WO2011037016A1

WO2011037016A1 - パネル装置

Info

Publication number: WO2011037016A1
Application number: PCT/JP2010/065491
Authority: WO
Inventors: 崇佐久間; 良明鍜治; 聡中島; 宗一郎川田
Original assignee: パナソニック電工株式会社
Priority date: 2009-09-25
Filing date: 2010-09-09
Publication date: 2011-03-31

Abstract

　屋内を効果的に脱臭すると共に送風路を除菌してカビ等の発生を抑えることができ、且つ、施工が容易なパネル装置を提供することを課題とする。　パネル表面に設けられた吸気口４及び排気口３を備える。パネル内に設けられて吸気口４及び排気口３を連通させる送風路２を備える。吸気口３から送風路２に空気を吸い込んで排気口３から排出する送風手段を備える。帯電微粒子液を生成し送風路２に供給する静電霧化装置２９を備える。

Description

パネル装置

　本発明は送風機能を有したパネル装置に関する。

　特許文献１（特開２００２－２３９３２６号公報）には、建物の壁に形成した送風路にファンと脱臭機能を有するハニカム材を設けて屋内空気を循環させると共に脱臭する機能を付加したものが開示されている。

　しかし、特許文献１におけるハニカム材は送風路を通過する屋内空気の臭気成分を除去するものであって、屋内を直接脱臭するものではないため、屋内を脱臭する能力が低い。また、屋内湿度が高い場合には送風路で結露が生じてカビ等が発生する恐れもある。

　本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、効果的な脱臭を行うと共に送風路を除菌してカビ等の発生を抑えることができるパネル装置を提供することを課題とする。

　前記目的を達成するために、本発明のパネル装置は、パネル表面に設けられた吸気口及び排気口と、パネル内に設けられて前記吸気口及び排気口を連通させる送風路と、前記吸気口から前記送風路に空気を吸い込んで前記排気口から排出する送風手段と、帯電微粒子液を生成し前記送風路に供給する静電霧化装置と、を備えていることを特徴とする。

　また、前記静電霧化装置が前記帯電微粒子液を前記送風路の空気の気流方向に対して交差する方向に放出して前記送風路に供給するものであることが好ましい。

　また、前記静電霧化装置が前記排気口の一側部近傍内方空間に設置されていることが好ましい。

　また、前記排気口から送風路に空気を吸い込んで吸気口から排出する逆送風手段を備えていることが好ましい。

　また、前記送風路の下流端部に複数の羽板からなるルーバーが設けられており、このルーバーの各羽根は送風方向に沿って略直線形状とされると共に、前記送風方向に沿う幅寸法が、５ｍｍ以上、１５ｍｍ以下とされていることが好ましい。

　本発明のパネル装置は、効果的な脱臭を行うと共に送風路を除菌することができ且つ施工が容易になる。

Ａ、Ｂは、いずれも本発明のパネル装置の一実施形態を模式的に示し、Ａは、同パネル装置の概略全体斜視図、Ｂは、同パネル装置の一部分解概略斜視図である。同パネル装置の排気口付近を拡大して示す概略正面図である。Ａは、図１のＡにおけるＸ－Ｘ線矢視に対応させた概略縦断面図、Ｂ及びＣは、開閉扉の開閉動作を説明するための説明図である。本発明のパネル装置の他の実施形態を模式的に示し、図３Ａに対応させた図である。さらに他の実施形態のパネル装置を示す斜視図である。同上のパネル装置の設置状態を示す水平断面図である。同上の静電霧化装置の説明図である。さらに他の実施形態のパネル装置を示す斜視図である。

　以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下のパネル装置の説明では、パネル装置が設置されたときの方向を基準として説明する。

　図１～図３には第一実施形態のパネル装置が示されている。このパネル装置は送風機能付き内装パネル装置であって、図１Ａ及び図３Ａに示すように、壁面１０に沿って鉛直に立てて設置される縦長で扁平矩形状の壁パネル１で構成されている。

　壁パネル１は、パネル内の空間に設けられた送風路２と、この送風路２を介して連通し、パネル表面に開口して排気口と吸気口の夫々を構成する一対の通気開口部３，４と、送風手段としてのシロッコファン５とを備えている。

　本実施形態では、壁パネル１の上端部に排気口を構成する通気用開口部３が設けられると共に、壁パネル１の下端部に吸気口を構成する通気用開口部４が設けられ、一対の通気開口部３，４は当該壁パネル１の上下に離間して形成されている。以下、通気開口部３を排気口３と記載する場合があり、通気用開口部４を吸気口４と記載する場合がある。

　壁パネル１は、上下に長い中間部６、並びにこの中間部６の上下に夫々接続された上側外郭部７及び下側外郭部８からなり、これら中間部６、上側外郭部７、及び下側外郭部８の夫々の内部空間が連通して送風路２が形成されている。

　中間部６は、図１Ｂに示すように、前方及び上下に開口し、縦長の凹溝状に形成されたダクト部材９と、このダクト部材９の前方開口を塞ぐ縦長矩形板状の前面板１１とを備えている。図１Ａに示すように、前面板１１の長手方向の略中間部位で、且つ一方の長辺側に寄った部位には、シロッコファン５のＯＮ／ＯＦＦの切り替えや風量調整等をするための操作部１２が設けられている。

　図１Ｂに示すように、ダクト部材９の両側壁前端部の夫々には、外方に向けて突出する取付片９０１，９０１が設けられている。ダクト部材９は取付片９０１，９０１を前面板１１の背面に固着させることで前面板１１に組み付けられ、これにより、中間部６は上下に開口した中空の略四角筒形状とされ、中間部６の内周壁６０１によって、送風路２の一部を区画形成している。

　前面板１１は、ダクト部材９よりも上下長さ及び横幅が大きく形成されており、ダクト部材９を前面板１１に組み付けた状態では、前面板１１の上下左右端部がダクト部材９の上下左右端部よりもそれぞれ上下左右方向に向けて延び出る。

　下側外郭部８は、図１及び図３Ａに示すように、前方及び上方に向けて開口し、シロッコファン５等を収容するケーシング１５と、このケーシング１５の前方開口を塞ぐ前面カバー１６とを備えている。前面カバー１６には、横長矩形状に形成された吸気口４が設けられている。下側外郭部８は、吸気口４と上方開口とを連通させた中空形状とされ、下側外郭部８の内周壁８０１によって、送風路２の一部を区画形成している。

　ケーシング１５に前面カバー１６を取り付けて下側外郭部８を構成した状態で、下側外郭部８の前面側部は、前記中間部６の前面板１１の横幅及び板厚に応じた形状とされている。また、下側外郭部８の後面側部も、前記中間部６のダクト部材９の横幅及び前後厚さに応じた形状とされている。すなわち、下側外郭部８の前面側部は、前記前面板１１の延出した左右端部と同様、下側外郭部８の後面側部よりも左右に延出した延出部１８，１８（図１Ｂ参照）を有している。また、下側外郭部８の後面側部は、下側外郭部８の前面側部よりも上方に向けて突出するような形状とされている。この下側外郭部８の後面側部の上方開口と、前記中間部６の下方開口とが連通接続され、且つ、この下側外郭部８の後面側部の突出した部位の前面に、前記前面板１１の延出した下端部の背面が当接されている。

　前記吸気口４には、複数の羽板を並べて設けることで構成されたルーバー１９が設けられている。

　吸気口４の背面側には、図３Ａに示すように、フィルター２０と、ファンカバー２１と、シロッコファン５とが奥側に向けてこの順に配置されている。

　フィルター２０は、例えば塵埃等の捕捉性や脱臭性を有した活性炭フィルターからなる。

　シロッコファン５は、壁パネル１の横幅（実質的にはダクト部材９の凹溝幅）に応じて、左右方向に複数個設置されており、前方側から吸入した空気を上方、すなわち、中間部６の内部空間に向けて吐出する構成とされている。

　ファンカバー２１には、シロッコファン５の吸入部位に対応する部位に、吸気口４とシロッコファン５の吸入部位とを連通させる連通孔２１１が設けられている。

　下側外郭部８は、前面カバー１６がケーシング１５に対して容易に着脱できる構造とされており、前面カバー１６を脱離させることで下側外郭部８の内部のフィルター２０の交換やシロッコファン５のメンテナンス等が可能とされている。

　上側外郭部７は、図１及び図３Ａに示すように、概ね前記下側外郭部８を上下に反転させた外郭形状とされている。この上側外郭部７は、前方及び下方に向けて開口したケーシング２３と、ケーシング２３の前方開口を塞ぐ前面カバー２４と、前面カバー２４に形成された横長矩形状の排気口３の一部を覆うように配設されたカバー２５とを備えている。

　上側外郭部７は、下方開口と排気口３とを連通させた中空形状とされ、上側外郭部７の内周壁７０１によって、送風路２の一部を区画形成している。

　ケーシング２３と前面カバー２４とカバー２５とを組み付けて上側外郭部７を構成した状態で、上側外郭部７の前面側部は、前記下側外郭部８と同様、中間部６の前面板１１の横幅及び板厚に応じた形状とされる。また、上側外郭部７の背面側部は、前記下側外郭部８と同様、中間部６のダクト部材９の横幅及び前後厚さに応じた形状とされて、上側外郭部７の前面側部の両側が延出部２６，２６とされている。また、上側外郭部７の背面側部は、上側外郭部７の前面側部よりも下方に向けて突出するような形状とされている。この上側外郭部７の背面側部の下方開口と、前記中間部６の上方開口とが連通接続され、且つ、この上側外郭部７の背面側部の突出した部位の前面に、前記前面板１１の延出した上端部の背面が当接される。

　上側外郭部７のカバー２５の中央部位には、図２に示すように、複数の羽板からなるルーバー２７が設けられ、カバー２５の左右部位には、上側外郭部７の内方空間を区画形成するカバー部２５１，２５１が夫々設けられている。これらカバー部２５１，２５１のうち一方のカバー部２５１（図例では、右側のカバー部２５１）の背面側には、帯電微粒子液を吐出する静電霧化装置２９が設けられている。すなわち、この静電霧化装置２９は、上側外郭部７における排気口３の一側部（図例では、右側部）近傍内方空間に設置されて送風路２の下流側端部に設けられ、その前面側が一方のカバー部２５１によって覆われた構成とされている。

　なお、本実施形態では、意匠性の観点から、左右対称となるように、カバー２５の左右の夫々に、カバー部２５１，２５１を設けた態様としているが、一方のカバー部２５１のみを設け、その背面側に静電霧化装置２９を設置するようにしてもよい。

　静電霧化装置２９は、図２及び図３Ａに示すように、ピン状の放電電極（霧化電極）３０と、この放電電極３０に対向して配置され、放電電極３０と同軸状の開口を有してリング形状とされた対向電極３１とを備えている。静電霧化装置２９は、放電電極３０と対向電極３１との間に高電圧を印加することで放電現象を生じさせて、放電電極３０に保持された水分を静電霧化させることで、帯電微粒子水（すなわち帯電微粒子液）を電極間から吐出する構成とされている。

　この帯電微粒子液は、ナノメートルサイズの粒子径のもの（例えば、５ｎｍ～２０ｎｍ程度）を含む帯電した微粒子液滴であり、空気中にミスト状態で浮遊可能なものである。

　放電電極３０に水分を保持させる手段としては、例えば、放電電極３０の基端部に連なった状態で設けられる冷却手段３２により放電電極３０を冷却して、放電電極３０の廻りの空気に含まれる水分（水蒸気）を放電電極３０の表面に結露させるものが用いられる。

　前記冷却手段３２としては、例えばペルチェ素子が用いられる。冷却手段３２がペルチェ素子の場合は、例えば当該ペルチェ素子の冷却面に電気絶縁材を介して放電電極３０の基端部を連なった状態で設けると共に、当該ペルチェ素子の放熱面に放熱フィン等からなる放熱部３３を連なった状態で設ける。

　なお、前記態様に代えて、放電電極を多孔質セラミック等の多孔質体で構成し、この放電電極の基端部に、液体を貯留する液体供給部を接続し、この液体供給部からの液体を、放電電極の毛細管現象により吸い上げて、その先端部に水分を保持させてもよい。

　静電霧化装置２９は、放電電極３０を囲むように形成された対向電極３１の帯電微粒子液吐出口としての開口が送風路２に向けて開口するように設置されており、送風路２を流れる空気の気流方向に対して交差する方向に向けて帯電微粒子液を吐出する。

　本実施形態では、図２及び図３Ａに示すように、静電霧化装置２９の帯電微粒子液吐出方向と、送風路２を流れる空気の気流方向とが直交するように、静電霧化装置２９を上側外郭部７の内方空間に設置している。すなわち、カバー２５の一方のカバー部２５１の背面側に設置された静電霧化装置２９の前記吐出口からは、排気口３に設けられたルーバー２７の背面に沿うように帯電微粒子液が吐出され、この吐出された帯電微粒子液は、この吐出方向に対して直交する方向に送風される送風路２の空気の気流に乗って排気口３から室内空間に放出される。

　カバー２５は、前面カバー２４またはケーシング２３に対して容易に着脱できる構造とされており、カバー２５を脱離させることでカバー２５の内方空間に設置された静電霧化装置２９のメンテナンス等が可能とされている。なお、このカバー２５と、前面カバー２４またはケーシング２３とを一体的に形成し、カバー部２５１に相当する部位に、メンテナンス等のための開閉蓋を設けるようにしてもよい。

　上側外郭部７には、排気口３を開閉する回動自在な開閉扉３４が設けられており、カバー２５は、図１Ｂ及び図３Ｃに示すように、開閉扉３４の閉状態において開閉扉３４の背面側に位置するように設けられている。

　開閉扉３４は、図３に示すように、ケーシング２３に設けられた支持軸３５を回動支点として、カバー２５を迂回するように上方側かつ後方側に向けて回動する構造とされている。

　送風路２の奥側内壁面２０１（図例では上側外郭部７の奥側内壁面）における、排気口３に対向する部位には、図３Ａに示すように、略円弧状に湾曲形成された区画部材３６が固着され、区画部材３６により、上側外郭部７の上方空間と、送風路２とを区画している。

　区画部材３６は、送風方向上流側の下方延出部３６１が、送風路２の奥側内壁面２０１に固着され、その下端が排気口３の下側縁部と同高さ程度に位置している。下方延出部３６１は下端から上方に行く程排気口３側に位置するよう湾曲し、送風路２を流れる空気の気流方向を、排気口３側に向けて変更するように案内する送風ガイド面として機能する。

　下方延出部３６１の送風方向下流側には、開閉扉３４の支持軸３５の軸心を円心とする円を略六等分した程度の円弧形状部３６２が段部を介して連なっている。円弧形状部３６２の上端部には平板状の区画部３６３が連なり、この区画部３６３の前端が排気口３の上側縁部近傍の前面カバー２４の裏面近傍に位置して、上側外郭部７の上方空間と、送風路２とを区画形成している。なお、この区画部３６３は排気口３の上側縁部近傍の前面カバー２４の裏面に当接してもよい。

　前記区画部材３６によって送風路２と区画された上方空間には、シロッコファン５、操作部１２、及び静電霧化装置２９の夫々と電気的に接続された制御部３７が配設されている。

　このように送風路２と区画された上方空間に制御部３７を配設することで、制御部３７が送風路２を流れる空気による影響を受け難くなり、故障等を防止できる。

　制御部３７が操作部１２からの操作信号を受信し、シロッコファン５の駆動制御（ＯＮ／ＯＦＦ制御、風量制御など）や、静電霧化装置２９の駆動制御がなされる。

　なお、これらシロッコファン５、制御部３７及び操作部１２、並びに前記静電霧化装置２９のペルチェ素子からなる冷却手段３２及び各電極３０，３１への給電は、適宜部位の裏面側に引出した図示しない電源コード等を介してなされる。

　上側外郭部７は、前記下側外郭部８と同様、前面カバー２４がケーシング２３に対して容易に着脱できる構造とされており、前面カバー２４を脱離させることで上側外郭部７の内部の制御部３７のメンテナンス等が可能とされている。

　ルーバー２７は、排気口３の下側縁部近傍の前面カバー２４の裏面近傍部位から鉛直に立設され、その途中部位から後方側に湾曲するように形成され、その湾曲部の前面が、前記カバー部２５１，２５１の部位を含み、円弧形状面２５２とされている。円弧形状面２５２は、側面視において開閉扉３４の支持軸３５の軸心を中心とする円を略六等分した程度の略円弧状とされている。

　カバー２５の上方には、カバー２５の上端部の円弧形状面２５２と、前面カバー２４に形成された排気口３の上側縁部及び前記区画部材３６の区画部３６３の前端部とで囲まれた空隙が形成されており、この空隙が開閉扉３４の迂回移動スペース及び収納スペースとなる。

　ルーバー２７の各羽板は、最上段の羽板を除いて、図３Ａに示すように、送風方向（壁パネル１の厚さ方向と同方向）に沿って略直線状かつ略平板状とされた平板部２７１と、平板部２７１の送風方向上流側端に屈曲して連なる送風ガイド部２７２を有している。送風ガイド部２７２は、送風路２を流れる空気の気流方向を排気口３側に変更するように案内する。

　開閉扉３４は、図１Ｂ及び図３Ｃに示すように、開閉扉３４の閉状態において、排気口３に設けられたカバー２５をほぼ覆い隠す平板部３４１を有している。平板部３４１の一端部（閉状態における上端部、開状態における後端部）には、湾曲形成された円弧状片３４２が連なっている。

　開閉扉３４は、開閉扉３４の閉状態における平板部３４１の左右端部から背面側に向けて突出して設けられた取付片３４３を有している。取付片３４３に設けられた軸挿通孔に、ケーシング２３に設けられた支持軸３５を挿通させることで、開閉扉３４は支持軸３５に回動自在に支持されている（図２も参照）。

　図２に示すように、この取付片３４３の移動が可能なように、カバー２５の左右端部には切欠部が形成されている。

　開閉扉３４の平板部３４１は、図３Ｃに示すように、開閉扉３４の閉状態において手前面が、壁パネル１の表面と略同一平面となるよう構成され、且つ、内側面３４４が、カバー２５の手前面に当接する或いは近傍に位置して対面する構成とされている。

　図３Ａに示すように、開閉扉３４の開状態において、平板部３４１の大部分は上側外郭部７の内部空間に収容されて略水平に配置される。また、この開閉扉３４の開状態においては、平板部３４１の前端部が、壁パネル１の表面よりも前方に向けて突出すると共に、排気口３の上側縁部の近傍に配置される或いは排気口３の上側縁部に当接する。

　開閉扉３４の円弧状片３４２の断面形状は、支持軸３５の軸心を円心とする円を略六等分した程度の円弧形状とされている。つまり、区画部材３６の円弧形状部３６２、カバー２５の円弧形状面２５２、及び開閉扉３４の円弧状片３４２は、いずれも支持軸３５の軸心を中心とする同心円の円弧形状とされている。

　円弧状片３４２は、図３Ｃに示すように、開閉扉３４の閉状態においてカバー２５の円弧形状面２５２と、排気口３の上側縁部及び区画部材３６の区画部３６３の前端部とで囲まれた空隙に収容される。

　図３Ａに示すように、開閉扉３４の開状態においては、円弧状片３４２の最後端部が支持軸３５の軸心を通過する水平線上に概ね配置されると共に、前記区画部材３６の段部（下方延出部３６１と円弧形状部３６２との間に形成された段部）に当接する。

　また、この状態では、区画部材３６の下方延出部３６１と、開閉扉３４の円弧状片３４２とによって連なるような円弧形状の連続面が形成される。そして、下方延出部３６１及び円弧状片３４２により、送風路２内を上方に向けて送風された空気を、排気口３に向けて気流方向を変更するよう案内する送風ガイド面が構成される。すなわち、鉛直な送風路２の奥側内壁面２０１と、開状態における開閉扉３４の水平な平板部３４１の内側面３４４との間を、滑らかな円弧状とされた区画部材３６の下方延出部３６１及び開閉扉３４の円弧状片３４２の内側面で繋ぐような構成としている。

　支持軸３５は、上側外郭部７の内部空間において前後方向略中央部のやや右側寄りで、且つ、排気口３の上下方向略中央部のやや上側寄りに設けられている。

　本実施形態では、支持軸３５の軸心よりも開閉扉３４の重心が、開閉扉３４の開状態において後方側且つ上方側に位置する構成とされ、開閉扉３４の閉状態において前方側に位置する構成とされている。

　このように、開閉扉３４の重心が、開閉扉３４の開状態において支持軸３５の軸心よりも後方に位置することで、開閉扉３４には、開閉扉３４の開状態における後方側、すなわち、開状態を維持する側へのモーメントが作用し、開閉扉３４の開状態を安定させることができる。従って、開閉扉３４の開状態を保持させるロック機構等の固定手段を設ける必要がなく、装置構造の簡略化を図ることができる。

　特に、開閉扉３４の開状態における後端部に円弧状片３４２を設けているので、壁パネル１の厚さを大きくすることなく、また、排気口３の上下開口幅を小さくすることなく、効率的に開閉扉３４の重心を支持軸３５の軸心よりも後方に位置させることができる。

　また、開閉扉３４の閉状態では、開閉扉３４の重心が、支持軸３５の軸心よりも前方側に位置するので、開閉扉３４には閉状態を維持する側へのモーメントが作用し、開閉扉３４の閉状態を安定させることができる。

　開閉扉３４の開閉がなされる際、開閉扉３４は支持軸３５の軸心を支点として、図３の各図に示すようにカバー２５を迂回するように回動し、この際、平板部３４１の内側面３４４がカバー２５の円弧形状面２５２に沿うように近接対面しながら移動する。また、回動する開閉扉３４は、円弧状片３４２の外側面（支持軸３５と反対側の面）が区画部材３６の円弧形状部３６２の手前面に沿うように近接対面しながら移動する。

　開閉扉３４の開状態では、前記のように、開閉扉３４には開状態を維持する側へのモーメントが作用するが、円弧状片３４２の最後端部が前記区画部材３６の段部に当接して規制されることで、開閉扉３４の開状態が維持される。

　一方、開閉扉３４の閉状態では、前記のように、開閉扉３４の閉状態を維持する側へのモーメントが作用しているが、開閉扉３４の平板部３４１が、排気口３の下側縁部乃至はカバー２５の手前面に当接して規制されて、閉状態が維持される。

　このように構成された壁パネル１では、図３Ａに示すように、開閉扉３４を開状態とし、排気口３を開放させ、操作部１２を操作してシロッコファン５を起動させれば、吸気口４から室内の空気が取り込まれる。この取り込まれた空気は、シロッコファン５の吐出口から上方に向けて吐出され、送風路２の下流側に送られる。続いて、上側外郭部７の内部空間に至り、送風ガイド面を構成する区画部材３６の下方延出部３６１及び開閉扉３４の円弧状片３４２の内側面によって気流方向を排気口３側に向けて変更するように案内される。そして、この空気は開閉扉３４の平板部３４１の内側面３４４に沿うようにして、ルーバー２７の羽板間を通過し、この後、排気口３から室内空間に向けて排出される。

　このように、シロッコファン５を起動させた状態で、静電霧化装置２９を起動させれば、静電霧化装置２９から吐出された帯電微粒子液が、前記のように室内に向けて排出される空気の気流に乗って室内空間に放出される。

　本実施形態の壁パネル１によれば、室内の床面付近に配置される下側の吸気口４から吸い込んだ空気を、室内の天井付近に位置される上側の排気口３から排出させることができるので、室内の空気を効率的に循環させ、攪拌することができる。

　また、この排気口３から排出される空気の気流に乗って帯電微粒子液が室内空間に放出されるので、帯電微粒子液を室内空間の広範囲に亘って拡散させることができる。従って、帯電微粒子液の作用により、室内空間の空気を効率的に清浄化でき、また、帯電微粒子液による室内の付着臭の脱臭効果や花粉等の不活化効果等を向上させることができる。

　また、本実施形態では、静電霧化装置２９を、排気口３の一側部近傍内方空間に設置し、静電霧化装置２９から、送風路２を流れる空気の気流方向に対して交差する方向に向けて帯電微粒子液を吐出させるようにしている。このため、例えば、パネル表面から直接、帯電微粒子液を吐出させるように静電霧化装置２９を設置する場合と比べて、放電時に発生する放電音の室内空間への影響を低減することができる。特に、本実施形態のように、静電霧化装置２９の前面側をカバー部２５１によってカバーすることで、より効率的に室内空間における放電音の影響を小さくすることができる。また、静電霧化装置２９の帯電微粒子液吐出口がパネル表面に露出せず、見栄えが良い。

　さらに、放電時にオゾンが発生した場合にも、そのオゾンは、送風路２を流れる空気により希釈される。このため、例えば、パネル表面から直接、帯電微粒子液を吐出させるように静電霧化装置２９を設置する場合と比べて、排気口３から室内空間に放出される空気のオゾン濃度を小さくすることができる。

　また、排気口３を開閉する開閉扉３４を設けているので、不使用時には、開閉扉３４を閉状態にすることで、送風路２内への埃や虫等の異物の侵入を防止できるとともに、排気口３を開閉扉３４によって目立ち難くすることができ、外観を良好なものとできる。

　また、開閉扉３４の開状態において送風路２の奥側内壁面２０１から開閉扉３４の平板部３４１の内側面３４４に連なる連続面を構成する円弧状の送風ガイド面を設けているので、送風路２を流れる空気の気流方向を、送風路２の奥側内壁面２０１、区画部材３６の下方延出部３６１、開閉扉３４の円弧状片３４２及び開閉扉３４の平板部３４１の内側面３４４に沿わせてスムーズに変えることができる。従って、圧力損失を低減することができ、送風効率を向上させることができる。

　また、開閉扉３４の開状態において開閉扉３４の平板部３４１の前端部が壁パネル１の表面よりも前方に向けて突出する構成としているので、この突出した平板部３４１の前端部が整流部として機能し、よりスムーズかつ効率的な送風がなされる。

　また、排気口３に、ルーバー２７を有したカバー２５を設け、開閉扉３４が、閉状態においてカバー２５の前面側を覆う一方、排気口３を開放するよう回動する際には、カバー２５を迂回するように移動するものとしている。このため、開閉扉３４を設けた送風路２の下流側端部にルーバー２７を有したカバー２５を設置することができる。従って、このルーバー２７により、開閉扉３４を開状態にしている場合にも送風路２内への異物の侵入を防止できる。

　さらに、開閉扉３４を閉状態にすることで、ルーバー２７を有したカバー２５の前面側を開閉扉３４で被覆できるので、ルーバー２７を有したカバー２５が隠蔽され、外観を良好なものにできる。

　特に、本実施形態では、開閉扉３４が回動して移動する側のカバー２５の上端部を、回動する開閉扉３４の内側面３４４に沿う円弧形状面２５２を有した形状としている。このため、カバー２５を迂回するように移動して開閉される開閉扉３４の移動半径を比較的小さくでき、開閉扉３４とカバー２５との隙間を比較的小さくすることができる。

　次に、本発明の他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。

　図４は、第二実施形態の壁パネル１０１（パネル装置）を模式的に示した図である。

　なお、以下では第一実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略或いは簡略に説明する。

　本実施形態の壁パネル１０１は、上側外郭部７００のカバー２５０の態様が第一実施形態の壁パネル１と異なり、詳しくはカバー２５０の中央部位に形成されたルーバー２７０の構成が第一実施形態と異なる。

　ルーバー２７０の各羽板２７３は、最上段の羽板２７３を除いて、図４に示すように、送風方向（壁パネル１０１の厚さ方向と同方向）に沿って略直線状かつ略平板状とされている。

　各羽板２７３の送風方向に沿う幅寸法は、５ｍｍ以上、１５ｍｍ以下としている。

　本実施形態の壁パネル１０１によれば、第一実施形態の壁パネル１と略同様の効果を奏するとともに、ルーバー２７０の各羽板２７３を前記構成とすることで、以下の効果を奏する。

　すなわち、送風路２を流れて室内空間に排出される空気に対する好適な整流効果を確保しつつも、静電霧化装置２９から吐出されて、送風路２を流れる空気の気流に乗って室内空間に放出される帯電微粒子液に対するルーバー２７０の干渉を少なくできる。

　ルーバー２７０の各羽板２７３の送風方向に沿う幅寸法を、１５ｍｍよりも大きくすれば、整流効果を向上させることはできるが、帯電微粒子液との干渉が大きくなる傾向がある。一方、ルーバー２７０の各羽板２７３の送風方向に沿う幅寸法を、５ｍｍよりも小さくすれば、帯電微粒子液との干渉を少なくすることはできるが、十分な整流効果が得られなくなる傾向がある。つまり、整流効果や送風ガイド効果を高めるには、羽板２７３の幅寸法を大きくし、さらには、第一実施形態の壁パネル１のように、ルーバー２７の各羽板２７３に送風ガイド部２７２を設けることが好ましい。しかし、静電霧化装置２９から吐出された帯電微粒子液が、羽板の平板部２７１や送風ガイド部２７２に衝突する確率が大きくなる傾向があり、室内空間に放出される帯電微粒子液が減少する傾向がある。

　一方、前記構成とされた本実施形態の壁パネル１０１によれば、前記帯電微粒子液のルーバー２７０への衝突を低減しながらも、室内空間に排出される空気の整流が効率的になされる。

　前記各実施形態の壁パネル１，１０１を取り付け対象に取り付ける際には、他の壁面材や他の送風機能付き壁パネルの表面と面一状となるように、一部を壁内部に埋め込ませるようにして取り付けるようにしてもよく、また、既設の壁面に付設するようにしてもよい。

　壁パネル１，１０１を壁パネル１，１０１の表面と面一状となるように取り付ける場合は、例えば以下のようにすればよい。まず壁内部の間柱間に、上側外郭部７，７００の背面側部、中間部６のダクト部材９、及び下側外郭部８の背面側部を配置する。そして、間柱の前面に、上側外郭部７，７００及び下側外郭部８の前面側部の延出部２６，１８、並びに中間部６の前面板１１の左右延出部を取り付ける。

　一方、壁パネル１，１０１を既設の壁面に付設する場合は、例えば以下のようにすればよい。すなわち、上側外郭部７，７００及び下側外郭部８の前面側部の延出部２６，１８、並びに中間部６の前面板１１の左右延出部の背面側を、壁面との間にスペーサー部材を配設して壁面に取り付ける。または、このような延出部を設けずに、壁パネル１，１０１の厚さを全体に亘って略均一のものとしてもよく、この場合は、スペーサー部材等は不要である。

　このように前記各実施形態のパネル装置は送風機能付きの内装パネル装置であるので、壁面を構成するように設置でき、室内設置タイプの扇風機等の送風機に比べて、室内空間の有効活用を図ることができる。

　なお、前記各実施形態では、送風機能付き内装パネル装置として、縦長扁平矩形状の壁パネルを例示したが、横長扁平矩形状のものとしてもよく、また、排気口及び吸気口を図例とは逆側に設けるようにしてもよい。

　また、壁パネル１の表面に開口させた吸気口４及び排気口３を上下に離間させて形成した態様を例示しているが、左右に離間させて形成するようにしてもよい。すなわち、当該壁パネルを横置きにして設置するような態様にしてもよい。

　さらに、前記各実施形態では、静電霧化装置の帯電微粒子液の吐出方向と、送風路２を流れる空気の気流方向とが直交する例を示しているが、これらが交差する構成とすればよく、これらのなす角が９０度以外であってもよい。

　また、前記各実施形態では、ルーバー２７，２７０を有したカバー２５，２５０のカバー部２５１により、排気口３の一部を塞ぐようにし、このカバー部２５１の背面側に、静電霧化装置２９を設置した例を示しているが、このような態様に限られない。例えば、ルーバー２７，２７０をカバー２５，２５０の左右方向の略全体に亘って設け、その一側部における前面カバー２４の背面側に静電霧化装置２９を設置するような態様としてもよい。

　また、前記各実施形態では、壁パネル１，１０１の表面に設けられた一対の通気用開口部３，４のうち、一方の通気用開口部３に開閉扉３４を設けると共に送風ガイド面を設けた態様としている。しかし、他方にもこれら開閉扉３４及び送風ガイド面のうちの少なくともいずれか一方を設けるようにしてもよい。また、壁パネル１，１０１の下側の通気用開口部４に、開閉扉３４及び送風ガイド面を設ける場合には、開閉扉３４を、下方側かつ後方側に向けて回動する構成とすればよい。つまり、一方の通気用開口部を開閉する開閉扉は、他方の通気用開口部から離間する方向かつ後方側に向けて回動する構成とすればよい。

　また、前記各実施形態では、開閉扉３４の開状態における後端部の円弧状片３４２が送風ガイド面を構成する態様としているが、このような態様に限られない。開閉扉３４の形状を平板状とし、この開閉扉の開状態において開閉扉の内側面に連なる連続面を構成する弧状面形状を有した送風ガイド面を、送風路２の奥側内壁面に設けるようにしてもよい。例えば、図例の区画部材３６の下方延出部３６１のみにより送風ガイド面を構成するようにしてもよい。または、開閉扉３４の円弧状片３４２のみによって、送風ガイド面を構成するようにしてもよい。

　さらに、前記各実施形態では、開閉扉３４が手動開閉されるものとし、且つ、上側の通気用開口部３に設けて、その開状態が安定するように、開閉扉３４の重心位置を、開閉扉３４の回動支点よりも後方側に位置するように構成した例を示している。しかし、このような構成に代えて、開閉扉３４の開状態及び閉状態を保持させるロック機構等を設けるようにしてもよい。

　または、このような開閉扉３４や送風ガイド面を設けないようにしてもよく、さらには、ルーバー２７を設けないようにしてもよい。この場合、送風路２の送風方向に対して直交する方向に長辺を沿わせて横長形状とされた排気口３の場合は、前記各実施形態と同様、その長手方向の一側部近傍内方空間に、静電霧化装置２９を設置するようにしてもよい。これにより、静電霧化装置２９から吐出された帯電微粒子液の室内空間への放出効率を、短手方向の一側部近傍内方空間に設置する場合と比べて、向上させることができる。

　また、前記各実施形態では、空気を送風するための送風手段として、シロッコファン５を下側外郭部８に設けた例を示しているが、上側外郭部７，７００に設けるようにしてもよい。或いは、送風路２の途中部位に、クロスフローファンや軸流ファン等を送風手段として設けるようにしてもよい。

　さらに、前記各実施形態の壁パネル１，１０１の送風路２に、調湿材や脱臭剤等の機能性材料を含み、送風方向に開口する多数の中空筒状セルの集合体からなるハニカム状構造体を配設するようにしてもよい。このような調湿性や脱臭性を有したハニカム状構造体を送風路２内に配設することで、室内の空気を調湿、脱臭することができる。

　また、前記各実施形態の壁パネル１，１０１の送風路２を、パネル幅方向において分割する仕切板を設けるとともに、それぞれに独立駆動可能な送風手段を設け、一方を上記同様の下側吸気、上側排気とし、他方を上側吸気、下側排気とするような態様としてもよい。すなわち、この場合、他方の送風手段が排気口３から送風路２に空気を吸い込んで吸気口４から排出する逆送風手段を構成する。また、この場合は、各排気口３の一側部近傍内方空間に、静電霧化装置２９を設置するようにしてもよい。

　このような構成によれば、室内空間の温度分布の状況に応じて、いずれかの送風手段を駆動させることで、室内空間の温度差をより効率的に減少させることができる。

　または、このように送風路を分割する態様とした場合には、いずれかの送風路に、ハニカム状構造体を配設するような態様としてもよい。

　次に、本発明のさらに他の実施の形態である第三実施形態について説明する。

　図５及び図６に示される本実施形態のパネル装置１０２は建物の内装壁の一部を構成するものであり、内装壁材として利用される建築用のパネル４０に屋内空気を循環させるサーキュレーター機能を付加したものである。

　パネル４０は上下に長い矩形状に形成され、表面を構成する表面形成材４１と、この背方に設けられる板金製のベース４２と構成されている。ベース４２は前方に向けて開口する扁平で上下に長い長方形箱状の風洞部４３で主体が構成され、表面形成材４１は風洞部４３の開口を塞ぐよう風洞部４３の前側に取付けられている。

　表面形成材４１は、下端部を構成する前面カバー１６０と、上端部を構成する前面カバー２４０と、前面カバー１６０と前面カバー２４０の間に配置される前面板１１０とで構成され、全体として上下に長い長方形板状に形成されている。前面カバー１６０は風洞部４３の下端部の前方に配置され、前面カバー１６０には吸気口４００が形成されている。前面カバー２４０は風洞部４３の上端部の前方に配置され、前面カバー２４０には排気口３００が形成されている。

　風洞部４３とこの前方に配設された表面形成材４１との間には送風路２００が形成され、前記吸気口４００と排気口３００は送風路２００を介して連通している。

　送風路２００の下端部である上流側端部には送風手段を構成するファン５００が配設されている。ファン５００は前面板１１０の前面等に設けられた操作部を操作することで駆動する。ファン５００が駆動すると、屋内空気は吸気口４００を介して送風路２００に吸い込まれ、この後、ファン５００を通過して送風路２００を上昇し、排気口３００を介して屋内に排出される。これによって屋内空気を循環させることができる。

　また、本実施形態のファン５００は正逆反転して駆動することで、排気口３００から送風路２００に空気を吸い込んで吸気口４００から排出する逆送風手段を構成する。このようなファン５００を用いることにより、例えば冬場の暖房使用時等において、ファン５００により天井近傍に滞留した暖気を排気口３００から送風路２００に空気を吸い込んで吸気口４００から排出し、屋内空気の温度分布を均等にすることができる。

　風洞部４３の両側には外側方に向けて突出する突片部４４が一体に形成されている。各突片部４４には図示しない係合部が設けられて対応する前側のカバー１６０、２４０が着脱自在に係合される。

　各突片部４４はパネル装置１０２を建物躯体に固着される固着部を構成する。パネル装置１０２を施工するには、例えば図６に示されるようにベース４２の風洞部４３を対向する二本の間柱４５の間に埋め込む。また、各突片部４４の背面を被設置面を構成する間柱４５の前面に沿わせ、この状態で各突片部４４をねじ等の固着具を用いて間柱４５に固着する。このように建物壁に埋め込まれた状態で設置されたパネル装置１０２は、表面形成材４１の前面が他の内装面と略面一となって内装面の一部を構成する。なお、パネル装置１０２は、各突片部４４の背面を図示しないスペーサーを介して壁面に当接し、これら各突片部４４を建物躯体に固着することで施工されるものであってもよい。

　そして、図５のようにパネル４０には脱臭効果や殺菌効果等を有する帯電微粒子液を発生させる静電霧化装置２９０が内蔵されている。

　この静電霧化装置２９０の概略図を図７に示す。図に示されるように静電霧化装置２９０は、霧化部２９１と、霧化部２９１に霧化させる液体を供給する液供給部を備え、液供給部から供給された液体を霧化部２９１にて静電霧化し、これにより帯電微粒子液を発生させるものである。

　霧化部２９１は、放電電極３０１と、放電電極３０１に対向する対向電極３１０を備えている。放電電極３０１の表面に液供給部から供給された液体が保持された状態で、高電圧印加部４６によって放電電極３０１と対向電極３１０との間に高電圧が印加されると、放電電極３０１と対向電極３１０との間で電界が形成されると共に放電電極３０１の先端に電界が集中して電荷が高密度となり、電荷の反発力で放電電極３０１の表面に保持された液体が弾けて分裂・飛散を繰り返して静電霧化が行われる。これによって放電電極３０１上の液体が放電電極３０１の先端にて静電霧化され、生成された帯電微粒子液が対向電極３１０の孔を通して放電電極３０１の先端側に放出される。この帯電微粒子液は粒子径がナノメータサイズ（３ｎｍ～数十ｎｍ程度）となる小さなもので強い電荷を持ち、且つ、反応性に富む活性種を含むものであって、高い脱臭効果や殺菌効果等を奏するものである。

　液供給部はペルチェユニットで構成され、冷却側となる冷却部４７と放熱側となる放熱部３３０とを備え、冷却部４７には前記放電電極３０１が熱的に接続されている。ペルチェユニットに通電がなされると、冷却部４７及びこれに接続された放電電極３０１が冷却され、空気中の水分を基にして放電電極３０１上に結露水が生成され、この結露水が前記霧化部２９１にて静電霧化させる液体となる。なお、図７中符号３７０は霧化部２９１への電圧印加及びペルチェユニットへの通電を制御する制御部である。

　前記静電霧化装置２９０は図５に示されるように上下に長い送風路２００の左右方向の一側端部に配設され、また、生成された帯電微粒子液が送風路２００を流れる空気の気流方向と直交する方向に放出されるよう放電電極３０１の先端を送風路２００の反対側の側端部に向けた状態で設置されている。

　静電霧化装置２９０はファン５００の駆動時に帯電微粒子液を生成するものであって、霧化部２９１で生成された帯電微粒子液は送風路２００の中途の側端部から送風路２００を流れる空気の気流方向と直交する方向（左右方向）に放出され、ファン５００の正転時には送風路２００を上昇する空気に乗って該空気と共に排気口３００から屋内に排出され、また、ファン５００の逆転時には送風路２００を下降する空気に乗って該空気と共に吸気口４００から屋内に排出される。

　このようにして屋内に放出された帯電微粒子液は屋内を浮遊して屋内の細部にまで至って臭気成分を除去し、また、室内壁面やカーテン等にも侵入して臭気成分を除去し、屋内を効率良く脱臭する。また、この帯電微粒子液が送風路２００を通過するときには、送風路２００を脱臭すると共に送風路２００を除菌し、これによって送風路２００にカビが発生することも防止される。

　本実施形態のパネル装置１０２は、建物の内装面の一部を構成するものであり、以下の構成を有する。パネル４０の表面に吸気口４００及び排気口３００が設けられると共に、パネル４０の内部に吸気口４００と排気口３００とを連通させる送風路２００が形成される。また、パネル４０に吸気口４００から送風路２００に空気を吸い込んで排気口３００から排出する送風手段が設けられる。また、パネル４０にナノメーターサイズの帯電微粒子液を生成すると共に送風路２００に供給する静電霧化装置２９０が設けられる。

　本実施形態のパネル装置１０２を利用するには、送風手段により屋内空気を循環させると共に、静電霧化装置２９０により帯電微粒子液を生成してこの帯電微粒子液を送風路２００を流れる空気に乗せて該空気と共に屋内に供給する。前記帯電微粒子液は粒子径がナノメータサイズと小さく、強い電荷を持つため、拡散性が高く、長時間浮遊し、また、帯電微粒子液に含まれる活性種により、臭気成分を除去すると共に殺菌する作用を有する。このため、帯電微粒子液が屋内の広い範囲に供給されて室内壁面やカーテン等に侵入し、この帯電微粒子液に含まれる活性種によって屋内を細部まで脱臭・除菌することができる。また、ここで利用される吸気口４００、排気口３００、送風路２００、送風手段、及び静電霧化装置２９０は、パネル４０を設置するだけで建物に設けることができるので、パネル４０とは別に設置する必要がなくて、施工が容易になる。また、前記帯電微粒子液にて送風路２００の除菌・脱臭を行うこともでき、送風路２００に臭いやカビ等が発生することも防止できる。

　また、本実施形態の静電霧化装置２９０で生成された帯電微粒子液は送風路２００を流れる空気の気流方向と直交する方向に放出されるものであるので、静電霧化装置２９０から送風路２００の断面において広い範囲に帯電微粒子液を放出することができ、これによって排気口３００や吸気口４００から屋内に向けて均一に帯電微粒子液を放出することができ、また、送風路２００の広い範囲を脱臭・除菌することができる。

　また、ファン５００を逆転駆動することにより、送風路２００の正転時において静電霧化装置２９０よりも上流側に位置する領域にも帯電微粒子液を含む空気を通過させ、この領域の脱臭・除菌を行うことができる。すなわち静電霧化装置２９０の駆動すると共にファン５００を正逆両方向に駆動することによって、送風路２００の全体を脱臭・除菌することが可能となる。

　次に前記実施形態とはさらに異なる第四実施形態について説明する。なお、以下では第三実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略或いは簡略に説明する。

　図８に示される第四実施形態のパネル装置１０３は、静電霧化装置２９０が送風路２００の下流端部に設けられて排気口３００の近傍に位置している。静電霧化装置２９０は第三実施形態と同様に送風路２００の側端部から送風路２００を流れる空気の気流方向と直交する方向（左右方向）に放出するものである。このように静電霧化装置２９０を送風路２００の下流端部に設けることにより、ファン５００の正転駆動時には、静電霧化装置２９０から送風路２００に供給された帯電微粒子液をすぐに排気口３００から屋内に排出し、屋内をより効果的に脱臭することができる。また、ファン５００の逆転駆動時には、静電霧化装置２９０から送風路２００に供給された帯電微粒子液を送風路２００の全体に行き渡らせることが可能となり、送風路２００の除菌・脱臭をより効果的に行うことができる。

　なお、第三実施形態及び第四実施形態では、送風路２００に、調湿機能及び脱臭機能を有するハニカム材、脱臭フィルター等を設け、パネル装置１０２，１０３の脱臭機能を高めたり、他の機能を付加してもよい。この場合、ハニカム材や脱臭フィルターはファン５００の正転駆動時における静電霧化装置２９０よりも上流側に設けると、正転駆動時において帯電微粒子液を屋内に効率よく供給できてよい。

　また、第三実施形態及び第四実施形態では静電霧化装置２９０から帯電微粒子液を気流方向と直交する方向に放出したが、該放出方向は気流方向とのなす角度が９０度未満となるよう傾斜するものであってもよい。すなわち帯電微粒子液の放出方向は気流方向と交差する方向であればよい。また、第三実施形態及び第四実施形態では逆送風手段をファン５００により構成したが、逆送風手段としてファン５００とは別にファンを設け、該ファンで排気口３００から送風路２００に空気を吸い込んで吸気口４００から排出するようにしてもかまわない。さらに静電霧化装置２９０の放電電極３０１に液体を供給する液供給部をペルチェユニットで構成したが、例えば放電電極３０１を液体を溜めるタンクに連通してタンクから毛細管現象により放電電極３０１に液体を供給するキャピラリーで構成し、このタンクとキャピラリーからなる放電電極３０１で液供給部を構成する等、液供給部として従来から知られている種々の手段を用いてもよいものとする。また、対向電極３１０を省略し、高電圧印加部４６によって放電電極３０１に電圧を印加して帯電微粒子液を生成するものであってもよい。さらに第三実施形態及び第四実施形態のパネル装置１０２，１０３は建物の壁を構成するものであるが、天井等のその他の内装面を構成するものであってもよい。

　また、第三実施形態及び第四実施形態でも、第一実施形態や第二実施形態と同様に、静電霧化装置２９が排気口３００の一側部近傍内方空間に設置されるものであってもよい。また、第三実施形態及び第四実施形態でも第二実施形態と同様に、送風路２００の下流端部に複数の羽板からなるルーバーを設け、このルーバーの各羽根を送風方向に沿って略直線形状にすると共に、送風方向に沿う幅寸法が、５ｍｍ以上、１５ｍｍ以下としてもよい。また、第一実施形態及び第二実施形態では、第三実施形態や第四実施形態と同様に、送風手段を正逆反転するファンで構成し、この送風手段を逆送風手段として利用できるようにしても構わない。

　この他、第三実施形態及び第四実施形態において第一実施形態や第二実施形態と異なる各部の構成は、第一実施形態や第二実施形態に適用してもよい。逆に、第一実施形態及び第二実施形態において第三実施形態や第四実施形態と異なる各部の構成は、第三実施形態や第四実施形態に適用しても構わない。

　また、第一～第四実施形態におけるパネル装置１，１０１，１０２，１０３は内装以外の部分を構成するものであってもよい。また、第一～第四実施形態における静電霧化装置２９，２９０は水以外の液体から生成されるものであってもよい。また、静電霧化装置２９，２９０によって生成される帯電微粒子液の粒子径も前記に限定されるものではない。また、この他、第一～第四実施形態における各部の構成は適宜設計変更可能である。

Claims

パネル表面に設けられた吸気口及び排気口と、
パネル内に設けられて前記吸気口及び排気口を連通させる送風路と、
前記吸気口から前記送風路に空気を吸い込んで前記排気口から排出する送風手段と、
帯電微粒子液を生成し前記送風路に供給する静電霧化装置と、
を備えていることを特徴とするパネル装置。
前記静電霧化装置が前記帯電微粒子液を前記送風路の空気の気流方向に対して交差する方向に放出して前記送風路に供給するものであることを特徴とする請求項１に記載のパネル装置。
前記静電霧化装置が前記排気口の一側部近傍内方空間に設置されていることを特徴とする請求項２に記載のパネル装置。
前記排気口から送風路に空気を吸い込んで吸気口から排出する逆送風手段を備えていることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項に記載のパネル装置。
前記送風路の下流端部に複数の羽板からなるルーバーが設けられており、
このルーバーの各羽根は送風方向に沿って略直線形状とされると共に、前記送風方向に沿う幅寸法が、５ｍｍ以上、１５ｍｍ以下とされていることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項に記載のパネル装置。