WO2011155270A1 - モータ制御装置および圧縮装置 - Google Patents
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Abstract
圧縮機(33)が運転中であると判断した場合には、運転回転数(実働回転数)をバッファに保存する。そして、異常がIPM異常であるかどうかを判断する。そして、低回転域でのIPM異常の判定がされたかどうかを判断する。低回転域でのIPM異常であると判定された場合には、最小回転数をエラーバッファに保存された回転数に設定する。
Description
この発明はモータ制御装置、圧縮装置に関し、例えば複数相のコイルを備えた同期モータを駆動するモータ制御装置の制御に関する。
一般に、冷凍装置および空気調和機(空調装置)は圧縮機、凝縮用熱交換器、減圧を行う際に冷媒圧力や流量を調節する膨張弁もしくはキャピラリチューブ、蒸発用熱交換器等の部品を備えており、圧縮機、凝縮用熱交換器、膨張弁もしくはキャピラリチューブ、蒸発用熱交換器、圧縮機の順に巡回する冷媒流路(サイクル)が構成されるように配管接続され、凝縮用熱交換器で吸収した熱を蒸発用熱交換器側に放出するようにしている。
また、一般に圧縮機の周波数が可変のインバータ式の空気調和機は、整流回路および平滑回路からなるコンバータ部より生成されたDC電圧をチョピングして可変の交流電圧の生成を行う。直流電圧をチョッピングするためのトランジスタアレイ状のパワーモジュールであるIPM(Intelligent Power Module)回路は、内部部品の保護のため、IPM回路の駆動用の電源電圧が低下した場合と、DC過電流が流れた場合にFault信号と呼ばれる異常信号を出力する。このIPM回路から出力からされた異常信号がマイクロコンピュータに入力されると、異常発生と判断して冷凍装置および空気調和機は異常停止される。
一方、最近では廉価製品のため、インバータ装置に必要な平滑コンデンサ、およびコンデンサによる位相遅れを補正するためのリアクタが存在しないに等しいくらい小容量化された装置が開発されており、小容量化されたときに発生する脈動電圧を直接的にスイッチングする構成のインバータ装置によりトルク脈動の抑制等が行われている。
一方で、廉価製品のため、サイクル負荷の判定を行うための室外空気温度を検出するサーミスタを減らすような空気調和機も開発されている(特開2010-11540号公報(特許文献1))。
特開昭63-80774号公報(特許文献2)のようにリアクタや平滑コンデンサを小容量化した際に発生する電源電圧周期の2倍の周期で歪む直流出力を、圧縮機駆動のため直接、交流電力の生成のために使用する方式では、リアクタや大容量の平滑コンデンサを備えて脈動の少ない直流出力を用いて交流電力を生成していた方式に比べて、圧縮機各相を流れる直流電流が大きい箇所が出現してしまう。圧縮機を流れる直流電流が増加すると、大電流対応のIPM回路を使用しなくてはならない。したがって、できるだけ瞬時電流を小さくできるように、たとえば空気調和機では室外温度を検出して、サイクル負荷が大きい場合には交流電力の生成の際に各相に印加する電圧が大きくなり過ぎないような制御を行い、ピーク電流を抑えてIPM回路のコストダウンを行う方法が考えられる。この場合、シリンダが一つだけの安価なシングル圧縮機が用いられることが多い。
ただし、さらなる廉価版とするために室外温度を検出するサーミスタを備えずに上記小容量リアクタおよび小容量平滑コンデンサのインバータを使用すると、サイクル負荷の大小判定が行われずに、特に圧縮機の脈動トルクを均一化するようなトルク制御を行う低回転域や、圧縮機駆動用の変調率(PWM)が最大となるような高回転域では、直流電流が増加するため、IPM回路の保護制御により冷凍装置および空気調和機の運転が頻繁に停止してしまい製品の快適性が損なわれる可能性が大きくなるという問題があった。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、IPM回路の保護制御により異常停止が連続して生じる可能性を抑制することが可能なモータ制御装置および圧縮装置を提供することを目的とする。
本発明のある局面に従うモータ制御装置は、商用電源から整流電圧を生成する整流回路と、整流回路からの整流電圧を平滑し、整流された交流電圧周期の歪み波形を含む直流電圧を生成する平滑回路と、平滑回路と接続され、直流電圧の供給を受けて、複数相のモータコイルを備えた同期モータを駆動するインバータと、同期モータの各相に流れる相電流のうちの少なくとも1つの相のモータ電流を検出する電流検出手段と、電流検出手段の検出結果に基づいて、インバータを介して同期モータを制御する制御手段とを備える。平滑回路は、整流回路の出力側あるいは入力側に接続された非常に小さな小容量リアクタと、インバータの母線間に接続された非常に小さな小容量コンデンサとを含む。インバータは、スイッチング素子およびスイッチング素子を保護する保護回路とを含む少なくとも1つのモジュールで構成される。制御手段は、検出手段で検出された同期モータの回転数を記憶手段に繰り返し記憶し、同期モータの回転数が低回転域である場合に保護回路から異常信号の入力を受けた場合には、同期モータの駆動を停止し、再起動の際に、記憶手段に記憶された異常停止した際の回転数域よりも低い回転数を使用しないように圧縮装置の回転数制御を行なう。
本発明の別の局面に従うモータ制御装置は、商用電源から整流電圧を生成する整流回路と、整流回路からの整流電圧を平滑し、整流された交流電圧周期の歪み波形を含む直流電圧を生成する平滑回路と、平滑回路と接続され、直流電圧の供給を受けて、複数相のモータコイルを備えた同期モータを駆動するインバータと、同期モータの各相に流れる相電流のうちの少なくとも1つの相のモータ電流を検出する電流検出手段と、電流検出手段の検出結果に基づいて、インバータを介して同期モータを制御する制御手段とを備える。平滑回路は、整流回路の出力側あるいは入力側に接続された非常に小さな小容量リアクタと、インバータの母線間に接続された非常に小さな小容量コンデンサとを含む。インバータは、スイッチング素子およびスイッチング素子を保護する保護回路とを含む少なくとも1つのモジュールで構成される。制御手段は、検出手段で検出された同期モータの回転数を記憶手段に繰り返し記憶し、同期モータの回転数が高回転域である場合に保護回路から異常信号の入力を受けた場合には、同期モータの駆動を停止し、再起動の際に、記憶手段に記憶された異常停止した際の回転数域よりも高い回転数を使用しないように圧縮装置の回転数制御を行なう。
本発明のさらに別の局面に従うモータ制御装置は、商用電源から整流電圧を生成する整流回路と、整流回路からの整流電圧を平滑し、整流された交流電圧周期の歪み波形を含む直流電圧を生成する平滑回路と、平滑回路と接続され、直流電圧の供給を受けて、複数相のモータコイルを備えた同期モータを駆動するインバータと、同期モータの各相に流れる相電流のうちの少なくとも1つの相のモータ電流を検出する電流検出手段と、電流検出手段の検出結果に基づいて、インバータを介して同期モータを制御する制御手段とを備える。平滑回路は、整流回路の出力側あるいは入力側に接続された非常に小さな小容量リアクタと、インバータの母線間に接続された非常に小さな小容量コンデンサとを含む。インバータは、スイッチング素子およびスイッチング素子を保護する保護回路とを含む少なくとも1つのモジュールで構成される。制御手段は、検出手段で検出された同期モータの回転数を記憶手段に繰り返し記憶し、保護回路から異常信号の入力を受けた場合には、同期モータの駆動を停止し、再起動の際に、入力された異常信号は、同期モータの低回転域で生じたか、高回転域で生じたかどうかを判断し、再起動の際に、異常信号が低回転域で生じたと判断された場合に、記憶手段に記憶された異常停止した際の回転数域よりも低い回転数を使用しないように圧縮装置の回転数制御を行ない、再起動の際に、異常信号が高回転域で生じたと判断された場合に、記憶手段に記憶された異常停止した際の回転数域よりも高い回転数を使用しないように圧縮装置の回転数制御を行なう。
好ましくは、所定期間が経過した場合には、回転数制御により設定された回転数制限をリセットする。
特に、制御手段は、異常信号の発生回数に従って所定期間を調整する。
本発明のある局面に従う圧縮装置は、同期モータを駆動・制御する上記に記載のモータ制御装置を備える。
本発明のある局面に従う圧縮装置は、同期モータを駆動・制御する上記に記載のモータ制御装置を備える。
本発明のある局面に従うモータ制御装置において、同期モータの回転数が低回転域である場合にスイッチング素子を保護する保護回路から異常信号の入力を受けた場合には、同期モータの駆動を停止し、再起動の際に、記憶手段に記憶された異常停止した際の回転数域よりも低い回転数を使用しないように圧縮装置の回転数制御を行なう。当該構成により、再起動する際に、異常停止した低回転域で駆動しないようにすることにより、IPM回路の保護制御により異常停止が連続して生じる可能性を抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を附してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
図1は、空気調和機31の冷凍サイクルの回路図を説明する図である。
図1を参照して、空気調和機31は、室外に配される室外機32と、室内に配される室内機51とを有している。室外機32は、室外熱交換機39、四方弁34、圧縮機33、電子膨張弁35および吐出温度サーミスタ36を有している。室内機51は、室内熱交換機37および室内サーミスタ55を有している。圧縮機33の一端には四方弁34を介して室外熱交換器39が接続され、他端には四方弁34を介して室内熱交換器37が接続される。四方弁34の切替えによって暖房運転時には圧縮機33の冷媒流出側に室内熱交換器37が接続され、冷房運転時には圧縮機33の冷媒流出側に室外熱交換器39が接続される。室外熱交換器39及び室内熱交換器37の圧縮機33側と反対側に電子膨張弁35が配される。
図1を参照して、空気調和機31は、室外に配される室外機32と、室内に配される室内機51とを有している。室外機32は、室外熱交換機39、四方弁34、圧縮機33、電子膨張弁35および吐出温度サーミスタ36を有している。室内機51は、室内熱交換機37および室内サーミスタ55を有している。圧縮機33の一端には四方弁34を介して室外熱交換器39が接続され、他端には四方弁34を介して室内熱交換器37が接続される。四方弁34の切替えによって暖房運転時には圧縮機33の冷媒流出側に室内熱交換器37が接続され、冷房運転時には圧縮機33の冷媒流出側に室外熱交換器39が接続される。室外熱交換器39及び室内熱交換器37の圧縮機33側と反対側に電子膨張弁35が配される。
本実施の形態では、室内熱交換器サーミスタ38は室内熱交換器37における冷媒流入部と冷媒流出部との中間付近に設置され、室内熱交換器37の温度を検知する。室内サーミスタ55は室内の温度を検知する。また、吐出温度サーミスタ36は、圧縮機33の吐出温度を測定する。
暖房運転時には四方弁34が図中、実線で示すように切り替えられる。これにより、矢印Aに示す方向に冷媒が流通し、圧縮機33により圧縮された高温高圧の冷媒は室内熱交換器37で放熱しながら凝縮する。高温の冷媒は電子膨張弁35で膨張して低温低圧となり、室外熱交換器39に送られる。室外熱交換器39に流入する冷媒は吸熱しながら蒸発して低温のガス冷媒となり、圧縮機33に送られる。これにより、冷媒が循環して冷凍サイクルが運転される。冷凍サイクルの高温側となる室内熱交換器37と熱交換した空気が図示しない室内送風機により室内に送出され、室内が暖められる。
冷房運転時には四方弁34が図中、破線で示すように切り替えられる。これにより、矢印Aと反対方向に冷媒が流通し、室内熱交換器37が冷凍サイクルの低温側となるとともに室外熱交換器39が冷凍サイクルの高温側となる。室内熱交換器37と熱交換した空気が図示しない室内送風機により室内に送出され、室内が冷却される。
本例においては、一例として、上記圧縮機33で用いられる同期モータを制御するモータ駆動システムについて説明する。なお、圧縮機33として、いわゆるレシプロ式圧縮機あるいはロータリ式圧縮機のいずれにも適用可能である。
図2は、本発明の実施の形態に従うモータ駆動システムの全体概略構成図である。
図2を参照して、本発明の実施の形態に従うモータ駆動システムは、三相永久磁石同期モータ8M(以下、単に「同期モータ8M」とも称する)と、PWM(Pulse Width Modulation)インバータ2(以下、単に「インバータ2」とも称する)と、コンバータ回路3と、交流(AC)電源4と、アンプAP1,AP2と、モータ制御装置113とを備える。
図2を参照して、本発明の実施の形態に従うモータ駆動システムは、三相永久磁石同期モータ8M(以下、単に「同期モータ8M」とも称する)と、PWM(Pulse Width Modulation)インバータ2(以下、単に「インバータ2」とも称する)と、コンバータ回路3と、交流(AC)電源4と、アンプAP1,AP2と、モータ制御装置113とを備える。
モータ制御装置113は、3相PWM制御部15と、メモリ19と、A/D回路16と、PWM作成部17と、電流検出部18とを含む。3相PWM制御部15は、回転数設定部13を含む。
交流電源4は、コンバータ回路3と接続される。コンバータ回路3は、複数のダイオード42~48と、小容量リアクタ45と、コンデンサ40とを含む。小容量リアクタ45と、コンデンサ40とは、複数のダイオード42~48で形成される整流回路からの整流電圧を平滑化して直流電圧を生成する平滑回路を形成する。本例においては、整流回路からの出力側に小容量リアクタ45が接続され、母線間に小容量平滑コンデンサ40が設けられる構成としている。なお、整流回路の出力側に限られず入力側に小容量リアクタ45を設ける構成とすることも可能である。本例において、小容量平滑コンデンサ40は、10μF~30μF以下のものを用いることとする。この場合、小容量リアクタ45の容量は小さいためほぼ0として、省略することが可能である。コンバータ回路3は、当該構成により、交流を全波整流、平滑し直流電圧をインバータ2に供給する。平滑回路は、小容量リアクタ45と、小容量平滑コンデンサ40とで形成されているため電源電圧周期の2倍の周期で歪む直流電圧を出力する。
インバータ2は、U相用のハーフブリッジ回路、V相用のハーフブリッジ回路及びW相用のハーフブリッジ回路を備える。これらの3つのハーフブリッジ回路によって、同期モータ8Mを駆動するためのスイッチング回路が形成される。各ハーフブリッジ回路は、直列接続された一対のスイッチング素子を有する。各ハーフブリッジ回路において、一対のスイッチング素子は、コンバータ回路3の正極端子と負極端子との間に直列接続され、各ハーフブリッジ回路にコンバータ回路3からの直流電圧が印加される。
具体的には、インバータ2は、例えば、IGBTでなる6個のスイッチング素子Q1~Q6で構成されている。なお、スイッチング素子Q1~Q6は、各々IPM(Intelligent Power Module)回路20として設けられる。IPM回路の詳細については後述する。ここでは、簡略化のためにスイッチング素子Q1~Q6が設けられているものとして説明する。すなわち、スイッチング素子Q1,Q4の直列接続回路と、スイッチング素子Q2,Q5の直列接続回路と、スイッチング素子Q3,Q6の直列接続回路とが並列接続され、その一端がコンバータ回路3の正極に接続され、他端がコンバータ回路3の負極に接続されている。
また、スイッチング素子Q4,Q5,Q6とコンバータ回路3の負極との間には、シャント抵抗R1~R3がそれぞれ設けられている。
同期モータ8Mの各相巻線に流れる電流を検出するために、スイッチング素子Q4,Q5のエミッタとコンバータ回路3の負極との間に設けられた抵抗R1,R2とに基づいてスイッチング素子Q4,Q5側に発生する電圧をそれぞれ増幅するオペアンプAP1,AP2が設けられる。
U相用のハーフブリッジ回路は、高電圧側のスイッチング素子Q1(以下、上アームQ1とも呼ぶ)及び低電圧側のスイッチング素子Q4(以下、下アームQ4とも呼ぶ)から成る。V相用のハーフブリッジ回路は、高電圧側のスイッチング素子Q2(以下、上アームQ2とも呼ぶ)及び低電圧側のスイッチング素子Q5(以下、下アームQ5とも呼ぶ)から成る。W相用のハーフブリッジ回路は、高電圧側のスイッチング素子Q3(以下、上アームQ3とも呼ぶ)及び低電圧側のスイッチング素子Q6(以下、下アームQ6とも呼ぶ)から成る。また、スイッチング素子Q1~Q6には、夫々、並列に、低電圧側から高電圧側に向かう方向を順方向としてダイオードが接続されている。各ダイオードは、フリーホイールダイオードとして機能する。
直列接続された上アームQ1と下アームQ4の接続点、直列接続された上アームQ2と下アームQ5の接続点、直列接続された上アームQ3と下アームQ6の接続点は、夫々、相互接続点が、星形接続された同期モータ8MのU,V,W相の外部接続導線に接続されている。なお、図1では、各スイッチング素子として電界効果トランジスタに置き換えることもできる。
PWM作成部17は、3相PWM制御部15で生成される三相電圧指令値に基づいて、各相に対するPWM信号(パルス幅変調信号)を出力する。該PWM信号がインバータ2内の各スイッチング素子の制御端子(ベース又はゲート)に与えられることで、各スイッチング素子はスイッチング動作する。つまり、PWM信号に基づいて、各スイッチング素子のオン(導通)又はオフ(非導通)が制御される。各ハーフブリッジ回路において、上アームがオンである時は下アームはオフであり、上アームがオフである時は下アームはオンである。
インバータ2に印加されているコンバータ回路3からの直流電圧は、PWM信号に基づくインバータ2内の各スイッチング素子のスイッチング動作によってPWM変調(パルス幅変調)され、これによって三相交流電圧に変換される。該三相交流電圧が印加されることによって、三相交流電圧に応じた電流が流れて同期モータ8Mが駆動される。
図2の同期モータ8Mの巻線に流れる電流を、各々、U相電流、V相電流及びW相電流と呼び、それらの夫々を(或いはそれらを総称して)相電流とも称する。
アンプAP1,AP2は、スイッチング素子Q4,Q5がそれぞれオンしている期間にU,V相の電流が抵抗R1,R2にそれぞれに流れることにより発生する電圧V1、V2を増幅してA/D回路16に出力する。
A/D回路16は、アンプAP1,AP2により増幅された電圧V1,V2をアナログ/デジタル変換して電流検出部18に出力する。
電流検出部18は、A/D回路16から入力された電圧V1,V2の値に基づいてU相電流Iu、V相電流Ivを検出する。なお、W相電流Iwは-(Iu+Iv)で算出される。
したがって、W相電流は推定により算出されるため、電流を検出するための構成を簡易にすることが可能である。本例においては、一例として、U相およびV相を検出する場合について説明するが、特にこれに限られず、3相のうちの2相の電流を検出する構成であれば特にどのような組合せでも良い。
3相PWM制御部15は、同期モータの起動、停止命令や、回転数指令などを受け取り、電流検出部18で検出された電流検出結果に基づいて、それに応じたPWMパルス幅(DUTY比)の指令をPWM作成部17へ送る。起動、停止命令、回転数指令等については、例えば、図示しないリモコン装置から図示しない受光部が受信した信号に基づいて図示しないモータ制御装置113内の命令生成部により生成されるものである。あるいは、起動命令については、リモコン装置等によらず、3相PWM制御部15がメモリ19に記憶されたデータを読み込んだ際に当該命令等が与えられる場合であってもよい。例えば、3相PWM制御部15は、CPU(Central Processing Unit)が用いられることとする。
3相PWM制御部15は、回転数設定部13を含む。3相PWM制御部15は、IPM回路からの異常信号の入力に従って同期モータの回転を停止する。
回転数設定部13は、回転数指令に基づいて同期モータを回転させる目標回転数を設定する。また、回転数指令および後述するIPM回路から出力される異常信号に応じて、同期モータを再起動させる際に回転させる目標回転数を設定する。そして、3相PWM制御部15は、設定された回転数と、電流検出部18からの出力信号とに従って適切な三相電圧指令値をPWM作成部17に出力する。PWM作成部17は、3相PWM制御部15からの3相電圧指令値に基づいて、各相のPWMパルス幅(DUTY比)に応じたPWM信号を出力する。
モータ制御装置113のPWM作成部17からのPWM信号によりスイッチング素子Q1~Q6をスイッチングすることで、上述した3相交流電圧に変換され、適度な駆動電圧が印加され、同期モータ8Mを所望の回転数に設定することができる。
なお、本例においては、同期モータ8Mを圧縮装置に適用し、さらに空気調和機に組み込む構成について説明したが、同様に冷凍装置に適用することも可能である。
図3は、IPM回路20の回路構成を説明する図である。
図3を参照して、IPM回路20は、IGBTでなるスイッチング素子Q1と、スイッチング素子Q1のコレクタ側とカソード側とが接続され、エミッタ側とアノード側とが接続されたダイオード22と、スイッチング素子Q1のゲートを駆動するゲート駆動回路24と、IPM回路20の過電流や過熱から保護するための保護回路26とを含む。
図3を参照して、IPM回路20は、IGBTでなるスイッチング素子Q1と、スイッチング素子Q1のコレクタ側とカソード側とが接続され、エミッタ側とアノード側とが接続されたダイオード22と、スイッチング素子Q1のゲートを駆動するゲート駆動回路24と、IPM回路20の過電流や過熱から保護するための保護回路26とを含む。
ゲート駆動回路24は、端子T2,T3と接続されたゲート駆動回路用電源28によって駆動し、端子T7と接続された信号線L1を介してスイッチング素子Q1のゲートを駆動する。具体的には、端子T7にPWM作成部17により作成されたPWM信号が入力される。また、端子T4が図2における母線と接続される。また、他方の端子T5が、スイッチング素子Q4を含むIPM回路の端子T4と接続される。保護回路26は、ゲート駆動回路24や、スイッチング素子Q1のエミッタと接続され、素子の過電流や過熱を検知する。保護回路26は、検知した場合には、信号線L2を介して端子T6から異常信号を出力する。この異常信号をモータ制御装置113の3相PWM制御部15は、受けて所定の動作を実行する。具体的には、異常信号がモータ制御装置113の3相PWM制御部15に入力されると同期モータの回転を停止させる。IPM回路は、保護回路26による保護機能を有しているためスイッチング素子Q1の破壊を抑制することが可能である。
一方で、上述したように、本発明の実施の形態に従うモータ駆動システムにおいては、コンバータ回路3において、小容量平滑コンデンサを使用している。小容量平滑コンデンサを用いて全波整流された交流電圧を平滑すると、電圧のリプルの大部分が取りきれず、出力電圧が電源周期の2倍の周期歪みを含むような平滑電圧となり、この電圧を用いて正弦波状の電流を生成するようにIPM回路にてチョッピングして、3相交流電圧に変換するため、歪みに合わせたPWM信号の大小が必要となる。
したがって、一般的なインバータ制御のように、ある程度直流に平滑された電圧を用いてIPM回路にてチョッピングする場合に比べて直流電流が大きくなる箇所が発生する。すなわち、IPM回路内の過電流の閾値を超えて異常信号が発生しやすくなるため、空気調和機の運転停止が発生する可能性が高い。例えば、断続的に運転が止まると、空気調和機で制御される温度がハンチングするため、使用者が感じる快適さが落ちる。さらに、空気調和機を再度運転開始した場合に、毎回強い運転から開始しなくてはならないため電気使用料も高くなりやすい。
したがって、快適性と省エネ性のためにも空気調和機のオン-オフを繰り返すような運転は避ける方が好ましい。
以下においては、まず、圧縮機内の同期モータを低回転域で駆動する場合において、直流電流の過電流異常を連続的に発生させないための制御について説明する。
シングル式圧縮機を用いた低回転域駆動の場合、コンプレッサのロータが一周する間にトルクの脈動が発生するため、振動が増大する。これを抑制するために圧縮機の機械角度が1周する間にロータの速度に強弱をつけてトルク脈動を均一化させるようなトルク制御を行うのが一般的である。ただし、このトルク制御は上記のように圧縮機ロータが一周する間にロータの加減速を行うため、ロータ機械角360度内で直流電流の大小が発生する。
さらに、室外温度が高くサイクル負荷が大きい状態だと直流電流は全体的に増加するため、この状態でトルク脈動を抑えようとして同期モータへの印加電圧の強弱を行おうとすると、より直流電流が増加してしまう。
上記のモータ制御装置113のように小容量平滑コンデンサを用いて電源周期の2倍の歪みを含むような平滑電圧をチョッピングして同期モータを駆動する方式でトルク制御を行う場合は、低回転域でIPM回路の保護する保護電流の閾値を超えてしまいIPM回路より異常信号が発生し、空気調和機が停止してしまう可能性が高くなる。
図4は、本発明の実施の形態に従う異常信号が発生した場合における同期モータの回転数を設定するフロー図である。
当該フローは、3相PWM制御部15の回転数設定部13で実行するものとする。
図4を参照して、まず、圧縮機が運転中であるかどうかを判断する(ステップS2)。圧縮機が運転中でなければステップS2を維持する。
図4を参照して、まず、圧縮機が運転中であるかどうかを判断する(ステップS2)。圧縮機が運転中でなければステップS2を維持する。
そして、ステップS2において、圧縮機が運転中であると判断した場合(ステップS2においてYES)には、運転回転数(実働回転数)をバッファに保存する(ステップS4)。具体的には、メモリ19に保存するようにすればよい。そして、定期的にバッファに上書きするものとする。
そして、次に異常が発生したかどうかを判断する(ステップS6)。ステップS6において、異常が発生していないと判断された場合には、ステップS2に戻り、上記の処理を繰り返す。すなわち、実働回転数をバッファに保存する処理を繰り返す。一方、ステップS6において、異常が発生したと判断した場合(ステップS6においてYES)、当該異常がIPM異常であるかどうかを判断する(ステップS8)。具体的には、IPM回路からの異常信号を受信したものであるかどうかを判断する。ステップS8において、IPM異常であると判断した場合(ステップS8においてYES)には、最後にバッファに格納されている圧縮機の回転数(エラー前の回転数)をエラーバッファに保存する(ステップS10)。そして、次に、エラーバッファに保存された回転数(Ferr_buff)が、所定の閾値となる回転数(FLth)よりも低いかどうかを判定する(ステップS12)。
ステップS12において、Ferr_buff<FLthが満たされると判断される場合には、低回転域でのIPM異常と判定する(ステップS14)。
ステップS8において、IPM異常でないと判断される場合(ステップS8においてNO)には、他の異常であるため処理を終了する(エンド)。他の異常の場合の処理については、同期モータの回転数を設定する等の処理で対応することはできないためここでは、詳細については省略するがそれぞれの異常に合わせた適切な処置を取るものとする。
また、ステップS12において、Ferr_buff<FLthが満たされないと判断される場合(ステップS12においてNO)には、ステップS16に進む。
そして、次に、低回転域でのIPM異常の判定がされたかどうかを判断する(ステップS16)。ステップS16において、低回転域でのIPM異常であると判定された場合(ステップS16においてYES)には、最小回転数をエラーバッファに保存された回転数(Ferr_buff)に設定する(ステップS20)。そして、処理を終了する(エンド)。ここでは、保存された回転数を最小回転数に設定したが、より安全性を上げるために、保存された回転数+αの値を最小回転数として設定しても良い。この場合のαは既存の設定値としてマイコン内部に予め設定された値を用いる。
また、ステップS16において、低回転域でのIPM異常の判定がされていないと判断された場合(ステップS16においてNO)には、処理を終了する(エンド)。低回転域でのIPM異常ではないため連続的なIPM回路からの異常が発生しないと考えられるため同期モータの最小回転数をエラーバッファに保存された回転数(Ferr_buff)に設定しない。
当該処理により、同期モータを駆動する回転数が低回転域でIPM異常が生じた場合に、可動回転数範囲の最小回転数を異常が発生する前のバッファに保存された回転数(もしくは、保存回転数+α)に設定することにより、再起動後のエラーが起こりやすい低回転域での同期モータの駆動を避けることができ、連続的にIPM異常で空気調和機が停止することを回避することが可能である。この場合、メモリ19のバッファ内の値がクリアされるまで、すなわちモータ制御装置113への給電がOFFされるまでは、最小回転数は当該設定した回転数以下にはしない。圧縮機の回転数が可変で、一般的にインバータと呼ばれる製品では極端に圧縮機の運転可能範囲を狭めてしまうと使用者にとって快適な運転ではなくなってしまうため、ここでは低回転域と判定するための閾値を設定しておき、その回転数以上でIPM異常が発生した際は、低回転域と判定せずに上記制御は行わないものとする。
(変形例1)
上記においては、低回転域でIPM異常が発生した場合について説明した。本例においては、高回転域でIPM異常が発生した場合の制御について説明する。
上記においては、低回転域でIPM異常が発生した場合について説明した。本例においては、高回転域でIPM異常が発生した場合の制御について説明する。
圧縮機は回転数を増加させる際に変調率(PWM信号)を増加させる。したがって、回転数が高いほど変調率は高く、直流電流も大きくなる。ここで、上述したように、本発明の実施の形態に従うモータ駆動システムにおいては、コンバータ回路3において、小容量平滑コンデンサを使用している。小容量平滑コンデンサを用いて全波整流された交流電圧を平滑すると、電圧のリプルの大部分が取りきれず、出力電圧が電源周期の2倍の周期歪みを含むような平滑電圧となり、この電圧を用いて正弦波状の電流を生成するようにIPM回路にてチョッピングして、3相交流電圧に変換するため、歪みに合わせたPWM信号の大小が必要となる。したがって、一般的なインバータ制御のように、ある程度直流に平滑された電圧を用いてIPM回路にてチョッピングする場合に比べて直流電流が大きくなる箇所が発生する。したがって、圧縮機の同期モータの高回転域でも上記と同様にIPM回路の保護電流の閾値を超えてしまいIPM回路より異常信号が発生し、空気調和機の運転が停止してしまう可能性がより高くなる。さらに、室外温度が高くサイクル負荷が大きい状態だと直流電流は全体的に増加するため、IPM異常により運転が停止する可能性がさらに高くなってしまう。
そこで、本発明の実施の形態の変形例1においては、以下の制御を実行する。
図5は、本発明の実施の形態の変形例1に従う異常信号が発生した場合における同期モータの回転数を設定するフロー図である。
図5は、本発明の実施の形態の変形例1に従う異常信号が発生した場合における同期モータの回転数を設定するフロー図である。
当該フローは、3相PWM制御部15の回転数設定部13で実行するものとする。
図5を参照して、まず、圧縮機が運転中であるかどうかを判断する(ステップS2)。圧縮機が運転中でなければステップS2を維持する。
図5を参照して、まず、圧縮機が運転中であるかどうかを判断する(ステップS2)。圧縮機が運転中でなければステップS2を維持する。
そして、ステップS2において、圧縮機が運転中であると判断した場合(ステップS2においてYES)には、運転回転数(実働回転数)をバッファに保存する(ステップS4)。具体的には、メモリ19に保存するようにすればよい。そして、定期的にバッファに上書きするものとする。
そして、次に異常が発生したかどうかを判断する(ステップS6)。ステップS6において、異常が発生していないと判断された場合には、ステップS2に戻り、上記の処理を繰り返す。すなわち、実働回転数をバッファに保存する処理を繰り返す。一方、ステップS6において、異常が発生したと判断した場合(ステップS6においてYES)、当該異常がIPM異常であるかどうかを判断する(ステップS8)。具体的には、IPM回路からの異常信号を受信したものであるかどうかを判断する。ステップS8において、IPM異常であると判断した場合(ステップS8においてYES)には、最後にバッファに格納されている圧縮機の回転数(エラー前の回転数)をエラーバッファに保存する(ステップS10)。そして、次に、エラーバッファに保存された回転数(Ferr_buff)が、所定の閾値となる回転数(FHth)よりも高いかどうかを判定する(ステップS13)。
ステップS13において、Ferr_buff>FHthが満たされると判断される場合には、高回転域でのIPM異常と判定する(ステップS15)。
また、ステップS8において、IPM異常でないと判断される場合(ステップS8においてNO)には、他の異常であるため処理を終了する(エンド)。他の異常の場合の処理については、同期モータの回転数を設定する等の処理で対応することはできないためここでは、詳細については省略するがそれぞれの異常に合わせた適切な処置を取るものとする。
また、ステップS13において、Ferr_buff>FHthが満たされないと判断される場合(ステップS13においてNO)には、ステップS17に進む。
そして、次に、高回転域でのIPM異常の判定がされたかどうかを判断する(ステップS17)。ステップS17において、高回転域でのIPM異常であると判定された場合(ステップS17においてYES)には、最大回転数をエラーバッファに保存された回転数(Ferr_buff)に設定する(ステップS22)。そして、処理を終了する(エンド)。ここでは、保存された回転数を最大回転数に設定したが、より安全性を上げるために、保存された回転数-βの値を最小回転数として設定しても良い。この場合のβは既存の設定値としてマイコン内部に予め設定された値を用いる。
また、ステップS17において、高回転域でのIPM異常の判定がされていないと判断された場合(ステップS17においてNO)には、処理を終了する(エンド)。
高回転域でのIPM異常ではないため連続的なIPM回路からの異常が発生しないと考えられるため同期モータの最大回転数をエラーバッファに保存された回転数(Ferr_buff)に設定しない。
高回転域でのIPM異常ではないため連続的なIPM回路からの異常が発生しないと考えられるため同期モータの最大回転数をエラーバッファに保存された回転数(Ferr_buff)に設定しない。
当該処理により、同期モータを駆動する回転数が高回転域でIPM異常が生じた場合に、可動回転数範囲の最大回転数を異常が発生する前のバッファに保存された回転数(もしくは、保存回転数-β)に設定することにより再起動後のエラーが起こりやすい高転域での同期モータの駆動を避けることができ、連続的にIPM異常で空気調和機が停止することを回避することが可能である。この場合、メモリ19のバッファ内の値がクリアされるまで、すなわちモータ制御装置113への給電がOFFされるまでは、最大回転数は当該設定した回転数以上にはしない。圧縮機の回転数が可変で、一般的にインバータと呼ばれる製品では極端に圧縮機の運転可能範囲を狭めてしまうと使用者にとって快適な運転ではなくなってしまうため、ここでは高回転域と判定するための閾値を設定しておき、その回転数以上でIPM異常が発生した際は、高回転域と判定せずに上記制御は行わないものとする。
(変形例2)
上記においては、高回転域でIPM異常が発生した場合について説明したが、本実施の形態の変形例2においては、低回転域あるいは高回転域でIPM異常が発生した場合の制御について説明する。
上記においては、高回転域でIPM異常が発生した場合について説明したが、本実施の形態の変形例2においては、低回転域あるいは高回転域でIPM異常が発生した場合の制御について説明する。
図6は、本発明の実施の形態の変形例2に従う異常信号が発生した場合における同期モータの回転数を設定するフロー図である。
当該フローは、3相PWM制御部15の回転数設定部13で実行するものとする。
図4を参照して、まず、圧縮機が運転中であるかどうかを判断する(ステップS2)。圧縮機が運転中でなければステップS2を維持する。
図4を参照して、まず、圧縮機が運転中であるかどうかを判断する(ステップS2)。圧縮機が運転中でなければステップS2を維持する。
そして、ステップS2において、圧縮機が運転中であると判断した場合(ステップS2においてYES)には、運転回転数(実働回転数)をバッファに保存する(ステップS4)。具体的には、メモリ19に保存するようにすればよい。そして、定期的にバッファに上書きするものとする。
そして、次に異常が発生したかどうかを判断する(ステップS6)。ステップS6において、異常が発生していないと判断された場合には、ステップS2に戻り、上記の処理を繰り返す。すなわち、実働回転数をバッファに保存する処理を繰り返す。一方、ステップS6において、異常が発生したと判断した場合(ステップS6においてYES)、当該異常がIPM異常であるかどうかを判断する(ステップS8)。具体的には、IPM回路からの異常信号を受信したものであるかどうかを判断する。ステップS8において、IPM異常であると判断した場合(ステップS8においてYES)には、最後にバッファに格納されている圧縮機の回転数(エラー前の回転数)をエラーバッファに保存する(ステップS10)。そして、次に、エラーバッファに保存された回転数(Ferr_buff)が、所定の閾値となる回転数(FLth)よりも低いかどうかを判定する(ステップS12)。
ステップS12において、Ferr_buff<FLthが満たされると判断される場合には、低回転域でのIPM異常と判定する(ステップS14)。
ステップS8において、IPM異常でないと判断される場合(ステップS8においてNO)には、他の異常であるため処理を終了する(エンド)。他の異常の場合の処理については、同期モータの回転数を設定する等の処理で対応することはできないためここでは、詳細については省略するがそれぞれの異常に合わせた適切な処置を取るものとする。
また、ステップS12において、Ferr_buff<FLthが満たされないと判断される場合(ステップS12においてNO)には、ステップS13#に進む。
ステップS13#において、エラーバッファに保存された回転数(Ferr_buff)が、所定の閾値となる回転数(FHth)よりも高いかどうかを判定する(ステップS13#)。
そして、ステップS13#において、Ferr_buff>FHthが満たされると判断される場合(ステップS13#においてYES)には、高回転域でのIPM異常と判定する(ステップS14#)。そして、ステップS16に進む。
一方、ステップS13#において、エラーバッファに保存された回転数(Ferr_buff)が、所定の閾値となる回転数(FHth)よりも高くないと判断した場合(ステップS13#においてNO)には、処理を終了する(エンド)。
すなわち、低回転域あるいは高回転域でのIPM異常ではないため連続的なIPM回路からの異常が発生しないと考えられるため同期モータの回転数をエラーバッファに保存された回転数(Ferr_buff)に設定しない。
そして、次に、低回転域でのIPM異常の判定がされたかどうかを判断する(ステップS16)。ステップS16において、低回転域でのIPM異常であると判定された場合(ステップS16においてYES)には、最小回転数をエラーバッファに保存された回転数(Ferr_buff)もしくは保存回転数+αに設定する(ステップS20)。そして、処理を終了する(エンド)。
また、ステップS16において、低回転域でのIPM異常の判定がされていないと判断された場合(ステップS16においてNO)には、高回転域でのIPM異常の判定がされたかどうかを判断する(ステップS16#)。ステップS16#において、高回転域でのIPM異常であると判定された場合(ステップS16#においてYES)には、最大回転数をエラーバッファに保存された回転数(Ferr_buff)もしくは保存回転数-βに設定する(ステップS22)。そして、処理を終了する(エンド)。
また、ステップS16#において、高回転域でのIPM異常でないと判定された場合(ステップS16#においてNO)には、処理を終了する(エンド)。低回転域あるいは高回転域でのIPM異常ではないため連続的なIPM回路からの異常が発生しないと考えられるため同期モータの回転数をエラーバッファに保存された回転数(Ferr_buff)に設定しない。
当該処理により、同期モータを駆動する回転数が低回転域でIPM異常が生じた場合に、可動回転数範囲の最小回転数を異常が発生する前のバッファに保存された回転数もしくは保存回転数+αに設定することにより、再起動後のエラーが起こりやすい低回転域での同期モータの駆動を避けることができ、連続的にIPM異常で空気調和機が停止することを回避することが可能である。
また、同期モータを駆動する回転数が高回転域でIPM異常が生じた場合に、可動回転数範囲の最大回転数を異常が発生する前のバッファに保存された回転数もしくは保存回転数-βに設定することにより、再起動後のエラーが起こりやすい高回転域での同期モータの駆動を避けることができ、連続的にIPM異常で空気調和機が停止することを回避することが可能である。
(変形例3)
上記の方式においては、モータ制御装置113への給電がOFFされるまでは、可動回転数範囲の制限を維持することになるが、例えば、インバータエアコン等においては駆動可能な圧縮機の回転数域が大きい方が快適性が高い。
上記の方式においては、モータ制御装置113への給電がOFFされるまでは、可動回転数範囲の制限を維持することになるが、例えば、インバータエアコン等においては駆動可能な圧縮機の回転数域が大きい方が快適性が高い。
また、常に室外温度が高いままであることは少なく昼間と夕方で室外温度は異なり、夕方と夜でも室外温度は異なるため、長く運転を行っている場合は、常に最小周波数を上げている状態もしくは最大周波数を下げている状態でなくとも、IPM異常が発生しにくい程度のサイクル負荷である可能性が高いとも考えられる。
したがって、長期的に運転を行う場合には、可動回転数範囲の制限を解除することにおり、快適性の向上を促すことが可能である。
図7は、本発明の実施の形態の変形例3に従う目標回転数の設定について説明するフロー図である。当該フローは、3相PWM制御部15の回転数設定部13で実行するものとする。
図7を参照して、前回のIPM異常発生から所定期間(一例として期間T)が経過したかどうかを判断する(ステップS32)。ステップS32において、所定期間が経過するまでステップS32を維持する。そして、所定期間が経過した場合(ステップS32においてYES)には、最小/最大回転数をリセットする(ステップS34)。そして、処理を終了する。すなわち、所定期間が経過された場合において、設定された最小もしくは最大回転数をリセットすることにより、回転数域の制限が解除されるので、通常時の可動回転数の範囲にて圧縮機の制御を行う。再び、IPM異常が発生した場合は再度回転数規制の設定を行い、T時間内では設定された可動回転数の範囲で制御を行う。
(変形例4)
上記においては、所定期間が経過した場合に可動回転数範囲の制限を解除する方式について説明した。
上記においては、所定期間が経過した場合に可動回転数範囲の制限を解除する方式について説明した。
本実施の形態の変形例4においては、IPM異常の回数に従って所定期間の長さを調整する方式について説明する。
図8は、本発明の実施の形態の変形例4に従う所定期間の設定について説明するフロー図である。当該フローは、3相PWM制御部15の回転数設定部13で実行するものとする。
図8を参照して、IPM異常が発生したかどうかを判断する(ステップS40)。
そして、次に、IPM異常が発生したと判断した場合には、所定期間(一例として期間T)を設定する(ステップS42)。そして、次に、IPM異常が再度発生したかどうかを判断する(ステップS44)。
そして、次に、IPM異常が発生したと判断した場合には、所定期間(一例として期間T)を設定する(ステップS42)。そして、次に、IPM異常が再度発生したかどうかを判断する(ステップS44)。
ステップS44において、再度、IPM異常が発生したと判断した場合(ステップS44においてYES)には、期間T1を期間Tに加算する(ステップS46)。そして、ステップS42に戻り、所定期間Tを設定する。具体的には、T=T+T1とする。そして、ステップS44に進む。
したがって、IPM異常が繰り返される毎に、所定期間Tの期間は期間T1ずつ加算されていくことになる。当該方式により、IPM異常が連続的に発生する確率を下げることが可能となる。
一方、ステップS44において、IPM異常が再度ないと判断された場合(ステップS44においてNO)には、ステップS40に戻って、所定期間Tをリセットする(ステップS48)。そして、ステップS40に戻る。
したがって、IPM異常が再度ないような場合には、最初の所定期間Tにリセットさせるものとする。
なお、上記においては、空気調和機の圧縮機33で用いられる同期モータについて説明したが、空気調和機に限られず、冷凍装置においても同様に適用可能である。
(変形例5)
上記においては、2シャント電流検出方式を採用したモータ制御装置について説明したが、特にこれに限られず1シャント電流検出方式のモータ制御装置においても同様に適用可能である。
上記においては、2シャント電流検出方式を採用したモータ制御装置について説明したが、特にこれに限られず1シャント電流検出方式のモータ制御装置においても同様に適用可能である。
図9は、本発明の実施の形態に従うモータ駆動システムの別の全体概略構成図である。
図9を参照して、図2の構成と比較して、インバータ2をインバータ2#に置換した点が異なる。また、アンプをアンプAP3とした点が異なる。その他の点については同様であるのでその詳細な説明は繰り返さない。
図9を参照して、図2の構成と比較して、インバータ2をインバータ2#に置換した点が異なる。また、アンプをアンプAP3とした点が異なる。その他の点については同様であるのでその詳細な説明は繰り返さない。
インバータ2#は、インバータ2と比較して、抵抗R1~R3を削除した点と、抵抗R4を母線の出力側に設けた構成とした点が異なる。
アンプAP3は、抵抗R4に流れる電流により発生する電圧を増幅してA/D回路16に出力する。
A/D回路16は、アンプAPにより増幅された電圧V3をアナログ/デジタル変換して電流検出部18に出力する。
1シャント電流検出方式の場合、抵抗R4で検出される出力信号を適切なタイミングでサンプリングすることにより、U相、V相およびW相のうち、電圧レベルが最大となる相(最大相)の相電流と最小となる相(最小相)の相電流、すなわち、2相分の相電流を検出する。そして、その結果に基づいて、2シャント電流検出方式を採用したモータ制御装置と同様に、PWM信号を出力する。なお、この点については公知の技術であるためその詳細な説明は省略する。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
13 回転数設定部、15 3相PWM制御部、16 A/D回路、17 PWM作成部、18 電流検出部、19 メモリ、20 IPM回路、22,42~48 ダイオード、24 ゲート駆動回路、26 保護回路、28 ゲート駆動回路用電源、33 圧縮機、34 四方弁、35 電子膨張弁、36 吐出温度サーミスタ、37 室内熱交換器、38 室内熱交換器サーミスタ、39 室外熱交換器、55 室内サーミスタ、113 モータ制御装置。
Claims (6)
- 商用電源から整流電圧を生成する整流回路(42~48)と、
前記整流回路からの前記整流電圧を平滑し、整流された交流電圧周期の歪み波形を含む直流電圧を生成する平滑回路(40,45)と、
前記平滑回路と接続され、前記直流電圧の供給を受けて、複数相のモータコイルを備えた同期モータ(8M)を駆動するインバータ(2)と、
前記同期モータの各相に流れる相電流のうちの少なくとも1つの相のモータ電流を検出する電流検出手段(R1,R2,AP1,AP2,16,18)と、
前記電流検出手段の検出結果に基づいて、前記インバータを介して前記同期モータを制御する制御手段(15)とを備え、
前記平滑回路は、
前記整流回路の出力側あるいは入力側に接続された非常に小さな小容量リアクタ(45)と、
前記インバータの母線間に接続された非常に小さな小容量コンデンサ(40)とを含み、
前記インバータは、スイッチング素子およびスイッチング素子を保護する保護回路とを含む少なくとも1つのモジュール(20)で構成され、
前記制御手段は、
回転数指令に基づく前記同期モータの回転数を記憶手段(19)に繰り返し記憶し、
前記同期モータの回転数が低回転域である場合に前記保護回路から異常信号の入力を受けた場合には、前記同期モータの駆動を停止し、
再起動の際に、前記記憶手段に記憶された異常停止した際の回転数域よりも低い回転数を使用しないように圧縮装置の回転数制御を行なう、モータ制御装置。 - 商用電源から整流電圧を生成する整流回路(42~48)と、
前記整流回路からの前記整流電圧を平滑し、整流された交流電圧周期の歪み波形を含む直流電圧を生成する平滑回路(40,45)と、
前記平滑回路と接続され、前記直流電圧の供給を受けて、複数相のモータコイルを備えた同期モータ(8M)を駆動するインバータ(2)と、
前記同期モータの各相に流れる相電流のうちの少なくとも1つの相のモータ電流を検出する電流検出手段(R1,R2,AP1,AP2,16,18)と、
前記電流検出手段の検出結果に基づいて、前記インバータを介して前記同期モータを制御する制御手段(15)とを備え、
前記平滑回路は、
前記整流回路の出力側あるいは入力側に接続された非常に小さな小容量リアクタ(45)と、
前記インバータの母線間に接続された非常に小さな小容量コンデンサ(40)とを含み、
前記インバータは、スイッチング素子およびスイッチング素子を保護する保護回路とを含む少なくとも1つのモジュール(20)で構成され、
前記制御手段は、
回転数指令に基づく前記同期モータの回転数を記憶手段(19)に繰り返し記憶し、
前記同期モータの回転数が高回転域である場合に前記保護回路から異常信号の入力を受けた場合には、前記同期モータの駆動を停止し、
再起動の際に、前記記憶手段に記憶された異常停止した際の回転数域よりも高い回転数を使用しないように圧縮装置の回転数制御を行なう、モータ制御装置。 - 商用電源から整流電圧を生成する整流回路(42~48)と、
前記整流回路からの前記整流電圧を平滑し、整流された交流電圧周期の歪み波形を含む直流電圧を生成する平滑回路(40,45)と、
前記平滑回路と接続され、前記直流電圧の供給を受けて、複数相のモータコイルを備えた同期モータ(8M)を駆動するインバータ(2)と、
前記同期モータの各相に流れる相電流のうちの少なくとも1つの相のモータ電流を検出する電流検出手段(R1,R2,AP1,AP2,16,18)と、
前記電流検出手段の検出結果に基づいて、前記インバータを介して前記同期モータを制御する制御手段(15)とを備え、
前記平滑回路は、
前記整流回路の出力側あるいは入力側に接続された非常に小さな小容量リアクタ(45)と、
前記インバータの母線間に接続された非常に小さな小容量コンデンサ(40)とを含み、
前記インバータは、スイッチング素子およびスイッチング素子を保護する保護回路とを含む少なくとも1つのモジュール(20)で構成され、
前記制御手段は、
回転数指令に基づく前記同期モータの回転数を記憶手段(19)に繰り返し記憶し、
前記保護回路から異常信号の入力を受けた場合には、前記同期モータの駆動を停止し、
再起動の際に、入力された前記異常信号は、前記同期モータの低回転域で生じたか、高回転域で生じたかどうかを判断し、
再起動の際に、前記異常信号が低回転域で生じたと判断された場合に、前記記憶手段に記憶された異常停止した際の回転数域よりも低い回転数を使用しないように圧縮装置の回転数制御を行ない、
再起動の際に、前記異常信号が高回転域で生じたと判断された場合に、前記記憶手段に記憶された異常停止した際の回転数域よりも高い回転数を使用しないように圧縮装置の回転数制御を行なう、モータ制御装置。 - 前記制御手段は、所定期間が経過した場合には、前記回転数制御により設定された回転数制限をリセットする、請求項1に記載のモータ制御装置。
- 前記制御手段は、前記異常信号の発生回数に従って前記所定期間を調整する、請求項4に記載のモータ制御装置。
- 前記同期モータを駆動・制御する請求項1に記載のモータ制御装置を備えた、圧縮装置。
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