明 細 書
建設機械の排ガス浄化装置
技術分野
[0001] 本発明は、油圧ショベル等の建設機械に備えられ、油圧ポンプを駆動するエンジン 力 排出される排ガスを浄化することができる建設機械の排ガス浄化装置に関する。 背景技術
[0002] 建設機械、例えば油圧ショベルは、エンジンと、このエンジンによって駆動する油圧 ポンプを備え、油圧ポンプの吸収トルクがエンジンの出力トルクを超えないようにトノレ クを制御することが行われている。また、油圧ポンプの圧油が供給される油圧駆動回 路を備え、この油圧駆動回路には、ブーム、アーム等の作業機を駆動させるブーム シリンダ、アームシリンダ等の油圧ァクチユエータ、あるいは旋回体、走行体を駆動す る旋回モータ、走行モータ等の油圧ァクチユエータと、これらの油圧ァクチユエータの 作動を制御する方向制御弁などの油圧機器が含まれている。このような構成を有す る油圧ショベルにあっては、昨今、エンジン力 排出される排ガスを浄化することが要 望されてきている。
[0003] 排ガスを浄化する従来技術として、特許文献 1に示されるものがある。この従来技術 は、本発明が対象としている建設機械とは異なり、自動車に備えられる排ガス浄化装 置であるが、尿素等の還元剤によってエンジンから排出される排ガス中の窒素酸化 物を浄化する処理を行う排ガス制御手段と、この排ガス制御手段に供給される尿素 水等の還元剤溶液を蓄える還元剤溶液タンクと、この還元剤溶液タンクに蓄えられた 還元剤溶液の残量を検出する液位センサ、すなわち残量検出手段とを備えている。 また、還元剤溶液タンクに蓄えられた還元剤溶液の残量が、所定量以下となったとき に作動して運転者に知らせる警報機も備えてレ、る。
[0004] この従来技術では、還元剤溶液の残量が所定量以下となったときに、上述のように 警報機が作動して運転者に知らせ、また、エンジン制御部によってエンジンを低出力 に制御し、これらによって還元剤溶液の補給が促されるようになつている。
特許文献 1 :特開 2002— 371831公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0005] 上述した特許文献 1に示される従来技術は、 自動車における排ガスの浄化に有効 と思われるものの、そのまま油圧ショベル等の建設機械には適用できなレ、。例えば油 圧ショベルでは、エンジンによって駆動されるとともに、ブーム、アーム、旋回体、走 行体等を駆動するための圧油を該当する油圧ァクチユエータに供給する油圧ポンプ を備えており、エンジンの出力と油圧ポンプの出力との関係が重要である。上述した 従来技術におけるように、還元剤溶液の残量が所定量以下となったときに、エンジン を低出力に制御するようにした場合、作業の種類によっては油圧ポンプの負荷の方 が大きくなつてエンストを生じ、それまで行われていた掘削作業、吊り荷作業等が中 断させられてしまう虞がある。
[0006] 本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、ェン ジンで駆動する油圧ポンプを備えた建設機械に好適な排ガス浄化装置を提供するこ とにある。
課題を解決するための手段
[0007] この目的を達成するために、本発明は、エンジンと、このエンジンによって駆動する 油圧ポンプと、この油圧ポンプから吐出される圧油が供給され、複数の油圧ァクチュ エータを含む油圧駆動回路とを有する建設機械に備えられ、上記エンジン力 排出 される排ガス中の窒素酸化物を浄化する処理を行う排ガス制御手段と、この排ガス制 御手段に供給される還元剤溶液を蓄える還元剤溶液タンクと、この還元剤溶液タンク に蓄えられた上記還元剤溶液の残量を検出する残量検出手段とを備えるとともに、こ の残量検出手段で検出される上記還元剤溶液の残量が所定量まで減少したときに、 上記還元剤溶液の補給を要する旨の警告を報知する警告報知手段と、上記残量検 出手段で検出される還元剤溶液の残量が上記所定量から少なくなるに従って、上記 油圧ポンプの駆動に関連する状態量を、上記油圧ァクチユエータの作動が可能とな る範囲内の所定値まで減少させる制御を行う状態量制御手段とを備えたことを特徴と している。
[0008] このように構成した本発明は、還元剤溶液タンク内の還元剤溶液の残量が所定量
になるまでは、十分な還元剤溶液が排ガス制御手段に供給され、これにより、ェンジ ン力 排出される排ガス中の窒素酸化物が浄化され、清浄な排ガスを排出させること ができる。還元剤溶液タンク内の還元剤溶液の残量が所定量になると、それが残量 検出手段で検出され、警告報知手段によって警告が報知される。また、残量検出手 段の検出に応じて状態量制御手段が作動し、油圧ポンプの駆動に関連する状態量 、例えばポンプ吸収トルク、油圧ポンプの流量、あるいは油圧ポンプの吐出圧を正常 作業時に比べて減少させる制御、すなわち油圧ァクチユエータの作動が可能となる 範囲内の所定値まで状態量を減少させる制御が行われる。
[0009] これによつて、還元剤溶液タンク内の還元剤溶液の残量が所定量以下となっても、 油圧ポンプの駆動に関連する状態量を減少させることに伴って負荷が軽減されたェ ンジンの排ガスの浄化が継続され、清浄な排ガスを排出させることができる。また、作 業性が低下することによって上述の警告の報知と併せて、還元剤溶液を補給する必 要があることが促される。また、状態量制御手段の制御により、上述のように作業性は 低下するものの、制限された範囲内で油圧ァクチユエータの作動は引き続き可能で あるので、作業の継続が可能となる。
[0010] また、本発明は上記発明において、上記状態量がポンプ吸収トルクであり、上記状 態量検出手段がポンプ吸収トルク制御手段から成ることを特徴としている。
[0011] また、本発明は上記発明において、上記状態量が上記油圧ポンプから吐出される 流量であり、上記状態量検出手段が流量制御手段から成ることを特徴としている。
[0012] また、本発明は上記発明において、上記状態量が上記油圧ポンプの吐出圧であり
、上記状態量制御手段が吐出圧制御手段から成ることを特徴としている。
[0013] また、本発明は上記発明において、上記還元剤溶液が尿素水から成ることを特徴と している。
[0014] また、本発明は上記発明において、上記警告報知手段が警報ランプから成ることを 特徴としている。
発明の効果
[0015] 本発明は、油圧ポンプを駆動するエンジン力 排出される排ガス中の窒素酸化物 を浄化する処理を行う排ガス制御手段と、この排ガス制御手段に供給される還元剤
溶液を蓄える還元剤溶液タンクとを備えたことから、エンジン力 排出される排ガスを 浄化させることができる。また、還元剤溶液タンクに蓄えられた還元剤溶液の残量を 検出する残量検出手段と、この残量検出手段で検出される還元剤溶液の残量が所 定量まで減少したときに、還元剤溶液の補給を要する旨の警告を報知する警告報知 手段と、残量検出手段で検出される還元剤溶液の残量が所定量から少なくなるに従 つて、油圧ポンプの駆動に関連する状態量を、油圧ァクチユエータの作動が可能と なる範囲内の所定値まで減少させる制御を行う状態量制御手段とを備えたことから、 還元剤溶液タンク内の還元剤溶液の残量が所定量以下となったときには、油圧ボン プの駆動に関連する状態量を減少させることに伴って負荷が軽減されたエンジンの 排ガスの浄化を継続させることができるとともに、警告が報知されて作業性が低下し、 これらによって還元剤溶液の補給が促される。また、制限された範囲内ではあるが、 エンストを生じることなく作業の継続が可能となる。したがって、建設機械に好適な装 置を実現させることができる。
発明を実施するための最良の形態
[0016] 以下,本発明に係る建設機械の排ガス浄化装置を実施するための最良の形態を 図に基づいて説明する。
[0017] 図 1は本発明に係る建設機械の排ガス浄化装置の第 1実施形態を示す油圧回路 図、図 2は図 1に示す第 1実施形態に備えられるコントローラの要部構成を示すブロッ ク図、図 3は本発明の第 1実施形態で得られる特性を示す図である。
[0018] 図 1に示す本発明の第 1実施形態は、建設機械例えば油圧ショベルに備えられるも のであり、この油圧ショベルは、エンジン 1と、このエンジン 1によって駆動される可変 容量油圧ポンプ 2とを備え、油圧ポンプ 2の吸収トルクがエンジン 1の出力トノレクを超 えないようにトルク制御されるようになっている。また、エンジン 1の目標回転数を指示 する回転数指示装置 3と、油圧ポンプ 2の押しのけ容積を制御するレギユレータ 4と、 油圧ポンプ 2の最大吐出圧を規定するメインリリーフ弁 5と、エンジン 1の回転数を制 御する回転制御手段 6と、回転数指示装置 3で指示された目標回転数に応じた制御 信号を回転制御手段 6に出力するとともに、レギユレータ 4を駆動させる駆動信号を 出力させるコントローラ 7を備えている。
[0019] さらに、油圧ポンプ 2から吐出される圧油が供給される油圧駆動回路 8を備えている
[0020] この油圧駆動回路 8には、ブーム、アーム等の作業機を駆動させるブームシリンダ、 アームシリンダ等の油圧ァクチユエータ、あるいは旋回体、走行体を駆動する旋回モ ータ、走行モータ等の油圧ァクチユエータと、これらの油圧ァクチユエータの作動を 制御する方向制御弁などの油圧機器が含まれている。
[0021] このような油圧ショベルに備えられる第 1実施形態に係る排ガス浄化装置は、ェン ジン 1から排出される排ガス中の窒素酸化物を浄化する処理を行う排ガス制御手段 9 と、この排ガス制御手段 9に供給される還元剤溶液、例えば尿素水を蓄える還元剤 溶液タンク、すなわち尿素水タンク 10と、この尿素水タンク 10に蓄えられた尿素水の 残量を検出する残量検出手段 11とを備えている。
[0022] また、残量検出手段 11で検出される尿素水の残量が後述の第 1所定量 Aまで減少 したときに、尿素水の補給を要する旨の警告を報知する警告報知手段、例えば警報 ランプ 12を備えている。
[0023] さらに、後述するように、残量検出手段 11で検出される尿素水タンク 10内の尿素水 の残量が第 1所定量 Aから少なくなるに従って、油圧ポンプ 2の駆動に関連する状態 量、例えばポンプ吸収トルクを、上述した油圧駆動回路 8に含まれる油圧ァクチユエ ータの作動が可能となる範囲内の所定値まで減少させる制御を行う状態量制御手段 、例えばポンプ吸収トルク制御手段を備えてレ、る。このポンプ吸収トルク制御手段は コントローラ 7に含まれてレ、る。
[0024] 図 2に示すように、コントローラ 7内には、残量検出手段 11から出力される検出信号 に応じて警報ランプ 12にオン信号、あるいはオフ信号を出力するオン'オフ信号発 生部 7aが備えられている。このオン'オフ信号発生部 7aは、尿素水タンク 10の残量 が第 1所定量 Aになるまではオフ信号を出力し、残量が第 1所定量 A以下となるとォ ン信号を出力する。
[0025] また、コントローラ 7内には、正常作業時においてエンジン 1の出力トルクを超えない 油圧ポンプ 2の最大ポンプ吸収トルク Mを演算するポンプ吸収トルク演算部 7bが備 えられている。
[0026] また特に、コントローラ 7には、関数発生部 7cと、この関数発生部 7cから出力された 信号 S1と上述のポンプ吸収トルク演算部 7bから出力された信号 S2のうちの値の小 さい方を選択して駆動信号としてレギユレータ 4に出力する最小値選択部 7dとが備え られている。これらの関数発生部 7cと最小値選択部 7dとによって、上述した状態量 制御手段であるポンプ吸収トルク制御手段が構成されている。
[0027] 関数発生部 7cは、尿素水タンク 10の残量が第 1所定量 Aになるまでは、最大ボン プ吸収トルク Mに相当する信号 S1を出力し、残量が第 1所定量 A以下となったときに は、残量の減少に応じて徐々に値を減少させる信号 S1を出力し、残量が第 1所定量 Aよりも小さい第 2所定量 B以下に減少したときには、例えば最大ポンプ吸収トルク M の 70%となる制限トルク mに相当する信号 S1を出力する関数関係となっている。な お、上述した制限トルク mを与える第 2所定量 Bは、油圧駆動回路 8に含まれる油圧 ァクチユエータの作動が可能となる範囲内の所定値となっている。
[0028] このように構成した第 1実施形態は、尿素水タンク 10内の尿素水の残量が第 1所定 量 Aとなるまでは、十分な尿素水が排ガス制御手段 9に供給され、これにより、ェンジ ン 1から排出される排ガス中の窒素酸化物が浄化され、清浄な排ガスを排出させるこ とができる。この間、残量検出手段 11の検出信号がコントローラ 7に入力され、図 2に 示すオン'オフ信号発生部 7aからオフ信号が警報ランプ 12に出力され、警報ランプ 12は消灯状態に保たれる。また、関数発生部 7cから最大ポンプ吸収トルク Mに相当 する信号 S2が出力され、最小値選択部 7dにおいて信号 S1と信号 S2とから、最大ポ ンプ吸収トルク Mに相当する駆動信号がレギユレータ 4に出力される。これによりレギ ユレータ 4が作動し、油圧ポンプ 2の傾転角がエンジン 1の出力トルクを超えない範囲 の最大ポンプ吸収トノレク Mを与えるように制御される。図 3の特性線 13は、このときの 最大ポンプ吸収トルク Mに対応する P_Q特性線である。
[0029] 上述の状態から、尿素水タンク 10内の尿素水が減少し、残量検出手段 11で検出さ れる尿素水の残量が第 1所定量 Aとなると、コントローラ 7のオン'オフ信号発生部 7a 力、らオン信号が警報ランプ 12に出力される。これによつて警報ランプ 12が点灯する。 さらに尿素水の残量が第 1所定量 Aから減少するに従って警報ランプ 12の点灯が維 持されるとともに、関数発生部 7cから出力される信号 S1は最大ポンプ吸収トルク M
りも徐々に小さな値となり、この小さな値が最小値選択部 7dで選択され、その小さな 値に相当する駆動信号がレギユレータ 4に出力される。これにより、油圧ポンプ 2の傾 転角が徐々に小さくなるように制御され、図 3に示す P— Q特性、すなわちポンプ吸 収トルクは同図 3の矢印で示すように徐々に小さくなるように制御される。
[0030] さらに尿素水タンク 10内の残量が減少し、残量検出手段 11で検出される残量が第 2所定量 B以下となると、警報ランプ 12の点灯が維持されるとともに、関数発生部 7c 力、ら出力される信号 SIは制限トルク mに相当する値となり、この制限トルク mが最小 値選択部 7dで選択され、この制限トルク mに相当する駆動信号がレギユレータ 4に出 力される。これにより油圧ポンプ 2の傾転角がさらに小さくなるように制限され、図 3に 示す P_Q特性、すなわちポンプ吸収トルクは特性線 14で示すものとなる。
[0031] この状態に至ると、例えばこの油圧ショベルで土石を掘削し、掘削した土石をダン プトラックに積み込む作業等の 1作業サイクルに要する時間が、正常作業時に比べて 遅くなり、作業性が低下する。
[0032] なお、上述のように尿素水タンク 10内の尿素水の残量が第 2所定量 B以下となって も、ポンプ吸収トルクを減少させることに伴って負荷が軽減されたエンジン 1の排ガス の浄化が継続され、清浄な排ガスを排出させることができる。
[0033] 以上のように、この第 1実施形態によれば、油圧ポンプ 2を駆動するエンジン 1から 排出される排ガス中の窒素酸化物を浄化する処理を行う排ガス制御手段 9と、この排 ガス制御手段 9に供給される尿素水を蓄える尿素水タンク 10とを備えたことから、ェ ンジン 1から排出される排ガスを浄化させることができる。
[0034] また、尿素水タンク 10に蓄えられた尿素水の残量を検出する残量検出手段 11と、 この残量検出手段 11で検出される尿素水の残量が第 1所定量 Aまで減少したときに 、尿素水の補給を要する旨の警告を報知する警報ランプ 12と、残量検出手段 11で 検出される尿素水の残量が第 1所定量 Aから少なくなるに従って、油圧ポンプ 2の駆 動に関連するポンプ吸収トルクを、油圧駆動回路 8に含まれる油圧ァクチユエータの 作動が可能となる範囲内の所定値まで、すなわち最大ポンプ吸収トルク Mの例えば 70%の値である制限トルク mまで減少させる制御を行うポンプ吸収トルク制御手段に 含まれる関数発生部 7c、最小値選択部 7dとを備えたことから、尿素水タンク 10内の
尿素水の残量が第 1所定量 A以下となったときには、油圧ポンプ 2に関連する状態量 、すなわちポンプ吸収トルクを減少させることに伴って負荷が軽減されたエンジン 1の 排ガスの浄化を継続させることができる。
[0035] また、これとともに、警報ランプ 12が点灯し、併せて作業性が低下するので、尿素 水の補給が促され、また、制限された範囲内ではあるが、エンストを生じることなく作 業の継続が可能となる。したがって、この油圧ショベルに好適な装置を実現させること ができる。
[0036] 図 4は本発明の第 2実施形態に備えられるコントローラの要部構成を示すブロック 図、図 5は本発明の第 2実施形態で得られる特性を示す図である。
[0037] 本発明の第 2実施形態は、コントローラ 7内に、第 1実施形態におけるのと同等のォ ン 'オフ信号発生部 7aの他に、エンジン 1の回転数に応じた油圧ポンプ 2の吐出流量 を演算し、その演算値に相当する信号 S4を出力するポンプ吐出流量演算部 7eと、 尿素水タンク 10内の尿素水の残量に応じた値に対応する流量に相当する信号 S3を 出力する関数発生部 7fと、この関数発生部 7fから出力された信号 S3とポンプ吐出 流量演算部 7eから出力された信号 S4のうちの値の小さい方を選択して、駆動信号と してレギユレータ 4に出力する最小値選択部 7gとが備えられている。
[0038] 上述した関数発生部 7fと最小値選択部 7gとによって、残量検出手段 11で検出さ れる尿素水の残量が所定量から少なくなるに従って、油圧ポンプ 2の駆動に関連す る状態量、例えば油圧ポンプ 2から吐出される流量を、油圧駆動回路 8に含まれる油 圧ァクチユエータの作動が可能となる範囲内の所定値まで減少させる制御を行う流 量制御手段、すなわち状態量制御手段が構成されてレ、る。
[0039] 関数発生部 7fは、尿素水タンク 10の尿素水の残量が第 1所定量 Aになるまでは、 エンジン 1の回転数に応じた最大流量 Qに相当する信号 S3を出力し、残量が第 1所 定量 A以下となったときには、尿素水タンク 10の残量の減少に応じて徐々に値を減 少された信号 S3を出力し、尿素水タンク 10の残量が第 1所定量 Aよりも小さい第 2所 定量 B以下に減少したときには、例えば正常作業時の最大流量 Qの 70%となる制限 流量 qに相当する信号 S3を出力する関係となっている。なお、上述した制限流量 qを 与える第 2所定量 Bは、油圧駆動回路 8に含まれる油圧ァクチユエータの作動が可能
となる範囲内の所定値となっている。
[0040] その他の構成は、上述した第 1実施形態と同等である。
[0041] このように構成した第 2実施形態も、尿素水タンク 10内の尿素水の残量が第 1所定 量 Aになるまでは、第 1実施形態と同様に、十分な尿素水が供給されることによって 排ガス中の窒素酸化物が浄化されて清浄な排ガスを排出させることができる。また、 警報ランプ 12は消灯状態に保たれる。また、コントローラ 7の関数発生部 7fから出力 される信号 S3と、ポンプ吐出流量演算部 7eから出力される信号 S4とは同じ値となる ことから、最小値選択部 7gからエンジン 1の回転数に応じた最大流量 Qに相当する 駆動信号がレギユレータ 4に出力される。これにより図 5の P— Q特性線は、上述の第 1実施形態におけるのと同様に特性線 13となる。
[0042] このような状態から、尿素水タンク 10内の尿素水が減少し、残量検出手段 11で検 出される尿素水の残量が第 1所定量 Aとなると、警報ランプ 12が点灯する。さらに尿 素水の残量が第 1所定量 Aから減少するに従って、警報ランプ 12の点灯が維持され るとともに、関数発生部 7fから出力される信号 S3は最大流量 Qよりも徐々に小さな値 となり、この小さな値が最小値選択部 7gで選択され、その小さな値に相当する駆動 信号がレギユレータ 4に出力される。これにより、図 5に示す P— Q特性、すなわち油 圧ポンプ 2の流量は、同図 5の矢印で示すように徐々に小さくなるように制御される。
[0043] さらに、尿素水タンク 10内の尿素水が減少して第 2所定量 B以下となると、警報ラン プ 12の点灯が維持されるとともに、関数発生部 7fから出力される信号 S3は制限流量 qに相応する値となり、この値に相当する駆動信号が最小値選択部 7gからレギユレ一 タ 4に出力される。これにより、図 5に示す P— Q特性は特性線 15で示すものとなる。
[0044] この状態に至ると、油圧駆動回路 8に含まれる油圧ァクチユエータに供給される最 大流量が制限流量 qに制限されるので、油圧ァクチユエータの作動速度が正常作業 時の作動速度に比べて遅くなる事態を生じ、作業性が低下する。
[0045] なお、このように尿素水タンク 10内の尿素水の残量が第 2所定量 B以下となった場 合にも、油圧ポンプ 2から吐出される流量を減少させることに伴って負荷が軽減され たエンジン 1の排ガスの浄化が継続され、清浄な排ガスを排出させることができる。
[0046] このように構成した第 2実施形態も、上述した第 1実施形態と同様にエンジン 1から
排出される排ガスを浄化させることができる。
[0047] また、残量検出手段 11で検出される尿素水の残量が第 1所定量 A以下となったとき には、警報ランプ 12が点灯する。
[0048] さらに、残量検出手段 11で検出される尿素水の残量が第 1所定量 A以下となると、 油圧ポンプ 2から排出される流量は制限を受けて徐々に減少し、第 2所定量 B以下で は、最大流量 Qの 70%の値である制限流量 qまで減少する。なお、このように尿素水 の残量が第 2所定量 B以下となっても、負荷が軽減されたエンジン 1の排ガスの浄化 を継続させることができる。
[0049] そして、上述のように警報ランプ 12が点灯し、併せて作業性が低下するので、尿素 水の補給が促される。また、制限された範囲内ではあるがエンストを生じることなく油 圧ァクチユエ一タに圧油を供給して作業の継続が可能となる。
[0050] 図 6は本発明の第 3実施形態を示す油圧回路図、図 7は本発明の第 3実施形態に 備えられるコントローラの要部構成を示すブロック図である。
[0051] 本発明の第 3実施形態は、図 6に示すように、上述した第 1実施形態の構成に加え て、メインリリーフ弁 5の吐出圧を制御可能な電磁弁 16と、この電磁弁 16にパイロット 圧を供給可能なパイロットポンプ 17とを備えてレ、る。
[0052] また、コントローラ 7内に、第 1実施形態におけるのと同等のオン'オフ信号発生部 7 aの他に、尿素水タンク 10内の尿素水の残量に応じた値に対応する吐出圧に相応す る信号 S5を出力する関数発生部 7hと、この関数発生部 7hから出力された信号 S5に 応じた電流を駆動信号として電磁弁 16に出力する関数発生部 7iとが備えられている
[0053] 上述した関数発生部 7h, 7iと、電磁弁 16と、パイロットポンプ 17とによって、残量検 出手段 11で検出される尿素水の残量が所定量から少なくなるに従って、油圧ポンプ 2の駆動に関連する状態量、例えば油圧ポンプ 2から吐出された圧油の吐出圧を、 油圧駆動回路 8に含まれる油圧ァクチユエータの作動が可能となる範囲内の所定値 まで減少させる制御を行う吐出圧制御手段、すなわち状態量制御手段が構成されて いる。
[0054] 関数発生部 7hは、尿素水タンク 10の尿素水の残量が第 1所定量 Aになるまでは、
予め設定される油圧ポンプ 2の正常作業時の最大吐出圧 Pに相当する信号 S5を出 力し、残量が第 1所定量 A以下となったときには、尿素水タンク 10の残量の減少に応 じて徐々に値を減少させた信号 S5を出力し、尿素水タンク 10の残量が第 1所定量 A よりも小さい第 2所定量 B以下に減少したときには、例えば正常作業時の最大吐出圧 Pの 70%となる制限吐出圧 Psに相当する信号を出力する関数関係となっている。
[0055] なお、上述した制限吐出圧 Psを与える第 2所定量 Bは、油圧駆動回路 8に含まれる 油圧ァクチユエータの作動が可能となる範囲内の所定値となっている。
[0056] 関数発生部 7iは、関数発生部 7hから出力される信号 5の値、すなわち吐出圧に応 じて最大電流 SMから、この最大電流 SMよりも小さい制限電流 Smまでの範囲の電 流を駆動信号として出力する。
[0057] その他の構成は、上述した第 1実施形態と同等である。
[0058] このように構成した第 3実施形態も、尿素水タンク 10内の尿素水の残量が第 1所定 量 Aになるまでは、第 1実施形態と同様に、十分な尿素水が供給されることによって 排ガス中の窒素酸化物が浄化され、清浄な排ガスを排出させることができる。また、 警報ランプ 12は消灯状態に保たれる。また、コントローラ 7の関数発生部 7hからは正 常作業時の最大吐出圧 Pに相応する信号 S5が出力され、この信号 S5に応じて関数 発生部 7iから最大電流 SMに相当する駆動信号が電磁弁 6に出力される。これにより 、メインリリーフ弁 5の設定圧力は、正常作業時の高い設定圧力に保たれる。
[0059] このような状態から、尿素水タンク 10内の尿素水が減少し、残量検出手段 11で検 出される尿素水の残量が第 1所定量 Aとなると、警報ランプ 12が点灯する。さらに尿 素水の残量が第 1所定量 Aから減少するに従って、警報ランプ 12の点灯が維持され るとともに、関数発生部 7hから出力される信号 S5は、最大吐出圧 Pよりも徐々に低い 値となり、この低い値に応じて関数発生部 7iから最大電流 SMよりも小さな電流に相 当する駆動信号が電磁弁 16に出力される。これにより、電磁弁 16が作動してパイ口 ットポンプ 17のパイロット圧が電磁弁 16を介してメインリリーフ弁 5の制御部に与えら れ、メインリリーフ弁 5は、その設定圧力を最大吐出圧 Pよりも徐々に低くするように制 御される。
[0060] さらに、尿素水タンク 10内の尿素水が減少して第 2所定量 B以下となると、警報ラン
プ 12の点灯が維持されるとともに、関数発生部 7hから出力される信号 S5は制限吐 出圧 Psに相当する値となり、この値に応じた制限電流 Smに相当する駆動信号が関 数発生部 7iから電磁弁 16に出力される。したがって、電磁弁 16を介して供給される パイロット圧によりメインリリーフ弁 5の設定圧力は、制限吐出圧 Psとなる。
[0061] この状態になると、油圧駆動回路 8に含まれる油圧ァクチユエータの作動時に、最 大のカを出せなくなり、例えば正常作業時には可能であった硬い地盤の掘削を行え なくなる等の事態を生じ、作業性が低下する。
[0062] なお、このように尿素水 10内の尿素水の残量が第 2所定量 B以下となった場合にも 、油圧ポンプ 2から吐出される圧油の最大吐出圧を低減させることに伴って負荷が軽 減されたエンジン 1の排ガスの浄化が継続され、清浄な排ガスを排出させることがで きる。
[0063] このように構成した本実施形態も、上述した第 1実施形態と同様にエンジン 1から排 出される排ガスを浄化させることができる。
[0064] また、残量検出手段 11で検出される尿素水の残量が第 1所定量 A以下となったとき には、第 1実施形態と同様に警報ランプ 12が点灯する。
[0065] さらに、残量検出手段 11で検出される尿素水の残量が第 1所定量 A以下となると、 油圧ポンプ 2の吐出圧は最大吐出圧 Pよりも徐々に低くなり、第 2所定量 B以下では 最大吐出圧 Pの 70%の値である制限吐出圧 Psまで低減する。なお、このように、尿 素水の残量が第 2所定量 B以下となっても、負荷が軽減されたエンジン 1の排ガスの 浄化を継続させることができる。
[0066] そして、上述のように警報ランプ 12が点灯し、併せて作業性が低下するので、この 第 3実施形態にあっても、尿素水の補給が促され、また、制限された範囲内であるが エンストを生じることなく油圧ァクチユエ一タに圧油を供給して作業の継続が可能とな る。
[0067] 更に、上記の実施例に加えて、油圧ァクチユエータの作動に関連する装置、特に エンジンの回転数を制御することもできる。
[0068] 上記のように還元剤溶液が所定量より少なくなつた際に、その残量の減少に応じて 徐々にエンジンの最高回転数を上記油圧ァクチユエータの作動が可能となる範囲内
の所定値まで低くなるように制限するようにするようにした排ガス浄化装置につレ、て説 明する。
[0069] エンジンと、このエンジンによって駆動する油圧ポンプと、この油圧ポンプから吐出 される圧油が供給され、複数の油圧ァクチユエータを含む油圧駆動回路とを有する 建設機械に備えられ、上記エンジン力 排出される排ガス中の窒素酸化物を浄化す る処理を行う排ガス制御手段と、この排ガス制御手段に供給される還元剤溶液を蓄 える還元剤溶液タンクと、この還元剤溶液タンクに蓄えられた上記還元剤溶液の残 量を検出する残量検出手段とを備えるとともに、この残量検出手段で検出される上記 還元剤溶液の残量が所定量まで減少したときに、上記還元剤溶液の補給を要する 旨の警告を報知する警告報知手段と、上記残量検出手段で検出される還元剤溶液 の残量が上記所定量から少なくなつた際に、その残量の減少に応じて徐々に上記ェ ンジンの最高回転数を上記油圧ァクチユエータの作動が可能となる範囲内の所定値 まで低くなるように制限するエンジン回転数制限手段とを備えたことを特徴としている
[0070] このように構成することにより、還元剤溶液タンク内の還元剤溶液の残量が所定量 になるまでは、十分な還元剤溶液が排ガス制御手段に供給され、これにより、ェンジ ン力 排出される排ガス中の窒素酸化物が浄化され、清浄な排ガスを排出させること ができる。還元剤溶液タンク内の還元剤溶液の残量が所定量になると、それが残量 検出手段で検出され、
警告報知手段によって警告が報知される。また、残量検出手段の検出に応じてェ ンジン回転数制限手段が作動し、エンジンの最高回転数を正常作業時に比べて徐 々に低下させる制御、すなわち油圧ァクチユエータの作動が可能となる範囲内の所 定値までエンジンの最高回転数を低下させる制御が行われる。
[0071] これによつて、還元剤溶液タンク内の還元剤溶液の残量が所定量以下となっても、 エンジンの最高回転数を低下させることに伴って負荷が軽減されたエンジンの排ガス の浄化が継続され、清浄な排ガスを排出させることができる。また、作業性が低下す ることによって上述の警告の報知と併せて、還元剤溶液を補給する必要があることが 促される。さらに、エンジン回転数制御手段の制御により、上述のように作業性は低
下するものの、その作業性は還元剤溶液の残量の減少に応じて徐々に低下するの で、作業の急激な変動を抑えることができ、また、制限された範囲内で油圧ァクチュ エータの作動は引き続き可能であるので、作業の継続が可能となる。
[0072] また、上記浄化装置において、上記還元剤溶液が尿素水から成ることを特徴として いる。
[0073] また、上記浄化装置において、上記警告報知手段が警報ランプ力も成ることを特徴 としている。
[0074] 本発明は、油圧ポンプを駆動するエンジン力 排出される排ガス中の窒素酸化物 を浄化する処理を行う排ガス制御手段と、この排ガス制御手段に供給される還元剤 溶液を蓄える還元剤溶液タンクとを備えたことから、エンジン力 排出される排ガスを 浄化させることができる。また、還元剤溶液タンクに蓄えられた還元剤溶液の残量を 検出する残量検出手段と、この残量検出手段で検出される還元剤溶液の残量が所 定量まで減少したときに、還元剤溶液の補給を要する旨の警告を報知する警告報知 手段と、残量検出手段で検出される還元剤溶液の残量が所定量から少なくなつた際 に、その残量の減少に応じて徐々にエンジンの最高回転数を油圧ァクチユエータの 作動が可能となる範囲内の所定値まで低くなるように制限するエンジン回転数制限 手段とを備えたことから、還元剤溶液タンク内の還元剤溶液の残量が所定量以下と なったときには、エンジンの最高回転数を低下させることに伴って負荷が軽減された エンジンの排ガスの浄化を継続させることができるとともに、警告が報知されて作業性 が低下し、これらによって還元剤溶液の補給が促される。また作業性は還元剤溶液 の残量の減少に応じて徐々に低下させることができるので、作業の急激な変動を抑 えることができ、制限された範囲内ではあるが作業の継続が可能となる。したがって、 建設機械に好適な装置を実現させることができる。
[0075] 以下に、実施するための形態を図に基づいて説明する。
[0076] 図 8は本発明に係る建設機械の排ガス浄化装置の一実施形態を示す油圧回路図 、図 9は図 8に示す一実施形態に備えられるコントローラの要部構成を示すブロック 図である。
[0077] 図 8に示す本発明の第 1実施形態は、建設機械例えば油圧ショベルに備えられるも
のであり、この油圧ショベルは、エンジン 101と、このエンジン 101によって駆動される 可変容量油圧ポンプ 102とを備え、油圧ポンプ 102の吸収トルクがエンジン 101の出 力トルクを超えないようにトルク制御されるようになっている。また、エンジン 101の目 標回転数を指示する回転数指示装置 103と、油圧ポンプ 102の押しのけ容積を制御 するレギユレータ 104と、油圧ポンプ 102の最大吐出圧を規定するメインリリーフ弁 1 05と、エンジン 101の回転数を制御する回転制御手段 106と、回転数指示装置 103 で指示された目標回転数に応じた制御信号を回転制御手段 106に出力するとともに 、レギユレータ 104を駆動させる駆動信号を出力させるコントローラ 107を備えている
[0078] さらに、油圧ポンプ 102から吐出される圧油が供給される油圧駆動回路 108を備え ている。この油圧駆動回路 108には、ブーム、アーム等の作業機を駆動させるブーム シリンダ、アームシリンダ等の油圧ァクチユエータ、あるいは旋回体、走行体を駆動す る旋回モータ、走行モータ等の油圧ァクチユエータと、これらの油圧ァクチユエータの 作動を制御する方制御弁などの油圧機器が含まれている。
[0079] このような油圧ショベルに備えられる本実施形態に係る排ガス浄化装置は、ェンジ ン 101から排出される排ガス中の窒素酸化物を浄化する処理を行う排ガス制御手段 109と、この排ガス制御手段 109に供給される還元剤溶液、例えば尿素水を蓄える 還元剤溶液タンク、すなわち尿素水タンク 110と、この尿素水タンク 110に蓄えられた 尿素水の残量を検出する残量検出手段 111とを備えてレ、る。
[0080] また、残量検出手段 111で検出される尿素水の残量が後述の第 1所定量 Aまで減 少したときに、尿素水の補給を要する旨の警告を報知する警告報知手段、例えば警 報ランプ 112を備えている。
[0081] さらに、後述するように、残量検出手段 111で検出される尿素水タンク 110内の尿 素水の残量が第 1所定量 Aから少なくなつた際に、その残量の減少に応じてエンジン 101の最高回転数を、上述した油圧駆動回路 108に含まれる油圧ァクチユエータの 作動が可能となる範囲内の所定値まで低くなるように制限するエンジン回転数制限 手段を備えている。このエンジン回転数制限手段はコントローラ 107に含まれている
[0082] 図 9に示すように、コントローラ 7内には、残量検出手段 111から出力される検出信 号に応じて警報ランプ 112にオン信号、あるいはオフ信号を出力するオン'オフ信号 発生部 107aが備えられている。このオン'オフ信号発生部 107aは、尿素水タンク 11 0の残量が第 1所定量 Aになるまではオフ信号を出力し、残量が第 1所定量 A以下と なるとオン信号を出力する。
[0083] また、コントローラ 7内には、正常作業時においてエンジン 101の最高回転数を回 転数指示装置 103で指示された目標回転数に制御するエンジン回転数演算部 107 bが備えられている。
[0084] また特に、コントローラ 107には、関数発生部 107cと、この関数発生部 107cから出 力された信号 S1と上述のエンジン回転数演算部 107bから出力された信号 S2のうち の値の小さい方を選択して駆動信号としてレギユレータ 104に出力する最小値選択 部 107dとが備えられている。これらの関数発生部 107cと最小値選択部 107dとによ つて、上述したエンジン回転数制限手段が構成されている。
[0085] 関数発生部 107cは、尿素水タンク 110の残量が第 1所定量 Aになるまでは、通常 時のエンジン 101の最高回転数 Nに相当する信号 S1を出力し、残量が第 1所定量 A 以下となったときには、残量の減少に応じて徐々にエンジン 101の最高回転数を低 下させる信号 S1を出力し、残量が第 1所定量 Aよりも小さい第 2所定量 B以下に減少 したときには、例えば通常作業時のエンジン 101の最高回転数 Nの 70%となる制限 回転数 nに相当する信号 S1を出力する関数関係となっている。なお、上述した制限 回転数 nを与える第 2所定量 Bは、油圧駆動回路 108に含まれる油圧ァクチユエータ の作動が可能となる範囲内の所定値となっている。
[0086] このように構成した本実施形態は、尿素水タンク 110内の尿素水の残量が第 1所定 量 Aとなるまでは、十分な尿素水が排ガス制御手段 109に供給され、これにより、ェ ンジン 101から排出される排ガス中の窒素酸化物が浄化され、清浄な排ガスを排出 させること力できる。この間、残量検出手段 111の検出信号がコントローラ 107に入力 され、図 2に示すオン'オフ信号発生部 107aからオフ信号が警報ランプ 112に出力 され、警報ランプ 112は消灯状態に保たれる。また、関数発生部 107cからエンジン 1 01の最高回転数 Nに相当する信号 S2が出力され、最小値選択部 107dにおいて信
号 SIと信号 S2と力 、例えばエンジン 101の最高回転数 Nに相当する駆動信号が レギユレータ 104に出力される。これによりレギユレータ 104が作動し、油圧ポンプ 10 2の傾転角がエンジン 101の出力トルクを超えない範囲の最大ポンプ吸収トルクを与 免るように制卸される。
[0087] 上述の状態から、尿素水タンク 110内の尿素水が減少し、残量検出手段 111で検 出される尿素水の残量が第 1所定量 Αとなると、コントローラ 7のオン'オフ信号発生 部 107aからオン信号が警報ランプ 112に出力される。これによつて警報ランプ 112 が点灯する。さらに尿素水の残量が第 1所定量 Aから減少するに従って警報ランプ 1 12の点灯が維持されるとともに、関数発生部 107cから出力される信号 S1は尿素水 の残量の減少に応じてエンジン 101の通常作業時の最高回転数 Nよりも徐々に低い 回転数となり、例えばこの低い回転数が最小値選択部 107dで選択され、その低い 回転数に相当する駆動信号がレギユレータ 104に出力される。これにより、油圧ボン プ 102の傾転角が徐々に小さくなるように制御され、油圧ポンプ 102から吐出される 圧油の流量は徐々に減少する。
[0088] さらに尿素水タンク 110内の残量が減少し、残量検出手段 111で検出される残量 が第 2所定量 B以下となると、警報ランプ 112の点灯が維持されるとともに、関数発生 部 107cから出力される信号 S1は制限回転数 nに相当する値となり、この制限回転数 nが最小値選択部 107dで選択され、この制限回転数 nに相当する駆動信号がレギュ レータ 104に出力される。これにより油圧ポンプ 102の傾転角がさらに小さくなるよう に制限され、油圧ポンプ 102から吐出される圧油の流量は減少する。この状態に至 ると、油圧ァクチユエータの作動速度が正常作業時に比べて遅くなり、作業性が低下 する。
[0089] なお、上述のように尿素水タンク 110内の尿素水の残量が第 2所定量 B以下となつ ても、エンジン 101の最高回転数を制限回転数 nに低下させることに伴って負荷が軽 減されたエンジン 101の排ガスの浄化が継続され、清浄な排ガスを排出させることが できる。
[0090] 以上のように、本実施形態によれば、油圧ポンプ 102を駆動するエンジン 101から 排出される排ガス中の窒素酸化物を浄化する処理を行う排ガス制御手段 109と、こ
の排ガス制御手段 109に供給される尿素水を蓄える尿素水タンク 110とを備えたこと から、エンジン 101から排出される排ガスを浄化させることができる。
[0091] また、尿素水タンク 110に蓄えられた尿素水の残量を検出する残量検出手段 1111 と、この残量検出手段 111で検出される尿素水の残量が第 1所定量 Aまで減少したと きに、尿素水の補給を要する旨の警告を報知する警報ランプ 112と、残量検出手段 111で検出される尿素水の残量が第 1所定量 Aから少なくなつた際に、その残量の 減少に応じて徐々にエンジン 101の最高回転数を、油圧駆動回路 108に含まれる油 圧ァクチユエータの作動が可能となる範囲内の所定値まで低下させ、すなわち正常 作業時のエンジン 101の最高回転数 Nの例えば 70%の値である制限回転数 nまで 低下させる制御を行うエンジン回転数制御手段に含まれる関数発生部 107c、最小 値選択部 107dとを備えたことから、尿素水タンク 110内の尿素水の残量が第 1所定 量 A以下となったときには、エンジン 101の最高回転数を低下させることに伴って、負 荷が軽減されたエンジン 101の排ガスの浄化を継続させることができる。
[0092] また、これとともに、警報ランプ 112が点灯し、併せて作業性が低下するので、尿素 水の補給が促される。さらに、エンジン回転数制限手段の制御により、上述のように 作業性は低下するものの、その作業性は尿素水の残量の減少に応じて徐々に低下 するので作業の急激な変動を抑えることができ、また、制限された範囲内ではあるが 作業の継続が可能となる。したがって、この油圧ショベルに好適な装置を実現させる こと力 Sできる。
[0093] 図 10は本発明の別の実施形態に備えられるコントローラに含まれる関数発生部を 示す図である。
[0094] この別の実施形態は、エンジン回転数制限手段を構成するコントローラ 107に含ま れる関数発生部 107cの関数設定が上述した実施形態におけるものと異なっている。 その他の構成は上述した実施形態と同等である。
[0095] この図 10に示す別の実施形態に備えられるコントローラ 107の関数発生部 107cは 、尿素水の残量が第 1所定量 Aまでは、エンジン 1の最高回転数を通常作業時の最 高回転数 Nに設定し、残量が第 1所定量 Aよりも少なくなると、所定量 C1に至るまで はその残量の減少に応じて最高回転数を nlまで徐々に低下させ、その残量が所定
量 CIから所定量 C2まで減少する間は、上述の最高回転数 nlを維持させ、残量が 所定量 C2から第 2所定量 Bまで減少する間は、その残量の減少に応じて最高回転 数を制限回転数 nまで徐々に低下させ、その残量が第 2所定量 B以下となると、制限 回転数 nを維持させる関数関係に設定してある。すなわち、尿素水の残量が減少す るに従って段階的に最高回転数を、通常作業時の最高回転数 Nからこの最高回転 数 Nの例えば 70%の値である制限回転数 nまで徐々に低下させる関数関係に設定 してある。
[0096] このように設定された関数関係の関数発生部 107cを有するコントローラ 107を備え た別の実施形態も、尿素水の残量が減少するに従って、その残量に応じてエンジン 101の最高回転数を、油圧駆動回路 108に含まれる油圧ァクチユエータの作動が可 能となる範囲内で徐々に低下させるようにしてあることから、上述した実施形態と同等 の作用効果を得ることができる。
図面の簡単な説明
[0097] [図 1]本発明に係る建設機械の排ガス浄化装置の第 1実施形態を示す油圧回路図 である。
[図 2]図 1に示す第 1実施形態に備えられるコントローラの要部構成を示すブロック図 である。
[図 3]本発明の第 1実施形態で得られる特性を示す図である。
[図 4]本発明の第 2実施形態に備えられるコントローラの要部構成を示すブロック図で ある。
[図 5]本発明の第 2実施形態で得られる特性を示す図である。
[図 6]本発明の第 3実施形態を示す油圧回路図である。
[図 7]本発明の第 3実施形態に備えられるコントローラの要部構成を示すブロック図で ある。
[図 8]本発明に係る建設機械の排ガス浄化装置の他の実施形態を示す油圧回路図 である。
[図 9]図 8に示す他の実施形態に備えられるコントローラの要部構成を示すブロック図 である。
園 10]本発明の別の実施形態に備えられるコントローラに含まれる関数発生部を示 す図である。
符号の説明
1 エンジン
2 可変容量油圧ポンプ
3 回転数指示装置
4 レギユレータ
5 メインリリーフ弁
6 回転制御手段
7 コントローラ
7a オン'オフ信号発生部
7b ポンプ吸収トルク演算部
7c 関数発生部 (ポンプ吸収トルク制御手段)〔状態量制御手段〕
7d 最小値選択部(ポンプ吸収トルク制御手段)〔状態量制御手段〕
7e ポンプ吐出量演算部
7f 関数発生部 (流量制御手段)〔状態量制御手段〕
7g 最小値選択部 (流量制御手段)〔状態量制御手段〕
7h 関数発生部(吐出圧制御手段)〔状態量制御手段〕
7Ϊ 関数発生部(吐出圧制御手段)〔状態量制御手段〕
8 油圧駆動回路
9 排ガス制御手段
10 尿素水タンク(還元剤溶液タンク)
11 残量検出手段
12 警報ランプ (警告報知手段)
13 特性線
14 特性線
15 特性線
16 電磁弁(吐出圧制御手段)〔状態量制御手段〕
パイロットポンプ (吐出圧制御手段)〔状態量制御手段〕 エンジン
可変容量油圧ポンプ
回転数指示装置
レギユレータ
メインリリーフ弁
回転制御手段
コントローラ
a オン'オフ信号発生部
b エンジン回転数演算部
c 関数発生部 (エンジン回転数制限手段)
d 最小値選択部(エンジン回転数制限手段)
油圧駆動回路
排ガス制御手段
尿素水タンク(還元剤溶液タンク)
残量検出手段
警報ランプ (警告報知手段)