明 細 書
シリカアルミナ複合ゾル及びその製造方法
技術分野
[0001] 本発明は、微小コロイダルアルミナ水和物粒子で被覆されたコロイダルシリカ粒子と コロイダルアルミナ水和物粒子とが結合した複合コロイド粒子を含有するシリカアルミ ナ複合ゾルとその製造方法に関わる。
本発明のシリカアルミナ複合ゾルは、シリカゾルとアルミナゾルの両方の特徴を有し ており、固体表面上で乾燥されると優れた透明性、成膜性及び耐水性を示す。また、 本発明のシリカアルミナ複合ゾルに含まれる複合コロイド粒子は正に荷電しているた め、カチオン系界面活性剤、カチオン性コロイド、カチオン系ェマルジヨン又はカチォ ン性粉末スラリー等との相溶性、混和性及び分散性に優れており、これらのカチオン 系材料と併用することが可能である。
本発明のシリカアルミナ複合ゾルは高!/、透明性と優れた成膜性、耐水性を有するこ とから、電磁鋼鈑用表面処理剤、自動車、家電、建材用に使用される亜鉛やアルミ二 ゥム等のめっき鋼飯の防食処理剤の添加剤、耐火物の含浸剤やバインダー、耐火コ 一ティング剤用のバインダー、インクジェット記録媒体用のマイクロフイラ一、各種触 媒のバインダーや補強剤、セラミックスフアイバー成形用のバインダー、農業用フィル ム用の防曇剤等の種々の分野に用いられる。
背景技術
[0002] 一般にシリカゾルは、スピンコート法やディップ法を用いてガラス板ゃ鋼鈑上に単独 で塗布し乾燥した場合、微小なひび割れが生じるため緻密で平滑な被膜を得ること は困難であり、成膜性に乏しい。また、アルミナゾルはガラス板ゃ鋼鈑上で緻密な被 膜を得ることは可能であるが、アルミナゾルを乾燥して被膜や粉体にした場合、水に 接触させると再びアルミナゾルに戻って被膜が壊れるため、耐水性に乏しいことが知 られている。
このため、シリカゾルとアルミナゾルのそれぞれの欠点を補うために、シリカゾルとアル ミナゾルとを混合して使用したり、塩基性アルミニウム塩でシリカゾルを被覆して正に
帯電したシリカゾルを調製して使用することが行われてきたが、成膜性と耐水性を同 時に満足するものは得られて!/、なレ、。
塩基性アルミニウム塩で被覆された正に帯電したシリカゾルの製造法としては、酸性 水性シリカゾルに塩基性アルミニウム水溶液を添加する方法が開示されている(特許 文献 1、 2参照)。この方法で得られる塩基性アルミニウム塩で被覆された正に荷電し たシリカゾルは、塩基性アルミニウム塩で被覆されて!/、な!/、従来のシリカゾルと同様 に固体表面上で乾燥して被膜にした場合の成膜性に乏しい。
このようにシリカゾル、正に荷電したシリカゾル、アルミナゾル又はこれらを混合した ゾルにおいて、固体表面上で乾燥して得た被膜が優れた成膜性と耐水性を有し、且 っ高レ、透明性を有するものは知られて!/、なレ、。
特許文献 1:米国特許第 3007878号明細書
特許文献 2:特公昭 47— 26959号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0003] 本発明は優れた成膜性と耐水性とを有する、微小コロイダルアルミナ水和物粒子で 被覆されたコロイダルシリカ粒子と該コロイダルシリカ粒子の一次粒子径の 10倍以上 の長径を有するコロイダルアルミナ水和物粒子とが結合した複合コロイド粒子を含有 するシリカアルミナ複合ゾルとその製造方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0004] 本発明は、第一観点として微小コロイダルアルミナ水和物粒子で被覆されたコロイ ダルシリカ粒子と該コロイダルシリカ粒子の一次粒子径の 10倍以上の長径及び 2な いし 10nmの短径を有するコロイダルアルミナ水和物粒子とが結合した複合コロイド 粒子を含有するシリカアルミナ複合ゾルであること。
第二観点として該コロイダルシリカ粒子の一次粒子径の 10倍以上の長径と該コロイ ダルシリカの一次粒子径以下の短径を有したコロイダルアルミナ水和物粒子とが結 合した複合コロイド粒子を含有するシリカアルミナ複合ゾルであって、シリカ(SiO )固 形分とアルミナ(Al O )換算の固形分の質量比が SiO: Al Oとして 70 : 30ないし 20
: 80であること。
第三観点として微小コロイダルアルミナ水和物粒子で被覆されたコロイダルシリカの 一次粒子径が 2ないし 13nmであり且つコロイダルアルミナ水和物粒子の長径が 50 ないし 500nmである第一観点又は第二観点に記載のシリカアルミナ複合ゾルである こと。
第四観点として下記の (A)工程及び (B)工程を含む第一観点、第二観点及び第 三観点に記載のシリカアルミナ複合ゾルの製造方法、
(A):シリカ(SiO )固形分 0· 5ないし 50質量%とコロイダルシリカ粒子の一次粒子 径 2ないし 13nmを有する酸性水性シリカゾルとアルミナ(Al O )換算固形分 0. 5な いし 50質量%の塩基性アルミニウム塩水溶液とをシリカ固形分とアルミナ (Al O )換 算固形分の質量比が SiO: Al Oとして 70 : 30ないし 20 : 80の割合で混合して塩基 性アルミニウム塩で被覆されたコロイダルシリカ粒子を含むシリカゾルを得る工程、
(B): (A)工程で得られた塩基性アルミニウム塩で被覆されたシリカゾルを 103°Cな いし 250°Cで水熱処理を行って微小コロイダルアルミナ水和物粒子で被覆されたコ ロイダルシリカ粒子と該コロイダルシリカ粒子の一次粒子径の 10倍以上の長径及び 2 ないし 10nmの短径を有するコロイダルアルミナ水和物粒子とが結合した複合コロイ ド粒子を含有するシリカアルミナ複合ゾルを得る工程であること。
第五観点として水熱処理を 103ないし 130°Cで行う第四観点に記載のシリカアルミ ナ複合ゾルの製造方法。
第六観点として塩基性アルミニウム塩が塩基性塩化アルミニウム、塩基性硝酸アル ミニゥム、塩基性乳酸アルミニウム、塩基性ギ酸アルミニウム及び塩基性酢酸アルミ二 ゥムからなる群から選ばれる化合物の少なくとも 1種である第四観点に記載のシリカァ ノレミナ複合ゾルの製造方法であること。
発明の効果
本発明のシリカアルミナ複合ゾルは、固体表面上に乾燥して被膜にした場合、高い 透明性と優れた成膜性及び耐水性を示すことを特徴とする。該シリカアルミナ複合ゾ ルは上記特徴を有することから種々の用途に利用でき、例えば、電磁鋼鈑用の表面 処理剤、鋼飯の防食剤、セラミック繊維及びカチオン性繊維等の表面処理剤、製紙 材料、塗料バインダー等の分野に利用することが出来る。
また本発明のシリカアルミナ複合ゾルは正に荷電しているため、カチオン系界面活 性剤、カチオン性コロイド、カチオン系ェマルジヨン、カチオン性粉末スラリー等との 相溶性、混和性及び分散性に優れ、これらのカチオン系材料と併用することが可能 である。
発明を実施するための最良の形態
本発明のシリカアルミナ複合ゾルは、微小コロイダルアルミナ水和物粒子で被覆さ れたコロイダルシリカ粒子と該コロイダルシリカ粒子の一次粒子径の 10倍以上の長径 を有するコロイダルアルミナ水和物粒子とが結合した複合コロイド粒子を含有するゾ ルである。
本発明に用いられるシリカゾルに含まれるコロイダルシリカ粒子の一次粒子径は 2な いし 13nmであり、好ましくは 4ないし 10nmである。本発明においてコロイダルシリカ の一次粒子径はシアーズ滴定法を用いて求められたものである。シアーズ滴定法に よって求められる粒子径は、アナリティカル.ケミストリー(Analytical Chemistry) 第 28巻(1956年)第 1981頁に説明されており、滴定法により測定された比表面積 力、ら計算される球形換算粒子径である。コロイダルシリカの一次粒子径が 2nmより小 さい場合、原料であるシリカゾルと塩基性アルミニウム塩とを混合した際、シリカゾノレ がゲル化しやすいため好ましくない。一方、該一次粒子径が 13nmより大きい場合、 得られたシリカアルミナ複合ゾルを固体表面上で被膜にした場合に透明な被膜が得 られないため好ましくない。
本発明で原料となる水性シリカゾルは、水ガラスやアルコキシシラン等を原料として 公知の方法により製造することができるものである。
本発明にお!/、てコロイダルアルミナ水和物粒子はべ一マイト、擬ベーマイト又はァ モルファスのアルミナ水和物である。該コロイダルアルミナ水和物粒子は、透過型電 子顕微鏡観察においてその形状はフイブリル状であり、 50ないし 500nmの長径と 2 ないし 10nmの短径を有している。また、本発明において微小コロイダルアルミナ水 和物粒子はべ一マイト、擬ベーマイト又はアモルファスのアルミナ水和物である。該 微小コロイダルアルミナ水和物粒子は透過型電子顕微鏡観察においてその形状は 粒状であり、粒子径は 2nm未満である。
[0007] 本発明にお!/、て微小コロイダルアルミナ水和物粒子で被覆されたコロイダルシリカ 粒子とコロイダルアルミナ水和物粒子との結合とは、化学結合又は化学吸着のことで ある。従来から知られて!/、る塩基性アルミニウム塩で被覆されたコロイダルシリカ粒子 を含むシリカゾルとコロイダルアルミナ水和物粒子を含むアルミナゾルとを単に混合し たゾルは、該コロイダルシリカ粒子と該コロイダルアルミナ水和物粒子とが静電反発 力によって互いに反発し合うか、又は物理吸着が生じるだけなので、本発明のシリカ アルミナ複合ゾルとは異なるものである。
[0008] 本発明のシリカアルミナ複合ゾルは、シリカ(SiO )固形分とアルミナ (Al O )換算 固形分の質量比が SiO: Al Oとして 70 : 30ないし 20 : 80の範囲であることが好まし い。シリカ(SiO )固形分はシリカアルミナ複合ゾルに含まれるコロイダルシリカ成分に 由来し、アルミナ (Al O )換算固形分はシリカアルミナ複合ゾルに含まれるコロイダノレ アルミナ水和物粒子及び微小コロイダルアルミナ水和物粒子に由来する。該質量比 においてアルミナ成分が 70 : 30より少ない場合、コロイダルアルミナ水和物粒子の生 成量が不十分となり、本発明のシリカアルミナ複合ゾルを得ることができない。一方、 アルミナ成分が 20: 80より多い場合、水熱処理工程でシリカアルミナ複合ゾルが不 安定となり、ゲル化し易くなるため好ましくない。該シリカアルミナ複合ゾルのシリカ固 形分とアルミナ換算固形分の合計は 1ないし 30質量%の範囲であることが好ましい。 それら固形分の合計が 1質量%より小さいと被膜用組成物とした場合にその固形分 濃度が低くなりすぎて、乾燥に長時間を要したり、多大なエネルギーが必要となるた め好ましくなレ、。また 30質量%より大き!/、と得られるシリカアルミナ複合ゾルの粘度が 高くなりすぎて、取り极レ、が困難となるため好ましくなレ、。
本発明のシリカアルミナ複合ゾルの pHは 2ないし 7の範囲であることが好ましい。 p Hが 2より小さくても 7より大きくても得られたゾルの粘度が上昇して不安定となるため 好ましくない。
本発明のシリ力アルミナ複合ゾルの分散媒としては水及び/又は有機溶媒を用レ、 ること力 Sできる。有機溶媒としてはメタノール、エタノール、プロパノール、エチレンダリ コール等が挙げられる。
[0009] 本発明のシリカアルミナ複合ゾルの製造方法は、(A):酸性水性シリカゾルと塩基性
アルミニウム塩水溶液とを混合し、(B):水熱処理を行うものである。 (A)工程で用い られる酸性水性シリカゾルは、前記水性シリ力ゾルを陽イオン交換等の公知の方法に より酸性にしたものを用いることができる。このとき酸性水性シリカゾル中のシリカ固形 分は 1ないし 50質量%が好ましぐ 5ないし 30質量%がさらに好ましい。酸性水性シ リカゾル中のシリカ固形分が 1質量%未満の場合、シリカアルミナ複合ゾルの生産効 率が低ぐまた 50質量%を越えると、塩基性アルミニウム塩水溶液と混合する場合に 凝集又はゲル化を起こすことがあるため好ましくない。
[0010] 塩基性アルミニウム塩としては、公知の製造方法により容易に得られるもの又は巿販 の工業薬品として入手できるものを用いることができる。例えば市販の工業薬品とし ては塩基性塩化アルミニウム(タキバイン (登録商標):多木化学 (株)製)があり、公知 の製造方法としては特公昭 45— 38121号公報、特開昭 50— 154197号公報 (塩基 性硝酸アルミニウム)、特開平 9— 2999号公報 (塩基性乳酸アルミニウム)、特許 364 4051号公報 (塩基性酢酸アルミニウム)等が挙げられる。このとき、塩基性アルミユウ ム塩の Al Oに換算した固形分は 1ないし 50質量%、さらには 2ないし 30質量%の 範囲にあることが好ましい。塩基性アルミニウム塩の Al Oに換算した固形分が 1質量
%未満の場合、塩基性アルミニウム塩がコロイダルシリカ粒子を十分に被覆しな!/、た め好ましくない。また 50質量%を超えると、シリカゾルとの混合が均一にできず、得ら れる塩基性アルミニウム塩で被覆されたコロイダルシリカ粒子を含むシリカゾルが不 安定性となるため好ましくなレ、。
[0011] 本発明のシリ力アルミナ複合ゾルの製造方法では、酸性水性シリ力ゾルと塩基性ァ ノレミニゥム塩水溶液とを混合する際、混合する順序はどちらが先でもよぐ塩基性ァ ノレミニゥム塩水溶液に酸性水性シリカゾルを添加する方法、酸性水性シリカゾルに塩 基性アルミニウム塩水溶液を添加する方法のどちらでも所望の塩基性アルミニウム塩 で被覆されたコロイダルシリカ粒子を含むシリカゾルを得ることができる。
酸性水性シリカゾルと塩基性アルミニウム塩水溶液との混合割合は、酸性水性シリ カゾル中のシリカ(SiO )固形分及び塩基性アルミニウム塩のアルミナ(Al O )換算 の固形分の質量比が SiO: Al Oとして 70 : 30ないし 20 : 80の範囲で混合すること が好ましい。該質量比においてアルミナの質量が 60 : 40より少ない場合、得られた塩
基性アルミニウム塩で被覆されたコロイダルシリカ粒子を含むシリカゾルに水熱処理 を行っても、ゾル中に存在する塩基性アルミニウム塩が少ないため、コロイダルアルミ ナ水和物粒子の生成量が不十分となり、本発明のシリカアルミナ複合ゾルを得ること ができない。また該質量比においてアルミナの質量が 20 : 80より多い場合、ゾル中の 塩濃度が高くなりすぎてゲル化し易くなるため好ましくない。
また、酸性水性シリカゾルと塩基性アルミニウム塩水溶液とを混合して塩基性アルミ ニゥム塩で被覆されたコロイダルシリカ粒子を含むシリカゾルを得る工程において、 必要に応じて酸を添加しても良い。酸を添加することにより、水熱処理によって生成 するコロイダルアルミナ水和物粒子の長径の成長速度が低くなるため、長径の制御 が容易になる。酸の添加は、酸性水性シリカカレに酸を添加しても塩基性アルミユウ ム塩に酸を添加しても良ぐまたその両者に添加しても良い。あるいは塩基性アルミ ニゥム塩で被覆されたコロイダルシリカ粒子を含むシリカゾルに酸を添加しても良い。 酸を添加する際はデイスパー等を用いて攪拌下に行うことが好ましい。酸の添加量は 、塩基性アルミニウム塩のアルミナ (Al O )換算の固形分に対して 20ないし 200質量
%の範囲が望ましい。酸の添加量が 20質量%より少ないと添加の効果が小さぐ 20 0質量%より多いとゾル中の陰イオン度が高くなりすぎてゲル化し易くなるため好まし くない。
添加する酸は、塩酸、硝酸、乳酸、ギ酸、及び酢酸の群から選ばれる少なくとも 1種 以上を使用することができる。また、添加する酸を選択する場合、使用する塩基性ァ ルミニゥム塩の酸根と同じ酸とすることが好ましい。例えば塩基性アルミニウム塩とし て塩基性酢酸アルミニウムを使用する場合には、添加する酸として酢酸を用いること が好ましい。
酸性水性シリカゾルと塩基性アルミニウム塩水溶液とを混合する際のシリカゾル及 び塩基性アルミニウム塩水溶液の温度は 5ないし 90°C、好ましくは 20ないし 50°Cの 範囲である。 5°C未満の場合、コロイダルシリカ粒子への塩基性アルミニウム塩の結 合が不十分となり、所望の安定性、性能を有したシリカアルミナ複合ゾルを得られな い。 90°Cを超えると、酸性水性シリカゾルと塩基性アルミニウム塩水溶液とを混合し た際に塩基性アルミニウム塩が単独で加水分解して、塩基性アルミニウム塩がコロイ
ダルシリカ粒子を均一に被覆できないことがある。
[0012] (A)工程で得られた塩基性アルミニウム塩で被覆されたコロイダルシリカ粒子を含 むシリカゾルを(B)工程でオートクレーブを用いて水熱処理を行うことにより本発明の シリカアルミナ複合ゾルを得ることができる。水熱処理を行う温度は 103ないし 250°C が好ましぐ 103ないし 130°Cがさらに好ましい。 103°C未満では塩基性アルミニウム 塩で被覆されたコロイダルシリカ粒子を含むシリカゾル中の塩基性アルミニウム塩の 加水分解が十分に進まないためコロイダルアルミナ水和物粒子が生成せず、シリカ アルミナ複合ゾルを得ることができない。 250°Cを超えると、塩基性アルミニウム塩の 加水分解が進行しすぎて、シリカアルミナ複合カレの凝集あるレ、はゲル化が起きるた め好ましくない。
水熱処理は通常 1ないし 30時間の間で行われる。 1時間未満の場合、塩基性アル ミニゥム塩の加水分解が不十分でコロイダルアルミナ水和物粒子の生成が不十分と なり、所望のシリカアルミナ複合ゾルを得ることが難しい。また 30時間を越える水熱処 理は経済的でない。
[0013] (A)工程で得られた塩基性アルミニウム塩で被覆されたコロイダルシリカ粒子を含 むシリカゾルにおいて、塩基性アルミニウム塩はコロイダルシリカ粒子を被覆するほか 、一部はコロイダルシリカを被覆せずに分散媒中に溶解して存在している。 (A)工程 で得られた前記シリカゾルを水熱処理することにより、コロイダルシリカ粒子を被覆し た塩基性アルミニウム塩が加水分解して微小コロイダルアルミナ水和物粒子となり、 一方前記分散媒に溶解して存在している塩基性アルミニウム塩は加水分解してコロ ィダルアルミナ水和物粒子となる。コロイダルシリカ粒子を被覆した塩基性アルミユウ ム塩の加水分解と分散媒に溶解して存在している塩基性アルミニウム塩の加水分解 は同時に起き、且つこれら塩基性アルミニウム塩の一部は該シリカゾル中で互いに接 触した状態で加水分解が進行するため、コロイダルシリカ粒子表面に生成する微小 コロイダルアルミナ水和物粒子と分散媒中で生成するコロイダルアルミナ水和物粒子 の一部とは化学結合を生じる。このようにして本発明のシリカアルミナ複合ゾルが得ら れるのである。
[0014] 得られたシリカアルミナ複合ゾルには塩基性アルミニウム塩を添加することが可能で
ある。塩基性アルミニウム塩を添加することにより、該ゾルの経時安定性を低下させる ことなく、ゾルの粘度を低下させることが可能である。
得られたシリカアルミナ複合ゾルは、必要に応じて高濃度に濃縮することができる。 該ゾルを高濃度にすることにより、作製されるコーティング液等の組成や濃度に対す る制限が緩和される。該ゾルの濃縮方法としては限外濾過法、エバポレーターによる 加熱濃縮法等が挙げられる。さらに必要に応じて限外濾過装置、エバポレーター等 を用いて有機溶媒に溶媒置換し、オルガノゾルとすることもできる。
得られたシリカアルミナ複合ゾルの物性値は、 pH2ないし 7、電導度 500ないし 500 ΟΟ S/cm、固形分濃度がシリカ(SiO )固形分とアルミナ (Al O )換算の固形分と を合計した総固形分として 1ないし 30質量%、シリカ(SiO )固形分とアルミナ (Al O )換算固形分の質量比が SiO : Al Oとして 70 : 30ないし 20 : 80の範囲である。 本発明のシリカアルミナ複合ゾルは正の電荷を帯びていることから、カチオン系界面 活性剤、カチオン性コロイド、カチオン系ェマルジヨン、カチオン性粉末スラリー等と の相溶性、混和性及び分散性に優れており、これらのカチオン系材料と併用すること が可能である。
本発明のシリカアルミナ複合ゾルは、シリカゾルとアルミナゾルの両方の特徴を有し ている。本発明のシリカアルミナ複合ゾルを乾燥して得られた被膜は、固体表面上で 乾燥されると高い透明性と優れた成膜性、耐水性を示す。また本発明のシリカアルミ ナ複合ゾルは経時安定性にも優れている。これらの特徴を有することから、種々の用 途に有用に利用することができ、使用目的に応じて種々の成分を添加して使用、ま たは併用することが可能である。
添加又は併用される成分としては、アルミナゾル、シリカゾル、その他の金属酸化物 ゾル、アルカリ金属ケィ酸塩水溶液、アルキルシリケートの部分加水分解液、ポリビニ ルアルコール、ヒドロキシェチルセルロース、ゼラチン等の水溶性高分子、メラミン樹 脂、尿素樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポレオレフイン樹脂、スチレン樹脂、酢 酸ビュル樹脂、エポキシ樹脂、フエノール樹脂、ウレタン樹脂等の有機樹脂、アクリル 系等の樹脂ェマルジヨン、ベントナイトやアルギン酸ソーダ等の増粘剤、エチレンダリ コール、メチルアルコール、 N, N—ジメチルホルムアミド(DMF)等の有機溶媒、カツ
プリング剤の部分加水分解液、界面活性剤、各種酸、各種アルカリ、耐火物粉末、金 属粉末、顔料、塗料等が挙げられる。
以下、具体的に使用例を示す。
(1)本発明のシリカアルミナ複合ゾルは、電磁鋼鈑用表面処理剤として有効に利用 できる。本発明のシリカアルミナ複合ゾルは、アルミナゾルの特性を有しており、得ら れた被膜はヤング率が大きぐ熱膨張率が小さいことから、優れた張力を有している。 またシリカゾルの特徴も有しており、電磁鋼飯の表面処理剤に利用すると、耐食性に 優れた低鉄損電磁鋼鈑を得ることが可能である。
本発明のシリカアルミナ複合ゾルは、電磁鋼鈑用表面処理剤として、メラミン樹脂、 尿素樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポレオレフイン樹脂、スチレン樹脂、酢酸 ビュル樹脂、エポキシ樹脂、フエノール樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂成分、シリカゾル 、アルミナゾル、ジルコユアゾル、酸化スズゾル、酸化アンチモンゾル、酸化タングス テンゾル、酸化鉄ゾル等の無機酸化物、重クロム酸マグネシウム、重クロム酸アルミ二 ゥム、重クロム酸カルシウム、第一リン酸マグネシウム、第一リン酸アルミニウム、第一 リン酸カルシウム、第一リン酸亜鉛等の無機成分、エチレングリコール、グリセリン等 の有機還元剤、リン酸やホウ酸等の酸、ガラス転移点調整剤としてナトリウム、カリウム 、リチウム等のアルカリ金属等と併用して利用することが可能である。
例えば、無方向性電磁鋼飯の表面処理方法としては、メラミン樹脂、尿素樹脂、ァ クリル樹脂、アルキッド樹脂、ポレオレフイン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビュル樹脂、ェ ポキシ樹脂、フエノール樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも 1種以 上の樹脂 100質量部に対して、本発明のシリカアルミナ複合ゾルの酸化物換算の固 形分 3ないし 300質量部及び/又はセレン、テルル、ヒ素、アンチモン、ビスマス、ス ズ、マンガン、タングステンからなる群から選ばれる 1種以上の金属成分を酸化物換 算で樹脂 100質量部に対して 0. 1ないし 100質量部を混合し、更に必要に応じて、 ガラス転移点調整剤であるナトリウム、カリウム、リチウムからなる群から選ばれる 1種 以上のアルカリ金属を酸化物換算でシリカアルミナ複合カレの酸化物換算の固形分 100質量部に対して 0. 1ないし 5質量部添加して、表面処理液を作製し、電磁鋼鈑 上にロールコーター法、フローコーター、スプレー塗装、ナイフコーター等を用いて
塗工する。塗工後、熱風式、赤外式又は誘導加熱式等の方法を用いて 50ないし 30 0°Cの温度で焼付けを行うことにより、窒化防止性、密着性、耐食性、耐溶剤性及び 耐ステイツキング性等に優れた絶縁被膜を有する無方向性電磁鋼鈑を得ることが可 能である。
又はメラミン樹脂、尿素樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポレオレフイン樹脂、 スチレン樹脂、酢酸ビュル樹脂、エポキシ樹脂、フエノール樹脂、ウレタン樹脂からな る群から選ばれる 1種以上の樹脂に樹脂 100質量部に対して、本発明のシリカアルミ ナ複合ゾルの酸化物換算の固形分 3ないし 300質量部を添加混合する。次いで重ク ロム酸マグネシウム、重クロム酸アルミニウム、重クロム酸カルシウム等のクロム酸塩及 び第一リン酸マグネシウム、第一リン酸アルミニウム、第一リン酸カルシウム、第一リン 酸亜鉛等のリン酸塩からなる群から選ばれる 1種以上を樹脂 100質量部に対して 50 ないし 2000質量部添加して混合する。さらにクロム酸塩を添加した場合にはクロム 酸塩に含まれる Cr6+の Cr3+への還元反応を促進するためにエチレングリコール、ダリ セリン等の有機還元剤を添加混合して表面処理液を作製する。この表面処理液を電 磁鋼鈑上にロールコーター法、フローコーター、スプレー塗装、ナイフコーター等を 用いて塗工する。塗工後、熱風式、赤外式、誘導加熱式等の方法を用いて 800ない し 1000°Cの温度にて焼付けを行うことで、窒化防止性、密着性、耐食性、耐溶剤性 、耐ステイツキング性等に優れた絶縁被膜を有する無方向性電磁鋼鈑を得ることが可 能である。
方向性電磁鋼飯の表面処理方法としては、電磁鋼鈑上に本発明のシリカアルミナ 複合ゾルの酸化物換算の固形分 100質量部に対して、リン酸アルミニウム、リン酸力 ノレシゥム、リン酸マグネシウム等のリン酸塩を酸化物換算で 50ないし 300質量部、必 要に応じてクロム酸塩を CrO換算で 10ないし 50質量部を添加して得られる処理液 をロールコーター法、フローコーター、スプレー塗装、ナイフコーター等を用いて塗工 する。塗工後、 800ないし 1000°Cの温度にて焼付けを行うことで、高張力で磁気特 性、耐食性に優れた絶縁被膜を有する方向性電磁鋼鈑を得ることが可能である。 (2)本発明のシリカアルミナ複合ゾルは、自動車、家電、建材用等に使用される亜鉛 、アルミニウム等のめっき鋼飯の防食処理剤の添加剤として有効に利用できる。本発
明のシリカアルミナ複合ゾルは防食剤として、シリカゾル、アルミナゾル、ジルコニァゾ ル、酸化スズゾル、酸化アンチモンゾル、酸化タングステンゾル、酸化鉄ゾル等の無 機酸化物ゾル、多価金属リン酸塩、ホウ酸塩、クロム酸塩等の無機成分、必要に応じ て各種の樹脂成分、親水性有機溶媒、インヒビター成分等と併用して利用することが 可能である。
例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポレオレフイン樹 脂、スチレン樹脂、酢酸ビュル樹脂、エポキシ樹脂、フエノール樹脂及びウレタン樹 脂からなる群から選ばれる 1種以上の樹脂又は樹脂ェマルジヨン 100質量部に対し て本発明のシリカアルミナ複合ゾルをその酸化物換算の固形分 1ないし 100質量部 を添加する。
次いで無機成分として Cr6+系化合物(クロム酸クロム等)、 Cr3+ (硫酸クロム、硝酸ク ロム、酢酸クロム、フッ化クロム等)アルミニウム系化合物(硝酸アルミニウム、硫酸ァ ルミユウム等)、チタン系化合物(硝酸チタン、硫酸チタン等)、ジルコニウム系化合物 (硝酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニゥム、ジルコンフッ化水素酸、ジルコ二 ゥム n—プロポキシド等)、カルシウム系化合物(例えば、ケィ酸カルシウム、炭酸カル シゥム等)、マンガン系化合物(例えば、硝酸マンガン等)、マグネシウム系化合物(例 えば、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム等)、ニッケル系化合物(例えば、酢酸二 ッケル、硝酸ニッケル等)、コバルト系化合物(例えば、酢酸コバルト、硝酸コバルト等 )、鉄系化合物(例えば、硝酸鉄等)、チタン、モリブデン、バナジウム、タングステン 等の酸素酸塩 (例えば、チタン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、モリブデン酸、モリブ デン酸亜鉛、メタバナジン酸リチウム、メタバナジン酸ナトリウム、タングステン酸、タン ダステン酸リチウム、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸アンモニゥム等)、及び リン酸塩 (例えば、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシ ゥム、リン酸クロム等)からなる群から選ばれる 1種以上を前記樹脂 100質量部に対し て 1ないし 100質量部添加する。
又、必要に応じてシランカップリング剤として例えば、 γ—(2—アミノエチル)ァミノ ン、 γ—(2—アミノエチル)ァミノプロピルトリエトキシシラン、 γ— (2—アミノエチル)
アンモュ
アンモュ
モニ
ンモニ
シラン等、ビュルメトキシシラン、ビ- ルトリエトキシシラン、 3—アミ
リメトキシシラン、 3
リメトキシシラン、 N- (1 , 3—ジメチルブチリデン) 口パンァミン、 N, N'—ビス〔3
β アミノエチル) γ—ァミノプロピルメチルジメトキシシラン、 Ν— ( /3—アミノエチ ァミノプロピルトリエトキシシラン、 γ—グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、 γ—ダリ シドキシプロピ/レトリエトキシシラン、 Ίーグリシドキシプロピ/レメチ /レジメトキシシラン、 2—(3, 4 エポキシシクロへキシノレ)ェチノレトリメトキシシラン、 γ—メタクリロキシプロ 口ピルトリメトキシシラン、 γ—メルカプトプロピルトリエトキシシラン及び Ν—〔2— (ビニ ルベンジルァミノ)ェチル〕 3—ァミノプロピルトリメトキシシランからなる群から選ば れる 1種以上を前記樹脂 100質量部に対して 1ないし 300質量部添加する。
更に必要に応じてインヒビター成分として、チォカルボニル基含有化合物としてチ ォ尿素、ジメチルチオ尿素、 1 , 3—ジメチルチオ尿素、ジプロピルチオ尿素、ジブチ ルチオ尿素、 1 , 3 ジフエ二ルー 2 チォ尿素、 2, 2 ジトリルチオ尿素、チオアセト アミド、 Ν, Ν ジメチルジチォカルバメートナトリウム塩、テトラメチルチウラムモノサ ルファイド、テトラブチルチウラムジサルファイド、 Ν ェチルー Ν フエニルジチォカ 酸ピペリジン塩、ジェチルジチォカルバミン酸亜鉛、ジェチルジチォカルバミン酸ナト リウム、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛、エチレンチォ尿素、ジメチルキサントゲンジ スルファイド、ジチォォキサミド、ポリジチォ力ルバミン酸又はその塩、ヒドラジン誘導 体としてカルボヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド、アジピン酸ジ ヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカンジォヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、 チォカルボヒドラジド、 4, 4' ォキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、ベンゾフエノ ンヒドラゾン、マレイン酸ヒドラジド等のヒドラジド化合物、ピラゾール、 3, 5—ジメチル ピラゾール、 3—メチル 5—ピラゾロン、 3—ァミノ一 5—メチルビラゾール等のピラゾ 一ノレィ匕合物、 1 , 2, 4 トリァゾーノレ、 3 アミノー 1 , 2, 4 トリァゾーノレ、 4 アミノー 1 , 2, 4 トリァゾーノレ、 3 メノレカプト 1 , 2, 4 トリァゾーノレ、 5 アミノー 3 メノレ カプト 1 , 2, 4 トリァゾーノレ、 2, 3 ジヒドロー 3 ォキソ 1 , 2, 4 トリアゾール 、 1H—ベンゾトリァゾール、 1—ヒドロキシベンゾトリアゾール(1水和物)、 6—メチル
、 5—ヒドロキシ一 7 メチル 1 , 3, 8—トリアザインドリジン等のトリァゾール化合物、 5 フエニノレー 1 , 2, 3, 4 テトラゾーノレ、 5 メノレカプト 1 フエニノレー 1 , 2, 3, 4 ーテトラゾール等のテトラゾール化合物、 5 アミノー 2 メルカプト 1 , 3, 4 チア ジァゾール、 2, 5 ジメルカプト 1 , 3, 4 チアジアゾール等のチアジアゾーノレ化 合物及び 3, 6—ジクロ口ピリダジン、 6—メチルー 3—ピリダゾン、 4, 5—ジクロロー 3 ピリダゾン、4, 5—ジブ口モー 3—ピリダゾン、 6—メチルー 4, 5—ジヒドロー 3—ピリ ダゾン等のピリダジン化合物からなる群から選ばれる 1種以上を前記樹脂 100質量部 に対して 0. 01ないし 100質量部添加して表面処理液を調製する。必要に応じて pH 調整剤としてリン酸、硫酸、硝酸等の無機酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸等の有機 酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモユウム等のアルカリ化合物等を 表面処理剤に添加することが可能である。得られた表面処理液は、亜鉛、アルミ等の メツキ鋼鈑上にロールコーター、スクイズコーター、ダイコーター等を用いて塗工され る。塗工後、ドライヤー、熱風炉、高周波誘導加熱炉、赤外線炉等を用いて 30ないし 300°Cの温度で乾燥することで防食性に優れた表面処理被膜を得ることが可能であ る。また上記のようにして形成された表面処理被膜の上層に有機樹脂被膜を形成さ せることも可能である。
[0018] (3)本発明のシリカアルミナ複合ゾルは、耐火物の含浸剤やバインダー、耐火コーテ イング剤用のバインダー等に有効に利用することができ、セラミックス、ガラス、金属、 プラスチックス、木材、紙等の基材に適用することができる。本発明のシリカアルミナ 複合ゾルと、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、ジルコユア、珪酸アルミニウム、珪酸ジ ルコユウム、粘土等の耐火耐熱性粉末と、必要に応じて水、無機繊維、増粘剤、沈降 防止剤等を混合して得たスラリーを、所定の形状の型枠に流し込み、乾燥硬化した 後に脱型することにより目的とする耐火物を得ること力 Sできる。また、同様に製造した スラリーは、耐火コーティング剤として所望の基材上に塗布して利用することもできる
〇
[0019] (4)本発明のシリカアルミナ複合ゾルは、インクジェット記録媒体用のマイクロフイラ一 として有効に利用できる。本発明のシリカアルミナ複合ゾルと、ポリビュルアルコール 、樹脂ェマルジヨン等の水性樹脂とを混合して、紙、プラスチックフィルム、シート上に
塗工し、インク受容層を形成させることにより、インクの吸収性、印刷の鮮明性、色彩 、光沢、表面の硬さ等が良好であるインクジェット記録媒体を得ることが可能である。
[0020] (5)本発明のシリカアルミナ複合ゾルは、アルミナファイバー用の原料として有効に利 用できる。本発明のシリカアルミナ複合ゾルと、水溶性高分子化合物及び必要に応じ て塩基性アルミニウム塩水溶液やシリカゾルとを混合して作成した紡糸液を用いて紡 糸することにより、アルミナファイバーを製造することができる。
[0021] (6)本発明のシリカアルミナ複合ゾルは、各種触媒のバインダーや補強剤として有効 に利用できる。本発明のシリカアルミナ複合ゾルと、アルミナ、シリカ、アルミナ—シリ 力系酸化物、ゼォライト等の担体成分及び水とを混合してスラリーとし、このスラリーを 造粒することにより、粉末状や粒状の触媒担体を得ることが可能である。またこのスラ リーをハニカム構造体のような触媒用途に適した基材上に塗布又は浸漬して乾燥し
、若しくは繊維質の基材に含浸させて乾燥することにより、種々の形態の触媒担体を 得ること力 S可能である。また、本発明のシリカアルミナ複合ゾルは、チタン、モリブデン 、バナジウム、タングステン等の触媒活性を有する化合物を含有する触媒粉末、アル ミナ、シリカ、アルミナ シリカ系酸化物、ゼォライト等の担体成分、ハニカム構造体 のような触媒用途に適した基材又は各種バインダーを使用して製造した触媒に含浸 させることにより、触媒の補強剤として有効に利用できる。
[0022] (7)本発明のシリカアルミナ複合ゾルは、セラミックスフアイバー成形用のバインダー として有効に利用できる。本発明のシリカアルミナ複合ゾルと、アルミナ、シリカ、アル ミナ シリカ、ジルコユア等のセラミックファイバーとを混合し、必要に応じて水を加え て得たスラリーに、更に必要に応じて澱粉等の凝集剤を添加して、セラミックファイバ 一を凝集させた後、真空吸引等の方法で脱水して所定の形状に成形することにより、 セラミックファイバーの成形品を得ることが可能である。これらの成形品は耐熱性断熱 材等に使用することが出来る。
[0023] (8)本発明のシリカアルミナ複合ゾルは、フィルムの防曇剤として有効に利用できる。
本発明のシリカアルミナ複合ゾルと、水、アルコール類等の親水性媒体、必要に応じ てシリカゾル、アルミナゾル等の無機コロイド、ポリエチレンオキサイド、メチルセル口 ース等の水溶性樹脂、力プリル酸ナトリウム、デカン酸ナトリウム、カブロン酸ナトリウム
、ドデシルベンゼン酸ナトリウム等のァニオン性界面活性剤等とを混合して処理液を 調製し、アクリル系樹脂、ポリオレフイン系樹脂、ポリ塩化ビュル、塩化ビュルーメチ ルメタタリレート共重合体、ポリ塩化ビニリデン等の塩素系樹脂、ポリエチレンテレフタ レート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂又は酸ビュル系樹脂等の 熱可塑性樹脂の表面に塗布し、乾燥することにより防曇性、耐久性に優れたフィルム を得ることが可能であり、農業用フィルムとして有用である。
以下、実施例により本発明を具体的に詳述する。
実施例
実施例 1
(A)工程: 3Lのポリスチレン製容器に塩基性酢酸アルミニウム水溶液 (Al O換算固 形分 5· 8質量0 /0、 匕重 1 · 068、 pH5. 9、電導度 5730〃 S/cm、ォストヮノレドネ占度 3. OmPa ' s)を 1369g投入した。この水溶液を直径 60mmのデイスパー羽根を取り 付けたデイスパー型撹拌機(ナショナルベビーモータ SCVS75W (商品名):松下電 器産業 (株)製)を用いて 4000rpmで撹拌しながら 68質量%酢酸水溶液 120gを 5 分間かけて連続的に添加し、 2時間撹拌を継続した。その後、市販の酸性水性シリカ ゾル (スノーテックス OXS (商品名):日産化学工業 (株)製、比重 1 · 059、 pH2. 9、 2 5°Cにおけるォストワルド粘度 1 · ImPa ' s、シリカ(SiO )濃度 10· 2質量%、シァ一 ズ滴定法による一次粒子径 5nm) 51 lgを 1時間かけて連続的に添加し、 2時間撹拌 を継続して、透明な混合ゾル 2000gを得た。得られた混合ゾルは SiO 2. 7質量%、 Al O 4. 1質量%を含有しており、 SiO: Al O質量比は 40 : 60であった。また、酢 酸の含有量は混合ゾル中の Al Oに対して 100質量%であった。この混合ゾルは、 ゼータポテンシャノレが pH3ないし 9の範囲で正であり、比重 1. 064、 pH4. 7、電導 ^4330 ^ 8/0111,動的光散乱法による粒子径 22nm、ォストワルド粘度(25°C) 1. 9mPa ' sであった。
(B)工程:得られた混合ゾル 909gを 3Lのポリスチレン製容器に移し替え、純水 159 lgを投入し、 SiOとして 1. 0質量%、 Al Oとして 1. 5質量%となるように希釈した。 この希釈ゾノレ (ま pH4. 9、電導度 2400〃 S/cmであった。この希釈ゾノレ 1950gをグ ラスライニングコートされたオートクレープ容器に移し替え、 200rpmで撹拌しながら 1
05°Cで 5時間の水熱処理を行った。得られたゾルは ρΗ4· 0、電導度1810 3/。 m、動的光散乱法による粒子径 35nmであり、透過型電子顕微鏡により観察すると、 微小コロイダルアルミナ水和物粒子で被覆されたコロイダルシリカ粒子とフィブリル状 のコロイダルアルミナ水和物粒子とが結合した粒子形態であった。コロイダルシリカ粒 子は球状で一次粒子径が 5ないし 10nmであり、微小コロイダルアルミナ水和物粒子 は 2nm未満であった。コロイダルアルミナ水和物粒子の短径は 2ないし 5nm、長径は 50ないし 300nmであった。次いでこのゾル 1900gを、限外濾過装置を使用して濃 縮を行い、 SiO 4. 7質量%、 Al O 5. 7質量%のシリカアルミナ複合ゾル 410gを得 た。得られたゾルは比重 1 · 083、 ρΗ4· 5、電導度 2900 S/cm、動的光散乱法 による粒子径 46nm、 25。Cにおける B型米占度 12. 5mPa - s (No. 1のローターで 30 秒後の値)、 SiO: Al O質量比は 45 : 55であった。得られたシリカアルミナ複合ゾル は、 20°Cで 1ヶ月以上放置しても、沈降物は見られず、増粘、ゲル化もなく安定であ つた。
実施例 2
(A)工程: 3Lのポリスチレン製容器に塩基性酢酸アルミニウム水溶液 (Al O換算 固形分 5· 8質量0 /0、 匕重 1 · 068、 pH5. 9、電導度 5730〃 S/cm、ォストヮノレド米占 度(25°C) 3. OmPa. s)を 432g投入した。この水溶液を、直径 60mmのデイスパー羽 根を取り付けたデイスパー型撹拌機(ナショナルベビーモータ SCVS75W (商品名): 松下電器産業 (株)製)を用いて lOOOrpmで撹拌下しながら純水 698gを投入し、 A1 O 2. 2質量%となるように希釈した。撹拌速度を 4000rpmに変更し、この水溶液に
68質量%酢酸水溶液 37gを 5分間かけて連続的に添加し、 2時間撹拌を継続した。 その後、同じ撹拌速度を維持しながら、市販の酸性水性シリカゾル (スノーテックス O XS (商品名):日産化学工業 (株)製、比重 1. 059、 pH2. 9、ォストワルド粘度(25 °C) 1. ImPa ' s、シリカ濃度 10. 2質量%、シアーズ滴定法による一次粒子径 5nm) 245gを純水 588gで SiO 3. 0質量%に希釈した酸性水性シリカゾルを 1時間かけて 連続的に添加し、その後、 2時間撹拌を継続して、透明な混合ゾル 2000gを得た。得 られた混合ゾルは SiO 1. 3質量%、 Al O 1. 3質量%含有しており、 SiO: Al O質 量比は 50 : 50であった。また、酢酸の含有量は混合ゾル中の Al Oに対して 100質
量%であった。この混合ゾルは、ゼータポテンシャル力 ¾H3ないし 9の範囲で正であ り、比重 1. 028、 pH4. 3、電導度 2890〃 S/cm、動的光散舌 L法による粒子径 20η m、ォストワルド粘度(25°C) 1 · 5mPa' sの物性を有していた。
(B)工程:得られた混合ゾル 1980gをグラスライニングコートされたオートクレーブ 容器に移し替え、 200rpmで撹拌しながら、 105°Cで 5時間の水熱処理を行った。得 られたゾルは ρΗ3· 9、電導度2110 3/。111、動的光散乱法粒子径 8 lnmであり、 透過型電子顕微鏡により観察すると、微小コロイダルアルミナ水和物粒子で被覆され たコロイダルシリカ粒子とフィブリル状のコロイダルアルミナ水和物粒子とが結合した 粒子形態であった。コロイダルシリカ粒子は球状で一次粒子径が 5な!/、し 10nmであ り、微小コロイダルアルミナ水和物粒子は 2nm未満であった。コロイダルアルミナ水 和物粒子の短径は 2ないし 5nm、長径は 50ないし 300nmであった。次いでこのゾル 1950gを、限外濾過装置を使用して濃縮を行い、 SiO 6. 5質量%、 A1 0 4. 7質量 %のシリカァノレミナ複合ゾノレ 390gを得た。得られたゾノレは 匕重 1 · 084、 pH4. 3、電 導度3290 3/じ111、動的光散乱法による粒子径 102nm、 B型粘度(25°C) 9. lm Pa- s (No. 1のローターで 30秒後の値)、 SiO : Al O質量比は 58: 42であった。得 られたシリカアルミナ複合ゾルは 20°Cで 1ヶ月以上放置しても、沈降物は見られず、 増粘、ゲル化もなく安定であった。
実施例 3
(A)工程: 3Lのポリスチレン製容器に塩基性硝酸アルミニウム水溶液 (Al O換算
2 3 固形分 20. 6質量0 /0、 匕重 1. 068、 pH5. 9、電導度 5730〃 S/cm、ォストヮノレド米占 度(25°C) 3. 0mPa' s) 146gを投入した。この水溶液を直径 60mmのデイスパー羽 根を取り付けたデイスパー型撹拌機(ナショナルベビーモータ SCVS75W (商品名): 松下電器産業 (株)製)を用いて lOOOrpmで撹拌下しながら純水を 1187g投入し、 Al O換算固形分 2. 3質量%となるよう希釈した。撹拌速度を 4000rpmに変更し、
2 3
その後、 2時間撹拌を継続した。その後、撹拌速度を維持しながら、市販の酸性水性 シリカゾル (スノーテックス OXS (商品名):日産化学工業 (株)製、比重 1 · 059、 pH2 . 9、ォストワルド粘度(25°C) 1. ImPa ' s、シリカ濃度 10. 2質量%、シアーズ滴定法 による一次粒子径 5nm) 196gを純水 471gで SiO 3. 0質量%に希釈した酸性水性
シリカゾルを 1時間かけて連続的に添加し、その後、 2時間撹拌を継続し、透明な混 合ゾル 2000gを得た。得られた混合ゾルは SiO 1. 0質量0 /0、 Al O 1. 5質量0 /0含有 しており、 SiO : Al O質量比は 40 : 60であった。この混合ゾルは、ゼータポテンシャ ノレ力 pH3なレヽし 9の範囲で正であり、 匕重 1. 029、 pH3. 6、電導度 12900〃 S/c m、動的光散乱法による粒子径 16nm、ォストワルド粘度(25°C) 1. 5mPa' sの物性 を有していた。
(B)工程:得られた混合ゾル 1988gをグラスライニングコートされたオートクレーブ 容器に移し替え、 200rpmで撹拌しながら、 105°Cで 5時間の水熱処理を行った。得 られたゾルは ρΗ3· 8、電導度13400 5/。111、動的光散乱法粒子径 52nmであり
、透過型電子顕微鏡により観察すると、微小コロイダルアルミナ水和物粒子で被覆さ れたコロイダルシリカ粒子とフィブリル状のコロイダルアルミナ水和物粒子とが結合し た粒子形態であった。コロイダルシリカ粒子は球状で一次粒子径が 5な!/、し 10nmで あり、微小コロイダルアルミナ水和物粒子は 2nm未満であった。コロイダルアルミナ水 和物粒子の短径は 2ないし 5nm、長径は 50ないし 200nmであった。次いでこのゾル 1965gを、限外濾過装置を使用して濃縮を行い、 SiO 5. 2質量%、 AI O 3. 2質量 %を含有したシリカアルミナ複合ゾル 380gを得た。得られたゾルは比重 1. 072、 pH 3. 8、電導度18000 3/«11、動的光散乱法による粒子径 52nm、 B型粘度(25°C ) 5. 5mPa- s (No. 1のローターで 30秒後のィ直)、 SiO : Al O質量比は 62: 38であ つた。得られたシリカアルミナ複合ゾルは、 20°Cで 1ヶ月以上放置しても、沈降物は 見られず、増粘、ゲル化もなく安定であった。
比較例 1
3Lのポリスチレン製容器に塩基性酢酸アルミニウム水溶液 (Al O換算固形分 5. 8
2 3
質量0 /0、 匕重 1 · 068、 pH5. 9、電導度 5730〃 S/cm、ォストヮノレド米占度(25。C) 3 . OmPa ' s)を 138g投入した。この水溶液を、直径 60mmのデイスパー羽根を取り付 けたディスパー型撹拌機(ナショナルベビーモータ SCVS75W (商品名):松下電器 産業 (株)製)を用いて lOOOrpmで撹拌しながら純水 462gを投入し、 AI O 1 · 3質
2 3 量%となるよう希釈した。撹拌速度を 4000rpmに変更し、この水溶液に 68質量%酢 酸水溶液 2. 4gを 5分間かけて連続的に添加し、 2時間撹拌を継続した。その後、同
じ撹拌速度を維持しながら、市販の酸性水性シリカゾル (スノーテックス OXS (商品名 ):日産化学工業 (株)製、比重 1 · 059、 pH2. 9、ォストワルド粘度(25°C) 1. ImPa •s、シリカ濃度 10. 2質量%、シアーズ滴定法による一次粒子径 5nm) 412gを純水 9 86gで SiO 3. 0質量%に希釈した酸性水性シリカゾルを 1時間かけて連続的に添加 し、 2時間撹拌を継続し、透明な混合ゾル 2000gを得た。得られた混合ゾルは SiO 2 . 1質量%、 Al O 0. 4質量%含有しており、シリカの固形分とアルミナの固形分の質 量比は 85 : 15であった。また酢酸の含有量は混合ゾル中の Al Oに対して 2質量% であった。この混合ゾルは、ゼータポテンシャルが pH3ないし 9の範囲で正であり、比 重 1. 021、 pH4. 3、電導度 620〃 S/cm、動的光散舌 L法粒子径 23應、ォストヮ ルド粘度(25°C) 1. 4mPa' sであった。この混合ゾルをグラスライニングコートされた オートクレーブ容器に移し替え、 200rpmで撹拌しながら、 105°Cで 5時間の水熱処 理を行った。得られたゾルは ρΗ4· 1、電導度 590 S/cm、動的光散乱法粒子径 24nmであり、透過型電子顕微鏡観察から、細長く成長したコロイダルアルミナ水和 物粒子は観察されず、微小コロイダルアルミナ水和物粒子で被覆されたコロイダルシ リカ粒子のみが観察された。このコロイダルシリカ粒子は球状で一次粒子径が 5ない し 10nmであり、微小コロイダルアルミナ水和物粒子は 2nm未満であった。次いでこ のゾル 1780gを、限外濾過装置を使用して濃縮を行い、 SiO 8. 8質量%、 Al O 1. 7質量%を含有した正に帯電したシリカゾル 400gを得た。得られたゾルは比重 1. 06 9、 pH4. 5、電導度 810 S/cm、動的光散乱法による粒子径 33nm、 B型粘度(2 5°C) 37mPa- s (No. 1のローターで 30秒後の値)、 SiO: Al O質量比は 84: 16で あった。
比較例 2
3Lのポリスチレン製容器に塩基性酢酸アルミニウム水溶液 (Al O換算固形分 5. 8 質量0 /0、 匕重 1. 068、 pH5. 9、電導度 5730〃 S/cm、ォストヮノレド米占度 3. OmPa • s)を 484g投入した。この水溶液を、直径 60mmのデイスパー羽根を取り付けたディ スパー型撹拌機けショナルベビーモータ SCVS75W (商品名):松下電器産業 (株) 製)を用いて lOOOrpmで撹拌しながら純水を 1516g投入し、 Al O 1. 3質量%とな るよう希釈した。この水溶液をグラスライニングコートされたオートクレープ容器に移し
替え、 200rpmで撹拌しながら 105°Cで 5時間の水熱処理を行った。水熱処理後の 水溶液は、沈降物の発生は無かった。透過型電子顕微鏡観察の結果、長径が 50な いし 200nm、短径が 2ないし 5nmのフイブリル状のコロイド粒子が確認された。このコ ロイド粒子は X線回折分析の結果、擬ベーマイト構造を有しており、該水溶液はアル ミナゾルであった。このアルミナゾルは pH4. 6、電導度1850 3/。111、動的光散乱 法による粒子径 74nmであった。このアルミナゾル 1990gを、限外濾過装置を使用し て濃縮を行い、 Al O 7. 9質量0 /0を含有したコロイダノレアルミナゾル 200gを得た。得 られたゾルは ρΗ5· 1、電導度3900 3/。111、動的光散乱法による粒子径 75nmで あった。
[0029] 比較例 3
比較例 1で得られた微小コロイダルアルミナ水和物粒子で被覆されたコロイダルシリ 力粒子を含有するゾル 50gと比較例 2で得られたアルミナゾル 40gとを、シリカ固形分 とアルミナ(Al O )換算の固形分の質量比が 45 : 55となるように lOOmLのポリスチレ ン製容器中で混合した。このシリカ アルミナ混合ゾルは SiO 4. 3質量0 /0、 Al O 5 . 2質量%を含有しており、 pH4. 8、電導度2500 3/じ111、動的光散乱法による粒 子径 68nmであり、透過型電子顕微鏡により観察すると、フィブリル状のコロイダルア ノレミナ水和物粒子と微小コロイダルアルミナ水和物粒子で被覆されたコロイダルシリ 力粒子との間には結合は見られず、それぞれが分散した状態であった。
[0030] 比較例 4
3Lのポリスチレン製容器に塩基性酢酸アルミニウム水溶液 (Al O換算固形分 5. 8 質量0 /0、 匕重 1 · 068、 pH5. 9、電導度 5730〃 S/cm、ォストヮノレド米占度(25。C) 3 . 0mPa ' s) 776gを投入した。この水溶液を、直径 60mmのデイスパー羽根を取り付 けたディスパー型撹拌機(ナショナルベビーモータ SCVS75W (商品名):松下電器 産業 (株)製)を用いて lOOOrpmで撹拌しながら純水 1044gを投入し、 Al O 2. 4質 量%となるよう希釈した。撹拌速度を 4000rpmに変更し、この水溶液に 68質量%酢 酸水溶液 13. 2gを添加し、 2時間撹拌を継続した。その後、市販の酸性水性シリカゾ ル (スノーテックス OXS (商品名):日産化学工業 (株)製、比重 1 · 059、ρΗ2· 9、ォ ストワルド粘度(25°C) 1. ImPa' s、シリカ(濃度 10· 2質量%、シアーズ滴定法一次
粒子径 5nm) 49gを純水 118gで SiO 3. 0質量%に希釈した酸性水性シリカゾルを 1時間かけて連続的に添加し、その後、 2時間撹拌を継続し、透明な混合ゾル 2000 gを得た。得られた混合ゾルは SiO 0. 25質量%、 Al O 2. 25質量%含有しており、 シリカ固形分とアルミナ固形分の質量比は 10 : 90であった。また、酢酸の含有量は 混合ゾル中の Al Oに対して 20質量0 /。であった。この混合ゾルは、ゼータポテンシャ
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ノレ力 pH3なレヽし 9の範囲で正であり、 匕重 1. 030、 pH5. 0、電導度 3050〃 S/cm 、動的光散乱法粒子径 15nm、ォストワルド粘度(25°C) 1. 6mPa ' sであった。この 混合ゾル 1960gをグラスライニングコートされたオートクレーブ容器に移し替え、 200 rpmで撹拌しながら、 105°Cで 5時間の水熱処理を行った。得られたゾルは ρΗ4· 6 、電導度2720 5/。111、動的光散乱法粒子径 115nm、ォストワルド粘度(25°C) 1 . 9mPa ' sであった。透過型電子顕微鏡により観察すると、微小コロイダルアルミナ水 和物粒子で被覆されたコロイダルシリカ粒子とフィブリル状のコロイダルアルミナ水和 物粒子とが結合した粒子形態であった力 S、フィブリル状のコロイダルアルミナ水和物 粒子は 10ないし 100個が平行に並んで集合束が生じており、実質的にコロイダル水 和物粒子の短径は 20ないし 30nm、長径は 100ないし 200nmであった。コロイダル シリカ粒子は球状で一次粒子径は 5ないし 10nmであり、微小コロイダルアルミナ水 和物粒子は 2nm未満であった。次いでこのゾル 1940gを、限外濾過装置を使用して 濃縮を行い、 SiO 3. 1質量%、 Al O 5. 5質量%を含有したシリカアルミナゾル 380 gを得た。得られたゾルは比重 1. 078、 pH5. 0、電導度4120 3/«11、動的光散 乱法による粒子径 105nm、 B型粘度(25°C) 5. 0mPa - s (No. 1のローターで 30秒 後の値)、 SiO : Al O質量比は 28 : 72であった。
評価実施例
成膜性の評価方法
実施例 1、 2で得られたシリカアルミナ複合ゾル、比較例 3で得られたシリカ アルミ ナ混合ゾル、比較例 4で得られたシリカアルミナゾル、酸性水性シリカゾル (スノーテツ タス OXS:日産化学工業 (株)製)及び比較例 2で得られたアルミナゾルをそれぞれ 透明なガラス板の表面にスピンコーターを用いて 500rpmの条件で塗布した後、 150 °Cで 5分間加熱処理を行 V、ガラス板上に被膜を形成し、 目視及び走査型電子顕微
鏡(SEM)観察から被膜の状態を以下の 2段階で評価した。結果を表 1に示す。
[表 1]
〔表 1〕 成膜性評価結果
〇:クラックが無く、平滑で緻密な被膜を形成。ガラス板との密着性が良好。
X :被膜にクラックが入る、 又は被膜を形成しない。 耐水性の評価方法
成膜性評価にお!/、て、平滑で緻密な被膜が得られた被膜付ガラス板を 80°Cの湯 浴に 5時間浸漬した後、純水で洗浄し、 150°Cで乾燥させ、ガラス板上からの被膜の 剥離の程度、および被膜の温水に対する溶解性を湯浴 の浸漬前後の被膜の目視 および SEM観察から評価した。被膜の状態は以下の 3段階に分類することによって 評価した。結果を表 2に示す。
[表 2]
〔表 2〕 耐水性評価結果
〇 : 被膜は剥離せず。
X :被膜が剥離する。
[0033] 本発明のシリカアルミナ複合ゾル (実施例 1、 2、 3)を乾燥して得られた被膜は高い 透明性と優れた成膜性を有していた。一方で、比較例 3で得られたシリカ アルミナ 混合ゾルゃシリカゾル単独、アルミナゾル単独では十分な成膜性を得ることは出来な かった。また、本発明のシリカアルミナ複合ゾルは 80°Cの湯浴への浸漬前後におい て、被膜の膜厚は変わらず、優れた耐水性を有していた。
産業上の利用可能性
[0034] 本発明のシリカアルミナ複合ゾルを乾燥して得られた被膜は固体表面上で乾燥さ れると高い透明性と優れた成膜性、耐水性を示し、電磁鋼鈑用表面処理剤や自動 車、家電、建材用に使用される亜鉛やアルミニウム等のめっき鋼飯の防食処理剤の 添加剤として有用である。