WO2013073474A1 - 情報配信装置、情報配信方法及びプログラム - Google Patents

Abstract

　ユーザを場所によって関連付けてコミュニケーションを支援する。　ＡＰ（アクセスポイント）３００₁～３００_mは、特定の場所に設置され、識別情報を含む無線信号を発信している。無線端末４００₁～４００_nは、無線信号を受信すると、識別情報を含む送信データを情報配信装置１００に送信する。情報配信装置１００は、無線端末４００₁～４００_nを識別情報によってグループに分類し、グループのユーザ間でのコミュニケーションを実現する。このようにして形成されたグループは、それぞれ、特定の場所に関連付けられる。

Description

情報配信装置、情報配信方法及びプログラム

　本発明は、無線端末のユーザに情報を配信する技術に関する。

　ＳＮＳ（Social Networking Service）は、一般に、友達や親戚などといった関係性によってユーザ同士を関連付けてサービスを提供するものである。よって、ＳＮＳにおいて、あるユーザと他のユーザとのコミュニケーションは、あらかじめ設定された関係性に基づいて行われるのが一般的である（例えば、特許文献１参照）。

特開２００８－１４０２４６号公報

　しかし、あらかじめ設定された関係性に基づいたコミュニケーションには、時として不都合もある。例えば、相手との関係性があると、ＳＮＳにおける自己の過去の行為（発言や投稿など）が知られてしまい、相手に知られたくないことまで知られてしまうおそれがある。加えて、自己と相手との関係性は、これをいずれかが解消しない限り続くものである。
　また、時には、まったく見知らぬ相手との出会いの機会を得たい場合もある。しかし、見知らぬ相手といっても、自己とまったく共通点がなければ、円滑なコミュニケーションを図るには困難を伴う。
　そこで、本発明は、ユーザを場所によって関連付けてコミュニケーションを支援することを目的とする。

　本発明の一態様に係る情報配信装置は、特定の場所にそれぞれ設置された複数の無線設備から発信されている無線信号のいずれかを受信した複数の無線端末から、当該無線信号を発信した無線設備に固有の識別情報を受信する受信部と、前記受信部により受信された識別情報を用いて、前記複数の無線端末を前記無線設備単位のグループに分類する分類部と、前記分類部により分類されたグループに属する前記無線端末に対して、当該グループに応じた配信データを配信する配信部とを備える構成を有する。

　好ましい態様において、前記配信部は、前記分類部により分類されたグループに属する前記無線端末に対して、当該無線端末が当該グループに対応する前記無線設備から発信されている無線信号を受信している期間に、当該グループに応じた配信データを配信する。
　別の好ましい態様において、前記受信部は、前記無線端末の位置を表す位置情報を受信し、前記配信部は、前記分類部により分類されたグループに属する前記無線端末のうち、前記受信部により受信された位置情報が表す位置が当該グループに対応する前記無線設備が設置された場所を含む所定の範囲に含まれない無線端末に対して、当該無線端末が属する前記グループに応じた前記配信データを所定の制限を課して配信する。
　さらに別の好ましい態様において、前記配信部は、前記無線信号を受信している前記無線端末に対して、当該無線端末が属する前記グループに応じた前記配信データを配信するとともに、前記無線信号を受信したことがあり、かつ当該無線信号を受信していない前記無線端末に対して、当該無線端末が属する前記グループに応じた前記配信データを所定の制限を課して配信する。
　さらに別の好ましい態様において、前記分類部は、同一の前記識別情報が受信された前記複数の無線端末が分類されるグループを、日時に応じて異ならせる。
　さらに別の好ましい態様において、前記受信部は、前記識別情報と、前記無線端末のユーザにより投稿されるメッセージとを受信し、前記配信部は、あるグループに属する前記無線端末から受信したメッセージを、当該グループの前記配信データに含める。
　さらに別の好ましい態様において、前記配信部は、前記メッセージを、当該メッセージを投稿したユーザにより設定され、又はあらかじめ設定されたタイムラグを設けて配信する。

　本発明の他の態様に係る情報配信方法は、特定の場所にそれぞれ設置された複数の無線設備から発信されている無線信号のいずれかを受信した複数の無線端末から、当該無線信号を発信した無線設備に固有の識別情報を受信する第１ステップと、前記第１ステップにおいて受信された識別情報を用いて、前記複数の無線端末を前記無線設備単位のグループに分類する第２ステップと、前記第２ステップにおいて分類されたグループに属する前記無線端末に対して、当該無線端末が当該グループに対応する前記無線設備から発信されている無線信号を受信している期間に、当該グループに応じた配信データを配信する第３ステップとを有する。

　本発明の他の態様に係るプログラムは、コンピュータに、特定の場所にそれぞれ設置された複数の無線設備から発信されている無線信号のいずれかを受信した複数の無線端末から、当該無線信号を発信した無線設備に固有の識別情報を受信する第１ステップと、前記第１ステップにおいて受信された識別情報を用いて、前記複数の無線端末を前記無線設備単位のグループに分類する第２ステップと、前記第２ステップにおいて分類されたグループに属する前記無線端末に対して、当該無線端末が当該グループに対応する前記無線設備から発信されている無線信号を受信している期間に、当該グループに応じた配信データを配信する第３ステップとを実行させるためのものである。

　本発明によれば、ユーザを場所によって関連付けてコミュニケーションを支援することが可能である。

情報配信システムの構成を示す図 ＡＰＤＢのデータ構造を示す図 無線端末のハードウェア構成を示すブロック図 情報配信装置のハードウェア構成を示すブロック図 情報配信装置の制御部の機能構成を示すブロック図 無線端末が実行する処理を示すフローチャート 情報配信装置が実行する処理を示すフローチャート 配信データの表示例を示す図 配信データの表示例を示す図

［実施形態］
　図１は、本発明の一実施形態である情報配信システム１０の構成を示す図である。情報配信システム１０は、図１に示すように、情報配信装置１００と、アクセスポイントデータベース（以下「ＡＰＤＢ」という。）２００と、アクセスポイント（以下「ＡＰ」という。）３００₁、３００₂、…、３００_mと、無線端末４００₁、４００₂、…、４００_nと、ネットワーク５００とを含んで構成される。なお、ｍ及びｎの値は、任意の適当な数であり、特に限定されない。

　ＡＰ３００₁～３００_mは、それぞれ、特定の場所に設置された無線設備である。ＡＰ３００₁～３００_mは、ここでは無線ＬＡＮ（Local Area Network）のアクセスポイントである。ＡＰ３００₁～３００_mが設置される場所は、例えば、種々のイベント（コンサート、展示会、展覧会、スポーツの試合）が開催される場所である。ＡＰ３００₁～３００_mは、それぞれの場所に据え置かれているものであってもよいが、イベントが開催されている期間にだけ設置される移動可能なものであってもよい。ＡＰ３００₁～３００_mは、それぞれ、各々を識別するための識別情報を含んだ無線信号を発信する。この識別情報は、それぞれのアクセスポイントに固有の文字列又は数値（若しくはその組み合わせ）である。そのため、識別情報は、アクセスポイントの識別を可能にするとともに、そのアクセスポイントが設置された場所の識別をも可能にする。

　無線端末４００₁～４００_nは、コミュニティに参加するユーザが利用する通信端末である。ここにおいて、コミュニティとは、複数のユーザを場所によって関連付けることによって形成されるグループのことをいう。無線端末４００₁～４００_nは、例えば、携帯電話機（スマートフォンを含む。）やいわゆるタブレット端末であるが、携帯型のゲーム機や電子書籍リーダであってもよい。無線端末４００₁～４００_nは、ネットワーク５００を介して情報配信装置１００と通信するほか、ＡＰ３００₁～３００_mと無線ＬＡＮによる無線通信を行うことが可能である。

　なお、ＡＰ３００₁～３００_mは、設置される場所が異なるものの、必須とするハードウェア構成自体は同一である。そこで、以下においては、ＡＰ３００₁～３００_mのそれぞれを区別する必要がない場合には、これらを「ＡＰ３００」と表記する。同様に、無線端末４００₁～４００_nについても、必須とするハードウェア構成が同一であるため、それぞれを区別する必要がない場合には、これらを「無線端末４００」と表記する。

　情報配信装置１００は、配信データによってコミュニティに応じた情報を送信するサービスを提供するためのコンピュータ装置である。ここにおいて、配信データは、ＡＰ３００が設置された場所に関する情報であって、場所毎に異なり得る情報を少なくとも含むが、複数の場所に配信される共通の情報（例えば、ニュースなど）を含んでもよい。また、情報配信装置１００は、ＡＰＤＢ２００からデータを取得できるように構成されている。なお、情報配信装置１００は、周知の適当な方法によって無線端末４００₁～４００_nのそれぞれを識別可能である。

　ＡＰＤＢ２００は、アクセスポイントと当該アクセスポイントが設置された場所との対応付けを記述したデータベースである。ＡＰＤＢ２００は、具体的には、ＡＰ３００から発信される無線信号に含まれる識別情報と、場所を特定するための場所情報とを対応付けて記憶している。場所情報は、その場所の地名や施設名や、その場所で開催されているイベントの名称などであってもよく、これらの組み合わせであってもよい。例えば、ある多目的施設において、ある日時にはコンサートが開催され、別の日時には電子機器などの展示会が開催される場合の場所情報は、同じ場所であっても日時によって異なる。なお、ＡＰＤＢ２００は、情報配信装置１００の一部であってもよい。

　図２は、ＡＰＤＢ２００のデータ構造を示す図である。ＡＰＤＢ２００は、識別情報と、日時情報と、場所情報と、位置情報とを対応付けて記憶する。日時情報は、イベントの期間を指定するためのデータであり、例えば、その開始日時（始期）と終了日時（終期）を記述したものである。また、位置情報は、場所情報が表す場所の代表的な位置を表すデータであり、本実施形態においては、当該位置の緯度及び経度を表す。なお、日時情報及び位置情報は、本発明の実施に必須の情報ではない。

　なお、ＡＰＤＢ２００には、１つの場所情報に対して２以上の識別情報（すなわちＡＰ３００）が対応付けられていてもよい。例えば、イベントが開催される場所が複数箇所に分かれている場合や、イベントが開催される場所が広大な敷地である場合には、１つの場所情報に対して２以上の識別情報が対応付けられることがあり得る。
　また、ＡＰＤＢ２００のデータは、イベントが新たに計画されたりする毎に、適当なタイミングで更新されることが望ましい。

　ネットワーク５００は、無線端末４００と情報配信装置１００との間の通信を実現するネットワークである。ネットワーク５００は、無線端末４００が通信を行うための無線通信網（例えば、移動体通信網）を少なくとも含む。ただし、ネットワーク５００は、この無線通信網と他の通信網（例えば、インターネット）とが複合したネットワークであってもよい。

　図３は、無線端末４００のハードウェア構成を示すブロック図である。無線端末４００は、制御部４１０と、記憶部４２０と、第１通信部４３０と、第２通信部４４０と、表示部４５０と、操作部４６０と、測位部４７０とを少なくとも備える。なお、無線端末４００は、これらの構成のほかに、スピーカやマイクロホン、デジタルカメラ、加速度センサなどを備えていてもよい。また、無線端末４００は、いわゆる時計の機能、すなわち日時を計る機能を有しているものとする。

　制御部４１０は、無線端末４００の各部の動作を制御する手段である。制御部４１０は、ＣＰＵ（Central Processing Unit）などの演算処理装置や、ＲＯＭ（Read Only Memory）、ＲＡＭ（Random Access Memory）といったメモリを備え、プログラムを実行することによって各部の動作を制御する。

　記憶部４２０は、データを記憶する手段である。記憶部４２０は、フラッシュメモリやハードディスクによって構成される。記憶部４２０は、制御部４１０が処理を実行するために必要なデータを記憶することが可能であり、具体的には、ＡＰ３００との通信の履歴やプログラムなどを記憶することができる。

　第１通信部４３０は、無線ＬＡＮによってＡＰ３００と通信する手段である。一方、第２通信部４４０は、ネットワーク５００を用いて通信する手段である。すなわち、本実施形態において、第１通信部４３０と第２通信部４４０とは、異なる通信方式の通信インターフェースである。

　表示部４５０は、画像を表示する手段である。表示部４５０は、例えば、液晶素子や有機ＥＬ（electroluminescence）素子を用いた表示パネルと、表示パネルの各素子（すなわち画素）を駆動する駆動回路とを備える。
　操作部４６０は、ユーザの操作を受け付ける手段である。操作部４６０は、例えば、キーやボタンであってもよいし、表示部４５０の表示パネルに重ねて設けられたタッチスクリーンであってもよい。操作部４６０は、ユーザの操作に応じた操作データを制御部４１０に供給する。

　測位部４７０は、位置情報を取得する手段である。ここにおいて、位置情報とは、無線端末４００の位置を表す情報をいう。位置情報は、例えば、緯度と経度の組み合わせによって表される。測位部４７０は、ＧＰＳ（Global Positioning System）を用いて位置情
報を取得する。なお、測位部４７０は、位置情報の取得にネットワーク５００を利用する、いわゆるＡ（Assisted）－ＧＰＳを用いてもよい。

　図４は、情報配信装置１００のハードウェア構成を示すブロック図である。情報配信装置１００は、制御部１１０と、記憶部１２０と、通信部１３０とを備える。制御部１１０は、情報配信装置１００の動作を制御する手段である。制御部１１０は、演算処理装置やメモリを備え、プログラムを実行することによって各部の動作を制御する。記憶部１２０は、データを記憶する手段であり、ハードディスクなどの記憶媒体を有する。記憶部１２０は、配信データなどを記憶することができる。通信部１３０は、ネットワーク５００と通信する手段である。通信部１３０は、送信データを受信し、配信データを配信する手段であり、本発明の受信部及び配信部に相当する。

　図５は、制御部１１０の機能構成を示すブロック図である。制御部１１０は、プログラムを実行することによって、図５に示す取得部１１１、分類部１１２及び供給部１１３の各部に相当する機能を実現する。

　取得部１１１は、無線端末４００から送信された送信データを通信部１３０を介して取得する手段である。取得部１１１は、複数のユーザが所持している複数の無線端末４００から送信データを取得することができる。送信データは、少なくとも識別情報を含むデータである。また、送信データは、日時情報や、後述する位置情報やメッセージなどを含んでもよい。

　分類部１１２は、取得部１１１により送信データが取得された無線端末４００を分類する手段である。分類部１１２は、送信データに含まれる識別情報を用いて、無線端末４００をいずれかのコミュニティ（すなわちグループ）に分類する。また、分類部１１２は、識別情報だけでなく、位置情報も用いて分類を行うことも可能である。分類部１１２は、ＡＰＤＢ２００を参照することによって無線端末４００を分類する。

　供給部１１３は、無線端末４００あての配信データを通信部１３０に供給する手段である。供給部１１３は、分類部１１２によりいずれかのコミュニティに分類された無線端末４００に対して、それぞれのコミュニティに応じた配信データを生成又は取得し、これを通信部１３０に供給する。供給部１１３は、例えば、送信データに含まれるメッセージを含む配信データを生成する。あるいは、供給部１１３は、記憶部１２０から配信データを取得し、これを通信部１３０に供給することも可能である。この場合、記憶部１２０は、事前に生成されている配信データや、イベントの主催者によりあらかじめ作成されている配信データなどを記憶している。
　また、供給部１１３は、後述するように、所定の制限を課して配信データを供給したり、配信データを配信するタイミングに所定の（意図的な）タイムラグを設けることも可能である。

　情報配信システム１０の構成は、以上のとおりである。この構成のもと、ユーザは、無線端末４００を所持しながら所定の場所に赴き、所定のイベントに参加する。例えば、ユーザは、コンサート会場に行き、コンサートに参加する。このようなユーザは、同じ場所に複数名存在し、そこには見知らぬ者同士が含まれているものとする。

　ＡＰ３００は、このような場所に設置されており、イベントの開催中に無線信号を発信し続けている。この無線信号を受信可能な位置にユーザが移動すると、無線端末４００は、無線信号を受信する。無線端末４００が無線信号を受信すると、ユーザは、無線信号を受信したＡＰ３００に応じたコミュニティに参加することが可能となる。例えば、ユーザは、上述したコンサート会場の例であれば、そのコンサート会場のコミュニティや、あるいはそのとき上演中のミュージシャンのコミュニティなどに参加することができる。なお、無線端末４００によって無線信号を受信したことがないユーザは、当該無線信号に応じたコミュニティに参加することができない。

　図６は、このときに無線端末４００が実行する処理を示すフローチャートである。この処理は、例えば、ユーザが所定のアプリケーションの起動を指示し、無線端末４００の制御部４１０が当該アプリケーションを実行することによって実現される。制御部４１０は、まず、第１通信部４３０を介してＡＰ３００から無線信号を受信できたか否かを判断し（ステップＳ１１）、無線信号の受信に成功するまでこの判断を繰り返す。無線信号の受信に成功すると、制御部４１０は、ＡＰ３００の識別情報を特定する（ステップＳ１２）。

　次に、制御部４１０は、測位部４７０に測位を実行させ、位置情報を取得する（ステップＳ１３）。なお、制御部４１０は、このタイミングに限らず、例えばアプリケーションの起動時など（すなわち、無線信号を受信するよりも前）に位置情報を取得してもよい。ただし、位置情報を取得するタイミングと無線信号を受信するタイミングとの時間差は、なるべく少ない方が望ましい。

　識別情報及び位置情報が得られたら、制御部４１０は、送信データを第２通信部４４０に供給し、第２通信部４４０に送信データを送信させる（ステップＳ１４）。このときの送信データには、識別情報、位置情報及び日時情報が含まれる。すなわち、制御部４１０は、送信データを送信するときの日時を表す日時情報を送信データに含める。

　図７は、送信データを受信した情報配信装置１００が実行する処理を示すフローチャートである。情報配信装置１００の制御部１１０は、情報配信装置１００が送信データを受信すると、これを取得し（ステップＳ２１）、送信データに含まれる識別情報、位置情報及び日時情報を特定する（ステップＳ２２）。そして、制御部１１０は、ＡＰＤＢ２００を参照することにより、送信データを送信した無線端末４００をいずれかのコミュニティに分類する（ステップＳ２３）。このとき、制御部１１０は、ステップＳ２２において特定した識別情報及び日時情報を用いる。

　次に、制御部１１０は、ステップＳ２２において特定した位置情報を参照し、当該位置情報が表す位置がＡＰ３００が設置された場所を含む所定の範囲に含まれるか否かを判断する（ステップＳ２４）。換言すれば、制御部１１０は、ステップＳ２３においてあるコミュニティに分類された無線端末４００について、当該端末が当該コミュニティに対応するＡＰ３００の近傍にあるか否かを判断する。この判断は、ＡＰＤＢ２００に記憶された位置情報（図２参照）とステップＳ２２において特定した位置情報とを比較することによって行われる。

　なお、ここでいう所定の範囲は、施設毎に異なってもよいし、各施設に共通の一定の範囲であってもよいが、例えば、“ＡＰ３００が設置された場所を中心とした半径５００ｍの範囲”などである。この範囲は、ＡＰ３００のセル（無線信号が到達する範囲）の大きさに決められてもよいが、これとは無関係に決められてもよい。

　制御部１１０は、位置情報が表す位置が所定の範囲に含まれる場合には、配信データを制限を課さずに配信し（ステップＳ２５）、当該位置が所定の範囲に含まれない場合には、配信データを制限を課して配信する（ステップＳ２６）。ここでいう制限は、配信データそのものを変えるものであってもよいし、そうでなくておもよい。例えば、制御部１１０は、ユーザに対してメッセージの投稿回数を所定の回数までに制限することができる。あるいは、制御部１１０は、位置情報が表す位置が所定の範囲に含まれる無線端末４００については、当該端末のユーザの位置を他のユーザに明らかにしない一方で、位置情報が表す位置が所定の範囲に含まれない無線端末４００については、当該端末のユーザの位置を他のユーザに明らかにする、といったように、ユーザの秘密に関する事項（匿名性など）に制限を課すことも可能である。

　図８は、配信データの表示例を示す図である。無線端末４００は、配信データを受信すると、表示部４５０にこのような画像を表示させる。図８に示す表示例は、あるミュージシャンのコンサートにおいてコミュニティのユーザ同士がメッセージをやりとりする場合を示している。

　ここにおいて、テキストボックスＴ１は、名前を入力するためのテキストボックスである。また、テキストボックスＴ２は、メッセージを入力するためのテキストボックスである。これらのテキストボックスに入力された情報は、配信データに反映され、自分以外の他のユーザも見ることができるようになる。なお、ここでいう名前は、いわゆるハンドルネーム（偽名、別名）であってもよいが、ユーザが希望するのであれば、もちろん本名であってもよい。ユーザは、名前及びメッセージを入力したら、投稿ボタンＢ１を選択する。

　なお、通知アイコンＩ１は、上述したステップＳ２４の判断結果を示すアイコンである。つまり、通知アイコンＩ１は、メッセージを投稿したユーザがイベントが開催されている場所の近傍（所定の範囲）にいるユーザであるか否かを示している。例えば、この表示例においては、通知アイコンＩ１が白丸であるユーザ「Ａ」、「Ｂ」は、イベントが開催されている場所の近傍にいるユーザであり、通知アイコンＩ１が黒丸であるユーザ「Ｃ」は、そうでないユーザである。このような表示をすることで、ユーザは、イベントが開催されている場所に実際にいるユーザとそうでないユーザ（例えば、途中で退出等したユーザ）とを区別することが可能である。

　無線端末４００は、投稿ボタンＢ１を選択する操作を受け付けると、送信データを情報配信装置１００に送信する。このとき、無線端末４００は、ユーザによって入力された名前やメッセージを送信データに含める。このとき送信される送信データは、図６において説明した場合と同様に、識別情報や位置情報を含んでいる。

　情報配信装置１００は、このような送信データを受信すると、対応するコミュニティの配信データを更新する。具体的には、情報配信装置１００は、新たに受信したメッセージを当該コミュニティの配信データに含めるようにする。情報配信装置１００は、このようにして更新された配信データを、同一のコミュニティに属するすべてのユーザの無線端末４００に配信する。したがって、無線端末４００は、当該端末のユーザがメッセージを投稿したか否かによらず、当該ユーザが属するコミュニティのいずれかのユーザがメッセージを投稿すると、その投稿をほぼリアルタイムに表示に反映させることが可能である。ただし、新たに投稿されたメッセージを表示するか否かは、ユーザが操作によって選択できることが望ましい。

　ここで、配信データに課される制限の態様は、例えば、テキストボックスＴ１、Ｔ２や投稿ボタンＢ１を表示させるか否かによって行われる。例えば、情報配信装置１００は、イベントが開催されている場所を含む所定の範囲にいないユーザの無線端末４００に対しては、テキストボックスＴ１、Ｔ２や投稿ボタンＢ１を表示させない配信データを配信する。このようにすれば、所定の範囲にいないユーザは、メッセージの投稿を行えないようになる。また、情報配信装置１００は、各ユーザによるメッセージの投稿回数を計測しておき、所定の範囲外からの投稿回数が所定の閾値（例えば５回）を超えたらメッセージの投稿が行えなくなるようにしてもよい。また、配信データに課される制限の態様は、この例に限らず、メッセージの１回当たりの文字数を制限したり、名前の変更を禁止したりするものであってもよい。

　なお、配信データは、このようなユーザのメッセージを含むものに限定されない。例えば、情報配信装置１００は、イベントの主催者からのメッセージ（注意事項などの各種の通知）を配信データによって配信してもよい。また、情報配信装置１００は、コミュニティに属するユーザのメッセージとイベントの主催者のメッセージとを混在させた配信データを配信してもよい。

　最後に、情報配信装置１００は、イベントが終了するなどし、所定のタイミングが到来すると、当該イベントに対応するコミュニティに属するユーザへの配信データの配信を止め、サービスを終了する。また、情報配信装置１００は、新たなイベントが開催された場合には、当該イベントに対応するコミュニティを新たに形成し、コミュニティに属するユーザへの配信データの配信を改めて開始する。

　以上のとおり、情報配信システム１０によれば、ユーザは、特定の場所に行くだけで、行った場所に応じたコミュニティに参加し、メッセージの投稿や閲覧を行うことが可能である。ユーザは、事前に何らかの情報を登録したりする必要がなく、また、コミュニケーションの相手があらかじめ設定された関係性を有している友達や親戚に限定されることもない。したがって、ユーザは、自己の素性を明かすこともなく、気軽にコミュニティに参加することが可能になる。よって、情報配信システム１０は、コミュニケーションの促進に寄与することを期待できる。

　また、本実施形態のコミュニティは、一時的に形成されるものであり、いわばその場限りのものである点にも特徴を有している。ユーザは、このようなコミュニティでコミュニケーションを行うことで、その場限りでなければ書けないような本音や、忌憚のない率直な意見を、事後のことを気にすることなく投稿することが可能である。

　さらに、本実施形態のコミュニティは、無作為に抽出されたユーザ同士ではなく、特定の場所に関連付けられたユーザ同士によって形成される点にも特徴を有している。上述したように、ある場所に集まる（あるいは行ったことがある）ユーザは、特定の性質や特徴を示すことがある。例えば、コンサート会場に集まるユーザは、音楽が好きなユーザである可能性が高い。また、ある特定のミュージシャンがコンサートを開催しているコンサート会場に集まるユーザは、単に音楽が好きというレベルにとどまらず、特定のミュージシャンが好きであるという共通点を有している可能性が高い。したがって、情報配信システム１０によれば、特定の趣味・嗜好を有するユーザ同士や、特定の傾向を有するユーザ同士を関連付け、これらのユーザにコミュニケーションの機会を提供することが可能である。

　なお、本実施形態のコミュニティは、上述した例に限らず、例えば、書店や飲食店に集まるユーザ同士のコミュニティや、喫煙所に集まるユーザ同士のコミュニティなどであってもよい。例えば、特定の店舗に集まるユーザ同士を関連付けると、その店舗のファン（愛好者）によるコミュニティを形成したり、あるいはその店舗の顧客と従業員とによるコミュニティを（互いの素性を明かすことなく）形成したりすることが可能である。また、ＡＰ３００を電車、バス、船舶などに設置すれば、同乗者同士のコミュニティを形成することも可能である。

［変形例］
　本発明は、上述した実施形態の態様に限らず、他の態様でも実施することが可能である。本発明は、例えば、以下の変形例に示す態様によっても実施可能である。なお、本発明は、これら複数の変形例を組み合わせた態様で実施されてもよい。

（１）本発明において、位置情報の利用は必須ではない。例えば、情報配信装置１００は、無線信号を現に受信している無線端末４００のみに配信データを配信し、無線信号を受信していない無線端末４００には配信データを配信しないようにしてもよい。このようにすれば、ＡＰ３００のセルに在圏している無線端末４００のユーザのみによる無線信号を受信している期間のみのコミュニティを形成することが可能である。なお、このように、配信対象がＡＰ３００のセルに在圏している無線端末４００のみに限定される場合、情報配信装置１００は、ＡＰ３００に配信データを送信し、配信データがＡＰ３００を経由して無線端末４００に配信されるようにすることも可能である。

　また、情報配信装置１００は、無線信号を現に受信している無線端末４００に対しては、配信データを制限を課すことなく配信する一方、無線信号を受信したことがあり、かつ当該無線信号を受信していない無線端末４００（すなわち、かつてＡＰ３００のセルに在圏していたが現在は在圏していない無線端末４００）に対しては、配信データを制限を課した上で配信するようにしてもよい。例えば、情報配信装置１００は、制限付きの配信データとして、メッセージの閲覧専用で投稿ができない配信データを配信してもよい。

（２）本発明における測位は、ＧＰＳを利用するものに限定されない。本発明における測位は、例えば、移動体通信網の基地局の位置を利用したもの（いわゆる基地局測位）であってもよいし、無線ＬＡＮのアクセスポイントの位置を利用した測位であってもよい。また、位置情報としては、移動体通信網のロケーションレジスタに記憶された位置情報を利用することも可能である。

（３）上述したように、本発明における情報配信は、メッセージの投稿をほぼリアルタイムに反映させることが可能である。一方、メッセージの投稿がほぼリアルタイムに反映される場合において、ユーザ同士が同じ室内のような比較的狭い空間にいると、メッセージの投稿者が誰であるかが特定できてしまうおそれがある。例えば、ある空間にメッセージを入力する操作をしているユーザがおり、そのユーザが操作を終えた直後に新たなメッセージが表示された場合には、当該ユーザが当該メッセージを投稿したことが他人の目に明らかとなる可能性がある。

　このような問題を解消するためには、情報配信装置１００は、メッセージを含む配信データを配信するときに所定のタイムラグ（時間差、すなわち遅延）を設けるとよい。このようにすれば、タイムラグを設けない場合に比べ、投稿されたメッセージとその投稿者の対応付けを困難にすることが可能である。このタイムラグは、あらかじめ設定された一定の時間であってもよいし、ユーザにより設定された時間であってもよい。

　図９は、ユーザがタイムラグを設定する場合の配信データの表示例を示す図である。同図に示す表示例は、タイムラグを入力するためのテキストボックスＴ１を含む点を除き、図８に示した表示例と同様である。ユーザは、テキストボックスＴ１に所望の数値（時間）を入力し、自己の投稿が他のユーザに閲覧可能になるまでの時間をユーザ自身で設定することができる。情報配信装置１００は、このような数値を含む送信データを受信した場合には、配信データの配信を当該数値に応じて遅延させる。

（４）本発明の無線設備は、無線ＬＡＮのアクセスポイントに限定されない。例えば、本発明の無線設備は、Bluetooth（登録商標）に準拠した無線の無線設備であってもよいし、ＲＦＩＤ（Radio Frequency IDentification）を利用した無線の無線設備であってもよい。
　また、本発明の無線設備は、無線端末と情報配信装置とが通信するネットワークと同一の通信方式で通信を行うものであってもよい。この場合、本発明の無線端末は、第１通信部（無線信号を受信する手段）と第２通信部（送信データを送信する手段）とを同一のハードウェアによって構成することが可能である。

（５）本発明は、情報配信装置又は無線端末やこれらを備える情報配信システムとしてだけではなく、情報配信装置又は無線端末が実行するプログラムや、情報の配信方法として把握することも可能である。また、このプログラムは、光ディスクなどの記録媒体に記録した形態や、インターネットなどのネットワークを介して、コンピュータにダウンロードさせ、これをインストールして利用可能にする形態などでも提供することができる。

１０…情報配信システム、１００…情報配信装置、１１０…制御部、１１１…取得部、１１２…分類部、１１３…供給部、１２０…記憶部、１３０…通信部、２００…アクセスポイントデータベース（ＡＰＤＢ）、３００、３００₁、３００₂、３００_m…アクセスポイント（無線設備）、４００、４００₁、４００₂、４００_n…無線端末、４１０…制御部、４２０…記憶部、４３０…第１通信部、４４０…第２通信部、４５０…表示部、４６０…操作部、４７０…測位部、５００…ネットワーク

Claims (9)

1. 　特定の場所にそれぞれ設置された複数の無線設備から発信されている無線信号のいずれかを受信した複数の無線端末から、当該無線信号を発信した無線設備に固有の識別情報を受信する受信部と、
   　前記受信部により受信された識別情報を用いて、前記複数の無線端末を前記無線設備単位のグループに分類する分類部と、
   　前記分類部により分類されたグループに属する前記無線端末に対して、当該グループに応じた配信データを配信する配信部と
   　を備える情報配信装置。
2. 　前記配信部は、
   　前記分類部により分類されたグループに属する前記無線端末に対して、当該無線端末が当該グループに対応する前記無線設備から発信されている無線信号を受信している期間に、当該グループに応じた配信データを配信する
   　ことを特徴とする請求項１に記載の情報配信装置。
3. 　前記受信部は、
   　前記無線端末の位置を表す位置情報を受信し、
   　前記配信部は、
   　前記分類部により分類されたグループに属する前記無線端末のうち、前記受信部により受信された位置情報が表す位置が当該グループに対応する前記無線設備が設置された場所を含む所定の範囲に含まれない無線端末に対して、当該無線端末が属する前記グループに応じた前記配信データを所定の制限を課して配信する
   　ことを特徴とする請求項１又は２に記載の情報配信装置。
4. 　前記配信部は、
   　前記無線信号を受信している前記無線端末に対して、当該無線端末が属する前記グループに応じた前記配信データを配信するとともに、
   　前記無線信号を受信したことがあり、かつ当該無線信号を受信していない前記無線端末に対して、当該無線端末が属する前記グループに応じた前記配信データを所定の制限を課して配信する
   　ことを特徴とする請求項１又は２に記載の情報配信装置。
5. 　前記分類部は、
   　同一の前記識別情報が受信された前記複数の無線端末が分類されるグループを、日時に応じて異ならせる
   　ことを特徴とする請求項１ないし４のいずれか１項に記載の情報配信装置。
6. 　前記受信部は、
   　前記識別情報と、前記無線端末のユーザにより投稿されるメッセージとを受信し、
   　前記配信部は、
   　あるグループに属する前記無線端末から受信したメッセージを、当該グループの前記配信データに含める
   　ことを特徴とする請求項１ないし５のいずれか１項に記載の情報配信装置。
7. 　前記配信部は、
   　前記メッセージを、当該メッセージを投稿したユーザにより設定され、又はあらかじめ設定されたタイムラグを設けて配信する
   　ことを特徴とする請求項６に記載の情報配信装置。
8. 　特定の場所にそれぞれ設置された複数の無線設備から発信されている無線信号のいずれかを受信した複数の無線端末から、当該無線信号を発信した無線設備に固有の識別情報を受信する第１ステップと、
   　前記第１ステップにおいて受信された識別情報を用いて、前記複数の無線端末を前記無線設備単位のグループに分類する第２ステップと、
   　前記第２ステップにおいて分類されたグループに属する前記無線端末に対して、当該グループに応じた配信データを配信する第３ステップと
   　を有する情報配信方法。
9. 　コンピュータに、
   　特定の場所にそれぞれ設置された複数の無線設備から発信されている無線信号のいずれかを受信した複数の無線端末から、当該無線信号を発信した無線設備に固有の識別情報を受信する第１ステップと、
   　前記第１ステップにおいて受信された識別情報を用いて、前記複数の無線端末を前記無線設備単位のグループに分類する第２ステップと、
   　前記第２ステップにおいて分類されたグループに属する前記無線端末に対して、当該グループに応じた配信データを配信する第３ステップと
   　を実行させるためのプログラム。

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