WO2010150420A1 - 商品展示ケースの盗難防止装置 - Google Patents

Abstract

【課題】盗難防止のためのダブルロックによる施錠ロック機構を備えた商品展示ケースとその施錠解除する解除装置を備えた盗難防止装置を提供する。 【解決手段】施錠機構(2)を備えた商品展示ケース(1)と、解錠装置(3)とから構成されている。商品展示ケース(1)は、内側に防犯タグ(17)の取付部(18)を設けており、第１ケース構成体(4)と第２ケース構成体(7)をＸ方向に向けて嵌脱自在に嵌合する。施錠機構(2)は、前記Ｘ方向に交差するＹ方向に関して係止する第１施錠手段(10)と第２施錠手段(11)を構成している。第１施錠手段(10)は、Ｙ１方向に係止することにより施錠ロックを行い、解錠装置(3)の突片(41)によりＹ２方向の押圧力を受けたとき施錠ロックを解除する。第２施錠手段(11)は、Ｙ２方向に係止することにより施錠ロックを行い、解錠装置(3)の磁石(42)によりＹ１方向の吸着力を受けたとき施錠ロックを解除する。

Description

商品展示ケースの盗難防止装置

本発明は、店舗内で商品を陳列し展示するケースに関して、万引き等による商品の盗難を防止するために開閉を施錠ロックできる施錠装置を設けた商品展示ケースと、その施錠ロックを解除する解錠装置を構成した盗難防止装置に関する。

従来、種々の小売店等においては、展示商品の盗難を防止するため、各商品に防犯タグを貼着している。そこで、防犯タグを貼着したまま商品を店外に持ち出そうとすると、出入口ゲートに設置された検知装置が警報を発し、盗難を防止する。

しかしながら、通常、防犯タグは、粘着剤により商品に貼着されており剥離可能であるから、店外に持ち出す前に商品から剥離して廃棄されてしまうと、盗難防止の効果がない。

このため、例えば、ドラッグストアーで販売される化粧品等のような紙箱等の外装ケースに入れられた商品は、商品を抜き取った空の外装ケースだけを展示しており、これを購入する顧客は、空の外装ケースをレジカウンターに持参し、そこで店員により商品を外装ケースに挿入することが行われている。

しかしながら、顧客としては、空の外装ケースを吟味するだけで商品を購入することには抵抗があり、実際の商品を目視して吟味することを望むのが通例である。

ところで、盗難の問題は、レンタルビデオショップ等においても同様であり、このため、本出願人は、数々のディスク展示ケースを提案した。このようなディスク展示ケースは、施錠装置により開蓋不能にロックされ、顧客がレジカウンターに持参したとき、店員が解錠装置により施錠装置を解除し、開蓋可能状態で顧客に引き渡すものとされている。

しかしながら、ディスク展示ケースの場合、施錠装置は、鍵部材を展示ケースに挿入することにより施錠し、解錠装置により鍵部材を展示ケースから抜き取ることにより解錠する構成のものであるため、抜き取った鍵部材がレジカウンターに山積みとなり、その後の整理と管理を要するという問題がある。

特開２００７－３３１８４３号公報

本発明が提供する商品展示ケースは、内部に防犯タグを付設している。従って、顧客を装う不正者が商品展示ケースを店外に持ち出そうとすると、出入口ゲートに設置された検知装置が警報を発し、盗難を防止する。

商品展示ケースは、開閉構造とされ、開蓋することにより商品の出し入れが可能であるが、閉蓋状態では解錠装置を使用しなければ開蓋不能となるように施錠機構により開閉ロックされている。従って、顧客は、商品展示ケースを手にとって商品を透視することにより吟味し、購入を希望する場合はレジカウンターに持参すれば、店員が解錠装置で施錠機構を解錠することにより商品展示ケースを開蓋し、商品を顧客に引き渡す。商品を取り出した後の空の商品展示ケースは、その後、当該店舗において再利用される。

本発明の第１の目的は、上述したレンタルビデオショップ等で利用されているディスク展示ケースのような鍵部材を必要としない施錠装置を設けた商品展示ケースを提供する点にある。本発明によれば、ドラッグストアー等の量販店の混雑するレジカウンターにおいて、迅速な解錠と、迅速な商品の引き渡しが可能となる

この点に関して、上述したディスク展示ケースの場合は、解錠装置により施錠ロックの解除を行う動作と、鍵部材を抜き取る動作と、展示ケースを開く動作と、展示ケースから商品を取り出す動作という少なくとも４動作による作業が必要となり、レジカウンターの混雑を解消できない。また、抜き取った鍵部材がレジカウンターに山積みとなる。これに対して、本発明によれば、解錠装置による施錠ロックの解錠とほぼ同時に商品展示ケースの開蓋が可能であり、しかも、開蓋とほぼ同時に商品を手にとることが可能となる。そして、レジカウンターに山積みとされる鍵部材のような部品は存在しない。

本発明の第２の目的は、不正解錠を不可能とした施錠装置を設けた商品展示ケースを提供する点にある。量販店等においては、商品展示ケースから商品を抜きとろうとして施錠機構のロック解除を試みる悪質な不正者が後を絶たない。このような不正者は、経験豊富なため、簡単な構造の施錠機構は容易に解錠されてしまうので、施錠ロックを複雑に掛ける必要がある。

本発明の施錠機構は、突片解錠式の施錠手段と磁石解錠式の施錠手段によるダブルロック機構を構成している。突片解錠式の施錠手段は、解錠装置の突片によってのみ解錠可能であり、磁石解錠式の施錠手段は、解錠装置の磁石によってのみ解錠可能である。この際、突片解錠式の施錠手段と磁石解錠式の施錠手段が同時に解錠されなければ商品展示ケースを開蓋できないので、セキュリティ効果が極めて高くなる。そして、このようなダブルロック機構でありながら、解錠装置は、ワンタッチによる解錠を可能とするように構成されている。

本発明の施錠装置は、不正者が僅かな隙間からドライバーのような治具を挿入することにより施錠機構を解錠しようとすると、施錠機構が永久ロック状態となり、最早、商品展示ケースを破壊しなければ商品を取出すことができないように構成している。そして、開蓋不能とされた商品展示ケースを不正者が店外に持ち出そうとすると、防犯タグにより盗難を検知する。

本発明の施錠装置は、磁石解錠式の施錠手段にセルフロック手段を設けている。このため、商品展示ケースに衝撃を加えたり、外部から磁石を臨ませたりしても、磁石解錠式の施錠手段が解錠されることはない。このセルフロック手段を設けた施錠装置は、本発明の解錠装置を使用したときにのみ、セルフロック手段のアンロックと、突片解錠式の施錠手段の解錠と、磁石解錠式の施錠手段の解錠が可能となる。

本発明の第３の目的は、不正使用防止装置を設けた解錠装置を提供する点にある。深夜等に窃盗グループ等が店舗に侵入したとき、金品のみならず商品展示ケースの施錠機構を解錠するための解錠装置が盗まれる懸念がある。もしも、解錠装置が不正者の手に渡ると、該解錠装置を持参した不正者が顧客を装って来店し、商品展示ケースの施錠機構を自由に解錠できるので、商品が簡単に盗まれる可能性がある。

本発明によれば、解錠装置は、開閉自在なカバー部材により被われており、閉じたカバーを固定ロックする錠前手段が設けられている。従って、権限を有する店員等が錠前手段のキーを管理することにより、解錠装置の無断使用が防止される。万一、解錠装置が盗まれ、窃盗者が解錠装置からカバーを取り外そうとすると、解錠装置の解錠機能が破壊され、最早、商品展示ケースの施錠機構を解錠するための解錠装置として使用することができない。

本発明は、施錠機構を備えた商品展示ケースと、前記施錠機構を解錠するための解錠装置を提供する。

前記商品展示ケースは、第１ケース構成体と第２ケース構成体をＸ方向に向けて嵌脱自在に嵌合することにより商品収納室を形成すると共に、該商品展示ケースの内部に防犯タグの取付部を設けている。前記施錠機構は、前記Ｘ方向に交差するＹ方向に臨む隙間を有する施錠部に位置して、第１ケース構成体と第２ケース構成体を嵌合したとき前記Ｙ方向に沿って商品展示ケースの外部に向かうＹ１方向と内部に向かうＹ２方向に関して係止する突片解錠式の第１施錠手段と磁石解錠式の第２施錠手段を設けている。前記第１施錠手段は、第１ケース構成体と第２ケース構成体の相互に、前記Ｙ方向に揺動自在かつＹ１方向に付勢された係止手段と、Ｙ１方向に対向して該係止手段を係止させる被係止手段を構成し、前記係止手段は、前記施錠部の外部からＹ２方向の押圧力を受取可能な作動部を備えている。前記第２施錠手段は、第１ケース構成体と第２ケース構成体の相互に、前記Ｙ方向に揺動自在かつＹ２方向に付勢された係止手段と、Ｙ２方向に対向して該係止手段を係止させる被係止手段を構成し、前記係止手段は、前記施錠部の外部から磁石を作用させたとき、該磁石に磁着可能な磁性片を設けている。前記解錠装置は、施錠部をＹ方向に進退可能として商品展示ケースをスライド自在に載置させるテーブル部と、前記施錠部に対向する解錠部とを備え、該解錠部は、前記第１施錠手段の作動部に臨む突片と、前記第２施錠手段の磁性片に臨む磁石を設けている（請求項１）。

本発明の商品展示ケースは、商品を載置する底部材により第１ケース構成体を構成し、前記商品を透視可能に囲繞すると共に下向き開口部を有する収納室を形成したケース本体により前記第２ケース構成体を構成し、Ｘ方向に向けてケース本体の開口部を底部材に嵌合させるように構成されている。前記施錠部は、ケース本体に設けられた内側壁板及び外側壁板と、両壁板の間に形成された嵌入空間と、前記嵌入空間に対してＸ方向から嵌脱自在に嵌入されるように底部材に設けられた起立壁とから構成されており、前記外側壁板と底部材の相互に、前記第１施錠手段の係止手段と被係止手段が設けられ、前記内側壁板と起立壁の相互に、前記第２施錠手段の係止手段と被係止手段が設けられている（請求項２）。

前記第１施錠手段の係止手段は、前記起立壁板に揺動自在かつＹ２方向に付勢されると共にＹ２方向に突出する爪部を備えた揺動片により構成されている。また、前記第１施錠手段の被係止手段は、前記内側壁板に形成されると共に前記爪部を嵌合係止させる係止窓孔により構成されている（請求項３）。

前記第２施錠手段の係止手段は、前記外側壁板の内側に進退自在かつＹ１方向に付勢され、該外側壁板との間に挿入空間を介して設けられた進退部材の係止片により構成されている。また、第２施錠手段の被係止手段は、前記底部材の端部から起立されると共に前記挿入空間に挿入されることにより前記係止片に係止するフック片により構成されている。前記進退部材には作動部が設けられ、前記外側壁板に前記作動部に臨む開口部が形成されており、該開口部に解錠装置の突片を挿入可能とするように構成している（請求項４）。

前記外側壁板は、ケース本体に着脱可能に取付けられており、該外側壁板の内側に防犯タグの取付部を設けている（請求項５）。

前記第１ケース構成体と第２ケース構成体を嵌合した状態で、施錠部に隙間が形成されている。この隙間から不正治具を挿入することにより、前記第２施錠手段の係止手段をＹ２方向に押し込んだとき、該係止手段を被係止手段に係止した状態でＹ１方向に揺動不能となるようにロックする永久ロック手段が設けられている（請求項６）。

本発明の永久ロック手段の第１実施形態は、不正治具により前記揺動片をＹ２方向に押し込んだとき、該揺動片をＹ１方向に揺動不能となるように、該揺動片と係止窓孔を相互に係止する突起により構成されている（請求項７）。

本発明の永久ロック手段の第２実施形態は、不正治具により前記揺動片をＹ２方向に押し込んだとき、該揺動片をＹ１方向に揺動不能となるように破損させる脆弱ヒンジ部により構成されている（請求項８）。

好ましくは、前記揺動片の下側に臨む遮壁を設け、該揺動片のＹ１方向に向かう外側壁面の下端部を前記遮壁の外側面に臨ませると共に、該下端部から上部に向けてＹ１方向に傾斜するガイド面を形成している（請求項９）。

本発明の磁石解錠式の第２施錠手段は、セルフロック手段を設けている。該セルフロック手段は、第２施錠手段の前記係止手段が被係止手段に係止した状態で、該係止手段のＹ１方向への揺動を阻止するロック位置とＹ１方向への揺動を許すアンロック位置の間で移動可能かつ前記ロック位置に向けて付勢されたロック体を備えている。これに対して、前記解錠装置は、前記セルフロック手段のロック体をアンロック位置に移動させるロック解除手段を解錠部に設けている（請求項１０）。

本発明のセルフロック手段の第１実施形態は、前記第２施錠手段の係止手段の両側縁に臨む一対のロック体を備えている。該ロック体は、Ｘ方向及びＹ方向に交差するＺ方向で前記ロック位置とアンロック位置の間を移動可能なロック部と、該ロック部をロック位置に向けて付勢する弾性支持部を備えている。前記第１施錠手段の作動部には、Ｙ２方向に延出されたアンロック作動部が設けられている。前記解錠部の突片により前記作動部をＹ２方向に押動したとき、前記アンロック作動部が一対の弾性支持部を押し広げることにより、ロック部がアンロック位置に移動させられる（請求項１１）。

本発明のセルフロック手段の第２実施形態は、前記第２施錠手段の係止手段に対向するロック体を備えている。該ロック体は、Ｙ方向で前記ロック位置とアンロック位置の間を移動可能なロック部と、該ロック部をロック位置に向けて付勢する弾性支持部と、Ｙ２方向に押動されたとき前記ロック部をアンロック位置に移動させるアンロック作動部を備えている。前記解錠部の突片により前記アンロック作動部を弾性支持部に抗してＹ２方向に押動可能とするように構成され、この押動により、ロック部がアンロック位置に移動させられる（請求項１２）。

本発明のセルフロック手段の第３実施形態は、前記第２施錠手段の係止手段の側縁に臨むロック体を備えている。該ロック体は、Ｘ方向及びＹ方向に交差するＺ方向で前記ロック位置とアンロック位置の間を移動可能なロック部と、該ロック部をロック位置に向かうＺ１方向に付勢する弾性付勢手段と、ロック位置から離反するＺ２方向に対向して磁石を臨ませたとき前記弾性付勢手段に抗してロック部をアンロック位置に移動させる磁性片を備えたアンロック作動部を設けている。これに対して、前記解錠装置は、前記セルフロック手段の磁性片に臨む磁石を備えた延長解錠部を設けている（請求項１３）。

本発明の解錠装置は、不正使用防止装置を設けている。該不正使用防止装置は、前記解錠装置の底面に固着手段を介して固着される固定部材と、該固定部材に枢軸を介して開閉自在に連結されたカバー部材と、前記固定部材とカバー部材を相互に係脱自在に係止する錠前手段から構成されている。前記カバー部材は、前記解錠装置の少なくとも前記突片を含む正面壁を被覆する閉姿勢Ｐ１と開放する開姿勢Ｐ３との間で姿勢変更可能であり、前記閉姿勢Ｐ１に位置させた状態で前記錠前手段により姿勢変更不能に固定ロックされる。更に、前記カバー部材は、前記閉姿勢Ｐ１に位置させた状態で、前記突片の下方に進入する破壊手段を設けており、前記錠前手段により固定ロックした状態で、前記解錠装置をカバー部材から下向きに引き離すと、前記破壊手段が前記突片を破壊するように構成されている（請求項１４）。

前記カバー部材は、開姿勢Ｐ３に位置させられたとき、前記解錠部の頂面に載置されることにより、該カバー部材を開姿勢Ｐ３に保持する保持座を備えるのが好ましい（請求項１５）。

本発明によれば、商品Ｍを商品展示ケース１に収納した状態で店頭に展示することにより、顧客は、商品展示ケース１を手に取り、該ケース１を透視して商品Ｍを目視することができるので、商品Ｍの陳列展示効果が高い。

この際、商品展示ケース１は、専用の解錠装置３を使用しなければ開蓋できないように施錠機構２により開蓋不能にロックされ、内部に防犯タグ１７を付設しているので、顧客が商品展示ケースを店外に持ち出そうとすると、出入口ゲートに設置された検知装置が警報を発し、盗難を防止する。

特に、本発明の施錠機構２は、突片解錠式の第１施錠手段１０と磁石解錠式の第２施錠手段１１により、ダブルロックによる施錠ロックが行われるので、セキュリティ効果が極めて高い。第１施錠手段１０は、作動部１２にＹ２方向の押圧力を作用させなければ解錠できず、第２施錠手段１１は、磁石によりＹ１方向の引き寄せ力を作用させなければ解錠できない。しかも、第１施錠手段１０と第２施錠手段１１が同時に解錠されなければ商品展示ケース１を開蓋することはできない。従って、盗難経験が豊富な不正者によっても不正に開蓋することは至難となる。

ところで、このようなセキュリティ効果の高いダブルロックを行う施錠機構２でありながら、本発明によれば、第１施錠手段１０と第２施錠手段１１は、第１ケース構成体４と第２ケース構成体７をＸ方向に嵌合するだけで、ワンタッチにより簡単容易に同時に施錠ロックされる。そして、解錠時には、解錠装置３のテーブル部３９に商品展示ケース１を載置した状態で、Ｙ１方向にスライド移動するだけで、ワンタッチで簡単容易にダブルロックを同時に解除することができる。従って、操作性が極めて良い。このため、商品Ｍを購入する顧客が商品展示ケース１をレジカウンターに持参したときは、店員が専用の解錠装置３を使用することにより、極めて迅速に商品展示ケース１の開蓋を行うことができ、しかも、従来のような商品展示ケースから抜きとられる鍵部材のような部品を必要としないので、開蓋後の商品展示ケースの保管にも手間がかからない。そして、店員は、商品展示ケース１の開蓋とほぼ同時に商品Ｍの取り出しを行うことができる。即ち、店員が解錠装置３により施錠機構２を解錠し、底部材４ａからケース本体７ａを離反させる開蓋動作を行えば、底部材４ａの上方で商品Ｍが開放されるので、直ちに商品Ｍを手にとり顧客に引き渡し迅速に販売できる。これにより、レジカウンターの混雑解消に貢献する。

防犯タグ１７を取付けた外側壁板１４は着脱自在であるから、防犯タグ１７の張替えを簡単容易に行うことができる。

特に本発明によれば、磁石解錠式の施錠手段１１は、第１ケース構成体４と第２ケース構成体７を嵌合した状態で、隙間Ｓから不正治具Ｊを挿入することにより係止手段１１ａをＹ２方向に押し込んだとき、該係止手段１１ａを被係止手段１１ｂに係止した状態でＹ１方向に揺動不能となるようにロックする永久ロック手段６０を設けている。従って、不正者が隙間Ｓから不正治具Ｊを挿入することにより不正な解錠を試みると、永久ロック手段６０が機能し、第１ケース構成体４と第２ケース構成体７を相互に永久的に離反不可能となるように地獄状態でロックする。そして、不正者が商品展示ケース１を店外に持ち出そうとすると、防犯タグ１７により盗難が検知される。従って、盗難防止のセキュリティ効果は、極めて高いものとなる。

本発明において、磁石解錠式の施錠手段１１の係止手段１１ａは、Ｙ方向に揺動自在な揺動片３４により構成されると共に、該揺動片３４からＹ２方向に突出する爪部３５を設けており、被係止手段１１ｂは、前記爪部３５を受入れ係止する係止窓孔３６により構成されている。

本発明の永久ロック手段の第１実施形態によれば、不正治具Ｊにより前記揺動片３４をＹ２方向に押し込んだとき、該揺動片３４をＹ１方向に揺動不能となるように、該揺動片３４と係止窓孔３６の相互を係止せしめる突起５９が設けられており、該突起５９により永久ロック手段６０ａが構成されている。このため、不正者が隙間Ｓから不正治具Ｊを挿入することにより揺動片３４がＹ２方向に押し込まれると、突起５９が引っ掛かることにより永久ロック手段６０ａが働き、磁石解錠式の施錠手段１１による施錠ロックを解除することは永久的に不可能となる。

本発明の永久ロック手段の第２実施形態によれば、不正治具Ｊにより前記揺動片３４をＹ２方向に押し込んだとき、該揺動片３４をＹ１方向に揺動不能となるように破損させる脆弱ヒンジ部５７が設けられており、該脆弱ヒンジ部５７により永久ロック手段６０ｂが構成されている。このため、不正者が隙間Ｓから不正治具Ｊを挿入することにより揺動片３４がＹ２方向に押し込まれると、脆弱ヒンジ部５７が破損されることにより永久ロック手段６０ｂが働き、磁石解錠式の施錠手段１１による施錠ロックを解除することは永久的に不可能となる。

本発明によれば、揺動片３４の下側に臨んで遮壁５４が設けられ、揺動片３４のＹ１方向に向かう外側壁面の下端部を前記遮壁５４の外側面に臨ませ、該下端部から上部に向けてＹ１方向に傾斜するガイド面５８を形成し、該ガイド面５８により誘発手段６２を構成している。従って、不正者が隙間Ｓから不正治具Ｊを差し込み、不正治具Ｊの先端を遮壁５４に当接させながら内部を探ると、不正治具Ｊの先端がガイド面５８により揺動片３４の下端近傍部に案内され、治具Ｊの先端を動かすと揺動片３４がＹ２方向に揺動し、これにより永久ロック手段６０を作動させる。

本発明によれば、磁石解錠式の第２施錠手段１１には、セルフロック手段６３が設けられている。セルフロック手段６３は、ロック体６４をロック位置とアンロック位置の間で移動させることにより、ロック位置では係止手段１１ａの係止解除方向への揺動を妨げ、アンロック位置では係止手段１１ａの係止解除方向への揺動を許し、常時はロック位置を保持するように付勢している。このため、商品展示ケース１を床面に落下させる等、強い衝撃を与えたときでも、反動で係止手段１１ａが後退することにより第２施錠手段１１の施錠を解錠するおそれはなく、常に、係止手段１１ａを被係止手段１１ｂに係止させた施錠状態を保証できる。

従って、不正者が外部から磁石を臨ませたときでも、ロック体６４がアンロック位置に移動させられない限り、係止手段１１ａが被係止手段１１ｂから後退して係止を解除することはないので、不正解錠が極めて困難であり、盗難防止効果が高い。

その一方で、解錠装置３は、セルフロック手段６３のロックを解除するロック解除手段４７と、磁石解錠式の施錠手段１１を解錠する磁石４２を備えているので、権限を有する店員等が解錠装置３を使用するときは、ほぼワンタッチの作業で商品展示ケース１を迅速に開放させることができる。

本発明の解錠装置３は、不正使用防止装置８１を設けている。不正使用防止装置８１は、解錠装置３の底面に固着手段９２により固着される固定部材８２と、該固定部材８２に枢軸８５を介して開閉自在に連結されたカバー部材８３と、前記固定部材８２とカバー部材８３を相互に係脱自在に係止する錠前手段８４により構成されている。カバー部材８３を開姿勢Ｐ３に位置させた状態では、解錠部４０が開放され、商品展示ケース１の施錠手段２を解錠するための所期目的に供される。その反面、カバー部材８３を閉姿勢Ｐ１に位置させた状態で、錠前手段８４により固定ロックすると、解錠部４０が使用不能な状態とされる。従って、権限を有する店員等が錠前手段８４のキー９４を管理することにより、解錠装置３の無断使用を防止できる。

特に本発明によれば、前記カバー部材８３は、前記閉姿勢Ｐ１に位置させた状態で、突片４１の下方に進入する破壊手段１０１を設けており、錠前手段８４を固定ロックした状態で、解錠装置３をカバー部材８３から下向きに引き離そうとすると、前記破壊手段１０１が突片４１を破壊する。従って、仮に、解錠装置３が盗まれたとしても、窃盗者が解錠装置３から不正使用防止装置８１を取り外そうとすると、突片４１が破壊され、解錠装置３を最早使用不能な状態とする。これにより、盗まれた解錠装置３がその後の犯罪のために使用されることを確実に防止できる。

前記カバー部材８３には、保持座１０２が設けられている。カバー部材８３を解錠部４０の頂面４０ｃまで開放した開姿勢Ｐ３において、保持座１０２が頂面４０ｃに載置され、カバー部材８３の開姿勢Ｐ３が保持される。

本発明における盗難防止装置の第１実施形態を示し、（Ａ）は閉状態でロックされた商品展示ケースを正面側から示す斜視図、（Ｂ）は前記商品展示ケースを背面側から示す斜視図、（Ｃ）は解錠装置を示す斜視図である。 商品展示ケースを開蓋した状態で示す斜視図である。 商品展示ケースから外側壁板を分離した状態を示す斜視図である。 外側壁板を示し、（Ａ）は外側壁板の外側を示す斜視図、（Ｂ）は外側壁板の内側を示す斜視図、（Ｃ）は突片解錠式の第１施錠手段に関して外側壁板に設けられた係止手段と係止解除用の作動部を内側から示す斜視図である。 第１施錠手段の被係止手段を構成するフック片と、第２施錠手段の係止手段を構成する揺動片に関して、第１ケース構成体の起立壁を正面側から示す斜視図である。 第１ケース構成体の起立壁を背面側から示す斜視図である。 第１ケース構成体と第２ケース構成体を離反した状態で正面側から示す正面図である。 第１ケース構成体と第２ケース構成体を離反した状態で示す縦断面図である。 第１ケース構成体と第２ケース構成体を嵌合したときの第１施錠手段と第２施錠手段の作用を示し、（Ａ）は嵌合終了直前の状態を示す断面図、（Ｂ）は嵌合終了状態を示す断面図である。 解錠装置の解錠部により第１施錠手段と第２施錠手段を同時に解錠した状態を示す断面図である。 永久ロック手段の作用を示し、（Ａ）は不正者により突片解錠式の第１施錠手段が解錠された状態を示す断面図、（Ｂ）は不正者が治具を差し込むことにより永久ロック手段が作用した状態を示す断面図である。 セルフロック手段の第１実施形態を示し、第１ケース構成体の起立壁に設けたロック体を正面側から示す斜視図である。 セルフロック手段の第１実施形態に関して、ロック体を拡大して示す斜視図である。 セルフロック手段の第１実施形態の作用を示し、（Ａ）はアンロック方法を示す斜視図、（Ｂ）は第２施錠手段の係止手段が揺動した状態を示す斜視図である。 セルフロック手段の第１実施形態に関して、（Ａ）は外側壁板に設けたアンロック作動部を示す斜視図、（Ｂ）はアンロック作動部を拡大して示す斜視図である。 セルフロック手段の第１実施形態に関して、第１ケース構成体と第２ケース構成体を嵌合したときのセルフロック手段の作用を示しており、（Ａ）は嵌合終了直前の状態を示す断面図、（Ｂ）は嵌合終了後の状態を示す断面図である。 セルフロック手段の第１実施形態に関して、解錠装置の解錠部によりセルフロック手段と第１施錠手段と第２施錠手段を同時に解錠した状態を示す断面図である。 セルフロック手段の第２実施形態を示し、（Ａ）は外側壁板の外側を示す斜視図、（Ｂ）は外側壁板の内側を示す斜視図である。 セルフロック手段の第２実施形態に関して、ロック体を拡大して示す斜視図である。 セルフロック手段の第２実施形態に関して、第１ケース構成体と第２ケース構成体を嵌合したときのセルフロック手段の作用を示し、（Ａ）は嵌合終了直前の状態を示す断面図、（Ｂ）は嵌合終了後の状態を示す断面図である。 セルフロック手段の第２実施形態に関して、解錠装置の解錠部によりセルフロック手段と第１施錠手段と第２施錠手段を同時に解錠した状態を示す断面図である。 セルフロック手段の第３実施形態を示し、第１ケース構成体の起立壁を正面側から示す斜視図である。 セルフロック手段の第３実施形態の作用を示し、（Ａ）はロック体がロック位置に臨んだ状態を示す斜視図、（Ｂ）はロック体がアンロック位置に臨んだ状態を示す斜視図である。 セルフロック手段の第３実施形態を備えた商品展示ケースと、解錠装置を示す斜視図である。 解錠装置の不正使用防止装置を示し、解錠装置と、固定部材と、カバー部材を分解した状態で示す斜視図である。 不正使用防止装置の使用状態を示し、（Ａ）はカバー部材を開姿勢に位置させた状態を示す斜視図、（Ｂ）はカバー部材を閉姿勢に位置させた状態を示す斜視図である。 カバー部材を姿勢変更させた状態を示し、（Ａ）は閉姿勢に位置させた状態を示す断面図、（Ｂ）は開閉待機姿勢に位置させた状態を示す断面図、（Ｃ）は開姿勢に位置させた状態を示す断面図である。 不正使用防止装置の作用を示し、（Ａ）はカバー部材を閉姿勢に固定ロックした状態を示す断面図、（Ｂ）及び（Ｃ）は不正に固着手段を取り外して解錠装置をカバー部材から引き離したときの状態を示す断面図である。

以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。

図１に示すように、本発明の盗難防止装置は、施錠機構２を備えた商品展示ケース１と、解錠装置３とから構成されている。

図２に示すように、商品展示ケース１は、商品Ｍを載置する底部材４ａを構成する第１ケース構成体４と、前記商品Ｍを透視可能に囲繞すると共に下向きの開口部５を有する収納室６を形成するケース本体７ａを構成する第２ケース構成体７を上下方向のＸ方向に向けて嵌脱自在に嵌合するように構成されている。即ち、第２ケース構成体７をＸ１方向（図示の上向き）に移動すると第１ケース構成体４の上方が開放される。反対に、第２ケース構成体７をＸ２方向（図示の下向き）に移動すると第１ケース構成体４に嵌合され、第１ケース構成体４の上方に収納室６を区成する。収納室６に収納された商品Ｍを外部から透視可能とするため、第１ケース構成体４と第２ケース構成体７の全体を合成樹脂により透明に形成しても良く、或いは、第１ケース構成体４又は第２ケース構成体７を部分的に透明に形成しても良い。尚、第１ケース構成体４及び第２ケース構成体７は、それぞれポリカーボネート等の硬質樹脂により成形するのが好ましい。図示実施形態の場合、ほぼ平板状に形成された底部材４ａの一端縁と、ほぼ直方体形状に形成されたケース本体７の一端縁を、ヒンジ手段８により枢結し、ほぼ水平に配置した底部材４ａに対してケース本体７が前記Ｘ方向から嵌脱自在に嵌合されるように、底部材４ａとケース本体７を矢印Ｒで示すように回動自在に構成している。しかしながら、図示の構成に限られるものではなく、ヒンジ手段８を着脱自在としても良い。更には、ヒンジ式ではなく、相互に分離可能な底部材４ａとケース本体７を嵌脱自在に嵌合するように構成しても良い。

第１ケース構成体４と第２ケース構成体７を嵌合した状態で、前記Ｘ方向に交差する底部材４ａの長手方向をＹ方向とすると、商品展示ケース１は、該Ｙ方向の正面部に施錠部９（図２は開放された第１ケース構成体４の施錠部９ａと第２ケース構成体７の施錠部９ｂを示す）を構成し、該施錠部９には、第１ケース構成体４と第２ケース構成体７を嵌合したとき、前記Ｙ方向に沿って商品展示ケース１の外部に向かうＹ１方向と内部に向かうＹ２方向に関して係止する施錠機構２が設けられており、該施錠機構２は、突片解錠式の第１施錠手段１０と磁石解錠式の第２施錠手段１１によるダブル施錠手段を構成している。

第１施錠手段１０は、第１ケース構成体４と第２ケース構成体７の相互に、前記Ｙ方向に揺動自在かつＹ１方向に付勢された係止手段１０ａと、Ｙ１方向に対向して該係止手段１０ａを係止させる被係止手段１０ｂを構成しており、前記係止手段１０ａは、施錠部９の外部からＹ２方向の押圧力を受取可能とする作動部１２を備えている。

第２施錠手段１１は、第１ケース構成体４と第２ケース構成体７の相互に、前記Ｙ方向に揺動自在かつＹ２方向に付勢された係止手段１１ａと、Ｙ２方向に対向して該係止手段１１ａを係止させる被係止手段１１ｂを構成しており、前記係止手段１１ａは、施錠部９の外部から磁石を作用させたとき、該磁石に磁着可能な磁性片３４ａを設けている。

前記施錠部９は、ケース本体７に設けられた内側壁板１３及び外側壁板１４と、両壁板１３、１４の間に形成された嵌入空間１５と、前記嵌入空間１５に対してＸ方向から嵌脱自在に嵌入されるように底部材４ａに設けられた起立壁１６により構成され、外側壁板１４と底部材４ａの相互に、前記第１施錠手段１０の係止手段１０ａと被係止手段１０ｂを設け、内側壁板１３と起立壁１６の相互に、前記第２施錠手段１１の係止手段１１ａと被係止手段１１ｂを設けている。

図３及び図４に示すように、外側壁板１４は、ケース本体７に着脱自在に取付けられるように構成されており、該外側壁板１４の内側に防犯タグ１７の取付部１８を設けている。尚、防犯タグ１７は、粘着剤等により取付部１８に剥離可能に貼着される。

図示実施形態の場合、ケース本体７の正面側の端部には、該ケース本体７ａの両側壁７ｂ、７ｂと天壁７ｃのそれぞれの内側に沿って延びるリブ１９ａ、１９ａ、１９ｂが形成され、該リブから前記嵌入空間１５を形成するように離間した内側の位置に内側壁板１３が固設されている。これに対して、外側壁板１４は、前記リブ１９ａ、１９ａ、１９ｂを摺動自在に嵌合するように３辺に沿って延びる溝２０を形成し、該溝２０を挟んで外側に前記リブ１９ａ、１９ａ、１９ｂの上に重ね合わせられる板壁２１を形成すると共に、内側に前記内側壁板１３に沿って摺動自在に嵌合される枠壁２２を形成している。

前記板壁２１は、外側表面から前記枠壁２２の近傍まで凹入する凹部２３を形成しており、これに対して、ケース本体７ａの背面壁７ｄの外側表面に凸部２４が形成されている。従って、ケース本体７ａに外側壁板１４を取付けられた商品展示ケース１は、底部材４ａとケース本体７ａを嵌合した状態で、複数の商品展示ケース１、１を積層したとき、上層に位置する商品展示ケース１の凸部２４が下層に位置する商品展示ケース１の凹部２３に嵌合するように構成されている。図例の場合、４個の凸部２４が凹部２３の４隅に嵌合するように構成されている。

外側壁板１４は、枠壁２２の端部に係止爪２５を設けており、内側壁板１３には前記係止爪２５を係脱自在に係止させる係止孔２６が形成されている。前記リブ１９ａ、１９ａ、１９ｂに対して、外側壁板１４の板壁２１を外側に配置すると共に枠壁２２を内側に配置した状態で摺動させると、前記溝２０にリブ１９ａ、１９ａ、１９ｂが嵌入され、完全に嵌入された位置で係止爪２５が係止孔２６に係止し、外側壁板１４を抜取り不能に固定する。外側壁板１４を抜取る必要があるときは、内側壁板１３の内側（収納室６の内部）から針部材等の治具の先端を係止孔２６に挿入することにより係止爪２５を係止孔２６から脱出させれば、外側壁板１４を抜取ることができる。従って、商品展示ケース１を使用する店舗において防犯タグ１７の張替えが可能である。

外側壁板１４を取付けた状態で、内側壁板１３と外側壁板１４の間に形成される嵌入空間１５は、収納室６の開口部５と並んでＸ方向に開口しており、従って、ケース本体７ａ（第２ケース構成体７）と底部材４ａ（第１ケース構成体４）を相互に嵌合させると、同時に、前記起立壁１６が嵌入空間１５に嵌入され、第１施錠手段１０と第２施錠手段１１による施錠ロックを同時に行うように構成されている。

（突片解錠式の第１施錠手段）
突片解錠式の第１施錠手段１０は、係止手段１０ａを外側壁板１４に設けている。図４に示すように、嵌入空間１５の開口に臨む板壁２１の縁部には切欠状の開口部２７が形成されている（図４（Ｃ）参照）。係止手段１０ａは、合成樹脂により外側壁板１４に一体に形成された進退部材４６により構成されている。進退部材４６は、前記開口部２７に配置された作動部１２から内側に延びる脚部２８、２８を介して両側方に係止部２９、２９を延設し、該係止部２９、２９を揺動アーム３０、３０により揺動自在に形成している。係止部２９と板壁２１の間には挿入空間２９ａが形成されており、前記揺動アーム３０、３０は該挿入空間２９ａを狭める方向（上記のＹ１方向）に係止部２９、２９を弾発付勢する。換言すれば、図４（Ｃ）に示すように、外側壁板１４の外部から作動部１２を開口部２７の内部に向かう方向（上記のＹ２方向）に押圧力Ｐを与えると、揺動アーム３０、３０が揺動することにより前記挿入空間２９ａを広げるが、押圧力Ｐを解除すると、揺動アーム３０、３０の弾発復元力により再び挿入空間２９ａが狭められる。

これに対して、第１施錠手段１０の被係止手段１０ｂは、図５に示すように、底部材４ａの端部４ｂから起立壁１６に隣接して突出する一対のフック片３１、３１により構成されている。底部材４ａとケース本体７ａを相互に嵌合したとき、フック片３１、３１は、前記挿入空間２９ａに挿入されつつ該挿入空間２９ａを押し広げるガイドテーパ面を有するフック部３２を備えている。フック片３１を挿入空間２９ａに完全に挿入すると、揺動アーム３０が復元することにより係止部２９をフック部３２に係止する。

従って、第１施錠手段１０は、底部材４ａとケース本体７ａを相互に嵌合するワンタッチの動作でフック部３２が係止部２９に係止し、底部材４ａとケース本体７ａを離反不能に施錠ロックする。そして、作動部１２に押圧力Ｐを与えると、前記施錠ロックが解除され、底部材４ａとケース本体７ａを離反可能とする。

図示実施形態において、第１施錠手段１０は、係止手段１０ａを外側壁板１４に設け、被係止手段１０ｂを底部材４ａに設けているが、相互に反対側に設けた構成としても良い。また、一対の係止部２９、２９に一対のフック片３１、３１が係止する構成を図示したが、その個数は問わない。

図５に示すように、底部材４ａの端部４ｂは、フック片３１、３１の間に位置して肉盛り状の厚肉部５０を形成し、底部材４ａとケース本体７ａを相互に嵌合したとき、該厚肉部５０が作動部１２、１２に近接することにより、該厚肉部５０と作動部１２、１２の間にほとんど隙間を形成しないように構成している。そして、厚肉部５０の両側に位置して、端部４ｂに複数のリブ５１を形成している。このリブ５１は、底部材４ａとケース本体７ａを相互に嵌合したとき、外側壁板１４の端縁に形成した溝５２（図４（Ａ）参照）に嵌合する。

外側壁板１４は、一対の作動部１２、１２に対応する一対の開口部２７、２７を形成しており、図７に示すように、第１ケース構成体４に第２ケース構成体５を嵌合したとき、一対の開口部２７、２７の両側縁を厚肉部５０の両側に嵌合させ、該開口部２７、２７の間に設けた板片１４ａを厚肉部５０の上面に当接させるように構成している。

外側壁板１４は、上述のような構成のものとして合成樹脂により一体成形されているため、成形金型の関係上、図４（Ａ）に示すように、開口部２７の縁部と作動部１２の間に隙間Ｓが形成される。

（磁石解錠式の第２施錠手段）
磁石解錠式の第２施錠手段１１は、平行に配置された３個の係止手段１１ａを起立壁１６に設けている。図５及び図６に示すように、係止手段１１ａは、起立壁１６の起立端側から下向きにほぼコ字形の切欠溝３３を形成することにより、該切欠溝３３で囲まれた揺動片３４を形成し、該揺動片３４の自由端側で内側（Ｙ２方向）に向けて突出する爪部３５を形成しており、更に、該爪部３５の反対側（Ｙ１方向に向く側面）に鉄片等の磁性片３４ａを設けている。揺動片３４は、切欠溝３３から爪部３５を突出する方向（Ｙ２方向）に弾発付勢されており、反対側（外側壁板１４の外側）から磁石を臨ませると、爪部３５を切欠溝３３に没入する方向（Ｙ１方向）に揺動する。

図５に示すように、中央に位置する揺動片３４を囲む切欠溝３３は、該揺動片３４の下端の両側と下側を開放する窓孔５３を連設し、該窓孔５３に臨んで前記厚肉部５０から起立する遮壁５４が設けられている。

これに対して、第２施錠手段１１の被係止手段１１ｂは、図３に示すように、内側壁板１３に形成された３個の係止窓孔３６により構成されている。底部材４ａとケース本体７ａを相互に嵌合したとき、起立壁１６が嵌入空間１５に挿入され、内側壁板１３が起立壁１６に沿って移動する。爪部３５は、内側壁板１３の端縁を受けるガイドテーパ面３５ａを形成しており、内側壁板１３の端縁により押されるので、揺動片３４を弾力に抗して揺動させる。爪部３５が係止窓孔３６に合致すると、揺動片３４が復元して爪部３５を係止窓孔３６に嵌入し、係止面３５ｂを係止窓孔３６に係止する。

従って、第２施錠手段１１は、底部材４ａとケース本体７ａを相互に嵌合するワンタッチの動作で爪部３５が係止窓孔３６に係止し、底部材４ａとケース本体７ａを離反不能に施錠ロックする。そして、外部から磁石を臨ませると、前記施錠ロックが解除され、底部材４ａとケース本体７ａを離反可能とする。

図示実施形態において、第２施錠手段１１は、係止手段１１ａを起立壁１６に設け、被係止手段１１ｂを内側壁板１３に設けているが、相互に反対側に設けた構成としても良い。また、３個の係止窓孔３６に３個の爪部３５が係止する構成を図示したが、その個数は問わない。

図２に示すように、底部材４ａは、両側縁に沿って嵌合壁４ｃ、４ｃを立設しており、該嵌合壁４ｃ、４ｃをケース本体７ａの両側壁７ｂ、７ｂの内側に嵌入するように構成されている。このような嵌合構成に加えて、ケース本体７ａの両側壁７ｂ、７ｂは、収納室６の開口部５に隣接して開口する溝３７ａ、３７ａを該両側壁７ｂ、７ｂの肉厚内で切欠状に形成しており、これに対して、底部材４ａは、前記溝３７ａ、３７ａに係脱自在に嵌入する舌片３７ｂ、３７ｂを設けている。従って、底部材４ａとケース本体７ａを相互に嵌合した状態で、不正者が開口部５の隙間から異物を挿入することにより両側壁７ｂ、７ｂを広げようとしても、舌片３７ｂが溝３７ａに嵌入しているので側壁７ｂが広がるように変形することはない。

更に、図例の実施形態において、底部材４ａは、嵌合壁４ｃ、４ｃの内側から突出する突起片３８を設けている。これにより、商品説明を記載したリーフレットやカード等の薄い情報体を底部材４ａの上に載せると共に、該情報体の縁を突起片３８の下面に嵌入することにより固定可能となる。尚、この場合、商品Ｍは情報体の上に載置されることになる。

（永久ロック手段）
３個の揺動片３４のうち、少なくとも中央に位置する揺動片３４は、永久ロック手段６０を備えている。図８に示すように、揺動片３４の上部は、Ｙ２方向に向かう内側壁面を起立壁１６の内側壁面よりも凹入させることにより、該揺動片３４の上部の肉厚ｔを起立壁１６の肉厚Ｔよりも小さくした薄肉部５５を形成すると共に、該薄肉部５５に貫通孔５６を開設することにより、上端部に脆弱ヒンジ部５７を構成している。

また、揺動片３４のＹ１方向に向かう外側壁面は、下端部を遮壁５４の外側面に臨ませると共に、該下端部から上部に向けて角度θで示すようにＹ１方向に傾斜するガイド面５８を形成し、爪部３５の下面の係止面３５ｂから突出する突起５９を設けている。

揺動片３４は、図８に示すように、爪部３５を起立壁１６からＹ２方向に突出させ、突起５９を遮壁５４の上方に位置させた状態で停止しており、この状態から外力によりＹ１方向に揺動可能であるが、揺動位置から外力を解放すると、脆弱ヒンジ部５７の弾力によりＹ２方向に付勢され、前記停止位置まで復帰する。しかしながら、外力により停止位置からＹ２方向に無理に押し込むと、突起５９が起立壁１６を超えてＹ２方向に移動し、或いは、脆弱ヒンジ部５７が破損し、爪部３５をＹ１方向に移動不能とする永久ロック手段６０を構成する。

解錠装置３は、図１（Ｃ）に示すように、商品展示ケース１をスライド自在に載置させるテーブル部３９と、該テーブル部３９の一端から起立する解錠部４０を備えており、該解錠部４０には、テーブル部３９に向けて突出する突片４１が設けられると共に、永久磁石４２が埋設されている。

（施錠ロックの作用）
図９（Ａ）は第１ケース構成体４に対して第２ケース構成体７をＸ２方向に移動させながら嵌合させるときの施錠ロックの動作を示し、図９（Ｂ）は第１ケース構成体４に対して第２ケース構成体７を嵌合することにより施錠ロックされた状態を示している。

図９（Ａ）に示すように、底部材４ａに対してケース本体７ａをＸ２方向に移動して被冠させると（図示実施形態の場合、ヒンジ手段８を支点としてケース本体７ａを底部材４ａに向けて回動すると）、起立壁板１６が嵌入空間１５に挿入され、突片解錠式の第１施錠手段１０と磁石解錠式の第２施錠手段１１がワンタッチで同時に施錠ロックされる。

突片解錠式の第１施錠手段１０は、図９（Ａ）に示すように、被係止手段１０ｂのフック片３１が係止手段１０ａの挿入空間２９ａに挿入されると、該フック部３２のガイドテーパ面３２ａに沿って係止部２９をＹ２方向に移動させ、これにより、フック部３２が挿入空間２９ａに挿入されることを許す。フック部３２が挿入空間２９ａに完全に挿入されると、図９（Ｂ）に示すように、係止部２９が元の位置に戻り、フック部３２の係止縁３２ｂに係止される。この状態で、第１施錠手段１０により、ケース本体４ａは、底部材４ａからＸ１方向に離反しないように施錠ロックされる。この状態で、開口部２７に嵌入した厚肉部５０が作動部１２の下側に近接しているので、作動部１２と底部材４ａの間に、ドライバーのような治具の先端を挿入可能とするような隙間は形成されていない。

磁石解錠式の第２施錠手段１１は、図９（Ａ）に示すように、起立壁板１６が嵌入空間１５に挿入されると、揺動片３４の爪部３５のガイドテーパ面３５ａが内側壁板１３の端縁に当接されることにより、該爪部３５を内側壁板１３から後退させるように揺動片３４をＹ１方向に揺動させ、これにより起立壁板１６が嵌入空間１５に挿入されることを許す。起立壁板１６が嵌入空間１５に完全に挿入されると、図９（Ｂ）に示すように、揺動片３４が復元することにより爪部３５を元の位置に戻し、該爪部３５の係止面３５ｂを係止窓孔３６に係止する。この状態で、第２施錠手段１１により、ケース本体４ａは、底部材４ａからＸ１方向に離反しないように施錠ロックされる。この状態で、底部材４ａのリブ５１と外側壁板１４の溝５２が相互に嵌合しているので、外側壁板１４の端縁と底部材４ａの間にドライバーのような治具の先端を挿入可能とするような隙間は形成されていない。

（ロック解錠の作用）
図１０は、解錠装置３により施錠ロック状態を解除する際の作用を示している。解錠装置３のテーブル部３９に底部材４ａを載置した状態で、Ｙ１方向にスライド移動すると、外側壁板１４が解錠部４０に対面させられる。この対面配置の位置決めを容易とするため、図１に示すように、商品展示ケース１（図例では外側壁板１４の表面）と解錠装置３（図例では解錠部４０の上面）には、それぞれ位置合わせ用のマーク４３、４４が表示されている。尚、スライド移動を容易にすると共に、スライド移動により底部材４ａの下面に傷がつかないようにする目的で、底部材４ａの下面（例えば下面の４隅）に小突起４５が突設されている。

商品展示ケース１をテーブル部３９の上でＹ１方向にスライド移動すると、突片４１が作動部１２に臨み、磁石４２が磁性片３４ａに臨む。外側壁板１４が解錠部４０に接近するまでスライド移動すると、突片４１が作動部１２をＹ２方向に押し込み、係止部２９をフック部３２から離脱させるので、突片解錠式の第１施錠手段１０の施錠ロックが解除される。また、磁石４２が磁性片３４ａを引き寄せ、揺動片３４をＹ１方向に揺動させ、爪部３５を係止窓孔３６から離脱させるので、磁石解錠式の第２施錠手段１１の施錠ロックが解錠される。

作動部１２を押し込んだ突片４１を底部材４ａの端縁の上方に位置させた状態で、ケース本体７ａをＸ１方向に引き上げれば、商品Ｍを載置した底部材４ａの上方空間が開放される。従って、直ちに底部材４ａの上の商品Ｍを手に取ることができる。

（永久ロックの作用）
図１１は、不正者により不正解錠を試みられたときの作用を示している。図１１（Ａ）に示すように、不正者がドライバーのような不正治具Ｊを開口部２７、２７に差し込むことにより作動片１２、１２を押し込むと、係止手段１０ａがＹ２方向に移動され、被係止手段１０ｂから離脱するので、突片解錠式の第１施錠手段１０の施錠ロック状態を解除されるおそれがある。しかしながら、この場合でも、磁石解錠式の第２施錠手段１１は、施錠ロック状態を維持しているので、第２ケース構成体７をＸ１方向に移動させることはできない。

そこで、解錠に失敗した不正者は、次いで、開口部２７の隙間Ｓから不正治具Ｊを差し込み、磁石解錠式の第２施錠手段１１の施錠ロック状態を解除しようと試みる。図１１（Ｂ）に示すように、不正治具Ｊを深く差し込むと、係止手段１１ａの揺動片３４がＹ２方向に押し込まれ、突起５９が被係止手段１１ｂの係止窓孔３６を乗り越えた状態で係止窓孔３６の縁に係止する。この状態で、爪部３５が係止窓孔３６に係止しているので、第２ケース構成体７をＸ１方向に移動させることはできない。そして、この状態から、不正治具Ｊを隙間Ｓから引き抜いても、突起５９が係止窓３６の縁に係止しているので、揺動片３４をＹ１方向に揺動不能にロックし、これにより永久ロック手段６０ａを構成する。永久ロック手段６０ａが機能すると、施錠部９に磁石を臨ませても、最早、第２施錠手段１１の施錠ロックを解錠することは不可能となる。

上述のように、揺動片３４の下側には遮壁５４が配置されており、揺動片３４のＹ１方向に向かう外側壁面は、下端部を遮壁５４の外側面に臨ませ、該下端部から上部に向けて角度θでＹ１方向に傾斜するガイド面５８を形成しており、該ガイド面５８を起立壁１６の肉厚Ｔの内部（窓孔５３の内部）に位置させている。従って、不正者が隙間Ｓから不正治具Ｊを差し込み、不正治具Ｊの先端を遮壁５４に当接した状態から内部を探りながら該不正治具Ｊの先端を移動させたとき、偶然に、揺動片３４を引っかけてＹ１方向に揺動させる可能性はほとんどない。反対に、起立壁１６の肉厚Ｔの内部に位置したガイド面５８により、不正治具Ｊの先端は、揺動片３４の下端に向けて案内されるので、不正治具Ｊの先端により、揺動片３４がＹ２方向に揺動させられ、前述のような永久ロック手段６０ａのロックを起こさせる。このように、ガイド面５８は、永久ロックの誘発手段６２を構成する。

また、前述のように不正治具Ｊを深く差し込むことにより揺動片３４をＹ２方向に押し込むと、図１１（Ｂ）に示すように、脆弱ヒンジ部５７が折損されることにより破損部６３を形成する。この状態で、揺動片３４は、爪部３５を係止窓孔３６に係止しているので、第２ケース構成体７をＸ１方向に移動させることはできない。そして、この状態から、不正治具Ｊを隙間Ｓから引き抜いても、破損部６３により揺動片３４はＹ１方向に復元不能とされるので、これにより、永久ロック手段６０ｂを構成する。永久ロック手段６０ｂが機能すると、施錠部９に磁石を臨ませても、最早、第２施錠手段１１の施錠ロックを解錠することは不可能となる。

図示実施形態は、爪部３５の突起５９により構成される永久ロック手段６０ａと、脆弱ヒンジ部５７の破損部６３により構成される永久ロック手段６０ｂを示しているが、本発明の永久ロック手段６０は、前記永久ロック手段６０ａ、６０ｂの何れか一方のみにより構成しても良い。永久ロック手段６０ａを構成する突起５９は、図例のように、係止窓孔３６に進入し易く且つ後退し難いように断面を楔形に形成することが好ましいが、これに限定されるものではない。突起５９は、爪部３５に設ける代わりに、係止窓孔３６の下縁に設けても良い。要するに、永久ロック手段６０は、係止手段１１ａをＹ２方向に押し込んだとき、該係止手段１１ａを被係止手段１１ｂに係止した状態でＹ１方向に揺動不能となるように永久ロックする機能を有するものであれば良い。

上記のように、不正者の不正行為の結果、永久ロック手段６０が機能すると、第１ケース構成体４と第２ケース構成体７は相互に離反不可能な状態とされる。そこで、不正者が商品展示ケース１を店外に持ち出そうとすると、防犯タグ１７により盗難が検知される。尚、永久ロック手段６０が機能すると、商品展示ケース１を破壊しなければ、商品Ｍを取り出すことができない。

（セルフロック手段を備えた施錠機構）
本発明は、磁石解錠式の第２施錠手段１１にセルフロック手段６３を設けた施錠機構２を提供する。セルフロック手段６３は、ロック体６４をロック位置とアンロック位置の間で移動させることにより、ロック位置では係止手段１１ａの係止解除方向への揺動を妨げ、アンロック位置では係止手段１１ａの係止解除方向への揺動を許し、常時はロック位置を保持している。このため、商品展示ケース１を床面に落下させる等、強い衝撃を与えたときでも、反動で係止手段１１ａが後退することにより第２施錠手段１１の施錠を解錠するおそれはなく、常に、係止手段１１ａを被係止手段１１ｂに係止させた施錠状態を保証できる。

（セルフロック手段の第１実施形態）
図１２ないし図１７は、セルフロック手段の第１実施形態を示している。図１２及び図１３に示すように、セルフロック手段６３は、３個の係止手段１１ａから選ばれた少なくとも１つの係止手段１１ａ（図例の場合、中央の係止手段１１ａ）を構成する揺動片３４の両側縁に臨む一対のロック体６４、６４により構成されている。一対のロック体６４、６４は、左右対称形に形成され、Ｙ１方向に対向して揺動片３４の両側縁に近接することにより、該揺動片３４のＹ１方向への揺動を阻止するロック部６５と、該ロック部６５を弾性的に支持する弾性支持部６６を備えている。弾性支持部６６は、遮壁５４からＹ１方向に延設された弾性アーム６７と、該弾性アーム６７から起立する作動アーム６８を備え、該作動アーム６８から前記ロック部６５をＹ２方向に延設しており、可撓性プラスチックにより前記遮壁５４に一体成形されている。

前記ロック部６５、６５は、弾性支持部６６の揺動を介して、Ｙ方向及びＸ方向に交差するＺ方向（揺動片３４の幅方向）に移動可能であり、図１３に示すような揺動片３４の両側縁に対向して該揺動片３４のＹ１方向への揺動を阻止するロック位置と、図１５（Ａ）に示すような揺動片３４の両側縁から外側方に退避することにより該揺動片３４がＹ１方向に揺動することを許すアンロック位置の間で移動可能であるが、常時は、前記弾性支持部６６，６６によりロック位置を保持するように付勢されている。

従って、上述のように第１ケース構成体４と第２ケース構成体７を相互に嵌合することにより、揺動片３４（係止手段１１ａ）を係止窓孔３６（被係止手段１１ｂ）に係止した状態で、セルフロック手段６３は、図１３に示すように、ロック部６５、６５をロック位置に保持することにより揺動片３４のＹ１方向への揺動を阻止する。この状態から図１４（Ａ）に矢印Ｆで示すアンロック作動手段６９により一対の弾性支持部６６、６６を押し広げると、ロック部６５、６５がアンロック位置に移動する。従って、この状態で、係止手段１１ａに磁石を臨ませると、図１４（Ｂ）に示すように、係止手段１１ａは、Ｙ１方向に揺動し、被係止手段１１ｂに対する係止を解除する。

前記矢印Ｆで示したアンロック作動手段を構成するため、図１５に示すように、突片解錠式の第１施錠手段１０を構成する係止手段１０ａにアンロック作動部６９が設けられている。図例の場合、アンロック作動部６９は、作動部１２、１２を連結した状態でＹ２方向に突出するように延出されている。この際、図示のように、アンロック作動部６９の両側面にガイドとなるテーパ面を形成することが好ましい。

（セルフロック手段の第１実施形態：施錠ロック時の作用）
　図１６（Ａ）に示すように、底部材４ａに対してケース本体７ａをＸ２方向に移動して被冠させると、起立壁板１６が嵌入空間１５に挿入され、突片解錠式の第１施錠手段１０と磁石解錠式の第２施錠手段１１がワンタッチで同時に開閉ロックされる。この点は上述した通りである。

第１施錠手段１０の被係止手段１０ｂ（フック部３２）が係止手段１０ａの挿入空間２９ａに挿入されると、該フック部３２のガイドテーパ面に沿って係止部２９がＹ２方向に移動するので、同時にアンロック作動部６９がＹ２方向に移動し、セルフロック手段６３の一対の弾性支持部６６、６６を押し広げ、ロック部６５、６５をアンロック位置に移動させる。

これにより、揺動片３４はＹ１方向への揺動を許されるので、内側壁板１３の先端部に沿って該Ｙ１方向に揺動した後、Ｙ２方向に復動することにより、爪部３５を係止窓３６に係止し、第２施錠手段１１を施錠ロックする（図１６（Ｂ）参照）。

そして、フック部３２が挿入空間２９ａに完全に挿入されると、係止部２９が元の位置に戻ることにより、フック部３２の係止縁３２ｂに係止され、第１施錠手段１０を施錠ロックする（図１６（Ｂ）参照）。

前記係止部２９に追従してアンロック作動部６９も元の位置に戻るので、セルフロック手段６３のロック部６５、６５がロック位置に移動し、上述のように揺動片３４のＹ１方向への揺動を阻止する。

（セルフロック手段の第１実施形態：ロック解錠時の作用）
解錠装置３により施錠ロック状態を解除するときは、図１７に示すように、底部材４ａを解錠装置３のテーブル部３９に載置した状態で、商品展示ケース１をＹ１方向にスライド移動すると、突片４１が作動部１２をＹ２方向に押し込み、係止部２９をフック部３２から離脱させるので、突片解錠式の第１施錠手段１０の施錠ロックが解除される。また、磁石４２が磁性片３４ａを引き寄せ、揺動片３４をＹ１方向に揺動させ、爪部３５を係止窓孔３６から離脱させるので、磁石解錠式の第２施錠手段１１の施錠ロックが解錠される。この点は上述した通りである。

突片４１は、作動部１２と共にアンロック作動部６９をＹ２方向に押し込むロック解除手段４７を構成している。これにより、アンロック作動部６９が作動アーム６８、６８の間に押し込まれ、セルフロック手段６３のロック部６５、６５をアンロック位置に移動させ、揺動片３４のＹ１方向への移動を許すので、磁石４２に引き寄せられることにより揺動片３４が係止窓３６から外れ、第２施錠手段１１の施錠ロックを解錠する。

（セルフロック手段の第２実施形態）
図１８ないし図２０は、セルフロック手段の第２実施形態を示している。この第２実施形態のセルフロック手段６３が実施される場合、上記実施形態について説明した突片解錠式の第１施錠手段１０における係止手段１０ａに変更が加えられる。その他の構成は、上述した実施形態と同様であるから、重複説明を省略し、同一構成部分に同一符号を示すことにより上述した説明を援用する。

　図１８及び図１９に示すように、ケース本体７ａの外側壁板１４に設けられる突片解錠式の第１施錠手段１０における係止手段１０ａは、孔又は凹部から成る係止部２９ｂを備えた回動体７０により構成されている。この回動体７０は、板壁２１から起立するリブ壁２１ａ、２１ａに対して該回動体７０の両端を弾性軸部７１により連結され、可撓性プラスチックにより外側壁板１４に一体成形され、該弾性軸部７１をトーション軸（弾性捩じり軸）として弾性的に回動自在とされている。そこで、回動体７０により、第１施錠手段１０の係止手段１０ａと、セルフロック手段６３のロック体６４ａを構成する。

第１施錠手段１０の係止手段１０ａに関して、回動体７０は、外側壁板１４の板壁２１の内側に挿入空間２９ａを有して配置され、該板壁２１の開口部２７に臨む作動部１２を備えている。このため、図１９に示すように、被係止手段１０ｂを構成するフック片３１を前記挿入空間２９ａに挿入し、作動部１２にＹ２方向の押圧力Ｐを与えると、前記弾性軸部７１が捩じり変形され、挿入空間２９ａを広げ、フック部３２を係止部２９ｂに嵌入させる。嵌入後は、弾性軸部７１の弾性復元力により元の位置に復帰し、係止部２９ｂをフック部３２に係止する。

セルフロック手段６３の構成に関して、回動体７０は、前記作動部１２の反対側にロック部６５ａを設けている。該ロック部６５ａは、弾性軸部７１が変形されていないときの位置をロック位置とし、前記押圧力Ｐにより弾性軸部７１が捩じり変形されたときの位置をアンロック位置として、ロック位置とアンロック位置との間でＹ方向に移動する。この際、前記弾性軸部７１は、前記ロック部６５ａをロック位置に向けて付勢する弾性支持部６６ａを構成する。また、フック片３１の押圧力Ｐを受ける作動部１２によりアンロック作動部６９ａを構成する。

（セルフロック手段の第２実施形態：施錠ロック時の作用）
図２０に示すように、底部材４ａに対してケース本体７ａをＸ２方向に移動して被冠させると、起立壁板１６が嵌入空間１５に挿入され、突片解錠式の第１施錠手段１０と磁石解錠式の第２施錠手段１１がワンタッチで同時に開閉ロックされる。この点は上述した実施形態と同様である。

第１施錠手段１０に関して、図２０（Ａ）に示すように、第１施錠手段１０の被係止手段１０ｂ（フック部３２）が係止手段１０ａの挿入空間２９ａに挿入されると、フック部３２のガイドテーパ面に沿って作動部１２がＹ２方向に移動し、弾性軸部７１を捩じり変形させる。フック部３２が挿入空間２９ａに完全に挿入されると、図２０（Ｂ）に示すように、作動部１２が元の位置に戻り、係止部２９ｂをフック部３２に係止し、第１施錠手段１０を施錠ロックする。

第２施錠手段１１に関して、図２０（Ａ）に示すように、フック部３２のガイドテーパ面に沿ってアンロック作動部６９ａ（作動部１２）が移動すると、弾性支持部６６ａ（弾性軸部７１）が捩じられ、ロック部６５ａを揺動片３４から後退させ、アンロック位置に移動させる。これにより、揺動片３４はＹ１方向への揺動を許されるので、内側壁板１３の先端部に沿ってＹ１方向に揺動した後、Ｙ２方向に復動することにより、図２０（Ｂ）に示すように、爪部３５を係止窓３６に係止し、第２施錠手段１１を施錠ロックする。

回動体７０が弾性軸部７１の弾力により元の位置に戻ると、セルフロック手段６３のロック部６５ａがロック位置に移動し、上述のように揺動片３４のＹ１方向への揺動を阻止する。

（セルフロック手段の第２実施形態：ロック解錠時の作用）
解錠装置３により施錠ロック状態を解除するときは、図２１に示すように、底部材４ａを解錠装置３のテーブル部３９に載置した状態で、商品展示ケース１をＹ１方向にスライド移動すると、突片４１が作動部１２をＹ２方向に押し込み、係止部２９ａをフック部３２から離脱させるので、第１施錠手段１０の施錠ロックが解除される。前記作動部１２によりアンロック作動部６９ａが構成され、突片４１によりロック解除手段４７が構成されているので、ロック部６５ａが揺動片３４から後退したアンロック位置に移動し、揺動片３４のＹ１方向への移動を許す。これにより、磁性片３４ａが磁石４２に引き寄せられ、揺動片３４をＹ１方向に揺動させ、爪部３５を係止窓孔３６から離脱させることにより、第２施錠手段１１の施錠ロックが解錠される。

（セルフロック手段の第３実施形態）
図２２ないし図２４は、セルフロック手段の第３実施形態を示している。突片解錠式の第１施錠手段１０及び磁石解錠式の第２施錠手段１１は、図１ないし図１０に示した実施形態と同様であるから、重複説明を省略し、同一構成部分に同一符号を示すことにより上述した説明を援用する。

セルフロック手段６３は、３個の係止手段１１ａから選ばれた少なくとも１つの係止手段１１ａ（図例の場合、左右両側に位置する係止手段１１ａ、１１ａの一方）を構成する揺動片３４の側縁に臨むロック体６４ｂにより構成されている。ロック体６４ｂは、起立板壁１６に設けられたブラケット７２に摺動自在に挿通されたピン７３により構成され、Ｘ方向及びＹ方向に交差するＺ方向（揺動片３４の幅方向）に移動可能である。

ピン７３の尾端には頭部７４が形成され、該頭部７４をブラケット７２に当接することによりピン７３のＺ１方向への移動を阻止するストッパーを構成し、該頭部７４に鉄片等の磁性片７５を設けることによりアンロック作動部６９ｂを構成する。

ピン７３の先端にはロック部６５ｂが形成されており、図２３（Ａ）に示すように、ピン７３をＺ１方向に移動したときロック部６５ｂがロック位置に移動し、図２３（Ｂ）に示すように、ピン７３をＺ２方向に移動したときロック部６５ｂがアンロック位置に移動する。

ピン７３は、スプリング等の弾性支持部６６ｂによりＺ１方向に付勢されており、常時は、ロック部６５ｂをロック位置に臨ませ、揺動片３４のＹ１方向への揺動を妨げている。しかしながら、ロック部６５ｂは、先端をほぼ球面に形成することによりガイド面７６を備えている。従って、揺動片３４を強い力でＹ１方向に揺動させると、揺動片３４の縁がガイド面７６を押すことにより、ピン７３を弾性支持部６６ｂに抗してＺ２方向に移動させることが可能である。

（セルフロック手段の第３実施形態：施錠ロック時の作用）
底部材４ａに対してケース本体７ａをＸ２方向に移動して被冠させると、起立壁板１６が嵌入空間１５に挿入され、突片解錠式の第１施錠手段１０と磁石解錠式の第２施錠手段１１がワンタッチで同時に開閉ロックされる。この際、起立壁板１６が嵌入空間１５に挿入された状態でケース本体７ａを強く押し下げると、該起立壁板１６の先端縁が揺動片３４の爪部３５のガイドテーパ面３５ａを強く押圧するので（上述した図９（Ａ）参照）、前述のようにガイド面７６を介してピン７３を弾性支持部６６ｂに抗してＺ２方向に移動させながら、揺動片３４がＹ１方向に揺動し、係止窓孔３６に嵌入される。嵌入後は、揺動片３４がＹ２方向に戻るので、ピン７３も弾性支持部６６ｂによりＺ１方向に復帰する。

このように施錠ロックされた状態で、セルフロック手段６３のロック部６５ｂがロック位置にあり、揺動片３４がＹ１方向に移動することを妨げる。つまり、揺動片３４は、弾性支持部６６ｂの弾力に抗してピン７３をＺ２方向に移動させるような強い力を受けない限り、Ｙ１方向には移動しない。

（セルフロック手段の第３実施形態：ロック解錠時の作用）
施錠ロック状態を解除するために、図２４に示すような解錠装置３が提供される。解錠装置３は、上述した解錠部４０に加えて、施錠部９の側部に向けてＺ方向から臨む延長解錠部７７を設けており、該延長解錠部７７の内部に永久磁石７８を備えており、該磁石７８によりロック解除手段４７を構成する。

解錠装置３により施錠ロック状態を解除するときは、図２４に示すように、底部材４ａを解錠装置３のテーブル部３９に載置した状態で、商品展示ケース１をＹ１方向にスライド移動する。図１ないし図１０に示した実施形態に関して上述したように、突片４１が作動部１２をＹ２方向に押し込むことにより、第１施錠手段１０の施錠ロックが解除される。セルフロック手段６３は、延長解錠部７７の磁石７８によりアンロック作動部６９ｂの磁性片７５が引き寄せられ、弾性支持部６６ｂに抗してＺ２方向に移動し、ロック部６５ｂをアンロック位置に移動することにより、揺動片３４のＹ１方向への移動を許すので、磁性片３４ａが磁石４２に引き寄せられ、揺動片３４をＹ１方向に揺動させ、爪部３５を係止窓孔３６から離脱させることにより、第２施錠手段１１の施錠ロックが解錠される。

（解錠装置の不正使用防止装置）
本発明によれば、解錠装置３の不正使用防止装置８１が提供される。図２５ないし図２８に示すように、不正使用防止装置８１は、解錠装置３の底面に固着される固定部材８２と、該固定部材に開閉自在に枢結されるカバー部材８３とから構成され、前記固定部材８２とカバー部材８３の相互に係脱自在に係止する錠前手段８４を設けている。

固定部材８２及びカバー部材８３は、鋼板等により堅牢に構成されており、金属製の枢軸８５により相互に枢結され、解錠装置３に取付けられた状態で、ハンマー等で殴打しても、簡単容易に崩壊しない高い剛性を有している。

前記固定部材８２は、解錠装置３の解錠部４０を底部から覆うベース部８６と、該ベース部８６の両側から起立するブラケット８７、８７と、前記ベース部８６から施錠部４０の背面壁４０ｂに臨んで起立する固定壁部８８を形成しており、前記ブラケット８７、８７に前記枢軸８５を軸支する軸支孔８９を設けている。

図示実施形態の場合、前記固定壁部８８は、上端縁からブラケット８７、８７の間に向けて断面ほぼ倒立Ｕ形に折曲された被覆壁９０を形成し、固定壁部８８の内面から離れた個所に位置してベース部８６に位置決め片９１を固設している。

図２７（Ａ）に示すように、固定壁部８８は、ベース部８６を解錠装置３の底面に沿わせた状態で、位置決め片９１を解錠部４０の背面壁４０ｂに当接させることにより位置決めされ、ベース部８６をビス等の固着手段９２により固着される。図例の場合、固着手段９２を解錠部４０の底面にねじ込んでいるが、ベース部８６を延長することによりテーブル部３９の底面にねじ込むように構成しても良い。

固定部材８２を解錠装置３に固着した状態で、固定壁部８８と背面壁４０ｂの間には施錠空間９３が形成され、該施錠空間９３に錠前手段８４が配設されている。図示実施形態の場合、錠前手段８４は、固定壁部８８に装着されているが、ベース部８６に装着しても良い。

錠前手段８４は、固定壁部８８の背面側の外部からキー９４を挿入して回動することにより作動するシリンダー錠等の錠前から成り、前記施錠空間９３の上方に向けて係止片８４ａを出没させるように構成されている。

前記カバー部材８３は、解錠部４０の正面壁４０ａを被う正面カバー部９５と、解錠部４０の上方を被う上部カバー部９６と、前記固定部材８２のブラケット８７、８７に重ね合わせられる側壁９７を備えており、該側壁９７に前記枢軸８５に軸支される軸支孔９８を設けている。この軸支孔９８は、テーブル部３９の延長方向に向けて長く延びる長孔を形成することにより、カバー部材８３の姿勢変更手段９９を構成する。

前記カバー部材８３の上部カバー部９６は、後縁を前記施錠空間９３に臨ませたとき前記錠前手段８４の係止片８４ａに係脱自在に係止されるロック手段１００を設け、前記正面カバー部９５は、下縁から突片４１の下方に進入する破壊手段１０１を設けている。図例の場合、前記ロック手段１００は、上部カバー部９６の後縁を下向きに折曲することにより形成され、前記破壊手段１０１は、正面カバー部９５の下縁を正面壁４０ａに向けて横向きに折曲することにより形成されている。

前記固定部材８２とカバー部材８３は、ブラケット８７、８７の内側に側壁９７、９７を重ね合わせ、軸支孔８９、９８を相互に合致させた状態で、枢軸８５、８５を挿着することにより連結されている。図示省略しているが、枢軸８５、８５は、挿入端をカシメ又はその他の手段により抜止め加工される。

不正使用防止装置８１は、固定部材８２にカバー部材８３を枢結した状態で、ベース部８６を解錠装置３の底面に固着手段９２により取付固着され、カバー部材８３を開閉することにより、解錠装置３の使用可能状態と使用不能状態を選択的に可能とする。

即ち、カバー部材８３は、前記破壊手段１０１を突片４１の下方に進入させ且つ前記ロック手段１００を施錠空間９３に臨ませた閉姿勢Ｐ１（図２７（Ａ）及び図２６（Ｂ）参照）と、前記破壊手段１０１を突片４１の下方から退避させ且つ前記ロック手段１００を施錠空間９３から退避させた開閉待機姿勢Ｐ２（図２７（Ｂ）参照）と、正面カバー部９５を上向きとして前記正面壁４０ａを開放する開姿勢Ｐ３（図２７（Ｃ）及び図２６（Ａ）参照）との間で、姿勢変更可能である。このような姿勢変更は、図示実施形態の場合、軸支孔９８を長孔とすることにより構成された姿勢変更手段９９により可能とされ、図２７（Ａ）（Ｂ）に示すように、カバー部材８３は、枢軸８５に対して軸支孔９８の長孔に沿って閉姿勢Ｐ１と開閉待機姿勢Ｐ２の間を移動自在とされ、開閉待機姿勢Ｐ２の位置から、図２７（Ｃ）に示すように、枢軸８５を支点として、開姿勢Ｐ３に向けて回動自在とされている。

そこで、カバー部材８３を閉姿勢Ｐ１に位置させると、正面カバー部９５により突片４１を含む正面壁４０ａが被覆されるので、解錠装置３は、商品展示ケース１の開閉ロックを解錠する機能を有しない。この閉姿勢Ｐ１の状態で、キー９４により錠前手段８４の係止片８４ａを突出させると、図２８（Ａ）に示すように、係止片８４ａがロック手段１００に係止することにより、カバー部材８３を開放待機姿勢Ｐ２に向けて移動不能となるように固定ロックする。従って、キー９４により固定ロックを解除しない限り、解錠装置３は、解錠機能を有しない。この状態で、カバー部材８３は、破壊手段１０１をキー突片４１の下方に進入させることにより上動が阻止されているので、不正者がカバー部材８３を無理に上動させたときは、破壊手段１０１がキー突片４１を折損し破壊する。このため、無理にカバー部材８３を上動させることにより解錠部４０の正面壁４０ａを開放したときは、突片４１が折損し、解錠装置３は、最早、商品展示ケース１の開閉ロックを解錠するために使用できなくなる。

解錠装置３を所期の目的のために使用するときは、キー９４により錠前手段８４の係止片８４ａをロック手段１００から離脱させ、カバー部材８３を開放待機姿勢Ｐ２の位置に移動させた後、開姿勢Ｐ３となるように回動させれば良く、これにより解錠部４０の正面壁４０ａが開放されるので、商品展示ケース１の施錠ロックを解錠するために使用することができる。尚、カバー部材８３を開姿勢Ｐ３から閉姿勢Ｐ１まで姿勢変更させるときは、前記と逆の動作を行わせる。

図２７（Ｃ）に示すように、開姿勢Ｐ３に位置させた状態で、カバー部材８３が起立姿勢を保持するように、ロック手段１００が解錠部４０の頂面４０ｃに載置される保持座１０２を形成するように構成することが好ましい。

本発明の不正使用防止装置８１は、権限を有する店員等がキー９４を管理することにより、解錠装置３を所定の使用可能状態と使用不能状態の間で選択可能とするが、例えば、店舗の閉店時には、カバー部材８３を閉姿勢Ｐ１として錠前手段８４により固定ロックすることができる。

深夜等に窃盗グループ等が店舗に侵入し、カバー部材８３を固定ロックした状態の解錠装置３を盗み出す可能性がある。不正使用防止装置６１と解錠装置３は、底面の固着手段９２により固着されているので、窃盗者は該固着手段９２の取り外しを試みる。しかしながら、固着手段９２の取り外しに成功したとしても、不正使用防止装置８１は、解錠装置３の解錠部４０を上下からカバー部材８３と固定部材８２により包囲しており、しかも、位置決め片９１と破壊手段１０１により解錠部４０の背面壁４０ｂと正面壁４０ａを挟持し、破壊手段１０１を突片４１の下方に進入させ、カバー部材８３の上動を阻止している。従って、窃盗者が枢軸８５を変形又は破断させることによりカバー部材８３を無理に開けようとするときは、図２８（Ｂ）に示すように、解錠装置３がカバー部材８３から下向きに引き離されるので、破壊手段１０１により突片４１が折損し破壊される。

あるいは、窃盗者が工具等により固定部材８２のベース部８６を無理に変形させることにより解錠装置３を不正使用防止装置８１から抜き取ろうとしたときは、この場合も、図２８（Ｃ）に示すように、解錠装置３がカバー部材８３から下向きに引き離されるため、破壊手段１０１により突片４１が破壊される。

その結果、解錠装置３は、最早、商品展示ケース１の開閉ロックを解錠するために使用できなくなり、その後の商品窃盗犯罪に利用されることはない。

１　商品展示ケース
２　施錠機構
３　解錠装置
４　第１ケース構成体
４ａ　底部材
５　開口部
６　収納室
７　第２ケース構成体
７ａ　ケース本体
９　施錠部
１０　第１施錠手段
１０ａ　係止手段
１０ｂ　被係止手段
１１　第２施錠手段
１１ａ　係止手段
１１ｂ　被係止手段
１２　作動部
１３　内側壁板
１４　外側壁板
１５　嵌入空間
１６　起立壁
１７　防犯タグ
１８　取付部
２０　溝
２１　板壁
２２　枠壁
２３　凹部
２４　凸部
２５　係止爪
２６　係止孔
２７　切欠状開口部
２９　係止部
２９ａ　挿入空間
２９ｂ　係止部
３０　揺動アーム
３１　フック片
３２　フック部
３４　揺動片
３４ａ　磁性片
３５　爪部
３６　係止窓孔
３７ａ　溝
３７ｂ　舌片
３９　テーブル部
４０　解錠部
４１　突片
４２　磁石
４６　進退部材
４７　ロック解除手段
５０　厚肉部
５７　脆弱ヒンジ部
５９　突起
６０，６０ａ、６０ｂ　永久ロック手段
６３　セルフロック手段
６４、６４ａ、６４ｂ　ロック体
６５、６５ａ、６５ｂ　ロック部
６６、６６ａ、６６ｂ　弾性支持部
６９、６９ａ、６９ｂ　アンロック作動部
８１　不正使用防止装置
８２　固定部材
８３　カバー部材
８４　錠前手段
９２　固着手段
１０１　破壊手段

Claims (15)

1. 施錠機構(2)を備えた商品展示ケース(1)と、前記施錠機構を解錠するための解錠装置(3)とから成る構成において、
   前記商品展示ケース(1)は、第１ケース構成体(4)と第２ケース構成体(7)をＸ方向に向けて嵌脱自在に嵌合することにより商品収納室(6)を形成すると共に、該商品展示ケースの内側に防犯タグ(17)の取付部(18)を設け、
   前記施錠機構(2)は、前記Ｘ方向に交差するＹ方向に臨む施錠部(9)に位置して、第１ケース構成体(4)と第２ケース構成体(7)を嵌合したとき前記Ｙ方向に沿って商品展示ケースの外部に向かうＹ１方向と内部に向かうＹ２方向に関して係止する突片解錠式の第１施錠手段(10)と磁石解錠式の第２施錠手段(11)を設けており、
   前記第１施錠手段(10)は、第１ケース構成体と第２ケース構成体の相互に、前記Ｙ方向に揺動自在かつＹ１方向に付勢された係止手段(10a)と、Ｙ１方向に対向して該係止手段(10a)を係止させる被係止手段(10b)を構成し、前記係止手段(10a)は、前記施錠部の外部からＹ２方向の押圧力を受取可能な作動部(12)を備え、
   前記第２施錠手段(11)は、第１ケース構成体と第２ケース構成体の相互に、前記Ｙ方向に揺動自在かつＹ２方向に付勢された係止手段(11a)と、Ｙ２方向に対向して該係止手段を係止させる被係止手段(11b)を構成し、前記係止手段(11a)は、前記施錠部の外部から磁石を作用させたとき、該磁石に磁着可能な磁性片(34a)を設けており、
   前記解錠装置(3)は、施錠部(9)をＹ方向に進退可能として商品展示ケース(1)をスライド自在に載置させるテーブル部(39)と、前記施錠部(9)に対向する解錠部(40)とを備え、該解錠部(40)は、前記第１施錠手段(10)の作動部(12)に臨む突片(41)と、前記第２施錠手段(11)の磁性片(34a)に臨む磁石(42)を設けて成ることを特徴とする商品展示ケースの盗難防止装置。
2. 商品(M)を載置する底部材(4a)により第１ケース構成体(4)を構成し、前記商品(M)を透視可能に囲繞すると共に下向き開口部(5)を有する収納室(6)を形成したケース本体(7a)により前記第２ケース構成体(7)を構成し、Ｘ方向に向けてケース本体(7a)の開口部(5)を底部材(4a)に嵌合させるように構成され、
   前記施錠部(9)は、ケース本体(7a)に設けられた内側壁板(13)及び外側壁板(14)と、両壁板(13)(14)の間に形成された嵌入空間(15)と、前記嵌入空間に対してＸ方向から嵌脱自在に嵌入されるように底板(4a)に設けられた起立壁板(16)とから構成されており、
   前記外側壁板(14)と底板(4a)の相互に、前記第１施錠手段(10)の係止手段(10a)と被係止手段(10b)を設け、
   前記内側壁板(13)と起立壁板(16)の相互に、前記第２施錠手段(11)の係止手段(11a)と被係止手段(11b)を設けて成ることを特徴とする請求項１に記載の商品展示ケースの盗難防止装置。
3. 前記第１施錠手段(10)は、前記起立壁板(16)に揺動自在かつＹ２方向に付勢されると共にＹ２方向に突出する爪部(35)を備えた揺動片(34)により前記係止手段(10a)を構成し、前記内側壁板(13)に形成されると共に前記爪部(35)を嵌合係止させる係止窓孔(36)により前記被係止手段(10b)を構成して成ることを特徴とする請求項２に記載の商品展示ケースの盗難防止装置。
4. 前記第２施錠手段(11)は、前記外側壁板(14)の内側に進退自在かつＹ１方向に付勢されると共に該外側壁板(14)との間に挿入空間(29a)を介して設けられた進退部材(46)の係止片(29)により前記係止手段(11a)を構成し、前記底部材(4a)の端部(4b)から起立されると共に前記挿入空間(29a)に挿入されることにより前記係止片(29)に係止するフック片(31)により前記被係止手段(11b)を構成しており、
   前記進退部材(46)に作動部(12)を設けると共に、前記外側壁板(14)に前記作動部(12)に臨む開口部(27)を形成し、該開口部(27)に解錠装置(3)の突片(41)を挿入可能となるように構成して成ることを特徴とする請求項２又は３に記載の商品展示ケースの盗難防止装置。
5. 前記外側壁板(14)をケース本体(7a)に着脱可能に取付け、該外側壁板(14)の内側に防犯タグ(17)の取付部(18)を設けて成ることを特徴とする請求項２、３又は４に記載の商品展示ケースの盗難防止装置。
6. 前記第１ケース構成体(4)と第２ケース構成体(7)を嵌合した状態で、施錠部の隙間(S)から不正治具を挿入することにより、前記第２施錠手段の係止手段(11a)をＹ２方向に押し込んだとき、該係止手段(11a)を被係止手段(11b)に係止した状態でＹ１方向に揺動不能となるようにロックする永久ロック手段(60)を設けて成ることを特徴とする請求項１、２、３、４又は５に記載の商品展示ケースの盗難防止装置。
7. 前記係止手段(11a)は、Ｙ方向に揺動自在な揺動片(34)により構成されると共に、該揺動片(34)からＹ２方向に突出する爪部(35)を設け、
   前記被係止手段(11b)は、前記爪部(35)を受入れ係止する係止窓孔(36)により構成されており、
   不正治具により前記揺動片(34)をＹ２方向に押し込んだとき、該揺動片(34)をＹ１方向に揺動不能となるように、該揺動片(34)と係止窓孔(36)を相互を係止する突起(59)により永久ロック手段(60a)を構成して成ることを特徴とする請求項６に記載の商品展示ケースの盗難防止装置。
8. 前記係止手段(11a)は、Ｙ方向に揺動自在な揺動片(34)により構成されると共に、該揺動片(34)からＹ２方向に突出する爪部(35)を設け、
   前記被係止手段(11b)は、前記爪部(35)を受入れ係止する係止窓孔(36)により構成されており、
   不正治具により前記揺動片(34)をＹ２方向に押し込んだとき、該揺動片(34)をＹ１方向に揺動不能となるように破損(63)させる脆弱ヒンジ部(57)により永久ロック手段(60b)を構成して成ることを特徴とする請求項４に記載の商品展示ケースの盗難防止装置。
9. 前記揺動片(34)の下側に臨む遮壁(54)を設け、該揺動片(34)のＹ１方向に向かう外側壁面の下端部を前記遮壁(54)の外側面に臨ませると共に、該下端部から上部に向けてＹ１方向に傾斜するガイド面(58)を形成して成ることを特徴とする請求項６、７又は８に記載の商品展示ケースの盗難防止装置。
10. 前記磁石解錠式の第２施錠手段(11)にセルフロック手段(63)が設けられ、該セルフロック手段(63)は、前記第２施錠手段の係止手段(11a)が被係止手段(11b)に係止した状態で、該係止手段(11a)のＹ１方向への揺動を妨げるロック位置とＹ１方向への揺動を許すアンロック位置の間で移動可能かつ前記ロック位置に向けて付勢されたロック体(64)を備えており、
    前記解錠装置(3)は、前記セルフロック手段(63)のロック体(64)をアンロック位置に移動させるロック解除手段(47)を解錠部(40)に設けて成ることを特徴とする請求項１、２、３、４、５、６、７、８、９又は１０に記載の商品展示ケースの盗難防止装置。
11. 前記セルフロック手段(63)は、前記第２施錠手段(11)の係止手段(11a)の両側縁に臨む一対のロック体(64,64)を備え、該ロック体(64,64) は、Ｘ方向及びＹ方向に交差するＺ方向で前記ロック位置とアンロック位置の間を移動可能なロック部(65)と、該ロック部(65)をロック位置に向けて付勢する弾性支持部(66,66)を備え、
    前記第１施錠手段(10)の作動部(12)に、Ｙ２方向に延出されたアンロック作動部(69)を設けており、
    前記解錠部(40)の突片(41)により前記作動部(12)をＹ２方向に押動したとき、前記アンロック作動部(69)が一対の弾性支持部(66,66) を押し広げることにより、ロック部(65,65)をアンロック位置に移動させるように構成して成ることを特徴とする請求項１０に記載の商品展示ケースの盗難防止装置。
12. 前記セルフロック手段(63)は、前記第２施錠手段(11)の係止手段(11a)に対向するロック体(64a)を備え、該ロック体(64a)は、Ｙ方向で前記ロック位置とアンロック位置の間を移動可能なロック部(65a)と、該ロック部(65a)をロック位置に向けて付勢する弾性支持部(66a)と、Ｙ２方向に押動されたとき前記ロック部(65a)をアンロック位置に移動させるアンロック作動部(69a)を備えており、
    前記解錠部(40)の突片(41)により前記アンロック作動部(69a)を弾性支持部(66a)に抗してＹ２方向に押動可能とするように構成されて成ることを特徴とする請求項１０に記載の商品展示ケースの盗難防止装置。
13. 前記セルフロック手段(63)は、前記第２施錠手段(11)の係止手段(11a)の側縁に臨むロック体(65b)を備え、該ロック体(65b)は、Ｘ方向及びＹ方向に交差するＺ方向で前記ロック位置とアンロック位置の間を移動可能なロック部(65b)と、該ロック部(65b)をロック位置に向かうＺ１方向に付勢する弾性支持部(66b)と、ロック位置から離反するＺ２方向に対向して磁石を臨ませたとき前記弾性支持部に抗してロック部(65b)をアンロック位置に移動させる磁性片(75)を備えたアンロック作動部(69b)を設けており、
    前記解錠装置(3)は、前記セルフロック手段(63)の磁性片(75)に臨む磁石(78)を備えた延長解錠部(77)を設けて成ることを特徴とする請求項１０に記載の商品展示ケースの盗難防止装置。
14. 前記解錠装置(3)は、不正使用防止装置(81)を設けており、該不正使用防止装置(81)は、前記解錠装置(3)の底面に固着手段を介して固着される固定部材(82)と、該固定部材に枢軸(85)を介して開閉自在に連結されたカバー部材(83)と、前記固定部材とカバー部材を相互に係脱自在に係止する錠前手段(84)とから成り、
    前記カバー部材(83)は、前記解錠装置(3)の少なくとも前記突片(41)を含む正面壁(40a)を被覆する閉姿勢(P1)と開放する開姿勢(P3)との間で姿勢変更可能であり、前記閉姿勢(P1)に位置させた状態で前記錠前手段(84)により姿勢変更不能に固定ロックされるように構成され、更に、前記カバー部材(83)は、前記閉姿勢(P1)に位置させた状態で、前記突片(41)の下方に進入する破壊手段(101)を設けており、前記錠前手段(84)により固定ロックした状態で、前記解錠装置(3)をカバー部材(83)から下向きに引き離すと、前記破壊手段(101)が前記突片(41)を破壊するように構成されて成ることを特徴とする請求項１に記載の商品展示ケースの盗難防止装置。
15. 前記カバー部材(83)は、開姿勢(P3)に位置させられたとき、前記解錠部(40)の頂面(40c)に載置されることにより、該カバー部材(83)を開姿勢(P3)に保持する保持座(102)を備えて成ることを特徴とする請求項１４に記載の商品展示ケースの盗難防止装置。

Images