铸造方法及び装置 技術分野
本発明は鏺造技術分野に属し、 多結晶粒から成る柱状デンドライト組織 (D S材と 称す) 及び単一粒から成るデンドライト組織 (Mono-crystalあるいは S X材と称す) を 有する一方向凝固錄物、 及びエレク トロスラグ再溶融法 (E S R) 、 真空アーク再溶融法 ( V A R ) 等の再溶融法によるインゴッ明トの製造において主としてマクロ偏析欠陥を改善 するための鐯造技術に係る。 細 背景技術
〔一方向凝固錄物〕
本発明の技術分野である一方向凝固鎵物の典型的な例として航空機用ジェットェン ジン、 発電用ガスタービン等に用いられるタービンプレード材が挙げられる。 第 1図(a) に現在用いられている典型的な一方向凝固装置の概要を示す。 冷却チル底台上にセット されたセラミック踌型 (実際の鏺型は複雑な 3次元形状) に溶融金属を铸込んだ後、 铸型を高温保持された加熱炉から重力の方向に相対的に引抜き順次凝固させることに より多結晶柱状デンドライ ト組織 (D S材と称す) あるいは単一デンドライ ト組織 ( S X材と称す) を有する踌物が得られる。 図には引抜き途中の液相、 固液共存相 ( mushy zone) 及び固相を示す。 铸込装置、 真空容器等の実際の装置の詳細は示さな い。 タービンブレードは過酷な条件下で使用されるため、 高温強度等耐熱性に優れた N i基超合金が主要な材料として用いられている。 しかしながらこれらタービンプレードに はフレックルと呼ばれるチャンネル偏析、 不整方位結晶粒 (mi sori ented grain defects) 、 ミクロポロシティ等の錄造欠陥を生じ製品歩留まりを低下させる要因となつ ている (例えば文献 1の p. 321参照) 。
フレックルの成因に関して現在定性的に以下のごとく考えられている。 N i基超合 金の特徴の一つは合金素地である《V相に整合的に析出する γ,相 (ガンマプライムと呼ば れる N i 3 ( A l, T i ) を基本組成とする金属間化合物) を有することであり、 一般に
γ,の体積率が増すほど高温強度は上昇する。 しかしながら、 N iよりも軽い A l、 T i 、 W等を含む合金においては、 凝固の進行につれてこれらの元素が濃化するデンドライト 間液相の密度は小さくなる。 従って、 このような合金を重力の方向と逆向きに凝固させる 場合、 固液共存相底部すなわちデンドライト根元の液相の密度は固液共存相と液相の境界 すなわちデンドライト先端の液相の密度に比べて相対的に小さくなる。 [このような合金 を本明細書では対流に対して '溶質不安定' と呼ぶこととする。 ] 一方、 温度分布はデン ドライトの根元の方が先端よりも低く従って密度も大きいので対流を引き起こさない。 す なわち、 '熱的に安定' である。 溶質不安定度が熱的安定度よりも大きい場合、 密度逆転 層が形成され固液共存相における液相はこの密度差に基因する上昇流を生じフレックル ( freckle) と呼ばれるチャンネル偏析を生じやすい。 また、 デンドライト成長が破れ不整 方位結晶を生じやすくなる。 [このような合金を本明細書では '浮上型合金' と呼ぶこと とする。 ] N i基超合金プレードに生ずるフレックルはこのような密度差に基づく上昇流 によって生ずるものと理解されている。
現在、 これら铸造欠陥を低減させるため加熱保持温度、 引抜き速度、 輻射冷却能等 の鐃造条件の改善あるいは N iよりも重い T a等の元素を添加し成分調節を行う等多大な 試行錯誤的改良努力が払われているが未だ不充分である。 従ってこのような铸造欠陥を解 消する技術が強く要望されているのが現状である。
[再溶融法によるインゴッ ト製造]
エレク トロスラグ再溶融法 (E S R ) 、 真空アーク再溶融法 (V A R) 等の再溶 融法によるィンゴット製造においては液相プール及ぴ固液共存相の深さは比較的浅い という特徴を持っている。 前記一方向凝固法においては側面からの凝固は抑制されて いるが、 これら再溶融法では錶型 (通常水冷銅鎳型が用いられる) からの抜熱により 側面からも凝固が進行する点が異なる。 E S Rあるいは V A Rによる N i基超合金の 製造においてフレックル (チャンネル偏析) をはじめとするマクロ偏析が生ずること はよく知られている (例えば文献 2参照) 。 これらの再溶融法においては前述の浮上 型合金はもちろんその逆の沈降型合金 (すなわち凝固の進行とともにデンドライト間 溶質濃化液相の密度が大きくなる合金) においても上記偏析欠陥を生ずる。 これらの
铸造欠陥を低減させるため、 液相プール深さをできるだけ浅くするような (特に沈降 型合金に対して有効) あるいは冷却速度を増すような冷却条件、 溶解速度等の錄造条 件の設定あるいは化学成分調整を行っているが、 ィンゴットの断面積が大きくなると 上記偏析欠陥の生成は避けられない。 このため、 前記 N i基超合金タービンディスク 、 F e基合金発電用タービンローター等に用いられるインゴッ トの製造においてでき るだけ径が大きく偏祈の少ないインゴッ トを安定して製造する技術が強く要望されて いる。 発明の開示
本発明は一方向凝固铸物及び E S R、 V A R等の再溶融法によるインゴッ トの铸 造プロセスにおいて、 主として固液共存相内の液相の流動によって生ずるフレックル 等のマクロ偏析欠陥のない高品質鎳造品を製造するための踌造技術を提供しようとす るものである。
本発明は前記铸造プロセスにおいて、 特に固液共存相における液相の流動現象に 着目し、 前記固液共存相全域に対して強磁場を印加することによって当該相内におけ るデンドライ ト間極低速液相流れを抑制できることをはじめて明らかにし、 これによ つてフレックル等のマク口偏析を解消するものである。 図面の簡単な説明
第 1図は具体例 1における一方向凝固法の概要を示す図であり、 図(a)は従来の 製法による概要を、 図(b)は本発明に係る製法の概要を示す。
第 2図は N i -10wt% A 1合金及ぴ IN718合金の凝固中における温度と固相体積 率の関係である(IN718に関して文献 1 0の Figurel参照)。
第 3図は N i -10wt% A 1合金の凝固中における液相溶質濃度変化を示す図であ る。
第 4図は IN718合金の凝固中における液相溶質濃度変化を示す図である(文献 1 0の Figure2参照)。
第 5図は N i -10wt% A 1合金及ぴ IN718合金の凝固中における液相密度変化を
示す図である。
第 6図は具体例 1における N i -10wt%A 1合金丸一方向凝固インゴットのフレ ックル偏析に及ぼす軸方向印加磁場 Bzの効果を示す A 1濃度等高線図である。 図 (a ) は Bz=0、 図 (b) は Bz= 5(Tesla)、 図 (c) は Bz=10 (Tesla)の場合であり図 (d) はこれらのインゴッ トの; RR' 断面 (底面より 91.9mm) における Bzの効果を 示す。
第 7図は第 6図と同じインゴッ トの凝固途中 (1 8分後) の固相率分布を示す図 である。 図 (a) は全断面を、 図 (b) は外周部の拡大図を示す。
第 8図は第 6図と同じインゴッ トの凝固途中 (18分後) における液相流れを示 す図である。 図 (a) は Bz=0、 図 (b) は Bz= 10 (Tesla)の場合である。
第 9図は具体例 2における N i -10wt% A 1合金角一方向凝固ィンゴッ トのフレ ックル偏析を示す A 1濃度等高線図である。 図 (a) は横断面 (底面より 86.6mm) 及ぴ図 (b) は縦断面 (Y方向端面) におけるフレックルを示す。
第 10図は第 9図と同じインゴットの Y方向末端縦断面における 20分後の (a ) A 1のフレックル偏析及び固相率分布、 (b) 固液共存相及ぴ液相における流れ場 及び固相率分布を示す。 図中の等高線は固相率 0.2、 0.4、 0.6及ぴ 0.8を表す。 背景の 上部灰色は液相、 薄い灰色は固液共存相及ぴ下部の濃い灰色は固相を表す。 速度べク トノレは normalizeされている。
第 1 1図は具体例 2における N i -10wt%A 1合金角一方向凝固インゴッ トのフ レツクル偏析に及ぼす軸方向磁場 Bzの効果を示す A 1濃度等高線図である。 図 (a) は Bz = 0、 図 (b) は Bz=3Tesla、 図 (c) は Bz= 5 Teslaの場合を示す。 図 (d ) は XX' 断面 (底面より 91.9mm、 Y方向端面) における偏析抑制効果を示す。
第 12図は具体例 2における N i -10wt%A 1合金角一方向凝固インゴットのフ レツクル偏析に及ぼす Y方向磁場 (By=3Tesla) の効果を示す A 1濃度等高線図で ある。 図 (a) は XX' 横断面 (底面より 91.9mm) 、 及ぴ図 (b) は Y方向端面にお ける偏析を示す。
第 13図は具体例 3における N i -10wt%A 1合金薄板一方向凝固铸物のフレツ クル偏析に及ぼす縦方向磁場の効果を示す A 1濃度等高線図である。 図 (a) は Bz =
0、 図 (b) は Bz= lTesla、 図 (c) は Bz= 2 Teslaの場合である。 それぞれの図 において縦断面は Y方向端面、 横断面は XX' 横断面 (底面より 91.9mm) を示す。
第 1 4図は具体例 4における IN718合金再溶融プロセスィンゴッ トの中心部フレ ックル偏析に及ぼす軸方向磁場 Bzの効果を示す Nb濃度等高線図である。 図 (a) は Bz=0、 図 (b) は Bz= 5Tesla、 及ぴ図 (c) は Bz= 1 0 Teslaの場合である。
第 1 5図は第 1 4図において磁場なしのときの RR' 断面 (底面より 1068.8mm ) における各合金元素の偏析分布を示す図である。
第 1 6図は第 1 4図 RR' 断面 (底面より 1068.8mm) における Nbの偏析抑制効 果を示す図である。
第 1 7図は再溶融プロセスにおける本発明の適用例を示す図である。 図 (a) は
ESR プロセスへの適用例、 及ぴ図 (b) は VARとスラグ精練と静磁場を組合わせた 適用例である。
第 1 8図は本発明に係る DCコイル 5のいくつかの例を示す図である。 図 (a) はソレノイド型、 図 (b) は 1ユニットコイル、 図 (c) は 2ユニットコイル (ヘル ムホルツ型またはこれに順ずる型) を示す。 図 (d) は重力の方向に交差する方向に 磁場を印加する場合のレーストラック型 1ユニッ トコイル、 及ぴ図 (e) はレース ト ラック型 2ュュットコイルを示す。
第 1 9図は具体例 3における N i -10wt%A 1合金薄板一方向凝固において磁場 を印加しない場合の A1濃度分布を示す。 図 (a) はス トレート、 126mm長、 図 (b ) はテーパー付き 126mm長、 図 (c) はス トレート、 252mm長の場合である。
第 2 0図は第 1 9図 ( b ) テーパー付き薄肉イ ンゴッ トの引出し開始から 1005sec後 (底面より 45mm) における mushy zone内の流れ場及び固相率 (0.2から 1.0まで 0.2キザミ) 分布を示す。 右端の legendは速度範囲を示す。
第 2 1図は第 1 9図 (b) テーパー付き薄肉インゴッ ト一方向凝固に対して軸方 向磁場を印加したときのマクロ偏析抑制効果を示す。 図 (a) は Bz = 0.5Tesla、 図
(b) は 3Tesla、 図 (c) は 5Teslaの場合である。 横断面は位置 XX'における分布囡 である。
符号の説明
: L. エレクトロード(消耗電極)
2. 溶融スラグ
3. 断熱性耐火物スリーブ
4 · "-"タ' "-
5. 軸方向静磁場または横方向静磁場を印加するための DCコイル
6. 水冷铸型
7. インゴッ ト
8. 水冷底台
9. 受台
10.真空または不活性ガス雰囲気
11.磁気シールド
A. マクロ偏析形成のメカニズムについて
フレツケル偏析をはじめとする種々のマクロ偏析は固液共存相における液相の流 動に起因することはよく知られている。 この流動を生ぜしめる駆動力として、 凝固収 縮、 デンドライ ト間液相の密度差による対流、 電磁力等外部からの力等があるが、 本 発明においては密度差による対流が特に重要である。 先に定義した浮上型合金となる かまたは沈降型合金となるかあるいはこれらの混合型合金 (液相密度が凝固の進行と ともに減少し再ぴ増加するあるいはその逆となる合金) となるかは合金成分によって 決まり、 錄造プロセスによって特有のマクロ偏析を生ずる。
B. 磁場による流動抑制効果
静磁場による流動抑制の原理について以下簡単に述べる。
電磁流体に関するオームの法則よりベタトル表記すると
σは導電性溶融金属の導電率 (1/Ωπι) 、 Vは溶融金属の流速ベクトル (m/s) 、 Bは
外部印加磁束密度べクトル (Tesla) 、 Eは誘導電場の強さべク トル (V/m) 及ぴ Jは 誘導電流密度ベク トル (A/m
2) である。 電流場に関する連続条件より
V J = 0 (2) . 電位を φ (V) とすると
C = ~ ψ (3) .
Jと Βによって生ずる電磁力 (Lorentz力) f (N/m3) は次式で与えられる。 T = J X B (4)
上記の式はいずれもよく知られた式である。
( 1) 式及び (3) 式を (2) 式に代入すると (5) 式が得られる。
( 5 ) 式を解いて ψを求め、 (1 ) 及び (3 ) 式より Jを求め、 続いて (4 ) 式より Lorentz力 f すなわち電磁制動力を算出できる。 ただし vは運動方程式を含む後述の数値 解析により計算する必要があり、 流れ場と電磁場は高度な連成関係を有している。
C. 凝固解析手段
凝固現象を解析するために本発明者が開発した汎用凝固シミュレーショ ンシステ ム (システム名 C P RO) による数値解析方法の概要を以下に述べる。
凝固現象を記述するための物理変数は温度、 凝固中液相及び固相中に再分配され る元素の濃度 (合金元素数分、 n個とする) 、 温度と固相率の関係を与える液相温度 、 液相及ぴ固液共存相における.液相の流速 (3つのベク トル成分) 及び圧力によって 与えられる。 これらを本明細書では巨視的スケールにおける物理変数と呼ぶ。 これら
η + 6個の物理変数に対応する支配方程式を表 1に示す c 表 1 物理変数と支配方程式の関係 (nは合金元素数)
固液共存相における流れは Darcyの式 (6 ) によって記述されることが知られている
(文献 3の p.234参照) 。 Darcy流れ現象は表 1の運動方程式中に流動抵抗項として 含まれている。 v =—— (-V + X) ( 6 ) ここに、 ベクトル vはデンドライ ト間の液相流れ速度、 μは液相の粘度、 g Jま 液相の体積率、 Kは透過率、 Pは液相の圧力、 Xは重力、 遠心力等の物体力ベク トル である。 なお、 Xは本発明において導入される電磁制動力も含むことに留意されたい 。 Kはデンドライ トの幾何学的構造によって決まり Kozney-Carmanの式 (文献 4参 照) より次式で与えられる。 ひ— S)^
_ f 2 ( 7 )
S bはデンドライ ト結晶の単位体積あたりの表面積 (比表面積) であり、 無次元定数 f は多孔質媒体中の流動実験により 5の値を持つことがわかっている。 透過率 Kはデ ンドライ トめ成長時における形態解析 (本明細書において微視的スケ一ルと呼ぶ) に より求められる。 凝固は液相及ぴ固相における一種の拡散律速過程であることからデ ンドライ トを円柱形の枝及び幹と半円球の先端部からなるモデル化を行い固相及び液 相における溶質の拡散方程式を解いて求めた。 なお、 デンドライ トの方向による の
異方性はないものと仮定した。
以上、 巨視的スケールにおける物理変数はすべて相互作用を有しており、 さらに 微視的スケールにおけるデンドライ ト成長とも深く関わっているので繰返し収束計算 を行った。 本数値解析法については本発明者出願の文献 5 : 日本国特許第 3 7 4 7 2 1 6号ならびに US Patent 6241004B1において詳細に記述されている。 さらに、 前 記磁場による電磁制動力の影響を当該数値解法に組み入れた。 これにより電磁制動力 の効果を考慮に入れた凝固現象を完全に記述することができる。 ただし、 固液共存相 における固相は動かないものと仮定した。 発明を実施するための最良の形態
A . 具体例 1 : N i - 10wt% A 1合金丸インゴッ トの一方向凝固におけるマクロ 偏析
第 1図 (a ) に一般的な一方向凝固装置の概略図を示す。 誘導コイルによりサセ プタを加熱し輻射熱によりセラミックモールドを加熱保温する一方、 水冷チルでイン ゴットを冷却しながら铸型を下方へ引出すことにより一方向凝固させる (あるいは铸 型を固定し、 加熱炉を上昇させてもよい) 。 Giameiと Kear (文献 6参照) は浮上型 Ni基超合金 mono-crystal丸ィンゴットにおいて外周部にフレックル (freckle)と呼ば れるチャンネル偏析を生ずることを示し (同文献の Fig. 1〜 4参照) 、 丸インゴッ ト の径が大きくなるに従いフレックルが多く発生する、 すなわちサイズ効果のあること を明らかにした (同文献の Tablell参照) 。 さらに、 同じく浮上型 N i - 10wt% A 1 合金の 1. 5インチ (38. 1mm) 径 mono-crystalインゴッ トにおいて外周部にフレック ルを生ずることを示した。 これらのデータを参考にして、 計算に用いたインゴットの サイズ及ぴ铸造条件を表 2に示すごとく設定した。 また、 化学成分及ぴ物性値を表 3 に示す。 なお、 同文献に照らしてインゴッ ト外周部にフレックルが生じるようデンド ライ ト比表面積 S bの補正係数 α =0. 4に調整した。
铸造パラメータ
Ni-10A1 丸、 角及ぴ薄板インゴッ ト IN718 再溶融法による丸インゴッ トの 一方向凝固 凝固
インゴッ トの寸法: ィンゴッ トの寸法:
丸 68mm φ x 1 O26mmi¾ 丸 600mm 1500ramr¾
角 60mm角 12bmmt¾ モールドの寸法:
(丸及ぴ角の両者は等価断面積) 仮想モールドの厚さ =20mra
薄板 6mm厚 X 60讓巾 X 126mmr¾ 仮想底台の厚さ =37mm
モールドの寸法: (熱物性値はいずれもイン ットと同じ) セラミックモールト、、の i?さ =5mtn 仮想モールドの初期温度 =1242 底台の厚さ =1.75mm 仮想底台の初期温度 = 1242°C
(底台の熱物性値はインコ"ットと同じ) 铸造温度 (°C) :
踌造温度 (°C) : 13 II44 (過熱度 = 10°C)
1420 (過熱度 =20で) 溶解速度: 800 [Kg/hr]
51出し速度: 5mra/min モールド外面からの熱流束:
ο
輻射加熱領域の熱流束: q = h(T -TO ) [cal/cra2sec]
h (熱伝達係数) =0.01 [cal/cm2sec°C] ε (放射率) =0.05 T (モールド外面温度)
薄板に対し ε (放射率) =0.005 Τ0 (室温) =293K B
σ (ステフアン'ホ、 ッマン定数) インゴット底台からの熱流束:
Τ (サセフ。タの温度) =1693Κ
Tm (セラミックモ- "の表面温度、 K) h (熱伝達係数) =0.05
輻射冷却領域の熱流束:
Τ (底台外面温度)
ε (放射率) =0.10 溶湯表面からの熱流束:なし 薄板に対し ε (放射率) -0.01
Tm (セラミックモ ルト"の表面温度、 K)
T0 (室温) -293K
インゴット底台からの熱流束:
q = h (T - TO) [cal/cm2sec]
h (熱伝達係数) =
0.002[cal/cm2sec<C]
底台の予熱温度 = 1350で
セラミックモ -ル 、の予熱温度 = 1420°C
溶湯表面からの熱流束: なし
第 2図に非平衡凝固 (固相中の拡散なし、 液相中の完全拡散) の仮定の下に N i -10wt%A 1合金の温度と固相体積率の関係を計算したグラフを示す。 本合金は平 衡状態図より 1385^で共晶を生ずる。 A 1元素は凝固の進行とともに固液界面から液 相に排出されるのでデンドライト間 A 1液相濃度は上昇する。 この様子を第 3図に示 す。
ここでデンドライ ト間液相密度は液相中の合金濃度 C , C2 L, · · ·、 及び温 度 Tの函数として表されることから (表 3中の pL式参照) ρ^ρ^Ο^,Ο^,-,Τ) (8) 。
(8) 式を用いて凝固中における N i -10wt%A 1の pLを計算した結果を第 5図に示 す。 同図より当該合金は "浮上型" であることがわかる。
計算に用いたインゴットの要素数は半径方向 29x軸方向 71 = 2059である。 計算 結果を第 6〜 8図に示す。 第 6図 (a) 〜 (c) はマクロ偏析の分布状態を等高線表 示した図であり、 第 6図 (d) は K ' 位置 (底面より 91.9mm) における半径方向 分布 示す。 第 6図 (a) より磁場を印加しない通常のインゴッ トにおいて外周部に フレックルを生じている。 マクロ偏析の程度を C/C oにより評価する (Cは計算濃 度(wt%)及ぴ C oは初期濃度(wt%)) 。 C/C o > lは正偏析、 C/C oく 1は負偏 析を示す (C o =10 wt%である) 。 フレックル部において C/C o最大値 =1.14の正 偏析を生じている。 また、 フレックル近傍において濃度の減少が認められる (第 6図
(d) 参照) 。 磁場は軸方向に一様な強度の磁場を印加した。 これらの図より、 Bz = 3 (Tesla) 以下では偏析低減効果はなく (結果示さず) 、 5 (Tesla)で C/ C o最大 値 =1.08と約半減し、 100¾81&)でじ/じ 0最大値=1.015と実質的に偏析はなくなつ た。
上記磁場を印加しないインゴットに生ずるフレックルは固液共存相における液相 の流動パターンに基因するものである。 18分後の液相及ぴ固液共存相 (mushy zone ) における流動パターンを第 8図(a)に示す (凝固時間は 29.2分) 。 外面からの抜熱 により mushy zoneの形が影響を受けていることがわかる。 mushy zone中の流れは
T JP2007/059353
13 高固相率側 (下側) の低密度液相の "浮力" の影響を受け全体として中心部から外周 へ向かっており、 外周において上昇流を生じている。 すなわち、 外周においては温度 の低い高溶質濃度の液相が上側のより高温低溶質濃度部へ流動する結果、 (たとえ再 溶解までに至らなくとも) 凝固が遅れ、 液相が通りやすくなる (透過率 Kが小さくな る。 (7 )式参照) 。 すなわち液相の通路、 チャンネルが形成される。 第 7図の外周部 において固相率が内側よりも低下しているのはこのためである。 [チャンネル偏析形 成のメカニズムに関しては前記文献 3の p. 249に詳しく書かれている] 。 このような チャンネル部では一方向デンドライ ト組織はブレークダウンして等軸晶となり、 內側 よりも凝固が遅れるので凝固収縮によるポロシティを伴う。
軸方向磁場の強度を増していくと、 半径方向の流れは抑制され外周部のチャンネ ル流れがなくなる結果、 偏析は生じない。 Bz= 10 (Tesla) の流動パターンを第 8図 ( b ) に示す。 外周においてわずかに上昇流が認められるが流れは極めて弱く、 半径 方向の流れはほぼ完全に抑制され軸方向のみの流れ (凝固収縮流) となっている。 こ のように、 凝固収縮による液相捕給を保持しつつ、 チャンネル偏析を形成するような 重力方向以外の流れ (対流あるいは局所的に乱れた流れ) のみが抑制されるという現 象は興味深い。 ここでは紙面の節約のため示さないが、 この現象は重力の方向と直角 な水平一方向凝固あるいは重力方向と同じ向きの一方向凝固 (上から下への凝固) の 場合においても認められた。 また、 液相において見られた顕著な対流が抑制される結 果 mushy zoneの幅が広がっている。 静磁場印加によるこれらの特徴は DS材、 そして 特に SX材の製造に有利に働く。 すなわち、 デンドライ ト不整方位結晶欠陥の発生が抑 えられる効果を生み安定成長を促進する。
B . 具体例 2 : N i - 10wt% A 1合金角インゴッ トの一方向凝固におけるマクロ 偏析
フレックル生成に及ぼす印加磁場の方向の影響を調べるため角インゴットについ て計算した。 角断面の寸法は具体例 1と等価な断面積を有する 60ηπη角とした。 他の 踌造パラメータはすべて丸インゴッ トの場合と同じである (表 2参照) 。 計算は対称 性を考慮し 1 4断面について行った。 インゴッ トの要素数は X方向 18 χ Υ方向 18 χ
Z方向 71 = 23004。
磁場を印加しない通常のインゴットのマクロ偏析を第 9〜 1 1図に示す。 第 9図 (a ) 及び (b) に示すごとく、 フレックルは外周部において縦方向に生じており、 ほぼ等間隔に並んでいる。 CZC o最大値は約 1.18である。 凝固途中の 20分後にお ける偏析形成状況を第 10図 (a) 及び (b) に示す (凝固時間は 28.5分) 。 具体例 1と同様、 mushy zoneにおいてフレックル近傍の液相が流入しチャンネルに沿って 上昇し (第 1 0図 (b) 参照) 、 凝固の遅れを生じている (同図中の等固相率線参照 ) 。 この上昇流によりフレックルを生じる (第 10図 (a) 参照) 。 軸方向磁場によ る偏析抑制効果を第 1 1図に示す。 第 1 1図 (a) 、 (b) 及び (c) は Y方向端面 における縦断面マクロ偏析を、 第 1 1図 (d) は図 (a) における XX' (底面から 91.9mm) に沿う A 1濃度分布を示す。 これらの図から Bz= l (Tesla).では効果は 小さく、 Bz=3 (Tesla) 以上で偏析は実質的になくなる。 mushy zoneにおける流 動パターンも具体例 1と同様横方向の流れは抑制され、 すべて軸方向下向きとなった (簡単のため図示せず) 。
次に Y方向(水平方向)に一様な磁場を印加した場合の一例を第 1 2図に示す (By
= 3 Tesla) 。 Bz= 3 (Tesla) と比べてわずかに効果的であるが実質的に同じと言 つてよい。 このことから mushy zone中の流動抑制挙動は磁場の方向に依らず実質的 に同じであることがわかった。 ただし、 インゴットと铸型境界の電気的境界条件は絶 縁とした。
C. 具体例 3 : N i - 10wt%A 1薄板インゴッ トの一方向凝固におけるマクロ偏 祈
背景技術で述べたタービンブレードは薄肉部を有する複雑な形状をしている (例 えば文献 1の p.320、 Fig.1及ぴ ρ· 321、 Fig.5参照) 。 この点を考慮し、 本具体例 においては肉厚 6mm、 巾 60 mm及ぴ長さ 126mmの薄板一方向凝固について磁場の 効果を検討した。 錄造条件を表 2に示す。 側面からの凝固を防止するため前記丸及ぴ 角インゴットに比べて側面からの抜熱速度を 1Z10に落とす以外同じ条件に設定した
計算は対称性を考慮し 1 / 4横断面について行った。 ィンゴットの要素数は X方向 18 x Y方向 5 x Z方向 71 = 6390。 第 1 3図に計算結果を示す。 磁場を印加しない通常の インゴッ トの場合、 巾方向端面、 特にコーナー部にフレックルを生じている (第 1 3 図 (a ) 参照) 。 軸方向磁場を 1、 2及び 3 (Tesla) 印加したところ、 2 (Tesla ) で実質的に偏析はなくなつた (第 1 3図 (b ) 、 ( c ) 参照) 。 図より、 Bz= 0の とき C / C o最大値 = 1. 13、 l (Tesla)で C / C o最大値 = 1. 022となり 1 (Tesla)で充 分効果がある。
また、 巾方向 (X方向) 及び肉厚方向 (Y方向) にそれぞれ一様磁場を印加した ところ軸方向印加とほとんど差は認められなかった (簡単のため示さず) 。
次に、 铸造条件及びプレードの形状を変化させてこれらの影響について調べた。 铸造条件については引出し速度を表 2の 5mm/minから 1.667mm/ininへ落し、 凝固速 度温度区間の温度勾配が約 45°C/cm (プレード長の中間位置) となるようサセプタ温 度 = 1773K、 S (放射率) = 0.05、 輻射冷却領域の S (放射率) =0.02、 底面の h ( 熱伝達率) - 0.001に設定した (以上の錶造条件は実際に行われている範囲に入って おり、 ここでは計算の便宜上設定したものである) 。 上記一定速度で引出した場合、 温度勾配は凝固の前半で約 50°C/cm、 後半で約 25°C/cmへ低下する。 なお、 S X材の 製造に必要なセレクタ部などは省略している。
実際のブレードの横断面形状は曲面でありプレード肉厚内部に中子を含むなど、 厚さも一様でないことを考慮し、 横断面にテーパーを付けた (以降テーパー材と呼ぶ 。 テーパーなしはストレート材と呼ぶ) 。 ただし、 ここでは肉厚変化の影響を概略検 討することを目的として横断面中央部で厚さ 6mm、 両端で 3mmとし、 1/4対称断面を 計算領域とした。 従って実際のブレード断面形状とは異なる。 中子は無視した。 また 、 プレード長さを 2倍にした (252mm長) 場合についても計算した。 以上 3種類の ブレードについてストレ一ト、 126ππη長ブレード (要素数 6390) 及ぴテーパー、 126mm長ブレード (要素数 5751) に対して上記鎳造条件を適用する一方、 ス トレー ト、 252mm長プレード (要素数 12780) に対しては輻射冷却の £ = 0.01とする以外 他の条件は同じ値に設定した。
計算結果を第 1 9図〜第 2 1図に示す。 第 1 9図に磁場を印加しない通常の一方
向凝固における凝固完了後の Al濃度分布を示す。 縦断面図は肉厚中央部、 及び横断面 図は XX'位置における分布図である。 いずれのインゴットにおいても具体例 1 (丸ィ ンゴット、 第 6図参照) 及び具体例 2 (角インゴッ ト、 第 9図参照) に見られる外周 部ではなくむしろインゴット内部にフレックルを生じている。 これはサセプタからの 加熱によりインゴットの表面と内部でほとんど温度差がなくなつたためと考えられる
(外周部がわずかに高い) 。 また具体例 1及ぴ 2ではフレックルが上端まで長く伸ぴ ているのに比べて、 かなり短くなつている。 テーパー、 126mmインゴッ トでは内部 、 特に肉厚の厚い部分により顕著にフレックルを生じている。 引出し開始から 1005sec後の縦断面中央部における mushy zoneの形状及び榭枝晶間流れを第 2 0図 に示す (nmsliy zone內の流動パターンのみ示す) 。 図中の横線は固相率 0.2から 1.0 まで 0.2間隔の等固相率線である。 フレックル発生位置 (底面より 45mm) における 流速は 3 x l0-2cm 、 横方向流速は 10-3cm /sのオーダーである。 中心肉厚部から端 面薄肉部に向って mushy zoneが若干傾いており、 榭枝晶間液相流れは端面から中心 に向い、 フレックルを生ずる部分で強い上昇流を生じているのが認められる。 また、 等固相率分布よりフレックル部では凝固が周囲より遅れることがわかる。 ブレード長 を 2倍にしたス トレート、 252mmインゴッ トではフレックルはより顕著に現れる ( 第 1 9図 (c ) ) 。 フレックルもより長くなる。
以上 3種類のインゴッ トに対して軸方向に Βζ = 0·5、 1.0、 3.0及ぴ 5.0 (Tesla) の磁場を印加したところ、 いずれのインゴットにおいても 0.5 (Tesla) でフレックル は消滅し、 3 (Tesla) で引けを生ずるインゴット上端及ぴセレクタあるいは種結晶に つながる下端を除く製品部のマクロ偏析は A1- 9.95〜: 10.04 (wt%) へと実質的に問 題ないレベルまで改善した。 第 2 1図にテーパー、 126mmインゴットについて Bz = 0.5、 3及び 5Tの磁場を印加したときの効果を示す。 いずれのインゴットにおいても フレックルの生成はなく、 薄肉側 (右端) の負偏析が磁場の増加とともに減少してい るのがわかる。 これは第 2 0図に示したような横方向極低速流れが抑制されるためで ある。
以上のごとく、 フレックルの生成する場所及び形態は加熱 .冷却条件、 引出し速 度等の錶造条件、 ブレードの形状などにより変化するがどのような場合であれ強磁場
を印加することにより無くすことができる。
D . 具体例 4 : IN718N i基超合金の再溶融プロセスにおけるマクロ偏析 計算に用いた本合金の化学成分及ぴ物性値を表 3に示す。 化学成分、 及ぴ多元系 平衡状態における温度一液相及び固相濃度の関係については文献 1 0の Fig. 1〜 3よ り再生した。 従って温度と固相率の関係 (第 2図参照) 、 凝固中の液相溶質濃度変化 (第 4図) の計算結果は同文献 1 0と同じである。 また前記 (8 ) 式による液相密度 の変化を第 5図に示す。 第 5図より当該合金は "沈降型" 合金であることがわかる。
Van Den Avyleらは前記文献 2において IN718及ぴこれに似た Alloy 625 Ni基 超合金の再溶融プロセスにおいてそれぞれ半径方向中間部にフレックル及び中心部に
"中心" フレックル偏析を生ずることを報告している。 これらの再溶融プロセスにお いては側面からの抜熱により mushy zoneの形状が中心に向かって深くなるため IN718のような沈降型の場合でもチャンネル偏析を生ずる。 本明細書で用いた IN718 の化学成分は同文献 2の IN718よりもむしろ、 近似的に Alloy 625と見なされる。 同 文献 2を参考に、 インゴッ トのサイズ及ぴ錶造パラメータを表 2に示すごとく設定し た。 铸造方法は静置した錄型に一定の溶解速度で铸造する方式とした。 実際の操業で はィンゴットと水冷銅铸型境界における熱移動はエアギヤップの生成等により大きく 影響されるので熱的境界条件を精度良く設定することは難しい。 そこで、 計算の便の ため、 インゴッ トの底面及ぴ側面に仮想的な hot plate及び hot sleeveを設け (熱物 性値はインゴッ トと同じと仮定する) 、 上記文献 2を参考に液相プールの形状等実際 の凝固状況に近づけるようこれら铸型外面からの熱伝達係数を調整した。 また、 同文 献 2のフレックル発生状況を参考にしてデンドライ ト比表面積 S b の補正係数ひ = 0.6 に設定した。 インゴットの要素数は半径方向 40 X軸方向 120 = 4800である。
計算結果を第 1 4〜 1 6図に示す。 第 1 4及び 1 6図は Nbの濃度等高線を、 第 1 5図は磁場を印加しない場合の各元素の半径方向濃度分布を示す (底面より 1068.8mmの位置) 。 第 1 4図 (a ) に示すごとく、 上記文献 2の Alloy 620に発生 する中心フレックルを生じている。 なお、 本具体例の IN718では半径方向中間におけ る通常のフレックルは生じなかった。 これらの結果は同文献 2の見解とよく一致して
おり、 本明細書で述べた数値解法の妥当性を示すのものである。 第 1 5図より 1より 小さい平衡分配係数も持つ Al、 Ti、 Nbと 1より大きい分配係数の Cr、 Feではそれぞ れ正及び負の偏析を生じる。 軸方向磁場を Bz= 3〜10 (Tesla) に変化させて計算し た結果、 Bz= 10 (Tesla) で問題ないレベルまで偏析を抑制できることがわかる (第 1 4及び 1 6図) 。 以上の具体例 1〜4においてマクロ偏析は固液共存相におけるデンドライ ト間液 相流れによって生じるものであり、 その流動パターンが最も重要であることを具体的 に示した。 さらに本発明者は固液共存相全体に対して強磁場を印加することによりマ クロ偏析形成の原因となるデンドライ ト閬極低速液相流動を抑制することができるこ とを初めて示し、 これによりフレックル等のマクロ偏析を抑制できることを明らかに した。 このように溶融金属に対する電磁制動現象は古くから知られているがマク口偏 析を解消できることを示した例は本発明者の知る限り見当たらない。
以下、 本発明による電磁ブレーキ効果の考察及び本発明の要点について述べる。 ( 1 ) 今、 重力の方向と直角な横方向 (X方向とする) に一様な速度 Vで流れる電磁 流体を考える。 この状態に V及ぴ重力方向に対して直角方向の磁場 Bを印加したとき の電磁制動力は -び で与えられる。 ただし、 金属の場合電気伝導率 σが大き いので前記(1 )式中の Ε = 0と見なした。 このとき運動方程式は次式で表される。
dv n,
ρ—- = -σΒ ν ( 9 ) a t 上式を積分して時刻 t = 0のとき初期速度 V = v 0とすると次式が得られる。
ここに単位系は v (m/ s ) 、 σ ( l/ Q m) 、 B (Tesla) 、 p (Kg/m
3) 及ぴ t ( sec) である。 (10)式より vは時間 tの経過とともに exponential曲線減衰し、 σの大
きい、 pの小さい合金程大きくなることがわかる。 例として本明細書の 10A1-Ni合金 に対して σ =10
6、 ρ =7300及ぴ Β = 0·1とすると v/v
0 exp (— 0.14 t ) となる。
これから t =2.15秒後に / 0 = 0.5、 さらに t =4.3秒後には v /v 0 = 0.25まで 減速する。 また、 A1合金に対して σ =5χ106, ρ =2700, 及び Β = 0.1とすると v/vo = exp(— 1.9 t)となり、 t =0.15秒後に v/vo = 0.5、 さらに 0.3秒後に v / v o = 0.25まで減速する。 以上の概算より B = 0.1 (Tesla) 程度の低い磁場でも液相プール 内の流速を抑制させるに充分な効果のあることがわかる。
次に、 (6)式において Xを電磁制動力 f とし、 Darcy流れ抵抗力 v/ gL/K ((6)式 の両辺を K/ i gLで割って得られる) との比を πと定義すると、 電磁制動力 I ,
π = = (11)
Darcy流抵抗力 Ύμ J K ここに πは mushy zone中のデンドライ ト間液相流れに対する制動効果を表す無次元 数である。 i ( 1) 及び(4)式より f = σ(— + V xB)xBで与えられる。 考察 の便のため、 上述の場合同様、 mushy zone中の横方向一様流れに電磁制動力を印加 する場合を考えると、 (6)式は次式に帰着する。
上式より ν > 0の流れに対して電磁制動力 (一 σΒ2ν) は流れと逆方向 (圧力勾配に より液相に働く体積力— S/ dx (>0) と逆方向) に作用する、 すなわち、 制動力と して働くことがわかる (Vく 0の場合も同様制動) 。 (12) 式より Vについて解くと 次式が得られる。
-K/ gL dP , ヽ
V = -—2^ (13)
l + aB2K/ gr dx
上式より Bを印加しない場合の速度を voとし vと voの比を取ると、 (11) 式で定義 した πを用いて
V σΒ2Κ
π = (14a, 14b)
1+ π
流速は πの増加とともに双曲線的に減衰する。 実際の铸造プロセスにおいては Κ及び は場所及ぴ時刻により変化するが前記具体例 1〜4において大略平均的な値を用 い、 フレックル等の偏析が抑制されるときの Bの値に対して πを計算した結果を表 4 に示す (σ Β2の単位換算; 1T2/Qm = 10'3dyn · sec/cm に注意) 。
表 4 無次元数 π及ぴ φの概略値
Βζ = 5 (Tesla) の場合 π =1.25となり V/V Q = 0.44へ減速され、 また
Bz = 10 (Tesla) の場合 π =5.0となり V/VQ = 0.17へ減速される。
表 4より偏析を抑制する πの値に開きがあり、 また次項(2)で述べるごとく偏析の形 態及びその程度は個々のケースによって異なるので偏祈抑制に必要な無次元数 πの値 を決定することは困難であるが有意義な目安となるものである。 1 (Tesla) 以下の 磁場の場合 πくく 1となり、 偏析抑制効果はほとんどないことが理解できる。
(2) 実際の铸造プロセスにおいて mushy zone内の液相の flow patternを決定する
主たる要因は次の 3つである。
I . mushy zone内の液相の密度差△ P Lによる浮力 (ApLg^ grは重力の加 速度)
Π. mushy zoneの形 (特に重力方向に対する勾配及ぴ範囲)
m. デンドライトの形態により決定される透過率 K ( (7) 式参照)
Δ pLgrttmushy zone內において対流を引き起こす駆動力であり合金成分により決 まる。 これには浮上型、 沈降型あるいはこれらの混合型がある。 要因 Π及ぴ mは種々 の鏺造プロセスにおいて冷却条件によって決まる。 このように多種多様なケースが存 在する。 2、 3の例を挙げると、 浮上型合金のタービンブレード一方向凝固において はフレックル発生の最重要因子は△ p L g rであり、 △ P Lあるいは△ /) IJiO Lがある値 以上になると発生する。 これに比べ要因 Π及ぴ ΉΙの寄与は小さい。 また、 沈降型合金 の再溶融法によるインゴット製造において、 もし mushy zoneの形がフラットであれ ば (凹がない、 ) 要因 I及ぴ mにかかわらず偏析は生じない。 すなわち、 具体例 4の 中心部の偏析は mushy zoneの形が重力方向に対して勾配を生じており要因 I (ApL による沈降) が作用して生じたものである。 この場合でもインゴットの径が小さくな り Kが小さくなると偏析は生じない。 [Kはデンドライ トアームスペーシング (DAS) が小さいほど小さくなる。 一般に冷却速度が大きく DASが小さくなると要因 Iによる 対流が生じなくなりフレックル等のチャンネル偏析は生じない。 ]
以上より、 電磁制動力の効果を評価する別の無次元数として浮力に対する制動力の比 を取るのは有意義である。 すなわち 上 σΒ2ν
無次元数 Φ =—、 (15)
平均的な概略値 V及び所要磁場 Bに対して φを算出した結果を表 4に示す (ひ B2の単 位換算に注意) 。
上記項目(1)及び(2)の考察より、 液相領域における高速流 (再溶融プロセスに おいては一般的に約 10cm/sのオーダー) を抑制するためには ITesIa以下 (例えば
O. lTesla) の磁場で充分であるが、 mushy zoneにおける極低速流 (約 10'2〜; L0'4 cm/sのオーダー) を抑制するためには強磁場を必要とすることがわかる。 この強磁場 の強さを概略評価する目安として (14) 式あるいは (15) 式による無次元数 πある いは φが有意義である。 すなわち、 個々の合金系並びに凝固プロセスに即して経験的 に偏析抑制に必要な限界値 Tu cあるいは φ οを知り、 π≥ Te cあるいは Ψ≥ (i> cを満足す るように Bを決めればよい。 7U Cあるいは φ θ!はスケールダウンした小規模実験により 決めるのがより経済的であり、 本明細書で述べた数値解析法が極めて有力な道具とな る。 以上の具体例より薄肉部を有する比較的サイズの小さいタービンプレードの場合 、 約 0.5 (Tesla) 以上の磁場でフレックル、 不整方位結晶等の欠陥の低減に有効であ る。 [凝固界面の形態は G/R (Gは界面における液相温度勾配、 Rは界面の進行速度) の値が小さくなるにつれて平滑界面からセルへ、 さらにデンドライトへと遷移するこ とはよく知られており、 S X材の場合ある値以下になると単一結晶成長が破れ、 そこ から異結晶すなわち不整方位結晶を生じると考えられている (例えば文献 1 5参照) 。 一方、 凝固中磁場を印加すると結晶粒が粗大化することが一般に知られている。 す なわち、 不整方位結晶が生じ難くなる。 これは、 磁場の印加により液相の流動が抑制 され安定な単一結晶成長を促進するためと考えられる。 ] サイズの大きい再溶融プロ セスインゴッ トの場合、 少なく とも約 1 (Tesla) 以上の磁場が必要であろう。 ただ し、 これらの下限値は铸造条件を最適化したうえでの大雑把な目安であり個々のケー スにより変化するのはすでに述べた通りである。 また、 品質に対する要求度によって 左右される。
( 3 ) mushy zoneにおける液相流動抑制効果は磁場の方向に依存しない。 従って、 铸造プロセスに最適の印加方法を採用すればよい。 ただし、 前記すベての具体例にお いて電気的境界条件としてインゴットと錄型は絶縁した。 計算では一様磁場を適用し たが、 厳密に均一にする必要はない。
( 4 ) 一方向凝固に静磁場を印加する場合の概要図を第 1図 (b ) に示す。 典型的な 一方向凝固装置は、 背景技術の項で述べたごとく、 チル冷却装置、 铸型加熱炉、 引抜 装置、 真空装置等の基本要素から構成されるが、 これら以外に様々なバリエーション がある。 例えば一度凝固させたインゴッ トを最初に少量溶かし、 この溶融帯を一方の
端から他端に向けてゆつく りと移動させる zone melting法 (例えば文献 3の p. 2参 照) を応用するバリエーショ ンが可能である。 要するに本発明は錶物あるいはインゴ ットにおいて固相、 固液共存相及ぴ液相領域を形成させこれらの領域を一方の端から 他端へ向けて一方向制御凝固させる方法及び装置を対象とするものであり、 これら全 ての一方向凝固プロセスに適用されることは原理的に明らかである。 実際の一方向凝 固タービンブレードは複雑な形状を有する。 文献 1 1にはブレード部を単一デンドラ イ ト組織 (S X ) とし土台部を多結晶柱状デンドライ ト組織 (D S ) とする技術が述 ベられているが、 本発明はこのような混合組織に対しても適用できる。 また、 重力の 方向と直角な水平一方向凝固あるいは重力方向と同じ向きの一方向凝固 (上から下へ の凝固) の場合に対しても、 すでに述べたごとく、 本発明は適用可能である。 本発明 に用いられる D Cコイル 5のいくつかの例を第 1 8図に示す。 固液共存相に対して垂 直方向に磁場を発生させる場合、 ソレノイド型 (図 a ) 、 1ユニットコイル (図 b ) 、 2ユニットコイル (図 c、 ヘルムホルツ型またはこれに順ずる型) 等がある。 重力 の方向に交差する方向に印加する場合はレーストラック型 1ユニットコイル (図 d ) 、 レーストラック型 2ユニットコイル (図 e ) 等がある。 これらのコイルには超電導 コイルを用いることが推奨される。 実際様々なコイル設計が可能であり、 鑤物の形状 、 凝固の方向、 所要磁場の強さ等に最適の設計を行えばよい。
( 5 ) V A R (真空アーク再溶融法) 、 E S R (エレク トロスラグ再溶融法) 等の再 溶融プロセスでは一般に mushy zoneに強い電流が流れており、 外部からの強印加磁 場との相互作用により電磁力を発生するので好ましくない。 従って、 インゴットに通 電しない方式を採用する必要がある。 そのような方式の最も望ましい一つの例を第 1 7図に示す。 第 1 7図 (a ) は E S Rプロセスに本発明による強磁場を適用した場合 を示す。 符号 5は強磁場を発生させるための D Cコイルであり横方向あるいは縦方向 に印加する構成とする。 コイルの機構は前記 (4 ) 項で述べたとおりであり、 超電導 コイルを用いることが推奨される。 エレクトロード 1は磁場の影響を受けないようコ ィルから離して配置されている。 エレク トロード間を流れる電流によるジュール熱に より溶融スラグ相が加熱され、 これによりエレク トロードが溶解される。 溶融スラグ 相は断熱性の耐火物スリーブ 3の外周に配置したヒーター 4により加熱保温される。
エレクトロードから生ずる溶融液滴はスラグ相を通って水冷銅鍚型 6に落下し凝固す る。 インゴット 7は水冷銅錶型でできた底台によって底面より冷却しつつ伸縮可能な 受台 9により下方へ引出される。 铸型 6とインゴッ ト 7の境界には溶融スラグ 3が介 在し、 通常エアギャップが生ずるので (図示せず) 、 側面からの冷却能は比較的小さ い。 第 1 7図 (b ) は V A Rとスラグ精練と本発明による強磁場を組合わせた最も望 ましい一つの例を示す。 空間 1 0は真空または不活性ガス雰囲気とする。 エレク ト口 ード 1は高電流ァ一ク (通常 D C ) により溶解される。 V A R及ぴスラグ精鍊による 両者のメリット (よく知られているので述べない) にさらに本発明による強磁場を加 えることにより高清浄かつ偏析のない高品質インゴットの製造が可能となる。 これら のプロセスでは、 エレク トロード電極部近傍の電流場を磁場から隔離するため磁気シ 一ルド 1 1を施す。 第 1 7図の例から明らかなごとく種々の組合せが可能である。 すなわち、
E S R +強磁場
V A R +強磁場
V A R +スラグ精鍊 +強磁場
等が可能である。
( 6 ) 合金の凝固中における固液界面の形状は組成的過冷理論に基づく前述のパラメ ータ GZ Rによって決まることはよく知られている (Gは界面における液相温度勾配 、 Rは界面の進行速度) 。 真の意味の単結晶 (例えば半導体 S i ) の製造においては (Bridgeman法であれ Czochralski法であれ) Gと Rをそれぞれ独立にコントロール し Gを大きく Rを小さく (すなわち G / Rを大きく) することにより平滑界面 (安定 界面) 凝固を実現している。 [一般にこれらの単結晶に含まれる合金量は極微量であ り、 固液共存相は存在せず (また生成させてはならない) 、 本明細書において定義し た固液共存相を有するデンドライト組織 (D S材あるいは S X材) とは根本的に異な る。 ]
単結晶の成長方向における合金濃度分布は平滑界面前方における液相の対流の状 態によって大きく変化することが知られている (例えば文献 3の p . 42、 Figure 2 - 9参照) 。 文献 1 2は半導体の単結晶育成過程において不可避的に存在する液相の対
流の影響により単結晶の長手方向 (育成方向) に生じる大きな溶質濃度変化を小さく するため、 前もって組成を変えた原料を作成し、 この原料を用いて一方向成長させる ことにより濃度変化を小さくしょうとするものである。 さらに一度成長凝固した結晶 をもう一度逆方向に成長させる、 あるいは磁場 (0. 2Tesla程度) を印加することによ り対流を抑制し、 より均一な組成の単結晶を製造しょうとするものである。 すなわち 当該文献技術は mushy zoneの無い単結晶育成過程において平滑界面前方の液相の対 流を抑制しようとするものであり本発明とは異なる。
文献 1 3は Bridgeman法による単結晶製造において、 液相一固相変化に伴う融点で の磁気帯磁率の変化量が正 (すなわち固相の磁気帯磁率の方が液相のそれより大きい) の 材料を用い、 結晶成長中磁場を印加することにより、 結晶核形成のエネルギー障壁を高く することにより単結晶化率の向上を図り、 できるだけ結晶の数の少ない良い単結晶を作ろ うとする単結晶育成技術であり本発明技術とは異なる。
G / Rを小さくして行くと安定界面型成長は破れ界面から固相が突起し始めセル組織 が形成される。 さらに G / Rを小さくしていくとデンドライト組織が形成される。 セル型 成長の場合固液共存相はセル結晶と液相が共存するので本発明の原理が応用できる。 すな わち強磁場を印加することによりセル間液相流れを抑制し偏祈の無い安定したセル結晶組 織を得ることができる。
( 7 ) 連続铸造の分野において文献 1 4は A 1合金の連続铸造の際、 液相プールに対 して最大で 0. 15Teslaの静磁場を印加することによりマクロ偏析を低減する技術を開 示している。 [連続铸造においては液相プール内の流動速度は 10〜: I00cm/sのオーダ 一であり、 前記 ( 1 ) 及ぴ (2 ) で述べたごとく、 このような高速流に対しては 0. ITes la程度の低磁場で充分な制動効果があるが、 mushy zoneにおける極低速流に 対しては制動効果はない。 ] 当該文献 1 4ではマクロ偏析が低減されるメカニズム については言及しておらず、 また同文献の実施例においてはいずれも結晶粒微細化剤 を添加している。 この点は注目に値する。 当該文献 1 4の場合の偏析抑制効果に関し 本発明者は以下のように推察する。 静磁場による液相プール内の流動抑制効果により 磁場のない場合に比べて微細化効果が増しより微細な粒状晶組織となり中心領域の偏 析が小さくなつたと考えられる。 [一般に結晶微細化剤を添加する理由はより細かい
粒状晶組織とすることにより偏析を小さくすることが目的の一つとなっている。 しか しながら液相プール内の活発な対流により結晶粒微細化剤の凝集 ·合体 ·粗大化の頻 度が増し微細化効果を低下させる。 そこで磁場を印加すると液相プール内の対流が抑 制され結晶粒微細化剤の凝集 ·合体の頻度が小さくなり微細化効果を阻害しなくなる のではないかと推察される。 ] すなわち、 当該文献 1 4の技術は結晶粒微細化剤を用 いることが必須条件であり、 磁場印加による微細化効果を増し、 その結果として間接 的に偏析を低減させる効果を生じたものと推察される。 結晶微細化剤を添加しない場 合に対して中途半端な強度の磁場を印加すると液相プールにおける流動が抑制される 結果、 粗大柱状晶が発達しやすくなり逆に中心領域の偏析が大きくなる可能性がある これに対し本発明の本質は一方向凝固 (本来の目的から言って結晶微細化剤を使用し てはならない) あるいは再溶融法プロセスにおいて inushy zone全体に対し、 フレツ クル等のマク口偏析の原因となる mushy zone内の極低速液相流動を抑制するに必要 な強さの磁場を印加することにより前記マク口偏析を抑制しょうとするものであり、 当該文献 1 4とは着眼点を異にし、 铸造プロセス、 磁場の印加領域及び磁場強度にお いて異なるものである。 産業上の利用の可能性
以上の具体例 1〜 3から明らかなごとく、 本発明による強磁場を印加することに より現在実用化されている浮上型 N i基超合金の D Sあるいは S X铸物に生成するフ レツケル等の偏析を無くすことができる。 さらに、 より浮力 (mushy相内における液 相の密度差による Δ ?£ g ) が大きくなり铸造不能となる合金に対しても本発明は有 効である。 このことは合金選択の自由度が増す、 あるいはさらに高温強度の高い合金 開発の可能性が開けることを意味する (例えば γ ' 体積率を極限まで増せる) 。
具体例 4の再溶融プロセスにおいて沈降型合金 (IN718) に対して本発明が有効 であることを示したが、 一般の浮上型合金に対しても有効であることは具体例 1〜 3 により明らかである。 従って、 本発明を適用することにより従来は鏺造不能であった より口径の大きい浮上型合金インゴットの再溶融プロセスによる製造が可能となる。
以上のごとく、 本発明の効果をまとめると次のごとくなる。
N i基超合金タービンブレード等の一方向凝固鎊物の製造に関し、
1 . フレックル等のマク口偏析を完全に無くすことができる。
2 . 対流によるデンドライ トの溶断 .分離をなくすことができ、 これにより不整方位 結晶粒 (misoriented grain defects) のない完全な mono-crystalを得ることができ る。
3 . フレックル等のマクロ偏析を完全に無くすことにより γ ' の体積率を極限まで増 加するための新合金開発が可能となる。
また、 再溶融プロセスによるインゴッ トの製造に関し、 沈降型合金はもちろん従来は 铸造不能であった浮上型合金 (一般に沈降型よりも密度が小さい) の錶造が可能とな る。
このように本発明によれば高品質タービンブレード等の一方向凝固錶物あるいは 再溶融インゴットの製造を可能にし、 実用化により重要部品の安全性及ぴガスタービ ンの効率向上による省エネルギーに大いに貢献するものである。 超電導技術の最近の 進歩により強磁場が比較的安価に手に入る状況を考えると本発明の実現を阻む要因は 見当たらず、 産業的価値は極めて高い。 本明細書では二種類の Ni基合金インゴットに ついて具体例を示したが、 すべての Ni基合金はもちろん、 今後発展が期待される T i A 1基合金一方向凝固ブレード、 低合金鋼等全ての合金製造に対しても同様の効果が 得られることは原理的に明らかである。 文献
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