WO2007111230A1

WO2007111230A1 - 燃料噴射装置

Info

Publication number: WO2007111230A1
Application number: PCT/JP2007/055954
Authority: WO
Inventors: Hiroshi Mizui; Yusuke Itabashi; Toshio Karasawa
Original assignee: Mikuni Corporation
Priority date: 2006-03-29
Filing date: 2007-03-23
Publication date: 2007-10-04
Also published as: JP2007263016A; CN101410612A

Abstract

　燃料噴射装置を小型化しつつ組付け性を改善する。　プランジャ１１０と一体的に移動するアマチャ１２０、アマチャを摺動自在に収容する円筒状のインナーヨーク１３０、アウターヨーク１９０、励磁用のコイル１８０を巻回したボビン１７０、リターンスプリング１５０、圧送室Ｃ及び燃料の通路を画定する通路部材１４０、通路部材に接合されて圧送室Ｃから吐出された燃料を噴射する噴射ノズル３００、燃料又はベーパを元に戻すリターンパイプ１６０、外輪郭を画定するハウジング２００を備え、ハウジング２００は、燃料の供給通路２０１ａを画定すると共にボビン１７０及びアウターヨーク１９０を一体的に組み込んで樹脂材料により成型され、インナーヨーク１３０は、ボビン及びアウターヨークに対して直接嵌合して固着されている。これにより、組付け作業を簡素化でき、装置小型化できる。

Description

燃料噴射装置

技術分野

[0001] 本発明は、エンジンの吸気通路に燃料を噴射する燃料噴射装置関し、特に、二輪車等に搭載される小型エンジンに適用される燃料噴射装置に関する。背景技術

[0002] 二輪車等に搭載される電子制御型の燃料噴射装置としては、燃料タンクよりも低ヽ位置の吸気管等に配置されて、燃料タンクから導かれた燃料を、電磁駆動されるブランジャポンプにより圧送して燃料噴射ノズルカゝら噴射すると共に、余剰の燃料及び発生したベーパをリターンパイプにより燃料タンクに戻すようにしたものが知られている。

[0003] ところで、この燃料噴射装置は、往復動により燃料の圧送及び吸引を行うプランジャ，プランジャと一体的に移動する円筒状のアマチヤ，アマチヤの周りにエアギャップを確保するべく二分割された上側ヨーク及び下側ヨーク力なる略円筒状のインナーヨーク，インナーヨークの周りに配置された励磁用のコイル，コイルの周りに配置されたアウターヨーク及びエンドヨーク等を含むプランジャポンプと、プランジャを摺動自在に収容して圧送室を画定する筒体と、燃料供給通路から圧送室への燃料の供給を制御するインレットチェックバルブと、圧送室から余剰の燃料及び発生したベーパを排出するスピルバルブと、余剰の燃料及び発生したベーパを燃料タンクに戻すベくインナーヨークの外側でかつコイルの内側に形成された戻し通路と、圧送室から吐出された燃料を噴射する噴射ノズル等を備えている (例えば、特許文献 1、特許文献 2参照)。

[0004] し力しながら、この燃料噴射装置においては、インナーヨークが上側ヨーク及び下側ヨークに二分割されており、装置同士のバラツキを無くし所定の推力を得るためには、組付け時にインナーヨーク、プランジャ及びアマチヤの位置を高精度に管理する必要があり、又、インナーヨークが二部品からなるため、部品管理及び組付け工数等が増え、コストが高くなるという問題があった。

また、装置を形成する種々の部品は、特に組付け性を考慮した設計になっておらず、それぞれの組み付け行程を経て順次組付けられるため、組付け工程が煩雑で、生産性が悪！ヽと！ヽぅ問題があった。

さらに、装置全体が比較的大きぐコストも高ぐエンジン上の搭載位置にも制約を生じ、艤装上の自由度が小さいという問題があった。

[0005] 特許文献 1 :特開 2002— 155828号公報

特許文献 2 :特開 2003— 166455号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0006] 本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、特に、部品点数の削減、構造の簡素化、小型化、低コスト化等を図りつつ、部品のモジュールィ匕を図って組付け作業性を改善すると共に、生産性の向上を図れる燃料噴射装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0007] 本発明の燃料噴射装置は、往復動により燃料を圧送室に吸引して圧送するプランジャ、プランジャと一体的に移動するアマチヤ、アマチヤを摺動自在に収容する円筒状のインナーヨーク、インナーヨークに接合されるアウターヨーク、インナーヨークの周りに配置されて励磁用のコイルを卷回したボビン、アマチヤを休止位置に戻すべくィンナーヨーク内に配置されるリターンスプリング、圧送室及び燃料の通路を画定する通路部材、通路部材に接合されて圧送室カゝら吐出された燃料を噴射する噴射ノズル、燃料又はべーパを元に戻すリターンパイプ、外輪郭を画定するハウジングを備え、ノ、ウジングは、燃料の供給通路を画定すると共にボビン及びアウターヨークを一体的に組み込んで榭脂材料により成型され、インナーヨークは、ボビン及びアウターヨークに対して直接嵌合して固着されている、構成となっている。

この構成によれば、コイルを卷回したボビン及びアウターヨークを予め一体的に組み込んでノヽウジングを形成し、このハウジング (ボビン及びアウターヨーク）の貫通路又は貫通孔に対してインナーヨークを直接嵌入して固着することができるため、部品ごとに組み付ける場合に比べて、組付け作業を円滑にかつ簡単に行うことができ、又、装置の小型化にも寄与する。 [0008] 上記構成において、通路部材は、圧送室力径方向外向きに伸長する通路を開口させると共にインナーヨークと略同一の外径に形成された外周面、インナーヨークの一端に接合される接合部を有する、構成を採用することができる。

この構成によれば、通路部材を予めインナーヨークに接合して一体ィ匕した後に、ハウジングに嵌入させて組み込むことができる。これにより、組付け作業を容易にしかつ簡素化することができる。

[0009] 上記構成において、通路部材は、プランジャを摺動自在に嵌合させると共に圧送室を画定する貫通路、圧送室から外周面に向けて開口する吸引通路及び排出通路を有し、通路部材の吸引通路には、圧送室に流れ込む燃料を調整するインレットチエックバルブが配置され、通路部材の排出通路には、圧送室から流れ出る燃料を調整するスピルバルブが配置され、通路部材の外周面には、供給通路を経て供給される燃料力もべーパを分離する略円筒状のフィルタ部材が嵌合されている、構成を採用することができる。

この構成によれば、外周面よりの径方向内側に位置する吸引通路及び排出通路内にインレットチェックバルブ及びスピルバルブが配置されるため、これらのバルブを予め組み込みフィルタ部材を外嵌させた状態で、通路部材をインナーヨークに接合すると共にハウジングに嵌め込むことができる。

[0010] 上記構成において、ハウジングは、インナーヨークの一端近傍においてインナーョークの外周面よりも大きい内径をなし第 1シールリングを受け入れる第 1内周面、供給通路を開口させると共に第 1内周面よりも大きい内径でかつフィルタ部材を収容し得る第 2内周面を有し、通路部材は、その外周面に嵌合させたフィルタ部材を担持する第 1環状フランジ、第 1環状フランジよりも大きい外径をなし第 1環状フランジの外周面に外嵌された第 2リングシールを担持する第 2環状フランジを有する、構成を採用することができる。

この構成によれば、装置の組付けに際して、第 1リングシールを第 1内周面内に嵌め込み、第 2リングシールを第 2環状フランジに担持させかつフィルタ部材を第 1環状フランジに担持させつつ外周面に嵌合させるようにして通路部材に組み込んだ状態で、通路部材又はインナーヨークに接合した通路部材を、ハウジング内に挿入して第 2内周面により画定される空間に嵌め込むこと (一方向力もの挿入）により、簡単な作業で容易に組付けることができる。また、この簡単な組付け作業にも拘わらず、第 1リングシールによりコイル側への燃料の侵入を防止でき、又、第 2リングシールによりハウジング外部への燃料の漏れを防止できる。

[0011] 上記構成において、フィルタ部材は、第 1内周面とインナーヨークの外周面の間に挿入された第 1リングシールを押圧する第 1環状端面、第 2内周面と第 1環状フランジの外周面の間に挿入された第 2リングシールを押圧する第 2環状端面を有する、構成を採用することができる。

この構成によれば、フィルタ部材の第 1環状端面で第 1リングシールを押圧することにより、第 1リングシールの位置ずれを規制してより確実なシール性能を確保することができ、又、フィルタ部材の第 2環状端面で第 1リングシールを押圧することにより、第 2リングシールの位置ずれを規制してより確実なシール性能を確保することができる。

[0012] 上記構成にぉヽて、通路部材は、圧送室の下流側にお!ヽて、噴射ノズルを嵌合させる嵌合凹部を有する、構成を採用することができる。

この構成によれば、通路部材又はインナーヨークに予め接合した通路部材をハウジングに組み込み、その後、噴射ノズルを通路部材の嵌合凹部に嵌合させて組み込むことができ、又は、噴射ノズルを予め嵌合凹部に嵌合させて組み込んだ後、この通路部材をノヽウジングに組み込むことができる。このように、一方向からの挿入ないし嵌合という組付け作業により、装置の組付けを行うことができるため、全体として組付け作業が簡素化されて容易になる。

[0013] 上記構成において、リターンパイプは、インナーヨークにのみ接合されている、構成を採用することができる。

この構成によれば、リターンパイプを予めインナーヨークに組み込んだ後に、インナ一ヨークをノ、ウジング (ボビン及びアウターヨークの貫通路及び貫通孔）に嵌め込むことができるため、ボビン及びアウターヨークを一体成型したハウジング力なる第 1モジュール品と、インナーヨーク内にアマチヤ及びプランジャ並びにリターンスプリングを収容し一端に (インレットチェックバルブ，スピルバルブを予め組み込んだ)通路部材を接合しかつ他端にリターンパイプを接合した第 2モジュール品と、噴射ノズル力もなる第 3モジュール品の 3つのモジュール品を用意し、これら 3つのモジュール品を接合して固着することにより、装置の組付けを完了することができる。

このように、モジュールィ匕した後に、それぞれのモジュール品を組み付けることにより、モジュール品ごとの管理及び確認作業を行え、部品の欠損あるいは誤組付け等を防止しつつ、効率よぐ高精度にかつ確実に、装置の組付けを行うことができ、生産性を向上させることができる。

発明の効果

[0014] 上記構成をなす燃料噴射装置によれば、部品点数の削減、構造の簡素化、小型ィ匕、低コスト化等を達成しつつ、部品のモジュールィ匕を行うことで、組付け作業性を改善でき、生産性を向上させることができる。

図面の簡単な説明

[0015] [図 1]本発明に係る燃料噴射装置の一実施形態を示す縦断面図である。

[図 2]本発明に係る燃料噴射装置の一実施形態を示す縦断面図である。

[図 3]図 1に示す燃料噴射装置の一部をなすプランジャ及びアマチヤを示すものであり、（a)はその平面図、（b)はその側面図、（c)は (a)中の E1— E1における縦断面図、 (d)は（a)中の E2— E2における縦断面図である。

[図 4]図 1に示す燃料噴射装置の一部をなすインナーヨークを示すものであり、 (a)はその側面図、（b)はその縦断面図である。

[図 5]図 1に示す燃料噴射装置の一部をなす通路部材を示すものであり、 (a)はその平面図、（b)はその側面図、（c)は（a)中の E3— E3におけるその縦断面図である。

[図 6]図 1に示す燃料噴射装置の一部をなすハウジングを示すものであり、 (a)はその側面図、（b)は（a)中の E4— E4における縦断面図である。

[図 7]図 1に示す燃料噴射装置を 3つのモジュール品にモジュールィ匕した場合を示す分解図である。

[図 8]図 1に示す燃料噴射装置がエンジンに搭載された状態を示す概略構成図である。

符号の説明

[0016] E エンジン FT 燃料タンク FH フィードホース RH リターンホース L 軸線方向

100 プランジャポンプ 110 プランジャ 111 肉抜き部 120 アマチヤ 121 貫通路

122 環状縮径部 130 インナーヨーク 131 外周面

132 内周面

133 環状ギャップ溝 134 嵌合部

135 嵌合孔

140 通路部材 141 貫通路

141a, 141b 開口 142 吸引通路 143 排出通路 144 接合部

144a 円筒部

145 外周面

146 第 1環状フランジ 147 第 2環状フランジ 148 嵌合凹部 149 肉抜き部 150 リターンスプリング

160 リターンパイプ

170 ボビン

171 貫通路

180 励磁用のコイル

190 アウターヨーク

191 上側ヨーク

191a 貫通孔

192 下側ヨーク

192a 貫通孔

193 縦ヨーク

200 ハウジング

201 供給パイプ

201a 供給通路

202 コネクタ

203 第 1内周面

204 第 2内周面

210 フィルタ部材

211 フレーム

212 分離フィルタ

213 第 1環状端面

214 第 2環状端面

220 インレットチェックバルブ

230 スピルバルブ

240 Oリング（第 1リングシール)

250 Oリング（第 2リングシーノレ)

300 噴射ノズル

310 ノズルボデー 311 吐出通路

320 チェックバルブ

330 ポペットバルブ

発明を実施するための最良の形態

[0017] 以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。

図 1ないし図 6は、本発明に係る燃料噴射装置の一実施形態を示すものであり、図 1及び図 2は装置の縦断面図、図 3は装置の一部をなすアマチヤ及びプランジャを示す平面図及び側面図並びに断面図、図 4は装置の一部をなすインナーヨークの側面図及び縦断面図、図 5は装置の一部をなす通路部材を示す平面図及び側面図並びに縦断面図、図 6は装置の一部をなすハウジングを示す側面図及び縦断面図である

[0018] この燃料噴射装置は、図 1及び図 2に示すように、燃料の吸引及び圧送を行うブランジャポンプ 100、所定の圧力以上に加圧された燃料を噴射する噴射ノズル 300等を備えている。

[0019] プランジャポンプ 100は、図 1及び図 2に示すように、上下方向（軸線方向 L)に往復動するプランジャ 110、プランジャ 110と一体的に形成されたアマチヤ 120、円筒状のインナーヨーク 130、インナーヨーク 130の下端に嵌合されて通路を形成する通路部材 140、アマチヤ 120 (及びプランジャ 110)を上方の休止位置に戻すリターンスプリング 150、インナーヨーク 130の上端に固着されたリターンパイプ 160、インナーヨーク 130の周り〖こ嵌合されたボビン 170、ボビン 170に卷回された励磁用のコイル 1 80、ボビン 170の上端から下端まで伸長して形成されたアウターヨーク 190、コイル 1 80を覆うように成型されると共に供給パイプ 201及び電気接続用のコネクタ 202を形成する榭脂製のハウジング 200、通路部材 140の周りに嵌合されたフィルタ部材 210 、通路部材 140に組み込まれたインレットチェックバルブ 220及びスピルバルブ 230 等を備えている。

[0020] プランジャ 110は、図 1、図 2、図 3に示すように、磁性ステンレス材料を用いてアマチヤ 120と一体的に形成されており、後述する通路部材 140の貫通路 141に対して摺動自在に嵌合されるように円柱状に形成され、その上方領域にぉ、て軸線方向 L に伸長する肉抜き部 111が形成されている。肉抜き部 111は、余剰の燃料又は発生したべーパを元に戻す戻し通路の一部を画定するものであり、周方向において等間隔で 4つ形成されている。そして、プランジャ 110は、後述するアマチヤ 120と一体的に移動し、貫通路 141の下方に画定される圧送室 Cに対して、上方の休止位置に戻る際に燃料を吸引する吸引行程を行い、下方に移動する際に圧送室 Cの燃料を圧縮して圧送する圧送行程を行うようになって!/、る。

[0021] アマチヤ 120は、図 1、図 2、図 3に示すように、磁性ステンレス材料を用いてプランジャ 110と一体的に形成されており、後述するインナーヨーク 130の内周面 132に摺動自在に嵌合するように円筒状に形成され、その内側に戻し通路の一部を画定する貫通路 121、その下端にお 1ヽて縮径して突出するように形成された環状縮径部 122 を備えている。環状縮径部 122は、図 1及び図 2に示すように、アマチヤ 120 (及びプランジャ 110)が上方の休止位置にあるとき、その外周面が後述するインナーヨーク 1 30の環状ギャップ溝 133の底を画定する内周面 (壁面）と所定隙間をおいて対向するように形成されている。ここで、アマチヤ 120及びプランジャ 110は、同一材料により一体成形されているため、組付け工数の削減、部品点数の削減、コストの低減等を達成できる。

[0022] インナーヨーク 130は、図 1、図 2、図 4に示すように、磁路として機能する磁性材料を用いて、外周面 131及び内周面 132を画定する円筒状に形成されており、その軸線方向 Lの略中間領域において、外周面 131の一部が外側に向けて末広がり状の台形断面をなすように肉抜きされた環状ギャップ溝 133、その上端外周において僅かに縮径されてアウターヨーク 190を接合 (嵌合)する嵌合部 134、その上端内周において僅か〖こ拡径されてリターンパイプ 160を嵌合する嵌合孔 135等を備えている。外周面 131は、後述するボビン 170の貫通路 171に密接して嵌合されるように形成されている。内周面 132は、アマチヤ 120を密接させて軸線方向 Lに摺動自在に案内するように形成されてヽる。

このように、インナーヨーク 130は、底が薄い肉厚をもつ環状ギャップ溝 133を採用して 1つの部品として形成されているため、部品点数を削減でき、組付け工数あるいは管理工数を簡素化できる。また、インナーヨーク 130は、嵌合部 134が後述するァウタ一ヨーク 190の貫通孔 191aに対して、かつ、外周面 132が後述するボビン 170 の貫通路 171及びアウターヨーク 190の貫通孔 192aに対して、直接嵌合させられるようになっているため、一方向からの挿入作業だけで、組付け作業を円滑にかつ簡単に行うことができ、装置の小型化にも寄与するものである。

[0023] 通路部材 140は、図 1、図 2、図 5に示すように、非磁性のステンレス材料により形成されて、プランジャ 110を摺動自在に嵌合させる円形断面をなす貫通路 141、貫通路 141の側面に開口 141aを有し径方向に貫通する吸引通路 142、吸引通路 142の開口 141aよりも上方位置 (圧送行程の開始側寄り）において貫通路 141の側面に開口 141bを有し径方向に貫通する排出通路 143、上端においてインナーヨーク 130 の下端を嵌合する円筒部 144aをもつ接合部 144、フィルタ部材 210を外嵌させる外周面 145、フィルタ部材 210を担持する第 1環状フランジ 146、第 2リングシールとしての Oリング 250を第 1環状フランジ 146の外周面に外嵌させつつ担持する第 2環状フランジ 147、噴射ノズル 300を嵌合して固定するための円形断面をなす嵌合凹部 1 48、フィルタ部材 210を通過した燃料を上方のインナーヨーク 130内に導く戻し通路としての上下方向に伸長して肉抜きされた複数の肉抜き部 149等を備えて、る。

[0024] 貫通路 141は、吸引通路 142の開口 141a及び排出通路 143の開口 141bが設けられた領域において、後述する噴射ノズル 300のノズルボデー 310と協働して、燃料を吸引して圧送 (圧縮)する圧送室 Cを画定するようになってヽる。

外周面 145は、図 1及び図 2に示すように、インナーヨーク 130の外周面 131と略同一の外径をなすように形成されて!、る。

そして、外周面 145よりも径方向内側においてすなわち外周面 145から突出しないように、インレットチェックバルブ 220及びスピルバルブ 230が配置されるようになっている。これにより、プランジャ 110の軸線方向 Lに垂直な径方向において、装置を小型化することができ、図 8に示すように、この装置 Mをエンジン Eの吸気管等に取り付ける際の自由度を増加させることができる。

また、接合部 144をインナーヨーク 130の下端に接合して、通路部材 140をインナ一ヨーク 130に予め組み付けて一体ィ匕した後に、後述するボビン 170の貫通路 171 及びアウターヨーク 190の貫通孔 191a, 192aに嵌合させて組み込むことができ、組付け作業を容易にすることができる。

[0025] また、一つの通路部材 140に対して、貫通路 141、吸引通路 142、及び排出通路 1 43がー緒に形成されているため、インレットチェックバルブ 220及びスピルバルブ 23 0を予め通路部材 140に組み込むことができ、組付け作業性を改善できる。

さらに、ここでは、通路部材 140が非磁性ステンレス材料により形成されているため、コイル 180への通電により発生した磁力線力この領域まで流れ込むのを遮断でき、インナーヨーク 130及び後述するアウターヨーク 190により形成される短い磁路内を流れさせることができる。

[0026] リターンスプリング 150は、図 1及び図 2に示すように、圧縮型のコイルスプリングであり、インナーヨーク 130の下方空間に収容されて、その上端がアマチヤ 120の環状縮径部 122の下面に当接され、その下端が通路部材 140の円筒部 144aの内側において接合部 144に当接され、所定の圧縮代に圧縮された状態で装着されている。そして、リターンスプリング 150は、コイル 180が通電されたときアマチヤ 120 (及びプランジャ 110)が下方に移動するのを許容すると共に、コイル 180が非通電のときァマチヤ 120 (及びプランジャ 110)を上方の休止位置に復帰させるように付勢力を及ぼしている。

[0027] リターンノィプ 160は、図 8に示すように、余剰の燃料及び発生したベーパを元に（燃料タンク FTに）戻すべくその先端をリターンホース RHに接続するものであり、アマチヤ 120を休止位置に停止させるストッパ 161を挟んでインナーヨーク 130の嵌合孔 135に嵌合、すなわち、インナーヨーク 130にのみ接合して固着されるようになっている。

そして、リターンパイプ 160は、リターンスプリング 150,プランジャ 110及びァマチャ 120をインナーヨーク 130の内部に収容した状態で、インナーヨーク 130に予め接合された後に、ハウジング 200に一体的に組み込まれるようになつている。

[0028] ボビン 170は、図 1及び図 2に示すように、榭脂材料を用いて、中央に円形断面の貫通路 171、外周面に矩形断面の環状溝 172を画定するように形成されている。貫通路 171には、図 1及び図 2に示すように、インナーヨーク 130が嵌合して取り付けられ、環状溝 172には励磁用のコイル 180が卷回されている。また、ボビン 170は、コイル 180を卷回した状態で、ハウジング 200と一体成型（モ一ルド）されるようになつている。

[0029] アウターヨーク 190は、図 1及び図 2に示すように、磁路として機能する磁性材料を用いて、ボビン 170を上下方向において挟むと共にインナーヨーク 130の嵌合部 13 4及び外周面 131を嵌合させる貫通孔 191a, 192aを画定する上側ヨーク 191及び下側ヨーク 192、上側ヨーク 191と下側ヨーク 192を接続するべく上下方向（軸線方向 L)に伸長する 2つの縦ヨーク 193を画定するように形成されて!、る。

縦ヨーク 193は、軸線方向 Lにおいて、インナーヨーク 130から突出しない長さ（同一の長さかそれよりも短い長さ）に設定されている。

また、アウターヨーク 190は、ボビン 170と一緒にハウジング 200と一体的に成型（モールド）されるようになって、る。

そして、上側ヨーク 191 (の貫通孔 191a)がインナーヨーク 130の嵌合部 134に外嵌されて接合され、下側ヨーク 192 (の貫通孔 192a)がインナーヨーク 130の外周面 131に外嵌されて接合されて!、る。

[0030] ハウジング 200は、図 1、図 2、図 6に示すように、コイル 180を卷回したボビン 170 及びアウターヨーク 190を一体的に組み込んだ状態で、榭脂材料を用いて成型 (モ一ルド)されており、燃料を供給する供給通路 201aを画定する供給パイプ 201、コネクタ 202、第 1リングシールとしての Oリング 240を嵌合させるべくインナーヨーク 130 の外周面 131よりも大きい内径をなす第 1内周面 203、供給通路 201aを開口させると共に第 1内周面 203よりも大きい内径でフィルタ部材 210を収容し得る第 2内周面 2 04等を備えている。

第 2内周面 204は、第 2リングシールとしての Oリング 250を密着させると共に戻し通路の壁面を画定するようになって、る。

供給パイプ 201は、図 8に示すように、燃料タンク FTから燃料を供給するべぐフィードホース FHに接続されるようになっている。

[0031] フィルタ部材 210は、図 1及び図 2に示すように、榭脂材料を用いて形成された略円筒状のフレーム 211、ゴミ等の混入物又はべーパを燃料力も分離するべくフレーム 211に固着された分離フィルタ 212、フレーム 211の上端に形成された第 1環状端面 213、フレーム 211の下端に形成された第 2環状端面 214等を備えて、る。

そして、フィルタ部材 210は、外周面 145に外嵌されると共に第 2環状端面 214の内側が第 1環状フランジ 146に担持されて通路部材 140に組み付けられるようになつている。また、フィルタ部材 210は、第 1環状端面 213が Oリング 240を押圧してその位置ずれを規制し、第 2環状端面 214が Oリング 250を押圧してその位置ずれを規制するようになつている。

[0032] インレットチェックバルブ 220は、図 1に示すように、弁座に着座する頭部が略半球状をなす弁体 221、弁体 221を閉弁方向に付勢するスプリング 222、ホルダ 223等を備え、通路部材 140の吸引通路 142内に装着されている。

そして、インレットチェックバルブ 220は、プランジャ 110の吸引行程において開弁し、燃料が吸引通路 142 (及び開口 141a)を通して圧送室 C内に流れ込むのを許容すると共に、プランジャ 110の圧送行程において閉弁し、圧送室 C内の燃料が吸引通路 142から外部 (供給通路 201a又は戻し通路としての肉抜き部 149, 111)に流れ出るのを規制するようになって!/、る。

[0033] スピルバルブ 230は、図 1に示すように、弁座に着座する頭部が略半球状をなす弁体 231、弁体 231を閉弁方向に付勢するスプリング 232、ホルダ 233等を備え、通路部材 140の排出通路 143内に装着されている。

そして、スピルバルブ 230は、プランジャ 110の吸引行程において、排出通路 143 ( 及び開口 141b)を通して圧送室 C内に燃料が流れ込むのを規制し、プランジャ 110 の圧送行程の初期領域において、圧送室 C内の燃料又は発生したベーパが排出通路 143から外部（戻し通路としての肉抜き部 149, 111)に流れ出るのを許容するようになっている。

[0034] 上記構成において、余剰の燃料又は発生したベーパを燃料タンク FTに戻す戻し通路は、通路部材 140の肉抜き部 149、インナーヨーク 130の内周面 132により画定される空間、プランジャ 110の肉抜き部 111、アマチヤ 120の貫通路 121により画定されている。

すなわち、供給通路 201aから供給された一部の燃料は、プランジャ 110の吸引行程において、フィルタ部材 210 (分離フィルタ 212)及びインレットチェックバルブ 220 を経て圧送室 C内に流れ込み、余剰の燃料及び分離フィルタ 212の上流側で発生したべーパは、戻し通路（肉抜き部 149、内周面 132により画定される空間、肉抜き部 1 11、貫通路 121)を経てリターンパイプ 160に導かれ、その後、リターンホース RHを介して燃料タンク FTに戻されるようになって、る。

[0035] 噴射ノズル 300は、図 1及び図 2に示すように、通路部材 140の貫通路 141及び嵌合凹部 148に嵌合されるべく筒状に形成されたノズルボデー 310、圧送室 Cの下端に形成された吐出通路 311、吐出通路 311からの流出のみを許容するチェックバルブ 320 (すなわち、弁体 321、弁体 321を閉弁方向に付勢するスプリング 322)、燃料が所定圧力以上のとき開弁するポペットバルブ 330 (すなわち、ポペット弁体 331、ポペット弁体 331を閉弁方向に付勢するスプリング 332)等を備えている。

この噴射ノズル 300は、図 8に示すように、エンジン Eの吸気通路内に露出するように挿入されるものである。

噴射ノズル 300は、ノズルボデー 310に対して、予めチェックバルブ 320及びポぺットバルブ 330等が組み込まれて、第 3モジュール品としてモジュール化されるものである。

[0036] 次に、この装置の製造及び組付け手順について、図 7を参照しつつ説明する。

先ず、図 7に示すように、コイル 180を卷回したボビン 170及びアウターヨーク 190 を一体成型したハウジング 200からなる第 1モジュール品 Ml、インナーヨーク 130内にアマチヤ 120及びプランジャ 110並びにリターンスプリング 150を収容し一端に（ィンレットチェックバルブ 220,スピルバルブ 230を予め組み込んだ）通路部材 140を接合しかつ他端にリターンパイプ 160を接合した第 2モジュール品 M2、ノズルボデ一 310にチェックバルブ 320及びポペットバルブ 330を予め組み込んだ噴射ノズル 3 00からなる第 3モジュール品 M3を用意する。

[0037] 続いて、図 7に示すように、 Oリング 240を第 1モジュール品 Mlの第 1内周面 203に嵌合させる。

続いて、 Oリング 250を第 2モジュール品 M2の第 2環状フランジ 147に担持させ、フィルタ部材 210を外周面 145に外嵌させると共に第 1環状フランジ 146に担持させるそして、インナーヨーク 130の外周面 132を貫通路 171及び貫通孔 191a, 192aに嵌合させると共に第 1環状端面 213を Oリング 240に押し付けるようにして、第 2モジユール品 M2を第 1モジュール品 Mlに組み付けて固着させる。

続いて、ノズルボデー 310を通路部材 140の嵌合凹部 148に嵌合させるようにして、第 3モジュール品 M3を第 2モジュール品 M2に組み付けて固着する。尚、第 3モジユール品 M3は、第 2モジュール品 M2に対して先に組み付けられてもよい。

[0038] このように、装置の部品を組み付ける際に、 3つのモジュール品 Ml, M2, M3にモジュールィ匕した後に、それぞれのモジュール品同士を一方向力も挿入することにより、装置の組み付けが完了するため、モジュール品ごとの管理及び確認作業を行うことができ、部品の欠損あるいは誤組付け等を防止しつつ、効率よぐ高精度にかつ確実に、装置を組み付けることができ、生産性を向上させることができる。

[0039] 次に、この装置の動作について説明する。

先ず、アマチヤ 120 (及びプランジャ 110)が休止位置にある状態において、コイル 180が通電されると、インナーヨーク 130の上側、アマチヤ 120及び環状縮径部 122 、インナーヨーク 130の下側、アウターヨーク 190により形成される磁路内を磁力線が流れ、休止位置にあるプランジャ 110は、リターンスプリング 150の付勢力に抗して下向きに移動し始めて、圧送室 C内の燃料を加圧しつつ圧送行程を開始する。

そして、この圧送行程の初期領域においては、インレットチェックバルブ 220が閉弁した状態で、圧送される燃料が所定の圧力（与圧）以上になるとスピルバルブ 230を通してベーパ混じりの燃料が戻し通路（肉抜き部 149、 111、貫通路 121)からリタ一ンパイプ 160に向け排出される。

[0040] 続いて、プランジャ 110がさらに移動することにより圧送行程の後期領域に入ると、プランジャ 110の側面が開口 141b (及び排出通路 143)を閉塞すると同時に、圧送室 C内の燃料はさらに昇圧させられる。そして、圧送室 C内の燃料が所定の圧力に上昇した時点で、チェックバルブ 320が開弁し、所定圧力以上の燃料が、ポペットバルブ 330を開弁させると同時にエンジン Eの吸気通路内に噴射される。

[0041] 一方、燃料噴射後においてコイル 180への通電が断たれると、リターンスプリング 1 50の付勢力により、プランジャ 110及びアマチヤ 120は上方に向けて移動し始める。このとき、インレットチェックバルブ 220が開弁して吸引行程が開始され、供給通路 20 la内の燃料が分離フィルタ 212を経て圧送室 C内に吸引される。このとき、燃料内に発生したベーパは、分離フィルタ 212により積極的に分離されて、戻し通路（肉抜き部 149、 111、貫通路 121)に向け排出される。

噴射ノズル 300からの燃料の噴射にお!、ては、上記プランジャポンプ 100による圧送行程及び吸引行程力もなる一連の動作が連続的に繰り返されることになる。

[0042] このように、上記燃料供給装置によれば、部品点数の削減、構造の簡素化、小型ィ匕、低コスト化、組付け性の改善等を達成しつつ、生産性を向上させることができる。また、図 8に示すように、この燃料供給装置 Mは、従来の燃料供給装置 ΜΊこ比べて小型化されるため、エンジン Eへの取り付け自由度が増え、又、供給パイプ 201の高さを従来に比べて低くすることができるため、供給パイプ 201から燃料タンク FTまでのヘッド差を十分確保することができ、安定した燃料の供給が達成される。

[0043] 上記実施形態においては、 3つのモジュール品 Ml, M2, M3にモジュール化した場合を示した力これに限定されるものではなぐ一方向からの挿入作業を行えるようにモジュール化するものであれば、その他の個数にモジュール化してもよ、。

上記実施形態においては、通路部材 140に対してインレットチェックバルブ 220及びスピルバルブ 230を組み込む場合を示した力これに限定されるものではなぐこれらのノレブ 220, 230に替わる機構を組み込んでもよ!/ヽ。

産業上の利用可能性

[0044] 以上述べたように、本発明の燃料噴射装置は、部品点数の削減、構造の簡素化、小型化、低コスト化、組付け性の改善、生産性の向上等を達成できるため、小型化及び低コストィ匕が要求される二輪車の搭載されるエンジンの燃料噴射装置として適用できるのは勿論のこと、その他の車両等に搭載されるエンジンにおいても有用である

Claims

請求の範囲

[1] 往復動により燃料を圧送室に吸引して圧送するプランジャ、前記プランジャと一体的に移動するアマチヤ、前記アマチヤを摺動自在に収容する円筒状のインナーョ一ク、前記インナーヨークに接合されるアウターヨーク、前記インナーヨークの周りに配置されて励磁用のコイルを卷回したボビン、前記アマチヤを休止位置に戻すべく前記インナーヨーク内に配置されるリターンスプリング、前記圧送室及び燃料の通路を画定する通路部材、前記通路部材に接合されて前記圧送室から吐出された燃料を噴射する噴射ノズル、燃料又はべーパを元に戻すリターンパイプ、外輪郭を画定するハウジングを備え、

前記ハウジングは、燃料の供給通路を画定すると共に、前記ボビン及びアウターョークを一体的に組み込んで榭脂材料により成型され、

前記インナーヨークは、前記ボビン及びアウターヨークに対して直接嵌合して固着されている、

ことを特徴とする燃料噴射装置。

[2] 前記通路部材は、前記圧送室から径方向外向きに伸長する通路を開口させると共に前記インナーヨークと略同一の外径に形成された外周面、前記インナーヨークの一端に接合される接合部を有する、

ことを特徴とする請求項 1記載の燃料噴射装置。

[3] 前記通路部材は、前記プランジャを摺動自在に嵌合させると共に前記圧送室を画定する貫通路、前記圧送室力前記外周面に向けて開口する吸引通路及び排出通路を有し、

前記吸引通路には、前記圧送室に流れ込む燃料を調整するインレットチェックバルブが配置され、

前記排出通路には、前記圧送室力流れ出る燃料を調整するスピルバルブが配置され、

前記外周面には、前記供給通路を経て供給される燃料力ベーパを分離する略円筒状のフィルタ部材が嵌合されてヽる、

ことを特徴とする請求項 2記載の燃料噴射装置。

[4] 前記ハウジングは、前記インナーヨークの一端近傍において前記インナーヨークの外周面よりも大きい内径をなし第 1シールリングを受け入れる第 1内周面、前記供給通路を開口させると共に前記第 1内周面よりも大きい内径でかつ前記フィルタ部材を収容し得る第 2内周面を有し、

前記通路部材は、その外周面に嵌合させた前記フィルタ部材を担持する第 1環状フランジ、前記第 1環状フランジよりも大きい外径をなし前記第 2内周面と前記第 1環状フランジの外周面の間に挿入された第 2リングシールを担持する第 2環状フランジを有する、

ことを特徴とする請求項 3記載の燃料噴射装置。

[5] 前記フィルタ部材は、前記第 1内周面と前記インナーヨークの外周面の間に挿入された前記第 1リングシールを押圧する第 1環状端面、前記第 1環状フランジの外周面に外嵌された前記第 2リングシールを押圧する第 2環状端面を有する、

ことを特徴とする請求項 4記載の燃料噴射装置。

[6] 前記通路部材は、前記圧送室の下流側において、前記噴射ノズルを嵌合させる嵌合凹部を有する、

ことを特徴とする請求項 3ないし 5いずれかに記載の燃料噴射装置。

[7] 前記リターンノイブは、前記インナーヨークにのみ接合されている、

ことを特徴とする請求項 1ないし 6いずれかに記載の燃料噴射装置。