WO2009113151A1

WO2009113151A1 - 熱媒体液の加熱方法及びその装置

Info

Publication number: WO2009113151A1
Application number: PCT/JP2008/054299
Authority: WO
Inventors: 正英内野
Original assignee: ジャパン・フィールド株式会社
Priority date: 2008-03-10
Filing date: 2008-03-10
Publication date: 2009-09-17

Abstract

【課題】真空雰囲気中に於いて熱媒体液の加熱を行うことにより、熱媒体液の酸化劣化や熱媒体液のオーバー加熱等による火災が生じることなく、且つ、高圧ボイラー等を使用せずに装置破壊の危険を発生させることなく、幅広い液体を用いて、１００°C以上の間接加熱を安全且つ衛生的に行うことを可能とする。【解決手段】被加熱目的液3を加熱するための熱媒体液2を真空雰囲気中に於いて１００°C以上に加熱する。

Description

熱媒体液の加熱方法及びその装置

　本発明は、メッキ液、防錆液、表面処理用液体、食品加工用液体、洗浄用液体、洗浄使用後の汚染された蒸留再生用の液体等の被加熱目的液を、１００℃以上の高温で間接加熱するために用いる可燃性の熱媒体液の加熱方法及びその装置に関するものである。

　従来、メッキ液、防錆液、表面処理用液体、食品加工用液体、洗浄用液体、洗浄使用後の汚染された蒸留再生用の液体等の被加熱目的液を１００℃以上の高温で間接加熱する方法としては、特許文献１に示す如く加圧スチームによる加熱方法や、特許文献２に示す如く熱媒体液による加熱方法等が存在する。また、上記熱媒体液としては、鉱物油、植物油、動物油脂、シリコーンオイル等の可燃性の液体が広く利用されている。
特開２００５－２１４４６８号公報特開２００５－２５５７６２号公報

　　しかしながら、特許文献１に示す如く加圧スチームを用いた加熱方法では、万一熱交換機が劣化等により破損した場合や配管がゆるんだ場合に、高温高圧の蒸気が周囲に噴き出し、物的、人的被害が発生する危険があり、安全対策に十分な配慮が必要であった。また、このように装置の使用に危険性を伴うため、装置の取扱いに専門的知識が必要となり、作業者が一定の資格者等に限定される不都合が生じていた。また、被加熱目的液との熱交換後に蒸気が再利用されることなく熱水の状態で排出されるため、多量の残熱エネルギーが無駄となり、地球温暖化の要因ともなっていた。また、加熱作業に大量の水を必要とするため、水の供給事情が悪い場所に於いては装置を使用することができず、装置の使用場所が限られていた。

　　また、特許文献２に示す如く熱媒体液を用いた加熱方法において、鉱物油、植物油、動物油脂等の可燃性油を熱媒体液として使用する場合には、空気中の酸素により熱媒体液が容易に酸化劣化し、この酸化劣化した熱媒体液を使用し続けると、熱媒体液が加熱部付近で固化してその部分がオーバー加熱となったり、熱交換パイプがつまったりするおそれがある。そのため、酸化劣化した熱媒体液を新しいものと頻繁に交換しなければならず、ランニングコストが高くつくものとなっていた。また、上記交換の度に酸化劣化した大量の熱媒体液を廃棄することとなるため、環境への悪影響が懸念されていた。また、このように熱媒体液を用いて高温で加熱作業を行う場合には、加熱時に油煙やガスが大量に発生するものとなるから、装置内の過圧化を防止するために、装置を開放状態又は半開放状態で使用しなければならない。そのため、装置内の熱媒体液が必然的に外気と接触するものとなり、上述の如き熱媒体液の酸化劣化が一層促進されるものとなる。そのため、熱媒体液の交換頻度が多くなり、ランニングコストが一層高くつくとともに、熱媒体液の廃棄による環境への悪影響も更に大きなものとなっていた。また、高温加熱により、熱媒体液が発火したり、熱媒体液の気化ガスが装置の開放部から外部に漏れて引火したりして、火災が発生する危険があった。

　また、熱媒体液として毒性の強い液体を用いた場合には、装置が破裂した際に上記熱媒体液が周囲に飛散し、周囲を汚染するおそれがあり、装置の安全な使用が困難であった。また、熱媒体液と被加熱目的液との熱交換部が劣化等により破損した場合に、毒性の強い熱媒体液が被加熱目的液に混入するおそれがあり、特に食品や医薬品等を被加熱目的液とする場合には、安全面及び衛生面に於いて重大な問題が生じる可能性があった。

　そこで本発明は、上述の如き課題を解決しようとするものであって、熱媒体液の酸化劣化や熱媒体液のオーバー加熱等による火災が生じることなく、且つ、高圧ボイラー等を使用せずに装置破壊の危険を発生させることなく、可燃性の熱媒体液を幅広く用いて、１００℃以上の間接加熱を安全且つ衛生的に行うことを可能としようとするものである。

　　上述の如き課題を解決するため、本願第１発明は、被加熱目的液を加熱するための可燃性の熱媒体液を真空雰囲気中に於いて１００℃以上に加熱するものである。

　　また、本願第２発明は、上記方法を具現化した装置であって、真空機構と、この真空機構に接続し被加熱目的液を加熱するための可燃性の熱媒体液を密閉収納可能とする真空槽と、この真空槽内の可燃性の熱媒体液を１００℃以上に加熱可能な加熱機構とからなる。

　　また、可燃性の熱媒体液は、炭化水素系液体、親水性液体、シリコーンオイル、植物油、又は動物油脂のうち、１種又は複数種を選択的に用いたものであっても良い。

　本発明は上述の如く構成したものであって、熱媒体液を常圧の場合と比較して酸素が少ない真空雰囲気中で加熱するものであるから、熱媒体液の酸化劣化を抑制することが可能となり、熱媒体液の耐用期間を長くすることが可能となる。そのため、ランニングコストを低くすることが可能となるとともに、廃油の量を減らして、廃油の排出による環境への負荷を低減することが可能となる。

　　また、真空雰囲気中では減圧状態であることから、加圧スチームを使用する場合の如く装置が高圧により破裂する事態が生じることはないため、装置の安全な使用が可能となる。また、高圧状態で装置を扱う場合の如く作業者に資格等を必要としないため、作業者が一定の者に限定されることもなく、作業者の確保が容易となる。

　　また、熱媒体液の高温加熱時に油煙やガスが発生した場合にも、上述の如く装置内を減圧しており高圧化のおそれがないため、過圧化防止のために装置の一部を開放しておく必要がない。そのため、装置を密閉して装置内の熱媒体液が外気と接触するのを防止することが可能となり、熱媒体液の酸化劣化を抑制して、熱媒体液の耐用期間を一層長くすることができる。

　　また、真空雰囲気中は酸素が少ないため、可燃性の熱媒体液を高温で加熱しても、熱媒体液の発火のおそれがないとともに、上述の如く装置を密閉状態で使用することができるから、熱媒体液の気化ガスが外部に漏れて引火するおそれもない。そのため、火災等が発生する危険性が少なく安全に使用することができるため、可燃性の液体を幅広く熱媒体液として使用することが可能となる。

　　また、万一装置が破損した場合にも、装置内部を真空にして外部よりも負圧化しているため、外気が装置の内部に引き込まれるものとなり、熱媒体液が周囲に飛散するおそれはないものとなる。そのため、装置の安全な使用が可能となる。また、万一熱媒体液と被加熱目的液との熱交換部が劣化等により破損した場合であっても、熱媒体液側を真空にして被加熱処理物側よりも負圧化しているため、被加熱目的液が熱媒体液側に流入するものとなり、熱媒体液が被加熱目的液側に混入するおそれがないものとなる。そのため、毒性の強い液体を熱媒体液として使用し、食品や医薬品等を被加熱目的液とする場合であっても、装置の安全且つ衛生的な使用が可能となる。

実施例１を示す概念図。他の異なる実施例を示す概念図。

符号の説明

　　１　真空槽
　　２　熱媒体液
　　３　被加熱目的液
　　５　加熱機構
　　８　真空機構

　本発明の実施例１を図１において詳細に説明すると、(１)は熱媒体液（２）を収納した真空槽であって、被加熱目的液（３）を収納した収納槽（４）の下端を挿入している。また、本発明の熱媒体液（２）は可燃性のものであって、炭化水素系液体、親水性液体、シリコーンオイル、植物油、又は動物油脂のうちの１種又は複数種を選択的に用いることが可能である。また、本発明の被加熱目的液（３）は、メッキ液、防錆液、表面処理用液体、食品加工用液体、洗浄用液体、洗浄使用後の汚染された蒸留再生用の液体等である。

　　また、上記真空槽（１）は、内部を密閉して気密性を保持するとともに、下方に加熱機構（５）を配置している。そして、この加熱機構（５）により真空槽（１）内の熱媒体液（２）を１００℃以上に加熱することにより、前述の如く真空槽（１）に下端を挿入した収納槽（４）を加熱するとともに、この収納槽（４）内に収納した被加熱目的液（３）を加熱可能としている。また、上記の如く形成した真空槽（１）には、図１に示す如く、開閉弁（６）を設けた圧力管（７）を介してエゼクター機構、バキュームポンプ等の真空機構（８）を接続し、この真空機構（８）を作動させて真空槽（１）内の気体を吸引することにより、真空槽（１）内を減圧して真空状態とすることを可能としている。また、上記真空槽（１）は、圧力センサー（１０）と接続して真空槽（１）内の圧力を検知可能とするとともに、内部の真空度を任意に調整可能としている。また、開放弁（１１）と接続して真空槽（１）内にエアーを導入可能とし、このエアーの導入により、常圧状態での熱媒体液（２）の安全な交換を可能としている。また、上記真空槽（１）には温度センサー（１２）を接続配置し、この温度センサー（１２）により真空槽（１）内の熱媒体液（２）の温度を設定温度に制御可能としている。

　　上記の如く構成したものにおいて、本実施例の熱媒体液（２）の加熱装置により熱媒体液（２）を加熱する方法について以下に説明する。まず、前記収納槽（４）内に被加熱目的液（３）を充填するとともに、前記圧力管（７）に設けた開閉弁（６）を開弁して真空機構（８）を作動させることにより、真空槽（１）内を減圧し、真空状態とする。この真空槽（１）内の真空度は、真空槽（１）に設けた前記圧力センサー（１０）によって検知し調節することができる。即ち、真空機構（８）にて真空槽（１）内を減圧し、一定の圧力に達した時点で、圧力センサー（１０）が制御装置(図示せず)に検知信号を送信することにより、この制御装置によって開閉弁（６）が閉弁する。これにより、真空槽（１）内の真空雰囲気を一定の真空度に調節することが可能となる。

　そして、このように真空槽（１）内を真空とした状態で、加熱機構（５）を作動することにより、真空槽（１）内の熱媒体液（２）を１００℃以上まで加熱する。この熱媒体液（２）の加熱により、真空槽（１）に下端を挿入した収納槽（４）が加熱され、この収納槽（４）の内部に収納した被加熱目的液（３）が加熱されるものとなる。本発明に於いてはこのように、熱媒体液（２）を常圧の場合と比較して酸素が少ない真空雰囲気中で加熱するものであるから、熱媒体液（２）の酸化劣化を抑制することが可能となり、熱媒体液（２）の耐用期間を長くすることが可能となる。そのため、装置のランニングコストを低くすることが可能となるとともに、廃油の量を減らして、廃油の排出による環境への負荷を低減することが可能となる。

　　また、熱媒体液（２）の高温加熱時に油煙やガスが発生した場合にも、上述の如く装置内を減圧しており高圧化のおそれがないため、過圧化防止のために装置の一部を開放しておく必要がない。そのため、装置を密閉して装置内の熱媒体液（２）が外気と接触するのを防止することが可能となり、熱媒体液（２）の酸化劣化を抑制して、熱媒体液（２）の耐用期間を一層長くすることができる。

　　また、真空雰囲気中は酸素が少ないため、可燃性の熱媒体液（２）を高温で加熱しても、熱媒体液（２）の発火のおそれがないとともに、上述の如く装置を密閉状態で使用することができるから、熱媒体液（２）の気化ガスが外部に漏れて引火するおそれもない。そのため、火災等が発生する危険性が少なく安全に使用することができるため、可燃性の液体を幅広く熱媒体液（２）として使用することが可能となる。

　　また、万一装置が破損した場合にも、装置内部を真空にして外部よりも負圧化しているため、外気が装置の内部に引き込まれるものとなり、熱媒体液（２）が周囲に飛散するおそれはないものとなる。また、万一収納槽（４）が劣化等により破損した場合であっても、熱媒体液（２）側を真空にして被加熱目的液（３）側よりも負圧化しているため、被加熱目的液（３）が熱媒体液（２）側に流入するものとなり、熱媒体液（２）が被加熱目的液（３）側に混入するおそれがないものとなる。そのため、毒性の強い液体を熱媒体液（２）として使用し、食品や医薬品等を被加熱目的液（３）とする場合であっても、装置の安全且つ衛生的な使用が可能となる。

　　なお、本実施例に於いては図１に示す如く、真空槽（１）内の熱媒体液（２）により上記真空槽（１）に下端を挿入した収納槽（４）内の被加熱目的液（３）を加熱している。一方、他の異なる実施例に於いては図２に示す如く、真空槽（１）内で加熱した熱媒体液（２）を、一部を収納槽（４）内に挿入配置した流通管（１３）内を循環させることにより、上記流通管（１３）の収納槽（４）への挿入部分により収納槽（４）内の被加熱目的液（３）を加熱することも可能である。なお、この場合には、ポンプ等の熱媒体液（２）の移送手段（１４）が必要となる。
　

Claims

　　被加熱目的液を加熱するための可燃性の熱媒体液を真空雰囲気中に於いて１００℃以上に加熱することを特徴とする熱媒体液の加熱方法。
　　真空機構と、この真空機構に接続し被加熱目的液を加熱するための可燃性の熱媒体液を密閉収納可能とする真空槽と、この真空槽内の可燃性の熱媒体液を１００℃以上に加熱可能な加熱機構とからなることを特徴とする熱媒体液の加熱装置。
　　可燃性の熱媒体液は、炭化水素系液体、親水性液体、シリコーンオイル、植物油、又は動物油脂のうち、１種又は複数種を選択的に用いたことを特徴とする請求項１の熱媒体液の加熱方法。
　　可燃性の熱媒体液は、炭化水素系液体、親水性液体、シリコーンオイル、植物油、又は動物油脂のうち、１種又は複数種を選択的に用いたことを特徴とする請求項２の熱媒体液の加熱装置。