WO2012014911A1 - 細胞分離用酵素溶液及び細胞分離方法、並びに膵島分離方法 - Google Patents

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Abstract

組織又は臓器から単個細胞又は細胞集団を分離する際のダメージを低減することが可能な細胞分離用酵素溶液、並びにそれを用いた細胞分離方法及び膵島分離方法を提供する。 本発明に係る細胞分離用酵素溶液は、塩化物イオンチャネル阻害剤を含有し、又は塩化物イオン濃度が10mM以下である。この細胞分離用酵素溶液を用いて酵素処理を行うことで、組織又は臓器から単個細胞又は細胞集団を分離することができる。特に膵臓から膵島を分離する際には、膵菅を介して細胞分離用酵素溶液を注入し、膵臓を分解する。

Description

細胞分離用酵素溶液及び細胞分離方法、並びに膵島分離方法
 本発明は、組織又は臓器から単個細胞又は細胞集団を分離する細胞分離用酵素溶液、並びにそれを用いた細胞分離方法及び膵島分離方法に関する。
 インスリンを投与しなければ生命を維持できない、いわゆるインスリン依存状態にある1型糖尿病の患者に対して、膵島移植という技術が大きな社会的注目を集めており、主に欧米において、臨床における治療法として確立されようとしている。
 膵島移植とは、生体での血糖調節に中心的役割を果たしている細胞集団である膵島を点滴の要領で門脈内に注入する細胞組織移植である。膵島移植は、移植を受ける側への侵襲が小さく、1型糖尿病患者にとって最も理想に近い治療法と考えられている。
 2000年にカナダ・エドモントンのアルバータ大学で、臨床膵島移植の治験の成功が報告された(非特許文献1を参照)。この報告以来、多数の膵島移植が欧米を中心に行われてきた。それらの膵島移植は、アルバータ大学で確立された、いわゆる「エドモントン・プロトコール」を基本として実施されている。
Shapiro AM, Lakey JR, Ryan EA, et al., N. Engl. J. Med., 2000; 343:230-238 Brandhorst H, Brandhorst D, Hering BJ, Bretzel RG, Transplantation, 1999; 68:355-361 Matsumoto S, Rigley TH, Reems JA, Kuroda Y, Stevens RB, Am. J. Transplant., 2003; 3:53-63 Lu WT, Lakey JR, Juang JH, Hsu BR, Rajotte RV, Transplant Proc., 2002; 34:2700-2701 Arita S, Une S, Ohtsuka S, et al., Pancreas, 2001; 23:62-67 Avila JG, Tsujimura T, Oberholzer J, et al., Cell Transplant., 2003; 12:877-881 Avila J, Barbaro B, Gangemi A, et al., Am. J. Transplant., 2005; 5:2830-2837 Goto T, Tanioka Y, Sakai T, et al., Transplantation, 2007; 83:754-758 Ichii H, Wang X, Messinger S, et al., Am. J. Transplant., 2006; 6:2060-2068
 この膵島移植において問題になっているのが、膵島分離の際の膵島に対するダメージをいかに低減するかということである。膵臓は消化液を分泌する臓器であり、その大半を占める外分泌腺細胞には様々な消化酵素が含まれている。膵島を分離するための酵素処理は、外分泌腺細胞に対しても障害を与え、外分泌腺細胞内に存在する消化酵素の逸脱を引き起こす。細胞外に出た消化酵素は非常に組織障害性が高く、膵島に対して多大なダメージを与える。この問題を解決することは、膵島移植の成功率を飛躍的に高めることとなる。
 従来、膵島に対するダメージを低減する方法としては、低温で酵素処理を行う方法(非特許文献2を参照)、トリプシン阻害剤を用いる方法(非特許文献3,4を参照)、プロスタグランジン誘導体を用いる方法(非特許文献5を参照)、グルタミンを用いる方法(非特許文献6,7を参照)、酸素化パーフルオロカーボンを用いる方法(非特許文献8を参照)、ニコチンアミドを用いる方法(非特許文献9を参照)、等が報告されている。
 しかし、いずれの方法も十分に満足のいくものとは言えず、膵島に対するダメージを低減する新たなアプローチが望まれていた。
 なお、このようなダメージの低減は、膵島分離に限られず、組織又は臓器から酵素処理により単個細胞又は細胞集団を分離する際に共通の課題である。例えば、肝臓、神経、血管等の再生医療、組織からの癌細胞の分離、組織からの幹細胞の分離、生殖医療における卵巣からの卵母細胞の分離等においても、細胞に対するダメージを低減することが望まれている。
 本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、組織又は臓器から単個細胞又は細胞集団を分離する際のダメージを低減することが可能な細胞分離用酵素溶液、並びにそれを用いた細胞分離方法及び膵島分離方法を提供することを目的とする。
 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、組織又は臓器から単個細胞又は細胞集団を分離する際に用いられる細胞分離用酵素溶液に塩化物イオンチャネル阻害剤を添加すること、あるいは細胞分離用酵素溶液中の塩化物イオン濃度を低下させることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のとおりである。
 (1) 塩化物イオンチャネル阻害剤を含有する細胞分離用酵素溶液。
 (2) 上記塩化物イオンチャネル阻害剤の濃度が0.05~1mMである上記(1)記載の細胞分離用酵素溶液。
 (3) 塩化物イオン濃度が10mM以下である細胞分離用酵素溶液。
 (4) 塩化物イオンがハロゲン化物イオン以外の陰イオンによって置換されている上記(3)記載の細胞分離用酵素溶液。
 (5) 上記(1)から(4)のいずれかに記載の細胞分離用酵素溶液を用いて、組織又は臓器から単個細胞又は細胞集団を分離する工程を含む細胞分離方法。
 (6) 膵菅を介して上記(1)から(4)のいずれかに記載の細胞分離用酵素溶液を注入し、膵臓を分解する工程を含む膵島分離方法。
 本発明によれば、組織又は臓器から単個細胞又は細胞集団を分離する際のダメージを低減することが可能な細胞分離用酵素溶液、並びにそれを用いた細胞分離方法及び膵島分離方法を提供することができる。特に、膵島分離方法に適用した場合には、膵島収量や膵島のバイアビリティ等を改善することができる。
対照群、DIDS群、低Cl群のラットから分離された膵島の収量を示す図である。 対照群、DIDS群、低Cl群のラットから分離された膵島のバイアビリティを示す図である。 対照群、DIDS群、低Cl群のラットから分離された膵島のTUNEL染色結果を示す図である。 対照群、DIDS群、低Cl群のラットから分離された膵島のHE染色結果を示す図である。 糖尿病モデルSCIDマウスの左腎に、対照群、DIDS群、低Cl群のラットから分離された膵島を移植し、移植後30日目に膵島移植腎を摘出したときの血糖値変化を示す図である。 図5の膵島移植後25日目の糖尿病モデルSCIDマウスに対して腹腔内グルコース負荷試験を行ったときの血糖値変化を、膵島を移植していない正常群のSCIDマウスと比較して示す図である。
≪細胞分離用酵素溶液≫
 本発明の第1の態様における細胞分離用酵素溶液は、塩化物イオンチャネル阻害剤を含有することを特徴とする。
 塩化物イオンチャネル阻害剤としては、特に限定されるものではない。具体例としては、4,4’-ジ(イソチオシアノ)スチルベン-2,2’-ジスルホン酸ジナトリウム塩(DIDS)、4-アセチルアミノ-4’-イソチオシアナトスチルベン-2,2’-ジスルホン酸ジナトリウム塩(SITS)、2-[(3-フェニルプロピル)アミノ]-5-ニトロ安息香酸(NPPB)、アラキドン酸、フロレチン、9-アントラセンカルボン酸(9-AC)等が挙げられる。
 塩化物イオンチャネル阻害剤の濃度は0.05~1mMが好ましく、0.1~0.5mMがより好ましい。
 第1の態様における細胞分離用酵素溶液は、塩化物イオンチャネル阻害剤を含有する点以外は、従来の細胞分離用酵素溶液と同様である。すなわち、ハンクス液等の緩衝塩類溶液に酵素を添加したものを用いることができる。酵素としてはコラゲナーゼが汎用されるが、プロテアーゼ、ディスパーゼ等を用いても構わない。酵素濃度は、通常0.5~2mg/mLである。
 本発明の第2の態様における細胞分離用酵素溶液は、塩化物イオン濃度が10mM以下であることを特徴とする。塩化物イオン濃度が10mM以下である点以外は、従来の細胞分離用酵素溶液と同様である。
 塩化物イオン濃度を10mM以下とするには、従来組成の細胞分離用酵素溶液を調製する際に、陰イオンとして塩化物イオンを含む塩の代わりに、他の陰イオンを含む塩を用いればよい。他の陰イオンとしては、グルコン酸イオン、グルクロン酸イオン、グルタミン酸イオン、スルフォン酸イオン、硫酸イオン、ホウ酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン、重炭酸イオン、リン酸イオン、アスコルビン酸イオン、シュウ酸イオン、クエン酸イオン等が挙げられる。ただし、ヨウ化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオンは細胞傷害性があるため好ましくない。陽イオンは置換前後で同じであることが好ましい。
 例えば、細胞分離用酵素溶液の組成中の塩化ナトリウムをグルコン酸ナトリウムで置換することにより、塩化物イオン濃度を低下させることができる。
 なお、第2の態様の細胞分離用酵素溶液は、塩化物イオンチャネル阻害剤を含有していても構わない。
≪細胞分離方法及び膵島分離方法≫
 本発明に係る細胞分離方法は、上述した本発明に係る細胞分離用酵素溶液を用いて、組織又は臓器から、特には摘出された組織又は臓器から、単個細胞又は細胞集団を分離する工程を含むものである。この細胞分離方法は、従来、細胞分離用酵素溶液を用いて組織又は臓器から単個細胞又は細胞集団を分離している領域に広く適用可能である。このような適用領域としては、例えば、膵臓からの膵島の分離、肝臓、神経、血管等の再生医療、組織からの癌細胞の分離、組織からの幹細胞の分離、生殖医療における卵巣からの卵母細胞の分離等が挙げられる。以下では一例として、膵臓からの膵島を分離する膵島分離方法について説明する。
 膵臓分離方法は、細胞分離用酵素溶液を用いて膵臓を分解する分解工程と、分解された膵組織から膵島を回収する純化工程とを含む。
 (分解工程)
 ヒトを含む動物の場合、膵臓を分解するには、まず、摘出された膵臓の膵菅を介して本発明に係る細胞分離用酵素溶液を注入し、膵臓を膨化させる。細胞分離用酵素溶液の注入は、例えば、ポンプを用いて注入圧力調節下に、細胞分離用酵素溶液を主膵菅に注入することにより行うことができる。
 膵臓に細胞分離用酵素溶液を注入した後、適当な装置を用いて細胞分離用酵素溶液の温度を37℃程度に上昇させて酵素を活性化させることにより、分解を開始することができる。例えば酵素としてコラゲナーゼを用いる場合、温度の上昇によりコラゲナーゼが活性化し、結合組織を形成するコラーゲンを溶解することにより、膵組織が分解する。
 分解の停止は、細胞分離用酵素溶液の温度を低下させることにより行うことができる。また、血清蛋白(アルブミン等)を加えて酵素を不活化することにより分解を停止させることもできる。
 分解を停止した後は、膵組織を回収する。回収した膵組織は、純化工程の前に遠心分離を行って濃縮しておくことが好ましい。
 また、ヒト以外の動物の場合、上記のように膵臓を摘出してから細胞分離用酵素溶液を注入するのではなく、摘出する前に細胞分離用酵素溶液を注入することも可能である。例えば、総胆管をクランプし、総胆管から膵菅を介して膵臓に細胞分離用酵素溶液を注入する。その後、膵臓を摘出し、37℃程度の温度でインキュベーションを行うことにより、分解を開始することができる。分解の停止する方法等は上記と同様である。
 (純化工程)
 膵島の純化は、膵島が膵外分泌組織に比べて比重が軽いことを利用して行うことができる。具体的には、回収した膵組織を用いて密度勾配遠心を行うことにより、膵島と膵外分泌組織とを分離し、膵島を回収することができる。
 以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
 なお、以下の実施例では9~10週齢のラットを膵島のドナーとして用いた。また、レシピエントとして、9~10週齢のSCIDマウスを用いた。このSCIDマウスに対して、ジエチルエーテルでの麻酔下にストレプトゾシン(STZ;250mg/kg)の腹腔内投与を行い、β細胞を破壊することで糖尿病を誘導した。2日連続して随時血糖値が350mg/dLを超えたマウスを糖尿病マウスとみなし、レシピエントとした。
<実施例1:ラットからの膵島の分離>
 ラットを8匹ずつの3群(対照群、DIDS群、低Cl群)に分けた後、各ラットにエーテル麻酔を施して開腹し、十二指腸への入口付近で総胆管をクランプし、カニューレを挿入した。そして、そのカニューレから膵菅を介して膵臓に、コラゲナーゼ(2mg/mL)を含有する12mLのハンクス液(NaCl:8000mg/mL,KCl:400mg/mL,MgSO:48.8mg/mL,MgCl:46.8mg/mL,CaCl:140mg/mL,KHPO:60mg/mL,NaHPO:47.9mg/mL,グルコース:1000mg/mL)を注入した。ただし、DIDS群については、塩化物イオンチャネル阻害剤であるDIDS(200μM)をさらに添加し、低Cl群については、ハンクス液中の塩化ナトリウムをグルコン酸ナトリウムで置換した。
 そして、溶液注入により膨化した膵臓を摘出し、37℃にて32分間インキュベーションを行った。その後、分解された組織を50mLのコニカルチューブに入れて、4℃のハンクス液を加え、酵素反応を止めた。チューブを穏やかに震盪し、320Gで10~15秒間、遠心分離を行った。次いで、ペレットをハンクス液で3回洗浄し、組織懸濁液をメッシュフィルタ(孔径860μm)に通して未分解の大きな組織を除いた後、Ficoll(type400;Sigma Chemical製)を用いた密度勾配遠心(密度:1.120g/cm、1.090g/cm、及び1.050g/cm)を行い、膵島を回収した。回収した膵島は、2%ウシ胎仔血清を含有するRPMI1640培地を用いて、37℃のCOインキュベータにて培養した。
 膵島の収量については、IEQ(islet equivalents;直径150μmを基準とした膵島個数)いう単位が用いられている。ジフェニルチオカルバゾンを用いて各ラットから得られた膵島を染色し、顕微鏡観察した。膵島の直径が50~100μm、101~150μm、151~200μm、201~250μm、251~300μm、301~350μm、351~400μm、400μm以上の群に分け、各群の個数をNとしたとき、それぞれN×0.167、N×0.667、N×1.685、N×3.5、N×6.315、N×10.352、N×15.833、N×22.75というように係数を掛けた値を求めた。そして、それらを合計した値を各ラットからの膵島収量とした。なお、直径が50μm未満の膵島はカウントしなかった。
 対照群、DIDS群、低Cl群のラットから分離された膵島の収量を図1に示す。図1に示すとおり、対照群における膵島収量は1316±245IEQであった。一方、DIDS群における膵島収量は1969±244IEQ、低Cl群における膵島収量は1725±221IEQであり、対照群よりも有意に増加していた。
<実施例2:膵島のダメージ評価>
 膵島のダメージの程度は、細胞膜のバリア機能が保持できているか否かで評価することができる。そこで、実施例1にて分離した各群の膵島(各群ともにn=8)を、蛍光色素であるアクリジンオレンジ(AO)及びヨウ化プロピジウムを用いて染色した。なお、AOは生細胞においても細胞に取り込まれて緑色の蛍光を発し、PIは細胞膜のバリア機能の破綻によって細胞に取り込まれ、DNAと結合することで赤色の蛍光を発する。具体的には、AO(10μM)及びPI(15μM)をPBSに溶かし、その液中にて膵島を10分間インキュベーションした後、膵島を蛍光顕微鏡観察した。そして、画像解析ソフト(Image J free software)を用いて、緑色蛍光の面積と赤色蛍光の面積とを求め、赤色蛍光の面積を除いた緑色蛍光の面積の割合(%)を膵島のバイアビリティ(%)とした。
 対照群、DIDS群、低Cl群のラットから分離された膵島のバイアビリティを図2に示す。図2に示すとおり、対照群における膵島のバイアビリティは74.6±5.6%であった。一方、DIDS群における膵島のバイアビリティは84.9±4.9%、低Cl群における膵島のバイアビリティは89.6±5.2%であり、対照群よりも有意に増加していた。
<実施例3:グルコース刺激によるインスリン分泌>
 実施例1にて分離した各群の膵島について、低濃度(3.3mM)及び高濃度(20mM)のグルコース刺激に対するインスリン分泌能を測定した。測定の前段階として、直径150~200μmの膵島(各群ともにn=10)を12穴トランスウェルマイクロプレート(Corning Transwell 3403;ポアサイズ12μm)上で24時間培養した。培地としては、3.3mMグルコース及び0.1%牛胎仔血清を含有するRPMI1640培地を用い、37℃、5%CO/95%大気条件とした。
 測定に際しては、膵島が置かれているトランスウェルの培地を3.3mMグルコース及び0.1%牛胎仔血清を含有するRPMI1640培地で置き換え、60分間、前培養を行った。なお、培養は全て37℃、5%CO/95%大気条件で実施した。その後、膵島が置かれているトランスウェルを、同様の培地の入った新たなウェルに移して60分間静置した(サンプルA)。さらに、膵島が置かれているトランスウェルを、20mMグルコースを含有する培地の入った新たなウェルに移して60分間静置した(サンプルB)。その後、サンプルA、サンプルBの培地を回収し、ELISA法を利用したインスリン測定キット(森永生化学工業製)を用いて、培地に含まれているインスリンを測定した。そして、サンプルBのインスリン濃度をサンプルAのインスリン濃度で割った値をインスリン分泌刺激インデックスとした。結果を下記の表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 表1から分かるように、対照群におけるインスリン分泌刺激インデックスは7.56±1.82であった。一方、DIDS群におけるインスリン分泌刺激インデックスは9.93±2.18、低Cl群におけるインスリン分泌刺激インデックスは11.3±3.90であり、対照群よりも有意に増加していた。
<実施例4:TUNEL染色及びHE染色>
 実施例1にて分離した各群の膵島を、4%パラホルムアルデヒドを用いて4℃で1日間固定し、パラフィン包埋した。その後、5μm厚の切片を作成してプレパラートにマウントし、In Situ Apoptosis Detection Kit(タカラバイオ製)を用いてTUNEL染色を行った。対照群、DIDS群、低Cl群におけるTUNEL染色の結果をそれぞれ図3(A),(B),(C)に示す。
 また、実施例1にて分離した各群の膵島を、4%パラホルムアルデヒドを用いて4℃で1日間固定し、パラフィン包埋した。その後、5μm厚の切片を作成してプレパラートにマウントし、HE染色を行った。対照群、DIDS群、低Cl群におけるHE染色の結果をそれぞれ図4(A),(B),(C)に示す。
 図3から分かるように、いずれの群についてもTUNEL陽性細胞は殆ど検出されなかった。また、図4から分かるように、対照群についてはHE染色で染まっていない部分が確認された。
 このことから、膵島分離中に起こる細胞死は、細胞膨化から生じるネクローシスであると考えられる。本発明に係る細胞分離用酵素溶液を用いることで、そのような細胞死を抑制することができる。
<実施例5:糖尿病モデルSCIDマウスへの膵島移植>
 実施例1にて分離した各群の膵島(200IEQ)を、STZ処理による糖尿病モデルSCIDマウス(各群ともにn=5)の腎皮膜下に移植した。糖尿病モデルSCIDマウスの選別については、採血により2日連続して随時血糖値が350mg/dLを超えるものを採用した。移植に際しては、マウスにエーテル麻酔を施し、左腎の腎皮膜下に250μLピペットチップを用いて膵島を注入した。移植後、最初の7日間は毎日採血を行って血糖値を測定し、その後は週に3回、血糖値を測定した。そして、移植後30日目に膵島移植腎を摘出した。なお、糖尿病の治癒の定義は、血糖値が3日連続して150mg/dL未満であり、腎摘後に血糖値が250mg/dL超まで上昇した場合とした。対照群、DIDS群、低Cl群における血糖値の測定結果をそれぞれ図5(A),(B),(C)に示す。
 図5から分かるように、移植後1~2日目におけるDIDS群の血糖値(78.7±52.7mg/dL)及び低Cl群の血糖値(117.8±44.0mg/dL)は、対照群の血糖値(252.3±107.4mg/dL)よりも有意に低かった(DIDS群vs対照群;p=0.0004、低Cl群vs対照群;p=0.002)。また、DIDS群については5匹全てが、低Cl群については5匹中4匹が、正常血糖(<150mg/dL)になったが、対照群については5匹中2匹しか正常血糖にならなかった。
 なお、移植後に正常血糖となった全てのマウスは、腎摘後に高血糖に戻った。
<実施例6:膵島移植後の腹腔内グルコース負荷試験(IPGTT)>
 膵島の機能をさらに調べるため、実施例5における膵島移植後25日目のマウスに対して腹腔内グルコース負荷試験を行った。試験の前8時間は絶食として、体重kg当たり2.5gのグルコースを生理食塩水に加えてマウスの腹腔内に注入した。マウスとしては、膵島移植を行った糖尿病モデルSCIDマウス(対照群、DIDS群、低Cl群;各群ともにn=5)と膵島移植を行っていないSCIDマウス(正常群;n=5)とを用いた。そして、グルコース投与前、及び投与後10,30,60,90,120分の時点で血糖値を測定した。結果を図6に示す。
 図6から分かるように、DIDS群及び低Cl群は正常群に近い血糖値変化を示したが、対照群は高血糖のまま推移していた。

Claims (6)

  1.  塩化物イオンチャネル阻害剤を含有する細胞分離用酵素溶液。
  2.  前記塩化物イオンチャネル阻害剤の濃度が0.05~1mMである請求項1記載の細胞分離用酵素溶液。
  3.  塩化物イオン濃度が10mM以下である細胞分離用酵素溶液。
  4.  塩化物イオンがハロゲン化物イオン以外の陰イオンによって置換されている請求項3記載の細胞分離用酵素溶液。
  5.  請求項1から4のいずれかに記載の細胞分離用酵素溶液を用いて、組織又は臓器から単個細胞又は細胞集団を分離する工程を含む細胞分離方法。
  6.  膵菅を介して請求項1から4のいずれかに記載の細胞分離用酵素溶液を注入し、膵臓を分解する工程を含む膵島分離方法。
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