WO2012001980A1

WO2012001980A1 - 衛生洗浄装置

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Publication number: WO2012001980A1
Application number: PCT/JP2011/003748
Authority: WO
Inventors: 由子栗本; 達也三木; 奥井　昇
Original assignee: パナソニック株式会社
Priority date: 2010-07-02
Filing date: 2011-06-30
Publication date: 2012-01-05
Also published as: JP5649041B2; CN102449242B; KR20120028870A; JP2012012873A; KR101252437B1; CN102449242A

Abstract

　本発明に係る衛生洗浄装置（５０）は、洗浄機能の使い勝手を損なわずに、低コストかつ簡易な構成でノズル洗浄を行うことのできるものであり、操作部（５２）の操作により、温水ヒータへの通電を一定時間停止させる「保温中断」の状態にあれば、この間に、ノズル洗浄水吐出口（１５１）等のノズル洗浄手段から温水タンク（２０）内の温水を噴出させて、ノズル装置（１００）を洗浄する。これにより、温水タンク（２０）内の温水を有効に活用してノズル装置（１００）を衛生的に維持することができ、次の局部洗浄時に使用する温水がないといった、使い勝手を損なうおそれを回避することができる。

Description

衛生洗浄装置

　本発明は、ノズル洗浄機能を有する衛生洗浄装置に関するものである。

　衛生洗浄装置には、人体局部を洗浄する等の目的で１つ以上のノズルを備えているが、このようなノズル自体を清潔に保持するためにノズル洗浄機能（あるいは洗浄とともに除菌も行うノズル除菌洗浄機能）を備える構成が従来より種々提案されている。

　例えば、人体局部を洗浄する場合よりも高い温度の洗浄水を使用後のノズルに吐水することにより、ノズルに付着した汚物や雑菌を取り除いている構成の衛生洗浄装置が知られている（例えば、特許文献１参照）。

　また、高温水ではなく、人体局部を洗浄する場合と同等の温度の洗浄水（便宜上、標準温度水と称する）にて、ノズル洗浄を行うことにより、ノズル装置に付着した汚物を取り除いている構成の衛生洗浄装置も知られている（例えば、特許文献２参照）。

　このような標準温度水を用いる構成では、所定のサイクルで定期的に、または、一定の不使用時間経過後にノズル洗浄を行うことにより、ノズル装置に付着した汚物が乾燥してこびりつくことを防止し、ノズル装置を衛生的に維持している。

特開平１０－３１１０７８号公報特開２００２－３５６８９６号公報

　しかしながら、前記高温水を用いる構成の衛生洗浄装置では、ノズル装置に付着した雑菌を、洗浄により取り除く（以下、「ノズル除菌洗浄」と表現する）ためには、人体局部を洗浄する場合よりも高い温度の洗浄水を必要とする。

　特に、タンク内に洗浄用温水を貯めて洗浄を行ういわゆる「貯湯式」の衛生洗浄装置においては、洗浄水を急速に昇温するヒータを設ける、あるいは温水タンク内の温水を高温に保持し、人体局部の洗浄時あるいはノズル洗浄時等に要求される水温に応じて、湯水を所定の割合で混合する湯水混合弁を設ける等、多くの構成部品を必要とする。そのため、洗浄機構全体が複雑になりコストがかかるという点において改良の余地があった。

　また、前記標準温度水を用いる構成の衛生洗浄装置では、人体局部を洗浄する場合と同等の温度の洗浄水でノズルの洗浄を行うため、ノズルの形状によっては、雑菌を十分取り除けないことが懸念される。さらに雑菌を取り除くまでノズルの洗浄を行うには大量の温水を必要とするため、「貯湯式」の衛生洗浄装置においては、ノズル洗浄の直後は、タンク内の温水が湯切れするおそれがある。この場合、ノズル洗浄の直後には温水で人体の局部洗浄を行うことができないことになり、この点において改良の余地があった。

　本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、人体局部の洗浄機能の使い勝手を損なわずに、低コストかつ簡易な構成にて、ノズル洗浄機能を実現することができる衛生洗浄装置を提供することを目的とする。

　本発明に係る衛生洗浄装置は、前記の課題を解決するために、人体の局部洗浄を行うノズル装置と、前記ノズル装置を洗浄するノズル洗浄部と、洗浄用の温水を貯溜する温水タンクと、前記温水タンク内の洗浄水を加温する温水ヒータと、使用者の操作により、前記温水ヒータへの通電の停止を設定する保温中断設定部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記保温中断設定部により、前記温水ヒータへの通電が停止されている間に、前記ノズル洗浄部による前記ノズル装置の洗浄を実施するよう構成されている。

　本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。

　以上のように、本発明では、人体局部の洗浄機能の使い勝手を損なわずに、低コストかつ簡易な構成にて、ノズル洗浄機能を実現することができる衛生洗浄装置を提供することができる、という効果を奏する。

本発明の実施の形態１に係る衛生洗浄装置の外観の一例を示す斜視図である。図１に示す衛生洗浄装置の本体内部の構成の一例を示す分解斜視図である。図２に示す本体内部の収納位置にあるノズル装置の外観の一例を示す斜視図である。図３に示すノズル装置の長手方向の断面図である。図３に示すノズル装置のＡＡ線矢視断面図である。（ａ）は、図４に示すノズル装置がビデ洗浄位置にあるときの状態を示す断面図であり、（ｂ）は、（ａ）に示すノズル装置の先端部の詳細構成を示す断面図である。（ａ）は、図４に示すノズル装置がお尻洗浄位置にあるときの状態を示す断面図であり、（ｂ）は、（ａ）に示すノズル装置の先端部の詳細構成を示す断面図である。（ａ）は、図３または図４に示すノズル装置が備えるノズルユニットの構成の一例を示す上面図であり、（ｂ）は、（ａ）の長手方向の断面図である。図１に示す衛生洗浄装置が備える操作部の構成の一例を示す平面図である。図１に示す衛生洗浄装置における制御構成の要部の一例を示すブロック図である。図１０に示す制御部によるノズル洗浄開始の判定処理の一例を示すフローチャートである。本発明の実施の形態２に係る衛生洗浄装置が備える制御部のノズル洗浄開始の判定処理の一例を示すフローチャートである。本発明の実施の形態３に係る衛生洗浄装置が備える制御部のノズル洗浄開始の判定処理の一例を示すフローチャートである。

　本発明に係る衛生洗浄装置は、人体の局部洗浄を行うノズル装置と、前記ノズル装置を洗浄するノズル洗浄部と、洗浄用の温水を貯溜する温水タンクと、前記温水タンク内の洗浄水を加温する温水ヒータと、使用者の操作により、前記温水ヒータへの通電の停止を設定する保温中断設定部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記保温中断設定部により、前記温水ヒータへの通電が停止されている間に、前記ノズル洗浄部による前記ノズル装置の洗浄を実施する構成である。

　前記構成によれば、使用者自身が保温中断設定部により温水ヒータへの通電停止を設定することにより、衛生洗浄装置を一定時間使用しない意思が明確となり、その間に温水タンク内の温水を使用してノズル装置を洗浄することが可能となる。それゆえ、十分な量の温水をノズル装置の洗浄に用いることができるので、人体局部を洗浄する温水温度よりも高い温度でなくても十分なノズル装置の洗浄の実施が可能となる。しかも次の局部洗浄時に使用する温水がないといった、使い勝手を損なうことを回避することができる。

　前記構成の衛生洗浄装置においては、使用者の操作により、前記ノズル装置の洗浄の実施を設定するノズル洗浄設定部を備え、前記制御部は、前記ノズル洗浄設定部によるノズル装置の洗浄の実施が設定され、かつ、前記保温中断設定部による前記温水ヒータへの通電停止が設定された場合にのみ、前記ノズル装置の洗浄を実施する構成であってもよい。

　前記構成によれば、無駄な温水を使用することなく、さらに使い勝手よく、必要な時のみノズル装置の洗浄を実施することができる。

　前記構成の衛生洗浄装置においては、前記制御部は、前回の局部洗浄が終了してから所定時間が経過した後に前記ノズル装置の洗浄を実施する構成であってもよい。

　前記構成によれば、温水タンク内の洗浄水は局部洗浄に使用される温度まで昇温されるため、ノズル装置に付着した雑菌を取り除くに十分な水量および温度を確保してからノズル装置の洗浄を実施することができる。

　前記構成の衛生洗浄装置においては、前記ノズル装置の被洗浄部は金属製であり、前記制御部は、前記局部洗浄に使用する温水と同温度もしくはその近傍の温度で前記ノズル装置の洗浄を実施する構成であってもよい。

　前記構成によれば、人体局部洗浄時よりも高温でノズル装置の洗浄を行う必要がないので、例えば、洗浄水を急速に昇温するヒータ、高温に保持した温水タンク内の温水を混合する湯水混合弁といった部品を必要としない。そのため、人体局部の洗浄機能の使い勝手を損なわずに、低コストかつ簡易な構成にて、ノズル装置に付着した雑菌を取り除くことができる。

　前記構成の衛生洗浄装置においては、前記ノズル装置は、先端部に洗浄水を噴出する複数の噴出口を有するノズル本体と、前記ノズル本体の少なくとも一部を覆う筒状のノズルカバーと、を備え、前記ノズルカバーは前記ノズル本体の少なくとも１個の噴出口に対応する噴出開口を有し、前記洗浄水は前記噴出開口を介して前記噴出口から噴出する構成であればよい。

　前記構成によれば、ノズル装置の表面は、汚物および雑菌が付着し難く、温水で洗い流すことにより容易に付着した雑菌を取り除くことが可能となる。

　また、前記構成の衛生洗浄装置においては、前記ノズル装置は、先端部に洗浄水を噴出する噴出口を有する円筒形のノズル本体と、前記ノズル本体を収納可能とするノズルケーシングと、前記ノズルケーシングの先端側に設けられ、収納された前記ノズル本体の外周に洗浄水を吐出可能とするノズル洗浄水吐出口と、を備え、前記ノズル洗浄部が、前記ノズル洗浄水吐出口である構成であってもよい。

　前記構成によれば、ノズル洗浄部が円筒形のノズル本体の外周に洗浄水が吐出されるよう構成されている。そのため、洗浄水はノズル本体の周囲を旋回するように流れることになる。それゆえ、ノズル本体の裏側まで洗浄水を流すことができるので、付着物を洗浄水で良好に洗い流すことができる。その結果、人体局部を洗浄する温水温度と同等の温度の洗浄水を用いても、高温の温水を用いた場合と同様に、ノズル装置に付着した雑菌を取り除くことが可能となるので、簡素な構成で、ノズル装置の洗浄だけでなくノズル除菌洗浄も実現することができる。

　以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。

　（実施の形態１）
　まず、本実施の形態に係る衛生洗浄装置の代表的な構成の一例について、図１および図２を参照して具体的に説明する。図１は本発明の実施の形態１における衛生洗浄装置の外観を示す斜視図であり、図２は本体内部の構成を示す分解斜視図である。

　［衛生洗浄装置の全体構成］
　図１に示すように、本実施の形態に係る衛生洗浄装置５０は、本体部５１、操作部５２、便座部５３、便蓋５４等を備えている。衛生洗浄装置５０の本体部５１、便座部５３および便蓋５４は、一体的に組み付けられて図示されない便器の上面に設置される。以下、衛生洗浄装置５０の構成を説明するにあたっては、便座部５３に着座した使用者から見て前方を前方向または前側、後方を後方向または後側、左側方を左方向または左側、右側方を右方向または右側として説明する。また、便座部５３と便蓋５４とは、それぞれ起立位置と倒伏位置との間で、それぞれ別個にかつ両者一緒に回動可能に設けられるが、以下では、便宜上、これらが倒伏位置から起立位置へ向かって回動することを「開く」といい、起立位置から倒伏位置へ向かって回動することを「閉じる」という。

　本体部５１の具体的な構成は特に限定されず、例えば、本体部５１は、本実施の形態では、横長の形状を有し、その長手方向が便器の後側で左右方向に横断するように当該便器に配置されている。本体部５１には、操作部５２が一体的に設けられているとともに、便座部５３および便蓋５４が開閉自在に取り付けられている。また、本体部５１における便座部５３の下側となる位置には、本体部５１内に収容されているノズル装置１００が先端面のみ露出している。

　ノズル装置１００のノズルユニット２００が便器の中央に向けて進出し、ノズルユニット２００の先端に設けた噴出口から使用者の局部に向けて洗浄水を噴出し、使用者の局部を洗浄する。なお、本体部５１の内部構成およびノズル装置１００については、後述する。

　操作部５２は、本体部５１の右側面から前側に延伸するように設けられ、その形状は例えば柱状であって、その上面が操作面となっている。操作面には、後述するように、衛生洗浄装置５０が有する各種機能を操作するための複数の操作スイッチ、操作状況等を表示する表示部等が設けられている。

　図１に示すように、本体部５１の左右の側面は便蓋支持側面５１ａとなっており、便蓋５４の回動軸が回動可能に挿入されることで、便蓋５４が開閉可能に支持されている。また、本体部５１の左右の側面における前方は、便蓋支持側面５１ａから見て本体部５１の左右方向の中央部に向かって落ち込んだような段差面である便座支持側面５１ｂとなっており、便座部５３の回動軸が回動可能に挿入されることで、便座部５３が開閉可能に支持されている。

　便座部５３は、本体部５１に取り付けられた状態で、起立位置および倒伏位置の間で回動自在となっており、倒伏位置（閉じた状態）で使用者が着座する。便蓋５４も、本体部５１に取り付けられた状態で、起立位置および倒伏位置の間で回動自在となっており、使用時には起立位置（開いた状態）とし、未使用時には倒伏位置（閉じた状態）とする。便座部５３および便蓋５４は、いずれも手動で開閉される構成であってもよいし、本体部５１内に設けられる便座・便蓋開閉ユニットにより自動的に開閉される構成であってもよい。

　便座部５３は内部に図示されない便座ヒータを備え、当該便座部５３を加温するよう構成されている。すなわち、本実施の形態に係る衛生洗浄装置５０は、暖房便座機能を備えている。

　本体部５１は、図２に示すように、内部が中空の本体筐体５１１内に、温水タンク２０、ノズル装置１００、図示されない乾燥ユニット、および制御部等が収容されている。

　本体部５１は、本体筐体５１１の下側となり、前記各機能ユニットを載置した状態で収容する下部本体筐体５１１ａと、この下部本体筐体５１１ａの上側を覆う状態で取り付けられる図示されない上部本体筐体とから構成されている。図２においては、温水タンク２０およびノズル装置１００を説明する便宜上、本体部５１を構成する本体筐体５１１については、下部本体筐体５１１ａのみ図示し、他の機能ユニットおよび制御部等についても図示していない。なお、温水タンク２０およびノズル装置１００は、まとめて一つの洗浄ユニットを構成してもよい。

　温水タンク２０は、本体部５１の右下側に位置する給水接続部３４から図２には図示されない入水口部を介して内部に洗浄水が導入され、当該洗浄水を貯蔵するとともに、内部に設けられている温水ヒータによって所定の温度範囲に加温する。給水接続部３４は、図２には図示されない上水道配管等に接続されている。

　また、給水接続部３４と入水口部との間には、図示されない分岐した流路が設けられ、この分岐した流路には圧力逃し弁３４１が設けられている。この圧力逃し弁３４１は、温水タンク２０に一定の圧力以上の水圧がからないように、水圧を逃すための弁である。給水源から通常の水圧で給水が行われていれば、この圧力逃し弁３４１は開かないが、給水源から一定以上の水圧で給水が行われると、この圧力逃し弁３４１が開き、発生する余剰水を逃し配管３４２から出水する。給水接続部３４としては、ニップル、配管およびバルブ等から構成されている。配管としては軟質の樹脂製チューブが用いられている。

　また、温水タンク２０の底部には、温水タンク２０内に貯溜された水を排水する図示されない水抜口部が設けられており、温水タンク２０内の水が凍結することが予想される場合、あるいは、温水タンク２０が長期間使用されない場合に、温水タンク２０内の水を排水することができる。

　また、温水タンク２０の出水口部２５２は、給水配管３３１からノズル装置１００の流路と流量を調節する流量調節弁（図示せず）を介して給水配管３３２、給水配管３３３、給水配管３３４に接続され、各給水配管３３２、３３３、３３４がそれぞれノズル装置１００に接続され、加温された洗浄水（温水）をノズル装置１００へ供給する。

　また、温水タンク２０の上面には、図２に示すように、真空破壊弁２５３が設けられている。真空破壊弁２５３は、ノズル装置１００から汚水が入ったとき、逆流を防止するための弁である。真空破壊弁２５３には膨張水流出配管２５４が接続され、洗浄水の加熱の際に、温水タンク２０から膨張水が流出するような場合を想定して、膨張水流出配管２５４から下部本体筐体５１１ａを介して膨張水を便器内に流すように構成されている。

　なお、温水タンク２０は、図示されない温水ヒータ等とともに温水生成部を構成しており、ノズル装置１００と同様に前記制御部により制御されることで、内部の洗浄水の水温を所定の温度範囲に調節して保持する。加えて、温水タンク２０には図示されないサーミスタからなる温水温度測定部と、保安器とが設置されている。保安器としては、応答速度の速いサーモスタット使用し、異常温度になったことを瞬時に検知して温水ヒータを停止することができる。なお、温水ヒータ、温水温度測定部、および制御部については、後述するノズル洗浄開始の判定処理の説明に伴い、制御構成を説明している。

　［ノズル装置の構成およびノズル洗浄動作］
　次に、本実施の形態に係る衛生洗浄装置５０が備えるノズル装置１００の具体的な構成の一例について、図３ないし図８（ａ），（ｂ）を参照して具体的に説明する。図３は、本体部５１の内部で収納位置にあるノズル装置１００の外観の斜視図であり、図４は、ノズル装置１００の長手方向の断面図であり、図５は、ノズル装置１００の図３におけるＡＡ線矢視断面図である。

　また、図６（ａ）は、本体部５１の内部でノズル装置１００がビデ洗浄位置にあるときの状態を示す断面図であり、図６（ｂ）は、このときのノズル装置１００の先端部の詳細構成を示す断面図である。また、図７（ａ）は、本体部５１の内部でノズル装置１００がお尻洗浄位置にあるときの状態を示す断面図であり、図６（ｂ）は、このときのノズル装置１００の先端部の詳細構成を示す断面図である。さらに、図８（ａ）は、ノズル装置１００が備えるノズルユニット２００の構成の一例を示す上面図であり、図８（ｂ）は、ノズルユニット２００の長手方向の断面図である。なお、以下の説明では、ノズル装置１００の洗浄を「ノズル洗浄」と略す。

　図３に示すように、ノズル装置１００は、樹脂材料で成型したノズルケーシング１１０を備えており、このノズルケーシング１１０は、上下に分離可能なノズル上ケース１２０およびノズル下ケース１３０を組み合わせた構成となっている。ノズルケーシング１１０の中央部には、図６（ａ）または図７（ａ）に示すように、略円筒形のノズルガイド１１１が形成してあり、ノズルガイド１１１の一端には先端開口１１２が設けてある。

　ノズルガイド１１１の先端開口１１２の上部には、上下に回動自在なノズルシャタ１４０が枢支されており、ノズルユニット２００をノズルガイド１１１に収納した状態で先端開口１１２を閉塞する。ノズルシャタ１４０は、ノズルユニット２００が洗浄位置に進出するときには、ノズルユニット２００の先端が押進することにより上方に開放され、ノズルユニット２００を収納位置に収納したときはノズルシャタ１４０の自重で下方に回動して閉塞される。

　ノズルガイド１１１内には円筒形のノズルユニット２００が摺動自在に設けられており、このノズルユニット２００は、図３および図４に示すように、ノズルガイド１１１内に収容された位置（収納位置）と、図６（ａ）示すように先端開口１１２より突出してビデ洗浄を行う位置（ビデ洗浄位置）と、図７（ａ）に示すように、先端開口１１２より突出してお尻洗浄を行う位置（お尻洗浄位置）とを取るように、進退可能に構成されている。なお、本実施の形態では、先端開口１１２よりノズルユニット２００が突出した位置、すなわち洗浄位置としては、ビデ洗浄位置およびお尻洗浄位置の２カ所の洗浄位置を例示するが、本発明はこれに限定されず、ノズルユニット２００は、他の洗浄位置を取るように構成されてもよい。

　図８（ａ）および（ｂ）に示すように、ノズルユニット２００は、略円筒形のノズル本体３００と、ノズル本体３００を収容する略円筒形状のノズルカバー４００と、ノズルカバー４００でノズル本体３００を牽引する連結部５００で構成されている。ノズルカバー４００はノズルカバー本体４１０とノズルラックブロック４２０とが一体となって構成されている。ノズルカバー本体４１０はステンレスの薄板を円筒状に形成したものであり、その先端面は閉塞面であって後端面は開放面である。この後端面は、ノズル本体３００が挿入可能な形状をなしている。

　ノズル本体３００とノズルカバー４００とは相互に摺動可能な構成をなしており、ビデ洗浄位置とお尻洗浄位置において、ノズル本体３００とノズルカバー４００とは、連結部５００によって所定の相対位置に停止する構成となっている。図６（ｂ）および図７（ｂ）に示すように、ノズルカバー本体４１０の上面には１個の噴出開口４１１が設けられている。

　噴出開口４１１は、図６（ｂ）に示すように、ビデ洗浄位置においてはノズル本体３００のビデ洗浄噴出口３４０に重ね合わせられ、図７（ｂ）に示すように、お尻洗浄位置においてはお尻洗浄噴出口３２０に重ね合わせられるように、ノズルカバー本体４１０に設けられている。噴出開口４１１は、ビデ洗浄噴出口３４０およびお尻洗浄噴出口３２０より開口が大きくなっており、洗浄水が噴出開口４１１に当たって噴出に支障が生ずることがないように構成されている。

　なお、本実施の形態においては、ノズル本体３００には、お尻洗浄機能とビデ洗浄機能の２つの機能を備えた構成としたが、これに限るものではなく、お尻洗浄またはビデ洗浄の単独の機能のみを備えた構成でもよい。この場合、ノズル本体３００とノズルカバー４００とは相互に摺動可能な構成とする必要はなく、噴出開口４１１に重合する構成のビデ洗浄噴出口３４０およびお尻洗浄噴出口３２０のいずれか一方を備えていればよい。

　ノズルケーシング１１０の内部構成について説明すると、図３および図４において破線で囲んで示すように、ノズルガイド１１１の先端開口１１２（図３および図４には符号は付さず）の近傍は、他の部位よりも内径の大きい洗浄拡大部１１３となっており、この洗浄拡大部１１３はノズルユニット２００の収納位置においてノズルカバー本体４１０上面の噴出開口４１１およびその周辺を十分にカバーする奥行きを有している。

　図５は、前述したように図３におけるＡＡ線矢視断面図であって洗浄拡大部１１３の横断面に相当するが、この図５に示すように、洗浄拡大部１１３の上部には、当該洗浄拡大部１１３の外周の接線方向に沿ってノズル洗浄水吐出口１５１が開口している。図５に示す例では、先端開口１１２から見て向かって左側の接線方向に沿って（左横向き方向に）ノズル洗浄水吐出口１５１が開口している。

　ノズルケーシング１１０の外側には、ノズル洗浄水吐出口１５１と連通するノズル洗浄流路１５０が設けられており、このノズル洗浄流路１５０は、図５には図示されないホースを介して給水接続部３４（図２参照）に接続されている。洗浄拡大部１１３の内径はノズルカバー本体４１０の外面と略全周に亘り僅かな隙間が形成される寸法に設定されており、ノズル洗浄水吐出口１５１から導入されたノズル洗浄用の洗浄水は、この隙間に流通可能となっている。

　さらに、ノズルユニット２００の収納状態においては、図６（ｂ）に示すビデ洗浄位置の場合と同様に、ノズルカバー本体４１０の噴出開口４１１とノズル本体３００のビデ洗浄噴出口３４０とは、互いに重ね合わせられるように構成されている。

　ノズル洗浄水吐出口１５１は、ノズルガイド１１１の外周の接線方向へ洗浄水を噴出するよう構成されている。そのため、洗浄水はノズルカバー本体４１０の周囲を旋回するように流れることになる。その結果、ノズルカバー本体４１０裏側まで洗浄水を流すことができるので、ノズルカバー４００および噴出開口４１１の付着物を洗浄水で洗い流すことができる。また、洗浄拡大部１１３の下部には洗浄水を排出する排水口４１２が設けられているので、ノズルカバー４００および噴出開口４１１を洗浄した後の洗浄水を便器内に排出することができる。

　またノズルユニット２００を収納位置から前進させた状態で、ノズル洗浄水吐出口１５１から洗浄水を供給すれば、噴出開口４１１の近辺のみならず、ノズルカバー４００全体を洗浄することも可能となる。

　なお、本実施の形態では、ノズルカバー４００をステンレス鋼にて構成している。ステンレス鋼は樹脂と比較した場合、その界面の自由エネルギーが高くなるため、ステンレス鋼製のノズルカバー４００の表面は親水性が高くなる。ノズルカバー４００の構成はステンレス鋼に限定されず、アルミニウム、銅、これらとステンレスとの合金等、金属製で防食加工がなされたものであれば、ノズルカバー４００として好適に用いることができる。

　さらに、ノズルカバー４００の形状を、凹凸をできる限り無くした略円筒形状に成型し、その表面を研磨することによって、ノズルカバー４００の表面に付着した汚物や雑菌を洗い流しやすくすることができ、洗浄汚水がノズルカバー４００にかかったとしても錆び難くすることができる。

　従来では、ノズル装置１００（特にノズルカバー４００の表面）を単に洗浄するだけでなく、ノズル装置１００に付着した雑菌を取り除くための洗浄水（ノズル除菌洗浄用の洗浄水）は、人体局部を洗浄する温水温度よりも高い温度（例えば特許文献１に記載の従来の構成では、約７０℃）の温水であることが必要であった。これに対して、本実施の形態では、ノズル装置１００が前記構成を有していることから、人体局部を洗浄する温水温度と同等の温度の洗浄水を用いても、高温の温水を用いた場合と同様に、ノズル装置１００に付着した雑菌を取り除くことが可能となる。

　なお、本発明者および第三者機関の実験では、温水タンク２０に貯湯されている温水（洗浄水）の温度は約３０～４０℃の範囲内であり、少なくとも３８～４０℃の範囲内の温水（標準温度の洗浄水）で所定時間、所定の流量でステンレス製のノズルカバー４００の表面を洗浄することにより、９９％以上の雑菌を取り除くことが確認された。したがって、本発明では、少なくとも３８℃以上であり、好ましくはノズルカバー４００（あるいはノズル本体３００の表面）がステンレス鋼等の金属製であればノズルの洗浄および雑菌の除去が可能となる。また、衛生洗浄装置５０の構成によっては３８℃未満の温度でも良好な洗浄が可能である。それゆえ、本実施の形態では、少なくとも３８～４０℃のノズル洗浄水を、局部洗浄に使用する温水と同温度と見なし、例えば３０～４２℃の範囲内を、局部洗浄に使用する温水の近傍の温度と見なすものとする。

　このように、本実施の形態によれば、人体局部を洗浄する時よりも高温でノズル洗浄を行う必要がないため、ノズル洗浄中および前後での人体局部洗浄への操作切り換え時等に、高温水が人体にかかる危険性がなくより安全な衛生洗浄装置を提供することができる。また洗浄水を急速に昇温するヒータ、高温に保持した温水タンク内の温水を混合する湯水混合弁等の部品を必要としないため、人体局部の洗浄機能の使い勝手を損なわずに、低コストかつ簡易な構成にて、ノズル装置に付着した雑菌を取り除くことが可能となる。

　なお、本実施の形態においては、ノズル洗浄水吐出口１５１は、ノズルカバー４００の洗浄拡大部１１３（ノズルカバー４００の先端側）に設けられ、収納されたノズル本体３００（あるいはノズルユニット２００）の外周の接線方向に沿って開口する構成となっており、これによって、当該ノズル本体３００に洗浄水を導入可能としているが、ノズル洗浄水吐出口１５１の構成はこれに限定されず、例えば、ノズル本体３００の上に洗浄水の流路を設けるとともに、当該流路がノズル本体３００の直上で外側になる部位に開口を有する構成であってもよい。この構成であれば、前記開口から洗浄水が垂れ落ちるように吐出されることにより、ノズル本体３００をノズル洗浄水で洗浄することができる。

　あるいは、本実施の形態においては、ノズル洗浄水吐出口１５１は、ノズル洗浄のためにノズル洗浄流路１５０およびノズル洗浄水吐出口１５１を設けた構成としたが、噴出開口４１１の近辺のみの洗浄であれば、ノズル洗浄流路１５０およびノズル洗浄水吐出口１５１を設ける必要はない。例えば、ノズルユニット２００が収納位置に収納されている状態で、噴出開口４１１に重ね合わせられるビデ洗浄噴出口３４０から洗浄水を噴出する構成とすれば、噴出された洗浄水は噴出開口４１１の上部を覆っているノズルガイド１１１の内面に反射してノズルカバー４００に噴霧されるので、ノズルカバー４００の表面の付着物を洗い流すことも可能となる。

　［操作部の構成］
　次に、本実施の形態に係る衛生洗浄装置５０が備える操作部５２の具体的な構成の一例について、図９を参照して具体的に説明する。図９は、図１に示す操作部５２の構成の一例を示す平面図である。

　図９に示すように、操作部５２には複数の操作スイッチと表示部（表示手段）が配設されている。具体的には、お尻洗浄スイッチ６０、ビデ洗浄スイッチ６１、停止スイッチ６２、保温中断設定スイッチ６３、ノズル洗浄設定スイッチ６４、ノズル掃除スイッチ６５、洗浄動作切換部６６、洗浄強さ切換部６７、温度設定切換部６８、漏電テスト部６９、保温中断設定表示部６３ａ、ノズル洗浄設定表示部６４ａ、電源表示部５２ａ等が配設されている。

　洗浄機能を操作するスイッチとしては、お尻洗浄スイッチ６０、ビデ洗浄スイッチ６１、停止スイッチ６２が設けられている。お尻洗浄スイッチ６０は、お尻洗浄を開始するためのスイッチであり、このスイッチを操作することで、制御部の制御により図４に示す収納位置から図７（ａ）に示すお尻洗浄位置までノズルユニット２００が前進し、お尻洗浄噴出口３２０から洗浄水が噴出する。ビデ洗浄スイッチ６１は、ビデ洗浄を開始するためのスイッチであり、このスイッチを操作することで、制御部の制御により収納位置から図６（ａ）に示すビデ洗浄位置までノズルユニット２００が前進し、ビデ洗浄噴出口３４０から洗浄水が噴出する。停止スイッチ６２は、これらお尻洗浄動作またはビデ洗浄動作を停止するためのスイッチであり、このスイッチを操作することで、制御部の制御により、洗浄水の噴出が停止し、ノズルユニット２００はビデ洗浄位置またはお尻洗浄位置から収納位置に戻る。

　洗浄機能の各種条件を設定するスイッチ等としては、洗浄動作切換部６６、洗浄強さ切換部６７、温度設定切換部６８が設けられている。洗浄動作切換部６６は、本実施の形態では、ノズルユニット２００の周期的な進退移動である「ムーブ」動作を行うためのスイッチ、洗浄強さの強と弱とを自動で繰り返す「リズム」動作を行うためのスイッチから構成される。洗浄強さ切換部６７は、本実施の形態では、洗浄強さを強くするスイッチ、弱くするスイッチ、並びに現在の洗浄強さを表示する表示部から構成されている。温度設定切換部６８は、洗浄水の温度設定を切り換え可能とするだけでなく便座部５３の温度設定を切り換え可能としており、本実施の形態では、洗浄水（温水）の温度を切り換えるスイッチ、便座部５３の温度を切り換えるスイッチ、洗浄水の現在の温度の程度を示す表示部、便座部５３の現在の温度の程度を示す表示部から構成されている。

　前記各スイッチのうち、停止スイッチ６２、お尻洗浄スイッチ６０、洗浄動作切換部６６、ビデ洗浄スイッチ６１、および洗浄強さ切換部６７は、この順で操作部５２の前から順に一列で配置されている。

　また、各種機能の設定を行うスイッチとしては、保温中断設定スイッチ６３、ノズル洗浄設定スイッチ６４、ノズル掃除スイッチ６５等が設けられている。保温中断設定スイッチ６３は、例えば夜間等、温水洗浄を長時間使用しない場合に、温水ヒータへの通電を停止する所定時間を設定するスイッチであり、その近傍には、設定状態を表示するために保温中断設定表示部６３ａが設けられている。「保温中断」に設定されているときには、保温中断設定表示部６３ａが点灯し、保温中断の所定時間が経過すると、制御部により自動的に「保温中断」の設定は解除され、保温中断設定表示部６３ａは消灯する。その後、温水ヒータは通電を再開し、温水タンク２０内の温水は人体洗浄に適した所定の温度に保温される。

　なお、本実施の形態では、「保温中断」の設定時間は夜間等を想定し、約８時間としているが、これに限定されず、任意の時間としてよい。また操作部５２によって使用者が中断時間を設定する構成であってもよい。また、保温中断設定スイッチ６３は便座部５３の加温停止機能を兼用する構成であってもよい。

　ノズル洗浄設定スイッチ６４は、ノズル洗浄を許可するスイッチであり、その近傍には、ノズル洗浄許可設定時に点灯するノズル洗浄設定表示部６４ａが設けられている。ノズル洗浄設定スイッチ６４で「ノズル洗浄」を設定された場合は、「保温中断」で設定されている間に、制御部の制御によりノズル洗浄が自動的に実施される。また、ノズル掃除スイッチ６５は、使用者がノズルを掃除するために、洗浄時でなくともノズルユニット２００を収納位置から進出させるためのスイッチである。

　また、操作部５２には、電源が入っているか否かを示す電源表示部５２ａ、漏電テストを行うための漏電テスト部６９が設けられている。漏電テスト部６９は、漏電テストを行うためのスイッチと、漏電テスト中である表示部とを備えている。

　これら各種機能の設定を行うスイッチは、操作部５２の後方に設けられている。本実施の形態では、洗浄強さ切換部６７からさらに後方に温度設定切換部６８が配置され、さらにその後方に、保温中断設定スイッチ６３（並びに保温中断設定表示部６３ａ）、ノズル洗浄設定スイッチ６４（並びにノズル洗浄設定表示部６４ａ）、ノズル掃除スイッチ６５が配置される。また、電源表示部５２ａおよび漏電テスト部６９は、操作部５２の後方であって本体部５１への付根側に並んで設けられている。

　これらスイッチおよび表示部の具体的な構成は特に限定されない。本実施の形態では、スイッチはいずれも公知のメンブレンスイッチであり、その表面には、スイッチの種類が文字で表示されている。なお、停止スイッチ６２、お尻洗浄スイッチ６０、およびビデ洗浄スイッチ６１には、視覚障害者用の点字が近傍に付され、停止スイッチ６２およびお尻洗浄スイッチ６０の表面には、視覚障害者用の凹凸マークが付されている。また、表示部としては、本実施の形態では、ＬＥＤ等の小型光源が用いられているが、これに限定されない。

　［ノズル洗浄の制御および動作］
　次に、本実施の形態に係る衛生洗浄装置５０において、制御構成の要部の一例と、制御部によるノズル洗浄開始の判定処理とについて、図１０および図１１を参照して具体的に説明する。図１０は、本実施の形態に係る衛生洗浄装置５０の要部構成を示すブロック図であり、図１１は、本実施の形態における制御部のノズル洗浄開始の判定処理の一例を示すフローチャートである。

　まず、図１０に示すように、制御部５５は、操作部５２が備える各種スイッチからの操作指令により、前述した各機能ユニットまたは動作機構等の動作を制御する。図１０では、制御部５５は、温水タンク２０内（図１０には図示せず）の洗浄水を加温する温水ヒータ２１の通電制御と、ノズル装置１００の動作制御と、温水タンク２０内の温水の温度を測定する温水温度測定部２２の制御を例示している。

　図１０に示す要部構成では、操作部５２に含まれる保温中断設定スイッチ６３が操作されると、「保温中断」の指令信号が制御部５５に出力されるので、制御部５５は、通常状態から「保温中断」の状態に切り換える制御、すなわち、温水ヒータ２１への通電を所定時間停止させる制御を行う。

　また、ノズル洗浄設定スイッチ６４が操作されると、「ノズル洗浄」の指令信号が制御部５５に出力されるので、制御部５５は、ノズル装置１００にノズル洗浄を実施させるよう制御を行う。

　温水温度測定部２２は、制御部５５の制御により温水タンク２０内の温水（洗浄水）の温度を測定するとともに、測定した温度データを制御部５５に出力する。制御部５５は、得られた温度データに基づいて温水ヒータ２１の通電を制御したり、当該温度データを後述する実施の形態３におけるノズル洗浄開始の判定処理に利用したりする。

　前記制御構成におけるノズル洗浄開始の判定処理について、より具体的に説明する。制御部５５は、図１１に示すように、まず、保温中断設定スイッチ６３により「保温中断」に設定されているか判定する（ステップＳ１１）。「保温中断」に設定されている場合（ステップＳ１１でＹｅｓ）、次に、ノズル洗浄設定スイッチ６４により「ノズル洗浄」設定されているか判定するする（ステップＳ１２）。

　「ノズル洗浄」が設定されている場合（ステップＳ１２でＹｅｓ）、制御部５５は、今回の「保温中断」の設定中に既にノズル洗浄を行っていないかを判定する（ステップＳ１３）。この判定は、「保温中断」の設定中に、ノズル洗浄動作を繰り返し実施して温水タンク２０内に残存している温水を使い切らないために行われる。

　次に、「保温中断」の設定中にノズル洗浄を行っていなければ（ステップＳ１３でＹｅｓ）、制御部５５は、使用者が便座部５３に着座し、操作部５２により人体洗浄開始操作を行う等によって人体洗浄要求が発生していないかを判定する（ステップＳ１４）。人体洗浄要求が発生している場合（ステップＳ１４でＹｅｓ）には、ノズル洗浄を開始せず、人体洗浄を行う。人体洗浄要求がなく、前述した各判定（ステップＳ１１、Ｓ１２、Ｓ１３）の条件を満たしていれば、制御部５５はノズル洗浄を開始し（ステップＳ１５）、ノズル洗浄開始の判定処理を終了する。一方、前述した各判定（ステップＳ１１～Ｓ１４）の条件を満たしていない場合には、ノズル洗浄を開始させず、判定処理を終了する。

　本実施の形態では、制御部５５がこのような判定処理を行うため、使用者が保温中断設定スイッチ６３により「保温中断」を設定することにより、当該衛生洗浄装置５０を一定時間使用しない意思が明確となり、その間に温水タンク２０内の温水を使用することがないため、温水ヒータ２１への通電を停止することができる。

　また、ノズル洗浄設定スイッチ６４で「ノズル洗浄」を設定された場合は、「保温中断」が設定されている状態で、温水タンク２０内に残った温水を使用してノズル洗浄を行うことになる。そのため、十分な量の温水をノズル装置１００の洗浄に用いることができるので、人体局部を洗浄する温水温度よりも高い温度でなくても十分なノズル洗浄の実施が可能となる。それゆえ、温水タンク２０内の温水を有効に活用してノズル装置１００を衛生的に維持することが可能となるとともに、次の局部洗浄時に使用する温水がないといった、使い勝手を損なうおそれを回避することができる。

　なお、本実施の形態においては、ノズル洗浄設定スイッチ６４を設け、「ノズル洗浄」の設定がなされた場合にのみノズル洗浄を実施する構成としたが、これに限るものではなく、ノズル洗浄設定スイッチ６４を設けず、保温中断設定スイッチ６３で「保温中断」の設定がなされた場合には、自動的にノズル洗浄が実施される構成としてもよい。この場合、図１１に示すステップＳ１２は不要でありなく、制御フローはＳ１１、Ｓ１３、Ｓ１４およびＳ１５の順に実施される。

　また、本実施の形態では、ノズル装置１００を洗浄するノズル洗浄部は、当該ノズル装置１００が備えるノズル洗浄水吐出口１５１により構成されているが、本発明はこれに限定されず、ノズルユニット２００を洗浄可能な公知の他の構成であってもよい。つまり、本実施の形態では、洗浄拡大部１１３の外周の接線方向に沿って開口するノズル洗浄水吐出口１５１から洗浄水（温水）が導入されることにより、収納位置にあるノズルユニット２００が洗浄されるが、ノズル洗浄水吐出口１５１とは異なる専用の洗浄機構を設けて洗浄する構成であってもよい。

　また、本実施の形態では、ノズル本体３００およびノズルカバー４００によりノズルユニット２００が構成され、このノズルユニット２００は、ノズルケーシング１１０内に設けられるノズルガイド１１１内に摺動自在に設けられているので、ノズル洗浄部であるノズル洗浄水吐出口１５１は、ノズル本体３００だけでなく、ノズルユニット２００全体を洗浄することができる。しかしながら、本発明はこれに限定されず、ノズル装置１００は、少なくとも、円筒形のノズル本体３００とこれを収納可能とするノズルケーシング１１０とを備えており、ノズル洗浄部は少なくともノズル本体３００を洗浄できるように構成されていればよい。

　また、本実施の形態では、ノズル洗浄部は、ノズル本体３００またはノズルユニット２００に付着した汚物および雑菌等を除去する「ノズル除菌洗浄」を実施可能に構成されているが、本発明はこれに限定されず、少なくとも付着した汚物を除去する「ノズル洗浄」を実施可能となっていればよい。

　また、本実施の形態では、保温中断設定部は、操作部５２に設けられる保温中断設定スイッチ６３により構成されているが、保温中断設定部の構成はこれに限定されず、使用者の操作により操作される構成であれば、専用のスイッチ等を設けなくても、他のスイッチや操作部等を操作することで実現される構成であってもよい。

　（実施の形態２）
　本発明の実施の形態２に係る衛生洗浄装置は、前記実施の形態１に係る衛生洗浄装置と基本的に同様の構成を有しており、制御部によるノズル洗浄開始の判定処理も基本的に同様であるが、当該判定処理において、前回のノズル洗浄から経過した時間の判定を行う点が異なっている。本実施の形態に係る衛生洗浄装置による判定処理について、図１２を参照して具体的に説明する。図１２は、本実施の形態に係る制御部のノズル洗浄開始の判定処理の一例を示すフローチャートである。

　本実施の形態における制御構成の要部は、前記実施の形態１で説明した構成（図１０参照）と同様である。そして、図１２に示すように、制御部５５は、まず、保温中断設定スイッチ６３により「保温中断」に設定されているか判定する（ステップＳ２１）。「保温中断」に設定されている場合（ステップＳ２１でＹｅｓ）、次に、ノズル洗浄設定スイッチ６４により「ノズル洗浄」設定されているか判定するする（ステップＳ２２）。

　「ノズル洗浄」が設定されている場合（ステップＳ２２でＹｅｓ）、制御部５５は、前回の局部洗浄等の温水使用からの所定時間が経過しているか否かを判定する（ステップＳ２３）。この所定時間は、温水タンク２０内に洗浄水が十分補給され、この洗浄水が局部洗浄に使用される温度まで十分に昇温できる時間であればよい。それゆえ、温水ヒータ２１の加熱能力、温水タンク２０で貯溜される水量、温水タンク２０への洗浄水の補給能力等の諸条件に応じて前記所定時間は適宜設定可能なものであるので、制御部５５等において好適な時間を予め設定しておけばよい。所定時間が経過していれば（ステップＳ２３でＹｅｓ）、今回の「保温中断」の設定中に既にノズル洗浄を行っていないかを判定する（ステップＳ２４）。

　「保温中断」の設定中にノズル洗浄を行っていなければ（ステップＳ２４でＹｅｓ）、使用者が便座部５３に着座し、操作部５２により人体洗浄開始操作を行う等によって人体洗浄要求が発生していないかを判定する（ステップＳ２５）。人体洗浄要求が発生している場合（ステップＳ２５でＹｅｓ）には、ノズル洗浄を開始せず、人体洗浄を行う。人体洗浄要求がなく、前述した各判定（ステップＳ２１～Ｓ２４）の条件を満たしていれば、制御部５５はノズル洗浄を開始し（ステップＳ２６）、ノズル洗浄開始の判定処理を終了する。一方、前述した各判定（ステップＳ２１～Ｓ２５）の条件を満たしていない場合には、ノズル洗浄を開始させず、判定処理を終了する。

　本実施の形態では、このような制御を実施することにより、温水タンク２０内の洗浄水は局部洗浄に使用される温度まで昇温することができる。そのため、ノズル装置１００に付着した雑菌を取り除くに十分な水量および温度を確保してからノズル洗浄を実施することができる。

　なお、本実施の形態では、ノズル洗浄設定部は、操作部５２に設けられるノズル洗浄設定スイッチ６４により構成されているが、ノズル洗浄設定部の構成はこれに限定されず、使用者の操作により操作される構成であれば、専用のスイッチ等を設けなくても、他のスイッチや操作部等を操作することで実現される構成であってもよい。

　（実施の形態３）
　本発明の実施の形態３に係る衛生洗浄装置では、制御部により行われるノズル洗浄開始の判定処理は、前記実施の形態２に係る衛生洗浄装置における判定処理と基本的に同様であるが、当該判定処理において、温水（洗浄水）の温度の判定を行う点が異なっている。本実施の形態に係る衛生洗浄装置による判定処理について、図１３を参照して具体的に説明する。図１３は、本実施の形態に係る制御部のノズル洗浄開始の判定処理の一例を示すフローチャートである。

　本実施の形態における制御構成の要部は、前記実施の形態１で説明した構成（図１０参照）と同様である。そして、図１３に示すように、制御部５５は、まず、保温中断設定スイッチ６３により「保温中断」に設定されているか判定する（ステップＳ３１）。「保温中断」に設定されている場合（ステップＳ３１でＹｅｓ）、次に、ノズル洗浄設定スイッチ６４により「ノズル洗浄」設定されているか判定するする（ステップＳ３２）。

　「ノズル洗浄」が設定されている場合（ステップＳ３２でＹｅｓ）、制御部５５は、前回の局部洗浄等の温水使用からの所定時間が経過しているか否かを判定する（ステップＳ３３）。所定時間が経過していれば（ステップＳ３３でＹｅｓ）、温水タンク２０内の洗浄水の温度を温水温度測定部２２により測定し、ノズル洗浄に必要な温度に到達しているか判定する（ステップＳ３４）。ここでいう「ノズル洗浄に必要な温度」とは、局部洗浄に使用する温水と略同温度であればよく、言い換えれば、予め設定される、局部洗浄に使用可能な温度範囲に入る温度であればよい。

　通常、ノズルカバー４００の表面に付着した雑菌を洗い流すには、温水の温度は約４０℃に達している必要である。ノズル洗浄の所定時間中に安定して約４０℃の温水を供給するためには、ノズル洗浄中の温水タンク２０内の水温低下も考慮しなければならない。そこで、制御部５５は、温水温度測定部２２で測定された温度が約４０℃よりも約１～２℃高い温度に到達しているか判定する。到達していない場合（ステップＳ３４でＮｏ）には、前記判定温度まで温水ヒータ２１に通電を行い加温する。

　温水温度が必要な温度に到達していれば（ステップＳ３４でＹｅｓ）、制御部５５は、今回の「保温中断」の設定中に既にノズル洗浄を行っていないかを判定する（ステップＳ３５）。「保温中断」の設定中にノズル洗浄を行っていなければ（ステップＳ３５でＹｅｓ）、使用者が便座部５３に着座し、操作部５２により人体洗浄開始操作を行う等によって人体洗浄要求が発生していないかを判定する（ステップＳ３６）。人体洗浄要求が発生している場合（ステップＳ３６でＹｅｓ）には、ノズル洗浄を開始せず、人体洗浄を行う。人体洗浄要求がなく、前述した各判定（ステップＳ３１～Ｓ３４）の条件を満たしていれば、制御部５５はノズル洗浄を開始し（ステップＳ３７）、ノズル洗浄開始の判定処理を終了する。一方、前述した各判定（ステップＳ３１～Ｓ３６）の条件を満たしていない場合には、ノズル洗浄を開始させず、判定処理を終了する。

　本実施の形態では、このような制御を実施することにより、人体局部洗浄時よりも高温でノズル洗浄を行う必要がないので、洗浄水を急速に昇温するヒータ、高温に保持した温水タンク２０内の温水を混合する湯水混合弁といった部品を必要としない。そのため、人体局部の洗浄機能の使い勝手を損なわずに、低コストかつ簡易な構成にて、ノズル装置１００に付着した雑菌を取り除くことができる。

　以上のように、本発明に係る衛生洗浄装置は、人体の局部洗浄を行うノズル装置と、ノズル装置を洗浄するノズル洗浄手段と、洗浄用の温水を貯溜する温水タンクと、温水タンク内の洗浄水を加温する温水ヒータと、使用者が操作する操作部と、操作部の操作により、温水ヒータへの通電を一定時間停止させる保温中断設定手段とを含み、保温中断設定手段により、温水ヒータへの通電が停止されている間に、ノズル洗浄手段により、ノズル装置の洗浄を実施する構成であればよい。

　これにより、使用者自身が保温中断設定手段により温水ヒータへの通電停止を設定することにより、衛生洗浄装置を一定時間使用しない意思が明確となり、その間に温水タンク内の温水を使用してノズル装置を洗浄することが可能となる。しかも、次の局部洗浄時に使用する温水がないといった、使い勝手を損なうことがないので、人体局部の洗浄機能の使い勝手を損なわずに、低コストかつ簡易な構成にて、ノズル装置に付着した雑菌を取り除くノズル除菌洗浄を行うことができる。

　上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び／又は機能の詳細を実質的に変更できる。

　本発明は、洗浄水を温水タンクに貯蔵して加温する貯湯式の衛生洗浄装置の分野に広く好適に用いることができる。

　２０　　温水タンク
　５０　　衛生洗浄装置
　５２　　操作部
　６３　　保温中断設定スイッチ（保温中断設定部）
　６４　　ノズル洗浄設定スイッチ（ノズル洗浄設定部）
１００　　ノズル装置
１１０　　ノズルケーシング
１５１　　ノズル洗浄水吐出口（ノズル洗浄部）
２００　　ノズルユニット
３００　　ノズル本体
３２０　　お尻洗浄噴出口（噴出口）
３４０　　ビデ洗浄噴出口（噴出口）
４００　　ノズルカバー
４１１　　噴出開口

Claims

　人体の局部洗浄を行うノズル装置と、
　前記ノズル装置を洗浄するノズル洗浄部と、
　洗浄用の温水を貯溜する温水タンクと、
　前記温水タンク内の洗浄水を加温する温水ヒータと、
　使用者の操作により、前記温水ヒータへの通電の停止を設定する保温中断設定部と、
　制御部と、を備え、
　前記制御部は、前記保温中断設定部により、前記温水ヒータへの通電が停止されている間に、前記ノズル洗浄部による前記ノズル装置の洗浄を実施することを特徴とする、
　衛生洗浄装置。
　使用者の操作により、前記ノズル装置の洗浄の実施を設定するノズル洗浄設定部を備え、
　前記制御部は、前記ノズル洗浄設定部によるノズル装置の洗浄の実施が設定され、かつ、前記保温中断設定部による前記温水ヒータへの通電停止が設定された場合にのみ、前記ノズル装置の洗浄を実施することを特徴とする、
　請求項１に記載の衛生洗浄装置。
　前記制御部は、前回の局部洗浄が終了してから所定時間が経過した後に前記ノズル装置の洗浄を実施することを特徴とする、
　請求項１に記載の衛生洗浄装置。
　前記ノズル装置の被洗浄部は金属製であり、
　前記制御部は、前記局部洗浄に使用する温水と同温度もしくはその近傍の温度で前記ノズル装置の洗浄を実施することを特徴とする、
　請求項１に記載の衛生洗浄装置。
　前記ノズル装置は、
　先端部に洗浄水を噴出する複数の噴出口を有するノズル本体と、
　前記ノズル本体の少なくとも一部を覆う筒状のノズルカバーと、を備え、
　前記ノズルカバーは前記ノズル本体の少なくとも１個の噴出口に対応する噴出開口を有し、
　前記洗浄水は前記噴出開口を介して前記噴出口から噴出することを特徴とする、
　請求項１に記載の衛生洗浄装置。
　前記ノズル装置は、
　先端部に洗浄水を噴出する噴出口を有する円筒形のノズル本体と、
　前記ノズル本体を収納可能とするノズルケーシングと、
　前記ノズルケーシングの先端側に設けられ、収納された前記ノズル本体の外周に洗浄水を吐出可能とするノズル洗浄水吐出口と、を備え、
　前記ノズル洗浄部が、前記ノズル洗浄水吐出口であることを特徴とする、
請求項１に記載の衛生洗浄装置。