WO2013125607A1 - 組織再生基材 - Google Patents
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Abstract
本発明は、細胞の侵入性に優れ、かつ、組織の癒着を引き起こしにくい、脆弱な組織の補強や組織再生の促進の足場に好適な組織再生基材を提供することを目的とする。 本発明は、平均繊維径が0.9~7.0μmのポリグリコリドからなる不織布からなる組織再生基材である。
Description
本発明は、細胞の侵入性に優れ、かつ、組織の癒着を引き起こしにくい、脆弱な組織の補強や組織再生の促進の足場に好適な組織再生基材に関する。
近年の細胞工学技術の進展によって、ヒト細胞を含む数々の動物細胞の培養が可能となり、また、それらの細胞を用いてヒトの組織や器官を再構築しようとする、いわゆる再生医療の研究が急速に進んでいる。再生医療においては、細胞が増殖分化して三次元的な生体組織様の構造物を構築できるかがポイントであり、例えば、基材を患者の体内に移植し、周りの組織又は器官から細胞を基材中に侵入させ増殖分化させて組織又は器官を再生する方法が行われている。
また、生体組織に生じた病巣を内視鏡下で切除する方法として、自動縫合器等を用いた切除術が行われている。肺、気管支、肝臓、消化管等の脆弱な組織や、病変によって脆弱化した組織に対して切除術を行う場合、縫合を行ったのみでは組織の断裂のおそれがあり、また、例えば肺の手術においては空気漏れが発生するおそれがある。そこで、縫合補強材を生体組織の切除部位に縫い合わせるということが行われている。
このような再生医療用の基材や縫合補強材として、例えば、特許文献1に開示されるような生体吸収性材料からなる不織布を用いることが提案されている。生体吸収性材料からなる不織布は、再生医療の基材として用いた場合には、その空隙部分に細胞が侵入して増殖し、早期に組織が再生されることが期待される。また、脆弱な組織の補強材として用いた場合には、組織の断裂を防止し、空気漏れの発生を防止することができる。更に、一定期間経過後には分解して生体に吸収されることから、再手術により取り出す必要もないという優れた性能を有する。
しかしながら、従来の生体吸収性材料からなる不織布を移植すると、使用部位において組織同士が癒着してしまうことがあるという問題があった。また、期待したほどには細胞が侵入せず、組織の再生に時間がかかることも問題であった。更に、使用部位で慢性炎症を引き起こし、これが瘢痕形成の原因になることもあった。
本発明は、細胞の侵入性に優れ、かつ、組織の癒着を引き起こしにくい、脆弱な組織の補強や組織再生促進の足場に好適な組織再生基材を提供することを目的とする。
本発明は、平均繊維径が0.9~7.0μmのポリグリコリドからなる不織布からなる組織再生基材である。
以下に本発明を詳述する。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、種々の材質及び形状を有する不織布を用いて、細胞の侵入性や、組織の癒着の発生の有無を調べた。その結果、平均繊維径が0.9~7.0μmのポリグリコリドからなる不織布を用いた場合には、他の材質や繊維径を有する不織布を用いた場合に比べて、著しく細胞の侵入性に優れ、かつ、組織の癒着の発生を抑制できることを見出し、本発明を完成した。
本発明の組織再生基材は、ポリグリコリドからなる不織布からなる。
生体吸収性材料としては、ポリグリコリド以外にも、ポリラクチド(D、L、DL体)、ポリカプロラクトン、ラクチド(D、L、DL体)-ε-カプロラクトン共重合体、ポリ(p-ジオキサノン)等の多くの樹脂が知られている。これらの生体吸収性材料のなかでもポリグリコリドを用いた場合にのみ、細胞の侵入性に優れ、かつ、組織の癒着を引き起こしにくいという優れた効果を発揮することができる。ポリグリコリドは、例えば繊維状にして37℃の生理食塩水中に浸漬した場合に、引張強度が浸漬前の1/2になるまでの期間が約14日である。このような分解性を有することにより、細胞が増殖して組織が再生する時期に基材が徐々に分解吸収されることとなり、基材内部まで再生した組織が構築され、その結果として良質な再生組織が構築される。更に、生体内に埋入後数日間で炎症系の細胞が消失することから、組織の癒着を引き起こしにくいという優れた効果をも発揮できるものと考えられる。ポリグリコリドよりも早期に分解する材料を用いると、組織の再生が進行する前に基材が強度を失ってしまい、足場としての役割を果たすことができない。ポリグリコリドよりも分解しにくい材料を用いると、長期にわたって使用部位に基材が残存し、癒着の原因になったり、慢性炎症の原因になったりする。一般に、ポリグリコリドは、上記他の生体吸収性材料に比べて、早期の炎症を引き起こしやすいと言われている。しかしながら、早期に炎症が起きることも、炎症メカニズムによって細胞を局所に早期に集めることができ、上記他の生体吸収性材料に比べて組織再生の進行が良好であることに寄与している可能性が高い。
生体吸収性材料としては、ポリグリコリド以外にも、ポリラクチド(D、L、DL体)、ポリカプロラクトン、ラクチド(D、L、DL体)-ε-カプロラクトン共重合体、ポリ(p-ジオキサノン)等の多くの樹脂が知られている。これらの生体吸収性材料のなかでもポリグリコリドを用いた場合にのみ、細胞の侵入性に優れ、かつ、組織の癒着を引き起こしにくいという優れた効果を発揮することができる。ポリグリコリドは、例えば繊維状にして37℃の生理食塩水中に浸漬した場合に、引張強度が浸漬前の1/2になるまでの期間が約14日である。このような分解性を有することにより、細胞が増殖して組織が再生する時期に基材が徐々に分解吸収されることとなり、基材内部まで再生した組織が構築され、その結果として良質な再生組織が構築される。更に、生体内に埋入後数日間で炎症系の細胞が消失することから、組織の癒着を引き起こしにくいという優れた効果をも発揮できるものと考えられる。ポリグリコリドよりも早期に分解する材料を用いると、組織の再生が進行する前に基材が強度を失ってしまい、足場としての役割を果たすことができない。ポリグリコリドよりも分解しにくい材料を用いると、長期にわたって使用部位に基材が残存し、癒着の原因になったり、慢性炎症の原因になったりする。一般に、ポリグリコリドは、上記他の生体吸収性材料に比べて、早期の炎症を引き起こしやすいと言われている。しかしながら、早期に炎症が起きることも、炎症メカニズムによって細胞を局所に早期に集めることができ、上記他の生体吸収性材料に比べて組織再生の進行が良好であることに寄与している可能性が高い。
なお、本明細書においてポリグリコリドは、ポリグリコール酸等のグリコリドの重合体を意味するが、本願発明の効果を阻害しない範囲で、乳酸、ε-カプロラクトン、炭酸トリメチレン等の他の生体吸収性の成分との共重合体としてもよい。また、本願発明の効果を阻害しない範囲で、ポリラクチド等の他の生体吸収性材料との混合物としてもよい。
上記ポリグリコリドが乳酸、ε-カプロラクトン、炭酸トリメチレン等の他の生体吸収性の成分との共重合体である場合、該共重合体におけるグリコリド成分の配合量の好ましい下限は60モル%である。グリコリド成分の配合量を60モル%以上とすることにより、細胞の侵入性に優れ、かつ、組織の癒着を引き起こしにくいという本発明の優れた効果を発揮することができる。
上記ポリグリコリドとポリラクチド等の他の生体吸収性材料との混合物を用いる場合、該混合物におけるポリグリコリドの配合量の好ましい下限は50重量%である。ポリグリコリドの配合量を50重量%以上とすることにより、細胞の侵入性に優れ、かつ、組織の癒着を引き起こしにくいという本発明の優れた効果を発揮することができる。
上記ポリグリコリドが乳酸、ε-カプロラクトン、炭酸トリメチレン等の他の生体吸収性の成分との共重合体である場合、該共重合体におけるグリコリド成分の配合量の好ましい下限は60モル%である。グリコリド成分の配合量を60モル%以上とすることにより、細胞の侵入性に優れ、かつ、組織の癒着を引き起こしにくいという本発明の優れた効果を発揮することができる。
上記ポリグリコリドとポリラクチド等の他の生体吸収性材料との混合物を用いる場合、該混合物におけるポリグリコリドの配合量の好ましい下限は50重量%である。ポリグリコリドの配合量を50重量%以上とすることにより、細胞の侵入性に優れ、かつ、組織の癒着を引き起こしにくいという本発明の優れた効果を発揮することができる。
上記ポリグリコリドの重量平均分子量は特に限定されないが、好ましい下限は30000、好ましい上限は200000である。上記ポリグリコリドの重量平均分子量が30000未満であると、強度が不足して充分な組織補強効果が得られないことがあり、200000を超えると、生体内における分解速度が遅くなり、異物反応を起こすことがある。上記ポリグリコリドの重量平均分子量のより好ましい下限は50000、より好ましい上限は150000である。
本発明の組織再生基材を構成する不織布(以下、単に「不織布」ともいう。)の平均繊維径は0.9~7.0μmである。上記不織布の平均繊維径がこの範囲にある場合に、基材上の細胞増殖性に優れ、かつ、組織の癒着を引き起こしにくいという優れた効果を発揮することができる。上記不織布の平均繊維径が0.9μm未満であると、細胞が侵入しにくくなり、移植しても充分に肉芽組織が浸潤せずに、組織の再生が遅れることがある。上記不織布の平均繊維径が7.0μmを超えると、組織の癒着を引き起こしやすくなる。また、移植部位に浮腫や炎症性細胞が多く観察されるようになる。上記不織布の平均繊維径の好ましい上限は3μmである。なかでも、平均繊維径が0.9μmである場合に特に優れた効果が発揮される。上記不織布は繊維径が同じであっても、三次元的な厚みを変化させることによって不織布内部の空間率が変化し、空間率も細胞の侵入性等に影響するものであると考えられる。
このように不織布の平均繊維径が細胞の侵入性や組織の癒着性に大きく影響する理由については明らかではないが、繊維径によって繊維間距離が変わり、該繊維間距離が細胞の浸潤性や層の均一性に影響を及ぼすためではないかと考えられる。
なお、本明細書において不織布の平均繊維径は、生地の中央の一部を切り取り、電子顕微鏡を用いて観察して繊維径をランダムに10カ所測定し、平均したものを意味する。
このように不織布の平均繊維径が細胞の侵入性や組織の癒着性に大きく影響する理由については明らかではないが、繊維径によって繊維間距離が変わり、該繊維間距離が細胞の浸潤性や層の均一性に影響を及ぼすためではないかと考えられる。
なお、本明細書において不織布の平均繊維径は、生地の中央の一部を切り取り、電子顕微鏡を用いて観察して繊維径をランダムに10カ所測定し、平均したものを意味する。
上記不織布は、目付の好ましい下限が5g/m2、好ましい上限が50g/m2である。5g/m2未満であると、組織補強効果が充分に得られないことがあり、50g/m2を超えると、組織への接着性が低下して充分な組織の再生ができないことがある。上記不織布の目付のより好ましい上限は30g/m2である。
上記不織布を製造する方法は特に限定されず、例えば、エレクトロスピニングデポジション法、メルトブロー法、ニードルパンチ法、スパンボンド法、フラッシュ紡糸法、水流交絡法、エアレイド法、サーマルボンド法、レジンボンド法、湿式法等の従来公知の方法を用いることができる。なかでも、メルトブロー法が好適である。
本発明の組織再生基材の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は10μm、好ましい上限は0.5mmである。厚さが10μm未満であると、強度が不足して脆弱な組織の補強には用いることができないことがあり、0.5mmを超えると、取り扱い性に劣る。厚さのより好ましい下限は20μm、より好ましい上限は0.3mmである。
本発明の組織再生基材は、脆弱な組織の補強や組織再生の促進の足場に好適である。とりわけ、肺漏、気管支断端、膵液瘻、胆汁漏等の早期治癒することが望ましい部位に貼付することにより、脆弱な組織の補強及び組織再生を促す足場として有用であり、特に組織の動きの少ない気管支断端、膵液瘻、胆汁漏等の部位に添付した場合にその効果が顕著である。
本発明の組織再生基材は、手術後、脆弱な組織を覆うように貼付する。本発明の組織再生基材は、フィブリン糊等の医療用接着剤を用いなくとも、組織との密着を保つことができる。また、自動縫合器を使用する場合には、本発明の組織再生基材を組織に貼りつけた後に自動縫合器を用いて縫合操作を行うことにより、肺の空気漏れや種々の組織からの体液漏れを防止できる点でも有用である。
本発明によれば、細胞の侵入性に優れ、かつ、組織の癒着を引き起こしにくい、脆弱な組織の補強や組織再生の促進の足場に好適な組織再生基材を提供することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(実験例1)
生体吸収性材料としてポリグリコリドを用い、エレクトロスピニングデポジション法(平均繊維径0.7μm)若しくはメルトブロー法(平均繊維径0.9、3.1、7.0μm)で得られた不織布を延伸する方法、又は、紡糸された筒編み布をニードルパンチ法により不織布化する方法(平均繊維径20.0μm)により、平均繊維径が0.7、0.9、3.1、7.0、20.0μm、厚さ0.13~0.30mmの不織布を得た。
生体吸収性材料としてポリグリコリドを用い、エレクトロスピニングデポジション法(平均繊維径0.7μm)若しくはメルトブロー法(平均繊維径0.9、3.1、7.0μm)で得られた不織布を延伸する方法、又は、紡糸された筒編み布をニードルパンチ法により不織布化する方法(平均繊維径20.0μm)により、平均繊維径が0.7、0.9、3.1、7.0、20.0μm、厚さ0.13~0.30mmの不織布を得た。
生体吸収性材料としてポリラクチドを用い、メルトブロー法で得られた不織布を延伸する方法により平均繊維径が7.3μm、厚さ0.09mmの不織布を得た。また、生体吸収性材料としてラクチド-ε-カプロラクトン共重合体を用い、メルトブロー法で得られた不織布を延伸する方法により平均繊維径が3.1μm、厚さ0.15mmの不織布を得た。
(組織再生促進性の評価)
Specific pathogen freeの条件下で飼育された9週齢体重200gの雌性ラットをエーテル吸入麻酔による基礎麻酔の後、ペントバルビタール5mgを生食水で希釈し1mlとしたものを、腹腔内に投与する方法により全身麻酔をかけた。
全身麻酔後、1匹につき、背部の頭側に左右2ヶ所、尾側に左右2か所、皮膚を15mm横切開し、鈍的に皮下ポケットを作製した。この4か所の皮下ポケットに、無作為に1種類ずつ、10mm×10mmの大きさに切断した各不織布を埋稙した。
Specific pathogen freeの条件下で飼育された9週齢体重200gの雌性ラットをエーテル吸入麻酔による基礎麻酔の後、ペントバルビタール5mgを生食水で希釈し1mlとしたものを、腹腔内に投与する方法により全身麻酔をかけた。
全身麻酔後、1匹につき、背部の頭側に左右2ヶ所、尾側に左右2か所、皮膚を15mm横切開し、鈍的に皮下ポケットを作製した。この4か所の皮下ポケットに、無作為に1種類ずつ、10mm×10mmの大きさに切断した各不織布を埋稙した。
術後3日目、2週目、3週目に、ペントバルビタール過剰量の腹腔内投与によりラットを安楽死せしめ、埋稙部分を摘出した。
得られた標本をヘマトキシリン-エオシン染色(HE染色)した顕微鏡写真像を図1~7に示した。
また、得られたHE染色像を顕微鏡観察して、肉芽組織の侵入、浮腫の形成の有無、炎症性細胞の有無、肉芽組織層の形成の有無等を評価し、更に、以下の基準により組織再生促進性についての総合評価を行った。結果を表1に示した。
得られた標本をヘマトキシリン-エオシン染色(HE染色)した顕微鏡写真像を図1~7に示した。
また、得られたHE染色像を顕微鏡観察して、肉芽組織の侵入、浮腫の形成の有無、炎症性細胞の有無、肉芽組織層の形成の有無等を評価し、更に、以下の基準により組織再生促進性についての総合評価を行った。結果を表1に示した。
組織再生促進性総合評価
◎:肉芽組織が材料内部まで侵入していて、炎症性細胞が少ない。
また、肉芽組織が層を形成している。
○:肉芽組織が材料内部まで侵入している。肉芽組織が層を形成しているが、◎よりも層が不均一である。炎症性細胞が少ない。
△:肉芽組織が材料内部まで侵入しているが、肉芽組織が層を形成していない。炎症性細胞が多い。浮腫が観察される。
×:肉芽組織が材料内部まで侵入していない。
◎:肉芽組織が材料内部まで侵入していて、炎症性細胞が少ない。
また、肉芽組織が層を形成している。
○:肉芽組織が材料内部まで侵入している。肉芽組織が層を形成しているが、◎よりも層が不均一である。炎症性細胞が少ない。
△:肉芽組織が材料内部まで侵入しているが、肉芽組織が層を形成していない。炎症性細胞が多い。浮腫が観察される。
×:肉芽組織が材料内部まで侵入していない。
(非癒着性の評価)
Wistar/ST系のラット(8週齢、メス、180g)をエーテル吸入麻酔による基礎麻酔の後、ペントバルビタール5mgを生食水で希釈し1mlとしたものを、腹腔内に投与する方法により全身麻酔をかけた。
全身麻酔後、4.5cmの腹部正中切開により開腹し、左腹壁側の壁側腹膜に1.5cm×1.5cmの大きさに切断した各不織布を血管縫合用7-0非吸収糸で縫着した。その後、4-0ナイロン単繊維縫合糸を用いた腹膜と筋膜の連続縫合と皮膚の結節縫合により腹壁を縫合閉鎖した。
Wistar/ST系のラット(8週齢、メス、180g)をエーテル吸入麻酔による基礎麻酔の後、ペントバルビタール5mgを生食水で希釈し1mlとしたものを、腹腔内に投与する方法により全身麻酔をかけた。
全身麻酔後、4.5cmの腹部正中切開により開腹し、左腹壁側の壁側腹膜に1.5cm×1.5cmの大きさに切断した各不織布を血管縫合用7-0非吸収糸で縫着した。その後、4-0ナイロン単繊維縫合糸を用いた腹膜と筋膜の連続縫合と皮膚の結節縫合により腹壁を縫合閉鎖した。
術後、1週目に各群の内8匹を無作為に選んで、ペントバルビタール過剰量の腹腔内投与によりラットを安楽死せしめ、剖検して肉眼的癒着の程度を以下の基準により評価した。結果を表1に示した。
癒着の面積
0:癒着なし
1:処置面積の1~25%の癒着
2:処置面積の26~50%の癒着
3:処置面積の51~75%の癒着
4:処置面積の76~100%の癒着
癒着の面積
0:癒着なし
1:処置面積の1~25%の癒着
2:処置面積の26~50%の癒着
3:処置面積の51~75%の癒着
4:処置面積の76~100%の癒着
癒着の強度
0:癒着なし
1:容易に剥がれる
2:力を加えた剥離が必要な強い癒着
3:鈍的剥離の漿膜損傷を伴い、50%以下の鋭利剥離が必要な強い癒着
4:鈍的剥離の漿膜損傷を伴い、51%以上の鋭利剥離が必要な強い癒着
0:癒着なし
1:容易に剥がれる
2:力を加えた剥離が必要な強い癒着
3:鈍的剥離の漿膜損傷を伴い、50%以下の鋭利剥離が必要な強い癒着
4:鈍的剥離の漿膜損傷を伴い、51%以上の鋭利剥離が必要な強い癒着
非癒着性総合評価
上記基準で評価した癒着の面積の値と癒着の強度の値とを掛け合わせた値を算出し、以下の基準で評価した。
◎:癒着の面積の値と癒着の強度の値とを掛け合わせた値が0
○:癒着の面積の値と癒着の強度の値とを掛け合わせた値が5未満
△:癒着の面積の値と癒着の強度の値とを掛け合わせた値が5以上、10未満
×:癒着の面積の値と癒着の強度の値とを掛け合わせた値が10以上
上記基準で評価した癒着の面積の値と癒着の強度の値とを掛け合わせた値を算出し、以下の基準で評価した。
◎:癒着の面積の値と癒着の強度の値とを掛け合わせた値が0
○:癒着の面積の値と癒着の強度の値とを掛け合わせた値が5未満
△:癒着の面積の値と癒着の強度の値とを掛け合わせた値が5以上、10未満
×:癒着の面積の値と癒着の強度の値とを掛け合わせた値が10以上
表1より、平均繊維径が20.0μmのポリグリコリドからなる不織布では、癒着の程度が高く、剥離が必要な強い癒着が発生していた。これに対して、平均繊維径が0.9μmのポリグリコリドからなる不織布では、癒着の程度は低く、剥離が必要な癒着の発生に至っていなかった。
(実験例2)
実験例1と同様の方法により、平均繊維径が0.67μm、0.90μm、3.1μm、7.0μm及び20.6μmのポリグリコリドからなる不織布を作製した。
得られた各不織布を直径1.5cmの円状(24wellプレートのwellの大きさ)に切り抜き、エタノールに浸して一晩乾燥させた。乾燥後の各不織布を24wellプレートの各well中に置き、浮き上がらないようにリングを乗せて固定した。
実験例1と同様の方法により、平均繊維径が0.67μm、0.90μm、3.1μm、7.0μm及び20.6μmのポリグリコリドからなる不織布を作製した。
得られた各不織布を直径1.5cmの円状(24wellプレートのwellの大きさ)に切り抜き、エタノールに浸して一晩乾燥させた。乾燥後の各不織布を24wellプレートの各well中に置き、浮き上がらないようにリングを乗せて固定した。
1.33×104cells/μLの濃度のF334ラット線維芽細胞懸濁液を調製し、不織布が置かれた各wellに、1wellあたり750μL(細胞数104cells/well)播種した。播種後、CO2インキュベータ中で5日間及び7日間培養した。培養後終了後、不織布を新しい24wellプレートに移し、ATPassay法により細胞数を計測した。なお、各測定はN=3で行った。
結果を表2に示した。
結果を表2に示した。
表2より、平均繊維径が0.67μm、20.6μmの不織布では、培養により細胞数がほとんど増加していない(平均繊維径が0.67μmの不織布では、むしろ5日培養後よりも7日培養後の方が細胞数が減少した)のに対して、平均繊維径が0.9μm、3.1μm、7.0μmの不織布では細胞数が増加していた。
本発明によれば、細胞の侵入性に優れ、かつ、組織の癒着を引き起こしにくい、脆弱な組織の補強や組織再生の促進の足場に好適な組織再生基材を提供することができる。
Claims (2)
- 平均繊維径が0.9~7.0μmのポリグリコリドからなる不織布からなることを特徴とする組織再生基材。
- ポリグリコリドからなる不織布の平均繊維径が0.9μmであることを特徴とする請求項1記載の組織再生基材。
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