WO2011078073A1

WO2011078073A1 - リング状のタブを備えたシール蓋

Info

Publication number: WO2011078073A1
Application number: PCT/JP2010/072747
Authority: WO
Inventors: 一夫松井; 正博塩谷; 淳治松村; 仁朗森田
Original assignee: 大和製罐株式会社
Priority date: 2009-12-21
Filing date: 2010-12-17
Publication date: 2011-06-30
Also published as: EP2517973A4; EP2517973A1

Abstract

　材料となるシート材の歩留まりが良く、且つ、別体のリング状のタブを取り付けた状態でも搬送性が良いシール蓋を提供する。本発明のシール蓋は、薄膜状のシート材からなるシール蓋本体が、容器の開口部を覆って密封するパネル部と、パネル部の周辺部から突出する突出片とを有し、シール蓋本体と別体に形成されたリング状のタブが、シール蓋本体の突出片に固着される基部と、指を掛けるための指掛け部とを有しており、タブの指掛け部が、引き離し操作を行わない限りシール蓋本体のパネル部から離れないように、固定部によってパネル部に固定されている。

Description

リング状のタブを備えたシール蓋

　本発明は、容器の開口部を覆って密封するための薄膜状のシール蓋に関し、特に、リング状のタブを備えたシール蓋に関するものである。

　固形食品や粉末状食品等の食品用容器として、その開口部を薄膜状のシール蓋で密封する構造の容器が、従来、開発されている。そのシール蓋を剥がす場合の利便性を向上させるために、指を掛けるためのリング状のタブをシール蓋に設けることが、従来、試みられ、また種々の提案がなされている。

　例えば、特開２００３－８１３１８号公報には、リング状のタブが一体化されたシール蓋により、天蓋の開口孔を密封した缶体が記載されている。すなわち、天蓋は、缶胴の開口端に巻締めて固着されており、その天蓋には開口穴が形成されている。そして、天蓋の上に被せたシール蓋を、天蓋の周縁部の全体に熱溶着することにより、天蓋に形成されている開口穴が密封されている。そして、そのシール蓋の周縁の一部に、指を掛けるためのリング状のタブが、シール蓋と一体化して設けられている。

　また、実開平６－４４７２４号公報には、プルリングを取り付けてあるシール蓋によって蓋板の開口部を密封した構成のエッジカバー付容器が記載されている。そのシール蓋は、蓋板に熱溶着されることにより、蓋板に形成されている開口部を密封しており、そのシール蓋の周縁部の一部には、舌片状のタブがシール蓋に対して折り曲げ自在に形成され、シール蓋とは別に作製されたプルリングがそのタブに、リベットなどによって取り付けられている。

　ところで、上述した各種のシール蓋は、薄膜状のシート材を打ち抜いて製作するのが一般的であり、したがって上記の特開２００３－８１３１８号公報に記載されているようにリング状のタブをシール蓋に一体化している構造のシール蓋であっても、リング状の指掛け部を備えたタブを、ほぼ円形のいわゆる蓋本体の部分と共にシート材から打ち抜くことになる。その場合、全体としての形状が、いわゆる蓋本体の部分からタブが外側に突き出した異形形状であるために、シート材から打ち抜いて材料取りする際に、シート材のうちスクラップとなる量が多くなってしまい、材料歩留まりが悪くなる。

　これに対して、上記の実開平６－４４７２４号公報に記載された構成のシール蓋では、プルリングの取り付け部となるタブが円板状のパネル部分から小さく突出した比較的単純な形状であるために、シート材を打ち抜いて材料取りする際に、打ち抜き部分を密に並べることが容易であり、上記の特開２００３－８１３１８号公報に記載されたシール蓋と比較して、材料歩留まりが良好になる。しかしながら、プルリングを取り付けるタブは、いわゆる本体部分であるパネル部分と同様の材料であって薄肉であり、しかもパネル部分から突出した形状であるから、その曲げ強度は極めて低い。そのため、シール蓋に一体成形されたタブに対して、別体のプルリングを取り付けてから、シール蓋を設けた蓋体や容器を、上下反転させて搬送する際に、プルリングの重さでタブが曲がって垂れ下がってしまい、これが搬送時の邪魔になるという問題がある。

　本発明は、上述した技術的課題を解決することを目的とするものであって、具体的には、材料となるシート材の歩留まりがよく、且つ、別体でリング状のタブを取り付けた状態でも搬送性が良いシール蓋を提供することを目的とするものである。

　本発明は、上記のような課題を解決するために、薄膜状のシート材からなるシール蓋本体が、容器の開口部を覆って密封するパネル部と、前記パネル部の周辺部から突出する突出片とを有し、かつ前記シール蓋本体とは別体に形成されたリング状のタブが、前記シール蓋本体における前記突出片に固着される基部と、指を掛けるための指掛け部とを有する、リング状のタブを備えたシール蓋において、前記突出片に取り付けられた前記タブにおける前記指掛け部に前記パネル部から引き離す方向に力を掛ける引き起こし操作を行うことにより前記指掛け部が前記パネル部から離れるように前記指掛け部を前記パネル部に固定している固定部を備えていることを特徴とするものである。

　本発明における前記固定部は、前記指掛け部を、前記シール蓋本体のパネル部に、剥離可能な状態で部分的に接着する接着部であってよい。

　その接着部に使用する接着剤は、前記指掛け部に対する接着力よりも、前記パネル部に対する接着力の強い接着剤とすることができる。

　また、本発明では、前記パネル部に、前記指掛け部を収める溝部が形成され、前記指掛け部はその溝部の内部に収められて前記接着部によって固定された構成とすることができる。

　一方、本発明における前記固定部は、前記指掛け部の少なくとも一部を離脱可能に引っ掛けて固定するように、前記シール蓋本体のパネル部に形成された係止部であってよい。

　その係止部は、前記指掛け部を嵌合させるように構成することができる。より具体的には、指掛け部を収める溝部が前記パネル部に形成され、その溝部の内面に前記指掛け部が引っ掛かるように構成することができる。

　本発明では、上記のように溝部を設けた場合、指掛け部の下側に指を差し込むための凹部を、その溝部に連続した状態で前記パネル部に形成することができる。

　したがって、本発明においては、シール蓋本体とタブを構成するリング状の指掛け部とが別部品となっており、それに伴ってシール蓋本体の形状は、円板状のパネル部から突出片が小さく突き出た単純な形状となるから、シート材からシール蓋本体を打ち抜いて材料取りする際に、打ち抜く部分を接近させて配列し、スクラップとなる部分を少なくすることができる。その結果、本発明によれば、材料歩留まりを向上させることができる。また、シール蓋本体における突出片に取り付けられたリング状の指掛け部は、引き離し操作を行わない限りパネル部から離れないように、固定部によってパネル部に固定されているから、シール蓋あるいはこれを取り付けた蓋体や容器を、上下を反転させた状態で搬送した場合であっても、タブが垂れ下がって搬送不良を引き起こすなどのことを防止することができる。

　なお、容器の開口部からシール蓋を引き離す際には、タブの指掛け部に指を掛けて指掛け部を持ち上げることにより、タブをパネル部から容易に剥離させることができる。またその後、指掛け部に指を掛けてタブを引き上げることにより、タブの基部が固着された突出片と一体的にシール蓋本体のパネル部を容器の開口部から容易に引き剥がすことができる。

本発明に係るシール蓋の一例を示す平面図である。シート材から打ち抜かれたシール蓋本体と、それとは別体のリング状のタブとをそれぞれ示す平面図である。（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）は、シール蓋本体に対してリング状のタブを取り付ける過程をそれぞれ示す工程図である。シール蓋により蓋枠体の開口部を密封した状態を示す平面図である。図４のV－V線に沿った断面図である。本発明に係る他の例を示す図であって、シール蓋により蓋枠体の開口部を密封した状態を示す平面図である。図６のVII－VII線に沿った断面図である。

　本発明に係るシール蓋は、例えば、食品を収納する缶容器等において、内容物取り出し用の開口部を密封するために使用されるものであって、図１に示すように、シール蓋１は、薄膜状のシート材からなるシール蓋本体２に、シール蓋本体２とは別に作製されたリング状のタブ３を取り付けたものである。シール蓋本体２は、図２に示すように、円板状のパネル部２１と、パネル部２１の周辺部に一体化されて形成された突出片２２とを有している。また、タブ３はリングの部材であって、シール蓋本体２の突出片２１に固着される直線状の基部３１と、開口時に指を掛けるための円弧状の指掛け部３２とを有している。

　シール蓋本体２の材料となる薄膜状のシート材は、特に限定されるものではないが、本実施例では、アルミニウム箔やガスバリア性の合成樹脂製フィルムを主体とする薄膜状の基材の内面側（容器の内側となる側）に、容器開口部の周辺と接着するための接着性樹脂層が形成され、基材の外面側（容器の外側となる側）に、樹脂被膜の塗装や樹脂フィルムの積層による樹脂層が形成された薄膜状のシート材を使用している。特に、厚さが２０～１５０μｍ（好ましくは４０～１００μｍ）の範囲のシート材が好適に使用できる。

　リング状のタブ３は、シール蓋本体２よりも厚肉で剛性の高いものであり、その材料は、特に限定されるものではないが、本実施例では、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂や、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂が採用されている。タブ３は、この種の材料を使用して射出成形や型押成形により成形されたものである。このタブ３の厚さは、０．５～３ｍｍ（好ましくは１～２ｍｍ）の範囲のものである。

　シール蓋本体２にリング状のタブ３を取り付ける方法は、適宜選択可能であって特に限定されるものではないが、図３に示す方法を採用することができる。具体的に説明すると、シール蓋本体２は、図３（Ａ）に示すように、円板状のパネル部２１の周辺部に突出片２２が形成された形状にシート材から打ち抜かれて作製される。なお、符号「２３」は円弧状の溝部を示し、符号「２４」は指入れ用の凹部を示しており、これらについては後述する。そのシール蓋本体２の突出片２２を、図３（Ｂ）に示すように、その基部からパネル部２１の外面側に折り返してから、図３（Ｃ）に示すように、折り返された突出片２１の略中央にタブ３の基部３１を載せる。そして、この状態から、タブ３の基部３１を巻き込むように突出片２２の先端側２２ａを逆方向に折り返して、タブ３の基部３１を巻き込んで重なった突出片２１の内面（接着性樹脂層の側）同士を、周知のヒートシール法や超音波シール法等により接着する。

　そのように形成されたシール蓋１は、本実施例では、図４に示すように、金属製の蓋枠体４の中央に開口された円形状の開口部４１を密封するように使用されている。即ち、金属製の蓋枠体４の中央部に開口された円形状の開口部４１を覆うようにシール蓋１を載せた状態から、周知のヒートシール法や超音波シール法等により、シール蓋本体２の円板状のパネル部２１の外周部を、蓋枠体４の開口部４１の周辺部に接着固定している。なお、そのように開口部４１が密封された蓋枠体４は、金属製の缶胴の上端側に巻締めて固着される。

　なお、本実施例のシール蓋１では、シール蓋本体２のパネル部２１のうち突出片２２の付近に、パネル部２１の平坦な上面から凹むように、円弧状の溝部２３が形成されている。また、この円弧状の溝部２３と連続した状態で、指入れ用の凹部２４が形成されている。円弧状の溝部２３は、リング状のタブ３の指掛け部３２の形状に対応するものであって、円弧の両端部から中央部に向かって溝の深さが徐々に深くなっており、最も深くなった円弧の中央付近で指入れ用の凹部２４と連続している。

　図５はシール蓋本体２にタブ３を上記のようにして取り付けた状態を示しており、タブ３の基部３１が、パネル部２１と一体の突出片２２に巻き込まれて、パネル部２１の平坦な上面のうえに固定されている。その位置は、上記の円弧状の溝部２３の端部に近い位置である。これに対してタブ３の他の部分すなわち指掛け部３２は、パネル部２１の上面側に形成された溝部２３に収められており、その溝部２３はパネル部２１の中心部側に向けて徐々に深くなっているので、その溝底に沿わされた指掛け部３２は、基部３１に対して斜め下方に傾斜した状態になっている。したがって、タブ３の指掛け部３２の先端（タブ３の基部３１から最も離れた箇所）は、指入れ用の凹部２４と対向している。

　なお、円弧状の溝部２３の幅は、タブ３の指掛け部３２の横方向への移動もしくはズレが規制されるように、タブ３の指掛け部３２の幅より僅かに広い程度に設定されていることが好ましい。また、溝部２３の深さは、タブ３の指掛け部３２の先端（タブ３の基部３１から最も離れた箇所）が位置する最も深い箇所で、タブ３の厚さの３０～１００％に設定されていることが好ましい。さらに、指入れ用の凹部２４の深さは、タブ３の厚さの３０～１００％に設定されていることが好ましい。

　上記のリング状の指掛け部３２を収めている溝部２３のうちタブ３の指掛け部３２の下方で、指掛け部３２の先端（タブ３の基部３１から最も離れた箇所）から指掛け部３２の周方向に沿って左右に離れた２箇所に、比較的接着力の弱い接着剤５が塗布されている。タブ３の指掛け部３２は、この接着剤５によってシール蓋本体２のパネル部２１（より詳しくは溝部２３）に対して、剥離可能な状態で部分的に接着されている。したがって、この接着剤５がこの発明における固定部に相当している。

　なお、タブ３の指掛け部３２とシール蓋本体２のパネル部２１との接着箇所は、指掛け部３２に指を掛けてシール蓋１を引き剥がす際に、シール蓋１に引っ張り力が作用し易い箇所を除くことが好ましい。具体的には、指掛け部３２のうち、タブ３の基部３１の中央部（基部３１の長さ方向の中間部）に対して、該中央部と直交する方向で該中央部と対向する部分を除くような箇所で接着することが好ましい。

　タブ３の指掛け部３２とシール蓋本体２のパネル部２１（特にその溝部２３）とを接着するための接着剤５は、タブ３とシール蓋本体２の外面（外面樹脂層）とのそれぞれの素材に適した公知の接着剤を適宜選択的に使用できるが、特に、ホットメルト接着剤が好適に使用できる。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂などの熱可塑性樹脂材料が好適に使用できる。

　なお、タブ３とシール蓋本体２の外面（外面樹脂層）とが異なる樹脂材料からなる場合、両者を接着する接着剤５は、タブ３の側よりもシール蓋本体２の側との接着性の良い樹脂を使用するのが好ましい。例えば、シール蓋本体２の外面（外面樹脂層）と接着剤５とを同系の樹脂材料によるものとし、タブ３をそれとは異なる樹脂材料によるものとすることで、接着剤５をタブ３の側よりもシール蓋本体２の側に接着し易くすることができる。

　具体例を挙げると、シール蓋本体２が、アルミニウム箔製の基材の外面側に樹脂層としてポリプロピレン系樹脂被膜を形成した構成とされ、またリング状のタブ３が、ポリエチレンテレフタレート樹脂によって形成されている場合、シール蓋本体２とタブ３の指掛け部３２とは、ポリプロピレン系ホットメルト接着剤により接着される。

　また、本実施例では、タブ３の指掛け部３２とシール蓋本体２のパネル部２１とを接着する際に、図３（Ｂ）の工程後に溝部２３に溶融状態のホットメルト接着剤を塗布し、図３（Ｃ）の工程で、その接着剤上にタブ３を載置してタブ３を上方から押圧することで、指掛け部３２とパネル部２１の溝部２３とが接着されている。

　上記のようにシール蓋本体２のパネル部２１（特にその溝部２３）に対してタブ３の指掛け部３２が剥離可能に接着されている本実施例のシール蓋１によれば、薄膜状のシート材からなるシール蓋本体２の突出片２２によりタブ３の基部３１が固着されている構造であっても、シール蓋１もしくはこれが接着された蓋枠体４を上下反転させて搬送する際に、タブ３が垂れ下がることがなく、そのため搬送不良が引き起こされるのを防止することができる。

　そして、シール蓋１を取り付けた金属製の蓋枠体４が巻締めて固着された缶容器を開口する際には、シール蓋本体２のパネル部２１に形成された凹部２４に指を入れて、タブ３の指掛け部３２でシール蓋本体２のパネル部２１には接着されていない先端（タブ３の基部３１から最も離れた箇所）の部分に指を掛け、ついでタブ３の指掛け部３２を持ち上げ、こうしてタブ３の指掛け部３２をシール蓋本体２のパネル部２１から剥離させてから、更に、タブ３のリング内に指を入れてタブ３を引き上げる。その結果、タブ３の基部３１を固着する突出片２２と一体的に、シール蓋本体２のパネル部２１を金属製の蓋枠体４から引き剥がすことができて、金属製の蓋枠体４の中央部に開設された開口部４１を開口させることができる。

　なお、タブ３の指掛け部３２をシール蓋本体２のパネル部２１から剥離させた際に、タブ３の側に接着剤５が付着していると、それにより美観が損なわれたり、付着した接着剤５に指が触れて違和感を感じたりする虞があるが、本実施例では、タブ３の指掛け部を接着するための接着剤５として、タブ３の側よりもシール蓋本体２の側との接着性の良い接着剤を使用していることから、接着剤５がシール蓋本体２の側に残ることがなく、したがってタブ３の指掛け部３２に接着剤５が付着するようなことはない。

　また、タブ３の指掛け部３２をシール蓋本体２のパネル部２１に接着した状態で、両者を接着する接着剤５が目立って美観が損なわれる虞があるが、本実施例では、シール蓋本体２のパネル部２１に窪ませて形成された円弧状の溝部２３の底部に接着剤５が塗布されて、この溝部２３の内部でタブ３の指掛け部３２が接着されているから、タブ３の指掛け部３２とシール蓋本体２のパネル部２１とを接着している接着剤５が目立ったり、そのために美観が損なわれることはない。

　さらに、タブ３の指掛け部３２とシール蓋本体２のパネル部２１とは剥離可能な状態の弱い接着力により接着されているが、シール蓋本体２のパネル部２１に形成された円弧状の溝部２３にタブ３の指掛け部３２が収まっているから、金属製の蓋枠体４に接着されたシール蓋１の搬送時等において、パネル部２１の上面から突出しているタブ３の基部３１付近に対して横方向から不用意な力が加えられても、円弧状の溝部２３によりタブ３の横ズレが抑制される。そのため、シール蓋本体２のパネル部２１とタブ３の指掛け部３２との接着が不用意に解除されて剥離するようなことを防止することができる。

　つぎに、リング状のタブ３をパネル部２１に対していわゆる仮止めしておくための他の例を説明する。図６はその例を示す平面図であり、また図７は図６におけるVII－VII線に沿う断面図であって、ここに示すシール蓋１においても、パネル部２１の周縁部の一部に突出片２２が一体に形成されており、リング状のタブ３は、その直線的に形状の基部３１が、突出片２２に巻かれてパネル部２１に対して固着されている。このタブ３における指掛け部３２を納める溝部２３Ａは、図６に示す例では、指掛け部３２を着脱自在な状態で部分的に嵌合させるように構成されている。

　より具体的に説明すると、溝部２３Ａの幅は、指掛け部３２の幅とほぼ等しくなっており、その円弧状の溝部２３Ａのうち、指入れ用の凹部２４と連続した部分から溝部２３Ａの周方向に沿って左右に延びている領域で、タブ３の指掛け部３２と溝部２３Ａとが着脱可能に嵌合している。すなわち、指掛け部３２の一部が溝部２３Ａに引っ掛かって抜け止めされ、パネル部２１から引き離すように力を加えない状態では、指掛け部３２が溝部２３Ａに固定されるようになっている。その指掛け部３２と溝部２３Ａとが嵌合もしくは係合する箇所は、指掛け部３２に指を掛けてシール蓋１を引き剥がす際に、シール蓋１に引っ張り力を付与し易い箇所を除くように嵌合するのが好ましい。具体的には、指掛け部３２のうち、タブ３の基部３１の中央部（基部３１の長さ方向の中間部）に対して、該中央部と直交する方向で該中央部と対向する部分を除くような箇所で嵌合することが好ましい。このように、溝部２３Ａのうち指掛け部３２が引っ掛かる箇所が本発明における固定部に相当している。

　嵌合用の溝部２３Ａの幅について更に説明すると、タブ３の指掛け部３２が確実に着脱可能に嵌合もしくは係合するように、タブ３の指掛け部３２の幅と同じか僅かに狭い程度に設定されている。本実施例では、溝部２３Ａに対して、タブ３の指掛け部３２を上方から押圧することにより、指掛け部３２が溝部２３Ａに嵌合するように構成されている。また、溝部２３Ａの深さについて説明すると、その最深部でタブ３の厚さの５０～１５０％に設定されていることが好ましく、それによって、タブ３を確実に嵌合させることができ、またシール蓋１の積み重ね性や成形性を確保することができる。また、指入れのための凹部２４の深さは、タブ３の厚さの５０～２００％に設定されていることが好ましく、そうすることによって、指掛け部３２に指を掛け易くすることができ、併せてシール蓋１の積み重ね性や成形性も確保することができる。

　図６および図７に示すように構成したシール蓋１であっても、前述した接着によってタブ３を固定するタイプのシール蓋１と同様に、搬送性を向上させることができ、また開口させることができる。すなわち、上記のようにシール蓋本体２のパネル部２１（特にその溝部２３Ａ）に対してタブ３の指掛け部３２が着脱可能に嵌合もしくは係合しているシール蓋１によれば、薄膜状のシート材からなるシール蓋本体２の突出片２２によりタブ３の基部３１が固着されている構造であっても、シール蓋１もしくはこれが接着された蓋枠体４を上下反転させて搬送する際に、タブ３が垂れ下がることがなく、そのため搬送不良を防止することができる。

　そして、シール蓋１を取り付けた金属製の蓋枠体４が巻締めて固着された缶容器を開口する際には、シール蓋本体２のパネル部２１に形成された凹部２４に指を入れて、タブ３の指掛け部３２でシール蓋本体２のパネル部２１には嵌合もしくは係合していない先端（タブ３の基部３１から最も離れた箇所）の部分に指を掛け、ついでタブ３の指掛け部３２を持ち上げ、こうしてタブ３の指掛け部３２をシール蓋本体２のパネル部２１から剥離させてから、更に、タブ３のリング内に指を入れてタブ３を引き上げる。その結果、タブ３の基部３１を固着する突出片２２と一体的に、シール蓋本体２のパネル部２１を金属製の蓋枠体４から引き剥がすことができて、金属製の蓋枠体４の中央部に開設された開口部４１を開口させることができる。

　また、シール蓋本体２のパネル部２１に形成された円弧状の溝部２３Ａにタブ３の指掛け部３２が収まっているから、金属製の蓋枠体４に接着されたシール蓋１の搬送時等において、パネル部２１の上面から突出しているタブ３の基部３１付近に対して横方向から不用意な力が加えられても、円弧状の溝部２３Ａによりタブ３の横ズレが抑制される。そのため、シール蓋本体２のパネル部２１とタブ３の指掛け部３２との接着が不用意に解除されて剥離するようなことを防止することができる。

　以上、本発明のリング状のタブを備えたシール蓋について、具体例をもって説明したが、本発明は、上記の具体例に限定されない。例えば、上記の実施例では、缶胴に巻締めて固着される金属製の蓋枠体に対して接着されるシール蓋の例を挙げたが、本発明に係るシール蓋は、容器本体のフランジ部などに対して直接に接着して使用されるものであってもよい。

　また、シール蓋本体の内面側に設けられる接着性樹脂層は、上記の実施例では、シール蓋本体の内面全体に設けているが、本発明では、これに替えて、シール蓋本体の内面で容器開口部の周辺との接着面となる箇所にのみ接着性樹脂層を設けてもよい。また、シール蓋本体の突出片によってタブを固着する方法は、上記の実施例で示した方法に限られないのであって、従来知られている適宜の方法を採用することができる。

　また、タブの指掛け部とシール蓋本体のパネル部との接着のために、上記の実施例では、ホットメルト接着剤を使用したが、そのような接着剤を介した接着に限らず、シール蓋本体の外面側に、タブの樹脂との接着性を有する樹脂によって被膜を形成し、この樹脂層とタブとを加熱して直接的に熱融着させることで、接着剤を介することなく接着してもよい。なお、その場合、パネル部に対してタブの指掛け部を部分的に接着する（言い換えれば、部分的に非接着にする）ためには、例えば、タブの指掛け部と対応する箇所でパネル部の外面樹脂層（タブと接着性を有する樹脂層）の上にタブの樹脂とは接着性のない樹脂塗料を部分的に塗布してマスキング層を形成したり、或いは、タブの指掛け部と対応する箇所でパネル部を部分的に下方に凹ませてタブの指掛け部との間に部分的に隙間を設けたりすればよい。

　また、上記の実施例では、シール蓋本体のパネル部に円弧状の溝部を形成して、この溝部にタブの指掛け部を収めた状態で、シール蓋本体のパネル部とタブの指掛け部を接着しているが、本発明では、そのような溝部を形成することなくシール蓋本体のパネル部の上面にタブの指掛け部を接着してもよい。その場合には、タブの横ズレを防ぐための突起部などをシール蓋本体のパネル部に突出させるように形成しておくことが好ましく、本発明では、適宜に設計変更可能であることはいうまでもない。

　さらに前述した実施例では、嵌合用の溝部を円弧状に形成してタブの指掛け部を嵌合させているが、本発明では、そのような溝部に限らず、例えば、タブの指掛け部の先端から離れた位置でタブの指掛け部を挟み込むように対となる突起部をシール蓋本体のパネル部に凸設し、それらの突起部に対してタブの指掛け部を上方から押圧して嵌合もしくは係合させるするように構成してもよい。すなわち、本発明における固定部は適宜に設計変更したものであってよい。

Claims

　薄膜状のシート材からなるシール蓋本体が、容器の開口部を覆って密封するパネル部と、前記パネル部の周辺部から突出する突出片とを有し、かつ前記シール蓋本体とは別体に形成されたリング状のタブが、前記シール蓋本体における前記突出片に固着される基部と、指を掛けるための指掛け部とを有する、リング状のタブを備えたシール蓋において、
　前記突出片に取り付けられた前記タブにおける前記指掛け部に前記パネル部から引き離す方向に力を掛ける引き起こし操作を行うことにより前記指掛け部が前記パネル部から離れるように前記指掛け部を前記パネル部に固定している固定部を備えていることを特徴とする、リング状のタブを備えたシール蓋。
　前記固定部は、前記指掛け部を、前記シール蓋本体のパネル部に、剥離可能な状態で部分的に接着する接着部を含むことを特徴とする請求項１に記載のリング状のタブを備えたシール蓋。
　前記接着剤は、前記指掛け部に対する接着力よりも、前記パネル部に対する接着力の強い接着剤を含むことを特徴とする請求項２に記載のリング状のタブを備えたシール蓋。
　前記指掛け部を収めるように、前記パネル部に形成された溝部を更に備え、
　前記指掛け部はその溝部の内部に収められて前記接着部によって固定されていることを特徴とする請求項２または３に記載のリング状のタブを備えたシール蓋。
　前記固定部は、前記指掛け部の少なくとも一部を離脱可能に引っ掛けて固定するように、前記シール蓋本体のパネル部に形成された係止部を含むことを特徴とする請求項１に記載のリング状のタブを備えたシール蓋。
　前記係止部は、前記指掛け部を嵌合させるように構成されていることを特徴とする請求項５に記載のリング状のタブを備えたシール蓋。
　前記指掛け部を収めるように、前記パネル部に形成された溝部を更に備え、
　前記指掛け部の一部がその溝部の内面に引っ掛かって前記指掛け部が前記パネル部に固定されていることを特徴とする請求項１，５，６のいずれかに記載のリング状のタブを備えたシール蓋。
　前記溝部の内部に納められた前記指掛け部の下側に指を差し込むための凹部が、その溝部に連続した状態で前記パネル部に形成されていることを特徴とする請求項４または７に記載のリング状のタブを備えたシール蓋。