JP7356668B2 - 汚染物質の分解除去方法及び分解除去装置 - Google Patents
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Description
(3)前記分解除去方法は、前記汚染物質としての核酸を分解除去する場合にも好適に用いることができる。
(4)また、前記分解除去方法は、前記汚染物質としての核酸染色試薬を分解除去する場合にも好適に用いることができる。
(5)あるいは、前記分解除去方法は、前記汚染物質として、実験に使用した後に熱失活処理することが望まれる有害物質、又は、感染性の生物試料を分解除去する場合にも好適に用いることができる。
(7)前記小型密閉容器は、外から内部が透けて見えるものであることが好ましい。
(8)前記高温高圧処理装置には、前記処理室内を冷却する冷却装置が設けられていることが好ましい。この場合、前記冷却工程では、前記冷却装置により前記処理室内の温度を強制的に低下させることが好ましい。
本実施形態の分解除去装置及び分解除去方法は、感染性廃棄物に含まれる汚染物質や生物試料の廃棄物に含まれる汚染物質を分解して除去する方法及び装置であり、汚染物質を封じ込めることで漏洩を回避しながら感染性の除去,生物試料の不活化,汚染物質の無害化を行う装置及び方法ともいえる。本実施形態では、汚染物質としてDNA(デオキシリボ核酸)を例示するが、汚染物質はこれに限られず、RNA(リボ核酸)であってもよいし、核酸以外の化学物質(例えば、酵素や当該条件で熱変性,熱分解される化合物)であってもよい。
図2は、本実施形態に係る汚染物質の分解除去方法の手順を説明するフローチャートである。本分解除去方法は、密閉工程,処理工程,冷却工程の3工程からなり、この順に実施する。密閉工程及び処理工程の前半は作業者(人)の手によって実施され、処理工程の後半及び冷却工程は制御装置6によって実施される。つまり、処理工程の後半及び冷却工程が上記の「分解除去処理に関する制御」に相当する。なお、密閉工程及び処理工程の前半を作業者の手で実施する代わりに、ロボット等を使用して全自動化してもよい。この場合、全ての工程が「分解除去処理に関する制御」に相当する。反対に、処理工程の後半及び冷却工程を制御装置6で実施する代わりに、作業者の手で実施してもよい。
(1)上述した分解除去方法及び装置によれば、処理工程及び冷却工程において処理室2内の圧力を高めてレトルトパウチ10の外側から加圧するため、小型密閉容器としてのレトルトパウチ10の破裂を防止できる。このため、パウチ内圧が高まっても、レトルトパウチ10を破裂させずに高温保持できるとともに高温からの冷却も可能となる。また、処理温度を高めることによりパウチ内圧が高まっても、レトルトパウチ10の破裂を防止できるため、処理時間の短縮を図ることができる。さらに、処理工程及び冷却工程において、処理室2内の圧力を高めてレトルトパウチ10を外側から加圧するだけで良いため、装置内の温度分布を均一に保つ必要もないため、低コストを実現できる。したがって、パウチ内圧にかかわらず、短時間かつ低コストで、汚染物質の分解除去を行うことができる。
(3)上述したオートクレーブ1には、ヒーター3,コンプレッサー4及びリーク弁5が設けられており、いずれの工程においてもレトルトパウチ10の破裂を確実に防ぎつつ、適切な処理時間で汚染物質の分解除去を達成できる。
上述した分解除去装置は一例であり、分解除去方法も一例である。例えば、冷却装置7は必須では無く省略してもよい。この場合、処理工程後の冷却工程では、加圧とともに自然に処理室2内の温度を低下させればよい。また、高温高圧処理装置はオートクレーブ1に限られず、例えば、オーブン又は電熱器にコンプレッサーを追加することでも上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、小型密閉容器もレトルトパウチ10に限られず、内圧上昇に伴って膨張し得る弾性素材で形成された小型の密閉容器であれば適用可能である。また、レトルトパウチ10を用いる場合であっても、そのレトルトパウチ10の種類や色は特に限られず、半透明や色付きのレトルトパウチを使用してもよい。なお、上記の分解除去方法及び装置は、核酸を分解除去する以外にも、感染性廃棄物や生物試料の廃棄物に含まれる汚染物質を分解して除去する際に適用可能である。
1.レトルトパウチ(カウパック社製ESCF-TN0900型・巾160mm×高さ240mm×底マチ40.5mm)に300mLの水道水を入れ、レトルトパウチのヘッドスペースに200mL程度空気を残したまま、ハッコー社製FV802-01型卓上ヒートシーラーで開口部を溶着した。また、レトルトパウチの状態確認の為、レトルトパウチに450mL、600mLの水道水をそれぞれ入れ、ヘッドスペースに空気を残したまま、同様に開口部を溶着した。
2.密閉した上記3種類のレトルトパウチを高温高圧処理装置試作機の処理室内に設置し、処理温度が125℃,処理時間が1時間の条件で運転したところ、全てのレトルトパウチは、加熱,処理,冷却のいずれにおいて安定的に保たれた。
上記の実施例1と同様のレトルトパウチに300mLの水道水を入れ、上記と同様に、レトルトパウチのヘッドスペースに空気を残したまま開口部を溶着した。
通常のオートクレーブを使用して、密閉した上記のレトルトパウチを複数個、処理室内に設置し、通常の脱気をして、処理温度が121℃,処理時間が20分の条件でコンプレッサーによる加圧を行わずに、加熱,処理,冷却まで終了すると、全てのレトルトパウチは内側から破裂した。
上記の実施例1と同様のレトルトパウチに150mL、300mL、600mLの水道水を入れ、上記と同様に、レトルトパウチのヘッドスペースに空気を残したまま開口部を溶着した。
通常のレトルト殺菌器を使用して、密閉した上記3種類のレトルトパウチを処理室内に設置し、121℃,殺菌時間20分の条件で、処理室内の脱気を伴いかつ加熱,処理時にコンプレッサーを作動しないで運転したところ、600mLのレトルトパウチは内側から破裂したため、比率として33%のレトルトパウチが内側から破裂した。
上記と同様のレトルトパウチに300mLミリQ水を入れ、先願特許(特許文献1)と同じモデルPCR廃棄物の溶液を加えて先願特許と同一の方法によりDNAの分解能力の評価を行ったところ、図4の結果を得た。モデルPCR廃棄物を段階希釈したサンプルを参照して、処理前のサンプルのCt値が8、分解して鋳型活性が約7桁減少したサンプルのCt値が35であることを確認した。DNAの鋳型活性を7桁減少させるのに要する処理時間は、処理温度が120℃の場合は3時間、処理温度が125℃では90分、処理温度が130℃では1時間であることが分かった。
2 処理室
3 ヒーター
4 コンプレッサー
5 リーク弁
6 制御装置
7 冷却装置
8 圧力センサー(圧力検出手段)
9 温度センサー(温度検出手段)
10 レトルトパウチ(小型密閉容器)
11 かご
12 試験容器
Claims (9)
- 小型密閉容器の内部に、処理対象である汚染物質を含んだ廃棄物及び希釈用の液体を、酸素を含む気体又は空気とともに密閉する密閉工程と、
前記密閉工程後に、前記小型密閉容器を高温高圧処理装置の処理室内に配置して高温保持する処理工程と、
前記処理工程後に、前記処理室内の温度を下げる冷却工程と、を備え、
前記処理工程及び前記冷却工程では、前記処理室内の圧力を高めて前記小型密閉容器を外側から加圧し、
前記高温高圧処理装置には、前記処理室内の圧力を維持し又は高めるコンプレッサーが設けられており、
前記冷却工程において、前記コンプレッサーにより前記処理室内の圧力を前記小型密閉容器内圧よりも高い状態に維持し、前記小型密閉容器を外側から加圧した状態で前記処理室内の温度を下げる、
ことを特徴とする、汚染物質の分解除去方法。 - 前記小型密閉容器は、内容積が0.5リットル以上かつ2.0リットル以下のレトルトパウチである
ことを特徴とする、請求項1記載の分解除去方法。 - 前記汚染物質は核酸である
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の分解除去方法。 - 前記汚染物質は核酸染色試薬である
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の分解除去方法。 - 前記汚染物質は、実験に使用した後に熱失活処理することが望まれる有害物質、又は、感染性の生物試料である
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の分解除去方法。 - 前記高温高圧処理装置には、前記処理室内を加熱するヒーターと、前記圧力を前記処理室内から逃がすリーク弁とが設けられており、
前記処理工程では、前記高温保持する際の前記処理室内の温度及び圧力を検出し、当該温度及び圧力に応じて前記ヒーター及び前記コンプレッサー並びに前記リーク弁の各作動状態を制御し、
前記冷却工程では、前記コンプレッサーの作動状態を制御して、前記処理室内の温度と前記小型密閉容器内の温度との差及び前記処理室内と前記小型密閉容器内の気体組成の違いに由来する熱膨張率の差から生じる前記小型密閉容器の膨張を抑制する
ことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の分解除去方法。 - 前記小型密閉容器は、外から内部が透けて見えるものである
ことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の分解除去方法。 - 前記高温高圧処理装置には、前記処理室内を冷却する冷却装置が設けられており、
前記冷却工程では、前記冷却装置により前記処理室内の温度を強制的に低下させる
ことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の分解除去方法。 - 処理対象である汚染物質を含んだ廃棄物及び希釈用の液体を、酸素を含む気体又は空気とともに密閉するためのレトルトパウチと、
密閉された前記レトルトパウチが配置される処理室を備えた高温高圧処理装置と、
前記処理室内の圧力を維持し又は高めるコンプレッサーと、
前記処理室内の圧力を逃がすリーク弁と、
前記処理室内の圧力を検出する圧力検出手段と、
前記処理室内の温度を検出する温度検出手段と、
前記圧力検出手段及び前記温度検出手段によってそれぞれ検出された前記圧力及び前記温度に基づき、前記ヒーター及び前記コンプレッサー並びに前記リーク弁の各作動状態を制御することで、前記コンプレッサーにより前記処理室内の圧力を前記レトルトパウチの内圧よりも高い状態に維持し、前記処理室内に配置された前記レトルトパウチを外側から加圧した状態で高温保持するとともに前記加圧した状態で前記処理室内の温度を下げる制御装置と、を備える
ことを特徴とする、汚染物質の分解除去装置。
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