WO2011118655A1 - 幹細胞の分化状態をモニタリングする方法 - Google Patents

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Abstract

 (A-1)分化状態検出マーカー遺伝子のプロモーター領域と発光タンパク遺伝子との融合遺伝子が導入された幹細胞を培養する工程と、(A-2)前記(A-1)の工程後の幹細胞に対し、分化を誘導する条件下で培養する工程と、(A-3)前記(A-1)~(A-2)の工程の少なくとも一定期間にわたって、幹細胞における発光タンパク遺伝子の発現による発光画像を撮像する工程を含むことを特徴とする、幹細胞の分化状態をモニタリングする方法。

Description

幹細胞の分化状態をモニタリングする方法
 本発明は、幹細胞の分化状態をモニタリングする方法に関する。
 再生医療分野では、幹細胞を使った細胞移植、臓器再生による難病治療が期待されている。心疾患等の臨床応用が先行しているが、実際に移植した幹細胞がどのように機能しているか、不明な点が多い。安全な移植を行うためには、幹細胞の分化誘導(ある特定の機能を持つ細胞へ誘導すること)のメカニズム解明や細胞内動態や機能を制御する因子の同定が必須である。
 これまでに、幹細胞は分子レベルで未分化細胞に高度に特異的ないくつかの転写因子を発現していることが分かっている。これらには、Oct-4、Sox、Nanog、白血病抑制因子受容体(LIF-R)が含まれる。Oct-4は原腸未形成胚、卵割初期胚、胚盤胞の内細胞塊の細胞、および胚性癌(EC)細胞で発現している。成体動物では、Oct-4は生殖細胞だけに見られる。
 ES細胞、iPS細胞等の幹細胞実験では、フィーダー細胞との共培養、LIF添加により多能性を維持しているが、環境や細胞のコンディションが原因で多分化能を失い容易に分化してしまうことがある。分化誘導プロセスの理解を図るうえで、未分化状態(多能性を持つ状態)、分化状態を正確に知ることは重要であるが、分化状態はES細胞の形態だけで判断することは難しい。
 多能性を判断する指標として、アルカリフォスファターゼ染色、分化マーカーに対する特異抗体を使った免疫染色が行われているが、両手法とも細胞を固定化してしまうため、継続して細胞の状態を調べることができない。
 幹細胞研究は移植治療などの再生医療分野への応用が期待されていることもあり、幹細胞を生かした状態で経時的な状態変化の観察を行うことが望ましい。細胞を生かしたまま観察を行うことで、実験目的にあった幹細胞または分化誘導した細胞を単離することも可能となる。基礎研究の観点から見ても、幹細胞の未分化状態維持機構、または分化に伴うマーカー遺伝子発現量変化については、不明な点が多く、分化誘導メカニズム解明のためにも生きた幹細胞を対象に研究を行うこと必要がある。
 細胞を生かした状態で分化誘導状態を調べる目的で、GFPを指標としたレポーターアッセイを行うことで分化マーカーの発現量の観察が行われている(特許文献1)。
特開2008-118991号公報 特表2009-523025号公報
 本発明者らは、特許文献1(特開2008-118991号公報)の方法を、幹細胞の分化状態を一定期間にわたってモニタリングする際に利用すると、以下で説明する問題点があることに着目した。
 すなわち、特許文献1のようにGFP等の蛍光タンパク遺伝子をレポーターとした場合、励起光照射によるノイズが多いため、遺伝子発現量の定量は難しい場合がある。そのため、GFPを指標にした蛍光観察は遺伝子発現の有無を同定する手法として使われていることが多い。加えてGFPを指標とした場合、観察時に励起光を照射するため数日~数週間の長期観察に関しては、細胞へダメージを与える影響も考えられる。
 更に、特許文献1においては、幹細胞単離のためにフローサイトメーターを用いているが、幹細胞における遺伝子発現レベルに関しては、細胞周期の段階で発現が変化することが考えられるため、幹細胞(または幹細胞由来のコロニー)を単一化してから検出を行うフローサイトメーター検出の場合、目的の幹細胞が選択できていない可能性もある。
 このように、GFPを指標としたレポーターアッセイで細胞の分化状態を調べる手法は、励起光を照射するために、定量性と長期観察に問題がある。
 一方、励起光を照射せずに細胞内遺伝子発現量の検出を行う手法として、ルシフェラーゼ遺伝子等の発光タンパク遺伝子をレポーターとした検出が行われている。ルシフェラーゼは、ルシフェリンとの酵素基質反応により発光をするため、励起光の導入が不要であり、長期間観察が可能である。しかし、ルシフェラーゼを使った遺伝子発現変化の検出は、特許文献2(特表2009-523025号公報)に記載されるように、一般的に、ルミノメーターによるフォトンカウンティング検出を使って行われ、この検出では、ディッシュ全体の細胞群の総和を検出してしまうために、生体内でヘテロな細胞群と考えられている幹細胞(または幹細胞由来のコロニー)を対象とした場合には、個々の幹細胞の遺伝子発現の変化は検出できない。また、幹細胞由来のコロニーは、多様な細胞の3次元的な集合体であり、かかる3次元的な集合体の状態で細胞の遺伝子発現量を把握することが困難である。また、幹細胞由来のコロニーは、各幹細胞、コロニー毎に特性が異なっており、従来行ってきたディッシュの細胞群全体を対象として観察する手法では、各幹細胞、コロニー毎の正確な解析は難しいという問題がある。
 上記問題点に着目し、本発明は、幹細胞の分化状態を、細胞にダメージを与えることなく、各細胞または各コロニー毎にモニタリングする方法を提供することを目的とする。
 本発明者は、分化状態検出マーカー遺伝子のプロモーター領域と発光タンパク遺伝子(ルシフェラーゼ遺伝子)との融合遺伝子を幹細胞に導入し、一定期間にわたって幹細胞における発光タンパク遺伝子(ルシフェラーゼ遺伝子)の発現による発光画像を撮像することにより、上記目的を達成し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下の手段を提供する。
 [1](A-1)分化状態検出マーカー遺伝子のプロモーター領域と発光タンパク遺伝子との融合遺伝子が導入された幹細胞を培養する工程と、
 (A-2)前記(A-1)の工程後の幹細胞に対し、分化を誘導する条件下で培養する工程と、
 (A-3)前記(A-1)~(A-2)の工程の少なくとも一定期間にわたって、幹細胞における発光タンパク遺伝子の発現による発光画像を撮像する工程
を含むことを特徴とする、幹細胞の分化状態をモニタリングする方法。
 [2](B-1)分化状態検出マーカー遺伝子のプロモーター領域と発光タンパク遺伝子との融合遺伝子が導入された幹細胞を培養する工程と、
 (B-2)幹細胞を更に継代培養する工程と、
 (B-3)前記(B-2)の工程後の幹細胞に対し、分化を誘導する条件下で培養する工程と、
 (B-4)前記(B-1)~(B-3)の工程の少なくとも一定期間にわたって、幹細胞における発光タンパク遺伝子の発現による発光画像を撮像する工程
を含むことを特徴とする、幹細胞の分化状態をモニタリングする方法。
 [3](C-1)分化状態検出マーカー遺伝子のプロモーター領域と発光タンパク遺伝子との融合遺伝子が導入された幹細胞を培養する工程と、
 (C-2)幹細胞を更に継代培養する工程と、
 (C-3)前記(C-1)~(C-2)の工程の少なくとも一定期間にわたって、幹細胞における発光タンパク遺伝子の発現による発光画像を撮像する工程
を含むことを特徴とする、幹細胞の分化状態をモニタリングする方法。
 [4]上記[1]~[3]の何れかに記載の方法であって、
 前記撮像工程が、発光イメージングシステムにより、継続して複数の発光画像を撮像する工程であることを特徴とする方法。 
 [5]上記[4]に記載の方法であって、
 前記撮像工程により得られた発光画像の特定細胞領域において、分化状態の指標として、発光量を測定し、発光量の経時変化を解析する工程
を更に含むことを特徴とする方法。
 [6]上記[1]~[5]の何れかに記載の方法であって、
 幹細胞の明視野観察を行い、発光画像と同じ領域で明視野画像を取得する工程を更に含むことを特徴とする方法。 
 [7]上記[1]~[6]の何れかに記載の方法であって、
 分化状態検出マーカー遺伝子が、細胞が未分化な状態で特異的に発現する未分化マーカー遺伝子および/または細胞が特定の分化過程で特異的に発現する分化マーカー遺伝子であることを特徴とする方法。
 [8]上記[1]~[7]の何れかに記載の方法であって、
 幹細胞が、複数種類の融合遺伝子が導入された幹細胞であり、
 融合遺伝子のそれぞれが、異なる種類の分化状態検出マーカー遺伝子のプロモーター領域を含み、
 分化状態検出マーカー遺伝子のプロモーター領域のそれぞれが、他の分化状態検出マーカー遺伝子のプロモーター領域と識別して検出されるように、異なる発光波長を有する発光タンパクをコードする遺伝子と融合されている
ことを特徴とする方法。 
 [9]上記[8]に記載の方法であって、
 幹細胞が、2種類の融合遺伝子が導入された幹細胞であり、
 融合遺伝子の一つが、未分化マーカー遺伝子のプロモーター領域と第一の発光タンパク遺伝子との融合遺伝子であり、
 もう一つが、特定の分化過程で特異的に発現する分化マーカー遺伝子のプロモーター領域と、その発現が前記第一の発光タンパク遺伝子の発現と識別して検出される第二の種類の発光タンパク遺伝子との融合遺伝子である
ことを特徴とする方法。
 [10]幹細胞の分化状態を同定する方法であって、上記[1]~[9]の何れかに記載の方法で得られた発光画像および/または発光量データおよび/または明視野画像に基づいて、幹細胞の分化状態を同定する工程を含むことを特徴とする方法。 
 [11]所望の分化状態を示す幹細胞を取得する方法であって、上記[6]に記載の方法で得られた発光画像および/または発光量データおよび/または明視野画像に基づいて、複数の幹細胞の中から所望の分化状態を示す幹細胞を取得する工程を含むことを特徴とする方法。
 [12]前記発光画像が、コロニー内の個々の幹細胞の遺伝子発現量を示していることを特徴とする上記[1]から[11]の何れかに記載の方法。
 [13]前記コロニーが、胚様体を形成している上記[12]に記載の方法。
 本発明の方法に従って、分化状態検出マーカー遺伝子のプロモーター領域と発光タンパク遺伝子(ルシフェラーゼ遺伝子)との融合遺伝子を幹細胞に導入し、一定期間にわたって幹細胞における発光タンパク遺伝子(ルシフェラーゼ遺伝子)の発現による発光画像を撮像することにより、幹細胞の分化状態を、細胞にダメージを与えることなく、各細胞または各コロニー毎にモニタリングすることが可能である。
図1は、本発明の方法の一例を示す説明図である。 図2は、ハンギングドロップ法の模式図。 図3は、発光イメージングシステムの一例を示す図である。 図4は、本発明の実施例1-1(観察直後)の結果を示す顕微鏡写真である。 図5は、本発明の実施例1-1(観察21時間後)の結果を示す顕微鏡写真である。 図6は、本発明の実施例1-1の結果を示すグラフである。 図7は、本発明の実施例1-2(LIF添加)の結果を示す顕微鏡写真である。 図8は、本発明の実施例1-2(LIF添加)における細胞選択領域を示す顕微鏡写真である。 図9は、本発明の実施例1-2(LIF添加)の結果を示すグラフである。 図10は、本発明の実施例1-2(LIF非添加)における細胞選択領域を示す顕微鏡写真である。 図11は、本発明の実施例1-2(LIF非添加)の結果を示すグラフである。 図12は、本発明の実施例1-3における細胞選択領域を示す顕微鏡写真である。 図13は、本発明の実施例1-3の結果を示すグラフである。 図14は、本発明の実施例2-1の結果を示す顕微鏡写真である。 図15は、胚葉体(EB)形成の様子を模式的に示す図である。 図16は、本発明の実施例2-2の結果を示す顕微鏡写真である。
 以下、本発明を詳細に説明するが、以下の説明は、本発明を説明することを目的とし、本発明を限定することを意図しない。
 一つの態様において、本発明の幹細胞の分化状態をモニタリングする方法は、
 (A-1)分化状態検出マーカー遺伝子のプロモーター領域とルシフェラーゼ遺伝子との融合遺伝子が導入された幹細胞を培養する工程と、
 (A-2)前記(A-1)の工程後の幹細胞に対し、分化を誘導する条件下で培養する工程と、
 (A-3)前記(A-1)~(A-2)の工程の少なくとも一定期間にわたって、幹細胞におけるルシフェラーゼ遺伝子の発現による発光画像を撮像する工程
を含む。
 この態様では、分化誘導処理された幹細胞の分化状態をモニタリングすることができる。
 別の態様において、本発明の方法は、上記(A-1)の培養工程の後に、幹細胞を継代培養する工程を更に含む。すなわち、この態様において、本発明の幹細胞の分化状態をモニタリングする方法は、
 (B-1)分化状態検出マーカー遺伝子のプロモーター領域とルシフェラーゼ遺伝子との融合遺伝子が導入された幹細胞を培養する工程と、
 (B-2)幹細胞を更に継代培養する工程と、
 (B-3)前記(B-2)の工程後の幹細胞に対し、分化を誘導する条件下で培養する工程と、
 (B-4)前記(B-1)~(B-3)の工程の少なくとも一定期間にわたって、幹細胞におけるルシフェラーゼ遺伝子の発現による発光画像を撮像する工程
を含む。
 この態様では、継代培養の間の幹細胞の分化状態をモニタリングすることや、分化誘導処理された幹細胞の分化状態をモニタリングすることができる。
 この態様を模式的に図1に示す。
 図1に示されるように、分化状態モニタリング用に調製された幹細胞は、分化を抑制する条件下で培養されると、そのほとんどが分化多能性をもち、未分化マーカー遺伝子(Nanog遺伝子)を発現する(図1の分化誘導前のディッシュ参照)。この幹細胞は、長期間による培養を行うことで分化する幹細胞が混在してくる場合があり、これにより、分化多能性にばらつきが生じ、未分化マーカー遺伝子(Nanog遺伝子)の発現が減少または消失する細胞が出現する(図1の細胞継代後のディッシュ参照)。その後、幹細胞に分化誘導処理を施して培養すると、幾つかの幹細胞は分化誘導され、特異的な分化マーカー遺伝子を発現する(図1の分化誘導後のディッシュ参照)。このように本発明では、未分化マーカー遺伝子や分化マーカー遺伝子の発現を異なるルシフェラーゼを用いて検出し、幹細胞の分化状態を各細胞または各コロニー毎にモニタリングする。
 更に別の態様において、本発明の方法は、上記(A-1)の培養工程の後に、幹細胞を継代培養する工程を更に含み、(A-2)の分化を誘導する工程を含まない。すなわち、この態様において、本発明の幹細胞の分化状態をモニタリングする方法は、
 (C-1)分化状態検出マーカー遺伝子のプロモーター領域とルシフェラーゼ遺伝子との融合遺伝子が導入された幹細胞を培養する工程と、
 (C-2)幹細胞を更に継代培養する工程と、
 (C-3)前記(C-1)~(C-2)の工程の少なくとも一定期間にわたって、幹細胞におけるルシフェラーゼ遺伝子の発現による発光画像を撮像する工程
を含む。
 この態様では、継代培養の間の幹細胞の分化状態をモニタリングすることができる。
 本発明において「幹細胞」は、哺乳類(たとえばヒト、マウスなど)に由来する任意の幹細胞であり、たとえば胚性幹細胞(ES細胞)、組織性幹細胞、人工多能性幹細胞(iPS細胞)などである。幹細胞は、市販の細胞を使用してもよいし、公知の方法に従って調製してもよい。
 本発明において「分化状態をモニタリングする」とは、幹細胞が未分化の状態であるか、あるいはどの程度分化している状態であるかをモニタリングすることを意味する。本発明において「分化状態」とは、未分化な細胞の状態も分化した細胞の状態も含む。
 本発明において「分化状態検出マーカー遺伝子」は、細胞が未分化な状態で特異的に発現する「未分化マーカー遺伝子」および細胞が特定の分化過程で特異的に発現する「分化マーカー遺伝子」を含む。本発明の方法では、「分化状態検出マーカー遺伝子」として、未分化マーカー遺伝子または分化マーカー遺伝子のいずれか一方を使用してもよいし、両方を使用してもよい。また、「分化状態検出マーカー遺伝子」は、1種類を使用してもよいし、複数種類(たとえば2~5種類)を使用してもよい。たとえば、本発明では、複数種類(たとえば2または3種類)の未分化マーカー遺伝子を使用してもよいし、1種類の未分化マーカー遺伝子と1種類の分化マーカー遺伝子を使用してもよいし、1種類の未分化マーカー遺伝子と複数種類(たとえば2または3種類)の分化マーカー遺伝子を使用してもよい。
 「未分化マーカー遺伝子」は、細胞が未分化な状態で特異的に発現する任意の遺伝子であり、たとえばNanog、Oct、Soxなどが挙げられる。また、「分化マーカー遺伝子」は、細胞が特定の分化過程で特異的に発現する任意の遺伝子であり、たとえば神経分化マーカー遺伝子として、Nestin、Mash1が挙げられ、心筋分化メーカー遺伝子として、GATA4、Nkx2.5が挙げられる。
 以下、本発明の方法の各工程について説明する。以下の説明において、「分化状態検出マーカー遺伝子」は、単に「マーカー遺伝子」ともいう。
 1.モニタリング用幹細胞の調製
 本発明では、公知技術に従って、マーカー遺伝子のプロモーター領域とルシフェラーゼ遺伝子(レポーター遺伝子)とを融合し、この融合遺伝子を幹細胞に導入することにより、モニタリング用幹細胞を調製する。
 「マーカー遺伝子のプロモーター領域」は、公知のプロモーター領域を使用してもよいし、公知のマーカー遺伝子の塩基配列に基づいてクローニングしてもよい。たとえば、Nanogのプロモーター領域は、T Kuroda et al., Molecular and Cellular Biology (2005 vol.25, No.6 p2475-2485) に記載され;Octのプロモーター領域は、S Okumura-Nakanishi et al., The journal of Biological Chemistry (2005 vol. 280, No7 p5307-5317) に記載され;Nestinのプロモーター領域は、L Cheng et al., FEBS Letters 2004 565 p195-202に記載される。
 「ルシフェラーゼ遺伝子」は、市販のものを使用することができ、たとえばElucルシフェラーゼ(緑)、CRBルシフェラーゼ(赤)、ウミシイタケルシフェラーゼ(青)を使用することができる。ベクター内に予め組み込まれた形態のルシフェラーゼ遺伝子を使用すると、融合遺伝子を調製する上で便利である。たとえば、ルシフェラーゼ遺伝子を予め含有する市販のベクターとして、Eluc vector(東洋紡)、CRB vector(Promega)、Renilla vector (Promega)が挙げられる。
 ここでは、レポーター遺伝子としてルシフェラーゼ遺伝子を使用した場合を例に挙げて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されず、当該技術分野で公知の任意の「発光タンパク遺伝子(luminescent protein-coding gene)」をレポーター遺伝子として使用することができる。本明細書において「発光タンパク遺伝子」は、緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子等の蛍光タンパク遺伝子と対比して用いられ、とりわけ生物発光タンパク質をコードする遺伝子であり、たとえば当該技術分野で公知の種々のルシフェラーゼ遺伝子である。
 複数のマーカー遺伝子を使用する場合、複数種類のルシフェラーゼ遺伝子を使用して、各マーカー遺伝子は、識別して検出されるようにそれぞれ異なるルシフェラーゼ遺伝子と融合される。すなわち、マーカー遺伝子のプロモーター領域のそれぞれが、他のマーカー遺伝子のプロモーター領域と識別して検出されるように、異なる発光波長を有するルシフェラーゼと融合されている。
 たとえば、マーカー遺伝子として、2種類の「未分化マーカー遺伝子」Oct-4遺伝子およびNanog遺伝子を使用する場合について説明する。まず、これら未分化マーカー遺伝子のプロモーター領域を、既に論文に公開されている遺伝子配列を用いてクローニングする。すなわち、Oct-4遺伝子については、「S Okumura-Nakanishi et al., The journal of Biological Chemistry 2005 vol. 280, No7 p5307-5317」、Nanog遺伝子については、「T Kuroda et al., Molecular and Cellular Biology 2005 vol.25, No.6 p2475-2485」を参考にプロモーター特異的配列を取得する。取得したNanog、Oct-4遺伝子プロモーター配列を、ELuc vector(東洋紡)、CBR vector(Promega)にそれぞれ組み込む。Eluc vectorは、Elucルシフェラーゼ(緑)を含むベクターであり、CBR vectorは、CRBルシフェラーゼ(赤)を含むベクターである。よって、これらベクターへのNanog、Oct-4遺伝子プロモーター配列の組み込みにより、未分化マーカー発現特異的発光ベクターpNanog-Eluc、pOct4-CBRが作成される。
 融合遺伝子を含むベクターの幹細胞への導入は、公知の方法に従って行うことができ、たとえば、リン酸カルシウム法、リポフェクチン法、エレクトロポレーション法により行うことができる。これら方法は、目的や細胞の種類によって使い分けることができる。
 2.培養工程
 本発明では、上記方法に従って調製されたモニタリング用幹細胞、すなわち、「分化状態検出マーカー遺伝子のプロモーター領域とルシフェラーゼ遺伝子との融合遺伝子が導入された幹細胞」を培養する。培養は、公知の方法に従って、幹細胞の種類に応じて必要な分化抑制因子を培地に添加し、フィーダー細胞上で行うことができる。好ましくは、幹細胞は、分化を抑制する条件下で培養される。たとえばマウスES細胞の培養は、35mm径細胞培養用ディッシュで、分化抑制因子LIF(leukemia inhibitory factor)を含有するDMEM培地において、フィーダー細胞であるマウス胎児線維芽細胞上で行うことができる。幹細胞は、たとえば、37.0℃で1~3日間培養される。
 上記培養後の幹細胞は、引き続き継代培養を行ってもよいし、分化誘導工程に移されてもよい。
 継代培養は、上記培養と同じ条件下で行うことができる。一般に幹細胞は、自発的に分化しやすいため、継代培養を行う際には、培養条件に注意する必要がある。たとえば、分化抑制因子を含有する培地で継代培養を行って、未分化マーカーの発現の変化を観察し、未分化細胞を同定してもよいし、または分化抑制因子を含有しない培地で継代培養を行って、未分化マーカーおよび/または分化マーカーの発現の変化を観察し、未分化細胞および/または分化細胞を同定してもよい。
 3.分化誘導工程
 幹細胞の分化誘導は、公知の方法に従って、幹細胞の種類、分化の方向性に応じて、分化を誘導する条件下で幹細胞を培養することにより行うことができる。
 分化を誘導する条件下とは、幹細胞の分化を積極的に誘導する条件下であってもよいし、幹細胞の自発的な分化を抑制する条件下(分化抑制因子の存在しない条件下)であってもよい。
 幹細胞の分化誘導法は、物理的刺激による手法、薬剤刺激による手法、分化誘導因子の導入による手法などが挙げられる。物理的刺激による手法としては、たとえばハンギングドロップ法、振とう培養が挙げられる。また、薬剤刺激による手法としては、たとえば神経系細胞への分化誘導のためには、レチノイン酸(Retinoic acid)の培地への添加、心筋細胞への分化誘導のためには、胚様体形成後のBMP-2とWnt-11の添加が挙げられる。
 すなわち、幹細胞の分化誘導は、ハンギングドロップ法などを用いて、幹細胞から胚様体を経て分化細胞をつくりだしてもよいし、あるいは、幹細胞から胚様体を経ることなく直接分化細胞をつくりだしてもよい。
 ハンギングドロップ法の模式図を図2に示す。ハンギングドロップ法では、図2に示すとおり、プラスティックディッシュ蓋等の基板に水滴状に垂れ下げた培養液(液滴)のなかで幹細胞を培養する。すなわち、対象のマーカー遺伝子のプロモーターを導入した発光ベクターを細胞に導入し、細胞培養用のプラスティックディッシュ蓋に播種し、液滴を形成する。液滴形成を行なった後、本発明に従って、発光顕微鏡を使って2日間の連続観察を行う。単一の幹細胞が凝集して胚様体を形成する過程を発光顕微鏡により経時的に観察することが可能である。また、必要に応じて、マーカー遺伝子のプロモーターを導入した発光ベクターに、抗生物質の耐性遺伝子を導入しておけば、必要な胚様体を回収した後に、さらに薬剤選択をして目的の細胞を得ることが可能となる。
 ES細胞の分化には、細胞特性だけでなく、細胞間の相互関係が関与することが知られている。各種細胞の分化効率は胚様体の性質によって左右されるとも考えられている。液滴の大きさ、播種する細胞数によって、胚様体の性質が変わってくるため、胚様体の形成過程を観察することは重要であるが、現状では胚様体形成過程のイメージング検出は行われていない。胚様体形成には、幹細胞を浸とうさせた状態で培養を行う手法も知られている。
 4.撮像工程
 培養容器で培養されている幹細胞の発光画像を撮像するにあたり、幹細胞を含む培地に、基質となるルシフェリンを添加して、発光観察を開始する。ルシフェリンの添加は、ATP、マグネシウムなどの添加を伴っていてもよい。
 本発明では、上述の培養工程および分化誘導工程の少なくとも一定期間にわたって、幹細胞におけるルシフェラーゼ遺伝子の発現による発光画像を撮像する。この撮像工程は、発光イメージングにより行うことができる。好ましくは、発光イメージングにより、継続して発光画像を撮像する。発光イメージングは、市販の発光イメージングシステム、たとえばオリンパス製の発光イメージングシステムLV200を用いて行うことができる。
 発光イメージングシステムの一例を図3を参照しながら説明する。
 図3に示される発光イメージングシステム100において、幹細胞を含む標本110は、ステージ104上のインキュベータ103内に配置される。標本110は、通常シャーレに入っており、ステージ104およびインキュベータ103には観察用の穴(図示せず)が開いている。発光観察の場合、標本110で発せられた光は、対物光学系105を進み、分光フィルタ106で不要な光がカットされて、CCDカメラ107で検出される。CCDカメラ107で検出された光は、コントローラPC111に送られ画像化される。なお、単色の発光観察の場合、分光フィルタ106は配置しないこととしてもよい。
 光源109は、明視野観察のための照明光を照射する。分光フィルタ108は、特定波長の光のみ透過させる際(蛍光観察)に使用され、明視野観察の際には利用されない。
 コントローラPC111は、一般的なPC等のコンピュータであり、CCDカメラ107の撮影条件の制御、取得画像の画像化と表示、および光源109の光量の制御等を行う。また、コントローラPC111は、画像処理や画像解析を行い、画像解析データを観察条件とともに保持しておくこともできる。
 これら装置の一部または全体を、外部からの光を遮断するチャンバー等の遮光装置内に配置することによって、外部の光の影響を受けることなく精度よく安定して微弱光を検出することができる。たとえば、図3に示すように、暗箱102と蓋101により標本110を遮光された状態に置くことができる。
 発光イメージングシステムの光学系については、国際公開WO2006-106882を参照することができる。
 本発明において、継続して発光画像を撮像するとは、連続して発光画像を撮像してもよいし、所定の間隔(たとえば、5分~1時間の間隔)で発光画像を撮像してもよい。
 複数のマーカー遺伝子を複数のルシフェラーゼ遺伝子で識別標識した場合、後述の実施例2に記載されるとおり、分光フィルター(図3のフィルタ106参照)を使用して、各ルシフェラーゼに特異的な波長ごとに撮像を行う。
 発光画像の観察は、明視野画像の観察と組み合わせて行ってもよい(図4および図5参照)。すなわち、発光画像を取得したのと同じ領域で明視野画像を取得することにより、マーカー遺伝子の発現の様子と、細胞の分化による細胞の形態変化(たとえば神経系細胞への分化による細胞の形態変化)の様子を観察することができる。
 更に、撮像工程により得られた発光画像の特定細胞領域において、分化状態の指標として、発光量を測定し、発光量の経時変化を解析してもよい(図6参照)。
 得られた発光画像および/または発光量データおよび/または明視野画像に基づいて、幹細胞の分化状態を同定することができる。好ましくは、発光画像の経時変化および/または発光量の経時変化に基づいて、幹細胞の分化状態を同定することができる。あるいは、好ましくは、発光量の経時変化に関するデータに基づいて、幹細胞の分化状態を同定することができる。
 また、得られた発光画像および/または発光量データおよび/または明視野画像に基づいて、複数の幹細胞のなかから所望の分化状態を示す幹細胞を取得することができる。好ましくは、発光画像の経時変化および/または発光量の経時変化に基づいて、所望の分化状態を示す幹細胞を取得することができる。あるいは、好ましくは、発光量の経時変化に関するデータに基づいて、所望の分化状態を示す幹細胞を取得することができる。
 たとえば、発光画像および/または発光量データから、測定対象の細胞を含む関心領域(ROI: Region Of Interest)において、未分化マーカーの発現量が一定して維持されている場合、測定対象の細胞が未分化な状態のまま維持されていることがわかる。一方、発光画像および/または発光量データから、未分化マーカーの発現量の低下が観察された場合、測定対象の細胞が未分化な状態から変化していることがわかる。この場合、未分化マーカーと分化マーカーを併用することにより、未分化マーカーの発現量の低下と分化マーカーの発現量の増大の両方を観察することにより、細胞に形態変化が現れていない段階であっても、測定対象の細胞が分化の方向に向かっていることがわかる。
 所望の幹細胞の取得を行なうためのピックアップ作業は、発光画像を取得した発光顕微鏡の下で行ってもよいし、正立型顕微鏡にサンプルを移動して行ってもよい。
 また、本発明においては、上述した例に限らず種々の変更が可能である。例えば、上述した説明ではピックアップ作業に関する説明を行ったが、容器等において所望の細胞や細胞内部位を分離する等の他の作業を含む各種細胞操作を本発明で適用することもできる。また、上述した説明では、生体試料として個体より抽出等された細胞や組織等を生きた状態に保つために所定の容器内で培養を行うことで胚、微生物、バクテリア等の微小生物にも適用できる構成を有しているが、実験用動物や植物といった生物個体に対して顕微鏡的な撮像を行う場合(所謂in vivo イメージングや内視鏡観察など)にはインキュベータ等を用いた容器内での培養では体内で幹細胞等が生きた状態に保たれるような自然な培養がなされており、このような培養も本発明における培養工程に含むものとする。
 5.本発明の効果
 以上説明したとおり、本発明では、ルシフェラーゼを指標とした発光イメージングにより画像としてマーカー遺伝子発現量を検出することで、1細胞、また異なるコロニーからの発光量を測定し、各幹細胞またはコロニー毎の分化状態を同定することが可能である。ルシフェラーゼを指標にした幹細胞イメージングを行うことで、細胞を生かしたままマーカー遺伝子の発現を定量的かつ経時的に観察することが可能となる。また、ルシフェラーゼを指標にした幹細胞イメージングを行うことで、細胞の形態変化では同定ができない細胞分化の程度をモニタリングすることが可能となり、これまでの手法よりも精細な分化状態の把握が可能となる。幹細胞イメージングによる画像検出を行い各幹細胞またはコロニーを経時的に観察することで、細胞周期の段階も鑑みたより精度の高い検出が可能となる。
 未分化マーカーおよび分化マーカーは、1種類ではなく複数種組み合わせた検出を行うことでより正確に分化状態の段階を把握することが出来る。
 また、定量性に優れた発光イメージングに形態観察目的の明視野観察を併用することで、細胞への励起光照射なしに細胞の形態変化とマーカー遺伝子発現の様子も捉えることが可能となる。
 幹細胞の未分化維持機構については未だ不明であるが、発明の方法を利用して、形態的変化では分からない各種未分化マーカーの遺伝子発現変化を検出することもできる。例えば、既に同定されているOct-4およびNanog遺伝子発現量を幹細胞またはコロニー毎に可視化することで、各未分化マーカーの発現バランスを把握し、どのように未分化状態がもたれているのか、形態が同じ細胞において、未分化マーカー発現量が分化の方向性に及ぼす影響を調べることができる。
 実施例1:未分化マーカーを用いた例
 実施例1-1:一過性発現細胞の観察および解析
 (1)未分化マーカー遺伝子のプロモーター領域とルシフェラーゼ遺伝子の融合遺伝子を導入したES細胞の作成
 Nanog遺伝子プロモーター領域のクローニングについては、非特許文献「T Kuroda et al., Molecular and Cellular Biology 2005 vol.25, No.6, p2475-2485」を参考にプロモーター配列を取得した。
 Nanog遺伝子プロモーター領域配列は、マウスゲノムDNAを鋳型として取得した。Nanog遺伝子プロモーター領域を増幅するためのプライマーは、以下のものを使用した。 
forward primer:  CTACTCGAGATCGCCAGGGTCTGGA (配列番号1)
reverse primer:  CTACTCGAGCGCAGCCTTCCCACAGAAA (配列番号2)。
 取得したNanog遺伝子プロモーター配列をpGL4-basic vector(Promega)に組み込み、「Nanog遺伝子発現特異的発光ベクターpNanog-GL4」を作成した。
 ES細胞を培養するために、フィーダー細胞を準備した。具体的には、35mm径のプラスティックディッシュを0.1%ゼラチンでコーティングし、PBSにて3回洗浄した。ゼラチンコートを行ったディッシュに、マイトマイシンC処理で分裂を停止したMEF細胞(mouse embryonic fibro-blast マウス胎児線維芽細胞)を撒き、一晩培養を行った。培地には、DMEM(フェノールレッド、10%FCS入り)を用いた。翌日、マウスES細胞(BRC6株、理研BRC)を35mmディッシュ内のフィーダー細胞上に撒いた。
 一晩培養後、上記「pNanog-GL4遺伝子発現ベクター」をマウスES細胞にトランスフェクションし、トランスフェクトされたES細胞を、培地として15%KSR(Knockout Serum(Gibco))、LIF(leukemia inhibitory factor)入りDMEMを用いて一晩培養した。遺伝子のトランスフェクションはAmaxa Nucleofector(和光純薬株)によるNucleofection法を用いた。翌日、培地を、HEPES入りDMEM(15%KSR、フェノールレッド抜き)に置き換えた。
 なお本実験では、一過性発現細胞株を使用しているが、薬剤耐性遺伝子を導入して薬剤選択を行った安定発現株細胞を使用しても良い。
 (2)ES細胞の観察および解析
 発光観察のためD-ルシフェリン(プロメガ社製:最終濃度100μM)を加え、発光顕微鏡LV200(オリンパス(株)製)を使ってマウスES細胞を観察した。発光観察条件として、マウスES細胞を45分間隔で15分間撮影することにより、Nanog遺伝子発現量を観察した。対物レンズは×20、binningは1×1、CCDカメラはImagEM(浜松ホトニクス(株)製)である。
 タイムラプス観察後、撮像した観察画像を保存し、画像解析システム“AQUACOSMOS(浜松ホトニクス(株)製)”を用いてその観察画像から数値データを解析すると共に、解析した数値データのグラフ化を行った。
 取得した発光画像を図4および5に示す。図4(A)はLV200による発光観察直後の発光画像、図4(B)は、LV200による発光観察直後の明視野画像と発光画像との重ねあわせ画像を示す。図5は観察21時間後の画像である。図5(A)は、発光画像を示し、図5(B)は明視野画像と発光画像との重ねあわせ画像を示す。
 ES細胞コロニーを3ヶ所選択し、各領域において発光量の数値化を行い、その結果を図6に示す。
 選択された3ヶ所の領域は、図4および5に示され、それぞれROI 1~3と称される。図4および5の画像より、観察21時間後には、ROI 2の領域で発光強度が低下し、ROI 3の領域で発光強度が増大していることがわかる。この結果は、図6の発光量の結果とも一致する。
 図4~6の結果より、培養開始時から発光が増加するコロニー(ROI 3)、変化が少ないコロニー(ROI 1)、減少するコロニー(ROI 2)がみられ、各幹細胞コロニーによってコロニー全体としてのNanog遺伝子発現のパターンが異なることが分かった。遺伝子発現のパターンとは、時間経過による遺伝子発現変動の様子を示す。ES細胞は、異なる性質を持つヘテロな細胞群であることが知られており、従来得られている見解と一致する。本結果から、1細胞または1コロニーごとに、ES細胞の分化状態をモニタリングできることが分かった。
 以上の実験の結果より、ルシフェラーゼの発光量を指標にして、未分化マーカーNanogの遺伝子発現を連続的に計測できることが分かった。
 本検討では21時間程度の観察であったが、もし数日にわたって長期観察を行う場合には、ルシフェリンと分化抑制因子LIF(leukemia inhibitory factor)を添加したES細胞培養液と交換し、連続的に観察を行うことも出来る。必要に応じて、フィーダー細胞も添加してもよい。
 実施例1-2:安定発現細胞の長期観察および解析
 本実施例では、遺伝子導入ベクターとして、薬剤耐性遺伝子を含有するベクターを使用し、遺伝子導入が行われた細胞(安定発現細胞)を薬剤選択により選択し、長期観察および解析を行った。本実施例の詳細を以下に述べる。
 (1)未分化マーカー遺伝子のプロモーター領域とルシフェラーゼ遺伝子の融合遺伝子を導入したES細胞の作成
 Nanog遺伝子プロモーター領域のクローニングについては、非特許文献「T Kuroda et al., Molecular and Cellular Biology 2005 vol.25, No.6, p2475-2485」を参考にプロモーター配列を取得した。
 Nanog遺伝子プロモーター領域配列は、マウスゲノムDNAを鋳型として取得した。Nanog遺伝子プロモーター領域を増幅するためのプライマーは、以下のものを使用した。
forward primer: CTACTCGAGATCGCCAGGGTCTGGA (配列番号1)
reverse primer: CTACTCGAGCGCAGCCTTCCCACAGAAA (配列番号2)。
 遺伝子導入ベクターは、ネオマイシン耐性pGL4ベクター(Promega)のルシフェラーゼ遺伝子部分をElucルシフェラーゼ遺伝子に置き換えて使用した。取得したNanog遺伝子プロモーター配列を上記ベクターに導入し、「Nanog遺伝子発現特異的発光ベクターpNanog-Eluc」を作成し、マウスES細胞に遺伝子導入を行なった。遺伝子のトランスフェクションはAmaxa Nucleofector(和光純薬株)によるNucleofection法を用いた。G418添加を行なうことで遺伝子導入が行われた細胞のみを薬剤選択し、安定発現株細胞を作製した。
 ES細胞を培養するために、フィーダー細胞を準備した。具体的には、35mm径のプラスティックディッシュを0.1%ゼラチンでコーティングし、PBSにて3回洗浄した。ゼラチンコートを行ったディッシュに、マイトマイシンC処理で分裂を停止したMEF細胞(mouse embryonic fibro-blast マウス胎児線維芽細胞)を撒き、一晩培養を行った。培地に
は、DMEM(フェノールレッド、10%FCS入り)を用いた。翌日、マウスES細胞(BRC6株、理研BRC)を35mmディッシュ内のフィーダー細胞上に撒いた。
 一晩培養後、Nanog-Elucを恒常的に発現したマウスES細胞を、培地として15%KSR(Knockout Serum(Gibco))、LIF(leukemia inhibitory factor)入りDMEMを用いて一晩培養した。培養後、「LIF添加」、「LIF非添加」の2つの条件で発光観察を行うため、トランスフェクションの翌日に、LIFおよびHEPES入りDMEM(15%KSR、フェノールレッド抜き)、HEPES入りDMEM(15%KSR、フェノールレッド抜き、LIF非添加)培地にそれぞれ置き換えた。LIFの添加は、製品名LIF Human, recombinant, Culture Supernatant(和光純薬製)を規定濃度で使用することにより行った。
 なお本実験では、薬剤耐性遺伝子を導入して薬剤選択を行った安定発現株細胞を使用しているが、一過性発現細胞株を使用しても良い。
 (2)ES細胞の観察および解析
 発光観察のためD-ルシフェリン(プロメガ社製:最終濃度500μM)を加え、発光顕微鏡LV200(オリンパス(株)製)を使ってマウスES細胞を観察した。発光観察条件として、マウスES細胞を15分間隔で12分間撮影することにより、Nanog遺伝子発現量を観察した。対物レンズは×20、binningは1×1、CCDカメラはImagEM(浜松ホトニクス(株)製)である。
 タイムラプス観察後、撮像した観察画像を保存し、画像解析システム“AQUACOSMOS(浜松ホトニクス(株)製)”を用いてその観察画像から数値データを解析すると共に、解析した数値データのグラフ化を行った。
 培地にLIFを加えて観察を行なった実験を行い取得した発光画像を図7に示す。図7(A)は、LV200による発光観察直後の発光画像、図7(B)は、LV200による発光観察直後の明視野画像と発光画像との重ねあわせ画像である。発光画像を擬似カラー黄色で示した。
 Nanog発現量を定量するため、ES細胞コロニーを複数箇所選択し、発光量の数値化を行った。細胞選択領域を図8に示す。
 選択された領域のうち、ROI 1-10までの10コロニーに関して発光量数値をグラフ化し、図9に示した。それぞれROI 1~10と称される。図9(A)は、ROI 1~5の結果を示し、図9(B)は、ROI 6~10の結果を示す。
 図9の結果より、多くのコロニーにおいて、Nanog遺伝子発現量が変動していることが観察された。16-18時間周期のオシレーションがあるようにも見える。幹細胞におけるオシレーション現象は、Chambers I, et al., Nature, Vol.450, 1230-1234, 2007にて報告されているが、長期間にわたり1コロニーごとのNanog発現解析を行なった研究はこれまでにない。
 次に、培地からLIFを除去した条件で発光および明視野観察を行った。Nanog発現量を定量するため、ES細胞コロニーを複数箇所選択し、発光量の数値化を行った。明視野画像による形態情報を利用し、未分化状態のコロニーと分化状態のやや広がったコロニーに分類して発光量の数値化を行った。細胞選択領域を図10に示す。未分化細胞は、ROI 6-10として選択し、分化細胞は、ROI 1-5として選択した。選択した未分化細胞および分化細胞の発光量数値をグラフ化し、図11に示す。図11(A)は、未分化細胞の結果を示し、図11(B)は分化細胞の結果を示す。形態分類による発光パターンを比較すると、未分化状態のコロニーではオシレーションが見られたが、分化が進んだコロニーではオシレーションがなくなっている傾向がみられた。
 実施例1-3:薬剤刺激下における安定発現細胞の長期観察および解析
 実施例1-2で用いたNanog-Elucを恒常的に発現したマウスES細胞を用いてFGF(Fibroblast Growth Factor)による分化誘導後に、シグナル伝達阻害剤を作用させた観察を試みた。FGFシグナルは、幹細胞分化を誘導するシグナル伝達系であるが、阻害剤を作用させることで分化から未分化状態へ戻ることが報告されている(T Kunath et al., Development 134, 2895-2902, 2007)。細胞の調製法は実施例1-2と同様である。
 (1)ES細胞の調製
 ディッシュ播種一晩培養後、Nanog-Elucを恒常的に発現したマウスES細胞を、培地として15%KSR(Knockout Serum(Gibco))、LIF(leukemia inhibitory factor)入りDMEMを用いて一晩培養した。培養後、HEPES入りDMEM(15%KSR、フェノールレッド抜き、LIF非添加)、に置き換えた。
 (2)ES細胞の観察および解析
 発光観察のためD-ルシフェリン(プロメガ社製:最終濃度500μM)を加え、終濃度10ng/mlとなるようにFGF(FGFβ human, PeproTech製)を添加し、発光顕微鏡LV200(オリンパス(株)製)を使ってマウスES細胞を観察した。発光観察条件として、マウスES細胞を1時間間隔で55分間撮影することにより、Nanog遺伝子発現量を観察した。40時間観察後に、FGFシグナルの阻害剤であるPD184352(和光純薬製)およびSU5402(和光純薬製)を添加し、さらに26時間観察を行なった。
 PD184352はERK経路の阻害剤、SU5402はFGF-Rチロシンキナーゼ阻害剤であり、2つを同時に用いることでFGFシグナルに対する阻害効果が増大すると報告されている。それぞれの阻害剤の終濃度は10mM、2mMである。対物レンズは×20、binningは1×1、CCDカメラはImagEM(浜松ホトニクス(株)製)である。
 タイムラプス観察後、撮像した観察画像を保存し、画像解析システム“AQUACOSMOS(浜松ホトニクス(株)製)”を用いてその観察画像から数値データを解析すると共に、解析した数値データのグラフ化を行った。
 Nanog発現量を定量するため、ES細胞コロニーを複数箇所選択した。発光画像の細胞選択領域の一部を図12に示す。図12(A)は、LV200による発光観察開始時の発光画像、図12(B)は、LV200による発光観察終了時の発光画像である。
 選択された9個の領域ROI 1-9の発光量数値をグラフ化し、図13に示した。コロニーのNanog発現量は、A-Cの3種類の発現パターンに分けられた。A-Cの発現パターンを、それぞれ図13(A)-(C)に示す。
 Aの発現パターンは、Nanog発現が低下した40時間後に、阻害剤添加によりNanog発現が上昇したコロニーのものである。分化誘導を阻害したことで未分化マーカーであるNanog発現が上昇したと考えられる。Nanogの発現は可逆的と報告されている結果と一致する。
 Bの発現パターンについては、阻害剤添加後もNanog発現が低下したままであったが、分化誘導が進み阻害剤の効果が見られなかったと考えられる。
 Cの発現パターンについては、FGF添加時にはNanog発現が見られなかったが、阻害剤添加によりNanog発現が上昇したコロニーのものである。生理学的な意義は不明であるが、これらの分類のように各コロニーでNanog発現のパターンが異なっていることが観察できた。
これらの結果から、Nanog遺伝子発現量および周期等、各幹細胞コロニーによってNanog遺伝子発現のパターンが異なっていることが分かった。ES細胞は、異なる性質を持つヘテロな細胞群であることが知られており、従来得られている見解と一致する。本結果から、1細胞または1コロニーごとに、ES細胞の分化状態をモニタリングできることが分かった。このように、フローサイトメーターのようなエンドポイントでの多能性・分化マーカーの検出、定量ではなく、1細胞ごとに時間的に連続的な遺伝子発現パターン解析を行うことで、より精度の高い解析が可能となった。
 1細胞または1コロニーごとの詳細な解析を行った後、遺伝子発現量を示す発光量と、遺伝子発現パターンを示す発光パターンとを指標として目的の細胞を取得することで、容易に幹細胞の純化が図れる。取得した幹細胞をさらに継代培養することで、コロニーごとの特性が明らかになる可能性がある。
 以上の実験の結果より、ルシフェラーゼの発光量を指標にして、未分化マーカーNanogの遺伝子発現を連続的に計測できることが分かった。
 実施例2:未分化マーカーと分化マーカーを用いた例
 実施例2-1:分化誘導前のES細胞の観察
 本実施例では、未分化マーカーNanog遺伝子、神経分化マーカーNestin遺伝子を異なる波長特性を持つルシフェラーゼである緑(Elucルシフェラーゼ)と赤(CBRルシフェラーゼ)を指標として検出する。本実施例では、幹細胞を神経系へ分化誘導した際に、ES細胞の分化誘導に伴う各マーカー遺伝子の発現変化を発光イメージングで検出し、定量化する。
 (1)未分化マーカー遺伝子のプロモーター領域とルシフェラーゼ遺伝子の融合遺伝子および分化マーカー遺伝子のプロモーター領域とルシフェラーゼ遺伝子の融合遺伝子の両方を導入したES細胞の作成
 Nanog遺伝子、Nestin遺伝子のプロモーター領域のクローニングについては、既に論文に公開されている遺伝子配列を用いた。Nanog遺伝子については、非特許文献「T Kuroda et al., Molecular and Cellular Biology 2005 vol.25, No.6, p2475-2485」、Nestin遺伝子については、非特許文献「L Cheng et al., FEBS Letters 2004 565 p195-202」を参考にプロモーター配列を取得した。
  Nanog遺伝子プロモーター領域配列は、マウスゲノムDNAを鋳型として取得した。Nanog遺伝子プロモーター領域を増幅するためのプライマーは、以下のものを使用した。 
forward primer:  CTACTCGAGATCGCCAGGGTCTGGA (配列番号1)
reverse primer:  CTACTCGAGCGCAGCCTTCCCACAGAAA (配列番号2)。
 Nestin遺伝子プロモーター領域配列は、マウスゲノムDNAを鋳型として取得した。Nestin遺伝子プロモーター領域を増幅するためのプライマーは、以下のものを使用した。 
forward primer:  GAGAACGCGTGGGCTGTGTGTTGCACT (配列番号3)
reverse primer:  GAGACTCGAGGTGGAGCACTAGAGAAGGGAGT (配列番号4)。
 取得したNanog, Nestin遺伝子プロモーター配列をELuc vector(東洋紡), CBR vector(Promega)にそれぞれ組み込み、異なるルシフェラーゼが組み込まれた「未分化マーカー発現特異的発光ベクターpNanog-Eluc」、「分化マーカー発現特異的発光ベクターpNestin-CBR」を作成した。
 遺伝子導入を行うES細胞を培養するために、フィーダー細胞を準備した。具体的には、35mm径のプラスティックディッシュを0.1%ゼラチンでコーティングし、PBSにて3回洗浄した。ゼラチンコートを行ったディッシュに、マイトマイシンC処理で分裂を停止したMEF細胞(mouse embryonic fibroblast マウス胎児線維芽細胞)を撒き、一晩培養を行った。培地には、DMEM(フェノールレッド、10%FCS入り)を用いた。翌日、マウスES細胞(BRC6株、理研BRC)を35mmディッシュ内のフィーダー細胞上に撒いた。
 一晩培養後、pNanog-Eluc、pNestin-CBRの両ベクターをマウスES細胞にトランスフェクションし、トランスフェクトした細胞を、培地として15%KSR(Knockout Serum(Gibco))、LIF(leukemia inhibitory factor)入りDMEMを用いて一晩培養した。遺伝子のトランスフェクションはAmaxa Nucleofecor(和光純薬株)によるNucleofection法を用いた。翌日、HEPES入りDMEM(15%KSR、フェノールレッド抜き)に置き換え、神経系細胞への分化誘導を行うために、1uMのRetinoic acid (Sigma)を添加した。
 (2)ES細胞の観察
 発光観察のためD-ルシフェリン(プロメガ社製:最終濃度100μM)を加え、発光顕微鏡LV200(オリンパス(株)製)を使ってマウスES細胞を観察した。異なる波長特性を持つ2種のルシフェラーゼを分光するために、BP515-560(Sigma)、610ALP(Sigma)の2種類の分光フィルターを使用して波長ごとに撮像を行った。
 トランスフェクション48時間後にLV200を使った観察を行った。緑色と赤色の多色検出は、上記分光フィルターを用いて行なった。観察条件は、以下のとおりである。
 観察装置:LV200 (Olympus) 対物レンズ:10倍 (NA 0.45) CCD camera:ImagEM (Hamamatsu Photonics)
 露出時間: Filter:515-560 3min Filter:610ALP 3min EM gain:1200
 観察用培地:マウスES細胞用培地+25mM HEPES、500μM D-Luciferin(Wako)
 トランスフェクション48時間後の撮像結果を図14に示す。図14(A)は、明視野画像を示し、図14(B)は、フィルターBP515-560を使用した発光画像1(Nanog発現)を示し、図14(C)は、フィルター610ALPを使用した発光画像2(Nestin発現)を示し、図14(D)は、発光画像1と2との重ねあわせ画像を示す。各観察における露出時間は3分間としたが、1コロニー毎の発光検出が可能であった。LIFを加えて培養を行なっているため、未分化状態は維持できていると考えられるが、Nestinの発現もわずかながら見られている。
 このように、本実施例によれば、個々のコロニーについて未分化状態から分化後の状態を連続的にモニタリングできることが分かった。とくに1コロニー内で、未分化状態と分化後の状態の両方が混在しているようなコロニー内の各遺伝子発現を同時にモニタリングできることが分かった。また、複数のコロニーについても、未分化状態のコロニーと分化後のコロニーを同時にモニタリングできることも分かった。異なる状態を同時にモニタリングすることができる本発明の方法は、再生医療の分野において、蛍光観察のように異なる励起光同士によるクロストークの問題を克服する新規なアプリケーションを提供する。
 実施例2-2:分化誘導後のES細胞の観察および解析
 ES細胞を分化誘導する場合、浮遊培養系で胚様体(Embryoid Body: EB)を形成させることが一般的である。ハンギングドロップ法など複数の作製方法が知られているが、本検討では、特殊リン脂質ポリマーを培養面にコートしたEZBindShut(IWAKI)を用いて胚様体を形成し、分化が進んだ胚様体におけるNestin遺伝子発現がどのようになっているのか検出を行なった。
 胚様体(EB)の調製は、以下のとおり行った。
(1)コンフルエント状態のマウスES細胞を35mm径ディッシュ1枚分準備した。
(2)PBSで1回洗浄した後、トリプシン処理した。
(3)最終的に200μL/well (1000 cells/well) となるように細胞数を調製し、Nucleofectionにより遺伝子導入を行った。
(4)15%KSR(Knockout Serum(Gibco))入りDMEMに細胞を播種し、低接着性U底マイクロプレート(EZ BindShut、AGC旭テクノガラス(株))に加えた。
(5)細胞用インキュベーター内で培養を行った。培養開始日を胚葉体(EB)形成0日目とした。胚葉体(EB)形成の様子を模式的に図15に示す。
(6)発光観察を行う際には、μピペットを用いて胚様体を回収し、D-Luciferin(Promega、最終濃度500μM)を加えた発光観察用培地:HEPES入りDMEM(15%KSR、フェノールレッド抜き)を含有する35mmディッシュに移した。
(7)LUMINOVIEW (LV200, Olympus)を用いて発光観察を行った。
 観察条件は、以下のとおりである。
観察装置:LV200 (Olympus) 対物レンズ:10×倍(NA 0.45) CCD camera:ImagEM (Hamamatsu Photonics) EM gain:1200
観察用培地:マウスEB細胞用培地+25mM HEPES、500μM D-Luciferin(Promega)
 胚様体(EB)形成後2日目と12日目に撮像した観察画像を保存し、画像解析システム“AQUACOSMOS(浜松ホトニクス(株)製)”を用いてその観察画像から数値データ解析を行った。分光フィルター毎に得られた発光強度を元にして、従来の蛍光観察で用いられている計算手法にて、各ルシフェラーゼ由来の発光強度を算出し、各マーカーの遺伝子発現強度、発現比を調べた。
 胚様体(EB)形成後2日目と12日目の観察画像を図16に示す。図16の上段は、胚様体(EB)形成後2日目の画像であり、左から順に、明視野画像、フィルターBP515-560を使用した発光画像1(Nanog発現)、フィルター610ALPを使用した発光画像2(Nestin発現)、と発光画像1と2との重ねあわせ画像を示す。図12の下段は、胚葉体(EB)形成後12日目の画像であり、左から順に、明視野画像、フィルターBP515-560を使用した発光画像3(Nanog発現)、フィルター610ALPを使用した発光画像4(Nestin発現)、発光画像3と4との重ねあわせ画像を示す。
 解析結果を以下に示す。
 胚様体における発光強度(平均値シグナル-バックグラウンド数値):
EB形成Transfection 2日目   Eluc: 3394  CBR: 1062  Eluc/CBR=3.19
EB形成Transfection 12日目   Eluc: 105  CBR: 3726  Eluc/CBR=0.03
 EB形成後2日目と12日目のNanogおよびNestin発現量を比較したところ、2日目では、ELuc発現が高くNanog発現が優位であった(Eluc/CBR=3.19)。EB形成後12日目では、Nanog発現が低くなり、Nestin発現が上昇していた(Eluc/CBR=0.03)。時間経過後に分化誘導が進むにしたがって、Nanog発現が減少、Nestin発現が増加していることが分かった。
 本検討では分化誘導後2日目と12日目の胚様体観察結果を比較した。細胞培養機能付きの顕微鏡であれば、顕微鏡下での連続観察を行うことも可能である。長期間の観察が難しいようであれば、連続観察分化誘導の初期、中期、後期と分けて観察を行なってもよい。本検討では一過性の遺伝子発現を行なっているため、遺伝子導入した安定株細胞を使って実験を行ってもよい。本実験に、発光だけではなく明視野観察を組み合わせることで、神経系細胞に分化したときに形態変化、マーカー遺伝子の発現がみられないタイミングでの形態情報を得ることができ、より精度の高い実験をおこなうことが可能となる。
 これらの結果から、分化誘導をかけた状態では多様な性質を持つ幹細胞、または幹細胞由来分化細胞が存在し、その中から実験の目的にあったコロニーを選択する必要があることが示された。発光を指標とした撮像を行い画像情報として遺伝子発現量をとらえることで、細胞の形態変化では同定ができない細胞分化の程度を各幹細胞ごとにモニタリングすることが可能となった。
 以上の説明において、コロニーまたは幹細胞を画像処理に必要な領域(ROI)として選択するためには、PCに附属または別個のディスプレー上に発光画像および明視野画像の重ね合せ画像を表示してもよいし、発光画像のみを表示してもよい。明視野画像は、幹細胞または幹細胞が属するコロニーごとの形態情報としての各輪郭情報や、コロニー内の幹細胞の分布といった位置情報が必要な場合に、発光画像と併用するのが好ましい。輪郭および/または位置の情報を得る目的に限れば、明視野画像の代わりに蛍光観察を行うことで得られる蛍光画像を発光画像と重ね合せてもよいし、あるいは、明視野画像と蛍光画像の両方を重ねた形態的な画像に対しさらに遺伝子発現量を示す発光画像を重ねてもよい。

Claims (13)

  1.  (A-1)分化状態検出マーカー遺伝子のプロモーター領域と発光タンパク遺伝子との融合遺伝子が導入された幹細胞を培養する工程と、
     (A-2)前記(A-1)の工程後の幹細胞に対し、分化を誘導する条件下で培養する工程と、
     (A-3)前記(A-1)~(A-2)の工程の少なくとも一定期間にわたって、幹細胞における発光タンパク遺伝子の発現による発光画像を撮像する工程
    を含むことを特徴とする、幹細胞の分化状態をモニタリングする方法。
  2.  (B-1)分化状態検出マーカー遺伝子のプロモーター領域と発光タンパク遺伝子との融合遺伝子が導入された幹細胞を培養する工程と、
     (B-2)幹細胞を更に継代培養する工程と、
     (B-3)前記(B-2)の工程後の幹細胞に対し、分化を誘導する条件下で培養する工程と、
     (B-4)前記(B-1)~(B-3)の工程の少なくとも一定期間にわたって、幹細胞における発光タンパク遺伝子の発現による発光画像を撮像する工程
    を含むことを特徴とする、幹細胞の分化状態をモニタリングする方法。
  3.  (C-1)分化状態検出マーカー遺伝子のプロモーター領域と発光タンパク遺伝子との融合遺伝子が導入された幹細胞を培養する工程と、
     (C-2)幹細胞を更に継代培養する工程と、
     (C-3)前記(C-1)~(C-2)の工程の少なくとも一定期間にわたって、幹細胞における発光タンパク遺伝子の発現による発光画像を撮像する工程
    を含むことを特徴とする、幹細胞の分化状態をモニタリングする方法。
  4.  請求項1~3の何れか1項に記載の方法であって、
     前記撮像工程が、発光イメージングシステムにより、継続して複数の発光画像を撮像する工程であることを特徴とする方法。
  5.  請求項4に記載の方法であって、
     前記撮像工程により得られた発光画像の特定細胞領域において、分化状態の指標として、発光量を測定し、発光量の経時変化を解析する工程
    を更に含むことを特徴とする方法。
  6.  請求項1~5の何れか1項に記載の方法であって、
     幹細胞または幹細胞が属するコロニーの輪郭および/または位置の情報を得るための明視野観察および/または蛍光観察を行い、発光画像と同じ領域で明視野画像および/または蛍光画像を取得する工程を更に含むことを特徴とする方法。
  7.  請求項1~6の何れか1項に記載の方法であって、
     分化状態検出マーカー遺伝子が、細胞が未分化な状態で特異的に発現する未分化マーカー遺伝子および/または細胞が特定の分化過程で特異的に発現する分化マーカー遺伝子であることを特徴とする方法。
  8.  請求項1~7の何れか1項に記載の方法であって、
     幹細胞が、複数種類の融合遺伝子が導入された幹細胞であり、
     融合遺伝子のそれぞれが、異なる種類の分化状態検出マーカー遺伝子のプロモーター領域を含み、
     分化状態検出マーカー遺伝子のプロモーター領域のそれぞれが、他の分化状態検出マーカー遺伝子のプロモーター領域と識別して検出されるように、異なる発光波長を有する発光タンパクをコードする遺伝子と融合されている
    ことを特徴とする方法。
  9.  請求項8に記載の方法であって、
     幹細胞が、2種類の融合遺伝子が導入された幹細胞であり、
     融合遺伝子の一つが、未分化マーカー遺伝子のプロモーター領域と第一の発光タンパク遺伝子との融合遺伝子であり、
     もう一つが、特定の分化過程で特異的に発現する分化マーカー遺伝子のプロモーター領域と、その発現が前記第一の発光タンパク遺伝子の発現と識別して検出される第二の種類の発光タンパク遺伝子との融合遺伝子である
    ことを特徴とする方法。
  10.  幹細胞の分化状態を同定する方法であって、請求項1~9の何れか1項に記載の方法で得られた発光画像および/または発光量データおよび/または明視野画像に基づいて、幹細胞の分化状態を同定する工程を含むことを特徴とする方法。
  11.  所望の分化状態を示す幹細胞を取得する方法であって、請求項6に記載の方法で得られた発光画像および/または発光量データおよび/または明視野画像に基づいて、複数の幹細胞の中から所望の分化状態を示す幹細胞を取得する工程を含むことを特徴とする方法。
  12.  前記発光画像が、コロニー内の個々の幹細胞の遺伝子発現量を示していることを特徴とする請求項1から11の何れか1項に記載の方法。
  13.  前記コロニーが、胚様体を形成している請求項12に記載の方法。
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