WO2014038670A1 - 起泡性水中油型乳化油脂組成物 - Google Patents

起泡性水中油型乳化油脂組成物 Download PDF

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Abstract

 パーム系油脂を主体とし、固化が起こりにくく、口溶けがよい安価な起泡性水中油型乳化油脂組成物であって、油相に含まれる油脂成分中、S2Uトリグリセリドを7~55質量%、SSSトリグリセリドを0.5~5質量%、SSSトリグリセリドを含む三飽和トリグリセリドとS2Uトリグリセリドとを合計で25~80質量%含み、S2Uトリグリセリド/SU2トリグリセリドの質量比が0.8~2.2の範囲、S2Uトリグリセリド/SSSトリグリセリドの質量比が3.8以上、SSUトリグリセリド/SUSトリグリセリドの質量比が1.0以上、P/Sの質量比が0.45以上であり、油脂成分中の固体脂含量が10℃で40%以上、35℃で5%以下、40℃で1%以下である起泡性水中油型乳化油脂組成物(ここで、Sは炭素数が16以上22以下の飽和脂肪酸残基、Uは炭素数が16以上22以下の不飽和脂肪酸残基、Pはパルミチン酸残基である。)。

Description

起泡性水中油型乳化油脂組成物
 本発明は、ホイップクリームなどの食用起泡性水中油型乳化油脂組成物に関する。
 従前、ホイップクリームなどの起泡性水中油型乳化油脂組成物に用いられる油脂の主要油脂原料として、風味の点で優れた乳脂や、適度な融点と固体脂含量を持つパーム核油やヤシ油などのラウリン系油脂が使用されてきた。しかしながら、ラウリン系油脂は、飽和脂肪酸量が多い為に時間が経つとシマリが強くなる。また、ラウリン系油脂は、生産量が少なく価格変動が大きい。このため、生産量が安定し安価なパーム油、パームステアリン、パーム中融点部などのパーム系油脂を用いたホイップクリームが求められている。ところが、起泡性水中油型乳化油脂組成物にパーム油やパーム中融点部を大量に使用すると、結晶化の遅い対称型のPOPトリグリセリド(Pはパルミチン酸残基、Oはオレイン酸残基、以下同じ。)などの量が多くなるためホイップ物性が悪くなる。また、起泡性水中油型乳化油脂組成物にパーム系エステル交換油脂を添加すると、POPトリグリセリドが減少して非対称型のPPOトリグリセリドなどが増える。このため、パーム系エステル交換油脂の添加により、ホイップクリームのホイップ物性は改善されるが、高融点のPPPトリグリセリドなどの三飽和トリグリセリドが多くなり、口溶けが悪くなるといった問題がある。したがって、パーム油、パームステアリン、パーム中融点部などのパーム系油脂のホイップクリーム用途への利用は限定的であった。
 パーム系油脂を利用した起泡性水中油型乳化油脂組成物としては、例えば、S2O型トリグリセリド(Sは飽和脂肪酸残基、以下同じ。)を主成分とするクリーム用油脂(特許文献1)、総炭素数50及び52のトリグリセリドを主成分とする起泡性水中油型乳化脂用油脂組成物(特許文献2)、油脂中にSUS(Uは不飽和脂肪酸残基、以下同じ。)を60重量%以上含む起泡性水中油型乳化油脂組成物(特許文献3)などが挙げられる。特許文献1では、S2O型トリグリセリドを高濃縮した油脂の例が示されている。このようなS2O型トリグリセリド系油脂は、ホイップ物性や口溶けは良好である。しかし、S2O型トリグリセリド系油脂を製造する際、パーム系油脂を2段分別した硬質部を得る必要があり、その硬質部が少量しか得られない。このため、S2O型トリグリセリド系油脂は比較的高価になる。特許文献2及び特許文献3には、パーム油、パーム中融点部などSUS型トリグリセリドを含む油脂を利用した例が示されている。しかし、このような油脂は、SUS型トリグリセリドの量が多いためにクリームの固化が起きやすく、ラウリン系油脂に代替できるものとは言えなかった。
特開2008-86268号公報 特開2002-17256号公報 特開2006-223176号公報
 本発明の課題は、パーム系油脂を主体とし、固化が起こりにくく、口溶けがよい安価な起泡性水中油型乳化油脂組成物を提供することである。
 本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、起泡性水中油型乳化油脂組成物に含まれる油脂中のトリグリセリド組成を特定の範囲に調整し、さらに該油脂中の固体脂量を特定範囲にすることで、固化が起こりにくく、口溶けがよい安価な起泡性水中油型乳化油脂組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
 即ち、本発明は、油相(A)中の油脂成分(a)が、「炭素数が16以上22以下の範囲内である飽和脂肪酸残基」2個および「炭素数が16以上22以下の範囲内である不飽和脂肪酸残基」1個を有するS2Uトリグリセリド(a1)と、「炭素数が16以上22以下の範囲内である飽和脂肪酸残基」1個および「炭素数が16以上22以下の範囲内である不飽和脂肪酸残基」2個を有するSU2トリグリセリド(a2)と、飽和脂肪酸残基3個を有する三飽和トリグリセリド(a3)とを少なくとも含み、前記(a1)は、1、2位又は2、3位に飽和脂肪酸残基を有するSSUトリグリセリドおよび1、3位に飽和脂肪酸残基を有するSUSトリグリセリドからなり、SUSトリグリセリドに対するSSUトリグリセリドの質量比は1.0以上であり、前記(a3)は、「炭素数が16以上22以下の範囲内である飽和脂肪酸残基」3個を有するSSSトリグリセリド(a3’)を含み、前記油脂成分(a)に占める前記(a1)の質量割合は7質量%以上55質量%以下の範囲内であり、前記油脂成分(a)に占める前記(a3)と前記(a1)の合計質量割合は25質量%以上80質量%以下の範囲内であり、前記油脂成分(a)に占める前記(a3’)の質量割合は0.5質量%以上5質量%以下の範囲内であり、前記(a2)に対する前記(a1)の質量比は0.8以上2.2以下の範囲内であり、前記(a3’)に対する前記(a1)の質量比は3.8以上であり、前記油脂成分(a)中の「炭素数が16以上22以下の範囲内である飽和脂肪酸残基」全体に対するパルミチン酸残基の質量比は、0.45以上であり、前記油脂成分(a)に占める固体脂の質量割合は、10℃において40質量%以上であり、35℃において5質量%以下であり、40℃において1質量%以下である、起泡性水中油型乳化油脂組成物に関する。好ましい実施態様は、前記油脂成分(a)は不飽和脂肪酸残基3個を有するUUUトリグリセリド(a4)をさらに含み、前記油脂成分(a)に占める前記(a4)の質量割合は4質量%以上30質量%以下の範囲内である上記記載の起泡性水中油型乳化油脂組成物に関する。より好ましくは、全油脂中に占める前記(a1)の質量割合が30質量%以上55質量%以下の範囲内であり、前記(a2)に対する前記(a1)の質量比が0.8以上2.2以下の範囲内であり、前記(a3’)に対する前記(a1)の質量比が5.0以上であり、前記SUSトリグリセリドに対する前記SSUトリグリセリドの質量比が1.0以上であり、炭素数が16以上22以下の範囲内である飽和脂肪酸残基全体に対するパルミチン酸残基の質量比が0.65以上である油脂(α)を前記油相(A)中に20質量%以上100質量%以下含有する上記記載の起泡性水中油型乳化油脂組成物、更に好ましくは、前記油脂(α)は、前記油相(A)中に50質量%以上80質量%以下含有される上記記載の起泡性水中油型乳化油脂組成物、特に好ましくは、前記油脂(α)は、パーム系油脂のエステル交換油の分別液状部であり且つヨウ素価が38以上62以下の範囲内である上記記載の起泡性水中油型乳化組成物、極めて好ましくは、さらに、ラウリン系油脂および乳脂の少なくとも一方の油脂(β)を前記油相(A)中に20質量%以上50質量%以下含有する上記記載の起泡性水中油型乳化油脂組成物に関する。また、好ましい実施態様は、前記油相(A)の質量割合が20質量%以上50質量%以下の範囲内であり、水相(B)の質量割合が50質量%以上80質量%以下の範囲内である上記記載の起泡性水中油型乳化油脂組成物、より好ましくは、前記油相(A)中に占める前記油脂成分(a)の質量割合が85質量%以上100質量%以下の範囲内である上記記載の起泡性水中油型乳化油脂組成物に関する。
 また、本発明の第二は、上記記載の本発明に係る起泡性水中油型乳化組成物を用いてなるホイップドクリームに関する。
 本発明に従えば、パーム系油脂を主体とし、固化が起こりにくく、口溶けがよい安価な起泡性水中油型乳化油脂組成物を提供することができる。
 本発明に係る起泡性水中油型乳化油脂組成物は、油相(A)および水相(B)を備える。前記油相(A)は、油脂成分(a)を含有する。該油脂成分(a)は、所定のトリグリセリド(a1)、(a2)および(a3)を少なくとも含む。前記(a1)は、「炭素数が16以上22以下の範囲内である飽和脂肪酸残基」2個および「炭素数が16以上22以下の範囲内である不飽和脂肪酸残基」1個を有するS2Uトリグリセリドである。また、前記(a2)は、「炭素数が16以上22以下の範囲内である飽和脂肪酸残基」1個および「炭素数が16以上22以下の範囲内である不飽和脂肪酸残基」2個を有するSU2トリグリセリドである。さらに、前記(a3)は、鎖長に限定のない飽和脂肪酸残基3個を有する三飽和トリグリセリドである。
 本発明における前記S2Uトリグリセリド(a1)は、1、2位又は2、3位に飽和脂肪酸残基を有するSSUトリグリセリドおよび1、3位に飽和脂肪酸残基を有するSUSトリグリセリドからなる。(a1)における前記SUSトリグリセリドに対する前記SSUトリグリセリドの質量比(SSUトリグリセリド/SUSトリグリセリド)は1.0以上であることが好ましい。この質量比が1.0以上であると、クリームの固化を防止することができる。なお、この質量比は、1.5以上であることがより好ましい。また、この質量比は10以下であることが好ましい。この質量比が10以下であると、起泡性水中油型乳化油脂組成物を比較的安価に製造することができるからである。
 また、本発明における前記SU2トリグリセリド(a2)は、SUUトリグリセリドおよびUSUトリグリセリドからなる。SUUトリグリセリドは、1位又は3位に飽和脂肪酸残基を有し、2、3位又は1、2位に不飽和脂肪酸残基を有するSU2トリグリセリドである。また、USUトリグリセリドは、2位に飽和脂肪酸残基を有し、1、3位に不飽和脂肪酸残基を有するSU2トリグリセリドである。
 さらに、本発明における前記三飽和トリグリセリド(a3)は、「炭素数が16以上22以下の範囲内である飽和脂肪酸残基」3個を有するSSSトリグリセリド(a3’)を含む。
 なお、上述の各トリグリセリドには、光学異性体も含まれ得る。
 油脂成分(a)に占める前記S2Uトリグリセリド(a1)の質量割合は、7質量%以上55質量%以下の範囲内が好ましい。この質量割合が上記範囲内であると、ラウリン系油脂や乳脂のホイップ物性の改善効果を十分に享受することができるとともに冷蔵保存中にクリームが固化することを防止することができる。なお、この質量割合は、17質量%以上50質量%以下の範囲内であることがより好ましく、20質量%以上35質量%以下の範囲内であることが更に好ましい。
 また、油脂成分(a)に占める前記三飽和トリグリセリド(a3)と前記S2Uトリグリセリド(a1)の合計質量割合は、25質量%以上80質量%以下の範囲内であることが好ましい。この質量割合が上記範囲内であると、クリームの固化を防止することができるとともにクリームの易ホイップ化や保型性を良好にすることができる。なお、この質量割合は、30質量%以上70質量%以下の範囲内であることがより好ましく、40質量%以上60質量%以下の範囲内であることが更に好ましい。
 更に、油脂成分(a)に占める前記SSSトリグリセリド(a3’)の質量割合は、0.5質量%以上5質量%以下の範囲内であることが好ましい。この質量割合が上記範囲内であると、クリームの固化を防止することができるとともにクリームの口溶けを良好にすることができる。なお、この質量割合は、0.5質量%以上3質量%以下の範囲内であることがより好ましい。
 SU2トリグリセリド(a2)に対するS2Uトリグリセリド(a1)の質量比[S2Uトリグリセリド(a1)/SU2トリグリセリド(a2)]は、0.8以上2.2以下の範囲内であることが好ましい。この質量比が上記範囲内であると、クリームの固化を防止することができるとともにクリームの軟化を防止することができる。なお、この質量比は、0.8以上1.5以下の範囲内であることがより好ましい。
 SSSトリグリセリド(a3’)に対するS2Uトリグリセリド(a1)の質量比[S2Uトリグリセリド(a1)/SSSトリグリセリド(a3’)]は、3.8以上であることが好ましい。この質量比が3.8以上であると、クリームの軟化を防止することができる。なお、この質量比は、5.0以上であることがより好ましく、10.0以上であることが更に好ましい。また、この質量比は、100以下であることが好ましい。この質量比が100以下であると、クリームの固化を防止することができるからである。
 上述の炭素数が16以上22以下の範囲内である飽和脂肪酸残基には、パルミチン酸残基(P)が含まれる。そして、炭素数が16以上22以下の範囲内である飽和脂肪酸残基全体に対するパルミチン酸残基(P)の質量比(以下、「P/S」とも示す。)は、0.45以上であることが好ましい。この質量比(P/S)が0.45以上であると、クリームの口溶けを良好にすることができる。なお、この質量比(P/S)は、0.65以上であることがより好ましい。また、この質量比(P/S)は0.95以下であることが好ましい。この質量比(P/S)が0.95以下であると、起泡性水中油型乳化油脂組成物を比較的安価に製造することができるからである。
 本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物の更なる特徴は、油脂成分(a)に占める固体脂の質量割合にある。油脂成分(a)に占める固体脂の質量割合は、10℃において40質量%以上であることが好ましい。この質量割合が40質量%以上であると、クリームの保型性を良好にすることができる。また、この質量割合は80質量%以下であることが好ましい。この質量割合が80質量%以下であると、クリームの固化を防止することができるからである。また、この起泡性水中油型乳化油脂組成物において、油脂成分(a)に占める固体脂の質量割合は、35℃において5質量%以下であり、40℃において1質量%以下であることが好ましい。これらの質量割合が上記の通りであると、クリームの口溶けを良好にすることができる。
 また、油脂成分(a)は、不飽和脂肪酸残基を3個有するUUUトリグリセリド(a4)をさらに含むことが好ましい。なお、前記UUUトリグリセリド(a4)における不飽和脂肪酸の鎖長には特に制限はない。油脂成分(a)に占めるUUUトリグリセリド(a4)の質量割合は、4質量%以上30質量%以下の範囲内であることが好ましく、4質量%以上25質量%以下の範囲内であることがより好ましく、4質量%以上20質量%以下の範囲内であることが更に好ましく、7質量%以上15質量%以下の範囲内であることが特に好ましい。この質量割合が4質量%以上30質量%以下の範囲内であると、ホイップ後のクリームのキメが細かくなるとともにホイップ後の保型性を良好にすることができるからである。
 油相(A)中の油脂成分(a)のトリグリセリド組成を上述のように調整するには、「全油脂中に占めるS2Uトリグリセリド(a1)の質量割合が30質量%以上55質量%以下の範囲内であり、SU2トリグリセリド(a2)に対するS2Uトリグリセリド(a1)の質量比[S2Uトリグリセリド(a1)/SU2トリグリセリド(a2)]が0.8以上2.2以下の範囲内であり、SSSトリグリセリド(a3’)に対するS2Uトリグリセリド(a1)の質量比[S2Uトリグリセリド(a1)/SSSトリグリセリド(a3’)]が5.0以上であり、S2Uトリグリセリド(a1)中のSUSトリグリセリドに対するSSUトリグリセリドの質量比(SSUトリグリセリド/SUSトリグリセリド)が1.0以上であり、炭素数が16以上22以下の範囲内である飽和脂肪酸残基(S)全体に対するパルミチン酸残基(P)の質量比(P/S)が0.65以上であるパーム系油脂(油脂α)」を油相(A)中に20質量%以上100質量%以下の範囲内で含ませるようにすると容易であり、コストの面から好ましい。
 油相(A)に占める前記油脂(α)の質量割合は、50質量%以上100質量%以下の範囲内であることがより好ましく、50質量%以上80質量%以下の範囲内であることが更に好ましく、60質量%以上70質量%以下の範囲内であることが特に好ましい。前記油脂(α)としては、「ヨウ素価が30以上58以下の範囲内であるパーム系油脂をエステル交換した後に固体部を除去して得られる液状部」を用いることが好ましい。このような液状部は、本発明に係る起泡性水中油型乳化油脂組成物の調製に適したトリグリセリド組成となるからである。なお、エステル交換前のパーム系油脂は、ヨウ素価が35以上55以下の範囲内であることがより好ましい。ヨウ素価が40以下であるパーム系油脂を原料とすると、SSSトリグリセリド(a3’)の量が多くなる。かかる場合、最初に得た液状部を再度分別して液状部を得ることで、より本発明に適した油脂組成を得ることができる。なお、ヨウ素価が30未満であるパーム系油脂を原料として用いると、分別効率が悪くなり、コストが上昇するおそれがある。ヨウ素価が58超であるパーム系油脂を原料として用いると、分別後の液状部中のS2Uトリグリセリド(a1)含有量が少なくなって、SU2トリグリセリド(a2)に対するS2Uトリグリセリド(a1)の質量比[S2Uトリグリセリド(a1)/SU2トリグリセリド(a2)]が低下するおそれがある。
 パーム系油脂のエステル交換方法としては、「ナトリウムメチラートなどのアルカリ触媒などを用いた化学法」や「リパーゼを用いた酵素法」など、一般的に食用油脂に適用することができる方法が挙げられる。なお、S2Uトリグリセリド(a1)における、SUSトリグリセリドに対するSSUトリグリセリドの質量比(SSUトリグリセリド/SUSトリグリセリド)を上昇させることが好ましいため、同エステル交換方法としては、「化学法」もしくは「トリグリセリドの2位にもある程度の反応性があるリパーゼ、例えば、Thermomyces属由来のリパーゼなどを用いる酵素法」を利用することが好ましい。
 液状部の分別方法としては、食用油脂に一般的に適用される方法が挙げられる。分別では、具体的には、パーム系油脂を溶媒に溶解させた後、β型結晶が得られるようにその油脂溶液を徐々に冷却して、液状部のSSSトリグリセリド(a3’)に対するS2Uトリグリセリド(a1)の質量比[S2Uトリグリセリド(a1)/SSSトリグリセリド(a3’)]が3.8以上となるように結晶を析出させ、固体脂含量を確認しながら晶析温度を調整して晶析した後、液状部を分取する。なお、晶析時の固体脂含量は5質量%以上20質量%以下の範囲内であることが好ましい。固体脂含量がこの範囲内であると、ヨウ素価が比較的低い原料であっても液状部のSSSトリグリセリド(a3’)の量を適正に調整することができるとともに、ヨウ素価が比較的高い原料であってもSU2トリグリセリド(a2)に対するS2Uトリグリセリド(a1)の質量比[S2Uトリグリセリド(a1)/SU2トリグリセリド(a2)]を適正に調整することができ、さらに分別の効率を適正に維持することができ、ひいては製造コストの上昇を抑制することができるからである。また、分別後のパーム系油脂のヨウ素価は38以上62以下の範囲内であることが好ましい。分別後のパーム系油脂のヨウ素価が上記範囲内であると、SSSトリグリセリド(a3’)に対するS2Uトリグリセリド(a1)の質量比[S2Uトリグリセリド(a1)/SSSトリグリセリド(a3’)]、SU2トリグリセリド(a2)に対するS2Uトリグリセリド(a1)の質量比[S2Uトリグリセリド(a1)/SU2トリグリセリド(a2)]を適度なものとすることができるからである。
 上述のようにして調製された所定量のパーム系油脂のエステル交換油の分別液状部(油脂α)と、他の油脂とを混合して、油脂成分(a)中のトリグリセリド組成が適正となるように調整する。
 他の油脂としては、例えば、菜種油,大豆油,サフラワー油,コーン油,米油,綿実油,パーム系油脂,パーム核油,ヤシ油などの植物性油脂、乳脂などの動物性油脂、および、これらの油脂の分別油、硬化油、極度硬化油もしくはエステル交換油などが挙げられる。
 前記他の油脂としては、ラウリン系油脂および乳脂の少なくとも一方の油脂(β)を含有することが好ましい。前記油脂(β)は、油相(A)中に20質量%以上50質量%以下含まれることが好ましく、30質量%以上40質量%以下がより好ましい。前記ラウリン系油脂としては、例えば、パーム核油、ヤシ油、これらのエステル交換油脂、分別油脂、硬化油などが挙げられる。
 本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物の原料油脂全体中の配合としては、例えば、パーム系油脂のエステル交換油の分別液状部(油脂α)が20質量%以上100質量%以下の範囲内であり、より好ましくは前記油脂(α)が50質量%以上80質量%以下の範囲内で前記油脂(β)が20質量%以上50質量%以下の範囲内であり、更に好ましくは、前記油脂(α)が60質量%以上70質量%以下の範囲内で前記油脂(β)が30質量%以上40質量%以下の範囲内である。また、菜種油、大豆油、サフラワー油、コーン油、米油、綿実油などの液状油脂や、パーム系油脂やこれらのエステル交換油脂、分別油脂、硬化油などが30質量%以下となるように配合すれば、多大な試行錯誤をすることなく本発明における油脂成分(a)のトリグリセリド組成を適正範囲とすることができる。
 上述の原料油脂の混合物には、必要に応じて乳化剤、呈味剤、香料、油溶性酸化防止剤等の添加剤を混合してもよい。かかる場合、添加剤を原料油脂の混合物に添加した後、その原料油脂の混合物が50℃以上80℃以下の温度になるまで攪拌しながら加熱し、油相(A)を調製する。
 油相(A)に添加することができる乳化剤としては、例えば、油溶性のレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。
 前記油相(A)中に占める前記油脂成分(a)の質量割合は、85質量%以上100質量%以下の範囲が好ましく、90質量%以上99.9質量%以下の範囲がより好ましく、95質量%以上99.5質量%以下の範囲が更に好ましい。油相(A)中の油脂成分(a)が85質量%未満になると、上記記載の添加剤が増え、ホイップ前とホイップ後の乳化安定性のバランス等の物性や、風味への悪影響が起きる場合がある。
 また、水相は、必要に応じて水に乳化剤、増粘剤、呈味剤、糖類、多糖類、乳製品、香料、塩類、ビタミン類、ミネラル類、その他食品成分等の添加剤を添加して調製する。
 水相に添加することができる乳化剤としては、例えば、水溶性のレシチン誘導体、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。増粘剤としては、例えば、カラギーナン、ローカストビーンガム、グァーガムなどが挙げられる。多糖類としては、例えば、デンプンなどが挙げられる。乳製品としては、例えば、バター、脱脂粉乳、ホエイタンパク、練乳、ヨーグルト、チーズ、カゼインタンパク質、バターミルクパウダーなどが挙げられる。糖類としては、例えば、砂糖、異性化糖、糖アルコールなどが挙げられる。塩類としては、例えば、食塩、リン酸塩、ポリリン酸塩などが挙げられる。
 前記のように水相(B)を調製した後、水相(B)を攪拌しながら、その温度が50℃以上70℃以下の温度になるまで水相(B)を加熱して水相(B)の温度を保持する。そして、水相(B)を攪拌しながら水相(B)へ油相(A)を添加して、乳化を行う。
 起泡性水中油型乳化油脂組成物中の油相(A)の質量割合は20質量%以上50質量%以下の範囲内であることが好ましい。すなわち、起泡性水中油型乳化油脂組成物中の水相(B)の質量割合は50質量%以上80質量%以下の範囲内であることが好ましい。起泡性水中油型乳化油脂組成物中の油相(A)の質量割合がこの範囲内であると、良好にホイップ化を行うことができるとともに、起泡性水中油型乳化油脂組成物の乳化状態を安定的に維持することができるからである。
 そして、上述の乳化液を常法に従って、均質化、殺菌、均質化、冷却、エージング処理することにより、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物を得ることができる。また、この起泡性水中油型乳化組成物を用い、常法に従ってホイップドクリームを調製することができる。
 以下、実施例および比較例を示して、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
 実施例の作成に先立ち5種類の油脂を調製したので、先ず、その油脂の製造例について説明する。
 (製造例1)
 脱酸処理済みのパーム油(ヨウ素価52)100重量部を90℃まで加熱して融解させた後、液状となったパーム油に0.2重量部のナトリウムメチラートを加え、次いで、その液状のパーム油を減圧下で30分間攪拌した。次に、そのパーム油を自然冷却して水洗した後、そのパーム油に白土を2重量部加え、次いで、そのパーム油を90℃で減圧下30分間攪拌して脱色し、さらに250℃で1時間脱臭して油脂1を得た。
 (製造例2)
 製造例1で得られた脱色後の油脂を70℃に加熱して融解させた後、その油脂を37℃に温調しながら攪拌して結晶を析出させた。12時間晶析処理を行った後、その油脂を加圧圧搾装置に導入して3MPaの圧力で圧搾し、収率83%で液状部を得た。そして、この液状部を250℃で1時間脱臭して油脂2を得た。
 (製造例3)
 パーム油を脱酸処理済みのパームステアリン(ヨウ素価35)に代えた以外は、製造例1と同様にしてエステル交換および脱色を行って油脂を得た。そして、この油脂を70℃に加熱して融解させた後、液状となったその油脂を46℃に温調しながら攪拌して結晶を析出させた。12時間晶析処理を行った後、その油脂を加圧圧搾装置に導入して3MPaの圧力で圧搾し、収率70%で液状部を得た。前述のようにして得られた分別後の液状部をさらに70℃に加熱して融解させた後、その液状部を38℃に温調しながら攪拌して結晶を析出させた。12時間晶析処理を行った後、その液状部を加圧圧搾装置に導入して3MPaの圧力で圧搾し、収率80%で液状部を得た。そして、この液状部を250℃で1時間脱臭して油脂3を得た。
 (製造例4)
 パーム油100重量部を「脱酸処理済みのパーム油(ヨウ素価52)50重量部とパームステアリン(ヨウ素価35)50重量部の混合油脂100重量部」に代えた以外は、製造例1と同様にしてエステル交換および脱色を行って油脂を得た。そして、この油脂を70℃に加熱して融解させた後、液状となったその油脂を34℃に温調しながら攪拌して結晶を析出させた。12時間晶析処理を行った後、その油脂を加圧圧搾装置に導入して3MPaの圧力で圧搾し、収率70%で液状部を得た。この液状部を250℃で1時間脱臭して油脂4を得た。
 (製造例5)
 パーム油を脱酸処理済みの極度硬化パーム核油に代えた以外は製造例1と同様にして油脂5を得た。
 以上の製造例1~5で得られた油脂1~5のトリグリセリド組成、異性体比(SSUトリグリセリド/SUSトリグリセリド)、パルミチン酸含量、炭素数16以上22以下の飽和脂肪酸含量およびヨウ素価を表1にまとめた。
 なお、脂肪酸組成の測定は、「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法暫11-2003」に記載されたメチルエステル化法に従ってメチルエステル化したサンプルを用いてガスクロマトグラフ法により測定した。ガスクロマトグラフ装置としてAgilent社製6890Nを用いた。カラムとしてQUADREX社製CPS-1の50m×0.25mm×0.25μmを用い、インジェクション温度265℃、FID検出器265℃、オーブン温度180℃一定、50分の条件で測定を行った。ラウリン系油脂を含有しない油脂のトリグリセリド組成(SSSトリグリセリドの含量やS2Uトリグリセリドの含量など)は、高速液体クロマトグラフ法により分析した。高速液体クロマトグラフ装置として日本ウォーターズ社製HPLC装置Allianceを用いた。なお、検出器として示差屈折率検出器(RI検出器)を採用した。カラムとしては、TSKgel ODS-80Ts 4.6mm×25cm逆相カラムを2本直列に並べて使用した。展開溶媒として、容積比でアセトン:アセトニトリル=8:2で混合した溶媒を用い、この展開溶媒を0.9mL/分でカラムに通液して分析を行った。また、ラウリン系油脂を含有する油脂のトリグリセリド組成は、ガスクロマトグラフ法により分析した。ガスクロマトグラフ装置としてAgilent社製7890Aを用いた。カラムとしてフロンティアラボ社製Ultra ALLOY TRG 30m×0.25mm×0.1μmを用い、インジェクション温度360℃、FID検出器温度360℃、オーブン初期温度280℃、昇温速度3℃/分、最終温度355℃、ホールド時間10分の条件で測定を行った。なお、同トリグリセリド組成は、分析値および脂肪酸組成から計算により求めた。トリグリセリドの異性体比は、硝酸銀カラムを組み込んだHPLCを用いて分析した。なお、このときの分析条件は「Journal of the AmericanOil Chemists Society, 68, 289-293 1991」に記載されている。ヨウ素価は「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法3.3.3-1996」に記載された方法に従って分析した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 実施例1~8<起泡性水中油型乳化油脂組成物の調製>
 実施例1~8に係る起泡性水中油型乳化油脂組成物を次のようにして調製した。油脂2、油脂3、油脂4、油脂5、菜種油、パーム核硬化油融点36℃、ヤシ極度硬化油、乳脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の油脂を表2の配合に従って混合して油脂混合物(調合油)を得た。これらの調合油のトリグリセリド組成および脂肪酸組成を表3に、また、固体脂含量を表4にまとめた。そして、これらの調合油を65℃以上70℃以下の温度で融解した後に、これらの調合油にレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルを加えて、油相部とした。また、水に脱脂粉乳、ヘキサメタリン酸ナトリウムを溶解して水相部を調製した。先の油相部を水相部に加えた後、この二相液を攪拌して乳化させ、この予備乳化液を均質化圧5.0MPaにて処理した後、直接蒸気注入式滅菌機にて140℃で4秒滅菌処理し、再び均質化圧5.0MPaにて処理してからプレート式冷却機にて5℃まで冷却し、容器に充填し、起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物を5℃で72時間エージングした後、ホバートミキサーにてホイップした。液状安定性、ホイップ時間、オーバーラン、キメツヤ、保型性、シマリ、口溶けを以下に示す方法で評価した。結果を表5にまとめた。
 <液状安定性評価法>
 液状安定性は、「100ccビーカーに60gの起泡性水中油型乳化油脂組成物を入れた後、それを直径4cmのヘラで120rpmの条件で攪拌し、その流動性が無くなるまでに要する時間」で評価した。評価は次の通りとした。A:60分以上、B:60分未満かつ30分以上、C:30分未満かつ10分以上、D:10分未満。
 <ホイップ時間測定法>
 起泡性水中油型乳化油脂組成物500gに砂糖50gを加え、それを5℃に温調しながら8分立てとなるまでホバートミキサーにて速度2にてホイップした。そして、8分立てしたクリームをさらに10分立てになるまで手立てし、10分立てとなるまでの時間をホイップ時間として評価した。評価は次の通りとした。A:8分超9分以下、B:6分超8分以下または9分超11分以下、C:4分超6分以下または11分超13分以下、D:13分超または4分以下。
 <オーバーラン評価法>
 オーバーランとは、ホイップした起泡性水中油型乳化油脂組成物に含まれる空気の割合を%で示したもので、下式で求めた。
 オーバーラン(%)=[(A-B)/B]×100
〔A:一定容積の起泡性水中油型乳化油脂組成物の重量(g)、B:一定容積(Aと同一容積)のホイップ後の起泡性水中油型乳化油脂組成物の重量(g)〕
 <キメ、ツヤ評価法>
 キメ、ツヤは、ホイップした起泡性水中油型乳化油脂組成物を絞り袋で造花した際の表面の状態を観察することにより評価した。評価は次の通りとした。A:なめらかで極めて良好、B:良好、C:やや荒れた状態、D:荒れて好ましくない状態。
 <保型性評価法>
 保型性は、ホイップした起泡性水中油型乳化油脂組成物を15℃で24時間保持したあとの、形状の変化を観察することにより評価した。評価は次の通りとした。A:全く型崩れなし、B:わずかに型崩れ、C:やや型崩れ、D:型崩れし原型を留めていない状態。
 <シマリの評価法>
 先ず、ホイップした起泡性水中油型乳化油脂組成物を容器に入れて平らにならした。そして、そのホイップ済み起泡性水中油型乳化油脂組成物への円錐(1g)の針入度(mm)をミクロペネトロメーター(株式会社離合社製)で計測して硬度を求めた。シマリは[(ホイップ直後の硬度値)-(ホイップ後5℃保存で1日経過後の硬度値)]の値で評価した。評価は次の通りとした。A:0mm超4mm以下、B:0mm以下または4mm超6mm以下、C:6mm超7mm以下、D:7mm超。
 <口溶け評価法>
 ホイップした起泡性水中油型乳化油脂組成物を10人の熟練したパネラーに食してもらった後、各パネラーに以下のいずれかの評価を選択してもらい、最も多くのパネラーの支持を得た評価を採用した。
 A:口溶けが非常に良好で非常に好ましい、B:口溶けが良好で好ましい、C:口溶けがやや悪くあまり好ましくない、D:口溶けが悪く好ましくない。
 (比較例)
 油脂1、油脂5、菜種油、パーム油、パーム中融点部、パーム核硬化油融点36℃、ヤシ極度硬化油、乳脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の油脂を表2の配合に従って混合して油脂混合物を得た以外は実施例と同様にして比較例1~8に係る起泡性水中油型乳化油脂組成物を得、実施例と同様にして液状安定性、ホイップ時間、オーバーラン、キメツヤ、保型性、シマリ、口溶けを評価した。結果を表5にまとめた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物は、食品用途に幅広く用いることができるが、
特にホイップドクリームに好適に用いられる。

Claims (9)

  1.  油相(A)中の油脂成分(a)が、
     「炭素数が16以上22以下の範囲内である飽和脂肪酸残基」2個および「炭素数が16以上22以下の範囲内である不飽和脂肪酸残基」1個を有するS2Uトリグリセリド(a1)と、「炭素数が16以上22以下の範囲内である飽和脂肪酸残基」1個および「炭素数が16以上22以下の範囲内である不飽和脂肪酸残基」2個を有するSU2トリグリセリド(a2)と、飽和脂肪酸残基3個を有する三飽和トリグリセリド(a3)とを少なくとも含み、
     前記(a1)は、1、2位又は2、3位に飽和脂肪酸残基を有するSSUトリグリセリドおよび1、3位に飽和脂肪酸残基を有するSUSトリグリセリドからなり、SUSトリグリセリドに対するSSUトリグリセリドの質量比は1.0以上であり、
     前記(a3)は、「炭素数が16以上22以下の範囲内である飽和脂肪酸残基」3個を有するSSSトリグリセリド(a3’)を含み、
     前記油脂成分(a)に占める前記(a1)の質量割合は、7質量%以上55質量%以下の範囲内であり、
     前記油脂成分(a)に占める前記(a3)と前記(a1)の合計質量割合は、25質量%以上80質量%以下の範囲内であり、
     前記油脂成分(a)に占める前記(a3’)の質量割合は、0.5質量%以上5質量%以下の範囲内であり、
     前記(a2)に対する前記(a1)の質量比は、0.8以上2.2以下の範囲内であり、
     前記(a3’)に対する前記(a1)の質量比は、3.8以上であり、
     前記油脂成分(a)中の「炭素数が16以上22以下の範囲内である飽和脂肪酸残基」全体に対するパルミチン酸残基の質量比は、0.45以上であり、
     前記油脂成分(a)に占める固体脂の質量割合は、10℃において40質量%以上であり、35℃において5質量%以下であり、40℃において1質量%以下である、
     起泡性水中油型乳化油脂組成物。
  2.  前記油脂成分(a)は、不飽和脂肪酸残基3個を有するUUUトリグリセリド(a4)をさらに含み、
     前記油脂成分(a)に占める前記(a4)の質量割合は、4質量%以上30質量%以下の範囲内である、
     請求項1に記載の起泡性水中油型乳化油脂組成物。
  3.  全油脂中に占める前記(a1)の質量割合が30質量%以上55質量%以下の範囲内であり、前記(a2)に対する前記(a1)の質量比が0.8以上2.2以下の範囲内であり、前記(a3’)に対する前記(a1)の質量比が5.0以上であり、前記SUSトリグリセリドに対する前記SSUトリグリセリドの質量比が1.0以上であり、炭素数が16以上22以下の範囲内である飽和脂肪酸残基全体に対するパルミチン酸残基の質量比が0.65以上である油脂(α)を前記油相(A)中に20質量%以上100質量%以下含有する、
     請求項1または2に記載の起泡性水中油型乳化油脂組成物。
  4.  前記油脂(α)は、前記油相(A)中に50質量%以上80質量%以下含有される、
     請求項3に記載の起泡性水中油型乳化油脂組成物。
  5.  前記油脂(α)は、パーム系油脂のエステル交換油の分別液状部であり且つヨウ素価が38以上62以下の範囲内である、
     請求項3または4に記載の起泡性水中油型乳化組成物。
  6.  さらに、ラウリン系油脂および乳脂の少なくとも一方の油脂(β)を前記油相(A)中に20質量%以上50質量%以下含有する、
     請求項4又は5に記載の起泡性水中油型乳化油脂組成物。
  7.  前記油相(A)の質量割合が20質量%以上50質量%以下の範囲内であり、水相(B)の質量割合が50質量%以上80質量%以下の範囲内である請求項1~6のいずれか一項に記載の起泡性水中油型乳化油脂組成物。
  8.  前記油相(A)中に占める前記油脂成分(a)の質量割合が85質量%以上100質量%以下の範囲内である請求項7に記載の起泡性水中油型乳化油脂組成物。
  9.  請求項1~8のいずれか一項に記載の起泡性水中油型乳化組成物を用いてなるホイップドクリーム。
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