JP6116226B2 - 幹細胞の状態を同定する方法 - Google Patents

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Description

本発明は、幹細胞の状態を同定する方法に関する。
再生医療分野では、幹細胞を使った細胞移植、臓器再生による難病治療が期待されている。心疾患等の臨床応用が先行しているが、実際に移植した幹細胞がどのように機能しているか、不明な点が多い。安全な移植を行うためには、幹細胞の分化誘導(ある特定の機能を持つ細胞へ誘導すること)のメカニズム解明や細胞内動態や機能を制御する因子の同定が必須である。
これまでに、幹細胞は、未分化細胞に高度に特異的ないくつかの転写因子を発現していることが分かっている。これらには、Oct−4、Sox、Nanog、白血病抑制因子受容体(LIF−R)が含まれる。Oct−4は原腸未形成胚、卵割初期胚、胚盤胞の内細胞塊の細胞、および胚性癌(EC)細胞で発現している。成体動物では、Oct−4は生殖細胞だけに見られる。
ES細胞、iPS細胞等の幹細胞実験では、フィーダー細胞との共培養、LIF添加により多能性を維持しているが、環境や細胞のコンディションが原因で多分化能を失い容易に分化してしまうことがある。分化誘導プロセスの理解を図るうえで、未分化状態(多能性を持つ状態)、分化状態を正確に知ることは重要であるが、分化状態は幹細胞の形態だけで判断することは難しい。
特許文献1は、細胞に由来する遺伝子から選択される少なくとも一つの遺伝子に関連する遺伝子状態を経時的にモニターすることにより、該細胞の経時プロファイルを得ることを含む方法が開示されている。実施例では、細胞を固相支持体に固定し、アレイ状に配した細胞に対してGFP等のレポーター遺伝子を導入した後に、画像を時系列に取得し、経時プロファイルを利用して細胞状態を判定している。しかしながら、この方法では、数値解析による定量化および評価は複数の細胞を含む細胞群に対して行われており、細胞を個々に評価することはできず、幹細胞の多様性について判断することは困難である。また、観察のためにGFPを使用するため、細胞に対して励起光を照射する必要があり、特に長期に及ぶ観察の場合、励起光が細胞に与える影響を考慮することが必要となる。
特許文献2は、幹細胞コロニーとフィーダー細胞とを含む画像から、フィーダー細胞が占める領域を抽出し、その領域に存在するフィーダー細胞の形態的特徴を示す特徴量を算出し、その特徴量と幹細胞コロニーの状態との対応関係に基づいて、幹細胞コロニーの状態を評価することを含む細胞評価装置を開示している。しかしながら、フィーダー細胞を用いることなく細胞の分化を促す細胞培養を行なう場合もあり、そのような場合に幹細胞の状態を評価することはできない。
特表2006−522605号公報 特開2011−229409号公報
本発明の目的は、幹細胞の状態についての有用な情報を提供することにある。
本発明に係る幹細胞の状態を同定する方法は、幹細胞の状態を検出するためのマーカー遺伝子の転写因子結合領域と、前記領域の下流に位置するルシフェラーゼ遺伝子とを含む核酸を有する幹細胞を培養することと、前記ルシフェラーゼ遺伝子の発現に起因する発光を経時的に撮像して、複数の発光画像を含む経時的プロファイルを得ることと、前記経時的プロファイルから抽出した特徴量を解析することとを含む。
本発明によれば、幹細胞の状態についての有用な情報が提供される。
図1は、コロニーの形状をスコアリングする場合における、各スコアのコロニーの形状の例を示す図である。 図2は、(a)未分化細胞および(b)分化細胞から生じる発光の経時的変化を示すグラフである。 図3は、分化マーカーに基づく遺伝子発現量および未分化マーカーに基づく遺伝子発現量の経時的変化を概略的に示すグラフである。 図4は、細胞の培養に使用することができる、底面に複数のくぼみを有した容器を概略的に示す断面図である。 図5は、図4のような容器を使用したときの幹細胞の状態を概略的に示す図である。 図6は、実施例にて取得された明視野画像および発光画像の一例を示す図である。 図7は、1つのEBにおける、各マーカーの遺伝子発現強度および発現比を示す図である。 図8は、別のEBにおける、各マーカーの遺伝子発現強度および発現比を示す図である。
本発明の第1実施形態は、幹細胞の状態を同定する方法に関する。
第1実施形態に係る方法は、幹細胞の状態を検出するためのマーカー遺伝子の転写因子結合領域と、前記領域の下流に位置するルシフェラーゼ遺伝子とを含む核酸を有する幹細胞を培養することと、前記ルシフェラーゼ遺伝子の発現に起因する発光を経時的に撮像して、複数の発光画像を含む経時的プロファイルを得ることと、前記経時的プロファイルから抽出した特徴量を解析することとを含む。
幹細胞は、例えば、胚性幹細胞(ES細胞)、体性幹細胞、人口多能性幹細胞(iPS細胞)またはがん幹細胞である。幹細胞は、種々の生物に由来するものであってよく、例えばヒト、マウスといった哺乳類の幹細胞である。幹細胞は、市販される細胞であってよく、または公知の方法によって製造された細胞であってよい。
幹細胞の状態として、例えば、分化の程度、未分化の程度および/または外来因子に対する応答の程度が同定される。すなわち、幹細胞がどの程度分化しているかや、外来因子に対してどの程度応答しているかといったことが同定される。幹細胞の状態の同定には、観察時の幹細胞の状態を評価することだけでなく、観察時から一定時間後の幹細胞の状態を予測することも含まれる。
幹細胞の状態を検出するためのマーカー遺伝子は、例えば、その遺伝子が発現することおよび/または発現しないことに基づいて細胞の状態を判別することが可能となる遺伝子である。未分化の程度を同定する際に使用できるマーカー遺伝子は、例えば、細胞が未分化であるときに特異的に発現する遺伝子であり、その具体例は、Nanog、Oct、Sox等である。分化の程度を同定する際に使用できるマーカー遺伝子は、例えば、細胞が分化する過程において特定的に発現する遺伝子であり、その具体例は、Nestin、Mash1といった神経分化マーカー遺伝子、およびGATA4、Nkx2.5といった心筋分化メーカー遺伝子である。
転写因子結合領域は、転写因子と呼ばれるタンパク質が特異的に結合できる、核酸に存在する領域である。転写因子が転写因子結合領域に結合することにより、核酸上の遺伝情報の転写が制御される。転写因子結合領域は、例えば、プロモーター、エンハンサーまたはサイレンサーである。転写因子結合領域は、公知のものを使用してよく、あるいは、マーカー遺伝子の上流に位置する塩基配列からクローニングしてもよい。
転写因子結合領域としてプロモーターを使用する場合、Nanogのプロモーター領域は、例えばT Kuroda et al., Molecular and Cellular Biology (2005 vol.25, No.6 p2475-2485)に記載されるものを使用でき、Oct−4のプロモーター領域は、例えばS Okumura-Nakanishi et al., The journal of Biological Chemistry (2005 vol. 280, No7 p5307-5317)に記載されるものを使用でき、Nestinのプロモーター領域は、例えばL Cheng et al., FEBS Letters 2004 565 p195-202に記載されるものを使用できる。
ルシフェラーゼ遺伝子は、発光が生じる化学反応を触媒する酵素であるルシフェラーゼをコードする遺伝子である。ルシフェラーゼは、ATPが存在する場合に、基質であるルシフェリンの酸化反応を触媒する。その反応の際、ルシフェリンが発光する。
ルシフェラーゼ遺伝子は、ホタルやバクテリアといった種々の生物に由来するものであってよい。ルシフェラーゼ遺伝子は、例えば、緑色の発光を生じさせるElucルシフェラーゼ、赤色の発光を生じさせるCRBルシフェラーゼ、青色の発光を生じさせるウミシイタケルシフェラーゼといった市販されるものをコードする遺伝子であってよい。ルシフェラーゼ遺伝子を予め含有する市販のベクターの例は、Eluc vector(東洋紡)、CRB vector(Promega)およびRenilla vector (Promega)である。
核酸は、例えば、幹細胞の核内に含まれるDNAであり、または細胞質中にベクターとして存在するDNAである。核酸の塩基配列の一部は、転写因子結合領域およびルシフェラーゼ遺伝子となっている。転写因子結合領域とルシフェラーゼ遺伝子と位置関係は、転写因子結合領域に対して特異的に転写因子が結合することでルシフェラーゼ遺伝子の発現が促進される位置関係となっている。
一対の転写因子結合領域およびルシフェラーゼ遺伝子は、核酸に1つのみ存在してよい。または、1種類の転写因子結合領域およびルシフェラーゼ遺伝子の対が、核酸に複数存在してよい。あるいは、複数種の転写因子結合領域およびルシフェラーゼ遺伝子の対が、核酸に1つずつまたは複数ずつ存在してよい。複数種の転写因子結合領域およびルシフェラーゼ遺伝子の対を使用する場合、それぞれの対の転写因子結合領域は互いに異なるマーカー遺伝子に対するものであり、且つそれぞれの対のルシフェラーゼ遺伝子は異なる色の発光をもたらすルシフェラーゼの遺伝子とすることができる。
幹細胞の培養は既知の方法により行うことができる。幹細胞をフィーダー細胞と同時に培養してもよい。培養するための培地には、分化を促進または抑制するための物質を添加してもよい。例えば、分化抑制因子であるLeukemia Inhibitory Factor(LIF)を培地に添加することができる。また、培地には、幹細胞に対して特定の刺激を与えるための外来因子を添加してもよい。幹細胞は、例えば、37.0℃で1〜3日間培養される。必要に応じて、継代培養を行うことができる。また、培地には、公知の方法に基づいて、任意の時期に任意の量で、ルシフェリン、ATP、マグネシウム等の発光のために必要な物質を添加することができる。
培養は、底面に複数のくぼみを有した容器を使用して行うことができる。図4は、そのような容器を概略的に示す断面図である。図示される容器1では、3つのくぼみが存在しており、それぞれのくぼみに複数の幹細胞から成る胚様体2が存在している。容器1には培養液3が満たされているが、その水面の高さAは、くぼみ同士を隔てる壁の高さ(くぼみの深さ)Bよりも高くなっている。各くぼみは、図示されるように、水面から底面の方向に向かって直径が小さくなるような形状を有してよい。例えば、くぼみは、U字型の形状、お椀型の形状等を有している。くぼみの最大直径Cは、例えば200μmから3mmであってよい。
図5には、図4のような容器を使用したときの幹細胞の状態が概略的に示される。図5aに示されるように、容器1に対して、幹細胞4を含んだ培養液3を添加し、静置する。その後、図5bに示されるように、時間の経過とともに幹細胞4は沈み、各くぼみに収まっていく。各くぼみは、水面から底面の方向に向かって直径が小さくなっているため、くぼみ内においても幹細胞4の集合が促され、最終的に図5cに示されるように、胚様体2が形成される。なお、各くぼみに1つの幹細胞を収めて培養することもできる。この場合、各くぼみに1つの幹細胞が入るように細胞の濃度が調整された培養液を容器に添加する。
また、図4のような容器を使用する場合、培養に引き続き、観察もこの容器を使用して行うことができる。すなわち、幹細胞が各くぼみに収まった状態で観察を行うことができる。くぼみの直径が十分に小さい場合、顕微鏡の一視野内に複数のくぼみを観察することができる。図6aには、図4のような容器を使用した際に観察される明視野画像が示される。この図によると、一視野内に複数のくぼみが観察されることがわかる。
なお、図4のような容器の発展的な使用方法として、特定の薬剤の効果等の評価を行うことができる。例えば、培養液中に薬剤を投与した後に、各くぼみの様子を観察し、細胞が特定の状態になったくぼみの数を数えることで、薬剤の効果等を評価することできる。
ルシフェラーゼ遺伝子の発現は、転写因子結合領域と転写因子との結合に応じて制御される。本来、転写因子結合領域はマーカー遺伝子の転写を制御するためのものであるため、ルシフェラーゼ遺伝子の発現のタイミングおよび発現量等は、マーカー遺伝子のそれらに一致しているとみなすことができる。ルシフェラーゼ遺伝子の発現によって細胞内に生じたルシフェラーゼタンパク質は、細胞に対して提供されたルシフェリンの酸化を触媒し、その結果ルシフェリンが発光する。したがって、発光に基づいて、マーカー遺伝子のタイミングおよび発現量等を推定することができる。
発光は経時的に撮像され、画像が取得される。本発明では、発光を撮像することにより得られた画像を発光画像と称する。発光画像は、発光する細胞に由来する発光シグナルが検出された領域と、発光しない細胞および細胞が存在しない部分に由来する発光シグナルが検出されない領域とを含む。このため、細胞毎またはコロニー毎の発光を推定することができる。
発光画像は、例えば、発光に応じた特定の波長を有した光のみを主に透過させるフィルターと、光を電気信号に変換する撮像素子と、電気信号から発光画像を作り出す処理手段とを含む装置を用いて取得することができる。発光画像を取得するための装置の例は発光イメージングシステムであり、この具体例は、発光イメージングシステムLV200(オリンパス株式会社製)である。
撮像は経時的に行われる。すなわち、撮像は、任意の間隔で連続的に行われる。例えば、撮像は、5分から1時間の間隔で行われる。また、1回の撮像の時間は任意に設定される。1回の撮像時間は、十分な発光シグナルを検出できるように調整することができる。
発光画像の取得と並行して、幹細胞に対して照射された照明光が幹細胞を反射および/または透過して生じる光に基づく明視野画像を取得することもできる。すなわち、明視野画像は、発光に基づくことなく、幹細胞の位置および形態等を観察することができる画像である。明視野画像には、位相差画像やDIC観察画像を含む。明視野画像は、発光画像の取得とほぼ同じタイミングで取得することができ、あるいは、発光画像の取得からは独立して、任意のタイミングで取得することができる。
経時的プロファイルとは、幹細胞を経時的に測定することで得られた幹細胞に関する情報の集合を意味する。経時的プロファイルは、経時的に取得された複数の発光画像を含む。また、経時的プロファイルは、1つ以上の明視野画像を含んでよい。さらに、経時的プロファイルは、画像以外の情報を含んでよく、例えば、培養時間、培養温度、培養液の組成といった培養時の条件を含んでよい。
経時的プロファイルから特徴量が抽出される。特徴量とは、経時的プロファイルに含まれる幹細胞に関する情報の一部を数値化した情報、ある特徴の有無および符号変化などの変動情報等である。
特徴量の例は、発光画像から抽出される発光に基づく量である。発光に基づく量の例は、発光の強度および発光の変動である。発光の強度は、例えば、特定の時間における発光の絶対的もしくは相対的な強度、または特定の期間における積算または平均化された発光の強度である。発光の変動は、例えば、発光強度の測定値を、発光強度−測定時間の平面にプロットし、各プロットを繋いでできる曲線から見出すことができる。例えば、発光の変動は、そのような曲線の形状、そのような曲線における発光強度のピークの位置等である。また、そのような曲線の少なくとも一部が振動する場合には、その振動に関する情報であり、例えば、その振動の波長もしくは周期、振幅または波高等である。振動は、発光量の増減の繰り返しを意味する。
特徴量の別の例は、幹細胞の形態に基づく量、すなわち、幹細胞の形態を、任意の判断基準に基づいて数値化したものである。幹細胞の形態に基づく量は、発光画像および/または明視野画像から抽出することができる。幹細胞の形態に基づく量の例は、幹細胞のコロニーの厚さ、幹細胞の円形度、幹細胞の大きさおよび幹細胞のコロニーの大きさである。
抽出された特徴量はその後解析されるが、解析の前に、特徴量を数理的に処理することができる。この処理により、特徴量は解析に適したものに変換される。そのような数理的な処理の例は、特徴量の各々を、その前後に取得された少なくとも1つの特徴量との間の相加平均に変換することである。あるいは、特徴量の各々を、その分散の値に変換することである。
解析は、例えば、幹細胞の状態を判断するために行われる。この判断は、現在の幹細胞の状態を評価することであり、あるいは幹細胞の将来の状態を予測することである。
解析は、公知の手法に基づいて行うことができる。例えば、複数種の特徴量を抽出した場合、解析として、それらの特徴量を多変量解析することができる。多変量解析の例は、判別分析、ロジスティック回帰分析、主成分分析または因子分析である。判別分析またはロジスティック回帰分析は、線形モデルまたは非線形モデルに基づいて行うことができる。あるいは、自己相関係数を変数として行ってもよい。種々の解析を同時に行うこともできる。
第1実施形態に係る方法によれば、経時的プロファイルから抽出された特徴量に基づいて解析することにより、幹細胞の状態を高い精度で同定することができる。特に、ルシフェラーゼに起因する発光を利用するため、細胞に対するダメージを最小限に抑えられ、数日から数週間にわたる長期的な観察が可能となる。また、発光画像を取得するため、幹細胞ごとおよびコロニーごとに状態を同定することができる。したがって、従来の手法と比較して、幹細胞の状態をより高い精度で同定することが可能となる。その結果、幹細胞の再生医療等への応用を促進することが可能となり、また幹細胞の多能性維持機構、分化機構等の解明を促進することができる。個々の幹細胞または幹細胞コロニーにおける幹細胞の分化状態が同定できれば、幹細胞を細胞治療や研究等に用いる場合に、目的に合った幹細胞または幹細胞コロニーを選定、回収し、適宜使用することができる。
また、細胞の培養には、一般に、各ウェルが分離され、その直径が1cm程度となるようなプレートが使用される。このようなプレートでは、ウェル間の培養液の移動が生じないため、ウェルごとに環境が異なる場合がある。また、顕微鏡を用いて観察する場合には、1つの視野に複数のウェルの様子を捉えることは困難となる。さらに、底面がフラットなプレートでは、培養液の対流によって細胞も移動しやすい。培養液の対流は、周囲温度の変化や、プレートを移動させることにより容易に生じるため、例えば、経時的な観察のように、細胞の移動を極力避けたい観察には、このようなプレートは不向きとなる。
一方、図4のような底面に複数のくぼみを有した容器では、培養液の水面がくぼみ同士を隔てる壁の高さよりも高いため、各くぼみに存在する細胞同士を、同一の環境下で、互いに分離して培養することができる。また、顕微鏡を使用する場合に、複数のくぼみを同時に観察することが可能となるため、細胞の状態のばらつきの確認も容易となり、観察結果の信頼性が向上する。さらに、細胞が各くぼみに収まっているため、培養液に多少の対流が生じた場合であっても、また、細胞自身の動きが生じた場合であっても、細胞がくぼみから出たり、隣接するくぼみに移動したりすることは殆どない。そのため、経時的な観察への使用に適している。
本発明の第2実施形態は、幹細胞の状態を同定する方法に関する。
第2実施形態に係る方法は、第1実施形態に係る方法に、前記特徴量を解析した結果に基づいて、将来のある時点および/またはある期間の前記幹細胞の状態を予測することを含む方法である。
将来のある時点および/またはある期間とは、例えば、経時プロファイルの取得が完了した後、一定時間が経過したときの特定の時点および/または期間であり、または、この方法が完了した後、一定時間が経過したときの特定の時点および/または期間である。
予測は、例えば、特徴量を解析した結果に基づいて行うことができる。例えば、特徴量に基づいて判別分析やロジスティック回帰分析が行われた場合、算出された判別関数や予測式に基づいて、将来のある時点や期間における幹細胞の状態が同定される。
状態を予測しようとする幹細胞と、特徴量を抽出するために用いた幹細胞とが同一でなくてもよい。例えば、少量の幹細胞を培養して、その幹細胞から特徴量を抽出し、予め解析結果を得た後、ほぼ同一の条件下で培養した幹細胞に対してその解析結果をあてはめて、将来の状態を予測することができる。
第2実施形態に係る方法によれば、幹細胞の将来の状態を高い精度で予測することができる。これにより、例えば幹細胞を再生医療等に応用する場合には、細胞の移植や臓器形成の成功率を向上させることができる。
本発明の第3実施形態は、被検体を診断する方法に関する。
この方法は、
a)細胞が本来有する転写因子結合領域の少なくとも1つに関連する転写の状態を経時的にモニターして経時的プロファイルを得ること;
b)前記経時的プロファイルに基づいて前記細胞の状態を判定すること;および
c)前記細胞の状態から、前記被験体の状態、障害または疾患を判定すること
を含む。
この方法において、細胞は被験体から採取されたものであってよい。また、この方法は、判定した結果に応じて選択された治療または予防を被検体に施すことをさらに含んでよい。
本発明の第4実施形態は、被検体を診断するためのシステムに関する。
このシステムは、
a)細胞が本来有する転写因子結合領域の少なくとも1つに関連する転写の状態を経時的にモニターして経時的プロファイルを得る手段;
b)前記経時的プロファイルに基づいて前記細胞の状態を判定する手段;および
c)前記細胞の状態から、前記被験体の状態、障害または疾患を判定する手段
を含む。
このシステムにおいて、細胞は被験体から採取されたものであってよい。また、このシステムは、判定した結果に応じて選択された治療または予防を被検体に提供する手段をさらに含んでよい。
第3実施形態に係る方法および第4実施形態に係るシステムは、薬剤耐性、多能性維持や分化誘導を促進する低分子化合物のスクリーニング、適切な抗がん剤の選択、適切な移植細胞の選択などのテーラーメイド診断および治療に応用可能である。
<実施例1:未分化マーカーNanog遺伝子を用いた幹細胞の状態の評価>
Nanog遺伝子は幹細胞の未分化マーカーとして広く使用されているが、フローサイトメーター解析結果より遺伝子発現が時間経過で変動することが分かり、一過的な遺伝子発現量を調べるだけでは、分化度を判断することは難しいことが報告されている(Chambers et al., vol 450,p1230, Nature 2007)。
本発明に基づいて、幹細胞の状態を評価した。転写因子結合領域として、未分化マーカーであるNanog遺伝子の転写を制御するための転写因子結合領域を使用した。発光画像から、Nanog遺伝子の発現の変動に関する特徴量を抽出した。さらに、明視野画像から細胞の形状に関する特徴量を抽出した。
(1−1)細胞の作製
未分化マーカーであるNanog遺伝子のためのプロモーターとその下流に位置するルシフェラーゼ遺伝子とを含む核酸を核内に有する細胞を作製した。その概要としては、転写因子結合領域およびルシフェラーゼ遺伝子並びに薬剤耐性遺伝子を含む遺伝子導入ベクターを幹細胞に導入し、薬剤耐性遺伝子が安定的に発現するようになった細胞(安定発現細胞)を選択した。詳細を以下に述べる。
Nanog遺伝子のためのプロモーターは、既知の文献(T Kuroda et al., Molecular and Cellular Biology 2005 vol.25, No.6, p2475-2485)を参考にクローニングした。具体的には、マウス由来のゲノムDNAを鋳型とし、以下のプライマーを使用した。
forward primer: CTACTCGAGATCGCCAGGGTCTGGA (配列番号1)
reverse primer: CTACTCGAGCGCAGCCTTCCCACAGAAA (配列番号2)。
一方、ネオマイシン耐性pGL4ベクター(Promega)におけるルシフェラーゼ遺伝子に対応する核酸断片を、Elucルシフェラーゼ遺伝子の断片に置き換えた。このベクターに対し、上述のようにクローニングしたNanog遺伝子のプロモーターに対応する断片を挿入した。このようにして得られた遺伝子導入ベクターを、Nanog遺伝子発現特異的発光ベクターpNanog−Elucと称する。
pNanog−Elucを、マウスES細胞にトランスフェクションするために、まず、ES細胞をフィーダー細胞とともに培養した。具体的には、35mm径のプラスティックディッシュを0.1%ゼラチンでコーティングし、PBSにて3回洗浄した。ゼラチンコートを行ったディッシュに、マイトマイシンC処理で分裂を停止させたMEF細胞(mouse embryonic fibro−blast マウス胎児線維芽細胞)をフィーダー細胞として撒き、一晩培養を行った。培地には、DMEM(フェノールレッド、10%FCS入り)を用いた。翌日、マウスES細胞(BRC6株、理研BRC)を35mmディッシュ内のフィーダー細胞上に撒き、一晩培養した。
その後、pNanog−Elucを、マウスES細胞にトランスフェクションした。トランスフェクションは、Amaxa Nucleofector(和光純薬株)を用いて、Nucleofection法により行った。培地にG418を適量添加して、安定的に遺伝子が導入された細胞のみを選択した。
(1−2)細胞の培養
Nanog−Elucを恒常的に発現したマウスES細胞を、15%KSR(Knockout Serum(Gibco))およびLIF(leukemia inhibitory factor)が添加されたDMEM培地にて一晩培養した。その後、細胞を2つに分け、それぞれLIFおよびHEPESが添加されたDMEM培地(15%KSR、フェノールレッド抜き)並びにHEPESが添加されたDMEM培地(15%KSR、フェノールレッド抜き、LIF非添加)に移した。LIFとしては、製品名LIF Human, recombinant, Culture Supernatant(和光純薬製)を規定濃度で使用した。
(1−3)発光画像の取得
培地に対して、最終濃度500μMのD−ルシフェリン(プロメガ社製:)を添加した後、発光イメージングシステムLV200(オリンパス株式会社製)に設置した。マウスES細胞を15分間隔で12分間ずつ撮像し、対物レンズは×20の倍率のものを使用し、binningは1×1とし、CCDカメラはImagEM(浜松ホトニクス株式会社製)を用いた。
取得された発光画像は、画像解析システムAQUACOSMOS(浜松ホトニクス株式会社製)を用いて、数値データを解析し、グラフ化した。LIF非存在下で培養した細胞の発光画像から、明視野画像による形態情報を利用し、未分化状態のコロニーと分化状態のやや広がったコロニーに分類して発光量の数値化を行った。それぞれ1つのコロニーを含むRegion of interest(ROI)の細胞選択領域を選択した。未分化細胞は、ROI6−10として選択し、分化細胞は、ROI1−5として選択した。
図2(a)に、ROI6〜10についての時間に対する発光量を示し、図2(b)に、ROI1〜5についての時間に対する発光量を示す。図2(a)および(b)から、形態的に未分化状態にある細胞(図2a)の方が、形態的に分化が進んでいる細胞(図2b)に比べてNanog遺伝子の発現量が高いことがわかる。さらに、図2(a)によると、形態的に未分化状態にある細胞では、時間の進行とともにNanog遺伝子の発現量が振動することがわかる。
(1−4)明視野画像に基づく細胞の形態に関するスコアリング
発光画像の取得と同時に明視野画像を取得した。明視野画像において、それぞれ1つのコロニーを含むROIを発光画像のそれらに対応するように指定し、各ROIに含まれるコロニーの形状から分化の程度を判断した。
分化の程度は、図1に示される3つの段階に分類し、それぞれの段階に対して3通りのスコアを付けた。最も未分化な段階として、コンパクトな球形で辺縁がクリアである状態のコロニーをスコア2とし、中程度の段階として、厚さが減少し球形が少し崩れ始めた段階のコロニーをスコア1とし、最も分化した段階として、まとまりのある形状が崩れ、平坦になったコロニーをスコア0とした。これらの判別は目視によって行った。なお、完全な未分化の段階と完全な分化の段階との中間にあるコロニーを、それら2つの段階の何れかに振り分けることは解析結果の精度を下げると考えたため、中程度の段階を設けた。なお、この判定は、画像解析プログラム等を用いて自動判別してもよい。
各ROIに含まれるコロニーについて、一定時間ごとにコロニー形状についてのスコアリングを行った。そのうち1つのROIに関するスコアリングの結果を以下の表1に示す。表1には、時間経過によるコロニー形状のスコアリングの結果、および発光量(すなわち遺伝子発現量)の相対値がまとめられる。
Figure 0006116226
表1から、時間の進行に応じて形状を表すスコアは下がることがわかる。このことから、このコロニーが時間の進行とともに分化していくことがわかる。それに対し、遺伝子発現量は増減し、変動していることがわかる。形状を表すスコアが同じである任意の2つの時点を比べると、遺伝子発現量が異なっている場合があることがわかる。また、遺伝子発現量が同じである任意の2つの時点を比べると、形状を表すスコアが異なっている場合があることがわかる。
(1−5)判別分析
上述するような発光量と細胞の形状との関係から、細胞の形状が同じであっても、Nanog遺伝子の発現量が振動している細胞は、最終的に分化するまでの時間が長くなる傾向があることが確認された。
53.5時間後の形態的な分化状態でサンプルを2群に分けて、35時間までの振動回数でその2群をマン・ホイットニーのU検定で比較したところ、形態的に未分化な細胞のほうが、振動回数が有意に多いことが分かった(p=0.0152)。
そこで、遺伝子発現量の振動の程度と細胞の形状のスコアとを変数として、分化の状態を判別するための判別分析を行った。
各ROIについて、1時間ごとに遺伝子発現量を測定し、その測定結果から振動の回数を算出した。具体的には、各時点について遺伝子発現量を測定し、それらの値を平滑化する処理を行った。すなわち、各時点における測定値に対し、前後3点の測定値を加え、その計7点分の測定値から平均値を算出した。この処理は、その時点の測定結果に含まれるノイズの影響を小さくする目的で行った。次に、各時点における平滑化後の値において、連続する2時点での変化量(増減)を計算し、その増減の符号が逆転した回数を振動の回数とした。各ROIについて、測定開始から19.5時間後までの遺伝子発現量における振動を算出した。
一方、各ROIについて、測定開始から19.5時間経過時点におけるコロニー形状のスコアを算出した。
また、各ROIについて、53.5時間経過時点において、分化しているか否かを判断した。判断結果は数字として表した。すなわち、分化している場合0とし、未分化の場合1とした。
9つのROIについての、19.5時間の時点における形状のスコア(x)、19.5時間後までの遺伝子発現量の振動回数(z)および53.5時間の時点における分化しているか否かの判断結果を、以下の表2にまとめる。
Figure 0006116226
さらに、19.5時間の時点における形状のスコア(x)、19.5時間後までの遺伝子発現量の振動回数(z)および53.5時間の時点における分化しているか否かの判断結果に基づいて、53.5時間の時点における分化を予測するための判別関数Wを次式の通り求めた。
Figure 0006116226
この式において、Wが正の値となる場合、細胞は未分化であることを表し、負の値となる場合、細胞は分化していることを表す。
表2の右端の列には、各ROIのxおよびzの値を代入することで計算されたWの値が示されている。この値と、実際に観察された分化の状態とを比較すると、9つのROIの内8つが一致した。すなわち的中率は88.89%となった。
比較として、遺伝子発現量のみに基づいて予想した場合、9つのROIの内4つしか的中せず(的中率=44.44%)、コロニーの形状のみに基づいて予想した場合、9つのROIの内5つしか的中しなかった(的中率=66.67%)。
また、10時間の時点から30時間の時点までの遺伝子発現量の振動回数のみに基づいて、46.5時間後の分化の状態を予想した場合、9つのROIの内9つが的中した(的中率=100.0%)。一方、30時間の時点における形状のスコアのみに基づいて、46.5時間後の分化の状態を予想した場合、9つのROIの内5つが的中した(的中率=66.67%)。
以上より、特徴量として遺伝子発現量の変動と形状についてのスコアとを選択し、それらに基づいて判別分析を行うことで、精度の高い予想が可能となることがわかった。また、適切な範囲を選択することでも、予測の精度を上げることができることがわかった。
(1−6)ロジスティック回帰分析
発光画像に基づく遺伝子発現量の測定結果と、明視野画像に基づく細胞の形状に関するスコアとを利用して、ロジスティック回帰分析により細胞の分化状態を予測することを検討した。
すなわち、tm時間後にまだ完全分化(x=0)していない細胞の形状x(tm)と、ts時間後からtm時間後までのNanog遺伝子の発現量データy(t)(t=ts〜tm)を用いて、tn(tn>tm)時間後の細胞の形状が完全分化状態にある確率P(tn)を予測する。なお、一度完全分化した細胞が未分化状態にもどることはないと考える。
予測式を線形モデルで表すと次式で表される。
Figure 0006116226
但し、予測式は必ずしも線形モデルである必要はなく、非線形モデルであってもかまわない。
また、Nanog遺伝子の発現量が振動している情報を加えるため、ts時間後からtm時間後までのNanog遺伝子の発現量の変化量が符号変化した回数(振動回数)zをモデルに組み込む場合、その予測式は次式で表される。
Figure 0006116226
この場合も、予測式は必ずしも線形モデルである必要はなく、非線形モデルであってもかまわない。
<実施例2:外来因子を投与した場合の幹細胞の状態の評価>
幹細胞に対し、Fibroblast Growth Factor(FGF)を投与した場合、分化が誘導されることが既知である。一方、そのようにして分化が誘導された細胞に対し、FGFのインヒビターを投与することで、細胞は未分化の状態に戻ろうとし、やや分化した状態となることがわかっている。
このように、FGFやそのインヒビターといった外来因子を使用する場合、解析のために使用するデータは適宜選択される。例えば、FGFによる分化誘導のみの場合は、誘導をしてからの時系列データを使用でき、インヒビターを使用した場合は使用後の時系列データを使用できる。
FGFによる分化誘導後、またはインヒビター使用後のES細胞の遺伝子発現変化時系列観察値および細胞形態変化時系列観察値から、当該細胞の一定時間後の分化状態、および一定時間後からの一定期間内の分化状態が予測される。形態変化の経時プロファイルも利用することで、予測精度を向上させることができる。
<実施例3:複数種のマーカー遺伝子を使用した場合の幹細胞の状態の評価>
様々な種類の転写因子結合領域およびルシフェラーゼ遺伝子の対を組み合わせて使用して、幹細胞の分化の程度を評価することができる。組み合わせることで、その精度を向上させることができる。
例えば、分化マーカー遺伝子と未分化マーカー遺伝子とを組み合わせて使用することができる。複数種のマーカー遺伝子を、波長特性の異なる複数のルシフェラーゼ遺伝子で識別標識し、分光フィルターを使用して、各ルシフェラーゼに特異的な波長ごとに撮像を行うことで、図3に示されるように、分化マーカーに基づく発光量と未分化マーカーに基づく発光量の経時変化プロファイルデータが得られる。
例えば、未分化マーカーに対する分化マーカー遺伝子発現量の比(分化マーカー発現量/未分化マーカー発現量)を特徴量とした場合、幹細胞の分化が進むと時間経過とともにこの比が大きくなり、この比を指標に幹細胞の状態を同定することができる。
また、複数種類(たとえば2または3種類)の未分化マーカー遺伝子を使用してもよいし、1種類の未分化マーカー遺伝子と1種類の分化マーカー遺伝子を使用してもよいし、1種類の未分化マーカー遺伝子と複数種類(たとえば2または3種類)の分化マーカー遺伝子を使用してもよい。
以下に、マーカー遺伝子の転写因子結合領域とルシフェラーゼ遺伝子との組み合わせを2種類使用した実施例を示す。
<分化誘導前のES細胞の観察>
未分化マーカーNanog遺伝子および神経分化マーカーNestin遺伝子の発現の検出のために、互い異なる波長特性を有するElucルシフェラーゼ(緑色で観察される)およびCBRルシフェラーゼ(赤色で観察される)を使用した。幹細胞を神経系へ分化誘導した際に、ES細胞の分化誘導に伴う各マーカー遺伝子の発現変化を発光イメージングで検出し、定量化した。
[1:未分化マーカー遺伝子のプロモーター領域とルシフェラーゼ遺伝子の融合遺伝子、および分化マーカー遺伝子のプロモーター領域とルシフェラーゼ遺伝子の融合遺伝子の両方を導入したES細胞の作製]
Nanog遺伝子およびNestin遺伝子のプロモーター領域のクローニングを、既に論文に公開されている遺伝子配列を参考に行った。Nanog遺伝子については非特許文献「T Kuroda et al., Molecular and Cellular Biology 2005 vol.25, No.6, p2475-2485」を参考とし、Nestin遺伝子については非特許文献「L Cheng et al., FEBS Letters 2004 565 p195-202」を参考として、それぞれプロモーター配列を取得した。
Nanog遺伝子のプロモーター領域の配列を、マウスゲノムDNAを鋳型とし、以下のプライマーセットを使用して増幅した。
forward primer: CTACTCGAGATCGCCAGGGTCTGGA (配列番号1)
reverse primer: CTACTCGAGCGCAGCCTTCCCACAGAAA (配列番号2)
Nestin遺伝子のプロモーター領域の配列を、マウスゲノムDNAを鋳型とし、以下のプライマーセットを使用して増幅した。
forward primer: GAGAACGCGTGGGCTGTGTGTTGCACT (配列番号3)
reverse primer: GAGACTCGAGGTGGAGCACTAGAGAAGGGAGT (配列番号4)
取得したNanogおよびNestin遺伝子のプロモーター配列を、ELuc vector(東洋紡)およびCBR vector(Promega)にそれぞれ組み込み、異なるルシフェラーゼが組み込まれた「未分化マーカー発現特異的発光ベクターpNanog−Eluc」および「分化マーカー発現特異的発光ベクターpNestin−CBR」を作製した。
遺伝子導入を行うES細胞を培養するために、フィーダー細胞を準備した。具体的には、35mm径のプラスティックディッシュを0.1%ゼラチンでコーティングし、PBSを用いて3回洗浄した。ゼラチンコートを行ったディッシュに、マイトマイシンC処理で分裂を停止したマウス胎児線維芽(mouse embryonic fibroblast、MEF)細胞を撒き、一晩培養を行った。培地として、DMEM(フェノールレッド、10%FCS入り)を用いた。
翌日、マウスES細胞(BRC6株、理研BRC)を、35mmディッシュ内のフィーダー細胞上に撒いた。一晩培養後、pNanog−ElucベクターおよびpNestin−CBRベクターの両方をマウスES細胞にトランスフェクションし、トランスフェクション後の細胞を、15%Knockout Serum(KSR)(Gibco)およびleukemia inhibitory factor(LIF)が添加されたDMEMを培地として用いて一晩培養した。遺伝子のトランスフェクションは、Amaxa Nucleofecor(和光純薬株)によるNucleofection法を用いた。翌日、培地を、HEPES入りDMEM(15%KSR、フェノールレッド抜き)に置き換え、神経系細胞への分化誘導を行うために、1μMのRetinoic acid(Sigma)を添加した。
[2:分化誘導後のES細胞の観察および解析]
ES細胞を分化誘導する場合、浮遊培養系で胚様体(Embryoid Body: EB)を形成させることが一般的であり、ハンギングドロップ法など複数の作製方法が知られているが、本実施例では、図4に示されるような容器を使用した。すなわち、特殊リン脂質ポリマーを培養面にコートし、ディッシュ内にU字型構造の底を有するウェル状構造(マイクロウェル構造)を持ったEZ Sphere(IWAKI)を用いて胚様体を形成させ、分化が進んだ胚様体におけるNanog発現およびNestin遺伝子発現がどのように変化するのかを検出した。
胚様体(EB)の調製は、以下のとおりに行った。
(1)コンフルエント状態のマウスES細胞を35mm径ディッシュ1枚分準備した。
(2)PBSで1回洗浄した後、トリプシン処理した。
(3)最終的に0.2x10cells/wellとなるように細胞数を調製し、Nucleofectionにより遺伝子導入を行った。
(4)D−Luciferin(最終濃度500μM)を加えた発光観察用培地HEPES入りDMEM(15%KSR、フェノールレッド抜き)に細胞を播種し、それをEZ Sphere(EZ Sphere、AGC旭テクノガラス株式会社)に移し、LUMINOVIEW(LV200、オリンパス株式会社)内に静置して発光観察を行った。EZ Sphereは、500μmウェル径タイプを使用した。観察装置として、LV200(オリンパス株式会社)を使用し、対物レンズとして、10倍対物レンズ(UPlanFLN 10x NA0.30)を使用し、CCDカメラとして、ImagEM(浜松ホトニクス株式会社)を使用し、EM gain:1200にて観察した。
(5)培養開始日を胚葉体(EB)形成0日目とした。図5には、ES細胞の播種(図5a)から、ES細胞が集合し(図5b)、胚葉体(EB)が形成されるまで(図5c)の様子が概略的に示される。
胚様体(EB)形成開始時から88時間までの連続撮像した観察画像を保存し、画像解析システムAQUACOSMOS(浜松ホトニクス株式会社)を用いて、その観察画像に基づいて数値データ解析を行った。
図6は、取得された明視野画像(図6a)および発光画像(図6bおよび図6c)の一例である。図6aによると、各くぼみにEBが1つずつ存在している様子が、1つの視野内に観察できる。また、図6bおよび図6cには、図6aにて四角の線で囲まれた部分についての、Elucルシフェラーゼの発光およびCBRルシフェラーゼの発光の様子がそれぞれ示されている。
このように取得された発光画像について、分光フィルター毎に得られた発光強度を元にして、従来の蛍光観察で用いられている計算手法にて、各ルシフェラーゼ由来の発光強度を算出し、各マーカーの遺伝子発現強度および発現比を調べた。なお、Nanog発現を反映するElucルシフェラーゼの発光は、フィルターBP515−560を使用して分光して数値データとし、Nestin発現を反映するCBRルシフェラーゼの発光は、フィルター610ALPを使用して分光して数値データとした。
図7および図8には、それぞれ1つのEBにおける、各マーカーの遺伝子発現強度および発現比が示される。
図7には、関心領域1(ROI−1)として選択したマイクロウェル内で形成された胚様体の観察結果が示される。明視野画像によると、ROI−1の胚様体では、分化が進んだ様子が観察された。一方、図8には、関心領域7(ROI−7)として選択したマイクロウェル内で形成された胚様体の観察結果が示される。明視野画像によると、ROI−7の胚様体では、分化が進まなかった様子が観察された。
図7aおよび図8aには、それぞれ、胚様体形成後0時間における、Elucルシフェラーゼの発光(すなわち、Nanogの発現の状態を反映)の画像およびCBRルシフェラーゼの発光(すなわち、Nestinの発現の状態を反映)の画像、ならびに88時間後におけるそれらの画像が示されている。また、図7bおよび図8bには、それぞれ、時間の経過と、Elucルシフェラーゼ(ROI_1_nanog)およびCBRルシフェラーゼ(ROI_1_nestin)の発光量との関係が示されている。さらに、図7cおよび図8cには、それぞれ、時間の経過と、CBRルシフェラーゼ対Elucルシフェラーゼの比との関係が示されている。
ROI−1の胚様体では、図7aから、Nanog発現を反映するELucルシフェラーゼの発光に関して、0時間において強く発光しているのに対し、88時間では弱まっていることがわかる。一方、Nestin発現を反映するCBRルシフェラーゼの発光に関しては、0時間において弱く発光しているのに対し、88時間ではわずかに強まっていることがわかる。このことは、図7bの結果とも一致する。すなわち、観察当初はELucルシフェラーゼの発光量が高いものの、時間の経過とともにその発光量が低下しており、一方、CBRルシフェラーゼの発光量は時間の経過とともにわずかに増大している。図7cから、これらの比は、時間の経過とともに増大することがわかる。以上より、時間が経過して分化誘導が進行するのにしたがって、Nanog発現が低下し、Nestin発現が増大していることが分かった。
一方、ROI−7の胚様体では、図8aから、ELucルシフェラーゼの発光に関して、0時間において観察された発光は、88時間においてもある程度維持されており、CBRルシフェラーゼの発光に関しては、0時間および88時間の両方の時点において、弱く発光していることがわかる。このことは、図8bの結果とも一致しており、ELucルシフェラーゼの発光量は時間の経過とともに漸減し、CBRルシフェラーゼの発光量は、測定した範囲では、低下と上昇とを繰り返していることがわかる。図8cから、これらの比は、多少の増減を行いながらも、一定の範囲に維持されていることがわかる。以上より、ROI−7では、分化条件下で培養を行なっても、ROI−1と同様の発現を示さないことがわかった。
本実施例のように、2種類の発光遺伝子を使用する場合、観察結果の評価において、一方の発光遺伝子の増減を使用してよく、または両方の発光遺伝子の増減を使用してもよい。特に、後者の場合、2種の発光遺伝子の比率を使用してもよい。さらに、比率を使用する場合、比率の値を直接使用してよく、または一定時間経過時までの比の変化量を使用してもよい。
また、一時的な発現量の比較ではなく、同じ胚様体において連続した観察を行うことで、遺伝子発現量またはその比をプロファイルとして検出し、精度を上げることができる。
本実施例によると、同じ培養液を共有する培養条件下で培養を行なっても、各胚様体によって、分化の程度および方向性が異なる場合があることが示された。このように、分化の程度には胚様体ごとに違いが生じることから、同じ培養条件下で、一視野内で複数の胚様体の培養および観察を行うことで、その後の実験に適した分化の状態の胚様体を選択することが可能となる。
<実施例4:各幹細胞または各幹細胞コロニーの均質性の評価>
近年、iPS細胞やES細胞を目的の細胞に分化させて細胞治療に用いる研究が加速しており、適切な幹細胞株(幹細胞クローン)の選定が進んでいる。しかし、Development 135, 909-918 (2008)によると、ES細胞は不均一な細胞集団で、内部細胞塊様の細胞と初期原始外胚葉様の細胞が混在し、これらは相互に転換可能な状態あり、培地からLIFを取り除くと、前者は胚体外組織の細胞に分化し、後者は体細胞へ分化する傾向がみられると報告されている。このように幹細胞は環境や細胞のコンディションにより、容易に性質が変わることが知られている。また長期間にわたる培養を行うことで、幹細胞集団の中で多分化能を失い分化する幹細胞が混在してくる場合があり、分化多能性にばらつきが生じることが懸念される。
一方、iPS細胞やES細胞を目的の細胞に分化させて細胞治療に用いる場合には、移植する細胞の中に未分化な細胞が含まれると移植後に腫瘍化する危険性があり、完全に分化した細胞を細胞治療に用いる必要がある。
このように幹細胞株の細胞集団の中で個々の幹細胞の分化状態の均質性を把握することは重要である。
解析の一例として、多能性マーカーであるNanog遺伝子の発現量の経時プロファイルデータを取得し、振動回数等の特徴量を抽出し、個々の幹細胞または幹細胞コロニーにおける分化状態を調べ、その細胞群の特徴量の均質性を評価することができる。幹細胞またはコロニーは、数十から数百程度個であることが望ましい。均質性の評価には、比較対象となる異なる細胞群の経時プロファイルデータを用いても良い。例えば、幹細胞の継代回数による分化状態への影響について評価を行うために、継代回数の少ない幹細胞株と継代回数の多い幹細胞株においてNanog遺伝子等の未分化マーカー発現の経時プロファイルを比較した場合、継代数の少ない細胞ではNanog発現プロファイルの均質性が高く、継代回数が多くなると均質性が低下するであろう。
解析方法は、一例として、外れ値検定、カイ2乗検定、クラスター分析等の手法を用いることができる。
iPS細胞群またはES細胞群の均質性を評価することで、細胞治療または研究利用を目的とした幹細胞の品質評価および管理を行う。

Claims (8)

  1. 培養状態の幹細胞を経時的に撮像することで、当該幹細胞の状態を検出するためのNanog遺伝子の発現に関する経時的プロファイルを、前記Nanog遺伝子の発現を可視化するためのルシフェラーゼの発現に起因する生物発光による発光画像に基づき得ることと、
    前記経時的プロファイルから抽出される特徴量を解析することとを含み、
    前記特徴量は前記Nanog遺伝子の発現の変化量であって、
    前記変化量は前記Nanog遺伝子の発現量の増加および減少の繰り返し回数であり、前記幹細胞の状態は前記幹細胞が最終的に分化するまでの時間であって、前記幹細胞のNanog遺伝子の発現量の増加および減少の繰り返し回数が多いことは最終的に分化するまでの時間が長くなる傾向を示すと幹細胞の状態を同定する方法。
  2. 前記経時的プロファイルは、前記幹細胞のコロニーごとに得られる請求項に記載の方法。
  3. 前記特徴量は、前記幹細胞の形態に基づく量をさらに含み、前記解析は、前記複数種の特徴量を多変量解析する請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 前記形態に基づく量は、前記幹細胞のコロニーの厚さ、前記幹細胞の円形度、前記幹細胞の大きさおよび前記幹細胞のコロニーの大きさから成る群から選択される請求項に記載の方法。
  5. 前記幹細胞の状態として、分化の程度、未分化の程度および/または外来因子に対する応答の程度が同定される請求項1からの何れか1項に記載の方法。
  6. 前記幹細胞は、ES細胞、体性幹細胞、iPS細胞またはがん幹細胞である請求項に記載の方法。
  7. 前記幹細胞は、底面に複数のくぼみを有した容器にそれぞれ収容され、前記くぼみ同士を隔てる壁の高さよりも高い水面となるように培養液を含んでいる請求項1からの何れか1項に記載の方法。
  8. 前記生物発光は、前記幹細胞の分化に関するNanog遺伝子と未分化に関する未分化マーカー遺伝子とで異なる波長の光を発するルシフェラーゼを用いる請求項1からの何れか1項に記載の方法。
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