WO2010103682A1 - 抗菌剤及びその使用方法 - Google Patents

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Abstract

 本発明の抗菌剤は、アルミニウム以外の金属含有化合物とリン吸着材とを含む。また、本発明の抗菌性剤の使用方法は、アルミニウム以外の金属含有化合物の抗菌性を向上させる方法であって、アルミニウム以外の金属含有化合物とリン吸着材とを併用する。これにより、アルミニウム以外の金属含有化合物、特に銀含有化合物の抗菌性を大幅に向上させた抗菌剤及び抗菌剤の使用方法を提供する。

Description

抗菌剤及びその使用方法
 本発明は、アルミニウム以外の金属含有化合物、特に銀含有化合物の抗菌性を向上させた抗菌剤及びその使用方法に関する。
 金属、特に銀などが抗菌性を有することは古くから知られている。そこでこの効果をより有効に利用するために、アルミノケイ酸塩やイオン交換樹脂などに銀イオンの形で保持させて抗菌性を長期間持続させることも知られている(特許文献1~2)。さらにこれら銀イオンを保持したアルミノケイ酸塩を高分子体に練り込み抗菌性高分子体を調製して得られた種々の抗菌性の成形品も提案されている(特許文献3)。
 一方、銀の抗菌効果は、銀イオン自体としては数十ppbという極めて低い濃度で効果を及ぼすとされているが、実際の大腸菌の最小発育阻止濃度(MIC)は100~500ppm程度である。そのため、銀あるいは銀の化合物を高分子体に練り込み抗菌性高分子体を得る場合も0.4~5重量%程度添加する必要があり、効率的とは言えなかった。また種々の抗菌製品が氾濫する中、抗菌処理をした製品により皮膚炎を生じた例も報告されるなど抗菌剤の高濃度使用による人体への悪影響を引き起こす恐れも指摘されており、その使用濃度の低減化が強く望まれている。
 そこで、特許文献4では、銀含有化合物にリン含有化合物を共存させることによる銀含有化合物の抗菌性を向上させる方法が提案されている。しかし、特許文献4の方法では抗菌性の向上が不十分であるという問題がある。
特開昭60-181002号公報 特開昭58-156074号公報 特開昭61-138658号公報 特許2847529号公報
 本発明は、上記従来の問題を解決するため、アルミニウム以外の金属含有化合物とリン吸着材とを混合することにより、アルミニウム以外の金属含有化合物、特に銀含有化合物の抗菌性を大幅に向上させた抗菌剤及びその使用方法を提供する。
 本発明の抗菌剤は、アルミニウム以外の金属含有化合物とリン吸着材とを含むことを特徴とする。
 本発明の抗菌剤の使用方法は、アルミニウム以外の金属含有化合物の抗菌性を向上させる方法であって、アルミニウム以外の金属含有化合物とリン吸着材とを併用することを特徴とする。
 本発明は、アルミニウム以外の金属含有化合物、例えば銀含有化合物とリン吸着材とを混合することにより、銀含有化合物などの金属含有化合物が本来有する抗菌性を大幅に向上させることができる。また、本発明の抗菌剤は、抗菌性高分子体として、種々の抗菌製品の製造に利用することができる。
本発明の一実施例における再生コラーゲン繊維の製造に使用するエレクトロスピニング方法を示す概略図である。 本発明の別の実施例におけるエレクトロスピニング法を用いた紡糸方法を示す拡大概略図である。
 これまでの銀含有化合物の抗菌性に関する研究では、銀含有化合物にリン含有化合物を共存させることによる銀含有化合物の抗菌性強化の報告がなされるなど、リンの共存は銀含有化合物の抗菌性を強化するとの考えが一般的である。それに対して本発明は、銀含有化合物などの金属含有化合物の抗菌性を向上させた抗菌剤及びその使用方法であって、リン吸着材によりリンを除去することを特徴とする。
 即ち、本発明においては、アルミニウム以外の金属含有化合物とリン吸着材とを混合することにより、アルミニウム以外の金属含有化合物、特に銀含有化合物の抗菌性を大幅に向上する。これは、対象物に存在するリンなどが銀などの金属イオンに結合することにより、抗菌力が低下するが、リン吸着材によりリンを除去することにより、銀などの金属イオンの抗菌性が向上するためであると考えられる。
 本発明の抗菌剤は、アルミニウム以外の金属含有化合物(以下、単に金属含有化合物という。)とリン吸着材とを含む。
 上記金属含有化合物としては、アルミニウム含有化合物を除けばよく、特に限定されない。例えば、抗菌性を有する、アルミニウム以外の元素周期表に掲載された金属類すべての金属含有化合物を用いることができる。抗菌性が優れるという観点から、周期表10族、11族、12族の金属含有化合物が好ましく、銀含有化合物、亜鉛含有化合物及び銅含有化合物からなる群から選ばれる1種以上の金属含有化合物がより好ましく、銀含有化合物が特に好ましい。
 上記銀含有化合物としては、例えば硝酸銀、硫酸銀、過塩素酸銀、酢酸銀、塩化銀、ジアミン銀硝酸塩及びジアミン銀硫酸塩などの銀を含む錯塩、銀担持活性炭、銀担持ゼオライト、銀担持無定形アルミノケイ酸塩などの銀イオンを保持した担体、銀含有ガラス、銀含有固溶体、銀クラスター、銀合金、金属銀、銀含有鉱物などが挙げられる。上記金属含有化合物は、単独で用いてもよく二種以上を組合せて用いてもよい。
 上記リン吸着材としては、リン元素を含むもの、又はリン化合物、例えばリン酸構造体を吸着することができるものであればよく、特に限定されない。ここで、リン酸構造体とは、リン酸、リン酸塩、リン酸エステルなどのリン酸骨格を有する物質をいう。上記リン吸着材としては、例えば、アルミニウム化合物、活性炭、セラミック系化合物及びその他の金属酸化物を用いることができる。
 上記その他の金属酸化物としては、例えば酸化銀、酸化ビスマス、酸化コバルト、酸化クロム、酸化ジスプロシウム、酸化エルビウム、酸化ガドリニウム、酸化ホルミウム、酸化インジウム、酸化ランタン、酸化ニオブ、酸化ネオジム、酸化ニッケル、酸化鉛、酸化プラセオジム、酸化サマリウム、酸化スズ、酸化タンタル、酸化テルビウム、酸化イットリウム、酸化イッテルビウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなどを用いることができる。上記リン吸着材は、単独で用いてもよく二種以上を組合せて用いてもよい。
 リン吸着性に優れるという観点から、アルミニウム化合物が好ましい。上記アルミニウム化合物としては、例えば硫酸アルミニウム、塩化アルミニウムなどのアルミニウム塩、アルミニウム塩含有珪酸系無機物であるアロフェン及びアルミニウム塩含有樹脂などを用いることができる。
 リン吸着性に優れるという観点から、アルミニウム塩含有樹脂がより好ましい。上記アルミニウム塩含有樹脂としては、例えば再生コラーゲン、ポリビニルアルコール、及びカルボキシメチルセルロースから選ばれる少なくとも1つのマトリックス樹脂成分と、アルミニウム塩を含み、上記アルミニウム塩は、上記マトリックス成分に化学的に結合されているアルミニウム塩含有樹脂を用いることができる。
 上記再生コラーゲンとアルミニウムを含むアルミニウム塩含有樹脂としては、牛、豚、馬、鹿、兎、鳥、魚などの動物の皮膚、骨、腱などから可溶化コラーゲン溶液を調製し、架橋処理することにより得られる再生コラーゲン粉末を用いることができる。
 上記再生コラーゲン粉末の製造方法としては、例えば特開2002-249982号公報に開示されているように、原料は床皮の部分を用いることが好ましい。床皮は、例えば牛、豚、馬、鹿、兎、鳥、魚などの動物から得られるフレッシュな床皮や塩漬けした生皮より得られる。これら床皮は、大部分が不溶性コラーゲン繊維からなり、通常網状に付着している肉質部分を除去し、腐敗・変質防止のために用いた塩分を除去したのちに用いられる。また、上記動物の骨、腱など他の材料も同様に用いることができる。
 上記不溶性コラーゲン繊維には、グリセライド、リン脂質、遊離脂肪酸などの脂質、糖タンパク質、アルブミンなどのコラーゲン以外のタンパク質など、不純物が存在している。これらの不純物は、粉末化するにあたって光沢や強度などの品質、臭気などに多大な影響を及ぼす。したがって、例えば石灰漬けにして不溶性コラーゲン繊維中の脂肪分を加水分解し、コラーゲン繊維を解きほぐした後、酸・アルカリ処理、酵素処理、溶剤処理などのような一般に行われている皮革処理を施し、予めこれらの不純物を除去しておくことが好ましい。
 上記のような処理の施された不溶性コラーゲンは、架橋しているペプチド部を切断するために、可溶化処理が施される。上記可溶化処理の方法としては、アルカリ可溶化法や酵素可溶化法などを適用することができる。上記アルカリ可溶化法としては、例えば特公昭46-15033号公報に記載された方法を用いることができる。上記アルカリ可溶化法を適用する場合には、例えば塩酸などの酸で中和することが好ましい。
 上記酵素可溶化法は、分子量が均一な再生コラーゲンを得ることができるという利点を有するものであり、本発明において好適に採用しうる方法である。上記酵素可溶化法としては、例えば特公昭43-25829号公報、特公昭43-27513号公報などに記載された方法を用いることができる。さらに、上記アルカリ可溶化法と上記酵素可溶化法を併用してもよい。
 このように可溶化処理を施した再生コラーゲンにpHの調整、塩析、水洗や溶剤処理などの操作をさらに施した場合には、品質などの優れた再生コラーゲンを得ることが可能なため、これらの処理を施すことが好ましい。得られた可溶化再生コラーゲンは、例えば1~15重量%、好ましくは2~10重量%程度の所定濃度の原液になるように塩酸、酢酸、乳酸などの酸でpH2~4.5に調整した酸性溶液を用いて溶解される。
 得られた可溶化再生コラーゲン水溶液には必要に応じて減圧攪拌下で脱泡を施し、水不溶分である細かいゴミを除去するために濾過を行ってもよい。また、得られる可溶化再生コラーゲン水溶液には、必要に応じて、例えば機械的強度の向上、耐水・耐熱性の向上、光沢性の改良、紡糸性の改良、着色の防止、防腐などを目的として安定剤、水溶性高分子化合物などの添加剤が適量配合されてもよい。
 得られた可溶化再生コラーゲン水溶液を、湿式紡糸法又はエレクトロスピニング法により再生コラーゲン繊維を形成できる。
 <湿式紡糸法>
 上記可溶化再生コラーゲン水溶液は、例えば紡糸ノズルを通して無機塩水溶液に吐出することにより再生コラーゲン繊維を形成できる。無機塩水溶液としては、例えば硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸アンモニウムなどの水溶性無機塩の水溶液が用いられる。通常これらの無機塩の濃度は10~40重量%に調整される。無機塩水溶液のpHは、例えばホウ酸ナトリウムや酢酸ナトリウムなどの金属塩、塩酸、ホウ酸、酢酸、水酸化ナトリウムなどを配合することにより、通常pH2~13、好ましくはpH4~12となるように調整することが好ましい。
 pHが上記の範囲であれば、コラーゲンのペプチド結合が加水分解を受け難く、目的とする再生コラーゲン繊維が得られる。また、無機塩水溶液の温度は特に限定されないが、通常35℃以下であることが望ましい。温度が35℃以下であれば、可溶性コラーゲンが変性を起こさず、強度を高く維持でき、安定した製造ができる。なお、温度の下限は特に限定されないが、通常無機塩の溶解度に応じて適宜調整することができる。
 続いて、得られた再生コラーゲンの遊離アミノ基を、β-位又はγ-位に水酸基又はアルコキシ基を有する炭素主鎖の炭素数(以下、単に炭素数ともいう。)が2~20のアルキル基で修飾する。上記炭素主鎖の炭素数とは、アミノ基に結合したアルキル基の連続した炭素鎖の炭素数を示すものであり、他の原子を介在して存在する炭素数は考慮しないものとする。遊離アミノ基を修飾する反応としては、通常知られているアミノ基のアルキル化反応を用いることができる。反応性及び反応後の処理の容易さなどから上記β―位に水酸基又はアルコキシ基を有する炭素主鎖の炭素数が2~20のアルキル基は、下記一般式(2)で表わされる化合物であることが好ましい。
-CH-CH(OX)-R (2)
 但し、上記式(2)中、Rは、R-、R-O-CH-又はR-COO-CH-で表される置換基を示し、上記置換基中のRは炭素数2以上の炭化水素基又はCHClを示し、Rは炭素数4以上の炭化水素基を示し、Xは水素又は炭化水素基を示す。
 上記一般式(2)の好ましい例としては、グリシジル基、1-クロル-2-ヒドロキシプロピル基、1,2-ジヒドロキシプロピル基などが挙げられる。加えて、グリシジル基がコラーゲン中の遊離アミノ基に付加した構造が挙げられる。さらには、上述の好ましい基に記載されたアルキル基に含まれる水酸基を開始点として、用いたエポキシ化合物が開環付加、及び又は開環重合した構造が挙げられ、このときの付加及び又は重合の末端構造として、上述のアルキル基の構造を有しているものが挙げられる。
 上記再生コラーゲンの遊離アミノ基を構成するアミノ酸としては、リジン及びヒドロキシリジンが挙げられる。さらに、本来コラーゲンを構成するアミノ酸としてはアルギニンで存在するものの、上記再生コラーゲンを得るために、アルカリ条件下で加水分解を行う際に、一部加水分解が進行して生じたオルニチンのアミノ基もアルキル化反応される。加えて、ヒスチジンに含まれる2級アミンによっても反応が進行する。
 遊離アミノ基の修飾率は、アミノ酸分析により測定することが可能であり、アルキル化反応前の再生コラーゲン繊維のアミノ酸分析値、又は原料として用いたコラーゲンを構成する遊離アミノ酸の既知組成を基準に算出される。なお、本発明におけるアミノ基の修飾では、β-位又はγ-位に水酸基又はアルコキシ基を有する炭素数2以上のアルキル基で修飾された構造が、遊離アミノ基の50%以上であれば良く、その他の部分は遊離アミノ基のままでもよいし、他の置換基で修飾された構造であってもよい。再生コラーゲンの遊離アミノ酸の修飾率は50%以上であればよく、より好ましくは65%以上、特に好ましくは80%以上である。修飾率が低い場合、耐熱性で良好な特性が得られない傾向がある。
 ここで、遊離アミノ基の修飾においては、通常、遊離アミノ基1つあたり1分子のアルキル化剤が反応する。もちろん2分子以上が反応していてもよい。さらに、遊離アミノ基に結合したアルキル基のβ-位又はγ-位に存在する水酸基、アルコキシ基又はその他の官能基を介して、分子内又は分子間での架橋反応が存在していてもよい。アルキル化反応の具体例としては、エポキシ化合物の付加反応、α-位又はβ-位に水酸基又はこの誘導体を有するアルデヒド化合物の付加反応とこれに続く還元反応、β-位又はγ-位に水酸基又はアルコキシ基を有する炭素数2以上のハロゲン化物、アルコール及びアミンなどの置換反応が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
 本発明において、アルキル化反応剤として使用しうる有機化合物としては、アルデヒド類、エポキシ類、フェノール誘導体などが挙げられる。この中では、反応性・処理条件の容易さから、エポキシ化合物による修飾反応が、優れた特性を示すことから好ましい。特に単官能エポキシ化合物が好ましい。
 上記単官能エポキシ化合物の具体例としては、例えば、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレン、酸化イソブチレン、酸化オクテン、酸化スチレン、酸化メチルスチレン、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、グリシドールなどのオレフィン酸化物類;グリシジルメチルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、ノニルグリシジルエーテル、ウンデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、ペンタデシルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、t-ブチルフェニルグリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、ポリエチレンオキシドグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル類;蟻酸グリシジル、酢酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、安息香酸グリシジルなどのグリシジルエステル類;グリシジルアミド類などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
 単官能エポキシ化合物の中でも、再生コラーゲンの吸水率が低下するため、下記一般式(1)で表される単官能エポキシ化合物を用いて処理することが好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
 但し、上記式(1)中、RはR-、R-O-CH-又はR-COO-CH-で表される置換基を示し、Rは炭素数2以上の炭化水素基又はCHClを示し、Rは炭素数4以上の炭化水素基を示す。
 このようにして得られた再生コラーゲン繊維は、水又は無機塩の水溶液で膨潤した状態になっている。この膨潤体は再生コラーゲンの重量に対して4~15倍の水又は無機塩の水溶液を含有した状態がよい。水又は無機塩の水溶液の含有量が4倍以上では再生コラーゲン中のアルミニウム塩含有量が多いため、耐水性が充分となる。また15倍以下であれば、強度が低下せず、取扱い性は良好である。
 膨潤した再生コラーゲン繊維は、次いでアルミニウム塩の水溶液に浸漬する。上記アルミニウム塩としては、Al(OH)Cl3-n又はAl(OH)2n(SO3-n(但し、nは0.5~2.5である)で表される塩基性塩化アルミニウム又は塩基性硫酸アルミニウムが好ましい。具体的には、例えば硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ミョウバンなどが用いられる。これらのアルミニウム塩は単独又は2種以上を組合せて用いることができる。
 上記アルミニウム塩の水溶液中のアルミニウム塩濃度としては、酸化アルミニウムに換算して0.3~5重量%であることが好ましい。アルミニウム塩の濃度が0.3重量%以上であれば、再生コラーゲン繊維中のアルミニウム塩含有量が高く、耐水性が充分となる。また5重量%以下であれば、処理後もそれほど硬くなく、取り扱い性が良好である。
 上記アルミニウム塩の水溶液のpHは、例えば塩酸、硫酸、酢酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどを用いて通常2.5~5に調整する。pHが2.5以上であればコラーゲンの構造を良好に維持できる。pHが5以下であれば、アルミニウム塩の沈殿も生じず、均一に浸透し易くなる。上記pHは、最初は2.2~3.5に調整して充分にアルミニウム塩の水溶液を再生コラーゲン内に浸透させ、その後に、例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどを添加して3.5~5に調整して処理を完結させることが好ましい。
 塩基性の高いアルミニウム塩を用いる場合には、2.5~5の最初のpH調整だけでもかまわない。また、このアルミニウム塩の水溶液の液温は特に限定されないが、50℃以下が好ましい。この液温が50℃以下であれば、再生コラーゲンの変性や変質は起きにくい。
 上記アルミニウム塩の水溶液に再生コラーゲン繊維を浸漬する時間は、3時間以上、好ましくは6~25時間とする。この浸漬時間は、3時間以上であればアルミニウム塩の反応が進み、再生コラーゲンの耐水性が充分となる。また、浸漬時間の上限には特に制限はないが、25時間以内でアルミニウム塩の反応は充分に進行し、耐水性も良好となる。なお、アルミニウム塩が再生コラーゲン中に急激に吸収されて濃度むらを生じないようにするため、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウムなどの無機塩を適宜上記アルミニウム塩の水溶液に添加してもよい。
 上記アルミニウム塩で処理されて架橋された再生コラーゲン繊維は、次いで水洗、オイリング、乾燥を行う。得られた再生コラーゲン繊維は、従来法のクロム塩で処理されたような着色がほとんどなく、かつ、耐水性に優れたものとなる。一般にコラーゲンの変性(ゼラチン化)を防ぐため、加工時の温度履歴には注意が必要である。架橋後においても変性を防ぐためには、製造時、粉末化加工時・製品保管時の水分と温度の管理を再生コラーゲンの変性条件以下に保持することが必要である。大部分がゼラチン化したものは特性が変化しているため、目的であるコラーゲンの特性を発現することは困難である。変性防止の点において上記の再生コラーゲン繊維を使用することは有利である。
 また、可溶化再生コラーゲン溶液の紡糸の際には、溶液中又は紡出直前に顔料や染料を混合して着色することもできる(原着法)。使用する顔料や染料は用途に応じて、紡糸工程での溶出分離が無いこと、また使用製品の要求品質に対応して種類や色相を選択することができる。また必要に応じて、充填剤、老化防止剤、難燃剤、酸化防止剤などを添加することもできる。
 <エレクトロスピニング法>
 本発明において、再生コラーゲン繊維の製造方法において使用するエレクトロスピニング装置の一例を、図1に示す。エレクトロスピニング装置1は、密閉容器2の上部に絶縁板3を備えている。絶縁板3には金属製ホルダー4に接続された金属製ノズル5が固定されている。金属製ホルダー4には、金属製ノズル5の反対側に送液配管7が接続されると共に、高圧電源6が接続されている。
 送液配管7は、別の密閉容器8の内部に収容されている容器9へと通じており、容器9内には再生コラーゲン溶液10が満たされている。さらに、密閉容器8は、コンプレッサー11と接続しており、内部を加圧状態にすることができる。上記再生コラーゲン溶液10は、上記可溶化再生コラーゲン水溶液にヘキサフルオロイソプロパノールを添加して調製されており、例えば再生コラーゲン含量が5重量%以上10重量%以下、水とヘキサフルオロイソプロパノールの重量比が、8:2~5:5の範囲内で調製されている。
 コンプレッサー11をONにすると、密閉容器8の内部が加圧され、容器9内の再生コラーゲン溶液10は、送液配管7を通って金属製ノズル5へと送液される。密閉容器2の内部には、金属製の網12が絶縁性の支柱13の上に設置され、金属製の網12は、アース14が施されている。そして、金属製の網12は、金属製ノズル5の真下に位置するように設置されている。ここで、高圧電源6をONにすると、金属製ホルダー4を通して金属製ノズル5に高電圧が印加される。このとき、高電圧によって金属製ノズル5内を流れる再生コラーゲン溶液10に電荷が誘発し、蓄積される。
 金属製ノズル5から噴出された後、コラーゲン溶液は、プラスに帯電するために互いに反発する。この反発力は、再生コラーゲン溶液の表面張力に対抗し、荷電臨界を超えると(表面張力を超えると)、コラーゲン溶液は帯電ミストになる。この帯電ミストの表面積は、体積に対して非常に大きいため、溶媒である水及びヘキサフルオロイソプロパノールが効率良く蒸発し、さらに体積の減少により電荷密度が高くなるため、コラーゲン溶液は帯電微少ミスト15へと分裂していく。
 ここで溶媒とは、固体、液体あるいは気体の溶質(溶媒に溶かされるもの)を溶かす液体をいう。もっとも一般的に使用される水のほか、アルコール、アセトン、ヘキサンのような有機物も多く用いられ、これらの有機物は有機溶媒と呼ばれる。本発明では溶質であるコラーゲンを溶かす溶媒として、水及びヘキサフルオロイソプロパノールを用いている。
 金属製ノズル5は高電圧を印加され、金属製の網12はアースされているので、金属製ノズル5と金属製の網12との間には、強い電界が形成されている。帯電微少ミスト15は、互いに反発しながら、形成された電界により金属製の網12に向かって進行するが、途中で溶媒である水及びヘキサフルオロイソプロパノールが揮散し、繊維化した再生コラーゲン(再生コラーゲン繊維)として、金属製の網12上に捕集される。このとき、金属製ノズル5に付与された荷電と反対の符号を有する荷電を金属製の網に付与してもよい。
 なお、金属製ノズル5の内径は、0.1~2.0mmであることが好ましく、0.1~1.0mmであることがより好ましい。金属製ホルダー4(及び金属製ノズル5)に印加する電圧は、1~50kVの直流電圧であることが好ましく、10~35kVの直流電圧であることがより好ましい。金属製ノズル5からの再生コラーゲン溶液の吐出速度は、0.01mL~10mL/分であることが好ましい。この吐出速度は、密閉容器8内を加圧するコンプレッサー11の出力を制御することにより、調整することが可能である。
 なお、ここでは、ホルダー、ノズル及び網を全て金属製としたが、金属製に限らず導電性材料であればよい。また、密閉容器2を用いずに、開放系で再生コラーゲン溶液をエレクトロスピニングしてもよい。
 金属製の網12に捕集された再生コラーゲン繊維には、上述のアルミニウム塩の水溶液21がスプレーされる。アルミニウム塩の水溶液21のスプレーにより、上記再生コラーゲン繊維はアルミ架橋される。
 図2は金属製の網に換えてシリンダー22を使用した例である。金属製ノズルから吐出された再生コラーゲン繊維はシリンダー22に巻き取られ、同時にスプレーノズル20からアルミニウム塩の水溶液がスプレーされ、上記再生コラーゲン繊維はアルミ架橋される。
 また、上記のエレクトロスピニング法により得られる再生コラーゲン繊維は、上記湿式紡糸法により得られる再生コラーゲン繊維と同様に、アルキル修飾した後、アルミニウム塩で架橋処理されてもよい。
 本発明において、再生コラーゲン繊維中の金属単体として換算したアルミニウムの含量は、0.4~70重量%の範囲が好ましい。より好ましい範囲は0.5~50重量%であり、特に好ましくは、1~40重量%の範囲である。
 本発明において、金属単体としてのアルミニウムの定量は、繊維や粉末を湿式酸化分解したのちに原子吸光分析により測定する。塗膜も上記と同様の方法により測定できる。なお、金属単体としてのアルミニウムとは、アルミニウム原子及びこれの会合体のみを示す。
 上記再生コラーゲン繊維の直径は50nm~100μmの範囲が好ましい。より好ましい直径は100nm~20μmの範囲である。このように細い繊度であると、比表面積が大きくなり、リン吸着性がより優れることになる。
 本発明においては、上記再生コラーゲン繊維を、粉砕することでアルミ架橋された再生コラーゲンからなるコラーゲン粉末(再生コラーゲン粉末)とすることができる。再生コラーゲンが繊維又はフィルムの場合には、粉砕に適した繊維長もしくはサイズに切断するか、この切断したものをさらに粉砕するか、あるいは、繊維又はフィルムを直接粉砕することにより再生コラーゲン粉末とすることができる。
 再生コラーゲン粉末の製造に使用できるカッターは特に制限は無い。例えば、繊維のカットに通常使われる回転刃カッター、ベルトカッター、シャーリングマシン、カッターミルなどで0.1mm~数mm程度に切断し、さらに、このカット綿を、ローラーミル、ロッドミル、ボールミル(乾式、湿式)、ジェットミル、ピンミル、振動ミル、セントリフューガル(CF)ミル、遊星型ボールミル、グラインダーミルなどせん断型ミルなどの粉砕機を用いて微粉砕、また媒体攪拌型超微粉砕機などを用い超微粉砕することができる。
 ジルコニア製ボールなどの硬質のボールを使用することで粉末へのボール素剤の混入を防ぐ点及び粉砕効率の観点から好ましく使用することができる。アルミナ製ボールなど他の素剤のボールを用いることもできる。その他の粉砕方法として、冷凍粉砕も使用できる。得られた再生コラーゲン粉末の平均粒子径は0.01~80μmであることが好ましい。
 上記再生コラーゲン粉末中の金属単体として換算したアルミニウムの含量は、0.1~70重量%の範囲が好ましい。より好ましい範囲は0.2~50重量%であり、特に好ましくは、1~40重量%の範囲である。
 上記再生コラーゲン粉末の粒子径としては、0.1~数mm程度でもリン吸着性を示すが、平均粒子径が0.01~80μmまで微粉砕することでよりリン吸着性が向上するので好ましい。また、感触の観点から、平均粒子径は1~20μmが好ましく、1~10μmがより好ましい。平均粒径が、上記範囲よりも大きいと、抗菌剤を塗布した後の塗装面がザラザラ感のある感触となり、好ましくない。また、1μm以上であると、ハンドリング性が良好である。
 上記粉砕機の種類や粉砕時間によって得られる再生コラーゲン粉末の粒子径を適宜調節することも可能である。例えば振動ミルを使用した場合、1~数十時間で、平均粒子径として5~80μm程度のものが得られるが、0.01~5μmの平均粒子径のものを得る場合には破砕した再生コラーゲン粉末を分級することで得られる。分級は風ひ分級でもよいし、水中で分級してもよい。
 上記分級後の再生コラーゲン粉末の平均粒子径は10μm以下、かつ粒子の95重量%が粒子径50μm以下であることが好ましい。より好ましくは、平均粒子径5μm以下、かつ粒子の95重量%が粒子径20μm以下となるようにする。上記範囲であれば、抗菌剤を塗布した後の塗装物の触感はさらっと感を発揮でき、吸放湿性も好適である。
 上記粒子径分布及び平均粒子径は市販の粒度分布計で測定できる。例えば、レーザ回折散乱法によるマイクロトラック粒度分布測定装置(日機装株式会社製“MT3300”)などを用いて測定できる。分散媒としては例えばメタノールを用いる。また、粒子屈折率はコラーゲンの屈折率である1.44を用いる。
 上記再生コラーゲン粉末は、接触冷温感に優れる。接触冷温感とは、材料の温かさ(冷たさ)を指す感性因子(触感)であり、通常、表面示差熱(Qmax)が指標として用いられる。PVCレザーでは、Qmaxが大きく、即ち、熱移動が大きく、冷たい触感が得られる。本皮は、Qmaxが小さく、温かい触感が得られる。上記再生コラーゲン粉末をコーティングしたシートは、本皮と同じ成分であるコラーゲンを含有するため、PVCレザーよりも、表面示差熱(Qmax)が低く、より本皮に近い「温かい」触感を得ることができる。
 上記再生コラーゲン粉末は、再生コラーゲン繊維の製造段階で、充分に精製され、不純物が取り除かれているため、白色度が高く、黄色味も少ない。
 本発明においては、また、アルミニウム塩含有樹脂のマトリックス樹脂成分としてカルボキシメチルセルロース及びポリビニルアルコールを使用できる。カルボキシメチルセルロース及びポリビニルアルコールも、架橋前は水に可溶なマトリックス樹脂ゲル成分であり、アルミニウム塩を接触させることにより架橋され、アルミニウム塩を樹脂のゲル成分に化学的に結合させ、水不溶化樹脂にすることができる。即ち、カルボキシメチルセルロースは-COOH基と-OH基を有することから、アルミニウム塩で架橋できる。また、ポリビニルアルコールは-OH基を有することから、アルミニウム塩で架橋できる。ポリビニルアルコールとして、-COOH基を導入したものを用いてもよい。-COOH基の導入量は、例えば0.1~5モル%程度とすることができる。
 カルボキシメチルセルロースとしては、例えばシグマ(SIGMA)社製“カルボキシメチルセルロースナトリウム塩”などを用いることができる。ポリビニルアルコールとしては、例えば日本酢ビ・ポバール社製“アニオン変性PVA(Aシリーズ)”グレード:AF17などを用いることができる。
 上記カルボキシメチルセルロース及び上記ポリビニルアルコールの繊維化及び粉末化は、上述の再生コラーゲンの繊維化又は粉末化と同一の手段により行うことができる。
 本発明においては、前記リン吸着材はアロフェン(Allophane;アルミニウムの含水ケイ酸塩鉱物)であってもよい。
 本発明の抗菌剤の形態は、液体、エマルジョン、サスペンションなどをはじめ粉体、ゲル体、粒状体、抄紙体、ペレット体、シート、フィルムなどの成型体、スプレー、多孔質体、繊維体さらにそれらを不織布、発泡シート、紙、プラスチック、無機質板などの担持体と組合せた形態とすることもできる。
 本発明の抗菌剤において、上記金属含有化合物の含有量は、抗菌剤の全体重量に対して、0.0001~99.9重量%であることが好ましく、0.0001~10重量%であることがより好ましく、0.0001~1重量%であることが特に好ましい。また、上記銀含有化合物の含有量は、抗菌剤の全体重量に対して、0.0001~99.9重量%であることが好ましく、0.0001~10重量%であることがより好ましく、0.0001~1重量%であることが特に好ましい。上記の範囲内であれば、優れた抗菌効果を発揮でき、また、人体などに対する悪影響のおそれもない。
 本発明の抗菌剤において、上記リン吸着材の含有量は、抗菌剤の全体重量に対して、0.1~99.9999重量%であることが好ましく0.5~99.9重量%であることがより好ましく、2~99重量%であることが特に好ましい。また、上記アルミニウム化合物の含有量は、抗菌剤の全体重量に対して、0.1~99.9999重量%であることが好ましく、0.5~99.9重量%であることがより好ましく、2~99重量%であることが特に好ましい。上記の範囲内であれば、有効なリン吸着性を有し、抗菌剤に好ましい分散性も有する。
 また、上記再生コラーゲン粉末の含有量は、抗菌剤の全体重量に対して、好ましくは0.1~99.9999重量%であり、より好ましくは0.5~99.9重量%であり、特に好ましくは5~99重量%である。0.1重量%以上であれば有効なリン吸着性が認められる。99.9999重量%以下であれば、抗菌剤に好ましい分散性を有する。
 また、本発明の抗菌剤において、上記金属含有化合物の含有量は、抗菌剤の全体重量に対して、0.0001~99.9重量%であり、かつ、上記リン吸着材の含有量は、抗菌剤の全体重量に対して、0.1~99.9999重量%であることが好ましい。
 また、本発明の抗菌剤において、上記銀含有化合物の含有量は、抗菌剤の全体重量に対して、0.0001~99.9重量%であり、かつ、上記アルミニウム化合物の含有量は、抗菌剤の全体重量に対して、0.1~99.9999重量%であることが好ましい。さらに、上記銀含有化合物の含有量は、抗菌剤の全体重量に対して、0.0001~99.9重量%であり、かつ、上記再生コラーゲン粉末の含有量は、抗菌剤の全体重量に対して、0.1~99.9999重量%であることが好ましい。
 本発明に抗菌剤は、また、本発明の効果を損なわない範囲において、金属含有化合物以外の他の抗菌剤を含んでもよい。
 本発明の抗菌剤の使用方法は、上述の金属含有化合物とリン吸着材を併用する。この使用方法において、対象物を同時に金属含有化合物とリン吸着材とを含む抗菌剤で処理してもよく、リン吸着材で処理した後に金属含有化合物で処理してもよいが、より抗菌性を高めるという観点から、リン吸着材で処理した後に金属含有化合物で処理することが好ましい。
 本発明の抗菌剤及びその使用方法は、医薬品及び抗菌性高分子体などの種々の分野に利用できる。例えば、医療分野、農林水産分野、化粧品分野、食品加工分野、繊維衣料分野、寝装分野、建材分野、船舶分野、電子工業分野、水処理分野などに使用できる。医療分野には軟膏剤、ゲル剤、油状懸濁剤、乳剤などの種々の形状の外用消毒薬、カテーテル、鉗子、リネン類、測定機器などの人以外の医療環境消毒薬;農林水産分野は農産物病原菌殺菌剤、畜舎消毒薬、生けす用漁網防汚剤、化粧品分野は化粧料防腐剤、毛髪洗浄剤;食品加工分野は食品工場装置、作業衣、プラスチック、紙などの食品包装材、食品保存料;繊維衣料分野は衛生加工ソックス、トレーニングウエアー、病院衣、手術衣、寝装分野はベットカバー、シーツ、布団、毛布;建材分野は壁・床用塗料、接着剤、家具類内張、シャワーカーテン;船舶分野は船底塗料、水中構造物用防藻防具塗料;電子工業分野は電子部品包装材、電子工業用薬品殺菌剤;水処理分野は上下水道殺菌剤、浄水器、冷風扇、冷却塔、配管、濾過膜、フィルター、充填物のスライムコントロール剤、水溶性金属加工油防腐剤などに使用することが好ましい。
 本発明の抗菌剤及びその使用方法を用いて抗菌性高分子体とすることができる高分子体としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ふっ素樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、天然及び合成ゴムなどの熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられる。抗菌剤の添加量は高分子体に対して重量パーセントで0.01~3%が好ましく、さらには0.02~1%、特に好ましくは0.05~0.5%とすることが適当である。
 また、本発明の抗菌剤及びその使用方法を医薬品に利用する場合には、銀含有化合物などの金属含有化合物の公知の使用形態に合せるのが適当である。例えば経口投与、経皮投与、経腸投与などが挙げられ、特に外用薬として、水溶液あるいはアルコール、グリセリンの溶液としたり、軟膏、クリーム剤又はハップ剤などとすることができる。
 本発明の抗菌剤及びその使用方法で効果の発揮される微生物は、金属含有化合物、例えば銀含有化合物が本来抗菌性を発揮するものであり、例えば、大腸菌(Escherichia coli)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、黄色ブドウ球菌(Staphyloccocus aureus)、ストレプトコッカス・ファエカリス(Streptococcus faecalis)、ビブリオ・パラハエムディチカス(Vibrio parahaemdyticus)、カンディダ・アルビカンサ(Candida albicans)、アスペルギラス・フラバス(Aspergillus flavas)、ペニシリウム・シトリナム(Penicillium citrinum)、トリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)、クラミディア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、枯草菌(Bacillus subtilis)などがあり、細菌、真菌(カビ)、酵母、放線菌、リケッチア、ウィルスなどほとんどの微生物が含まれる。
 以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
 (製造例1)
 牛の床皮を原料とし、アルカリで可溶化した皮片1200kg(コラーゲン分180kg)に30重量%に希釈した過酸化水素水溶液30gを投入後、乳酸水溶液で溶解し、pH3.5、固形分7.5重量%に調整した原液を作製した。原液を減圧下で撹拌脱泡機(ダルトン社製、8DMV型)により撹拌脱泡処理し、ピストン式紡糸原液タンクに移送し、さらに減圧下で静置し、脱泡を行った。かかる原液をピストンで押し出した後、ギアポンプで定量送液し、孔径10μmの焼結フィルターで濾過後、孔径0.275mm、孔長0.5mm、孔数300の紡糸ノズルを通し、硫酸ナトリウム20重量%を含有する25℃の凝固浴(ホウ酸及び水酸化ナトリウムでpH11に調整)へ紡出速度5m/分で吐出して、再生コラーゲン繊維を得た。
 次に、得られた再生コラーゲン繊維(300本、20m)を、エピクロロヒドリン1.7重量%、水酸化ナトリウム0.0246重量%、及び硫酸ナトリウム17重量%を含有する水溶液1.32kgに25℃で4時間浸漬した後、さらに反応液温度を43℃に昇温して2時間含浸した。
 反応終了後に反応液を除去後、流動型装置にて1.32kgの25℃の水を用いて3回バッチ水洗を行った。この後、硫酸アルミニウム5重量%、クエン酸三ナトリウム塩0.9重量%、水酸化ナトリウム1.2重量%を含有する水溶液1.32kgに30℃で含浸し、反応開始から2時間後、3時間後及び4時間後にそれぞれ5重量%水酸化ナトリウム水溶液13.2gを反応液に添加し、合計6時間反応させた。反応終了後に反応液を除去後、流動型装置にて1.32kgの25℃の水を用いて3回バッチ水洗を行った。
 次いで、作製した繊維の一部をアミノ変性シリコーンのエマルジョン及びプルロニック型ポリエーテル系静電防止剤からなる油剤を満たした浴槽に浸漬して油剤を付着させた。50℃に設定した熱風対流式乾燥機内部で繊維束の一方の端を固定し、他方の端に繊維1本に対して2.8gの重りを吊り下げ2時間緊張下で乾燥させ、トータル繊度が60dtex(deci tex)の再生コラーゲン繊維を得た。
 得られた再生コラーゲン繊維を物理的に粉砕した。即ち、まず再生コラーゲン繊維2kgをカッターミルSF-8(三力製作所製)にて1mm前後の長さに細断し、同社製サイクロンCYC-600型にて回収した。次に、振動ミル(トーケン社製)を用いて粉砕を行った。粉砕条件としては、容量4Lのアルミナ製容器に同じアルミナ製のボール(径19mm)を充填容量80%、細断したコラーゲン繊維を充填容量として40%(500g)で入れ、4~12時間粉砕処理を実施した。その結果、4時間の粉砕では平均粒子径33μm、12時間の粉砕では平均粒子径13μmの再生コラーゲン粉末を得ることができた。
 (実施例1)
 <LB培地の調製>
 トリプトン(Difco社製)10g、酵母エキス(Difco社製)5g、塩化ナトリウム10gを水1Lに添加してLB培地を調製した。
 <抗菌剤を含むLB培地の調製>
 得られたLB培地にアルミニウム塩含有珪酸系無機粉末であるアロフェンを0.5%、1%、2%、4%[W/V:LB培地の液量(100mL)に対するアロフェンの添加量(g)、以下においても同様である。]となるように懸濁し、30℃で18時間振盪した。その後、遠心分離機で遠心分離(5800×g、30分間)して上澄を得た。得られた上澄120μLに、硝酸銀溶液30μLを配合して、銀イオンの濃度を下記表1に示す濃度になるようにして、下記表1に示す種々の抗菌剤を含むLB培地を調製した。
 <MIC測定試験>
 得られた抗菌剤を含むLB培地に、一般的に抗菌性の評価に用いられる微生物である、大腸菌(Escherichia coli IFO3972)、黄色ブドウ球菌(Staphyloccocus aureus IAM12082)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa IAM1514)、又は枯草菌(Bacillus subtilis IFO3215)を1μL接種し、27℃で5日間培養した。上記微生物の培養にはマイクロプレート(96穴、ファルコン製)を用い、微生物の生育は620nmの吸光度をマイクロプレートリーダー(Labsystems, Multisckan Ascent)で測定することによって確認し、その結果(620nmの吸光度)を下記表1に示した。上記接種用微生物としては、各種微生物を5mLの普通ブイヨン培地(栄研化学社製)を用い、27℃で18時間振盪培養し、1mLを採取し、10000rpmで5分間、遠心分離した後、沈殿を1mlの0.85%食塩水に懸濁し、さらに100倍に希釈したものを用いた。
 (比較例1)
 銀イオンの濃度を0mg/Lにした以外は、実施例1と同様にして、下記表1に示す種々の抗菌剤を含むLB培地を調製した。その後、実施例1と同様にしてMIC測定試験を行い、その結果を下記表1に示した。
 (比較例2)
 アロフェンの添加量を0%(W/V)にした以外は、実施例1と同様にして、下記表1に示す種々の抗菌剤を含むLB培地を調製した。その後、実施例1と同様にしてMIC測定試験を行い、その結果を下記表1に示した。
 (比較例3)
 銀イオンの濃度を0mg/Lにし、アロフェンの添加量を0%(W/V)にした以外は、実施例1と同様にして、抗菌剤を含むLB培地を調製した。その後、実施例1と同様にしてMIC測定試験を行い、その結果を下記表1に示した。
 (比較例4)
 リンの濃度が200mg/Lとなるようにリン酸緩衝液を添加した以外は、実施例1と同様にして、下記表1に示す種々の抗菌剤を含むLB培地を調製した。その後、実施例1と同様にしてMIC測定試験を行い、その結果を下記表1に示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 表1から分かるように、リン吸着材、具体的にはアルミニウム塩含有珪酸系無機粉末であるアロフェンを混合することにより、銀含有化合物の抗菌性が向上している。例えば、大腸菌に対して、アロフェンを含まない場合、銀イオンのMICは1mg/L(ppm)程度であるが、アロフェンを0.5~1%(W/V)含む場合、銀イオンのMICは0.5mg/L、即ち1/2程度まで低減しており、アロフェンを2%(W/V)含む場合、銀イオンのMICは0.125mg/L、即ち1/8程度まで低減しており、アロフェンを4%(W/V)含む場合、銀イオンのMICは0.0313mg/L、即ち1/32程度まで低減している。また、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、枯草菌に対する銀イオンのMICも、アロフェンの混合により低減しており、アロフェンの添加量により異なるが、1/2~1/16程度まで低減している。
 一方、表1から、測定に用いた銀イオンの濃度範囲内において、リン化合物を添加しても、銀含有化合物の抗菌性は向上しないことが分かる。
 (実施例2)
 <LB培地の調製>
 実施例1と同様にして、LB培地を調製した。
 <抗菌剤を含むLB培地の調製>
 得られたLB培地にアルミニウム塩含有珪酸系無機粉末(品川化成株式会社製、商品名“アロフォサイト”)であるアロフェンを0.5%、1%、2%、4%(W/V)となるように懸濁し、30℃で18時間振盪した。その後、遠心分離機で遠心分離(5800×g、30分間)して上澄を得た。得られた上澄120μLに、硫酸亜鉛溶液30μLを配合して、亜鉛イオンの濃度を下記表2に示す濃度になるようにして、下記表2に示す種々の抗菌剤を含むLB培地を調製した。硫酸亜鉛溶液は、硫酸亜鉛七水和物を用いて調製した。
 <MIC測定試験>
 得られた抗菌剤を含むLB培地に、黄色ブドウ球菌又は枯草菌を1μL接種し、27℃で5日間培養した。微生物の培養にはマイクロプレート(96穴、ファルコン製)を用い、微生物の生育は620nmの吸光度をマイクロプレートリーダー(Labsystems, Multisckan Ascent)で測定することによって確認し、その結果(620nmの吸光度)を下記表2に示した。上記接種用微生物としては、各種微生物を5mLの普通ブイヨン培地(栄研化学社製)を用い、27℃で18時間振盪培養し、1mLを採取し、10000rpmで5分間、遠心分離した後、沈殿を1mlの0.85%食塩水に懸濁し、さらに100倍に希釈したものを用いた。
 (比較例5)
 亜鉛イオンの濃度を0mg/Lにした以外は、実施例2と同様にして、下記表2に示す種々の抗菌剤を含むLB培地を調製した。その後、実施例2と同様にしてMIC測定試験を行い、その結果を下記表2に示した。
 (比較例6)
 アロフェンの添加量を0%(W/V)にした以外は、実施例2と同様にして、下記表2に示す種々の抗菌剤を含むLB培地を調製した。その後、実施例2と同様にしてMIC測定試験を行い、その結果を下記表2に示した。
 (比較例7)
 亜鉛イオンの濃度を0mg/Lにし、アロフェンの添加量を0%(W/V)にした以外は、実施例2と同様にして、抗菌剤を含むLB培地を調製した。その後、実施例2と同様にしてMIC測定試験を行い、その結果を下記表2に示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 表2から分かるように、リン吸着材、具体的にはアルミニウム塩含有珪酸系無機粉末であるアロフェンを混合することにより亜鉛含有化合物の抗菌性が向上している。例えば、黄色ブドウ球菌に対して、アロフェンを含まない場合、亜鉛イオンのMICは32mg/Lであるが、アロフェンを4%(W/V)含む場合、亜鉛イオンのMICは4mg/L、即ち1/8程度まで低減している。また、枯草菌に対する亜鉛イオンのMICも、アロフェンの混合により低減しており、即ちアロフェンの添加量により異なるが、1/2~1/128程度まで低減している。
 (実施例3)
 <LB培地の調製>
 実施例1と同様にして、LB培地を調製した。
 <抗菌剤を含むLB培地の調製>
 得られたLB培地にアルミニウム塩含有珪酸系無機粉末であるアロフェンを0.5%、1%、2%、4%(W/V)となるように懸濁し、30℃で18時間振盪した。その後、遠心分離機で遠心分離(5800×g、30分間)して上澄を得た。得られた上澄120μLに、硫酸銅溶液30μLを配合して、銅イオンの濃度を下記表3に示す濃度になるようにして、下記表3に示す種々の抗菌剤を含むLB培地を調製した。硫酸銅溶液は、硫酸銅五水和物を用いて調製した。
 <MIC測定試験>
 得られた抗菌剤を含むLB培地に、黄色ブドウ球菌又は枯草菌を1μL接種し、27℃で5日間培養した。微生物の培養にはマイクロプレート(96穴、ファルコン製)を用い、微生物の生育は620nmの吸光度をマイクロプレートリーダー(Labsystems, Multisckan Ascent)で測定することによって確認し、その結果(620nmの吸光度)を下記表3に示した。上記接種用微生物としては、各種微生物を5mLの普通ブイヨン培地(栄研化学社製)を用い、27℃で18時間振盪培養し、1mLを採取し、10000rpmで5分間、遠心分離した後、沈殿を1mlの0.85%食塩水に懸濁し、さらに100倍に希釈したものを用いた。
 (比較例8)
 銅イオンの濃度を0mg/Lにした以外は、実施例3と同様にして、下記表3に示す種々の抗菌剤を含むLB培地を調製した。その後、実施例3と同様にしてMIC測定試験を行い、その結果を下記表3に示した。
 (比較例9)
 アロフェンの添加量を0%にした以外は、実施例3と同様にして、下記表3に示す種々の抗菌剤を含むLB培地を調製した。その後、実施例3と同様にしてMIC測定試験を行い、その結果を下記表3に示した。
 (比較例10)
 銅イオンの濃度を0mg/Lにし、アロフェンの添加量を0%にした以外は、実施例3と同様にして、抗菌剤を含むLB培地を調製した。その後、実施例3と同様にしてMIC測定試験を行い、その結果を下記表3に示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 表3から分かるように、リン吸着材、具体的にはアルミニウム塩含有珪酸系無機粉末であるアロフェンを混合することにより銅含有化合物の抗菌性が向上している。例えば、黄色ブドウ球菌に対して、アロフェンを含まない場合、銅イオンのMICは80mg/Lを越えているが、アロフェンを4%(W/V)含む場合、銅イオンのMICは1.25mg/L程度まで低減している。また、枯草菌に対して、アロフェンを含まない場合、銅イオンのMICは80mg/Lを越えているが、アロフェンを2%(W/V)含む場合、銅イオンのMICは0.625mg/L未満まで低減している。
 また、表2~表3から分かるように、亜鉛含有化合物又は銅含有化合物にリン吸着材を混合した場合、黄色ブドウ球菌と枯草菌に対する抗菌性は向上するものの、大腸菌や緑膿菌に対する抗菌性は向上していない。一方、表1から分かるように、銀含有化合物にリン吸着材を混合することにより、大腸菌や緑膿菌を含むMIC測定に用いたすべての微生物に対する抗菌性が向上している。即ち、銀含有化合物にリン吸着材を混合することにより、他の抗菌性の金属含有物、例えば、亜鉛含有化合物や銅イオン含有化合物に比べて、より優れた抗菌性の向上効果が得られることが分かる。
 (実施例4)
 <LB培地の調製>
 実施例1と同様にして、LB培地を調製した。
 <抗菌剤を含むLB培地の調製>
 得られたLB培地にアルミニウム塩含有珪酸系無機粉末であるアロフェンを1%、4%、8%(W/V)となるように懸濁し、30℃で18時間振盪した。その後、遠心分離機で遠心分離(5800×g、30分間)して上澄を得た。得られた上澄460μLに、硝酸銀溶液20μLを配合して、銀イオンの濃度を下記表4に示す濃度になるようにして、下記表4に示す種々の抗菌剤を含むLB培地を調製した。なお、ここで、銀イオンの濃度は、下記の大腸菌懸濁液を添加した後の殺菌効果測定試験用処理液中の濃度として表記した。
 <殺菌効果測定試験>
 得られた抗菌剤を含むLB培地に、20μLの大腸菌懸濁液を添加して、殺菌効果測定試験用処理液を得た。開始時、1時間後、3時間後及び24時間後に50μLを採取し、4.95mLのLP希釈液に添加した。10倍ずつ4段階希釈を行い、各希釈液1mL中の生菌数を混釈平板培養法を用いて測定し、その結果を下記表4に示した。上記大腸菌懸濁液としては、大腸菌を5mLの普通ブイヨン培地(栄研化学社製)を用い、27℃で18時間振盪培養し、1mLを採取し、10000rpmで5分間、遠心分離した後、沈殿を1mlの0.85%食塩水に懸濁し、さらに10倍に希釈したものを用いた。
 (比較例11)
 銀イオンの濃度を0mg/Lにした以外は、実施例4と同様にして抗菌剤を含むLB培地を調製した。その後、実施例4と同様にして殺菌効果測定試験を行い、その結果を下記表4に示した。
 (比較例12)
 アロフェンの添加量を0%(W/V)にした以外は、実施例4と同様にして抗菌剤を含むLB培地を調製した。その後、実施例4と同様にして殺菌効果測定試験を行い、その結果を下記表4に示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 表4から分かるように、リン吸着材、具体的にはアルミニウム塩含有珪酸系無機粉末であるアロフェンを混合することにより銀含有化合物の抗菌性が向上している。例えば、銀イオンの濃度が1mg/Lの場合、アロフェンを1%(W/V)含むと、わずかな大腸菌しか観察されず、また、アロフェンを4%以上(W/V)含むと、大腸菌の生菌数が検出限界(1000cfu/ml)以下になる。また、例えば、銀イオンの濃度が5mg/Lの場合、アロフェンを1%以上(W/V)含むと、大腸菌の生菌数が検出限界(1000cfu/ml)以下になる。また、表4から、銀イオンの濃度が一定の場合、アロフェンの添加量が多いほど、抗菌効果が高いことが分かる。また、アロフェンの添加量が一定の場合、銀イオンの濃度が高いほど、抗菌効果が高いことが分かる。
 (実施例5)
 <LB培地の調製>
 実施例1と同様にして、LB培地を調製した。
 <抗菌剤を含むLB培地の調製>
 得られたLB培地に硝酸銀を銀イオンの濃度が1mg/Lになるように溶解し、さらに製造例1で得られた再生コラーゲン粉末を4%(W/V)となるように懸濁し、30℃で18時間振盪した。その後、遠心分離機で遠心分離(5800×g、30分間)して上澄、即ち抗菌剤を含むLB培地を調製した。なお、ここで、銀イオンの濃度は、下記の大腸菌懸濁液を添加した後の殺菌効果測定試験用処理液中の濃度として表記した。
 <殺菌効果測定試験>
 得られた抗菌剤を含むLB培地に、20μLの大腸菌懸濁液を添加して、殺菌効果測定試験用処理液を得た。開始時、0.25時間後、1時間後、3時間後及び8時間後に50μLを採取し、4.95mLのLP希釈液に添加した。10倍ずつ4段階希釈を行い、各希釈液1mL中の生菌数を混釈平板培養法を用いて測定し、その結果を下記表5に示した。上記大腸菌懸濁液としては、大腸菌を5mLの普通ブイヨン培地(栄研化学社製)を用い、27℃で18時間振盪培養し、1mLを採取し、10000rpmで5分間、遠心分離した後、沈殿を1mlの0.85%食塩水に懸濁し、さらに10倍に希釈したものを用いた。
 (比較例13)
 銀イオンの濃度を0mg/Lにした以外は、実施例4と同様にして抗菌剤を含むLB培地を調製した。その後、実施例5と同様にして殺菌効果測定試験を行い、その結果を下記表5に示した。
 (比較例14)
 再生コラーゲン粉末の添加量を0%にした以外は、実施例5と同様にして抗菌剤を含むLB培地を調製した。その後、実施例5と同様にして殺菌効果測定試験を行い、殺菌効果測定試験を行い、その結果を下記表5に示した。
 (比較例15)
 再生コラーゲン粉末の添加量を0%にし、銀イオンの濃度を0mg/Lにした以外は、実施例5と同様にして抗菌剤を含むLB培地を調製した。その後、実施例5と同様にして殺菌効果測定試験を行い、殺菌効果測定試験を行い、その結果を下記表5に示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
 表5から分かるように、リン吸着材、具体的には再生コラーゲン粉末を混合することにより銀含有化合物の抗菌性が向上している。例えば、銀イオンの濃度が1mg/Lの場合、再生コラーゲン粉末を4%(W/V)含むと、大腸菌の生菌数が検出限界(1000cfu/ml)以下になる。
1 エレクトロスピニング装置
2 密閉容器
3 絶縁板
4 金属製ホルダー
5 金属製ノズル
6 高圧電源
7 送液配管
8 別の密閉容器
9 容器
10 再生コラーゲン溶液
11 コンプレッサー
12 金属製の網
13 支柱
14 アース
15 帯電微小ミスト(再生コラーゲン繊維)
20 スプレーノズル
21 アルミニウム塩の水溶液
22 巻き取りシリンダー

Claims (14)

  1.  アルミニウム以外の金属含有化合物とリン吸着材とを含むことを特徴とする抗菌剤。
  2.  前記金属含有化合物が、銀含有化合物、亜鉛含有化合物及び銅含有化合物からなる群から選ばれる1種以上の金属含有化合物である請求項1に記載の抗菌剤。
  3.  前記金属含有化合物が、銀含有化合物である請求項1又は2に記載の抗菌剤。
  4.  前記リン吸着材が、アルミニウム化合物である請求項1~3のいずれか一項に記載の抗菌剤。
  5.  前記アルミニウム化合物が、再生コラーゲン、ポリビニルアルコール及びカルボキシメチルセルロースから選ばれる少なくとも1つのマトリックス樹脂成分と、アルミニウム塩を含み、前記アルミニウム塩は、前記マトリックス成分に化学的に結合されているアルミニウム含有樹脂である請求項4に記載の抗菌剤。
  6.  前記抗菌剤を100重量%としたとき、前記アルミニウム以外の金属含有化合物の割合が0.0001~99.9重量%であり、前記リン吸着材の割合が0.1~99.9999重量%の範囲である請求項1~5のいずれか一項に記載の抗菌剤。
  7.  前記リン吸着材が、アロフェンである請求項1又は6に記載の抗菌剤。
  8.  アルミニウム以外の金属含有化合物の抗菌性を向上させる方法であって、アルミニウム以外の金属含有化合物とリン吸着材とを併用することを特徴とする抗菌剤の使用方法。
  9.  前記金属含有化合物が、銀含有化合物、亜鉛含有化合物及び銅含有化合物からなる群から選ばれる1種以上の金属含有化合物である請求項8に記載の抗菌剤の使用方法。
  10.  前記金属含有化合物が、銀含有化合物である請求項8又は9に記載の抗菌剤の使用方法。
  11.  前記リン吸着材が、アルミニウム化合物である請求項8~10のいずれか一項に記載の抗菌剤の使用方法。
  12.  前記アルミニウム化合物が、再生コラーゲン、ポリビニルアルコール及びカルボキシメチルセルロースから選ばれる少なくとも1つのマトリックス樹脂成分と、アルミニウム塩を含み、前記アルミニウム塩は、前記マトリックス成分に化学的に結合されているアルミニウム含有樹脂である請求項11に記載の抗菌剤の使用方法。
  13.  前記抗菌剤を100重量%としたとき、前記アルミニウム以外の金属含有化合物の割合が0.0001~99.9重量%であり、前記リン吸着材の割合が0.1~99.9999重量%の範囲である請求項8~12のいずれか一項に記載の抗菌剤の使用方法。
  14.  前記リン吸着材が、アロフェンである請求項8又は13に記載の抗菌剤の使用方法。
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