請求項1又は2に記載の油処理剤。
  4.  水に漬けたときに水面に露出している表面積が全体の表面積の3割以上である、請求項1又は2に記載の油処理剤。
  5.  金属酸化物が、酸化チタン、酸化タングステン、酸化鉄、酸化亜鉛の内から選ばれた少なくとも一種である、請求項1又は2に記載の油処理剤。
  6.  酸化剤が、酸素、オゾン、過酸化水素、過酸化物の内から選ばれた少なくとも一種である、請求項1又は2に記載の油処理剤。
  7.  ペレットが、砂及び/又はガラスに、溶融化剤及び/又は発泡剤を加えて発泡させたものである、請求項1又は2に記載の油処理剤。
  8.  溶融化剤が、アルカリ性化学物質である、請求項7に記載の油処理剤。
  9.  発泡剤が、炭酸塩あるいは炭化物から選ばれた少なくとも一種である、請求項7に記載の油処理剤。
  10.  砂及び/又はガラスに、溶融化剤及び/又は発泡剤を加え、加熱し、多孔質で独立気泡と連通気泡を有するペレットに成形し、その表面に金属酸化物をコーティングする、あるいは金属酸化物をコーティングするとともに、酸化剤を吸着させることを特徴とする油処理剤の製造方法。
  11.  溶融化剤及び/又は発泡剤を加えて、加熱し、多孔質で独立気泡と連通気泡を有するペレットに成形し、その表面に金属酸化物をコーティングし、酸化剤を吸着させるとともに表面を撥水性にする、請求項10に記載の油処理剤の製造方法。
  12.  溶融化剤が、アルカリ性化学物質である、請求項10又は11記載の油処理剤の製造方法。
  13.  発泡剤が、炭酸塩あるいは炭化物から選ばれた少なくとも一種である、請求項10又は11記載の油処理剤の製造方法。
  14.  金属酸化物が、酸化チタン、酸化タングステン、酸化鉄、酸化亜鉛の内から選ばれた少なくとも一種である、請求項10又は11記載の油処理剤の製造方法。
  15.  酸化剤が、酸素、オゾン、過酸化水素、過酸化物の内から選ばれた少なくとも一種である、請求項10又は11記載の油処理剤の製造方法。
  16.  ペレット表面をアルキル化あるいはフッ素化することにより、表面を撥水性にする、請求項11記載の油処理剤の製造方法。
  17.  ペレット表面に撥水剤を塗布することにより、表面を撥水性にする、請求項11記載の油処理剤の製造方法。
  18.  砂及び/又はガラスに、溶融化剤及び/又は発泡剤を加えて発泡させたペレットに、金属酸化物をコーティングし、酸化剤を吸着させた油処理剤を、そのまま、又はさらに表面を撥水性にして、水面に浮遊している油膜に散布することにより油を分解、浄化することを特徴とする油の処理方法。
  19.  溶融化剤及び/又は発泡剤を加えて発泡させたペレットに、金属酸化物をコーティングし、酸化剤を吸着させ、さらに表面を撥水性にした油処理剤を、水面に浮遊している油膜に散布し、さらに酸化剤又は酸化剤と金属酸化物の混合物を散布することにより油を分解、浄化する、請求項18に記載の油の処理方法。
  20.  溶融化剤及び/又は発泡剤を加えて発泡させたペレットに、金属酸化物をコーティングし、酸化剤を吸着させた油処理剤を、そのまま、又はさらに表面を撥水性にして、水面に浮遊している油膜に散布し、さらに酸化剤又は酸化剤と金属酸化物の混合物を散布して、油を分解した後、油処理剤が沈降して水面から消失するようにすることを特徴とする油の処理方法。
  21.  溶融化剤が、アルカリ性化合物である、請求項18又は20に記載の油の処理方法。
  22.  発泡剤が、炭酸塩あるいは炭化物である、請求項18又は20に記載の油の処理方法。
  23.  金属酸化物が、酸化チタン、酸化タングステン、酸化鉄の内から選ばれた少なくとも一種である、請求項18又は20に記載の油の処理方法。
  24.  酸化剤が、酸素、オゾン、過酸化水素、過酸化物の内から選ばれた少なくとも一種である、請求項18又は20に記載の油の処理方法。
  25.  酸化剤を吸着させた油処理剤を、そのまま、又はさらに表面を撥水性にして、水面に浮遊している油膜に散布し、可視光を含む光を照射する、請求項18又は20に記載の油の処理方法。
     
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