WO2014141588A1 - 送風機、その送風機の送風ファン取外し方法、及びその方法に用いるファン取外し用ジグ - Google Patents

Abstract

ファン取外し用ジグ（５０）において軸部材（５４）はベース部材（５２）のネジ孔に螺合されている。そして、ファン（１４）をモータ軸（１６）から取り外す際に、ファン（１４）に取り付けられたベース部材（５２）に対し軸部材（５４）を回転させることにより、モータ軸端面（１６ｂ）を軸部材（５４）で押すと共に、ファン（１４）をモータ軸（１６）に対しモータ（１２）の一方に向けて移動させる。そのため、ファン（１４）をモータ軸（１６）から引き抜く力が軸部材（５４）の回転によって作用し、モータ軸（１６）からファン（１４）を容易に取り外すことが可能である。

Description

送風機、その送風機の送風ファン取外し方法、及びその方法に用いるファン取外し用ジグ 関連出願の相互参照

　本出願は、当該開示内容が参照によって本出願に組み込まれた、２０１３年３月１１日に出願された日本特許出願２０１３－０４８０７９を基にしている。

　本開示は、空調装置などに用いられる送風機、その送風機の送風ファン取外し方法、及びその方法に用いるファン取外し用ジグに関するものである。

　一方に突き出たモータ軸を備えたモータとそのモータ軸に嵌合されたファンとを含む送風機が、従来から知られている。そのような送風機は、例えば、特許文献１に開示された冷凍コンテナを構成する冷凍装置において用いられている。具体的に特許文献１の冷凍装置は送風機を２種類含んでおり、一方の送風機は、冷凍装置に含まれる蒸発器に冷凍コンテナ内の空気を流通させる。また、他方の送風機は、冷凍装置に含まれる凝縮器に外気を流通させる。

特開２０１１－２５７０８７号公報

　特許文献１に開示されている冷凍装置において、例えば送風機が故障することがあり得る。送風機の故障としては、具体的には、ファンが破損したりモータが故障することが想定される。そのような場合、モータ軸からファンを取り外す必要がある。

　しかし、ファンの嵌合孔とモータ軸とは径方向隙間が殆ど無い嵌合い関係で嵌合されているので、ファンをモータ軸から引き抜くことは容易ではない。例えば、送風機がモータ軸を横向きにして配設されている場合には、重力の影響により、ファンをモータ軸から引き抜く力をモータ軸の軸方向と平行に作用させ難いので、ファンをモータ軸から引き抜くことは困難になる。

　また、ファンのモータ軸周りの部位に螺合されモータ軸に径方向から突き当たる止めネジにより、ファンがモータ軸に対しその軸方向に移動できないようになっている場合には、モータ軸の外周面において止めネジが突き当たっている部位に微小な変形が生じることがある。そのような外周面の変形が生じていると、止めネジを緩めたとしても、その変形が、ファンをモータ軸から引き抜くことを妨げる。

　本開示は上記点に鑑みて、送風機のモータからファンを容易に取り外すことが可能な送風機、その送風機の送風ファン取外し方法、及びその方法に用いるファン取外し用ジグを提供することを目的とする。

　上記目的を達成するため、本開示の一態様の送風ファン取外し方法によれば、一方に突き出たモータ軸を有するモータとモータ軸に嵌合されたファンとを備えた送風機に適用する。この送風ファン取外し方法は、ネジ孔が形成されたベース部材とネジ孔に螺合された軸部材とを備えたファン取外し用ジグを用意し、ベース部材とファンとを連結することによりファン取外し用ジグをファンに取り付けるジグ取付工程と、ファンに連結されたベース部材に対して軸部材を回転させることにより、モータ軸に形成されているモータ軸端面を軸部材で押すと共に、ファンをモータ軸に対しモータの一方に向けて移動させるファン引抜工程とを備えている。

　ファンに連結されたベース部材には軸部材が螺合されており、その軸部材をベース部材に対して回転させることにより、モータ軸端面を軸部材で押すと共に、ファンをモータ軸に対しモータの一方に向けて移動させるので、ファンをモータ軸から引き抜く力が軸部材の回転に従って作用し、モータ軸からファンを容易に取り外すことができる。

　本開示の一態様のファン取外し用ジグは、一方に突き出たモータ軸を有するモータとモータ軸に嵌合されたファンとを備えた送風機において、モータ軸からファンを取り外すために用いられる。前記ファン取外し用ジグは、ネジ孔が形成されており、ファンに取り付けられるベース部材と、ネジ孔に螺合されており、ベース部材がファンに取り付けられた状態においてベース部材に対し回転するに従って、モータ軸に形成されているモータ軸端面を押す軸部材とを備えている。

　そのため、ファン取外し用ジグにおいて軸部材はベース部材のネジ孔に螺合されている。そして、そのベース部材が送風機のファンに取り付けられた状態において、その軸部材はベース部材に対し回転するに従ってモータ軸端面を押すので、このファン取外し用ジグを用いれば、ファンをモータ軸から引き抜く力がその軸部材の回転に従って作用し、モータ軸からファンを容易に取り外すことが可能である。

　本開示の一態様の送風機は、一方に突き出たモータ軸を有するモータと、モータ軸に嵌合されたファンとを備える。そのファンには、そのファンをモータ軸から取り外すために用いられるファン取外し用ジグを取り付けるための複数のネジ穴が、モータ軸の突出し方向と同方向に開口し且つモータ軸の軸心を中心としてその軸心まわりに位置するように設けられており、モータ軸には、そのモータ軸の突出し方向に向いて露出したモータ軸端面が形成されている。

　ファンには、モータ軸の突出し方向と同方向に開口した複数のネジ穴が、モータ軸の軸心を中心としてその軸心まわりに位置するように設けられている。そして、モータ軸には、そのモータ軸の突出し方向に向いて露出したモータ軸端面が形成されているので、ファンをモータ軸から引く抜くために、モータ軸端面を軸方向に押しつつファンを軸方向に引っ張ることを、そのファンに形成された複数のネジ穴にファン取外し用ジグを取り付けることで容易に行うことが可能である。

本開示が適用される送風機を表した斜視図である。 図２は、図１の送風機の分解斜視図である。 図１の送風機に設けられているモータ単体でのモータ軸を拡大して示した拡大図である。 図１の送風機においてファンのボス部を拡大して示した拡大図である。 図１の送風機においてモータからファンを取り外すために使用されるファン取外し用ジグの斜視図である。 図５のファン取外し用ジグを図５とは逆方向から見た斜視図である。 図５のファン取外し用ジグに含まれる軸部材に直交する方向からそのファン取外し用ジグを見た正面図である。 図５のファン取外し用ジグが図１のファンに取り付けられた状態を表す斜視図である。 図１のファンに取り付けられた図５のファン取外し用ジグをモータ軸の軸方向から見た図である。 図９のＸ－Ｘ断面図である。 図５のファン取外し用ジグが用いられてモータ軸からファンが引き抜かれた状態を表す斜視図である。

　以下、本開示の実施形態について図に基づいて説明する。

　図１は、本開示が適用される送風機１０を表した斜視図である。また、図２は、その送風機１０の分解斜視図である。図１に示すように送風機１０は、空調装置に用いられる軸流送風機である。例えば、送風機１０は、冷凍コンテナに含まれる輸送用冷凍装置の一部を構成し、その輸送用冷凍装置に含まれる凝縮器に外気を流通させる。

　図１及び図２に示すように、送風機１０はモータ１２とファン１４とを備えている。モータ１２は周知の電動機であり、モータ１２の一方に突き出たモータ軸１６を備えている。この送風機１０は、モータ軸１６が水平方向を向く横置きで設置されてもよいし、モータ軸１６が鉛直方向を向く縦置きで設置されてもよい。

　ファン１４は、モータ軸１６と同じ軸心を有するボス部１８と、そのボス部１８から放射状に延びた複数枚のファンブレード２０とを備えている。ボス部１８は、内側に配設されたインサート２２と、そのインサート２２の径方向外側に配設されインサート２２とファンブレード２０とをつなぐファンブレード連結部２４とから構成されている。そのインサート２２は、例えば黄銅またはステンレス等の金属製であり、ファンブレード連結部２４及びファンブレード２０は例えばＰＡ樹脂等の樹脂製である。インサート２２とファンブレード連結部２４とファンブレード２０とは、例えばインサート成形により一体的に形成されている。

　そして、インサート２２には、ボス部１８の軸方向に貫通した嵌合孔２６が形成されている。そのインサート２２の嵌合孔２６には、モータ軸１６が挿入され嵌合されている。要するに、ファン１４はモータ軸１６に嵌合されている。

　具体的には、モータ１２単体でのモータ軸１６を拡大図示した図３に示すように、モータ軸１６の軸方向に延びた矩形断面形状のキー２８が、モータ軸１６に形成されたキー溝１６ａに嵌め入れられている。例えば、キー２８は、その端面２８ａが、モータ軸１６の軸端を形成するモータ軸端面１６ｂと同一平面上に位置するように、キー溝１６ａに嵌め入れられている。そのモータ軸端面１６ｂおよびキー２８の端面２８ａはモータ軸１６の軸方向に直交する平面で構成されている。また、キー２８はキー溝１６ａに圧入されており、そのため、キー溝１６ａから容易には脱落しないようになっている。モータ軸端面１６ｂはモータ軸１６の軸線に垂直する端面であり、図４のようにインサート２２がモータ軸１６に嵌合された状態で、軸方向の一方に露出されている。

　モータ軸１６の外周には、モータ軸１６の径方向に直交する平面からなるネジ突当て面１６ｃが形成されており、インサート２２がモータ軸１６に嵌合された状態たとえば図４に示す状態においては、そのネジ突当て面１６ｃはインサート２２の嵌合孔２６に対し微小な径方向隙間を生じる。

　ファン１４のボス部１８を拡大図示した図４に示すように、ファン１４は、インサート２２の嵌合孔２６に形成されたキー溝２６ａにキー２８が嵌め入れられるようにして、モータ軸１６に嵌合されている。例えば、インサート２２の軸端を形成するインサート軸端面２２ａは、モータ軸１６の軸方向に直交する平面から構成されており、モータ軸端面１６ｂと同一平面上に位置している。

　また、インサート２２には、それの径方向に貫通した止めネジ用ネジ孔２２ｂ、２２ｃが形成されている。その一方の止めネジ用ネジ孔２２ｂには、止めネジ３０が、キー２８においてモータ軸１６の径方向外側に形成された外周側側面２８ｂ（図３参照）を押圧するまで螺合されている。他方の止めネジ用ネジ孔２２ｃには、止めネジ３２が、モータ軸１６に形成されたネジ突当て面１６ｃ（図３参照）を押圧するまで螺合されている。その２本の止めネジ３０、３２の軸心は、モータ軸１６の軸方向から見て互いに直交している。このような２本の止めネジ３０、３２により、ファン１４はモータ軸１６に対しその軸方向に相対移動不能とされている。なお、止めネジ３０、３２は、例えば六角穴付き止めねじである。

　また、図４に示すように、インサート軸端面２２ａには、２つのジグ取付穴２２ｄが形成されている。このジグ取付穴２２ｄは、後述するファン取外し用ジグ５０を取り付けるためのネジ穴である。ジグ取付穴２２ｄは、インサート２２の軸方向すなわちモータ軸１６の軸方向と平行な軸心を有しており、モータ軸１６の軸心を挟んで一対を成している。すなわち、２つのジグ取付穴２２ｄは、モータ軸１６の軸方向から見たときにそれらジグ取付穴２２ｄの軸心を結ぶ直線がモータ軸１６の軸心を通り且つモータ軸１６の軸心からの径方向距離がそれぞれ等しくなるように配置されている。なお、ジグ取付穴２２ｄは本開示におけるファンに形成されたネジ穴に対応する。

　また、モータ軸１６の軸方向からインサート軸端面２２ａを見たときに、モータ軸１６の軸心を中心としてキー２８の配置位置を０°位置とすれば、止めネジ３０は０°位置に配置され、止めネジ３２は９０°位置に配置され、２つのジグ取付穴２２ｄの一方は１３５°位置に配置され、２つのジグ取付穴２２ｄの他方は３１５°位置に配置されている。すなわち、２つのジグ取付穴２２ｄは、モータ軸１６の軸方向から見たときに２つの止めネジ３０、３２と重ならないように配置されている。

　このように構成された送風機１０は例えば次のように組み立てられる。先ず、キー２８が図３のようにモータ軸１６のキー溝１６ａに嵌め入れられる。次に、図２の矢印ＡＲ１のように、モータ軸１６がファン１４の嵌合孔２６に挿入され、ファン１４は、図４に示すインサート軸端面２２ａがモータ軸端面１６ｂと同一平面上に位置するようにモータ軸１６に嵌合される。そして、止めネジ３０、３２がそれぞれ止めネジ用ネジ孔２２ｂ、２２ｃに螺合され、それにより、ファン１４はモータ軸１６に対し軸方向に移動しないように固定される。

　次に、モータ１２からファン１４を取り外すために使用されるファン取外し用ジグ５０について説明する。例えば、送風機１０の完成後に、ファン１４が破損した場合、又は、モータ１２が故障した場合には、ファン取外し用ジグ５０が用いられて、ファン１４がモータ１２から取り外される。

　図５および図６はファン取外し用ジグ５０の斜視図であり、図６はファン取外し用ジグ５０を図５とは逆方向から見た斜視図になっている。図７は、ファン取外し用ジグ５０の正面図である。その図５～７に示すように、ファン取外し用ジグ５０は、ベース部材５２と軸部材５４とハンドル５６と押当て部材５８と一対のスペーサ６０とを備えている。このファン取外し用ジグ５０を構成する各部材は例えば黄銅または工具鋼などの金属製である。

　ベース部材５２は平板状の部材であり、厚み方向に貫通したネジ孔６２（図７参照）がベース部材５２の中央部分に形成されている。また、２つの貫通孔６４が、そのネジ孔６２を中心に一対を成して配設されるようにベース部材５２に形成されている。

　軸部材５４は丸棒状の部材であって、外周面にネジ５４ａが形成されている。そして、軸部材５４はベース部材５２のネジ孔６２に螺合されている。

　ハンドル５６は、軸部材５４をその軸心まわりに回転させるための把手である。ハンドル５６は、軸部材５４の軸方向に直交する方向に延びた長手状の形状を有しており、ハンドル５６の中央部分で軸部材５４の一端部５４ｂ（図７参照）に接合されている。このハンドル５６は、軸部材５４に対しその軸心まわりに相対回転不能に接合されており、例えばその軸部材５４に一体的に固定されている。

　押当て部材５８は円盤状の形状を備えており、軸部材５４の他端部５４ｃ（図７参照）に接合されている。例えば、押当て部材５８は軸部材５４に一体的に固定されている。押当て部材５８は、軸部材５４の軸方向において、ベース部材５２に対しハンドル５６とは反対側に配設されている。押当て部材５８は、軸部材５４の軸方向においてその軸部材５４とは反対側に押当て面５８ａを備えている。その押当て面５８ａは、軸部材５４を軸方向から見た外形よりも大きい面、すなわちその軸方向から見た軸部材５４の他端部５４ｃの外形よりも大きい面であり、本開示における押当て部材の一面に対応する。また、軸部材５４の他端部５４ｃは、本開示における軸部材のモータ軸側の端部に対応する。

　スペーサ６０は、軸部材５４の軸方向においてベース部材５２に対し押当て部材５８と同じ側に配置されており、そのベース部材５２に固定されている。一対のスペーサ６０は、軸部材５４の径方向において押当て部材５８の両側にそれぞれ配置されている。また、軸部材５４の軸方向におけるスペーサ６０の厚みは、押当て部材５８と同じ又は押当て部材５８よりも大きくなっている。

　次に、上述したファン取外し用ジグ５０を使用してモータ１２からファン１４を取り外す方法について説明する。

　モータ１２からファン１４を取り外すためには、先ず、インサート２２の止めネジ３０、３２（図４参照）を緩める止めネジ緩め工程が実施される。このネジ緩め工程において、止めネジ３０、３２はインサート２２から完全に取り外されても、取り外されなくてもよい。

　次に、図８および図９に示すように、ファン取外し用ジグ５０をファン１４に取り付けるジグ取付工程が実施される。その図８はファン取外し用ジグ５０がファン１４に取り付けられた状態を表す斜視図であり、図９は、ファン１４に取り付けられたファン取外し用ジグ５０をモータ軸１６の軸方向から見た図である。

　具体的にジグ取付工程では、ファン取外し用ジグ５０が用意される。そして、ジグ取付ボルト６６がベース部材５２の貫通孔６４（図５参照）に挿通され、そのジグ取付ボルト６６がジグ取付穴２２ｄ（図４参照）に螺合される。これにより、スペーサ６０がインサート軸端面２２ａに押し付けられ、ベース部材５２がインサート軸端面２２ａ上に固定される。すなわち、ベース部材５２とファン１４とがジグ取付ボルト６６で連結されることにより、ファン取外し用ジグ５０はファン１４に取り付けられる。

　このとき、図９のＸ－Ｘ断面図である図１０に示すように、ファン取外し用ジグ５０は、軸部材５４の軸方向はモータ軸１６の軸方向と平行となるように、例えば軸部材５４がモータ軸１６と同一軸心上に配置されるように、ファン１４に取り付けられる。そして、押当て部材５８の押当て面５８ａが軸部材５４の軸方向においてスペーサ６０よりもモータ軸１６側に突き出ていないようにしてから、ファン取外し用ジグ５０は取り付けられる。

　また、図１０に示すファン取外し用ジグ５０の取付状態では、押当て部材５８は、モータ軸１６の軸方向において軸部材５４の他端部５４ｃとモータ軸端面１６ｂとの間に配置される。そして、その押当て部材５８の押当て面５８ａは、モータ軸１６の軸方向から見たときに、モータ軸端面１６ｂおよびキー２８の端面２８ａ（図３参照）が占める範囲内に入っている。すなわち、押当て面５８ａは、モータ軸端面１６ｂおよびキー２８の端面２８ａには接触するが、インサート軸端面２２ａには接触しないようになっている。要するに、ファン１４のインサート２２を押圧しないようになっている。なお、押当て面５８ａは、モータ軸１６の軸方向から見たときに、上述のようにモータ軸端面１６ｂおよびキー２８の端面２８ａが占める範囲内に入っているが、キー２８の端面２８ａとは重ならずにモータ軸端面１６ｂが占める範囲内に入っていてもよい。

　次に、ファン取外し用ジグ５０によってファン１４をモータ軸１６に対し軸方向に移動させてモータ軸１６から引き抜くファン引抜工程が実施される。具体的にそのファン引抜工程では、ハンドル５６が回転させられ、それにより、軸部材５４がベース部材５２に対し回転させられる。詳細には、そのハンドル５６の回転操作により、ネジ５４ａを有する軸部材５４は、モータ軸１６側に推進するようにベース部材５２に対し回転させられる。

　そうすると、図１０において、押当て部材５８の押当て面５８ａがモータ軸端面１６ｂに押し付けられ、軸部材５４がモータ軸端面１６ｂを押す。それと共に、ベース部材５２は、モータ軸１６の軸方向においてモータ軸１６に対しインサート２２をベース部材５２側に移動させる力、要するにモータ軸１６からインサート２２を引き抜く力を、ジグ取付ボルト６６を介してインサート２２に作用させる。その結果、ハンドル５６の回転すなわち軸部材５４の回転に従って、ファン１４は、モータ軸１６に対し、そのモータ軸１６の軸方向のベース部材５２側に移動する。要するに、モータ１２の一方に向けて移動する。なお、押当て部材５８は軸部材５４と共に回転するので、押当て面５８ａは、軸部材５４の軸心を中心としてモータ軸端面１６ｂに対して回転しつつそのモータ軸端面１６ｂに押し付けられる。

　例えばファン引抜工程では、ファン１４が、ファン取外し用ジグ５０の使用により、モータ軸１６に対しある程度軸方向に移動させられ、その後、ファン１４は、ファン取外し用ジグ５０を用いずに作業者がファン１４に軸方向の力を直接作用させることにより、モータ軸１６から引き抜かれる。

　図１１はモータ軸１６からファン１４が引き抜かれた状態を表す斜視図であり、この図１１に示すように、ファン引抜工程においてファン１４は、ファン取外し用ジグ５０が取り付けられた状態のまま、モータ軸１６から引き抜かれる。

　次に、２本のジグ取付ボルト６６（図１０参照）を緩めてファン取外し用ジグ５０をファン１４から取り外すジグ取外し工程が実施される。

　以上のように、止めネジ緩め工程、ジグ取付工程、ファン引抜工程、ジグ取外し工程と順次実施されることにより、ファン１４はモータ１２から取り外される。

　上述したように、本実施形態によれば、ファン取外し用ジグ５０において軸部材５４はベース部材５２のネジ孔６２に螺合されている。そして、ファン１４をモータ軸１６から取り外す際に、ファン引抜工程では、ベース部材５２に対し軸部材５４を回転させることにより、モータ軸端面１６ｂを軸部材５４で押すと共に、ファン１４をモータ軸１６に対しモータ１２の一方に向けて移動させるので、ファン１４をモータ軸１６から引き抜く力が軸部材５４の回転に従って作用し、モータ軸１６からファン１４を容易に取り外すことが可能である。

　また、本実施形態によれば、ファン１４をモータ軸１６から取り外す際に、ファン引抜工程では、ハンドル５６を回転させることにより、ベース部材５２に対して軸部材５４を回転させるので、作業者は、軸部材５４を容易に回転させることが可能である。

　また、本実施形態によれば、押当て部材５８の押当て面５８ａは軸部材５４の軸方向から見た他端部５４ｃの外形よりも大きい。そして、ファン１４をモータ軸１６から取り外す際に、ファン引抜工程では、ベース部材５２に対して軸部材５４を回転させることにより、その押当て面５８ａがモータ軸端面１６ｂに押し付けられるので、軸部材５４がモータ軸端面１６ｂを局所的に押圧することを回避することができる。そのため、モータ軸端面１６ｂに凹み等のキズが付き難いという利点がある。

　また、本実施形態によれば、一対のスペーサ６０が、軸部材５４の軸方向においてベース部材５２に対し押当て部材５８と同じ側に設けられており、そのスペーサ６０の厚みは、押当て部材５８と同じ或いは押当て部材５８よりも大きくなっているので、ベース部材５２をジグ取付ボルト６６でインサート２２に固定したときに、そのベース部材５２とインサート２２との間に押当て部材５８が入る空間を生じさせることができる。

　また、本実施形態によれば、ファン１４には、モータ軸１６の突出し方向と同方向に開口した複数のジグ取付穴２２ｄが、モータ軸１６の軸心を中心としてその軸心まわりに位置するように設けられている。そして、モータ軸１６には、そのモータ軸１６の突出し方向に向いて露出したモータ軸端面１６ｂが形成されている。従って、ファン１４をモータ軸１６から引く抜くために、モータ軸端面１６ｂを軸方向に押しつつ、ファン１４に形成された複数のジグ取付穴２２ｄを利用してファン１４を軸方向に引っ張ることを容易に行うことが可能である。すなわち、送風機１０は、ファン１４をモータ軸１６から引く抜くことを、ファン取外し用ジグ５０を用いて容易に行うことができるようになっている。

　（他の実施形態）
　（１）上述の実施形態において、送風機１０は、輸送用冷凍装置に含まれる凝縮器に外気を流通させるものであるが、用途には限定は無く、例えば、その輸送用冷凍装置に含まれる蒸発器に冷凍コンテナ内の空気を流通させるものであってもよい。また、送風機１０は輸送用冷凍装置以外に用いられてもよい。

　（２）上述の実施形態において、ファン１４は金属製のインサート２２を除き樹脂で構成されているが、その材質に限定は無く、例えば全て樹脂で構成されていてもよいし、全て金属で構成されていてもよい。

　（３）上述の実施形態において、ファン取外し用ジグ５０の押当て部材５８およびスペーサ６０は金属製であるが、樹脂製であってもよい。

　（４）上述の実施形態において、押当て部材５８は軸部材５４に一体的に固定されているが、その軸部材５４から脱落しないように保持されていればよく、例えば、軸部材５４に対しその軸心まわりに相対回転可能に取り付けられていてもよい。

　（５）上述の実施形態において、ファン取外し用ジグ５０は押当て部材５８を備えているが、その押当て部材５８を備えていなくてもよい。すなわち、軸部材５４はモータ軸端面１６ｂを直接押してもよい。

　（６）上述の実施形態において、スペーサ６０は合計２つ設けられているが、１つであってよいし、３つ以上であってもよい。或いは、設けられていなくてもよい。

　（７）上述の実施形態において、ハンドル５６がファン取外し用ジグ５０に設けられているが、ファン取外し用ジグ５０において軸部材５４を回転させることができるのであれば、ハンドル５６は無くてもよい。

　（８）上述の実施形態において、ジグ取付穴２２ｄは２つ設けられているが、３つ以上設けられていてもよいし、一つ設けてもよい。

　（９）上述の実施形態において、図１０に示すファン取外し用ジグ５０の取付状態では、押当て部材５８の押当て面５８ａは、モータ軸１６の軸方向から見たときに、モータ軸端面１６ｂおよびキー２８の端面２８ａ（図３参照）が占める範囲内に入っているが、この場合、キー２８はモータ軸１６のキー溝１６ａに圧入され一体的に固定されているので、キー２８をモータ軸１６の一部とみなしてもよい。そのようにみなしたとすれば、キー２８の端面２８ａはモータ軸端面１６ｂの一部分となる。

　なお、本開示は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。

Claims (17)

1. 　一方に突き出たモータ軸（１６）を有するモータ（１２）と前記モータ軸に嵌合されたファン（１４）とを備えた送風機（１０）において、前記モータ軸から前記ファンを取り外す送風ファン取外し方法であって、
   　ネジ孔（６２）が形成されたベース部材（５２）と前記ネジ孔に螺合された軸部材（５４）とを備えたファン取外し用ジグ（５０）を用意し、前記ベース部材と前記ファンとを連結することにより前記ファン取外し用ジグを前記ファンに取り付けるジグ取付工程と、
   　前記ファンに連結された前記ベース部材に対して前記軸部材を回転させることにより、前記モータ軸に形成されているモータ軸端面（１６ｂ）を前記軸部材で押すと共に、前記ファンを前記モータ軸に対し前記モータの前記一方に向けて移動させるファン引抜工程とを備えている送風ファン取外し方法。
2. 　前記ジグ取付工程では、
   　前記ファン取外し用ジグとして、前記軸部材の軸方向から見たときに該軸部材の前記モータ軸側の端部（５４ｃ）よりも大きい一面（５８ａ）が形成され該端部に設けられた押当て部材（５８）を備えたものを用意し、
   　前記押当て部材が前記軸部材の前記モータ軸側の端部と前記モータ軸端面との間に配置されるように前記ファン取外し用ジグを前記ファンに取り付け、
   　前記ファン引抜工程では、前記ベース部材に対して前記軸部材を回転させることにより、前記押当て部材の前記一面を前記モータ軸端面に押し付けいる請求項１に記載の送風ファン取外し方法。
3. 　前記送風機の前記ファンは、前記モータ軸の突出し方向と同方向に開口した複数のネジ穴（２２ｄ）が、前記モータ軸の軸心を中心として該軸心まわりに位置するように設けられたものであって、
   　前記ジグ取付工程では、前記ベース部材を前記ファンのネジ穴にボルト止めすることにより、前記ベース部材と前記ファンとを連結する請求項１又は２に記載の送風ファン取外し方法。
4. 　前記ジグ取付工程では、前記ファン取外し用ジグとして、前記軸部材を回転させるためのハンドル（５６）が設けられたものを用意し、
   　前記ファン引抜工程では、前記ハンドルを回転させることにより、前記ベース部材に対して前記軸部材を回転させる請求項１ないし３のいずれか１つに記載の送風ファン取外し方法。
5. 　前記ジグ取付工程では、前記ファン取外し用ジグを、前記軸部材が前記モータ軸と共通の軸心を有するように前記ファンに取り付ける請求項１ないし４のいずれか１つに記載の送風ファン取外し方法。
6. 　前記ジグ取付工程では、前記ファン取外し用ジグとして、前記軸部材の軸方向の厚みが前記押当て部材以上であるスペーサ（６０）を前記軸方向において前記ベース部材に対し前記押当て部材と同じ側に備えたものを用意する請求項２に記載の送風ファン取外し方法。
7. 　前記モータ軸端面（１６ｂ）は前記モータ軸（１６）の軸線に垂直する前記一方の端面であり、
   　前記ジク取付工程において、前記軸部材（５４）に垂直する面に延伸する前記ベース部材（５２）を前記ファン（１４）のインサート（２２）に取り付けることにより前記ファン取り外し用ジク（５０）を前記ファン（１４）に取り付ける請求項１ないし６のいずれか１つに記載の送風ファン取外し方法。
8. 　前記軸部材は、前記ベース部材が前記ファンに取り付けられた状態において前記モータ軸と共通の軸心を有するように、前記ベース部材のネジ孔に螺合する請求項１ないし７のいずれか１つに記載の送風ファン取外し方法。
9. 　一方に突き出たモータ軸（１６）を有するモータ（１２）と前記モータ軸に嵌合されたファン（１４）とを備えた送風機（１０）において、前記モータ軸から前記ファンを取り外すために用いられるファン取外し用ジグであって、
   　ネジ孔（６２）が形成されており、前記ファンに取り付けられるベース部材（５２）と、
   　前記ネジ孔に螺合されており、前記ベース部材が前記ファンに取り付けられた状態において前記ベース部材に対し回転するに従って、前記モータ軸に形成されているモータ軸端面（１６ｂ）を押す軸部材（５４）とを備えているファン取外し用ジグ。
10. 　前記軸部材の前記モータ軸側に配置される端部（５４ｃ）に設けられ、前記軸部材を軸方向から見たときに該軸部材の端部よりも大きい一面（５８ａ）が形成された押当て部材（５８）を備え、
    　該押当て部材は、前記ベース部材が前記ファンに取り付けられた状態においては、前記軸部材の前記端部と前記モータ軸端面との間に配置され、前記軸部材が前記ベース部材に対して回転することによって前記一面が前記モータ軸端面に押し付けられるように設けられている請求項９に記載のファン取外し用ジグ。
11. 　前記押当て部材は、前記ベース部材が前記ファンに取り付けられた状態において、前記軸部材の軸方向から見たときに前記モータ軸端面が占める範囲内に入るように形成されている請求項１０に記載のファン取外し用ジグ。
12. 　前記軸部材を回転させるためのハンドル（５６）を備えている請求項９ないし１１のいずれか１つに記載のファン取外し用ジグ。
13. 　前記軸部材は、前記ベース部材が前記ファンに取り付けられた状態において前記モータ軸と共通の軸心を有するように、前記ベース部材のネジ孔に螺合されている請求項９ないし１２のいずれか１つに記載のファン取外し用ジグ。
14. 　前記ベース部材に対し前記軸部材の軸方向において前記押当て部材と同じ側に設けられ、前記軸方向の厚みが前記押当て部材以上であるスペーサ（６０）を備えている請求項１０又は１１に記載のファン取外し用ジグ。
15. 　前記軸部材（５４）に垂直する面に延伸する前記ベース部材（５２）には、少なくとも一つの貫通孔（６４）が設けられ、前記貫通孔（６４）は前記ベース部材（５２）を前記ファンに取り付けるために設けられている請求項９ないし１４のいずれか１つに記載のファン取外し用ジグ。
16. 　一方に突き出たモータ軸（１６）を有するモータ（１２）と、
    　前記モータ軸に嵌合されたファン（１４）とを備え、
    　該ファンには、該ファンを前記モータ軸から取り外すために用いられるファン取外し用ジグを取り付けるための複数のネジ穴（２２ｄ）が、前記モータ軸の突出し方向と同方向に開口し且つ前記モータ軸の軸心を中心として該軸心まわりに位置するように設けられており、
    　前記モータ軸には、該モータ軸の突出し方向に向いて露出したモータ軸端面（１６ｂ）が形成されている送風機。
17. 　前記ファンに形成された止めネジ用ネジ孔（２２ｂ、２２ｃ）に螺合され、前記ファンを前記モータ軸に対しその軸方向に相対移動不能とする止めネジ（３０、３２）を備え、
    　前記複数のネジ穴は、前記モータ軸の軸方向において、前記止めネジ用ネジ孔と重ならないように配置されている請求項１６に記載の送風機。

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