WO2013141188A1 - 薬剤注入具 - Google Patents

Abstract

　薬剤（７８）を充填する際に筒状体（１２）内に混入するエアーを容易に排出可能にして、エアーの排出に要する時間を短縮するため、薬剤注入具（１０）では、押し子（１４）の先端側においてガスケット（１６）を緩く嵌合することにより、押し子（１４）に対して力が加えられずに、押し子（１４）とガスケット（１６）との間に隙間が空けられて排出通路（５６）が開放されると、この排出通路（５６）を利用して、薬剤（７８）を充填した際に薬剤充填室（３４）内に混入したエアーを外部に排出する。

Description

薬剤注入具

　本発明は、高粘度流体の薬剤を被注入空間に注入するために用いられる薬剤注入具に関する。

　近年、骨粗鬆症や癌による椎体圧迫骨折に対して、骨折椎体に刺入した骨生検針を通して時間とともに硬化する充填材を注入する経皮的椎体形成術（ＰＶＰ）が行われている。この充填材としては、例えば、Ｘ線造影性のあるリン酸カルシウム系骨セメントやポリメチルメタクリレート骨セメント等（以下、単に「骨セメント」ともいう）が用いられている。通常、骨セメントは非常に高い粘性を有しており、また骨セメントが充填される椎骨内は海綿質等により圧損が非常に大きいため、注入時には３ＭＰａ以上の高圧で少量ずつ注入する場合がある。

　そこで、このような注入具として、一般的なピストン式や送りネジ式のシリンジによって高圧を付与しながら骨セメントを吐出する構成が用いられている。送りネジ式の注入具であって、プランジャ先端に高圧シールを備え、該高圧シールにエアーの逃げ道を備えたものがある（例えば、米国特許第７６０４６１８号明細書参照）。

　ところで、薬剤注入具の筒体内に高粘度流体の薬剤を充填する際に、前記筒体内に不要なエアーが混入してしまうことがある。この不要なエアーを抜くためには、通常、筒体の先端部を上方に向けることにより、薬剤を下げてエアーを最上部まで移動させてから、押し子を押してエアーを排出する。

　しかしながら、薬剤が骨セメント等の高粘度流体である場合、薬剤内でエアーが上昇する速度が低く、エアー排出作業に相当の時間がかかることになる。また、エアーを抜くのに要する時間が長いと、骨セメント等の薬剤は硬化し始めてしまう。

　米国特許第７６０４６１８号明細書では、プランジャが最初にチャンバに挿入されるときに、エアーの逃げ道としてディンプルが用いられるに過ぎず、薬剤を充填した際に混入したエアーを抜くことは開示されていない。

　本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、薬剤を充填する際に筒体内に混入するエアーを容易に排出することができ、エアーの排出に要する時間を短縮する薬剤注入具を提供することを目的とする。

　上記の目的を達成するため、本発明に係る薬剤注入具は、先端に薬剤吐出口を有し、薬剤が充填される筒状体と、前記筒状体の中空部に挿入される押し子と、前記押し子の先端外周部に設けられ、前記筒状体内で液密に摺動可能な中空状のガスケットと、を備え、前記筒状体と、前記押し子と、前記ガスケットとにより、薬剤充填室が形成され、前記押し子の前記先端外周部と、前記ガスケットの内周部との間には、前記押し子を前記筒状体内で前進させたときに前記薬剤充填室内のエアーを排出するための排出通路が設けられ、前記排出通路は、前記押し子を前記筒状体内で後退させたときに前記押し子と前記ガスケットとが密着して閉塞することを特徴とする。

　上記の構成によれば、押し子の先端外周部においてガスケットが緩く嵌合されているので、押し子に対して力が加えられずに、押し子とガスケットとの間に隙間が空けられて排出通路が開放すると、この排出通路を利用して、薬剤を充填した際に充填室内に混入したエアーを外部に排出することができるため、この混入エアーの排出に要する時間を短縮することができる。

　上記の薬剤注入具において、前記ガスケットのうち、少なくとも、前記押し子を前記筒状体内で後退させたときに前記押し子に密着する部分は、弾性材料で構成されるとよい。ガスケットと押し子との密着部分を弾性部材で形成することにより、押し子とガスケットとの密着度を向上させることができる。

　上記の薬剤注入具において、前記押し子の先端外周部には、径方向外方に膨出し且つ周方向に延在する環状の係合凸部が設けられ、前記ガスケットの内周部には、周方向に延在する環状に形成され、前記係合凸部に係合する係合凹部が設けられ、前記係合凸部には、基端方向に向かって外径が縮小するテーパ状外周部が設けられ、前記係合凹部には、基端方向に向かって内径が縮小するテーパ状内周部が設けられ、前記押し子が基端方向に移動操作された際に、前記テーパ状外周部と前記テーパ状内周部とが密着するとよい。押し子のテーパ状外周部とガスケットのテーパ状内周部とが密着することにより、排出通路を介して筒状体内にエアーが流入することが防止されるため、薬剤を筒状体の先端側から吸引する操作をスムーズに行うことができる。

　上記の薬剤注入具において、前記押し子が基端方向に移動操作される際の前記ガスケットと前記筒状体との間の抵抗は、前記押し子の前記テーパ状外周部が、前記ガスケットのテーパ状内周部に当接して密着する際に付加される前記押し子と前記ガスケットとの間の抵抗よりも大きいとよい。これにより押し子の基端方向への移動操作に伴って排出通路が適切に閉塞され、薬剤を筒状体の先端側から吸引する操作を一層スムーズに行うことができる。

　上記の薬剤注入具において、前記ガスケットには、前記筒状体の内周面に密着可能な環状のシール部を有するとよい。

　上記の薬剤注入具において、前記ガスケットには、前記ガスケットの中空部である貫通孔と前記ガスケットの外周部とを連通する少なくとも一つの側孔とが設けられ、前記側孔の内端は、前記ガスケットにおける軸線方向位置に関して、前記押し子を前記筒状体内で後退させたときに前記押し子に密着する部分よりも先端側に位置し、前記側孔の外端は、前記ガスケットにおける軸線方向位置に関して、前記シール部よりも先端側に位置するとよい。ガスケットに側孔を設けることにより、筒状体における薬剤の液面とガスケットの先端面との間の隙間における混入エアーを、筒状体の内周面とガスケットの外周面との間と、前記側孔と、排出通路とを順次通して、外部に排出することができ、従って、混入エアーの袋小路を無くすことができる。

　上記の薬剤注入具において、前記押し子は、前記筒状体に対して軸線回りに回転することに伴って軸線方向に変位するように構成され、前記ガスケットは、前記押し子に対して軸線回りに相対回転可能であるとよい。ガスケットを押し子に対して相対回転可能にすることにより、薬剤注入具が送りネジ式である場合に、押し子を回転操作する際の操作力を低減することができ、薬剤注入具の操作性を向上することができる。

　上記の薬剤注入具において、前記ガスケットの先端面は、前記押し子の軸線に対して垂直、又は先端方向に向かって内径が増大するテーパ状に形成されるとよい。これらのガスケットの先端面の形状によれば、筒状体における薬剤の液面とガスケットの先端面との間の隙間を埋めることができ、従って、混入エアーの袋小路を無くすことができる。

　上記の薬剤注入具において、前記排出通路は、前記ガスケットが筒状体内で前記薬剤を押圧する際に、前記押し子と前記ガスケットとが密着することにより閉塞されるとよい。この構成により、排出通路を介して薬剤が基端方向に漏れ出ることが防止される。

　上記の剤注入具において、前記押し子の前記先端外周部には、基端方向に向かって外径が増大するテーパ状外周部が設けられ、前記ガスケットには、基端方向に向かって内径が増大するテーパ状内周部が設けられ、前記押し子において、前記テーパ状外周部よりも基端側には、外径の変化による段差部が設けられ、前記押し子が先端方向に移動操作された際に、前記テーパ状外周部と前記テーパ状内周部とが密着するとともに、前記ガスケットの基端面と前記押し子の前記段差部の先端面とが密着するとよい。この構成により、排出通路を介して薬剤が基端方向に漏れ出ることが一層効果的に防止される。

　上記の薬剤注入具において、前記押し子が先端方向に移動操作される際の前記ガスケットと前記筒状体との間の抵抗は、前記押し子の前記テーパ状外周部が、前記ガスケットの前記テーパ状内周部に当接して密着する際に付加される前記押し子と前記ガスケットとの間の抵抗よりも小さいとよい。この構成により、筒状体内でガスケットと薬剤との間にエアーが存在する状態で、押し子が先端方向に押し込まれた際に、排出通路を介してエアーを確実に排出することができる。

　上記の薬剤注入具において、前記排出通路は、前記押し子と前記ガスケットとの間に周方向に延在するとよい。この構成により、排出通路の流路断面積を効果的に確保でき、エアーを迅速に排出することができる。

　本発明によれば、薬剤を充填する際に筒体内に混入するエアーを容易に排出することができ、エアーの排出に要する時間を短縮することができる。

本発明の実施の形態に係る薬剤注入具の分解斜視図である。 図１に示す薬剤注入具において押し子にガスケットを装着し、さらに筒体に挿入した状態を示す側面断面図である。 図２に示す状態から、薬液を筒体内に充填する状態を示す側面断面図である。 図３に示す状態から、筒体内に混入したエアーを抜いている状態を示す側面断面図である。 図４に示す状態から、筒体内のエアーが抜かれた状態を示す側面断面図である。 図１に示す薬剤注入具の第１の変形例を示す一部拡大断面図である。 図１に示す薬剤注入具の第２の変形例を示す一部拡大断面図である。

　本発明に係る薬剤注入具について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。なお、説明の都合上、個々の図面における構成要素同士の寸法の比率、及び複数の図面における同一の構成要素同士の寸法の比率は適宜変更されており、必ずしも現実の比率とは一致しないものとする。

　図１は、本発明の一実施形態に係る薬剤注入具１０の分解斜視図であり、図２は、図１に示す薬剤注入具１０において押し子１４にガスケット１６を装着し、さらに筒状体１２に挿入した状態を示す側面断面図である。

　以下では、説明の便宜のため、薬剤注入具１０の軸線方向において、先端側に向かう方向を先端方向とし、基端側に向かう方向を基端方向とする。

　薬剤注入具１０は、高粘度流体の薬剤を所望の被注入空間に注入する際に薬剤を吐出するために使用する器具であり、例えば、経皮的椎体形成術において骨セメントを骨内に注入するために用いられる。前記薬剤としては、例えば、リン酸カルシウム系骨セメント（ＣＰＣ）やポリメチルメタクリレート（ＰＭＭＡ）系骨セメント等の骨セメントを用いることができ、さらには、リン酸カルシウム系セラミックス、アルミナセラミックス、ジルコニアセラミックス及びチタン等の無機材料からなる顆粒等を用いることもできる。すなわち、該薬剤注入具１０は、例えば、１０００ｃＰ（センチポアズ）～１０００００ｃＰ程度の粘度、好ましくは５０００ｃＰ程度の粘度を有する薬剤を注入するために使用される。

　図１及び図２に示すように、薬剤注入具１０は、筒状体１２と、押し子１４と、ガスケット１６とを備える。筒状体１２は、軸線方向に延在する内腔（中空部）を有する胴体部１８と、胴体部１８の先端部から先端方向へと突出する先端管部２０と、胴体部１８の基端部から外方（半径方向外方）に突出するフランジ部２２とを有する。胴体部１８、先端管部２０及びフランジ部２２は、一体的に形成されている。

　胴体部１８は、内径及び外径が軸線方向に沿って略一定の中空円筒状に形成され、その先端側の内面はテーパ形状で形成され、先端で開口して先端管部２０と結合している。また、胴体部１８の外周面には、薬剤の量を示す目盛り２４が表示されている。

　先端管部２０は、薬剤吐出口を形成するものであり、ルアーコネクタとして構成されている。先端管部２０の外側には、先端管部２０と同心状に胴体部１８の先端部から軸線方向に突出し、内周面に雌ネジ部２６が形成されたロック部２８が設けられている。前記先端管部２０及びロック部２８は、薬剤の充填に使用されるノズル３０（図３参照）や、薬剤の注入に使用される注入針３２（図４及び図５参照）に連結可能である。

　上記のように構成された筒状体１２の内部には、筒状体１２、押し子１４及びガスケット１６によって囲まれた空間により、薬剤を充填するための薬剤充填室３４（図３参照）が形成される。

　筒状体１２の構成材料は、特に限定されないが、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、環状ポリオレフィン、ポリメチルペンテン１等のポリオレフィンや、ポリエステル、ナイロン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート（ＰＭＭＡ）、ポリエーテルイミド（ＰＥＩ）、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン（ＰＥＥＫ）、フッ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド（ＰＰＳ）、ポリアセタール樹脂（ＰＯＭ）等の樹脂性材料や、ステンレス等の金属性材料、ガラス等で形成されるとよい。また、筒状体１２の構成材料は、内部の視認性を確保するために、実質的に透明であるのが好ましい。また、高圧に耐えられる強度や弾性、耐薬品性があることが好ましい。

　押し子１４は、筒状体１２の中空部に挿入されるプランジャであり、その先端外周部にガスケット１６が設けられる。図２に示すように、押し子１４の先端外周部と、ガスケット１６の内周部との間には、押し子１４が筒状体１２内で前進した際に薬剤充填室３４内のエアーを排出するための排出通路５６が設けられる。本図示例では、排出通路５６は、押し子１４の小径部３８とガスケット１６との間に周方向に延在し、環状を呈する。前記排出通路５６は、ガスケット１６が筒状体１２内で薬剤を押圧する際に、押し子１４とガスケット１６とが密着することにより閉塞される。

　押し子１４は、例えば、先端部である頭部３６と、先端側を構成する小径部３８と、基端側を構成する大径部４０と、基端部に設けられたフランジ部４２とを有する。頭部３６の先端外周縁は、テーパ形状で形成され、押し子１４が筒状体１２内で最大まで前進した際に胴体部１８の先端部のテーパ状の内面に略嵌合する。小径部３８は、その外周上において外方に向かって突出する環状の係合凸部４４を有し、該係合凸部４４は前記小径部３８と一体的に形成される。頭部３６、小径部３８、大径部４０及びフランジ部４２は、一体的に形成されるが、あるいは小径部３８及び大径部４０の間を脱着可能にしてもよい。

　押し子１４の小径部３８の外径は、ガスケット１６の貫通孔４６の内径よりも僅かに小さく、また、前記小径部３８の軸線方向の長さは、ガスケット１６の内面の軸線方向の長さ、すなわちガスケット１６内の貫通孔４６の軸線方向の長さと同じ程度でよい。押し子１４の大径部４０の外径は、筒状体１２の内径よりも小さい。小径部３８上の係合凸部４４の外径は、ガスケット１６の内面に施された係合凹部４８の内径よりも僅かに小さい。すなわち、小径部３８及び係合凸部４４は、ガスケット１６内に僅かに隙間を空けて嵌合し、この隙間が排出通路５６となる。頭部３６、小径部３８及び大径部４０からなる軸線方向の長さは、少なくとも胴体部１８の中空部分の軸線方向の長さよりも長い。また、小径部３８上の係合凸部４４の外径は、ガスケット１６の貫通孔４６の内径よりも大きい。

　フランジ部４２は、押し子１４を先端方向へと押圧操作する際に使用者が手指（例えば親指）で押圧する部分であり、押圧しやすいように適度な大きさを有する。これにより、例えば、筒状体１２のフランジ部２２に人差し指と中指を掛け、フランジ部４２を親指で押圧することで、筒状体１２に対して押し子１４を先端方向に移動させると、押圧操作を容易に行うことができる。

　係合凸部４４は、押し子１４の先端外周部において、径方向外方に膨出し且つ周方向に延在する環状の係合部であり、外側に凸型の台形の断面形状（図２参照）で形成されるとよく、又は、外側に凸型の矩形の断面形状で形成されてもよい。係合凸部４４は、例えば、基端方向に向かって外径が増大する第１テーパ状外周部５８を先端側に備えるとともに、基端方向に向かって外径が縮小する第２テーパ状外周部６０を基端側に備え、さらに、第１テーパ状外周部５８と第２テーパ状外周部６０との間に、軸線方向に平行な外周面を有する平行外周部６１を備える。

　押し子１４の構成材料としては、上述した筒状体１２の構成材料として例示したものから選択することができる。ただし、小径部３８及び係合凸部４４を、他の部材と異なる材料にし、例えば、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、又は、シリコーンゴム、ブチルゴム若しくはフッ素ゴム等の加硫ゴム、あるいはそれらにフッ素樹脂コートしたもの等の弾性材料で形成してもよい。

　ガスケット１６は、押し子１４の先端外周部に設けられるガスケット本体４５とシール部５０とからなるものであり、シール部５０は、ガスケット本体４５の外周面上に環状に備えられる。ガスケット本体４５は、軸線方向に直線状に貫通する貫通孔４６を有する筒状のもので、この貫通孔４６は、押し子１４における小径部３８上の係合凸部４４と嵌合する環状の係合凹部４８を有する。ガスケット本体４５の先端面５２は、先端方向に向かって外径が縮小するテーパ形状で形成され、ガスケット１６が筒状体１２内で最も前進した際に胴体部１８の先端部の内面に略嵌合可能である。ガスケット本体４５の基端部表面６８は、例えば、軸線方向に垂直な面でよい。また、ガスケット本体４５の外径は、筒状体１２の内径よりも僅かに小さい。

　係合凹部４８は、貫通孔４６の内周面上に形成された、周方向に延在する環状の溝であり、外側に凹型の台形の断面形状（図２参照）で形成されるとよく、又は、外側に凹型の矩形の断面形状で形成されてもよい。係合凹部４８は、例えば、基端方向に向かって内径が増大する第１テーパ状内周部６２を先端側に備えるとともに、基端方向に向かって内径が縮小する第２テーパ状内周部６４を基端側に備え、さらに、第１テーパ状内周部６２と第２テーパ状内周部６４との間に、軸線方向に平行な内周面を有する平行内周部６５を備える。

　シール部５０は、筒状体１２の内径よりも僅かに大きな外径を有して、筒状体１２の内周面に密着可能な環状のものであり、上述した弾性材料から形成されるとよい。前記シール部５０は、ガスケット本体４５の外周面上に備えられて、筒状体１２の内周面に密着しつつ、ガスケット本体４５とともに軸線方向に摺動することで、ガスケット１６の液密性を確実に保持するとともに、摺動性の向上を図れる。

　シール部５０は、例えば、前記ガスケット本体４５の外周面上に周方向に形成された環状の溝部５４に対して嵌合される、前記ガスケット本体４５から独立したシリコーン製のＯリング等の部品でもよく、あるいは、前記ガスケット本体４５と一体的に形成されてもよい。

　なお、シール部５０を備える代わりに、ガスケット本体４５の外径を筒状体１２の内径よりも僅かに大きな外径として、該ガスケット本体４５の外周面が筒状体１２の内周面に密着することで、ガスケット１６の液密性を保持してもよい。

　ガスケット本体４５の構成材料としては、上述した筒状体１２の構成材料として例示したものから選択してもよく、又は、上述した弾性材料から選択してもよい。特に、ガスケット本体４５において、少なくとも、ガスケット１６が筒状体１２内で薬剤を押圧した際に押し子１４に密着する部分、例えば、係合凹部４８の第１テーパ状内周部６２やガスケット本体４５の基端部表面６８が、弾性材料で形成される。また、ガスケット本体４５において、押し子１４を引っ張る際に密着する部分、例えば、係合凹部４８の第２テーパ状内周部６４を、弾性材料で形成してもよい。

　押し子１４とガスケット１６とは、それぞれ独立して形成される別個の部材であるが、押し子１４の頭部３６及び小径部３８を、軸線方向に移動させてガスケット１６の貫通孔４６内へと挿入することによって初めて、薬剤注入具１０に対して使用可能となる。押し子１４の頭部３６とガスケット１６の先端面５２とは、同一の傾斜角を有していて、押し子１４の頭部３６がガスケット１６の先端面５２から突出して一の円錐面が形成され、この円錐面が胴体部１８の先端部の内面に略嵌合する。また、貫通孔４６の内面と、押し子１４の小径部３８の外周面との間には、僅かな隙間が設けられるとともに、小径部３８の係合凸部４４がガスケット１６の係合凹部４８に対して僅かな隙間を空けて嵌合しているので、ガスケット１６は、押し子１４に対して軸線回りに相対回転可能に配置されることになり、また、これらの隙間が薬剤充填室３４内のエアーを排出するための排出通路５６となる。

　上述したようにガスケット１６を装着した押し子１４が、筒状体１２内に挿入されると、筒状体１２の胴体部１８内では、押し子１４の頭部３６及びガスケット１６の先端面５２と、前記胴体部１８の先端部の内面との間に、薬剤を充填するための薬剤充填室３４が形成される。ここで、図４に示すように、押し子１４に対して力が加えられず、押し子１４とガスケット１６との間に隙間が空けられて排出通路５６が開放されると、この排出通路５６を介して薬剤充填室３４と基端側とでエアーが通り抜け可能になる。また、図３に示すように、押し子１４が基端方向へと引っ張られると、押し子１４の係合凸部４４の第２テーパ状外周部６０が、ガスケット１６の係合凹部４８の第２テーパ状内周部６４に当接する。

　他方、図５に示すように、押し子１４が先端方向へと押し込まれると、押し子１４の係合凸部４４の第１テーパ状外周部５８が、ガスケット１６の係合凹部４８の第１テーパ状内周部６２に当接し、押し子１４の大径部４０の先端部表面６６が、ガスケット１６の基端部表面６８に当接する。このように、押し子１４に対して基端方向又は先端方向への力が加えられると、押し子１４とガスケット１６との間の排出通路５６は閉塞される。

　本発明の実施形態に係る薬剤注入具１０は、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、その作用及び効果について、薬剤注入具１０を用いて薬剤を充填及び注入する場合を例に説明する。なお、以下の説明では、ガスケット１６が押し子１４に装着されるとともに、押し子１４及びガスケット１６が筒状体１２内に挿入されていて、薬剤注入具１０が使用可能な状態であるものとする。

　先ず、薬剤注入具１０を用いて薬剤７８を充填する場合について説明する。充填前の段階では、図２に示すように、押し子１４及びガスケット１６が筒状体１２内に深く押し込められていて、押し子１４の頭部３６及びガスケット１６の先端面５２が、胴体部１８の先端部の内面に当接している。この状態の薬剤注入具１０の筒状体１２の先端管部２０に対してノズル３０を連結する（図３参照）。

　ノズル３０は、基端側に雄ネジ部７０を備えていて、この雄ネジ部７０を先端管部２０の雌ネジ部２６と螺合させることにより、先端管部２０と連結される。

　このノズル３０の先端を、容器８０内に用意された薬剤７８の液面下に没入し、この状態で筒状体１２に対して押し子１４を基端方向に引っ張る。このとき、ガスケット１６は、シール部５０が筒状体１２の内周面に密着しているので、先ず、押し子１４がガスケット１６に対して僅かに基端方向に動く。押し子１４では、小径部３８の係合凸部４４の第２テーパ状外周部６０が、ガスケット１６の係合凹部４８の第２テーパ状内周部６４に当接して密着するので、押し子１４及びガスケット１６の間の隙間が塞がれて排出通路５６が閉塞される。

　押し子１４は、さらに基端方向に引っ張られ、ガスケット１６は、押し子１４の移動に応じて基端方向へと摺動する。また、筒状体１２の薬剤充填室３４内は真空状態となっているので、押し子１４及びガスケット１６の基端方向への移動に伴い、所望の量の薬剤７８が薬剤充填室３４内に吸引されて充填される。ノズル３０は、薬剤７８の注入時には取り外されるので、薬剤７８をノズル３０内に残さずに薬剤充填室３４内まで吸引するのがよい。

　なお、押し子１４が基端方向に移動された際に、小径部３８の係合凸部４４の第２テーパ状外周部６０が、ガスケット１６の係合凹部４８の第２テーパ状内周部６４に当接して密着し、押し子１４及びガスケット１６の間の隙間が塞がれて排出通路５６が閉塞されるまで、ガスケット１６が、胴体部１８に対して摺動しないことが好ましい。

　すなわち、ガスケット１６と胴体部１８との間の抵抗は、小径部３８の係合凸部４４の第２テーパ状外周部６０が、ガスケット１６の係合凹部４８の第２テーパ状内周部６４に当接して密着する際に付加される押し子１４とガスケット１６との間の抵抗よりも大きい。

　なお、充填前の段階において、ノズル３０内には既にエアーが存在しているので、薬剤７８が薬剤充填室３４内に吸引される前に、前記エアーが薬剤充填室３４内に吸引されてしまい、薬剤充填室３４内では、薬剤７８に対して基端側にエアーが混入することとなる。

　次に、薬剤注入具１０を用いて薬剤７８を注入する場合について説明する。注入前の段階では、筒状体１２の薬剤充填室３４内に、薬剤７８及び充填時に混入したエアーが入れられているものとする（図３参照）。この状態の薬剤注入具１０の筒状体１２の先端管部２０に対して注入針３２を直接連結する（図４参照）。

　注入針３２は、図４及び図５に示すように、例えば、金属材料で構成された中空構造の穿刺針７２と、穿刺針７２の基端部に固定された、例えば、樹脂材料で構成されたハンドル７４とを有する。ハンドル７４の上部には、穿刺針７２の内腔（中空部）と連通した注入ポート７６が設けられていて、注入ポート７６の外周面に雄ネジ部７１が設けられる。注入針３２は、この雄ネジ部７１を先端管部２０の雌ネジ部２６と螺合させることにより、先端管部２０と連結される。

　なお、注入針３２は、例えば、ＣＴ透視下やＸ線透視下で薬剤を注入する場合には、術者（使用者）の手をＸ照射領域の外に退避させた状態で薬剤注入具１０を操作するために、延長チューブを介して先端管部２０と注入針３２とを連結させるとよく、例えば、注入針３２の注入ポート７６と、筒状体１２の先端管部２０とを延長チューブを介して接続する。

　次に、筒状体１２に対して押し子１４を先端方向に押し込む。このとき、押し子１４では、小径部３８の係合凸部４４の第２テーパ状外周部６０が、ガスケット１６の係合凹部４８の第２テーパ状内周部６４から離れ、押し子１４及びガスケット１６の間の隙間が空けられて排出通路５６が開放される。この排出通路５６を介して、薬剤充填室３４内に混入したエアーを外部に排出することができる。

　また、薬剤充填室３４内で押し子１４の頭部３６と薬剤７８の液面との間にエアーが未だ混入している状態で、押し子１４がさらに押し込まれると、押し子１４における係合凸部４４の第１テーパ状外周部５８が、ガスケット１６における係合凹部４８の第１テーパ状内周部６２に当接し、また、押し子１４の大径部４０の先端部表面６６（小径部３８と大径部４０との外径差による段差部）が、ガスケット１６の基端部表面６８に当接する。

　このとき、ガスケット１６が先端方向に摺動するが、薬剤充填室３４内の薬剤７８が高粘度であるために、薬剤充填室３４が高圧に加圧され、押し子１４の頭部３６と薬剤７８の液面との間のエアーにより基端方向へと圧力が負荷されて、第１テーパ状外周部５８及び第１テーパ状内周部６２とが僅かに離され、押し子１４及びガスケット１６の間の隙間が空けられて排出通路５６が開放され、薬剤充填室３４内に混入したエアーが外部に排出される。

　このようにして、押し子１４及びガスケット１６を先端方向へと移動させ、押し子１４の頭部３６及びガスケット１６の先端面５２が、薬剤７８の液面に達し、排出通路５６が液面で塞がれると、押し子１４における係合凸部４４の第１テーパ状外周部５８が、ガスケット１６における係合凹部４８の第１テーパ状内周部６２に当接し、また、押し子１４の大径部４０の先端部表面６６が、ガスケット１６の基端部表面６８に当接する。これらの当接箇所は、上述したようにガスケット１６が筒状体１２内で薬剤７８を押圧する際に、内圧で密着するので、押し子１４及びガスケット１６の間の隙間が塞がれて排出通路５６が閉塞される（図５参照）。

　図５に示す状態で、押し子１４をさらに押し込むと、薬剤７８は、排出通路５６から漏れることなく、先端方向へと吐出されて注入針３２へと送られ、前記注入針３２を介して所望の被注入空間に注入される。

　以上のように、本実施形態では、薬剤注入具１０は、押し子１４の先端側においてガスケット１６を緩く嵌合し、例えば、回転自在に装着することにより、押し子１４に対する引っ張り及び押し込みが行われないときに生ずる押し子１４及びガスケット１６の間の排出通路５６を利用して、薬剤７８を充填した際に薬剤充填室３４内に混入したエアーを外部に排出することができるため、この混入エアーの排出に要する時間を短縮することができる。

　また、上述した実施形態では、筒状体１２の先端管部２０に連結したノズル３０を用いて、筒状体１２の先端側から薬剤７８を充填する場合について説明したが、本発明の薬剤注入具１０によれば、筒状体１２の基端側から薬剤７８を充填する場合においても、押し子１４及びガスケット１６の間の排出通路５６を利用して、薬剤充填室３４内に混入したエアーを外部に排出することができる。

　なお、押し子１４を先端方向へと押し込む際に、係合凸部４４の第１テーパ状外周部５８と係合凹部４８の第１テーパ状内周部６２とが当接し、また、押し子１４の先端部表面６６とガスケット１６の基端部表面６８とが当接するが、これらの当接箇所は、少なくとも一方が密着されればよい。

　なお、押し子１４が先端方向に押し込まれた際に、小径部３８の係合凸部４４の第１テーパ状外周部５８が、ガスケット１６の係合凹部４８の第１テーパ状内周部６２に当接して密着し、押し子１４及びガスケット１６の間の隙間が塞がれて排出通路５６が閉塞される前に、ガスケット１６が、胴体部１８に対して摺動することが好ましい。

　すなわち、ガスケット１６と胴体部１８との間の抵抗は、小径部３８の係合凸部４４の第１テーパ状外周部５８が、ガスケット１６の係合凹部４８の第１テーパ状内周部６２に当接して密着する際に付加される押し子１４とガスケット１６との間の抵抗よりも小さい。

　また、押し子１４を、筒状体１２に対して軸線回りに回転することに伴って軸線方向に変位するように構成する場合、すなわち、薬剤注入具１０が送りネジ式で構成される場合、ガスケット１６が、押し子１４に対して軸線回りに相対回転可能であるため、押し子１４を回転操作する際の操作力を低減することができ、薬剤注入具１０の操作性を向上することができる。

　次に、薬剤注入具１０の第１変形例について、図６を参照しながら説明する。図６は、第１変形例に係るガスケット１６ａと、このガスケット１６ａが装着される押し子１４と、ガスケット１６ａ及び押し子１４が装着される筒状体１２の一部拡大断面図であり、筒状体１２及び押し子１４は一部省略されている。

　図６に示すように、ガスケット１６ａの先端面５２ａは、軸線方向に垂直な面を有して形成される。

　このように、ガスケット１６ａの先端面５２ａを軸線方向に垂直な面で形成することにより、薬剤充填室３４内の薬剤７８の液面と、ガスケット１６ａの先端面５２ａとの間の隙間を埋めることができ、従って、混入エアーの袋小路を無くすことができる。

　なお、図６において仮想線で示すように、ガスケット１６ａの先端面５２ｂを、先端方向に向かって内径が増大するテーパ状、すなわち逆テーパ状で形成することにより、薬剤充填室３４内の薬剤７８の液面と、ガスケット１６ａの先端面５２ｂとの間の隙間を埋めるように構成してもよい。

　次に、薬剤注入具１０の第２変形例について、図７を参照しながら説明する。図７は、第２変形例に係るガスケット１６ｂと、このガスケット１６ｂが装着される押し子１４と、ガスケット１６ｂ及び押し子１４が装着される筒状体１２の一部拡大断面図であり、筒状体１２及び押し子１４は一部省略されている。

　図７に示すように、ガスケット１６ｂの先端面５２はテーパ形状で形成され、ガスケット１６ｂは、ガスケット１６ｂの中空部、すなわち貫通孔４６とガスケット１６ｂの外周部又は外周側面とを連通する、少なくとも１つ以上の側孔８２を備える。

　側孔８２の内端は、ガスケット１６ｂにおける軸線方向位置に関して、ガスケット１６ｂが筒状体１２内で薬剤７８を押圧した際に押し子１４に密着する部分、例えば、係合凹部４８の第１テーパ状内周部６２よりも先端側に位置し、側孔８２の外端は、ガスケット１６ｂにおける軸線方向位置に関して、シール部５０よりも先端側に位置する。

　このように、ガスケット１６ｂに側孔８２を設けることにより、薬剤充填室３４内の薬剤７８の液面とガスケット１６ｂの先端面５２との間の隙間における混入エアーを、筒状体１２の内周面とガスケット１６ｂの外周面との間と、側孔８２と、押し子１４とガスケット１６との間の排出通路５６とを順次通して、外部に排出することができ、従って、混入エアーの袋小路を無くすことができる。

　なお、本発明に係る薬剤注入具は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。

Claims (12)

1. 　先端に薬剤吐出口（２０）を有し、薬剤が充填される筒状体（１２）と、
   　前記筒状体（１２）の中空部に挿入される押し子（１４）と、
   　前記押し子（１４）の先端外周部に設けられ、前記筒状体（１２）内で液密に摺動可能な中空状のガスケット（１６）と、を備え、
   　前記筒状体（１２）と、前記押し子（１４）と、前記ガスケット（１６）とにより、薬剤充填室（３４）が形成され、
   　前記押し子（１４）の前記先端外周部と、前記ガスケット（１６）の内周部との間には、前記押し子（１４）を前記筒状体（１２）内で前進させたときに前記薬剤充填室（３４）内のエアーを排出するための排出通路（５６）が設けられ、
   　前記排出通路（５６）は、前記押し子（１４）を前記筒状体（１２）内で後退させたときに前記押し子（１４）と前記ガスケット（１６）とが密着して閉塞する、
   　ことを特徴とする薬剤注入具（１０）。
2. 　請求項１記載の薬剤注入具（１０）において、
   　前記ガスケット（１６）のうち、少なくとも、前記押し子（１４）を前記筒状体（１２）内で後退させたときに前記押し子（１４）に密着する部分は、弾性材料で構成される、
   　ことを特徴とする薬剤注入具（１０）。
3. 　請求項１記載の薬剤注入具（１０）において、
   　前記押し子（１４）の前記先端外周部には、径方向外方に膨出し且つ周方向に延在する環状の係合凸部（４４）が設けられ、
   　前記ガスケット（１６）の内周部には、周方向に延在する環状に形成され、前記係合凸部（４４）に係合する係合凹部（４８）が設けられ、
   　前記係合凸部（４４）には、基端方向に向かって外径が縮小するテーパ状外周部（６０）が設けられ、
   　前記係合凹部（４８）には、基端方向に向かって内径が縮小するテーパ状内周部（６４）が設けられ、
   　前記押し子（１４）が基端方向に移動操作された際に、前記テーパ状外周部（６０）と前記テーパ状内周部（６４）とが密着する、
   　ことを特徴とする薬剤注入具（１０）。
4. 　請求項３記載の薬剤注入具（１０）において、
   　前記押し子（１４）が基端方向に移動操作される際の前記ガスケット（１６）と前記筒状体（１２）との間の抵抗は、前記押し子（１４）の前記テーパ状外周部（６０）が、前記ガスケット（１６）のテーパ状内周部（６４）に当接して密着する際に付加される前記押し子（１４）と前記ガスケット（１６）との間の抵抗よりも大きい、
   　ことを特徴とする薬剤注入具（１０）。
5. 　請求項１記載の薬剤注入具（１０）において、
   　前記ガスケット（１６）には、前記筒状体（１２）の内周面に密着可能な環状のシール部（５０）を有する、
   　ことを特徴とする薬剤注入具（１０）。
6. 　請求項５記載の薬剤注入具（１０）において、
   　前記ガスケット（１６）には、前記ガスケット（１６）の中空部である貫通孔（４６）と前記ガスケット（１６）の外周部とを連通する少なくとも一つの側孔（８２）とが設けられ、
   　前記側孔（８２）の内端は、前記ガスケット（１６）における軸線方向位置に関して、前記押し子（１４）を前記筒状体（１２）内で後退させたときに前記押し子（１４）に密着する部分よりも先端側に位置し、
   　前記側孔（８２）の外端は、前記ガスケット（１６）における軸線方向位置に関して、前記シール部（５０）よりも先端側に位置する、
   　ことを特徴とする薬剤注入具（１０）。
7. 　請求項１記載の薬剤注入具（１０）において、
   　前記押し子（１４）は、前記筒状体（１２）に対して軸線回りに回転することに伴って軸線方向に変位するように構成され、
   　前記ガスケット（１６）は、前記押し子（１４）に対して軸線回りに相対回転可能である、
   　ことを特徴とする薬剤注入具（１０）。
8. 　請求項１記載の薬剤注入具（１０）において、
   　前記ガスケット（１６）の先端面は、前記押し子（１４）の軸線に対して垂直、又は先端方向に向かって内径が増大するテーパ状に形成される、
   　ことを特徴とする薬剤注入具（１０）。
9. 　請求項１記載の薬剤注入具（１０）において、
   　前記排出通路（５６）は、前記ガスケット（１６）が筒状体（１２）内で前記薬剤を押圧する際に、前記押し子（１４）と前記ガスケット（１６）とが密着することにより閉塞される、
   　ことを特徴とする薬剤注入具（１０）。
10. 　請求項９記載の薬剤注入具（１０）において、
    　前記押し子（１４）の前記先端外周部には、基端方向に向かって外径が増大するテーパ状外周部（５８）が設けられ、
    　前記ガスケット（１６）には、基端方向に向かって内径が増大するテーパ状内周部（６２）が設けられ、
    　前記押し子（１４）において、前記テーパ状外周部（５８）よりも基端側には、外径の変化による段差部（６６）が設けられ、
    　前記押し子（１４）が先端方向に移動操作された際に、前記テーパ状外周部（５８）と前記テーパ状内周部（６２）とが密着するとともに、前記ガスケット（１６）の基端面と前記押し子（１４）の前記段差部（６６）の先端面とが密着する、
    　ことを特徴とする薬剤注入具（１０）。
11. 　請求項１０記載の薬剤注入具（１０）において、
    　前記押し子（１４）が先端方向に移動操作される際の前記ガスケット（１６）と前記筒状体（１２）との間の抵抗は、前記押し子（１４）の前記テーパ状外周部（５８）が、前記ガスケット（１６）の前記テーパ状内周部（６２）に当接して密着する際に付加される前記押し子（１４）と前記ガスケット（１６）との間の抵抗よりも小さい、
    　ことを特徴とする薬剤注入具（１０）。
12. 　請求項１記載の薬剤注入具（１０）において、
    　前記排出通路（５６）は、前記押し子（１４）と前記ガスケット（１６）との間に周方向に延在する、
    　ことを特徴とする薬剤注入具（１０）。

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