明 細 書
液材吐出装置
技術分野
[0001] 本発明は、あらゆる粘度の液材、例えば、水、アルコールといった低粘性物質から、 接着剤、ペースト状もしくはクリーム状の工業用材料といった高粘稠流体に至るまで の、液材を吐出可能な液材吐出装置に関する。
背景技術
[0002] 管の内面を摺動するプランジャの進退移動により液材を吐出する装置としては、例 えば、液材を貯留する液材貯留部と、液材を吐出するノズル部と、前記貯留部と前記 ノズル部とを連通する液送路と、前記液送路の内面に密着して摺動するシール部を 有するプランジャ部と、前記プランジャ部を進退移動するプランジャ移動手段とで構 成され、液送路のノズル側末端近傍と液送路の液材貯留部近傍または液材貯留部 とを連通する液送路と前記液送路の液送路末端、または液送路途中に配設された液 送弁と、を備える装置があり、その実施例として、プランジャの進退方向に対し横方向 に延出する吐出弁 (液送弁)を備える装置が図示されている (特許文献 1)。
[0003] また、吐出する液材を所望量に計量するポンプ部と、吸引および排出の液材流路 を切り替えるバルブ部と、バルブ部の位置によりポンプ部と連通可能な、液材を貯留 する貯留部と、液材を吐出する吐出口を備える吐出部と、による構成において、ボン プ部とバルブ部を連接して配設する装置が開示されており、その実施例として、ボン プ部の一構成品であるシリンダブロックの一側面にバルブ部の一構成品であるバル ブブロックを配設し、前記シリンダブロックが、エア制御手段力 供給されるエア圧力 によって、エアシリンダ先端の押部材を介して前記バルブブロックに加圧固定される ことにより、前記シリンダブロックと前記バルブブロックとを密着させ、また、前記バル ブブロックの背面に配設されるエアシリンダによって、前記バルブブロックを前記シリ ンダブロックに対し滑合させる、ことが図示および記載されて 、る(特許文献 2)。
[0004] このように、従来はバルブとして動作させるために必要な動力を得るために、特許 文献 1のように、プランジャの進退方向に対し横方向に延出して配置する力、特許文
献 2のように、バルブを介してプランジャと相対する位置、またはバルブの背面に配設 させる必要があった。
特許文献 1 :特開 2003— 126750号
特許文献 2:特開 2001— 227456号
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0005] し力し、このようなノズルに近い位置にバルブ駆動源を配置する従来の装置では、 バルブ駆動源がプランジャの進退方向に対し水平方向に突出する構成であるために 、複数の吐出装置を並列して配置するのが困難であった。すなわち、液材吐出装置 を並列配置する場合、並列配置の間隔はバルブ駆動源のサイズにより制約されると いう問題があった。
ここで、高粘度の液材吐出に対応するためには、バルブ切り換えに大きな駆動力が 必要となるため、装置サイズをコンパクトにするためには、用途を低粘度液材に限定 しなくてはならなかった。
[0006] 本発明は上記事情を鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、あらゆ る粘度の液材に対応可能でありながら、プランジャ進退方向に対する水平方向への 装置の不要な突出や拡がりがない構造であり、複数の装置を連接可能とする液材吐 出装置を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0007] 発明者は、上記課題は水平方向にバルブ駆動源を配置することに起因すると考え 、バルブ駆動源をベースブロックの長手方向に配設することで水平方向の省スぺー ス化を実現した。
[0008] すなわち、第 1の発明は、液材が供給される液材供給口と、液材が吐出されるノズ ルと、吐出される液材が充填される計量孔および液材供給口と連通する液材供給流 路を有するバルブブロック(31)と、計量孔と液材供給流路とを連通する第 1の流路 および計量孔とノズルとを連通する第 2の流路を有する切換バルブと、計量孔内を進 退動するプランジャと、プランジャを駆動させるプランジャ駆動部(20)と、切換バルブ を作動するバルブ駆動部(10)と、バルブ駆動部の駆動を切換バルブに伝達する伝
達部 (50)とから構成される液材吐出装置であって、前記プランジャ駆動部(20)、前 記バルブ駆動部(10)および前記バルブブロック(31)が長手方向に連設されること を特徴とする液材吐出装置である。
第 2の発明は、第 1の発明において、前記バルブブロック(31)は、前記液材供給流 路、ノズルおよび計量孔と連通するバルブ孔を有し、前記切換バルブは、前記バル ブ孔の内壁と摺接しながら回動する円筒形状の回転バルブであり、前記第 1の流路 は円周の表面上に設けられた凹溝であり、前記第 2の流路は円周を貫通する孔であ ることを特徴とする。
第 3の発明は、第 1の発明において、前記バルブブロック(31)は、前記液材供給流 路および前記計量孔の一端を前記切換バルブとの摺接面に有し、前記切換バルブ は、前記バルブブロック(31)と面で摺接しながらスライドするスライドバルブであり、 前記第 1の流路は、前記バルブブロック(31)との摺接面に設けられた凹溝であり、前 記第 2の流路は、前記バルブブロック(31)との摺接面と切換バルブの他の面とを連 通する孔であることを特徴とする。
第 4の発明は、第 1、 2または 3の発明において、前記プランジャ駆動部(20)、前記 バルブ駆動部(10)および前記バルブブロック(31)がベースブロックの正面に配設さ れており、前記伝達部 (50)がベースブロックの背面に配設されることを特徴とする。 第 5の発明は、第 1ないし 4のいずれかの発明において、前記伝達部(50)は、前記 バルブ駆動部(10)に接続された主動歯車(17)と、前記切換バルブと接続された従 属歯車( 16)と、前記主動歯車( 17)の駆動力を前記従属歯車(16)に伝達する動力 伝達ベルトとから構成されることを特徴とする。
第 6の発明は、第 5の発明において、前記主動歯車(17)と前記従属歯車(16)の 中間位置に配設され、同一軸上に固設された歯車比の異なる第 1の歯車および第 2 の歯車とから構成される可変歯車( 19)を備え、前記動力伝達ベルトが主動歯車( 17 )と第 1の歯車とを係回する第 1の動力伝達ベルトと、従属歯車(16)と第 2の歯車とを 係回する第 2の動力伝達ベルトとから構成されることを特徴とする。
第 7の発明は、第 5または 6の発明において、前記主動歯車(17)は、同一軸上に 固設された大歯車 (66)および大歯車と比べ歯車比の小さ!/ヽ小歯車 (67)とから構成
され、前記バルブ駆動部(10)と前記主動歯車(17)は、前記バルブ駆動部(10)に 接続された補助歯車 (65)と大歯車 (66)を係合させることにより接続され、前記主動 歯車(17)の駆動力を、小歯車 (67)に前記動力伝達ベルトを係回して前記従属歯 車(16)に伝達することを特徴とする。
第 8の発明は、第 5、 6または 7の発明において、前記動力伝達ベルトがチェーンべ ルトにより構成されることを特徴とする請求項 5、 6または 7の液材吐出装置。
第 9の発明は、第 5、 6または 7の発明において、前記動力伝達ベルトがタイミングべ ルトにより構成されることを特徴とする。
第 10の発明は、第 1ないし 9のいずれかの発明において、前記バルブ駆動部(10) 力 ロータリーアクチユエータにより構成されることを特徴とする。
第 11の発明は、第 1ないし 10のいずれかの発明において、前記プランジャ駆動部 (20)力 ステッピングモータにより構成されることを特徴とする。
第 12の発明は、第 1ないし 11のいずれかの液材吐出装置を横方向に複数連設し たヘッド部を有する液体塗布装置である。
発明の効果
[0009] 本発明によれば、あらゆる粘度の液材に対応可能でありながら、プランジャの進退 方向に伸びるスリムな形状に装置を構成することができるため、プランジャ進退方向 に対し水平方向に複数の液材吐出装置を連接させることを可能となった。
また、本発明の液材吐出装置を塗布装置に搭載したときには、液材を吐出する吐 出口を有する塗布ヘッドを小型化させることができ、し力も多数のノズルを連接するこ とがでさる。
図面の簡単な説明
[0010] [図 1]実施例 1に係る液材吐出装置の外観斜視図である。
[図 2]実施例 1に係る液材吐出装置の(a)正面図および (b)側面図である。
[図 3]実施例 1に係る液材吐出装置の(a)側面断面図および (b)背面図である。
[図 4]実施例 1に係る液材吐出装置の作動を説明する側面断面図(1Z2)である。
[図 5]実施例 1に係る液材吐出装置の作動を説明する側面断面図(2Z2)である。
[図 6]実施例 2に係る液材吐出装置の(a)側面断面図および (b)背面図である。
[図 7]本発明の液材吐出装置を搭載した液材塗布装置の外観斜視図である。
[図 8]本発明による液材吐出装置を連接した簡略外観図である。
[図 9]本発明の切換バルブの簡略外観図である。
[図 10]実施例 3に係る液材吐出装置の(a)正面図および (b)側面断面図である。
[図 11]実施例 3に係る液材吐出装置のバルブ部の断面斜視図(1Z2)である。
[図 12]実施例 3に係る液材吐出装置のバルブ部の断面斜視図(2Z2)である。
[図 13]実施例 4に係る液材吐出装置の(a)側面断面図および (b)背面図である。
[図 14]実施例 4に係る補助歯車の側面図である。
符号の説明
[0011] 図面に用いた主な符号の凡例を以下に示す。
1 ベースブロック Zio バルブ駆動部 Zii ロータリーアクチユエータ Z12 エア 供給口 AZ13 エア供給口 BZ 14 回転軸 AZ15 回転軸 BZ16 従属歯車 Z 17 主動歯車 Z18 凹部 Z19 可変歯車 Z20 プランジャ駆動部 Z21 直動ァクチュ エータ Z22 ァクチユエータロッド Z23 固定板 Z24 連結部 Z25 プランジャロッ ド Z26 スライドレール AZ27 スライドレール BZ30 バルブ部 Z31 バルブブロッ ク Z32 バルブブロックガイド Z33 バルブ孔 Z34 切換バルブ Z35 計量孔 Z36
Oリング Z37 Oリング押さえ板 Z38 液材供給口 Z39 液材供給流路 Z40 液 材排出流路 Z41 貫通孔 Z42 ノズル Z43 凹溝 Z45 液材貯留容器 Z46 支 持柱 Z47 ノズル支持体 Z48 液送チューブ Z50 伝達部 Z51 チェーン Z52 チェーン AZ53 チェーン BZ61 ラック Z62 ピ-オン Z63 軸受け Z64 タイミ ングベルト Z65 補助歯車 Z66 歯車 CZ67 歯車 DZ68 回転軸 D
発明を実施するための最良の形態
[0012] 以下では、本発明を実施するための最良の形態を、実施例により説明する。ただし 、本発明は何ら実施例に限定されるものではない。
実施例 1
[0013] 《構成》
本実施例の液材吐出装置は、バルブ駆動部 10と、プランジャ駆動部 20と、バルブ 部 30と、伝達部 50と、それらが配設されたベースブロック 1とから構成される。図 1は
本実施例の装置の正面斜視図であり、図 2の左図は正面図であり、図 2の右図は液 体貯留容器 45とエアチューブを装着した際の側面図である。以下各部を詳細に説 明する。
[0014] ベースブロック 1は、装置のほぼ全長にわたって細長く延在し、正面にはバルブ駆 動部 10、プランジャ駆動部 20、バルブ部 30が配設され、背面には歯車およびチェ ーンカゝら構成される伝達部を格納する凹部 18を備えている。本実施例の装置は、図 7に示すように液材塗布装置のヘッド部として、ベースブロック 1を左右方向に移動自 在の支持柱 46に取り付けて使用する。その際、本実施例の構成によれば、図 8に示 すように、装置を連装して使用することも可能である。本実施例の装置では、ベース ブロック 1の幅を 3cm以下にすることができた。
[0015] ノ レブ駆動部 10は、エア供給口 A12およびエア供給口 B13を有するロータリーア クチユエータ 11により構成される。ロータリーアクチユエータ 11は、エア供給口 A12と エア供給口 B13のいずれか一方にエアを供給し、他方のエアを排出することで、回 転軸 A14を所定の角度だけ回転させ、エア供給口 A12とエア供給口 B 13の供給と 排出を切り換えることで、回転軸 A14を所定の角度だけ逆転させる。回転軸 A14は、 図 3に示すように、ベースブロック 1の貫通孔を揷通し、凹部 18の内側に配設された 主動歯車 17に接続され、伝達部 50に駆動力を伝達する。
[0016] プランジャ駆動部 20は、固定版 23により固定された直動ァクチユエータ 21と、その 駆動を伝達するァクチユエータロッド 22と、プランジャロッド 25が設けられた連結部 2 4と、連結部 24を垂直方向に移動自在とするスライドレール A26とから構成される。 固定板 23にはァクチユエータロッド 22が貫装する貫通孔が設けられており、直動ァ クチユエータ 21を駆動させることでァクチユエータロッド 22が進退動し、これによりスラ イドレール A26上の連結部 24を介してプランジャロッド 25もまた進退移動する。
[0017] ノ レブ部 30は、略直方体のバルブブロック 31と、バルブブロックガイド 32と、バル ブブロック 34と、 Oリング押さえ板 37と、液材供給口 38とから構成される。
バルブブロック 31の内部には水平方向にバルブ孔 33が設けられており、垂直方向 にバルブ孔 33とバルブブロック 31の上面を連通する計量孔 35と、バルブ孔 33とノズ ル 42を連通する液材排出流路 40が設けられている。
[0018] ノ レブ孔 33の内部には円筒状で中心軸が水平になるように切換バルブ 34が配置 される。本実施例の切換バルブ 34は、図 9に示すように、貫通孔 41と凹溝 43を備え 、バルブ孔 33の内面を摺動しながら回転し、貫通孔 41が計量孔 35の対向位置にな るとノズル 42と計量孔 35が連通し、凹溝 43が計量孔 35の対向位置になると計量孔 35と液材供給流路 39が連通するよう構成されている。
切換バルブ 34の一端は回転軸 B 15と連結されており、回転軸 B 15はベースブロッ ク 1の貫通孔を揷通し、その他端は凹部 18の内側に配設された従属歯車 16に接続 される。
[0019] 計量孔 35の内部にはプランジャロッド 25が挿入され、進退動することで液材の充 填、吐出が行われる。計量孔 35の開口部には Oリング 36が装着され、 Oリング押さえ 板 37と協働して計量孔 35内の液材が外部に漏れるのを防ぐようシールしている。 Oリ ング押さえ板 37は、ベースブロック 1に設けられたバルブブロックガイド 32によってさ らに固定されている。
[0020] バルブブロック 31の正面には、液材供給口 38が設けられ、液材供給流路 39を介し バルブ孔 33と連通する。液材供給口 38には、適宜継手が接続され、その上流には 液材貯留容器 45などの液材を供給する手段が連結される。
[0021] 伝達部 50は、ベースブロック 1の凹部 18内に配置された従属歯車 16と、主動歯車 17と、両歯車間に係回されたチェーン 51とから構成される。
主動歯車 17はロータリーアクチユエータ 11の回転軸 A14と同軸に接続され、従属 歯車 16は切換バルブ 34の回転軸 B15と同軸に接続されている。ロータリーアクチュ エータ 11が作動すると、回転軸 A14が正転または逆転し、チェーン 51によりバルブ ブロック 31内で切換バルブ 34が回転する。
[0022] 《作動》
次に、本実施例の装置の作動について、図 4および 5に沿って説明する。 本実施例の装置の基本的な作動は、プランジャロッド 25を後退移動して計量孔 35に 液材を充填し、次にプランジャロッド 25を進出移動させて計量孔 35内の液材をノズ ル 42先端より液材を吐出するというものである。以下、詳細に説明する。
[0023] 図 4aは、プランジャロッド 25が計量孔 35に液材を導入する直前の状態である。この
状態におけるプランジャロッド 25は切換バルブ 34に最も接近するよう位置しており、 切換バルブ 34は凹溝 43が上方となり液材供給流路 39と計量孔 35を連通するような 位置にある。
[0024] 図 4bは、計量孔 35に液材が充填された状態を示している。プランジャロッド 25が後 退移動することで、液材貯留容器 45内の液材が液材供給流路 39から切換バルブ 3 4の凹溝 43を経て計量孔 35に充填される。
ここで、連結部 24はスライドレール A26を介してスライド可能にベースブロック 1に 接続されており、これによりプランジャロッド 25の滑らかな後退移動および進出移動 が実現される。プランジャロッド 25を所望する距離だけ後退させた後は、直動ァクチ ユエータ 21は駆動を停止してプランジャロッド 25を停止させる。
[0025] 図 5aは計量孔 35とノズル 42が連通した状態を示している。ロータリーアクチユエ一 タ 11のエア供給口 B 13にエアを供給すると同時に、エア供給口 A12を大気に開放 してエアを排出して、ロータリーアクチユエータ 11の回転軸 A14を回転させることで 回転軸 A14に接続される主動歯車 17が回転し、主動歯車 17に掛けられるチェーン を介して従属歯車 16が回転し、従属歯車 16に接続される切換バルブ 34が略 90度 回転する。これにより、切換バルブ 34の貫通孔 41の一方が計量孔 35に連通し、他 方が液材排出流路 40に連通するよう位置され、計量孔 35とノズル 42が連通する。
[0026] 図 5bは、計量孔 35に充填された液材が吐出された状態を示している。直動ァクチ ユエータ 21を駆動させァクチユエータロッド 22を前進させると、ァクチユエータロッド 2 2と連結部 24を介して接続されているプランジャロッド 25が前進し、計量孔 35内の液 材が切換バルブ 34の貫通孔 41を通り、液材排出流路 40を経由してノズル 42から吐 出される。プランジャを所望とする距離だけ前進させた後は、直動ァクチユエータ 21 は駆動を停止してプランジャロッド 25を停止させる。
[0027] 続いて、ロータリーアクチユエータ 11のエア供給口 A12にエアを供給すると同時に 、エア供給口 B13を大気に開放してエアを排出して、ロータリーアクチユエータ 11の 回転軸 A14を逆回転させることで回転軸 A14と接続される主動歯車 17が逆回転し、 主動歯車 17に掛けられているチ ーンによって従属歯車 16が逆回転し、従属歯車 1 6に接続される切換バルブ 34が逆回転する。これにより、切換バルブ 34の凹溝 43に
より計量孔 35と液材供給流路 39に連通する状態(図 4aの状態)となる。 以後同様の動作を繰り返すことで連続的に液材の吐出を行なうことができる。
実施例 2
[0028] 本実施例の装置は、実施例 1の装置と伝達部 50の構成が異なり、その他の構成は 実施例 1の装置と同じである。
本実施例の装置は、図 6に示すように、伝達部 50がベースブロック 1の凹部 18内に 配置された従属歯車 16と、主動歯車 17と、両歯車間に配置された可変歯車 19と、 それらに係回されたチェーン 52, 53とから構成される。
可変歯車 19は、同軸上に接続された径の大きい歯車 Aと径の小さい歯車 Bとから 構成され、歯車 Aと歯車 Bとは歯車比が異なっている。歯車 Aと歯車 Bは単に同軸上 に固定されており、各々独立に回転するものではなぐ一方の歯車が所定角度回転 すると他方の歯車も同じ角度回転するようになっている。なお、可変歯車 19の回転軸 Cはベースブロック 1に対して回転自在に配設されており、ベースブロック 1に設けら れた他の部材を駆動せしめるものではな 、。
[0029] ロータリーアクチユエータ 11により回転軸 A14を回転させると、回転軸 A14と同軸 上に接続された主動歯車 17が回転し、チェーン A52を介して可変歯車 19の歯車 A を回転させる。歯車 Aの回転は同軸上に接続された歯車 Bにそのまま伝わるので歯 車 Bは歯車 Aと同じ角度だけ回転し、チェーン B53を介して従属歯車 16を回転させ る。従属歯車 16が回転させることで、従属歯車 16の回転軸 B 15に接続される切換バ ルブ 34を可変歯車 19の歯車比で回転させることができる。ここで、歯車比とはギヤ比 のことであり、例えば、 30枚の歯車と 60枚の歯車を組み合わせた場合、歯車比は 1 : 2となり、回転数の比は逆に 2 : 1になる。
[0030] 本実施例の装置では、可変歯車 19により歯車比を変えているので、切換バルブ 34 をより大きな力でスムーズに回転させることができる。また、可変歯車 19が中間部に 設けることで各チェーンの長さを短くすることができるので、チェーンの伸びの影響が 減少し、ロータリーアクチユエータ 11からの駆動の伝達をより確実に行なうことができ る。また、チェーンが短いことによりチェーンが外れにくいという効果もある。
実施例 3
[0031] 本実施例の装置は、実施例 1の装置とバルブ部 30の構成が異なり、その他の構成 は実施例 1の装置と同じである。
本実施例の装置は、図 10に示すように、従属歯車 16と連動して回転する回転軸 B 15にピ-オン 62が接続されており、ピ-オン 62に係合するラック 61により伝達部 50 力 の駆動が切換バルブ 34に伝達される。本実施例の切換バルブ 34は、バルブブ ロック 31と面で摺接しながらスライドするスライドバルブであり、左右に移動自在となる ようスライドレール B27を介してベースブロック 1に配設されて!/、る。
[0032] 切換バルブ 34は、ノ レブブロック 31と摺接する面に凹溝 43および当該摺接面と 正面側を L字形状に穿った貫通孔 41を有している(図 11および 12参照)。ロータリー ァクチユエータ 11により回転軸 A14を回転させると、伝達部 50を介して回転軸 B15 が回転し、ピ-オン 62が回転する。ピ-オン 62の回転はラック 61により直線運動に 変換され、ラック 61に固定された切換バルブ 34がバルブブロック 31と摺動しながら、 凹溝 43と貫通孔 41のいずれかを計量孔 35との対向位置に移動させる。
凹溝 43が計量孔 35と対向する位置にあるときは、凹溝 43により貫通孔 35と液材供 給流路 39が連通され、貫通孔 41が計量孔 35と対向する位置にあるときは、貫通孔 4 1により可撓性のある液送チューブ 48および液材排出流路 40を介して計量孔 35とノ ズル 42が連通される。
実施例 4
[0033] 本実施例の装置は、実施例 1の装置と伝達部 50の構成が異なり、その他の構成は 実施例 1の装置と同じである。
本実施例の装置は、図 13に示すように、伝達部 50がベースブロック 1の背面に配 置された従属歯車 16と、主動歯車 17と、主動歯車 17に係合する補助歯車 65と、主 動歯車 17および従属歯車 16とに係回されるタイミングベルト 64とから構成される。 本実施例においては、動力伝達ベルトが係回されている主動歯車 17は、補助歯車 65と係合されており、補助歯車 65を介してロータリーアクチユエ一ター 11の回転軸 A 14と接続されている。動力伝達ベルトは、チェーン 51の代わりにタイミングベルト 64 を用いている。タイミングベルト 64は、公知のタイミングベルトであり、材質は合成ゴム やポリウレタンなどが用いられる。
[0034] 主動歯車 17は、図 14に示すように、同軸上に接続された径の大きい歯車 C66と径 の小さ 、歯車 D67と力 構成され、歯車 C66と歯車 D67とは歯車比が異なって!/、る 歯車 C66と歯車 D67とは同軸上に固定されており、各々独立に回転するものでは なぐ一方の歯車が所定角度回転すると他方の歯車も同じ角度回転するようになって いる。なお、主動歯車 17の回転軸 D68は、ベースブロック 1に対して回転自在に配 設されており、ベースブロック 1に設けられた他の部材を駆動せしめるものではない。
[0035] ロータリーアクチユエータ 11により回転軸 A14を回転させると、回転軸 A14に接続 された補助歯車 65が回転し、補助歯車 65に係合する主動歯車 17の歯車 C66を回 転させる。歯車 C66の回転は、同軸上に接続された歯車 D67にそのまま伝わるので 、歯車 D67は歯車 C66と同じ角度だけ回転し、タイミングベルト 64を介して従属歯車 16を回転させる。従属歯車 16が回転することで、従属歯車 16の回転軸 B15に接続 される切換バルブ 34を回転させることができる。
[0036] 切換バルブ 34を切り換える際の作動について詳細に説明する。
本実施例では、主動歯車 17の歯車 C66は 60枚、歯車 D67は 40枚の歯を有して いる。また、補助歯車 65は 30枚の歯を有し、従属歯車 16は 40枚の歯を有している。 本実施例の切換バルブ 34は、正逆 90° の回転を必要とする。タイミングベルト 64 に係合される従属歯車 16および主動歯車 17の歯車 D67はともに歯が 40枚なので、 従属歯車 16を 90° 回転させるためには歯車 D67も 90° 回転させる必要がある。こ こで、歯車 C66と歯車 D67は同じ角度回転するように固定されているので、歯車 D6 7を 90° 回転させるには、歯車 C66を 90° 回転させることになる。歯車 C66は 60枚 の歯を有しているので、 90° あたりの歯は 15枚である。よって、歯車 C66が 90° 回 転させるためには、歯車 C66と係合する補助歯車 65の歯を 15枚分回転させる必要 がある。すなわち、ロータリーアクチユエ一ター 11が補助歯車 65を正逆 180° 回転さ せることで、切換バルブ 34が正逆 90° 回転させられることとなる。このように、主動歯 車 17を歯車比の異なる歯車 C66と歯車 D67とで構成し、補助歯車 65を介してロータ リーアクチユエ一ター 11の駆動力を伝えることで、実施例 1の装置と比べ 2分の 1の駆 動力で切換バルブ 34を回転させることが可能となる。
[0037] 一般に小型のロータリーアクチユエ一ターは駆動力が弱いが、本実施例の構成に よれば、駆動力の弱いロータリーアクチユエ一ターを用いても切換バルブ充分に駆動 することができるので、実用的な意義は大きい。
一方、歯車 C66の歯数を歯車 D67と比べて少なく構成することにより、切換バルブ
34を高速に回転させることも可能である。装置の仕様に応じて歯車比を調整すること で、駆動力と回転速度のバランスを最適なものとすることが可能である。
なお、従属歯車 16についても、同様に補助歯車を介して切換バルブ 34に接続す る構成とすることで、駆動力および回転速度を調整することが可能である。
[0038] 本実施例の装置では、補助歯車 65により歯車比を変えることにより、切換バルブ 3
4をより大きな力でスムーズに回転させること、或いはより高速に回転させることができ る。
また、補助歯車 65を用いることで、ベースブロック 1の正面側横幅を広げることなぐ 駆動力および回転速度を調整することができる。し力も、タイミングベルト 64はチェ一 ンより幅が狭いので、伝達部 50を構成するスペースを小さくすることができる。その結 果、ベースブロック 1の正面側横幅 Wを狭くすることができ、装置全体の幅をより小さく することが可能となる。
また、タイミングベルト 64は弾力性があるので、歯車などの伝達部を構成する部材 の加工精度および設置位置の多少の誤差を吸収することができる。すなわち、タイミ ングベルト 64の弾力によって誤差等が吸収されるため、多少の誤差等であれば動作 に支障をきたすことがないので、装置の製造が容易となり、低コストィ匕をは力ることが できる。さらには、タイミングベルト 64はチェーンと比べ軽量であるため、動力伝達時 のロスが少なぐ装置の応答性を向上させることができる。