明 細 書
:31レベータ一装置
技術分野
[0001] 本発明は、昇降路内を上下に昇降する力ごを備えたエレベーター装置に関する。
背景技術
[0002] 従来、力ごとつり合おもりが主索によって連結され、主索が方向転換綱車や力ご及 びつり合おもりの綱車を介して駆動シーブに巻き掛けられ、この駆動シーブを駆動さ せることでかご及びつり合おもりを上下させるエレベーター装置では、摩擦駆動によ る主索へのダメージを軽減させることや屈曲抵抗の低減のため、駆動シーブ及び綱 車の直径を、主索直径の 40倍以上にすることが一般的であった力 最近では屈曲性 能を向上させたァラミドゃケプラー等の合成繊維を使用したものや、長寿命化のため に鋼線とウレタン榭脂などを組み合わせた主索等が考案され、駆動シーブや綱車の 直径を主索直径の 30倍以下にしても主索の延命が図られたものや屈曲性能が向上 したものが作られるようになってきて!/、る。
[0003] しかし、延命を目的に作られた主索には柔軟性が欠けるものや、柔軟性を目的に 作られた主索には寿命が短命になるものがあり、それらの欠点を補う必要が求められ ている。
[0004] この問題の一解決手段として、駆動シーブの小直径化のために駆動シーブへの主 索の卷きかけ角度を増やして駆動力を得ると同時に、大きなそらせ車は好ましくない ことから、そらせ車を駆動シーブと同等に小さくするものが提案されている(例えば、 特許文献 1参照)。
特許文献 1:実開昭 58— 117476号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0005] 上記提案された従来技術においては、駆動シーブのみを小さくするものであり、ェ レベータ一全体の性能向上を考慮したものとはなっていなかった。
[0006] 本発明の目的は、駆動シーブを小径ィ匕した場合でも、主索の寿命低下をできるだ
け抑えることのできるエレベーター装置を提供するにある。
課題を解決するための手段
[0007] 本発明は上記目的を達成するため、主索直径の 29倍以下の直径力もなる駆動シ ーブを有する卷上機を使用すると共に、少なくともかご及びつり合いおもりに綱車を 備えエレベーター装置にぉ 、て、前記かご及びつり合 、おもりに設けられた綱車の 直径を、前記駆動シーブの直径より大きくしたことを特徴とする。
[0008] このように構成したことにより、主索への曲げ応力や主索の屈曲抵抗が低減できる ことから、主索の延命効果や省エネルギー効果が期待できると共に、駆動シーブの 小径ィ匕により卷上機の小型化が達成できることで空間が有効に活用でき、卷上機の 設置裕度や保守性の向上をも期待できる。
発明の効果
[0009] 本発明によれば、かご及びつり合おもりの綱車の直径を駆動シーブの直径より大き くしたため、主索への曲げ応力や主索の屈曲抵抗を低減でき、この結果、主索の延 命効果や省エネルギー効果が期待できると共に、駆動シーブの小径ィ匕により卷上機 の小型化が達成できることで空間が有効に活用でき、卷上機の設置裕度や保守性 の向上をも期待できる。
発明を実施するための最良の形態
[0010] 以下、本発明の実施の形態を図に基いて説明する。
[0011] 図 1は本発明のエレベーター装置の一実施形態を示す斜視図、図 2は図 1を上方 力も見た平面図、図 3は本発明のエレベーター装置の他の実施形態を示す斜視図、 図 4は図 3を上方力 見た平面図、図 5は本発明のエレベーター装置の更に他の実 施形態を示す斜視図、図 6は図 5を上方から見た平面図である。
[0012] 図 1において、かご 1の側方上部にかご側主索止め 3が設置され、主索 5は前記か ご側主索止め 3から下方に伸び、力ご綱車 7aからもう一つのかご綱車 7bを経て、力ご 1の上部に設置された駆動シーブ 9に至り、前記主索 5はこの駆動シーブ 9に約 180 度巻き掛けられて再び下方に伸び、つり合おもり 2に取り付けられたつり合おもり綱車 12aを経由し、上方のつり合おもり側主索止め 14に至るように構成したものである。
[0013] 図 2を用いて本発明の全体配置を説明すると、胴長卷上機 10をかご 1の上方に配
置し、力ご 1とつり合おもり 2とを連結するための方向転換綱車を使用しない例を示し ており、つり合いおもり 2をかご 1の側部に設置したものである。ここで、例えば鋼線に 榭脂被覆を施した主索 5を用いた時、駆動シーブ 9と主索 5間の摩擦係数が榭脂被 覆を伴わない鋼線のみの主索を使用した場合と比較すると向上するため、駆動シー ブ 9の直径を小さぐ結果として卷上機 10を小型化することが可能となる。しかし、駆 動シーブ 9の直径を小さくすると主索 5への局部応力が増加するため、前述の榭脂被 覆された主索 5の延命を図るべく榭脂の硬度を増すなどの対応が必要になる。この榭 脂の硬度を増した主索 5を使用することで駆動シーブ 9の小径ィヒが可能となり、同時 に必要な駆動トルクや制動トルクが小さくなるため機器の小型化も実現でき、卷上機 10の小型化により卷上機 10周囲の空間が大きくなることで保全性が高まることになる
[0014] 一方、かご綱車 7a、 7bやつり合おもり綱車 12aも小型化してしまうと、綱車 7a、 7b及 びつり合おもり綱車 12aへ主索 5が卷きつくための屈曲抵抗が大きくなり、エレベータ 一の走行損失が増大してしまうことになる。また、かご綱車 7a、 7b及びつり合おもり綱 車 12aを小径ィ匕すると主索の局部応力が増大するため、主索 5の寿命の低下につな 力 Sることになる。そこで、駆動シーブ 9に対し、かご綱車 7a、 7b及び/又はつり合おもり 綱車 12aを必要に応じて大きくして屈曲抵抗や主索の寿命を許容範囲内にすること で、エレベーターの全体構成を大きく変えることなぐ空間への卷上機 10の設置効率 を高めることができる。
[0015] この時、綱車の直径を駆動シーブ 9の直径より大きくすることで目的を達成できるが
、できるならば、綱車の直径を駆動シーブの直径の 1. 5倍とすることにより、より安定 した主索の寿命向上を図ることができる。
[0016] また、駆動シーブ 9の直径を、主索 5の 29倍以下としたが、 16〜29倍以下が最適 である。なぜなら、 16倍以下では、局部抵抗が増大し、寿命低下を期待できなくなる ためである。
[0017] 更に、主索 5として、榭脂被覆されたワイヤロープ或いはケプラーやァラミド榭脂を 用いるなら屈曲性を増すことができ、駆動シーブ 9の直径を主索 5の 29倍以下とする ことが極めて容易になる。
[0018] 次に、図 3、図 4に用いて他の実施形態について説明する。図 3において、かご 1の 側方上部に力ご側主索止め 3が設置され、主索 5は前記かご側主索止め 3から下方 に伸び、かご綱車 7aからもう一つのかご綱車 7bを経て、かご 1の上部に設置されたか ご側方向転換綱車 8a、 8bを経由し再び下方に伸びて駆動シーブ 9に至り、前記主索 5はこの駆動シーブ 9に約 180度巻き掛けられて上方のつり合おもり側方向転換綱車 11にから下方のつり合おもり 2に設置されたつり合おもり綱車 12a、 12bへと向かい、 最後に上方のつり合おもり側主索止め 14に至るように構成されたものである。
[0019] 図 4において、図 2との相違点は、かご 1と駆動シーブ 9の間にかご側方向転換綱 車 8a、 8bを配したことと薄型の卷上機 10Aを昇降路下方に設置したこと、駆動シー ブ 9とつり合おもり 2との間につり合おもり側方向転換綱車 11を配し、つり合おもり綱 車に 2個の綱車 12a、 12bを設けたことにより、つり合いおもり 2をかご 1の後方に設置 した点である。
[0020] このように構成することで、つり合おもり 2の配置の裕度が増し、昇降路への設置効 率を向上させることが可能となるが、前記図 1 , 2の実施形態と比較し綱車の数が増 大するため、屈曲抵抗や主索の寿命の問題が顕著になる。そこで、図 3, 4の実施形 態においては、少なくとも前記かご 1とつり合おもり 2の綱車 7a, 7b, 12a, 12bの全 てと他の方向転換綱車 8a、 8b、 11の全て又は過半数の直径を駆動シーブの直径よ り大きな直径にすることで、図 1 , 2に示す実施形態と同様の効果が期待できる。
[0021] 次に、図 5、図 6に用いて更に他の実施形態について説明する。図 5において、 主 索 5が、かご 1の床部に設置されたかご主索止め 3から主索返し車 4を経由して上方 に伸び、力ご上部方向転換綱車 6a、 6bからかご 1天井部のかご綱車 7aを経て、かご 1の上部に設置されたかご側方向転換綱車 8aから駆動シーブ 9に伸び、前記主索 5 はこの駆動シーブに巻き掛けられた後に下方のつり合おもり 2に設けられたつり合お もり綱車 12aを経て再び昇降路上部のつり合おもり側綱車 13へと向力 、、最後につり 合おもり 2のつり合おもり側綱止め 14へと至るよう構成したものである。
[0022] 図 6において、図 4では主索の掛けかたであるロービングが 2 : 1であるのに対し、口 一ビングを 3 : 1とし胴長の卷上機 10をかご 1の上方に設置した点が図 4と大きく異な る点である。このように構成することで、駆動シーブ 9の直径が図 4と同じ場合におい
ても、駆動トルクや制動トルクを低減できることから、更に小さな卷上機とすることが可 能となる。このようにエレベーターの構成は多数ある力 何れの場合においても、駆 動シーブ以外の綱車を前述する条件で駆動シーブの直径より大きくすることにより、 先の実施形態と同様の効果を期待することができる。
図面の簡単な説明
[0023] [図 1]本発明のエレベーター装置の一実施形態を示す斜視図である。
[図 2]図 1を上方から見た平面図である。
[図 3]本発明のエレベーター装置の他の実施形態を示す斜視図である。
[図 4]図 3を上方から見た平面図である。
[図 5]本発明のエレベーター装置の更に他の実施形態を示す斜視図である。
[図 6]図 5を上方から見た平面図である。
符号の説明
[0024] 1 かご
2 つり合おもり
3 かご側主索止め
4 主索返し車
5 主索
6a、 6b かご上部方向転換綱車
7a、 7b かご綱車
8a、 8b 力ご側方向転換綱車
9 駆動シーブ
10 胴長卷上機
10A 薄型卷上機
11 つり合おもり側方向転換綱車
12aゝ 12b つり合いおもり綱車
13 つり合いおもり上部方向転換綱車
14 つり合いおもり側主索止め
15a、 15b かご用ガイドレール
a、 16b つり合おもり用ガイドレール