明 細 書
可動体の自走往動機構、引き戸、およびスぺーサ具
技術分野
[0001] この発明は、上部をレール状体に納めて支持される可動体を、この可動体が自走 開始位置まで往動されてきた後は停止位置まで自走往動させる機構、およびこれを 利用してなる引き戸、ならびにこうした可動体に適用されるスぺーサ具に関する。 背景技術
[0002] 引き戸クローザとして、引き戸側に備えられる係合ピンの保持凹部を備えた係止体 を、この保持凹部にこの係合ピンを取り込める待機位置力 引き戸の閉じ操作に伴つ て係合位置に回動させてこの保持凹部にこの係合ピンを取り込んだ後、この係止体 をパネにより後退移動させることで引き戸を引き込むようにしたものがある。(特許文 献 1参照)
[0003] しかるに、この構成のクローザにあっては、係止体の回動のためのスペースをクロー ザの巾方向に必要とさせるものであり、クローザをこの方向にぉ 、てコンパクトィ匕させ 難いものであった。また、係止体に係合ピンが突き当たっても係合位置に係止体が 回動するまではパネによる弓 Iき戸の弓 Iき込みを開始させな 、ものであった。
特許文献 1:特開 2005 - 290769号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0004] この発明が解決しょうとする主たる問題点は、可動体が自走開始位置まで往動され てきた後は自走往動させてその停止位置まで確実に移動させることができる構造を、 可動体の左右方向にこの構造を備えさせるためのスペースを過大に要することなぐ 備えさせることができるようにする点にある。
課題を解決するための手段
[0005] 前記課題を達成するために、この発明にあっては、可動体の自走往動機構を、以 下の(1)〜(8)の構成を備えたものとした。
(1)上部をレール状体内に納めて支持される可動体を、この可動体が自走開始位置
まで往動されてきた後は停止位置まで自走往動させる機構であって、
(2)レール状体内に備えられるストライカ体と、
(3)可動体の上部に形成された可動体の移動方向に沿って長く続く凹所内にこの移 動方向に沿った移動可能に納められるキャッチャーと、
(4)キャッチャーの付勢手段とを備えてなり、
(5)キャッチャーは、キャッチャー主体に対し、出没可能に備えられたキャッチャース トツパと、前後動可能に備えられると共に非抱持状態において前方力 ストライカ体を 受け入れるストライカ体の抱持体と、これらの付勢体を有しており、
(6)この付勢体によって、キャッチャーストツバがキャッチャー主体より突出されている ときには抱持体は前進位置にあって非抱持状態にあるようにされ、かつ、抱持体が後 退位置にあって抱持状態にあるときにはキャッチャーストッパはキャッチャー主体内 に引き込まれるようになっており、
(7)凹所には、突出時のキャッチャーストツバの掛合穴が形成されており、この掛合 穴にキャッチャーストッパを掛合させたキャッチャーの基準位置において付勢手段へ の蓄勢がなされるようになっており、
(8)可動体が自走開始位置まで往動されてきたときに基準位置にあるキャッチャーの 抱持体内にストライカ体が進入されるようになって 、る。
可動体が自走開始位置に往動される前の段階では、抱持体は前方に最も突出し、 また、キャッチャーストッパも掛合穴に掛合されている。(キャッチャーの基準位置)可 動体が自走開始位置まで往動されると、ストライカ体が凹所内に前方力 入り込み、 このように入り込んだストライカ体に押されて抱持体は前記付勢体の付勢に杭して後 方に移動される。抱持体が後方に移動されると抱持体は抱持状態に位置づけられる 。これにより、キャッチャーはストライカ体を捕捉し一体ィ匕される。また、同時に、この抱 持体の後方への移動によりキャッチャーストッパはキャッチャー主体内に引き込まれ 掛合穴から抜け出す。このようにキャッチャーストツバとケースの掛合穴との掛合が解 かれると付勢手段によって可動体を停止位置まで自走させることができる。停止位置 まで自走往動された可動体を自走開始位置まで復動させると、付勢手段に蓄勢させ ながらキャッチャーは基準位置まで相対的に移動され、キャッチャーストッパを凹所の
掛合穴に再び掛合させると共に、抱持体によるストライカ体の抱持が解かれ、キヤッ チヤ一とストライカ体とは分離される。抱持体は、前進位置と後退位置との間に亘つて 可動体の移動方向に沿って移動するに留まることから、この自走往動機構にあって
、る。
[0007] 前記抱持体を、キャッチャー主体に前後動可能に組み合わされたスライド体と、左 右一対の抱持片とを、このスライド体の前端と抱持片の後端との間に亘る榭脂ヒンジ 部によって一体に連接させて構成されたものとしておくこともある。
[0008] このようにした場合、可動体が自走開始位置まで往動されストライカ体に押されて抱 持体が前記付勢体の付勢に杭して後方に移動されたときに、榭脂ヒンジ部を弾性変 形させながら一対の抱持片間の間隔を狭めて入り込んだストライカ体を抱持させるこ とがでさる。
[0009] 前記凹所を構成する可動体の移動方向に沿った内壁の一部に、基準位置にある キャッチャーの抱持片の少なくとも外面側を、榭脂ヒンジ部の弾性によって、入り込ま せる切欠部を形成させておくこともある。
[0010] このようにした場合、可動体が自走開始位置まで往動されるまでは自走往動機構 の左右方向の寸法を増加させることなぐ抱持体を切欠部により一対の抱持片間の 間隔を広げた非抱持状態に置くことができ、また、可動体が自走開始位置まで往動 されストライカ体に押されて抱持体が前記付勢体の付勢に杭して後方に移動された ときは、切欠部力も抱持片を抜け出させてケースの左右側壁によって榭脂ヒンジ部を 弾性変形させながら一対の抱持片間の間隔を狭め、これにより抱持体の抱持状態を 作り出すことができる。
[0011] 前記レール状体の内面と可動体の左右両面との間に常時隙間を形成させるように
、この可動体の左右両側においてそれぞれ側方に突き出す突起状摺動子を備えた スぺーサ具を含んで自走往動機構を構成させておくこともある。また、この場合には さらに、スぺーサ具にレール状体の内面力 離れる向きの弾性変形可能な弾性片部 を備えさせ、かつ、この弾性片部に突起状摺動子を備えさせておくこともある。
[0012] このようにした場合、可動体の上部がレール状体の内面に接しないようにして、突 起状摺動子を介してレール状体に可動体を移動時の摺動抵抗をできるだけ少なくさ
せた状態で、かつ、ガタつきなく支持させることができる。また、このスぺーサ具によつ て可動体は、その巾方向略中程の位置を、レール状体の巾方向略中程の位置に位 置づけさせるようにセンタリングできることから、自走開始位置まで可動体が往動され てきたときには、前記凹所内において基準位置にあるキャッチャーにストライカ体が 確実に捕捉されるようにすることができる。また、突起状摺動子を弾性片部に備えさ せておけば、可動体にレール状体の左右!/、ずれかの側に向けた押圧力が作用され たときには弾性片部を変形させることにより可動体のこの側に向けた移動を許容させ ることができ、また、この力の作用がなくなったときはこの弹性片部の弾性復帰により 可動体を所期の位置に再び位置づけさせることができる。
[0013] 力かる機構を適用して引き戸を構成させた場合、引き戸を所望の自走開始位置ま で手動で閉じ操作 (往動)させた後は、この引き戸の前端が戸当たりや対をなす引き 戸の前端などに突き当たる停止位置まで、自走往動させることができる。
発明の効果
[0014] この発明によれば、可動体が自走開始位置まで往動されてきた後は自走往動させ てその停止位置まで確実に移動させることができる構造を、可動体の左右方向にこ の構造を備えさせるためのスペースを過大に要することなぐ備えさせることができる 図面の簡単な説明
[0015] [図 1]本発明の実施の形態による自走往動機構の平面構成図であり、
[図 2]同側面構成図であり、
[図 3]同正面構成図であり、
圆 4]自走往動機構の要部破断側面構成図であり、
[図 5]図 4の要部拡大図であり、
[図 6]図 4の状態における要部拡大平面図であり、
[図 7]本発明の実施の形態による可動体 Mが自走開始位置に至ったときの自走往動 機構の要部拡大図であり、
[図 8]自走往動機構の要部破断側面構成図であり、
[図 9]図 8の要部拡大図であり、
[図 10]図 8の状態における要部拡大平面図であり、
[図 11]本発明の実施の形態によるキャッチャーの分離斜視構成図であり、
[図 12]同分離断面構成図であり、
[図 13]本発明の実施の形態によるスぺーサ具の斜視構成図であり、
[図 14]スぺーサ具の他の構成例の斜視構成図であり、
[図 15]スぺーサ具のさらに他の構成例の斜視構成図であり、
[図 16]スぺーサ具のさらに他の構成例の斜視構成図である。
発明を実施するための最良の形態
[0016] 以下、図 1ないし図 16に基づいて、この発明を実施するための実施の形態につい て説明する。
[0017] なお、ここで図 1〜図 3は実施の形態にかかる自走往動機構を可動体 Mに組み込 んだ様子をそれぞれ示している。図 4〜図 6は可動体 Mが自走開始位置に向けて手 動往動されているときの様子を、図 7は可動体 Mがこの手動往動によって自走開始 位置に到達してキャッチャー 2を構成する抱持体 22が後退しかつキャッチャーストツ パ 21が引き込まれた様子を、図 8〜図 10はこれに続いて可動体 Mが自走往動され きったときの様子を、それぞれ示している。また、図 11および図 12はキャッチャー 2を 構成する各部材を分離させた状態として、それぞれ示している。また、図 13〜図 16 は可動体 Mとレール状体 Rとの間に間隔を形成させるためのスぺーサ具 5をそれぞ れ示している。
[0018] この実施の形態にかかる自走往動機構は、上部をレール状体 R内に納めて支持さ れる可動体 Mを、この可動体 Mが自走開始位置まで往動されてきた後は停止位置ま で自走往動させるものである。力かる可動体 Mとしては、典型的には、引き戸や、吊り 戸、折り戸などが予定される。
[0019] 図示の例では、力かる機構を引き戸 M'に適用した例を示している。レール状体 R は、引き戸 M'の上部を納める溝状をなすように構成されている。この例では、かかる レール状体 Rは、引き戸 M'によって開閉可能に塞がれる開口を画成する上部枠材 Wの下面部に形成されている。このようにかかる機構を引き戸 M,に適用した場合、 引き戸 M'を所望の自走開始位置まで手動で閉じ操作 (往動)させた後は、この引き
戸 M'の前端 Maが戸当たりや対をなす引き戸の前端などに突き当たる停止位置まで 、自走往動させることができる。
[0020] かかる機構は、(1)ストライカ体 1と、(2)キャッチャー 2と、(3)キャッチャー 2の付勢 手段 3とを備えている。
[0021] ストライカ体 1は、レール状体 R内に備えられる。このストライカ体 1をキャッチャー 2 によって捕捉する位置力 停止位置まで可動体 Mは自走往動されることとなる。図示 の例では、力かるストライカ体 1は、取り付け部 10の下面力も鉛直方向に下方に突き 出す軸状をなすように構成されており、この取り付け部 10をレール状体 Rの天面 Ra に止着させることで、レール状体 Rの巾方向略中程の位置に位置するようにしてレー ル状体 R内に備えられている。力かるストライカ体 1は、可動体 Mを自走開始位置ま で往動させてきたときに、後述する凹所 Mbにおける可動体 Mの前端 Ma側の開放端 Mcからこの凹所 Mb内に入り込むようになって!/、る。
[0022] キャッチャー 2は、可動体 Mの上部に形成された可動体 Mの移動方向に沿って長く 続く凹所 Mb内にこの移動方向に沿った移動可能に納められて 、る。
[0023] 図示の例では、可動体 Mとしての引き戸 M,の上部に、その前端 Maにおいて前方 に開放され、かつ、上方に開放された、この引き戸 M'の移動方向に長く続くケース 4 の組み込み凹所が形成されている。そして、図示の例では、上面を開放させた細長 V、ケース 4をこの組み込み凹所に入れ込ませると共に、このケース 4にキャッチャー 2 をこのケース 4の長さ方向に移動可能に納めて、可動体 Mの上部にキャッチャー 2を 備えさせている。すなわち、図示の例では、力かるケース 4内が前記凹所 Mbとして機 能するようになっている。
[0024] 力かるケース 4は、上下方向略中程の位置に形成された仕切り体 40によって、概ね 上下に区分されている。ケース 4における、この仕切り体 40の上方にある空間(上部 室 48)は、可動体 Mの前端 Maに位置されるケース 4の前端において開放されており 、可動体 Mが自走開始位置まで移動されてきたときに、このケース 4の開放口 41から ケース 4内にストライカ体 1が入り込むようになって 、る。ケース 4の前端側力もその中 央部までの間の仕切り体 40には、その幅方向略中程の位置にスロット 401が形成さ れており、キャッチャー 2の後述するキャッチャー主体 20の後端に形成されたフック
部 201がこのスロット 401を通じてケース 4の下部室 42内に入り込むようになつている 。かかる下部室 42内には、パネ前端をキャッチャー主体 20の前記フック部 201に止 着させ、かつ、パネ後端をケース 4の後端に形成されたフック部 43に止着させた引つ 張りコイルパネ 30が納められている。また、スロット 401の前端とケース 4の前端との 間にある仕切り体 40には下方に向けた凹みが形成されており、後述するキャッチャ 一ストッパ 21がこの凹みに入り込んだキャッチャー 2の基準位置にお!/、てかかる弓 Iつ 張りコイルパネ 30が最も引き延ばされるようになつている。すなわち、図示の例では、 力かる凹みがキャッチャーストッパ 21の掛合穴 402として機能するようになっている。 また、この掛合穴 402とケース 4の前端との間ではケース 4の左右側壁 44、 44力切り 欠かれており、基準位置にあるキャッチャー 2の後述する抱持体 22の抱持片 225は この切欠部 441にその外面部側を入り込ませて非抱持状態となるようにしてある。
[0025] また、この実施の形態にあっては、このケース 4の長さ方向略中程の位置にスぺー サ具 5が取り付けられて 、る。
[0026] かかるスぺーサ具 5は、レール状体 Rの内面と可動体 Mの左右両面との間に常時 隙間を形成させることにより可動体 Mをレール状体 Rに沿って円滑に移動させる目的 で備えられるものであって、この可動体 Mの左右両側にぉ ヽてそれぞれ側方に突き 出す突起状摺動子 50を備えて 、る。
[0027] 具体的には、図 13の例では、スぺーサ具 5は、ケース 4の巾寸法の約半分の巾寸 法を備え、かつ、ケース 4の長さ方向に長く延びる中央部 51と、この中央部 51から左 側に突き出す左部 52と、この中央部 51から右側に突き出す右部 53とを備えている。 左部 52および右部 53は、ケース 4の上端よりも下面を上方に位置させると共に中央 側で中央部 51に一体に連接されたこの中央部 51と平行に長く延びる連接基部 54と 、この連接基部 54との間に隙間を空けてこの連接基部 54と同じ向きに長く延びる弹 性片部 55と、この連接基部 54の前端と弾性片部 55の前端とを一体に連接させる前 側連接部 56と、この連接基部 54の後端と弾性片部 55の後端とを一体に連接させる 後側連接部 57とを備えている。突起状摺動子 50は弾性片部 55の長さ方向略中央 部 51であって、その外側に向けられた肉厚方向にある面力も側方に突き出すように 形成された平面視の状態において弧状をなす膨出部として構成されている。左部 52
の突起状摺動子 50と右部 53の突起状摺動子 50の間のピッチはレール状体 Rの巾 寸法と略等しくなるようにしてある。また、力かる弹性片部 55は、レール状体 Rの内面 力 離れる向きの弾性変形を可能とするように構成されて ヽる。
[0028] これにより、この実施の形態にあっては、可動体 Mの上部がレール状体 Rの内面に 接しな 、ようにして、突起状摺動子 50を介してレール状体 Rに可動体 Mを移動時の 摺動抵抗をできるだけ少なくさせた状態で、かつ、ガタつきなく支持させることができ る。また、このスぺーサ具 5によって可動体 Mは、その巾方向略中程の位置を、レー ル状体 Rの巾方向略中程の位置に位置づけさせるようにセンタリングできることから、 自走開始位置まで可動体 Mが往動されてきたときには、前記凹所 Mb内において基 準位置にあるキャッチャー 2にストライカ体 1が確実に捕捉されるようにすることができ る。また、突起状摺動子 50は、弹性片部 55に備えられていることから、可動体 Mにレ 一ル状体 Rの左右!/、ずれかの側に向けた押圧力が作用されたときには弹性片部 55 を変形させることにより可動体 Mのこの側に向けた移動を許容させることができ、また 、この力の作用がなくなったときはこの弹性片部 55の弾性復帰により可動体 Mを所 期の位置に再び位置づけさせることができる。
[0029] かかるスぺーサ具 5は、図 14に示されるように、平面視の状態において C字状をな す弾性片部 55であってその両端に突起状摺動子 50をそれぞれ備えた二つのものを 背中合わせに一体に接合させ、この接合箇所を中央部 51としたものを用いることもで きる。また、かかるスぺーサ具 5は、図 15に示されるように、弹性片部 55の両端にそ れぞれ突起状摺動子 50を備えたものを用いることもできる。また、かかるスぺーサ具 5は、図 16に示されるように、略方形をなし前辺と後辺をそれぞれ左右方向に沿わせ るように配される中央部 51の四隅力もそれぞれ放射方向に突き出された弾性片部 5 5の先端にそれぞれ突起状摺動子 50を備えたものを用いることもできる。
[0030] また、図示の例では、かかるスぺーサ具 5は、その中央部 51の前端側と後端側とに それぞれ形成された左右方向に沿った貫通穴 58に、前記ケース 4の左右側壁 44、 4 4間に架設されたピン 45をそれぞれ通すことにより、この中央部 51の巾寸法とケース 4の巾寸法との寸法差分の調整移動を可能とさせた状態でケース 4に組み合わされ ている。
[0031] 一方、ケース 4は、
ケース 4の底部に沿って延びる下部板体 461と、
この下部板体 461の前端から上方に立ち上がると共に雌ネジ穴を備えケース 4の 下部室 42内に配されてその前端側カゝら回転操作可能な調整ネジ 47をこの雌ネジ穴 に螺装した前部立ち上がり部 462と
この下部板体 461の後端側においてこの下部板体 461の長さ方向に沿った一方縁 部から上方に立ち上がる後部立ち上がり部 463と、
この後部立ち上がり部 463の上端力 側方に突き出してスぺーサ具 5の中央部 51 下に入り込む上板体 464と力もなるアジヤスタ具 46を備えている。
[0032] このアジヤスタ具 46は、調整ネジ 47の螺進退によって、ケース 4の長さ方向に移動 されるようになつている。また、このアジヤスタ具 46における上板体 464には、ケース 4 の長さ方向に交叉する向きに延びる溝穴 465が形成されていると共に、スぺーサ具 5 の中央部 51の長さ方向略中程の位置にはこの溝穴 465に入り込む突起 511が形成 されている。
[0033] これにより、この例にあっては、調整ネジ 47を螺進退させることで、スぺーサ具 5を 左右に若干移動調整できるようになつている。
[0034] また、キャッチャー 2は、キャッチャー主体 20に対し、上下動可能に備えられたキヤ ツチヤーストツバ 21と、前後動可能に備えられると共に非抱持状態において前方から ストライカ体 1を受け入れるストライカ体 1の抱持体 22と、これらの付勢体 23とを有して いる。
[0035] そして、この付勢体 23によって、キャッチャーストッパ 21がその下端を下方に突き 出させているときには抱持体 22は前進位置にあって非抱持状態にあり、かつ、抱持 体 22が後退位置にあって抱持状態にあるときにはキャッチャーストッパ 21はその下 端を上方に引き込ませるようになつている。
[0036] 図示の例では、力かるキャッチャー主体 20は、可動体 Mの移動方向に長ぐかつ、 ケース 4の上部室 48の幅内に納まるように構成されている。キャッチャー主体 20の後 端側の下部に前記フック部 201が形成されている。力かるキャッチャー主体 20の前 端側には、上下方向に貫通する縦向き動作穴 202が形成されている。また、キャッチ
ヤー主体 20には、その前端に穴口 204を作ってキャッチャー主体 20の後端側に向 けて続き、縦向き動作穴 202に交叉状に連通する横向き動作穴 203が形成されて 、 る。横向き動作穴 203の内奥部とキャッチャー主体 20の後端との間には逃し用空隙 206が形成されていると共に、この横向き動作穴 203の内奥部には逃し用空隙 206 に連通した通し穴 205が形成されて 、る。
[0037] また、図示の例では、キャッチャーストッパ 21は下端にローラ 211を有し、中間部に 左右方向に貫通したピン通し穴 212を備えた軸状をなすように構成されており、縦向 き動作穴 202の下側の穴口力もその下端を出没させるように構成されて!、る。
[0038] 一方、抱持体 22は、上下に開放された方形枠状をなすスライド体 221と、このスライ ド体 221の後端力も後方に突き出す軸部 224と、このスライド体 221の前端に備えら れた一対の抱持片 225、 225とを備えて! /、る。一対の抱持片 225、 225は、その互 、 に向き合う側に内向きに突き出す張り出し部 226を有している。また、一対の抱持片 225、 225はそれぞれ弾性変形可能な榭脂ヒンジ部 227を介してスライド体 221に一 体ィ匕されており、この榭脂ヒンジ部 227の弾性によって前記張り出し部 226の頂部間 の間隔をストライカ体 1の径よりも大きくした非抱持状態に位置づけられるようになって いる。
[0039] 具体的には、右側の抱持片 225の後端とスライド体 221の右側前隅との間に亘る 榭脂ヒンジ部 227により右側の抱持片 225はスライド体 221に接合されており、また、 左側の抱持片 225の後端とスライド体 221の左側前隅との間に亘る榭脂ヒンジ部 22 7により左側の抱持片 225はスライド体 221に接合されている。キャッチャー 2が前記 基準位置に位置づけられているとき、抱持体 22は前進位置にあり、この状態におい てはケース 4の切欠部 441によって榭脂ヒンジ部 227の弾性による抱持片 225の外 側への広がり出しが許容されるようになって 、る。(図 6Z切欠部 441に抱持片 225の 外面側が入り込む。 )可動体 Mを自走開始位置まで往動させると一対の抱持片 225 、 225の後端間にあるスライド体 221の前端にストライカ体 1が突き当たり、スライド体 221、つまり、抱持体 22は後退位置に向けて押し込まれる。図示の例では、このスラ イド体 221の前端はクッション材 223で覆われている。後退位置に抱持体 22が押し 込まれると一対の抱持片 225、 225はそれぞれ切欠部 441から抜け出しケース 4の
側壁 44に押されて内向きに窄まり張り出し部 226間の間隔をストライカ体 1の径よりも 狭めてこの張り出し部 226の奥においてストライカ体 1を抱持する。これによりキャッチ ヤー 2によってストライカ体 1が捕捉されることとなる。
[0040] また、力かるスライド体 221の左右枠板にはそれぞれ、溝上端を前方に、溝下端を 後方に位置させ、かつ、斜め下前方を湾曲外側とするように形成された湾曲ガイド溝 222が貫通形成されている。
[0041] また、キャッチャー主体 20における横向き動作穴 203と縦向き動作穴 202とが交叉 する箇所の左右両側部にはそれぞれ、鉛直ガイド溝 207が貫通形成されている。
[0042] そして、図示の例では、横向き動作穴 203に軸部 224を先にして抱持体 22のスライ ド体 221を入れ込ませると共に、縦向き動作穴 202から抱持体 22のスライド体 221内 にキャッチャーストッパ 21を入れ込ませ、この状態において、各鉛直ガイド溝 207と各 湾曲ガイド溝 222とピン通し穴 212とにピン 24を通してキャッチャー主体 20にキヤッ チヤ一ストッパ 21と抱持体 22を組み付けさせている。また、抱持体 22の軸部 224に は圧縮コイルパネ 231が卷装されており、この圧縮コイルパネ 231はパネ後端を横向 き動作穴 203の内奥部に常時押し当て、かつ、パネ前端をスライド体 221の後端に 常時押し当てている。
[0043] そして、この圧縮コイルパネ 231によって、抱持体 22は前方に常時付勢され、この ように付勢される抱持体 22を介してキャッチャーストツバ 21は下方に常時付勢されて いる。すなわち、図示の例では、力かる圧縮コイルパネ 231が付勢体 23として機能し ている。
[0044] 可動体 Mが自走開始位置に往動される前の段階では、抱持体 22は前方に最も突 出し、これにより、前記ピン 24は鉛直ガイド溝 207の溝下端と湾曲ガイド溝 222の溝 下端に位置され、キャッチャーストッパ 21は掛合穴 402にその下端を入れ込ませて いる。(図 5、キャッチャー 2の基準位置)可動体 Mが自走開始位置まで往動されると 、ストライカ体 1が凹所 Mb内に前方力 入り込み、このように入り込んだストライカ体 1 に押されて抱持体 22は前記付勢体 23の付勢に杭して後方に移動される。(図 5から 図 7)この抱持体 22の後方への移動は前記軸部 224を前記通し穴 205を通じて逃し 用空隙 206に入れ込ませることで許容される。抱持体 22が後方に移動されると、ケー
ス 4の切欠部 441から抱持片 225が抜け出しケース 4の左右側壁 44、 44によって榭 脂ヒンジ部 227を弾性変形させながら一対の抱持片 225、 225は前記張り出し部 22 6の頂部間の間隔をストライカ体 1の径よりも小さくした抱持状態に位置づけられる。こ れにより、キャッチャー 2はストライカ体 1に一体ィ匕される。また、同時に、この抱持体 2 2の後方への移動によりキャッチャーストッパ 21は上方に移動されケース 4に設けさ せた掛合穴 402から抜け出す。このようにキャッチャーストッパ 21とケース 4の掛合穴 402との掛合が解かれると引っ張りコイルパネ 30の縮む向きの弾性復帰が許容され ることから、可動体 Mはこの弾性復帰によって停止位置まで自走される。(図 8〜図 1 0)この自走の際、キャッチャーストッパ 21のローラ 211は前進されるケース 4の仕切り 体 40のスロット 401の両側にある上面に接して回転され、自走往動が終了するとキヤ ツチヤー 2はケース 4の長さ方向略中程の位置まで相対的に後退される。
[0045] なお、停止位置からの可動体 Mの復動によって、ストライカ体 1と一体化されている キャッチャー 2は付勢手段 3に蓄勢させながら相対的に前方に移動され、可動体 Mが 自走開始位置に至った段階でケース 4の掛合穴 402に再び付勢体 23の付勢により キャッチャーストッパ 21を入れ込み掛合させる。それと同時に抱持体 22の付勢体 23 の付勢による前進が許容され抱持体 22は非抱持状態に復帰されキャッチャー 2とスト ライカ体 1とは分離される。(図 5)これにより、初期の状態への復帰がなされる。
[0046] 図示の例では、抱持体 22の一対の抱持片 225、 225の前端側にぞれぞれ、下方 に突き出すカムフォロア部 228が形成されていると共に、ケース 4の仕切り体 40の前 端の上面には可動体 Mが自走開始位置まで復動されたときにこのカムフォロア部 22 8を案内して抱持片 225をケース 4の切欠部 441に入り込ませるようにするカム部 49 が形成されている。
[0047] また、この実施の形態にあっては、前記凹所 Mb内に、キャッチャー 2の相対的な移 動に制動を作用させるダンバ装置 6が組み込まれて 、る。
[0048] 図示の例では、前記ケース 4の上部室 48にシリンダ 60と図示しないピストンとを備 え、シリンダ 60内へのピストンの進入時にこの進入に抵抗を付与するように構成され たダンバ装置 6が納められている。図示の例では、ケース 4の後端にシリンダ 60の後 端が止着され、かつ、キャッチャー 2の後端にピストンロッド 61の前端が止着されてお
り、キャッチャー 2の基準位置においてピストンロッド 61がシリンダ 60内力も最も突出 するようにしてある。なお、図示の例では、シリンダ 60内にピストンロッド 61が最大限 入り込んだ位置がキャッチャー 2の相対的な後退移動の限界位置となるようにしてあ る。これによりこの実施の形態にあっては、自走開始位置から先の可動体 Mの自走 往動によるキャッチャー 2の相対的な移動の勢いを適度に緩めて可動体 Mの自走に 高級感を付与すると共にその停止時の衝突音を減少させるようになって 、る。 なお、 2006年 4月 20日に出願された日本特許出願第 2006— 116587号の明細 書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の 開示として、取り入れるものである。