WO2014007243A1 - 鉄含有コークスの製造方法および鉄含有コークス - Google Patents
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Description
本発明は、高炉において銑鉄を製造する際に、鉄鉱石と共に高炉原料として好適に用いることができる鉄含有コークスと、その鉄含有コークスの製造方法とに関するものである。
鉄鉱石を還元して銑鉄を製造する高炉では、鉄鉱石と共にコークスが交互に層をなすようにして高炉内に供給されることで、操業が効率良く実施されている。コークスは、鉄鉱石の還元材としての役割や熱源としての役割の他、高炉内の通気性を確保するためのスペーサーとしての役割も担っている。
しかしながら、従来からのコークスを用いた高炉の操業では、多量の二酸化炭素(CO2)が発生してしまうという大きな課題があり、また、多大なエネルギーを消費するという問題もある。従来からそれら問題を解決するため様々な検討が進められており、その結果、コークスの反応性の向上という点に着目し、更に技術開発が進められた。
以上の技術開発の結果、石炭に鉄鉱石を混合し、成形して成形物とした後、その成形物を乾留して、コークスに金属鉄を含有させてコークスを製造することで、コークスの反応性を向上できることが分かった。このコークスが、鉄含有コークス(フェロコークス)である。従来のコークスの少なくとも一部をこの鉄含有コークスに置き換えて高炉の操業を行うことで、鉄鉱石の還元反応の効率を改善し、二酸化炭素(CO2)の発生量を大幅に削減することが可能になった。
具体的に説明すると、操業中の高炉内では、一酸化炭素(CO)による鉄鉱石の還元反応の進行により、二酸化炭素(CO2)が発生する。その際、鉄含有コークス(フェロコークス)の内部に含まれている超微粒の金属鉄が、前記CO2とコークス(C)が反応して還元ガス(CO)を再生する際(CO2+C=2CO)の触媒となり、反応速度を大幅に向上させる。その結果、高炉内におけるCO濃度が上昇し、鉄鉱石の還元反応は低温度でも進行するようになり、還元材比の大幅な低減ができるようになる。以上のような理由で、CO2の発生量を大幅に削減でき、併せて、省エネにも寄与することができる。
近年、この鉄含有コークスに関する提案は多数あり、例えば、特許文献1~4により、鉄含有コークスの製造方法等に関する提案がなされている。このうち、特許文献1~3記載の提案は、鉄含有コークスを製造する際の高炉原料として、乾留過程で軟化溶融しない石炭(半無煙炭や無煙炭)を用いることで、縦型シャフト炉の閉塞を防止し、しかも鉄鉱石と石炭との親和性(接着性)が懸念される半無煙炭や無煙炭を用いても十分な強度を得ることができるとしたフェロコークス原料成形物の製造方法である。具体的には、特許文献1には、半無煙炭や無煙炭と軟化溶融する石炭との配合炭と、鉄鉱石とを用いる鉄鉱石含有コークスの製造方法が、特許文献2および3には、半無煙炭や無煙炭等の一般炭と鉄鉱石と、所定の軟化点を有するバインダーを用いる鉄鉱石含有コークスの製造方法が、夫々開示されている。
特許文献4記載の提案は、前記した特許文献1~3記載の提案で用いる無煙炭や半無煙炭はいずれも高価であり、製造コストが高くなり、また、バインダーを用いても、十分な強度を有する鉄鉱石含有コークスが得られない場合があるため、その問題を解決せんとしてなされた提案である。具体的には、少なくとも褐炭と、鉄鉱石と、石炭の溶剤抽出物とを用いて鉄含有コークスを製造することで、十分な強度を有する鉄鉱石含有コークスを、より低コストで製造することができるとした技術内容が開示されている。
一方で、近年、環境対策という観点もあり、石炭中の灰分を積極的に除去した無灰炭(ハイパーコール)の開発が活発的に進められている。例えば、特許文献5,6により、無灰炭の製造方法が提案されている。無灰炭は、これら特許公報5,6に記載されているように、石炭を溶剤で抽出処理し、その溶剤に溶ける成分だけを分離して、その後、その成分から溶剤を除去することにより製造される。尚、溶剤に溶けない成分は残渣として回収されることになる。
更に近年、この残渣から溶剤を除去することにより副生炭を得る技術も開発されており、特許文献6等により提案されている。
特許文献6において、この副生炭は、灰分が含まれるものの水分が微量であって発熱量を十分に有しているため、コークス原料の配合炭の一部やボイラー燃料などとして利用されている。しかしながら、その利用範囲は無灰炭と比較して少なく、更なる利用範囲の拡大が求められていた。
本発明は、上記従来の問題を解決せんとしてなされたもので、副生炭の有効利用が図れるうえに、鉄含有コークスの原材料の低コスト化が図れ、更には、鉄含有コークスの材料として副生炭を混合してもコークスとして十分な強度を確保できる鉄含有コークスの製造方法および鉄含有コークスを提供することを課題とするものである。
本発明は、以下の鉄含有コークスの製造方法および鉄含有コークスを提供する。
(1)石炭と、溶剤抽出用石炭と溶剤とを混合して前記溶剤に可溶な石炭成分を抽出した後の前記溶剤に不溶な成分から得られる副生炭と、鉄鉱石と、バインダーとを混合し、その後、混合物を成形して成形物を得る混合成形工程と、
前記成形物を乾留する乾留工程を含み、
前記混合成形工程で混合する副生炭の配合量を、前記成形物全体の1~12質量%とすることを特徴とする鉄含有コークスの製造方法。
(1)石炭と、溶剤抽出用石炭と溶剤とを混合して前記溶剤に可溶な石炭成分を抽出した後の前記溶剤に不溶な成分から得られる副生炭と、鉄鉱石と、バインダーとを混合し、その後、混合物を成形して成形物を得る混合成形工程と、
前記成形物を乾留する乾留工程を含み、
前記混合成形工程で混合する副生炭の配合量を、前記成形物全体の1~12質量%とすることを特徴とする鉄含有コークスの製造方法。
(2)前記バインダーの少なくとも一部が無灰炭である(1)記載の鉄含有コークスの製造方法。
(3)石炭と、溶剤抽出用石炭と溶剤とを混合して前記溶剤に可溶な石炭成分を抽出した後の前記溶剤に不溶な成分から得られる副生炭と、鉄鉱石と、バインダーとを含む成形物を乾留して得られ、前記副生炭の配合量が、前記成形物全体の1~12質量%であることを特徴とする鉄含有コークス。
本発明の鉄含有コークスの製造方法および鉄含有コークスによると、高炉において銑鉄を製造する際の高炉原料として副生炭の有効利用が図れるうえに、一般炭(発電用石炭)より高価なコークス原料炭に代えて、無灰炭を製造する際に生成される副産物である副生炭を用いることができ、鉄含有コークスの原材料の低コスト化を図ることができる。更には、鉄含有コークスの材料として副生炭を混合してもコークスとして十分な強度を確保できる。
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて更に詳細に説明する。
本発明の鉄含有コークスの製造方法において、製造する鉄含有コークスの原材料は、石炭と、副生炭と、鉄鉱石と、バインダーである。まず、これら原材料について説明する。
(石炭)
鉄含有コークスを製造する際の主な原材料として用いられるのは、石炭と鉄鉱石である。石炭としては、通常のコークスの原料として用いられるいわゆる原料炭、すなわち、強粘結炭、準強粘炭や非微粘炭、あるいは、無煙炭やボイラー用の一般炭などその他の石炭を用いることができる。これらのうち、原料炭はその他の石炭より高価な石炭である。
鉄含有コークスを製造する際の主な原材料として用いられるのは、石炭と鉄鉱石である。石炭としては、通常のコークスの原料として用いられるいわゆる原料炭、すなわち、強粘結炭、準強粘炭や非微粘炭、あるいは、無煙炭やボイラー用の一般炭などその他の石炭を用いることができる。これらのうち、原料炭はその他の石炭より高価な石炭である。
原料として用いる石炭の種類およびその構成比率は、乾留過程での変形や膨張、或いは乾留後の適正な強度や密度が確保されるように、適宜調整されるべきものである。一般には下記のガイドラインが知られている。
原料として強粘結炭のみを用いると、流動性や膨張性が過剰となる。特に、フェロコークスの製造においてはシャフト炉を用いて製品の連続装入と、下部からの連続抜き出しが行われるので、乾留過程で鉄含有コークスの成形体が膨張したり、変形したり、融着したりすることは大きな問題となる。一方、非微粘結炭や一般炭など流動性や膨張性の小さな石炭のみを用いると、十分な乾留後強度を得られなくなる。従って、強粘結炭に、非微粘結炭や無煙炭などの膨張性や流動性の小さな石炭を混ぜて用いることが好ましい。上記ガイドラインに従うと、コークス原料炭に占める強粘結炭の割合を20~60質量%とすれば良い。より好ましくは30~50質量%である。
本発明において、前記石炭の配合量については、特に限定されるものではないが、成形物全体の20~80質量%とすることが好ましい。尚、前記石炭の配合量のより好ましい下限は30質量%であり、更に好ましい下限は40質量%であり、一方、より好ましい上限は70質量%である。
前記石炭は、適当な混合性と成形体強度を実現するために適宜粉砕しておくことが好ましい。具体的には粒径3mm以下が90%以上になるように粉砕して用いることが好ましい。より好ましくは粒径2mm以下が90%以上、更に好ましくは粒径1mm以下が90%以上である。粒径については篩分けによって評価することができる。例えば、粒径が1mm以下の粉砕炭とは、粉砕後の粉砕炭を目開き1mm以下の篩(金属製網ふるい、規格番号JIS Z 8801-1(2006))でふるった際の篩い下の粉末であることを意味する。
(副生炭)
副生炭は、一般炭より高価なコークス原料炭、特に非微粘炭に代えて一部を代用することができる。この副生炭は、無灰炭を製造する際に生成される副産物である(尚、無灰炭と副生炭をまとめて改質炭と呼ぶ。)。詳しい製造方法については、無灰炭の製造方法と共に改質炭の製造方法として後述する。尚、副生炭は元は微粉として製造されるため、鉄含有コークスに混入すると粗い石炭粒子の間に充填されることとなり、その結果、乾留後の鉄含有コークスの強度が向上するという効果、また、粉砕しやすく粉砕動力を節約できるという効果を奏する。
副生炭は、一般炭より高価なコークス原料炭、特に非微粘炭に代えて一部を代用することができる。この副生炭は、無灰炭を製造する際に生成される副産物である(尚、無灰炭と副生炭をまとめて改質炭と呼ぶ。)。詳しい製造方法については、無灰炭の製造方法と共に改質炭の製造方法として後述する。尚、副生炭は元は微粉として製造されるため、鉄含有コークスに混入すると粗い石炭粒子の間に充填されることとなり、その結果、乾留後の鉄含有コークスの強度が向上するという効果、また、粉砕しやすく粉砕動力を節約できるという効果を奏する。
副生炭の使用により前記したような効果を達成するためには、副生炭の配合量を、成形物全体の1~12質量%とする必要がある。副生炭の配合量の下限を1質量%としたのは、配合量が1質量%未満であると、副生炭の使用によるコスト節減効果が僅かなものとなり副生炭配合の意味がなくなるからである。一方、副生炭の配合量の上限を12質量%としたのは、12質量%を超えて配合すると乾留後の鉄含有コークスの強度が逆に低下してしまうからである。尚、副生炭の配合量の好ましい下限は2質量%であり、副生炭の配合量の好ましい上限は10質量%、より好ましい上限は8質量%である。
副生炭は成形物とされて用いられることが多く、コークス原料炭と同様に、適当な混合性と成形体強度を実現するために適宜粉砕しておくことが好ましい。具体的には粒径3mm以下が90%以上になるように粉砕して用いることが好ましい。より好ましくは粒径2mm以下が90%以上、更に好ましくは粒径1mm以下が90%以上である。粒径については、石炭の場合と同様、篩分けによって評価することができる。尚、副生炭は、元は微粉として製造されるため、粉砕はコークス原料炭と比べて極めて容易に行える。
(鉄鉱石)
本発明で用いる鉄鉱石の種類は、特に限定されるものではなく、例えば、赤鉄鉱(ヘマタイト;Fe2O3)、磁鉄鉱(マグネタイト;Fe3O4)、褐鉄鉱(Fe2O3・nH2O)等を挙げることができる。また、オキシ水酸化鉄(FeOOH)を用いても良い。オキシ水酸化鉄を用いる場合は、予め脱水して酸化鉄にして使用することが好ましい。尚、これらの鉄鉱石は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明で用いる鉄鉱石の種類は、特に限定されるものではなく、例えば、赤鉄鉱(ヘマタイト;Fe2O3)、磁鉄鉱(マグネタイト;Fe3O4)、褐鉄鉱(Fe2O3・nH2O)等を挙げることができる。また、オキシ水酸化鉄(FeOOH)を用いても良い。オキシ水酸化鉄を用いる場合は、予め脱水して酸化鉄にして使用することが好ましい。尚、これらの鉄鉱石は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いても良い。
鉄鉱石の配合量については、特に限定されるものではないが、成形物全体の10~40質量%とすることが好ましい。尚、鉄鉱石の配合量のより好ましい下限は15質量%であり、鉄鉱石の配合量のより好ましい上限は30質量%である。
鉄鉱石の粒径は、前記石炭および前記副生炭の粒径が前記した範囲にある場合、200μm以下とすることが好ましく、より好ましくは170μm以下、更に好ましくは150μm以下とする。鉄鉱石の粒径が200μmを超えると、鉄鉱石の界面に働く応力が大きくなるため、得られる鉄含有コークスの強度が低下する可能性がある。尚、鉄鉱石の粒径の下限については特に限定されるものではなく小さいほど良いが、例えば、30μm以上とすることが好ましく、より好ましくは50μm以上、更に好ましくは70μm以上とする。その理由は、粒径が30μm未満の鉄鉱石を得るには手間がかかり、製造コストが上がってしまうからである。粒径については、石炭の場合と同様、篩分けによって評価することができる。
(バインダー)
鉄含有コークスを製造するための炭材として本発明では粘結性に優れる強粘結炭だけでなく、強粘結炭より粘結性に劣る非微粘炭や副生炭などを併せて用いるため、配合炭の粘結性が不足する可能性が懸念される。そのため、バインダー(結合材)を併せて混入する。バインダーとしては従来から一般的に用いられているタールやピッチ、糖蜜、樹脂等の他、無灰炭を用いることができる。尚、石炭と溶剤とを混合してその溶剤に可溶な石炭成分を抽出した後、抽出液から溶剤を分離して得られる無灰炭を製造する際に副生炭を副産物として生成するため、鉄含有コークスを製造するにあたり、無灰炭をバインダーとして用いることは特に好ましい。
鉄含有コークスを製造するための炭材として本発明では粘結性に優れる強粘結炭だけでなく、強粘結炭より粘結性に劣る非微粘炭や副生炭などを併せて用いるため、配合炭の粘結性が不足する可能性が懸念される。そのため、バインダー(結合材)を併せて混入する。バインダーとしては従来から一般的に用いられているタールやピッチ、糖蜜、樹脂等の他、無灰炭を用いることができる。尚、石炭と溶剤とを混合してその溶剤に可溶な石炭成分を抽出した後、抽出液から溶剤を分離して得られる無灰炭を製造する際に副生炭を副産物として生成するため、鉄含有コークスを製造するにあたり、無灰炭をバインダーとして用いることは特に好ましい。
バインダーの配合量については、他の配合物の配合比率、バインダーの種類等にも影響されるが、成形物全体の1~10質量%とすることが好ましい。尚、バインダーの配合量のより好ましい下限は2質量%、更に好ましい下限は3質量%であり、バインダーの配合量のより好ましい上限は8質量%、更に好ましい上限は6質量%である。
尚、無灰炭は副生炭と同様に成形物として用いられることが多く、バインダーとして無灰炭を用いる場合は、副生炭と同様に、できるだけ小さな粒子に粉砕しておくことが好ましい。具体的な粒径は副生炭と同様に1mm以下とする。粒径については、石炭の場合と同様、篩分けによって評価することができる。尚、無灰炭も副生炭と同様に元は微粉として製造されるため、粉砕は極めて容易にできる。尚、無灰炭の詳しい製造方法については、副生炭の製造方法と共に改質炭の製造方法として後述する。
(改質炭の製造方法)
本発明の鉄含有コークスの製造方法で用いる副生炭および無灰炭(まとめて改質炭と呼ぶ。)は、図1に示す改質炭製造装置1により製造される。以下、図1に示す改質炭製造工程を模式的に示す工程図に基づき、その改質炭製造工程に用いる改質炭製造装置1の構成について、その一例を簡単に説明する。
本発明の鉄含有コークスの製造方法で用いる副生炭および無灰炭(まとめて改質炭と呼ぶ。)は、図1に示す改質炭製造装置1により製造される。以下、図1に示す改質炭製造工程を模式的に示す工程図に基づき、その改質炭製造工程に用いる改質炭製造装置1の構成について、その一例を簡単に説明する。
図1に示すように、改質炭製造装置1は、溶剤を供給する溶剤供給槽2と、石炭を供給する石炭供給槽3と、それら溶剤供給槽2と石炭供給槽3からの供給物を受けてスラリーを調製した後、調整されたスラリーから溶剤に溶ける石炭成分(溶剤可溶成分)を抽出する抽出槽4と、溶剤に溶ける石炭成分を含む抽出液(液部)と溶剤に溶けない石炭成分(残渣)を含む固形分濃縮液とに分離する分離槽5と、分離槽5で分離された抽出液から溶剤を除去して無灰炭を回収する無灰炭回収槽6と、分離槽5で分離された固形分濃縮液から溶剤を除去して副生炭を回収する副生炭回収槽7を備えて構成されている。
無灰炭回収槽6で回収された無灰炭は、灰分が溶剤に溶解されないため実質的に灰分を含んでおらず、水分は概ね0.5質量%以下であって、原料石炭よりも高い発熱量を示す。本発明においては、この無灰炭を鉄含有コークスのバインダーとして用いる。尚、無灰炭については実質的に灰分を含んでいないことを前提としている。灰分の含有量は勿論0質量%であることが望ましいが、溶剤抽出を経て無灰炭を回収する関係上、不可避的に灰分が含有されてしまう。従って、無灰炭には、不可避的に含有される微量の灰分の含有は許容される。無灰炭に許容される灰分の含有量の上限は3.0質量%、好ましくは1.5質量%、より好ましくは1.0質量%である。
一方、副生炭回収槽7で回収された副生炭は、溶剤に溶解しなかった灰分を含む。この副生炭には灰分が含まれるものの水分は皆無であり、発熱量を十分に有するという特長を有している。従って、本発明においては、副生炭は、鉄含有コークスの原料となる配合炭の一部として使用される。
以下、前記した構成の改質炭製造装置1を用いて、無灰炭および副生炭を製造する方法を詳述する。
尚、改質炭製造装置1において、溶剤供給槽2は、溶剤を貯蔵し、この溶剤を抽出槽4へ供給する槽であり、石炭供給槽3は、溶剤抽出用石炭を貯蔵し、この溶剤抽出用石炭を抽出槽4へ供給する槽である。また、抽出槽4は、溶剤と溶剤抽出用石炭とを混合して溶剤に溶ける石炭成分を抽出する槽であり、分離槽5は、抽出後の混合物を抽出液と固形分濃縮液とに分離する槽である。無灰炭回収槽6は、抽出液から溶剤を分離して無灰炭を回収する槽であり、副生炭回収槽7は、固形分濃縮液から溶剤を分離して副生炭を回収する槽である。
尚、溶剤としては、2環芳香族であるナフタレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、トリメチルナフタレン等を成分とする非水素供与性溶剤、テトラリンを代表とする水素供与性の化合物等を例示することができる。
具体的には、まず、石炭供給槽3から供給された溶剤抽出用石炭と、溶剤供給槽2から供給された溶剤を、抽出槽4で混合して溶剤抽出用石炭から溶剤に溶ける石炭成分を抽出する。その後、分離槽5で抽出液と固形分濃縮液に分離し、抽出液を無灰炭回収槽6に、固形分濃縮液を副生炭回収槽7に、夫々送る。無灰炭回収槽6に送られた抽出液は、槽内で溶剤が分離され、無灰炭として回収される。一方、副生炭回収槽7に送られた固形分濃縮液は、槽内で溶剤が分離され、副生炭として回収される。尚、抽出液は、溶剤に抽出された石炭成分を含む溶液のことであり、固形分濃縮液は、溶剤に溶けない石炭成分(灰分を比較的多く含む石炭すなわち灰炭、本発明で言うところの副生炭)を含む濃縮液のことである。
以上の工程で得られた副生炭および無灰炭は、粉粒状であって、そのままでは取り扱いにくいので、例えば、圧縮成形や、2ロール式タブレット成形等の成形機を用いて塊状に成形して成形物とすることが好ましい。
(鉄含有コークスの製造方法)
本発明の鉄含有コークスの製造方法によると、石炭と、前記した改質炭の製造方法で得られた副生炭と、鉄鉱石と、前記した改質炭の製造方法で得られた無灰炭等のバインダーを混合した後、混合物を成形して成形物を得る混合成形工程と、前記成形物を乾留する乾留工程を経て、鉄含有コークスを製造することができる。以下、本発明の鉄含有コークスの製造方法を混合成形工程と乾留工程に分けて詳細に説明する。
本発明の鉄含有コークスの製造方法によると、石炭と、前記した改質炭の製造方法で得られた副生炭と、鉄鉱石と、前記した改質炭の製造方法で得られた無灰炭等のバインダーを混合した後、混合物を成形して成形物を得る混合成形工程と、前記成形物を乾留する乾留工程を経て、鉄含有コークスを製造することができる。以下、本発明の鉄含有コークスの製造方法を混合成形工程と乾留工程に分けて詳細に説明する。
<混合成形工程>
本発明では、まず、炭材(原材料としての石炭、副生炭)と、鉄鉱石と、バインダーとを混合する。これは均一な混合物を得るためである。尚、炭材、鉄鉱石、およびバインダーは混合する前に、先に説明した適宜大きさに粉砕しておくことが好ましい。尚、炭材は配合後にまとめて粉砕しても良い。
本発明では、まず、炭材(原材料としての石炭、副生炭)と、鉄鉱石と、バインダーとを混合する。これは均一な混合物を得るためである。尚、炭材、鉄鉱石、およびバインダーは混合する前に、先に説明した適宜大きさに粉砕しておくことが好ましい。尚、炭材は配合後にまとめて粉砕しても良い。
炭材と鉄鉱石とバインダーの混合方法は、特に限定されるものではなく、炭材と鉄鉱石とバインダーの混合を同時に行う方法の他、炭材と鉄鉱石の混合物に更にバインダーを添加して混合する方法、炭材とバインダーの混合物に更に鉄鉱石を添加して混合する方法、或いは、鉄鉱石とバインダーの混合物に更に炭材を添加して混合する方法等、どのような方法を用いても良い。
炭材と鉄鉱石とバインダーを混合する手段についても、特に限定されるものではなく、例えば、ミキサーやニーダー、或いは二軸や単軸の混合機等を用いて混合すれば良い。
次に、前記混合物を成形して所定の強度を有する成形物にする。成形物にする理由は、鉄含有コークスを、縦型シャフト炉を用いて乾留して製造する場合には、シャフト炉の頂部から前記混合物を投入するため、炭材と鉄鉱石が分離し難くいよう所定の強度を有することが求められるからである。
成形物を得る際の成形手段は、特に限定されるものではなく、例えば、平ロールによるダブルロール(双ロール型成形機)の他、アーモンド型ポケットを有するダブルロール型成形機、単軸プレスやローラタイプの成形機、押し出し成形機を用いて成形する方法を例示することができる。
成形処理条件は、バインダーが軟化溶融する条件で混合物を成形することが好ましい。バインダーを介して炭材と鉄鉱石とを接着させる必要があるためである。具体的には、例えば、ダブルロール型の成形機を用いて、80~150℃の温度条件で加熱しつつ、1~3トン/cm2の線圧で加圧して、5~10cm3のブリケットを得る方法を例示することができる。
以上の工程で得られる成形物の強度は、圧壊荷重が98.1N/個(10kgf/個)以上であることが好ましく、196.1N/個(20kgf/個)以上であることがより好ましい。
<乾留工程>
前記した混合成形工程により得られた成形物を、乾留工程によって、鉄含有コークスにする。乾留は、シャフト炉を用い、温度を800~1000℃程度とし、炭材の酸化劣化を防止するために、例えば窒素などの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。また、乾留工程での滞留時間は1~24時間程度が好ましい。
前記した混合成形工程により得られた成形物を、乾留工程によって、鉄含有コークスにする。乾留は、シャフト炉を用い、温度を800~1000℃程度とし、炭材の酸化劣化を防止するために、例えば窒素などの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。また、乾留工程での滞留時間は1~24時間程度が好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
<副生炭および無灰炭の製造>
まず、前記した改質炭の製造方法に基づき、バッチ式オートクレーブを用いて、瀝青炭を原料として副生炭および無灰炭:各10kgを調整した。得られた副生炭および無灰炭を粉砕して粒径を夫々1mm以下とした。粉砕された副生炭および無灰炭の90%以上が粒径1mm以下であった。尚、無灰炭は、鉄含有コークスのバインダーの一部として使用する。
まず、前記した改質炭の製造方法に基づき、バッチ式オートクレーブを用いて、瀝青炭を原料として副生炭および無灰炭:各10kgを調整した。得られた副生炭および無灰炭を粉砕して粒径を夫々1mm以下とした。粉砕された副生炭および無灰炭の90%以上が粒径1mm以下であった。尚、無灰炭は、鉄含有コークスのバインダーの一部として使用する。
<混合成形工程>
続いて、強粘結炭および非微粘炭、(副生炭、)鉄鉱石、バインダーを混合するが、その前に、強粘結炭、非微粘炭、鉄鉱石は、副生炭や無灰炭と同様に粉砕してから用いる。強粘結炭および非微粘炭は粒径を夫々1mm以下に、鉄鉱石は粒径を100μm以下に粉砕する。尚、バインダーは、粒径1mm以下に粉砕した前記無灰炭(表1等にはバインダー1と記載)と、市販の石炭ピッチ(軟化温度70℃:リングアンドボール法、表1等にはバインダー2と記載)を併せて用いた。
続いて、強粘結炭および非微粘炭、(副生炭、)鉄鉱石、バインダーを混合するが、その前に、強粘結炭、非微粘炭、鉄鉱石は、副生炭や無灰炭と同様に粉砕してから用いる。強粘結炭および非微粘炭は粒径を夫々1mm以下に、鉄鉱石は粒径を100μm以下に粉砕する。尚、バインダーは、粒径1mm以下に粉砕した前記無灰炭(表1等にはバインダー1と記載)と、市販の石炭ピッチ(軟化温度70℃:リングアンドボール法、表1等にはバインダー2と記載)を併せて用いた。
強粘結炭、非微粘炭、(副生炭、)鉄鉱石、バインダー1、バインダー2の混合比は、表1に示す所定の割合とし、加熱可能のVミキサーを用いて、100℃に加熱しつつ、10分間を要して混合した。
次に、この混合物を金型に入れ、圧力を加えながら加熱することで、円柱状のタブレット(成形物)を成形した。成形の際の条件は以下のとおりである。
温度:80℃
圧力:2トン/cm2
金型:直径25mm
充填量:15グラム
温度:80℃
圧力:2トン/cm2
金型:直径25mm
充填量:15グラム
<乾留工程>
前記した混合成形工程により得られたタブレットを、乾留工程により、鉄含有コークスとした。乾留は、シャフト炉を用い、窒素気流中5℃/分で昇温し、100℃で30分滞留させることで実施した。
前記した混合成形工程により得られたタブレットを、乾留工程により、鉄含有コークスとした。乾留は、シャフト炉を用い、窒素気流中5℃/分で昇温し、100℃で30分滞留させることで実施した。
このようにして製造した原材料組成が異なる鉄含有コークスの圧壊強度と密度を求めることで評価した。尚、圧壊強度は圧壊試験を実施することで求めた。試験結果を表1に示す。
<圧壊試験>
圧壊試験は、円筒状のタブレットの中心軸に対して垂直の方向に圧縮荷重を加えて、破壊に至る荷重を測定することにより行った。この圧壊試験では、圧壊荷重が6.0MPa以上であるものを強度に優れるとして合格とした。
圧壊試験は、円筒状のタブレットの中心軸に対して垂直の方向に圧縮荷重を加えて、破壊に至る荷重を測定することにより行った。この圧壊試験では、圧壊荷重が6.0MPa以上であるものを強度に優れるとして合格とした。
<密度>
鉄含有コークスの密度は、副生炭を配合しなかったNo.1の密度より高い密度であったものを合格とする。副生炭を配合することで、副生炭が粗い石炭粒子の間に充填されて鉄含有コークスの密度が上昇し、強度も併せて上昇すると考えられる。
鉄含有コークスの密度は、副生炭を配合しなかったNo.1の密度より高い密度であったものを合格とする。副生炭を配合することで、副生炭が粗い石炭粒子の間に充填されて鉄含有コークスの密度が上昇し、強度も併せて上昇すると考えられる。
No.2~5は、副生炭の配合量が1~12質量%の範囲に収まり、その他の本発明の要件も満たす発明例であるため、圧壊強度が6.0MPa以上、密度が1.56g/cm3超という合格判定基準を満足することができた。
一方、No.1は副生炭を配合しなかった比較例、No.6は副生炭の配合量が15質量%と多過ぎる比較例である。副生炭を配合しなかったNo.1の密度は1.56g/cm3であった。また、No.6は副生炭の配合量が上限の12質量%を超えたため、乾留後の鉄含有コークスの強度が逆に低下してしまったと考えられる。
本出願を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2012年7月5日出願の日本特許出願(特願2012-151232)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本出願は、2012年7月5日出願の日本特許出願(特願2012-151232)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明の鉄含有コークスの製造方法および鉄含有コークスによると、高炉において銑鉄を製造する際の高炉原料として副生炭の有効利用が図れるうえに、一般炭(発電用石炭)より高価なコークス原料炭に代えて、無灰炭を製造する際に生成される副産物である副生炭を用いることができ、鉄含有コークスの原材料の低コスト化を図ることができる。更には、鉄含有コークスの材料として副生炭を混合してもコークスとして十分な強度を確保できる。
1…改質炭製造装置
2…溶剤供給槽
3…石炭供給槽
4…抽出槽
5…分離槽
6…無灰炭回収槽
7…副生炭回収槽
2…溶剤供給槽
3…石炭供給槽
4…抽出槽
5…分離槽
6…無灰炭回収槽
7…副生炭回収槽
Claims (3)
- 石炭と、溶剤抽出用石炭と溶剤とを混合して前記溶剤に可溶な石炭成分を抽出した後の前記溶剤に不溶な成分から得られる副生炭と、鉄鉱石と、バインダーとを混合し、その後、混合物を成形して成形物を得る混合成形工程と、
前記成形物を乾留する乾留工程を含み、
前記混合成形工程で混合する副生炭の配合量を、前記成形物全体の1~12質量%とすることを特徴とする鉄含有コークスの製造方法。 - 前記バインダーの少なくとも一部が無灰炭である請求項1記載の鉄含有コークスの製造方法。
- 石炭と、溶剤抽出用石炭と溶剤とを混合して前記溶剤に可溶な石炭成分を抽出した後の前記溶剤に不溶な成分から得られる副生炭と、鉄鉱石と、バインダーとを含む成形物を乾留して得られ、前記副生炭の配合量が、前記成形物全体の1~12質量%であることを特徴とする鉄含有コークス。
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| JP2012-151232 | 2012-07-05 | ||
| JP2012151232A JP2014012789A (ja) | 2012-07-05 | 2012-07-05 | 鉄含有コークスの製造方法および鉄含有コークス |
Publications (1)
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| WO2014007243A1 true WO2014007243A1 (ja) | 2014-01-09 |
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| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| PCT/JP2013/068123 Ceased WO2014007243A1 (ja) | 2012-07-05 | 2013-07-02 | 鉄含有コークスの製造方法および鉄含有コークス |
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| WO (1) | WO2014007243A1 (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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