WO2014148232A1

WO2014148232A1 - 回転機械支持装置

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Publication number: WO2014148232A1
Application number: PCT/JP2014/055254
Authority: WO
Inventors: 手塚　厚; 健吉村田; 達也福井; 正則岡田; 史明荻野
Original assignee: 株式会社Ihi
Priority date: 2013-03-18
Filing date: 2014-03-03
Publication date: 2014-09-25
Also published as: CN105008885B; EP2977739B1; JP5974370B2; US9897106B2; CN105008885A; US20150361992A1; EP2977739A4; EP2977739A1; JP2014181953A

Abstract

　回転機械支持装置（２０，４０）は、フランジ（１１，６２）を有する軸受ハウジング（８）と回転軸（７）とを有した回転機械（１）を支持するために用いられる。この回転機械支持装置は、前記回転機械を支持する支持部（２２）を備える。前記支持部は、前記フランジに当接可能な取付フランジ（２５，６１）と、互いに当接した前記取付フランジと前記フランジとをその半径方向外方から半径方向内方に向けて押圧しつつ共に挟持する挟持部（３２，４５，５３）を有する複数のアーム（２４，４１）と、を備える。前記挟持部は、一対の爪片（３４ａ，６０）を有する。また、前記取付フランジと、前記一対の爪片の間に形成される溝部（３４ｂ）との少なくとも一方がテーパ形状に形成され、前記テーパ形状は、半径方向内方から半径方向外方に向かうに従い前記フランジ及び前記取付フランジの対向方向での幅が漸次減少するように形成されている。

Description

回転機械支持装置

　本発明は、回転機械支持装置に関する。
　本願は、２０１３年３月１８日に日本に出願された特願２０１３－０５５３４０号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

　従来、例えば流体により回転駆動する回転機械では、回転部に残留するアンバランス量を検査し、残留アンバランス量が大きい場合にはこれを修正して、最終製品として出荷している。このような回転機械には、過給機やターボ圧縮機、ガスタービンなどがある。従来における回転バランス修正について、過給機を例にして説明する。
　過給機は、車両や船舶などに搭載されるエンジンの排ガスエネルギを利用して、エンジンに圧縮空気を供給する装置である。

　このような過給機は、エンジンの排ガスにより回転駆動されるタービン翼と、タービン翼と一体的に回転することで空気を圧縮し圧縮空気をエンジンに供給するコンプレッサ翼と、一端部にタービン翼が連結され他端部にコンプレッサ翼が連結される回転軸とを有している。また、過給機は、タービン翼を内部に収容するタービンハウジングと、コンプレッサ翼を内部に収容するコンプレッサハウジングと、回転軸を支持する軸受が内部に組み込まれる軸受ハウジングと、を備えて構成されている。

　過給機の回転バランス検査は、過給機を製品として出荷する前に行われる。
　回転バランス検査では、まず、タービン翼、コンプレッサ翼および回転軸からなる回転体が軸受ハウジングに取り付けられてなる回転部を用意する。次いで、この回転部（軸受ハウジング）のタービン翼寄りの部位をボルトなどで回転機械支持装置に取り付けてこれに支持させる。その後、エンジンの排ガスと同じ程度の圧力を有する圧縮ガスをタービン翼に供給することで、タービン翼、コンプレッサ翼および回転軸からなる回転体を回転駆動する。

　回転体が所定の回転速度に達したら、加速度ピックアップで回転体の加速度（振動）を検出しつつ、回転角検出器により回転体の回転角を検出する。これにより例えば演算器が、所定の回転速度において、どの回転角でどの程度の加速度（振動）が生じているかを検出する。この検出データに基づいて、アンバランス量を求める。その後、このアンバランス量を無くすように回転体の一部を除去加工することでバランス修正を行う。

　このような過給機（回転機械）の回転バランス検査において、過給機を支持するための回転機械支持装置としては、過給機の軸受ハウジングにおけるフランジ、すなわちタービンハウジングを取り付けるための軸受ハウジングのフランジを、コンプレッサハウジングと反対の側に配置された支持部に向けて押し付け部材によって押圧し、被検査体となる過給機を保持、固定する構成が知られている（例えば、特許文献１参照）。

特開２０１０－２５８６２号公報

　一般に過給機は、軸受ハウジングの前記フランジの近傍に冷却水や潤滑油の供給管等を接続するための突起を形成している。したがって、特許文献１に示したような回転機械支持装置では、過給機の軸受ハウジングにおけるフランジを押し付け部材で押さえる（押圧する）際、前記の突起と干渉しないように、これら突起を避けて押さえることができるように押し付け部材の位置が設計されている。

　しかしながら、前記の突起は過給機の機種毎にその位置が異なっているため、前記回転機械支持装置はその押し付け部材の設計位置により、保持、固定できない過給機の機種がある。したがって従来では、回転バランス検査を行う場合に、過給機の機種に応じて複数種の回転機械支持装置を用意する必要がある。しかも新たな機種が生産される場合には、これに対応する回転機械支持装置を新たに用意しなければならないこともある。しかし、このように複数種の回転機械支持装置を用意することはコスト増加の一因になる。また、回転機械支持装置の保管場所を確保することも困難になり、さらに検査の簡易化を損なう一因にもなる。

　本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、コスト増加を抑制し、検査の簡易化を図るべく、回転機械の突起等の位置に依存せず回転機械の全ての機種に対して使用可能な、回転機械支持装置を提供することを目的とする。

　本発明の第１の態様では、回転機械支持装置は、外向きに形成されたフランジを有する軸受ハウジングとこの軸受ハウジング内に回転可能に保持される回転軸とを有した回転機械を支持するために用いられる。この回転機械支持装置は、前記回転機械を支持する支持部を備える。前記支持部は、前記回転機械の前記フランジに当接可能な取付フランジと、前記取付フランジを前記フランジに当接させた状態で前記取付フランジと前記フランジとをその半径方向外方から半径方向内方に向けて押圧しつつ共に挟持するように構成された挟持部を有する複数のアームと、を備える。前記挟持部は、前記取付フランジと前記フランジとを共に挟持可能な互いに対向する一対の爪片を有する。また、前記取付フランジと、前記一対の爪片の間に形成される溝部との少なくとも一方がテーパ形状に形成され、前記テーパ形状は、前記取付フランジの半径方向内方から半径方向外方に向かうに従い前記フランジ及び前記取付フランジの対向方向での幅が漸次減少するように形成されている。

　本発明の第２の態様では、上記第１の態様の回転機械支持装置において、前記挟持部は、前記アームの軸回り方向、前記対向方向と直交する方向、及び前記対向方向と直交する方向にそれぞれ変位可能に前記アームの先端に設けられている。

　本発明の第３の態様では、上記第１又は第２の態様の回転機械支持装置において、前記アームは、シリンダー部とこのシリンダー部内を進退可能なピストン部とを有してなる進退機構を備える。前記ピストン部は、有底筒状の外筒部と、この外筒部内に挿入されたピストンアームとを有している。前記ピストンアームは、その先端部が前記外筒部の内面との間に隙間を有して弾性変形可能に構成されている。また、前記ピストンアームの先端に、前記一対の爪片が設けられている。

　本発明の回転機械支持装置によれば、取付フランジと回転機械のフランジとを共に挟持する互いに対向する一対の爪片を有した挟持部を備え、取付フランジと、一対の爪片の間に形成される溝部との少なくとも一方をテーパ形状に形成している。このため、取付フランジをフランジに当接させた状態で取付フランジとフランジとをその半径方向外方から半径方向内方に向けて挟持部によって押圧しつつ共に挟持することにより、挟持部による半径方向外方から半径方向内方に向けた押圧力を前記テーパ形状によって取付フランジとフランジの対向方向への押圧力に変換することができる。したがって回転機械のフランジを支持部の取付フランジに密着させることができる。

　また、回転機械のフランジの近傍に各種の突起が形成されていても、この回転機械支持装置では、挟持部によって回転機械のフランジを取付フランジと共に挟持するようにしたので、挟持部による挟持が前記突起に干渉されない。したがって突起がどのような位置に設けられていても、これに関係なく回転機械の全機種に対応してこれらを支持することができる。よって、回転バランス検査のコスト増加を抑制し、検査の簡易化を図ることができる。

本実施形態に係る回転支持装置に支持される過給機の構成を示す側断面図である。過給機の回転軸方向から見たカップリング部材の概略構成図である。本発明に係る回転機械支持装置の第１実施形態を示す平面断面図である。回転機械支持装置の一部を断面視した正面図である。図２の要部拡大図である。本発明に係る回転機械支持装置の第２実施形態を示す平面断面図である。回転機械支持装置の一部を断面視した正面図である。本発明に係る回転機械支持装置の第３実施形態を示す図であり、アームの概略構成を示す分解斜視図である。本発明の変形例を示す図である。本発明の変形例を示す図である。

　以下、図面を参照して本発明の回転機械支持装置を詳しく説明する。なお、以下の図面においては、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
　まず、本発明の回転機械支持装置によって支持される回転機械の一例について説明する。図１Ａは回転機械の一例としての過給機を示す側断面図であり、図１Ｂは過給機の回転軸方向から見たカップリング部材の概略構成図である。

　図１Ａに示すように過給機１は、エンジンの排ガスにより回転駆動されるタービン翼３と、タービン翼３と一体的に回転することで空気を圧縮して圧縮空気をエンジンに供給するコンプレッサ翼５と、一端部にタービン翼３が連結され他端部にコンプレッサ翼５が連結される回転軸７とを有している。また、過給機１は、タービン翼３を内部に収容するタービンハウジング９と、コンプレッサ翼５を内部に収容するコンプレッサハウジング（本実施形態では取り外してあるため不図示となっている）と、回転軸７を支持する軸受８ａ、８ｂが内部に組み込まれる軸受ハウジング８と、を備えている。

　タービンハウジング９には、タービン翼３を回転駆動する流体（エンジンからの排ガス）を流すスクロール流路９ａが形成されている。
　また、タービンハウジング９における軸受ハウジング８寄りの部位には円環状のタービンフランジ１０が形成されている。軸受ハウジング８におけるタービンハウジング９寄りの部位には円環状の軸受フランジ１１（フランジ）が外向きに形成されている。これらタービンフランジ１０及び軸受フランジ１１は、いずれもその外面、すなわち互いに当接する面（内面）と反対側の面が、その半径方向内方から半径方向外方に向かうに従い、前記当接する面（内面）に漸次近づくように、テーパ形状に形成されている。言い替えれば、タービンフランジ１０及び軸受フランジ１１のいずれもが、その半径方向内方から半径方向外方に向かうに従い両者の対向方向での厚み（幅）が漸次減少するようなテーパ形状に形成されている。

　これら軸受ハウジング８とタービンハウジング９とは、それぞれのフランジ（タービンフランジ１０と軸受フランジ１１）が互いに当接され、その状態でそれぞれの外面がカップリング部材２によって共に挟持されることにより、互いに連結されている。

　カップリング部材２は、図１Ｂに示すように互いに分割された１対の半円弧状部材２ａを備えてリング状に形成されている。１対の半円弧状部材２ａは、それぞれの一端部に設けられた回動軸２ｂを介して回動可能に連結され、それぞれの他端部がボルト２ｃ及びナット２ｄによって互いに締結される。半円弧状部材２ａには、図１Ａに示すようにその内周面に周方向に沿って溝部２ｅが形成されている。半円弧状部材２ａは、互いに当接されたタービンフランジ１０と軸受フランジ１１とを溝部２ｅ内に配置させた状態で、それぞれの外面を共に挟持している。溝部２ｅは、互いに対向する内側面が、タービンフランジ１０の外面および軸受フランジ１１の外面に対応して、テーパ形状に形成されている。

　図２～図４は本発明に係る回転機械支持装置の第１実施形態を示す図であり、図２は平面断面図、図３は一部を断面視した正面図、図４は図２の要部拡大図である。図３において一部を断面視した部分は、図２のＩＩＩ－ＩＩＩ線に沿った断面である。図２～図４に示すように回転機械支持装置２０は、過給機１の回転バランス検査を行う回転バランス検査装置（図示せず）に設けられている。回転機械支持装置２０は、回転バランス検査を行う際に、過給機１を着脱可能に支持する支持装置である。
　なお、回転機械支持装置２０には、タービンハウジング９及びコンプレッサハウジングが取り外された状態の過給機１が取り付けられる。このため、以下の説明では過給機１から両ハウジングが取り除かれた構造を便宜上過給機１と称する場合がある。

　この回転機械支持装置２０は、図２に示すように支持台（図示せず）上に設けられたマウント２１と、マウント２１に取り付けられた支持部２２と、を備えて構成されている。
　マウント２１は、略直方体状に形成され、図２に示す平面断面視において略Ｕ字状となるように形成され、すなわち被検査体である過給機１を収容可能な窪み部２１ｄを有している。マウント２１は、窪み部２１ｄを挟んで互いに対向する一対の側部２１ａ、２１ａと、これら側部２１ａ、２１ａ間を連結する中央部２１ｂとを有している。中央部２１ｂには貫通孔２１ｃが形成されている。貫通孔２１ｃの内径は窪み部２１ｄの開口よりも略小さく形成され、貫通孔２１ｃは窪み部２１ｄに連通している。
　支持部２２は、過給機１のタービン翼３を収容した状態で過給機１を取り付けるための取付部２３と、取付部２３に過給機１を取り付けた状態に保持、固定するための一対のアーム２４と、を備えて構成されている。
　なお、以下の説明では、マウント２１において窪み部２１ｄが形成されている側を前側、貫通孔２１ｃが形成されている側を後側と称する場合がある。

　取付部２３は、マウント２１に形成された貫通孔２１ｃに嵌入された略円筒状の部材である。取付部２３は、その先端部（図２中前側の端部）に取付フランジ２５を有し、取付部２３の内部孔内に図示しない流路部材を収容可能である。取付フランジ２５は、図１Ａに示した過給機１のタービンフランジ１０と略同一形状に形成されており、図４に示すように本発明のフランジに相当する過給機１の軸受フランジ１１に当接可能である。

　この取付フランジ２５の外面、すなわち貫通孔２１ｃに対向する面（図２中後側の面）は、タービンフランジ１０と同様に、テーパ形状に形成されている。すなわち、取付フランジ２５の外面は、取付フランジ２５の半径方向内方から半径方向外方に向かうに従い軸受フランジ１１に当接する面（内面）に漸次近づくように、テーパ形状に形成されている。言い替えれば、取付フランジ２５は、その半径方向内方から半径方向外方に向かうに従い軸受フランジ１１及び取付フランジ２５の対向方向（図２における前後方向）での厚み（幅）が漸次減少するようなテーパ形状に形成されている。
　取付フランジ２５の内面は機械加工等によって平坦面に形成されている。これによって上記内面は軸受フランジ１１に当接した際、隙間無く、安定して軸受フランジ１１に密着できる。

　図２に示す取付部２３の内部孔内に収容される流路部材（図示せず）は、図１Ａに示したタービンハウジング９と同様の構造を備えており、タービンハウジング９におけるスクロール流路９ａと同様の流路を有している。このような構成を備える流路部材は、図２に示すタービン翼３を回転駆動させるための空気等の流体をタービン翼３に向けて流すことができる。

　アーム２４は、図２、図３に示すようにマウント２１の側部２１ａ、２１ａにそれぞれ設けられている。アーム２４は、取付部２３の先端部、すなわち取付フランジ２５の側方（半径方向外側の面）に対向して一対配設されている。一対のアーム２４は取付フランジ２５を挟んで配置されている。これらアーム２４は、マウント２１の側部２１ａ、２１ａ内にそれぞれ形成されたシリンダー部２６と、シリンダー部２６内を進退可能なピストン部２７と、を有してなる油圧シリンダー（進退機構）を備えて構成されている。

　シリンダー部２６は、マウント２１の側部２１ａの側面から貫通孔２１ｃの先端部（窪み部２１ｄ）に向けて形成された孔２８を有している。この孔２８の前記側面での開口は、蓋板２９によって液密に封止されている。蓋板２９は、ボルト等によってマウント２１に着脱可能に取り付けられている。

　ピストン部２７は、有底筒状の外筒部３０と、外筒部３０内に挿入されたピストンアーム３１とを有して形成されている。外筒部３０は、マウント２１の側面寄り、すなわち蓋板２９寄りに配置される底部３０ａが、孔２８内を摺動するように大径に形成されている。また、底部３０ａの外周部にはシール用リングが設けられており、これによって底部３０ａと孔２８の内面との間が液密に構成されている。また、外筒部３０における底部３０ａより先端寄り（窪み部２１ｄ寄り）の部分は、底部３０ａより小径に形成されている。この外筒部３０は円筒状に形成されており、その横断面円形の内部孔３０ｂ内に円柱状のピストンアーム３１が挿入されている。

　内部孔３０ｂは、底部３０ａ寄りの部位が小径に形成され、先端寄りの部位が大径に形成されている。すなわち、内部孔３０ｂにおいて、底部３０ａ寄りの部位が小径部であり、その先端寄りの部位が前記小径部よりも大きな径を有する大径部である。
　ピストンアーム３１は、その後端部（底部３０ａ寄りの端部）が内部孔３０ｂの上記小径部に嵌め合わされ、底部３０ａの外面（蓋板２９寄りの面）からボルト止めされている。また、ピストンアーム３１の先端部（取付フランジ２５寄りの端部）、すなわちピストンアーム３１において上記後端部を除いた部分は、内部孔３０ｂの上記大径部内に配置され、この大径部の内面に対して所定の隙間を空けて配置されている。ピストンアーム３１は弾性を有する金属や樹脂等を用いて形成されており、その延在方向と直交する方向に僅かに弾性変形可能となっている。このような構成によってピストンアーム３１は、その先端部が外筒部３０の内部孔３０ｂ内にて弾性変形可能になっており、したがって内部孔３０ｂの内面との間に形成された隙間が許す範囲で自由に変位できる自由端となっている。ピストンアーム３１の変形を可能としつつ、その過度の変形を外筒部３０によって防ぐことができる。なお、ピストンアーム３１は、取付フランジ２５に所望の押圧力（後述）を印加することのできる剛性を備えている。

　このピストンアーム３１には、その先端部に挟持部３２が取り付けられている。この挟持部３２は、図３、図４に示すようにピストンアーム３１に取り付けられた支持板３３と、この支持板３３に形成された爪部３４とを備えて構成されている。
　支持板３３は、図３に示すようにその先端面３３ａ（取付フランジ２５に対向する面）が略円弧状に形成されており、この略円弧状の先端面３３ａに爪部３４が形成されている。この支持板３３の先端面３３ａの円弧形状は、取付フランジ２５又は軸受フランジ１１の輪郭となる円形の１／４に相当する円弧より少し大きい円弧形状となっている。

　この円弧形状の先端面３３ａの両側（周方向での両側）に、それぞれ円弧状の爪部３４が形成されている。これら爪部３４は、支持板３３上でのその中心間の長さ、すなわち爪部３４の中心（周方向での中心）同士の周方向の距離が、取付フランジ２５又は軸受フランジ１１の輪郭となる円形の１／４に相当する円弧の長さに略等しくなるように、支持板３３の先端面３３ａに形成配置されている。これにより、互いに対向して配置された一対のアーム２４、２４の、それぞれのピストンアーム３１に形成された合計４つの爪部３４は、円形の取付フランジ２５又は軸受フランジ１１の輪郭に対し、その周方向において略等間隔で配置される。また、このように爪部３４の、支持板３３上での中心間の長さが、取付フランジ２５又は軸受フランジ１１の輪郭となる円形の１／４に相当する円弧の長さに略等しくなるように、支持板３３の先端面３３ａに形成配置されているので、前述したように支持板３３の先端面３３ａの円弧形状は、取付フランジ２５又は軸受フランジ１１の輪郭となる円形の１／４に相当する円弧より少し大きい円弧形状となっている。

　爪部３４は、図４に示すように互いに対向する一対の爪片３４ａ、３４ａを備え、これら爪片３４ａ、３４ａ間に、取付フランジ２５と軸受フランジ１１とを共に挟持するように構成されている。一対の爪片３４ａ、３４ａは、取付フランジ２５及び軸受フランジ１１の対向方向と同一の方向で互いに対向している。一方の爪片３４ａは、支持板３３の先端面３３ａにおける一方の縁部（図４紙面上側の縁部）に設けられ、他方の爪片３４ａは、支持板３３の先端面３３ａにおける他方の縁部（図４紙面下側の縁部）に設けられている。
　爪片３４ａ、３４ａのそれぞれの内面、すなわち取付フランジ２５や軸受フランジ１１を挟持する内面は、取付フランジ２５や軸受フランジ１１の外面のテーパ形状に対応したテーパ形状に形成されている。すなわち、爪片３４ａの内面は、爪片３４ａの後端（支持板３３寄りの端部）から先端に向かうに従い対向する他の爪片３４ａの内面から漸次遠ざかるように形成されている。換言すると、爪片３４ａの内面は、爪片３４ａの後端から先端に向かうに従い、当接した取付フランジ２５又は軸受フランジ１１の内面から漸次遠ざかるように形成されている。
　さらに言い替えれば、一対の爪片３４ａ、３４ａの間に形成される溝部３４ｂがテーパ形状に形成され、このテーパ形状は、取付フランジ２５の半径方向内方から半径方向外方に向かうに従い軸受フランジ１１及び取付フランジ２５の対向方向での幅（図４における紙面上下方向での幅）が漸次減少するように形成されている。

　このような構成によって挟持部３２の爪部３４は、後述するように互いに当接した取付フランジ２５と軸受フランジ１１との外周部（半径方向外側の部分）を半径方向外方から半径方向内方に向けて押圧しつつ取付フランジ２５と軸受フランジ１１とを共に挟持することにより、爪片３４ａの内面のテーパ形状や取付フランジ２５及び軸受フランジ１１の外面のテーパ形状により、前記の押圧力を軸方向、すなわち回転軸７の軸方向（上記対向方向）への押圧力に変換できる。
　爪部３４は、取付フランジ２５及び軸受フランジ１１を一対の爪片３４ａの間に形成された溝部３４ｂ内に挿入し、取付フランジ２５及び軸受フランジ１１の外面を一対の爪片３４ａの内面に当接させた場合に、支持板３３の先端面３３ａと取付フランジ２５及び軸受フランジ１１の外周面（半径方向外側の面）との間に隙間が形成されるように構成されている（図４参照）。この状態から挟持部３２がさらに取付フランジ２５及び軸受フランジ１１をその半径方向外方から半径方向内方に向けて押圧すると、一対の爪片３４ａの内面から圧力、すなわち回転軸７の軸方向（取付フランジ２５及び軸受フランジ１１の対向方向）での押圧力を受け、取付フランジ２５及び軸受フランジ１１はその対向方向でさらに強固に挟持される。

　また、爪部３４は、前述したように一対のアーム２４、２４のそれぞれのピストンアーム３１に合計４つ形成されており、これら爪部３４は、円形の取付フランジ２５又は軸受フランジ１１の輪郭に対して周方向に略等間隔で配置されている。このため、これら円形の取付フランジ２５及び軸受フランジ１１を偏ることなく周方向で均等に押圧でき安定して保持（挟持）できる。

　シリンダー部２６には、ピストン部２７の外筒部３０の底部３０ａより蓋板２９寄りに位置する孔２８内に対して、油等を供給する油供給部（図示せず）と油を排出する油排出部（図示せず）とが接続されている。また、ピストン部２７の外筒部３０の底部３０ａと孔２８の先端（蓋板２９と反対の側の開口）との間には、空気を吸排気するための吸排気部（図示せず）が接続されている。さらに、ピストン部２７の外筒部３０の底部３０ａと孔２８の先端（蓋板２９と反対の側の開口）との間には、コイルバネなどの付勢部材が設けられており、これによって底部３０ａは蓋板２９に向けて付勢されている。

　このような構成によってシリンダー部２６とピストン部２７とは、油圧シリンダーとしての進退機構を構成しており、この進退機構の駆動によりピストン部２７のピストンアーム３１を進退させることができる。したがって、挟持部３２の爪部３４は、進退機構の駆動によって取付フランジ２５及び軸受フランジ１１に向けて前進し、これらを挟持するように構成されている。また、その状態から後退することにより、挟持部３２の各フランジに対する挟持を解除するように構成されている。なお、上記油供給部が孔２８内に油を供給することでピストン部２７及びピストンアーム３１が前進する。上記油排出部が孔２８内の油を排出し、上記付勢部材が底部３０ａを付勢することで、ピストン部２７及びピストンアーム３１が後退する。

　なお、互いに対向して配置された一対のアーム２４、２４において、一つの油供給部を共通して用いてもよい。この場合、それぞれの油圧シリンダーとしての進退機構における、ピストン部２７の外筒部３０の底部３０ａより蓋板２９寄りに位置する孔２８内の油圧を同一にすることができる。したがって、一対のアーム２４、２４は、取付フランジ２５及び軸受フランジ１１に対して一方が強く、他方が弱く押圧することを防止して、均等に押圧することができる。

　このような回転機械支持装置２０によって過給機１を支持するには、まず、タービン翼３、コンプレッサ翼５および回転軸７からなる回転体を軸受ハウジング８に取り付けてなる回転部を用意する。
　一方、回転機械支持装置２０には、マウント２１に取付部２３を取り付け、さらに取付部２３に流路部材（図示せず）を取り付けておく。なお、このときには、一対のアーム２４のそれぞれの進退機構（油圧シリンダー）を駆動せず、挟持部３２を後退させた状態にしておく。

　次に、マウント２１の貫通孔２１ｃ内に、その先端（図２前側の端部）の開口を介してタービン翼３を挿入するとともに、軸受ハウジング８の軸受フランジ１１を取付フランジ２５に当接させた状態にする。この状態で一対のアーム２４のそれぞれの進退機構（油圧シリンダー）を駆動し、挟持部３２を取付フランジ２５に向けて前進させる。

　挟持部３２は、互いに当接している取付フランジ２５及び軸受フランジ１１の外周部に向かって前進し、図４に示すように爪部３４によって取付フランジ２５及び軸受フランジ１１をその半径方向外方から半径方向内方に向けて押圧し、これらを共に挟持する。その際、爪部３４（挟持部３２）による半径方向外方から半径方向内方に向けた押圧力が、前述したように前記テーパ形状によって軸方向（上記対向方向）への押圧力に変換されるため、軸受フランジ１１を取付フランジ２５に強固に密着させることができる。

　また、ピストンアーム３１は、その先端部が外筒部３０内にて弾性変形可能になっており、したがって自由に変位できる自由端となっている。このため、ピストンアーム３１の先端に取り付けられた挟持部３２（爪部３４）は、取付フランジ２５及び軸受フランジ１１に向けて前進し当接した際、これらをより良好に挟持できるようその位置を自動的に修正する（変位させる）ことができる。これにより、一対の爪部３４、３４で、さらに図４に示したように爪片３４ａ、３４ａ間で、取付フランジ２５及び軸受フランジ１１を偏ることなく良好に挟持することができる。

　すなわち、アーム２４のピストンアーム３１は、前記したようにその先端部が外筒部３０内にて弾性変形可能になっており、したがって自由に変位できる自由端となっている。このため、挟持部３２は、ピストンアーム３１（アーム２４）の軸回り方向、回転軸７と直交する方向（図３において紙面の上下方向、上記対向方向と直交する方向）、及び軸受フランジ１１及び取付フランジ２５の面方向（内面に平行な方向）と直交する方向（回転軸７の軸方向、上記対向方向）にそれぞれ変位可能に構成されている。よって、前述したように取付フランジ２５及び軸受フランジ１１の位置に対して挟持部３２（爪部３４）の位置を自動的に修正し、これらをより良好に挟持することができる。

　このような回転機械支持装置２０にあっては、挟持部３２によって過給機１の軸受フランジ１１を取付フランジ２５と共に挟持する。このため、過給機１の軸受フランジ１１の近傍に各種の突起が形成されていても、挟持部３２による挟持が前記突起に干渉されない。したがって、突起がどのような位置に設けられていても、これに関係なく全機種の過給機に対応してこれらを支持することができる。よって、回転バランス検査のコスト増加を抑制し、検査の簡易化を図ることができる。

　また、アーム２４のピストン部２７を、外筒部３０とピストンアーム３１とによって形成し、ピストンアーム３１の先端部を外筒部３０の内面との間に隙間を形成して弾性変形可能に構成している。このため、ピストンアーム３１の弾性変形可能な部位の長さを充分に長くすることができ、これによって弾性変形による変位量を充分に大きくすることができる。

　なお、ピストン部を外筒部３０とピストンアーム３１との二重構造にすることなく、単に一般の油圧シリンダーのようにピストン部を一本のロッドによって形成した場合、ピストン部はその後端部と先端部の２箇所でシリンダー部に支持される。このため、シリンダー部から突出する部位のみが弾性変形可能な部位となる。しかし、シリンダー部から突出する部位を充分に長くすると、アーム全体の長さが長くなり、回転機械支持装置２０が大型化して設置面積が大きくなったり、重量が増大したりする。

　これに対して本実施形態では、前記したようにピストン部２７が外筒部３０とピストンアーム３１との二重構造を有している。このため、アーム全体の長さが長くなるのを抑え、したがって回転機械支持装置２０が大型化することなく、ピストンアーム３１の弾性変形による変位量を充分に大きくすることができる。

　図５、図６は本発明に係る回転機械支持装置の第２実施形態を示す図であり、図５は平面断面図、図６は一部を断面視した正面図である。図６において一部を断面視した部分は、図５のＶＩ－ＶＩ線に沿った断面である。図５、図６に示した回転機械支持装置４０が、図２～図４に示した回転機械支持装置２０と異なるところは、アームの具体的構成である。

　図５、図６に示すように本実施形態の回転機械支持装置４０におけるアーム４１も、取付部２３の先端、すなわち取付フランジ２５の側方にそれぞれ対向して一対配設されている。これらアーム４１も、マウント２１の側部２１ａ、２１ａ内に形成されたシリンダー部４２と、シリンダー部４２内を進退するピストン部４３と、を有してなる油圧シリンダー（進退機構）を備えて構成されている。

　シリンダー部４２は、第１実施形態のアーム２４におけるシリンダー部２６と同一の構造を備え、マウント２１の側部２１ａの側面から貫通孔２１ｃの先端に向けて形成された孔２８を有している。

　ピストン部４３は、ピストンアーム４４と、このピストンアーム４４の先端部に取り付けられた挟持部４５とを備えて構成されている。ピストンアーム４４は、マウント２１の側面寄り、すなわち蓋板２９寄りに配置される底部４４ａが、孔２８内を摺動するように大径に形成されている。また、底部４４ａの外周部にはシール用リングが設けられており、これによって底部４４ａと孔２８の内面との間が液密に構成されている。また、ピストンアーム４４における底部４４ａより先端寄りの部分は、底部４４ａより小径に形成されている。ピストンアーム４４は、その軸周りで回動可能にシリンダー部４２の孔２８内に配置されている。

　挟持部４５は、回動軸４６を介してピストンアーム４４の先端部に回動可能に取り付けられた支持板４７と、支持板４７の先端面に形成された爪部４８とを備えて構成されている。回動軸４６は、回転軸７の延在方向、すなわち軸受フランジ１１及び取付フランジ２５の対向方向と同一の方向に延びて配置されている。支持板４７は、図５に示すようにピストンアーム４４の先端部を挟んで配置された一対の第１板部４７ａ、４７ａと、これら第１板部４７ａ、４７ａにそれぞれ連結されている第２板部４７ｂとから構成されている。

　一対の第１板部４７ａ、４７ａ間にピストンアーム４４の先端部を挟んだ状態で、これら第１板部４７ａ、４７ａ及びピストンアーム４４に回動軸４６を挿通したことにより、支持板４７はピストンアーム４４に対して回動可能に取り付けられている。また、第１板部４７ａ、４７ａとピストンアーム４４の先端部との間には、それぞれゴム等からなる弾性材４９が設けられている。これによって支持板４７は、ピストンアーム４４の先端部に対して、回動軸４６の長さ方向（上記対向方向）に変位可能に構成されている。

　支持板４７は、第１実施形態の支持板３３と同様にその先端面、すなわち第２板部４７ｂの先端面が略円弧状に形成されており、この略円弧状の先端面に爪部４８が形成されている。この支持板４７の先端面の円弧形状も、前述した支持板３３と同様に、取付フランジ２５又は軸受フランジ１１の輪郭となる円形の１／４に相当する円弧より少し大きい円弧形状となっている。

　この円弧形状の先端面の両側（周方向での両側）に、それぞれ円弧状の爪部４８が形成されている。これら爪部４８は、第１実施形態の爪部３４と同一の構成、同一の配置となっている。すなわち、爪部４８も、図４に示した爪部３４と同様に、互いに対向する一対の爪片を備え、これら爪片間に、取付フランジ２５と軸受フランジ１１とを共に挟持するように構成されている。

　この爪部４８の爪片の内面、すなわち取付フランジ２５や軸受フランジ１１を挟持する内面も、第１実施形態の爪片３４ａと同様に、取付フランジ２５や軸受フランジ１１の外面のテーパ形状に対応したテーパ形状に形成されている。
　これにより、本実施形態の爪部４８も、当接した取付フランジ２５と軸受フランジ１１との外周部を半径方向外方から半径方向内方に向けて押圧しつつ取付フランジ２５と軸受フランジ１１とを共に挟持すると、爪片の内面のテーパ形状や取付フランジ２５及び軸受フランジ１１の外面のテーパ形状により、前記の押圧力を軸方向、すなわち回転軸７の軸方向への押圧力に変換できる。

　シリンダー部４２にも、第１実施形態と同様に油供給部、油排出部が接続され、さらに空気を吸排気するための吸排気部が接続されている。また、付勢部材が設けられていることにより、ピストンアーム４４の底部４４ａは蓋板２９に向けて付勢されている。
　このような構成によってシリンダー部４２とピストン部４３（ピストンアーム４４）とは、油圧シリンダーとしての進退機構を構成してピストン部４３のピストンアーム４４を進退させるように構成されている。したがって、挟持部４５の爪部４８は、進退機構の駆動によって取付フランジ２５及び軸受フランジ１１に向けて前進し、これらを挟持するように構成されている。また、その状態から後退することにより、挟持部４５の各フランジに対する挟持を解除するように構成されている。

　なお、本実施形態における一対のアーム４１、４１も、それぞれの油圧シリンダーとしての進退機構において、一つの油供給部を共通して用いてもよい。この場合、これら一対のアーム４１、４１は、取付フランジ２５及び軸受フランジ１１に対して均等に押圧することができる。

　このような回転機械支持装置４０によって過給機１を支持する場合にも、第１実施形態と同様にして行うことができる。
　すなわち、マウント２１の貫通孔２１ｃ内にその開口を介してタービン翼３を挿入するともに、軸受ハウジング８の軸受フランジ１１を取付フランジ２５に当接させた状態にする。この状態で一対のアーム４１のそれぞれの進退機構（油圧シリンダー）を駆動し、挟持部４５を前進させる。

　挟持部４５は、互いに当接している取付フランジ２５及び軸受フランジ１１の外周部に向かって前進し、第１実施形態と同様に爪部４８によって取付フランジ２５及び軸受フランジ１１をその半径方向外方から半径方向内方に向けて押圧し、これらを共に挟持する。その際、爪部４８（挟持部４５）による半径方向外方から半径方向内方に向けた押圧力が、前述したように前記テーパ形状によって軸方向への押圧力に変換されるため、軸受フランジ１１を取付フランジ２５に強固に密着させることができる。

　また、アーム４１は、ピストンアーム４４の先端部が自由に変位できる自由端となっている。このため、ピストンアーム４４の先端に取り付けられた挟持部４５（爪部４８）は、取付フランジ２５及び軸受フランジ１１に向けて前進し当接した際、これらをより良好に挟持できるようその位置を自動的に修正する（変位させる）ことができる。これにより、一対の爪部４８、４８で、さらに図４に示したように爪片間で、取付フランジ２５及び軸受フランジ１１を偏ることなく良好に挟持することができる。

　すなわち、ピストンアーム４４はシリンダー部４２内にて回動可能であるため、挟持部４５は、ピストンアーム４４（アーム４１）の軸回り方向に変位可能である。
　また、回動軸４６を介して挟持部４５をピストンアーム４４に対して回動可能に取り付けているので、挟持部４５は、回動軸４６の軸回り方向に変位可能である。言い替えれば、挟持部４５は、回転軸７と略直交する方向（回転軸７と直交する方向と略同一の、回動軸４６を中心とする円弧に沿う方向）に変位可能に構成されている。すなわち、挟持部４５は、回転軸７と略直交する方向（図６において紙面の上下方向、上記対向方向に略直交する方向）に変位可能である。さらに、弾性材４９を介してピストンアーム４４に挟持部４５を取り付けているので、挟持部４５は、軸受フランジ１１及び取付フランジ２５の面方向と直交する方向（回転軸７の軸方向、上記対向方向）に変位可能である。よって、前述したように取付フランジ２５及び軸受フランジ１１の位置に対して挟持部４５（爪部４８）の位置を自動的に修正し、これらをより良好に挟持することができる。

　このような回転機械支持装置４０にあっては、挟持部４５によって過給機１の軸受フランジ１１を取付フランジ２５と共に挟持する。このため、過給機１の軸受フランジ１１の近傍に各種の突起が形成されていても、挟持部４５による挟持が前記突起に干渉されない。したがって、突起がどのような位置に設けられていても、これに関係なく全機種の過給機に対応してこれらを支持することができる。よって、回転バランス検査のコスト増加を抑制し、検査の簡易化を図ることができる。

　図７は本発明に係る回転機械支持装置の第３実施形態を示す図であり、アームの概略構成を示す分解斜視図である。第３実施形態が第２実施形態と異なるところは、アームにおけるピストン部の具体的構成である。

　図７に示すように本実施形態のピストン部５０は、いわゆるユニバーサルジョイントタイプの構造を有し、ピストン本体５１と、ジョイント部５２と、挟持部５３とを備えて構成されている。ピストン本体５１は、図５、図６に示したピストンアーム４４と同様の部材であり、円柱状の底部５１ａと、この底部５１ａより小径の円柱状のロッド部５１ｂとを有している。底部５１ａの外周部にも、前記第１、第２実施形態と同様にシール用リングが設けられている。

　ジョイント部５２は、ピストン本体５１の先端（ロッド部５１ｂの先端）に取り付けられた第１ジョイント５４と、挟持部５３に取り付けられた第２ジョイント５５と、これら第１ジョイント５４と第２ジョイント５５とを連結する軸体５６とを有して構成されている。第１ジョイント５４は、ピストン本体５１（ロッド部５１ｂ）の先端に取り付けられた基板５４ａと、この基板５４ａの両端部から突出して設けられた一対の側板５４ｂ、５４ｂとを有して平面視略Ｕ字状に形成されている。側板５４ｂ、５４ｂにはそれぞれ連結孔５４ｃが形成されている。

　第２ジョイント５５は、第１ジョイント５４と同様に基板５５ａと、一対の側板５５ｂとを有して平面視略Ｕ字状に形成されている。側板５５ｂ、５５ｂにはそれぞれ連結孔５５ｃが形成されている。これら第１ジョイント５４と第２ジョイント５５においては、側板５４ｂと側板５５ｂとが互いに逆の方向に突出し、かつ、側板５４ｂと側板５５ｂとの位置がピストン本体５１の軸心回りに９０°変位して配置されている。なお、第２ジョイント５５の基板５５ａにおける側板５５ｂ間の長さは、第１ジョイント５４の基板５４ａにおける側板５４ｂが延びる方向（基板５４ａと側板５４ｂとの接続縁が延びる方向）での長さより長くなるように設定されている。これによってジョイント部５２を組み立てた際の、第２ジョイント５５の側板５５ｂ、５５ｂと第１ジョイント５４の側板５４ｂ、５４ｂとの間の干渉が防止される。

　軸体５６は、円柱状の２つの軸部材が十字状に組み合わされた形状を有しており、４つの先端部のそれぞれが第１ジョイント５４の側板５４ｂの連結孔５４ｃ、及び第２ジョイント５５の側板５５ｂの連結孔５５ｃに挿入されている。このような構成によって第１ジョイント５４と第２ジョイント５５とは、軸体５６を介して連結されている。また、第２ジョイント５５は、第１ジョイント５４に対して、軸体５６の各軸の長さ方向、すなわち図７中のＸ方向とＹ方向に変位可能であり、さらに、軸体５６の各軸の軸回り方向にも変位可能である。なお、上記Ｙ方向は、上述した回転軸７（図５参照）の延在方向と同一である。また、ジョイント部５２の組立を考慮して、軸体５６の２つの軸部材が互いに分離可能に構成されていてもよい。

　挟持部５３は、第２ジョイント５５の基板５５ａに一体的に取り付けられており、図２～図４に示した挟持部３２と同様の構成を備えている。挟持部５３は、略円弧状の先端面を有すると共に基板５５ａに取り付けられた支持板５７と、この支持板５７の先端面の両側（周方向での両側）にそれぞれ形成された円弧状の爪部５８とを備えて形成されている。爪部５８は、上述した挟持部３２と同様に、互いに対向する一対の爪片を備えて形成されている。

　このような構成からなるピストン部５０は、図５、図６に示したシリンダー部４２、すなわち孔２８に進退可能に挿入され、これによって油圧シリンダーとしての進退機構を構成している。また、ピストン部５０は、その軸周りで回動可能に孔２８内に配置されている。
　したがって、このピストン部５０を備えた回転機械支持装置による過給機１の支持も、第１実施形態や第２実施形態と同様にして行うことができる。

　その際、アームを構成するピストン部５０の先端部は、前記第１、第２実施形態と同様に自由に変位できる自由端となっている。また、本実施形態のアームは第２実施形態のアーム４１に比べてより自由度が増している。このため、ピストン部５０の先端に取り付けられた挟持部５３（爪部５８）は、取付フランジ２５及び軸受フランジ１１に向けて前進し当接した際、これらをより良好に挟持できるようにその位置を自動的に修正する（変位させる）ことができる。これにより、一対の爪部５８、５８で、さらに図４に示したように爪片間で、取付フランジ２５及び軸受フランジ１１を偏ることなく良好に挟持することができる。

　すなわち、ピストン本体５１はシリンダー部４２内にてその軸周りに回動可能であるため、挟持部５３は、ピストン本体５１（アーム）の軸回り方向に変位可能である。
　また、軸体５６を介して第２ジョイント５５を第１ジョイント５４に対し、Ｙ方向に沿う軸の軸回り方向に変位可能に構成しているので、挟持部５３は、上述した回転軸７（図５参照）と略直交する方向（回転軸７と直交する方向と略同一の、Ｙ方向に沿う軸を中心とする円弧に沿う方向）に変位可能に構成されている。さらに、軸体５６を介して第２ジョイント５５を第１ジョイント５４に対し、Ｙ方向に変位可能に構成しているので、挟持部５３は、軸受フランジ１１及び取付フランジ２５の面方向と直交する方向（回転軸７の延在方向）に変位可能に構成されている。また、これらに加えて、軸体５６を介して第２ジョイント５５を第１ジョイント５４に対し、Ｘ方向に変位可能に構成するとともに、Ｘ方向に沿う軸の軸回り方向にも変位可能に構成しているので、前述したように取付フランジ２５及び軸受フランジ１１の位置に対して挟持部５３（爪部５８）の位置を自動的に修正し、これらをより良好に挟持することができる。

　このようなピストン部５０を備えた回転機械支持装置にあっても、挟持部５３によって過給機１の軸受フランジ１１を取付フランジ２５と共に挟持する。このため、過給機１の軸受フランジ１１の近傍に各種の突起が形成されていても、挟持部５３による挟持が前記突起に干渉されない。したがって、突起がどのような位置に設けられていても、これに関係なく全機種の過給機に対応してこれらを支持することができる。よって、回転バランス検査のコスト増加を抑制し、検査の簡易化を図ることができる。

　なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
　例えば、前記実施形態では、取付フランジ２５の外面を軸受フランジ１１の外面と同様にテーパ形状に形成し、一対のアームの各挟持部の爪部の爪片内面も、取付フランジ２５の外面及び軸受フランジ１１の外面に対応させてテーパ形状にしている。しかし、本発明はこれに限定されることなく、図８Ａに示すように取付フランジ２５の外面を軸受フランジ１１の外面と同様にテーパ形状に形成するだけで、爪部の爪片６０の内面を、テーパ形状にすることなくフラットな形状（フランジの半径方向と平行な形状）としてもよい。なお、図８Ａでは取付フランジ２５が全体的にテーパ形状に形成されているが、取付フランジ２５及び軸受フランジ１１を一対の爪片６０間に挿入した際に、一対の爪片６０に当接する部分及びその近傍において、取付フランジ２５がテーパ形状に形成されていてもよい。

　さらに、図８Ｂに示すように爪部の爪片３４ａの内面をそれぞれテーパ形状にするだけで、取付フランジ６１の外面及び軸受フランジ６２の外面をテーパ形状に形成することなくフラットな形状（フランジの半径方向と平行な形状）としてもよい。なお、図８Ｂでは爪片３４ａが全体的にテーパ形状に形成されているが、取付フランジ６１及び軸受フランジ６２を一対の爪片３４ａ間に挿入した際に、取付フランジ６１及び軸受フランジ６２に当接する部分及びその近傍において、爪片３４ａがテーパ形状に形成されていてもよい。
　このようにフランジの外面と爪片の内面の一方のみ（取付フランジと、一対の爪片の間に形成される溝部との一方のみ）をテーパ形状に形成した場合でも、爪部によって取付フランジ２５（６１）及び軸受フランジ１１（６２）をその半径方向外方から半径方向内方に向けて押圧し、これらを共に挟持することにより、その押圧力を、前記テーパ形状によって軸方向への押圧力に変換することができる。

　また、前記実施形態では、一対のアームのそれぞれに２つずつの爪部を形成し、したがって合計４つの爪部を、円形の取付フランジ２５及び軸受フランジ１１の輪郭に対し、その周方向において等間隔で配置している。しかし、これら取付フランジ２５及び軸受フランジ１１を挟持する爪部の数を、例えば３つ又は５つ以上にしてもよい。爪部の数を３つとする場合、例えば一対のアームのうちの一方については、爪部を形成する円弧状の支持板の長さを大きくし、その両側に爪部を形成する。また、他方のアームについては、１つのみ爪部を形成する。さらに、これら３つの爪部を、円形の取付フランジ２５及び軸受フランジ１１の輪郭に対し、その周方向において等間隔となるように配置する。このようにしても、円形の取付フランジ２５及び軸受フランジ１１を、偏ることなく均等に保持（挟持）することができる。
　さらに、３つ以上の複数のアームを用い、これらアームにそれぞれ１つずつ、爪部（挟持部）を形成した構成としてもよい。

　前記実施形態では、軸受フランジ及び取付フランジは円環状に形成されている。しかし、このような構成に限定されず、フランジが平面視で楕円形状や多角形状等に形成されていてもよい。なお、フランジが非円形に形成されその半径方向の確定が難しい場合は、前記実施形態及び請求の範囲で説明した半径方向をフランジの突出方向として読み替えることが可能である。
　前記実施形態では、回転軸７の延在方向とフランジの面方向（フランジ内面に平行な方向）とが互いに直交している。しかし、このような構成に限定されず、回転軸７の延在方向とフランジの面方向とが非直交で互いに交差していてもよい。

　また、前記実施形態では、本発明の回転機械支持装置を、過給機（回転機械）の回転バランス検査の際に過給機を支持する装置に適用したが、このような回転バランス検査の際の支持装置以外にも、本発明を適用することができる。また、回転機械として、過給機以外の回転機械を支持する装置にも、本発明を適用することができる。

　本発明は、フランジを有する軸受ハウジングと回転軸とを有した回転機械を支持するための回転機械支持装置に適用することができる。

１　過給機（回転機械）
３　タービン翼
７　回転軸
８　軸受ハウジング
１１　軸受フランジ部（フランジ部）
２０　回転機械支持装置
２１　マウント
２２　支持部
２３　取付部
２４　アーム
２５　取付フランジ
２６　シリンダー部
２７　ピストン部
２８　孔
３０　外筒部
３１　ピストンアーム
３２　挟持部
３３　支持板
３４　爪部
３４ａ　爪片
４０　回転機械支持装置
４１　アーム
４２　シリンダー部
４３　ピストン部
４４　ピストンアーム
４５　挟持部
４６　回動軸
４７　支持板
４８　爪部
４９　弾性材
５０　ピストン部
５１　ピストン本体
５２　ジョイント部
５３　挟持部
５７　支持板
５８　爪部
６０　爪片
６１　取付フランジ
６２　軸受フランジ（フランジ）

Claims

　外向きに形成されたフランジを有する軸受ハウジングと該軸受ハウジング内に回転可能に保持される回転軸とを有した回転機械を支持するための回転機械支持装置であって、
　前記回転機械を支持する支持部を備え、
　前記支持部は、前記回転機械の前記フランジに当接可能な取付フランジと、前記取付フランジを前記フランジに当接させた状態で前記取付フランジと前記フランジとをその半径方向外方から半径方向内方に向けて押圧しつつ共に挟持するように構成された挟持部を有する複数のアームと、を備え、
　前記挟持部は、前記取付フランジと前記フランジとを共に挟持可能な互いに対向する一対の爪片を有し、
　前記取付フランジと、前記一対の爪片の間に形成される溝部との少なくとも一方がテーパ形状に形成され、前記テーパ形状は、前記取付フランジの半径方向内方から半径方向外方に向かうに従い前記フランジ及び前記取付フランジの対向方向での幅が漸次減少するように形成されている回転機械支持装置。
　前記挟持部は、前記アームの軸回り方向、前記対向方向と直交する方向、及び前記対向方向にそれぞれ変位可能に前記アームの先端に設けられている請求項１に記載の回転機械支持装置。
　前記アームは、シリンダー部と該シリンダー部内を進退可能なピストン部とを有してなる進退機構を備え、
　前記ピストン部は、有底筒状の外筒部と、該外筒部内に挿入されたピストンアームとを有し、
　前記ピストンアームは、その先端部が前記外筒部の内面との間に隙間を有して弾性変形可能に構成され、
　前記ピストンアームの先端に、前記一対の爪片が設けられている請求項１に記載の回転機械支持装置。
　前記アームは、シリンダー部と該シリンダー部内を進退可能なピストン部とを有してなる進退機構を備え、
　前記ピストン部は、有底筒状の外筒部と、該外筒部内に挿入されたピストンアームとを有し、
　前記ピストンアームは、その先端部が前記外筒部の内面との間に隙間を有して弾性変形可能に構成され、
　前記ピストンアームの先端に、前記一対の爪片が設けられている請求項２に記載の回転機械支持装置。