WO2013098920A1 - 増強されたエステル香気成分及び香喫味に寄与する成分を含むたばこ材料の製造方法および該方法により製造されたたばこ材料を含むたばこ製品 - Google Patents

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Abstract

 たばこ製品の製造に使用される直前のたばこ刻みを、大気雰囲気中、密閉条件下で熟成させる工程と、前記熟成工程後のたばこ刻みにポリオールを添加する工程を含むことを特徴とするたばこ材料の製造方法、および前記方法により製造されたたばこ材料を含むたばこ製品。

Description

増強されたエステル香気成分及び香喫味に寄与する成分を含むたばこ材料の製造方法および該方法により製造されたたばこ材料を含むたばこ製品
 本発明は、増強されたエステル香気成分及び香喫味に寄与する成分を含むたばこ材料の製造方法および該方法により製造されたたばこ材料を含むたばこ製品に関する。
 栽培、収穫された葉たばこは、農家での乾燥工程、その後の原料工場での1年ないし数年の長期熟成工程、およびその後の製造工場でのブレンドおよび裁刻など種々の加工処理を経た後に、シガレットなどのたばこ製品の製造に使用される。これら種々の加工処理工程を経ることにより、葉たばこは悪癖が除かれ、香り豊かなたばこ用の原料となる。香喫味を更に改善するために、原料工場での熟成工程前の葉たばこにエチルアルコールを添加し、その後、樽内で通常の熟成工程を行うことにより、葉たばこの香喫味を改善することが行われている(特許文献1)。この方法は、香喫味の改善のために熟成期間を利用するため、長期にわたる。また、この方法は、葉たばこがたばこ製品の製造に使用されるまでに更なる加工処理に供されるため、更なる加工処理の間に、香気成分の揮発などによりたばこの香喫味に寄与する成分の組成が変化し得る。
特開昭56-51976号公報
 上記事情に鑑み、本発明は、増強されたエステル香気成分及び増強されたたばこ香喫味に寄与する成分の組成が経時的に変化しにくいたばこ材料を短時間かつ簡便に製造する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、かかる方法により製造されたたばこ材料を含むたばこ製品を提供することを目的とする。
 本発明者らは、たばこ製品の製造に使用される直前のたばこ刻みを、大気雰囲気中、密閉条件下で熟成させると、たばこ刻みのエステル香気成分が増強されること、およびたばこ刻みにポリオールを添加すると、エステル香気成分の更なる生成が抑制され、それによりたばこ刻みのエステル香気成分の経時的な組成変化を抑制できることを見出した。さらに、本発明者らは、上記熟成の処理条件を変えることにより、エステル香気成分の他、酸化生成物、糖分解生成物などのたばこ香喫味に寄与する成分の組成を制御し、多様な香喫味特徴を持つたばこ材料を製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
 すなわち、本発明の第1の側面によれば、たばこ製品の製造に使用される直前のたばこ刻みを、大気雰囲気中、密閉条件下で熟成させる工程と、前記熟成工程後のたばこ刻みにポリオールを添加する工程を含むことを特徴とするたばこ材料の製造方法が提供される。
 また、本発明の第2の側面によれば、前記方法により製造されたたばこ材料を含むたばこ製品が提供される。
 本発明によれば、増強されたエステル香気成分及び香喫味に寄与する成分の組成が経時的に変化しにくいたばこ材料を短時間かつ簡便に製造する方法が提供される。
図1Aは、たばこ刻みを種々の温度で熟成させた場合の短鎖脂肪酸メチルエステルの生成量を示す図である(実施例2)。 図1Bは、たばこ刻みを種々の温度で熟成させた場合の芳香族エステルの生成量を示す図である(実施例2)。 図2Aは、たばこ刻みをエタノールの存在下において種々の温度で熟成させた場合のクロトン酸エチル(ethyl crotonate)の生成量を示す図である。 図2Bは、たばこ刻みをエタノールの存在下において種々の温度で熟成させた場合のパルミチン酸エチル(ethyl palmitate)の生成量を示す図である。 図2Cは、たばこ刻みをメンソールの存在下において種々の温度で熟成させた場合のギ酸メンチル(menthyl formate)の生成量を示す図である。 図2Dは、たばこ刻みをメンソールの存在下において種々の温度で熟成させた場合の酢酸メンチル(menthyl acetate)の生成量を示す図である。 図2Eは、たばこ刻みをメンソールの存在下において種々の温度で熟成させた場合のイソ吉草酸メンチル(menthyl isovalerate)の生成量を示す図である。 図2Fは、たばこ刻みをメンソールの存在下において種々の温度で熟成させた場合のメントン(menthone)の生成量を示す図である。 図2Gは、たばこ刻みをベンジルアルコールの存在下において種々の温度で熟成させた場合のベンズアルデヒド(benzaldehyde)の生成量を示す図である。 図2Hは、たばこ刻みを種々の温度で熟成させた場合のフルフラール(furfural)の生成量を示す図である。 図2Iは、たばこ刻みを種々の温度で熟成させた場合のマルトール(maltol)の生成量を示す図である。 図2Jは、たばこ刻みを種々の温度で熟成させた場合のメチルピラジン(methylpyrazine)の生成量を示す図である。 図3Aは、たばこ刻みをエタノールの存在下において種々の熟成期間にわたって熟成させた場合のクロトン酸エチル(ethyl crotonate)の生成量を示す図である。 図3Bは、たばこ刻みをエタノールの存在下において種々の熟成期間にわたって熟成させた場合のパルミチン酸エチル(ethyl palmitate)の生成量を示す図である。 図3Cは、たばこ刻みをメンソールの存在下において種々の熟成期間にわたって熟成させた場合のギ酸メンチル(menthyl formate)の生成量を示す図である。 図3Dは、たばこ刻みをメンソールの存在下において種々の熟成期間にわたって熟成させた場合の酢酸メンチル(menthyl acetate)の生成量を示す図である。 図3Eは、たばこ刻みをメンソールの存在下において種々の熟成期間にわたって熟成させた場合のイソ吉草酸メンチル(menthyl isovalerate)の生成量を示す図である。 図4Aは、種々のpHを有するたばこ刻みをエタノールの存在下において熟成させた場合のパルミチン酸エチル(ethyl palmitate)の生成量を示す図である。 図4Bは、種々のpHを有するたばこ刻みをエタノールの存在下において熟成させた場合のリノール酸エチル(ethyl linoleate)の生成量を示す図である。 図4Cは、種々のpHを有するたばこ刻みをメンソールの存在下において熟成させた場合のギ酸メンチル(menthyl formate)の生成量を示す図である。 図4Dは、種々のpHを有するたばこ刻みをメンソールの存在下において熟成させた場合の酢酸メンチル(menthyl acetate)の生成量を示す図である。 図4Eは、種々のpHを有するたばこ刻みをメンソールの存在下において熟成させた場合のイソ吉草酸メンチル(menthyl isovalerate)の生成量を示す図である。 図4Fは、種々のpHを有するたばこ刻みをメンソールの存在下において熟成させた場合のメントン(menthone)の生成量を示す図である。 図4Gは、種々のpHを有するたばこ刻みをベンジルアルコールの存在下において熟成させた場合のベンズアルデヒド(benzaldehyde)の生成量を示す図である。 図4Hは、種々のpHを有するたばこ刻みを熟成させた場合のフィトール(phytol)の生成量を示す図である。 図4Iは、種々のpHを有するたばこ刻みを熟成させた場合のフルフラール(furfural)の生成量を示す図である。 図4Jは、種々のpHを有するたばこ刻みを熟成させた場合のマルトール(maltol)の生成量を示す図である。 図4Kは、種々のpHを有するたばこ刻みに熟成させた場合のメチルピラジン(methylpyrazine)の生成量を示す図である。 図5Aは、種々の添加量で水を添加したたばこ刻みをエタノールの存在下において熟成させた場合のパルミチン酸エチル(ethyl palmitate)の生成量を示す図である。 図5Bは、種々の添加量で水を添加したたばこ刻みをエタノールの存在下において熟成させた場合のリノール酸エチル(ethyl linoleate)の生成量を示す図である。 図5Cは、種々の添加量で水を添加したたばこ刻みをメンソールの存在下において熟成させた場合のギ酸メンチル(menthyl formate)の生成量を示す図である。 図5Dは、種々の添加量で水を添加したたばこ刻みをメンソールの存在下において熟成させた場合の酢酸メンチル(menthyl acetate)の生成量を示す図である。 図5Eは、種々の添加量で水を添加したたばこ刻みをメンソールの存在下において熟成させた場合のイソ吉草酸メンチル(menthyl isovalerate)の生成量を示す図である。 図6Aは、たばこ刻みを種々の濃度のエタノールの存在下において熟成させた場合のパルミチン酸エチル(ethyl palmitate)の生成量を示す図である。 図6Bは、たばこ刻みを種々の濃度のエタノールの存在下において熟成させた場合のリノール酸エチル(ethyl linoleate)の生成量を示す図である。 図6Cは、たばこ刻みを種々の濃度のメンソールの存在下において熟成させた場合のギ酸メンチル(menthyl formate)の生成量を示す図である。 図6Dは、たばこ刻みを種々の濃度のメンソールの存在下において熟成させた場合の酢酸メンチル(menthyl acetate)の生成量を示す図である。 図7Aは、パルミチン酸エチル(ethyl palmitate)の生成に対するポリオールの抑制効果を示す図である。 図7Bは、ステアリン酸エチル(ethyl stearate)の生成に対するポリオールの抑制効果を示す図である。 図7Cは、リノール酸エチル(ethyl linoleate)の生成に対するポリオールの抑制効果を示す図である。 図7Dは、リノレン酸エチル(ethyl linolenate)の生成に対するポリオールの抑制効果を示す図である。 図7Eは、ギ酸メンチル(menthyl formate)の生成に対するポリオールの抑制効果を示す図である。 図7Fは、酢酸メンチル(menthyl acetate)の生成に対するポリオールの抑制効果を示す図である。 図7Gは、イソ吉草酸メンチル(menthyl isovalerate)の生成に対するポリオールの抑制効果を示す図である。 図7Hは、吉草酸エチル(ethyl valerate)の生成に対するポリオールの抑制効果を示す図である。 図7Iは、n-ヘキサン酸エチル(ethyl n-hexanoate)の生成に対するポリオールの抑制効果を示す図である。 図7Jは、クロトン酸エチル(ethyl crotonate)の生成に対するポリオールの抑制効果を示す図である。 図7Kは、酢酸メチル(methyl acetate)の生成に対するポリオールの抑制効果を示す図である。 図7Lは、酢酸ベンジル(benzyl acetate)の生成に対するポリオールの抑制効果を示す図である。 図7Mは、酢酸フェニルエチル(phenylethyl acetate)の生成に対するポリオールの抑制効果を示す図である。 図8Aは、パルミチン酸エチル(ethyl palmitate)の生成に対するポリオールの抑制効果を示す図である。 図8Bは、ステアリン酸エチル(ethyl stearate)の生成に対するポリオールの抑制効果を示す図である。 図8Cは、リノール酸エチル(ethyl linoleate)の生成に対するポリオールの抑制効果を示す図である。 図8Dは、リノレン酸エチル(ethyl linolenate)の生成に対するポリオールの抑制効果を示す図である。 図8Eは、ギ酸メンチル(menthyl formate)の生成に対するポリオールの抑制効果を示す図である。 図8Fは、酢酸メンチル(menthyl acetate)の生成に対するポリオールの抑制効果を示す図である。 図8Gは、イソ吉草酸メンチル(menthyl isovalerate)の生成に対するポリオールの抑制効果を示す図である。 図8Hは、吉草酸エチル(ethyl valerate)の生成に対するポリオールの抑制効果を示す図である。 図8Iは、n-ヘキサン酸エチル(ethyl n-hexanoate)の生成に対するポリオールの抑制効果を示す図である。 図8Jは、クロトン酸エチル(ethyl crotonate)の生成に対するポリオールの抑制効果を示す図である。 図8Kは、酢酸ベンジル(benzyl acetate)の生成に対するポリオールの抑制効果を示す図である。 図8Lは、酢酸フェニルエチル(phenylethyl acetate)の生成に対するポリオールの抑制効果を示す図である。 図9は、各種アルコールを黄色種たばこ刻みに添加し、40℃1週間熟成させた刻みのSPME-GCMSスペクトルを示す図である。 図10は、各種酸とエタノールを黄色種たばこ刻みに添加し、40℃1週間熟成させた刻みのSPME-GCMSスペクトルを示す図である。 図11Aは、各種精油またはエキス香料を黄色種たばこ刻みに添加し、40℃1週間熟成させた刻みのジクロロメタン抽出GCMSスペクトルを示す図である。 図11Bは、各種精油またはエキス香料を黄色種たばこ刻みに添加し、40℃1週間熟成させた刻みのSPME-GCMSスペクトルを示す図である。
 以下、本発明について詳細に説明するが、以下の説明は、本発明を限定することを意図しない。
 本発明のたばこ材料の製造方法は、たばこ製品の製造に使用される直前のたばこ刻みを、大気雰囲気中、密閉条件下で熟成させる工程と、前記熟成工程後のたばこ刻みにポリオールを添加する工程を含む。この方法は、熟成工程で、たばこ刻みが有している成分からエステル香気成分及び香喫味に寄与する成分の生成が起こり、その後のポリオールの添加により、エステル香気成分及び香喫味に寄与する成分の更なる生成は抑制される。これにより、増強されたエステル香気成分及び香喫味に寄与する成分の組成が経時的に変化しにくいたばこ材料が製造される。
 また、好ましい態様によれば、本発明のたばこ材料の製造方法は、たばこ製品の製造に使用される直前のたばこ刻みを、大気雰囲気中、密閉条件下で、エステル香気成分または香喫味に寄与する成分の基質(たとえばアルコール)の存在下において熟成させる工程と、前記熟成工程後のたばこ刻みにポリオールを添加する工程を含む。この方法は、熟成工程で、アルコールとたばこ刻みが有している成分との両方から、とりわけエステル香気成分の生成が起こり、その後のポリオールの添加により、エステル香気成分の更なる生成は抑制される。これにより、増強されたエステル香気成分の組成が経時的に変化しにくいたばこ材料が製造される。
 本明細書において、たばこの香喫味成分は、「エステル香気成分」と「エステル香気成分以外の香喫味成分」とに分けて言及される。すなわち、本明細書において、たばこの香喫味成分を「エステル香気成分及び香喫味に寄与する成分」と表現した場合、後者の「香喫味に寄与する成分」は、「エステル香気成分以外の香喫味成分」を指し、具体的には、酸化反応により得られる香喫味成分やアミノカルボニル反応により得られる香喫味成分などを指す。
 本発明で使用されるたばこ刻みは、任意の品種のものを使用することができ、たとえば黄色種、バーレー種、オリエント種の除骨葉と中骨、及びこれら原料から構成される再生シートなどを使用することができる。「たばこ製品の製造に使用される直前のたばこ刻み」とは、農家での乾燥工程、その後の原料工場での1年ないし数年の長期熟成工程、およびその後の製造工場でのブレンドおよび裁刻など種々の加工処理を経て、たばこ製品の製造のための準備が整ったたばこ刻みを指す。たばこ製品がシガレットの場合、「たばこ製品の製造に使用される直前のたばこ刻み」は、「シガレットの巻上げ工程直前のたばこ刻み」である。本発明で使用されるたばこ刻みは、除骨葉の場合、一般に通常のラミナ刻で裁刻幅0.6~1mm、長さは最大葉っぱのサイズで25cmくらいのサイズを有することができる。以下の説明において「たばこ製品の製造に使用される直前のたばこ刻み」を、単に「たばこ刻み」という。
 本発明では、熟成のために、たばこ刻みを大気雰囲気中、密閉条件下に置く。すなわち、たばこ刻みを、気密性を有する容器内に入れて、たばこ刻みの表面が大気に接している状況下に置く。密閉容器は、任意の容量であってもよいが、容器内の温度を制御可能なものが好ましい。たばこ刻みは、その表面が大気に接していることが求められるため、容器内でたばこ刻みを上から押さえて詰め込むことは好ましくない。たばこ刻みは、たとえば、容器の容量の約50~80%を占める程度に容器内に入れることができる。
 本方法の熟成条件として、温度は、一般に、室温~70℃(具体的には20~70℃)の範囲から選択することができる(図1A~1B、2A~2Jを参照)。図1Aおよび図1Bの結果から、熟成温度の上昇に伴い、短鎖脂肪酸メチルエステルおよび芳香族エステルの生成量は増大したため、熟成温度は、一般に20~70℃、好ましくは30~70℃、より好ましくは40~70℃とすることができる。
 エステル香気成分及び香喫味に寄与する成分は、熟成の間に、
 (i)たばこ刻みが有している内在酵素による酵素反応(たとえば、エステル加水分解酵素の逆反応など)および/または
 (ii)化学的反応(たとえば、脱水反応によるエステル生成、酸化反応によるメンソール酸化物などの生成、アミノカルボニル反応によるフラン類、レダクトン類、ピラジン類などの生成)
により生成される。
 したがって、増強したいエステル香気成分及び香喫味に寄与する成分が、主に(i)酵素反応により生じる場合、温度は、室温~50℃(具体的には20~50℃)とすることができ、一方、増強したいエステル香気成分及び香喫味に寄与する成分が、主に(ii)化学的反応により生じる場合、温度は、60~70℃とすることができる。あるいは、増強したいエステル香気成分及び香喫味に寄与する成分が、(i)酵素反応と(ii)化学的反応の両方により生じる場合、温度は、室温~70℃(具体的には20~70℃)とすることができる。
 本方法の熟成条件として、熟成期間は、一般に1週間~3ヶ月、たとえば1~15週間の範囲から選択することができる(図3A~3Eを参照)。
 本方法の熟成条件として、たばこ刻みのpHは、一般に、2~8の間で任意に設定することができる(図4A~4Kを参照)。図4A~4Eの結果より、各種エステル成分の生成は、pH2~7のたばこ刻みを採用した場合に観察されたこと、および本発明の方法で使用されるたばこ刻みは、本来pH5~6の値を有していることを考慮すると、種々のエステル香気成分を増強したい場合、たばこ刻みをpH調整の処理を施すことなく使用することができる。また、図4A~4Eの結果より、各種エステル成分の生成は、pH2~3のたばこ刻みを採用した場合にも観察され、特にギ酸メンチル(図4C)、酢酸メンチル(図4D)のようにpH2付近で優位に生成する。そこで、種々のエステル成分を増強したい場合、たばこ刻みのpHを2~8の間で任意に設定して熟成することにより、所望のエステル香気成分の組成を持つ刻みを得ることができる。
 また、図4F~4Kの結果より、酸化反応生成物(たとえばメントン、ベンズアルデヒドなど)、酸で分解する成分(フィトールなど)、アミノカルボニル反応生成物(フルフラールなどのフラン類、マルトールなどのレダクトン類、メチルピラジンなどのピラジン類を含む)など香喫味に寄与する成分の組成を制御したい場合にも、エステル香気成分の場合と同様にたばこ刻みのpHを2~8の間で任意に設定して熟成することにより、所望の香喫味に寄与する成分の組成を持つ刻みを得ることができる。
 なお、熟成工程前のたばこ刻みのpHと熟成工程後のたばこ刻みのpHに大きな変動がないことを本発明者らは実験により確認した。すなわち、本発明の方法では、熟成工程の間にたばこ刻みのpHはほとんど変動しない。
 本方法の熟成条件として、たばこ刻みへの水分の添加(加湿)は、基本的にはエステル香気成分の生成を抑制するため、たばこ刻みに水を添加しないことが好ましい(図5A~5Cを参照)。本発明の方法で使用されるたばこ刻みは、本来10~15重量%の水分を保持している。ただし、バーレー種のたばこ刻みに水を添加すると、酢酸メンチルやイソ吉草酸メンチルなどの短鎖脂肪酸のエステル香気成分の生成が増大する(図5Dおよび5Eを参照)。このため、必要な場合には(すなわち水分の添加が所望のエステル香気成分及び香喫味に寄与する成分の生成を促進する場合には)、たばこ刻みに水分を添加してもよい。この場合、水分は、一般に、たばこ刻み中の水分が80重量%になるまでの範囲で添加することができる。たとえば、水分は、たばこ刻み1gに対して0.2~1mLの量で添加することができる。水分の添加は、噴霧等、たばこ製造工程で使用されている一般的な方法により、たばこ刻み全体に水分が行き渡るように行うことが好ましい。
 本方法の熟成条件として、好ましくは、アルコール、酸、精油およびエキス香料から選択される少なくとも一つの添加物の存在下で熟成が行われる。具体的には、熟成工程の前に、たばこ刻みに添加物を添加する。アルコール、精油、エキス香料は、原液のまま添加してもよいし、希釈液で添加してもよく、酸は、酸含有溶液として添加され得る。この添加物の添加により、エステル香気成分及び香喫味に寄与する成分の基質成分の量を増やし、これにより生成されるエステル香気成分及び香喫味に寄与する成分の量を増大させたり、種類を増やしたりすることができる。
 添加物としては、エタノール、メンソール、ベンジルアルコール、イソブチルアルコール、n-ブタノール、イソアミルアルコール、n-ヘキサノールなどのアルコール;イソブチリックアシッド、3-メチルブチリックアシッド、n-ヘキサノイックアシッド、オクタノイックアシッドなどの酸;およびラム、ペパーミントオイル、スペアミントオイル、和製薄荷オイル、ローズマリーオイル、リコリスエキス、セントジョンズエキス、ココアなどの精油またはエキス香料から選択される少なくとも一つを使用することができる。精油またはエキス香料は、天然物香料であり、エステル香気成分及び香喫味に寄与する成分の基質(たとえば、アルコールおよび/または酸)を含む。これら添加物の種類に応じて、異なるエステル香気成分及び香喫味に寄与する成分を増大させることができる。たとえば、エタノールを添加することにより、各種のエチルエステル類、具体的には、酢酸エチル、クロトン酸エチル、ヘキサン酸エチル、パルミチン酸エチル、リノール酸エチルなどの脂肪酸とエタノールとのエステルを増大させることができる。同様に、添加するアルコール、酸、及びこれらを含む天然物香料と、たばこ刻みに本来含まれている酸、アルコールとの組合せにより、各種エステル香気成分を増強することができる。
 また、これら添加物に含まれる成分は、酸化、アミノカルボニル反応の基質となり、香喫味に寄与する成分となる。たとえば、酸化によりメンソールはメントン、ベンジルアルコールはベンズアルデヒド、安息香酸となり、たばこの香喫味を変調させる。アミノカルボニル反応により、リコリスエキスに含まれるグルコース、フルクトース、マルトースなどは、シクロテン、フルフリルアルコール、マルトールその他アミノカルボニル反応生成物となり、たばこの香喫味を変調させる。
 本発明では、複数種類の添加物の組み合わせ、たとえばエタノールとメンソール、エタノールと酪酸などの組み合わせを使用してもよい。
 添加物は、一般に、たばこ刻みに対して10重量%以下、好ましくは0.4~10重量%、より好ましくは1~10重量%、より好ましくは1~5重量%の量で添加することができる。複数種類の添加物を添加する場合、各添加物をたばこ刻みに対して10重量%以下、好ましくは1~10重量%、より好ましくは1~5重量%の量で添加することができる。添加物の添加は、噴霧等、たばこ製造工程で使用されている一般的な方法により、たばこ刻み全体に、添加物の溶液または添加物含有溶液が行き渡るように行うことが好ましい。たとえば、エタノールは、好ましくは、たばこ刻みに対して1~10重量%、より好ましくは1~5重量%、より好ましくは2~4重量%の量で添加することができる(図6Aおよび6Bを参照)。メンソールは、好ましくは、たばこ刻みに対して1~10重量%、より好ましくは4~10重量%の量で添加することができる(図6Cおよび6Dを参照)。
 たばこ刻みは、ギ酸、酢酸、吉草酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの脂肪酸;メタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコールなどのアルコールを葉に含有している。したがって、本発明の方法においてアルコールをたばこ刻みに添加しなくても、たばこ刻みが含有している成分から、酢酸メチル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル、パルミチン酸メチルなどのエステル香気成分及び香喫味に寄与する成分を増強することができる。
 本方法の熟成工程で、上述の添加物をたばこ刻みに添加した場合、添加物がエステル香気成分及び香喫味に寄与する成分の基質として使用され得るため、エステル香気成分及び香喫味に寄与する成分を更に増強することができる。
 好ましい態様において、2つ以上の密閉容器を用意し、それぞれの容器内でたばこ刻みを異なる条件で熟成し、必要なエステル香気成分および香喫味に寄与する成分を増強させ、たばこ刻みを、熟成後混合することにより、多種類のエステル香気成分及び香喫味に寄与する成分を増強したたばこ材料を製造することができる。たとえば、2つの密閉容器を使用して、一方の密閉容器には、バーレー種葉たばこ刻みに対してエタノールを2%添加し、20~50℃の温度および1~2週間の熟成期間を採用して本発明の方法を実施し、主にエステル香気成分を中心に香喫味寄与成分の増強を行う。他方の密閉容器には黄色種葉たばこ刻みにたいして60~70℃の温度および5~10週間の熟成期間を採用して本発明の方法を実施し、主に酸化生成物及びアミノカルボニル反応生成物を中心に香喫味寄与成分を増強する。このように、密閉容器ごとに異なる組成を有するエステル香気成分及び香喫味に寄与する成分を増強させ、各密閉容器から得られたたばこ刻みを混合してもよい。これにより、多種類のエステル香気成分及び香喫味に寄与する成分を、望まれる組成で増強したたばこ材料を製造することができる。
 本発明の方法では、熟成工程後、たばこ刻みにポリオールを添加する。ポリオールとしては、プロピレングリコール、グリセリン、またはこれらの混合物を使用することができる。ポリオールは、たばこ刻みに対して0.1~5重量%の量で添加することができる。ポリオールの添加は、噴霧等、たばこ製造工程で使用されている一般的な方法により、たばこ刻み全体にポリオールが行き渡るように行うことが好ましい。
 ポリオール(たとえばグリセリン)は、従来、たばこ刻みの保湿性、保香性を担保する目的のために、刻みケーシング(第1香料の添加)の段階でたばこ刻みに添加されている物質であるため、たばこ刻みに適用することに問題はない。
 ポリオールは、後述の実施例に示されるとおり、エステル香気成分の生成を抑制する機能を有する。このため、熟成工程の後にポリオールを添加することにより、更なるエステル香気成分の生成を抑制することができ、これにより、本発明は、熟成工程で生成されたエステル香気成分の組成が経時的に変化しにくいという効果を有する。
 本発明の方法は、後述の実施例で実証されるとおり、熟成条件を変化させることにより、生成されるエステル香気成分及び香喫味に寄与する成分の組成を変化させることができる。したがって、当業者であれば、生成させたいエステル香気成分及び香喫味に寄与する成分に依存して、熟成条件を適宜設計することができる。
 たばこ原料の種類によって刻みの持つ内容成分(脂肪酸、還元糖など)の組成が異なるため、本発明の方法に従ってたばこ刻みを熟成させた場合、たばこ原料の種類によって、エステル香気成分および香喫味に寄与する成分の生成量比は異なってくる。これらの生成パターンを鑑みて、たばこ原料の種類を選択し、添加する添加物(たとえばアルコール)、温度、時間、pH、水分などの熟成条件を変えることで、エステル香気成分及び香喫味に寄与する成分の組成を任意に変えることができる。
 本発明の方法では、上述のとおり、複数の密閉容器を使用して複数の熟成条件を採用してもよい。すなわち、複数の密閉容器(たとえば2~3個の密閉容器)を用意し、各密閉容器について異なる熟成条件を採用して本発明の方法を実施し、密閉容器ごとに異なる組成を有するエステル香気成分及び香喫味に寄与する成分を増強させ、各密閉容器から得られたたばこ刻みを混合してもよい。複数の密閉容器を使用することにより、エステル香気成分及び香喫味に寄与する成分の組成のバリエーションを増やすことができる。
 このように、一つの密閉容器を使用する場合であっても、複数の密閉容器を使用する場合であっても、種々の熟成条件を採用することにより、種々のエステル香気成分及び香喫味に寄与する成分を増強させたたばこ材料を製造することができる。たとえば、本発明の方法に従って、以下から選択される種々のエステル香気成分及び香喫味に寄与する成分を増強させたたばこ材料を製造することができる。
 1)エステル類
・短鎖脂肪酸エステル、たとえばクロトン酸エチル、ヘキサン酸エチル
・長鎖脂肪酸エステル、たとえばパルミチン酸エチル、リノール酸エチル
・コハク酸エチル
・短鎖脂肪酸メンチル、たとえばギ酸メンチル、酢酸メンチル、イソ吉草酸メンチル
・芳香族エステル、たとえば酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル
 2)酸化生成物
・メントン、イソメントン
・ベンズアルデヒド、安息香酸
 3)アミノカルボニル反応生成物
・フラン類、たとえばフルフラール、アセチルフラン、フルフリルアルコール、5-ヒドロキシメチルフルフラール
・レダクトン類、たとえばシクロテン、マルトール、フラネオール
・ピラジン類、たとえばピラジン、メチルピラジン、ジメチルピラジン
 4)その他
・デュバドリエンジオール分解物、フィトール分解物、ダマセノン。
 上述のエステル香気成分及び香喫味に寄与する成分がどのような香喫味に寄与しているかは当業者に公知であり、たとえばエステル類のヘキサン酸エチルはフローラルな花様香気を持ちシガレットの香りに寄与し、パルミチン酸エチルはシガレットの刺激を緩和する効果を持つ。酸化生成物であるメントンは、爽やかなミント様香気を持ち、アミノカルボニル反応生成物であるシクロテンはメープルシロップ様の強い甘臭味、ジメチルピラジンは焙煎様の香ばしい味・香りに寄与する。
 本発明の方法により製造されたたばこ材料は、任意のたばこ製品の材料として、たとえば、シガレットなどの喫煙製品;かぎたばこ、かみたばこなどのスモークレスたばこ製品の材料として使用することができる。本発明の方法により製造されたたばこ材料は、たばこ製品中のたばこ材料の全体として使用されてもよいし、たばこ製品中のたばこ材料の一部として使用されてもよい。本発明により得られるたばこ材料は、たばこ製品中のたばこ材料の一部として使用される場合、任意の割合で使用することができる。
 本発明の方法により得られるたばこ材料は、熟成工程で生成されたエステル香気成分及び香喫味に寄与する成分の組成が経時的に変化しにくいため、たばこ製品に使用した場合、増強した香喫味を感じることができた(後述の実施例10および11を参照)。
 実施例1:エステル香気成分および香喫味に寄与する成分の分析
 エステル香気成分および香喫味に寄与する成分を簡易的に分析する手法を構築した。刻み内容成分全体のプロファイルを簡易的に取得する目的でジクロロメタン抽出―質量分析計付きガスクロマトグラフィー法(DCM-GCMS)を採用した。また、この方法では検出が困難な低極性・低質量あるいは量が少なく濃縮が必要な成分の分析に対して、固相マイクロ抽出―質量分析計付きガスクロマトグラフィー法(SPME-GCMS)を採用した。
 1-1.ジクロロメタン抽出―質量分析計付きガスクロマトグラフィー法(DCM-GCMS)
 たばこ刻み0.5gをガラス製スクリューバイアル(20mL容量)に精確にはかりとり、p-ブロモフェネチルアルコールのアセトニトリル溶液(1mg/mL)25μLを内部標準物質として、抽出溶媒としてジクロロメタン10mLを加えて蓋をし、室温で60分間、200rpmで振とう抽出した。この上澄みを0.45μmメンブランフィルターでろ過後GCバイアルに移し、オートサンプラー付きGCMSにより分析した。得られたGCクロマトグラムの分析対象成分とp-ブロモフェネチルアルコールのピーク面積の比を求めた値で各刻サンプル中に含まれる分析対象成分の量を比較した。
 <分析条件>
   装置: アジレント社製ガスクロマトグラフ分析装置(6890N)
       アジレント社製質量検出器(5973N)
   注入量: 1μL(パルスドスプリットレスモードで注入)
   カラム: アジレント社製HP-INNOWAX(30mx0.25mm(膜厚0.25μm))
   オーブン: 40℃→260℃(5℃/min)
   質量検出器: TICモード(質量数29~550)
 <分析対象成分>
   エステル類:パルミチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、パルミチン酸エチル、
         ステアリン酸エチル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、
         リノレン酸エチル、酢酸(モノ・ジ・トリ)グリセリド、その他
   酸化生成物:メントン、イソメントン、ベンズアルデヒド、安息香酸、
         パルミチン酸等長鎖脂肪酸、その他
   アミノカルボニル反応生成物:アセトール、アセトイン、アセチルピロール、
         5-ヒドロキシメチルー2-フルフラール(5-HMF)、その他
   その他:  フィトール、デュバトリエンジオール、グリセリン、
         プロピレングリコール等。
 1-2.固相マイクロ抽出―質量分析計付きガスクロマトグラフィー法(SPME-GCMS)
 たばこ刻み0.5gをSPMEバイアル(20mL容量)に精確にはかりとり、バイアルキャップを取り付け密封し、SPME自動導入装置付きGCMSにより分析した。
 また、別のSPMEバイアルにp-ブロモフェネチルアルコールのアセトニトリル溶液(1mg/mL)25μLを加えたサンプルを同様に分析し、分析対象成分とp-ブロモフェネチルアルコールのピーク面積の比を求め、求めた値で、各刻サンプル中に含まれる分析対象成分の量を比較した。このため、本発明で測定された分析対象成分の量(図2A~2J、図3A~3E、図4A~4K、図5A~5E、図6A~図6D、図7A~7M、図8A~8Lの縦軸)は、相対的な量を表す。
 <分析条件>
   装置: アジレント社製ガスクロマトグラフ分析装置(6890A)
       CTC Analytics製SPME自動導入装置(Combi PAL)
       アジレント社製質量検出器(5973N)
   注入量: 1μL(パルスドスプリットレスモードで注入)
   カラム: INNOWAX
   オーブン: 40℃→250℃(3℃/min)
   質量検出器: TICモード(質量数29~550)
 <分析対象成分>
   エステル類:(酢酸メチル(C2-Me))、イソ吉相酸メチル(isoC4-Me)、
         吉相酸メチル(n-C4-Et)、ヘキサン酸メチル(n-C6-Me)、
         フェニル酢酸メチル、イソ吉相酸エチル、
         吉相酸エチル、クロトン酸エチル、ヘキサン酸エチル、
         ヘプタン酸エチル、オクタン酸エチル、ノナン酸エチル、
         デカン酸エチル、ギ酸メンチル、酢酸メンチル、
         イソ吉相酸メンチル、ギ酸ベンジル、ギ酸フェネチル、
         酢酸ベンジル、酢酸フェネチル、その他
   酸化生成物:酢酸等短鎖脂肪酸、ベンズアルデヒド、安息香酸、フェニル酢酸、
         その他
   アミノカルボニル反応生成物:フルフラール、アセチルフラン、
         5-メチルフルフラール、2-フランメタノール、シクロテン、
         マルトール、フラネオール、ピラジン、メチルピラジン、
         2,5-ジメチルピラジン、2,6-ジメチルピラジン、その他。
 実施例2:アルコールの非存在下での熟成温度の効果
 2-1.熟成
 巻上げ工程直前のたばこ刻み1gを、温度制御可能な密閉容器(ガラススクリューバイアル-5mL)内に、種々の温度で1週間置いた。たばこ刻みとしては、ブラジル産バーレー種またはブラジル産黄色種の何れかを使用した。熟成温度として、5℃、22℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃を採用した。コントロールとして、熟成処理を行っていないたばこ刻みを使用した。
 2-2.分析
 実施例1に記載の方法により、エステル香気成分及び香喫味に寄与する成分の分析を行った。
 2-3.結果
 短鎖脂肪酸メチルエステルおよび芳香族エステルの分析結果を、それぞれ図1Aおよび1Bに示す。図1Aおよび1Bにおいて、左側はバーレー種の分析結果であり、右側は黄色種の分析結果である。
 図1AにおいてC2-Meは、酢酸メチル、isoC4-Meは、イソ吉草酸メチル、n-C4-Meは、吉草酸メチル、n-C6-Meは、ヘキサン酸メチルを示す。
 図1Aの結果より、温度の上昇に伴い、短鎖脂肪酸メチルエステルの生成量は増大する傾向がみられた。50℃および60℃の条件下で、短鎖脂肪酸メチルエステルの生成量はとりわけ高かった。バーレー種および黄色種の何れにおいても、C2-Me(酢酸メチル)の生成量が最も高かった。バーレー種では、イソ吉相酸メチル(isoC4-Me)が検出されたが、黄色種では検出されなかった。
 図1Bの結果より、温度の上昇に伴い、とりわけフェニル酢酸メチル(methyl phenylacetate)の生成量が増大した。バーレー種では、フェニル酢酸メチルに加えて、酢酸ベンジル(benzylacetate)および酢酸フェネチル(phenethylacetate)の温度の上昇に伴う生成量の増加が確認された。黄色種では、フェニル酢酸メチルに加えて、酢酸ベンジル(benzylacetate)、ギ酸フェネチル(phenetylformate)、酢酸フェネチル(phenethylacetate)の温度の上昇に伴う生成量の増加が確認された。
 実施例3:アルコールの存在下での熟成温度の効果
 3-1.熟成工程
 巻上げ工程直前のたばこ刻み1gを、温度制御可能な密閉容器(ガラススクリューバイアル-5mL)内に、種々の温度で1週間置いた。たばこ刻みとしては、ブラジル産バーレー種またはブラジル産黄色種の何れかを使用した。熟成温度として、-40℃、5℃、22℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、60℃または70℃を採用した。
 熟成前に、たばこ刻みの重量に対して2重量%のエタノールおよび1重量%のメンソール相当のメンソール/エタノール溶液をシリンジ注入により添加した。
 3-2.分析
 実施例1に記載の方法により、エステル香気成分及び香喫味に寄与する成分の分析を行った。
 3-3.結果
 分析結果を図2A~2Jに示す。図中、黒丸はバーレー種を示し、白丸は黄色種を示す。
 図2A~2Bの結果から、クロトン酸エチルは、50℃以上、好ましくは60℃以上、より好ましくは60~70℃の温度で高い生成量を示し;パルミチン酸エチルは、20℃以上、好ましくは20~50℃の温度で高い生成量を示した。
 図2C~2Eの結果から、ギ酸メンチルは、60℃以上、好ましくは60~70℃の温度で高い生成量を示し;酢酸メンチルは、20℃以上、好ましくは20~50℃の温度で高い生成量を示し;イソ吉草酸メンチルは、20~60℃、好ましくは30~50℃の温度で高い生成量を示した。
 図2F~2Gの結果から、メントンは、60℃以上、好ましくは60~70℃の温度で高い生成量を示し;ベンズアルデヒドは、20℃以上、好ましくは60℃以上、より好ましくは60~70℃の温度で高い生成量を示した。
 図2H~2Jの結果から、フルフラール、マルトールおよびメチルピラジンはいずれも、60℃以上、好ましくは60~70℃の温度で高い生成量を示した。また、黄色種のたばこ刻みは、フラン類やレダクトン類の生成が優位であり、一方、バーレー種のたばこ刻みは、ピラジン類の生成が優位であった。
 実施例4:アルコールの存在下での熟成期間の効果
 4-1.熟成工程
 巻上げ工程直前のたばこ刻み1gを、温度制御可能な密閉容器(ガラススクリューバイアル-5mL)内に、40℃の温度で種々の熟成期間の間置いた。たばこ刻みとしては、ブラジル産バーレー種またはブラジル産黄色種の何れかを使用した。熟成期間として、0、1週間、2週間、4週間、8週間または12週間を採用した。
 熟成前に、たばこ刻みの重量に対して2重量%のエタノールおよび1重量%のメンソールを、エタノールはシリンジにより、メンソールは粉末の状態で、所定量を秤りとり刻みに添加した。添加、密封後に容器内の刻みを良く攪拌し、均一化した。
 4-2.分析
 実施例1に記載の方法により、エステル香気成分及び香喫味に寄与する成分の分析を行った。
 4-3.結果
 分析結果を図3A~3Eに示す。図中、黒丸はバーレー種を示し、白丸は黄色種を示す。
 図3A~3Bの結果から、クロトン酸エチルは、5週間以上、好ましくは5~12週間の熟成期間で高い生成量を示し;パルミチン酸エチルは、1~5週間、好ましくは1~2週間の熟成期間で高い生成量を示した。
 図3C~3Eの結果から、ギ酸メンチル、酢酸メンチル、イソ吉草酸メンチルは、いずれも、1週間以上、好ましくは1~5週間の熟成期間で高い生成量を示した。
 実施例5:アルコールの存在下でのたばこ刻みpHの効果
 5-1.熟成工程
 本実施例では、巻上げ工程直前のたばこ刻みを材料として、種々のpHのたばこ刻みを調製した。具体的には、pH調整は、1N硫酸水溶液または1N水酸化ナトリウム水溶液の所定量を刻みにスプレー噴霧し均一に混和することにより行った。
 pH調整されたたばこ刻み1gを、温度制御可能な密閉容器(ガラススクリューバイアル-5mL)内に、40℃の温度で1週間置いて熟成させた。たばこ刻みとしては、ブラジル産バーレー種またはブラジル産黄色種の何れかを使用した。たばこ刻みのpHは、2~10の範囲で設定した。
 熟成前に、たばこ刻みの重量に対して2重量%のエタノールおよび1重量%のメンソールを、エタノールはシリンジにより、メンソールは粉末の状態で、所定量を秤りとり、pH調整済みの刻みに添加した。添加、密封後に容器内の刻みを良く攪拌し、均一化した。
 5-2.分析
 実施例1に記載の方法により、エステル香気成分及び香喫味に寄与する成分の分析を行った。
 また、たばこ刻みのpHは、刻み0.5gに蒸留水10mLを加え、30分間・200rpm振とう抽出した上澄みをpHメーター(メトラートレド)により測定した。
 5-3.結果
 分析結果を図4A~4Kに示す。図中、黒丸はバーレー種を示し、白丸は黄色種を示す。
 図4A~4Bの結果から、エチルエステル類(パルミチン酸エチル、リノール酸エチル)は、pH3以下(好ましくはpH2~3)または4~7の何れのたばこ刻みを使用した場合にも高い生成量を示した。
 図4C~4Eの結果から、ギ酸メンチルは、pH3以下(好ましくはpH2~3)のたばこ刻みを使用した場合に高い生成量を示し;酢酸メンチル、イソ吉草酸メンチルは、pH3以下(好ましくはpH2~3)または4~7の何れのたばこ刻みを使用した場合にも高い生成量を示した。
 図4F~4Gの結果から、メントン、ベンズアルデヒドは、pH4以下(好ましくはpH2~3)のたばこ刻みを使用した場合に高い生成量を示した。
 図4Hの結果から、フィトールは、pH4以下(好ましくはpH2~3)のたばこ刻みを使用した場合に分解する傾向を示した。
 図4I~4Kの結果から、フルフラールは、pH3以下(好ましくはpH2~3)のたばこ刻みを使用した場合に高い生成量を示し;マルトールは、pH5以下(好ましくはpH2~5)のたばこ刻みを使用した場合に高い生成量を示し;メチルピラジンは、pH7以上(好ましくはpH7~9)のたばこ刻みを使用した場合に高い生成量を示した。また、黄色種のたばこ刻みは、フラン類やレダクトン類の生成が優位であり、一方、バーレー種のたばこ刻みは、ピラジン類の生成が優位であった。
 実施例6:アルコールの存在下でのたばこ刻みの調湿効果
 6-1.熟成工程
 本実施例では、巻上げ工程直前のたばこ刻みに、種々の所定量の水を、スプレー噴霧し均一に混和することにより添加した。
 水分添加されたたばこ刻み1gを、温度制御可能な密閉容器(ガラススクリューバイアル-5mL)内に、40℃の温度で1週間置いて熟成させた。たばこ刻みとしては、ブラジル産バーレー種またはブラジル産黄色種の何れかを使用した。水分添加量として、たばこ刻み0.5gに対し、0μL、50μL、100μL、200μLを採用した。
 熟成前に、たばこ刻みの重量に対して2重量%のエタノールおよび1重量%のメンソールを、エタノールはシリンジにより、メンソールは粉末の状態で、所定量を秤りとり、水分を加えたたばこ刻みに添加した。添加、密封後に容器内の刻みを良く攪拌し、均一化した。
 6-2.分析
 実施例1に記載の方法により、エステル香気成分の分析を行った。
 6-3.結果
 分析結果を図5A~5Eに示す。図中、黒丸はバーレー種を示し、白丸は黄色種を示す。
 図5A~5Eの結果から、黄色種のたばこ刻みに水を添加した場合、パルミチン酸エチル、リノール酸エチルの生成は抑制され、ギ酸メンチル、酢酸メンチル、イソ吉草酸メンチルの生成に変化はみられなかった。一方、バーレー種のたばこ刻みに水を添加した場合、酢酸メンチル、イソ吉草酸メンチルの生成は増大した。
 実施例7:アルコール濃度の効果
 7-1.熟成工程
 巻上げ工程直前のたばこ刻み1gを、温度制御可能な密閉容器(ガラススクリューバイアル-5mL)内に、40℃の温度で1週間置いて熟成させた。たばこ刻みとしては、ブラジル産バーレー種またはブラジル産黄色種の何れかを使用した。
 熟成前に、種々の濃度のエタノールまたは種々の濃度のメンソールを、エタノールはシリンジにより、メンソールは粉末の状態で、所定量を秤りとり、たばこ刻みに添加した。添加、密封後に容器内の刻みを良く攪拌し、均一化した。エタノール濃度として、たばこ刻みに対し、1重量%、2重量%、4重量%、10重量%または40重量%を採用した。メンソール濃度として、たばこ刻みに対し、0.4重量%、1重量%、4重量%、10重量%を採用した。
 7-2.分析
 実施例1に記載の方法により、エステル香気成分の分析を行った。
 7-3.結果
 分析結果を図6A~6Dに示す。図中、黒丸はバーレー種を示し、白丸は黄色種を示す。
 図6A~6Dの結果から、基質としてエタノールをたばこ刻みに対して1~5重量%、より好ましくは2~4重量%の量で添加すると、パルミチン酸エチル、リノール酸エチルの生成量は顕著に増大した。また、基質としてメンソールをたばこ刻みに対して4~10重量%の量で添加すると、ギ酸メンチル、酢酸メンチルの生成量は顕著に増大した。
 実施例8:ポリオールの添加効果
 実施例8-A:熟成前におけるポリオール添加効果
 8-A1.ポリオール添加とその後の熟成
 巻上げ工程直前のたばこ刻みに対して、グリセリンとプロピレングリコールを4:1の割合で含む水溶液を、スプレー噴霧し均一に混和し、調和室(22℃・4日間)で調湿した刻みを作成した。たばこ刻みに対するグリセリンとプロピレングリコールの添加量はそれぞれ、2重量%と0.5重量%に設定した。更に、このたばこ刻みに対して2重量%のエタノールと1重量%のメンソール相当のメンソール/エタノール溶液をシリンジ注入により添加した。
 上述のとおり処理されたたばこ刻み1gを、温度制御可能な密閉容器(ガラススクリューバイアル-5mL)内に、40℃の温度で1週間置いて熟成させた。たばこ刻みとしては、ブラジル産バーレー種またはブラジル産黄色種の何れかを使用した。
 8-A2.分析
 実施例1に記載の方法により、エステル香気成分の分析を行った。
 8-A3.結果
 分析結果を図7A~7Mに示す。図7A~7Mは、それぞれ、左から順に、
 黄色種のたばこ刻みにポリオール(グリセリンとプロピレングリコール)を添加しなかった場合(-);
 黄色種のたばこ刻みにポリオール(グリセリンとプロピレングリコール)を添加した場合(+);
 バーレー種のたばこ刻みにポリオール(グリセリンとプロピレングリコール)を添加しなかった場合(-);
 バーレー種のたばこ刻みにポリオール(グリセリンとプロピレングリコール)を添加しなかった場合(-)
を示す。
 黄色種およびバーレー種の何れにおいても、ポリオールを添加することにより、量の多寡はあるものの各種エステルの生成が抑制されることが示された。
 実施例8-B:1週間熟成後におけるポリオール添加効果
 8-B1.熟成とその後のポリオール添加条件下での更なる熟成
 巻上げ工程直前のたばこ刻み1gをスクリューバイアル及びSPMEバイアルそれぞれに秤りとり、1重量%のエタノール、メンソール、或いはベンジルアルコールを添加した。エタノールおよびベンジルアルコールはシリンジにより、メンソールは粉末の状態で、所定量を秤りとり、添加、密封後に容器内の刻みを良く攪拌し、均一化した。
 上述のとおり処理されたたばこ刻み1gを40℃の温度で1週間置いて熟成させた。そののち、プロピレングリコールを、熟成させたたばこ刻みの入ったスクリューバイアル及びSPMEバイアルにシリンジ注入により添加し、さらに40℃の温度で1週間置いて熟成させた。添加濃度は、0、0.5、1、2、5重量%とした。たばこ刻みとしては、ブラジル産黄色種を使用した。
 8-B2.分析
 実施例1に記載の方法により、サンプルについて、エステル香気成分の分析を行った。
 8-B3.結果
 図8A~8Lのグラフは、それぞれ、左から順に、
 熟成を行わなかった刻み(0週コントロール(CTL-0W))、
 最初の1週間の熟成のみを行った1週熟成刻み(1W)、
 1週間の熟成後、プロピレングリコールを添加しないで更に1週間熟成を行った2週熟成刻み(PG0-2W)、
 1週間の熟成後、0.5重量%のプロピレングリコールを添加して更に1週間熟成を行った2週熟成刻み(PG0.5-2W)、
 1週間の熟成後、1重量%のプロピレングリコールを添加して更に1週間熟成を行った2週熟成刻み(PG1-2W)、
 1週間の熟成後、2重量%のプロピレングリコールを添加して更に1週間熟成を行った2週熟成刻み(PG2-2W)、
 1週間の熟成後、5重量%のプロピレングリコールを添加して更に1週間熟成を行った2週熟成刻み(PG5-2W)
の分析結果を示す。
 図8A~8Dは、エタノールを1重量%添加した刻みの熟成処理における各種長鎖脂肪酸のエチルエステル類の挙動を示している。図8A~8Dにおいて、1週熟成刻み(1W)に比べ、2週熟成刻み(PG0-2W)で、各種エチルエステル類の生成量が少なくなっているが、これは図3Bで示した経時変化挙動の傾向と一致する。プロピレングリコールを添加した2週熟成刻み(PG0.5-2W、PG1-2W、PG2-2WおよびPG5-2W)では、その濃度によらず2週経過時点でのエステル生成量が、プロピレングリコールを添加しなかった2週熟成刻み(PG0-2W)と比べて少なく、プロピレングリコールの添加により、エステル生成反応を抑制する傾向が示された。
 図8E~8Gは、メンソールを1重量%添加した刻みの熟成処理における各種短鎖脂肪酸のメンチルエステル類の挙動を示している。図8E~8Gにおいて、1週熟成刻み(1W)に比べ、2週熟成刻み(PG0-2W)で、各種メンチルエステル類の生成量が増加しているが、これは図3C~Eで示した経時変化挙動の傾向と一致する。プロピレングリコールを添加した2週熟成刻み(PG0.5-2W、PG1-2W、PG2-2WおよびPG5-2W)では、その濃度によらず2週経過時点でのエステル生成量が、プロピレングリコールを添加しなかった2週熟成刻み(PG0-2W)と比べて少なく、プロピレングリコールの添加により、エステル生成反応を抑制する傾向が示された。
 図8H~8Jは、エタノールを1重量%添加した刻みの熟成処理における各種短鎖脂肪酸のエチルエステル類の挙動を示している。図8H~8Jにおいて、1週熟成刻み(1W)に比べ、2週熟成刻み(PG0-2W)で、各種エチルエステル類の生成量が増加しているが、これは図3Aで示した経時変化挙動の傾向と一致する。プロピレングリコールを添加した2週熟成刻み(PG0.5-2W、PG1-2W、PG2-2WおよびPG5-2W)では、その濃度によらず2週経過時点でのエステル生成量が、プロピレングリコールを添加しなかった2週熟成刻み(PG0-2W)と比べて少なく、プロピレングリコールの添加により、エステル生成反応を抑制する傾向が示された。
 図8Kは、ベンジルアルコールを1重量%添加した刻みの熟成処理における酢酸ベンジルの挙動を示している。図8Kにおいて、1週熟成刻み(1W)と2週熟成刻み(PG0-2W)の酢酸ベンジル生成量はほぼ同量であり、プロピレングリコールを添加した2週熟成刻み(PG0.5-2W、PG1-2W、PG2-2WおよびPG5-2W)でもほぼ差異はないが、プロピレングリコール添加濃度の増加に伴い、若干のエステル生成反応抑制傾向が示された。
 図8Lは、アルコールを添加しない刻みの熟成処理における酢酸フェネチルの挙動を示している。1週熟成刻み(1W)と2週熟成刻み(PG0-2W)の酢酸フェネチルはほぼ同量であり、プロピレングリコールを添加した2週熟成刻み(PG0.5-2W、PG1-2W、PG2-2WおよびPG5-2W)でもほぼ差異はないが、プロピレングリコール添加濃度の増加に伴い、若干のエステル生成反応抑制傾向が示された。
 以上の結果から、ポリオールを添加することにより、量の多寡はあるものの各種エステルの生成が抑制される傾向が示された。
 実施例9:各種アルコールを加えて熟成を行ったときの香気成分の挙動
 9-1.熟成工程
 熟成前に、各種アルコールを添加したたばこ刻み1gを、温度制御可能な密閉容器(ガラススクリューバイアル-5mL)内に、40℃の温度で1週間置いて熟成させた。たばこ刻みとしては、ブラジル産黄色種を使用した。コントロールとして、アルコールを添加していないたばこ刻みを使用した。
 添加したアルコールの種類および添加濃度を以下に示す。
  イソブチルアルコール 2重量%
  n-ブタノール 2重量%
  イソアミルアルコール 2重量%
  n-ヘキサノール 2重量%
  プロピレングリコール 2重量%
  ベンジルアルコール 2重量%。
 9-2.分析
 実施例1に記載の方法により、エステル香気成分の分析を行った。
 9-3.結果
 各種アルコールを添加した熟成刻みサンプルの、ジクロロメタン抽出GCMSおよびSPME-GCMSクロマトグラムを、図9に示す。添加したアルコールの種類に対応したエステルの生成が確認された。
 図9において、「C1」はギ酸エステルを表し、「C2」は酢酸エステルを表し、「C5」は吉草酸エステルを表し、「C6」はヘキサン酸エステルを表す。
 実施例10:各種酸とエタノールを加えて熟成を行ったときの香気成分の挙動
 10-1.熟成工程
 熟成前に、各種酸とエタノールの両方を添加し、実施例9と同様にたばこ刻みを熟成させた。添加した酸の種類および添加濃度と、エタノールの添加濃度を以下に示す。下記の添加濃度は、たばこ刻みに対する重量%で示す。
  イソ吉草酸 1重量%+エタノール 1重量%
  3-メチル吉草酸 1重量%+エタノール 1重量%
  n-ヘキサン酸 1重量%+エタノール 1重量%
  n-オクタン酸 1重量%+エタノール 1重量%。
 10-2.分析
 実施例1に記載の方法により、エステル香気成分の分析を行った。
 10-3.結果
 各種酸とエタノールを添加した熟成刻みサンプルの、SPME-GCMSクロマトグラムを、図10に示す。添加した酸に対応したエチルエステルの生成が確認された。
 図10において、イソ吉草酸とエタノールを添加した場合、イソ吉草酸エチルの生成が確認され、3-メチル吉草酸とエタノールを添加した場合、3-メチル吉草酸エチルの生成が確認され、n-ヘキサン酸とエタノールを添加した場合、n-ヘキサン酸エチルの生成が確認され、n-オクタン酸とエタノールを添加した場合、n-オクタン酸エチルの生成が確認された。
 実施例11:精油またはエキス香料を加えて熟成を行ったときの香気成分の挙動
 11-1.熟成工程
 熟成前に、各種精油またはエキス香料を添加し、実施例9と同様にたばこ刻みを熟成させた。添加した精油またはエキス香料の種類および添加濃度を以下に示す。下記の添加濃度は、たばこ刻みに対する重量%で示す。
 シナモン葉油(Cinnamon leaf oil) 1重量%
 ローズマリー油(Rosemary oil) 1重量%
 ハッカ油(Peppermint oil) 1重量%
 スペアミント油(Spearmint oil) 1重量%
 St.John’s bread extract 1重量%
 カンゾウエキス(Licorice extract) 1重量%。
 11-2.分析
 実施例1に記載の方法により、エステル香気成分の分析を行った。
 11-3.結果
 各種酸とエタノールを添加した熟成刻みサンプルの、ジクロロメタン抽出GCMSおよびSPME-GCMSクロマトグラムを、図11Aおよび11Bに示す。添加した精油またはエキス香料に含有されるアルコールおよび酸の組成に基づいて、種々のエステルの生成が確認された。この結果から、各種精油とエキス香料の添加により、種々のエステル組成を有するたばこ刻みが得られることがわかる。
 図11Aにおいて、「C14」はミリスチン酸エチルを表し、「C16」はパルミチン酸エチルを表し、「C18」はステアリン酸エチルを表す。また、図11Bにおいて、「C2」は酢酸エチルを表し、「C5」は吉草酸エチルを表し、「C6」はヘキサン酸エチルを表す。
 実施例12:かぎたばこの官能評価
 12-1.官能評価試料の調製及び評価手法
 熟成前に、たばこ刻みの重量に対して2重量%のエタノールおよび1重量%のメンソール相当のメンソール/エタノール溶液をシリンジ注入により添加した。得られたたばこ刻み1gを、温度制御可能な密閉容器(ガラススクリューバイアル-5mL)内に、40℃で1週間置いて熟成させた。たばこ刻みとしては、マラウイ産黄色種、日本産バーレー種またはギリシャ産オリエント種の何れかを使用した。
 熟成した刻み0.2gをプロピレン製のチューブ(φ8mm i.d.)に詰め、両端に4mm幅のアセテートフィルターで蓋をし、プロピレン製チューブの外側をラバーヒーターで巻いて40℃に加温して試喫試料とした。
 官能評価は専門パネル5名により上記試喫試料を吸引し、たばこ原料の違いによる香り、味、体性感覚の違いについて評価した。
 12-2.結果
 官能評価の結果を以下に記す。上記試喫試料において、コントロール(熟成処理を行わなかったたばこ刻みを用いた試喫試料)と比べて増強しているとパネルが感じた香喫味を以下に記す。
 1)マラウイ産黄色種
   フルーツ、ハーブ様の香り、甘臭が強く、シガレット様のすいごたえが付く。
   刺激が少なくスッキリとした冷たいメンソール感が出る。
 2)日本産バーレー種
   ドライフルーツ、ワイン様の香りが強く、甘臭もある。
   日本産バーレー葉特有の生っぽい香りは残るが、弱い。
 3)ギリシャ産オリエント種
   フローラルな甘さ、すいごたえが強く、メンソールの冷感強が強めにでる。
   刺激は弱め、オリエントのグリーンな香気は残るが弱い。
 実施例13:シガレットの官能評価
 13-1.官能評価試料の調製及び評価手法
 実施例10と同様にたばこ刻みを熟成させて、刻みを作成した。この刻みをセブンスターライトメンソール二香未済の刻みを抜いた巻き鞘に800mg詰め、試喫用シガレットとした。
 このシガレットサンプルを専門パネル5名により試喫し、たばこ原料の違いによる外香、喫味効果の違いについて評価した。
 13-2.結果
 官能評価の結果を以下に記す。上記試喫用シガレットにおいて、コントロール(熟成処理を行わなかったたばこ刻みを用いた試喫用シガレット)と比べて増強しているとパネルが感じた香喫味を以下に記す。
 1)黄色種
 外香:ワイン、ラム様の香りが強い。
 喫味:煙質はきめが細かく、柔らかい。フルーティーな甘臭が出る。
    メンソールの冷感が強まり、持続性も高い。サリベーション効果もある。
    刺激は弱め。
 2)バーレー種
 外香:熟成したレーズン様、ブランデー調のフルーティーな香りが強い。
 喫味:ドライフルーツ様の甘臭味とともに、バーレー様香気が立ち、メンソール感は弱め。
 3)オリエント種
 外香:ラム、レーズン様香気が強く、オリエント様のグリーンハーバルな香気もある。
    オリエント特有の醗酵感を伴った酸臭は弱い。
 喫味:ラム、レーズン様香気を伴い、発酵臭は弱い。サリベーション効果、刺激やや強い。
 以上、本発明を種々の様態、実施例に沿って説明したが、本発明はこれら様態、実施例に制限されるものではない。本発明者らが初めて見出したたばこ刻みの熟成処理によるエステル香気成分及び香喫味に寄与する成分の制御手法は、たばこ刻みに含まれる内容成分、アルコールや酸などの添加物、熟成処理条件を変えることにより、目的とする香喫味特徴を持ったたばこ刻みを創出するものである。また、本発明は、実施例に示したたばこ種またはそれらたばこ種を含む天然たばこ材、使用したエタノール、メンソールなどの添加物が適用できることは言うまでもなく、広く天然たばこ材一般及びアルコール、酸を含む香料類一般に適用されるものである。

Claims (10)

  1.  たばこ製品の製造に使用される直前のたばこ刻みを、大気雰囲気中、密閉条件下で熟成させる工程と、
     前記熟成工程後のたばこ刻みにポリオールを添加する工程
    を含むことを特徴とするたばこ材料の製造方法。
  2.  前記熟成工程が、アルコール、酸、精油、およびエキス香料から選択される少なくとも一つの添加物の存在下で行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3.  前記熟成工程において、前記たばこ刻みを、室温~70℃で熟成させることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4.  前記熟成工程において、前記たばこ刻みを、1週間~3ヶ月の期間にわたって熟成させることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  5.  前記熟成工程において、前記たばこ刻みのpHが2~8であることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  6.  前記添加剤がアルコールであり、前記アルコールが、エタノール、メンソール、ベンジルアルコール、イソブチルアルコール、n-ブタノール、イソアミルアルコール、n-ヘキサノールから選択される少なくとも一つであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  7.  前記添加物が酸であり、前記酸が、イソブチリックアシッド、3-メチルブチリックアシッド、n-ヘキサノイックアシッド、オクタノックアシッドから選択される少なくとも一つであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  8.  前記添加物が、精油またはエキス香料の何れかであり、前記精油またはエキス香料が、ラム、ペパーミントオイル、スペアミントオイル、和製薄荷オイル、ローズマリーオイル、リコリスエキス、セントジョンズエキス、ココアから選択される少なくとも一つであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  9.  前記添加物がアルコールであり、前記アルコールが、たばこ刻みに対して0.4~10重量%の量で添加されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  10.  請求項1~9の何れか1項に記載の方法により製造されたたばこ材料を含むたばこ製品。
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