WO2014024914A1 - ペプチド・ライブラリー及びその利用 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)
下記(i)または(ii)から選択されるペプチド:
(i)配列表の配列番号14において第43番塩基チミン乃至第93番チミンからなる塩基配列が配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列で置き換えられてなる塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を含むペプチド;および、
(ii)配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号2乃至8及び10乃至14以外の、1個以上5個以下のアミノ酸がアミノ酸置換、欠失、付加および/または挿入してなるアミノ酸配列を有する(i)記載のペプチド、
(2)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて1番目乃至5番目、7番目、9番目および10番目のXaaが、それぞれ、システインおよびプロリンを除く任意のアミノ酸である、(1)記載のペプチド、
(3)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて6番目および8番目のXaaが、それぞれ、システインを除く任意のアミノ酸である、(1)または(2)記載のペプチド、
(4)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて11番目のXaaが、チロシン、セリン、フェニルアラニン、ロイシンおよびスレオニンからなる群より選択されるアミノ酸である、(1)乃至(3)のいずれか一つに記載のペプチド、
(5)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて12番目のXaaが、アスパラギン、アスパラギン酸、ロイシン、リジン、グルタミン、アラニンおよびグルタミン酸からなる群より選択されるアミノ酸である、(1)乃至(4)のいずれか一つに記載のペプチド、
(6)
保存的アミノ酸置換が、疎水性アミノ酸グループ、中性親水性アミノ酸グループ、酸性アミノ酸グループ、塩基性アミノ酸グループ、主鎖の方角に影響を与えるアミノ酸のグループ、および、芳香族アミノ酸グループから選択されるいずれかのグループ内において行われることを特徴とする、(1)乃至(5)のいずれか一つに記載のペプチド、
(7)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて1番目のXaaが、アルギニン、メチオニン、ロイシン、トリプトファンおよびセリンからなる群より選択されるアミノ酸である、(1)乃至(6)のいずれか一つに記載のペプチド、
(8)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて2番目のXaaが、スレオニン、アルギニン、トリプトファンおよびフェニルアラニンからなる群から選択されるアミノ酸である、(1)乃至(7)のいずれか一つに記載のペプチド、
(9)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて3番目のXaaが、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファン、セリンおよびフェニルアラニンからなる群より選択されるアミノ酸である、(1)乃至(8)のいずれか一つに記載のペプチド、
(10)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて4番目のXaaが、トリプトファン、アルギニンおよびロイシンからなる群より選択されるアミノ酸である、(1)乃至(9)のいずれか一つに記載のペプチド、
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて5番目のXaaが、グリシン、アルギニン、ロイシン、ヒスチジン、トリプトファン、メチオニンおよびチロシンからなる群から選択されるアミノ酸である、(1)乃至(10)のいずれか一つに記載のペプチド、
(12)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて6番目のXaaが、アスパラギン、ヒスチジン、プロリン、リジン、トリプトファン、アルギニンおよびアスパラギン酸からなる群から選択されるアミノ酸である、(1)乃至(11)のいずれか一つに記載のペプチド、
(13)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて7番目のXaaが、アルギニン、フェニルアラニン、トリプトファン、ロイシン、アラニンおよびグリシンからなる群から選択されるアミノ酸である、(1)乃至(12)のいずれか一つに記載のペプチド、
(14)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて8番目のXaaが、スレオニン、プロリン、アスパラギンおよびセリンからなる群から選択されるアミノ酸である、(1)乃至(13)のいずれか一つに記載のペプチド、
(15)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて9番目のXaaが、トリプトファン、メチオニン、チロシンおよびフェニルアラニンからなる群から選択されるアミノ酸である、(1)乃至(14)のいずれか一つに記載のペプチド、
(16)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて10番目のXaaが、グルタミン、バリン、リジン、メチオニン、アラニン、ロイシンおよびアスパラギンからなる群から選択されるアミノ酸である、(1)乃至(15)のいずれか一つに記載のペプチド、
(17)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて11番目のXaaが、チロシン、フェニルアラニンおよびロイシンからなる群から選択されるアミノ酸である、(1)乃至(16)のいずれか一つに記載のペプチド、
(18)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて12番目のXaaがリジンである、(1)乃至(17)のいずれか一つに記載のペプチド、
(19)
配列表の配列番号2乃至9(図12のペプチド番号1、2、6、7、12乃至14および17)のいずれか一つで示されるアミノ酸配列を含む、(1)乃至(18)のいずれか一つに記載のペプチド、
(20)
(1)乃至(19)のいずれか一つに記載のペプチドに化学的修飾および/または生物学的修飾が施されてなる該ペプチドの誘導体、
下記(i)乃至(iii)のいずれか一つに記載のヌクレオチド:
(i)(1)乃至(19)のいずれか一つに記載のペプチドの有するアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるヌクレオチドを含んでなるヌクレオチド;
(ii)(1)乃至(19)のいずれか一つに記載のペプチドの有するアミノ酸配列をコードする塩基配列を含んでなるヌクレオチド;および、
(iii)(1)乃至(19)のいずれか一つに記載のペプチドの有するアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるヌクレオチド、
(22)
(21)記載のヌクレオチドを含んでなるベクター、
(23)
(21)記載のヌクレオチドまたは(22)記載のベクターが導入された細胞、
(24)
下記工程(i)および(ii)を含んでなる(1)乃至(19)のいずれか一つに記載のペプチドの製造方法:
(i)(23)記載の細胞を培養する工程;および、
(ii)工程(i)で得られた培養物から該ペプチドを回収する工程、
(25)
(1)乃至(19)のいずれか一つに記載のペプチドおよび/または(20)記載のペプチドの誘導体を含んでなるペプチド・ライブラリー、
(26)
ペプチドおよび/またはペプチドの誘導体が、(24)記載の工程(i)および(ii)を含んでなる方法により調製されたものであることを特徴とする、(25)記載のライブラリー、
(27)
ライブラリーにおいて、表現型(phenotype)である該ペプチド又はペプチド誘導体および該表現型に対応する遺伝型(genotype)であるヌクレオチドが直接的または間接的にリンクしていることを特徴とする、(25)または(26)記載のライブラリー、
(28)
ヌクレオチドが(21)に記載のヌクレオチドである、(27)に記載のライブラリー、
(29)
ファージ・ディスプレイ・ライブラリー、リボゾーム・ディスプレイ・ライブラリー若しくは核酸ディスプレイ・ライブラリーである、(25)乃至(28)のいずれか一つに記載のライブラリー、
(30)
下記(i)および(ii)の工程を含んでなる、標的分子に結合する、(1)乃至(19)のいずれか一つに記載のペプチドまたは(20)記載のペプチド誘導体の同定方法:
(i)(25)乃至(29)のいずれか一つに記載のライブラリーに含まれるペプチドまたはペプチド誘導体と該標的分子とを接触させる工程;および、
(ii)該標的分子に結合するペプチドまたはペプチド誘導体を回収する工程、
下記(i)乃至(iii)の工程を含んでなる、標的分子に結合する、(1)乃至(19)のいずれか一つに記載のペプチドまたは(20)記載のペプチド誘導体の製造方法:
(i)(25)乃至(29)のいずれか一つに記載のライブラリーに含まれるペプチドまたはペプチド誘導体と該標的分子とを接触させる工程;および、
(ii)該標的分子に結合するペプチドまたはペプチド誘導体を回収する工程;および、
(iii)前記(ii)において回収された該ペプチドまたはペプチド誘導体に含まれる、該標的分子に結合するペプチドを化学合成、遺伝子組換えまたはイン・ビトロ翻訳により調製する工程、
(32)
下記(i)および(ii)の工程を含んでなる、(1)乃至(19)のいずれか一つに記載のペプチドまたは(20)記載のペプチドの誘導体が標的分子に結合するか否かを判定する方法:
(i)(1)乃至(19)のいずれか一つに記載の被検ペプチドまたは(20)記載の被検ペプチド誘導体と該標的分子とを接触させる工程;および、
(ii)被検ペプチドまたは被検ペプチド誘導体が該標的分子に結合する場合、該ペプチドまたは被検ペプチド誘導体は陽性であると決定する工程、
(33)
下記(i)乃至(iii)の工程を含んでなる、標的分子に結合する、(1)乃至(19)のいずれか一つに記載のペプチドまたは(20)記載のペプチドの誘導体の製造方法:
(i)(1)乃至(19)のいずれか一つに記載の被検ペプチドまたは(20)記載の被検ペプチド誘導体と該標的分子とを接触させる工程;
(ii)被検ペプチドまたは被検ペプチド誘導体が該標的分子に結合する場合、該ペプチドまたは被検ペプチド誘導体は陽性であると決定する工程;および、
(iii)工程(ii)において被検ペプチドまたはペプチド誘導体が陽性と判定された場合、該ペプチドまたはペプチド誘導体に含まれる、該標的分子に結合するペプチドを、遺伝子組換えまたはイン・ビトロ翻訳により調製する工程、
(34)
(21)に記載のヌクレオチドを含んでなるヌクレオチド・ライブラリー、
(35)
ヌクレオチドがファージミド、コスミドもしくはプラスミドまたはその断片である、(34)記載のライブラリー、
(36)
ヌクレオチドが原核もしくは真核細胞内、または、ウイルスDNAまたはRNA上もしくはウイルス粒子中に存在する、(34)または(35)記載のヌクレオチド・ライブラリー、
(37)
(1)乃至(19)のいずれか一つに記載のペプチド、(20)記載のペプチドの誘導体、(21)記載のヌクレオチド、(22)記載のベクターまたは(23)記載の細胞を含むことからなる組成物、
(38)
(1)乃至(19)のいずれか一つに記載のペプチド、(20)記載のペプチドの誘導体、(21)記載のヌクレオチド、(22)記載のベクターまたは(23)記載の細胞を含むことからなる試薬、
(39)
予め決定された標的分子に結合する、(1)乃至(19)のいずれか一つに記載のペプチド、または、(20)記載のペプチドの誘導体、
(40)
標的分子がSPINK2の内在性の標的ではないことを特徴とする、(39)記載のペプチドまたはペプチドの誘導体、
標的分子がヒト由来であることを特徴とする、(39)または(40)記載のペプチドまたはペプチドの誘導体、
(42)
内在性の標的がトリプシンおよび/またはアクロシンである、(39)乃至(41)のいずれか一つに記載のペプチドまたはペプチドの誘導体、
(43)
内在性の標的がトリプシンである、(39)乃至(42)のいずれか一つに記載のペプチドまたはペプチドの誘導体、
(44)
(39)乃至(43)のいずれか一つに記載のペプチドまたはペプチドの誘導体を含むことからなる組成物または試薬、
(45)
下記(i)乃至(iii)の工程を含んでなる、トリプシンおよび/またはアクロシン以外のセリンプロテアーゼに結合し且つ該セリンプロテアーゼの有する蛋白質分解活性(ペプチド結合加水分解活性:以下同じ)を阻害する、(1)乃至(19)のいずれか一つに記載のペプチドまたは(20)記載のペプチド誘導体の同定方法:
(i)(25)乃至(29)のいずれか一つに記載のライブラリーに含まれるペプチドまたはペプチド誘導体と該セリンプロテアーゼとを接触させる工程;
(ii)該セリンプロテアーゼに結合するペプチドまたはペプチド誘導体を回収する工程;、および、
(iii)該ペプチドまたはペプチド誘導体が該セリンプロテアーゼの有する蛋白質分解活性を阻害する場合、該ペプチドまたはペプチド誘導体を陽性と判定する工程、
(46)
下記(i)乃至(iv)の工程を含んでなる、トリプシンおよび/またはアクロシン以外のセリンプロテアーゼに結合し且つその蛋白質分解活性を阻害する、(1)乃至(19)のいずれか一つに記載のペプチドまたは(20)記載のペプチド誘導体の製造方法:
(i)(25)乃至(29)のいずれか一つに記載のライブラリーに含まれるペプチドまたはペプチド誘導体と該セリンプロテアーゼとを接触させる工程;
(ii)該セリンプロテアーゼに結合するペプチドまたはペプチド誘導体を回収する工程;および、
(iii)工程(ii)において回収されたペプチドまたはペプチド誘導体が該セリンプロテアーゼの有する蛋白質分解活性を阻害する場合、該ペプチドまたはペプチド誘導体を陽性と判定する工程;、および、
(iv)工程(iii)において陽性と判定されたペプチドまたはペプチド誘導体に含まれる、該セリンプロテアーゼの有する蛋白質分解活性を阻害するペプチドを化学合成、遺伝子組換えまたはイン・ビトロ翻訳により調製する工程、
(47)
下記(i)および(ii)の工程を含んでなる、(1)乃至(19)のいずれか一つに記載のペプチドまたは(20)記載のペプチドの誘導体がトリプシンおよび/またはアクロシン以外のセリンプロテアーゼの有する蛋白質分解活性(ペプチド結合加水分解活性:以下同じ)を阻害するか否かを判定する方法:
(i)(1)乃至(19)のいずれか一つに記載の被検ペプチドまたは(20)記載の被検ペプチド誘導体と該セリンプロテアーゼとを接触させる工程;および、
(ii)該ペプチドまたはペプチド誘導体が該セリンプロテアーゼの有する蛋白質分解活性を阻害する場合、該ペプチドまたはペプチド誘導体を陽性と判定する工程、
(48)
下記(i)乃至(iii)の工程を含んでなる、トリプシンおよび/またはアクロシン以外のセリンプロテアーゼの有する蛋白質分解活性を阻害する、(1)乃至(19)のいずれか一つに記載のペプチドまたは(20)記載のペプチドの誘導体の製造方法:
(i)(1)乃至(19)のいずれか一つに記載の被検ペプチドまたは(20)記載の被検ペプチド誘導体と該セリンプロテアーゼとを接触させる工程;
(ii)該ペプチドまたはペプチド誘導体が該セリンプロテアーゼの有する蛋白質分解活性を阻害する場合、該ペプチドまたはペプチド誘導体を陽性と判定する工程;および、
(iii)工程(ii)において陽性と判定されたペプチドまたはペプチド誘導体に含まれる、該セリンプロテアーゼの有する蛋白質分解活性を阻害するペプチドを、遺伝子組換えまたはイン・ビトロ翻訳により調製する工程、および、
(49)
下記(i)または(ii)から選択されるペプチド:
(i)配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列を含み、且つ下記(ア)乃至(エ)であるペプチド;
(ア)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて1番目乃至5番目、7番目、9番目および10番目のXaaが、それぞれ、システインおよびプロリンを除く任意のアミノ酸である、
(イ)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて6番目および8番目のXaaが、それぞれ、システインを除く任意のアミノ酸である、
(ウ)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて11番目のXaaが、チロシン、セリン、フェニルアラニン、ロイシンおよびスレオニンからなる群より選択されるアミノ酸である、
(エ)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて12番目のXaaが、アスパラギン、アスパラギン酸、ロイシン、リジン、グルタミン、アラニンおよびグルタミン酸からなる群より選択されるアミノ酸である:
および、
(ii)配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列において、アミノ末端から数えて1番目乃至12番目のXaa以外の、1個以上5個以下のアミノ酸が保存的アミノ酸置換、欠失、付加および/または挿入してなるアミノ酸配列を含むペプチド、
(50)
保存的アミノ酸置換が、疎水性アミノ酸グループ、中性親水性アミノ酸グループ、酸性アミノ酸グループ、塩基性アミノ酸グループ、主鎖の方角に影響を与えるアミノ酸のグループ、および、芳香族アミノ酸グループから選択されるいずれかのグループ内において行われることを特徴とする、(49)記載のペプチド、
下記(ア)乃至(シ)である、(49)又は(50)に記載のペプチド:
(ア)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて1番目のXaaが、アルギニン、メチオニン、ロイシン、トリプトファンおよびセリンからなる群より選択されるアミノ酸である、
(イ)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて2番目のXaaが、スレオニン、アルギニン、トリプトファンおよびフェニルアラニンからなる群から選択されるアミノ酸である、
(ウ)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて3番目のXaaが、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファン、セリンおよびフェニルアラニンからなる群より選択されるアミノ酸である、
(エ)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて4番目のXaaが、トリプトファン、アルギニンおよびロイシンからなる群より選択されるアミノ酸である、
(オ)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて5番目のXaaが、グリシン、アルギニン、ロイシン、ヒスチジン、トリプトファン、メチオニンおよびチロシンからなる群から選択されるアミノ酸である、
(カ)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて6番目のXaaが、アスパラギン、ヒスチジン、プロリン、リジン、トリプトファン、アルギニンおよびアスパラギン酸からなる群から選択されるアミノ酸である、
(キ)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて7番目のXaaが、アルギニン、フェニルアラニン、トリプトファン、ロイシン、アラニンおよびグリシンからなる群から選択されるアミノ酸である、
(ク)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて8番目のXaaが、スレオニン、プロリン、アスパラギンおよびセリンからなる群から選択されるアミノ酸である、
(ケ)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて9番目のXaaが、トリプトファン、メチオニン、チロシンおよびフェニルアラニンからなる群から選択されるアミノ酸である、
(コ)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて10番目のXaaが、グルタミン、バリン、リジン、メチオニン、アラニン、ロイシンおよびアスパラギンからなる群から選択されるアミノ酸である、
(サ)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて11番目のXaaが、チロシン、フェニルアラニンおよびロイシンからなる群から選択されるアミノ酸である、
(シ)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて12番目のXaaがリジンである、
(52)
(49)乃至(51)のいずれか一つに記載のペプチドに化学的修飾および/または生物学的修飾が施されてなる該ペプチドの誘導体、
(53)
予め決定された標的分子に結合する、(49)乃至(51)のいずれか一つに記載のペプチド、または、(52)記載のペプチドの誘導体、
および、
(54)
標的分子がSPINK2の内在性の標的ではないことを特徴とする、(53)記載のペプチドまたはペプチドの誘導体、
等に関するがそれらに限定されるものではない。
本発明はペプチドを提供する。
本発明のより一層好適な態様において、本発明のペプチドの有するアミノ酸配列に含まれる、配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列中、アミノ末端から数えて1番目のXaa(配列番号1の2番目のアミノ酸に相当する)は、アルギニン、メチオニン、ロイシン、トリプトファンおよびセリンからなる群より選択されるアミノ酸である; アミノ末端から数えて2番目のXaa(配列番号1の3番目のアミノ酸に相当する)は、スレオニン、アルギニン、トリプトファンおよびフェニルアラニンからなる群より選択されるアミノ酸である; アミノ末端から数えて3番目のXaa(配列番号1の4番目のアミノ酸に相当する)は、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファン、セリンおよびファニルアラニンからなる群より選択されるアミノ酸である; アミノ末端から数えて4番目のXaa(配列番号1の5番目のアミノ酸に相当する)は、トリプトファン、アルギニンおよびロイシンからなる群より選択されるアミノ酸である; アミノ末端から数えて5番目のXaa(配列番号1の6番目のアミノ酸に相当する)は、グルシン、アルギニン、ロイシン、ヒスチジン、トリプトファン、メチオニンおよびチロシンからなる群より選択されるアミノ酸である; アミノ末端から数えて6番目のXaa(配列番号1の7番目のアミノ酸に相当する)は、アスパラギン、ヒスチジン、プロリン、リジン、トリプトファン、アルギニンおよびアスパラギン酸からなる群から選択されるアミノ酸である; アミノ末端から数えて7番目のXaa(配列番号1の8番目のアミノ酸に相当する)は、アルギニン、フェニルアラニン、トリプトファン、ロイシン、アラニンおよびグリシンからなる群より選択されるアミノ酸である; アミノ末端から数えて8番目のXaa(配列番号1の10番目のアミノ酸に相当する)は、スレオニン、プロリン、アスパラギンおよびセリンからなる群より選択されるアミノ酸である; アミノ末端から数えて9番目のXaa(配列番号1の11番目のアミノ酸に相当する)は、トリプトファン、メチオニン、チロシンおよびフェニルアラニンからなる群より選択されるアミノ酸である; アミノ末端から数えて10番目のXaa(配列番号1の12番目のアミノ酸に相当する)は、グルタミン、バリン、リジン、メチオニン、アラニン、ロイシンおよびアスパラギンからなる群より選択されるアミノ酸である; アミノ末端から数えて11番目のXaa(配列番号1の13番目のアミノ酸に相当する)は、チロシン、フェニルアラニンおよびロイシンからなる群より選択されるアミノ酸である; アミノ末端から数えて12番目のXaa(配列番号1の14番目のアミノ酸に相当する)はリジンである; また、アミノ末端から数えて1番目乃至12番目のXaaは、本段落に記載された各群から選択されるアミノ酸が、保存的アミノ酸置換されたもの(本発明の他の部分に詳述されている)であってもよい。
さらに、本発明のある好適な態様において、本発明のペプチドは、配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列に加え、当該アミノ酸配列のアミノ末端側に、直接あるいは1又は2個以上の任意のアミノ酸を挟んで、配列表の配列番号14の第1番塩基グアニン又は第4番目塩基シトシン乃至第42番塩基チミンからなる塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を、カルボキシル末端側に、直接あるいは1又は2個以上の任意のアミノ酸を挟んで、配列表の配列番号14の第94番塩基グアニン乃至189番塩基シトシンからなる塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を、それぞれ含んでいてもよい。かかるペプチドの有するアミノ酸配列においては、配列表の配列番号14の第1番塩基グアニン乃至第3番塩基チミンによりコードされるアスパラギン酸は、その対応する位置に含まれていなくてもよい。また、かかるペプチドの有するアミノ酸配列には、さらに他の任意のアミノ酸配列が含まれていてもよい。そのようなペプチドとしては、例えば、後述する実施例1において調製されたランダム変異SPINK2ライブラリーに含まれるペプチド、該ライブラリーから実施例3において選別され、ランダム領域のアミノ酸配列が決定されたペプチド等を挙げることができるが、それらに限定されるものではない。
(1)非極性アミノ酸グループ:アラニン(以下、「Ala」または単に「A」と記す)、バリン(以下、「Val」または単に「V」と記す)、ロイシン(以下、「Leu」または単に「L」と記す)、イソロイシン(以下、「Ile」または単に「I」と記す)、プロリン(以下、「Pro」または単に「P」と記す)、フェニルアラニン(「Phe」または単に「F」と記す)、トリプトファン(以下、「Trp」または単に「W」と記す)、メチオニン(以下、「Met」または単に「M」と記す)
(2)非荷電極性アミノ酸グループ:グリシン(以下、「Gly」または単に「G」と記す)、セリン(以下、「Ser」または単に「S」と記す)、スレオニン(以下、「Thr」または単に「T」と記す)、システイン(以下、「Cys」または単に「C」と記す)、チロシン(以下、「Tyr」または単に「Y」と記す)、アスパラギン(以下、「Asn」または単に「N」と記す)、グルタミン(以下、「Gln」または単に「Q」と記す)
(3)酸性アミノ酸グループ:アスパラギン酸(以下、「Asp」または単に「D」と記す)、グルタミン酸(以下、「Glu」または単に「E」と記す)
(4)塩基性アミノ酸グループ:リジン(以下、「Lys」または単に「K」と記す)、アルギニン(以下、「Arg」または単に「R」と記す)、ヒスチジン(以下、「His」または単に「H」と記す)
また、天然界に存在するアミノ酸は、その共通する側鎖の性質に基づいて次のようなグループに分けることができる。
(1)疎水性アミノ酸グループ:ノルロイシン(Norleucine)、Met、Ala、Val,Leu,Ile
(2)中性親水性アミノ酸グループ:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln
(3)酸性アミノ酸グループ:Asp、Glu
(4)塩基性アミノ酸グループ:His、Lys、Arg
(5)主鎖の方角に影響を与えるアミノ酸のグループ:Gly、Pro
(6)芳香族アミノ酸グループ:Trp、Tyr、Phe
以下に、保存的置換の例を示すが、本発明の保存的アミノ酸置換はこれらに限定されるものではない。
Lysは、例えば、Arg、Hisと置換し得る。
CMRHR RHFCT MVYKP VC (配列表の配列番号3: 図12のα-キモトリプシン結合ペプチド2番)
CRRWL LPWCT YKYKP VC (配列表の配列番号4: 図12のα-キモトリプシン結合ペプチド6番)
CLWRR HKLCP FKFKP VC (配列表の配列番号5: 図12のα-キモトリプシン結合ペプチド7番)
CWRSW RWACP YMYKP VC (配列表の配列番号6: 図12のα-キモトリプシン結合ペプチド12番)
CWFFR WRWCN WALKP VC (配列表の配列番号7: 図12のα-キモトリプシン結合ペプチド13番)
CSTWR MWGCP WLYKP VC (配列表の配列番号8: 図12のα-キモトリプシン結合ペプチド14番)
CWRRW YDRCS FNLKP VC (配列表の配列番号9: 図12のα-キモトリプシン結合ペプチド17番)
本発明はヌクレオチドを提供する。
本発明は組換えベクター(以下、単に「ベクター」ともよぶ)を提供する。
本発明は、その一つの態様において、組換え細胞(以下、単に「細胞」ともよぶ)を提供する。
本発明は、また他の態様として、本発明のペプチドの製造方法を提供する。
(1-1)本発明のペプチドに対応するヌクレオチドを含み且つ該ペプチド等を発現する細胞(本発明の細胞)を培養する工程;および、
(1-2)該培養物から該ペプチドを回収する工程。
(2-1)標的分子に結合する本発明のペプチドのアミノ酸配列を決定する工程;および、
(2-2)該アミノ酸配列からなるペプチドを化学合成または遺伝子組換えにより調製する工程。
(3-1)本発明のペプチドに対応する対応するmRNAを調製する工程;および、
(3-2)前記(3-1)で得られたmRNAを鋳型として、イン・ビトロ翻訳により、該ペプチドを調製する工程。
(4-1)本発明のペプチド・ライブラリーに含まれるペプチドと標的分子とを接触させる工程;
(4-2)該標的分子に結合するペプチドを回収する工程;および
(4-3)回収されたペプチドを、化学合成、遺伝子組換えまたはイン・ビトロ翻訳により調製する工程。
(5-1)本発明の被検ペプチドと標的分子とを接触させる工程;
(5-2)被検ペプチドが該標的分子に結合する場合、該ペプチドは陽性であると決定する工程;および、
(5-3)前記(5-2)において被検ペプチドは陽性であると決定された場合、該ペプチドを化学合成、遺伝子組換えまたはイン・ビトロ翻訳により調製する工程。
(6-1)本発明のペプチド・ライブラリーに含まれるペプチドと該標的分子とを接触させる工程;
(6-2)該標的分子に結合するペプチドを回収する工程;、および、
(6-3)該ペプチドが該標的分子の有する生物活性を活性化もしくは促進するか、または、該標的分子を刺激する(agonize)場合、該ペプチドを陽性と判定する工程。
(7-1)本発明のペプチド・ライブラリーに含まれるペプチドと該標的分子とを接触させる工程;
(7-2)該標的分子に結合するペプチドを回収する工程;、および、
(7-3)該ペプチドが該標的分子の有する生物活性を阻害、不活性化もしくは抑制するか、または、該標的分子に拮抗する(antagonize)場合、該ペプチドを陽性と判定する工程。
(8-1)被検ペプチドとトリプシンおよび/またはアクロシン以外の、好適にはトリプシン以外の標的分子とを接触させる工程;および、
(8-2)該ペプチドが該標的分子の有する生物活性を活性化もしくは促進するか、または、該標的分子を刺激する(agonize)場合、該ペプチドを陽性と判定する工程。
(9-1)被検ペプチドとトリプシンおよび/またはアクロシン以外の、好適にはトリプシン以外の標的分子とを接触させる工程;および、
(9-2)該ペプチドが該標的分子の有する生物活性を阻害、不活性化もしくは抑制するか、または、該標的分子に拮抗する(antagonize)場合、該ペプチドを陽性と判定する工程。
本発明はライブラリーを提供する。
mRNAディスプレイは、mRNAとその翻訳産物であるペプチドまたは蛋白質が介在部分を挟んで連結してなる複合体としての形態で、ペプチドまたは蛋白質を提示(ディスプレイと同義)させる技術である(キーフェとスゾスタク、ネイチャー、410巻、715乃至718頁、2001年刊行:Keefe, A.D and Szostak, J.W., Nature, vol.410 (2001), pp715-718)。
本発明は、標的分子に結合するペプチドおよび/またはペプチド誘導体の同定方法を提供する。本発明の同定方法は、例えば、前記の工程(4-1)および(4-2)、(6-1)および(6-2)、(7-1)および(7-2)等を含んでいてもよいが、それらに限定されない。
本発明において「標的分子」とは、本発明のペプチドが結合する、ヒトもしくは非ヒト動物の個体に内在する物質または生体内に取り込まれ得る外因性の物質を意味する。本発明の標的分子は、好適にはSPINK2の内在性の標的であるトリプシンおよび/またはアクロシン以外の、より好適にはトリプシン以外の分子であり、より一層好適にはヒト由来のトリプシン以外のヒト由来の分子である。さらにより一層好適には、かかるヒト個体が罹患し得る疾患の発症もしくは増悪に直接または間接的に関与し得るか、または、かかる疾患と相関もしくは逆相関を示す、内在するかあるいは外因性の酵素、受容体、該受容体のリガンド、サイトカイン等の液性因子、その他の生体高分子、シグナル伝達物質、細胞、病原体、毒素、または、それらのいずれか一つもしくはそれ以上に由来する物質、例えば、その断片、分解物、代謝産物、加工物等である(以下、「疾患関連標的分子」という)。また、本発明の標的分子は、鉱物、ポリマー、プラスチック、合成低分子化合物等の非天然物質であってもよい。
また、それらのプロテアーゼは好適には疾患関連標的分子である。
(2)標的分子の調製
本発明の標的分子は、疾患に罹患した組織、細胞から単離、精製して、あるいは組織、細胞等にその全部又は一部が結合又は含まれた形態で、使用することができる。また、本発明の標的分子は、化学合成、遺伝子組換え、イン・ビトロ翻訳等、ペプチドまたは蛋白質の製造方法として当業者に周知の方法により調製することができる。このようにして得られた標的分子から、必要に応じて、前述のような誘導体を調製してもよい。
(3)標的分子とペプチドおよび/またはペプチド誘導体との接触
本発明の同定方法は、ペプチドおよび/またはその誘導体と標的分子とを接触させる工程を含む。ここで、該ペプチドおよび/またはその誘導体は、ペプチド・ライブラリーに含まれていてもよい。すなわち、本発明の同定方法は、ペプチド・ライブラリーに含まれるペプチドおよび/またはその誘導体と標的分子とを接触させる工程を含んでもよい。
(4)選抜
本発明の同定方法は所望の性質を有するペプチドおよび/またはペプチド誘導体、好適には標的分子に結合するペプチドおよび/またはペプチド誘導体を選抜する工程を含む。
抗体と抗原の「結合」を測定する方法としては、フローサイトメトリー等により測定を行う蛍光抗体法(直接法、間接法)、ラジオイムノアッセイ、エンザイムイムノアッセイ(均一法、不均一法)、ELISA、ELISPOT等が広く使用されている。これらの方法において、被検抗体および抗原を本発明のペプチドまたはその誘導体および標的分子に置き換えれば、抗体と抗原の「結合」の測定と同様に、ペプチドまたはその誘導体と標的分子の「結合」の有無を測定することができる。
また、「結合」の有無は、結合活性または親和性の指標を測定することにより、決定することができる。結合親和性の指標としては、解離定数、結合定数等をあげることができる。
Kd=[A][B]/[AB]
本発明は組成物を提供する。
本発明は試薬を提供する。
本発明は、被検物質が、標的分子に結合するか否かを判定する方法をも提供する。本発明の判定方法は、例えば、前記の工程(5-1)および(5-2)等を含んでいてもよいが、それらに限定されない。
[実施例1]
ランダム変異SPINK2ライブラリーをファージに提示するため、ファージミドベクターを構築した。まず、tTH terminatorを含む領域を合成して「断片1(配列番号10)」とし、lac operatorを含むpCANTAB 5E(GE healthcare)の2097から2232までの領域(配列番号11)を合成して「断片2」とした。SD配列およびphoAシグナルペプチドを含む配列(配列番号12)を「断片3」として、ファージコート蛋白質(gene III)はpCANTAB 5E由来の配列を「断片4」として、さらに、Ipp terminatorを含む領域は「断片5(配列番号13)」として合成した。「断片1」~「断片5」を鋳型として、下記プライマー1および2、ならびにKOD-plus-(TOYOBO:DNAポリメラーゼ、緩衝液、基質等から構成される)を用いたオーバーラップエクステンションPCR法((94℃ 15秒、60℃ 30秒、68℃ 160秒)×30cycle)を行った。
プライマー1:5’-AAAAAACGCGTCTGCGGCCGCATAGGGTAGCGAAAACCT-3’
プライマー2:5’-AAAAAGGCGCCATTCGCCATTCAGGCTGCGCAACTGTTGG-3’
増幅した断片をアガロースゲル電気泳動に供した後に、所望のDNA断片を切り出し、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up System(Promega)によりDNAを調製した。調製したDNA断片およびpCANTAB 5Eを制限酵素AflIII(NEB)およびNarI(NEB)で37℃で1時間以上処理し、アガロースゲル電気泳動後に、所望のDNA断片を切り出し、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up Systemにより精製した。精製した断片を、T4 DNA Ligase(NEB)を用いて、16℃で一晩反応させることで、ligation反応を実施した。Ligation溶液は、大腸菌JM109(TOYOBO)に添加し、氷上で30分間静置した後、42℃で45秒の熱処理後、さらに氷上で5分間静置し、0.1mg/mlアンピシリンを含む2-YTプレートに播種後、37℃で一晩静置培養することで、大腸菌の形質転換を実施した。翌日、形質転換した大腸菌を、0.1mg/mlアンピシリンを含むTerrific Broth培地(Invitrogen)に植菌し、37℃で一晩培養後、QIAprep 96 Turbo Miniprep Kit(Qiagen)を用いてプラスミドDNAを回収し(以下、「miniprep処理」という)、配列解析を実施することで目的のベクターが構築されたことを確認し、「ファージミドベクターpPR3」と命名した。
ファージミドベクターpPR3は(1-2)で構築したファージミドベクターpPR3_SPINK2(WT)の代わりに、(1-3)以降の実施例において使用することができる。
ランダム変異SPINK2ライブラリーをファージに提示するため、ファージミドベクターを構築した。まず、tTH terminatorを含む領域を「断片1(配列番号10)」とし、lac operatorを含むpCANTAB 5E(GE healthcare)の2099から2232までの領域(配列番号11のヌクレオチド番号3から136まで)を「断片2」とした。SD配列ならびにphoAシグナルペプチドおよび野生型SPINK2、すなわちSPINK2(WT)のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む配列(配列番号12)を「断片3」、pCANTAB 5Eに基くファージコート蛋白質(gene III)を含む配列(配列番号16のヌクレオチド番号600から1848まで)を「断片4」として、さらに、Ipp terminatorを含む領域は「断片5(配列番号13)」とした。「断片1」~「断片5」を含む塩基配列(配列番号16)を有するDNAを鋳型として、下記プライマー1および2、ならびにKOD-plus-(TOYOBO:DNAポリメラーゼ、緩衝液、基質等から構成される)を用いたオーバーラップエクステンションPCR法((94℃ 15秒、60℃ 30秒、68℃ 160秒)×30cycle)を行った。
プライマー1’:5’-AAAAGAAGAGCGCCCAATACGCAAACCGCCTCTCC-3’
プライマー2’:5’-AAAAAGAATTCATTAAACGGCAGACAAAAAAAATGTCGC-3’
増幅した断片をアガロースゲル電気泳動に供した後に、所望のDNA断片を切り出し、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up System(Promega)によりDNAを調製した。調製したDNA断片およびpCANTAB 5Eを制限酵素SapI(NEB)およびEcoRI(NEB)で37℃で1時間以上処理し、アガロースゲル電気泳動後に、所望のDNA断片を切り出し、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up Systemにより精製した。精製した断片を、T4 DNA Ligase(NEB)を用いて、16℃で一晩反応させることで、ligation反応を実施した。Ligation溶液は、大腸菌JM109(TOYOBO)に添加し、氷上で30分間静置した後、42℃で45秒の熱処理後、さらに氷上で5分間静置し、0.1mg/mlアンピシリンを含む2-YTプレートに播種後、37℃で一晩静置培養することで、大腸菌の形質転換を実施した。翌日、形質転換した大腸菌を、0.1mg/mlアンピシリンを含むTerrific Broth培地(Invitrogen)に植菌し、37℃で一晩培養後、QIAprep 96 Turbo Miniprep Kit(Qiagen)を用いてプラスミドDNAを回収し(以下、「miniprep処理」という)、配列解析を実施することで目的のベクターが構築されたことを確認した。さらに、構築したベクターは制限酵素EcoRIを用いて37℃で1時間以上処理し、Klenow処理後にT4 DNA Ligase(NEB)を用いて、16℃で1時間ligation反応させ、大腸菌JM109へ形質転換した。形質転換された大腸菌を培養した後に、miniprep処理し、得られたDNAの配列解析を実施することで構築したベクターを、「ファージミドベクターpPR3_SPINK2(WT)」と命名し、以下の実施例に供した。
次に、ファージミドベクターpPR3_SPINK2(WT)に、TEV protease切断配列およびstufferを挿入した。TEV protease切断配列を作製するため、下記プライマー3および4、ならびにKOD-plus-を用いたオーバーラップエクステンションPCR法((94℃ 15秒、60℃ 30秒、68℃ 10秒)×30cycle)を行った。
プライマー3:5’-GCGGCCGCATAGGGTAGCGAAAACCTGTATTTTCAGAG-3’
プライマー4:5’-GCTAAACAACTTTCAACGGTgctaccGCTCTGAAAATACAGG-3’
増幅した断片をアガロースゲル電気泳動に供した後に、所望のDNA断片を切り出し、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up SystemによりDNAを調製し、「断片6」とした。(1-2)で構築したpPR3_SPINK2(WT)を鋳型として、下記プライマー5および6、ならびにKOD-plus-を用いたPCR法((94℃ 15秒、60℃ 30秒、68℃ 30秒)×30cycle)を実施することで、ファージコート蛋白質(gene III)を増幅した。
プライマー5:5’-ACCGTTGAAAGTTGTTTAGCAAAACCC-3’
プライマー6:5’-CATTAAAGCCAGAATGGAAAGCGCAGTC-3’
さらに、増幅したDNA断片を鋳型として、下記プライマーαおよびβならびにKOD-plus-を用いたPCR法((94℃ 15秒、60℃ 30秒、68℃ 45秒)×30cycle)を行った。
プライマーα :5’-AACACGCGTCTGCGGCCGCATAGGGTAGC-3’
プライマーβ :5’-AACGGATCCTCATTAAAGCCAGAATGGAAAG-3’
増幅した断片をアガロースゲル電気泳動に供した後に、所望のDNA断片を切り出し、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up SystemによりDNAを調製した。調製したDNA断片および(1-2)で構築したpPR3_SPINK2(WT)を制限酵素MluI(NEB)およびBamHI(NEB)で37℃で1時間以上処理し、アガロースゲル電気泳動後に、所望のDNA断片を切り出し、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up Systemにより精製した。精製した断片を、T4 DNA Ligaseを用いて、16℃で一晩反応させることで、ligation反応を実施し、大腸菌JM109を形質転換した。形質転換された大腸菌を培養した後に、miniprep処理し、得られたDNAの配列解析を実施した。構築したベクターを、「ファージミドベクターpPR3_TEV」と命名した。尚、操作は(1-1)に記載の方法に準じて行った。
変異を導入しないSPINK2領域を増幅するため、ヒトSPINK2のアミノ酸配列をコードする塩基配列(配列番号14)を鋳型として、下記プライマー7および8、ならびにKOD-plus-を用いたPCR法((94℃ 15秒、60℃ 30秒、68℃ 10秒)×30cycle)を行った。
プライマー7:5’-GGTAGCGATATGAGCACCTATGC-3’
プライマー8:5’-GCACGGACCATTGCGAATA-3’
増幅した断片をアガロースゲル電気泳動に供した後に、所望のDNA断片を切り出し、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up SystemによりDNAを調製した。調製したDNA断片をInsert Aとした。
5’-GC AAA TAT CGT ACC CCG AAT TGT UUU UUU UUU UUU UUU VVV UUU TGT VVV UUU UUU WWW XXX CCG GTT GGT AGC GAT ATG-3’
UUU、VVV、WWWおよびXXXはA、T、G、Cの中から選択される任意の塩基を表す。
プライマー9:5’-GTTTGGTCTGTTTAGCAAATATCGTACCCCGAATTGT-3’
プライマー10:5’-GCACGGACCATTGCGAATA-3’
増幅した断片をアガロースゲル電気泳動に供した後に、所望のDNA断片を切り出し、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up SystemによりDNAを調製した。調製したDNA断片をInsery Bとした。さらに、Insert Bを鋳型として、下記プライマー11および12、ならびにPfuUltra II Fusion HS DNA Polymeraseを用いたPCR法((95℃ 20秒、55℃ 20秒、72℃ 30秒)×10cycle)を行った。
プライマー11:5’-AAAGAATTCTGATCCGCAGTTTGGTCTGTTTAGCAAATAATCGT-3’
プライマー12:5’-AAAGGCGCGCCGCACGGACCATTGCGAATAATTTTAAT-3’
増幅した断片をアガロースゲル電気泳動に供した後に、所望のDNA断片を切り出し、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up SystemによりDNAを調製した。調製したDNA断片をInsert Cとした。Insert Cを制限酵素EcoRI(NEB)およびAscI(NEB)で、ファージミドベクターpPR3_stuffer_TEVをEcoRI(TAKARA)およびMluI(TAKARA)を用いて、それぞれ37℃で5時間以上処理し、Insert CをWizard SV Gel and PCR Clean-Up Systemを用いることで精製し、phagemid vectorをアガロースゲル電気泳動に供した後に、所望のDNA断片を切り出し、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up System(Promega)により精製した。精製した断片を、T4 DNA Ligase(NEB)を用いて、16℃で一晩反応させることで、ligation反応を実施した。翌日、65℃で10分熱処理を行い、Amicon-Ultra(30k:Millipore)により、DNAの脱塩を実施した。
次に、形質転換に用いるコンピテントセルを調製した。前日に37℃で一晩、2-YT培地(Invitrogen)を用いて培養したXL1-Blue(Stratagene)を2-YT培地に植菌し、37℃で数時間培養した。氷冷後、遠心分離(3,000g、10分、4℃)によりペレットを回収し、滅菌水で懸濁した後、遠心を行った。さらに、10%グリセロールでペレットを懸濁した後遠心分離し、再度、10%グリセロールによる懸濁した後遠心分離を行った。最後に、ペレットを10%グリセロールで懸濁して、コンピテントセルとした。
(1-5)で構築した大腸菌コロニー群を、0.1mg/mlアンピシリンおよび1%グルコースを含む2-YT培地に植菌し、OD600nm=0.3の大腸菌懸濁液を調製した。37℃で振とう培養を行うことで、OD600nm=0.5になるまで培養し、充分量のhelperphage VCSM13(Stratagene)を加えて、37℃で30分間静置し、さらに、37℃で30分間振とう培養を実施した。その後、氷上で30分間静置し、遠心分離(3,000g、20分、4℃)により、ペレットを回収し、0.1mg/mlアンピシリン、30μg/mlカナマイシン(nacalai tesque)、0.25mM IPTG(和光純薬工業)を含む2-YT培地で懸濁し、22℃で一晩、振とう培養を実施した。
翌日、遠心分離(9,000g、20分、4℃)により培養上清を回収し、20% Polyethylene Glycol 6000(nacalai tesque)および2.5M NaCl(和光純薬工業)溶液を1/4量添加し、4℃で30分間静置することで、ファージ粒子を沈殿させた(以下、「PEG沈殿」と呼ぶ)。PEG沈殿および遠心分離(9,000g、30分、4℃)を2回繰り返し、沈殿したファージをPBSに懸濁することで、ランダム変異SPINK2ファージライブラリーを調製した。
標的分子に結合するSPINK2変異体の選別
(2-1)液相パニング法
EZ-Link NHS-Chromogenic Biotin Reagent(Thermo)を用いて、付属の説明書に従い、(2-4)に記載の標的蛋白質をビオチン化した。
Nunc Maxisorp flat-bottom 96 well plate(Nunc)に一定量の標的蛋白質を添加し、4℃で一晩静置することで、プレートへの固定化を実施した。また、Pierce NHS-Activated Agarose Dry Resin(Thermo)に一定量の標的蛋白質を添加し、付属の説明書に従い、アガロースへの固定化を実施した。
パニング後に得られた大腸菌コロニー群を、0.1mg/mlアンピシリンおよび1%グルコースを含む2-YT培地に植菌し、OD600nm=0.3の大腸菌懸濁液を調製した。37℃で振とう培養を行うことで、OD600nm=0.5になるまで培養し、充分量のhelperphage VCSM13(Stratagene)を加えて、37℃で30分間静置し、さらに、37℃で30分間振とう培養を実施した。その後、氷上で30分間静置し、遠心分離(3,000g、20分、4℃)により、ペレットを回収し、0.1mg/mlアンピシリン、30μg/mlカナマイシン(nacalai tesque)、0.25mM IPTG(和光純薬工業)を含む2-YT培地で懸濁し、22℃で一晩、振とう培養を実施した。翌日、遠心分離により培養上清を回収し、PEG沈殿および遠心分離を2回繰り返すことで、次ラウンドで使用するファージ溶液を調製した。
下記4種類のいずれか一つを標的蛋白質として、液相または固相パニングを3~5ラウンド実施した。
・Chymotrypsin(Worthington)
・Recombinant Human Plasma Kallikrein(R&D systems)
・Recombinant Human EGFR/Fc(R&D systems:以下、「EGFR/Fc」と呼ぶ)
・Recombinant Human ErbB2/Fc(R&D systems:以下、「HER2/Fc」と呼ぶ)
(2-3)に記載の方法に従い、パニング後の大腸菌群からSPINK2変異体提示ファージを調製した。
α-chymotrypsin結合ペプチド(シングルクローン)の評価
(3-1)pET 32a(改変)の構築
pIRES Puro3(Clontech)を鋳型として、下記プライマー13および14、ならびにKOD-plus-(TOYOBO)を用いたPCR法((94℃ 15秒、60℃ 30秒、68℃ 30秒)×30cycle)を行った。
5’-AAAGGATCCGCGAATTCATGACCGAGTACAAGCCCAC-3’
5’-AAACTCGAGTTATGCGGCCGCTCAGGCACCGGGCTTGCGG-3’
増幅した断片をアガロースゲル電気泳動に供した後に、所望のDNA断片を切り出し、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up System(Promega)によりDNAを調製した。調製したDNA断片およびpET 32a(+)(Novagen)をそれぞれ制限酵素BamHI(TAKARA)およびXhoI(TAKARA)を用いて、37℃で1時間以上処理し、アガロースゲル電気泳動後に、所望のDNA断片を切り出し、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up System(Promega)により精製した。精製した断片を、T4 DNA Ligaseを用いて、16℃で一晩反応させることで、ligation反応を実施し、大腸菌JM109を形質転換した。形質転換された大腸菌を培養した後に、miniprepおよび配列解析を実施することで、「pET 32a(改変)」を構築した。尚、操作は(1-2)に記載の方法に準じて行った。
QIAGEN Plasmid Midi Kit(Qiagen)を用いて、付属の説明書に従い、パニング後の大腸菌群からphagemid vectorを回収した。回収したベクターおよびpET 32a(改変)を、制限酵素EcoRI(TAKARA)およびNotI(TAKARA)を用いて、37℃で1時間以上処理し、アガロースゲル電気泳動後に、所望のDNA断片を切り出し、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up System(Promega)により精製した。精製した断片を、T4 DNA Ligase(NEB)を用いて、16℃で一晩反応させることで、ligation反応を行い、大腸菌JM109の形質転換を実施した。尚、操作は(1-2)に記載の方法に準じて行った。Miniprepにより回収したプラスミドで、大腸菌Origami B(DE3)(Novagen)を形質転換し、0.1mg/mlアンピシリンを含む2-YTプレートに播種した。
(3-2)で調製したSPINK2変異体(α-chymotrypsin binder)の標的結合特異性を確認するため、ELISA法による評価を実施した。Nunc Maxisorp flat-bottom 96 well plateに、標的蛋白質chymotrypsonを添加し、4℃で一晩静置することで、96 well plateのコーティングを行った。次に、(3-2)で調製したSPINK2変異体をサンプルとして添加し、室温で1時間静置した。その後、サンプルを除き、PBS-Tで洗浄した後、S-Tag Antibody Affinity Purified HRP conjugated(BETHYL)を添加し、室温で1時間静置した。その後、検出抗体溶液を除き、PBS-Tで洗浄した後、POD基質A.B.T.S.キットを用いて発色させ、測定波長405nmの吸光度を測定した。サンプルおよびS-Tag Antibody Affinity Purified HRP conjugatedの希釈にはPBS-Tを用いた。
Nunc Maxisorp flat-bottom 96 well plateに、標的蛋白質chymotrypsinおよびネガティブコントロールtrypsin(PIERCE)を添加し、4℃で一晩静置することで、96 well plateのコーティングを行った。次に、(3-2)で調製したSPINK2変異体をサンプルとして添加し、室温で1時間静置した。その後、サンプルを除き、PBS-Tで洗浄した後、S-Tag Antibody Affinity Purified HRP conjugatedを添加し、室温で1時間静置した。その後、検出抗体溶液を除き、PBS-Tで洗浄した後、POD基質A.B.T.S.キットを用いて発色させ、測定波長405nmの吸光度を測定した。サンプルおよびS-Tag Antibody Affinity Purified HRP conjugatedの希釈にはPBS-Tを用いた。
標的蛋白質chymotrypsinに関して、(3-2)で調製したSPINK2変異体およびPierce Quantitative Protease Assay Kitを用いて、阻害活性を定量した。操作は、付属の説明書に従い、実施した。
(3-3)でchymotrypsinに対して結合性を示したSPINK2変異体(α-chymotrypsin結合ペプチド)の配列解析を実施した。各SPINK2変異体で形質転換された大腸菌Origami B(DE3)を、0.1mg/mlアンピシリンを含む2-YT培地を用いて37℃で一晩培養し、翌日、QIAprep 96 Turbo Miniprep Kitを用いて培養物からプラスミドDNAを回収した。該プラスミドDNAを鋳型とし、次の塩基配列を有するプライマー15:
5’-GTTCTGGTTCTGGCCATATGCACCATC-3’
を用いて、塩基配列を解析した。
配列表の配列番号2 - キモトリプシン結合ペプチドのランダム領域(図12:ペプチド番号1)
配列表の配列番号3 - キモトリプシン結合ペプチドのランダム領域(図12:ペプチド番号2)
配列表の配列番号4 - キモトリプシン結合ペプチドのランダム領域((図12:ペプチド番号6)
配列表の配列番号5 - キモトリプシン結合ペプチドのランダム領域((図12:ペプチド番号7)
配列表の配列番号6 - キモトリプシン結合ペプチドのランダム領域((図12:ペプチド番号12)
配列表の配列番号7 - キモトリプシン結合ペプチドのランダム領域((図12:ペプチド番号13)
配列表の配列番号8 - キモトリプシン結合ペプチドのランダム領域((図12:ペプチド番号14)
配列表の配列番号9 - キモトリプシン結合ペプチドのランダム領域((図12:ペプチド番号17)
配列表の配列番号10 - 断片1(図14)
配列表の配列番号11 - 断片2(図15中の下線部)
配列表の配列番号12 - 断片3(図16)
配列表の配列番号13 - 断片5(図17)
配列表の配列番号14 - SPINK2のアミノ酸配列をコードする塩基配列(図18)
配列表の配列番号15 - 配列表の配列番号14で示される塩基配列がコードするアミノ酸配列
配列表の配列番号16 - 断片1~断片5を含むPCR用鋳型DNAの塩基配列
Claims (54)
- 下記(i)または(ii)から選択されるペプチド:
(i)配列表の配列番号14において第43番塩基チミン乃至第93番チミンからなる塩基配列が配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列で置き換えられてなる塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を含むペプチド;および、
(ii)配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号2乃至8及び10乃至14以外の、1個以上5個以下のアミノ酸がアミノ酸置換、欠失、付加および/または挿入してなるアミノ酸配列を有する(i)記載のペプチド。 - 配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて1番目乃至5番目、7番目、9番目および10番目のXaaが、それぞれ、システインおよびプロリンを除く任意のアミノ酸である、請求項1記載のペプチド。
- 配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて6番目および8番目のXaaが、それぞれ、システインを除く任意のアミノ酸である、請求項1または2記載のペプチド。
- 配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて11番目のXaaが、チロシン、セリン、フェニルアラニン、ロイシンおよびスレオニンからなる群より選択されるアミノ酸である、請求項1乃至3のいずれか一つに記載のペプチド。
- 配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて12番目のXaaが、アスパラギン、アスパラギン酸、ロイシン、リジン、グルタミン、アラニンおよびグルタミン酸からなる群より選択されるアミノ酸である、請求項1乃至4のいずれか一つに記載のペプチド。
- 保存的アミノ酸置換が、疎水性アミノ酸グループ、中性親水性アミノ酸グループ、酸性アミノ酸グループ、塩基性アミノ酸グループ、主鎖の方角に影響を与えるアミノ酸のグループ、および、芳香族アミノ酸グループから選択されるいずれかのグループ内において行われることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一つに記載のペプチド。
- 配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて1番目のXaaが、アルギニン、メチオニン、ロイシン、トリプトファンおよびセリンからなる群より選択されるアミノ酸である、請求項1乃至6のいずれか一つに記載のペプチド。
- 配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて2番目のXaaが、スレオニン、アルギニン、トリプトファンおよびフェニルアラニンからなる群から選択されるアミノ酸である、請求項1乃至7のいずれか一つに記載のペプチド。
- 配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて3番目のXaaが、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファン、セリンおよびフェニルアラニンからなる群より選択されるアミノ酸である、請求項1乃至8のいずれか一つに記載のペプチド。
- 配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて4番目のXaaが、トリプトファン、アルギニンおよびロイシンからなる群より選択されるアミノ酸である、請求項1乃至9のいずれか一つに記載のペプチド。
- 配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて5番目のXaaが、グリシン、アルギニン、ロイシン、ヒスチジン、トリプトファン、メチオニンおよびチロシンからなる群から選択されるアミノ酸である、請求項1乃至10のいずれか一つに記載のペプチド。
- 配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて6番目のXaaが、アスパラギン、ヒスチジン、プロリン、リジン、トリプトファン、アルギニンおよびアスパラギン酸からなる群から選択されるアミノ酸である、請求項1乃至11のいずれか一つに記載のペプチド。
- 配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて7番目のXaaが、アルギニン、フェニルアラニン、トリプトファン、ロイシン、アラニンおよびグリシンからなる群から選択されるアミノ酸である、請求項1乃至12のいずれか一つに記載のペプチド。
- 配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて8番目のXaaが、スレオニン、プロリン、アスパラギンおよびセリンからなる群から選択されるアミノ酸である、請求項1乃至13のいずれか一つに記載のペプチド。
- 配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて9番目のXaaが、トリプトファン、メチオニン、チロシンおよびフェニルアラニンからなる群から選択されるアミノ酸である、請求項1乃至14のいずれか一つに記載のペプチド。
- 配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて10番目のXaaが、グルタミン、バリン、リジン、メチオニン、アラニン、ロイシンおよびアスパラギンからなる群から選択されるアミノ酸である、請求項1乃至15のいずれか一つに記載のペプチド。
- 配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて11番目のXaaが、チロシン、フェニルアラニンおよびロイシンからなる群から選択されるアミノ酸である、請求項1乃至16のいずれか一つに記載のペプチド。
- 配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて12番目のXaaがリジンである、請求項1乃至17のいずれか一つに記載のペプチド。
- 配列表の配列番号2乃至9(図12のペプチド番号1、2、6、7、12乃至14および17)のいずれか一つで示されるアミノ酸配列を含む、請求項1乃至18のいずれか一つに記載のペプチド。
- 請求項1乃至19のいずれか一つに記載のペプチドに化学的修飾および/または生物学的修飾が施されてなる該ペプチドの誘導体。
- 下記(i)乃至(iii)のいずれか一つに記載のヌクレオチド:
(i)請求項1乃至19のいずれか一つに記載のペプチドの有するアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるヌクレオチドを含んでなるヌクレオチド;
(ii)請求項1乃至19のいずれか一つに記載のペプチドの有するアミノ酸配列をコードする塩基配列を含んでなるヌクレオチド;および、
(iii)請求項1乃至19のいずれか一つに記載のペプチドの有するアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるヌクレオチド。 - 請求項21記載のヌクレオチドを含んでなるベクター。
- 請求項21記載のヌクレオチドまたは請求項22記載のベクターが導入された細胞。
- 下記工程(i)および(ii)を含んでなる請求項1乃至19のいずれか一つに記載のペプチドの製造方法:
(i)請求項23記載の細胞を培養する工程;および、
(ii)工程(i)で得られた培養物から該ペプチドを回収する工程。 - 請求項1乃至19のいずれか一つに記載のペプチドおよび/または請求項20記載のペプチドの誘導体を含んでなるペプチド・ライブラリー。
- ペプチドおよび/またはペプチドの誘導体が、請求項24記載の工程(i)および(ii)を含んでなる方法により調製されたものであることを特徴とする、請求項25記載のライブラリー。
- ライブラリーにおいて、表現型(phenotype)である該ペプチド又はペプチド誘導体および該表現型に対応する遺伝型(genotype)であるヌクレオチドが直接的または間接的にリンクしていることを特徴とする、請求項25または26記載のライブラリー。
- ヌクレオチドが請求項21に記載のヌクレオチドである、請求項27に記載のライブラリー。
- ファージ・ディスプレイ・ライブラリー、リボゾーム・ディスプレイ・ライブラリー若しくは核酸ディスプレイ・ライブラリーである、請求項25乃至28のいずれか一つに記載のライブラリー。
- 下記(i)および(ii)の工程を含んでなる、標的分子に結合する、請求項1乃至19のいずれか一つに記載のペプチドまたは請求項20記載のペプチド誘導体の同定方法:
(i)請求項25乃至29のいずれか一つに記載のライブラリーに含まれるペプチドまたはペプチド誘導体と該標的分子とを接触させる工程;および、
(ii)該標的分子に結合するペプチドまたはペプチド誘導体を回収する工程。 - 下記(i)乃至(iii)の工程を含んでなる、標的分子に結合する、請求項1乃至19のいずれか一つに記載のペプチドまたは請求項20記載のペプチド誘導体の製造方法:
(i)請求項25乃至29のいずれか一つに記載のライブラリーに含まれるペプチドまたはペプチド誘導体と該標的分子とを接触させる工程;および、
(ii)該標的分子に結合するペプチドまたはペプチド誘導体を回収する工程;および、
(iii)前記(ii)において回収された該ペプチドまたはペプチド誘導体に含まれる、該標的分子に結合するペプチドを化学合成、遺伝子組換えまたはイン・ビトロ翻訳により調製する工程。 - 下記(i)および(ii)の工程を含んでなる、請求項1乃至19のいずれか一つに記載のペプチドまたは請求項20記載のペプチドの誘導体が標的分子に結合するか否かを判定する方法:
(i)請求項1乃至19のいずれか一つに記載の被検ペプチドまたは請求項20記載の被検ペプチド誘導体と該標的分子とを接触させる工程;および、
(ii)被検ペプチドまたは被検ペプチド誘導体が該標的分子に結合する場合、該ペプチドまたは被検ペプチド誘導体は陽性であると決定する工程。 - 下記(i)乃至(iii)の工程を含んでなる、標的分子に結合する、請求項1乃至19のいずれか一つに記載のペプチドまたは請求項20記載のペプチドの誘導体の製造方法:
(i)請求項1乃至19のいずれか一つに記載の被検ペプチドまたは請求項20記載の被検ペプチド誘導体と該標的分子とを接触させる工程;
(ii)被検ペプチドまたは被検ペプチド誘導体が該標的分子に結合する場合、該ペプチドまたは被検ペプチド誘導体は陽性であると決定する工程;および、
(iii)工程(ii)において被検ペプチドまたはペプチド誘導体が陽性と判定された場合、該ペプチドまたはペプチド誘導体に含まれる、標的分子に結合するペプチドを、遺伝子組換えまたはイン・ビトロ翻訳により調製する工程。 - 請求項21に記載のヌクレオチドを含んでなるヌクレオチド・ライブラリー。
- ヌクレオチドがファージミド、コスミドもしくはプラスミドまたはその断片である、請求項34記載のライブラリー。
- ヌクレオチドが原核もしくは真核細胞内、または、ウイルスDNAまたはRNA上もしくはウイルス粒子中に存在する、請求項34または35記載のヌクレオチド・ライブラリー。
- 請求項1乃至19のいずれか一つに記載のペプチド、請求項20記載のペプチドの誘導体、請求項21記載のヌクレオチド、請求項22記載のベクターまたは請求項23記載の細胞を含むことからなる組成物。
- 請求項1乃至19のいずれか一つに記載のペプチド、請求項20記載のペプチドの誘導体、請求項21記載のヌクレオチド、請求項22記載のベクターまたは請求項23記載の細胞を含むことからなる試薬。
- 予め決定された標的分子に結合する、請求項1乃至19のいずれか一つに記載のペプチド、または、請求項20記載のペプチドの誘導体。
- 標的分子がSPINK2の内在性の標的ではないことを特徴とする、請求項39記載のペプチドまたはペプチドの誘導体。
- 標的分子がヒト由来であることを特徴とする、請求項39または40記載のペプチドまたはペプチドの誘導体。
- 内在性の標的がトリプシンおよび/またはアクロシンである、請求項39乃至41のいずれか一つに記載のペプチドまたはペプチドの誘導体。
- 内在性の標的がトリプシンである、請求項39乃至42のいずれか一つに記載のペプチドまたはペプチドの誘導体。
- 請求項39乃至43のいずれか一つに記載のペプチドまたはペプチドの誘導体を含むことからなる組成物または試薬。
- 下記(i)乃至(iii)の工程を含んでなる、トリプシンおよび/またはアクロシン以外のセリンプロテアーゼに結合し且つ該セリンプロテアーゼの有する蛋白質分解活性を阻害する、請求項1乃至19のいずれか一つに記載のペプチドまたは請求項20記載のペプチド誘導体の同定方法:
(i)請求項25乃至29のいずれか一つに記載のライブラリーに含まれるペプチドまたはペプチド誘導体と該セリンプロテアーゼとを接触させる工程;
(ii)該セリンプロテアーゼに結合するペプチドまたはペプチド誘導体を回収する工程;、および、
(iii)該ペプチドまたはペプチド誘導体が該セリンプロテアーゼの有する蛋白質分解活性を阻害する場合、該ペプチドまたはペプチド誘導体を陽性と判定する工程。 - 下記(i)乃至(iv)の工程を含んでなる、トリプシンおよび/またはアクロシン以外のセリンプロテアーゼに結合し且つその蛋白質分解活性を阻害する、請求項1乃至19のいずれか一つに記載のペプチドまたは請求項20記載のペプチド誘導体の製造方法:
(i)請求項25乃至29のいずれか一つに記載のライブラリーに含まれる、該セリンプロテアーゼの有する蛋白質分解活性を阻害するペプチドまたはペプチド誘導体と該セリンプロテアーゼとを接触させる工程;
(ii)該セリンプロテアーゼに結合するペプチドまたはペプチド誘導体を回収する工程;および、
(iii)工程(ii)において回収されたペプチドまたはペプチド誘導体が該セリンプロテアーゼの有する蛋白質分解活性を阻害する場合、該ペプチドまたはペプチド誘導体を陽性と判定する工程;、および、
(iv)工程(iii)において陽性と判定されたペプチドまたはペプチド誘導体に含まれるペプチドを化学合成、遺伝子組換えまたはイン・ビトロ翻訳により調製する工程。 - 下記(i)および(ii)の工程を含んでなる、請求項1乃至19のいずれか一つに記載のペプチドまたは請求項20記載のペプチドの誘導体がトリプシンおよび/またはアクロシン以外のセリンプロテアーゼの有する蛋白質分解活性を阻害するか否かを判定する方法:
(i)請求項1乃至19のいずれか一つに記載の被検ペプチドまたは請求項20記載の被検ペプチド誘導体と該セリンプロテアーゼとを接触させる工程;および、
(ii)該ペプチドまたはペプチド誘導体が該セリンプロテアーゼの有する蛋白質分解活性を阻害する場合、該ペプチドまたはペプチド誘導体を陽性と判定する工程。 - 下記(i)乃至(iii)の工程を含んでなる、トリプシンおよび/またはアクロシン以外のセリンプロテアーゼの有する蛋白質分解活性を阻害する、請求項1乃至19のいずれか一つに記載のペプチドまたは請求項20記載のペプチドの誘導体の製造方法:
(i)請求項1乃至19のいずれか一つに記載の被検ペプチドまたは請求項20記載の被検ペプチド誘導体と該セリンプロテアーゼとを接触させる工程;
(ii)該ペプチドまたはペプチド誘導体が該セリンプロテアーゼの有する蛋白質分解活性を阻害する場合、該ペプチドまたはペプチド誘導体を陽性と判定する工程;および、
(iii)工程(ii)において陽性と判定されたペプチドまたはペプチド誘導体に含まれる、該セリンプロテアーゼの有する蛋白質分解活性を阻害するペプチドを、遺伝子組換えまたはイン・ビトロ翻訳により調製する工程。 - 下記(i)または(ii)から選択されるペプチド:
(i)配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列を含み、且つ下記(ア)乃至(エ)であるペプチド;
(ア)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて1番目乃至5番目、7番目、9番目および10番目のXaaが、それぞれ、システインおよびプロリンを除く任意のアミノ酸である、
(イ)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて6番目および8番目のXaaが、それぞれ、システインを除く任意のアミノ酸である、
(ウ)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて11番目のXaaが、チロシン、セリン、フェニルアラニン、ロイシンおよびスレオニンからなる群より選択されるアミノ酸である、
(エ)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて12番目のXaaが、アスパラギン、アスパラギン酸、ロイシン、リジン、グルタミン、アラニンおよびグルタミン酸からなる群より選択されるアミノ酸である:
および、
(ii)配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列において、アミノ末端から数えて1番目乃至12番目のXaa以外の、1個以上5個以下のアミノ酸が保存的アミノ酸置換、欠失、付加および/または挿入してなるアミノ酸配列を含むペプチド。 - 保存的アミノ酸置換が、疎水性アミノ酸グループ、中性親水性アミノ酸グループ、酸性アミノ酸グループ、塩基性アミノ酸グループ、主鎖の方角に影響を与えるアミノ酸のグループ、および、芳香族アミノ酸グループから選択されるいずれかのグループ内において行われることを特徴とする、請求項49記載のペプチド。
- 下記(ア)乃至(シ)である、請求49又は50に記載のペプチド:
(ア)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて1番目のXaaが、アルギニン、メチオニン、ロイシン、トリプトファンおよびセリンからなる群より選択されるアミノ酸である、
(イ)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて2番目のXaaが、スレオニン、アルギニン、トリプトファンおよびフェニルアラニンからなる群から選択されるアミノ酸である、
(ウ)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて3番目のXaaが、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファン、セリンおよびフェニルアラニンからなる群より選択されるアミノ酸である、
(エ)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて4番目のXaaが、トリプトファン、アルギニンおよびロイシンからなる群より選択されるアミノ酸である、
(オ)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて5番目のXaaが、グリシン、アルギニン、ロイシン、ヒスチジン、トリプトファン、メチオニンおよびチロシンからなる群から選択されるアミノ酸である、
(カ)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて6番目のXaaが、アスパラギン、ヒスチジン、プロリン、リジン、トリプトファン、アルギニンおよびアスパラギン酸からなる群から選択されるアミノ酸である、
(キ)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて7番目のXaaが、アルギニン、フェニルアラニン、トリプトファン、ロイシン、アラニンおよびグリシンからなる群から選択されるアミノ酸である、
(ク)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて8番目のXaaが、スレオニン、プロリン、アスパラギンおよびセリンからなる群から選択されるアミノ酸である、
(ケ)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて9番目のXaaが、トリプトファン、メチオニン、チロシンおよびフェニルアラニンからなる群から選択されるアミノ酸である、
(コ)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて10番目のXaaが、グルタミン、バリン、リジン、メチオニン、アラニン、ロイシンおよびアスパラギンからなる群から選択されるアミノ酸である、
(サ)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて11番目のXaaが、チロシン、フェニルアラニンおよびロイシンからなる群から選択されるアミノ酸である、
(シ)
配列表の配列番号1のアミノ末端から数えて12番目のXaaがリジンである。 - 請求項49乃至51のいずれか一つに記載のペプチドに化学的修飾および/または生物学的修飾が施されてなる該ペプチドの誘導体。
- 予め決定された標的分子に結合する、請求項49乃至51のいずれか一つに記載のペプチド、または、請求項52記載のペプチドの誘導体、
- 標的分子がSPINK2の内在性の標的ではないことを特徴とする、請求項53記載のペプチドまたはペプチドの誘導体。
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