WO2010103939A1 - エッチング装置およびエッチング方法 - Google Patents

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Abstract

 噴射角85~130°の充円錐スプレーノズルを、各スプレーノズルから噴射される被エッチング面上のスプレーパターンの面積が、当該スプレーノズルの噴射軸と被エッチング面との交点で示される当該スプレーノズルの中心点および各隣接スプレーノズルの噴射軸と被エッチング面との交点で示される各隣接スプレーノズルの中心点から等距離にある被エッチング面上の点で構成された各中間線で囲まれる面積の4倍以上になるように配置してなるエッチング装置およびこのエッチング装置を用いて行うエッチング方法により、より矩形に近い断面形状の微細な導体パターンを有するプリント配線板を効率よく製造することができる。かかるエッチング装置は、銅と反応してエッチングを阻害する物質を形成する化合物を含むエッチング液を用いると、より矩形に近い断面形状の導体パターンを得ることができる。

Description

エッチング装置およびエッチング方法
 本発明は、エッチング装置およびエッチング方法に関する。
 金属材料に凹凸を形成するための技術として、エッチング技術が使われている。とりわけ、プリント配線板の製造においては、欠陥の発生が少なく、また、工程にかかる時間が短い利点があることから、エッチング技術が広く使われている。エッチング技術を用いたプリント配線板の製造においては、絶縁性の基板上に、銅箔等の金属箔を接着等の方法で積層した後、金属箔表面の導体パターンとして残存させる部分に、印刷技術、フォトリソグラフィー技術などを用いてレジストパターンを形成した後、エッチングにより、レジストパターンで保護されていない部分の金属箔を溶解除去することで導体パターンを形成する。
 近年になり、電子機器の高度化、小型化に対応するため、プリント配線板にも導体パターンの微細化が求められている。微細化に際しては、絶縁信頼性と低い導体抵抗の両立が問題となっている。エッチング技術によりプリント配線板を製造する場合、導体パターンの断面形状は、トップ幅(導体パターンの表面側の幅を言う)がボトム幅(導体パターンの基板側の幅を言う)より狭い台形状になる場合が多い。また、ボトム幅がトップ幅より狭い逆台形状、中央部が上面や下面より細い糸巻き状、中央部が上面や下面より太い樽状になる場合もある。
 隣接導体パターン間の絶縁信頼性は、両導体パターン間の距離が最も接近している部分で決まり、また、導体抵抗は導体パターンの断面積で決まる。よって、隣接導体パターン間の距離が厚み方向のどの点でも等しい場合、すなわち、導体パターンの断面形状が矩形の場合に、高い絶縁信頼性と低い導体抵抗を最も高い水準で両立させることができる。一方、導体パターンの断面形状が台形状、逆台形状、糸巻き状、樽状等の場合には、高い絶縁信頼性と低い導体抵抗を高い水準で両立させることは難しい。
 矩形に近いエッチング形状を得るための技術として、銅と反応してエッチングを阻害する物質を形成する化合物を添加したエッチング液が提案されている。例えば、チオ尿素を添加した塩化鉄(III)水溶液(例えば、特許文献1参照)、ホルムアミジンジサルファイドを添加した塩化鉄(III)水溶液(例えば、特許文献2参照)、エチレンチオ尿素を添加した塩化鉄(III)水溶液(例えば、特許文献3参照)、チオ尿素および非イオン性または陰イオン性の界面活性剤を添加した塩化鉄(III)水溶液(例えば、特許文献4参照)、2-アミノベンゾチアゾール化合物、ポリエチレングリコールおよびポリアミン化合物を添加した塩化銅(II)水溶液(例えば、特許文献5参照)、2-アミノベンゾチアゾール化合物、ベンゾトリアゾール化合物、エタノールアミン化合物、グリコールエーテル化合物およびN-メチル-2-ピロリドンまたはジメチルホルムアミドを添加した塩化銅(II)水溶液(例えば、特許文献6参照)等のエッチング液が開示されている。
 また、特許文献2では、エッチング方法についても言及されていて、ホルムアミジンジサルファイド塩を添加した塩化鉄(III)水溶液を、被エッチング面に対し、垂直またはこれに近い方向で噴射することが好ましいことが開示されている。他のエッチング液を用いる場合でも、エッチング液を被エッチング面に対し、極力垂直に近い方向で噴射することで、エッチング形状が矩形に近づく傾向があることが知られており、これを実現するために噴角の狭いスプレーノズルが用いられてきた(例えば、特許文献7参照)。また、矩形に近いエッチング形状を得るための技術として、エッチング液を気体と共に噴射することで、エッチング液の液滴を高速に飛翔させる技術(例えば、特許文献8参照)やこの気体をあらかじめ加熱することでエッチング液の温度低下を防ぎ、エッチング性を向上させる技術(例えば、特許文献9参照)等が提案されている。さらに、スプレーノズルから噴射されたエッチング液のスプレーパターンが互いに重なり合わないようにすることで、矩形に近いエッチング形状を得ようとする提案もなされている(例えば、特許文献10参照)。
米国特許第2746848号明細書 特公昭37-15009号公報(特許請求の範囲、第2頁左欄、第10~18行) 特公昭39-27516号公報 特公昭50-20950号公報 特開平6-57453号公報 特開2006-274291号公報 特開昭58-221280号公報 特開2002-256458号公報 特開2006-77299号公報 特開2002-69673号公報
 背景技術のうち、銅と反応してエッチングを阻害する物質を形成する化合物を添加したエッチング液を用いる技術では、特許文献2で開示されているように、エッチング液を被エッチング面に対し、垂直またはこれに近い方向で噴射することが好ましい。しかし、被エッチング面のいずれの場所に対しても垂直に近い方向でエッチング液が噴射されるためには、スプレーノズルを極めて高密度に配置する必要がある。スプレーノズルは洗浄等の定期的な保守を必要とするので、これを多数配置してなるエッチング装置は、煩雑な保守作業を必要とする。
 また、背景技術のうち、エッチング液を加圧した気体と共に噴射する技術では、多量の気体をエッチング装置中に供給する結果として、エッチング液から揮発した塩化水素等の腐食性ガスや、エッチング液のミストを含む排気が多量に発生する。これにより、大規模な排気処理装置が必要になる上に、塩化水素等の揮発によるエッチング液の組成変化のために、安定したエッチングも困難になる。
 本発明は、背景技術を実施するにあたって生じるこれら課題、すなわち、煩雑な保守作業を必要としたり、大規模な排気処理装置を必要としたり、安定したエッチングが困難であったりする課題を解決しつつ、導体パターンの断面形状が矩形に近くなるエッチングを行おうとするものである。
 本発明の発明者らは、エッチングに付随する各種の物理・化学現象について詳細に検討し、良好なエッチング形状を得るためには、被エッチング面に対しエッチング液を噴射する場合に、被エッチング面に対して垂直な方向の速度成分(以下、「垂直速度成分」と記す)を大きくすることと同程度またはそれ以上に、被エッチング面上での被エッチング面に平行なエッチング液の流れ(以下、「表面流れ」と記す)の速度成分(以下、「表面速度成分」と記す)を小さくすることが重要であることを見出し、以下に記すエッチング装置およびエッチング方法を発明するに至った。
 すなわち、被エッチング面に下方からエッチング液を噴射するためのエッチング装置であって、被エッチング面に噴射されたエッチング液の被エッチング面に対して垂直な方向の速度成分に対し、被エッチング面の表面に平行な流れの速度成分が小さくなるようにエッチング液を噴射することを特徴とするエッチング装置とこの装置を用いて行うエッチング方法を見出した。
 また、表面流れをできる限り小さくする手段として、被エッチング面に下方からエッチング液を噴射するためのエッチング装置であって、複数のスプレーノズルが配置された面と被エッチング面とが略平行であり、スプレーノズルが噴角85°~130°の充円錐スプレーノズルであり、各スプレーノズルから噴射されるエッチング液の被エッチング面上のスプレーパターンの面積Sと、当該スプレーノズルの噴射軸と被エッチング面との交点で示される当該スプレーノズルの中心点および各隣接スプレーノズルの噴射軸と被エッチング面との交点で示される各隣接スプレーノズルの中心点から等距離にある被エッチング面上の点で構成された各中間線で囲まれた領域の面積Sとの比(S/S)が4以上になるようにスプレーノズルを配置してなるエッチング装置とこの装置を用いて行うエッチング方法を見出した。これにより、表面流れが抑制され、断面形状が矩形に近い導体パターンを得ることができる。
 かかるエッチング装置およびエッチング方法において、S/Sが9以上になるようにスプレーノズルを配置すること、さらには、S/Sが16以上になるようにスプレーノズルを配置することが好ましいことを見出した。
 本発明のエッチング装置を用いて行うエッチング方法では、銅と反応してエッチングを阻害する物質を形成する化合物を添加したエッチング液を用いることが好ましいことを見出した。
 本発明のエッチング装置は、スプレーノズルが高密度に配置されていないので、保守が容易である。また、大規模な排気処理装置も必要としない。そして、本発明のエッチング装置およびエッチング方法では、表面流れが高度に抑制され、断面形状が矩形に近い導体パターンを安定して得ることができる。
スプレーパターンに関する側面図である。 スプレーパターンに関する平面図である。 スプレーノズルを正方格子の各区画の中心点に配置した場合のスプレーノズル配置および隣接スプレーノズルとの中間線で囲まれた領域を示す図である。 スプレーノズルを六方格子の各区画の中心点に配置した場合のスプレーノズル配置および隣接スプレーノズルとの中間線を示す図である。 を外周線5c内の面積をスプレーノズルの個数により除して求める例の説明図である。 /Sが4である場合の、図4のスプレーノズル配置によるスプレーパターンを示す図である。 /Sが9である場合の、図4のスプレーノズル配置によるスプレーパターンを示す図である。 スプレーノズル間の間隔が不均等なスプレーノズルの配置の一例である。 スプレーノズル間の間隔が不均等なスプレーノズルの配置の一例である。 一部のスプレーノズルにおいて、隣接スプレーノズルとの間隔が均一でない場合の一例を示す図である。 隣接スプレーノズル間の間隔が被エッチング材の搬送方向に沿って次第に拡大する場合の一例を示す図である。 基板上の導体パターンの断面図である。 従来のエッチング装置におけるエッチング液流れの概略側面図である。 従来のエッチング装置における被エッチング面でのエッチング液流れの概略平面図である。
 はじめに、被エッチング面上に対してエッチング液を噴射する場合に、被エッチング面の表面に沿ったエッチング液の表面流れの影響により、導体パターンの断面形状が(糸巻き状等の)矩形ではない形状になる問題を有する、従来のエッチング装置におけるエッチング液の流れを説明する。
 図13は従来のエッチング装置におけるエッチング液流れの概略側面図であり、図14は被エッチング面でのエッチング液流れの概略平面図である。13dおよび14cは、被エッチング面到達後のエッチング液の流れの概略を表している。スプレーノズル13aから噴射されたエッチング液は、スプレー13bとなり、被エッチング材13eの被エッチング面13fに到達後、スプレーノズルのオリフィスと対向する点13gおよび14a(以下、「スプレーノズルの中心点」と記す)を中心に放射状に流れる。そして、隣接スプレーノズルとの中間線13cおよび14b付近で、隣接スプレーノズルから噴射された液と合流し、重力により落下して被エッチング面13fから離れる。
 ここで、「スプレーノズルと隣接スプレーノズルとの中間線」とは、被エッチング面13f上の線であって、スプレーノズルの中心点13gおよび14aと隣接スプレーノズルの中心点とから等距離にある点で構成された直線を意味し、具体的には、スプレーノズルの中心点と隣接スプレーノズルの中心点とを結ぶ直線の垂直二等分線に該当する。表面流れを抑制するためには、スプレーノズルの中心点13gおよび14aと、隣接スプレーノズルとの中間線13cおよび14b付近にある前記合流する点との距離(以下、「表面流れの行程」と記す)を短くすることが必要であり、言い換えれば、隣接スプレーノズルとの間隔を狭くすることが効果的である。
 しかし、隣接スプレーノズルとの距離を狭くした場合、以下のような問題が生じる。すなわち、隣接スプレーノズルとの距離を狭くするということは、同じ面積において、より多数のスプレーノズルを設けるということであり、当然、単位面積あたりのエッチング液噴射量が多くなる。単位面積あたりのエッチング液噴射量が多くなると、被エッチング面に厚い液膜が形成され、この厚い液膜により、垂直流れが減殺されて、微細なスペースのエッチングが進行しにくくなるという問題が発生する。また、表面流れの影響が相対的に大きくなって、導体パターンの断面形状が糸巻き状になりやすくなるという問題も発生する。また、多数のスプレーノズルを設けることには、その保守に要する労力が増大するという問題もある。
 単位面積あたりのエッチング液噴射量を減らすために、同じスプレーノズルへのエッチング液の供給圧(以下、「スプレー圧」と記す)でも噴射量の少ないスプレーノズルを用いることも、理論的には可能である。スプレーノズルの噴射量を少なくするためには、そのオリフィス径を小さくしなければならないが、オリフィス径の小さいスプレーノズルは、エッチング液に含まれる夾雑物による詰まりが生じやすい上、オリフィスがわずかでも磨耗あるいは損傷すると、流量やスプレーパターンの均一性に大きな影響を及ぼすため、スプレーノズルを頻繁に新品に交換しなければならない等、保守に要する労力や部品コストが著しく増大することから、全く実用的でない。
 スプレー圧を低くしたり、スプレーノズルの内部に、スプレー圧を減殺するような構造を設けたりすることによって、単位面積あたりのエッチング液噴射量を減らすこともできるが、垂直流れを維持することができなくなって、垂直速度成分が小さくなりすぎるという問題が発生する。
 そこで、本発明の発明者らは、各スプレーノズルにより形成されるスプレーパターンと各スプレーノズルの配置との関係を適切に定めることにより、上記の問題を解決して、表面流れを抑制して、断面形状が矩形に近い導体パターンを得ることができることを見出した。下記に、その詳細を示す。
 本発明において、エッチング装置における複数のスプレーノズルが配置された面と被エッチング面とは、略平行の関係にある。本発明において、スプレーパターンとは、被エッチング面において、スプレーノズルから噴射された液滴の95質量%がこの内側に着弾する領域であり、スプレーノズルの噴射軸を中心とした円形の領域である。言い換えれば、スプレーノズルから噴射されたエッチング液の円形の広がりにおける中心に位置する軸がスプレーノズルの噴射軸である。図1はスプレーパターンに関する側面図であり、スプレーノズル1aから被エッチング材1bに向かって、噴角sでエッチング液が噴射されている。スプレーの輪郭が1dであり、スプレーノズル1aから被エッチング材1bの被エッチング面までの距離はhである。図2はスプレーパターンに関する平面図であり、図1の矢印A方向から見た透視図である。スプレーノズル2aによるスプレーパターンの輪郭が2bであり、この輪郭2bで囲まれた領域(網線部)の面積Sは、スプレーノズルの噴角sとスプレーノズル1aと被エッチング面との距離hを用い、S=π・{h・tan(s/2)}で表すことができる。本発明においては、垂直速度成分を可能な限り大きくするために、スプレーノズルの噴射軸1cは、被エッチング面に対して略垂直であることが好ましい。
 なお、図2におけるスプレーノズルの中心点は、スプレーノズルの噴射軸1cと被エッチング材1bの被エッチング面との交点で示される。本発明において、面積Sは、スプレーノズルの噴射軸1cと被エッチング面との交点で示されるスプレーノズルの中心点および各隣接スプレーノズルの噴射軸と被エッチング面との交点で示される各隣接スプレーノズルの中心点から等距離にある被エッチング面上の点で構成された各中間線で囲まれた領域の面積である。この中間線は、スプレーノズルの中心点および各隣接スプレーノズルの中心点を結ぶ各直線の(被エッチング面上の)垂直二等分線で示される。
 隣接スプレーノズルとは、そのスプレーノズルとの中間線の一部が、他のいずれのスプレーノズルとの中間線よりも内側にあるスプレーノズルを言う。隣接するスプレーノズルの中心点の間の距離をdとすると、図3のように、正方格子上の各区画の中心点にスプレーノズルの中心点がある場合には、スプレーノズルおよび各隣接スプレーノズルの中間線で囲まれた領域(網線部)の面積Sはdで求められる。また、図4のように、六方格子上の各区画の中心点にスプレーノズルの中心点がある場合には、スプレーノズルおよび各隣接スプレーノズルの中間線で囲まれた領域(網線部)の面積Sは√3/2d≒0.87dで求められる。
 複数のスプレーノズルについての平均の面積Sは、最も外周にあるスプレーノズルの中心点を結ぶ線(以下、「外周線」と記す)で囲まれる面積を、その内側にあるスプレーノズルの個数で除することによって求めることができる。なお、外周線の内側にあるスプレーノズルの個数については、外周線の内側に入っているスプレーパターンの割合を掛けて、個数を計算する。図5の例を用いて具体的に説明する。スプレーパターン5bの全領域が外周線5cの内側にあるスプレーノズル5aをA群のスプレーノズルといい、黒丸で表す。スプレーパターン5bの1/2が外周線5cの内側にあるスプレーノズル5aをB群のスプレーノズルといい、格子丸で表す。スプレーパターン5bの1/4が外周線5cの内側にあるスプレーノズル5aをC群のスプレーノズルといい、斜線丸で表す。A群のスプレーノズルが1個、B群のスプレーノズルが4個、C群のスプレーノズルが4個であるから、外周線の内側にあるスプレーノズルの個数は1+4×1/2+4×1/4=4と計算され、外周線5cで囲まれる面積を4で割ることで平均の面積Sが計算される。
 本発明では、充円錐スプレーノズルを用いてエッチング液を噴射するエッチング装置において、S/Sが4以上になるように、各スプレーノズルを配置する。これは、被エッチング面の各点に対し平均4以上のスプレーノズルからエッチング液が到達していることを意味する。図6は、S/Sが4である場合の各スプレーノズル6aから噴射されたエッチング液のスプレーパターン6bを示す図である。被エッチング面の周辺部を除くほぼ全ての点に対して、4以上のスプレーノズルから噴射されたエッチング液が到達することが分かる。スプレーノズルをこのように配置することで、各スプレーノズルに起因する表面流れが相殺されるので、矩形に近いエッチング形状が得られる。
 S/Sが大きい程表面流れがより高度に相殺され、より矩形に近いエッチング形状が得られる。特に、S/Sが9以上になることが好ましく、S/Sが16以上になることがさらに好ましい。S/Sが9および16という境界以上になることで、より遠方のスプレーノズルに起因する表面流れまでをも相殺し合うようになるので、より矩形に近いエッチング形状が得られるようになるものと推察される。図7は、S/Sが9である場合の各スプレーノズル7aから噴射されたエッチング液のスプレーパターン7bを示す図である。被エッチング面の周辺部を除く全ての点に対して、9以上のスプレーノズルから噴射されたエッチング液が到達することが分かる。
 ところで、S/Sが60以上と極端に大きくなった場合には、かえってエッチング形状が矩形に近くなる効果が得られにくくなることがある。かかる観点から、本発明において、S/Sは60未満であることが好ましい。
 本発明において、スプレーノズルの配置が均等でないと、スプレーノズルの間隔が密である部分から疎である部分に向かっての表面流れが生じてしまう。かかる観点から、本発明のエッチング装置においては、図3および図4に例を示した如く、スプレーノズルを均等に配置することが最も好ましい。しかし、本発明の効果が若干減殺されることを許容すれば、厳密に均等でないスプレーノズルの配置も許容される。具体的な例を示すと、2軸が直交しない格子の中心点状にスプレーノズル8aを配置した例である図8、正方格子9bの各格子点から若干外れた点にスプレーノズル9aを配置した例である図9のような配列を採用しても、本発明の効果を得ることができる。図8において、8bは隣接するスプレーノズルとの中間線である。とりわけ、S/Sを大きくすることで、常に多数のスプレーノズルから噴射されたエッチング液によりエッチングが行われるため、スプレーノズル配置が不均等であることの影響が小さくなるので、S/Sが9以上であることが好ましい。
 また、図10のように、スプレーノズル10aの一部が均等に配置されないような場合にも、本発明の効果を得ることができる。さらには、スプレーノズルの一部が閉塞したような場合にも、略均一なエッチングを継続することができ、矩形に近いエッチング形状を得ることができるのが、本発明のエッチング方法の優れた特長である。なお、これらの観点からも、S/Sは大きい方が好ましく、9以上であることが好ましい。
 また、互いに近接していないスプレーノズル間で、隣接スプレーノズルとの間隔に差があることも差し支えない。一例を挙げると、図11の如く、被エッチング材の搬送方向に向かって、徐々に隣接スプレーノズル11a間の間隔が拡大するようなスプレーノズルの配置を採用することも可能である。
 本発明のエッチング方法において、被エッチング材のうちレジストパターンを有する部分が、外周線の内側に入るようにエッチングすることが好ましい。外周線の外側に対してもエッチング液は噴射されているが、この部分では表面流れの抑制効果は得られないからである。なお、被エッチング材を搬送しながらエッチングを行う場合、装置の入口および出口付近において、外周線よりも外側でエッチングが行われることは避けがたいが、かかる領域においてエッチングされる時間は、エッチング時間全体と比較すると短いことから、本発明の効果発現に対する影響はない。
 本発明においては、エッチング液を噴射するためのスプレーノズルとして、噴角sが85°~130°の充円錐スプレーノズルを用いる。噴角sが110°~130°であることがより好ましい。充円錐スプレーノズルとは、先端のオリフィスから被噴射液の液滴を円錐状に噴射するスプレーノズルであって、噴射軸を中心とする略円形およびその内側に直接液が到達するよう構成されたものを言う。充円錐スプレーノズルは、フルコーンスプレーノズルとも呼ばれる。スプレーノズルとしては、充円錐スプレーノズルの他に、扇状スプレーノズル、角錐状スプレーノズル等も存在するが、これらのスプレーノズルは、噴射方向に異方性があるため、表面流れが相殺されにくく、本発明に用いるには不適である。
 噴角sが上記の範囲にある充円錐スプレーノズルは、一般的なスプレーノズルの噴角である40~70°と比較して広い噴角を有することから、通常、「広噴角形充円錐スプレーノズル」として販売されている。かかる広噴角形充円錐スプレーノズルの一例を挙げると、スプレーイングシステムスジャパン株式会社より入手できる型式GG-W、型式HH-W、型式QPHA-W、株式会社いけうちより入手できる型式BBXPがあるが、本発明において利用可能なスプレーノズルは無論これらに限定されるものではない。
 以下に、本発明のエッチング装置に用いるスプレーノズルとして、前記の範囲の噴角を有するものを用いる必要がある理由について説明する。
 噴角が85°未満のスプレーノズルを用いた場合、Sが小さくなるため、S/Sを4以上とするためには、面積Sを小さくしなければならない。すなわち、隣接するスプレーノズルの中心点の間の距離dを小さくして、多数のスプレーノズルを高密度に配置しなければならない。また、本発明の好ましい態様であるS/Sが9以上または16以上とするためには、スプレーノズル間距離dをさらに小さくしなければならない。この場合、単位面積当たりのエッチング液噴射量が多くなりすぎてしまい、被エッチング面に厚い液膜が形成される。この厚い液膜により、垂直速度成分が減殺されてしまい、矩形に近い断面形状が得られにくくなる問題が生じる。
 オリフィス径の小さいスプレーノズルを用い、スプレーノズル1個当たりのエッチング液の噴射量を少なくすることで、被エッチング面に形成される液膜を薄くすることができるが、オリフィス径の小さいスプレーノズルは、エッチング液に含まれる夾雑物による詰まりが生じやすいため、保守作業が煩雑になってしまう問題が生じる。
 また、スプレーノズルへのエッチング液の供給圧を低くして、各スプレーノズルからのエッチング液の噴射量を少なくすることで、被エッチング面に形成される液膜を薄くすることもできるが、スプレーノズルへのエッチング液の供給圧を低くした場合、液滴の速度が遅くなるために、やはり垂直速度成分が遅くなり、矩形に近い断面形状が得られにくくなる問題が生じる。
 被エッチング材とスプレーノズル間の距離hを大きくしてスプレーパターンを拡大することで、Sを大きくすることもできるが、特許文献10でも開示されているように、被エッチング材とスプレーノズル間の距離hを大きくした場合、噴射された液滴が被エッチング材に到達する前に減速してしまうため、やはり垂直速度成分が遅くなる。つまり、被エッチング材とスプレーノズルと間の距離hは、小さすぎると単位面積に対するエッチング液の噴射量が多くなり、微細なパターンのエッチングが困難になることがあり、大きすぎるとエッチング液の液滴の速度が飛翔中に空気抵抗により減殺され、やはり微細なパターンのエッチングが困難になることがある。さらに、hが大きい場合には、エッチング装置の大型化や、被エッチング材投入口の高さが高くなることによる作業性の悪化という問題も生じる。以上を勘案すると、距離hは、50~400mmの範囲が好ましく、50~300mmの範囲がより好ましく、100~200mmがさらに好ましい。
 本発明において、エッチング液の噴射に用いるスプレーノズルは、エッチング液に対して耐性のあるものでなければならない。かかる観点から、エッチング液として塩化鉄(III)、塩化銅(II)等を主成分とする酸性エッチング液を用いる場合には、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル等のプラスチック製スプレーノズルが用いられる。エッチング液としてアンモニア性亜塩素酸ナトリウム水溶液等のアルカリ性エッチング液を用いる場合には、上記プラスチック製スプレーノズルに加え、ステンレス、ハステロイ(登録商標、ヘインズインターナショナル社)の名称で流通しているニッケル-クロム-モリブデン系合金等の金属からなるスプレーノズルを用いることも可能である。本発明に用いるスプレーノズルは、特許文献8~9で提案されている技術に必要な2流体スプレーノズルと比較して、はるかに構造が簡単であるから、射出成型等の簡便な方法で製作することができる。
 本発明のエッチング装置およびエッチング方法において、銅と反応してエッチングを阻害する物質を形成する化合物を添加したエッチング液を用いることで、エッチング液を垂直に噴射した場合と同様に、非常に矩形に近いエッチング形状を得ることができる。かかるエッチング液としては、例えば、特許文献1~6で提案されているエッチング液を用いることができる。すなわち、チオ尿素を添加した塩化鉄(III)水溶液、ホルムアミジンジサルファイド塩を添加した塩化鉄(III)水溶液、エチレンチオ尿素を添加した塩化鉄(III)水溶液、チオ尿素および非イオン性または陰イオン性の界面活性剤を添加した塩化鉄(III)水溶液、2-アミノベンゾチアゾール化合物、ポリエチレングリコール、およびポリアミン化合物を添加した塩化銅(II)水溶液、2-アミノベンゾチアゾール化合物、ベンゾトリアゾール化合物、エタノールアミン化合物、グリコールエーテル化合物、およびN-メチル-2-ピロリドンまたはジメチルホルムアミドを添加した塩化銅(II)水溶液を例示することができる。
 銅と反応してエッチングを阻害する物質を形成する化合物を添加したエッチング液として特に好ましく用いられるものは、塩化鉄(III)およびシュウ酸を含むエッチング液である。かかるエッチング液を用いることで、さらに矩形に近いエッチング形状を得ることができる。また、特許文献1~6に記載されているチオ尿素系化合物、アゾール系化合物のような生分解性が低く、オゾン処理、焼却処理等の大規模な排水処理装置を用いなければ十分な処理が不可能な成分を含まないという利点もある。
 本発明に用いる被エッチング材には、本発明以外のエッチング装置またはエッチング方法を用いたプリント配線板の製造におけるものと同様のものを使用することができる。すなわち、紙フェノール、紙エポキシ、ガラスエポキシ、ガラス補強ビスマレイミドトリアジン樹脂等の絶縁性の基板上に、接着、メッキ、蒸着等の方法で銅または銅合金からなる層を積層し、さらにその表面に、スクリーン印刷、フォトリソグラフィー等の方法でレジストパターンを設けたものを被エッチング材として用いることができる。かかる被エッチング材を作製するための方法は、例えばエレクトロニクス実装学会編、「プリント回路技術便覧第3版」、日刊工業新聞社発行、2006年5月30日、3章に記載されている。なお、本発明の技術によれば、かかる文献の記載にかかわらず、従来のエッチング技術により製造されていたものよりも、導体パターンの微細なプリント配線板を製造できることは言うまでもない。
 本発明により、スペース幅25μm以下の特に微細な導体パターンのプリント配線板を製造する場合には、レジストパターン層の厚みが10μm以下であることが好ましい。すなわち、厚みが10μm以下のドライフイルムレジストを用いたり、成膜後の厚みが10μm以下になるように液状レジストを塗布して用いたりすることが好ましい。
[実施例1~22および比較例1~10]
 実施例1~11および比較例1~5は、銅と反応してエッチングを阻害する物質を形成する化合物を添加したエッチング液Aを用いている。実施例12~22および比較例6~10は、銅と反応してエッチングを阻害する物質を形成する化合物を添加していないエッチング液Bを用いている。
<エッチング液Aの調製>
 市販の40°ボーメの塩化鉄(III)水溶液(濃度37質量%)6.00kg(無水物として2.22kg)、シュウ酸二水和物252g(無水物として180g)に水を加え30kgとし、塩化鉄(III)7.4質量%、シュウ酸0.60質量%を含むエッチング液Aを調製した。かかるエッチング液に厚み18μmの電解銅箔を静置浸漬したところ、銅箔の表面に淡緑色の物質が形成されるのみでエッチングは進行しなかった。かかるエッチング液を攪拌しながら同じ電解銅箔を浸漬したところ、約5分で銅箔が溶解・消失した。
<エッチング液Bの調製>
 市販の40°ボーメの塩化鉄(III)水溶液(濃度37質量%)6.00kg(無水物として2.22kg)に水を加え30kgとし、塩化鉄(III)7.4質量%を含むエッチング液Bを調製した。かかるエッチング液に上記の電解銅箔を静置浸漬したところ、約5分で銅箔が溶解・消失した。かかるエッチング液を攪拌しながら同じ電解銅箔を浸漬したところ、約3分で銅箔が溶解・消失した。
<被エッチング材の作製>
 厚み40μmのポリイミド絶縁基板と厚み18μmの電解銅箔を積層した積層材料に、ポジ型液状レジストを乾燥後の厚みが8μmになるように塗布・乾燥し、ライン幅/スペース幅=30μm/30μmの評価用導体パターンを露光後、現像・水洗を行って、被エッチング材を作製した。
<エッチング装置>
 表1に記載したスプレーノズル間の距離d、被エッチング面とスプレーノズル間の距離hで、噴角sを有する充円錐スプレーノズルを、図4の配列パターンに準じて配置したエッチング装置を用いた。
<エッチング>
 上記エッチング装置を用い、被エッチング材を50cm/minの速度で、搬送方向を適宜反転しながら、図12に示す基板12b上の導体パターン12aの断面図におけるトップ幅Tまたはボトム幅Bのいずれか広い方が30μmになるまでエッチングを行った。エッチング時間を表2に記す。スプレーノズルへのエッチング液の供給圧は200kPaとした。スプレーノズル1個当たりのエッチング液噴射量は毎分1.5Lである。エッチング終了後、後処理として、被エッチング材を直ちに水洗し、濃度3質量%の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬してレジストパターンを溶解除去し、再度水洗後、塩化水素濃度5質量%の塩酸に浸漬し、再度水洗を行った後に乾燥した。
<評価>
 後処理後の被エッチング材をアクリル樹脂で包埋後、カミソリを用いて切断し、断面観察用試料を作製した。かかる試料を、デジタルマイクロスコープを用いて観察し、図12に示されるボトム幅T、トップ幅B、最小幅wを測定した。実施例1~11および比較例1~5については、くびれ量(T、Bのいずれか小さい方からwを差し引いた値)を求めた。なお、くびれ量が大きいことは、導体パターンの断面形状が糸巻き状であることを示している。これら評価の結果を表2に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 実施例1~11と比較例1~5を比較して分かるように、銅と反応してエッチングを阻害する物質を形成する化合物を添加したエッチング液Aを用いた場合、本発明により、断面形状が糸巻き状にならず、矩形に近い導体パターンが得られることが分かる。すなわち、実施例1~11と比較例1~5のいずれにおいても、トップ幅とボトム幅の差は最大で7μmと小さいが、実施例1~11ではくびれ量が0~3μmと小さいのに対し、比較例1~5ではくびれ量が6~9μmと大きく、導体パターンの断面が糸巻き状になっている。
 実施例1~3相互の比較および実施例4~10相互の比較から分かるように、本発明において、S/Sを大きくすると、よりくびれ量が小さく、断面形状が矩形に近い導体パターンが得られることが分かる。具体的には、S/Sが4以上9未満である実施例4、5ではくびれ量が2μm程度あるが、S/Sが9以上である実施例6、7ではくびれ量が1μmと小さくなっており、さらにS/Sが16以上である実施例8~11ではくびれ量が0になっている。なお、実施例11の如くS/Sが非常に大きい場合には、若干トップ幅が狭くなることが分かる。
 また、実施例12~22と比較例6~10を比較して分かるように、銅と反応してエッチングを阻害する物質を形成する化合物を添加しないエッチング液Bを用いた場合にも、本発明により、トップ幅とボトム幅の差が小さく、より断面が矩形に近い導体パターンが得られることが分かる。すなわち、実施例12~22においては、トップ幅とボトム幅の差が12~14μmなのに対し、比較例6~10ではトップ幅とボトム幅の差が16~18μmと大きい。
 実施例12~14相互の比較および実施例15~21相互の比較から分かるように、本発明において、S/Sを大きくすると、よりトップ幅とボトム幅の差が小さく、断面形状が矩形に近い導体パターンが得られることが分かる。具体的には、S/Sが16未満である実施例15~18のトップ幅16~18μmと比較して、S/Sが16以上60未満である実施例19~21ではトップ幅19μmとより矩形に近い断面形状の導体パターンが得られることが分かる。なお、実施例22の如くS/Sが非常に大きい場合には、若干トップ幅が狭くなることが分かる。
 銅と反応してエッチングを阻害する物質を形成する化合物を添加しないエッチング液Bを用いた実施例12~22における比較例6~10からの断面形状改善と比較して、銅と反応してエッチングを阻害する物質を形成する化合物を添加したエッチング液Aを用いた実施例1~11における比較例1~5からの断面形状改善は顕著である。すなわち、本発明のエッチング装置は、銅と反応してエッチングを阻害する物質を形成する化合物を添加したエッチング液を用いた場合に、特に顕著な効果を発現するものである。
[実施例23および比較例11]
 実施例23および比較例11は、1個のスプレーノズルを止め栓に交換した以外はそれぞれ実施例9および比較例3と同様に実施した。実施例23については、実施例9と同様の結果が得られたが、比較例11については、止め栓に交換したスプレーノズルに相対する位置に帯状のエッチング不足部が発生した。
 実施例23から分かるように、本発明のエッチング装置を用いることで、一部のスプレーノズルが閉塞した場合にも、略均一なエッチングを継続することができる。対して、比較例11から分かるように、従来のエッチング装置を用いた場合には、たとえ一部のスプレーノズルだけが閉塞した場合にも、直ちにエッチングが不均一になる問題が発生する。
 なお、各実施例に用いるスプレーノズルは、従来のエッチング装置に用いられるものと同程度の流量が得られるものであるから、そのオリフィス径も従来のエッチング装置に用いられるものと同程度である。したがって、エッチング液中の夾雑物に起因する詰まりの発生も従来のエッチング装置と同程度の頻度であり、スプレーノズルの保守間隔も従来のエッチング装置と同等で済む。また、各実施例におけるノズルの配置個数は、従来のエッチング装置と同程度かむしろ少ないことから、1回の保守作業に要する時間も従来のエッチング装置と同程度かむしろ短くて済む。
 本発明のエッチング装置およびエッチング方法は、プリント配線板の製造のみならず、リードフレーム、精密歯車、精密板ばね、エンコーダ用ディスクやストライプ、各種ステンシルの製造等のその他各種の産業用途においても、高度に制御された銅または銅合金のエッチングが必要な場合に好適に用いることができる。
[符号の説明]
 1a スプレーノズル
 1b 被エッチング材
 1c スプレーノズルの噴射軸
 1d スプレーの輪郭
 2a スプレーノズル
 2b スプレーパターンの輪郭
 3a スプレーノズル
 3b 隣接スプレーノズルとの中間線
 3c 隣接スプレーノズルとの中間線で囲まれた面積Sの1区画
 4a スプレーノズル
 4b 隣接スプレーノズルとの中間線
 4c 隣接スプレーノズルとの中間線で囲まれた面積Sの1区画
 5a スプレーノズル
 5b スプレーパターン
 5c 外周線
 6a スプレーノズル
 6b スプレーパターン
 7a スプレーノズル
 7b スプレーパターン
 8a スプレーノズル
 8b 隣接スプレーノズルとの中間線
 9a スプレーノズル
 9b 正方格子
 10a スプレーノズル
 11a スプレーノズル
 12a 導体パターン
 12b 基板
 13a スプレーノズル
 13b スプレー
 13c 隣接スプレーとの中間線
 13d エッチング液の流れ
 13e 被エッチング材
 13f 被エッチング面
 13g スプレーノズルの中心点
 14a スプレーノズルの中心点
 14b 隣接スプレーとの中間線
 14c エッチング液の流れ
 T 導体パターンのトップ幅
 B 導体パターンのボトム幅
 w 導体パターンの最狭部の幅

Claims (6)

  1.  被エッチング面に下方からエッチング液を噴射するためのエッチング装置であって、被エッチング面に噴射されたエッチング液の被エッチング面に対して垂直な方向の速度成分に対し、被エッチング面の表面に平行な流れの速度成分が小さくなるようにエッチング液を噴射することを特徴とするエッチング装置。
  2.  被エッチング面に下方からエッチング液を噴射するためのエッチング装置であって、複数のスプレーノズルが配置された面と被エッチング面とが略平行であり、スプレーノズルが噴角85°~130°の充円錐スプレーノズルであり、各スプレーノズルから噴射されるエッチング液の被エッチング面上のスプレーパターンの面積Sと、当該スプレーノズルの噴射軸と被エッチング面との交点で示される当該スプレーノズルの中心点および各隣接スプレーノズルの噴射軸と被エッチング面との交点で示される各隣接スプレーノズルの中心点から等距離にある被エッチング面上の点で構成された各中間線で囲まれた領域の面積Sとの比(S/S)が4以上になるようにスプレーノズルを配置してなることを特徴とするエッチング装置。
  3.  S/Sが9以上である請求項2記載のエッチング装置。
  4.  S/Sが16以上である請求項2記載のエッチング装置。
  5.  請求項1~4のいずれか記載のエッチング装置を用いて行うことを特徴とするエッチング方法。
  6.  エッチング液が、銅と反応してエッチングを阻害する物質を形成する化合物を含む請求項5記載のエッチング方法。
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