WO2011010468A1

WO2011010468A1 - 通信方法

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Publication number: WO2011010468A1
Application number: PCT/JP2010/004699
Authority: WO
Inventors: 中江宏典; 安道和弘; 酒井原邦彦
Original assignee: パナソニック株式会社
Priority date: 2009-07-22
Filing date: 2010-07-22
Publication date: 2011-01-27
Also published as: US20120106427A1; US8605631B2; JP5144812B2; JPWO2011010468A1; CN102187626A; CN102187626B

Abstract

　マルチキャスト伝送の通信品質を向上させる通信方法を提供する。グルーピングテーブル記憶部は、Ａｃｋを返信する前記受信端末の優先順位を示すＡｃｋ返信順位と、受信端末のアドレスとが設定されたグルーピングテーブルを記憶する。Ａｃｋ返信順位通知フレーム作成部は、グルーピングテーブルに基づいて、受信端末にＡｃｋ返信順位を通知する。Ａｃｋ返信許可情報決定部は、グルーピングテーブルを参照し、Ａｃｋ返信を許可する受信端末の数を決定し、当該決定した受信端末の数に基づいて、Ａｃｋ返信を許可する受信端末の情報を設定したＡｃｋ返信許可情報を作成する。マルチキャスト作成部は、Ａｃｋ返信許可情報と送信データとを含むマルチキャストを作成する。

Description

通信方法

　本発明は、特に映像・音声などのデータをマルチキャストする通信方法において、再送処理を用いて通信の信頼性を向上する技術に関するものである。

　近年、災害対策・救助用のブロードバンド移動通信システムの１つとして、災害・救助現場の映像を、現場周辺の緊急車両（救急車・消防車）などに無線映像配信することが期待されている。このような映像配信システムでは、緊急車両（救急車・消防車）の台数は災害規模に応じて増加することが想定され、これらの緊急車両にユニキャスト（個別通信）で映像伝送を行うと、無線帯域が不足する可能性がある。そこで、このようなシステムでは、マルチキャスト（同報通信）で効率よくデータ伝送を行う必要がある。

　マルチキャストを用いた従来の通信方法としては、例えば、特許文献１に記載の技術がある。特許文献１に記載の技術では、マルチキャストの伝送サイクルごとに到達確認を返信する受信端末を指定する。図３８Ａは、特許文献１に記載された技術のネットワーク図である。図３８Ａにおいて、送信端末２００は、マルチキャストを送信する端末である。受信端末２０１～２０３は、無線ネットワーク介して通信し、送信端末２００が送信したマルチキャストを受信する。

　図３８Ｂは、特許文献１に記載された送信端末２００と、複数の受信端末２０１～２０３との間で送受信される各パケットのフレーム構成を示す図である。図３８Ｂにおいて、マルチキャスト３０１は受信端末２０１と受信端末２０２の到達確認の返信を許可する到達確認返信許可識別子と、誤り訂正符号単位で設けられたデータブロック１～３で構成されている。

　１段目のサイクルにおいて、送信端末２００は、受信端末２０１～２０３宛にマルチキャスト３０１を送信する。受信端末２０１は、受信したマルチキャスト３０１に受信端末２０１宛の到達確認返信許可識別子が含まれていることを検出すると、送信端末２００宛に到達確認フレーム３０２を送信する。受信端末２０２は、受信したマルチキャスト３０１に受信端末２０２宛の到達確認返信許可識別子が含まれていることを検出すると、送信端末２００宛に到達確認３０３を送信する。受信端末２０３は、受信したマルチキャスト３０１に受信端末２０３宛の到達確認返信許可識別子が含まれていないため、到達確認フレームを送信せずに待機する。

　ここでは、受信端末２０１は、ブロック１～３を正常に受信できたので、誤りがないことを示す到達確認３０２を返信する。一方、受信端末２０２は、ブロック３が誤ったのでブロック３の再送を要求するための到達確認フレーム３０３を返信する。

　２段目のサイクルにおいて、送信端末２００は、マルチキャスト３０４で前のサイクルの再送要求を受けたブロック３を再送し、続いて新たなブロック４～６を送信する。マルチキャスト３０４には、受信端末２０３と受信端末２０１との到達確認フレーム返信を許可する到達確認返信許可識別子が設定されている。受信端末２０３は、マルチキャスト３０４を正常に受信できたものの、１段目のサイクルにおいてマルチキャスト３０１のブロック２を正常に受信できなかったため、到達確認フレーム３０５でブロック２の再送を要求する。一方、受信端末２０１は、ブロック４～６を正常に受信できたので、誤りがないことを示す到達確認フレーム３０６を返信する。

　３段目のサイクルにおいて、送信端末２００は、２段目のサイクルと同様に、マルチキャスト３０７で、前サイクルで再送要求を受けたブロック２を再送し、続いて新たなブロック７～９を送信する。マルチキャスト３０７には、受信端末２０２と受信端末２０３の到達確認フレーム返信を許可する到達確認返信許可識別子が設定されている。受信端末２０２は、マルチキャスト３０４及びマルチキャスト３０７の両方が正常に受信できているので、誤りがないことを示す到達確認フレーム３０８を返信する。一方、受信端末２０３は、マルチキャスト３０４のブロック８を正常に受信できなかったため、ブロック８の再送を要求するための到達確認フレーム３０９を返信する。

　以上のように、特許文献１では、送信端末２００は、到達確認フレームの返信を許可する受信端末の識別子情報をマルチキャストに付加して、到達確認フレームを返信する受信端末を指定していた。これにより、到達確認フレーム同士の衝突、及び送信端末の到達確認フレーム受信処理時間を短縮することができ、通信の品質の向上を実現していた。

　また、従来の別の通信方法としては、例えば、特許文献２に記載された技術がある。特許文献２に記載の技術では、マルチキャストの受信が成功した受信端末の宛先（到達確認返信要求）情報を、再送するマルチキャストから取り除いて再送する。図３９は、特許文献２に記載された技術のデータ送受信シーケンス図の一例を示す図である。特許文献２に記載された技術の通信システムは、マルチキャストを送信する送信端末４００と、マルチキャストを受信し、応答としてＡｃｋまたはＮＡＫを送信する受信端末４０１～４０５とから構成される。

　図３９において、まず送信端末４００は、受信端末４０１～受信端末４０５の宛先情報を含むマルチキャスト５００を送信する。受信端末４０２、４０５は、マルチキャスト５００を正常に受信できたので、誤りがないことを示すＡｃｋ５０２、５０５を送信端末４００に返信している。一方、受信端末４０１、４０３，４０４は、マルチキャスト５００を正常に受信できなかったので、マルチキャスト５００の再送を要求するためのＮＡＫ５０１、５０３、５０４を返信している。

　次に、送信端末４００は、受信端末４０２、４０５からＡｃｋを受信したので、マルチキャスト５００の宛先から受信端末４０２，４０５を取り除いた再送マルチキャスト５００を送信する。受信端末４０３は、再送マルチキャスト５００を正常に受信できたので、誤りがないことを示すＡｃｋ５１３を返信している。一方、受信端末４０１、４０４は、再送マルチキャスト５００を正常に受信できなかったので、再送マルチキャスト５００の再送を要求するためのＮＡＫ５１１、５１４を返信している。

　次に、送信端末４００は、受信端末４０３からＡｃｋを受信したので、再送マルチキャスト５００の宛先から受信端末４０３を取り除いた再送マルチキャスト５００を送信する。受信端末４０４は、再送マルチキャスト５００を正常に受信できたので、誤りがないことを示すＡｃｋ５２４を返信している。一方、受信端末４０１は、再生マルチキャスト５００を正常に受信できなかったので、再送マルチキャスト５００の再送を要求するためのＮＡＫ５２１を返信している。

　以上のように、特許文献２に記載された技術では、受信が成功した受信端末の宛先情報をマルチキャストから取り除いて再送し、既に受信が成功している受信端末がＡｃｋを返信しないようにしていた。これにより、不必要なＡｃｋの返信を削減して、Ａｃｋ（ＮＡＫ）同士の衝突の可能性を低減させるとともに、送信端末のＡｃｋ（ＮＡＫ）受信処理時間を短縮させ、通信の品質の向上を実現していた。また、特許文献２に記載された技術では、マルチキャストの宛先情報に設定された順番に応じて到達確認フレームの返信に優先順位を設けており、最も優先度の高い受信端末は直ちにＡｃｋを返信し、それ以外の受信端末は、自機の優先順位から求めた確率に応じてＡｃｋ返信をランダムに決定することにより、受信端末の優先度に応じた制御を実現している。

特開２００２－３１４６２６号公報特開平１－１４７９２６号公報

　しかしながら、特許文献１に記載の技術では、到達確認フレームの返信を許可する受信端末の台数に比例して到達確認返信許可識別子の情報が増えるため、マルチキャストのフレーム長が長くなり帯域を効率よく利用できない。また、フレーム長が長くなるので無線ネットワークのフェージングによる伝搬特性の変化や、受信同期エラーにより誤りが発生する確率が高くなる。また、到達確認フレームの返信を許可する受信端末の台数を少なくすると、到達確認フレームの送信に遅延が発生する。例えば、受信端末が５０台で１サイクルあたり到達確認フレームの返信を許可する受信端末の台数を２台にすると、誤りが発生してから最大２５サイクル経過するまで再送の要求である到達確認フレームを送信することができず、伝送遅延によるパケットロスが発生する可能性が高い。

　また、特許文献２に記載の技術では、マルチキャストを未受信の全受信端末が到達確認フレームを返信するので、図４０Ａ，Ｂに示すように、送信端末での到達確認フレームの受信処理時間が受信端末の台数に比例して長くなる。このため、再送マルチキャストの送信機会が受信端末の台数に応じて少なくなり、パケットロスが発生する可能性が高くなる。図４０Ａが受信端末６台からＡｃｋを返信する場合で、図４０Ｂが受信端末３台からＡｃｋを返信する場合である。また、マルチキャストの宛先情報の設定順番に応じて到達確認フレームの返信に優先順位を設定するが、受信端末の台数が多いとＡｃｋ（ＮＡＫ）同士の衝突が発生し、不必要なマルチキャスト再送を行う可能性がある。また、２番目以降の受信端末のＡｃｋ返信を時間遅延差で返信する場合は、上述したように台Ａｃｋ受信処理の時間が受信端末の台数に比例して増加する。

　それ故に、本発明は、前記従来の課題を解決するのもので、マルチキャスト伝送の通信品質を向上させる通信方法を提供することを目的とする。

　本願発明の一態様である通信方法は、送信端末が送信データを受信端末に送信する際の通信方法である。送信端末は、Ａｃｋを返信する受信端末の優先順位を示すＡｃｋ返信順位と、受信端末のアドレスとが設定されたグルーピングテーブルを記憶するグルーピングテーブル記憶部を備える。受信端末は、Ａｃｋを返信する自端末の優先順位を示すＡｃｋ返信順位を記憶するＡｃｋ返信順位記憶部を備える。送信端末が、アプリケーションを実行し、送信データを作成するステップと、送信端末が、グルーピングテーブルを参照し、Ａｃｋ返信を許可する受信端末を決定し、当該決定したＡｃｋ返信を許可する受信端末の情報を設定したＡｃｋ返信許可情報を作成するステップと、送信端末が、Ａｃｋ返信許可情報と送信データとを含むマルチキャストを受信端末に送信するステップと、受信端末が、送信端末からマルチキャストを受信するステップと、受信端末が、マルチキャストに含まれるＡｃｋ返信許可情報と、Ａｃｋ返信順位記憶部に記憶されたＡｃｋ返信順位とに基づいて、マルチキャストに対してＡｃｋの返信が許可されているか否かを判定するステップと、受信端末が、Ａｃｋの返信が許可されていると判定した場合、送信端末にＡｃｋを返信するステップとを備える。

　上記の様態によると、本発明のマルチキャスト送信シーケンスでは、送信端末は、予め受信端末の優先度の順番にＡｃｋ返信順位を決定し、決定したＡｃｋ返信順位をマルチキャストの送信開始前に各受信端末に通知する。これにより、マルチキャストに設定するＡｃｋ返信許可情報を従来に比べて減らすことができ、帯域を効率よく利用できる。また、マルチキャストのフレーム長が短くなるので、マルチキャストの受信誤りの発生確率も低くなる。また、送信端末は、マルチキャストの品質保証が必要な受信端末の順番にＡｃｋ返信順位を決定し、マルチキャストの送信間隔に応じてＡｃｋ返信を許可する受信端末の台数を決定する。これにより、マルチキャストを受信する受信端末の台数に関わらず、優先度の高い受信端末から順番に到達確認ができ、予め設定した所定回数の再送機会を保証することができる。このため、優先度の高い受信端末が、確実に送信データを受信したことを確認できる。

図１は、本発明の各実施の形態における無線システムの構成の一例を示す図である。図２は、本発明の実施の形態１における送信端末１０の構成を示す図である。図３は、本発明の実施の形態１における受信端末２０の構成を示す図である。図４Ａは、本発明の実施の形態１におけるＡｃｋ返信順位通知フレームの構成例を示す図である。図４Ｂは、本発明の実施の形態１におけるＡｃｋ返信順位応答フレームの構成例を示す図である。図４Ｃは、本発明の実施の形態１におけるマルチキャストの構成例を示す図である。図４Ｄは、本発明の実施の形態１におけるＡｃｋの構成例を示す図である。図５は、本発明の実施の形態１におけるグルーピングテーブルの一例を示す図である。図６は、本発明の実施の形態１におけるＡｃｋ返信数の決定方法の一例を示す図である。図７は、本発明の実施の形態１におけるＡｃｋ返信順位通知シーケンスの一例を示す図である。図８は、本発明の実施の形態１におけるグルーピングテーブルの一例を示す図である。図９は、本発明の実施の形態１におけるマルチキャスト再送シーケンスの一例を示す図である。図１０Ａは、本発明の実施の形態１におけるグルーピングテーブルの一例を示す図である。図１０Ｂは、本発明の実施の形態１におけるグルーピングテーブルの一例を示す図である。図１０Ｃは、本発明の実施の形態１におけるグルーピングテーブルの一例を示す図である。図１０Ｄは、本発明の実施の形態１におけるグルーピングテーブルの一例を示す図である。図１１は、本発明の実施の形態１における送信端末１Ａの制御フローの一例を示す図である。図１２は、本発明の実施の形態１における受信端末１Ｂ～１Ｆの制御フローの一例を示す図である。図１３は、本発明の実施の形態１におけるマルチキャスト再送シーケンスの一例を示す図である。図１４Ａは、本発明の実施の形態１におけるグルーピングテーブルの一例を示す図である。図１４Ｂは、本発明の実施の形態１におけるグルーピングテーブルの一例を示す図である。図１４Ｃは、本発明の実施の形態１におけるグルーピングテーブルの一例を示す図である。図１５は、本発明に実施の形態１おけるマルチキャスト構成の一例を示す図である。図１６は、本発明に実施の形態１おけるマルチキャスト構成の一例を示す図である。図１７は、本発明に実施の形態１おけるマルチキャスト構成の一例を示す図である。図１８は、本発明に実施の形態１おけるマルチキャスト構成の一例を示す図である。図１９は、本発明に実施の形態１おけるマルチキャスト構成の一例を示す図である。図２０は、本発明の実施の形態２における送信端末３０の構成を示す図である。図２１は、本発明の実施の形態２におけるマルチキャスト送信シーケンスの一例を示す図である。図２２Ａは、本発明の実施の形態２におけるＡｃｋ返信数の変更方法を説明する図である。図２２Ｂは、本発明の実施の形態２におけるＡｃｋ返信数の変更方法を説明する図である。図２３は、本発明の実施の形態２におけるＡｃｋ返信数の変更方法の一例を示す図である。図２４は、本発明の実施の形態２における送信端末３０の内部処理フローの一例を示す図である。図２５は、本発明の実施の形態３における送信端末４０の構成を示す図である。図２６は、本発明の実施の形態３における受信端末５０の構成を示す図である。図２７は、本発明の実施の形態３におけるＡｃｋ返信加入フレームフォーマットの一例を示す図である。図２８は、本発明の実施の形態３におけるＡｃｋ返信順位通知シーケンスの一例を示す図である。図２９は、本発明の実施の形態３におけるマルチキャスト再送シーケンスの一例を示す図である。図３０は、本発明の実施の形態３におけるＡｃｋ返信順位変更フレームフォーマットの一例を示す図である。図３１は、本発明の実施の形態４における送信端末６０の構成を示す図である。図３２は、本発明の実施の形態４における受信端末７０の構成を示す図である。図３３Ａは、本発明の実施の形態４におけるグルーピング要求フレームのフォーマットの一例を示す図である。図３３Ｂは、本発明の実施の形態４におけるグルーピング応答フレームのフォーマットの一例を示す図である。図３４は、本発明の実施の形態４におけるグルーピングテーブル作成シーケンスの一例を示す図である。図３５は、本発明の実施の形態４における職種優先度テーブルの一例を示す図である。図３６は、本発明の実施の形態４におけるグルーピングテーブルの一例を示す図である。図３７は、本発明の実施の形態４における広域ネットワーク網の一例を示す図である。図３８Ａは、特許文献１に記載された従来のネットワーク図である。図３８Ｂは、特許文献１によるデータ送受信の一例を示す図である。図３９は、特許文献２によるデータ送受信の一例を示すシーケンス図である。図４０Ａは、特許文献２によるデータ送受信（受信端末６台）の一例を示す図である。図４０Ｂは、特許文献２によるデータ送受信（受信端末３台）の一例を示す図である。

　本願発明の一態様である第１の通信方法は、送信端末が送信データを受信端末に送信する際の通信方法である。送信端末は、Ａｃｋを返信する受信端末の優先順位を示すＡｃｋ返信順位と、受信端末のアドレスとが設定されたグルーピングテーブルを記憶するグルーピングテーブル記憶部を備える。受信端末は、Ａｃｋを返信する自端末の優先順位を示すＡｃｋ返信順位を記憶するＡｃｋ返信順位記憶部を備える。送信端末が、アプリケーションを実行し、送信データを作成するステップと、送信端末が、グルーピングテーブルを参照し、Ａｃｋ返信を許可する受信端末を決定し、当該決定したＡｃｋ返信を許可する受信端末の情報を設定したＡｃｋ返信許可情報を作成するステップと、送信端末が、Ａｃｋ返信許可情報と送信データとを含むマルチキャストを受信端末に送信するステップと、受信端末が、送信端末からマルチキャストを受信するステップと、受信端末が、マルチキャストに含まれるＡｃｋ返信許可情報と、Ａｃｋ返信順位記憶部に記憶されたＡｃｋ返信順位とに基づいて、マルチキャストに対してＡｃｋの返信が許可されているか否かを判定するステップと、受信端末が、Ａｃｋの返信が許可されていると判定した場合、送信端末にＡｃｋを返信するステップとを備える。

　本様態によると、送信端末が、Ａｃｋ返信を許可する受信端末の情報を設定したＡｃｋ返信許可情報と、送信データとを含むマルチキャストを受信端末に送信する。これにより、ユニキャストで各受信端末にＡｃｋ返信許可情報を送信する場合と比較して、Ａｃｋ返信許可情報のデータサイズを小さくすることができ、伝送効率を向上させることができる。

　本願発明の一態様である第２の通信方法は、第１の通信方法の態様において、受信端末が、Ａｃｋの返信が許可されていると判定すると、マルチキャストに含まれるＡｃｋ返信許可情報と、Ａｃｋ返信順位記憶部に記憶されたＡｃｋ返信順位とに基づいて、Ａｃｋを返信するまでの待機時間を算出するステップをさらに備える。Ａｃｋを返信するステップは、算出された待機時間の経過後に、Ａｃｋを返信する

　本態様によると、Ａｃｋの返信が許可されていると判定した受信端末が、算出された待機時間経過後にＡｃｋを返信することにより、受信端末間のＡｃｋが互いに衝突することを防止することができるので、送信端末がより確実にＡｃｋを受信することができる。

　本願発明の一態様である第３の通信方法は、第１の通信方法の態様において、送信端末が、受信端末からＡｃｋを受信し、当該受信したＡｃｋに、Ａｃｋ返信を許可した受信端末からのＡｃｋが含まれていない場合は、Ａｃｋを受信した受信端末を除外したＡｃｋ返信許可情報を作成し、当該作成したＡｃｋ返信許可情報と送信データとを含むマルチキャストを再送信するステップをさらに備える。

　本態様によると、送信端末がマルチキャストを再送信した場合に、初回にマルチキャストを正しく受信できた受信端末から再度Ａｃｋが送信されることがなくなるので、本来不要なＡｃｋを削減して伝送効率を向上させることができる。

　本願発明の一態様である第４の通信方法は、第１の通信方法の態様において、Ａｃｋ返信許可情報には、受信端末のＡｃｋ返信順位の範囲を示す開始返信順と、終了返信順位とが記載される。判定するステップにおいて、受信端末は、Ａｃｋ返信順位記憶部に記憶されたＡｃｋ返信順位が、開始返信順位から終了返信順位までの範囲に含まれる場合に、マルチキャストに対してＡｃｋの返信が許可されていると判定する。Ａｃｋを返信するステップにおいて、受信端末は、Ａｃｋ返信順位の順に、送信端末にＡｃｋを送信する。

　本願発明の一態様である第５の通信方法は、第１の通信方法の態様において、Ａｃｋ応答許可情報には、特定の受信端末の返信順位と、受信端末のＡｃｋ返信順位の範囲を示す開始返信順位と、終了返信順位とが記載されている。判定するステップにおいて、受信端末は、Ａｃｋ返信順位記憶部に記憶されたＡｃｋ返信順位が、特定の受信端末の返信順位に該当するか、開始返信順位から終了返信順位までの範囲に含まれる場合に、マルチキャストに対してＡｃｋの返信が許可されていると判定する。Ａｃｋを返信するステップにおいて、受信端末は、Ａｃｋ返信順位の順に、送信端末にＡｃｋを送信する。

　本願発明の一態様である第６の通信方法は、第１の通信方法の態様において、Ａｃｋ応答許可情報には、受信端末のＡｃｋ返信順位の開始を示す開始返信順位と、Ａｃｋ返信を許可する受信端末の数を示す返信数とが記載されいる。判定するステップにおいて、受信端末は、Ａｃｋ返信順位記憶部に記憶されたＡｃｋ返信順位が、開始返信順位から、開始返信順位に返信数を加算した値から１を減算した返信順位までの範囲に含まれる場合に、マルチキャストに対してＡｃｋの返信が許可されていると判定する。Ａｃｋを返信するステップにおいて、受信端末は、Ａｃｋ返信順位の順に、送信端末にＡｃｋを送信する。

　本願発明の一態様である第７の通信方法は、Ａｃｋ応答許可情報には、Ａｃｋ返信を許可する受信端末の数を示す返信数が記載されている。判定するステップにおいて、受信端末は、Ａｃｋ返信順位記憶部に記憶されたＡｃｋ返信順位が、返信数の範囲に含まれる場合に、マルチキャストに対してＡｃｋの返信が許可されていると判定する。Ａｃｋを返信するステップにおいて、受信端末は、Ａｃｋ返信順位の順に、送信端末にＡｃｋを送信する。

　これらの態様によると、Ａｃｋ返信許可情報に、Ａｃｋ返信を許可する全ての受信端末の情報を記載しないので、Ａｃｋ返信許可情報のデータサイズを小さくし、伝送効率を向上させることができる。

　本願発明の一態様である第８の通信方法は、第１の通信方法の態様において、Ａｃｋ応答許可情報には、受信端末のＡｃｋ返信順位毎に、Ａｃｋ返信を許可するか否かを示すフラグが記載されている。判定するステップにおいて、受信端末は、Ａｃｋ返信順位記憶部に記憶されたＡｃｋ返信順位に対応するフラグが立っている場合に、マルチキャストに対してＡｃｋの返信が許可されていると判定する。Ａｃｋを返信するステップにおいて、受信端末は、Ａｃｋ返信順位の順に、送信端末にＡｃｋを送信する。本態様によると、Ａｃｋ返信許可情報において、Ａｃｋ返信順位をフラグで表すことにより、Ａｃｋ返信許可情報のデータサイズを小さくし、伝送効率を向上させることができる。

　本願発明の一態様である第９の通信方法は、第１の通信方法の態様において、Ａｃｋ返信許可情報を作成するステップにおいて、送信端末は、送信データが発生する間隔に基づいて、Ａｃｋ返信を許可する受信端末の数を決定し、当該決定した受信端末の数と、グルーピングテーブルに設定されたＡｃｋ返信順位とに基づいて、Ａｃｋ返信許可情報を作成する。本態様によると、Ａｃｋ返信を許可する受信端末の数を、送信データが発生する間隔に合わせて適切に設定することができる。

　本願発明の一態様である第１０の通信方法は、第１の通信方法の態様において、Ａｃｋ返信許可情報を作成するステップにおいて、送信端末は、送信データのコンテンツレートに基づいて、Ａｃｋ返信を許可する受信端末の数を決定し、当該決定した受信端末の数と、グルーピングテーブルに設定されたＡｃｋ返信順位とに基づいて、Ａｃｋ返信許可情報を作成する。本態様によると、Ａｃｋ返信を許可する受信端末の数を、送信データのコンテンツレートに合わせて適切に設定することができる。

　本願発明の一態様である第１１の通信方法は、第１の通信方法の態様において、送信端末が、マルチキャストを受信端末に送信する前に、グルーピングテーブルを参照し、受信端末のＡｃｋ返信順位を設定したＡｃｋ返信順位通知フレームを受信端末に送信するステップと、受信端末が、Ａｃｋ返信順位通知フレームを受信すると、Ａｃｋ返信順位通知フレームに記載されたＡｃｋ返信順位をＡｃｋ返信順位記憶部に記憶するステップとをさらに備える。本態様によると、送信端末が、受信端末のＡｃｋ返信順位を動的に制御することができる。

　本願発明の一態様である第１２の通信方法は、第１１の通信方法の態様において、受信端末が、Ａｃｋ返信順位をＡｃｋ返信順位記憶部に記憶すると、Ａｃｋ返信順位通知フレームの応答として、Ａｃｋ返信順位応答フレームを送信端末に送信するステップと、送信端末が、Ａｃｋ返信順位応答フレームを受信しなかった受信端末に対して、Ａｃｋ返信許可情報により、Ａｃｋの送信を許可しないように制御するステップとをさらに備える。本態様によると、Ａｃｋ返信順位応答フレームを受信しなかった受信端末に対して、Ａｃｋ返信を許可しないので、無駄な帯域が消費されることを防止することができ、伝送効率を向上させることができる。

　本願発明の一態様である第１３の通信方法は、第１２の通信方法の態様において、受信端末は、送信端末の通信エリアに新しく入った場合、送信端末に加入フレームを送信するステップと、送信端末は、加入フレームを受信すると、加入フレームを送信した受信端末に対して、Ａｃｋ返信許可情報により、Ａｃｋの送信を許可するよう制御するステップとをさらに備える。本態様によると、コンテンツの配信開始後に送信端末の通信エリアに入ってきた新しい受信端末に対しても、Ａｃｋ返信を許可することができるので、新しい受信端末に対しても品質の保証されたコンテンツの受信を行うことができる。

　本願発明の一態様である第１４の通信方法は、第１の通信方法の態様において、送信端末は、自端末の通信エリア内にいる受信装置の情報を要求するグルーピング要求フレームを送信するステップと、受信端末が、グルーピング要求フレームを受信すると、Ａｃｋ返信順位の決定に用いる優先度情報を含んだグルーピング応答フレームを、送信端末に送信するステップと、送信端末が、グルーピング応答フレームに含まれる優先度情報に基づいて、受信端末のＡｃｋ返信順位が設定されたグルーピングテーブルを作成するステップとをさらに備える。

　本態様によると、送信端末が、グルーピング応答フレームに含まれる優先度情報に基づいて、グルーピングテーブルを作成することにより、送信端末の通信エリア内にいる受信端末の種類や数が分からなくても、Ａｃｋ返信順位を制御を行うことができるので、状況に合わせた適切な応答パケットの通信許可の制御を行うことができる。

　本願発明の一態様である送信方法は、送信端末が、送信データを受信端末に送信する送信方法であって、送信端末は、Ａｃｋを返信する受信端末の優先順位を示すＡｃｋ返信順位と、受信端末のアドレスとが設定されたグルーピングテーブルを記憶するグルーピングテーブル記憶部を備える。送信方法は、アプリケーションを実行し、送信データを作成するステップと、グルーピングテーブルを参照し、Ａｃｋ返信を許可する受信端末を決定し、決定したＡｃｋ返信を許可する受信端末の情報を設定したＡｃｋ返信許可情報を作成するステップと、Ａｃｋ返信許可情報と送信データとを含むマルチキャストを受信端末に送信するステップとを備える。

　本願発明の一態様である受信方法は、受信端末が、送信端末から送信データを受信する受信方法であって、受信端末は、Ａｃｋを返信する自端末の優先順位を示すＡｃｋ返信順位を記憶するＡｃｋ返信順位記憶部を備える。受信方法は、送信端末から、送信データと、Ａｃｋ返信を許可する受信端末の情報を設定したＡｃｋ返信許可情報とが含まれるマルチキャストを受信するステップと、マルチキャストに含まれるＡｃｋ返信許可情報と、Ａｃｋ返信順位記憶部に記憶されたＡｃｋ返信順位とに基づいて、マルチキャストに対してＡｃｋの返信が許可されているか否かを判定するステップと、Ａｃｋの返信が許可されていると判定した場合、送信端末にＡｃｋを返信するステップとを備える。

　本願発明の一態様である送信端末は、受信端末に対して送信データを送信する送信端末であって、送信端末は、Ａｃｋを返信する受信端末の優先順位を示すＡｃｋ返信順位と、受信端末のアドレスとが設定されたグルーピングテーブルを記憶するグルーピングテーブル記憶部と、送信端末から受信するフレームを復調し、送信端末に送信するフレームを変調する無線送受信部と、無線送受信部が受信したフレームから、ＡｃｋとＡｃｋ返信順位応答フレームとを分類するフレーム分類部と、Ａｃｋを解析するＡｃｋ解析部と、Ａｃｋ返信順位応答フレームを解析するＡｃｋ返信順位応答フレーム解析部と、アプリケーションを実行し、送信データを作成するアプリケーション部と、グルーピングテーブルに基づいて、受信端末にＡｃｋ返信順位を通知するＡｃｋ返信順位通知フレーム作成部と、グルーピングテーブルを参照し、Ａｃｋ返信を許可する受信端末を決定し、当該決定したＡｃｋ返信を許可する受信端末の情報を設定したＡｃｋ返信許可情報を作成するＡｃｋ返信許可情報決定部と、Ａｃｋ返信許可情報と送信データとを含むマルチキャストを作成するマルチキャスト作成部とを備える。

　本願発明の一態様である受信端末は、送信端末から送信データを受信する受信端末であって、送信端末から受信されるフレームを復調し、送信端末に送信するフレームを変調する無線送受信部と、受信したフレームから、Ａｃｋ返信順位通知フレームを分類するフレーム分類部と、Ａｃｋ返信順位通知フレームを解析するＡｃｋ返信順位通知フレーム解析部と、Ａｃｋ返信順位通知フレームに含まれる、Ａｃｋを返信する自端末の優先順位を示すＡｃｋ返信順位を記憶するＡｃｋ返信順位記憶部と、Ａｃｋ返信順位通知フレームを受信すると、Ａｃｋ返信順位応答フレームを作成するＡｃｋ返信順位応答フレーム作成部と、マルチキャストに含まれるＡｃｋ返信許可情報と、Ａｃｋ返信順位記憶部に記憶されたＡｃｋ返信順位とに基づいて、Ａｃｋ返信の要否を判定するＡｃｋ返信判定部と、Ａｃｋ返信判定部がＡｃｋを返信すると判定した場合、送信端末に返信するＡｃｋを作成するＡｃｋ作成部とを備える。

　以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図１は、本発明の各実施の形態に係る通信システムの構成の一例を示す図である。図１に示すように、本発明の各実施の形態に係る通信システムは、無線ネットワークを介してマルチキャストでデータを送信する送信端末１Ａと、送信端末１Ａが送信したデータを受信して、送信端末１ＡにＡｃｋ（到達確認フレーム）を返信する複数の受信端末１Ｂ～１Ｆとで構成される。

　（実施の形態１）
　以下では、本願発明を実施するための形態の一例である実施の形態１について、図面を参照しながら説明する。図２は、実施の形態１に係る送信端末１０の機能ブロック図である。送信端末１０の機能ブロック図は、上述した送信端末１Ａの構成に該当する。図２において、送信端末１０は、無線送受信部１１、フレーム分類部１２、Ａｃｋ解析部１３、アプリケーション部１４、グルーピングテーブル記憶部１５、Ａｃｋ返信順位通知フレーム作成部１６、Ａｃｋ返信順位応答フレーム解析部１７、マルチキャスト作成部１８、及びＡｃｋ返信許可情報決定部１９を備える。

　無線送受信部１１は、無線ネットワークから受信するフレームを復調し、無線ネットワークに送信するフレームを変調する。フレーム分類部１２は、無線送受信部１１が受信したフレームを分類し、ＡｃｋをＡｃｋ解析部１３に出力し、Ａｃｋ返信順位応答フレームをＡｃｋ返信順位応答フレーム解析部１７に出力する。Ａｃｋ解析部１３は、受信したＡｃｋを解析する。アプリケーション部１４は、任意のアプリケーションが実行し、送信データを作成する。グルーピングテーブル記憶部１５は、受信端末のアドレスと、Ａｃｋ返信順位とが記載されたグルーピングテーブルを記憶する。Ａｃｋ返信順位通知フレーム作成部１６は、グルーピングテーブルに基づいて、マルチキャストを受信する受信端末にＡｃｋ返信順位を通知する。Ａｃｋ返信順位応答フレーム解析部１７は、受信したＡｃｋ返信順位応答フレームを解析する。Ａｃｋ返信許可情報決定部１９は、グルーピングテーブルを参照し、Ａｃｋ返信を許可する受信端末を決定し、当該決定したＡｃｋ返信を許可する受信端末の情報を設定したＡｃｋ返信許可情報を作成する。マルチキャスト作成部１８は、Ａｃｋ返信許可情報と送信データとを含むマルチキャストを作成する。

　図３は、実施の形態１に係る受信端末２０の機能ブロック図である。受信端末２０の機能ブロック図は、上述した受信端末１Ｂ～１Ｆの構成に該当する。図３において、受信端末２０は、無線送受信部２１、フレーム分類部２２、Ａｃｋ返信順位通知フレーム解析部２３、Ａｃｋ返信順位記憶部２４、Ａｃｋ返信順位応答フレーム作成部２５、Ａｃｋ返信判定部２６、及びＡｃｋ作成部２７を備える。

　無線送受信部２１は、無線ネットワークから受信されるフレームを復調し、無線ネットワークに送信するフレームを変調する。フレーム分類部２２は、受信したフレームからＡｃｋ返信順位通知フレームを分類する。Ａｃｋ返信順位通知フレーム解析部２３は、受信したＡｃｋ返信順位通知フレームを解析する。Ａｃｋ返信順位記憶部２４は、Ａｃｋ返信順位通知フレームに含まれるＡｃｋ返信順位の情報を記憶する。すなわち、Ａｃｋ返信順位記憶部２４には、Ａｃｋを返信する受信端末（自端末）の優先順位を示すＡｃｋ返信順位が記憶される。Ａｃｋ返信順位応答フレーム作成部２５は、Ａｃｋ返信順位応答フレームを作成する。Ａｃｋ返信判定部２６は、受信したマルチキャストに含まれるＡｃｋ返信許可情報と、Ａｃｋ返信順位記憶部２４に記憶されたＡｃｋ返信順位とに基づいて、Ａｃｋ返信の要否を判定する。Ａｃｋ作成部２７は、Ａｃｋ返信判定部２６がＡｃｋを返信すると判定した場合、送信端末１０に返信するＡｃｋを作成する。

　図４Ａ～Ｄは、本実施の形態１で用いる各種フレームの構成例を示す図である。図４Ａは、Ａｃｋ返信順位通知フレームの構成例である。図４Ａを参照して、Ａｃｋ返信順位通知フレームは、アドレスやフレーム識別子などアクセスに必要なパラメータを格納しているヘッダ１００、Ａｃｋの返信順位の情報が格納されているＡｃｋ返信順位１０１、及びフレームの誤りを検出する情報が格納されている誤り検出１０２で構成される。

　図４Ｂは、Ａｃｋ返信順位応答フレームの構成例である。図４Ｂを参照して、Ａｃｋ返信順位応答フレームは、アドレスやフレーム識別子などアクセスに必要なパラメータを格納しているヘッダ１０３、及びフレームの誤りを検出する情報が格納されている誤り検出１０４で構成される。

　図４Ｃは、マルチキャストの構成例である。図４Ｃを参照して、マルチキャストは、アドレスやフレーム識別子などアクセスに必要なパラメータを格納しているヘッダ１１０、Ａｃｋの返信許可の情報が格納されているＡｃｋ返信許可情報１１１、送信データが格納されているデータボディ１１２、及びフレームの誤りを検出する情報が格納されている誤り検出１１３で構成される。また、Ａｃｋ返信許可情報１１１は、Ａｃｋ返信順位の範囲を示す開始返信順位１１１Ａと、終了返信順位１１１Ｂとで構成される。

　図４Ｄは、Ａｃｋの構成例である。図４Ｄを参照して、Ａｃｋは、アドレスやフレーム識別子などのアクセスに必要なパラメータを格納しているヘッダ１１４、及びフレームの誤りを検出する情報が格納されている誤り検出１１５で構成される。

　図５は、送信端末１０のグルーピングテーブル記憶部１５で管理するグルーピングテーブルの一例を示す図である。図５を参照して、グルーピングテーブルには、端末アドレス、Ａｃｋ返信順位、Ａｃｋ返信順位応答フラグ、及びＡｃｋフラグが設定される。端末アドレスには、グループに帰属している端末のアドレス情報を記載する。ここでは、自機のアドレスは登録しないことにする。Ａｃｋ返信順位は、Ａｃｋを返信する受信端末の優先順位を示し、Ａｃｋ返信順位通知フレームのＡｃｋ返信順位１０１に設定する値を記載する。Ａｃｋ返信順位応答フラグは、Ａｃｋ返信順位応答フレームの受信の有無を示す値を記載する。ここでは、Ａｃｋ返信順位応答フラグの初期値を「０」に設定する。送信端末１０は、Ａｃｋ返信順位応答フレームを受信した場合は該当する受信端末のＡｃｋ返信順位応答フラグを「１」に変更する。Ａｃｋフラグは、マルチキャストに対するＡｃｋの受信の有無を示す値を記載する。ここでは、Ａｃｋフラグの初期値を「０」に設定する。送信端末１０は、Ａｃｋを受信した場合は該当する受信端末のＡｃｋフラグを「１」に変更する。

　図６は、Ａｃｋ返信許可情報決定部１９で決定するＡｃｋ返信数の決定方法の一例を示す図である。図６に示す例では、マルチキャストの送信間隔が３０００μｓ、マルチキャストの送信に必要な時間が８０μｓ、Ａｃｋの送信に必要な時間が４０μｓ、各フレーム間のギャップ時間を２０μｓとする。また、再送を２回できるように、Ａｃｋ返信数を決定するものとする。

　Ａｃｋ返信数の具体的な算出方法の一例を以下に示す。まず、（式１）より、マルチキャストの送信間隔と再送回数とから、１周期の使用可能時間が求められる。なお、マルチキャストの送信間隔は、送信データの発生間隔に基づいて決定される。次に、（式２）より、１周期の使用可能時間と、マルチキャスト送信時間と、ギャップ時間とからＡｃｋ処理可能時間が求められる。最後に、（式３）より、Ａｃｋ処理可能時間と、Ａｃｋ送信時間と、ギャップ時間とから、Ａｃｋ返信数が求められる。
　(１周期の使用可能時間)＝（マルチキャスト送信間隔）÷（再送回数＋１）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　・・・（式１）
　（Ａｃｋ処理可能時間）
　　＝（１周期の使用可能時間）－（マルチキャスト送信時間）－（ギャップ時間）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　・・・（式２）
　（処理可能Ａｃｋ数）
　＝（Ａｃｋ処理可能時間）÷（（Ａｃｋ送信時間）＋（ギャップ時間））
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　・・・（式３）

　すなわち、図６の条件下では、（式１）～（式３）より、Ａｃｋ返信数は１５と決定されるので、１５台の受信端末がＡｃｋを返信することが可能である。
　（１周期の使用可能時間)＝３０００÷（２＋１）=１０００［us］
　（Ａｃｋ処理可能時間）＝１０００－８０－２０＝９００［us］
　（Ａｃｋ返信数）＝９００÷（４０＋２０）＝１５

　図７は、本発明のＡｃｋ返信順位シーケンスの一例を示す図である。図７に示す例では、送信端末１Ａがマルチキャストを送信し、受信端末１Ｂ～１Ｆがマルチキャストを受信するものとする。送信端末１Ａは、マルチキャストの送信開始前に、図５のグルーピングテーブルに基づいて、受信端末１Ｂ～１Ｆに対してＡｃｋ返信順位通知フレームを送信する。具体的には、送信端末１Ａは、グルーピングテーブルのＡｃｋ返信順位の値をＡｃｋ返信順位通知フレームのＡｃｋ返信順位１０１に設定して送信する。受信端末１Ｂ～１Ｆは、Ａｃｋ返信順位通知フレームを受信すると、Ａｃｋ返信順位応答フレームを送信端末１Ａに返信する。送信端末１Ａは、Ａｃｋ返信順位応答フレームを受信すると、グルーピングテーブルのＡｃｋ返信順位応答フラグを「１」に設定する。

　図８は、送信端末１Ａが、図７のＡｃｋ返信順位シーケンスで、Ａｃｋ返信順位応答フレームを受信し、Ａｃｋ返信順位応答フラグを「１」に設定後のグルーピングテーブルの状態を示す図である。図８に示すように、送信端末１Ａは、受信端末１Ｂ～１ＦのＡｃｋ返信順位応答フレームを受信したので、グルーピングテーブルにおける受信端末１Ｂ～１ＦのＡｃｋ返信順位応答フラグを「１」に設定する。

　図９に、本発明のマルチキャスト再送シーケンスの一例を示す。図９に示す例では、図７のＡｃｋ返信順位シーケンス後に、マルチキャストを送信するものとする。図１０Ａ～Ｄは、図９のマルチキャスト再送シーケンスで送信端末１Ａが管理しているグルーピングテーブルの状態を示す図である。図９において、送信端末１Ａは、図６で説明したＡｃｋ返信数の決定方法を用いて、Ａｃｋ返信数を決定する。ここでは、Ａｃｋ返信数を「３」と決定したものとする。

　送信端末１Ａは、グルーピングテーブルのＡｃｋ返信順位通知応答フラグが「１」、かつＡｃｋフラグが「０」に設定されている受信端末のＡｃｋ返信順位の値を検出する。ここでは、Ａｃｋ返信順位の値「１」が最も若い値なので、送信端末１Ａは、第１マルチキャストの開始返信順位１１１Ａに「１」を、終了返信順位１１１Ｂに「３」を設定して第１マルチキャストを送信する。

　受信端末１Ｂ～１Ｆは、第１マルチキャストを受信すると、第１マルチキャストの誤り検出１１３を用いて、受信した第１マルチキャストの誤りを判定する。ここでは、受信端末１Ｃ～１Ｆで誤りが発生したものとする。第１マルチキャストを受信した受信端末は、第１マルチキャストの開始返信順位１１１Ａの値と、終了返信順位１１１Ｂの値と、自機のＡｃｋ返信順位記憶部２４で記憶しているＡｃｋ返信順位の値とを比較する。ここでは、これらの値が（式４）を満たしているかを確認する。
　（開始優先順位１１１Ａの値）　≦　（Ａｃｋ返信順位の値）　≦　（開始返信順位１１１Ｂの値）　　・・・（式４）

　受信端末１Ｂは、（式４）を満たしているので、Ａｃｋを返信する。この際、受信端末１Ｂは、自機のＡｃｋ返信順位の値と、開始優先順位１１１Ａの値とを比較し、待機時間を求める。ここでは、受信端末１Ｂは、第１マルチキャスト受信後に（式５）で求めた値だけ待機してからＡｃｋを返信する。
　（待機時間）＝ギャップ時間＋｛（Ａｃｋ送信時間＋ギャップ時間）×（Ａｃｋ返信順位の値）－（開始優先順位１１１Ａの値）｝・・・（式５）

　受信端末１Ｃ、１Ｄでは、（式４）を満たしているが、マルチキャストに誤りが発生したので、Ａｃｋを返信しないと判定する。受信端末１Ｅ、１Ｆは、（式４）を満たしていないので、Ａｃｋを返信しないと判定する。送信端末１Ａは、受信端末１ＢからＡｃｋを受信したので、グルーピングテーブルにおける受信端末１ＢのＡｃｋフラグを「１」に設定する（図１０Ａ）。

　＜１回目の再送＞
　送信端末１Ａは、Ａｃｋ返信を許可した受信端末１Ｃ、１ＤからＡｃｋを受信しなかったので、第１マルチキャストを再送する。送信端末１Ａは、グルーピングテーブルのＡｃｋ返信順位通知応答フラグが「１」、かつＡｃｋフラグが「０」に設定されている受信端末のＡｃｋ返信順位の値を検出する。ここでは、Ａｃｋ返信順位の値「２」が最も若い値なので、送信端末１Ａは、第１マルチキャストの開始返信順位１１１Ａに「２」を、終了返信順位１１１Ｂに「４」を設定して第１マルチキャストを再送する。よって、送信端末１Ａは、受信端末１Ｃ～１Ｅから合計３つのＡｃｋを受信することを期待する。

　受信端末１Ｂ～１Ｆは、第１マルチキャストを受信すると、第１マルチキャストの誤り検出１１３を用いて、受信した第１マルチキャストの誤りを判定する。ここでは、受信端末１Ｃ、１Ｅ、１Ｆで誤りが発生したものとする。受信端末１Ｃ、１Ｅは、（式４）を満たしているがマルチキャストに誤りが発生したので、Ａｃｋを返信しない。受信端末１Ｄは、マルチキャストを正常に受信し、かつ（式４）を満たしているので、Ａｃｋを返信する。この際、受信端末１Ｄは、マルチキャスト受信後に（式５）で求めた値だけ待機してからＡｃｋを返信する。送信端末１Ａは、受信端末１ＤからＡｃｋを受信したので、グルーピングテーブルにおける受信端末１ＤのＡｃｋフラグを「１」に設定する（図１０Ｂ）。

　＜２回目の再送＞
　送信端末１Ａは、Ａｃｋ返信を許可した受信端末１Ｃ、１ＥからＡｃｋを受信しなかったので、第１マルチキャストを再送する。送信端末１Ａは、グルーピングテーブルのＡｃｋ返信順位通知応答フラグが「１」、かつＡｃｋフラグが「０」に設定されている受信端末のＡｃｋ返信順位の値を検出する。ここでは、Ａｃｋ返信順位の値「２」が最も若い値なので、送信端末１Ａは、第１マルチキャストの開始返信順位１１１Ａに「２」、終了返信順位１１１Ｂに「４」を設定して第１マルチキャストを再送する。よって、送信端末１Ａは、受信端末１Ｃ～１Ｅから合計３つのＡｃｋを受信することを期待する。

　受信端末１Ｂ～１Ｆは、第１マルチキャストを受信すると、第１マルチキャストの誤り検出１１３を用いて、受信した第１マルチキャストの誤りを判定する。ここでは、受信端末１Ｃ、１Ｆで誤りが発生したものとする。受信端末１Ｂ～１Ｆは、第１マルチキャストの開始返信順位１１１Ａの値と、終了返信順位１１１Ｂの値と、自機のＡｃｋ返信順位記憶部２４で記憶しているＡｃｋ返信順位の値とを比較する。ここでは、これらの値が、（式４）を満たしているかを確認する。

　受信端末１Ｄ、１Ｅは、（式４）を満たしているので、Ａｃｋを返信する。この際、受信端末１Ｄ、１Ｅは、自機のＡｃｋ返信順位の値と、開始優先順位１１１Ａの値とを比較し、待機時間を求める。ここでは、受信端末１Ｄ、１Ｅは、第１マルチキャスト受信後に、（式５）で求めた時間だけ待機してから、Ａｃｋを返信する。受信端末１Ｃは、（式４）を満たしているがマルチキャストに誤りが発生したので、Ａｃｋを返信しない。受信端末１Ｂ、１Ｆは、（式４）を満たしていないので、Ａｃｋを返信しないと判定する。送信端末１Ａは、受信端末１Ｄ、１ＥからＡｃｋを受信したので、グルーピングテーブルにおける受信端末１Ｄ、１ＥのＡｃｋフラグを「１」に設定する（図１０Ｃ）。

　＜３回目の再送＞
　送信端末１Ａは、Ａｃｋ返信を許可した受信端末１ＣからＡｃｋを受信しなかったので、第１マルチキャストを再送する。送信端末１Ａは、グルーピングテーブルのＡｃｋ返信順位通知応答フラグが「１」、かつＡｃｋフラグが「０」に設定されている受信端末のＡｃｋ返信順位の値を検出する。ここでは、Ａｃｋ返信順位の値「２」が最も若い値なので、送信端末１Ａは、第１マルチキャストの開始返信順位１１１Ａに「２」を、終了返信順位１１１Ｂに「４」を設定して第１マルチキャストを再送する。よって、送信端末１Ａは、受信端末１Ｃ～１Ｅから合計３つのＡｃｋを受信することを期待する。

　受信端末１Ｂ～１Ｆは、第１マルチキャストを受信すると、第１マルチキャストの誤り検出１１３を用いて、受信した第１マルチキャストの誤りを判定する。ここでは、受信端末１Ｂ～１Ｆで誤りが発生しなかったものとする。受信端末１Ｂ～１Ｆは、第１マルチキャストの開始返信順位１１１Ａの値と、終了返信順位１１１Ｂの値と、自機のＡｃｋ返信順位記憶部２４で記憶しているＡｃｋ返信順位の値とを比較する。ここでは、これらの値が（式４）を満たしているかを確認する。

　受信端末１Ｃ～１Ｅは、（式４）を満たしているので、Ａｃｋを返信する。この際、受信端末１Ｃ～１Ｅは、自機のＡｃｋ返信順位の値と、開始優先順位１１１Ａの値とを比較し、待機時間を求める。ここでは、受信端末１Ｃ～１Ｅは、第１マルチキャスト受信後に（式５）で求めた値だけ待機してからＡｃｋを返信する。受信端末１Ｂ、１Ｆは、（式４）を満たしていないので、Ａｃｋを返信しないと判定する。送信端末１Ａは、受信端末１Ｃ～１ＥのＡｃｋを受信したので、グルーピングテーブルにおける受信端末１Ｃ～１ＥのＡｃｋフラグを「１」に設定する（図１０Ｄ）。

　＜４回目の再送中断（再送処理終了）＞
　送信端末１Ａは、Ａｃｋ返信を許可した全ての受信端末からＡｃｋを受信したので、グルーピングテーブルのＡｃｋ返信順位通知応答フラグが「１」、かつＡｃｋフラグが「０」に設定されている受信端末の台数を確認する。ここでは、受信端末１Ｆが該当するので、マルチキャスト再送が必要と判定する。しかし、送信端末１Ａは、次データである第２マルチキャストの送信時間に達したので、第１マルチキャストの再送処理を終了する。この際、送信端末１Ａは、受信端末１Ｂ～１ＦのＡｃｋフラグを「０」に設定する。次に、送信端末１Ａは、第１マルチキャストのときと同様の処理を行い、開始返信順位１１１Ａに「１」、終了返信順位１１１Ｂに「３」を設定して第２マルチキャストを送信する。

　図１１は、送信端末１Ａの制御フローの一例を示す図である。図１１を参照して、送信端末１Ａは、アプリケーション部１４が通信を開始するまで待機する（ステップＳ１：ＮＯ）。アプリケーション部１４は、任意のアプリケーションを実行し、通信を開始すると、Ａｃｋ返信順位通知フレーム作成部１６に通信の開始を通知する（ステップＳ１：ＹＥＳ）。ステップＳ２において、Ａｃｋ返信順位通知フレーム作成部１６は、グルーピングテーブルのＡｃｋ返信順位の値が「１」の受信端末のアドレスを取得して、Ａｃｋ返信順位通知フレームを作成する。具体的には、Ａｃｋ返信順位通知フレーム作成部１６は、Ａｃｋ返信順位通知フレームのＡｃｋ返信順位１０１に「１」を設定して、無線送受信部１１を介して送信する。

　ステップＳ３において、Ａｃｋ返信順位応答フレーム解析部１７は、フレーム分類部１２からＡｃｋ返信順位応答フレームが入力されるまで待機する。Ａｃｋ返信順位応答フレーム解析部１７は、Ａｃｋ返信順位応答フレームが入力されると、その旨をＡｃｋ返信順位通知フレーム作成部１６に通知する（ステップＳ３：ＹＥＳ）。一方、ステップＳ３において、予め設定した所定時間内にＡｃｋ返信順位通知フレームが入力されなかった場合には、その旨をＡｃｋ返信順位通知フレーム作成部１６に通知する（ステップＳ３：ＮＯ）。

　ステップＳ４において、Ａｃｋ返信順位通知フレーム作成部１６は、Ａｃｋ返信順位応答フレーム解析部１７からＡｃｋ返信順位応答フレームが入力されたので、グルーピングテーブルの該当する受信端末のＡｃｋ返信順位応答フラグを「１」に設定する。ステップＳ５において、Ａｃｋ返信順位通知フレーム作成部１６は、ステップＳ２で使用したＡｃｋ返信順位の値に「１」を足した値の受信端末を検索する。該当する受信端末があった場合は、Ａｃｋ返信順位通知フレーム作成部１６は、該当する受信端末にＡｃｋ返信順位通知フレームを送信する（ステップＳ５：ＮＯ）。ステップＳ５において、該当する受信端末がない場合は、アプリケーション部１４に通知する（ステップＳ５：ＹＥＳ）。なお、送信端末１Ａは、受信端末１Ｂ～１Ｆが既にＡｃｋ返信順位を記憶している場合には、ステップＳ２～５の動作を省略することが可能である。

　ステップＳ６において、アプリケーション部１４は、Ａｃｋ返信順位通知フレーム作成部１６から通知を受けると、送信するデータをマルチキャスト作成部１８に入力する。ステップＳ７において、マルチキャスト作成部１８は、データが入力されると、マルチキャストの作成に必要なＡｃｋ返信許可情報をＡｃｋ返信許可情報決定部１９から取得する。ステップＳ８において、Ａｃｋ返信許可情報決定部１９は、マルチキャストの送信間隔やマルチキャスト再送機会の回数等に基づいて、Ａｃｋ返信許可数を決定する。

　ステップＳ９において、Ａｃｋ返信許可情報決定部１９は、グルーピングテーブルのＡｃｋ返信順位通知応答フラグが「１」、かつＡｃｋフラグが「０」に設定されている受信端末のＡｃｋ返信順位を検出し、当該検出したＡｃｋ返信順位の値が若い順にステップＳ８で決定した台数だけにＡｃｋ返信を許可するＡｃｋ返信許可情報を作成する。ステップＳ１０において、マルチキャスト作成部１８は、ステップＳ９で作成されたＡｃｋ返信許可情報を含むマルチキャストを作成し送信する。

　ステップＳ１１において、Ａｃｋ解析部１３は、フレーム分類部１２からのＡｃｋを待機する。Ａｃｋ解析部１３は、Ａｃｋが入力されたならば、入力されたことをＡｃｋ返信許可情報決定部１９に通知する（ステップＳ１１：ＹＥＳ）。一方、ステップＳ１１において、予め設定した所定時間内にＡｃｋを受けなかった場合には、その旨をＡｃｋ返信許可情報決定部１９に通知する（ステップＳ１１：ＮＯ）。

　ステップＳ１２において、Ａｃｋ返信許可情報決定部１９は、Ａｃｋ解析部１３からＡｃｋの受信通知が入力されたので、グルーピングテーブルの該当する受信端末のＡｃｋフラグを「１」に設定する。ステップＳ１３において、Ａｃｋ返信許可情報決定部１９は、Ａｃｋ待ち処理の終了を確認する。ステップＳ１３において、Ａｃｋ返信許可情報決定部１９は、マルチキャスト送信から予め設定した時間が経過したならば、Ａｃｋ待ち処理を終了する（ステップＳ１３：ＹＥＳ）。一方、ステップＳ１３において、Ａｃｋ返信許可情報決定部１９は、予め設定した所定時間が経過していないならば、Ａｃｋを待機する（ステップＳ１３：ＮＯ）。

　ステップＳ１４において、Ａｃｋ返信許可情報決定部１９は、グルーピングテーブルのＡｃｋ返信順位通知応答フラグが「１」、かつＡｃｋフラグが「０」に設定されている受信端末のＡｃｋ返信順位を検出する。ステップＳ１４において、Ａｃｋ返信許可情報決定部１９は、Ａｃｋ返信順位通知応答フラグが「１」、かつＡｃｋフラグが「０」に設定されている受信端末がなければ、再送が必要ないと判定する（ステップＳ１４：ＮＯ）。一方、ステップＳ１４において、Ａｃｋ返信許可情報決定部１９は、Ａｃｋ返信順位通知応答フラグが「１」、かつＡｃｋフラグが「０」に設定されている受信端末があれば、再送が必要と判定する（ステップＳ１４：ＹＥＳ）。

　ステップＳ１５において、マルチキャスト作成部１８は、マルチキャスト送信間隔から再送が可能か判定する。ステップＳ１５において、マルチキャスト作成部１８は、マルチキャストの送信間隔の情報から次のデータのマルチキャストの送信時間に達していなければ再送可能と判定する（ステップＳ１５：ＹＥＳ）。一方、ステップＳ１５において、マルチキャスト作成部１８は、次データのマルチキャストの送信時間に達していれば再送不可能と判定する（ステップＳ１５：ＮＯ）。

　ステップＳ１６において、マルチキャスト作成部１８は、マルチキャストを再送する。なお、ステップＳ１６において、Ａｃｋ返信許可情報決定部１９から受けたＡｃｋ返信許可情報より、Ａｃｋ返信許可で与えられた端末台数が１台の場合はユニキャストで再送してもよい。

　ステップＳ１７において、マルチキャスト作成部１８は、データ伝送終了の通知を確認する。ステップＳ１７において、マルチキャスト作成部１８は、アプリケーション部１４のからデータ通信の終了の通知を受けるとデータ伝送を終了する（ステップＳ１７：ＹＥＳ）。一方、ステップＳ１７において、マルチキャスト作成部１８は、次のデータをアプリケーション部１４から受けているなら、次のデータでマルチキャストを作成し送信する（ステップＳ１７：ＮＯ）。

　図１２は、受信端末１Ｂ～１Ｆの制御フローの一例を示す図である。図１２を参照して、ステップＳ２１において、無線送受信部２１は、フレームを受信するまで待機する（ステップＳ２１：ＮＯ）。ステップＳ２１において、無線送受信部２１は、フレームを受信するとフレーム分類部２２に渡す（ステップＳ２１：ＹＥＳ）。ステップＳ２２において、フレーム分類部２２は、無線送受信部２１から入力されたフレームを分類する。フレーム分類部２２は、無線送受信部２１から入力されたフレームがＡｃｋ返信順位通知フレームなら、Ａｃｋ返信順位通知フレーム解析部２３に渡す（ステップＳ２２：ＹＥＳ）。一方、フレーム分類部２２は、無線送受信部２１から入力されたフレームがＡｃｋ返信順位通知フレーム以外ならば、Ａｃｋ返信判定部２６に渡す（ステップＳ２２：ＮＯ）。

　ステップＳ２３において、Ａｃｋ返信順位通知フレーム解析部２３は、Ａｃｋ返信順位通知フレームを解析し、フレームのＡｃｋ返信順位の値をＡｃｋ返信順位記憶部２４に記憶する。また、Ａｃｋ返信順位通知フレーム解析部２３は、Ａｃｋ返信順位応答フレーム作成部２５に、Ａｃｋ返信順位通知フレームを送信した送信端末のアドレス情報を渡す。ステップＳ２４において、Ａｃｋ返信順位応答フレーム作成部２５は、Ａｃｋ返信順位通知フレーム解析部２３から受けたアドレス情報をもとに、Ａｃｋ返信順位応答フレームを作成し送信する。

　ステップＳ２５において、Ａｃｋ返信判定部２６は、無線送受信部２１から入力されたフレームがマルチキャストならステップＳ２６に遷移する（ステップＳ２５：ＹＥＳ）。一方、ステップＳ２５において、Ａｃｋ返信判定部２６は、マルチキャスト以外のフレームの場合は処理を終了し、次のフレームを受信するまで待機する（ステップＳ２５：ＮＯ）。なお、ステップＳ２２において、フレーム分類部２２は、無線送受信部２１から入力されたフレームがＡｃｋ返信順位通知フレームなら、Ａｃｋ返信順位通知フレーム解析部２３に渡し（ステップＳ２２：ＹＥＳ）、無線送受信部２１から入力されたフレームがマルチキャストであるならば、Ａｃｋ返信判定部２６に渡すようしてもよい（ステップＳ２２：ＮＯ）。この場合は、Ａｃｋ返信判定部２６に渡された受信フレームはマルチキャストであるので、ステップＳ２５の処理を省略することができる。

　ステップＳ２６において、Ａｃｋ返信判定部２６は、マルチキャストに設定されたＡｃｋ返信許可情報と、Ａｃｋ返信順位記憶部２４で記憶しているＡｃｋ返信順位の値とを用いて、Ａｃｋ返信の要否を判定する。なお、Ａｃｋ要否の判定方法は、各実施の形態で異なる。ステップＳ２６において、Ａｃｋ返信判定部２６は、Ａｃｋの返信が必要ない場合は処理を終了し、次のフレームを受信するまで待機する（ステップＳ２６：ＮＯ）。一方、ステップＳ２６において、Ａｃｋ返信判定部２６は、Ａｃｋの返信が必要な場合は、Ａｃｋ返信の準備を行う（ステップＳ２６：ＹＥＳ）。

　ステップＳ２７において、Ａｃｋ返信判定部２６は、受信したマルチキャストの誤りを確認する。Ａｃｋ返信判定部２６は、マルチキャストに誤りがなければＡｃｋ作成部２７にＡｃｋの作成を要求する（ステップＳ２７：ＹＥＳ）。一方、Ａｃｋ返信判定部２６は、マルチキャストに誤りがあれば、Ａｃｋ作成部２７にＡｃｋの作成要求を行わず処理を終了し、次のフレームを受信するまで待機する（ステップＳ２７：ＮＯ）。ステップＳ２８において、Ａｃｋ作成部２７は、Ａｃｋ返信判定部２６からＡｃｋ作成の指示を受けるとＡｃｋを作成し、Ａｃｋ返信判定部２６で指定されたタイミングでＡｃｋを送信し、処理を終了する。

　次に、第２マルチキャストの送信時間までに全受信端末への第１マルチキャストの再送が完了した場合の一例を示す。図１３は、本発明のマルチキャスト再送シーケンスの一例を示す図である。図１３に示す例では、図７のＡｃｋ返信順位シーケンス後にマルチキャストの送信を行うものとする。また、図１４Ａ～Ｃは、図１３のマルチキャスト再送シーケンスで送信端末１Ａが管理しているグルーピングテーブルの状態を示す図である。

　図１３において、送信端末１Ａは、図６で説明したＡｃｋ返信数の決定方法を用いて、Ａｃｋの返信数を決定する。ここでは、Ａｃｋの返信数を「３」と決定したものとする。送信端末１Ａは、グルーピングテーブルのＡｃｋ返信順位通知応答フラグが「１」、かつＡｃｋフラグが「０」に設定されている受信端末のＡｃｋ返信順位の値を検出する。ここでは、Ａｃｋ返信順位の値「１」が最も若い値なので、送信端末１Ａは、第１マルチキャストの開始返信順位１１１Ａに「１」、終了返信順位１１１Ｂに「３」を設定して第１マルチキャストを送信する。

　受信端末１Ｂ～１Ｆは、第１マルチキャストを受信すると、第１マルチキャストの誤り検出１１３を用いて、受信した第１マルチキャストの誤りを判定する。ここでは、受信端末１Ｃで誤りが発生したものとする。第１マルチキャストを受信した受信端末は、第１マルチキャストの開始返信順位１１１Ａの値と、終了返信順位１１１Ｂの値と、自機のＡｃｋ返信順位記憶部２４で記憶しているＡｃｋ返信順位の値とを比較する。ここでは、これらの値が（式４）を満たしているかを確認する。

　受信端末１Ｂ、１Ｄは、（式４）を満たしているので、Ａｃｋを返信する。この際、受信端末１Ｂ、１Ｄは、自機のＡｃｋ返信順位の値と、開始優先順位１１１Ａの値とを比較し、待機時間を求める。ここでは、受信端末１Ｂ、１Ｄは、第１マルチキャスト受信後に、（式５）で求めた値だけ待機してからＡｃｋを返信する。受信端末１Ｃは、（式４）を満たしているが、第１マルチキャストに誤りが発生したのでＡｃｋを返信しない。受信端末１Ｅ、１Ｆは、（式４）を満たしていないのでＡｃｋを返信しないと判定する。送信端末１Ａは、受信端末１Ｂ、１ＤからＡｃｋを受信したので、グルーピングテーブルにおける受信端末１Ｂ、１ＤのＡｃｋフラグを「１」に設定する（図１４Ａ）。

　＜１回目の再送＞
　送信端末１Ａは、Ａｃｋ返信を許可した受信端末１ＣからＡｃｋを受信しなかったので、第１マルチキャストを再送する。送信端末１Ａは、グルーピングテーブルのＡｃｋ返信順位応答フラグが「１」、かつＡｃｋフラグが「０」に設定されている受信端末のＡｃｋ返信順位の値を検出する。ここでは、Ａｃｋ返信順位の値「２」が最も若い値なので、送信端末１Ａは、第１マルチキャストの開始返信順位１１１Ａに「２」、終了返信順位１１１Ｂに「４」を設定して、第１マルチキャストを再送する。よって、送信端末１Ａは、受信端末１Ｃ～１Ｅから合計３つのＡｃｋを受信することを期待する。

　受信端末１Ｂ～１Ｆは、第１マルチキャストを受信すると、第１マルチキャストの誤り検出１１３を用いて、受信した第１マルチキャストの誤りを判定する。ここでは、受信端末１Ｂ～１Ｆで誤りが発生しなかったものとする。受信端末１Ｃ～１Ｅは、マルチキャストを正常に受信し、かつ（式４）を満たしているので、Ａｃｋを返信する。この際、受信端末１Ｃ～１Ｅは、自機のＡｃｋ返信順位の値と、開始優先順位１１１Ａの値とを比較し、待機時間を求める。ここでは、受信端末１Ｃ～１Ｅは、第１マルチキャスト受信後に、（式５）で求めた値だけ待機してからＡｃｋを返信する。送信端末１Ａは、受信端末１Ｃ～１ＥからＡｃｋを受信したので、グルーピングテーブルにおける受信端末１Ｃ～１ＥのＡｃｋフラグを「１」に設定する（図１４Ｂ）。

　＜２回目の再送＞
　送信端末１Ａは、Ａｃｋ返信を許可した全ての受信端末からＡｃｋを受信したので、グルーピングテーブルのＡｃｋ返信順位応答フラグが「１」、かつＡｃｋフラグが「０」に設定されている受信端末の台数を確認する。ここでは、受信端末１Ｆが該当するので第１マルチキャストの再送が必要と判定する。送信端末１Ａは、Ａｃｋを期待する受信端末が予め設定された台数以下ならばマルチキャストでなくユニキャストでデータを再送する。ここでは、設定台数は１台とするので、送信端末１Ａは、第１のマルチキャストのデータを第１ユニキャストで再送する。なお、ユニキャストのフレーム構造は、マルチキャストからＡｃｋ返信許可情報１１１を取り除いて、ヘッダ１１０の値をユニキャストに設定したフレームを使用する。

　受信端末１Ｆは、第１ユニキャストを受信すると、第１ユニキャストの誤り検出１１３を用いて、受信した第１ユニキャストの誤りを判定する。ここでは、受信端末１Ｆで誤りが発生しなかったものとする。受信端末１Ｆは、第１ユニキャストを受信した後、予め設定された値だけ待機してＡｃｋを返信する。受信端末１Ｆは、例えば、ＩＥＥＥ８０２．１１で使用するＳｉｆｓ時間待機してＡｃｋを送信する。

　送信端末１Ａは、受信端末１ＦからＡｃｋを受信したのでグルーピングテーブルにおける受信端末１ＦのＡｃｋフラグを「１」に設定する（図１４Ｃ）。送信端末１Ａは、Ａｃｋ返信を許可した全ての受信端末からＡｃｋを受信したので、グルーピングテーブルのＡｃｋ返信順位通知応答フラグが「１」、かつＡｃｋフラグが「０」に設定されている受信端末の台数を確認する。ここでは、該当する受信端末がないので再送処理を終了する。この際、送信端末１Ａは、受信端末１Ｂ～１ＦのＡｃｋフラグを「０」に設定する。次に、送信端末１Ａは、第１マルチキャストのときと同様の処理を行い、開始返信順位１１１Ａに「１」、終了返信順位１１１Ｂに「３」を設定して第２マルチキャストを送信する。

　以上説明したように、本発明のマルチキャスト送信シーケンスでは、送信端末は、予め受信端末の優先度の順番にＡｃｋ返信順位を決定し、決定したＡｃｋ返信順位をマルチキャストの送信開始前に各受信端末に通知する。これにより、マルチキャストに設定するＡｃｋ返信許可情報を従来に比べて減らすことができ、帯域を効率よく利用できる。また、マルチキャストのフレーム長が短くなるので、マルチキャストの受信誤りの発生確率も低くなる。また、送信端末は、マルチキャストの品質保証が必要な受信端末の順番にＡｃｋ返信順位を決定し、マルチキャストの送信間隔に応じてＡｃｋ返信を許可する受信端末の台数を決定する。これにより、マルチキャストを受信する受信端末の台数に関わらず、優先度の高い受信端末から順番に到達確認ができ、予め設定した所定回数の再送機会を保証することができる。このため、優先度の高い受信端末が、確実に送信データを受信したことを確認できる。

　なお、本実施の形態では、Ａｃｋ返信許可情報決定部１９がマルチキャストに設定するＡｃｋ返信許可情報１１１は、開始返信順位１１１Ａと終了返信順位１１１Ｂとで構成されるとしたが、これに限定されるものではない。Ａｃｋ返信許可情報１１１は、例えば、マルチキャストに、図１５に示すようなＡｃｋ返信許可情報１２０を設定してもよい。図１５を参照して、Ａｃｋ返信許可情報１２０は、第１開始返信順位１２０Ａと、第１終了返信順位１２０Ｂと、第２開始返信順位１２０Ｃと、第２終了返信順位１２０Ｄとで構成される。この場合、受信端末２０のＡｃｋ返信判定部２６は、（式６）を満たしているかを確認し、満たしていていればＡｃｋを返信するようにしてもよい。
　（第１開始返信順位１２０Ａの値）　≦　（Ａｃｋ返信順位の値）　≦　（第１終了返信順位１２０Ｂの値）
　または、
　（第２開始返信順位１２０Ｃの値）　≦　（Ａｃｋ返信順位の値）　≦　（第２終了返信順位１２０Ｄの値）
　　　・・・（式６）

　例えば、第１開始返信順位１２０Ａが「１」、第１終了返信順位１２０Ｂが「３」、第２開始返信順位１２０Ｃが「５」で、第２終了返信順位１２０Ｄが「７」の場合は、Ａｃｋ返信順位の値が「１，２，３，５，６，７」の受信端末２０が、順番にＡｃｋを返信する。また、Ａｃｋ返信許可情報１２０には、Ａｃｋ返信を許可する受信端末の返信順位の値に応じて、第３開始返信順位から第Ｎ終了返信順位までを設定してもよい（Ｎは４以上の整数）。

　また、Ａｃｋ返信許可情報１１１は、例えば、マルチキャストに、図１６に示すようなＡｃｋ返信許可情報１３０を設定してもよい。図１６を参照して、Ａｃｋ返信許可情報１３０は、特定の受信端末のＡｃｋ返信順位を示す返信順位１３０Ａと、Ａｃｋ返信順位の範囲を示す開始返信順位１３０Ｂと、終了返信順位１３０Ｃとで構成されている。この場合、受信端末２０のＡｃｋ返信判定部２６は、（式７）を満たしているかを確認し、満たしていていればＡｃｋを返信するようにしてもよい。
　（返信順位１３０Ａの値）　＝　（Ａｃｋ返信順位の値）
　または、
　（開始返信順位１３０Ｂの値）　≦　（Ａｃｋ返信順位の値）　≦　（終了返信順位１３０Ｄの値）
　　　　　　　　　　　　　　・・・（式７）

　例えば、返信順位１３０Ａには「１」、開始返信順位１３０Ｂが「３」、終了返信順位１３０Ｃが「５」の場合は、Ａｃｋ返信順位の値が「１，３，４、５」の受信端末２０が順番にＡｃｋを返信する。また、Ａｃｋ返信許可情報１３０には、Ａｃｋ返信を許可する受信端末の返信順位の値に応じて、第２返信順位から第Ｎ返信順位までを設定してもよい（Ｎは３以上の整数）。

　また、Ａｃｋ返信許可情報１１１は、例えば、マルチキャストに、図１７に示すようなＡｃｋ返信許可情報１４０を設定してもよい。Ａｃｋ返信許可情報１４０は、受信端末のＡｃｋ返信順位の開始を示す開始返信順位１４０Ａと、Ａｃｋ返信を許可する受信端末の数を示す返信数１４０Ｂとで構成される。この場合、受信端末２０のＡｃｋ返信判定部２６は、（式８）を満たしているかを確認し、満たしていていればＡｃｋを返信するようにしてもよい。
　（開始返信順位１４０Ａの値）　≦　（Ａｃｋ返信順位の値）　≦　（開始返信順位１４０Ａの値）＋（返信数１４０Ｂの値）－１　　・・・（式８）

　例えば、開始返信順位１４０Ａが「１」、返信数１４０Ｂが「３」の場合は、Ａｃｋ返信順位の値が「１，２、３」の受信端末２０が順番にＡｃｋを返信する。また、Ａｃｋ返信許可情報１４０には、Ａｃｋ返信を許可する受信端末の返信順位の値に応じて、第２開始返信順位から第Ｎ返信順位までを設定してもよい（Ｎは２以上の整数）。

　また、Ａｃｋ返信許可情報１１１は、例えば、マルチキャストに、図１８の示すようなＡｃｋ返信許可情報１５０を設定してもよい。図１８を参照して、Ａｃｋ返信許可情報１５０は、Ａｃｋ返信を許可する受信端末の数を示す返信数１５０Ａで構成されている。この場合、受信端末２０のＡｃｋ返信判定部２６は、（式９）を満たしているかを確認し、満たしていればＡｃｋを返信するようにしてもよい。例えば、返信数１５０Ａが「３」の場合は、Ａｃｋ返信順位の値が「１，２、３」の受信端末２０が順番にＡｃｋを返信する。
　（Ａｃｋ返信順位の値）　≦　（返信数１５０Ａの値）・・・（式９）

　また、本実施の形態では、Ａｃｋ返信許可情報１１１は、例えば、マルチキャストに、図１９に示すようなＡｃｋ返信許可情報１６０を設定してもよい。図１９を参照して、Ａｃｋ返信許可情報１５０は、Ａｃｋ返信順位の値が「１」の受信端末のＡｃｋ返信要否フラグ１６０Ａから、Ａｃｋ返信順位の値が「Ｎ」までの受信端末のＡｃｋ返信要否フラグ１６０Ｂで構成されている。各フラグは１ビットである（Ｎは、グルーピングテーブル記載のＡｃｋ返信順位の最大値である。図５のグルーピングテーブルの場合はＮは５とする）。この場合、受信端末２０のＡｃｋ返信判定部２６は、自機のＡｃｋ返信順位の値に該当するフラグが「１」に設定されていれば、Ａｃｋを返信するようにしてもよい。例えば、Ａｃｋ返信許可情報１５０の２，５，７ビット目が「１」の場合は、Ａｃｋ返信順位の値が「２，５，７」の受信端末２０が順番にＡｃｋを返信する。

　なお、本実施の形態では、送信端末１０は、グルーピングテーブルを予め保持していたが、これに限定されるものではない。例えば、実施の形態４に記載の方法で、Ａｃｋ返信順位通知フレームを送信する前に、送信端末１０のエリア内にいる受信端末２０から情報を収集してグルーピングテーブルを作成してもよい。

　なお、本実施の形態では、受信端末２０は、Ａｃｋ返信順位通知フレームを受信したら、Ａｃｋ返信応答フレームを返信したが、これに限定されるものではない。例えば、受信端末２０は、Ａｃｋによる到達確認が必要ないならばＡｃｋ返信順位応答フレームを返信しなくてもよい。または、Ａｃｋ返信順位応答フレームに到達確認が必要ないことを示す情報を含めて送信端末１０に返信してもよい。この場合、送信端末１０は、Ａｃｋ返信順位応答フラグを「１」に変更しない。

　なお、本実施の形態では、送信端末１０は、Ａｃｋを期待する受信端末からＡｃｋが返信されてこない場合に、繰り返しＡｃｋの返信許可を割り当て、Ａｃｋの返信を期待したが、これに限定されるものではない。例えば、図９の場合、送信端末１０は、受信端末１ＣからＡｃｋの未返信が３回発生したが、予め２回連続でＡｃｋが未返信の場合は、受信端末１ＣからのＡｃｋ返信許可を与えないようにしてもよい。あるいは、他の受信端末からのＡｃｋの受信処理後に、第２マルチキャストの送信時間までに時間がある場合に、受信端末１ＣにＡｃｋの返信許可を与えてもよい。

　なお、本実施の形態では、送信端末１０において、Ａｃｋ返信許可情報決定部１９は、Ａｃｋ返信許可数を「３」に決定した場合に、返信優先順位に従って３台の受信端末からのＡｃｋを期待するように、Ａｃｋ返信許可情報１１１に返信順位の値を決定したが、これに限定されるものではない。例えば、図９の場合、第１マルチキャストの２回目の再送では、開始返信順位の値は「２」、終了優先順位の値は「４」を設定して再送したが、第１ユニキャストとして受信端末１Ｃに再送してもよい。送信端末１０は、受信端末１ＣからＡｃｋを受信し、第２マルチキャストの送信時間までに余裕があれば、受信端末１Ｅ以降の到達確認を行うため、第１マルチキャストの開始返信受信の値は「４」、終了優先順位の値は「５」を設定して再送するか、受信端末１Ｅ宛に第１ユニキャストを再送してもよい。

　（実施の形態２）
　図２０は、本実施の形態２における送信端末３０の機能ブロック図である。送信端末３０の機能ブロック図は、上述した送信端末１Ａの構成に該当する。図２０において、実施の形態１（図２）と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。図２０において、送信端末３０は、無線送受信部１１、フレーム分類部１２、Ａｃｋ解析部１３、アプリケーション部１４、グルーピングテーブル記憶部１５、Ａｃｋ返信順位通知フレーム作成部１６、Ａｃｋ返信順位応答フレーム解析部１７、及びマルチキャスト作成部１８が、実施の形態１と同等の構成である。

　第２のアプリケーション部３１、及び第２のＡｃｋ返信許可情報決定部３２が、実施の形態１の構成と異なる。第２のアプリケーション部３１は、アプリケーション部１４の機能に、マルチキャスト伝送中にデータの発生間隔に変更がある場合に、発生間隔の変更を通知する機能が加わったものである。第２のＡｃｋ返信許可情報決定部３２は、Ａｃｋ返信許可情報決定部１９の機能に、マルチキャスト伝送中の送信間隔の変更に応じてＡｃｋ返信数を変更する機能が加わったものである。本実施の形態では、送信端末３０がマルチキャスト伝送中にマルチキャストの送信間隔を変更した場合に、Ａｃｋ返信許可数を変更するところが実施の形態１と異なる。

　次に、実施の形態２の送信端末３０の動作について図２１を用いて説明する。なお、本実施の形態２において、受信端末は実施の形態１の受信端末２０を用いる。図２１は、本発明のマルチキャスト再送シーケンスの一例を示す図である。図２１では、図１の無線ネットワークにおける送信端末１Ａがマルチキャストを送信し、受信端末１Ｂ～１Ｆがマルチキャストの受信を行うものとする。また、図２１では、図７のＡｃｋ返信順位シーケンス後にマルチキャストの送信を行うものとする。

　図２１において、送信端末１Ａは、図６で説明したＡｃｋ返信数の決定方法を用いてＡｃｋの返信数を決定する。ここでは、Ａｃｋの返信数を「５」と決定したものとする。送信端末１Ａは、グルーピングテーブルのＡｃｋ返信順位応答フラグが「１」、かつＡｃｋフラグが「０」に設定されている受信端末のＡｃｋ返信順位の値を検出する。ここでは、Ａｃｋ返信順位の値「１」が最も若い値なので、送信端末１Ａは、第１マルチキャストの開始返信順位１１１Ａに「１」、終了返信順位１１１Ｂに「５」を設定して第１マルチキャストを送信する。

　受信端末１Ｂ～１Ｆは、第１マルチキャストを受信すると、第１マルチキャストの誤り検出１１３を用いて、受信した第１マルチキャストの誤りを判定する。ここでは、受信端末１Ｃ、１Ｅ、１Ｆで誤りが発生したものとする。第１マルチキャストを受信した受信端末は、第１マルチキャストの開始返信順位１１１Ａの値と、終了返信順位１１１Ｂの値と、自機のＡｃｋ返信順位記憶部２４で記憶しているＡｃｋ返信順位の値とを比較する。ここでは、これらの値が（式４）を満たしているかを確認する。

　受信端末１Ｂ、１Ｄは、（式４）を満たしているので、Ａｃｋを返信する。この際、受信端末１Ｂ、１Ｄは、自機のＡｃｋ返信順位の値と、開始優先順位１１１Ａの値とを比較し、待機時間を求める。ここでは、受信端末１Ｂ、１Ｄは、第１マルチキャスト受信後に、（式５）で求めた値だけ待機してからＡｃｋを返信する。受信端末１Ｃ、１Ｅ、１Ｆは、（式４）を満たしているが、マルチキャストに誤りが発生したのでＡｃｋを返信しない。送信端末１Ａは、受信端末１Ｂ、１ＤからＡｃｋを受信したので、グルーピングテーブルにおける受信端末１Ｂ、１ＤのＡｃｋフラグを「１」に設定する。

　＜送信間隔変更前の第１マルチキャスト（再送１回目）＞
　送信端末１Ａは、Ａｃｋ返信を許可した受信端末１Ｃ、１Ｅ、１ＦからＡｃｋを受信しなかったので、第１マルチキャストを再送する。送信端末１Ａは、グルーピングテーブルのＡｃｋ返信順位応答フラグが「１」、かつＡｃｋフラグが「０」に設定されている受信端末のＡｃｋ返信順位の値を検出する。ここでは、Ａｃｋ返信順位の値「２」が最も若い値なので、送信端末１Ａは、第１マルチキャストの開始返信順位１１１Ａに「２」、終了返信順位１１１Ｂに「５」を設定して第１マルチキャストを再送する。よって、送信端末１Ａは、受信端末１Ｃ～１Ｆから合計４つのＡｃｋを受信することを期待する（ただし、Ａｃｋ返信順位の値が「６」の受信端末があれば終了返信順位は「６」に設定する）。

　受信端末１Ｂ～１Ｆは、第１マルチキャストを受信すると、第１マルチキャストの誤り検出１１３を用いて、受信した第１マルチキャストの誤りを判定する。ここでは、受信端末１Ｃ、１Ｅで誤りが発生したものとする。受信端末１Ｃ、１Ｅは、（式４）を満たしているがマルチキャストに誤りが発生したのでＡｃｋを返信しない。受信端末１Ｄ、１Ｆは、マルチキャストを正常に受信し、かつ（式４）を満たしているので、Ａｃｋを返信する。この際、受信端末１Ｄ、１Ｆは、マルチキャスト受信後に、（式５）で求めた値だけ待機してからＡｃｋを返信する。送信端末１Ａは、受信端末１Ｄ、１ＦからＡｃｋを受信したので、グルーピングテーブルにおける受信端末１Ｄ、１ＦのＡｃｋフラグを「１」に設定する。

　＜送信間隔変更前の第１マルチキャスト（再送２回目）＞
　送信端末１Ａは、Ａｃｋ返信を許可した受信端末１Ｃ、１ＥからＡｃｋを受信しなかったので、第１マルチキャストを再送する。送信端末１Ａは、グルーピングテーブルのＡｃｋ返信順位応答フラグが「１」、かつＡｃｋフラグが「０」に設定されている受信端末のＡｃｋ返信順位の値を検出する。ここでは、Ａｃｋ返信順位の値「２」が最も若い値なので、送信端末１Ａは、第１マルチキャストの開始返信順位１１１Ａに「２」、終了返信順位１１１Ｂに「５」を設定して第１マルチキャストを再送する。よって、送信端末１Ａは、受信端末１Ｃ～１Ｆから合計４つのＡｃｋを受信することを期待する（ただし、Ａｃｋ返信順位の値が「６」の受信端末があれば終了返信順位は「６」に設定する）。

　受信端末１Ｂ～１Ｆは、第１マルチキャストを受信すると、第１マルチキャストの誤り検出１１３を用いて、受信した第１マルチキャストの誤りを判定する。ここでは、受信端末１Ｂ～１Ｆで誤りが発生しなかったものとする。受信端末１Ｂ～１Ｆは、マルチキャストの開始返信順位１１１Ａの値と、終了返信順位１１１Ｂの値と、自機のＡｃｋ返信順位記憶部２４で記憶しているＡｃｋ返信順位の値とを比較する。ここでは、これらの値が、（式４）を満たしているかを確認する。

　受信端末１Ｃ～１Ｆは、（式４）を満たしているので、Ａｃｋを返信する。この際、受信端末１Ｃ～１Ｆは、自機のＡｃｋ返信順位の値と、開始優先順位１１１Ａの値とを比較し、待機時間を求める。ここでは、受信端末１Ｃ～１Ｆは、マルチキャスト受信後に（式５）で求めた値だけ待機してからＡｃｋを返信する。受信端末１Ｂは、（式４）を満たしていないのでＡｃｋを返信しないと判定する。送信端末１Ａは、受信端末１Ｃ～１ＦのＡｃｋを受信したので、グルーピングテーブルにおける受信端末１Ｃ～１ＦのＡｃｋフラグを「１」に設定する。

　送信端末１Ａは、Ａｃｋ返信を許可した全ての受信端末からＡｃｋを受信したので、グルーピングテーブルのＡｃｋ返信順位通知応答フラグが「１」、かつＡｃｋフラグが「０」に設定されている受信端末の台数を確認する。ここでは、該当する受信端末がないので再送処理を終了する。この際、送信端末１Ａは、受信端末１Ｂ～１ＦのＡｃｋフラグを「０」に設定する。次に、送信端末１Ａは、第１マルチキャストのときと同様の処理を行い、開始返信順位１１１Ａに「１」、終了返信順位１１１Ｂに「５」を設定して、第２マルチキャストを送信する。

　＜送信間隔の変更＞
　図２１において、送信端末１Ａの第２のアプリケーション部３１は、データの発生間隔を変更する。例えば、映像を送信する場合、コンテンツレートの変更によりデータ発生間隔を変更する。ここでは、図２１に示すように、データの発生間隔が短くなり、マルチキャストの送信間隔が短くなったものとする。送信端末１Ａの第２のアプリケーション部３１は、データの発生間隔を変更すると、第２のＡｃｋ返信許可情報決定部３２に通知する。第２のＡｃｋ返信許可情報決定部３２は、変更されたデータの送信間隔の情報から、図６で説明したＡｃｋ返信数の決定方法を用いてＡｃｋの返信数を決定する。ここでは、Ａｃｋの返信数を「５」から「３」に変更したものとする。

　＜送信間隔変更後の第３マルチキャスト（送信）＞
　送信端末１Ａは、グルーピングテーブルのＡｃｋ返信順位応答フラグが「１」、かつＡｃｋフラグが「０」に設定されている受信端末のＡｃｋ返信順位の値を検出する。ここでは、Ａｃｋ返信順位の値「１」が最も若い値なので、送信端末１Ａは、第３マルチキャストの開始返信順位１１１Ａに「１」、終了返信順位１１１Ｂに「３」を設定して第３マルチキャストを送信する。

　受信端末１Ｂ～１Ｆは、第３マルチキャストを受信すると、第３マルチキャストの誤り検出１１３を用いて、受信した第３マルチキャストの誤りを判定する。ここでは、受信端末１Ｃ、１Ｅ、１Ｆで誤りが発生したものとする。マルチキャストを受信した受信端末は、第３マルチキャストの開始返信順位１１１Ａの値と、終了返信順位１１１Ｂの値と、自機のＡｃｋ返信順位記憶部２４で記憶しているＡｃｋ返信順位の値とを比較する。ここでは、これらの値が（式４）を満たしているかを確認する。

　受信端末１Ｂ、１Ｄは、（式４）を満たしているので、Ａｃｋを返信する。この際、受信端末１Ｂ、１Ｄは、自機のＡｃｋ返信順位の値と、開始優先順位１１１Ａの値とを比較し、待機時間を求める。ここでは、受信端末１Ｂ、１Ｄは、第３マルチキャスト受信後に、（式５）で求めた値だけ待機してからＡｃｋを返信する。受信端末１Ｃは、（式４）を満たしているがマルチキャストに誤りが発生したのでＡｃｋを返信しない。受信端末１Ｅ、１Ｆは、（式４）を満たしていないのでＡｃｋを返信しないと判定する。送信端末１Ａは、受信端末１Ｂ、１ＤからＡｃｋを受信したので、グルーピングテーブルにおける受信端末１Ｂ、１ＤのＡｃｋフラグを「１」に設定する。

　＜送信間隔変更後の第３マルチキャスト　再送＞
　送信端末１Ａは、Ａｃｋ返信を許可した受信端末１ＣからＡｃｋを受信しなかったので、第３マルチキャストを再送する。送信端末１Ａは、グルーピングテーブルのＡｃｋ返信順位応答フラグが「１」、かつＡｃｋフラグが「０」に設定されている受信端末のＡｃｋ返信順位の値を検出する。ここでは、Ａｃｋ返信順位の値「２」が最も若い値なので、送信端末１Ａは、第３マルチキャストの開始返信順位１１１Ａに「２」、終了返信順位１１１Ｂに「４」を設定して第３マルチキャストを再送する。よって、送信端末１Ａは、受信端末１Ｃ～１Ｅから合計３つのＡｃｋを受信することを期待する。

　受信端末１Ｂ～１Ｆは、第３マルチキャストを受信すると、第３マルチキャストの誤り検出１１３を用いて、受信した第３マルチキャストの誤りを判定する。ここでは、受信端末１Ｃ、１Ｅで誤りが発生したものとする。受信端末１Ｃ、１Ｅは、（式４）を満たしているがマルチキャストに誤りが発生したのでＡｃｋを返信しない。受信端末１Ｄは、マルチキャストを正常に受信し、かつ（式４）を満たしているのでＡｃｋを返信する。この際、受信端末１Ｄは、マルチキャスト受信後に、（式５）で求めた値だけ待機してからＡｃｋを返信する。送信端末１Ａは、受信端末１ＤからＡｃｋを受信したので、グルーピングテーブルにおける受信端末１ＤのＡｃｋフラグを「１」に設定する。

　＜送信間隔変更後の第３マルチキャスト（再送２回目）＞
　送信端末１Ａは、Ａｃｋ返信を許可した受信端末１Ｃ、１ＥからＡｃｋを受信しなかったので、第１マルチキャストを再送する。送信端末１Ａは、グルーピングテーブルのＡｃｋ返信順位通知応答フラグが「１」、かつＡｃｋフラグが「０」に設定されている受信端末のＡｃｋ返信順位の値を検出する。ここでは、Ａｃｋ返信順位の値「２」が最も若い値なので、送信端末１Ａは、第３マルチキャストの開始返信順位１１１Ａに「２」、終了返信順位１１１Ｂに「４」を設定して第３マルチキャストを再送する。よって、送信端末１Ａは、受信端末１Ｃ～１Ｅから合計３つのＡｃｋを受信することを期待する。

　受信端末１Ｂ～１Ｆは、第３マルチキャストを受信すると、第３マルチキャストの誤り検出１１３を用いて、受信した第３マルチキャストの誤りを判定する。ここでは、受信端末１Ｂ～１Ｆで誤りが発生しなかったものとする。受信端末１Ｂ～１Ｆは、第３マルチキャストの開始返信順位１１１Ａの値と、終了返信順位１１１Ｂの値と、自機のＡｃｋ返信順位記憶部２４で記憶しているＡｃｋ返信順位の値とを比較する。ここでは、これらの値が（式４）を満たしているかを確認する。

　受信端末１Ｃ～１Ｅは、（式４）を満たしているので、Ａｃｋを返信する。この際、受信端末１Ｃ～１Ｅは、自機のＡｃｋ返信順位の値と、開始優先順位１１１Ａの値とを比較し、待機時間を求める。ここでは、受信端末１Ｃ～１Ｅは、第１マルチキャスト受信後に、（式５）で求めた値だけ待機してからＡｃｋを返信する。受信端末１Ｂ、１Ｆは、（式４）を満たしていないので、Ａｃｋを返信しないと判定する。送信端末１Ａは、受信端末１Ｃ～１ＥのＡｃｋを受信したので、グルーピングテーブルにおける受信端末１Ｃ～１ＥのＡｃｋフラグを「１」に設定する。

　＜３回目の再送　再送処理終了＞
　送信端末１Ａは、Ａｃｋ返信を許可した全ての受信端末からＡｃｋを受信したので、グルーピングテーブルのＡｃｋ返信順位応答フラグが「１」、かつＡｃｋフラグが「０」に設定されている受信端末の台数を確認する。ここでは、受信端末１Ｆが該当するのでマルチキャスト再送が必要と判定する。しかし、送信端末１Ａは、次データである第４マルチキャストの送信時間に達したので第３マルチキャストの再送処理を終了する。この際、送信端末１Ａは、受信端末１Ｂ～１ＦのＡｃｋフラグを「０」に設定する。次に、送信端末１Ａは、第３マルチキャストのときと同様の処理を行い、開始返信順位１１１Ａに「１」、終了返信順位１１１Ｂに「３」を設定して第４マルチキャストを送信する。

　以上説明したように、本発明のマルチキャスト送信シーケンスでは、送信端末３０は、マルチキャスト送信中にマルチキャストの送信間隔を変更した場合に、変更後の送信間隔に応じてＡｃｋ返信許可数を変更する。これにより、アプリケーションによるリアルタイムなデータ発生間隔の変更が発生しても、変更後の送信間隔に応じたＡｃｋ返信許可数の設定ができ、一定の再送機会が確保できる。

　なお、本実施の形態では、第２のアプリケーション部３１におけるデータの発生間隔の変更に応じてＡｃｋ返信許可数をリアルタイムに変更したが、これに限定されるものではない。例えば、送信端末３０において、マルチキャスト作成部１８は、無線区間の伝搬状態に応じて第２のアプリケーション部３１から入力されたデータを連結して無線区間に送信してよい。例えば、図２２Ａに示すように、最初、無線区間のマルチキャストのフレーム長は２００バイトだが、無線の伝搬状態が良好になったのでフレーム長を長くし４００バイトで送信してもよい。この場合、マルチキャスト作成部１８は、連結後のマルチキャストの送信間隔の情報を第２のＡｃｋ返信許可情報決定部３２に通知する。これにより、第２のＡｃｋ返信許可情報決定部３２は、無線の伝搬状態によるマルチキャスト送信間隔の変更に追従してＡｃｋの返信許可数を決定できる。

　なお、実施の形態では、第２のアプリケーション部３１におけるデータの発生間隔の変更に応じてＡｃｋ返信許可数をリアルタイムに変更したが、これに限定されるものではない。例えば、送信端末３０において、マルチキャスト作成部１８は、無線区間の伝搬状態に応じて第２のアプリケーション部３１から入力されたデータを分割して無線区間に送信してよい。例えば、図２２Ｂに示すように、最初、無線区間のマルチキャストのフレーム長は２００バイトだが、無線の伝搬状態が劣悪になったので、フレーム長を短く１００バイトで送信してもよい。マルチキャスト作成部１８は、分割後のマルチキャストの送信間隔の情報を第２のＡｃｋ返信許可情報決定部３２に通知する。これにより、第２のＡｃｋ返信許可情報決定部３２は、無線の伝搬状態によるマルチキャスト送信間隔の変更に追従してＡｃｋの返信許可数を決定できる。

　また、無線の伝搬状態は、無線区間に送信するマルチキャストのパケット誤り率や、受信端末で取得する受信電界強度を用いて判定してもよい。また、無線の伝搬状態の判定には、全受信端末での受信電界強度を用いても、Ａｃｋ返信順位が予め設定した値以下の受信端末の受信電界強度を用いてもよい。また、受信端末から返信されるＡｃｋの受信電界強度や、パケット誤り率等を用いてもよい。

　なお、送信端末３０は、無線区間の伝搬状態に応じてＰＨＹレートを変更した場合に、Ａｃｋ返信の許可数を変更してもよい。例えば、マルチキャスト送信のＰＨＹレートを低くした場合は、送信に必要な時間が長くなるのでＡｃｋ返信許可数を少なくすることにより、一定の再送機会が確保できる。例えば、図２３に示すように、最初、無線区間のマルチキャストのＰＨＹレートは２０Mbpsだが、無線の伝搬状態が劣悪になったのでＰＨＹレートを低く１５Mbpsで送信すると、同じデータ量を送信するのに時間が長くなり送信間隔が短くなる。マルチキャスト作成部１８は、ＰＨＹレート変更後のマルチキャストの送信間隔の情報を第２のＡｃｋ返信許可情報決定部３２に通知する。これにより、第２のＡｃｋ返信許可情報決定部３２は、無線の伝搬状態によるマルチキャスト送信間隔の変更に追従して、Ａｃｋの返信許可数を決定できる。

　図２４は、ＰＨＹレート変更処理における送信端末３０の内部処理フローの一例を示す。図２４において、送信端末３０は、マルチキャストの再送処理が終了したかを確認する（ステップＳ３１）。送信端末３０は、マルチキャストの再送処理が終了した場合（ステップＳ３１:ＹＥＳ）に、次のマルチキャストの送信準備を行う（ステップＳ３２）。

　次に、送信端末３０は、手前のマルチキャストの送信時に予め設定したＡｃｋ返信順位の値より返信順位が高い受信端末からＡｃｋを受信したかを否かを確認する（ステップＳ３３）。ここで、予め設定したＡｃｋの返信順位の値は、マルチキャストの受信を保証したい受信端末の数で設定してもよい。例えば、保証したい受信端末が３台あり、各受信端末の返信順位の値が「１，２，３」の場合は、ステップＳ３３で予め設定された返信順位の値を「３」とする。

　送信端末３０は、予め設定したＡｃｋ返信順位の値より返信順位が高い受信端末からＡｃｋが未受信（ステップＳ３３:ＮＯ）の場合は、送信するマルチキャストのＰＨＹレートを１段階下げる（ステップＳ３４）。なお、Ａｃｋを受信した場合（ステップＳ３３：ＹＥＳ）は、ＰＨＹレートの変更は行わない（ステップＳ３８）。次に、送信端末３０は、（式１）～（式３）を用いて、決定したＰＨＹレートでのマルチキャスト送信時間より、Ａｃｋ返信数を求め（ステップＳ３５）、決定したＡｃｋ返信数に基づいてマルチキャストにＡｃｋ返信許可情報を付加する（ステップＳ３６）。その後、送信端末３０は、指定されたＰＨＹレートでマルチキャストを送信する（ステップＳ３７）。

　以上の手順により、送信端末３０は、マルチキャストの受信を保証したい受信端末の数に応じて設定したＡｃｋ返信順位の値よりも、Ａｃｋ返信順位が高い受信端末からＡｃｋが未受信の場合は、マルチキャストのＰＨＹレートを低くして送信することにより、マルチキャストの受信を保証したい返信順位の高い受信端末に確実なデータ送信と到達確認を行うことができる。

　なお、送信端末３０は、ＰＨＹレート変更以外の処理、例えば、フレームの分割・結合の要否の判定においても、予め設定したＡｃｋ返信順位の受信端末からのＡｃｋ返信状況に応じてフレームの分割・結合を行い、返信順位の高い受信端末に確実にデータ送信し、到達確認を行ってもよい。

　また、送信端末３０は、最低ＰＨＹレートでマルチキャストを送信してもＡｃｋが未受信の場合は、Ａｃｋ返信順位応答フラグを「０」に設定して、以降のマルチキャストはＰＨＹレートを高くして送信してもよい。また、送信端末３０は、無線区間の伝搬状態に応じてＡｃｋ返信許可数を減らしてよい。これにより、マルチキャストの再送機会を増やすことになり、マルチキャストのロスが低減できる。

　また、本実施の形態では、アプリケーションのデータの発生間隔の変更に応じてＡｃｋ返信許可数をリアルタイムに変更したが、これに限定されるものではない。例えば、第２のアプリケーション部３１は、動画像のコンテンツレートの情報を第２のＡｃｋ返信許可情報決定部３２に通知する。これにより、第２のＡｃｋ返信許可情報決定部３２は、コンテンツレートからＡｃｋ返信を許可する受信端末の台数が決定できる。

　（実施の形態３）
　図２５は、本実施の形態３における送信端末４０の機能ブロック図である。送信端末４０の機能ブロック図は、上述した送信端末１Ａの構成に該当する。図２５において、実施の形態１及び２（図２及び図２０）と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。図２５において、送信端末４０は、無線送受信部１１、フレーム分類部１２、Ａｃｋ解析部１３、アプリケーション部１４、グルーピングテーブル記憶部１５、Ａｃｋ返信順位通知フレーム作成部１６、Ａｃｋ返信順位応答フレーム解析部１７、及びマルチキャスト作成部１８が、実施の形態１及び２と同等の構成である。

　第３のアプリケーション部４１は、第２のアプリケーション部３１の機能に、マルチキャスト送信中にグルーピングテーブル記憶部１５で管理しているグルーピングテーブルのＡｃｋ返信順位応答フラグの値を変更する機能が加わったものである。Ａｃｋ返信加入フレーム解析部４２は、受信したＡｃｋ返信加入フレームを解析する機能を備える。

　図２６は、本実施の形態３における受信端末５０の機能ブロック図である。受信端末５０の機能ブロック図は、上述した受信端末１Ｂ～１Ｆの構成に該当する。図２６において、実施の形態１（図３）と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。図２６において、受信端末５０は、無線送受信部２１、フレーム分類部２２、Ａｃｋ返信順位通知フレーム解析部２３、Ａｃｋ返信順位記憶部２４、Ａｃｋ返信順位応答フレーム作成部２５、及びＡｃｋ作成部２７が、実施の形態１と同等の構成である。

　第２のＡｃｋ返信判定部５１は、Ａｃｋ返信判定部２６の機能に、Ａｃｋ返信順位記憶部２４にＡｃｋ返信順位の値が記憶されていなければ、Ａｃｋ返信加入フレームの作成をＡｃｋ返信加入フレーム作成部５２に指示する機能が加わったものである。Ａｃｋ返信加入フレーム作成部５２は、第２のＡｃｋ返信判定部５１の指示でＡｃｋ返信加入フレームを作成する。

　本実施の形態では、マルチキャスト伝送中に送信端末４０のエリア（通信圏内）に入ってきた受信端末５０に、Ａｃｋ返信許可を与えるところが実施の形態１及び２と異なる。図２７に、本実施の形態３で用いるフレームの一例を示す。図２７は、Ａｃｋ返信順位加入フレームである。Ａｃｋ返信順位加入フレームは、アドレスやフレーム識別子などアクセスに必要なパラメータを格納しているヘッダ１７０、及びフレームの誤りを検出する情報が格納されている誤り検出１７１で構成される。

　次に、実施の形態３の送信端末４０と受信端末５０の動作について、図２８と図２９を用いて説明する。図２８に、本実施の形態に係るＡｃｋ返信順位通知シーケンスの一例を示す。図２８では、図１の送信端末１Ａがマルチキャストを送信し、受信端末１Ｂ～１Ｆがマルチキャストの受信を行うものとする。ただし、受信端末１Ｂは、マルチキャスト開始前のＡｃｋ返信順位通知フレームの送信時には送信端末１Ａのエリア外におり、マルチキャスト送信後に、送信端末１Ａのエリア内に入ってくるものとする。

　送信端末１Ａは、マルチキャストの送信開始前に図５のグルーピングテーブルに基づいて、受信端末１Ｂ～１Ｆに対してＡｃｋ返信順位通知フレームを送信する。送信端末１Ａは、グルーピングテーブルのＡｃｋ返信順位の値をＡｃｋ返信順位通知フレームのＡｃｋ返信順位１０１に設定して送信する。まず、送信端末１Ａは、受信端末１ＢにＡｃｋ返信順位通知フレームを送信する。しかし、受信端末１Ｂは、送信端末１ＡがＡｃｋ返信順位通知フレームを送信した時点では、エリア外にいるのでＡｃｋ返信順位通知フレームを受信できない。

　送信端末１Ａは、Ａｃｋ返信順位通知フレームを送信してから予め設定した一定時間が経過したらＡｃｋ返信順位応答フレームの受信待機を中止して、次の受信端末１ＣにＡｃｋ返信順位通知フレームを送信する。受信端末１Ｃ～１Ｆは、Ａｃｋ返信順位通知フレームを受信すると、Ａｃｋ返信順位応答フレームを送信端末１Ａに返信する。送信端末１Ａは、Ａｃｋ返信順位応答フレームを受信すると、グルーピングテーブルの受信端末１Ｃ～１ＦのＡｃｋ返信順位応答フラグを「１」に設定する。

　図２９に、本発明のマルチキャスト再送シーケンスの一例を示す。図２９は、図２８のＡｃｋ返信順位シーケンス後にマルチキャストの送信を行うものとする。

　＜初送＞
　図２９において、送信端末１Ａは、図６で説明したＡｃｋ返信数の決定方法を用いてＡｃｋの返信数を決定する。ここでは、Ａｃｋの返信数を「３」と決定したものとする。送信端末１Ａは、グルーピングテーブルのＡｃｋ返信順位応答フラグが「１」、かつＡｃｋフラグが「０」に設定されている受信端末のＡｃｋ返信順位の値を検出する。ここでは、Ａｃｋ返信順位の値「２」が最も若い値なので、送信端末１Ａは、第１マルチキャストの開始返信順位１１１Ａに「２」、終了返信順位１１１Ｂに「４」を設定して第１マルチキャストを送信する。

　受信端末１Ｃ～１Ｆは、第１マルチキャストを受信すると、第１マルチキャストの誤り検出１１３を用いて、受信した第１マルチキャストの誤りを判定する。ここでは、受信端末１Ｃで誤りが発生したものとする。第１マルチキャストを受信した受信端末１Ｃ～１Ｆは、第１マルチキャストの開始返信順位１１１Ａの値と、終了返信順位１１１Ｂの値と、自機のＡｃｋ返信順位記憶部２４で記憶しているＡｃｋ返信順位の値とを比較する。ここでは、これらの値が（式４）を満たしているかを確認する。

　受信端末１Ｄ、１Ｅは、（式４）を満たしているので、Ａｃｋを返信する。この際、受信端末１Ｄ、１Ｅは、自機のＡｃｋ返信順位の値と、開始優先順位１１１Ａの値とを比較し、待機時間を求める。ここでは、受信端末１Ｄ、１Ｅは、第１マルチキャスト受信後に、（式５）で求めた値だけ待機してからＡｃｋを返信する。受信端末１Ｃは、（式４）を満たしているがマルチキャストに誤りが発生したのでＡｃｋを返信しない。受信端末１Ｆは、（式４）を満たしていないのでＡｃｋを返信しないと判定する。送信端末１Ａは、受信端末１Ｄ、１ＥからＡｃｋを受信したので、グルーピングテーブルにおける受信端末１Ｄ，１ＥのＡｃｋフラグを「１」に設定する。

　＜１回目の再送　受信端末１Ｂがエリア内に入ってきた＞
　送信端末１Ａは、Ａｃｋ返信を許可した受信端末１ＣからＡｃｋを受信しなかったので、第１マルチキャストを再送する。なお、この時点で受信端末１Ｂは、送信端末１Ａのエリア内に入ったものとする。送信端末１Ａは、グルーピングテーブルのＡｃｋ返信順位応答フラグが「１」、かつＡｃｋフラグが「０」に設定されている受信端末のＡｃｋ返信順位の値を検出する。ここでは、Ａｃｋ返信順位の値「２」が最も若い値なので、送信端末１Ａは、第１マルチキャストの開始返信順位１１１Ａに「２」、終了返信順位１１１Ｂに「４」を設定して第１マルチキャストを再送する。よって、送信端末１Ａは、受信端末１Ｃ～１Ｅから合計３つのＡｃｋを受信することを期待する。

　受信端末１Ｃ～１Ｅは、（式４）を満たしているので、Ａｃｋを返信する。この際、受信端末１Ｃ～１Ｅは、自機のＡｃｋ返信順位の値と、開始優先順位１１１Ａの値とを比較し、待機時間を求める。ここでは、受信端末１Ｃ～１Ｅは、第１マルチキャスト受信後に、（式５）で求めた値だけ待機してからＡｃｋを返信する。受信端末１Ｆは、（式４）を満たしていないのでＡｃｋを返信しないと判定する。受信端末１Ｂは、自機のＡｃｋ返信順位の値が記憶されていない。このため、受信端末１Ｂにおいて、第２のＡｃｋ返信判定部５１は、Ａｃｋ返信加入フレーム作成部５２にＡｃｋ返信加入フレームの作成指示を行う。Ａｃｋ返信加入フレーム作成部５２は、第２のＡｃｋ返信判定部５１からＡｃｋ返信加入フレームの作成指示を受けると、図２７のＡｃｋ返信加入フレームを作成する。送信端末１Ａは、受信端末１Ｃ～１ＥのＡｃｋを受信したので、グルーピングテーブルにおける受信端末１Ｃ～１ＥのＡｃｋフラグを「１」に設定する。

　＜２回目の再送（ユニキャスト）＞
　送信端末１Ａは、Ａｃｋ返信を許可した全ての受信端末からＡｃｋを受信したので、グルーピングテーブルのＡｃｋ返信順位応答フラグが「１」、かつＡｃｋフラグが「０」に設定されている受信端末の台数を確認する。ここでは、受信端末１Ｆが該当するのでマルチキャスト再送が必要と判定する。送信端末１Ａは、Ａｃｋを期待する受信端末が予め設定された台数以下ならばマルチキャストでなくユニキャストでデータを再送する。ここでは、設定台数は１台とするので、送信端末１Ａは、第１マルチキャストのデータを第１ユニキャストで再送する。

　受信端末１Ｆは、第１ユニキャストを受信すると、第１ユニキャストの誤り検出１１３を用いて、第１ユニキャストの誤りを判定する。ここでは、受信端末１Ｆで誤りが発生しなかったものとする。受信端末１Ｆは、第１ユニキャストを受信した後、予め設定された値だけ待機してＡｃｋを返信する。例えば、ＩＥＥＥ８０２．１１で使用するＳｉｆｓ時間待機してＡｃｋを送信する。

　送信端末１Ａは、受信端末１ＦからＡｃｋを受信したのでグルーピングテーブルにおける受信端末１ＦのＡｃｋフラグを「１」に設定する。送信端末１Ａは、Ａｃｋ返信を許可した全ての受信端末からＡｃｋを受信したので、グルーピングテーブルのＡｃｋ返信順位応答フラグが「１」、かつＡｃｋフラグが「０」に設定されている受信端末の台数を確認する。ここでは、該当する受信端末がないので再送処理を終了する。この際、送信端末１Ａは、受信端末１Ｂ～１ＦのＡｃｋフラグを「０」に設定する。次に、送信端末１Ａは、第２のマルチキャストの送信タイミングまで待機する。

　＜Ａｃｋ返信加入フレームを受信＞
　受信端末１Ｂにおいて、無線区間で予め設定していた一定時間の間に送信端末１Ａからフレームが出力されなければ、Ａｃｋ返信加入フレーム作成部５２は、Ａｃｋ返信加入フレームを送信端末１Ａに送信する。送信端末１Ａは、第２のマルチキャストの送信タイミングまで待機中にＡｃｋ返信加入フレームを受信すると、Ａｃｋ返信加入フレーム解析部４２でＡｃｋ返信加入フレームの解析を行い、第３のアプリケーション部４１に通知する。第３のアプリケーション部４１は、Ａｃｋ返信加入フレーム解析部４２から通知を受けると、グルーピングテーブル記憶部１５に記憶しているグルーピングテーブルの、Ａｃｋ返信加入フレームを送信してきた受信端末１ＢのＡｃｋ返信通知応答フラグを「１」に設定する。

　＜第２マルチキャストの初送＞
　送信端末１Ａは、第１マルチキャストのときと同様にＡｃｋの返信数を決定する。ここでは、Ａｃｋの返信数を「３」と決定したものとする。送信端末１Ａは、グルーピングテーブルのＡｃｋ返信順位応答フラグが「１」、かつＡｃｋフラグが「０」に設定されている受信端末のＡｃｋ返信順位の値を検出する。ここで、新たにＡｃｋ返信順位の値が「１」の受信端末１ＢのＡｃｋ返信順位通知応答フラグが「１」、かつＡｃｋフラグ「０」に設定されているので、送信端末１Ａは、第２マルチキャストの開始返信順位１１１Ａに「１」、終了返信順位１１１Ｂに「３」を設定して第２マルチキャストを送信する。

　受信端末１Ｂ～１Ｆは、第２マルチキャストを受信すると、第２マルチキャストの誤り検出１１３を用いて、第２マルチキャストの誤りを判定する。ここでは、受信端末１Ｂ～１Ｆで誤りが発生しなかったものとする。受信端末１Ｂ～１Ｆは、第２マルチキャストの開始返信順位１１１Ａの値と、終了返信順位１１１Ｂの値と、自機のＡｃｋ返信順位記憶部２４で記憶しているＡｃｋ返信順位の値とを比較する。ここでは、これらの値が（式４）を満たしているかを確認する。

　受信端末１Ｂ～１Ｄは、（式４）を満たしているので、Ａｃｋを返信する。この際、受信端末１Ｂ～１Ｄは、自機のＡｃｋ返信順位の値と、開始優先順位１１１Ａの値とを比較し、待機時間を求める。ここでは、受信端末１Ｂ～１Ｄは、第２マルチキャスト受信後に（式５）で求めた値だけ待機してからＡｃｋを返信する。受信端末１Ｅ、１Ｆは、（式４）を満たしていないのでＡｃｋを返信しないと判定する。

　以上説明したように、本発明のマルチキャスト送信シーケンスにおいて、送信端末４０はマルチキャスト送信中に、受信端末５０からＡｃｋ返信加入フレームを受信した場合に、Ａｃｋ返信加入フレームを送信した受信端末のＡｃｋ返信順位応答フラグを「１」に設定する。これにより、マルチキャスト送信中に送信端末４０のエリア内に入ってきた受信端末５０に対してＡｃｋ返信許可を行うことが可能になる。

　なお、本実施の形態では、受信端末５０は、無線区間で予め設定していた一定時間の間に送信端末１Ａからフレームが出力されなければ、Ａｃｋ返信加入フレームを送信端末１Ａに送信したが、これに限定されるものではない。例えば、送信端末５０は、予めマルチキャストの送信ごとＡｃｋ返信加入フレームの受信期間を設けてもよい。また、マルチキャストの送信ごとでなく、予め設定したマルチキャストの送信回数に対してＡｃｋ返信加入フレームの受信期間を設けてもよい。

　また、本実施の形態では、予め図５のグルーピングテーブルに記載された受信端末５０からＡｃｋ返信加入フレームを送信したが、これに限定されるものではない。例えば、グルーピングテーブルに記載されていない受信端末５０からＡｃｋ返信加入フレームを送信してもよい。この場合は、送信端末４０は、グルーピングテーブルに登録済みの受信端末に、Ａｃｋ返信加入フレームを送信した受信端末５０を加えてＡｃｋ返信順位を再決定して、各受信端末にＡｃｋ返信順位通知フレームを送信して新しいＡｃｋ返信順位を通知する。

　また、送信端末４０は、図３０に示すようなＡｃｋ返信順位変更フレームをマルチキャストで送信してもよい。図３０は、Ａｃｋ返信順位変更フレームである。Ａｃｋ返信順位変更フレームは、アドレスやフレーム識別子などアクセスに必要なパラメータを格納しているヘッダ１７５、Ａｃｋの返信順位の変更が必要なＡｃｋ返信順位を記載する開始返信順位１７６、及びフレームの誤りを検出する情報が格納されている誤り検出１７７で構成される。例えば、送信端末４０は、Ａｃｋ返信順位を再決定しＡｃｋ返信加入フレームを送信した受信端末５０のＡｃｋ返信順位を「３」と決定すると、開始返信順位１７６に「３」を設定したＡｃｋ返信順位変更フレームを送信する。Ａｃｋ返信加入フレームを送信した受信端末５０は、Ａｃｋ返信順位記憶部２４に「３」を記憶する。

　他の受信端末５０は、Ａｃｋ返信順位変更フレームを受信すると、自機のＡｃｋ返信順位記憶部２４で管理しているＡｃｋ返信順位の値が「３」以上の場合は値に「１」を足した値をＡｃｋ返信順位記憶部２４に記憶し直す。また、受信端末５０は、Ａｃｋ返信順位変更フレームに対して、新たなＡｃｋ返信順位でＡｃｋを返信してもよい。

　また、送信端末４０は、図３０のＡｃｋ返信受信変更フレームをユニキャストで、Ａｃｋ返信順位の値が「３」以上の受信端末５０、及びＡｃｋ返信加入フレームを送信した受信端末５０に送信してもよい。Ａｃｋ返信加入フレームを送信した受信端末５０は、Ａｃｋ返信順位記憶部２４に「３」を記憶する。他の受信端末５０は、Ａｃｋ返信順位変更フレームを受信すると、自機のＡｃｋ返信順位記憶部２４で管理しているＡｃｋ返信順位の値が「３」以上の場合は値に「１」を足した値をＡｃｋ返信順位記憶部２４に記憶し直す。その後、受信端末５０は、Ａｃｋ返信順位変更フレームに対して、Ａｃｋ返信順位変更フレームを受信してからｓｉｆｓ時間待機してＡｃｋを送信する。

　なお、本実施の形態では、送信端末１Ａは、受信端末１ＢからＡｃｋ返信順位通知フレームを送信して予め設定した一定時間が経過してもＡｃｋ返信順位応答フレームを受信しない場合は受信待機を中断して、次の受信端末１ＣにＡｃｋ返信順位通知フレームを送信したが、これに限定されるものではない。例えば、送信端末１Ａは、予め設定した一定時間が経過してもＡｃｋ返信順位応答フレームを受信しない場合は、予め設定した回数だけＡｃｋ返信順位通知フレームの再送を行ってもよい。

　また、送信端末１Ａは、受信端末１ＢからＡｃｋ返信順位応答フレームを受信しない場合には、受信端末１ＢのＡｃｋ返信順位の値を「０」に設定して、受信端末１ＢよりＡｃｋ返信順位の値が高い受信端末のＡｃｋ返信順位を１引いた値に変更してもよい。本実施例の場合は、受信端末１ＣのＡｃｋ返信受信の値を「２」から「１」に変更し、受信端末１ＤのＡｃｋ返信受信の値を「３」から「２」に変更し、受信端末１ＥのＡｃｋ返信受信の値を「４」から「３」に変更し、受信端末１ＦのＡｃｋ返信受信の値を「５」から「４」に変更する。

　なお、その後、送信端末１Ａがマルチキャスト送信中に受信端末１ＢからＡｃｋ返信加入フレームした場合は、Ａｃｋ返信順位の値を「１」に設定して、受信端末１Ｃから受信端末１ＦのＡｃｋ返信順位の値を元に戻してＡｃｋ返信順位変更フレームで各受信端末にＡｃｋ返信順位の値を通知してもよい。また、送信端末１Ａがマルチキャスト送信中に受信端末１ＢからＡｃｋ返信加入フレームした場合は、Ａｃｋ返信順位の値を「１」に設定せずに、最も大きい値に変更してもよい。本実施例の場合は、受信端末１ＢのＡｃｋ返信順位の値を「５」に設定する。

　（実施の形態４）
　図３１は、本実施の形態４における送信端末６０の機能ブロック図である。送信端末６０の機能ブロック図は、上述した送信端末１Ａの構成に該当する。図３１において、実施の形態１～３（図２及び図２０及び図２５）と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。図３１において、送信端末６０は、無線送受信部１１、フレーム分類部１２、Ａｃｋ解析部１３、グルーピングテーブル記憶部１５、Ａｃｋ返信順位通知フレーム作成部１６、Ａｃｋ返信順位応答フレーム解析部１７、マルチキャスト作成部１８、及びＡｃｋ返信許可情報決定部１９が、実施の形態１～３と同等の構成である。

　さらに、第４のアプリケーション部６１は、第３のアプリケーション部４１の機能に、グルーピングテーブルを作成する機能が加わったものである。グルーピング要求フレーム作成部６２は、第４のアプリケーション部６１の指示でグルーピング要求フレームを作成する。グルーピング応答フレーム解析部６３は、フレーム分類部１２から入力されたグルーピング応答フレームを解析する。

　図３２は、本実施の形態４における受信端末７０の機能ブロック図である。受信端末７０の機能ブロック図は、上述した受信端末１Ｂ～１Ｆの構成に該当する。図３２において、実施の形態１～３（図３及び図２６）と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。図３２において、受信端末７０は、無線送受信部２１、フレーム分類部２２、Ａｃｋ返信順位通知フレーム解析部２３、Ａｃｋ返信順位記憶部２４、Ａｃｋ返信順位応答フレーム作成部２５、Ａｃｋ返信判定部２６、及びＡｃｋ作成部２７が、実施の形態１～３と同等の構成である。

　グルーピング要求フレーム解析部７１は、フレーム分類部２２から入力されたグルーピング要求フレームを解析する。グルーピング応答フレーム作成部７２は、グルーピング要求フレーム解析部７１の指示でグルーピング応答フレームを作成する。ユーザ優先度情報記憶部７３は、グルーピング応答フレームに設定するユーザ優先度情報を記憶する。本実施の形態では、送信端末１Ａがエリア内（通信圏内）にいる受信端末１Ｂ～１Ｆのユーザ優先度情報を収集してグルーピングテーブルを作成するところが、実施の形態１～３と異なる。

　図３３Ａ～Ｂは、本実施の形態４におけるフレームの一例を示す図である。図３３Ａは、グルーピング要求フレームである。グルーピング要求フレームは、アドレスやフレーム識別子などアクセスに必要なパラメータを格納しているヘッダ１８０、及びフレームの誤りを検出する情報が格納されている誤り検出１８１で構成される。図３３Ｂは、グルーピング応答フレームである。グルーピング応答フレームは、アドレスやフレーム識別子などアクセスに必要なパラメータを格納しているヘッダ１８５、ユーザの優先度の情報が格納されているユーザ優先度情報１８６、及びフレームの誤りを検出する情報が格納されている誤り検出１８７で構成される。ユーザ優先度情報１８６は、ユーザの職種の情報を設定する職種情報１８６Ａと、ユーザの階級の情報を設定する階級情報１８６Ｂとで構成される。

　図３４は、本発明のグルーピングテーブル作成シーケンスの一例を示す図である。図３４では、送信端末１Ａが、マルチキャストでデータの配信を開始する前に、通信エリア内にいる受信端末１Ｂ～１Ｆからユーザ優先度情報１８６を取得し、グルーピングテーブルの作成を行うものとする。まず、送信端末１Ａにおいて、第４のアプリケーション部６１は、マルチキャストの送信開始前に、グルーピング要求フレーム作成部６２にグルーピング要求フレームの作成の指示を行う。グルーピング要求フレーム作成部６２は、当該指示を受けると、グルーピング要求フレームを作成し、マルチキャストで送信する。グルーピング要求フレームのアドレスは、マルチキャストのデータ送信時に使用するマルチキャストアドレスと同じある。

　受信端末１Ｂ～１Ｆは、グルーピング要求フレームを受信すると、グルーピング要求フレーム解析部７１で解析する。グルーピング要求フレーム解析部７１は、グルーピング要求フレームのマルチキャストアドレスを参照して自機が参加すべき、または参加しているグループの送信端末１Ａからのグルーピング要求フレームか判定する。ここでは、受信端末１Ｂ～１Ｆは、自機が参加すべき、または参加しているグループの送信端末１Ａからのグルーピング要求フレームであると判定する。受信端末１Ｂ～１Ｆにおいて、グルーピング要求フレーム解析部７１は、グルーピング応答フレーム作成部７２に、送信端末１Ａに送信するグルーピング応答フレームの作成を指示する。

　グルーピング応答フレーム作成部７２は、グルーピング応答フレームの作成の指示を受けると、ユーザ優先度情報記憶部７３に記憶されているユーザ優先度の情報をグルーピング応答フレームのユーザ優先度情報１８６に設定して送信する。受信端末１Ｂ～１Ｆいおいて、グルーピング応答フレーム作成部７２は、グルーピング応答フレームの送信時には乱数を発生させ、乱数に基づいて決定した値だけ待機してから送信する。ただし、送信時に無線区間が空いていなければ、無線区間が空くまで待機してから送信する。または、再度、乱数を発生させ待機してもよい。

　ここでは、送信端末１Ａは、受信端末１Ｂ、１Ｅ、１Ｃ、１Ｆ，１Ｄの順番にグルーピング応答フレームを受信したものとする。送信端末１Ａにおいて、グルーピング応答フレーム解析部６３は、受信したグルーピング応答フレームを解析し、ユーザ優先度情報１８６の情報と、グルーピング応答フレームを送信した受信端末のアドレスを第４のアプリケーション部６１に渡す。第４のアプリケーション部６１は、グルーピング要求フレーム作成部６２にグルーピング要求フレームの作成を指示した時点から、予め設定した時間だけグルーピング応答フレームの受信待機を行う。ここでは、受信端末１Ｂ～１Ｆは、待機時間内にグルーピング応答フレームを受信したものとする。

　第４のアプリケーション部６１は、グルーピング応答フレームの受信待機時間が終了すると、受信したユーザ優先度情報から各受信端末のＡｃｋ返信順位を決定する。まず、第４のアプリケーション部６１は、ユーザ優先度情報１８６の職種情報１８６Ａの情報から、各受信端末を使用しているユーザの職種を参照する。第４のアプリケーション部６１は、予め保持している図３５の職種優先度テーブルを用いて、受信端末１Ｂ～１Ｆの優先順位を決定する。図３５の職種優先度テーブルには、職種情報と、Ａｃｋ返信順位の優先度とが関連付けて記憶されている。ここでは、職種情報が救急車の受信端末１Ｂ、１Ｃ、職種情報が消防車の受信端末１Ｅ、１Ｆ、職種情報がパトカーの受信端末１Ｄの順番にＡｃｋ返信順位を決定する。

　次に、第４のアプリケーション部６１は、ユーザ優先度情報１８６の階級情報１８６Ｂの情報を参照して、同じ職種情報の受信端末同士のＡｃｋ返信順位を決定する。ここでは、階級情報１８６Ｂは、階級が高い順にＡｃｋ返信順位を決定する。階級情報１８６Ｂの値が「１」の場合が、最も高い階級とする。よって、ここでは、第４のアプリケーション部６１は、Ａｃｋ返信順位を受信端末１Ｃ、１Ｂ、１Ｅ、１Ｆ、１Ｄの順番に決定する。
　第４のアプリケーション部６１は、グルーピング応答フレームを受信した受信端末のアドレスと、決定したＡｃｋ返信順位とから、図３６に示すグルーピングテーブルを作成してグルーピングテーブル記憶部１５に記憶する。送信端末１Ａは、グルーピングテーブル作成後は、他の実施の形態と同様の返信順位通知シーケンスを行ってからマルチキャストでデータ配信を開始する。

　以上説明したように、本発明のグルーピングテーブル作成シーケンスでは、送信端末は、エリア内の受信端末からユーザ優先度情報を取得することができ、通信が可能な受信端末でのＡｃｋ返信順位を決定することが可能になる。

　なお、本実施の形態では、送信端末６０は、職種と階級情報でＡｃｋ返信順位を決定したが、これに限定されるものではない。例えば、受信したマルチキャストのデータを他の端末に別の周波数、通信方式などで中継を行う端末は中継を行わない端末に対してＡｃｋ返信順位を高くしてもよい。また、他の端末以外に、図３７に示すように広域ネットワーク１Ｇに接続された基地局１Ｈに中継する中継端末１Ｉに対しても、Ａｃｋ返信順位を高くしてもよい。この場合、広域ネットワーク１Ｇ、及び基地局１Ｈと中継端末１Ｉ間の周波数・通信方式は、送信端末１Ａと受信端末１Ｂ～１Ｅと中継端末１Ｉで使用している周波数・通信方式と異なってもよい。

　また、本実施の形態では、送信端末６０は、グルーピング応答フレームを送信した全受信端末の情報でグルーピングテーブルを作成したが、これに限定されるものではない。例えば、送信端末６０は、予めグルーピング応答フレームの受信を許可する受信端末情報を保持しておく。送信端末６０は、グルーピング応答フレームを受信したときに保持している受信端末情報に、グルーピング応答フレームを送信した受信端末のアドレスがない場合は、グルーピング応答フレームを破棄してもよい。

　また、本実施の形態では、送信端末６０は、予め保持している職種優先度テーブルのポリシーに従ってＡｃｋ返信順位を決定したが、これに限定されるものではない。例えば、送信端末６０は、非図示のグルーピング応答フレームを送信した受信端末のユーザ優先度情報を表示できるディスプレイでユーザ優先度情報を表示し、非図示のＡｃｋ返信順位入力ＩＦを備え、ユーザが各受信端末のＡｃｋ返信順位を手動で選択してもよい。また、送信端末６０は、グルーピング応答フレームを送信した受信端末のリストを使用せずに、非図示のＡｃｋ返信順位入力ＩＦを備え、ユーザが各受信端末のアドレスをＡｃｋ返信順位を手動で入力してもよい。

　また、本実施の形態では、送信端末６０は、グルーピングテーブルをエリア内の受信端末からのユーザ優先度情報をもとに作成したが、これに限定されるものではない。例えば、図３７の広域ネットワーク網に接続されている非図示の管制端末が作成したグルーピングテーブルを基地局１Ｈから直接または中継端末１Ｉを経由して取得してもよい。また、本実施の形態では、送信端末６０の第４のアプリケーション部６１は、最初に職種情報１８６Ａ、次に階級情報１８６Ｂの順番で参照してＡｃｋ返信順位を決定したが、これに限定されるものではない。例えば、最初に階級情報１８６Ｂ、次に職種情報１８６Ａの順番に参照してＡｃｋ返信順位を決定してもよい。この場合、図３４では、Ａｃｋ返信順位は受信端末１Ｃ、１Ｅ、１Ｂ、１Ｆ、１Ｄとなる。また、他の判定方法を用いてもよい。例えば、階級情報の値が「１」の受信端末は職種に関係なくＡｃｋ返信順位を高く設定し、階級情報の値が「２」以上の受信端末に関しては階級の値より職種を優先してＡｃｋ返信順位を高く設定してもよい。

　また、本実施の形態では、送信端末６０は、グルーピング要求フレームをマルチキャストで送信したが、これに限定されるものではない。例えば、送信端末６０は、ブロードキャストでグルーピング要求フレームを送信してもよい。この場合、受信端末７０は、グルーピング要求フレームの送信元アドレスを参照して、自機が参加すべき送信端末６０からのグルーピング要求フレームであると判定する。

　また、本発明の各実施形態において開示された送信端末及び受信端末が備える各機能ブロックが実行するそれぞれの処理手順は、記憶装置（ＲＯＭ、ＲＡＭ、ハードディスク等）に格納された上述した処理手順を実行可能な所定のプログラムデータが、ＣＰＵによって解釈実行されることで実現されてもよい。この場合、プログラムデータは、記憶媒体を介して記憶装置内に導入されてもよいし、記憶媒体上から直接実行されてもよい。なお、記憶媒体は、ＲＯＭやＲＡＭやフラッシュメモリ等の半導体メモリ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスクメモリ、ＣＤ－ＲＯＭやＤＶＤやＢＤ等の光ディスクメモリ、及びメモリカード等をいう。また、記憶媒体は、電話回線や搬送路等の通信媒体を含む概念である。

　また、上述の各実施の形態の構成は、典型的には集積回路であるＬＳＩ（Ｌａｒｇｅ　Ｓｃａｌｅ　Ｉｎｔｅｇｒａｔｉｏｎ）で実現されているものとしてもよい。これらは、個別に１チップ化されていてもよいし、全ての構成又は一部の構成を含むように１チップ化されてもよい。集積回路は、集積度の違いにより、ＩＣ、システムＬＳＩ、スーパーＬＳＩ、ウルトラＬＳＩ等と呼称されることもある。また、集積回路の手法は、ＬＳＩに限定されるものではなく、専用回路又は汎用プロセッサを用いて実現してもよい。更に、ＦＰＧＡ（Ｆｉｅｌｄ　Ｐｒｏｇｒａｍｍａｂｌｅ　Ｇａｔｅ　Ａｒｒａｙ）や、ＬＳＩ内部の回路セルの接続や設定を再構成することができるリコンフィギュアラブル・プロセッサを利用してもよい。

　さらに、半導体技術の進歩により、又は派生する別技術により現在の半導体技術に置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。例えば、バイオ技術の応用等が考えられる。

　本発明にかかる通信方法は、特に映像・音声など間欠送信するデータをマルチキャストする際、Ａｃｋによる到達確認と再送処理をする通信ネットワークシステムに等に有用である。

　１Ａ～Ｆ　送信端末
　１Ｇ　広域ネットワーク網
　１Ｈ　基地局
　１Ｉ　中継端末
　１Ｊ　病院
　１Ｋ　警察署
　１０　送信端末
　１１　無線送受信部
　１２　フレーム分類部
　１３　Ａｃｋ解析部
　１４　アプリケーション部
　１５　グルーピングテーブル記憶部
　１６　Ａｃｋ返信順位通知フレーム作成部
　１７　Ａｃｋ返信順位応答フレーム解析部
　１８　マルチキャスト作成部
　１９　Ａｃｋ返信許可情報決定部
　２０　受信端末
　２１　無線送受信部
　２２　フレーム分類部
　２３　Ａｃｋ返信順位通知フレーム解析部
　２４　Ａｃｋ返信順位記憶部
　２５　Ａｃｋ返信順位応答フレーム作成部
　２６　Ａｃｋ返信判定部
　２７　Ａｃｋ作成部
　３０　送信端末
　３１　第２のアプリケーション部
　３２　第２のＡｃｋ返信許可情報決定部
　４０　送信端末
　４１　第３のアプリケーション部
　４２　Ａｃｋ返信加入フレーム解析部
　５０　受信端末
　５１　第２のＡｃｋ返信判定部
　５２　Ａｃｋ返信加入フレーム作成部
　６０　送信端末
　６１　第４のアプリケーション部
　６２　グルーピング要求フレーム作成部
　６３　グルーピング応答フレーム解析部
　７０　受信端末
　７１　グルーピング要求フレーム解析部
　７２　グルーピング応答フレーム作成部
　７３　ユーザ優先度情報記憶部
　１００　ヘッダ
　１０１　Ａｃｋ返信順位
　１０２　誤り検出
　１０３　ヘッダ
　１０４　誤り検出
　１１０　ヘッダ
　１１１　Ａｃｋ返信許可情報
　１１１Ａ　開始返信順位
　１１１Ｂ　終了返信順位
　１１２　データボディ
　１１３　誤り検出
　１１４　ヘッダ
　１１５　誤り検出
　１２０　Ａｃｋ返信許可情報
　１２０Ａ　第１開始返信順位
　１２０Ｂ　第１終了返信順位
　１２０Ｃ　第２開始返信順位
　１２０Ｄ　第２終了返信順位
　１３０　Ａｃｋ返信許可情報
　１３０Ａ　返信順位
　１３０Ｂ　開始返信順位
　１３０Ｃ　終了返信順位
　１４０　Ａｃｋ返信許可情報
　１４０Ａ　開始返信順位
　１４０Ｂ　返信数
　１５０　Ａｃｋ返信許可情報
　１５０Ａ　返信数
　１６０　Ａｃｋ返信許可情報
　１６０Ａ　第１Ａｃｋ返信要否フラグ
　１６０Ｂ　第ＮＡｃｋ返信要否フラグ
　１７０　ヘッダ
　１７１　誤り検出
　１７５　ヘッダ
　１７６　開始返信順位
　１７７　誤り検出
　１８０　ヘッダ
　１８１　誤り検出
　１８５　ヘッダ
　１８６　ユーザ優先度情報
　１８６Ａ　職種情報
　１８６Ｂ　階級情報
　１８７　誤り検出
　２００　送信端末
　２０１　受信端末
　２０２　受信端末
　２０３　受信端末
　３０１　マルチキャスト
　３０２　到達確認
　３０３　到達確認
　３０４　マルチキャスト
　３０５　到達確認
　３０６　到達確認
　３０７　マルチキャスト
　３０８　到達確認
　３０９　到達確認
　４００　送信端末
　４０１～４０５　受信端末
　５００　マルチキャスト
　５０１　ＮＡＫ
　５０２　Ａｃｋ
　５０３　ＮＡＫ
　５０４　ＮＡＫ
　５０５　Ａｃｋ
　５１１　ＮＡＫ
　５１３　Ａｃｋ
　５１４　ＮＡＫ
　５２１　ＮＡＫ
　５２４　Ａｃｋ

Claims

　送信端末が送信データを受信端末に送信する際の通信方法であって、
　前記送信端末は、Ａｃｋを返信する前記受信端末の優先順位を示すＡｃｋ返信順位と、前記受信端末のアドレスとが設定されたグルーピングテーブルを記憶するグルーピングテーブル記憶部を備え、
　前記受信端末は、Ａｃｋを返信する自端末の優先順位を示すＡｃｋ返信順位を記憶するＡｃｋ返信順位記憶部を備え、
　前記送信端末が、アプリケーションを実行し、前記送信データを作成するステップと、
　前記送信端末が、前記グルーピングテーブルを参照し、Ａｃｋ返信を許可する受信端末を決定し、当該決定したＡｃｋ返信を許可する受信端末の情報を設定したＡｃｋ返信許可情報を作成するステップと、
　前記送信端末が、前記Ａｃｋ返信許可情報と前記送信データとを含むマルチキャストを前記受信端末に送信するステップと、
　前記受信端末が、前記送信端末から前記マルチキャストを受信するステップと、
　前記受信端末が、前記マルチキャストに含まれるＡｃｋ返信許可情報と、前記Ａｃｋ返信順位記憶部に記憶された前記Ａｃｋ返信順位とに基づいて、前記マルチキャストに対してＡｃｋの返信が許可されているか否かを判定するステップと、
　前記受信端末が、前記Ａｃｋの返信が許可されていると判定した場合、前記送信端末にＡｃｋを返信するステップとを備える、通信方法。
　前記受信端末が、前記Ａｃｋの返信が許可されていると判定すると、前記マルチキャストに含まれる前記Ａｃｋ返信許可情報と、前記Ａｃｋ返信順位記憶部に記憶された前記Ａｃｋ返信順位とに基づいて、前記Ａｃｋを返信するまでの待機時間を算出するステップをさらに備え、
　前記Ａｃｋを返信するステップは、前記算出された待機時間の経過後に、前記Ａｃｋを返信する、請求項１に記載の通信方法。
　前記送信端末が、前記受信端末から前記Ａｃｋを受信し、当該受信したＡｃｋに、前記Ａｃｋ返信を許可した受信端末からのＡｃｋが含まれていない場合は、前記Ａｃｋを受信した受信端末を除外したＡｃｋ返信許可情報を作成し、当該作成したＡｃｋ返信許可情報と前記送信データとを含むマルチキャストを再送信するステップをさらに備える、請求項１記載の通信方法。
　前記Ａｃｋ返信許可情報には、前記受信端末のＡｃｋ返信順位の範囲を示す開始返信順と、終了返信順位とが記載されており、
　前記判定するステップにおいて、前記受信端末は、前記Ａｃｋ返信順位記憶部に記憶された前記Ａｃｋ返信順位が、前記開始返信順位から前記終了返信順位までの範囲に含まれる場合に、前記マルチキャストに対してＡｃｋの返信が許可されていると判定し、
　前記Ａｃｋを返信するステップにおいて、前記受信端末は、前記Ａｃｋ返信順位の順に、前記送信端末に前記Ａｃｋを送信する、請求項１に記載の送信方法。
　前記Ａｃｋ応答許可情報には、特定の受信端末の返信順位と、前記受信端末のＡｃｋ返信順位の範囲を示す開始返信順位と、終了返信順位とが記載されており、
　前記判定するステップにおいて、前記受信端末は、前記Ａｃｋ返信順位記憶部に記憶された前記Ａｃｋ返信順位が、前記特定の受信端末の返信順位に該当するか、前記開始返信順位から前記終了返信順位までの範囲に含まれる場合に、前記マルチキャストに対してＡｃｋの返信が許可されていると判定し、
　前記Ａｃｋを返信するステップにおいて、前記受信端末は、前記Ａｃｋ返信順位の順に、前記送信端末に前記Ａｃｋを送信する、請求項１に記載の送信方法。
　前記Ａｃｋ応答許可情報には、前記受信端末のＡｃｋ返信順位の開始を示す開始返信順位と、前記Ａｃｋ返信を許可する受信端末の数を示す返信数とが記載されており、
　前記判定するステップにおいて、前記受信端末は、前記Ａｃｋ返信順位記憶部に記憶された前記Ａｃｋ返信順位が、前記開始返信順位から、前記開始返信順位に前記返信数を加算した値から１を減算した返信順位までの範囲に含まれる場合に、前記マルチキャストに対してＡｃｋの返信が許可されていると判定し、
　前記Ａｃｋを返信するステップにおいて、前記受信端末は、前記Ａｃｋ返信順位の順に、前記送信端末に前記Ａｃｋを送信する、請求項１に記載の送信方法。
　前記Ａｃｋ応答許可情報には、前記Ａｃｋ返信を許可する受信端末の数を示す返信数が記載されており、
　前記判定するステップにおいて、前記受信端末は、前記Ａｃｋ返信順位記憶部に記憶された前記Ａｃｋ返信順位が、前記返信数の範囲に含まれる場合に、前記マルチキャストに対してＡｃｋの返信が許可されていると判定し、
　前記Ａｃｋを返信するステップにおいて、前記受信端末は、前記Ａｃｋ返信順位の順に、前記送信端末に前記Ａｃｋを送信する、請求項１に記載の送信方法。
　前記Ａｃｋ応答許可情報には、前記受信端末のＡｃｋ返信順位毎に、前記Ａｃｋ返信を許可するか否かを示すフラグが記載されており、
　前記判定するステップにおいて、前記受信端末は、前記Ａｃｋ返信順位記憶部に記憶された前記Ａｃｋ返信順位に対応する前記フラグが立っている場合に、前記マルチキャストに対してＡｃｋの返信が許可されていると判定し、
　前記Ａｃｋを返信するステップにおいて、前記受信端末は、前記Ａｃｋ返信順位の順に、前記送信端末に前記Ａｃｋを送信する、請求項１に記載の送信方法。
　前記Ａｃｋ返信許可情報を作成するステップにおいて、前記送信端末は、前記送信データが発生する間隔に基づいて、前記Ａｃｋ返信を許可する受信端末の数を決定し、当該決定した受信端末の数と、前記グルーピングテーブルに設定された前記Ａｃｋ返信順位とに基づいて、前記Ａｃｋ返信許可情報を作成する、請求項１に記載の通信方法。
　前記Ａｃｋ返信許可情報を作成するステップにおいて、前記送信端末は、前記送信データのコンテンツレートに基づいて、前記Ａｃｋ返信を許可する受信端末の数を決定し、当該決定した受信端末の数と、前記グルーピングテーブルに設定された前記Ａｃｋ返信順位とに基づいて、前記Ａｃｋ返信許可情報を作成する、請求項１に記載の通信方法。
　前記送信端末が、前記マルチキャストを前記受信端末に送信する前に、前記グルーピングテーブルを参照し、前記受信端末のＡｃｋ返信順位を設定したＡｃｋ返信順位通知フレームを前記受信端末に送信するステップと、
　前記受信端末が、前記Ａｃｋ返信順位通知フレームを受信すると、前記Ａｃｋ返信順位通知フレームに記載されたＡｃｋ返信順位を前記Ａｃｋ返信順位記憶部に記憶するステップとをさらに備える、請求項１に記載の通信方法。
　前記受信端末が、前記Ａｃｋ返信順位を前記Ａｃｋ返信順位記憶部に記憶すると、前記Ａｃｋ返信順位通知フレームの応答として、Ａｃｋ返信順位応答フレームを前記送信端末に送信するステップと、
　前記送信端末が、前記Ａｃｋ返信順位応答フレームを受信しなかった前記受信端末に対して、前記Ａｃｋ返信許可情報により、前記Ａｃｋの送信を許可しないように制御するステップとをさらに備える、請求項１１に記載の通信方法。
　前記受信端末は、前記送信端末の通信エリアに新しく入った場合、前記送信端末に加入フレームを送信するステップと、
　前記送信端末は、前記加入フレームを受信すると、前記加入フレームを送信した前記受信端末に対して、前記Ａｃｋ返信許可情報により、前記Ａｃｋの送信を許可するよう制御するステップとをさらに備える、請求項１２に記載の通信方法。
　前記送信端末は、自端末の通信エリア内にいる受信装置の情報を要求するグルーピング要求フレームを送信するステップと、
　前記受信端末が、前記グルーピング要求フレームを受信すると、前記Ａｃｋ返信順位の決定に用いる優先度情報を含んだグルーピング応答フレームを、前記送信端末に送信するステップと、
　前記送信端末が、前記グルーピング応答フレームに含まれる前記優先度情報に基づいて、前記受信端末のＡｃｋ返信順位が設定されたグルーピングテーブルを作成するステップとをさらに備える、請求項１に記載の通信方法。
　送信端末が、送信データを受信端末に送信する送信方法であって、
　前記送信端末は、Ａｃｋを返信する前記受信端末の優先順位を示すＡｃｋ返信順位と、前記受信端末のアドレスとが設定されたグルーピングテーブルを記憶するグルーピングテーブル記憶部を備え、
　アプリケーションを実行し、送信データを作成するステップと、
　前記グルーピングテーブルを参照し、Ａｃｋ返信を許可する受信端末を決定し、前記決定したＡｃｋ返信を許可する受信端末の情報を設定したＡｃｋ返信許可情報を作成するステップと、
　前記Ａｃｋ返信許可情報と前記送信データとを含むマルチキャストを前記受信端末に送信するステップとを備える、送信方法。
　受信端末が、送信端末から送信データを受信する受信方法であって、
　前記受信端末は、Ａｃｋを返信する自端末の優先順位を示すＡｃｋ返信順位を記憶するＡｃｋ返信順位記憶部を備え、
　前記送信端末から、前記送信データと、Ａｃｋ返信を許可する受信端末の情報を設定したＡｃｋ返信許可情報とが含まれるマルチキャストを受信するステップと、
　前記マルチキャストに含まれるＡｃｋ返信許可情報と、前記Ａｃｋ返信順位記憶部に記憶された前記Ａｃｋ返信順位とに基づいて、前記マルチキャストに対してＡｃｋの返信が許可されているか否かを判定するステップと、
　前記Ａｃｋの返信が許可されていると判定した場合、前記送信端末にＡｃｋを返信するステップとを備える、受信方法。
　受信端末に対して送信データを送信する送信端末であって、
　Ａｃｋを返信する前記受信端末の優先順位を示すＡｃｋ返信順位と、前記受信端末のアドレスとが設定されたグルーピングテーブルを記憶するグルーピングテーブル記憶部と、
　前記送信端末から受信するフレームを復調し、前記送信端末に送信するフレームを変調する無線送受信部と、
　前記無線送受信部が受信したフレームから、ＡｃｋとＡｃｋ返信順位応答フレームとを分類するフレーム分類部と、
　前記Ａｃｋを解析するＡｃｋ解析部と、
　前記Ａｃｋ返信順位応答フレームを解析するＡｃｋ返信順位応答フレーム解析部と、
　アプリケーションを実行し、送信データを作成するアプリケーション部と、
　前記グルーピングテーブルに基づいて、前記受信端末に前記Ａｃｋ返信順位を通知するＡｃｋ返信順位通知フレーム作成部と、
　前記グルーピングテーブルを参照し、Ａｃｋ返信を許可する受信端末を決定し、当該決定したＡｃｋ返信を許可する受信端末の情報を設定したＡｃｋ返信許可情報を作成するＡｃｋ返信許可情報決定部と、
　前記Ａｃｋ返信許可情報と前記送信データとを含むマルチキャストを作成するマルチキャスト作成部とを備える、送信端末。
　送信端末から送信データを受信する受信端末であって、
　前記送信端末から受信されるフレームを復調し、前記送信端末に送信するフレームを変調する無線送受信部と、
　前記受信したフレームから、Ａｃｋ返信順位通知フレームを分類するフレーム分類部と、
　前記Ａｃｋ返信順位通知フレームを解析するＡｃｋ返信順位通知フレーム解析部と、
　前記Ａｃｋ返信順位通知フレームに含まれる、Ａｃｋを返信する自端末の優先順位を示すＡｃｋ返信順位を記憶するＡｃｋ返信順位記憶部と、
　前記Ａｃｋ返信順位通知フレームを受信すると、Ａｃｋ返信順位応答フレームを作成するＡｃｋ返信順位応答フレーム作成部と、
　前記マルチキャストに含まれるＡｃｋ返信許可情報と、前記Ａｃｋ返信順位記憶部に記憶されたＡｃｋ返信順位とに基づいて、Ａｃｋ返信の要否を判定するＡｃｋ返信判定部と、
　前記Ａｃｋ返信判定部がＡｃｋを返信すると判定した場合、前記送信端末に返信するＡｃｋを作成するＡｃｋ作成部とを備える、受信端末。