WO2011149100A1

WO2011149100A1 - 病理・生検試料処理用ユニットシステム

Info

Publication number: WO2011149100A1
Application number: PCT/JP2011/062307
Authority: WO
Inventors: 悌二竹崎
Original assignee: 竹崎岳志; 株式会社ユーケンサイエンス
Priority date: 2010-05-24
Filing date: 2011-05-23
Publication date: 2011-12-01

Abstract

患者試料の挫滅・紛失・混入の医療事故を防止する多孔容器籠と籠付の固定支持基台構成体群と専用のバリ無し包埋皿構成体群とスポンジ状ポリマー製裏打ち台紙構成体群とから構築される患者試料採取から標本作製工程に関わる病理・生検試料処理用のユニットシステム。

Description

病理・生検試料処理用ユニットシステム

　本発明は、臨床側で患者等から採取した生検試料を、病理検査・標本作製側に移送して該生検試料の標本を作製し、病理・組織学的検査を行う際に用いられる、病理・生検試料処理用ユニットシステムに関するものである。

　医師が病気の診断や治療を決める為、または、研究所が生命の研究の為に、患者や生命体から採取された生検試料は、病理・生検試料用カセットに収納された（採取収納工程）後、固定液の入った固定移送容器に収納され、病理診断検査依頼書とともに病理検査・標本作製側に移送される（固定移送工程）。前記標本作製側では、前記カセットである薬液処理籠に生検試料を入れて該カセットのデータ記載面に試料データを記載して脱水・脱脂・透徹・包埋剤浸透の処理を行う（薬液処理行程）。
　その後、前記カセット内の生検試料を包埋皿の底部に移し替え、該包埋皿の開口部の所定の位置に前記カセット基体を載置し、該カセット基体と前記生検試料を一体に包埋して、包埋ブロック試料を作製する（包埋工程）。前記包埋ブロック試料は、前記カセット基体を薄切用ミクロトーム用カセットアダプターに固定して薄切され、該薄切りされた薄切切片試料は、スライドグラスへの転写・伸展・乾燥貼り付け・染色・封入等の作業を経て、検査用標本となる（薄切・染色、標本製作工程）。前記検査用標本は、顕微鏡検査判定や診断に供された後、所定箇所に保管される。
　前記病理・生検試料用カセットは、包埋枠状基体と、多孔通液孔を有する蓋体とを備えている。前記包埋枠状基体は、その上側に開口部を形成し、その下側に多孔通液性の底部、或いは、小型試料収納用仕切小部屋を形成し、その外側壁にデータ記録部を成形している。前記カセットは、４つの機能（役目）、即ち、（１）生検試料の薬液処理籠の機能と、（２）患者・生物組織試料のデータ記載機能と、（３）試料包埋ブロックの台木機能と、（４）透明な多孔通液性を有する蓋を用いると前記カセット内部の生検試料が確認できる機能、を担っている。
　しかし、前記カセットでは、患者から採取した患者試料や研究所で生物から採取した生物試料（単に、「生検試料」、ということがある）を、前記試料収納籠内に移し換える時に、前記生検試料の試料データの転記ミスや生検試料の入れ間違い・混入・紛失等の問題が発生する恐れがある。そこで、前記病理・生検試料の試料データをバーコードや二次元データコードにし、該コードを前記カセットのデータ記録部に直接印字する印字機が開発され、この印字機を用いて前記カセットのデータ記録部に前記試料データを印字している。
　しかし、前記カセットは、合成樹脂で形成され、そのデータ記録部には一般的に、試料データ番号や試料名の手書き用の為にシュボが形成されていて、印字機の印字角度、或いは、インク噴射角度に因って印字結果に擦れや印字不備が生じている。
　また、印字が目視的には正常でも、バーコードや二次元データコードの読み取り機の読み取り認識結果は、前記データ記録部のシュボ大きさや深さや角度と、前記カセットの着色の微妙な色調の差によって認識できないし、その認識データ容量も多くを期待することが出来ない状態である。
　そこで、この改善策として、本発明者は、データ記録部の保護板付き蓋体を発明し、例えば、印字ラベルを保護することを提案している（例えば、特許文献１、４、参照）。しかし、前記保護板付き蓋は、試料包埋ブロック作製時に外してしまうので、該試料包埋ブロックのデータ記録部の印字ラベルは、数年後には剥げ落ちる可能性が高い欠点を有していた。
　又、従来の前記カセットの蓋体には、多孔性蓋の機能のみの役割しかなく、多くの合成樹脂製蓋体は、試料包埋ブロック作製時以後に医療廃棄物として廃棄されて環境破壊の原因にも成っている。これは、前記カセットの試料包埋ブロックの台木強度と、確実な試料データの連結・伝達と、包埋ブロックカセット試料の確実な保存管理の面からも大きな損失である。
　本発明者は、先に、ＩＣチップ（ＲＦＩＤ）を取り付けた病理・生検試料用カセットを開発したが、本格的な実施は成されていない（例えば、特許文献３，４参照）。その理由は、（１）ＩＣチップがまだ高価であること、（２）多くの有機溶媒に耐薬品性のコーティング形成されたＩＣチップが特に高価で少ないこと、（３）ＩＣチップには目視データが必要であるが、その目視データ記録容量が貧弱であること、等々が考えられる。
　更に、本発明者は、「バリ無し包埋皿と包埋方法」（例えば、特許文献１、特許文献２、参照）と、「バリ除去装置のバリ無し包埋法」（例えば、特願文献４、参照）と、「バリの発生が少ない包埋皿」（例えば、特許文献５、参照）を開発した。
　しかし、まだその水密枠の水密性と包埋作業の作業性と包埋皿の積み重ね収納性等々に問題があり、バリの除去作業の更なる省力と包埋作業と薄切作業の自動化と臨床・試料採取側から標本作製側への試料データの確実な連結・伝達の為には、試料包埋ブロック作製時の包埋剤のバリ発生を更に無くす工夫が必要である。
　又、生検試料は、その採取・固定移送・薬液処理等の標本作製工程に於いて、採取部位の位置番号記載用裏打ち台紙に貼り付けられる。この裏打ち台紙は、濾紙やケント紙状の紙製で形成されており、前記生検試料の薬液処理、或いは、包埋試料ブロック作製時には、該生検試料から剥がし廃棄されている。それは、前記台紙を一緒に包埋してブロック試料作製して試料と一緒に薄切すると、３から５ミクロン程で薄切することが困難であり、薄切刀の刃も直ぐに刃こぼれを起こし、その染色標本も多くの色素に染まってしまうからである。
　また、前記台紙は、生検試料の固定等の薬液浸透を阻害する傾向があり、時には直径０．５ｍｍ程度の生検試料は、前記台紙の紙繊維内に食い込み、該生検試料を剥がすことが困難に成ることも屡々である。更に、従来の固定移送容器で前記患者の生検試料を移送する場合に、１個の固定移送容器内に複数の生検試料を前記台紙に貼り付けて一緒に収納移送すると、移送時の固定液の振動と生検試料同士の接触により、該生検試料が前記台紙から剥げ落ちて前記生検試料の採取部位が不明に成ることが多い。
　この生検試料の採取部位を明確にする為には、前記生検試料のその採取部位番号データを記載した固定移送容器ごとに、そこに対応している各１個の生検試料を収納すれば良いが、この様にすると、前記固定移送容器は、採取した生検試料の数だけ必要になるので、コストが嵩み経済的でない。
　また、前記固定移送容器の中に、前記生検試料を収納した前記カセット（例えば、特許文献６、特許文献７、参照）を入れて移送し、切り出し時点で既に固定液に汚染されている該カセットを、洗浄・乾燥させ、或いは、廃棄して新規のカセットにデータ記載または印字する場合に、この時点で固定移送されて来た前記生検試料の取り扱いを慎重にしなければ取り間違いが生じる。
　故に、生検試料のスライド標本を作製した後は、その各々の生検試料が該当すべき患者由来のスライド標本である確実な証拠はなく、もしも生検試料の採取から標本作製と診断・報告書発行工程の何処かで、取り扱いミス等のトラブルが生じても、後から検証することは一切不可能である。この様な医療トラブルは、患者の命にも関わる大きな事故の原因となっているのが現状である。

特許第４０１３１９２号　特許公報特許第４０５８７０９号　特許公報特開２００８−２６０９７号　公開特許公報特開２００９−１６８７３７号　公開特許公報特開２００１−１１６６６９号　公開特許公報実開昭５８−１３２８７０号　公開実用新案公報実開昭６３−１３５１６６号　公開実用新案公報

　本件発明は、上記各課題を解決することを目的とするが、その主たる目的は、前述の様な医療トラブルの発生の防止を図ると共に、前記医療トラブルが発生した場合には、確実に、その原因や責任の所在がわかる様な該患者試料の確実な確認照合と連結システムを構築することである。

　上側に開口部を形成し、その下側に多孔通液性の底部を形成した包埋枠状基体と、その包埋枠状基体の上側の開口部に脱着自在に嵌合・連結する多孔通液孔を有する蓋体と、を備えた病理・生検試料用ユニットシステムに於いて；前記底部と、該底部の上側開口部に脱着自在に嵌合・連結する多孔通液面を有する蓋体と、包埋枠状基体との機能形態を、各々分離独立した３種類の構成体ユニットとして成形し、前記底部は、前記包埋枠状基体とは分離独立しており、前記上側開口部と、該上側開口部の外周を囲み、水平方向に突設する鍔状平面と、該鍔状平面の下側に少なくとも底部に多孔通液性底面を形成した試料収納部とを備えた、生検試料収納固定移送処理用多孔容器状底部であり、前記多孔容器状底部の上側開口部に、前記蓋体を独自に互いに脱着自在に嵌合・連結することにより、生検試料収納固定移送処理用多孔容器籠が構築され、前記多孔容器籠を前記包埋枠状基体に着脱自在に嵌合・連結することにより、籠付固定支持基台が構築される。即ち、該籠付固定支持基台の１構成ユニットである前記底部の上側開口部の外周を囲み、水平方向に突設する鍔状平面は前記蓋体と前記包埋枠状基体との間に挟持されて籠付固定支持基台が構築されている。
　病理・生検試料用カセットを用いて生検試料を包埋する包埋皿において、前記包埋皿は、包埋底部と、該包埋底部の上側開口部の外周を囲む水平方向に突設した鍔状平面に嵌合・連結する上側と下側とに開口部を有し前記開口部に連結した貫通孔部を形成する上部水密包埋枠部と、の機能形態を、各々分離独立した２種類の素材構成体ユニットとして成形し、前記包埋底部は、金属製の包埋底部であり、前記上部水密包埋枠部は、下部嵌合連結包埋底部支持体と包埋皿上部水密２角面形成枠体からから構成される合成樹脂製の上部水密包埋枠部である。即ち、該包埋皿の１構成ユニットである金属製の該包埋底部の上側開口部の外周を囲む水平方向に突設した鍔状平面も該包埋皿上部水密２角面形成枠体と下部嵌合連結包埋底部支持体との間に挟持されて包埋皿は構築されている。
　前記多孔容器籠や包埋皿等に収納される生検試料は、裏打ち用台紙に貼り付けられており、該裏打ち台紙が、前記生検試料と一緒にブロック試料に包埋されて薄切用ミクロトームで薄切できる、スポンジ状ポリマーで成形されている。
　前記生検試料は、包埋支持剤やシアノアクリレート系接着剤により前記裏打ち台紙に接着固定される。

　本発明は、生検試料の独立した機能を担う多孔容器状底部と蓋体から成るデータ記録部兼保護板付生検試料収納固定移送処理用多孔容器籠、の機能が加わった事により、前述した前記従来例の４つの機能の他に、例えば臨床側からの病理診断依頼時の検体（臨床側での患者・生検採取試料や切り出しトリミング試料の臨床側患者データ）の固定移送時に、前記多孔容器状底部のデータ記録部に、臨床側で患者名・試料名を鉛筆等で記載して、透明な保護板付蓋体を閉じて専用の固定移送容器内に収納して、病理検査依頼書と一緒に病理検査標本作製側に移送できる。
　この時、包埋枠状基体を容器の外側に嵌合連結できる、専用の固定移送容器を用いると、ＲＦＩＤ（ＩＣチップ）を収納した前記包埋枠状基体を固定液に浸漬させずに、前記固定移送容器につけて一緒に病理側に送れるので、前記ＩＣチップ内の患者属性や臨床試料データをデジタルデータで送れ、前記病理検査依頼書のペーパレスが可能になる。勿論、該包埋枠状基体を検査側に置いておくことも出来る。
　更に、臨床側から移送されてきた前記患者試料検体を、病理検査・標本作製側で、該患者の病理検査依頼書と固定移送容器に貼られた患者属性記載ラベルを確認・照合の上、受付・受領した後、該患者検体の切り出し時に作業者が前記固定移送容器から前記多孔容器籠を取り出し、該多孔容器状底部のデータ記録部の患者名・試料名を確認した後、該患者試料の病理検査依頼書と固定移送容器とも照合して、該患者試料を確認・観察・トリミングの上、該多孔容器状底部のデータ記録部の患者名・試料名の上から、検体試料番号とバーコード又は二次元データコード等が印字されたデータ記録ラベルを貼り付ける。
　その後、再度透明な保護板付蓋体を閉じ、患者試料が収納固定されている該多孔容器籠を、該多孔容器籠ごと自動固定包埋装置の処理籠に収納して生検試料の固定・脱水・脱脂・透徹・包埋剤浸透作業工程を進める事が出来る。
　即ち、本発明では、前記多孔容器状底部のデータ記録部上の臨床側で記載された患者名・試料名は、臨床側での患者試料の採取時から患者試料検体の固定移送と、病理検査・標本作製現場での生検試料の受付・受領・確認・照合・切り出しと、包埋作業と、試料包埋ブロックの薄切作業と、薄切作業完了後の包埋ブロック試料の保管管理までの全ての工程において、確実に患者試料と一緒に付いて回る。
　更に病理検査・標本作製側での患者試料検体の受付・受領・確認・照合・切り出し段階で、該患者名・試料名の上に、該患者試料の検体試料番号が確実に貼られて一体となるので、患者の臨床・試料データとその属性・既往歴を含む病理・標本作製側データとの直接で確実な伝達（メッセンジャー）と連結（リンク）が完成する。
　この時、患者データ部を具備するスポンジ状ポリマー製の裏打ち台紙を併用すると、患者試料の挫滅・変形・移動・混入・紛失が無い確実な、臨床側と病理検査側との患者試料データの伝達と連結が完成し、最良な標本作製と病理診断が可能となる。
　又、本発明では、従来の病理・生検試料用カセットには無い、前記多孔容器籠と包埋枠状基体の脱着自在な機能合体（固定用支持基台）と、合成樹脂製の上部水密包埋枠部と金属製包埋底部の着脱自在な機能合体（合成樹脂製水密枠付包埋皿）、の合体包埋によって、完全なバリ無し包埋ができる。
　多孔通液孔を有する蓋体を、包埋枠状基体の厚さであるカセット試料包埋ブロックの薄切時のアダプター固定爪位置内に納め、一体化した包埋試料ブロックを作製ことにより、従来の病理・生検試料用カセットのような蓋体の医療廃棄物が出ない。又、試料包埋ブロックの強度は、蓋体がブロック台木の中に収まった分頑丈になる。
　バーコードや二次元データコードをデータ記録ラベルに印字し、透明な保護板で挟持保護してデータ記録伝達を基本にしているので、従来の合成樹脂上に直接印字するよりも試料データの記録部のデータ量が大きくでき、且つ印字機が安価になる。
　前記多孔容器籠と前記包埋枠状基体の独立と脱着自在な嵌合・連結のユニット構成によって、ＩＣチップの耐薬品性を気にしなくても使用可能になり、ＩＣチップの使用範囲が広がり、耐薬品性の弱い安価なＩＣチップの使用も可能になる。
　本発明は、前記多孔容器籠や包埋皿に収納される生検試料を、スポンジ状ポリマー製の裏打ち台紙に貼り付けるので、該裏打ち台紙のデータ部に患者データ等を記載することが出来るとともに、患者試料の挫滅・変形・移動・混入・紛失を防止することが出来る。又、万が一、医療トラブルが生じても、その原因と責任を後日に検証できる。
　本発明は、前記生検試料を、包埋支持剤やシアノアクリレート系接着剤で前記裏打ち用台紙に接着固定するので、前記生検試料は、試料採取工程から最後の標本作製管理工程まで前記台紙に接着固定しているので、剥離したり、脱落したりして試料の入れ替わりや紛失が発生するのを確実に防止することができる。又、前記包埋支持剤や接着固定剤は、標本作製行程で使用される水、ホルマリン、有機溶剤や包埋剤で溶解・変質することもない。勿論、前記スポンジ状ポリマー製の裏打ち台紙への接着固定には従来通り生体試料組織内体液（液状タンパク質）の凝固力を利用することも出来るが、この凝固力のみでは接着力は弱いことが屡々生じている。

　図１は、病理・生検試料用ユニットシステムカセットの各ユニットを示す図で、図１Ａは、蓋体（ユニット２）の側面図、図１Ｂは、その縦断面図、図１Ｃは、多孔容器状底部（ユニット１）の側面図、図１Ｄは、その縦断面図、図１Ｅは、包埋枠状基体（ユニット３）の側面図、図１Ｆは、その縦断面図、を示す。
　図２は、各ユニットの裏面を示す図で、図２Ａは包埋枠状基体の底面図、図２Ｂは多孔容器状底部の底面図、図２Ｃは蓋体の底面図、をそれぞれ示す。
　図３は、多孔容器籠（ユニット構成体１）を示す図で、図３Ａは平面図、図３Ｂは側面図、図３Ｃは縦断面図、をそれぞれ示す。
　図４は、固定用支持基台（ユニット構成体３）を示す図で、図４Ａは図３の多孔容器籠（ユニット構成体１）と図１の包埋枠状基体（ユニット３）との分解平面図、図４Ｂは平面図、図４Ｃは側面図、図４Ｄは図４Ｃの要部拡大図、図４Ｅは図４ＢのＥ−Ｅ線縦断面図、をそれぞれ示す。
　図５は、固定用支持基台（ユニット構成体３）と包埋皿（ユニット構成体４）を示す図で、図５Ａは図４Ｃに相当する固定用支持基台の側面図、図５Ｂはその正面図でデータ記載面が見られ、図５Ｃは包埋皿上部水密２角面形成枠体の長手方向の縦断面図、図５Ｄは前記長手方向と直交する方向の横断面図、図５Ｅは包埋底部の長手方向の縦断面図、図４Ｆは前記長手方向と直交する方向の横断面図、図５Ｇは下部連結包埋底部支持体の長手方向の縦断面図、図５Ｈは前記長手方向と直交する方向の横断面図、図５１は包埋皿の長手方向の縦断面図、図５Ｊは前記長手方向と直交する方向の横断面図、をそれぞれ示す。
　図６は包埋皿（ユニット構成体４）と固定用支持基台（ユニット構成体３）により生検試料を包埋し、該包埋ブロック試料を薄切している状態を示す図で、図６Ａは包埋皿（ユニット構成体４）の開口部上の所定の位置に固定用支持基台（ユニット構成体３）を嵌合設置しておる平面図、図６Ｂは図６Ａの長手方向の縦断面図、図６Ｃは前記包埋ブロック試料をミクロトームのカセット係止用アダプターに装着し薄切作業の状態を示す正面図、図６Ｄは該アダプターのカセット係止爪係止嵌合位置と外壁の高さを示す図、である。
　図７は、包埋作業を示す図で、図７Ａは一体となっている包埋皿と固定用支持基台の側面図、図７Ｂは前記両者を分離した状態を示す側面図、である。
　図８は、臨床側での患者の生検試料採取から病理・標本作製側の標本作製管理までのフローチュートである。
　図９は、底部を有する包埋枠状基体を示す図で、図９Ａは平面図、図９Ｂは図９ＡのＢ—Ｂ線断面図、図９Ｃは図９ＡのＣ−Ｃ線断面図、図９Ｄは図９ＡのＤ−Ｄ線断面図、図９Ｅは側面図、図９Ｆは図９ＡのＩ−Ｉ線の矢印２２（←）側から見た断面図、図９Ｇは図９ＡのＪ−Ｊ線の矢印２２（←）側から見た断面図、図９Ｈは図９ＡのＪ−Ｊ線の矢印２３（→）側から見た断面図、をそれぞれ示す。
　図１０は、底部を有する包埋枠状基体と蓋体からなるユニット構成体を示す図で、図１０Ａは平面図、図１０Ｂは図１０ＡのＢ−Ｂ線断面図、図１０Ｃは図１０ＡのＣ−Ｃ線断面図、図１０Ｄは図１０ＡのＤ−Ｄ線断面図、図１０Ｅは図１０Ａの前記基体の縦断面図、図１０Ｆは前記基体の平面図、図１０Ｇはその底面図、を示す。
　図１１は、生検試料をスポンジ状ポリマー製の裏打ち台紙（厚さ０．７ｍｍ以下シート状台紙、０．７ｍｍ以上マット状台紙）に定着させる状態を示す図であるが、図１１Ａは棒状の裏打ち台紙による場合の斜視図、図１１Ｂは折りたたみ可能な棒状の前記台紙による場合の斜視図、図１１Ｃは、図１１Ｂの台紙と生検試料の位置関係を示す図、図１１Ｄは図１１Ａと異なる形状の台紙による場合の斜視図、図１１ＥはＩＤの生検位置番号記載の台紙による場合の斜視図、図１１ＦはＩＤ付き台紙と生検試料との位置関係を示す斜視図、図１１Ｇ~Ｌはそれぞれ形状の異なる台紙を示す斜視図、である。
　図１２は、針生検を前記台紙に定着している状態を示す図で、図１２Ａは正面図、図１２Ｂ、Ｃは固定枠に前記台紙を収納した状態を示す正面図、である。
　図１３は、ＥＭＲ試料が定着された前記台紙を示す図で、図１３Ａは平面図、図１３Ｂは側面図、である。
　図１４は、生検試料の移送準備作業を示す図で、図１４Ａは前記台紙と前記多孔容器籠の平面図、図１４Ｂは図１４Ａと異なる多孔容器籠の縦断面図、図１４Ｃは図１４Ａと異なる多孔容器籠の平面図、図１４Ｄは固定移送容器の平面図、である。
　図１５は、前記台紙をなす定着移送用マット（厚さ０．７ｍｍ以上）を示す図で、図１５Ａは固定移送容器に収納されている前記台紙の平面図、図１５Ｂは前記マットと固定枠の斜視図、である。
　図１６は、ＥＭＲ試料切り出し作業を示す図で、図１６Ａは支持ゲルによりＥＭＲ試料を定着させた定着移送用マット（厚さ０．７ｍｍ以上）の斜視図、図１６Ｂは切り出し作業で前記定着移送用マットを複数に分断トリミングする状態を示す斜視図、図１６Ｃは前記分断マットを固定枠に収納する状態を示す斜視図、図１６Ｄは切り出し作業でＥＭＲ試料と一緒にトリミングされた分断マットを前記固定枠と一緒に包埋した包埋ブロック試料を示す斜視図、である。
　図１７は、スポンジ状ポリマー製の裏打ち台紙からなる定着移送用マット（厚さ０．７ｍｍ以上）の各種形状を示す図で、図１７Ａ、Ｂ、Ｃ，Ｄ，Ｅ、は平面図、図１７Ｆ、Ｇ，Ｈ，Ｉ、は断面図であり、図１７Ｊは複数の差し込み孔を成形している前記マットの平面図、である。
　図１８は、生検試料を固定した前記台紙を示すもので、図１８Ａは生検試料を前記台紙シート（厚さ０．７ｍｍ以下）と前記マットで挟み、支持ゲルで定着する状態を示す側面図、図１８Ｂは前記生検試料を収容した多孔容器籠の平面図、である。
　図１９は、方形底部を有する前記台紙を示す図で、図１９Ａは蓋体の縦断面図、図１９Ｂは方形底部の縦断面図、図１９Ｃは蓋体を装着した方形底部の縦断面図、図１９Ｄは包埋支持剤が充填される固定枠と底部台紙の縦断面図、である。
　図２０は、生検試料を前記スポンジ状ポリマー製の裏打ち台紙シートに接着・固定する状態を示す図で、図２０ＡはＵ字状に曲げられて前記台紙の裏側から接着・固定剤を塗布する状態を示す正面図、図２０Ｂは生検試料が貼付されていない台紙の裏側から接着・固定剤を塗布する状態を示す正面図、図２０Ｃは図２０Ａの台紙を折り曲げる前の状態を示す正面図、該スポンジ状裏打ち台紙シートは薄く（０．３~０．７ｍｍ）できていて、微量の接着固定剤で生検試料が定着・固定支持できる。
　図２１は、生検試料を前記スポンジ状ポリマー製の裏打ち台紙シートより厚い通液性のスポンジ状台紙マットで挟持固定移送している図である。図２０Ａ、Ｂは平面図であり、図２０Ｃ、Ｄはその各々の縦断面図である。
　図２２は、図１６のＥＭＲ試料切り出し作業の説明図とは異なり、スポンジ状ポリマー製の裏打ち台紙マット（厚さ０．７ｍｍ以上）を使用せずに厚さ０．７ｍｍ以下のスポンジ状ポリマー製の裏打ち台紙シートに定着移送してきたＥＭＲ試料切り出し作業時（図２２Ａ・Ｂ・Ｃ）の図２２Ｃのトリミング分断シート上の分離試料を図２２Ｄに示す様に試料の接着剤でシート上に接着・固定して、図２２Ｅに示すように順次配列して割面の薄切面を決めている図である。
　図２３は、生検試料を前記スポンジ状ポリマー製の裏打ち台紙シートを用いて固定移送・標本作製包埋作業を実施した説明図である。パンチ生検試料（図２３Ａ・Ｄ・Ｇ・Ｊ）と針生検試料（図２３Ｂ・Ｅ・Ｈ・Ｋ）とＥＭＲ試料（図２３Ｃ・Ｆ・Ｉ・Ｌ）の順に示している。
　図２４は、図２３の包埋方法で作製した包埋ブロック試料である。図２４Ａはパンチ生検試料の包埋ブロック試料で、図２４Ｂは針生検試料の包埋ブロック試料で、図２４ＣはＥＭＲの包埋ブロック試料である。

　この発明は、上側に開口部を形成し、その下側に多孔通液性の底部を形成した包埋枠状基体と、その包埋枠状基体の上側の開口部に脱着自在に嵌合・連結する多孔通液孔を有する蓋体と、を備えた病理・生検試料用カセットに於いて；
　前記底部と、該底部の上側開口部に脱着自在に嵌合・連結する多孔通液面を有する蓋体と、包埋枠状基体との機能形態を、各々分離独立した３種類の構成体ユニットとして成形し、　前記底部は、前記包埋枠状基体とは分離独立しており、前記上側開口部と、該上側開口部の外周を囲み、水平方向に突設する鍔状平面と、該鍔状平面の下側に少なくとも底部に多孔通液性底面を形成した試料収納部とを備えた、生検試料収納固定移送処理用多孔容器状底部であり、
　前記多孔容器状底部の上側開口部に、前記蓋体を独自に互いに脱着自在に嵌合・連結することにより、生検試料収納固定移送処理用多孔容器籠が構築され、前記多孔容器籠を前記包埋枠状基体に着脱自在に嵌合・連結することにより、籠付の固定支持基台が構築されることを特徴とする。
　この発明は、前記包埋枠状基体は、上側に開口部を有し、下側に前記多孔容器状底部とは異なる多孔通液性底部を形成有する、底付の包埋枠状基体であり、
　該包埋枠状基体の上側開口部に前記蓋体を脱着自在に嵌合・連結することにより、蓋付の固定用支持基台が構築されることを特徴とする。
　この発明は、前記包埋枠状基体は、上側に開口部を有し、該開口部周囲を囲む外壁上部上端面、或いは、該開口部に連なる内壁に内側に向けて突設された凸状平面が形成され、該外壁上部の両長辺上端面の端面上に外側長辺側壁を立設延長形成した、側壁付の包埋枠状基体であり、前記多孔容器籠に嵌合・連結する前記包埋枠状基体の両外側長辺側壁上端面は、前記多孔容器状底部の鍔状平面の厚さと、前記蓋体の多孔通液面の外周を囲む開閉誘導リブの外周平面の厚さを重ねた厚さ分だけ、前記包埋枠状基体の前記外壁上部上端面と前記凸状平面より高い位置に成形され、
　前記多孔容器状底部と前記蓋体は、該多孔容器状底部の鍔状平面の長側辺と前記蓋体の前記外周平面の長側辺とを前記包埋枠状基体の両外側長辺側壁が挟持嵌合できる形状の切り欠け部を備えており、前記多孔容器状底部の前記鍔状平面と前記蓋体の前記外周平面の厚さは、前記包埋枠状基体の前記外側長辺側壁内に全て収納される厚さであることを特徴とする。
　この発明は、前記包埋枠状基体は、上側に開口部を有し、下側に前記多孔容器状底部とは異なる多孔通液性底部を有し、前記開口部の周囲を囲む外壁上部上端面、或いは、該開口部に連なる内壁に内側に向けて突設された凸状平面が形成され、該上側開口部の周囲を囲む外壁上部の両長辺上端面の端面上に外側長辺側壁を立設延長形成した、側壁底付の包埋枠状基体であり、前記多孔容器籠に嵌合・連結する前記包埋枠状基体の両側長辺側壁の上端面は、前記多孔容器状底部の鍔状平面の厚さと、前記蓋体の多孔通液面の外周を囲む開閉誘導リブの外周平面の厚さ分だけ、前記包埋枠状基体の前記外壁上部上端面と該開口部内壁の凸状平面より高い位置に成形され、
　前記多孔容器籠の前記蓋体は、前記蓋体の外周平面の長側辺を前記包埋枠状基体の両外側長辺側壁が挟持嵌合できる形状の切り欠け部を備えており、前記蓋体は、前記側壁底部付の包埋枠状基体の蓋体としても共有活用され、前記蓋体の前記外周平面の厚さは、該包埋枠状基体内に全て収納される厚さであり、前記包埋枠状基体の底部には、アダプター固定爪位置より狭い面積で、かつ、前記蓋体の厚さ分、前記底部下面から突出する突設側壁が設けられていることを特徴とする。
　この発明は、前記多孔容器状底部は、その前記鍔状平面の少なくても１辺を、前記包埋枠状基体の外側面のデータ記録部の傾斜面に沿って延長成形して、前記データ記録部を抑え覆う保護板兼データ記録部を一体的に成形した、保護板兼データ記録部付の多孔容器状底部であることを特徴とする。
　この発明は、前記蓋体は、その外周平面の少なくても１辺に、前記多孔容器状底部の保護板兼データ記録部を抑え覆う保護板を設けた、保護板付の蓋体であることを特徴とする。この発明は、前記蓋体の少なくとも保護板は、透明な合成樹脂で形成されていることを特徴とする。
　この発明は、前記包埋枠状基体は、上側に開口部を有し、該上側開口部の周囲を囲む外壁上部上端面、或いは該上側開口部に連なる内壁に内側に向けて突設された凸状平面を形成し、その外側壁の両前部外側面に上端面から下端面に通じる凹部を形成し、該凹部の上部に前記多孔容器状底部とも脱着自在に嵌合・連結する前記蓋体の前部両側凸状垂設係止部の掛け止め部を形成し、その後部外壁にも前記蓋体の後部の係止部の掛け止め部を成形した、掛け止め付の包埋枠状基体であり、該包埋枠状基体は、前記多孔容器籠と嵌合して掛け止め付の固定用支持基台を構築し、
　前記多孔容器状底部の前記鍔状平面の前部には、前記蓋体の前部凸状垂設係止部の掛け止め部があり、該掛け止め部は前記包埋枠状基体の前記凹部の掛け止め部に一致する切り欠け部であり、該多孔容器状底部の後部にも前記蓋体の後部係止部の掛け止め部を形成しており、該多孔容器状底部は、前記蓋体と嵌合して前記掛け止め付の多孔容器籠を構築し、前記蓋体は、前部両側に凸状垂設係止部を形成し、後部にも前記多孔容器状底部と前記包埋枠状基体とも共用する係止部を形成しており、この蓋体は、前記多孔容器籠及び前記固定用支持基台の蓋体として共有活用されることを特徴とする。
　この発明は、前記包埋枠状基体は、上側と下側とに開口部を有し、該上側から下側への開口部に連結した貫通孔部を形成し、前記貫通孔部の該上側開口部の周囲を囲む外壁上部上端面、或いは、該貫通孔部内壁に内側に向けて突設された凸状平面を形成し、その外側壁の両前部外側面に上端面から下端面に通じる凹部を形成して、該凹部の上部に、前記多孔容器状底部とも脱着自在に嵌合・連結する前記蓋体の前部凸状垂設係止部の掛け止め部を形成し、前記後部外壁にも前記蓋体の後部の係止部の掛け止め部を成形した、掛け止め凹部付の包埋枠状基体であり、
　又、前記多孔容器状底部は、その鍔状平面の前部に前記蓋体の前部の両側凸状垂設係止部の前部両側掛け止め部が成形され、前記前部両側掛け止め部は、前記包埋枠状基体の掛け止め部の上側に重なる形状に成形され、該前部両側掛け止め部は、前記多孔容器状底部の鍔状平面の両側長辺側の切り欠け部の端部で形成され、該切り欠け部は、前記包埋枠状基体の外側壁の前記凹部に重なる形状であり、前記切り欠け部の端部が、前部両側掛け止め部に一致するとともに、前記多孔容器状底部の後部にも前記蓋体の後部係止部の掛け止め部を形成した、掛け止め付の多孔容器状底部であり、
　前記蓋体は、前部両側に凸状垂設係止部を形成し、後部にも前記多孔容器状底部の掛け止め部と前記包埋枠状基体の掛け止め部で成す二角の重なりで構築される掛け止め部に、掛け止めできる係止部を形成しており、前記蓋体の前部両側凸状垂設係止部と後部係止部の該多孔容器状底部と該包埋枠状基体の両前部と後部掛け止め部は、それぞれ該多孔容器状底部と該包埋枠状基体の掛け止め部が成す二角の重なりで構築される掛け止め部で構成され、該蓋体と該多孔容器状底部と該包埋枠状基体の掛け止め部の嵌合・係止支点は、各々共通共用していることを特徴とする。
　この発明は、病理・生検試料用カセットを用いて生検試料を包埋する包埋皿において、前記包埋皿は、包埋底部と、該包埋底部の上側開口部の外周を囲む水平方向に突設した鍔状平面に嵌合・連結する上側と下側とに開口部を有し前記開口部に連結した貫通孔部を形成する上部水密包埋枠部と、の機能形態を、各々分離独立した２種類の素材構成体ユニットとして成形し、前記包埋底部は、合成樹脂より熱伝導率の良い金属板で成形し、該包埋底部の上側開口部の下側には、包埋時に包埋試料が載せられる収納底部があり、該上側開口部の外周を囲む水平方向突設した鍔状平面を有する、金属製の包埋底部であり、
　前記上部水密包埋枠部は、下部嵌合連結包埋底部支持体と包埋皿上部水密２角面形成枠体からから構成される合成樹脂製の上部水密包埋枠部であり、前記下部嵌合連結包埋底部支持体は、上側と下側とに開口部を有し、該開口部に連結した貫通孔部を形成し、前記貫通孔部の該上側開口部の周囲を囲む外壁上部上端面、或いは、該上側開口部に連なる貫通孔部内壁に内側に向けて突設された凸状平面を形成して、前記外壁上部上端面、或いは、前記凸状平面上に、生検試料収納固定移送処理用多孔容器状底部の試料収納部の上側開口部の外周を囲む水平方向に突設した鍔状平面の四方全周を掛け止め設置でき、
　前記包埋皿上部水密２角面形成枠体は、該下部嵌合連結包埋底部支持体の上側に嵌合連結して上側と下側とに開口部を有し、前記開口部に連結した貫通孔部を形成し、前記貫通孔部の該上側開口部の周囲を囲む外壁上部上端面と該上側開口部に連なる貫通孔部内壁に内側に向けて突設された凸状平面を形成しており前記包埋底部の鍔状平面を前記上部水密包埋枠部の掛け止め部に水密に確実に嵌め込み、
　前記病理・生検試料用カセットの包埋枠状基体底部と該包埋枠状基体のカセットブロック薄切時のアダプター固定爪位置の底面より狭い面積で突設形成した突設側壁とが成す凹凸二角面と前記上部水密包埋枠部の上端面と水密包埋枠内壁とが形成する接触水密面の凹凸二角接触面で水密に嵌合連結させることを特徴とする。
　この発明は、多孔容器籠、固定用支持基台、又は、包埋皿等に収容される生検試料が、裏打ち用台紙に定着されており、該裏打ち台紙が、前記生検試料と一緒にブロック試料に包埋されて薄切用ミクロトームで薄切できる、スポンジ状ポリマーで成形されていることを特徴とする。
　この発明は、前記裏打ち台紙が、前記スポンジ状ポリマーゲルで形成された固定移送用台紙であり、該固定移送用台紙同士或いは該生検試料の下部や周囲に、液状のポリマーからなる支持ゲルを滴下・塗布して、該生検試料を前記台紙の上、或いは、該台紙で構築したマット状構造体内に確実に固定定着させることを特徴とする。
　この発明は、前記スポンジ状ポリマーが、ポリビニルアルコールにアルデヒドを反応させてアセタール化したポリビニルホルマール（アセタール）製、ゼラチンを付加したポリビニルアルコール製、または、ウレタン樹脂製等の化学合成系生分解性プラスチックであることを特徴とする。この発明は、前記スポンジ状ポリマーが、寒天、カードラン、ジェランガム等のゲルを形成する天然食物繊維が素材のゲルで成形されたことを特徴とする。この発明は、前記支持ゲルが、ジェランガム、アルギン酸、ペクチンを代表とする１価または多価のカチオンによってゲルを形成する天然食物繊維の水溶液であることを特徴とする。
　この発明は、前記支持ゲルが、ジェランガム、アルギン酸、ペクチンを代表とする１価または多価のカチオンによってゲルを形成する天然食物繊維と寒天、カードランの溶液の温度変化でゲルを形成して、その溶解濃度でゲル化温度が変化する天然食物繊維を常温ではゲルを形成しない濃度で増粘剤として溶液内ポリマーの均等分布と粘度を調製した水溶液であることを特徴とする。この発明は、前記支持ゲルが、グルコマンナンを酸化剤で酸化した酸化グルコマンナンのアセチルエステル化物、或いは、酸化グルコマンナンのアルコール系とのエステル化物をアルコール又はアルコールホルマリン溶液で凝固・ゲル化させることを特徴とする。
　この発明は、前記裏打ち用台紙の形状が、台形を含む方形状の上部開口部を成形した容器状構造体底部にして、該構造体底部上の生検試料の固定・脱水・脱脂・透徹等の薬液処理工程から包埋・薄切作業を通して一貫して使用して、該構造体底部ごと底部内の生検試料を薄切可能にする為に生検試料の固定移送用裏打ち用台紙の形状を病理組織試料用処理籠の一部構造体として成形したことを特徴とする。この発明は、前記裏打ち台紙上の生検試料が、前記支持ゲルやシアノアクリレート系接着剤により接着・定着固定されることを特徴とする。

　この発明の実施例を図１~図１０により説明する。
　上側に開口部を形成し、その下側に多孔通液性の底部を形成した包埋枠状基体と、その包埋枠状基体の上側の開口部に脱着自在に嵌合・連結する多孔通液孔を有する蓋体と、を備えた病理・生物試料用ユニットシステムカセットに於いて；底部Ｘ（ユニット１）と、該底部Ｘの上側開口部に脱着自在に嵌合・連結する多孔通液面を有する蓋体Ｙ（ユニット２）と、包埋枠状基体Ｚ（ユニット３）との機能形態を、各々分離独立した３種類の構成体ユニットとして成形する。
　図１、図２に示すように、前記底部Ｘ（ユニット１）は、前記包埋枠状基体Ｚとは分離独立しており、前記上側開口部Ｘ９と、該上側開口部Ｘ９の外周を囲み、水平方向に突設する鍔状平面Ｘ１１と、該鍔状平面Ｘ１１の下側に少なくとも底部に多孔通液性底面Ｘ１０を形成した試料収納部Ｘ６とを備えた、生物試料収納固定移送処理用多孔容器状底部（単に、「多孔容器状底部」、ということもある）Ｘである。
　前記底部Ｘの前記鍔状平面Ｘ１１の少なくても１辺を、前記包埋枠状基体Ｚの外側面データ記録部Ｚ１の傾斜面に沿って延長成形して、該データ記録部Ｚ１を抑え覆う保護板兼データ記録部Ｘ１（単に、「データ記録部」、ということもある）を一体的に成形し、更に前記データ記録部Ｘ１寄りの両側に、前記蓋体Ｙの前部両側凸状垂設係止部（単に、「垂直係止部」、ということもある）Ｙ２の掛け止め部である切り欠け部Ｘ２ａの端部Ｘ２を成形する。
　前記切り欠け部Ｘ２ａは、前記包埋枠状基体Ｚの外側壁の前部両外側凹部に外側面の上側一部を凹部側に掛け止め部Ｚ９として凸設状に残し形成した、凹部Ｚ８に一致する。前記上側開口部Ｘ９の鍔状平面Ｘ１１の後部には、前記蓋体Ｙの後部係止部Ｙ４の掛け止め部Ｘ５が成形されている。
　前記多孔容器状底部Ｘの前記データ記録部Ｘ１の境目には、中央部泡抜き孔Ｘ３と両サイド泡抜き孔Ｘ４が成形されている。前記多孔容器状底部Ｘのデータ記録部Ｘ１は、その下面Ｘ７で、前記包埋枠状基体Ｚのデータ記録部Ｚ１を覆い保護している。前記多孔容器状底部Ｘの鍔状平面Ｘ１１の長辺側には、両サイド切り欠け部Ｘ１１ａが成形されている（図３参照）。なお、Ｘ８は側壁、Ｘ１２は前記多孔容器状底部Ｘのデータ記録部Ｘ１の表面の面積を少しでも広く取る為の傾斜データ記録部兼保護板端部垂設成形（図２参照）、Ｚ２（図４参照）は、ＩＣチップ（ＲＦＩＤ）挿入嵌合設置部、をそれぞれ示す。
　前記蓋体Ｙ（ユニット２）は、前部両側に凸状垂設係止部Ｙ２を形成し、後部にも前記底部Ｘと前記包埋枠状基体Ｚとも共用する係止部Ｙ４を形成している。この蓋体Ｙは、前記ユニット１、２で構築される、生検試料収納固定移送処理用多孔容器籠（単に、「多孔容器籠」ということがある）（ユニット構成体１）と、前記ユニット１，２，３で構築される、固定用支持基台（ユニット構成体３）との共通の構成ユニットである。
　前記蓋体Ｙ（ユニット２）は、多孔通液面Ｙ３の外周を囲む開閉誘導リブＹ８の外周平面Ｙ１０の少なくても１辺にも同様に一体的保護板Ｙ１を成形している（図１，２、３、参照）。この保護板Ｙ１の下面Ｙ９で前記多孔容器状底部Ｘの前記データ記録部Ｘ１上の汚れや該データ記録部Ｘ１に印字貼られたデータラベルの剥離や汚れを防止する。
　前記保護板Ｙ１付蓋体Ｙと保護板兼データ記録部Ｘ１付前記多孔容器状底部Ｘとから構築される、試料データ記録部付前記多孔容器籠ＸＹ（ユニット構成体１）を、前記包埋枠状基台Ｚ（ユニット３）に嵌着して固定用支持基台ＸＹＺを構築すると、籠付の固定用支持基台ＸＹＺ（ユニット構成体３）を構築できる（図４参照）。この固定用支持基台ＸＹＺは、前記２重のデータ記録部兼保護板Ｘ１、Ｙ１が、前記包埋枠状基体Ｚの外側面のデータ記録部Ｚ１を挟持保護して前記蓋体Ｙを廃棄しないで活用できる、試料データの確定と、バリ無し包埋ブロックの台木の機能と、従来の病理・生検試料用カセット機能と、を担うことができる。
　故に前記多孔容器状底部Ｘの前記鍔状平面Ｘ１１の長辺側の両サイド切り欠け部Ｘ１１ａと同様に、該蓋体Ｙの前記外周平面Ｙ１０にも、両サイド切り欠け部Ｘ１１ａと一致する切り欠け部Ｙ１０ａが成形されている（図２、３、参照）。前記外周平面Ｙ１０の後部係止部Ｙ４の後ろには、該蓋体Ｙの脱着開閉時の爪掛け部Ｙ５があり、該外周面Ｙ１０を延長して傾斜成形した保護板Ｙ１の傾斜部分の境目には、前記多孔容器状底部Ｘの泡抜き孔Ｘ３、Ｘ４に対応する泡抜き孔Ｙ６が成形されている。なお、Ｙ７は、前記多孔容器状底部Ｘの試料の脱水・脱脂・透徹・包埋剤浸透等の薬液処理時の泡抜き孔兼前部舌状係止蓋用の係止部Ｘ３の閉鎖壁であるが、この閉鎖壁Ｙ７は、前部舌状係止蓋を使用しない形状にする場合には、無くても良い。なお、前記蓋体Ｙの保護板Ｙ１を透明な合成樹脂で製作することにより、前記包埋枠状基体のデータ部の記録を目視することができる。
　以上の様に、患者・生物の採取試料の固定移送から該試料の標本作製工程での固定・脱水・脱脂・透徹・包埋剤浸透の薬液処理と情報伝達・連結を担う独立した機能を担う前記多孔容器籠ＸＹ（図２参照）は、前記多孔容器状底部Ｘと前記蓋体Ｙで構築される２ユニットシステム複合構成体である。
　図１、図２に示すように、前記多孔容器籠ＸＹ（ユニット構成体１）が着脱自在に嵌合・連結する包埋枠状基体Ｚ（ユニット３）には、上側と下側とに開口部Ｚ１８、Ｚ１６を有し、前記開口部Ｚ１８、Ｚ１６に連結した貫通孔部Ｚ１７を形成し、前記貫通孔部Ｚ１７の該上側開口部Ｚ１８の周囲を囲む外壁上部上端面Ｚ６、或いは、該貫通孔部Ｚ１７内壁に内側に向けて突設された凸状平面Ｚ６を形成し、該包埋枠状基体Ｚの外側壁の両前部外側面Ｚ１５に上端面Ｚ５から下端面Ｚ１４に通じる両前部外側凹部Ｚ８を形成している。
　該凹部Ｚ８の上部には、前記底部Ｘとも脱着自在に嵌合・連結する前記蓋体Ｙの前記垂設係止部Ｙ２の掛け止め部Ｚ９を、該包埋枠状基体Ｚの前記凹部Ｚ８に外側面の上側一部を凹部側に掛け止め部Ｚ９として凸設状に残し形成し（図４Ｄ参照）、後部外壁にも前記蓋体Ｙの後部の係止部Ｙ４を掛け止める掛け止め部Ｚ１２を成形している。
　前記両長辺上端面Ｚ６の端面上に、外側長辺側壁Ｚ１５を立設延長形成しているが、前記両外側長辺側壁Ｚ１５の上端面Ｚ５は、前記多孔容器状底部Ｘの鍔状平面Ｘ１１の厚さと該多孔容器状底部Ｘに嵌着する蓋体Ｙの外周平面Ｙ１０の厚さとを重ねた厚さ分だけ、前記包埋枠状基体Ｚの外壁上部上端面Ｚ６と前記貫通孔部Ｚ１７内壁の凸状平面Ｚ６より高い位置に成形されている。
　その他の該包埋枠状基体Ｚの構造としては、外壁を斜面成形したデータ記録部Ｚ１と、該データ記録部Ｚ１に成形されたＩＣチップ挿入嵌合設置部Ｚ２（図４参照）と、該包埋枠状基体Ｚの前記外壁上部上端面Ｚ６と前記データ記録部Ｚ１の境目に成形した両サイド泡抜き孔Ｚ３及び中央部泡抜き孔Ｚ４と、前記両外側長辺側壁の上端面Ｚ５と該包埋枠状基体Ｚの前記蓋体Ｙの脱着開閉用爪掛け部Ｙ５の成形空間Ｚ７と、前部凸状垂設係止部Ｙ２の掛け止め部Ｚ９と、該掛け止め部Ｚ９の掛け止め傾斜面Ｚ１０（図５参照）と、該カセットブロック薄切時のアダプター固定爪位置である下端面Ｚ１４の底面より狭い面積で突設成形した袴状の突設側壁Ｚ１１と、該包埋枠状基体Ｚの後部掛け止め部Ｚ１２が成形される後壁Ｚ１３（図４Ｅ参照）と、がある。
　前記多孔容器状底部Ｘ（ユニット１）に前記蓋体Ｙ（ユニット２）が嵌着することにより、生検試料５を収納して独立した機能を担うことが出来る前記データ記録部付の多孔容器籠ＸＹ（ユニット構成体１、図３参照）が構築され、又、前記多孔容器籠ＸＹを包埋枠状基体Ｚ（ユニット３）に嵌着することにより、籠・データ部付の固定用支持基台ＸＹＺ（ユニット構成体３、図４参照）が構築される。
　この病理・生検試料用ユニットシステムは、前記３ユニットの組み合わせで構成されるユニットシステム包埋枠状基体構成体であり、従来の病理・生検試料用カセットの前記４つの機能以外に、９つの機能を発揮することができる。
　次に、本発明の包埋皿を図５により説明するが、この包埋皿は、前記ユニットシステムカセットを用いて生検試料を包埋する際に用いられる。
　前記包埋皿は、金属製の包埋底部Ｓ（ユニット４）と合成樹脂製の上部水密包埋枠部Ｔ（ユニット５）から構築される合成樹脂製水密枠付き包埋皿（単に、「包埋皿」、ということがある）（ユニット構成体４）であり、前記ユニットの機能形態を各々分離独立した２種類の素材構成体ユニットである。
　前記包埋底部Ｓ（ユニット４）は、合成樹脂よりも熱伝導率の良い金属製板をプレス加工で成形し、その上側開口部Ｓ４の下側には包埋時に生検試料（包埋試料）が載せられる収納部Ｓ５の収納底部Ｓ１があり、該上側開口部Ｓ４の外周を囲む水平方向に突設した鍔状平面Ｓ３を備えている、金属製構成体ユニットである。
　前記上部水密包埋枠部Ｔ（ユニット５）は、下部嵌合連結包埋底部支持体（単に、「底部支持体」、ということもある）Ｔａと、包埋皿上部水密２角面形成枠体（単に、「枠体」、ということもある）Ｔから構築される。前記底部支持体Ｔａは、上側と下側とに開口部Ｔ１３、Ｔ１９を有し、前記開口部Ｔ１３、Ｔ１９に連結した貫通孔部Ｔ１４を形成し、前記貫通孔部Ｔ１４の該上側開口部Ｔ１３の周囲を囲む外壁上部上端面Ｔ４、或いは、該貫通孔部Ｔ１４内壁に内側に向けて突設された凸状平面Ｔ４を形成して、前記外壁上部上端面Ｔ４、或いは、前記凸状平面Ｔ４上に、前記包埋底部Ｓの前記鍔状平面Ｓ３の四方全周を掛け止め設置できる様になっている。
　前記枠体Ｔは、前記底部支持体Ｔａの上側に嵌合連結して上側と下側とに開口部Ｔ６、Ｔ１１を有し、前記上側から下側への開口部Ｔ６、Ｔ１１に連結した貫通孔部Ｔ１２を形成し、前記貫通孔部Ｔ１２の該上側開口部Ｔ６の周囲を囲む外壁上部上端面Ｔ２と該貫通孔部Ｔ１２内壁に内側に向けて突設された凸状平面Ｔ３を形成している。
　この包埋皿は、前記金属製包埋底部（ユニット４）Ｓと、該包埋底部Ｓの前記鍔状平面Ｓ３を掛け止め部に水密に嵌合する合成樹脂製の上部水密包埋枠部（ユニット５）Ｔとの２種類の素材構成体ユニットで構築して、熱伝導率の良い金属製の該包埋底部Ｓと前記ユニットシステム包埋枠状基体構成体と同じ収縮率で精密嵌合成形が可能な同じ合成樹脂製の上部水密包埋枠部（ユニット５）Ｔの機能形態を合体した、合成樹脂製の上部水密包埋枠部付包埋皿（ユニット構成体４）である（図５Ｉ，Ｊ参照）。
　前記包埋底部Ｓの前記鍔状平面Ｓ３を、前記合成樹脂製の上部水密包埋枠部Ｔの掛け止め部Ｔ４に水密に確実に嵌め込み、前記固定用支持基台ＸＹＺ（ユニット構成体３）の包埋枠状基体Ｚ１４と該包埋枠状基体の多孔通液性底部の成形位置を、カセットブロック薄切時のアダプター固定爪位置の底面より狭い面積で突設形成した突設側壁Ｚ１１とが成す凹凸二角面と該合成樹脂製の上部水密包埋枠部Ｔの上端面Ｔ２と水密包埋枠内壁Ｔ３とが形成する接触水密面の凹凸二角接触面で水密に嵌合連結させる（図６Ｃ参照）。
　この様にして、従来の金属製包埋皿の水密枠成形では困難であった、前記病理生検試料用カセットの包埋枠状基体Ｚの底面と水密２角面形成枠体Ｔである水密枠との水密嵌合性を高めて、包埋皿内の包埋剤１２の滲み溢れと生検試料５ａの固定包埋薬液処理時に、包埋剤１２に浸漬された固定用支持基台の包埋枠状基体の周囲からの包埋剤の垂れ溜まりである、包埋剤の余分なバリを完全防止する。
　その他の前記包埋皿ＳＴ（ユニット構成体４）の構造としては、該包埋皿ＳＴの包埋作業時に手１７を引掛ける作業取手Ｔ１（図７参照）と、前記底部支持体Ｔａと前記枠体Ｔの係止部Ｔ１０と掛け止め部構造Ｔ７、Ｔ１５、Ｔ１６、Ｔ１８と、前記包埋皿ＳＴの安定設置用脚部Ｔ５と、前記包埋皿ＳＴを重ね置き収納時の脚部接触回避部Ｔ８、Ｔ９が重要である。
　次に、臨床側の生検試料の採取固定移送から病理・標本作製側の包埋皿を用いた包埋作業、包埋ブロックの薄切、包埋ブロック試料の保管管理までについて説明する。
　図８に示す様に、患者から生検試料が採取される（図８Ａ参照）と、該生検試料５は、前記多孔容器籠ＸＹに収納される。この時、鉛筆等で記載可能なシュボ加工が成形されている、前記多孔容器状底部Ｘのデータ記録部Ｘ１に、臨床データ（患者属性やカルテ番号等）、試料名等を鉛筆等で記載して、透明な保護板付多孔通液面Ｙ３を有する蓋体Ｙを閉じる。
　その後、前記多孔容器籠ＸＹを固定移送容器６の固定液１５内に入れ蓋６ａをするとともに、該固定容器６に患者属性記載ラベル６ｃを貼付する（図８Ｂ参照）。その後、臨床側から病理検査依頼書と一緒に病理検査・標本作製側に移送する。
　この時、ＩＣチップ嵌合設置部Ｚ２にＩＣチップ２が収納されている包埋枠状基体Ｚを、前記固定移送容器６の固定液に入れないで、前記固定容器６の外側脚部６ｂに嵌着して一緒に臨床側に送っておけば、該ＩＣチップ２内に患者属性や臨床試料データがデジタルデータとして送れるので、前記依頼書のペーパレスが可能になる。勿論、該包埋枠状基体Ｚを検査側に置いておくことも出来る。
　前記固定移送容器６を受け取った病理検査・標本作製側では、該患者の病理検査依頼書と固定移送容器６に貼られた患者属性記載ラベル６ｃを確認・照合の上、受付・受領するとともに、前記固定移送容器６から前記多孔容器籠ＸＹを取り出して該多孔容器状底部Ｘのデータ記録部Ｘ１の患者名・試料名３を確認する。
　その後、該患者試料５の病理検査依頼書と固定移送容器６とも照合して、該患者の生検試料５を確認・観察・トリミングの上、該多孔容器状底部Ｘのデータ記録部Ｘ１の患者名・試料名３の上から、検体試料番号１ａとバーコード又は二次元データコード１ｂ等が印字されたデータ記録ラベル１を貼り付ける。この時、ラベル自動貼り印字機７を使用するとより便利である（図８Ｃ，Ｄ参照）。
　次に、前記蓋体Ｙを閉じて、患者試料５が収納固定されている該多孔容器籠ＸＹを、薬液処理籠９に収納し、該薬液処理籠９を自動固定包埋装置にセットして検体試料の固定・脱水・脱脂・透徹・包埋剤浸透の薬液処理工程を処理する（図８Ｆ参照）。この時点で、前記多孔容器状底部Ｘのデータ記録部Ｘ１上の臨床側患者臨床・生検試料データとその属性・既往歴を含む病理・標本作製側データとの直接で確実な伝達（メッセンジャー）と連結（リンク）が完成する。
　何故ならば、前記多孔容器籠ＸＹの中の生検試料（採取試料）５は、臨床側の責任で収納しており、病理・標本作製側では、試料の切り出し時に前記多孔容器籠ＸＹ内の採取試料５を移動することを絶対にしないで、単に、前記多孔容器籠ＸＹの蓋体Ｙを開けて、該多孔容器状底部Ｘ内部の採取試料５を確認の上、該多孔容器状底部Ｘのデータ記録部Ｘ１上の固定液１５を拭き取り、その上から前記印字記録したラベル紙１を貼付、再度前記容器多孔容器状底部Ｘに前記保護板Ｙ１付き蓋体Ｙを嵌着するだけであるからである。
　従って、該多孔容器状底部Ｘのデータ記録部Ｘ１と上側開口部に嵌合される前記蓋体Ｙの保護板Ｙ１の間には、臨床側の責任で事前に記載された臨床データや試料名等の情報と、その上に病理・標本作製側で貼り付けた印字記録したラベル紙１等の情報との二重の情報が保護され固定移送された、採取試料５が収納された前記多孔容器籠ＸＹが出来上がるからである。
　この時、ラベルの印字機７は、自動ラベル貼付印字機であり、該多孔容器状底部Ｘに嵌着される保護板Ｙ１付き蓋体Ｙは、有機溶媒に耐薬品性である透明な合成樹脂（例えばポリエチレンナフタレート等）で成形することが望ましく、該多孔容器状底部Ｘは、有機溶媒に耐薬品性であるポリアセタール樹脂の不透明で生検試料の色調とは異なる色素を用いて成形ことが望ましい。
　前記薬液処理工程（図８Ｆ参照）が完了した後、包埋剤が浸透している患者試料５を包埋する。この包埋作業工程は、前記多孔容器籠ＸＹ内の患者試料５をピンセットで摘んで前記包埋皿ＳＴの包埋底部Ｓに収容した後、前記空の多孔容器籠ＸＹ（ユニット構成体１）と前記包埋枠状基体Ｚとからなる固定用支持基台ＸＹＺ（ユニット構成体３）を、前記包埋皿ＳＴの合成樹脂製の上部水密包埋枠部Ｔの掛け止め部Ｔ４に重合し、前記蓋体Ｙの多孔通液面Ｙ３から固定液１５を注入して前記生検試料５を包埋する。
　前記薬液処理工程は、図８Ｆに示す様に、該患者試料５ａを収納した前記多孔容器籠ＸＹ（ユニット構成体１）のみで、固定・脱水・脱脂・透徹・包埋剤浸透の薬液処理工程を実施することも出来る。その場合の包埋作業は、前記包埋枠状基体Ｚは包埋剤１２に一切浸漬されていないので、該包埋枠状基体Ｚの外周にも包埋剤１２の付着がなく溶融包埋剤に濡れてもいない。
　そのため、前記包埋皿ＳＴ（ユニット構成体４）内の包埋剤の滲み溢れと、生検試料の固定包埋薬液処理時に包埋剤に浸漬された前記固定用支持基台ＸＹＺの包埋枠状基体の周囲からの包埋剤の垂れ溜まりが無いので、病理・生物包埋ブロックカセットの台木である固定用支持基台ＸＹＺには、完全にバリが発生しない。即ち、１００％完全なバリ無し包埋法が完成する。
　従来の病理・生検試料用カセットと同様に、前記多孔容器籠ＸＹと前記包埋枠状基体Ｚからなる前記固定用支持基台ＸＹＺ（ユニット構成体３）を、直接に使用して固定・脱水・脱脂・透徹・包埋剤浸透の薬液処理工程に使用した場合でも、前記包埋皿ＳＴ（ユニット構成体４）と前記固定用支持基台ＸＹＺ（ユニット構成体３）は、前記包埋皿ＳＴ側の凹凸二角接触面、即ち金属製包埋底部Ｓ（ユニット４）の前記鍔状平面Ｓ３に嵌合・連結する合成樹脂製の上部水密包埋枠部（ユニット５）Ｔの上端面Ｔ２と水密包埋枠内壁Ｔ３とが形成する接触水密面と、前記固定用支持基台ＸＹＺ側の凹凸二角接触面、即ち前記包埋枠状基体Ｚ底部と該包埋枠状基体Ｚの前記突設側壁Ｚ１１とが成す凹凸二角面とが形成する接触水密面とで、水密に嵌合連結させているので、従来の金属製包埋皿の水密枠成形では困難であった前記病理・生検試料用カセットの包埋枠状基体Ｚの底面と水密２角面形成枠体Ｔである水密枠との水密嵌合性を高めている。
　そのため、前記包埋皿ＳＴ内の包埋剤１２の滲み溢れと、生検試料１５ａの固定包埋薬液処理時に包埋剤１２に浸漬された前記病理・生物包埋ブロックカセットの包埋枠状基体Ｚの周囲からの包埋剤１２の垂れ溜まりである、包埋剤の余分なバリ１２ｂは、前記包埋枠状基体Ｚの底部周囲には垂れ溜まらず、前記包埋皿ＳＴの上部水密包埋枠部Ｔの側壁に多くは流れ落ちて、該包埋枠状基体Ｚ外側壁の包埋剤１２のバリの発生を防止する。
　この時、前記上部水密包埋枠部Ｔの合成樹脂は、前記固定用支持基台（ユニット構成体３）の包埋枠状基体Ｚと同じ収縮率や性状である材質が望ましく、例えば、ポリアセタール樹脂等が良い。又、前記包埋皿の大きさによって合成樹脂の着色を変化させると便利である。
　従来の包埋皿による包埋方法では，包埋皿から包埋ブロックを取り出すときには、包埋剤の冷却による収縮を利用しても該包埋ブロックが包埋皿から外れにくいことがしばしばあったが、本発明の前記包埋皿ＳＴの場合には、図７に示す様に、該包埋皿ＳＴの取っ手Ｔ１と包埋ブロックの台木部分である包埋枠状基体Ｚ部分を各々手１７で持って反対側に引っ張れば、直ぐにバリの無い包埋ブロック試料が出来上がる。
　該包埋ブロック試料は、図６Ａ，Ｂ，Ｃに示す構造で、包埋ブロックの台木部分の包埋枠状基体Ｚには、前記蓋体Ｙを一緒に包埋して包埋ブロック試料を作製することが出来る。故に、図６Ｄ、Ｅに示す様に、該包埋ブロックの台木部分の前記蓋体Ｙを内部に収納した包埋枠状基体Ｚの厚さは、従来の病理・生検試料用カセット底部の厚さｈ（図６Ｅの２１）であり、薄切用ミクロトームのアダプターのカセット係止爪係止嵌合位置（ｈ）と一致する。
　即ち、前記包埋ブロック試料の台木部分である包埋枠状基体Ｚ内には、前記蓋体Ｙが嵌合・連結しており、図６Ｄに示す様に、該包埋ブロック試料は、そのまま薄切することが出来る、蓋体Ｙを内部に収納した包埋枠状基体Ｚから出来ている。そのため、該包埋枠状基体Ｚは、従来の病理・生検試料用カセット底部より頑丈であるし、従来の病理・生検試料用カセット底部の様に蓋部分の医療廃棄物が出ない。
　図６において、１１はホットプレート、１８はミトロノーム、１９は薄切刀、１９ａは薄切刀の摺動方向、２０はミトロノームの支持脚部、２１はアダプターのカセット係止爪係止嵌合位置、２２は包埋底部の側部、をそれぞれ示す。
　この発明では、試料データ記録部付多孔容器籠ＸＹ（ユニット構成体１）と、固定用支持基台（ユニット構成体３）を構築することができる。前記多孔容器籠ＸＹは、保護板Ｙ１付き蓋体（ユニット２）Ｙと保護板兼データ記録部Ｘ１付き多孔容器状底部（ユニット１）Ｘとからなる独立した機能を担うことができ、又、前記固定用支持基台ＸＹＺは、前記保護板Ｙ１と前記保護板兼データ記録部Ｘ１が、前記包埋枠状基体Ｚ（ユニット３）の外側面のデータ記録部Ｚ１を挟持保護するとともに、前記蓋体Ｙを廃棄しないで活用できる３ユニットＸ、Ｙ、Ｚで構築され、試料データの確定とバリ無し包埋ブロックの台木の機能と従来の病理・生検試料用カセット機能を担うことができる。
　前記生検試料用システムの前記包埋枠状基体として、前記多孔容器状底部Ｘ（ユニット１）とは異なる多孔通液性底部Ｗ１０を形成する底部付の包埋枠状基体Ｗ（ユニット３Ｗ）を用いることもできる。
　この底部付の包埋枠状基体Ｗは、図９に示すように、前記上側開口部Ｗ１８の周囲を囲む外壁上部上端面Ｗ６、或いは、該上側開口部Ｗ１８に連なる収納内壁に内側に向けて突設された凸状平面Ｗ６が形成され、該上側開口部Ｗ１８周囲を囲む外壁上部の両長辺上端面Ｗ５の端面上に、外側長辺側壁Ｗ１５を立設延長形成している。
　前記両側長辺側壁Ｗ１５の上端面Ｗ１５ａは、前記多孔容器状底部（ユニット１）Ｘに嵌着する前記蓋体Ｙ（ユニット２）の前記外周平面Ｙ１０の厚さ分だけ、前記前記外壁上部上端面Ｗ６と該開口部Ｗ１８に連なる内壁に内側に向けて突設された凸状平面Ｗ６より高い位置に成形されている。前記蓋体（ユニット２）が該包埋枠状基体Ｗ（ユニット３Ｗ）の長辺側壁内に収まりカセット収納容積の減少を防ぐために、その厚さ分該包埋枠状基体Ｗの多孔通液性底部Ｗ１０の成形位置を、カセットブロック薄切時のアダプター固定爪位置の底面より狭い面積で突設成形した袴状の突設側壁Ｗ１１に成形する。
　Ｗ１はデータ記録部、Ｗ２はＩＣチップ挿入設置位置、Ｗ３は両サイド泡抜き孔、Ｗ４は中央部泡抜き兼舌状係止蓋掛け止め部、Ｗ７は蓋体Ｙの脱着開閉用爪掛け部Ｙ５の成形空間、Ｗ８は外側壁Ｗ１５の両前部外側面に上端面Ｗ６から下端面Ｗ１４に通じる凹部、Ｗ９は保護板付き蓋体の前部両側に凸状垂設係止部Ｙ２の掛け止め部、Ｗ１０は多孔底部、Ｗ１２は蓋体の後部掛け止め部、Ｗ１３は後壁、Ｗ１７は試料収納部、をそれぞれ示す。
　前記包埋枠状基体Ｗは、前記多孔容器籠ＸＹ（ユニット構成体１）の前記蓋体Ｙ（ユニット２）を嵌着して試料ブロックの蓋付の固定用支持基台ＹＷ（ユニット構成体３Ｗ）を構築できるので、該蓋体Ｙを廃棄することなく、包埋ブロックの台木の一部として一体的に埋込活用して包埋ブロックを作製できる（図１０Ａ，Ｃ，Ｄ，Ｅ、参照）。

　この発明の実施例２を図１１~図１９により説明する。
　この実施例では、前記多孔容器籠や前記包埋皿に収容される前記生検試料を、裏打ち用紙に定着させる。この裏打ち台紙は、従来の病理学的検査に於いて細胞レベル以下の大きさの生物試料をも一緒に保持収納して、該生物試料と共に固定液の通過と脱水・脱脂・透徹・包埋剤浸透の薬液処理と数ミクロンで薄切出来て多くの染色液に染まらない、スポンジ状ポリマーから成形される、スポンジ状ポリマー製の裏打ち台紙である。
　このスポンジ状ポリマー製の裏打ち台紙（単に、「台紙」、ということもある）として、ポリマー固定移送用台紙（単に、「固定台紙」、ということもある）１０１と、前記ポリマー固定移送用台紙１０１の配列試料定着移送用スポンジ状ポリマーゲル台紙１０１ｂ（単に、厚さ０．７ｍｍ以上を「定着移送マット」、厚さ０．７ｍｍ以下を「定着移送シート」ということがある）が用意されているが、前記スポンジ状ポリマーの具体的素材については、後述する。
　図１１Ａ、Ｂ、Ｄ、Ｇに示す様に、鉗子採取生検試料１０２の内視鏡鉗子１０３からの該生検試料１０２の採取は、前記固定台紙１０１で実施するが、前記台紙１０１には、前記生検試料１０２の採取部位を示す位置番号１０１ａを記載するデータ部が設けられている。このデータ部に患者データ１０１ａなどを記載することにより、患者の臨床データと病理データとの伝達・連結を確実なものとすることができる。
　図１２Ａ、Ｂ、Ｃ、図１３Ａ、Ｂに示す様に、針生検試料１０２ａ、又は、内視鏡的粘膜切除術（ＥＭＲ）試料（単に、「ＥＭＲ試料」、ということもある）１０２ｂの裏打ち固定定着移送には、前記定着マット１０１ｂを使用する。前記生検試料１０２、１０２ａ、１０２ｂを固定移送容器に収納して固定移送すると、前記生検試料の挫滅を最小限に止めて、該生検試料の紛失・混入・移動を防止できる。
　図１８Ａ、Ｂに示すように、前記生検試料１０２ごと前記固定台紙１０１と同素材の前記定着マット１０１ｂ上に、液状の支持ゲル１１５（Ｈｏｌｄ　Ｊｅｌｌ）と凝固剤１１６とで、凝固ゲル化した試料の包埋定着支持剤（単に、「ゲル化支持剤」、ということもある）１１５ａで前記台紙１０１と前記マット１０１ｂの間に該生検試料１０２を挟持して固定する。
　この時、前記ゲル化支持剤１１５ａは、該生検試料１０２に直接に触れないようにして固定することが望ましい。このように前記ゲル化支持剤１１５ａを用いて生検試料を固定した後、前記多孔容器籠１１４に収納し（図１８Ｂ参照）、この多孔容器籠１１４を固定移送用容器に入れると、該固定用移送容器のホルマリン等の固定液の振動揺れによって前記定着マット１０１ｂから前記生検試料が剥がれ移動するのを防止することができる。
　また、前記ゲル化支持剤１１５ａの代わりに、本発明者が発明した「グルコマンナンの修飾誘導体からなる生検試料の定着支持剤とその製造方法」（特許第４１６４６０８号）のグルコマンナンの修飾誘導体である酸化グルコマンナンエステル化物を用いて、アルコール又はアルコールホルマリンで凝固・ゲル化した包埋定着支持剤を使用しても良い。なお、前記固定台紙１０１と前記定着マット１０１ｂに、臨床側で記載できる患者名（試料名）記載欄を設け、患者データを記載することができる。
　図１１Ｄ、Ｅ、Ｆ、Ｊ、Ｋ、図１４Ｂ、Ｃ、Ｄに示すように、前記固定台紙１０１に付着している該生検試料１０２ごと、前記多孔容器状底部１１４ａと蓋体１１４ｂからなる、多孔容器籠（ユニット構成体１）の小部屋１１４ｆ内に収納嵌め込み、固定移送容器１０７で固定移送すると、該生検試料１０２は、前記ゲル支持剤１１５ａの固定液浸透上の邪魔もなく、前記固定台紙１０１から剥げ落ちることなく、十分に固定されて標本作製現場に移送されてくる。
　また、この方式での固定移送は、そのまま切り出し時の試料確認を済ませて、標本作製工程である脱水・脱脂・透徹・包埋剤浸透の薬液処理から包埋・ブロック作製作業へと進むことができる。
　図１１Ａ、Ｂ、Ｃ、Ｅ、Ｆに於ける鉗子採取生検試料１０２の固定移送には、図１４Ａに示す様に、生検試料１０２が付着している前記固定台紙１０１を前記定着移送マット１０１ｂで挟持保持して固定移送すると、前記生検試料１０２の剥げ落ち・移動を防止できる。この時、例えば、図１１Ａ、Ｂの生検試料１０２の固定移送には、図１４Ｄに示すように、小液槽１０７ｎと大液槽７ｍを備えた固定移送容器１０７を用いると、多くの鉗子採取生検試料１０２、又は、大きい形状の患者試料と一緒に臨床側から標本作製現場に運ぶことができる。
　図１１のＩ、Ｌ、図１５Ａ、Ｂに図示す様に、生検採取針、或いは、楊枝１０４で内視鏡鉗子１０３から採取した生検試料１０２を前記スポンジ状ポリマー製の裏打ち台紙１０１に定着させて、該台紙１０１をピンセット１１２で挟んで前記定着移送マット１０１ｂの配列差し込み孔１０１ｃに差し込み或いは、該差し込み孔１０１ｃの内壁に該生検試料１０２を付着して固定移送すると、該生検試料１０２の剥離脱落防止にも効果的である。
　図１２Ａ、Ｂ、Ｃの針生検１０２ａの採取固定移送には、針穿刺生検採取器１１８ａから直接に針生検１０２ａを針生検用の前記定着移送マット１０１ｂに押しだし付着して固定する。前記移送定着マット１０１ｂには、採取された針生検１０２ａの表皮側と深部側とを目視できる方向決定基準１０１ｇが成形されている。前記定着移送マット１０１ｂを図１４Ａの様に、前記定着移送マット１０１ｂと前記固定台紙１０１を併用して固定移送しても良いが、図１２Ｂでは、前記固定台紙１０１の配列用スポンジ状ポリマーゲル試料定着移送用マット嵌合固定枠（単に、「固定枠」、ということもある）１０１ｄに、前記台紙用配列差し込み孔１０１ｃを設け、該差し込み孔１０１ｃに前記生検試料の付いた前記定着マット１０１ｂを挿入嵌合して固定移送している。
　この時、図１５に示すように、前記固定枠１０１ｄにも方向決定基準１０１ｇが成形されているので、データ記録部１１４ｅ付き多孔容器籠１１４と一緒に固定移送容器１０７に収納して、標本作製現場側に移送後、包埋ブロック作製と薄切・標本作製工程に進む方がベストである。
　図１６Ａ、Ｂ、Ｃ、Ｄに示すように、前記ＥＭＲ試料１０２ｂの固定移送から受付・照合確認・切り出し・薬液処理・包埋ブロック作製と標本作製工程に於いて、前記台紙１０１、１０１ｂと前記ゲル化支持剤１１５ａの２種類のポリマーゲルで構成されている生検・細胞試料用包埋定着支持方法は、試料の良好な固定と挫滅・変形・移動・紛失のない安全な試料の固定移送と標本作製を保証している。
　又、前記方法で作業を行うと、辺縁が歪で不整形な前記ＥＭＲ試料１０２ｂの切り出し用メス１１８による切り出し作業（図１６Ｂ参照）と、切り出しトリミングされた切り出し面を立てて包埋する作業（図１６Ｃ，Ｄ参照）は、容易になる。この切り出し標本作製時にゲル化能力を持つ液状の支持ゲル１１５と凝固剤１１６からなる試料のゲル化支持剤１１５ａを必ず使用する必要はなく、また、前記固定枠１１ｄは使用せずに、前記定着マット１０１ｂのみ使用して、前記定着マット１０１ｂの表面に該ＥＭＲ試料１０２ｂの漿膜側を設置・固定して組織浸出液の凝固力で付着固定し、固定移送と切り出し・標本作製作業をしても良い。
　図１５Ｂ、図１６に示した様に、例えば、生検試料の採取時の大きさが直径０．５から１．５ｍｍ程度の複数の試料の最大割面を一平面上に並べて、ミクロトームでの薄切作業、或いは、自動薄切作業を行う場合に於いて、そのブロック試料の面出し荒削りから本薄切に切り替えるタイミングを示す、本薄切決定基準位置１０１ｆを前記定着移送用マット１０１ｂで成形することができる。
　前記定着移送マット１０１ｂは、図１７Ａ~Ｉに示すように、前記説明の種々試料の鉗子生検試料１０２や針生検試料１０２ａや前記ＥＭＲ試料１０２ｂに対応する形状に形成される。そのため、前記細胞標本（セルブロック）標本作製にも便利である。図１７Ｈに図示したように、直径１ｃｍ程の差し込み孔１０１ｃを形成した前記固定枠１０１ｄと、該固定枠１０１ｄの外形形状の前記マット１０１ｂを成形し、前記両者１０１ｄ、１０１ｂを互いに接着して差し込み孔１ｃの開口部を塞ぐことができる。
　この時、例えば、前記差し込み孔１０１ｃに細胞集塊を収納して上から前記ゲル化支持剤１５ａ、或いは、前記酸化グルコマンナンエステル化物からなる包埋定着支持剤で、前記細胞集塊を細胞同士互いに接着保持して纏めることも出来るが、図１７Ｉに示すように、差し込み孔１０１ｃの上側開口部も前記外形形状の前記定着移送マット１０１ｂで塞ぐと、該差し込み孔１０１ｃ内の細胞集塊は、前記支持剤１５ａ等の包埋挟持によるアーチファクトの無いセルブロック標本が作製できる。
　前記定着移送マット１０１ｂと前記固定枠１０１ｄは、予め他の接着剤で接着することもできるが、このスポンジ状ポリマーゲル同士の接着にも前記ゲル化支持剤１１５ａ、或いは、前記酸化グルコマンナンエステル化物からなる包埋定着支持剤で接着することができる。勿論、図２１・２２のシアノアクリレート系接着剤（Ｓａｍｐｌｅ　Ｆｉｘｅｒ）を用いても良い。
　即ち、前記生検試料と前記固定台紙１０１との間、或いは、前記固定台紙１０１と該定着移送マット１０１ｂ同士を定着接着する試料接着剤として、天然の食物繊維からなるゲル化支持剤１１５ａとシアノアクリレート系接着剤（Ｓａｍｐｌｅ　Ｆｉｘｅｒ）を使用できる。
　図１９Ａ、Ｂ、Ｃ、Ｄに示すように、前記固定台紙１０１を従来の所謂病理試料用カセットの多孔底部をも兼任できる方形容器構造に形成して該病理組織試料用処理籠の一部構造体にする時、前記方形底部１１１と周囲の側壁同士の接着剤として、前記支持化ゲル１１５ａと前記酸化グルコマンナンエステル化物からなる包埋定着支持剤とシアノアクリレート系接着剤（Ｓａｍｐｌｅ　Ｆｉｘｅｒ）が使用できる。この様にすることにより、従来の病理組織試料用処理籠である病理試料用カセット等の使用時に出る、所謂環境破壊の一要素になる生分解しないプラスチックで成形されている蓋部やその他の医療廃棄物を最小限に抑え、且つ試料の挫滅や混入、紛失を無くことができる。
　なお、図１９において、１０１ｐは蓋体との嵌合部、１０１ｏは方形閉鎖底部、１０１ｎは方形底部形成多孔、１１４ｂは係止部、１１４ｈは蓋体及び基台部、を示す。
　次に、前記スポンジ状ポリマー製裏打ち台紙（前記固定台紙１０１、前記定着マット１０１ｂ）、前記支持ゲル１１５、の素材について説明する。
　前記スポンジ状ポリマー製裏打ち台紙体１０１、１０１ｂの基本的機能性は、（１）スポンジ状で多孔性・通液性であること、（２）多くの有機溶媒に難溶解性であること、（３）生物試料と一緒に薄切できること、（４）多くの染色液に染まらないこと、である。
　この基本的条件に叶う人工合成樹脂は、生分解樹脂であるポリビニルアルコールにアルデヒドを反応させてアセタール化したポリビニルホルマール（アセタール）製、またはゼラチンを付加したポリビニルアルコール製、またはウレタン樹脂製等の化学合成系プラスチックであった。
　前記ポリビニルホルマール（アセタール）樹脂で前記スポンジ状ポリマー体を形成すると、該スポンジ状ポリマー体は、生検試料１０２と一緒に薬液処理され、包埋剤で包埋されて３ミクロン前後の厚さに該生物試料と一緒に薄切出来、これら化学合成系プラスチックは、多くの色素性試薬（例えば、ＨＥ染色やＰＡＳ染色やアルシアンブルー染色等）に、若干共染するが、殆ど染まらずに組織との選別がはっきり区別できる。
　従って、前記スポンジ状ポリマーゲル体は、ポリビニルアルコールにアルデヒドを反応させてアセタール化したポリビニルホルマール（アセタール）製、またはゼラチンを付加したポリビニルアルコール製、またはウレタン樹脂製等の化学合成系プラスチックで成形できる。
　前記ポリビニルアルコールは、水溶性で試料と一緒に包埋して３~５ミクロンで薄切して染色すると、標本上に汚く拡散してＰＡＳ染色に染まってしまう。しかし、予め薄いゼラチン溶液（１％以下）中にポリビニルアルコール製のスポンジ状ポリマー体を浸漬して乾燥しておくと、ホルマリン水溶液でゼラチンが不溶性となり、薄切・染色時に汚く拡散しないので、好適なスポンジ状ポリマー製台紙となる。ただし、余り高濃度のゼラチン水溶液中に浸漬すると、薄切が出来なくなり、多くの染色液で共染する。
　前記スポンジ状ポリマー製台紙１０１、１０１ｂは、寒天、カードラン、ジェランガム等のゲルを形成する天然食物繊維が素材のゲルでも形成できる。この天然食物繊維製の台紙を以下、「天然台紙」ということにする。
　前記天然台紙１０１、１０１ｂは、３ミクロン前後の厚さに生物試料１０２と一緒に薄切出来、多くの色素性試薬（例えば、ＨＥ染色やＰＡＳ染色やアルシアンブルー染色等）に、若干共染するが、組織との選別がはっきりと区別できる。
　このとき、寒天によるゲルスポンジは、寒天を蒸留水で加熱沸騰溶解させた寒天水溶液を低温凝固ゲル化させ、更に冷温凍結させると、離漿して水が寒天ゲルから分離して多孔性のスポンジ状のゲル化物ができる。該ゲルを更に適度に水分を残して保存すると、天然台紙１０１、１０１ｂが製造される。また寒天ゲルは、本来多孔性のゲルであり、冷温凍結工程を省いても離漿するので、防腐剤添加後水分を適度に残してスポンジゲルを製造しても良い。
　但し、寒天ゲルの乾燥は、不織紙等で挟み抑えて余分の水分を均等に吸い取り、ゲルの弾力を残し直角に曲げても折れない程度で止めて保存する。該寒天水溶液の濃度は１~５％（Ｗ／Ｗ％）水溶液（１００ｍｌに対して１~５ｇ）が最適と思われる。また、防腐剤にはホルマリンの他、チモール、オイゲノール、シナモン、カテキン等の香辛料を使用すると良い。またスポンジゲルをターメリック、サフラン、パプリカ等の香辛料で着色するのも便利である。
　前記カードランは、熱ゲル化性多糖類で、カードランのゲル形成性は、カードランの水分散液を加熱すると、約５０度で膨潤して粘度が上昇し、さらに加熱すると、ゲルを形成する。前記カードランゲルには、熱可逆性のローセットゲルと熱不可逆性のハイセットゲルの２つのタイプがある。ローセットゲルはカードランの水分散液を約５５~６５度に加熱して常温以下に冷却すると、熱可逆性ゲルが形成され、再び約６０度に加熱すると、元の分散状態に戻り、そのまま加熱を続けて約８０度以上になると、熱不可逆性のハイセットゲルになる。ハイセットゲルは、カードランの水分散液を約８０度以上に加熱したときに形成される熱不可逆性のゲルで、温度変化に対して安定する。特に、１３０℃付近まで加熱するにつれてゲル強度は上昇し続け、そのゲル強度はカードラン濃度にほぼ比例して上昇する。
　このハイセットゲルを前記寒天ゲル同様に不織紙等で挟み水分を吸引して均等に乾燥させて天然台紙１０１、１０１ｂを製造する。カードランの水分散液濃度は１~５％（Ｗ／Ｗ％）水溶液（１００ｍｌに対して１~５ｇ）が最適で、また、防腐剤にはホルマリンの他、チモール、オイゲノール、シナモン、カテキン等の香辛料を使用すると良い。またスポンジゲルをターメリック、サフラン、パプリカ等の香辛料で着色するのも便利である。
　前記ジェランガムは、ゲル化性の多糖類である。弾力性のあるゲルをつくるグルコース、グルクロン酸、ラムノースが２：１：１の割合で構成される四つの糖を反復単位とする多糖類であり、分子量は約１００~２００万の非常に透明性に優れたゲルを作る。ゲル化には１価または２価のカチオンが必要で、その添加量によってゲルの性質は異なる。カチオンの中ではカルシウムの効果が最も強く現れる。そしてカルシウムイオンを約０．０２％添加するとゲルの融点が１００度よりも高くなり、耐熱性のゲルができる。耐酸性に優れていて、ｐＨを３．５前後に下げることによってもゲル化させることができる。
　前記ジェランガムは、脱アシル型とネイティブ型ジェランガムとがあり、脱アシル型ジェランガムは、カチオンによるゲル化力が強く、一価、二価カチオン（例えば塩化カリウム、塩化ナトリウムや塩化カルシウムや乳酸カルシウム等）でゲル化する。一方、ネイティブ型ジェランガムは、カチオンの種類や濃度での影響は余り受けない。また、脱アシル型ジェランガムは、カチオンでの影響を受けやすいため、ｐＨを下げるだけでゲル化すし、ｐＨ３．５付近でゲル化強度が最高になる。一方、ネイティブ型ジェランガムは、ｐＨの影響は殆ど受けない。冷却のみでゲル化して、高温にも強く、離漿も少ないので、冷凍凍結による形状変化の影響も少ない弾力のあるゲルを作製する。
　このジェランガムから前記スポンジ状ポリマー体１０１，１０１ｂを作製すると、非常に有効な裏打ち台紙が得られる。溶液濃度は０．５~２％（Ｗ／Ｗ％）（１００ｍｌに対して０．５~２ｇ程度）が最適と思われる。また、防腐剤にはホルマリンの他、チモール、オイゲノール、シナモン、カテキン等の香辛料を使用すると良い。またスポンジゲルをターメリック、サフラン、パプリカ等の香辛料で着色するのも便利である。
　前記液状の支持ゲル１１５は、ジェランガム、アルギン酸、ペクチンを代表とする１価または多価のカチオンによってゲルを形成する天然食物繊維の水溶液から製造する。特にジェランガムを支持ゲル１１５として単独でゲル化させると、ホルマリンにも溶解しないゲルが形成され、前記スポンジ状ポリマー体同士の接着・固定には有用である。しかし染色液にはヘマトキシリンに共染する傾向が強い。
　前記液状の支持ゲル１１５は、ジェランガム、アルギン酸、ペクチンを代表とする１価または多価のカチオンによってゲルを形成する天然食物繊維と寒天、カードラン等の溶液の温度変化でゲルを形成して、その溶解濃度でゲル化温度が変化する天然食物繊維を、常温ではゲルを形成しない濃度で増粘剤として使用して溶液内ポリマーの均等分布と粘度を調製した水溶液から製造する。これはジェランガム、アルギン酸、ペクチン等の染色液に対する共染性を抑える為であり、支持ゲル（Ｈｏｌｄ　Ｊｅｌｌ）１１５としてゲル化させてホルマリンにも溶解しないゲルを形成する為である。
　前記支持ゲル１１５は、主に２価のカチオン０．１~５％（例えば塩化カルシウム或いは乳酸カルシウム）の添加に因ってゲル状形状である支持ゲル１１５を形成するので、２価カチオン０．１~５％水溶液を凝固剤（ゲル化剤）１１６として使用できる。
　前記ジェランガムを前記支持ゲル１１５のゲル化の主成分として使用する場合はその濃度は０．３~０．５％で、その他の増粘剤として天然食物繊維（０．３~０．５％）で溶液内ポリマーの均等分布と粘度を調製した水溶液を製造する。
　また、前記増粘剤として濃度の低い寒天やカードラン等の存在は、ゲル化温度を３７℃前後ではゲル化しない様に濃度調製すると非常に有用である。
　本発明の前記スポン状ポリマー製台紙は、前記固定台紙１０１、前記定着移送マット（厚さ０．７ｍｍ以上）・裏打ち台紙シート（厚さ０．７ｍｍ以下）１０１ｂ、前記固定枠１０１ｄとの基本機能形態構成体と、前記液状の支持ゲル１１５と凝固剤１１６から成る前記ゲル化支持剤１１５ａと、の機能合体の発明であり、前記病理・生検試料用ユニットシステムの固定支持基台構成体群と併用する事により、次のような顕著な効果を奏する。
　（１）患者の生検試料の固定移送容器を１個の容器に収納して固定移送することを可能にして、固定移送容器のコストと医療廃棄物の削減が可能にする。
　（２）生検収納用分画カセットの成形が不要になり、在庫管理コストが削減する。
　（３）検体の受付・照合の自動化と正確性を高める患者データの確実な伝達・連結を保証する。
　（４）患者生検や生物試料の診断・検査の上で試料の採取・固定移送・検体受付・照合の手間を簡略にする。
　（５）生検試料の入れ間違い混入紛失を無くし、もしもミスが生じても後日どの作業時点で生じたかの検証確認を可能にする。
　（６）試料の挫滅は最小限にして標本作製の薄切作業の自動化を可能にする。
　（７）スポン状ポリマー製台紙は鉛筆（濃度Ｂ・２Ｂ以上）で患者名・試料名の記載が出来、前記多孔容器籠ＸＹ（ユニット構成体１）のデータ記載面の患者名・試料名とその上に病理整理番号二次元バーコードラベルが貼り付けられ、且つ固定移送容器に貼られた患者属性ラベルデータの試料データの４重リンクが保証されている。
　（８）従来の試料裏打ち紙製台紙と異なり、生検試料と一緒にブロック試料に包埋されて薄切用ミクロトームで薄切しても、刃こぼれなどを起こすことはない。
　（９）従来の直径０．５ｍｍ以上の生検試料のみでなく、細胞レベル（１００ミクロン）蛋白・遺伝子レベル（オングストローム）の固定移送・包埋が可能になった。
　即ち、従来のカセットの４機能の上に９機能の機能を加えることができた。

　この発明の実施例３を図２０~図２４により説明するが、前記実施例２との主たる相違点は、生検試料が前記スポンジ状ポリマー製裏打ち台紙の、主に固定移送用台紙、定着移送用シートに接着・定着固定剤により接着固定されることである。
　図２０に示すように、前記実施例のスポンジ状ポリマー製裏打ち固定台紙１０１（定着シート１０１ｂ）の所定箇所に、接着・固定剤１５１を用いて生検試料１０４を接着固定する。この接着・固定剤１５１の条件として、該スポンジ状ポリマー製台紙上の所定の箇所に生検試料を接着・定着固定する接着・定着固定剤が、微量で、素早く、確実に、接着・定着固定でき、該スポンジ状ポリマー製台紙１０１と該生検試料の細胞組織と一緒に固定・脱水・脱脂・透徹・包埋剤浸透の薬液処理工程を通過しても、接着・定着固定力が劣化・消失しないことが必要である。
　この条件を満たす接着・定着固定剤として、シアノアクリレート系接着剤がある。該シアノアクリレート系接着剤は、特開平２０１０−１１８６４２号特許公報、特開２００８−２５９６１７号特許公報に開示されているが、微量の水分存在下で重合反応が起きて、該スポンジ状ポリマー体１０１、１０１ｂと該生検試料１０２を、微量で、素早く、確実に、接着・定着固定する瞬間接着剤であり、現在医学外科手術でも縫合糸の代わりの接着剤や充填剤として使用され始めている。
　故に、前記台紙１０１の厚さが、約０．３ｍｍ~０．７ｍｍであれば、前記台紙１０１の、前記生検試料１０２が貼り付いていない裏面側から、前記接着剤１５１を微量滴下１５１ａしても前記生検試料１０２の周囲に多く盛り上がらずに前記スポンジ状ポリマー製台紙１０１（定着シート、裏打ち固定台紙）の所定箇所に該生検試料を綺麗に接着固定することが出来る。
　このようにシアノアクリレート系接着剤を用いてスポンジ状ポリマーゲル体と生検試料１０２を接着・固定すると、該生検試料を該スポンジ状ポリマーゲル体上に、微量で素早く確実に接着・定着固定できて、従来の包埋定着支持剤による包埋支持ではなく、該生検試料の外周囲はホルマリン固定液等処理液に直接に浸漬されて、臨床側での患者の生検試料採取から検体・固定移送と病理検査側の検体受付・切り出し・固定・脱水・脱脂・透徹・包埋剤浸透・包埋ブロック作製・薄切完了までの各工程で、一貫して生検試料の薬液処理効果が高まる。
　又、前記台紙１０１上にシアノアクリレート系接着剤を用いて患者生検試料を接着・定着固定すると、次の効果を得ることができる。（１）固定移送作業での生検試料の剥げ落ちまたは入れ間違いの防止、（２）切り出し作業での生検試料のピンセットでの挟持時の挫滅・移動混入・弾き飛ばしての紛失の防止、（３）包埋作業での生検試料のピンセットでの挟持時の挫滅・移動混入・弾き飛ばしての紛失の防止、（４）薄切作業での切片のスライドグラスへの貼付・伸展：患者包埋ブロックの切片の確認・照合上の医療事故を防止。
　図２１は、スポンジ状ポリマー製裏打ち固定台紙１０１製の定着シート１０１ｂ（厚さ０．３ｍｍ）とスポンジ状ポリマー製の裏打ち台紙マット（厚さ０．７ｍｍ以上）１０１ｂの間に前記生検試料１０２を挟み込んで、底部付の包埋枠状基体Ｗに収納して固定移送してくる図である。この時、臨床側で必ずしも生検試料を接着・固定してくる必要はなく、生検試料を図２１Ａのように整列して固定移送しなくても、生検試料はスポンジ状ポリマーのシートとマットに挟持されてくるので生検試料の移動や紛失は生じない。試料の接着・固定は、図２０のように切り出し作業の段階で実施しても良い。勿論、臨床側で、試料の薄切方向を決定する必要がある時には，事前に試料の接着・固定をすることも可能である。図２１Ａ・Ｂは平面図であり、図Ｃ・Ｄは縦断面図である。また、スポンジ状ポリマー製の裏打ち台紙マット（厚さ０．７ｍｍ以上）１０１ｂは定着シート１０１ｂ（厚さ０．７ｍｍ以下実質０．３ｍｍ）を使用しても、他の通常のスポンジ多孔性マットを用いても良い。
　又図２２は、図１６で示すＥＭＲ試料のスポンジ状ポリマー製裏打ち固定台紙１０１製の定着移送マット１０１ｂ（厚さ０．７ｍｍ以上）を定着シート１０１ｂ（厚さ０．７ｍｍ以下）を使用しての切り出し作業である。この方法ではゲル化支持剤１１５ａを用いずに、切り出し作業トリミングによって分離された試料のあるトリミング分断シート１０１ｄ上の複数に分離したトリミング試料１０２ｂを図２２Ｄのように分断シート１０１ｄ上に接着・固定して、図２２Ｅに示すように配列してＥＭＲ試料の断面の標本作製をすることも出来ることを説明している。
　図２３はスポンジ状ポリマー製裏打ち固定台紙１０１（定着シート１０１ｂ）と接着・定着固定剤１５１であるシアノアクリレート系接着剤を用いての標本作製時の説明図で、図Ａ・Ｂ・Ｃは薄切検査面を示しており、図Ｄ・Ｅ・Ｆは縦断面を示しており、図Ｇ・Ｈ・Ｉは包埋作業時の包埋皿（Ｓ　ａｎｄ　Ｔ）の底部上に収納・設置された試料の設置イメージであり、この時図２３１以外の試料断面の作製以外の包埋にはスポンジ状ポリマー製裏打ち固定台紙１０１（定着シート１０１ｂ）側を下側にして包埋皿（Ｓ　ａｎｄ　Ｔ）の底部に設置する。図Ｊ・Ｋ・Ｌは包埋皿（Ｓ　ａｎｄ　Ｔ）の底部に設置された各々の平面図である。
　図２４は図２３で包埋作製された包埋ブロックの薄切検査側の平面図であり、図に示されているように、薄切検査面側には患者・試料名や生検試料の配列像が目視観察でき、薄切作業時にブロック試料の確実な照合確認ができる。

　１　　　　データ記録ラベル
　３　　　　患者名・試料名
　５　　　　患者試料
　５ａ　　　生検試料
　６　　　　固定移送容器
　１２　　　包埋剤
　１０１　　スポンジ状ポリマーゲル固定移送用台紙
　１０１ｂ　裏打ち台紙配列定着移送用スポンジ状ポリマーゲル定着移送用マット
　１０２　　生検試料
　１０２ａ　針生検
　１０９　　包埋枠状基体
　１１１　　スポンジ状ポリマーゲル製方形底部
　１１５　　支持ゲル
　１１５ａ　ゲル化支持剤
　１５１　　接着・定着固定剤
　１５１ａ　接着・定着固定剤の一滴
　Ｓ　　　　包埋底部
　Ｔ　　　　上部水密包埋枠部
　Ｘ　　　　生検試料収納固定移送処理用多孔容器状底部
　Ｙ　　　　蓋体
　Ｚ　　　　包埋枠状基体
　Ｗ　　　　多孔通液性底部を形成する包埋枠状基体

Claims

　上側に開口部を形成し、その下側に多孔通液性の底部を形成した包埋枠状基体と、その包埋枠状基体の上側の開口部に脱着自在に嵌合・連結する多孔通液孔を有する蓋体と、を備えた病理・生検試料用カセットに於いて；
　前記底部と、該底部の上側開口部に脱着自在に嵌合・連結する多孔通液面を有する蓋体と、包埋枠状基体との機能形態を、各々分離独立した３種類の構成体ユニットとして成形し、
　前記底部は、前記包埋枠状基体とは分離独立しており、前記上側開口部と、該上側開口部の外周を囲み、水平方向に突設する鍔状平面と、該鍔状平面の下側に少なくとも底部に多孔通液性底面を形成した試料収納部とを備えた、生検試料収納固定移送処理用多孔容器状底部であり、
　前記多孔容器状底部の上側開口部に、前記蓋体を独自に互いに脱着自在に嵌合・連結することにより、生検試料収納固定移送処理用多孔容器籠が構築され、
　前記多孔容器籠を前記包埋枠状基体に着脱自在に嵌合・連結することにより、籠付の固定支持基台が構築されることを特徴とする病理・生検試料処理用ユニットシステム。
　前記包埋枠状基体は、上側に開口部を有し、下側に前記多孔容器状底部とは異なる多孔通液性底部を形成有する、底付の包埋枠状基体であり、
　該包埋枠状基体の上側開口部に前記蓋体を脱着自在に嵌合・連結することにより、蓋付の固定用支持基台が構築されることを特徴とする請求項１記載の病理・生検試料用ユニットシステム。
　前記包埋枠状基体は、上側に開口部を有し、該開口部周囲を囲む外壁上部上端面、或いは、該開口部に連なる内壁に内側に向けて突設された凸状平面が形成され、該外壁上部の両長辺上端面の端面上に外側長辺側壁を立設延長形成した、側壁付の包埋枠状基体であり、
　前記多孔容器籠に嵌合・連結する前記包埋枠状基体の両外側長辺側壁上端面は、前記多孔容器状底部の鍔状平面の厚さと、前記蓋体の多孔通液面の外周を囲む開閉誘導リブの外周平面の厚さを重ねた厚さ分だけ、前記包埋枠状基体の前記外壁上部上端面と前記凸状平面より高い位置に成形され、
　前記多孔容器状底部と前記蓋体は、該多孔容器状底部の鍔状平面の長側辺と前記蓋体の前記外周平面の長側辺とを前記包埋枠状基体の両外側長辺側壁が挟持嵌合できる形状の切り欠け部を備えており、
　前記多孔容器状底部の前記鍔状平面と前記蓋体の前記外周平面の厚さは、前記包埋枠状基体の前記外側長辺側壁内に全て収納される厚さであることを特徴とする請求項１記載の病理・生検試料処理用ユニットシステム。
　前記包埋枠状基体は、上側に開口部を有し、下側に前記多孔容器状底部とは異なる多孔通液性底部を有し、前記開口部の周囲を囲む外壁上部上端面、或いは、該開口部に連なる内壁に内側に向けて突設された凸状平面が形成され、該上側開口部の周囲を囲む外壁上部の両長辺上端面の端面上に外側長辺側壁を立設延長形成した、側壁底付の包埋枠状基体であり、
　前記多孔容器籠に嵌合・連結する前記包埋枠状基体の両側長辺側壁の上端面は、前記多孔容器状底部の鍔状平面の厚さと、前記蓋体の多孔通液面の外周を囲む開閉誘導リブの外周平面の厚さ分だけ、前記包埋枠状基体の前記外壁上部上端面と該開口部内壁の凸状平面より高い位置に成形され、
　前記多孔容器籠の前記蓋体は、前記蓋体の外周平面の長側辺を前記包埋枠状基体の両外側長辺側壁が挟持嵌合できる形状の切り欠け部を備えており、
　前記蓋体は、前記側壁底部付の包埋枠状基体の蓋体としても共有活用され、
　前記蓋体の前記外周平面の厚さは、該包埋枠状基体内に全て収納される厚さであり、
　前記包埋枠状基体の底部には、アダプター固定爪位置より狭い面積で、かつ、前記蓋体の厚さ分、前記底部下面から突出する突設側壁が設けられていることを特徴とする請求項１記載の病理・生検試料処理用ユニットシステム。
　前記多孔容器状底部は、その前記鍔状平面の少なくても１辺を、前記包埋枠状基体の外側面のデータ記録部の傾斜面に沿って延長成形して、前記データ記録部を抑え覆う保護板兼データ記録部を一体的に成形した、保護板兼データ記録部付の多孔容器状底部であることを特徴とする請求項１、２、３、又は、４記載の病理・生検試料処理用ユニットシステム。
　前記蓋体は、その外周平面の少なくても１辺に、前記多孔容器状底部の保護板兼データ記録部を抑え覆う保護板を設けた、保護板付の蓋体であることを特徴とする請求項１，２，３、４、又は、５記載の病理・生検試料処理用ユニットシステム。
　前記蓋体の少なくとも保護板は、透明な合成樹脂で形成されていることを特徴とする請求項６記載の病理・生検試料処理用ユニットシステム。
　前記包埋枠状基体は、上側に開口部を有し、該上側開口部の周囲を囲む外壁上部上端面、或いは該上側開口部に連なる内壁に内側に向けて突設された凸状平面を形成し、その外側壁の両前部外側面に上端面から下端面に通じる凹部を形成し、該凹部の上部に前記多孔容器状底部とも脱着自在に嵌合・連結する前記蓋体の前部両側凸状垂設係止部の掛け止め部を形成し、その後部外壁にも前記蓋体の後部の係止部の掛け止め部を成形した、掛け止め付の包埋枠状基体であり、
　該包埋枠状基体は、前記多孔容器籠と嵌合して掛け止め付の固定用支持基台を構築し、
　前記多孔容器状底部の前記鍔状平面の前部には、前記蓋体の前部凸状垂設係止部の掛け止め部があり、該掛け止め部は前記包埋枠状基体の前記凹部の掛け止め部に一致する切り欠け部であり、該多孔容器状底部の後部にも前記蓋体の後部係止部の掛け止め部を形成しており、該多孔容器状底部は、前記蓋体と嵌合して前記掛け止め付の多孔容器籠を構築し、
　前記蓋体は、前部両側に凸状垂設係止部を形成し、後部にも前記多孔容器状底部と前記包埋枠状基体とも共用する係止部を形成しており、この蓋体は、前記多孔容器籠及び前記固定用支持基台の蓋体として共有活用されることを特徴とする請求項１記載の病理・生検試料処理用ユニットシステム。
　前記包埋枠状基体は、上側と下側とに開口部を有し、該上側から下側への開口部に連結した貫通孔部を形成し、前記貫通孔部の該上側開口部の周囲を囲む外壁上部上端面、或いは、該貫通孔部内壁に内側に向けて突設された凸状平面を形成し、その外側壁の両前部外側面に上端面から下端面に通じる凹部を形成して、該凹部の上部に、前記多孔容器状底部とも脱着自在に嵌合・連結する前記蓋体の前部凸状垂設係止部の掛け止め部を形成し、前記後部外壁にも前記蓋体の後部の係止部の掛け止め部を成形した、掛け止め凹部付の包埋枠状基体であり、
　又、前記多孔容器状底部は、その鍔状平面の前部に前記蓋体の前部の両側凸状垂設係止部の前部両側掛け止め部が成形され、前記前部両側掛け止め部は、前記包埋枠状基体の掛け止め部の上側に重なる形状に成形され、該前部両側掛け止め部は、前記多孔容器状底部の鍔状平面の両側長辺側の切り欠け部の端部で形成され、該切り欠け部は、前記包埋枠状基体の外側壁の前記凹部に重なる形状であり、前記切り欠け部の端部が、前部両側掛け止め部に一致するとともに、前記多孔容器状底部の後部にも前記蓋体の後部係止部の掛け止め部を形成した、掛け止め付の多孔容器状底部であり、
　前記蓋体は、前部両側に凸状垂設係止部を形成し、後部にも前記多孔容器状底部の掛け止め部と前記包埋枠状基体の掛け止め部で成す二角の重なりで構築される掛け止め部に、掛け止めできる係止部を形成しており、
　前記蓋体の前部両側凸状垂設係止部と後部係止部の該多孔容器状底部と該包埋枠状基体の両前部と後部掛け止め部は、それぞれ該多孔容器状底部と該包埋枠状基体の掛け止め部が成す二角の重なりで構築される掛け止め部で構成され、該蓋体と該多孔容器状底部と該包埋枠状基体の掛け止め部の嵌合・係止支点は、各々共通共用していることを特徴とする請求項１記載の病理・生検試料処理用ユニットシステム。
　病理・生検試料用カセットを用いて生検試料を包埋する包埋皿において、
　前記包埋皿は、包埋底部と、該包埋底部の上側開口部の外周を囲む水平方向に突設した鍔状平面に嵌合・連結する上側と下側とに開口部を有し前記開口部に連結した貫通孔部を形成する上部水密包埋枠部と、の機能形態を、各々分離独立した２種類の素材構成体ユニットとして成形し、
　前記包埋底部は、合成樹脂より熱伝導率の良い金属板で成形し、該包埋底部の上側開口部の下側には、包埋時に包埋試料が載せられる収納底部があり、該上側開口部の外周を囲む水平方向突設した鍔状平面を有する、金属製の包埋底部であり、
　前記上部水密包埋枠部は、下部嵌合連結包埋底部支持体と包埋皿上部水密２角面形成枠体からから構成される合成樹脂製の上部水密包埋枠部であり、
　前記下部嵌合連結包埋底部支持体は、上側と下側とに開口部を有し、該開口部に連結した貫通孔部を形成し、前記貫通孔部の該上側開口部の周囲を囲む外壁上部上端面、或いは、該上側開口部に連なる貫通孔部内壁に内側に向けて突設された凸状平面を形成して、前記外壁上部上端面、或いは、前記凸状平面上に、生検試料収納固定移送処理用多孔容器状底部の試料収納部の上側開口部の外周を囲む水平方向に突設した鍔状平面の四方全周を掛け止め設置でき、
　前記包埋皿上部水密２角面形成枠体は、該下部嵌合連結包埋底部支持体の上側に嵌合連結して上側と下側とに開口部を有し、前記開口部に連結した貫通孔部を形成し、前記貫通孔部の該上側開口部の周囲を囲む外壁上部上端面と該上側開口部に連なる貫通孔部内壁に内側に向けて突設された凸状平面を形成しており、
　前記包埋底部の鍔状平面を前記上部水密包埋枠部の掛け止め部に水密に確実に嵌め込み、前記病理・生検試料用カセットの包埋枠状基体底部と該包埋枠状基体のカセットブロック薄切時のアダプター固定爪位置の底面より狭い面積で突設形成した突設側壁とが成す凹凸二角面と前記上部水密包埋枠部の上端面と水密包埋枠内壁とが形成する接触水密面の凹凸二角接触面で水密に嵌合連結させることを特徴とする病理・生検試料処理用ユニットシステム。
　多孔容器籠、固定用支持基台、又は、包埋皿等に収容される生検試料が、裏打ち用台紙に定着されており、
　該裏打ち台紙が、前記生検試料と一緒にブロック試料に包埋されて薄切用ミクロトームで薄切できる、スポンジ状ポリマーで成形されていることを特徴とする請求項１，２、３、４、５、６、７、８、９、又は、１０記載の病理・生検試料処理用ユニットシステム。
　前記裏打ち台紙が、前記スポンジ状ポリマーゲルで形成された固定移送用台紙であり、
　該固定移送用台紙同士或いは該生検試料の下部や周囲に、液状のポリマーからなる支持ゲルを滴下・塗布して、該生検試料を前記台紙の上、或いは、該台紙で構築したマット状構造体内に確実に固定定着させることを特徴とする請求項１１記載の病理・生検試料処理用ユニットシステム。
　前記スポンジ状ポリマーが、ポリビニルアルコールにアルデヒドを反応させてアセタール化したポリビニルホルマール製、ゼラチンを付加したポリビニルアルコール製、または、ウレタン樹脂製等の化学合成系プラスチックであることを特徴とする請求項１１記載の病理・生検試料処理用ユニットシステム。
　前記スポンジ状ポリマーが、寒天、カードラン、ジェランガム等のゲルを形成する天然食物繊維が素材のゲルで成形されたことを特徴とする請求項１１記載の病理・生検試料処理用ユニットシステム。
　前記支持ゲルが、ジェランガム、アルギン酸、ペクチンを代表とする１価または多価のカチオンによってゲルを形成する天然食物繊維の水溶液であることを特徴とする請求項１２記載の病理・生検試料処理用ユニットシステム。
　前記支持ゲルが、ジェランガム、アルギン酸、ペクチンを代表とする１価または多価のカチオンによってゲルを形成する天然食物繊維と寒天、カードランの溶液の温度変化でゲルを形成して、その溶解濃度でゲル化温度が変化する天然食物繊維を常温ではゲルを形成しない濃度で増粘剤として溶液内ポリマーの均等分布と粘度を調製した水溶液であることを特徴とする請求項１２記載の病理・生検試料処理用ユニットシステム。
　前記支持ゲルが、グルコマンナンを酸化剤で酸化した酸化グルコマンナンのアセチルエステル化物、或いは、酸化グルコマンナンのアルコール系とのエステル化物をアルコール又はアルコールホルマリン溶液で凝固・ゲル化させることを特徴とする請求項１２記載の病理・生検試料処理用ユニットシステム。
　前記裏打ち用台紙の形状が、台形を含む方形状の上部開口部を成形した容器状構造体底部にして、該構造体底部上の生検試料の固定・脱水・脱脂・透徹等の薬液処理工程から包埋・薄切作業を通して一貫して使用して、該構造体底部ごと底部内の生検試料を薄切可能にする為に生検試料の固定移送用裏打ち用台紙の形状を病理組織試料用処理籠の一部構造体として成形したことを特徴とする請求項１１、又は、１２記載の病理・生検試料処理用ユニットシステム。
　前記裏打ち台紙上の生検試料が、シアノアクリレート系接着剤により接着・定着固定されることを特徴とする請求項１１，１２，１３，１４，１５，１６，１７、又は、１８記載の病理・生検試料処理用ユニットシステム。