WO2014045343A1

WO2014045343A1 - 成分測定装置

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Publication number: WO2014045343A1
Application number: PCT/JP2012/073861
Authority: WO
Inventors: 桃木秀幸
Original assignee: テルモ株式会社
Priority date: 2012-09-18
Filing date: 2012-09-18
Publication date: 2014-03-27

Abstract

　成分測定装置（１０）は、測定用チップ（２００）に採取された体液の所定成分を測定するものであって、筒状の筐体（１２）と、測定用チップ（２００）が装着可能な状態で筐体（１２）の先端側の開口部内にスライド自在に挿入され、且つ測定用チップ（２００）が装着される際に筐体（１２）の基端側に向かってスライドするチップ装着部（１８）と、チップ装着部（１８）の筐体（１２）の基端側に向かうスライド動作を検出するチップ装着検出スイッチ（７０）と、チップ装着検出スイッチ（７０）がチップ装着部（１８）のスライド動作を検出した場合に成分測定装置（１０）の電源をオンにする電源制御部（１４８）とを備える。

Description

成分測定装置

　本発明は、測定用チップに採取された体液の所定成分を測定する成分測定装置に関する。

　従来、血液や尿等の体液中の生体成分を検出して、その成分量や性質等を測定する成分測定装置が広汎に利用されている。

　この種の成分測定装置を用いて血糖値を測定する場合、例えば、成分測定装置を構成するチップ装着部に対して使い捨ての測定用チップを装着し、前記測定用チップの試験紙に血液を染み込ませ、該試験紙に染み込んだ該血液の血糖値を測定する（例えば、特開２０１１－６４５９６号公報参照）。

　このような成分測定装置では、通常、測定用チップをチップ装着部に装着する操作（装着操作）と、該成分測定装置の電源ボタンをオンにする操作（電源ボタン操作）とを別個に行う必要がある。そのため、特に、血糖値を１日に数回（例えば、４回）測定する必要のある糖尿病患者等にとっては、これら操作が負担になり易い。

　また、例えば、電源ボタン操作を行うことなく装着操作を行い該測定用チップに血液を点着してしまうこともあり、この場合、該測定用チップを新しいものに取替えなければならないため、血糖値の測定にかかる費用が高騰する。このようなことから、装着操作と電源ボタン操作とを１つにまとめて（電源ボタン操作を省略して）成分測定装置の操作を簡略化することが希求されている。

　電源ボタン操作を省略するためには、例えば、測定用チップをチップ装着部に装着したことを検知して自動的に成分測定装置の電源がオンになるように該成分測定装置を構成すればよい。この場合、チップ装着部への測定用チップの装着を検出する必要があるが、その方法としては、例えば、試験紙が直接検出スイッチを操作する方法や、試験紙に通電する方法等が考えられる。

　しかしながら、これら方法では測定用チップに検出スイッチを操作する機構や通電機構（電極等）を設ける必要があるため、測定用チップの構造が相当に複雑化するという問題がある。

　本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、測定用チップの構造が複雑化することなく、前記測定用チップをチップ装着部に装着したときに自動的に電源をオンにすることができ、これによって使用者の負担を軽減することができる成分測定装置を提供することを目的とする。

［１］　本発明に係る成分測定装置は、測定用チップに採取された体液の所定成分を測定する成分測定装置であって、筒状の筐体と、前記測定用チップが装着可能な状態で前記筐体の先端側の開口部内にスライド自在に挿入され、且つ前記測定用チップが装着される際に前記筐体の基端側に向かってスライドするチップ装着部と、前記チップ装着部の前記筐体の基端側に向かうスライド動作を検出するチップ装着検出スイッチと、少なくとも１つの所定条件を満たした場合に前記成分測定装置の電源をオンにする電源制御部と、を備え、前記所定条件は、前記チップ装着検出スイッチが前記チップ装着部の前記筐体の基端側へのスライド動作を検出することであることを特徴とする。

　本発明に係る成分測定装置によれば、測定用チップをチップ装着部に装着すると、前記チップ装着部が筐体の基端側にスライドしてそのスライド動作をチップ装着検出スイッチが検出し、電源制御部が成分測定装置の電源をオンにするので、前記測定用チップを前記チップ装着部に装着したときに、自動的に前記成分測定装置の電源をオンにすることができる。すなわち、電源ボタン操作を省略することができる。これによって、成分測定装置の操作が簡略化され、使用者等の操作ミス（電源ボタンの押し忘れ）を防止することができるため、使用者等の負担を軽減することができる。また、この場合、前記チップ装着検出スイッチは、前記測定用チップに設けられていないため、該測定用チップが複雑化することはない。

［２］　上記の成分測定装置において、前記測定用チップに光を照射する発光素子と前記発光素子が前記測定用チップに照射した前記光の反射光を検出する受光素子とを含む測光部と、前記チップ装着検出スイッチが前記チップ装着部の前記スライド動作を検出した後、前記受光素子が検出した前記反射光に基づいて前記測定用チップが前記チップ装着部に装着されたか否かを判定するチップ装着判定部と、を備え、前記所定条件は、前記チップ装着判定部にて前記測定用チップが装着されたと判定されたことを含んでいてもよい。

　このような構成によれば、チップ装着検出スイッチにてチップ装着部のスライド動作が検出され、且つ受光素子が検出した反射光に基づいて測定用チップがチップ装着部に装着されたとチップ装着判定部にて判定された場合に電源制御部が成分測定装置の電源をオンにする。これにより、測定用チップがチップ装着部に装着されていない状態（測定用チップがチップ装着部に不完全に装着された状態）で該チップ装着部が筐体の基端側にスライドしてチップ装着検出スイッチが該スライド動作を検出したとしても、前記電源がオンになることを防止することができるので、無駄な電力消費を抑えることができる。

［３］　上記の成分測定装置において、前記測光部は、前記チップ装着部に対して固定されていてもよい。

　このような構成によれば、測光部をチップ装着部に固定しているので、前記チップ装着部のスライド動作によらず、該チップ装着部に装着された測定用チップと前記測光部との位置関係を一定に保持することができる。すなわち、チップ装着部の位置によって受光素子にて検出される反射光の光量が増減することはないので、測定用チップが前記チップ装着部に装着されたか否かをチップ装着判定部にて確実に判定することができる。

［４］　上記の成分測定装置において、前記チップ装着部を前記測定用チップが装着される先端側に向けて付勢する付勢手段をさらに備えてもよい。

　このような構成によれば、チップ装着部を測定用チップが装着される先端側に向けて付勢手段にて付勢しているので、前記測定用チップを前記チップ装着部に装着していない状態で、該チップ装着部が筐体の基端側にスライドしてチップ装着検出スイッチが前記スライド動作を検出してしまうことを好適に抑えることができる。これにより、前記測定用チップが未装着のまま成分測定装置の電源がオンになることを抑えることができる。

［５］　上記の成分測定装置において、前記付勢手段は、前記測定用チップを前記チップ装着部に装着するのに必要な力よりも小さな付勢力で該チップ装着部を付勢してもよい。

　このような構成によれば、付勢手段が測定用チップをチップ装着部に装着するのに必要な力よりも小さな付勢力でチップ装着部を付勢しているので、前記測定用チップを前記チップ装着部に装着させた際に該チップ装着部を筐体の基端側に好適にスライドさせることができる。これにより、前記測定用チップを前記チップ装着部に装着した際に成分測定装置の電源を確実にオンにすることができる。

［６］　上記の成分測定装置において、前記筐体内に配設されて前記電源制御部が実装された制御基板をさらに備え、前記チップ装着検出スイッチは、前記チップ装着部の前記スライド動作によって変位する爪部を有した状態で前記制御基板に実装されており、前記爪部の変位に基づいて前記チップ装着部の前記スライド動作を検出してもよい。

　このような構成によれば、チップ装着検出スイッチを筐体内に配設された制御基板に実装しているので、チップ装着部の筐体の基端側へのスライド動作によって該チップ装着部を該チップ装着検出スイッチの爪部に接触させて該爪部を変位させることができる。これにより、チップ装着検出スイッチによるチップ装着部の前記スライド動作を簡単に検出することができる。また、チップ装着検出スイッチと電源制御部とを同一の制御基板に実装しているので、成分測定装置の構成を簡素化することができる。

［７］　上記の成分測定装置において、前記チップ装着部は筒状に形成されると共に該チップ装着部内に前記測光部が配設され、前記チップ装着部と前記測光部との間には、前記チップ装着部に装着された前記測定用チップを取り外すためのイジェクタが配設されていてもよい。

　このような構成によれば、イジェクタを設けているので、体液が付着した測定用チップを使用者等が直接触れることなく成分測定装置から取り外すことができる。また、筒状のチップ装着部内に測光部を配設すると共にイジェクタを該チップ装着部と該測光部との間に配設しているので、成分測定装置をコンパクトに構成することができる。

本発明の一実施形態に係る成分測定装置に測定用チップを装着した状態を示した斜視図である。図１に示す成分測定装置及び測定用チップの分解斜視図である。図１に示す成分測定装置及び測定用チップの一部省略拡大断面図である。図３のＩＶ－ＩＶ線に沿った一部省略断面図である。図３のＶ－Ｖ線に沿った一部省略断面図である。前記成分測定装置を構成する制御部を説明するためのブロック図である。前記成分測定装置を用いて血糖値を測定する手順を示したフローチャートである。図８Ａは前記測定用チップを前記成分測定装置のチップ装着部に装着する前の状態を示した一部省略断面図であり、図８Ｂは前記測定用チップを前記チップ装着部に装着した状態を示した一部省略断面図である。

　以下、本発明に係る成分測定装置について好適な実施形態を例示し、添付の図面を参照しながら説明する。

　本実施形態に係る成分測定装置１０は、その先端に測定用チップ２００が装着可能であって、測定用チップ２００に採取された血液中のグルコース濃度（血糖値）を測定及び表示する血糖計として構成されている。先ず、測定用チップ２００について説明する。

　測定用チップ２００は、いわゆるディスポーザブル品であって、個包装体に包装されている。図２及び図３に示すように、測定用チップ２００は、樹脂等で一体成形されたチップ本体２０２と、チップ本体２０２に設けられた試験紙２０４とを備える。

　チップ本体２０２は、基端側に形成された複数（本実施形態では４つ）の装着爪２０６と、これら装着爪２０６の先端側に設けられた円板状のベース部２０８と、ベース部２０８の略中央から先端側に向けて突出した吸引突起２１０とを有している。

　複数の装着爪２０６は、ベース部２０８の外周部において周方向に等間隔離間して配置されている。チップ本体２０２には、ベース部２０８の基端面と吸引突起２１０の先端面とに開口する細径の血液導入路２１２が形成されている。

　試験紙２０４は、例えば、ポリエーテルスルホン等で構成されており、ベース部２０８の基端面に固着されている。試験紙２０４に含浸される試薬としては、例えば、グルコースオキシターゼ（ＧＯＤ）、ペルオキシターゼ（ＰＯＤ）、４－アミノアンチピリン、Ｎ－エチルＮ－（２－ヒドロキシ－３－スルホプロピル）等の発色剤が挙げられる。

　次に、本実施形態に係る成分測定装置１０について説明する。なお、以下の説明では、成分測定装置１０及びその構成要素に関し、測定用チップ２００が装着される側を「先端側」と呼び、その反対側を「基端側」と呼ぶ。

　図１及び図２に示すように、本実施形態に係る成分測定装置１０は、細長に構成された筒状の筐体１２と、筐体１２の基端側の開口を閉塞するキャップ１４と、筐体１２の長手方向（軸線方向）に沿って延在した状態で筐体１２内に配設された主制御基板１６と、筐体１２の先端側開口部にスライド自在に挿入されて測定用チップ２００が装着されるチップ装着部１８と、チップ装着部１８を先端側に付勢する複数（本実施形態では一対）のばね部材（付勢手段、弾性部材）２０、２２と、測定用チップ２００をチップ装着部１８から取り外すためのイジェクタ２４と、チップ装着部１８に設けられた測光部２６とを備える。

　筐体１２は、例えば、人手により把持し易い大きさに樹脂等で構成されており、主制御基板１６の一方の面を覆う第１ケース２８と、主制御基板１６の他方の面を覆う第２ケース３０とを有する。

　第１ケース２８の長さ寸法と第２ケース３０の長さ寸法とは同一に設定されている。第１ケース２８は、その全長に亘って延在した第１平板部３２と、第１平板部３２の両側部から幅方向外側に延出するように円弧状に立設した一対の第１側壁部３６、３８とを含む。

　各第１側壁部３６、３８の内面における先端側の部分には、第１ケース２８の幅方向内側に向けて突出した突出片４０、４２が形成され、各突出片４０、４２には、先端側に向けて突出した凸部４４、４６が設けられている（図４参照）。なお、一対の突出片４０、４２は、第１ケース２８の長手方向の位置が略一致している。

　第２ケース３０は、その全長に亘って延在した平板状の第２平板部４８と、第２平板部４８の両側部から幅方向外側に延出するように第１ケース２８に向けて円弧状に突出した一対の第２側壁部５０、５２とを含む。

　第２平板部４８には、基端側に位置して主制御基板１６に実装された操作スイッチ５４に接触可能な操作ボタン５６と、長手方向略中央に位置して第２平板部４８の長手方向に沿って延在した液晶ディスプレイ５８（図３参照）と、液晶ディスプレイ５８を覆う透明の保護カバー６０と、先端側に位置してイジェクタ２４を操作するためのイジェクタ操作部６２とが設けられている。

　本実施形態では、使用者等が操作ボタン５６を押圧して該操作ボタン５６が操作スイッチ５４に接触することにより、液晶ディスプレイ５８の表示画面の操作を行うことが可能となっている。また、操作ボタン５６は、電源ボタンとしては機能しない。すなわち、本実施形態において、成分測定装置１０は電源ボタンを備えていない。

　イジェクタ操作部６２は、第２平板部４８に対して筐体１２の長手方向に沿ってスライド自在に設けられている。また、イジェクタ操作部６２には、筐体１２の幅方向に沿って延在した凸状の複数のリブ６４が形成されている。これにより、使用者等は、これらリブ６４に手指を引掛けることができるため、イジェクタ操作部６２のスライド動作を好適に行うことができる。

　キャップ１４は、主制御基板１６を外部環境（例えば、埃や水滴等）から保護する機能を有している。なお、キャップ１４は、筐体１２と同様の材料で構成することができる。

　主制御基板１６は、複数（本実施形態では４本）のねじ部材６５によって第２ケース３０に固定されている。主制御基板１６の一方の面には電池６６を保持するための電池ホルダ６８が固定され、主制御基板１６の他方の面には操作スイッチ５４とチップ装着検出スイッチ７０とが実装されている。

　本実施形態では、電池６６としてボタン型電池を例示しているが、電池６６として、丸型乾電池、角型乾電池、又は二次電池等を用いてもよいことは勿論である。

　チップ装着検出スイッチ７０は、測定用チップ２００がチップ装着部１８に装着されたことを検出するためのものであって、主制御基板１６の先端側において幅方向略中央に位置している。また、チップ装着検出スイッチ７０は、測定用チップ２００が装着されることで筐体１２の基端側にスライドするチップ装着部１８が接触することにより変位する可動爪（爪部）７２を有している。

　すなわち、チップ装着検出スイッチ７０は、可動爪７２が変位することにより、筐体１２に対するチップ装着部１８の基端側へのスライド動作を検出することができる。

　図２～図５に示すように、チップ装着部１８は、樹脂等で一体的に成形されており、筐体１２の先端側の開口部内にスライド自在に挿入された筒状の基部７４と、基部７４の先端から内側に向けて突出した中間壁７６と、中間壁７６から先端側に突出して測定用チップ２００が装着される円筒部７８とを備える。

　基部７４は、筐体１２の第１平板部３２及び第２平板部４８の各々に対向する部位が平板状に形成されており、筐体１２の第１側壁部３６、３８及び第２側壁部５０、５２の各々に対向する部位が円弧状に湾曲している。これにより、基部７４を筐体１２の長手方向に沿って円滑にスライドさせることができる。なお、基部７４は、筐体１２内に配設された状態で筐体１２の先端側に突出している。

　基部７４の内面には、基部７４の幅方向内側に向けて突出した一対の突出部８０、８２が形成され、各突出部８０、８２には、基端側に向けて突出した凸部８４、８６が設けられている（図４参照）。一対の突出部８０、８２は、基部７４の軸線方向の位置が略一致している。円筒部７８の内面には、測定用チップ２００の複数の装着爪２０６が係止する環状係止部８８が形成されている。

　チップ装着部１８は、チップ装着検出スイッチ７０の可動爪７２に接触可能な断面略Ｕ字状（断面門型形状）の接触部９０をさらに備える。接触部９０は、基部７４の幅方向略中央における基端からチップ装着検出スイッチ７０に向けて突出している。

　本実施形態では、各ばね部材２０、２２として、圧縮コイルばねが用いられる。そして、ばね部材２０は、基端側が筐体１２の凸部４４に外嵌されると共に先端側がチップ装着部１８の凸部８４に外嵌された状態で突出片４０と突出部８０との間に介設されている。

　これと同様に、ばね部材２２は、基端側が筐体１２の凸部４６に外嵌されると共に先端側がチップ装着部１８の凸部８６に外嵌された状態で突出片４２と突出部８２との間に介設されている。これにより、チップ装着部１８が一対のばね部材２０、２２によって筐体１２に対して先端側に付勢されることになる。

　また、各ばね部材２０、２２は、これらばね部材２０、２２の付勢力の合力が測定用チップ２００をチップ装着部１８に装着するのに必要な力よりも小さくなるようにばね定数等が設定されている。

　イジェクタ２４は、樹脂等で一体的に成形されており、チップ装着部１８の基部７４内に配設されている。イジェクタ２４は、イジェクタ操作部６２に設けられた一対の固定部９２、９４と、各固定部９２、９４の先端側に設けられて測定用チップ２００に接触可能な押出部９６とを有する。

　各固定部９２、９４は、筐体１２の長手方向に沿って延在しており、その基端部には、イジェクタ操作部６２に形成された一対の嵌合突起９８、１００の各々が嵌合する嵌合孔１０２、１０４が形成されている（図５参照）。

　押出部９６は、円筒体の一部をその軸線方向に沿って切り欠いたような形状を有している。測定用チップ２００がチップ装着部１８に装着された状態で、押出部９６の先端面は、測定用チップ２００を構成する複数の装着爪２０６の基端面に対向する。

　測光部２６は、チップ装着部１８内に配設された状態で複数（本実施形態では４本）のねじ部材１０６によってチップ装着部１８に固定されている。測光部２６は、主制御基板１６とフレキシブル基板１０８を介して電気的に接続された副制御基板１１０と、副制御基板１１０が設けられる基板配置部１１２と、基板配置部１１２から先端側に向けて突出した筒状の導光部１１４とを有している。

　副制御基板１１０は、前記ねじ部材１０６によって基板配置部１１２に固定されている。図５から諒解されるように、副制御基板１１０には、第１の波長を有する光を試験紙２０４に照射する第１発光素子１１６と、第１の波長とは異なる第２の波長を有する光を試験紙２０４に照射する第２発光素子１１８と、試験紙２０４から導かれた反射光を検出（受光）する受光素子１２０とが実装されている。

　本実施形態では、第１発光素子１１６及び第２発光素子１１８として発光ダイオード（ＬＥＤ）が用いられ、受光素子１２０としてフォトダイオード（ＰＤ）が用いられる。

　基板配置部１１２と導光部１１４とは、樹脂等で一体的に成形されている。導光部１１４は、イジェクタ２４の押出部９６の内方に位置している。すなわち、イジェクタ２４の押出部９６は、チップ装着部１８と導光部１１４との間に配設されている。これにより、成分測定装置１０をコンパクトに構成することができる。

　図４から諒解されるように、導光部１１４には、その軸線方向に沿って延在して導光部１１４内を照射光路１２２と反射光路１２４とに仕切る隔壁１２６が形成されている。隔壁１２６は、副制御基板１１０を貫通するように延出すると共に、第１発光素子１１６と第２発光素子１１８とが照射光路１２２側に位置して受光素子１２０が反射光路１２４側に位置している。これにより、第１発光素子１１６又は第２発光素子１１８から出射した光を受光素子１２０が直接的に受光してしまうことを好適に防止することができる。

　導光部１１４の先端側開口部内にはレンズ１２８が挿入保持されている。レンズ１２８は、照射光路１２２から導かれた光を試験紙２０４に集光する照射レンズ１３０と、試験紙２０４から導かれた反射光を受光素子１２０に集光する導光レンズ１３２とが一体形成されたものが用いられる。

　図６に示すように、成分測定装置１０は、ブザー部１３４、クロック部１３６、通信部１３８、電源部１４０、温度測定部１４２、記憶部１４４、及び制御部１４６をさらに備えている。

　ブザー部１３４は、制御部１４６からの信号に基づいてブザーを作動させ音を発する。ブザーは、例えば測定が終了した時に鳴る。クロック部１３６は、絶対時間（日時）を特定する時計を構成するもので、一定時間間隔のクロックパルスを発振し、制御部１４６が内蔵する時計制御回路の動作基準信号の供給を行う。

　電源部１４０は、電池６６の電力を制御部１４６に供給する。通信部１３８は、パソコン等の外部装置との間でデータを送受信する。温度測定部１４２は、環境温度を測定し得る温度センサー（サーミスタ）を備えている。温度測定部１４２では随時温度測定がなされ、その温度情報は記憶部１４４に記憶される。また、記憶部１４４から読み出された温度情報は制御部１４６に入力され、血糖値の温度補正計算に利用される。

　記憶部１４４は、所定のプログラムが記憶されたＲＯＭやＲＡＭとして構成されている。制御部１４６は、上述した主制御基板１６に実装されて所定の処理を実行するためのマイクロコンピュータとして構成されている。

　また、制御部１４６には、電源制御部１４８とチップ装着判定部１５０とが設けられている。電源制御部１４８は、電源部１４０を制御して成分測定装置１０の電源をオン・オフ制御する。本実施形態では、成分測定装置１０の電源がオンにされると起動状態となり、成分測定装置１０の電源がオフにされると待機状態となる。

　ここで、起動状態とは、実際に血液中の血糖値を測定してその測定結果を液晶ディスプレイ５８に表示することができるような状態のことをいい、待機状態とは、液晶ディスプレイ５８が消灯されると共に、少なくとも測光部２６、電源制御部１４８及びチップ装着判定部１５０が駆動可能となっているような状態のことをいう。

　チップ装着判定部１５０は、受光素子１２０が検出した反射光に基づいて測定用チップ２００が装着されたか否かを判定する。なお、本実施形態において、測定用チップ２００が装着されていない形態には、測定用チップ２００がチップ装着部１８に不完全な状態で装着されている形態（例えば、測定用チップ２００の一部の装着爪２０６のみがチップ装着部１８の環状係止部８８に係止されて他の装着爪２０６は環状係止部８８に係止されていないような形態）を含む。

　本実施形態に係る成分測定装置１０は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に前記成分測定装置１０を用いた血糖値の測定について説明する。

　先ず、使用者等は、測定用チップ２００をチップ装着部１８に装着する（図７のステップＳ１参照）。すなわち、測定用チップ２００の装着爪２０６をチップ装着部１８の円筒部７８の先端側開口部に差し込む。そうすると、図８Ａ及び図８Ｂに示すように、測定用チップ２００に押されたチップ装着部１８が一対のばね部材２０、２２を圧縮させながら筐体１２に対して基端側にスライドすることとなる。

　このとき、測光部２６は、複数のねじ部材１０６によってチップ装着部１８に固定されているため、フレキシブル基板１０８を撓ませながらチップ装着部１８と一緒に筐体１２に対して基端側に移動する。一方、イジェクタ２４は、筐体１２に設けられたイジェクタ操作部６２に固定されているため移動することはない。

　チップ装着部１８が筐体１２に対して基端側にスライドすると、チップ装着部１８の接触部９０がチップ装着検出スイッチ７０の可動爪７２に接触して該可動爪７２が変位することにより、該チップ装着検出スイッチ７０がチップ装着部１８の筐体１２の基端側へのスライド動作を検出する（ステップＳ２）。

　チップ装着検出スイッチ７０がチップ装着部１８のスライド動作を検出すると、制御部１４６は、第１発光素子１１６又は第２発光素子１１８をパルス発光させる。

　そうすると、第１発光素子１１６又は第２発光素子１１８から出射した光は、照射光路１２２を通過して照射レンズ１３０に入射され、測定用チップ２００の試験紙２０４に集光照射される。試験紙２０４に照射された光は、該試験紙２０４で反射されて反射光として導光レンズ１３２に入射され、反射光路１２４を通過して受光素子１２０に集光照射される。

　そして、チップ装着判定部１５０は、受光素子１２０にて検出された反射光に基づいて測定用チップ２００がチップ装着部１８に装着されているか否かを判定する（ステップＳ３）。

　具体的には、例えば、チップ装着判定部１５０は、受光素子１２０が検出した反射光の光量が所定の閾値を超えている場合に測定用チップ２００がチップ装着部１８に装着されていると判定し、前記光量が前記閾値以下である場合に測定用チップ２００がチップ装着部１８に装着されていないと判定することができる。なお、チップ装着判定部１５０による判定が終了した後、制御部１４６は第１発光素子１１６（第２発光素子１１８）のパルス発光を停止する。

　チップ装着判定部１５０にて測定用チップ２００がチップ装着部１８に装着されていないと判定された場合（ステップＳ３：ＮＯ）には、ステップＳ１の操作に戻る。

　これにより、測定用チップ２００が装着されていない状態でチップ装着部１８が筐体１２の基端側にスライドしてチップ装着検出スイッチ７０がチップ装着部１８のスライド動作を検出したとしても、成分測定装置１０の電源がオンになることを防止することができるので、無駄な電力消費を抑えることができる。

　一方、チップ装着判定部１５０にて測定用チップ２００がチップ装着部１８に装着されたと判定された場合（ステップＳ３：ＹＥＳ）には、電源制御部１４８は電源部１４０を制御して成分測定装置１０の電源をオンにする（ステップＳ４）。これにより、成分測定装置１０が起動状態となる。

　測定用チップ２００がチップ装着部１８に装着されて使用者等が測定用チップ２００から手指を離すと、チップ装着部１８は、ばね部材２０、２２の弾性力（復元力）によって筐体１２の先端側にスライドし、元の位置に復帰することになる。なお、このとき、イジェクタ２４が、測光部２６に接触して該チップ装着部１８の先端側の移動を制限するストッパとして機能するため、該チップ装着部１８が筐体１２から抜け出てしまうことはない。

　その後、使用者等は、測定対象者（使用者等）の血液を採取する（ステップＳ５）。具体的には、手指を専用の図示しない穿刺器具で穿刺し、皮膚上に少量（例えば、０．３～１．５μＬ程度）の血液を流出させる。そして、指先から流出した血液に、測定用チップ２００の吸引突起２１０の先端を接触させる（点着させる）。

　そうすると、血液が、測定用チップ２００の血液導入路２１２内に取り込まれ、毛細管現象によって基端に吸引される。吸引された血液は試験紙２０４に染み込み、試験紙２０４の径方向外側へ向かって拡散する。このとき、血液中のブドウ糖と試験紙２０４に含まれている発色試薬とが反応を開始し、ブドウ糖の量に応じて試験紙２０４が呈色する。

　また、成分測定装置１０は、測定用チップ２００に採取された血液中の血糖値を測定する（ステップＳ６）。すなわち、制御部１４６は、第１発光素子１１６及び第２発光素子１１８を交互にパルス発光させる。

　そうすると、第１発光素子１１６及び第２発光素子１１８の各々から出射した光は照射光路１２２を通過して照射レンズ１３０に入射され、試験紙２０４に集光照射される。試験紙２０４に照射された光は、該試験紙２０４で反射されて反射光として導光レンズ１３２に入射され、反射光路１２４を通過して受光素子１２０に集光照射される。

　このとき、制御部１４６は、受光素子１２０にて検出された反射光の光量（反射光量）に基づき試験紙２０４の呈色の度合いを測定する。そして、血液が試験紙２０４に染み込んで反射光量が大きく変化した時点から計時を開始し、所定時間経過後の反射光量に基づいて血糖値が算出される。

　具体的には、第１発光素子１１６から出射した光によって発色試薬とブドウ糖との反応で生じた色素を検出し、ブドウ糖の量に応じた呈色濃度を測定する。また、第２発光素子１１８から出射した光によって赤血球を検出し、赤血球の赤色濃度を測定する。そして、呈色濃度から得られるグルコース値を赤色濃度から得られるヘマトクリット値を用いて補正し、血糖値が求められる。

　次に、制御部１４６は、測定した血糖値を液晶ディスプレイ５８に表示し（ステップＳ７）、所定時間経過後に、電源制御部１４８が電源部１４０を制御して成分測定装置１０の電源をオフにする（ステップＳ８）。これにより、成分測定装置１０が待機状態となる。

　血糖値の測定終了後、使用者等は測定用チップ２００をチップ装着部１８から取り外す（ステップＳ９）。具体的には、使用者等は、手指をイジェクタ操作部６２のリブ６４に引掛け該イジェクタ操作部６２を筐体１２の先端側にスライドさせる。

　そうすると、イジェクタ２４がチップ装着部１８に対して先端側にスライドして測定用チップ２００の装着爪２０６を先端側に押圧するため、装着爪２０６がチップ装着部１８の環状係止部８８から離脱する。これにより、測定用チップ２００がチップ装着部１８から取り外される。この段階で今回のフローチャートが終了する。

　本実施形態では、測定用チップ２００の装着爪２０６をチップ装着部１８の円筒部７８に装着すると、チップ装着部１８が筐体１２の基端側にスライドしてそのスライド動作をチップ装着検出スイッチ７０が検出し、第１発光素子１１６又は第２発光素子１１８をパルス発光する。そして、受光素子１２０にて検出された反射光に基づいて測定用チップ２００がチップ装着部１８に装着されたとチップ装着判定部１５０に判定された場合に、電源制御部１４８が成分測定装置１０の電源をオンにしている。

　すなわち、本実施形態では、測定用チップ２００をチップ装着部１８に装着したときに、自動的に成分測定装置１０の電源がオンになるので、成分測定装置１０に電源ボタンを設ける必要がない。よって、成分測定装置１０の構成を簡素化することができる。

　また、成分測定装置１０に電源ボタンを設けた場合であっても、測定用チップ２００をチップ装着部１８に装着したときに自動的に成分測定装置１０の電源がオンになるので、電源ボタン操作を省略することができる。これにより、成分測定装置１０の操作が簡略化され、使用者等の操作ミス（電源ボタンの押し忘れ）を防止することができるため、使用者等の負担を軽減することができる。この場合、チップ装着検出スイッチ７０は、測定用チップ２００に設けられていないため、測定用チップ２００が複雑化することはない。

　さらに、チップ装着判定部１５０にて測定用チップ２００がチップ装着部１８に装着されたと判定された場合に成分測定装置１０の電源をオンにしているので、測定用チップ２００がチップ装着部１８に装着されていない状態（測定用チップ２００がチップ装着部１８に不完全に装着された状態）でチップ装着部１８が筐体１２の基端側にスライドしてチップ装着検出スイッチ７０がチップ装着部１８のスライド動作を検出したとしても、前記電源がオンになることを防止することができる。よって、無駄な電力消費を抑えることができる。

　本実施形態によれば、測光部２６を複数のねじ部材１０６によってチップ装着部１８に固定しているので、チップ装着部１８のスライド動作によらず、チップ装着部１８に装着された測定用チップ２００と測光部２６との位置関係を一定に保持することができる。すなわち、チップ装着部１８の位置によって受光素子１２０にて検出される反射光の光量が増減することはないので、測定用チップ２００がチップ装着部１８に装着されたか否かをチップ装着判定部１５０にて確実に判定することができる。

　また、チップ装着部１８を一対のばね部材２０、２２にて筐体１２の先端側に付勢しているので、測定用チップ２００をチップ装着部１８に装着していない状態で、チップ装着部１８が筐体１２の基端側にスライドしてチップ装着検出スイッチ７０が前記スライド動作を検出してしまうことを好適に抑えることができる。これにより、測定用チップ２００が未装着のまま成分測定装置１０の電源がオンになることを抑えることができる。

　さらに、一対のばね部材２０、２２の付勢力の合力が測定用チップ２００をチップ装着部１８に装着するのに必要な力よりも小さくなるように各ばね部材２０、２２を設定しているので、測定用チップ２００をチップ装着部１８に装着させた際にチップ装着部１８を筐体１２の基端側に好適にスライドさせることができる。これにより、測定用チップ２００をチップ装着部１８に装着した際に成分測定装置１０の電源を確実にオンにすることができる。

　さらにまた、本実施形態では、チップ装着検出スイッチ７０を筐体１２内に配設された主制御基板１６に実装しているので、チップ装着部１８の筐体１２の基端側へのスライド動作によってチップ装着部１８をチップ装着検出スイッチ７０の可動爪７２に接触させて該可動爪７２を変位させることができる。これにより、チップ装着検出スイッチ７０によるチップ装着部１８のスライド動作を簡単に検出することができる。また、チップ装着検出スイッチ７０と電源制御部１４８を有する制御部１４６とを同一の主制御基板１６に実装しているので、成分測定装置１０の構成を簡素化することができる。

　本実施形態によれば、イジェクタ２４を設けているので、血液が付着した測定用チップ２００を使用者等が直接触れることなく成分測定装置１０から取り外すことができる。また、筒状のチップ装着部１８に測光部２６を配設すると共にイジェクタ２４をチップ装着部１８と測光部２６との間に配設しているので、成分測定装置１０をコンパクトに構成することができる。

　本実施形態は、上述した構成に限定されない。例えば、成分測定装置１０は、少なくとも１つの所定条件を満たした場合に成分測定装置１０の電源をオンにしてもよい。そして、前記所定条件は、チップ装着検出スイッチ７０がチップ装着部１８の筐体１２の基端側に向かうスライド動作を検出することのみであっても構わない。すなわち、チップ装着検出スイッチ７０が前記スライド動作を検出した後、チップ装着判定部１５０の判定を行うことなく、電源制御部１４８が成分測定装置１０の電源をオンにしても構わない。

　このような場合であっても、成分測定装置１０に電源ボタンを設ける必要がないため、成分測定装置１０の構成を簡素化することができる。また、成分測定装置１０に電源ボタンを設けた場合であっても、その電源ボタン操作を省略することができる。

　また、例えば、チップ装着検出スイッチ７０は、筐体１２又はチップ装着部１８に設けられていてもよい。すなわち、測定用チップ２００がチップ装着部１８に装着されてチップ装着部１８が筐体１２の基端側にスライドした際にチップ装着検出スイッチ７０の可動爪７２が変位可能であれば、チップ装着検出スイッチ７０は成分測定装置１０のどこに設置しても構わない。

　さらに、成分測定装置１０は、チップ装着部１８の接触部９０がチップ装着検出スイッチ７０の可動爪７２に接触可能に構成されていなくてもよく、例えば、接触部９０が中間部材を介して可動爪７２に接触可能に構成されていてもよい。

　上記において、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。

　例えば、チップ装着部を付勢するばね部材は、１つ又は３つ以上設けても構わない。また、本発明に係る成分測定装置は、体液の所定成分を測定するものであればよく、血糖値を測定する血糖計に限られない。

　さらに、チップ装着検出スイッチは、機械的な動作に伴って前記スライド動作を検出する構成に限られず、圧力や磁気等を利用してチップ装着部の筐体の基端側へのスライド動作を検出してもよいし、光学的に前記スライド動作を検出してもよい。この場合であっても、上述した形態と同様の効果を奏することができる。なお、このような形態を採用する場合、成分測定装置の待機状態において、チップ装着検出スイッチは駆動可能にすればよい。

Claims

　測定用チップ（２００）に採取された体液の所定成分を測定する成分測定装置（１０）であって、
　筒状の筐体（１２）と、
　前記測定用チップ（２００）が装着可能な状態で前記筐体（１２）の先端側の開口部内にスライド自在に挿入され、且つ前記測定用チップ（２００）が装着される際に前記筐体（１２）の基端側に向かってスライドするチップ装着部（１８）と、
　前記チップ装着部（１８）の前記筐体（１２）の基端側に向かうスライド動作を検出するチップ装着検出スイッチ（７０）と、
　少なくとも１つの所定条件を満たした場合に前記成分測定装置（１０）の電源をオンにする電源制御部（１４８）と、を備え、
　前記所定条件は、前記チップ装着検出スイッチ（７０）が前記チップ装着部（１８）の前記筐体（１２）の基端側に向かうスライド動作を検出することであることを特徴とする成分測定装置（１０）。
　請求項１記載の成分測定装置（１０）において、
　前記測定用チップ（２００）に光を照射する発光素子（１１６、１１８）と前記発光素子（１１６、１１８）が前記測定用チップ（２００）に照射した前記光の反射光を検出する受光素子（１２０）とを含む測光部（２６）と、
　前記チップ装着検出スイッチ（７０）が前記チップ装着部（１８）の前記スライド動作を検出した後、前記受光素子（１２０）が検出した前記反射光に基づいて前記測定用チップ（２００）が前記チップ装着部（１８）に装着されたか否かを判定するチップ装着判定部（１５０）と、を備え、
　前記所定条件は、前記チップ装着判定部（１５０）にて前記測定用チップ（２００）が装着されたと判定されたことを含むことを特徴とする成分測定装置（１０）。
　請求項２記載の成分測定装置（１０）において、
　前記測光部（２６）は、前記チップ装着部（１８）に対して固定されていることを特徴とする成分測定装置（１０）。
　請求項１記載の成分測定装置（１０）において、
　前記チップ装着部（１８）を前記測定用チップ（２００）が装着される先端側に向けて付勢する付勢手段（２０、２２）をさらに備えることを特徴とする成分測定装置（１０）。
　請求項４記載の成分測定装置（１０）において、
　前記付勢手段（２０、２２）は、前記測定用チップ（２００）を前記チップ装着部（１８）に装着するのに必要な力よりも小さな付勢力で該チップ装着部（１８）を付勢していることを特徴とする成分測定装置（１０）。
　請求項１記載の成分測定装置（１０）において、
　前記筐体（１２）内に配設されて前記電源制御部（１４８）が実装された制御基板（１６）をさらに備え、
　前記チップ装着検出スイッチ（７０）は、前記チップ装着部（１８）の前記スライド動作によって変位する爪部（７２）を有した状態で前記制御基板（１６）に実装されており、前記爪部（７２）の変位に基づいて前記チップ装着部（１８）の前記スライド動作を検出することを特徴とする成分測定装置（１０）。
　請求項２記載の成分測定装置（１０）において、
　前記チップ装着部（１８）は筒状に形成されると共に該チップ装着部（１８）内に前記測光部（２６）が配設され、
　前記チップ装着部（１８）と前記測光部（２６）との間には、前記チップ装着部（１８）に装着された前記測定用チップ（２００）を取り外すためのイジェクタ（２４）が配設されていることを特徴とする成分測定装置（１０）。