明 細 書
情報処理装置、提携先を選定するための情報を生成する方法、およびプ ログラム
技術分野
[0001] 本発明は、複数の技術文献を分析する情報処理の技術に関し、特に、技術文献を 利用して、企業間における最適なアライアンス先を選定するための技術に関する。 背景技術
[0002] 特許文献 1には、 M&Aの相手先を検索する合併買収支援システムが開示されて いる。具体的には、特許文献 1の合併買収支援システムは、売り手企業の内容を示 す情報 (企業規模、業種、財務状況、取り扱い商品等の情報)と、買い手企業の買収 希望先企業の条件 (企業規模、業種、財務状況、取り扱い商品等の情報)とを格納 するデータベースを備えている。上記の合併買収支援システムは、買い手企業から の買収希望先企業の条件を受け付けると、その条件にしたがいデータベースを検索 し、買い手企業に、上記の条件に合致する売り手企業の情報を出力する。
特許文献 1 :特開 2004— 318379号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0003] ところで、製造メーカ等の企業では、 自社の技術力や競争力を強化するために、他 社とアライアンスを組むことがある。技術力強化を目的としたアライアンスでは、ァライ アンス先として、自社の強みを生力、しながら自社の技術の弱みを補える企業を選定 することや、自社の技術の強みをさらに強化できる企業を選定することが望まれてい しかしながら、現状では、自社および他社の技術を適切に評価して比較するための 有効な手段は確立されていない。また、現状では、アライアンス先を選定するための 有効な判断基準も知られてない。そのため、多くの企業の中から、自社の強みを生か しながら自社の技術の弱みを補える相手先や、自社の技術の強みをさらに強化でき る相手先を効率よく的確に選定することは困難なものとなっている。
[0004] なお、上記特許文献 1の技術は、買収希望先の企業規模や取り扱い商品等をキー ワードにして、データベースに登録されている売り手企業を検索する、データベース 検索技術であり、各企業の技術的な特徴 (強み弱み)を考慮した上で、最適なァライ アンス先を選定するものではなレ、。
[0005] 本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、特許公報等 の技術情報を利用して、最適なアライアンス先の選定を効率よく行なえるようにするこ とにある。
課題を解決するための手段
[0006] (1)上記課題を解決するため、本発明の第 1の態様は、複数の特許データを取得 し、該取得した特許データを利用して各種情報処理を行う情報処理装置に適用され る。ここで、前記特許データには、該特許データの名義人を示す情報と、該特許デー タの属性情報とが含まれてレ、る。
そして、前記情報処理装置は、前記取得した各特許データを所定技術分野毎のク ラスに分類する手段と、各クラスに属する特許データの属性情報を利用して、該クラ ス毎にクラス毎評価値を算出すると共に、前記クラス毎且つ該クラスに属する特許デ ータの名義人毎に名義人毎クラス毎評価値を算出する手段と、前記クラス毎評価値 の分布傾向を示す全体分布傾向を求め、前記名義人毎に、該名義人の名義人毎ク ラス毎評価値を対応付けた名義人評価情報を作成する手段と、分析対象の名義人 である対象名義人の指定を受け付ける手段と、前記求めた全体分布傾向、および前 記作成した各名義人評価情報を用いて、前記受け付けた対象名義人の提携先を選 定するための情報を生成する提携先選定情報生成手段と、を有し、前記提携先選定 情報生成手段は、前記対象名義人以外の各名義人である候補名義人の名義人評 価情報と、前記対象名義人の名義人評価情報と、を前記クラス毎に加算した合成評 価情報を前記候補名義人毎に求め、該求めた合成評価情報毎に、前記クラス毎の 値の分布傾向を示す合成分布傾向を求め、該求めた各合成分布傾向の前記全体 分布傾向に対する近似度を示す合成近似度を求める。
[0007] このように、本発明の第 1の態様では、対象名義人の名義人評価情報と、候補名義 人の名義人評価情報とを加算した合成評価情報のクラス毎の値の分布傾向と、取得
した特許データ全体のクラス毎評価値の分布傾向との近似度(合成近似度)を求め ている。この合成近似度とは、合成評価情報のクラス毎の値の分布傾向が、取得した 特許データ全体のクラス毎評価値の分布傾向と、どれだけ似てレ、るかを示して!/、る。 なお、取得した特許データ全体のクラス毎評価値の分布傾向とは、取得した特許デ ータに係る技術領域全体の社会的な技術配分を示している。各企業としても、上記 の社会的な技術配分に近似した技術ポートフォリオを保有することが望ましレ、。した がって、各合成近似度を参照することにより、どの候補名義人と技術提携をすれば、 上記の社会的な技術配分に近似した技術ポートフォリオを保有できるかを判断するこ とができる。すなわち、第 1の態様によれば、最適なアライアンス先の選定を効率よく ネ亍なえるようになる。
[0008] (2)また、前記提携先選定情報生成手段は、前記対象名義人の名義人評価情報 の前記クラス毎の値の分布傾向を示す名義人分布傾向を求め、該求めた名義人分 布傾向の前記全体分布傾向に対する近似度を示す対象名義人近似度を求め、前 記求めた合成近似度の中から前記対象名義人近似度より高いものを選び、該選ん だ合成近似度を持つ合成評価情報を特定し、該特定した合成評価情報の算出に用 いた名義人評価情報に対応する候補名義人を推奨提携先として選定することとして あよい。
[0009] この構成により、複数の候補名義人のうち、対象名義人が提携することによって上 記の特許データ全体の分布に近づける候補名義人だけを提携先として選定すること 力 Sできるようになる。その結果、技術的な補完効果の高いアライアンス先を推奨提携 先として選定すること力 Sできる。
[0010] (3)また、上記課題を解決するための、本発明の第 2の態様は、複数の特許データ を取得し、該取得した特許データを利用して各種情報処理を行う情報処理装置に適 用される。ここで、前記特許データには、該特許データの名義人を示す情報と、該特 許データの属性情報とが含まれている。
そして、前記情報処理装置は、前記取得した各特許データを所定技術分野毎のク ラスに分類する手段と、各クラスに属する特許データの属性情報を利用して、該クラ ス毎にクラス毎評価値を算出すると共に、前記クラス毎且つ該クラスに属する特許デ
ータの名義人毎に名義人毎クラス毎評価値を算出する手段と、前記クラス毎評価値 を要素とする補完基準ベクトルを生成し、前記名義人毎に、該名義人の名義人毎ク ラス毎評価値を要素とする名義人評価ベクトルを生成する手段と、分析対象の名義 人である対象名義人の指定を受け付ける手段と、前記生成した補完基準ベクトル、 および前記生成した各名義人評価ベクトルを用いて、前記受け付けた対象名義人の 提携先を選定するための情報を生成する提携先選定情報生成手段と、を有し、前記 提携先選定情報生成手段は、前記対象名義人以外の各名義人である候補名義人 の名義人評価ベクトルと、前記対象名義人の名義人評価ベクトルと、を加算した合成 評価ベクトルを前記候補名義人毎に求め、該合成評価ベクトル毎に、該合成評価べ タトルと前記補完基準ベクトルとの余弦である合成余弦を算出する。
[0011] このように、本発明の第 2の態様では、特許データ全体のクラス毎評価値を要素と する補完基準ベクトルを求め、候補名義人の名義人評価ベクトルの各々と、対象名 義人の名義人評価ベクトルと、を加算した合成評価ベクトルを求めている。そして、合 成評価ベクトル毎に、その合成評価ベクトルと補完基準ベクトルとの余弦 (合成余弦) を算出している。この合成余弦により、合成評価ベクトルと補完基準ベクトルとの空間 的な距離を定量的に把握することができるようになる。したがって、分析者は、この合 成余弦により、候補名義人毎の提携効果を数値で把握することができる。
[0012] (4)また、前記提携先選定情報生成手段は、前記対象名義人の名義人評価べタト ルと、前記補完基準ベクトルとの余弦である対象名義人余弦を算出し、前記合成余 弦の中から前記対象名義人余弦より高いものを選び、該選んだ合成余弦の算出に 用いた合成評価ベクトルを特定し、該特定した合成評価ベクトルの算出に用いた名 義人評価ベクトルに対応する候補名義人を推奨提携先として選定することとしてもよ い。
[0013] この構成により、対象名義人の名義人評価ベクトルに比べて、より補完基準ベクトル に近接する合成評価ベクトルに対応する候補名義人だけを提携先として選択するこ とができるようになる。その結果、技術的な補完効果の高いアライアンス先を推奨提 携先として選定すること力 Sできる。
[0014] (5)また、前記クラス毎評価値は、前記名義人毎クラス毎評価値を該当するクラス内
で合計した値と一致する値であり、前記名義人毎クラス毎評価値は、前記クラス毎評 価値を用いて規格化した値であることとしてもょレ、。
[0015] このように構成することにより、絶対的価値基準が異なるために直接対比することが 困難な技術分野間の相対比較に基づき推奨提携先の選定を行うことができる。
[0016] (6)上記課題を解決するための、本発明の第 3の態様は、複数の特許データを取 得し、該取得した特許データを利用して各種情報処理を行う情報処理装置に適用さ れる。ここで、前記特許データには、該特許データの名義人を示す情報と、該特許デ ータの属性情報とが含まれてレ、る。
そして、前記情報処理装置は、前記取得した各特許データを所定技術分野毎のク ラスに分類する手段と、各クラスに属する特許データの属性情報を利用して、前記ク ラス毎且つ該クラスに属する特許データの名義人毎に評価値を算出する手段と、分 析対象の名義人である対象名義人の指定を受け付ける手段と、前記算出した評価 値を用いて、前記受け付けた対象名義人の前記クラス毎の提携先を選定する推奨 提携先選定手段と、を有し、前記推奨提携先選定手段は、前記分類した各クラスの 少なくとも 1つについて、前記対象名義人以外の各名義人である候補名義人の該ク ラスでの評価値と、前記対象名義人の該クラスでの評価値を加算した合計値を前記 候補名義人毎に求め、該合計値を用いて求めた候補名義人を該クラスにおける推 奨提携先として選定する。
[0017] このように第 3の態様によれば、分類した技術分野毎に、例えば、所定レベル以上 の技術力の向上を図ることができる提携先を選定することができるようになる。そのた め、第 3の態様は、例えば、アライアンスを組みたい技術分野が想定できている場合 に有効なものとなる。
[0018] (7)上記課題を解決するための、本発明の第 4の態様は、複数の特許データを取 得し、該取得した特許データを利用して各種情報処理を行う情報処理装置に適用さ れる。ここで、前記特許データには、該特許データの名義人を示す情報と、該特許デ ータの属性情報とが含まれてレ、る。
そして、前記情報処理装置は、前記取得した各特許データを所定技術分野毎のク ラスに分類する手段と、各クラスに属する特許データの属性情報を利用して、該クラ
ス毎にクラス毎評価値を算出すると共に、前記クラス毎且つ該クラスに属する特許デ ータの名義人毎に名義人毎クラス毎評価値を算出し、さらに、該算出した名義人毎ク ラス毎評価値を前記クラス毎評価値を用いて規格化した規格化名義人毎クラス毎評 価値を算出する手段と、前記規格化名義人毎クラス毎評価値を用いて、前記名義人 毎に、該名義人の規格化名義人毎クラス毎評価値を対応付けた名義人評価情報を 作成する手段と、分析対象の名義人である対象名義人の指定を受け付ける手段と、 前記作成した各名義人評価情報を用いて、前記受け付けた対象名義人の提携先を 選定するための情報を生成する提携先選定情報生成手段と、を有し、前記提携先選 定情報生成手段は、前記対象名義人の名義人評価情報と、前記対象名義人以外の 各名義人である候補名義人の名義人評価情報と、を前記クラス毎に加算した合成評 価情報を前記候補名義人毎に求め、前記合成評価情報の各クラスの値の中から前 記対象名義人の名義人評価情報の対応するクラスの値から変動している値を抽出し 、該抽出した値の最大値の属するクラスを特定する。
[0019] このように第 4の態様によれば、アライアンス候補の名義人毎に、技術提携した場合 に、その技術提携の効果が一番得られる技術分野を特定することができるようになる 。そのため、例えば、自社との競合関係等から、アライアンスを組むことができる名義 人 (例えば企業)が絞られるような場合に、第 4の態様を用いることで、絞られた企業 毎に、技術提携の効果が大きい技術分野を把握できる。また、第 4の態様を用いるこ とで、例えば、包括的な提携効果が得られない企業との間でも技術提携の効果が大 きい技術分野を特定した上での局所的な提携効果を得ることができる。
[0020] (8)上記課題を解決するための、本発明の第 5の態様は、複数の特許データを取 得し、該取得した特許データを利用して各種情報処理を行う情報処理装置に適用さ れる。ここで、前記特許データには、該特許データの名義人を示す情報と、該特許デ ータの属性情報とが含まれてレ、る。
そして、上記情報処理装置は、前記取得した各特許データを所定技術分野毎のク ラスに分類する手段と、各クラスに属する特許データの性情報を利用して、該クラス 毎にクラス毎評価値を算出すると共に、前記クラス毎且つ該クラスに属する特許デー タの名義人毎に名義人毎クラス毎評価値を算出し、さらに、該算出した名義人毎クラ
ス毎評価値を前記クラス毎評価値を用いて規格化した規格化名義人毎クラス毎評価 値を算出する手段と、前記規格化名義人毎クラス毎評価値を用いて、前記クラス毎 に、前記クラスに属する名義人の規格化名義人毎クラス毎評価値を対応付けた情報 を生成し、該生成した情報を可視化できる情報に加工して出力する手段と、を有する
〇
[0021] このように、第 5の態様では、技術分野毎に、各名義人の技術力を示す規格化評価 値を可視化して出力するようにしている。この構成により、絶対的価値基準が異なる ために直接対比することが困難な技術分野間の相対比較が可能となる。例えば、自 社保有技術全体の強み弱みを他社との相対比較を基に把握することができる。した 力つて、分析者は、出力された情報を観ることにより、自社と他社との技術力のバラン スを把握した上で、アライアンス先の選定を行うことができるようになる。
[0022] (9、 10)また本発明の他の態様は、上記各装置によって実行される方法と同じ工程 を備えた提携先選定情報生成方法、並びに上記各装置によって実行される処理と 同じ処理をコンピュータに実行させることのできる提携先選定情報生成プログラムで ある。このプログラムは、 FD、 CDROM、 DVDなどの記録媒体に記録されたものでも よぐネットワークで送受信されるものでもよい。
[0023] (11)上記課題を解決するための、本発明の第 6の態様は、複数の特許データを取 得し、該取得した特許データを利用して各種情報処理を行う情報処理装置に適用さ れる。ここで、前記特許データには、該特許データの名義人を示す情報と、該特許デ ータの属性情報とが含まれてレ、る。
そして、上記情報処理装置は、
前記取得した各特許データを所定技術分野毎のクラスに分類する手段と、 分析対象の名義人である対象名義人の指定を受け付ける手段と、
各クラスに属する特許データの属性情報を利用して、該クラス毎にクラス毎評価値 を算出すると共に、各クラスに属する特許データのうち、前記対象名義人以外の各名 義人である候補名義人の特許データの属性情報と、前記対象名義人の特許データ の属性情報と、を利用して、前記クラス毎且つ前記候補名義人毎に合成評価値を算 出する手段と、
前記クラス毎評価値の分布傾向を示す全体分布傾向を求め、前記候補名義人毎 に、前記クラス毎の合成評価値の分布傾向を示す合成分布傾向を求める手段と、 前記求めた全体分布傾向、および前記求めた各合成分布傾向を用いて、前記受 け付けた対象名義人の提携先を選定するための情報を生成する提携先選定情報生 成手段と、を有し、
前記提携先選定情報生成手段は、
前記求めた各合成分布傾向の前記全体分布傾向に対する近似度を示す合成近 似度を求める。
[0024] このように第 6の態様によれば、各合成近似度を参照することにより、どの候補名義 人と技術提携をすれば、上記の社会的な技術配分に近似した技術ポートフォリオを 保有できるかを判断することができる。すなわち、第 6の態様によれば、最適なァライ アンス先の選定を効率よく行なえるようになる。
[0025] (12)上記課題を解決するための、本発明の第 7の態様は、複数の特許データを取 得し、該取得した特許データを利用して各種情報処理を行う情報処理装置に適用さ れる。ここで、前記特許データには、該特許データの名義人を示す情報と、該特許デ ータの属性情報とが含まれてレ、る。
そして、上記情報処理装置は、
前記取得した各特許データを所定技術分野毎のクラスに分類する手段と、 分析対象の名義人である対象名義人の指定を受け付ける手段と、
各クラスに属する特許データの属性情報を利用して、該クラス毎にクラス毎評価値 を算出すると共に、各クラスに属する特許データのうち、前記対象名義人以外の各名 義人である候補名義人の特許データの属性情報と、前記対象名義人の特許データ の属性情報と、を利用して、前記クラス毎且つ前記候補名義人毎に合成評価値を算 出する手段と、
前記クラス毎評価値を要素とする補完基準ベクトルを生成し、前記候補名義人毎に 、該候補名義人の各クラス毎の合成評価値を要素とする合成評価ベクトルを生成す る手段と、
前記生成した補完基準ベクトル、および前記生成した各合成評価ベクトルを用いて
、前記受け付けた対象名義人の提携先を選定するための情報を生成する提携先選 定情報生成手段と、を有し、
前記提携先選定情報生成手段は、
前記合成評価ベクトル毎に、該合成評価ベクトルと前記補完基準ベクトルとの余弦 である合成余弦を算出する。
[0026] このように第 7の態様によれば、各合成余弦を参照することにより、合成評価べタト ルと補完基準ベクトルとの空間的な距離を定量的に把握することができるようになる。 したがって、分析者は、この合成余弦により、候補名義人毎の提携効果を数値で把 提すること力 Sでさる。
[0027] (13)上記課題を解決するための、本発明の第 8の態様は、複数の特許データを取 得し、該取得した特許データを利用して各種情報処理を行う情報処理装置に適用さ れる。ここで、前記特許データには、該特許データの名義人を示す情報と、該特許デ ータの属性情報とが含まれてレ、る。
そして、上記情報処理装置は、
前記取得した各特許データを所定技術分野毎のクラスに分類する手段と、 分析対象の名義人である対象名義人の指定を受け付ける手段と、
前記分類した各クラスの少なくとも 1つについて、当該クラスに属する特許データの うち前記対象名義人以外の各名義人である候補名義人の特許データの属性情報と
、前記対象名義人の特許データの属性情報を利用して、前記候補名義人毎に合成 評価値を算出する手段と、
前記算出した合成評価値を用いて求めた候補名義人を、前記受け付けた対象名 義人の前記クラス毎の提携先として選定する推奨提携先選定手段と、を有する。
[0028] このように第 8の態様によれば、分類した技術分野毎に、例えば、所定レベル以上 の技術力の向上を図ることができる提携先を選定することができるようになる。そのた め、第 8の態様は、例えば、アライアンスを組みたい技術分野が想定できている場合 に有効なものとなる。
[0029] (14)上記課題を解決するための、本発明の第 9の態様は、複数の特許データを取 得し、該取得した特許データを利用して各種情報処理を行う情報処理装置に適用さ
れる。ここで、前記特許データには、該特許データの名義人を示す情報と、該特許デ ータの属性情報とが含まれてレ、る。
そして、上記情報処理装置は、
前記取得した各特許データを所定技術分野毎のクラスに分類する手段と、 分析対象の名義人である対象名義人の指定を受け付ける手段と、
各クラスに属する特許データの属性情報を利用して、該クラス毎に、クラス毎評価値 及び前記対象名義人の名義人毎クラス毎評価値を算出すると共に、各クラスに属す る特許データのうち、前記対象名義人以外の各名義人である候補名義人の特許デ ータの属性情報と、前記対象名義人の特許データの属性情報と、を利用して、前記 クラス毎且つ前記候補名義人毎に合成評価値を算出し、さらに、該算出した名義人 毎クラス毎評価値及び合成評価値を前記クラス毎評価値を用いて規格化した規格化 名義人毎クラス毎評価値及び規格化合成評価値を算出する手段と、
前記規格化名義人毎クラス毎評価値を用いて、前記対象名義人の名義人評価情 報を作成すると共に、前記規格化合成評価値を用いて、前記候補名義人毎に、該候 補名義人の規格化合成評価値を対応付けた合成評価情報を作成する手段と、 前記作成した名義人評価情報及び合成評価情報を用いて、前記受け付けた対象 名義人の提携先を選定するための情報を生成する提携先選定情報生成手段と、を 有し、
前記提携先選定情報生成手段は、
前記、前記合成評価情報の各クラスの値の中から前記対象名義人の名義人評価 情報の対応するクラスの値から変動している値を抽出し、該抽出した値の最大値の 属するクラスを特定すること
を特徴とする情報処理装置。
このように第 9の態様によれば、アライアンス候補の名義人毎に、技術提携した場合 に、その技術提携の効果が一番得られる技術分野を特定することができるようになる 。そのため、例えば、自社との競合関係等から、アライアンスを組むことができる名義 人 (例えば企業)が絞られるような場合に、第 9の態様を用いることで、絞られた企業 毎に、技術提携の効果が大きい技術分野を把握できる。また、第 9の態様を用いるこ
とで、例えば、包括的な提携効果が得られない企業との間でも技術提携の効果が大 きい技術分野を特定した上での局所的な提携効果を得ることができる。
[0031] (15)また、前記取得した各特許データについて、当該特許データに係る特許の価 値を個別に評価した特許スコアを取得する手段と、
前記候補名義人の各々について、その候補名義人と前記対象名義人の少なくとも 何れかが名義人となっている特許データの前記特許スコアを用いて、該候補名義人 と対象名義人のそれぞれ有する特許を組み合わせた場合の技術的評価を示す合成 評価値を算出する合成評価値算出手段とを備えることとしてもよい。
[0032] この構成により、各特許データに係る特許の価値を個別に評価した特許スコアを用 いることにより、候補名義人と対象名義人の少なくとも何れ力、が名義人となっている特 許の価値を反映した合成評価値の算出が可能となる。その結果、分析精度を向上す ること力 S可倉 となる。
[0033] (16)また、前記合成評価値算出手段は、
前記クラス毎に、そのクラスに属する特許データの前記特許スコアのうち、所定の閾 値以上の特許スコアを選択し、その選択した特許スコアを集計した値を、前記合成評 価ィ直として算出することとしてあよい。
[0034] この構成により、所定の閾値以上の値を集計対象とし閾値以下の値を捨象すること により、件数は多くても重要性の低!、特許が多数あるだけで重要な特許の少なレヽ特 許群が高得点になることを防止できる。その結果、適切な合成評価値を算出すること ができ、分析精度を向上することが可能となる。
[0035] (17)また、前記特許スコアは、前記合成評価値の算出対象であるクラスを含む母 集団の特許群において標準化した値であることとしてもよい。
[0036] この構成により、母集団における標準値を求めて合成評価値を算出することにより、 異なるクラス間及び異なる候補名義人間での相対比較の精度を向上させることがで きる。その結果、分析精度を向上することが可能となる。
[0037] (18)また、前記特許スコアとは、前記特許データを技術分野毎、且つ所定期間毎 のグループに分類し、その分類したグループ毎に、そのグループに属する特許デー タの経過情報を利用し、それぞれの特許データについての算出した値であることとし
てもよい。
[0038] 技術分野毎、且つ所定期間毎のグループに分類し、その分類したグループ毎に経 過情報を利用して特許スコアを算出することで、技術分野及び出願時期の違いによ る経過情報の偏りを補正し、的確な特許スコアを算出することが可能となる。その結 果、適切な合成評価値を算出することができ、分析精度を向上することが可能となる 図面の簡単な説明
[0039] [図 1]本発明の一実施形態が適用された情報処理装置の機能ブロック図。
[図 2]上記実施形態の情報処理装置 1のハードウェア構成図。
[図 3]記憶装置に記憶された特許データのデータ構造を模擬的に例示した図。
[図 4]上記実施形態の情報処理装置の提携先選定情報生成処理を示すフローチヤ ート。
[図 5]技術補完度及び技術深耕度の概略を説明する概念図。
[図 6]特許データの取得処理の一例を示す概念図。
[図 7]クラスタ分析結果及び出願人毎の分類の一例を示す概念図。
[図 8]名義人毎クラス毎評価値を示す棒グラフ。
[図 9]規格化名義人毎クラス毎評価値を示す棒グラフ。
[図 10]図 4のうち技術補完度の算出処理について詳細を説明するフローチャート。
[図 11]本実施形態による技術補完度算出処理の算出結果を例示した表。
[図 12]図 4のうち技術深耕度の算出処理について詳細を説明するフローチャート。
[図 13]本実施形態による技術深耕度算出処理の算出結果を例示した表。
[図 14]本実施形態による技術深耕度および技術補完度算出処理の算出結果を例示 した表。
[図 15]本発明の実施形態により出力するアライアンス分布図の一例。
[図 16]図 9のグラフを生成する処理を説明するフローチャート。
[図 17]変形例 8の情報処理装置の提携先選定情報生成処理を示すフローチャート。
[図 18]変形例 8のパテントスコアを用いた名義人毎クラス毎評価値及び上記実施形 態の特許インパクト指数と経過情報指数とを用いた名義人毎クラス毎評価値の分布
を、公報件数との関係において示した図。
[図 19]変形例 8で利用する内容情報のデータ構成の一例を模擬的に示した図。
[図 20]変形例 8で利用する経過情報のデータ構成の一例を模擬的に示した図。
[図 21]変形例 8のパテントスコアの算出処理の手順を示したフローチャート。
[図 22]変形例 8のパテントスコアを算出する処理の詳細を示すフローチャート。
符号の説明
[0040] 1 :情報処理装置、 2 :記憶装置、 3 :入力装置、 4 :出力装置、 100 :制御部、 105 :
データ取得部、 110 :クラスタ分析部、 120 :評価値算出部、 125 :技術補完度算出 部、 130 :技術深耕度算出部、 135 :出力部
発明を実施するための最良の形態
[0041] < 1.情報処理装置の概略構成〉
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。先ず、本発明の一実施 形態が適用された情報処理装置の概略構成について説明する。
[0042] 図 1は、本発明の一実施形態が適用された情報処理装置の機能ブロック図である。
図示するように、提携先を選定するための情報を生成する情報処理装置 1は、分析 対象の名義人 (対象名義人)及び対象名義人以外の名義人 (候補名義人)の特許デ ータ 200等の各種情報を記憶する記憶装置 2と、分析者からの各種要求を受け付け る入力装置 3と、情報処理装置 1が生成した提携先選定情報を出力する出力装置 4 と、それぞれ接続されている。
[0043] 以下では、情報処理装置 1と記憶装置 2とは、 LAN (Local Area Network)等のネッ トワークで接続されている場合を例にする。また、情報処理装置 1と入力装置 3とは、 ローカル接続されていて、情報処理装置 1と出力装置 4とは、ローカル接続されてい る場合を例にする。
[0044] 情報処理装置 1は、制御部 100、データ取得部 105、クラスタ分析部 110、評価値 算出部 120、技術補完度算出部 125、技術深耕度算出部 130および出力部 135を 有する。
[0045] 制御部 100は、情報処理装置 1全体の動作を制御する。また、制御部 100は、入力 装置 3を介して、分析者からの各種要求を受け付ける。例えば、制御部 100は、分析
者が入力する、分析対象の特許データの技術領域を特定する情報や、分析対象の 名義人 (対象名義人)を特定する情報を受け付ける。
[0046] データ取得部 105は、記憶装置 2にアクセスし、記憶装置 2に各種のデータを格納 したり、記憶装置 2に格納されているデータを読み出す。例えば、データ取得部 105 は、制御部 100を介し、ユーザ (分析者)が要求した、分析対象の特許データの技術 領域を受け付ける。そして、データ取得部 105は、記憶装置 2にアクセスし、記憶装 置 2に格納されている特許データ 200のうちから、受け付けた技術分野に属する特許 データを読み出す。また、データ取得部 105は、読み出した特許データの名義人を 示す情報や、属性情報(内容情報、経過情報等)を読み出す。これら読み出す情報 の詳細は後述する。
[0047] クラスタ分析部 110は、データ取得部 105により取得された複数の特許データを所 定技術分野毎のクラスに分類する。例えば、クラスタ分析部 110は、特許データの各 々の内容情報に基づいて文書ベクトルを生成し、この文書ベクトル間の類似度に基 づレ、てクラスタ分析を行うことで、複数の特許データを所定技術分野毎のクラスに分 類する。クラスタ分析による分類が階層構造をとる場合、下位のクラスタ或いは上位 のクラスタのいずれを用いるかは、提携先を検討すべき技術的範囲に応じて任意に 選択すること力でさる。
[0048] 評価値算出部 120は、クラスタ分析部 110により分類された各クラスに属する特許 データの属性情報を利用して、クラス毎にクラス毎評価値を算出するとともに、クラス 毎且つ名義人毎に名義人毎クラス毎評価値を算出する。ここで評価値を算出するた めの属性情報は、特に経過情報を用いることが好ましい。また名義人毎クラス毎評価 値は、クラス毎評価値を用いて規格化することが好ましレ、。
また評価値算出部 120は、名義人毎に、該名義人の名義人毎クラス毎評価値を対 応付けた名義人評価情報を作成する。
[0049] 技術補完度算出部 125は、クラス毎評価値の分布傾向を示す全体分布傾向と、名 義人毎に名義人毎クラス毎評価値を対応付けた名義人評価情報を用いて、提携先 選定情報として技術補完度を算出する。
[0050] 技術深耕度算出部 130は、名義人毎に規格化名義人毎クラス毎評価値を対応付
けた名義人評価情報を用いて、提携先選定情報として技術深耕度を算出する。
[0051] 出力部 135は、上記の求めた提携先選定情報としての技術補完度、技術深耕度を 出力装置 4に出力し、或いは提携先選定情報として推奨提携先を示す情報を生成し て出力装置 4に出力する。例えば、出力部 135は、出力装置 4がディスプレイの場合 、提携先選定情報を示す画像データを生成し、生成した画像データを出力装置 4に 出力する。また、出力部 135は、出力装置 4がプリンタの場合、提携先選定情報を示 す印刷データを生成し、生成した印刷データを出力装置 4に出力する。
[0052] 記憶装置 2は、特許公報等の特許データ 200を記憶するユニットであり、例えば、 D
VD— ROMドライブと DVD— ROMや HDD等により構成される。
[0053] 図 3は、記憶装置に記憶された特許データのデータ構造を模擬的に例示した図で ある。
記憶装置 2には、多数の特許データ 200の各々について、特許データ ID210、書 誌情報 220、内容情報 230、経過情報 240が対応付けられて記憶されている。 特許データ ID210としては、例えば公開特許公報の番号、特許掲載公報の番号等 が記憶される。またこれに限らず、出願番号や、独自に付した整理番号等を付与して も良い。
書誌情報 220としては、出願人や特許権者を示す名義人情報が含まれる。その他 、出願日や請求項数等の情報が含まれていても良い。本実施形態では、名義人毎ク ラス毎評価値の算出のために各クラスを名義人毎に分類する処理等において、特に 名義人情報を参照する。
内容情報 230としては、明細書、特許請求の範囲、要約書等のテキストデータや、 図面等のイメージデータが含まれることが望ましい。本実施形態では、特許データを 所定技術分野毎のクラスに分類する処理等において、特に明細書、特許請求の範 囲等のテキストデータを参照する。
経過情報 240としては、早期審査請求データ、無効審判維持審決データ、被引用 回数データ等が含まれる。本実施形態では、名義人毎クラス毎評価値の算出等にお いて、特に経過情報を参照する。
[0054] 入力装置 3は、情報処理装置 1の各種機能選択、分析対象の特許データや分析対
象の名義人を特定する指示を受け付けるユニットで、スクロールキー、縮尺変更キー などのハードスィッチ、ジョイステックなどで構成される。
出力装置 4は、情報処理装置 1からのデータを受け付けて出力するためのユニット である。出力装置 4は、例えば、液晶ディスプレイやプリンタなどで構成される。
[0055] < 2.情報処理装置のハードウェア構成〉
次に、本実施形態の情報処理装置 1のハードウェア構成について説明する。
図 2は、本実施形態の情報処理装置 1のハードウェア構成図である。
図示するように、情報処理装置 1は、 CPU (Central Processing Unit) 10と、 RAM ( Random Access Memory)等の主記憶装置 11と、 HDD等の補助記憶装置 12と、周 辺装置 (ここでは、入力装置 3および出力装置 4)との間で行われるデータの送受信 を制御する IOインタフェース 13と、ネットワークに接続されている装置 (ここでは、記 憶装置 2)との間で行われるデータの送受信を制御するネットワークインタフェース 14 と、を有する。
[0056] ここで、補助記憶装置 12には、図 1に示した各部(制御部 100、データ取得部 105 、クラスタ分析部 110、評価値算出部 120、技術補完度算出部 125、技術深耕度算 出部 130、および出力部 135)の機能を実現するためのプログラム(提携先選定情報 生成プログラム)が記憶されてレ、るものとする。
[0057] そして、図 1に示した各部(制御部 100、データ取得部 105、クラスタ分析部 110、 評価値算出部 120、技術補完度算出部 125、技術深耕度算出部 130、および出力 部 135)の機能は、 CPU10が補助記憶装置 12に記憶されている提携先選定情報 生成プログラムを主記憶装置 11にロードして実行することにより実現される。
[0058] < 3.提携先選定情報生成処理〉
続レ、て、本実施形態の情報処置装置が行う処理につ!、て説明する。
図 4は、本実施形態の情報処理装置の提携先選定情報生成処理を示すフローチ ヤートでめる。
図示するように、本実施形態の情報処理装置は、提携先選定情報として、自社と各 他社との技術補完度を算出する処理を行ったり、或いは、その算出した技術補完度 等に基づいて推奨提携先企業を選定する処理を行ったりする(S 100〜S 160)。ま
た本実施形態の情報処理装置は、提携先選定情報として、自社と各他社との技術深 耕度を算出する処理を行ったり、或いは、その算出した技術深耕度等に基づいて特 定技術分野での推奨提携先企業を選定する処理を行ったりする(S200〜S260)。 また本実施形態の情報処理装置は、提携先選定情報として、技術補完度と技術深 耕度に基づくアライアンス分布図を生成する(S400)。
[0059] < 3— 1.技術補完度及び技術深耕度の概略〉
上記の技術補完度及び技術深耕度について、考え方の概略を説明する。 図 5は、技術補完度及び技術深耕度の概略を説明する概念図である。 ある分析対象の技術領域において、複数の特許データを、所定技術分野毎のクラ ス、ここでは 6クラスに分類する。各クラスを更に名義人ごと、ここでは α社、 /3社、 γ 社に分類して、名義人毎クラス毎の特許データに基づいて名義人毎クラス毎評価値 を算出する。図 5 (A)の縦軸は各クラスを示し、横軸は名義人毎クラス毎評価値を示 す。但し横軸の値は、各クラスでの名義人毎クラス毎評価値の合計(クラス毎評価値) 1S 他のクラスでの合計(クラス毎評価値)と等しくなるように規格化してある。この図 5 (Α)から、 α社、 /3社、 γ社それぞれの得意分野、不得意分野を伺い知ることができ 、 a社の立場で、 /3社或いは γ社のうち何れを提携先として選定するかの検討が可 能となる。
[0060] 提携先を選定するに際して、 2つの異なる観点からの検討が可能である。 1つは当 該分析対象の技術領域全体での相互補完による総合的な提携効果 (技術補完度) を観ることである。他の 1つは当該分析対象の技術領域のうち特定技術分野(クラス) での増強による局所的な提携効果 (技術深耕度)を観ることである。
[0061] 2社間(例えば α社と (社)の補完関係を考える際、 α社の得意分野が /3社では不 足しており、逆に /3社の得意分野が α社では不足しているとすれば、互いに補完関 係が構築される。技術補完度はこの補完関係を数値化するものである。具体的には 、 2社の名義人毎クラス毎評価値をクラス毎に加算して合成評価情報を求め、この合 成評価情報を用いて技術補完度を算出する。
図 5 (B)は、図 5 (A)のうち α社と /3社の名義人毎クラス毎評価値のみを抜き出した ものである。 α社と 13社の名義人毎クラス毎評価値を並べて表示しているので、 2社
の名義人毎クラス毎評価値の各クラスでの合計から、 2社の合成評価情報が読み取 れるようになっている。図 5 (B)では、 α社と /3社の各不得意分野が相互に補われて おり、技術補完度が高いと推測される。
[0062] 図 5 (C)は、図 5 (A)のうち α社と γ社の名義人毎クラス毎評価値のみを抜き出した ものである。図 5 (B)と併せて検討すれば、 α社にとって、 /3社と提携した方が γ社と 提携するより総合的な補完効果が高いことが読み取れる。しかし、図 5 (B)、図 5 (C) をクラス毎に観てみると、クラス 6につ!/、ては Ί社が β社を上回る評価値を有してレ、る 。従って、 α社は γ社と提携すればクラス 6の深耕が可能となり(すなわち、クラス 6に 分類された技術分野の技術力を高めることが可能となる)、 a社は γ社との提携から 更なる躍進を望める可能性を有している。技術深耕度は、この深耕度合いを数値化 するものである。この技術深耕度も、 2社の名義人毎クラス毎評価値をクラス毎に加算 した値力 算出する。
[0063] < 3— 2.技術補完度(S 100〜S 160)〉
技術補完度の算出及びこの技術補完度等に基づく推奨提携先企業の選定につい て、図 4のフローチャートに沿って説明する。
[0064] < 3 - 2 - 1.特許データの取得(S 100)〉
情報処理装置のデータ取得部 105は、分析者が入力装置 3より入力した特許デー タの特定情報を取得し、この特定情報に従い、記憶装置 2より特許データ 200を取得 する(S 100)。
特許データの特定情報は、例えば IPCコードなど、複数の特許データを特定するた めの情報であれば任意のものを用いることができる。但し、本実施形態では分析対象 の名義人 (対象名義人)又はその依頼を受けた分析者等が自社の提携先を複数の 他企業から選定する場合を想定し、次の手順で取得するデータを特許データの特定 情報とする。
[0065] 図 6は、特許データの取得処理の一例を示す概念図である。
(A)まず、データ取得部 105は、対象名義人の特許データから、注目技術を選定 する処理を行う。具体的には、データ取得部 105が、対象名義人の指定を受け付け て当該対象名義人の特許データを記憶装置 2から取得する。更に、クラスタ分析部 1
10が、取得した対象名義人の特許データをクラスタ分析して複数のクラスタ(対象企 業クラスタ)を得る(クラスタ分析については後述する)。そして、データ取得部 105が 、複数の対象企業クラスタの中から特定の対象企業クラスタを注目技術として選定す る(図 6 (A) )。対象企業クラスタの中から注目技術を選定する方法は、例えば、分析 者から別途入力される対象企業クラスタの選定条件に従って注目技術を選定しても 良いし、評価値算出部 120により、各対象企業クラスタの評価値を算出し (評価値に ついては後述する)、この評価値に基づいて例えば評価値が最大の対象企業クラス タを注目技術として選定しても良い。
(B)次に、データ取得部 105は、対象名義人及び対象名義人以外の名義人 (候補 名義人)の公報を含む全特許データ(自他特許文書群)から、注目技術及び注目技 術に類似する文書群(自他特許特定分野文書群)を抽出する。具体的には、クラスタ 分析部 110等に含まれる類似度算出モジュールを用いて、自他特許文書群の各々 と上記注目技術との類似度を計算し、類似度上位所定個数の特許データを自他特 許特定分野文書群として抽出する(図 6 (B) )。このように対象名義人の注目技術を 核として自他特許特定分野文書群を抽出することにより、対象名義人の注目技術に 関する特許データを含み、他社の同じ技術領域に属する特許データを含む包括的 な文書群を用いて、自社の提携先を選定することができる。
[0066] < 3— 2— 2·クラスタ分析(S110)〉
複数の特許データを取得したら、クラスタ分析部 110は、この特許データを所定技 術分野毎のクラスに分類する(S 110)。
[0067] 分類の方法は、例えば IPCコード(S 100にて IPCコードを用いて特許データを特 定した場合は、ここではより低い階層の IPCコード)など、特許データを技術分野ごと に分類する方法であれば任意のものを用いることができる。但し、本実施形態では特 許データに含まれる明細書、特許請求の範囲等の文書をベクトル表現し、クラスタ分 析を行う。
[0068] 文書のベクトル表現は公知の方法で行うことができる。例えば、各特許データの内 容情報 230に含まれる明細書、特許請求の範囲等からの単語切り出し処理を行うこ とにより索引語を抽出し、各索引語に、その出現頻度に基づく重み付けを付す。重み
付けとしては、例えば、索引語頻度 (TF :当該文書における当該索引語の出現回数 )と、文書頻度 (DF :所定文書集団のうち当該索引語が出現する文書の文書数)の 逆数又は文書頻度の対数の逆数 (IDF:逆文書頻度)との積により求められる TFID Fを用いること力 Sできる。この重み付けをベクトル要素とする多次元ベクトル(次元数は 索引語数)が、各特許データを表現するベクトルとなる。
[0069] クラスタ分析も公知の方法で行うことができる。例えば、ベクトル間の類似度(内積 値、又は相関係数など)を算出し、類似する特許データ同士をまとめてクラスタとする 。階層的クラスタ分析においては下位クラスタだけでなぐ互いに類似度の高い下位 クラスタをまとめた上位クラスタ、その中間の中位クラスタも生成される。
[0070] 図 7は、クラスタ分析結果及び出願人毎の分類の一例を示す概念図である。
図 7 (A)には、下位クラスタ 59個、中位クラスタ 8個、上位クラスタ 4個が生成された 例を示している。ここで下位クラスタは、図 7 (A)にそれぞれ実線の矩形で示したクラ スタである。中位クラスタ 711、 721乃至 723、 731、及び 741乃至 743は、図 7 (A) の各 1列分で示されたクラスタである。上位クラスタ 710、 720、 730、及び 740は、図 7 (A)の第 1番目の分岐で生成されたクラスタである。本実施形態における分析単位 である「クラス」として下位クラスタを用いる力、、中位或いは上位クラスタを用いるかは 分析の目的に応じて選択すればよいが、以下では中位クラスタを用いることとし、 8個 のクラスを対象とした分析例を示す。
[0071] 本実施形態では更に、クラスタ分析部 110が、各クラスを名義人毎に分類する。具 体的には、各クラスに属する特許データの書誌情報 220から出願人又は特許権者の 情報を抽出し、これに基づき名義人毎の分類をする(図 7 (B) )。
[0072] < 3— 2— 3.特許インパクト指数及び経過情報指数の算出(S120)〉
クラスタ分析により特許データを所定技術分野毎のクラスに分類し、各クラスを名義 人毎に分類したら、評価値算出部 120は、名義人毎クラス毎評価値を算出するため 、名義人毎クラス毎に「特許インパクト指数」及び「経過情報指数」を算出する(S120 )。
[0073] まず、評価値算出部 120は、名義人毎クラス毎の特許データの文書数 Nを判定す る。ある特許出願につき公開特許公報と特許掲載公報が発行されて!/、る場合には、
当該特許出願についての文書数は 2件としてカウントすることが望ましい。
[0074] 次に、データ取得部 105により、記憶装置 2から、名義人毎クラス毎の各特許デー タの経過情報を読み出す。読み出す経過情報の例としては、各特許出願につき、 「他社引用回数」(0又は正の整数)、
「被特許異議申立若しくは被特許無効審判請求の回数」(0又は正の整数)、 「審査請求の有無」(1又は 0 (有の場合は「1」、無の場合は「0」を示す))、 「特許権設定登録の有無」(1又は 0 (有の場合は「1」、無の場合は「0」を示す))、 「早期審査請求の有無」(1又は 0 (有の場合は「1」、無の場合は「0」を示す))、 「査定不服審判の有無」(1又は 0 (有の場合は「1」、無の場合は「0」を示す)) 等が挙げられる力 他の情報であってもよい。
[0075] 次に、評価値算出部 120により、名義人毎クラス毎に、上記読み出した経過情報に 基づく複数の指標を算出する。
この指標の例としては、「他社引用回数の合計値」、「被特許異議申立若しくは被特 許無効審判請求の回数の合計値」、「審査請求率」、「登録査定率」の他、「特許登録 率」、「早期審査請求率」、「他社引用件数比率」、「査定不服審判件数比率」、「被異 議申立又は被無効審判請求件数比率」があるが、他の指標を用いてもよい。各々の 定義は次の通りである。
「他社引用回数の合計値」 =「他社引用回数」の名義人毎クラス毎の文書群での合 計
「被特許異議申立若しくは被特許無効審判請求の回数の合計値」
=「被特許異議申立若しくは被特許無効審判請求の回数」の名義人毎クラス毎の 文書群での合計
「審査請求率」 =審査請求件数/特許出願件数
「特許登録率」 =特許登録件数/特許出願件数
「登録査定率」 =特許登録件数/審査請求件数
「早期審査請求率」 =早期審査請求件数/審査請求件数
「他社引用件数比率」 =「他社引用回数の合計値」/特許出願件数
「査定不服審判件数比率」 =査定不服審判件数/審査請求件数
「被特許異議申立若しくは被特許無効審判請求件数比率」
=「被特許異議申立若しくは被特許無効審判請求の回数の合計値」 /特許登録 件数
なお、これらの定義のうち
特許出願件数は名義人毎クラス毎の特許出願件数
審査請求件数は「審査請求の有無」(1又は 0)の名義人毎クラス毎の文書群での合 計
特許登録件数は「特許権設定登録の有無」(1又は 0)の名義人毎クラス毎の文書 群での合計
早期審査請求件数は「早期審査請求の有無」(1又は 0)の名義人毎クラス毎の文 書群での合計
査定不服審判件数は「査定不服審判の有無」(1又は 0)の名義人毎クラス毎の文 書群での合計
で与えればよい。
次に、評価値算出部 120は、名義人毎クラス毎に、その「文書数」に所定の重み付 けをして特許インパクト指数を算出する。特許インパクト指数は、名義人毎クラス毎に 、他社牽制力(他社の権利化を抑制し、自社特許の価値を向上させる度合!/、)を評 価しょうとするものをいう。例えば、「文書数」に対して「他社引用回数の合計値」及び /又は「被特許異議申立若しくは被特許無効審判請求の回数の合計値」に基づく所 定の重み付けを行い、
特許インパクト指数 =「文書数」 +「他社引用回数の合計値」 +「被特許異議申立 若しくは被特許無効審判請求の回数の合計値」
によって算出すること力 Sできる。「文書数」に対する重み付けは、上式のような加算に より行っても良いし、他の何らかの比率を乗算することにより行ってもよい。
なお、上記所定の重み付けとしては、これらの他にも、例えば、特許収益性、特許 生産性、特許活用度及び特許競争力等、種々のものが挙げられるが、これに限定さ れなレ、。
上記のように文書数を判定することにより、当該クラスにおける各名義人のシェアを
把握すること力 Sできる。また、文献数に所定の重み付けを行うことにより、経済的な側 面や技術競争力を加味して当該クラスにおける各名義人の評価を行うことができる。
[0077] 次に、評価値算出部 120は、名義人毎クラス毎に、経過情報に基づく指標を二乗 平均して経過情報指数を算出する。経過情報指数は、名義人毎クラス毎に、自社、 特許庁及び競合他社の観点から特許の価値を評価しょうとするもので、例えば、 経過情報指数 = {∑ d (指標)2 /d}
指標 No = l
によって算出することができる。すなわち、経過情報に基づく d個の指標、例えば上 記「審査請求率」、「登録査定率」、「特許登録率」、「早期審査請求率」、「他社引用 件数比率」、「査定不服審判件数比率」、「被異議申立又は被無効審判請求件数比 率」の計 7個の指標の二乗和を指標数 d= 7で除算して算出された値の正の平方根 をとることにより、経過情報指数を算出することができる。ここでは、経過情報指標の 例として上記 7個の指標を示したが、他にも、例えば、「自社引用件数比率」、「国内 優先権主張率」、「国外優先権主張率」、「包袋閲覧率」等を用いるようにしてもよい。 上記の指標を用いた名義人毎クラス毎評価値を算出することにより、他社の特許取 得、技術開発に対して障害となりうる特許の影響力を加味して当該クラスにおける各 名義人の評価が可能である。また、出願人の権利化意欲や審査官評価を加味した 評価が可能である。
[0078] < 3— 2— 4.名義人毎クラス毎評価値の算出(S 130) >
特許インパクト指数及び経過情報指数を算出したら、これに基づき、評価値算出部 120は、名義人毎クラス毎評価値を算出する(S 130)。
具体的には、名義人毎クラス毎に、上記特許インパクト指数と、上記経過情報指数 とを乗算して名義人毎クラス毎評価値を算出する。このように経過情報を指数化する ことにより、例えば、定量的且つ客観的な評価を行うことができる。
この名義人毎クラス毎評価値は、以下の性質を持っている。
「審査請求率」 = 0の場合、経過情報指数はほとんどのケースで 0となり、その結果、 名義人毎クラス毎評価値も 0となる。
経過情報指数は、特許登録される件数が増えるにつれて増大する。また、拒絶查 定不服審判、被異議申立等があれば勘案される。
特許インパクト指数は公報件数をカウントするので、特許出願が増えるほど増大し、 更に特許掲載公報が発行されると一層増大する。そして、「他社引用回数の合計値」 、「被特許異議申立若しくは被特許無効審判請求の回数の合計値」で重み付けされ ている。
この名義人毎クラス毎評価値により、特許文書群を経過情報の側面から評価できる ので、特許件数だけでは測れなレ、特許の強さを窺!、知ること力 Sできる。
[0079] 図 8は、名義人毎クラス毎評価値を示す棒グラフである。縦軸がクラス(クラス 1乃至 クラス 8)を表している。横軸は、各名義人 (A社乃 社及びその他)の名義人毎クラ ス毎評価値を表しており、各クラスについて、全名義人を含む棒の長さが名義人毎ク ラス毎評価値の当該クラスでの合計値を表してレ、る。
これにより、技術分野毎に、各名義人 (例えば各企業)の各クラスでの位置づけを把 握し、ある特定の名義人 (例えば自社)の強み、弱みがどこにあるかを把握することが できる。また、任意の他社を提携先として選んだ場合に、各クラスにおける自社及び 当該提携先の名義人毎クラス毎評価値の合計がどの程度になる力、を読み取ることに より、提携先を選定することができる。
例えば B社は A社のライバル企業であった場合、 A社力 ¾社に対して競争上の優位 性を維持し続けて!/、くためにはどこと手を組めば良!/、かとレ、うような戦略を練ることも できる。
[0080] < 3— 2— 5·規格化(S140)〉
名義人毎クラス毎評価値が算出されたら、他のクラスでの名義人毎クラス毎評価値 との比較が容易となるよう規格化することが望まし!/、 (S140)。
なお、本実施形態は、上記規格化の具体的な手順について特に限定されるもので はないが、例えば、クラス毎に、当該クラスでの名義人毎クラス毎評価値の総計(クラ ス毎評価値)を算出し、名義人毎クラス毎評価値をこのクラス毎評価値で除算するよ うにしてもよい。すなわち、例えば、以下に示す (数 1)により、名義人毎クラス毎評価 値を規格化するようにしてもよ!/、。
[数 1]
V i ■ n
fl = ^T- (■ -∑fi= 1)
∑V i i=1
i=1
fi:規格化した名義人毎の評価値
V i :名義人毎クラス毎評価値
n :クラス内の企業数(出願人数)
図 9は、規格化名義人毎クラス毎評価値を示す棒グラフである。縦軸がクラス(クラ ス 1乃至クラス 8)を表している。横軸は、各名義人 (A社乃 社及びその他)の規格 化名義人毎クラス毎評価値を表しており、各クラスについて、全名義人を含む棒の長 さはすベて 1となっている。
これにより、絶対的価値基準が異なるために直接対比することが困難な技術分野 間の相対比較も可能となり、その規格化した値に基づいて推奨提携先の選定を行う こと力 Sできる。すなわち、ある特定の名義人の各クラスでの位置づけを一層容易に把 握し、自社の強み、弱みがどこにあるかを把握することができる。また、任意の他社を 提携先として選んだ場合に、各クラスにおける自社及び当該提携先の名義人毎クラ ス毎評価値の合計がどの程度になる力、を読み取ることにより、提携先を一層容易に 選定すること力 Sでさる。
[0081] < 3— 2— 6.技術補完度の算出(S 150)〉
次に、技術補完度を算出する(S 150)。
図 10は、図 4のうち技術補完度の算出処理について詳細を説明するフローチヤ一 トでめる。
[0082] 技術補完度を算出するため、技術補完度算出部 125は、クラス毎評価値の分布傾 向(全体分布傾向)を取得する(S 151)。全体分布傾向は、例えば、クラス数を次元 数とし、各クラスのクラス毎評価値をベクトル成分とするベクトル (補完基準ベクトル) で表現すること力 Sできる。つまり、クラス毎評価値の分布に偏りがある場合は成分の値 のばらつきが大きい補完基準ベクトルとなり、均一な場合は成分の値のばらつきが小 さい補完基準ベクトルとなる。全体分布傾向は、ベクトル表現に限らず、例えばクラス 毎評価値のデータ列で表現しても良い。
上記 S 140において名義人毎クラス毎評価値が規格化してある場合、クラス毎評価
値がすべて 1であるので、全体分布傾向は均一状態を表現するデータとなる。これを ベクトルで表現すれば、全成分が 0以外の同一値 (例えば 1)のベクトルとなる(後述 の数 4参照)。
[0083] 技術補完度算出部 125は、分析対象の名義人 (対象名義人)について、該名義人 の名義人毎クラス毎評価値を対応付けた名義人評価情報を取得する(S 152)。名義 人評価情報は、例えば、クラス数を次元数とし、当該名義人の各クラスでの名義人毎 クラス毎評価値をベクトル成分とするベクトル (名義人評価ベクトル)で表現することが できる(後述の数 2参照)。名義人評価情報は、ベクトル表現に限らず、例えば当該 名義人の名義人毎クラス毎評価値のデータ列で表現しても良レ、。
[0084] 技術補完度算出部 125は、対象名義人以外の各名義人 (候補名義人)についても 、該名義人の名義人毎クラス毎評価値を対応付けた名義人評価情報 (候補名義人 の名義人評価情報のベクトル表現については、後述の数 3参照)を取得する(S 153) 。 S152、 S I 53で対象名義人と候補名義人の名義人評価情報(或いは名義人評価 ベクトル)を取得したら、これらを用いて次の S154の処理を行う。
[0085] 技術補完度算出部 125は、対象名義人の名義人評価情報と、各候補名義人の名 義人評価情報と、をクラス毎に加算した合成評価情報を候補名義人毎に算出する。 また、この合成評価情報毎に、クラス毎の値の分布傾向(合成分布傾向)を算出する (S 154)。
合成評価情報は、例えば、対象名義人の名義人毎クラス毎評価値と、各候補名義 人の名義人毎クラス毎評価値と、をクラス毎に加算した値 (合成評価値)のデータ列 で表現される。
合成分布傾向は、このデータ列で表現されたものをそのまま用いても良いし、合成 評価情報のデータ列をベクトル要素とするベクトルで表現することもできる。対象名義 人と各候補名義人の名義人評価情報が何れもベクトル (名義人評価ベクトル)で表現 されている場合には(S 152、 S 153参照)、これらベクトルを加算すれば直ちに合成 分布傾向(合成評価ベクトル)が算出される(後述の数 5参照)。
この合成評価情報又は合成分布傾向(或いは合成評価ベクトル)により、対象名義 人と各候補名義人が提携して互いの特許を利用可能とした場合に、各技術分野 (ク
ラス)においてどれだけの特許が利用可能となるかを、提携候補である候補名義人毎 に、容易に予測することができる。
合成分布傾向が算出されたら、技術補完度算出部 125は、各合成分布傾向の全 体分布傾向に対する近似度 (合成近似度)を算出する(S 155)。この合成近似度は、 対象名義人と候補名義人の合成分布傾向が、互いの不得意分野を補い合う理想的 な状態に近いかどうかを示す値として、定義されるものである。この「互いの不得意分 野を補い合う理想的な状態」として、本実施形態では全体分布傾向を用いる。上記 S 140において名義人毎クラス毎評価値が規格化してある場合、この全体分布傾向は 均一状態を指す (ベクトルで表現すれば、全成分が 0以外の同一値のベクトルとなる) 。この場合、合成近似度は、均一状態に対する合成分布傾向の近似度だということも できる。
合成近似度は、合成分布傾向と全体分布傾向の近似度であるから、例えばクラス 毎に、合成分布傾向を示すデータ列の各々を、全体分布傾向を示すデータ列の各 々で除算し、算出結果のばらつきが小さい程合成近似度が大きいこととすることがで きる。
合成分布傾向と全体分布傾向が何れもベクトル (合成評価ベクトルと補完基準べク トル)で表現されて!/、る場合には、合成近似度としてはこれらベクトルの余弦 (合成余 弦)を用いることが好ましい。つまり、対象名義人の名義人評価ベクトルを f (数 2参
self 照)とし、各候補名義人の名義人評価ベクトルを f (数 3参照)とし、補完基準べタト
other
ルを a (例えば、数 4参照)とした場合、合成評価ベクトルは
f + f (数 5参照)
self otner
であるから、合成近似度は、
{ (f + f ) - a } /{ I f + f I I a I } =cos 6で表現される。この cos S (合成余 self other self other
弦)は 0以上 1以下の値域をとる。
[数 2]
i class I
S class!
classD J ここで、ベクトル f は対象名義人の名義人評価ベクトル、ベクトル成分 S 乃至 S
self class 1 ci は対象名義人の名義人毎クラス毎評価値 (規格化したものが好ましい)、次元数 D assD
はクラスの数である。
[数 3] ί T classl
Z class!
J f other classDノ
ここで、ベクトル f は候補名義人の名義人評価ベクトル、ベクトル成分 T 乃至 Τ
otner class 1 は候補名義人の名義人毎クラス毎評価値 (規格化したものが好ましい)、次元数 classD
Dはクラスの数である。
[数 4コ
a ノ
ここで、ベクトル aは補完基準ベクトルである。次元数は、数 2及び数 3の次元数 Dで ある。この式に例示されるベクトル aは全成分が 1となっており、これは名義人毎クラス 毎評価値を当該クラスでの総計が 1となるように規格化した場合に適用される好まし い例の 1つである。
[数 5]
classl
classl
felf + f other
ここで、ベクトル f +f は合成評価ベクトルである。
self other
[0087] こうして算出した合成近似度は、合成分布傾向が、全体分布傾向とどれだけ似てい るかを示している。なお、全体分布傾向は、取得した特許データに係る技術領域全 体の社会的な技術配分を示している。この社会的な技術配分は、当該技術領域に 含まれる各技術要素に対する社会的なニーズとこれに対応する社会全体の技術供 給力との現時点における均衡状態を示すものである。そして、この均衡状態は、現時 点における最適な技術配分を示すものといえる。従って、各企業としても、上記の社 会的な技術配分に近似した技術ポートフォリオを保有することが望ましい。よって、各 合成近似度を参照することにより、どの候補名義人と技術提携をすれば、上記の社 会的な技術配分に近似した技術ポートフォリオを保有できる力、を判断することができ る。すなわち、最適なアライアンス先の選定を効率よく行えるようになる。
また、合成近似度として、合成評価ベクトルと補完基準ベクトルとの余弦 (合成余弦 )を算出することにより、合成評価ベクトルと補完基準ベクトルとの空間的な距離を定 量的に把握すること力 Sできるようになる。したがって、分析者は、この合成余弦により、 候補名義人毎の提携効果を数値で把握することができる。
[0088] 技術補完度算出部 125は、対象名義人の名義人評価情報のクラス毎の値の分布 傾向(名義人分布傾向)を取得し、更に、名義人分布傾向の全体分布傾向に対する 近似度(対象名義人近似度)を算出することが望まし!/、 (S156)。
名義人分布傾向は、対象名義人の名義人評価情報と同じ表現形態をとつても良い し、対象名義人の名義人評価ベクトルの形態でも良レ、。
この名義人分布傾向の全体分布傾向に対する近似度(対象名義人近似度)は、例 えばクラス毎に、名義人分布傾向を示すデータ列の各々を、全体分布傾向を示すデ ータ列の各々で除算し、算出結果のばらつきが小さい程対象名義人近似度が大き いこととすること力 Sでさる。
名義人分布傾向と全体分布傾向が何れもベクトル (名義人評価ベクトルと補完基準 ベクトル)で表現されている場合には、対象名義人近似度としてはこれらベクトルの余 弦 (対象名義人余弦)を用いることが好ましい。つまり、対象名義人の名義人評価べ タトルを f とし、補完基準ベクトルを aとした場合、対象名義人近似度は、
self
{ f - a } / { I f I I a I } =cos 6 で表現される。この cos S (対象名義人余弦)は 0 self self 0 0
以上 1以下の値域をとる。
以上の対象名義人近似度が、仮に S 155の合成近似度と同じ又はそれ以上であつ たとすれば、当該候補名義人と提携しても、互いの不得意分野を補い合う理想的な 状態に近づくどころ力、、変化なし或いは逆に理想的な状態から遠ざかってしまうこと になり、提携の効果が期待できない。そこで、推奨提携先を選定する場合には合成 近似度が対象名義人近似度より高いものを選ぶことが望ましい。これにより、複数の 候補名義人のうち、対象名義人が提携することによって全体分布傾向に近づくことが できる候補名義人 (対象名義人の名義人評価ベクトルに比べて、より補完基準べタト ルに近接する合成評価ベクトルに対応する候補名義人)だけを提携先として選定す ること力 Sできるようになる。その結果、技術的な補完効果の高いアライアンス先を推奨 提携先として選定すること力できる。
特に、対象名義人近似度を技術補完度に反映させるため、次のようにして技術補 完度を算出することが望ましい。
技術補完度算出部 125は、次のようにして技術補完度を算出する(S157)。
合成余弦から対象名義人余弦を減算する。合成余弦を cos Θ、対象名義人余弦を c os Θ とした場合、 cos Θ -cos Θ を算出する。この減算の結果、合成余弦と対象名義
0 0
人余弦が等し!/、 (提携しても補完効果が期待できな!/、)場合は 0となり、合成余弦が 対象名義人余弦より小さい (提携しても補完とは逆になる)場合は負数となる。
この減算の結果を技術補完度としても良いが、本実施形態では更にこれを、対象 名義人余弦の値を用レ、て規格化する。
例えば、上記減算の結果を (合成近似度がとり得る値の最大値) (各対象名義人 近似度)で除算することにより規格化する。これにより、対象名義人近似度の値の大 小に関わらず、技術補完度の最大値を一定とすることができる。合成余弦を cos Θ、
対象名義人余弦を cos Θ とした場合、技術補完度は、
0
COS Θ —COS Θ ) / (1— COS θ )
0 0
で算出すること力できる。対象名義人余弦 cos Θ の大小に関わらず、技術補完度の
0
最大値は 1となる。
また例えば、合成余弦を COS Θ、対象名義人余弦を COS Θ とした場合、上記減算の
0
結果を cos Θ (l - 2cos Θ ) + cos Θ で除算することにより規格化する。つまり、技術
0 0
補完度を、
COS Θ —cos Θ ) / { cos θ (1 2cos θ ) + COS θ }
0 0 0
で算出する。この場合、技術補完度は最大値 1、最小値 1となる。
技術補完度を算出したら図 10の処理を終了する。ここで、技術補完度の算出結果 例を図 11に示す。
図 11は、本実施形態による技術補完度算出処理の算出結果を例示した表である。 なお、図 11では、説明を簡略化するために、分析対象のクラス数が 8個の場合を示し 、対象名義人 Α社と図 8及び図 9に示す候補名義人 Β社乃 ¾1社との間での算出結 果のみを示している。また、ここでは名義人毎クラス毎評価値を規格化している場合 の例を示している。ここでの技術補完度は、上述の(cos Θ -cos Θ ) / (l -cos θ )
0 0 で算出した。また、技術補完度の算出過程で求めた名義人毎クラス毎評価値と、合 成余弦 COS Θを併せて示した。この技術補完度を参照することにより、どの候補名義 人と提携すれば、総合的な補完効果が得られるかを知ることができる。
< 3— 2— 7.推奨提携先企業の選定(S 160)〉
技術補完度を算出したら図 4に戻り、好ましくは、推奨される提携先企業を選定し( S 160)、選定の根拠となる技術補完度と併せて出力する。
推奨提携先企業の選定は、例えば、技術補完度が所定値以上の候補名義人を選 定する、技術補完度の降順上位所定数の候補名義人を選定する、等が可能である。 また、 S 157の技術補完度を用いる場合に限らず、例えば S 155の合成近似度の中 から所定閾値以上のものを選び、該選んだ合成近似度を持つ合成評価情報を特定 し、該特定した合成評価情報の算出に用いた名義人評価情報に対応する候補名義 人を推奨提携先としても良い。
また、 S 157の技術補完度を用いる場合に限らず、例えば S155の合成近似度の中 から S156の対象名義人近似度より高いものを選び、該選んだ合成近似度を持つ合 成評価情報を特定し、該特定した合成評価情報の算出に用いた名義人評価情報に 対応する候補名義人を推奨提携先としても良い。これにより、複数の候補名義人のう ち、対象名義人が提携することによって特許データ全体の分布に近づける候補名義 人だけを提携先として選定することができるようになる。その結果、技術的な補完効 果の高いアライアンス先を推奨提携先として選定することができる。
[0091] < 3- 3.技術深耕度(S200〜S260)〉
次に、技術深耕度の算出及びこの技術深耕度等に基づく特定技術分野での推奨 提携先企業の選定について、引き続き図 4のフローチャートに沿って説明する。図 4 の S200〜S240の処理は S100〜S 140の処理と同様であり、重複する説明を省略 する。同一の特許データにつき、同一の対象名義人について、技術補完度と技術深 耕度の両者を算出する場合には、 S 100〜S140の処理又は S200〜S240の処理 の何れか一方を省略しても良い。
[0092] < 3— 3— 1.技術深耕度の算出(S250)〉
S240までの処理により名義人毎クラス毎評価値 (規格化したものが望ましい)を算 出したら、技術深耕度を算出する(S250)。
図 12は、図 4のうち技術深耕度の算出処理について詳細を説明するフローチヤ一 トでめる。
[0093] 技術深耕度を算出するため、技術深耕度算出部 130は、分析対象の名義人 (対象 名義人)について、該名義人の名義人毎クラス毎評価値を対応付けた名義人評価情 報を取得する(S251)。名義人評価情報は、例えば、クラス数を次元数とし、当該名 義人の各クラスでの名義人毎クラス毎評価値をベクトル成分とするベクトル (名義人 評価ベクトル)で表現することができる。名義人評価情報は、ベクトル表現に限らず、 例えば当該名義人の名義人毎クラス毎評価値のデータ列で表現しても良!/、。名義人 評価情報を求めるための名義人毎クラス毎評価値は、 S240にて規格化したもので あることが望ましい。
[0094] 技術深耕度算出部 130は、対象名義人以外の各名義人 (候補名義人)についても
、該名義人の名義人毎クラス毎評価値を対応付けた名義人評価情報を取得する(S 252)。
[0095] 技術深耕度算出部 130は、候補名義人の名義人評価情報のうち、名義人毎クラス 毎評価値が正数であるクラスを特定する(S253)。名義人毎クラス毎評価値が非正 数 (例えば 0)のクラスについては、次の S254で合成評価情報を算出しても対象名 義人の名義人評価情報と何ら変わらず、技術の深耕が期待できないからである。
[0096] S251〜S253で対象名義人と候補名義人の名義人評価情報を取得し、候補名義 人の名義人評価情報のうち名義人毎クラス毎評価値が正数であるクラスを特定したら 、技術深耕度算出部 130は、当該特定したクラスについて、対象名義人の名義人評 価情報と、候補名義人の名義人評価情報と、を前記特定したクラス毎に加算した合 成評価情報を候補名義人毎に算出する(S254)。これにより、技術の深耕が期待で きる各クラスについて、どの程度の深耕が期待できるかを算出することができる。 なお、 S253でクラスを特定しなくても、 S254で全クラスについて合成評価情報を 算出しても良い。この場合は、合成評価情報の各クラスの値の中から対象名義人の 名義人評価情報の対応するクラスの値から変動している値を抽出することで、同様の 結果を得ること力 Sできる。
[0097] 合成評価情報を算出したら、技術深耕度算出部 130は、候補名義人の各々につ いて、合成評価情報のうち対象名義人との名義人毎クラス毎評価値の合計値 (変動 している値に限る)が最大となるクラスを特定し、当該合計値を技術深耕度とする(S2 55)。
なお、本実施形態では、技術深耕度を算出する処理の具体的な手順について特 に限定しないが、例えば、ベクトルを利用して技術深耕度を算出する場合には、以下 の手順で行うようにしてもよい。ここでは、上述した技術補完度の算出と同様、対象名 義人の名義人評価ベクトルを f (上述した数 2参照)とし、各候補名義人の名義人評
self
価ベクトルを f (上述した数 3参照)とし、 f と f とを合成したベクトル (数 6参照)を
other self other
算出する。そして、以下の「数 7」に示す計算式を利用して、合成により変動があった 成分の中の最大値を技術深耕度とする。
[数 6]
lassl
lassl
/self + fc other lass 4
ノ
:で、ベクトル f + f は合成評価ベクトルである c :では、候補名義人の名義
self other
人毎クラス毎評価値のうち T 及び τ 乃至 τ 力 soであると仮定した場合を示し
ciass3 ciass5 ciassD
た。
[数 7] 技術深耕度二 MAX\ Sdass Tdass Sclass2 + Tclass2, e + τ
^ class A class A
:の式は、数 6に示す合成により変動があった成分 S T 、 s - T 、及
classl classl class2
び S T のうちの最大値で技術深耕度が求められることを示す c
class4 class4
なお、上記の例では、合成により変動があった成分 S -T 、 S - τ 、及
classl classl class2
び S +T を抽出し、その抽出したもののうちから最大のものを技術深耕度として class4 class4
求めるようにしているが以下のようにしてもよい。
具体的には、技術深耕度算出部 130は、上記 (数 6)を用いた合成処理により求め たベクトルから成分 (ベクトル要素)を抽出する際、「対象名義人の名義人評価べタト ル f の成分(ベクトル要素)が「0」ではないこと」という要件を加えるようにする。すな self
わち、技術深耕度算出部 130は、上記 (数 6)により求めた合成ベクトルから成分 (ベ タトル要素)を抽出する際、変動があった成分 (ベクトル要素)であり、且つ上記合成 前の名義人評価ベクトル f の成分(ベクトル要素)が「0」ではな!/、成分(ベクトル要素
self
)を抽出する。このようにすることにより、自社が特許を保有している技術分野に絞つ て、技術深耕という観点からの提携先企業を選定することができるようになる。
ここで、技術深耕度の算出結果の一例を示す。
図 13は、本実施形態による技術深耕度算出処理の算出結果を例示した表である。 なお、図 13では、説明を簡略化するために、分析対象のクラス数が 8個の場合を示し 、対象名義人 A社と一部の候補名義人(図 8及び図 9に示す候補名義人 B社乃 ¾1社 )との間での算出結果だけを示している。また、名義人毎クラス毎評価値を規格化し てレ、る場合の例を示して!/、る。
図示する表では、最上位の行 1301に、対象名義人 A社の名義人評価情報のクラ ス毎の値を示している。また、行 1302以降の各行に、対象名義人 A社と各候補名義 人との合成評価情報のクラス毎の値と、対象名義人 A社が各候補名義人と提携した 場合の技術深耕度とを示してレ、る。
例えば、行 1302には、対象名義人 A社と候補名義人 B社との合成評価情報と、対 象名義人 A社が候補名義人 B社と提携した場合の技術深耕度を示している。ここで、 行 1302に示した合成評価情報の値を用いて技術深耕度の算出手順を説明する。 技術深耕度算出部 130は、対象名義人 A社と候補名義人 B社との合成評価情報の 値のうちから、対象名義人 A社の名義人評価情報から変動した値を抽出し、抽出し た値を上述した数 7に代入する。具体的には、技術深耕度算出部 130は、対象名義 人 A社と候補名義人 B社との合成評価情報の各クラスの値の中から、クラス 1〜4、お よびクラス 6〜8の値を抽出し、その抽出した値を数 7に代入する。すなわち、数 7に、 「0. 3310」、「0. 0216」、「0. 2641」、「0. 2885」、「0. 3771」、「0. 4627」、およ び「0. 2993」が代入される。なお、対象名義人 A社と候補名義人 B社との合成評価 情報のクラス 5の値は、対象名義人 A社の名義人評価情報のクラス 5の値から変動し て!/、な!/、ため抽出されな!/、。
そして、技術深耕度算出部 130は、数 7に代入された値の中の最大値である「0. 4 627」を技術深耕度(クラス 7の値)とする。なお、行 1303〜; 1310についても、同様 の手順で技術深耕度が求められる。
このように本実施形態によれば、アライアンス候補の候補名義人毎に、技術提携し た場合に、その技術提携の効果が一番得られる技術分野を特定することができるよう になる。そのため、例えば、 自社との競合関係等から、アライアンスを組むことができ る企業が絞られるような場合、絞られた企業毎に、技術提携の効果が大きい技術分
野を把握できる。また、例えば、包括的な提携効果が得られない企業との間でも技術 提携の効果が大きい技術分野を特定した上での局所的な提携効果を得ることができ
[0100] このようにして求めた技術深耕度に限らず、初めからあるクラスのみに着目し、当該 クラスでの対象名義人の評価値 (名義人毎クラス毎評価値)と各候補名義人の評価 値 (名義人毎クラス毎評価値)の和 (合成評価値)を候補名義人毎に求め、これを技 術深耕度としても良い。これにより、着目した特定クラスだけで提携効果を判断するこ と力 Sできる。したがって、例えば、アライアンスを組みたい技術分野が想定できている 場合に有効なものとなる。
この場合、異なるクラス間での比較が不要なので、名義人毎クラス毎評価値の規格 化(S240)は必要ない。
[0101] < 3— 3— 2.推奨提携先企業の選定(S260)〉
技術深耕度を算出したら図 4に戻り、好ましくは、推奨される提携先企業を選定し( S260)、選定の根拠となる技術深耕度と併せて出力する。
推奨提携先企業の選定は、例えば、技術深耕度が所定値以上の候補名義人を選 定する、技術深耕度の降順上位所定数の候補名義人を選定する、等が可能である。
[0102] < 3— 4·アライアンス分布図(S400)〉
技術補完度及び技術深耕度を算出したら、両者をまとめたアライアンス分布図を作 成して出力することが望ましい(S400)。アライアンス分布図の作成は、例えば、以下 の手順で行う。すなわち、技術補完度算出部 125は、 S150 (図 4参照)の処理により 技術補完度を算出したら、算出結果を出力部 135に出力する。技術深耕度算出部 1 30は、 S250 (図 4参照)の処理により技術深耕度を算出したら、算出結果を出力部 1 35に出力する。出力部 135は、技術補完度算出部 125からの算出結果、および技 術深耕度算出部 130からの算出結果を受け付けると、候補名義人毎に、技術補完 度および技術深耕度を対応付けたアライアンス情報を生成する。ここで、図 14に、候 補名義人毎に、技術補完度および技術深耕度を対応付けたアライアンス情報の一 例を示す。なお、図 14では、図 11および図 13と同様、分析対象のクラス数が 8個の 場合を示し、対象名義人 A社と一部の候補名義人との間での算出結果だけを示して
いる。また、名義人毎クラス毎評価値を規格化している場合の例を示している。また、 技術深耕度を算出するために特定されたクラス(変動成分の最大値に対応する該当 クラス)も示した。
そして、出力部 135は、図示するアライアンス情報を利用して、図 15に例示するよう なアライアンス分布図を表す画像情報 (可視化した情報)を生成する。出力部 135は 、生成した画像情報を出力装置 4に出力する。その結果、例えば、出力装置 4に液晶 ディスプレイを用いる場合、液晶ディスプレイにアライアンス分布図が表示されるよう になる。
図 15は、本発明の実施形態により出力するアライアンス分布図の一例である。 この分布図は、横軸に技術補完度、縦軸に技術深耕度をとつて各候補名義人をプ ロットしたものである。候補名義人のうち、 B、 E、 F、 G、 Iの各社と対象名義人である A 社とは技術補完度が高ぐ提携による総合的な補完効果が期待できることがわかる。 また C、 H、 Jの各社は A社にとって技術深耕度が高ぐ特定分野での提携による深耕 が期待できることがわかる。なお、図 15では、技術補完度を平均 0、分散 1で標準化 してプロットした例を示した力 S、算出した値を標準化せずにそのままプロットするように してもよい。
< 4.提携先選定情報生成処理の別態様〉
図 16は、図 9のグラフを生成する処理を説明するフローチャートである。図 16の処 理のうち S300〜S340については図 4の S100〜S 140と同様であり、 S352、 S353 については図 10の S152、 S 153と同様であるので重複した説明を省略する。
評価値算出部 120は、 S352、 S353にて名義人毎クラス毎評価値 (規格化したも の)を算出したら、その算出結果を出力部 135に出力する。出力部 135は、評価値算 出部 120からの算出結果を受け付けると、クラス毎に、該クラスに属する名義人の規 格化名義人毎クラス毎評価値を対応付け、各クラスを縦軸に、規格化名義人毎クラス 毎評価値を横軸にとった棒グラフを示す画像情報を生成し(可視化した情報を生成 し)、生成した画像情報を出力装置 4に出力する(S 360)。その結果、例えば、出力 装置 4に液晶ディスプレイを用いる場合、液晶ディスプレイに図 9に例示するグラフが 表示されるようになる。
このように、本実施形態では、図 9に例示するグラフを生成して出力するようにして いるため、絶対的価値基準が異なるために直接対比することが困難な技術分野間の 相対比較が可能となる。分析者は、出力装置 4に出力された棒グラフを見れば、自社 保有技術全体の強み弱みを他社との相対比較を基に把握することができる。その結 果、分析者は、自社と他社との技術力のバランスを把握した上で、アライアンス先の 選定を fiうこと力できるようになる。
< 5.変形例〉
なお、本発明は、以上で説明した実施形態に限定されるものではなぐ本発明の要 旨の範囲内において種々の変形が可能である。
< 5 - 1.変形例 1〉
上記実施形態では、処理装置 1の各機能部(制御部 100、データ取得部 105、クラ スタ分析部 110、評価値算出部 120、技術補完度算出部 125、技術深耕度算出部 1 30、および出力部 135)がソフトウェアにより実現される場合を例にした力 特にこれ に限定されるものではない。処理装置 1の各機能部は、各機能部を実行するために 専用に設計された回路(ASIC (Application Specific Integrated Circuit)等)により実 現されてもよい。
< 5— 2.変形例 2〉
また、上記実施形態では、情報処理装置 1が、評価対象の特許公報類等の特許デ ータを記憶装置 2から取得する場合を例にした力 特にこれに限定するものではない 。例えば、情報処理装置 1は、インターネット等のネットワークを介して、外部の情報 提供サーバと通信を行い、外部の情報提供サーバから、特許データを取得するよう にしてもよい。
< 5— 3.変形例 3〉
また、上記実施形態では、入力装置 3を介して、分析者からの要求を受け付けた情 報処理装置 1が、提携先を選定するための情報を生成し、その生成した情報を出力 装置 4に出力する場合について説明したがあくまでもこれは例示である。例えば、クラ イアント 'サーバモデルのコンピュータシステムにおいて、情報処理装置 1の機能をサ ーバとして提供するようにしてもよい。この場合、情報処理装置 1に、ネットワークに接
続されているクライアント端末と通信を行う通信機能を設けておく。そして、情報処理 装置 1は、クライアント端末からの要求を受け付けると、そのクライアント端末に、情報 処理装置 1の有する機能を提供する。なお、ネットワークは、有線であっても無線であ つてもかまわない。例えば、ネットワークに、電話回線やインターネットを利用するよう にしてもよい。
< 5— 4.変形例 4〉
また、上記実施形態では、特許データの分類に、クラスタ分析の手法を用いるよう にしているが(図 4の S110)、特にこれに限定するものではない。例えば、クラスタ分 祈の手法に代えて、既存の統計的な手法(因子分析、主成分分析等)を用いて、特 許データをクラス分けするようにしてもよい。
< 5— 5.変形例 5〉
また、上記実施形態では、各クラスについて、それぞれの名義人毎クラス毎評価値 の合計が 1になるように規格化した例を示した力 特にこれに限定されない。名義人 毎クラス毎評価値を他の手法で表すようにしてもよい。例えば、名義人毎クラス毎評 価値を平均 0、分散 1で標準化し、その値を本実施形態に適用してもよい。この場合 にも、上述した例と同様に技術補完度、および技術深耕度を算出することができる。
< 5- 6.変形例 6〉
また、上記実施形態では、クラス毎評価値の分布傾向そのものを全体分布傾向とし 、この全体分布傾向に対する合成分布傾向の近似度により技術補完度を求めている 力 特にこれに限定するものではない。例えば、クラス毎評価値の各々に所定の重み 付けをした値の分布傾向を、全体分布傾向としてもよい(クラス毎評価値の各々に所 定の重み付けをした値を要素とするベクトルを、補完基準ベクトルとしてもよい)。この 重み付けは、例えば何らかの理由で重要なクラス或いは特にアライアンスによって強 化した!/、クラスが特定されて!/、る場合、そのような一部のクラスのクラス毎評価値には 他のクラスのクラス毎評価値より大きい重み付けとする。これにより、いわば理想的な 分布傾向を全体分布傾向(或いは補完基準ベクトル)とすることができる。このような 全体分布傾向(或いは補完基準ベクトル)に対する合成分布傾向(或いは合成評価 ベクトル)の近似度(或いは余弦)により求めた技術補完度によっても、上記重み付け
の下で総合的な提携効果を観ることができる。
< 5— 7.変形例 7〉
また、上記実施形態では、対象名義人および候補名義人が、それぞれ、企業単位 である場合を説明した力 特にこれに限定するものではない。例えば、複数の企業を 集めた企業グループ (例えば、同じ系列に属する企業のグループ、提携している企 業を組み合わせたグループ、連結決算の対象となる親会社、子会社、及び関連会社 等で構成した企業のグループ又はユーザが任意に想定して組み合わせた企業のグ ループ等)を作り、その企業グループを対象名義人や候補名義人として扱うようにし てもよい。この場合、例えば、上述した図 4の処理の一部を以下のように変更する。 具体的には、制御部 100は、 S 100の処理の開始に先立ち、ユーザから入力装置 3 を介して、対象名義人を企業グループで受け付けるか否かの指示を受け付ける。制 御部 100は、ユーザから、対象名義人について企業グループで受け付ける旨の指示 を受け付けた場合、さらに、企業グループを形成する企業群の指定を受け付ける。ま た、制御部 100は、候補名義人の中に、企業グループとして受け付ける企業群があ るか否かの指示を受け付ける。制御部 100は、候補名義人の中に企業グループとし て受け付ける企業群がある旨の指示を受け付け場合、さらに、企業グループを形成 する企業群の指定を受け付ける。そして、制御部 100は、クラスタ分析部 110に指定 を受け付けた企業グループを形成する企業群を示す情報を通知し、データ取得部 1 05に S100の処理の開始を指示する。
次に、データ取得部 105は、上述した実施形態と同様の手順にした力 Sい、特許デ ータを取得して、 S110の処理に遷移する。
S110では、クラスタ分析部 110が、上述した実施形態と同様の手順にした力 sい、取 得した特許データを所定技術分野毎のクラスに分類する。そして、クラスタ分析部 11 0は、各クラスを名義人毎に分類する際、上記の通知を受けた企業グループを形成 する企業群については、企業グループを形成する企業群を 1の名義人として分類す る。また、クラスタ分析部 110は、企業グループを形成する企業群以外については、 上述した実施形態と同様に企業単位で分類する。
そして、その後の処理(S130〜; 160、 S400)は、上述した実施形態と同様の手順
により行う。なお、ここでは、企業グループを形成する企業群を 1の名義人として分類 するようにしているため、ユーザから受け付けた企業グループに関しては、企業ダル ープ単位で、名義人毎クラス毎の評価値が算出され、その後の技術補完度算出処 理(S 150)および推奨提携先企業選定処理(S 160)が行われる。
なお、技術深耕度を算出する処理(S200〜S260)についても、上記同様、 S200 の処理に先立ち、企業グループを形成する企業群の指定を受け付け、 S210におい て、企業グループを形成する企業群を 1の名義人として分類するようにすればよ!/、。 このように構成することにより、ユーザは、自社とのアライアンス先を、企業単位では なく企業グループ単位で検討することができるようになる。また、自社が属する企業グ ループを基準にして、アライアンス先の企業を検討することができるようになる。或い は、自社が属する企業グループを基準にして、企業単位ではなく企業グループ単位 でアライアンス先を検討することができるようになる。
[0105] < 5— 8.変形例 8〉
また、上記実施形 で (ま、 3120〜3130 (又(ま3220〜3230 こぉレヽて、名義人 毎クラス毎に、特許インパクト及び経過情報指数を用いて名義人毎クラス毎評価値を 算出する例を説明しているが、特にこれに限定するものではない。例えば、各クラス に属する特許公報毎の個別評価値を算出し、それを総計したものを名義人毎クラス 毎評価ィ直として用いるようにしてもよい。 ί列えば'、図 4の S120〜S 130 (又は S220〜 S230)を以下のようにしてもよい。
すなわち、評価値算出部 120が、図 4の処理に先立って、特許データ 200毎に、各 特許データ 200に含まれる経過情報 240や内容情報 230を用いて個別評価値 (以 下、「パテントスコア PS」という)を算出しておく。そして、評価値算出部 120は、 S 120 〜S 130 (S220〜S230)において、その算出しておいたパテントスコア PSを名義人 毎クラス毎に集計したものを名義人毎クラス毎評価値として求める。以下、パテントス コア PSを利用した本実施形態の変形例 8について説明する。
[0106] 本変形例 8では、上述した図 4の処理ステップのうち、評価値算出部 120が行う名 義人毎クラス毎の評価値算出処理を変更している。なお、本変形例 8では、評価値 算出部 120の機能を一部変更しているだけで、他の構成は上記実施形態と同じ構成
である。また、本変形例 8は、説明の便宜上、上記実施形態と同じ符号を用いて説明 する。また、本変形例 8では、上記実施形態と異なる部分だけ説明する。
[0107] 具体的には、本変形例 8の評価値算出部 120は、図 4の処理の一部を変更した図 17に示す処理ステップにしたがい、提携先選定情報を生成する処理を行う。
また、本変形例 8の評価値算出部 120は、図 17の処理を行う前に、特許データ 20 0毎のパテントスコア PSを算出し、その算出したパテントスコア PSを情報処理装置 1 のメモリ(補助記憶装置 12、或いは主記憶装置 11)に格納しておく(或いは、記憶装 置 2に格納しておく)。そして、評価値算出部 120は、各特許データ 200のパテントス コア PSを上記メモリに格納してから、図 17の処理を行う。なお、パテントスコア PSを 算出する処理の手順は、後段で詳細に説明する。
[0108] つぎに、パテントスコア PSを利用して行う提携先選定情報を生成する処理につい て、図 17を用いて説明する。
図 17は、本変形例 8の情報処理装置の提携先選定情報生成処理を示すフローチ ヤートである。なお、図 17のフローチャートは、図 4のフローチャートの S120〜S130 (S220〜S230)を変更したものである。また、図 17では、図 4と同じ処理については 同じ符号を付している。
なお、以下の説明では、図 4と異なる処理ステップについて説明し、同じ処理の説 明は省略する。
[0109] 図示するように、クラスタ分析(S110)が終了し且つ名義人毎に分類すると、評価 値算出部 120は、当該クラスタ分析の対象となった特許データすベて(当該クラスタ 分析により生成された全クラスの特許データ 200)につ!/、てパテントスコア PSを取得 する(S121)。
具体的には、評価値算出部 120は、情報処理装置 1のメモリから、全クラスの特許 データ 200のパテントスコア PSを読み出す。
[0110] つぎに、評価値算出部 120は、全クラスの特許データ 200のパテントスコア PSを読 み出すと、各特許データの個別評価値を算出する(S122)。なお、個別評価値の算 出方法については特に限定するものではなぐ取得したパテントスコア PSをそのまま 特許データの個別評価値とすることも可能である力 例えば、以下に示す手順にした
がい、特許データの個別評価値を求めるようにしてもょレ、。
先ず、評価値算出部 120は、以下に示す (数 8)により、各特許データの標準値 (全 クラスにおける標準値) p を算出する。
0,i
[数 8]
但し P0,i :特許データ iの全クラスでの標準値
PSi:特許デ一タ iのパテントスコア
n :全クラスの合計特許数 (特許データ数)
この式の分子は各特許データ iのパテントスコア PSiから全クラスでの平均値を減算 したものであるから、標準値 P の全クラスでの平均値は 0となる。分母はパテントスコ
0,i
ァ PSiの全クラスでの標準偏差であるから、標準値 P の全クラスでの分散及び標準
0,i
偏差は 1となる。なお、式中の nは全クラスの特許データ数である力 パテントスコア P Sが 0であるもの(後述のように失効した特許出願又は消滅した特許権)は除いた特 許データ数とするのが好ましレ、。
この標準値 P を各特許データの個別評価値としても良いが、本実施形態では更に
0,i
以下のようにして各特許データの個別評価値を算出する。
すなわち、評価値算出部 120は、上記求めた標準値 P および以下に示す (数 9)
0,i
により、各特許データ 200の偏差値 (全クラスにおける偏差値)を求め、これを個別評 価値とする。
但し Pi :特許データ iの個別評価値 (偏差値)
P0,i:特許データ iの全クラスでの標準値
この(数 9)では、上記 (数 8)で求めた標準値 P に 10を乗算し 50を加算しているの
0,i
で、この(数 9)により求められた個別評価値 (偏差値) Piは、全クラスにおける平均が 50、標準偏差が 10となる。
[0111] なお、この S122 (S222)において、評価値算出部 120は、上記(数 9)ではなぐ以 下に示す (数 10)を用いて、特許データ 200の個別評価値を求めるようにしてもよい。
[数 10]
Pi = ( P0,i - Pstd ) x 1 0 (P0,i≥ Pstd )
Pi = 0 ( P0,i < Pstd ) 但し Pi :特許データ iの個別評価値
P0,i :特許データ iの全クラスでの標準値
Pstd :標準値 Po,iの全クラスでの平均値
この(数 10)では、上記(数 8)で求めた標準値 P 力 Sしきい値 Pstd以上である場合
0,i
は、標準値 P のしきい値 Pstdとの差分を 10倍したものを個別評価値 Piとし、標準値
0,i
P 力 Sしきい値 Pstd未満である場合は、 0を個別評価値 Piとしている。
0,i
しき!/、値 Pstdとしては、ここでは標準値 P の全クラスでの平均値(上記(数 8)の P
0,i 0,i によれば 0となる)を用いている。従ってこの場合、個別評価値 Piが負数となることは ない。従って、後述の S131の(数 12)を用いた名義人毎クラス毎評価値 S が負数と
k,j
なることはない。
[0112] 上記 (数 9)を用いる場合と上記 (数 10)を用いる場合とでは、以下の相違がある。
特許データ 200の個別評価値は、後述の(数 12)において、名義人毎クラス毎評価 値の算出に用いられる。そして、名義人が大企業等 (例えば、大手電機メーカ)の場 合、特許データ 200の件数が膨大であるため(保持している特許件数が膨大である ため)、例えば、個々の特許データ 200のパテントスコア PSが低い値であっても、低 V、値のパテントスコア PS (又はパテントスコア PSより求めた偏差値)を合計することで 、その名義人の評価値 (名義人毎クラス毎評価値)が高くなる。すなわち、上記 (数 9) の偏差値をそのまま集計に利用する場合、名義人毎クラス毎評価値は、出願されて いる特許データの数の影響を強く受けた分析結果となる。
これに対し、上記 (数 10)による場合、名義人毎クラス毎評価値の算出対象のデー タとして、しきい値 Pstd以上の標準値となるパテントスコア PSだけを利用し、しきい値 未満の標準値となるパテントスコア PSを加算しないことで名義人毎の特許件数による 影響を緩和し、その名義人が持つ特許データの「質」を反映させることができる。また
、標準値 P のしきい値 Pstdとの差分から個別評価値 Piを算出しているため、しきい
0,i
値 Pstd付近となる特許が多数あっても名義人毎クラス毎評価値に与える影響は小さ ぐしきい値より飛び抜けて質の高い特許が、名義人毎クラス毎評価値に大きく影響 することになる。
なお、上記(数 10)では、しきい値 Pstdとして、標準値 P の全クラスでの平均値を
0,i
利用している力 これは例示にすぎない。対象名義人の平均値を用いるなど、ユー ザがしき!/、値 Pstdの値を任意に設定するようにしてもよ!/、。
また、この S 122 (S222)において、評価値算出部 120は、上記(数 9)又は(数 10) の右辺で求められる値を用いた上で、更に、以下に示す (数 11)を用いて、特許デー タ 200の個別評価値を求めるようにしてもよい。
[数 11]
(数 9)又は(数 1 0)の右辺
" 当該特許の共有者の数
但し Pi :特許データ iの個別評価値
すなわち、個別評価値を算出しょうとする特許データ 200が共同出願に係る特許出 願又は共有名義の特許権に係るものである場合には、記憶装置 2に記憶されている 当該特許の共有者の数 (共同出願人の数又は特許権共有者の数)を読み取る。そし て、上記 (数 9)又は (数 10)の右辺で算出される値を、更に当該特許の共有者の数 で除算して、個別評価値 Piとする。
こうして名義人毎の適正な個別評価値 Piを算出し、後述の (数 12)により名義人毎 クラス毎評価値を算出すれば、 S140や S240の規格化処理等において用いるクラス 毎評価値の算出にあたって、共同出願の特許データに係る個別評価値の二重計上 を避けること力 Sできる。また、 S150の技術補完度算出処理や S250の技術深耕度算 出処理において用いる合成評価情報の算出にあたっても、同様に共同出願の特許
データに係る個別評価値の二重計上を避けることができる。
また (数 11)では共有者の数で除算することにより、(数 9)又は (数 10)の右辺で求 められる値を共有者間で均等に按分したが、これに限らず個々の共有者の貢献度や 持分比率で重み付けをして按分しても良!/、。
つぎに、評価値算出部 120は、 S122で求めた特許データ 200毎の個別評価値( 例えば上記 (数 9)、(数 10)、更に好ましくは (数 11)で求めた個別評価値) Piを用い て、クラス毎に、名義人毎クラス毎評価値を求める(S 131)。具体的には、評価値算 出部 120は、以下に示す (数 12)により、クラス毎に、名義人毎クラス毎評価値を求め
[数 12] n
S kj = 2_ Pi
ι=1
但し s k」:クラス jにおける出願人(名義人) kの評価値
n :クラス jにおける出願人(名義人)の特許数
Pi :特許データ iの個別評価値
すなわち、名義人毎クラス毎評価値 s は、或るクラス jに属する名義人 kの特許デ
k,j
ータ 200の個別評価値 Piの総和で算出される。
なお、上記 (数 9)又は (数 10)の右辺で求められる値を、(数 11)により共有者間で 按分せずにそのまま個別評価値 Piとする場合、 S 140や S240の規格化処理等にお いて用いるクラス毎評価値の算出にあたっては、上記 (数 1)の分母に示されるように 名義人毎クラス毎評価値を当該クラス内で単に総計すると、共同出願の特許データ に係る個別評価値が二重計上されることになる。そこで、上記 (数 9)又は (数 10)の 右辺で求められる値をそのまま個別評価値 Piとする場合、例えば、クラス毎評価値の 算出は、当該クラス jに属する全名義人の特許データ 200の個別評価値 Piの総和で 算出することが望ましい。これにより、複数名義人の共同出願に係る特許データが例 えば 1件あれば、その特許データの個別評価値は 1件分としてクラス毎評価値にカウ ントされるため、二重計上を避けることができる。
また、 S 150の技術補完度算出処理や S250の技術深耕度算出処理において用い
る合成評価情報の算出にあたっても、同様に共同出願の特許データに係る個別評 価値の二重計上を避けることが望ましい。そこで、上記 (数 9)又は (数 10)の右辺で 求められる値をそのまま個別評価値 Piとする場合、例えば、合成評価情報は、名義 人毎クラス毎評価値を加算して求めるのではなぐ対象名義人と或る候補名義人の 一方又は両方が名義人に含まれる特許データ 200を抽出し、この抽出された特許デ ータの個別評価値 Piをクラス毎に総和することにより算出することが望ましい。これに より、対象名義人と当該候補名義人の共同出願に係る特許データが例えば 1件あれ ば、その特許データの個別評価値は 1件分として合成評価情報にカウントされるため 、二重計上を避けること力できる。なお、こうして算出された合成評価情報は、 S140 や S240の名義人毎クラス毎評価値の規格化と同様に、クラス毎に、クラス毎評価値 で除算することにより規格化することが望ましい。
[0115] そして、 S131の処理が終わると、上述した図 4と同様の処理を行い、提携先選定情 報を生成する処理を行う。なお、「S221、 S222、および S231Jは、「S121、 S 122、 および SI 31」の処理と同じである。
[0116] 本変形例 8では、アライアンス分析に利用する情報として、技術分野や出願時期等 を考慮して求めたパテントスコア PS (詳細は後述)を利用するようにしている。また、こ のパテントスコア PSは、後述するが経過情報 240の種類に応じて重みが考慮されて いる。
したがって、本変形例 8によれば、より精度の高い名義人毎クラス毎評価値が算出 されるため、この名義人毎クラス毎評価値を利用することにより、最適な技術提携先 を選定することができるようになる。
また、各特許データ 200の個別評価値を用いているため、上述のように、共同出願 の特許データの二重計上を避けることも比較的簡易な処理にて行うことができる。
[0117] また、上記 (数 10)を用いて名義人毎クラス毎評価値を算出した場合、上述のように 名義人毎の特許件数による影響を緩和し、その名義人が持つ特許データの「質」を 反映させること力 Sでさる。
図 18は、変形例 8のパテントスコアを用いた名義人毎クラス毎評価値及び上記実 施形態の特許インパクト指数と経過情報指数とを用いた名義人毎クラス毎評価値の
分布を、公報件数との関係において示した図である。詳しくは、特定分野の特許群を クラスタリングして得られた複数のクラスを更に名義人毎に分類し、それぞれ特許イン パクト指数と経過情報指数とを乗算することで名義人毎クラス毎評価値を算出し、平 均 0、分散 1に標準化した。また、同じ名義人毎クラス毎の各分類について、パテント スコアを用いて上記 (数 10)により閾値以下の値を 0として集計することで名義人毎ク ラス毎評価値を算出し、平均 0、分散 1に標準化した。これら標準化された名義人毎 クラス毎評価値を縦軸にとり、上記名義人毎クラス毎の各分類の公報件数 (これも標 準化した)を横軸にとっている。
図に示されるように、上記実施形態の特許インパクト指数と経過情報指数とを用い た名義人毎クラス毎評価値は、公報件数との正比例関係を示す直線に近!、分布を 有しており、公報件数の影響を大きく受けている。これに対し、変形例 8のパテントス コアを用いた名義人毎クラス毎評価値は、公報件数とまったく無関係ではないものの 正比例関係を示す直線からかなり離れた領域にも分布しており、公報件数の影響が 緩和されていることがわかる。
[0118] つぎに、本変形例 8において、名義人毎クラス毎評価値の算出に用いるパテントス コア PSについて説明する。
[0119] パテントスコア PSとは、各特許データの評価値を示したスコアのことをいう。このパ テントスコア PSは、特許データの内容情報 230および経過情報 240を利用して算出 される。
なお、パテントスコア PSの算出に利用する内容情報 230および経過情報 240のデ ータ構成について特に限定されるものではない。本変形例 8では、図 19および図 20 に示す内容情報 230および経過情報 240を用いるものとする。以下、内容情報 230 および経過情報 240のデータ構成を説明する。
[0120] 図 19は、本実施形態の変形例 8で利用する内容情報のデータ構成の一例を模擬 的に示した図である。
図示するように、内容情報 230は、「特許データ ID (公報番号等)」を登録するため のフィールド 2301と、その特許データの「請求項数」を登録するためのフィールド 23 02と、「請求項の平均文字数」を登録するためのフィールド 2303と、その特許データ
の「明細書枚数」を登録するためのフィールド 2304とを備えて 1つのレコードが構成 される。なお、内容情報 230は、複数のレコードよりなる。
ここで、「請求項数」は、当該特許出願の請求項数を示す情報であり、「請求項の平 均文字数」は、当該特許出願の請求項 1項あたりの平均文字数 (又は単語数)を示す 情報である。「明細書頁数」は、当該特許出願の明細書頁数又は公報頁数を示す情 報である。これらの情報は各特許出願の公開特許公報その他の特許データより抽出 される。
[0121] 図 20は、本実施形態の変形例 8で利用する経過情報のデータ構成の一例を模擬 的に示した図である。
図示するように、経過情報 240は、「特許データ ID (公報番号等)」を登録するため のフィーノレド 2401と、「出願日力、らの経過日数」を登録するためのフィールド 2402と 、「審査請求日力もの経過日数」を登録するためのフィールド 2403と、「登録日から の経過日数」を登録するためのフィールド 2404と、「分割出願」の有無を示す情報を 登録するためのフィールド 2405と、「早期審査」の有無を示す情報を登録するための フィールド 2406と、「不服審判特許審決」の有無を示す情報を登録するためのフィー ノレド 2407と、「異議申立維持決定」の有無を示す情報を登録するためのフィールド 2 408と、「無効審判維持審決」の有無を示す情報を登録するためのフィールド 2409と 、「優先権主張」の有無を示す情報を登録するためのフィールド 2410と、「PCT出願 」の有無を示す情報を登録するためのフィールド 2411と、「包袋閲覧」の有無を示す 情報を登録するためのフィールド 2412と、「被引用回数」を示す情報を登録するため のフィーノレド 2413とを備えて、 1つのレコードが構成される。なお、経過情報 240は、 複数のレコードよりなる。
[0122] ここで、「出願からの経過日数」、「審査請求からの経過日数」、および「登録日から の経過日数」は、該当する特許データの期間に関する情報である。「出願からの経過 日数」は出願日、「審査請求からの経過日数」は出願審査請求日、「登録日からの経 過日数」は特許権設定登録日に基づき、それぞれ評価日(パテントスコアの算出日 ) まで又は評価日に近!/、所定日付までの経過日数を算出したものが記憶装置 2に格 納される。未だ出願審査請求されてレ、な!/、特許出願にっレ、ての「審査請求からの経
過日数」は NULLとなり、未だ設定登録されて!/、な!/、特許出願にっレ、ての「登録日 からの経過日数」は NULLとなる。
[0123] 経過情報 240のうち、「分割出願」、「早期審査」、「不服審判特許審決」、「異議申 立維持決定」、「無効審判維持審決」、「優先権」、「PCT出願」、「包袋閲覧」は、特許 データに対する所定行為の有無を示す情報である。「分割出願」は当該特許出願を もとの出願として分割出願がなされているか否力、、「早期審査」は当該特許出願の早 期審査がなされているか否か、「不服審判特許審決」は当該特許出願について拒絶 査定不服審判が請求され、且つ当該審判において特許審決がなされているか否か、 「異議申立維持決定」は当該特許について特許異議申立がなされ、且つ維持決定 カ されているか否力、、「無効審判維持審決」は当該特許について特許無効審判が 請求され、且つ当該審判において請求棄却審決がなされているか否力、、「優先権」 は当該特許出願が先の特許出願等に基づく優先権主張を伴っているか否力、、「PC T出願」は当該特許出願が特許協力条約に基づく国際出願を国内に移行したもので あるか否力、、「包袋閲覧」は当該特許出願について閲覧請求がなされているか否か に基づき、それぞれ所定行為がなされている場合は例えば 1が与えられ、なされてい なレヽ場合は例えば 0が与えられる。
[0124] 続いて、評価値算出部 120が行うパテントスコア PSの算出処理について、図 21を 用いて説明する。
図 21は、本実施形体の変形例 8のパテントスコアの算出処理の手順を示したフロー チャートである。
[0125] 先ず、評価値算出部 120は、ユーザからの IPCコードの入力を受け付け、特許デ ータ 200 (特許公報を示す電子データ)を取得する(S400)。
具体的には、評価値算出部 120は、ユーザからの IPCコードの入力を受け付けると 、記憶装置 2にアクセスし、その IPCコードに分類される特許データ 200を取得する。 ここで取得した特許データ力 S、パテントスコアを算出するための分析対象母集団とな る。なお、特許データ 200の書誌情報 220には、その特許出願の出願日の情報や優 先日の情報 (優先権を主張して!/、る場合に限る)等が含まれて!/、る。
[0126] つぎに、評価値算出部 120は、取得した特許データ 200の書誌情報のうち出願日
の情報又は優先日の情報等を用いて、分析対象母集団の特許データ 200を所定期 間ごと (本変形例 8では出願年ごと、優先日が属する年ごと等)のグループ tに分類す る(S500)。
つぎに、評価値算出部 120は、各特許データ 200の評価値を算出する(S600)。こ の処理の詳細を、図 22に基づいて説明する。
[0127] 図 22は、特許データのパテントスコアを算出する処理の詳細を示すフローチャート である。
[0128] 評価値算出部 120は、 S500で分類されたグループ tに属する特許データ 200につ いて、経過情報 240および内容情報 230を取得する(S610)。
なお、図 22では、当該取得した 1つのグループ力 件の特許データからなるものとし 、J件のそれぞれを区別するため添え字 j (j = l , 2, · · · ,】)を用いる。
評価値算出部 120は、 J件の特許データ 200を取得したら、これら J件の特許データ ( )糸圣 十青幸 240お J:び^] 十青幸 230を ffl l、て、 ¾g( S6302〜S6304で ffl l、る「 評価項目の該当有無データの J件分の合計値」等を予め求めておく。
[0129] 次に、評価値算出部 120は、変数 jを 1にセットし(S620)、次のようにして特許デー タ jの評価素点を算出する。
[0130] 評価値算出部 120は、経過情報 240の各フィールドに登録されている情報を評価 項目とし、 I個の評価項目 i (i= l , 2, · · · , I)について、評価項目ごとに予め設定され た評価点算出方法を選択する(S6301)。
[0131] 本実施形態の変形例 8における評価点算出方法には次の 3通りがある。すなわち、 フィーノレド 2405、 2406、 2407、 2408、 2409、 2410、 2411、 2412ίこ登録されて いる情報については、当該特許データに対する所定行為の有無を示す情報として S 6302〔有無型〕を選択する。また、フィーノレド 2402、 2403、 2404ίこつレヽて (ま、当該 特許データの期間に関する情報として S6303〔時間減衰型〕を選択する。また、フィ 一ルド 2413については、当該特許データの引用回数を示す情報として S6304〔回 数型〕を選択する。
[0132] 評価点算出方法を選択したら、 I個の評価項目 iの各々について、特許データ jの評 価点を算出する(S6302、 S6303, S6304)。
<有無型〉
S6302では、評価値算出部 120は、〔有無型〕が選択された評価項目 iについて、 次の [数 13]により評価点を算出する。
[0134] ここで分子に配置された「評価項目 iの該当有無データ」は、例えば「分割出願」に ついては、上述のように分割出願がなされていれば 1、なされていなければ 0となる。
[0135] 分母には、上記「評価項目 iの該当有無データ」の当該グループ内合計値の正の平 方根が配置されている。従って、当該グループ内に評価項目該当の特許データ 200 が多数存在する場合は分母が大きぐ当該グループ内に評価項目該当の特許デー タ 200が少数しか存在しない場合は分母が小さくなる。該当件数の多い評価項目(「 包袋閲覧」等)を有する特許よりも、該当件数の少ない評価項目(「無効審判維持審 決」等)を有する特許の方が、特許権設定登録後の維持率が高!、傾向がある(一般 に、維持率の高さは、維持費(特許料)に見合う経済的価値の高さを示すと考えられ る)ので、各評価項目の重み付けが自動的になされる。また、所定期間ごとのグルー プ単位で集計しているので、例えば古い特許ほど多くの経過情報が付加され、公開 されて間もなレ、新しレ、特許には未だ経過情報が付加されて!/、な!/、ことが多!/、が、そ れだけの理由で新しレ、特許に低!/、評価が与えられるとレ、う傾向を緩和することができ
[0136] <時間減衰型〉
S6303では、評価値算出部 120は、〔時間減衰型〕が選択された評価項目 iについ て、次の [数 14]により評価点を算出する。
[0137] ここで分子に配置された「Exp (— (Min (経過時間,年限))/年限)」は、「審査請求 からの経過日数」については、当該「審査請求からの経過日数 (年数換算値)」と「年 限」のうち何れ力 vj、さい方の値を「年限」で除算し 1を乗算した値で、ネィピア数
eを べき乗した値である。「年限」は出願日から特許権存続期間満了までの最大年数(日 本の現行法では 20年)とする。「登録日からの経過日数」の場合も同じ計算式を用い 、「年限」は出願日から特許権存続期間満了までの最大年数(日本の現行法では 20 年)とする。「出願日からの経過日数」の場合も同じ計算式を用いる力 「年限」は出 願日から出願審査請求期限までの年数(日本の現行法では 3年)とする。これによる と、経過時間が短いうちは分子の値は Exp (0) = 1に近い値である力、時間の経過と ともに減衰して経過時間≥年限となると Exp (— 1) = l/eにまで低下する。指数関数 にする利点は、価値に対する減価償却効果を導入できることと、評価値分布の離散 化をなくし滑らかな分布にできることである。「審査請求からの経過日数」、「出願日か らの経過日数」、「登録日からの経過日数」は、多くの特許に該当する基本評価項目 であり、これら 3評価項目しか該当しない特許群の同点化を避けることができる。
[0138] ほ女 14]の分母は、上記 S6302で用いる〔有無型〕の式と同様の式が配置されてい るが、「審査請求からの経過日数」については、当該特許出願につき出願審査請求 されていれば例えば 1、されていなければ例えば 0の値を当該グループ内で合計し 正の平方根をとつたものである。「登録日からの経過日数」についても、当該特許出 願につき特許権設定登録されていれば 1、されていなければ 0の値を当該グループ 内で合計し正の平方根をとつたものが分母となる。 「出願からの経過日数」について は、すべての特許データが該当するので、当該評価項目の該当有無データを 1とす れば、分母の値はグループ内の特許データ 200の件数の正の平方根に等しくなる。 何れの場合も、当該グループ内に評価項目該当の特許データ 200が多数存在する 場合は分母が大きぐ当該グループ内に評価項目該当の特許データ 200が少数し か存在しない場合は分母が小さくなる。上述のように「審査請求からの経過日数」、「 出願日からの経過日数」、「登録日からの経過日数」は、多くの特許に該当する基本 評価項目であるので、これら評価項目の配点は小さくなりやす!/、。
[0139] S6303において〔時間減衰型〕で算出された評価点は、更に内容情報 230 (図 17
の内容情報)による補正を行う。
経過情報 240のみにより評価する場合、出願公開後又は特許権設定登録後間もな い特許出願又は特許権には、今後付与されると期待される経過情報 240がなく評価 が正しく行えない可能性がある。従ってこれを補正するため、経過情報 240による評 価に内容情報を加味する。し力、し、内容情報 230は、経過情報 240ほど維持率との 相関が高くない傾向にあり、不用意に内容情報 230を加味すると却って評価の精度 が落ちる可能性がある。
そこで、経過情報 240が十分に付与された特許の評価には内容情報 230の影響を 小さくとどめ、経過情報 240が不十分な特許の評価に内容情報 230を効果的に反映 させるため、この〔時間減衰型〕で算出された評価点にのみ、内容情報 230に基づく 補正係数を乗算する。
このように本変形例 8によれば、出願の古い新しいを問わず、どの特許データ 200 にも一律に付与されやすい特性を有する期間に関する情報に、各々の特許データ 2 00の内容情報 230を加味することができる。その結果、経過情報 240があまり付与さ れていない新しい出願からなる特許データについても、適切な評価を行うことができ d * o
具体的には、上記ほ女 14]の各評価点に、
a X a X a
1 2 3
ここで、
a = 21/3 (請求項当たりの平均文字数が平均以下の場合)又は
2— 1/3 (請求項当たりの平均文字数が平均以上の場合)
a = 21/3 (全頁数が平均以上の場合)又は
2
2— 1/3 (全頁数が平均以下の場合)
a = 21/3 (請求項数が平均値 ± 1標準偏差以内の場合)又は
3
2— 1/3 (請求項数が上記範囲外の場合)
を乗算する。 a 、 a 、 aの最大値をそれぞれ 21/3とすることにより、 a X a X aを最大
1 2 3 1 2 3 値とする補正にとどめている。なお、本変形例 8では、 a X a X aの値が最大で 2に
1 2 3
なるようにしている。
[0141] <回数型〉
S6304では、評価値算出部 120は、〔回数型〕が選択された評価項目 iについて、 次の [数 15]により評価点を算出する。
[数 15]
/(¾ | ffl)x log(^ + i;
, / (引用 )x l。g("] + l
[0142] ここで分子に配置された「f (引用) X log (n + l)」は、「被引用回数」については、当
J
該「被引用回数 n」に 1を加えた値の対数に重み f (引用)を乗算したものである。本発
J
明者らの検証により、被引用の有無にとどまらずその回数によっても特許権の維持率 が変化することがわかっている力 両者に比例関係はなぐ被引用回数の増加による 維持率の増加は次第に頭打ちの傾向を示すため、対数をとることとしたものである。
[0143] 分母には、上記「f (引用) X log (n + l)」の当該グループ内合計値の正の平方根が
J
配置されている。従って、当該グループ内に他の出願で引用された特許データが多 数存在する場合は分母が大きぐ当該グループ内に他の出願で引用された特許デ ータ 200が少数しか存在しない場合は分母が小さくなる。
[0144] 上記ほ女 15]の分子及び分母において、重み f (引用)は任意の正数を用いることが できる力 他社の特許出願で引用された回数 (他社引用回数) n と自社の他の特 j other
許出願で引用された回数(自社引用回数) n とで区別し、それぞれの対数に異なる j self
重みを付与する。この場合、上記ほ女 15]に代え、次のほ女 16]を用いる。
[数 16] ゾ (弓 1用。 , )Χ !0g(^ other + I (弓 I用 !0g(^ self + ^ ∑ 用 other other 具体的な重みとしては、他社引用の場合の f (引用 )と、自社引用の場合の f (引 other
用 )との比を、 1 : 2とした。
self
[0145] 被引用回数は、特許の価値との間に高い相関がある。更に、本発明者らの検証に よれば、他社の特許出願の審査において引用(他社引用)された回数と、 自社の他
の特許出願の審査において引用(自社引用)された回数とでは、後者と特許の価値 との相関が有意に高いことが認められた。 自社の他の特許出願の審査において引用 された発明は、自社の実施技術において中核となる基本発明であることが多いことに よるものと推測される。そして、そのような基本発明を自社が既に出願していることを 認識しつつ、その改良技術をも出願し強固な特許ポートフォリオの構築を図った可能 性が高い。
本変形例 8によれば、被引用回数を他社引用と自社引用とに分けて考え、後者の 回数をより大きく評価値に反映させることにより、特許出願又は特許権の適切な評価 が可能となる。
[0146] 評価値算出部 120は、全ての評価項目 i (i= l , 2, · · · , I)について、特許データ j の評価点が算出されたら、これに基づいて当該特許データ jの評価素点を、次の [数 17]により算出する(S640)。
この式に示されるように、評価素点は、 I個の評価点の二乗和の正の平方根、又は 0 となる。評価素点が 0となるのは、審査請求期限までに出願審査請求しなかった場合 、出願を取下げ又は放棄した場合、拒絶査定が確定した場合、その他特許出願が失 効した場合と、異議申立による取消決定や無効審判による無効審決が確定した場合 、特許権を放棄した場合、特許権の存続期間が満了した場合、その他の特許権が消 滅した場合である。これらの情報も各特許データの経過情報から読み取り、該当する 場合は評価素点を 0とする。
なお、上述したように、 S6303において、〔時間減衰型〕で算出された評価点に対し ては、内容情報 230による補正を行う。
[0147] このように、 S640において、ほ女 17]により特許評価素点を求めるようにしたのは以 下の理由による。
複数の評価項目による評価点 iから評価素点を算出する方法として、各評価点 iの
総和を求める方法がある(単純和法)。し力、しこの算出方法によると、特許の維持率( 経済的価値)との相関を有する経過情報が多数付与された特許の評価が高く算出さ れるので、評価点 iの総和を評価素点とすることは一見合理的である力 維持率との 相関があまり高くな!/、経過情報を多数付与されて!/、る特許の(低!/、評価点が多数カロ 算される)評価素点が、維持率との相関が極めて高レ、経過情報を少数付与されて!/、 る特許の評価素点を超えてしまうことがあり得るので注意が必要である。
この問題を解決する 1つの方法として、各評価点 iのうち最大値を評価素点とする方 法もある(最大値法)。し力、しこの算出方法によると、特に、ある経過情報と特許群の 維持率との相関を調べる場合に、他にどんな経過情報が付与されているか無関係に 相関を調べた場合には、ある特許の維持率は、最高の維持率を持つ経過情報の維 持率で最もよく表現できると期待されるので、評価点 iの最大値を評価素点とすること は一見合理的である力 評価点 iの最大値が 2つの特許で同じである場合に優劣が つけられない。さらに、最大値法を用いた場合は、出願人、特許庁及び競合他社の 異なる 3主体の観点を加味した評価を行うことができず、それらの主体のうちのいず れかー者の観点のみが反映されることとなってしまい、残りの主体の観点を特許デー タの評価に反映させることができなレ、。
二乗和の平方根をとる上述の方法は、単純和法と最大値法の長所を兼ね備えた方 法ということができる。すなわち、二乗和の平方根をとることにより、ある特許データ jに 関する I個の評価項目 iの中に高い評価点 iがあるときは、その高い評価点 iが評価素 点に大きく影響する。そして、評価点 iの高い評価項目以外の評価点についても、幾 らか考慮された評価素点となる。従って、評価点 iの高くなりやすい「早期審査」、「異 議申立維持決定」、「無効審判維持審決」等に複数該当するような特許データ jに対 しては、突出して高い評価素点を与えることができる。
このように本変形例 8では、特許属性情報の種類に応じて算出した評価点を全て加 味した特許評価を行うようにしている(S630、 S640)。その結果、特許データの価値 を多面的に評価することが可能となる。
評価値算出部 120は、評価素点が算出されたら、その対数を算出して当該特許デ ータ jの評価値とする(S 650)。
[0149] 次に、すべての特許データ jについて評価値を算出したか否かを判定し(S660)、 算出してレヽなレヽ場合(S660 : N O )、 S67C こ進み、変数 jを j + 1 ίこセットし、 S63C こ 戻って次の特許データについて評価値を算出する。
すべての特許データ jについて評価値を算出した場合は(S660 : YES)、当該グノレ ープに属する特許データ 200に関する評価値の算出処理を終了する。
このように本変形例 8では、特性の異なる複数の特許データを、技術分野ごと、出 願時期ごとの特性を加味した上で評価するようにしている。その結果、特許データの 価値をより適切に評価することができる。
[0150] S610〜S670までの評価値算出処理は、 S400で取得した特許データを S500で 分類して得られたすべてのグループ tにつ!/、て実行する。すべてのグループ tにつ!/ヽ て評価値を算出したら図 20の S700に戻る。
[0151] S700では、評価値算出部 120は、上記の処理で求めた評価値に基づいて、 S40 0で取得した分析対象母集団における偏差値をパテントスコア PSとして算出する(S7 00)。評価値算出部 120は、その算出したパテントスコア PSを情報処理装置 1のメモ リゃ記憶装置 2に格納する (パテントスコア PSは、特許データ ID (特許公報番号等) に対応付けて格納される)。
[0152] このように、本変形例 8では、技術分野毎、且つ分析対象母集団を時期ごとのグノレ ープに分類し、この分類されたグループごとに求めた値を分母として用いてパテント スコアを算出している。そのため、本変形例 8によれば、様々な技術分野の異なる時 期の特許出願又は特許権を含む分析対象母集団内において、適切な相対評価が 可能となる。