WO2012147152A1

WO2012147152A1 - 手指機能回復訓練器及び運動機能回復訓練器

Info

Publication number: WO2012147152A1
Application number: PCT/JP2011/060097
Authority: WO
Inventors: 美智恵光山
Original assignee: Mitsuyama Michie
Priority date: 2011-04-25
Filing date: 2011-04-25
Publication date: 2012-11-01

Abstract

【課題】比較的簡易な構造体によって安全にかつ手軽に運動回復訓練を行うことができ、また耐久性に富み、比較的軽量かつコンパクトな構成とすることで運搬性や取り扱い性に優れ、さらに使用者本人だけで介護者の補助を要せずに使用する手指機能回復訓練器及び運動機能回復訓練器を提供する。【解決手段】手指機能回復訓練器は、掌を対向させて載せ得る基盤と、少なくとも１指を差し込む差し込み環を有して基盤の上面に固定された指固定部と、一端が基盤の一側部寄りの位置に固定された弾性長尺体からなり、他端が基盤の他側部寄りの位置に係止されることで、基盤の載置面に沿って前記指固定部の左右側方間を亘る固定バンドと、上方への連続凸部を有し、前記差し込み固定部に手の指を差し込んだ状態で残りの指を載置し得る指載置部とを具備してなる。

Description

手指機能回復訓練器及び運動機能回復訓練器

　本発明は手指の神経麻痺者あるいは筋力の低下者が、手指機能回復訓練を行うための手指機能回復訓練器、及び、前記手指機能回復訓練のほかに歩行訓練や起立、屈伸訓練といった運動機能回復訓練を行うための運動機能回復訓練器に関する。

　手指等の運動機能麻痺者、神経麻痺者はリハビリテーションによって運動機能を回復することが可能である。従来、片方の手の指が麻痺した患者の前記指を回復訓練させる片麻痺指機能回復訓練装置として、手を載せる手載せ台と、この手載せ台に載せられた手の指の一本を押し下げて屈曲させ、屈曲された指が元に戻ろうとする伸張動作は妨げない指屈曲機構と、この指屈曲機構で押し下げられた前記指の付け根を叩いて前記伸張動作を促す指叩き機構と、からなるものが開示される。

　これは具体的には、矩形のベース板と、このベース板に垂直に且つ並行に立てた縦壁部と、これらの縦壁部の斜辺に渡され患者の腕を支える斜面部と、縦壁部に渡した揺動軸に支えられ患者の手を支える手載せ台と、この手載せ台の前部から上方へ延ばされた門型又は箱形ブラケットと、このブラケットに取付けられ例えば人指し指を押し下げる指屈曲機構とを、含み、さらにまた手載せ台上に設けられた第３サーボモータ、この第３サーボモータの回転角度を監視する第３エンコーダ及び第３サーボモータで上下に旋回されるパンチとからなり、患者の指の付け根を叩く指叩き機構を、訓練装置に含む。指叩き機構で、屈曲後の指の付け根を叩く。すると、患者の運動神経が刺激され、指が元に戻ろうとし自力的伸張が期待される。指の他動的屈伸と自力的伸張とが繰り替えされ、加えて、手首の屈曲と背屈とが繰り返されることで、従来訓練に従事してきた医師や療法士の負担を大幅に軽減することができる、とされる。

特開２０１１－０５６０７９号公報

　しかしながら上記片麻痺指機能回復訓練装置における指屈曲機構は、サーボモータの外力によって指を強制的に屈曲させるものであり、指叩き機構もまたサーボモータの外力によって指を殴打するものである。これらは動力を備えた駆動機構を必要とするため機構自体が複雑となり、耐久性に劣る、重量や体積が嵩んで運搬や取り扱い性にもとる、といった課題を有していた。

　また掌と指を差し込んで強制固定したままサーボモータで手指の屈曲動作を強制し、パンチによる指の殴打動作を行うため、異常状態で使用すると怪我をする可能性があり、また緊急停止や手指強制の解除操作が容易では無い。このように異常発生時の安全性確保の点で不安要素がある。

　さらに麻痺状態の手指は使用者である麻痺者本人の体調や精神状態によって屈曲、固縮の程度が変わるため、手指を一定の状態に設置したり一指のみを挿入固定したりするといった操作は、使用者本人だけでは困難であり、上記従来の訓練器でもなお介護者の補助を要していた。

　そこで本発明では、比較的簡易な構造体によって、安全にかつ手軽に運動回復訓練を行うことができ、また耐久性に富み、比較的軽量かつコンパクトな構成とすることで運搬性や取り扱い性に優れ、さらに使用者本人だけで介護者の補助を要せずに簡易に安心して使用することのできる手指機能回復訓練器及び運動機能回復訓練器を提供することを課題とする。

　本発明では上記課題を解決すべく以下（１）～（９）の手段を講じている。

　（１）本発明の手指機能回復訓練器は、掌を対向させて載せ得るだけの大きさの載置面を少なくとも上面に有した基盤１と、
手の５指のうち少なくとも１指を差し込む差し込み環２１を有して基盤１の上面に固定された差し込み固定部と、
一端が基盤１の一側部寄りの位置に固定された弾性長尺体からなり、他端が基盤１の他側部寄りの位置に係止されることで、基盤１の載置面に沿って前記差し込み固定部の左右側方間を亘る固定バンドと、
上方への連続凸部を有し、前記差し込み固定部に手の指を差し込んだ状態で残りの指を載置し得る指載置部とを具備してなり、
掌を基盤１の載置面に対向させて前記差し込み固定部に手の少なくとも１指を差し込み、残りの指を指載置部に載置した状態で、固定バンドの他端を係止させ、掌を開いた状態に強制固定し得ることを特徴とする。

　（２）また、前記手指機能回復訓練器において、前記指載置部は、基盤１の載置面よりも上方へ湾曲凸状に形成された山部が複数個隣接してなる隣接山部（第一、第二、第三柱体４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）と、隣接山部の隣接端にて隣接端からさらに外方へ指先当て用の上方傾斜面が形成された指先当て部５１とからなり、さらに、指先当て部５１の上方傾斜面上に、指先の当たりを緩衝させる緩衝材５２が固定されてなることが好ましい。

　上記隣接山部と緩衝材５２とによって、麻痺部分の屈曲、固縮の程度に応じて手指の設置状態を自由に可変させ、或いは設置状態を使用者本人によって調節できるようにしている。

　（３）また、前記いずれかの手指機能回復訓練器において、前記指載置部の隣接山部は、隣接本間で径の異なる複数本の柱体が横倒しの状態で隣接し、基盤１上の所定の伸長方向に伸長固定されてなり、
前記差し込み固定部は、この隣接山部の伸長方向に沿って基盤１上に離間配置された複数の固定手段のいずれかに選択的に固定され、かつ固定する際又は固定後に差し込み環２１の平面視角度を可変し得ることが好ましい。

　（４）また、前記いずれかの手指機能回復訓練器において、固定バンドは、基盤１の一側部に隣接して又は重ねて固定され、先端に係止フックを有する複数本の固定バンドによって構成され、基盤１の他側部寄りにて互いに固定バンドの固定部からの距離を変えて配設された複数の被係止部のいずれかに選択的に係止されることで、伸長状態で基板上を亘ることが好ましい。

　（５）また、前記いずれかの手指機能回復訓練器において、差し込み固定部は、長手方向に伸びる板状の弾性材が長手方向中央で差し込み環２１を形成するように湾曲して折り曲げられ、その両端同士が面当接状態で固定されることで取り付け基部２１Tを形成してなり、この取り付け基部２１Tが基盤１の上面に当接して基盤１上の複数の固定位置のいずれかに選択的に圧着固定されることが好ましい。

　（６）また、前記いずれかの手指機能回復訓練器において、載置面は基盤１の表面、裏面にそれぞれ形成され、表面、裏面それぞれに互いに異なる形状の指載置部を具備してなり、固定バンドは当該表面か裏面のいずれかの載置面上を選択的に亘って、それぞれ異なる伸長量で伸長係止し得ることが好ましい。

　（７）また、本発明の手指機能回復訓練器は、前記（１）～（６）のいずれか記載の手指機能回復訓練器と、この手指機能回復訓練器の基盤１の一辺から取り外し可能に固定された下肢機能回復シート７とからなる運動機能回復訓練器であって、前記下肢機能回復シート７は、一方のシート面に、基盤１への取り付け辺から他辺へ伸びる複数本のガイド線が表示されると共に、他方のシート面に、基盤１への取り付け側をつま先側とする足形が表示され、使用者が展開したシート上に載り、このガイド線を足置き位置の目安として歩行訓練又は屈伸訓練を行うができることを特徴とする。

　（８）また、前記運動機能回復訓練器において、前記下肢機能回復シート７は、固定バンドが固定された基盤１の一側部にシート端辺が固定された長尺のシート片からなり、シート片を巻きつけて基盤１の一側部に沿わせた収容状態とし、収容状態のシート片に固定バンドを周着させて収容状態を維持し得ることが好ましい。

　（９）また、前記いずれかの運動機能回復訓練器において、
前記下肢機能回復シート７は、シート側辺に固定バンドの係止フックを係止し得る係止溝が形成され、係止溝に係止フックを係止させた固定バンドが、シート上で所定方向を向いて伸長配置されるものであり、使用者が展開したシート上に載り、この伸長配置された固定バンドを足置き位置のガイドとして歩行訓練又は屈伸訓練を行うができることが好ましい。

　上記手段を講じることで、比較的簡易な構造体によって、麻痺した部位を強制動作させたり殴打したりすることなく安全に運動回復訓練を行うことができ、また耐久性に富み、比較的軽量かつコンパクトな構成とすることで運搬性や取り扱い性に優れる運動機能回復訓練器を提供するものとなった。またさらに、麻痺部分の屈曲、固縮の程度に応じて手指の設置状態を自由に可変させ、或いは設置状態を使用者本人によって調節できるようにし、使用者本人だけで介護者の補助を要せずに簡易に安心して使用することのできる運動機能回復訓練器を提供するものとなった。

実施例１の手指機能回復訓練器における第１の使用状態の平面説明図。図１の第１の使用状態を指先側から見た側面説明図。実施例１の手指機能回復訓練器における第２の使用状態の平面説明図。図３の第２の使用状態を指先側から見た側面説明図。図１の第一の使用状態を掌側方から見た正面説明図。実施例１の手指機能回復訓練器のバンドを取り外した状態の平面図。実施例２の運動機能回復訓練器の第１、第２、第３の使用状態の平面説明図。実施例２の運動機能回復訓練器の第１の使用状態の使用方法説明図。実施例２の運動機能回復訓練器の第２の使用状態の使用方法説明図。

　以下本発明の運動機能回復訓練器について、実施例として示す各図と共に説明する。図１～図６に示すものが本発明の実施例１の手指機能回復訓練器であり、図７～９に示すもものが、実施例２の運動機能回復訓練器である。このうち実施例１の手指機能回復訓練器は固定バンドを備えた基盤１上に差し込み固定部と指載置部とが固定され、機械的機構を伴わない構造体によって手指機能或いは足指機能の回復訓練を行うものである。このうち実施例２の運動機能回復訓練器は実施例１の手指機能回復訓練器と同様の基本構成の手指機能回復訓練器と、当該訓練器の側面に展開可能に固定された下肢機能回復機能シートとから構成され、機械的機構を伴わない構造体によって手指機能或いは足指機能の回復訓練を行うと共に、展開した下肢機能回復機能シートによって歩行訓練や屈伸運動訓練を行うものである。

（本発明の手指機能回復訓練器）
　本発明の手指機能回復訓練器は、実施例１、２のいずれにおいても基本的構成として少なくとも以下の構成を具備する。すなわち基本的構成として、
掌を対向させて載せ得るだけの大きさの載置面を少なくとも上面に有した基盤１と、
手の５指のうち一部である少なくとも１指を差し込む差し込み環２１を有して基盤１の上面に固定された差し込み固定部と、
一端が基盤１の一側部寄りの位置に固定されたバンド状の弾性長尺体からなり、他端が基盤１の他側部寄りの位置に係止されることで、基盤１の載置面に沿って前記差し込み固定部の左右側方間を亘る固定バンド（第一固定バンド３Ａ，第二固定バンド３Ｂ）と、
上方への連続凸部を有し、前記差し込み固定部の差し込み環２１に手の少なくとも１指を差し込んだ状態で残りの指を載置し得る指載置部（第一、第二、第三柱体４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）とを具備する。

　（手指機能回復訓練器の使用方法）
　そして上記基本構成からなる手指機能回復訓練器を使用する際は、掌を基盤１の載置面に対向させて、前記差し込み固定部の差し込み環２１に手の少なくとも１指を差し込み、残りの指を指載置部（第一、第二、第三柱体４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）に載置した状態で、固定バンドの他端（第一固定バンド３Ａ，第二固定バンド３Ｂ）を他端が基盤１の他側部寄りの位置に係止させ、掌を開いて前記残りの指を伸ばした状態として強制固定する（図５）。

　差し込み固定部によって一部の指を差し込み固定し、固定されていない残りの指を指載置部の連続凸部上へ渡した状態とし、この状態のまま上方を亘る固定バンドの伸縮力（弾性反力）によって手の甲側を押さえて強制固定している。これにより、麻痺によって曲ったまま、あるいは隣同士くっついたままの指を強制的に解いて伸ばすことで手指の血行を回復させ、圧迫を解除して感覚障害の回復が可能な状態にすることができる。また差し込み固定部の固定位置の調整、固定バンドの係止位置の調整、指載置部への残りの指の載せ方（連続凸部を超える指の長さ及び角度）の調整を行うことで、例えば図１、２と図３，４のように、指の状態に応じた段階的な伸長矯正を行うことができる。以下、各構成について詳述する。

　（基盤１）　基盤１は、使用者の掌を対向させて載せ得るだけの大きさの載置面を少なくとも上面に有した盤状体からなる。実施例では卓上に固定配置できるような長方形の薄板からなる。この長方形の一の長辺の外方を亘るように吊り下げ紐６が固定され、この吊り下げ紐６を掴んで運搬したり壁等に設置した吊り下げフック（図示せず）へ吊り下げたりすることが可能である。基盤１の載置面は、板状体からなる基盤１の表面、裏面にそれぞれ形成され、表面、裏面それぞれに互いに異なる形状の指載置部を具備してなる。後述の固定バンドは当該表面か裏面のいずれかの載置面上を選択的に亘って、それぞれ異なる伸長量で伸長係止し得る。

　（差し込み固定部）
　差し込み固定部は、長手方向に伸びる板状の弾性材が長手方向中央で差し込み環２１を形成するように湾曲して折り曲げられ、その両端同士が面当接状態で固定されることで取り付け基部２１Ｔを形成してなり、この取り付け基部２１Ｔが基盤１の上面に当接して基盤１上の複数の固定位置のいずれかに選択的に圧着固定される。より具体的には、差し込み固定部は、指の一部を差し込むことのできる差し込み環２１を有した指の固定部品であり、固定手段（固定ネジ２２及び固定穴２３Ｒ，２３Ｌ）によって基盤１上へ固定される。例えば図１～４に示すように、２つ折りした弾性板の両端部同士を固定板２１Ｔで周囲から巻きつけ固定することで、二つ折り部分に差し込み環２１を形成すると共に、固定板２１Ｔよりも先側の重なり合った端片を貫通させた固定孔に固定ネジ２２を挿通してなる。固定ネジ２２は基盤１の上面に設けられた複数の固定穴２３Ｒ，２３Ｌのいずれかに螺入することで、差し込み固定部を基盤１上に固定する。固定手段はこの固定ネジ２２と、基盤１上面に設けられた固定穴２３Ｒ，２３Ｌとから構成される。

　固定穴２３Ｒ、２３Ｌは内ネジが形成された穴部であり、使用者から見て右辺寄り、左辺寄り（図１，３，６における下辺寄り及び上辺寄り）にそれぞれ複数個ずつ幅方向に離間し、全体として一列に配置される。左辺寄り左辺寄りの複数個の穴列は右手用の固定穴２３Ｒで構成される穴群であり、右辺寄りの複数個の穴列は左手用の固定穴２３Ｌで構成される穴群である。差し込み固定部は、この隣接山部の伸長方向に沿って基盤１上に離間配置された複数の固定穴２３Ｒ，２３Ｌのいずれかに選択的に固定される。離間配置された複数の固定穴２３Ｒ，２３Ｌの選択固定によって、図１と図３に図示するように、固定する際又は固定後に差し込み環２１の平面視角度を可変させ得る。すなわち図１のように、比較的外辺寄りの固定穴２３Ｒ，２３Ｌに差し込み固定部を選択固定し、この差し込み固定部に親指を差し込み固定した場合には、手の小指側に大きなスペースが確保されるため、開伸させようとする指先を指載置部の比較的手前側の位置に載置することとなる。このとき、小指側を手首より小指側の外方に向けるか、或いは図１の二点鎖線で図示するように、手首を真直ぐ伸ばして掌を固定することができる。このような図１の状態と比べて、図３のように、比較的外辺から離れた中央寄りの固定穴２３Ｒ，２３Ｌに差し込み固定部を選択固定し、この差し込み固定部に親指を差し込み固定した場合には、手の親指側に大きなスペースが確保されるため、開伸させようとする指先を指載置部の比較的奥側の位置に載置することとなる。このとき、図３の二点鎖線で図示するように、人差し指側を手首より人差し指側の外方に向けて掌を固定することができる。

　（固定バンド３Ａ、３Ｂ）
　固定バンドは、基盤１の一側部に隣接して又は重ねて固定され、先端に係止フックを有する複数本の固定バンドによって構成され、基盤１の他側部寄りにて互いに固定バンドの固定部からの距離を変えて配設された複数の被係止部のいずれかに選択的に係止されることで、伸長状態で基板上を亘る。具体的には一端が基盤１の一側部寄りの位置に固定された弾性長尺体からなり、他端が基盤１の他側部寄りの位置に係止されることで、基盤１の上方を載置面に沿って弾性変形可能に伸長し、前記差し込み固定部の左右側方間を亘る状態で固定される。一本の長尺体から構成されてもよいし、実施例のように複数本の長尺体から構成されてもよい。

　実施例では、基盤１の幅方向長さよりも僅かに長い開放長さの第一固定バンド３Ａと、第一固定バンド３Ａよりも長い開放長さの第二固定バンド３Ｂとからなる２本の固定バンドが、共に使用者から見て基盤１の平面視左辺に各一端が隣接して固定される。第一固定バンド３Ａの固定個所は、差し込み使用者から見て差し込み固定部よりも奥側であり、また、第二固定バンド３Ｂの固定個所は第一固定バンド３Ａよりも奥側である。この第二固定バンド３Ｂの固定個所は、指載置部において使用者から見て最も手前の凸部である柱体４Ａの形成箇所と共通する。

　各固定バンドの先端には、先端に折り曲げ部３Ｆを有する係止フック３３が、その基端側に連なるフック固定板３Ｔの固定バンド側周への巻着によって固定される。具体的には固定バンドの先部が、バンド先端である折り曲げ端３Ｅを上面側に折り重ねるように折り曲げ部３Ｆで折り曲げられ、この折り重なった状態の先部がフック固定板３Ｔによって周着固定される。フック固定板３Ｔは折り重なったバンド先部を下面から両側方を経て上面の一部まで屈曲してバンドの四方周囲を亘る薄板からなり、この薄板のうちバンド下面を覆う中央部から先側へ細幅の折り曲げ部３Ｆが伸長して連なる。折り曲げ部３Ｆは固定バンドの伸長方向へ、固定バンドのバンド幅よりも細幅で伸長した後、下方及び後方へ２段階で屈曲するフック部からなる（図２、図４参照）。

　固定バンドが基盤１の上部を幅方向左右に亘り、先端の係止フック３３が被係止部３４，３５に係止されたとき、図３，４，５，６に示すようにバンド自体が弾性伸長し、その弾性反力によって緊縮して、差し込み固定部に親指を固定された手の甲側を押さえて保持固定する状態となる。このとき第一固定バンド３Ａは手の甲のうち手首寄りの位置を比較的強い緊縮力で押さえつけ、第二固定バンド３Ｂは手の甲のうち指先寄りの位置を比較的弱い緊縮力で押さえつける。係止させた固定バンドは、手の甲部を所定位置かつ所定角度に保持固定又は仮保持固定する役割と、指を開伸させた状態で保持させる指の曲りの矯正保持の役割の、二つの役割を有する。

　使用状況により開放長さの短い第一固定バンド３Ａ，開放長さの長い第二固定バンド３Ｂの係止順を変えることもできるし、または２本のうちいずれか片側のみを係止させることもできるし，複数の被係止部のいずれかを選択して緊縮力を調整して係止することもできる。特に第二固定バンド３Ｂは、使用者から見た奥行き方向の取り付け位置が、後述の指載置部における第一柱体４Ａの柱軸位置と共通しているため、指載置部上ヘの指の載置位置や、第二固定バンド３Ｂの被係止部３４／３５への係止位置を変えることで、使用者の指載置部上の手指の矯正位置及び矯正力を調節することができる。

　被係止部３４、３５は例えば、３方枠状に折り曲げ形成された枠状の剛性板からなり、枠状の両端部が、互いに固定個所を変えて固定される。実施例では第一被係止部３４、第二被係止部３５からなる二つの被係止部が、基盤１のうち固定バンドが固定された側の一側部と反対側の他側部にて、それぞれ基盤１の平面視右辺付近の上面、及び側面に固定される。緊縮力を比較的小さくするときには図１，２のように第一係止部３４に係止し、緊縮力を比較的大きくするときには図３，４のように第二係止部３５に係止する。

　（指載置部）
　指載置部は、基盤１の載置面よりも上方へ湾曲凸状に形成された山部が複数個隣接してなる隣接山部と、隣接山部の隣接端にて隣接端からさらに外方へ指先当て用の上方傾斜面が形成された指先当て部５１とからなり、さらに、指先当て部５１の上方傾斜面上に緩衝材５２が固定されてなる。

　また指載置部の隣接山部は、隣接本間で径ないし取り付け高さの異なる複数本の柱体として、第一柱体４Ａ，第二柱体４Ｂ、及び第三柱体４Ｃからなる３本の柱体が、それぞれ横倒しの状態で互いに並行軸となるように隣接し、基盤１上の所定の伸長方向に伸長固定されて構成される。隣接山部を構成する３本の柱体のうち第一柱体４Ａは第二柱体４Ｂ及び第三柱体４Ｃのそれぞれよりも小径の円柱であり、使用者からみた最も手前寄りの位置にて、それ自体の下面が基盤１上に当接することで他の二本よりも低い位置に固定される（図５）。また第二柱体４Ｂは第一柱体４Ａよりも大径の円柱であり、第一柱体４Ａと隣接する奥側のやや上位位置にて、柱体の両端を保持する第二固定枠４２によって、基盤１から僅かに浮いた位置で保持固定される（図５）。そして第三柱体４Ｃは第一柱体４Ａ，第二柱体４Ｂのそれぞれよりも大径の円柱であり、使用者からみた最も奥側のやや下位位置にて、第三柱体４Ｃの両端を保持する第三固定枠４３によって、基盤１から僅かに浮いた位置で保持固定される（図５）。

　さらに第三固定部４Ｃよりも奥側には、多角形柱からなる指先当て部５１が横倒しの状態で互いに並行軸となるように隣接し、基盤１上に固定される。この指先当て部５１は使用者から見て手前側の斜め上方を法線とする上方傾斜面が、多角形の一側面として形成されており、この傾斜面付近に使用者の指先があたるように配置設計される。この傾斜面にはまた、軟質材からなる緩衝材５２が貼付け固定される。指先と緩衝材５２との軟性材接触によって当たりを緩衝し、開伸させた状態の長時間の保持を可能とすると共に、指先の怪我の発生を防いでいる。

　本発明の手指機能回復訓練器は、差し込み固定部を固定ネジ２２で任意の固定穴２３Ｒ／２３Ｌに固定した図６の状態から、施療する手の親指１指を差し込み固定部の差し込み環２１内に挿入して掌を下方へ向けて載置面上面にセットする。このとき差し込み固定部の固定位置によって、掌の傾きを調節してセットすることができる。例えば指が比較的緊縮して解伸しにくい状態では図１のような手首をまっすぐ伸ばした状態となるようにセットし、或いは指が伸びやすい状態では図３のような手首を親指側に傾けた状態となるようにセットすることができる。そして残りの４指を指載置部の連続凸部すなわち各隣接山部を構成する第一～第三柱体上ヘ強制的に置いていく。このとき指先は、各柱体間または第三柱体－指先当て部５１間のいずれかの隣接谷部へ収容された状態で、より安定的に保持される。径又は高さの異なる複数の隣接柱体によって隣接山部が形成されるため、麻痺して屈曲状態にある指先は段階的にいずれかの谷部に自然と収まり、柱体上から容易に外れないようになっている。

　また隣接する各柱の径は特に奥側へ向かって段階的に大きなものとなっているため、奥側の柱体に当る部分では緩やかな湾曲凸状面で指面が刺激され、手前側の柱体に当る部分ではやや曲率半径の小さい湾曲凸状面で指面が刺激される。さらに固定バンドの係止位置を変えることで、弾性バンドの伸長反力による緊縮量を可変させ、手の甲を抑える力を調節することができる。例えば指が緊縮して解きにくい状態では図２のように、指関節が曲ってやや上方に位置しても過剰な痛みを感じない程度の比較的小さい緊縮量となるように第一被係止部３４に係止させ、指の開き伸ばしの動作を慣れさせるようにすることができる。或いは指が伸びやすい状態又は指の開き伸ばしが慣れてきた状態では、図４のように指関節が伸びてやや下方に位置することで指の上面に適度な刺激を与える程度の比較的大きい緊縮量となるように第二被係止部３５に係止させ、指の開き伸ばしをより大きくして矯正することができる。また比較的短い第一係止バンド３Ａを第二係止バンド３Ｂよりも先に係止することで、手の甲の手首よりの位置を強固に固定して掌の角度を固定したうえで開き伸ばしの訓練を行うことができる一方、比較的長い第二係止バンド３Ｂを第一係止バンド３Ａよりも先に係止することで、指先の位置を先に指載置部上の谷部か指先当て部のいずれかに固定しておいたうえで手首寄りの部分を押さえて指の根元側ないし掌部分の開き伸ばしの訓練を強化することもできる。

（本発明の運動機能回復訓練器）
　本発明の運動機能回復訓練器は、上記いずれか記載の手指機能回復訓練器と、この下肢機能回復シート７とからなる。下肢機能回復シート７は、一方のシート面に、基盤１への取り付け辺から他辺へ伸びる複数本のガイド線が表示されると共に、他方のシート面に、基盤１への取り付け側をつま先側とする足形が表示され、使用者が展開したシート上に載り、このガイド線を足置き位置の目安として歩行訓練又は屈伸訓練を行うができる。

　下肢機能回復シート７は、固定バンドが固定された基盤１の一側部にシート端辺が固定された長尺のシート片からなり、シート片を巻きつけて基盤１の一側部に沿わせた収容状態とし、収容状態のシート片に固定バンドを周着させて収容状態を維持し得る。下肢機能回復シート７のシート側辺には固定バンドの係止フックを係止し得る係止溝が形成され、係止溝に係止フックを係止させた固定バンドが、シート上で所定方向を向いて伸長配置されるものであり、使用者が展開したシート上に載り、この伸長配置された固定バンドを足置き位置のガイドとして歩行訓練又は屈伸訓練を行うができる。

　（下肢機能回復シート７）
　下肢機能回復シート７は、手指機能回復訓練器の基盤１の一辺から取り外し可能に固定された長尺のシート片からなり、短辺のシート端が基盤１の固定バンド固定部の側面に差し込みボルトを介して取り外し可能に固定される。図７（ａ）のように、表面を上にして展開した第一の使用状態において、表側のシート面７Ｆ上に固定端から伸びる４本の並行線７１Ｌ、７２Ｌが模様として着色表示される。４本の並行線７１Ｌ、７２Ｌのうち３本目の第三平行線７２Ｌは第二柱体４Ｂの柱軸の略延長線上に形成され、かつ他の３本よりも濃色になっている。図８に示すようにこの並行線７１Ｌ、７２Ｌ間を足位置の目安としてシート上を基盤１側へ歩くことで、真直ぐに歩くための歩行訓練を行うことができる。なおこのとき、第二柱体４Ｂが歩行先の目標となる。

　シート７のシートの両側辺の略中央位置にはそれぞれ、固定バンドを係止し得る係止溝７３が形成され、また、シート裏面には足置き角度を指定する足形模様と体の方向を指定する矢印模様とが付される。シートの裏面を上面とし、左右の係止溝７３に２本の固定バンド３Ａ，３Ｂのそれぞれの係止フック３３を係止させることで、一端を隣接固定された２本の固定バンド３Ａ，３Ｂがシートの裏面７Ｂ上で放射状に間隔をあけて配設された状態となる。この状態からさらに係止溝７３付近を折れ線として先部を裏側へ折り返して二つ折りにすることで、図７（ｂ）のような第二の使用状態となる。この状態で足形上に足を載せ、図９のように矢印の先に壁又は柱Ｐを配置させてこの壁又は柱Ｐに基盤１１を立て懸け、使用者がシート上に載ることで適切な足位置を維持したまま起立訓練をすることができる。このとき壁又は柱Ｐに手すりＲが付いているときは手摺りＲをもって屈伸運動訓練を行うことも可能である。

　また２本の固定バンド間の距離は壁又は柱Ｐ側に近づくほど狭くなるように放射状に形成されているため、壁又は柱Ｐ側に体が近づくほど両足の距離が固定バンドによって外側から規制され、体の向きが矢印側へ強制的に配向される（図９）。なお固定バンドの固定端の中央部分には固定バンドを通したり係止させたりするための矩形孔７４が形成され、図７（ａ）のようなシート展開状態で弾性ベルトを表側に抜き出すことができる。

　また図７（ｃ）のような収容状態でその外側から固定バンド３Ａ，３Ｂを巻きつけ、矩形孔７４か被係止部に係止フックを係止することで、収容状態を維持することができる。このときシートの巻き方の強弱によって、あるいは固定バンドを図７（ｃ）のようにシートの外側を通すか矩形孔内を通すかによって、固定バンドを被係止部へ係止したときの伸長量を調整することもできる。

　その他本発明は上述した実施例に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、一部構成要素の省略、各要素の分離ないし分解構成、着脱ないし配置変更可能構成、他形状部品への交換、置換といった、適宜の変形が可能である。例えば実施例２の手指機能回復訓練器と下肢機能回復シート７とを完全に分離させた独立構成とし、それぞれを必要に応じて着脱可能な関連訓練器として、或いはそれぞれを着脱不能な別の訓練器として構成してもよい。また前記下肢機能回復シート７を表面７Ｆと裏面７Ｂのいずれか一方の模様が付された片面構成とし、いずれか他方の模様が付された片面構成の他の下肢機能回復シートを別体で構成して、手指機能回復訓練器の基盤１の一側辺に選択式に、或いは手指機能回復訓練器の基盤１の両側辺それぞれに着脱可能に取り付けたものとしてもよい。

１　基盤
２１　差し込み環
２２　固定ネジ
２３Ｒ、２３Ｌ　固定手段（固定穴）
２１Ｔ　取り付け基部固定板
３Ａ　第一固定バンド
３Ｂ　第二固定バンド
３Ｔ　フック固定板
３３　係止フック
３Ｆ　折り曲げ部
３Ｅ　バンド端
３２　固定手段
３４、３５　第一、第二被係止部
４Ａ，４Ｂ，４Ｃ　第一、第二、第三柱体
４２　第二固定枠
４３　第三固定枠
５１　指先当て部
５２　緩衝材
６　吊り下げ紐
７　シート（下肢機能回復シート）
７Ｆ　表面
７Ｂ　裏面
７１Ｌ、７２Ｌ並行線
７３　係止溝
７４　矩形孔
７５Ｐ　足形表示
７６Ｐ　矢印表示
Ｐ　柱
Ｒ　手すり

Claims

掌を対向させて載せ得るだけの大きさの載置面を少なくとも上面に有した基盤と、
手の５指のうち少なくとも１指を差し込む差し込み環を有して基盤の上面に固定された指固定部と、
一端が基盤の一側部寄りの位置に固定された弾性長尺体からなり、他端が基盤の他側部寄りの位置に係止されることで、基盤の載置面に沿って前記指固定部の左右側方間を亘る固定バンドと、
上方への連続凸部を有し、前記差し込み固定部に手の指を差し込んだ状態で残りの指を載置し得る指載置部とを具備してなり、
掌を基盤の載置面に対向させて前記指固定部に手の少なくとも１指を差し込み、残りの指を指載置部に載置した状態で、固定バンドの他端を係止させ、掌を開いた状態に強制固定し得ることを特徴とする手指機能回復訓練器。
前記指載置部は、基盤の載置面よりも上方へ湾曲凸状に形成された山部が複数個隣接してなる隣接山部と、隣接山部の隣接端にて隣接端からさらに外方へ指先当て用の上方傾斜面が形成された指先当て部とからなり、さらに、指先当て部の上方傾斜面上に緩衝材が固定されてなる請求項１記載の手指機能回復訓練器。
前記指載置部の隣接山部は、隣接本間で径の異なる複数本の柱体が横倒しの状態で隣接し、基盤上の所定の伸長方向に伸長固定されてなり、
前記指固定部は、この隣接山部の伸長方向に沿って基盤上に離間配置された複数の固定手段のいずれかに選択的に固定され、かつ固定する際又は固定後に差し込み環の平面視角度を可変し得る請求項２記載の手指機能回復訓練器。
固定バンドは、基盤の一側部に隣接して又は重ねて固定され、先端に係止フックを有する複数本の弾性バンドによって構成され、基盤の他側部寄りにて互いに弾性バンドの固定部からの距離を変えて配設された複数の被係止部のいずれかに選択的に係止されることで、伸長状態で基板上を亘る請求項１、２又は３のいずれか記載の手指機能回復訓練器。
指固定部は、長手方向に伸びる板状の弾性材が長手方向中央で差し込み環を形成するように湾曲して折り曲げられ、その両端同士が面当接状態で固定されることで取り付け基部を形成してなり、この取り付け基部が基盤の上面に当接して基盤上の複数の固定位置のいずれかに選択的に圧着固定される請求項１、２、３または４のいずれか記載の手指機能回復訓練器。
載置面は基盤の表面、裏面にそれぞれ形成され、表面、裏面それぞれに互いに異なる形状の指載置部を具備してなり、固定バンドは当該表面か裏面のいずれかの載置面上を選択的に亘って、それぞれ異なる伸長量で伸長係止し得る請求項１、２、３、４または５のいずれか記載の手指機能回復訓練器。
請求項１ないし６のいずれか記載の手指機能回復訓練器と、この手指機能回復訓練器の基盤の一辺から取り外し可能に固定された下肢機能回復シートとからなる運動機能回復訓練器であって、前記下肢機能回復シートは、一方のシート面に、基盤への取り付け辺から他辺へ伸びる複数本のガイド線が表示されると共に、他方のシート面に、基盤への取り付け側をつま先側とする足形が表示され、使用者が展開したシート上に載り、このガイド線を足置き位置の目安として歩行訓練又は屈伸訓練を行うができることを特徴とする運動機能回復訓練器。
前記下肢機能回復シートは、弾性バンドが固定された基盤の一側部にシート端辺が固定された長尺のシート片からなり、シート片を巻きつけて基盤の一側部に沿わせた収容状態とし、収容状態のシート片に弾性バンドを周着させて収容状態を維持し得る請求項７記載の運動機能回復訓練器。
　前記下肢機能回復シートは、シート側辺に弾性バンドの係止フックを係止し得る係止溝が形成され、係止溝に係止フックを係止させた弾性バンドが、シート上で所定方向を向いて伸長配置されるものであり、使用者が展開したシート上に載り、この伸長配置された弾性バンドを足置き位置のガイドとして歩行訓練又は屈伸訓練を行うができる請求項８記載の運動機能回復訓練器。