明 細 書
固体電解コンデンサの検査装置と検査方法
技術分野
[0001] 本発明は各種電子機器に使用される固体電解コンデンサの諸特性の中で、主とし て等価直列インダクタンスを測定するのに適した固体電解コンデンサの検査装置とこ れを用 Vヽた検査方法に関する。
背景技術
[0002] 電子機器の高周波化に伴って従来よりも高周波領域でのインピーダンス特性に優 れるコンデンサが求められている。この要求に応えるために電気伝導度の高い導電 性高分子を固体電解質に用いた固体電解コンデンサが開発されている。
[0003] また、近年、パーソナルコンピュータのマイクロプロセッサ(CPU)周辺等に使用さ れる固体電解コンデンサには小型大容量ィ匕が強く望まれて!/、る。さらに高周波化に 対応して等価直列抵抗 (ESR)の低減のみならず、等価直列インダクタンス (ESL)の 低減が強く要求されて ヽる。またノイズ除去や過渡応答性に優れたコンデンサが望ま れて 、る。このような要求に応えるために種々の検討がなされて!/、る。
[0004] 固体電解コンデンサは、特に高周波領域における低いインピーダンス特性が要求 される電源回路やデジタル回路等の用途に使用される。このような固体電解コンデン サを検査するために、より高い精度でインピーダンス測定を行うことを目的として、以 下のような検査装置を用いることが提案されて 、る。
[0005] 図 13は固体電解コンデンサのインピーダンスを測定するための従来の検査装置を 示す概念図である。点線で囲まれた部分は簡易的に示したインピーダンス測定器 50 である。インピーダンス測定器 50は、交流電源 51、電流制限抵抗 52、コンデンサ 54 に流れる電流を検出する電流検出器 53、電圧検出器 55、電流端子 56、 57、電圧 端子 58、 59を有する。
[0006] 電流接触子 60、 61、電圧接触子 62、 63は被測定物であるコンデンサ 54の電極に 接触させてインピーダンスを測定する際に用いられる。電流端子 56から導出されたリ ード端 64と電流接触子 60との間には抵抗体 65が接続され、電圧端子 58から導出さ
れたリード端 66と電圧接触子 62との間には抵抗体 67が接続されている。リード端 64 とリード端 66との間には検出抵抗 68が接続されている。同様に、電流接触子 61とリ ード端 69との間には抵抗体 70が接続され、電圧接触子 63とリード端 71との間には 抵抗体 72が接続され、リード端 69とリード端 71との間には検出抵抗 73が接続されて いる。検出抵抗 68、 73は接触子 60〜63の接触抵抗よりも十分大きな値(10 Ω〜10 Ο Ω )であることが好ましいが、検出抵抗 68、 73が無くてもよい。
[0007] 図 14は図 13のインピーダンス検査装置の等価回路図であり、図中の点線で囲まれ た部分は簡易的に示したインピーダンス測定器 50である。コンデンサ 54には静電容 量 54Αと等価直列抵抗 54Βとが存在する。また、電流接触子 60とリード端 64との間 には抵抗体 65を介して固有抵抗 65Αと誘導成分 74とが存在して ヽる。同様に電流 接触子 61とリード端 69との間には抵抗体 70を介して固有抵抗 70Αと誘導成分 75と が存在している。電圧接触子 62とリード端 66との間には抵抗体 67を介して固有抵抗 67Αと誘導成分 76とが存在している。電圧接触子 63とリード端 71との間には抵抗体 72を介して固有抵抗 72Αと誘導成分 77とが存在して 、る。
[0008] この状態でコンデンサ 54のインピーダンスは以下のようにして測定される。まずコン デンサ 54を配置しない状態でオープン補正およびショート補正を行う。その後、コン デンサ 54の両端の電極に電流接触子 60、 61と電圧接触子 62、 63とを接触させ、電 流接触子 60、 61の間に交流電源 51から電流を流す。そしてコンデンサ 54の両端に 発生した電圧を、電圧接触子 62、 63を介して電圧検出器 55で検出する。このときの 電流 (I)と電圧 (V)とを、電圧検出器 55と電流検出器 53とで検出してインピーダンス Ζを Ζ = VZlの計算式力 算出する。
[0009] 電流接触子 60、 61と電圧接触子 62、 63とはコンデンサ 54の電極に接触されてい る。そのため、それぞれの接触子 60〜63に存在する固有抵抗 65A、 70A、 67A、 7 2Aおよび誘導成分 74、 75、 76、 77は補正されて電気等価回路上 0となる。これによ りインピーダンス測定器 50は正確にインピーダンスを測定することができる。このよう なインピーダンス検査装置は例えば、特開 2001— 35759号公報に開示されている
[0010] 上記従来の検査装置は、オンライン上で被測定物であるコンデンサ 54のインピー
ダンスを極めて短時間で測定することを目的としている。そのため、この測定結果を 利用してコンデンサの ESLを求めることは可能である。し力しながら、その測定精度 は低ぐ低い ESLが要望される固体電解コンデンサのインピーダンスを測定するには 適さない。
発明の開示
[0011] 本発明は固体電解コンデンサの ESL特性を極めて短時間で、かつ精度よく測定す ることができる固体電解コンデンサの検査装置およびこれを用いた検査方法を提供 する。本発明によるコンデンサの検査装置は、絶縁材料で構成された基板と、第 1導 電部と第 2導電部と、ネットワークアナライザと、信号入力部と、信号出力部と、加圧部 とを有する。第 1導電部と第 2導電部とは基板上に導電性パターンにより設けられて いる。第 1導電部はコンデンサの陽極と接触し、第 2導電部はコンデンサの陰極と接 触する。ネットワークアナライザは入力ポートと出力ポートとを有する。信号入力部は 入力ポートに接続され、基板に取り付けられている。信号出力部は出力ポートに接続 され、基板に取り付けられている。加圧部は、コンデンサの陽極を第 1導電部に押し 付けるとともに、コンデンサの陰極を第 2導電部に押し付ける。本発明による固体電 解コンデンサの検査装置は、簡単な構成で不要な抵抗等のインピーダンスが発生す ることなく、極めて短時間で、かつ精度よく固体電解コンデンサの ESLを測定すること ができる。
図面の簡単な説明
[0012] [図 1]図 1は本発明の実施の形態 1による固体電解コンデンサの検査装置の構成を 示す構成図である。
[図 2A]図 2Aは図 1の検査装置における測定部を示す分解斜視図である。
[図 2B]図 2Bは図 1の検査装置における測定部を示す外観斜視図である。
[図 2C]図 2Cは図 1の検査装置における測定部に被検査体を配設した状態を示す外 観斜視図である。
[図 3]図 3は本発明の実施の形態 1による固体電解コンデンサの検査装置の他の測 定部を示す外観斜視図である。
[図 4A]図 4Aは本発明の実施の形態 1におけるコンデンサの接続方法を示す回路図
である。
[図 4B]図 4Bは本発明の実施の形態 2におけるコンデンサの接続方法を示す回路図 である。
[図 4C]図 4Cは本発明の実施の形態 3におけるコンデンサの接続方法を示す回路図 である。
[図 5]図 5は本発明の実施の形態 1におけるコンデンサの ESL測定方法を示す回路 図である。
[図 6]図 6は本発明の実施の形態 1におけるコンデンサの接続方法を示す平面図で ある。
[図 7]図 7は本発明の実施の形態 1における測定部の等価回路図である。
[図 8]図 8は本発明の実施の形態 2によるコンデンサの接続方法を示す平面図である
[図 9]図 9は本発明の実施の形態 2における測定部の等価回路図である。
[図 10]図 10は本発明の実施の形態 3によるコンデンサの接続方法を示す平面図で ある。
[図 11]図 11は本発明の実施の形態 3における測定部の等価回路図である。
[図 12]図 12は本発明の実施の形態 4における検査装置の測定部を示す外観斜視図 である。
[図 13]図 13は従来の固体電解コンデンサの検査装置の構成を示す概念図である。
[図 14]図 14は図 13に示す検査装置の等価回路図である。
符号の説明
1 測定部
2 固体電解コンデンサ
3 基板
4, 41, 43 マイクロストリップライン (第 1導電部)
42 マイクロストリップライン (第 2導電部)
4A 第 1マイクロストリップライン (第 1導電部)
4B 第 2マイクロストリップライン (第 1導電部)
, 5C 陰極電極 (第 2導電部)A 第 1陰極電極 (第 2導電部)B 第 2陰極電極 (第 2導電部) ス/レーホ一ノレ電極
固定台
入力側同軸コネクタ (信号入力部) 出力側同軸コネクタ (信号出力部)0 導電性シート
1 位置決め板
2 ネットワークアナライザ
2A 入力ポート
2B 出力ポート
3, 14 同軸ケーブル
5 パーソナルコンピュータ
6 制御部
7 演算部
8 表示部
9 B己' 1思 ρβ
0 供給部
1 加圧部
2 肉盛り部
3 信号源
4A, 24Β 入出力負荷
5 第 1の入射波
6 第 1の反射波
7 第 2の入射波
8 第 2の反射波
第 1のインピーダンス素子
30, 33 第 2のインピーダンス素子
31 , 34 第 3のインピーダンス素子
35 インピータ"ンス素子
121A, 121B 信号ライン
122A, 122B グランドライン
122 グランド
50 インピーダンス彻 j定器
51 交流電源
52 電流制限抵抗
53 電流検出器
54 コンデンサ
54A 静電容量
54B 等価直列抵抗
55 電圧検出器
56, 57 電流端子
58, 59 電圧端子
60, 61 電流接触子
62, 63 電圧接触子
64, 66, 69, 71 トド端
65, 67, 70, 72 抵抗体
65A, 67A, 70A, 72A 固有抵抗
68, 73 検出抵抗
74, 75, 76, 77 誘導成分
80 コンデンサ
81, 82 端子
発明を実施するための最良の形態
(実施の形態 1)
図 1は本発明の実施の形態 1による固体電解コンデンサの検査装置の構成を示す
概念図、図 2A〜図 2Cはそれぞれ同検査装置の測定部の分解斜視図、外観斜視図 、被検査体を配設した外観斜視図である。被検査体としての固体電解コンデンサ (以 下、コンデンサ) 2は測定部 1上に配置されて測定される。
[0015] 絶縁性の材料で構成された基板 3は測定部 1を構成する主要部分である。基板 3の 第 1面側には、第 1導電部である 50 Ωのマイクロストリップライン 4と第 2導電部である 陰極電極 5とがめつきにより形成されている。マイクロストリップライン 4はコンデンサ 2 の陽極に接触して信号を出力する。陰極電極 5にはコンデンサ 2の陰極が接続される 。さらに基板 3の第 1面に対向する第 2面には全面にめっき部(図示せず)が形成され て ヽる。陰極電極 5に設けられ基板 3を貫通して設けられた複数のスルーホール電極 6を介して、第 1面の陰極電極 5と第 2面のめっき部とが電気的に導通している。基板 3は金属製の固定台 7上に結合されている。これによつて固定台 7はコンデンサ 2の 陰極と接続されたグランドとなる。
[0016] 信号入力部である入力側同軸コネクタ(以下、コネクタ) 8は基板 3に設けられたマイ クロストリップライン 4に信号を入力する。信号出力部である出力側同軸コネクタ(以下 、コネクタ) 9はマイクロストリップライン 4からの信号を取り出す。すなわち、コネクタ 8、 9の芯線はマイクロストリップライン 4に接続され、コネクタ 8、 9のグランド側は固定台 7 を介して陰極電極 5に接続されている。コネクタ 8、 9は基板 3に取り付けられている。
[0017] 弾性を有する導電性シート 10は陰極電極 5の大きさとほぼ同等の大きさで、基板 3 の第 1面側に配設されている。また導電性シート 10と同様の材料でコンデンサ 2の陽 極とほぼ同等の大きさの導電性シートがマイクロストリップライン 4とコンデンサ 2の陽 極との間に介在している。すなわち、マイクロストリップライン 4と陰極電極 5との上に、 弾性を有する導電性シートをそれぞれ配置することが好まし 、。これによつて陰極電 極 5とコンデンサ 2の陰極、マイクロストリップライン 4とコンデンサ 2の陽極との接触の 安定性が向上する。なお、図では導電性シート 10のみ示している。
[0018] 絶縁材料製の位置決め板 11は、コンデンサ 2を所定の位置に位置決めする。位置 決め板 11を用いることでコンデンサ 2のインピーダンスを正確に測定することができる
[0019] ネットワークアナライザ 12には、入力ポート(以下、ポート) 12Aと出力(以下、ポート
)ポート 12Bとが設けられている。ポート 12Aは同軸ケーブル 13を介してコネクタ 8と、 ポート 12Bは同軸ケーブル 14を介してコネクタ 9とそれぞれ接続されている。ポート 1 2Aは入力信号ラインである信号ライン 121Aと入力側グランドラインであるグランドラ イン 122Aとから構成されている。ポート 12Bは出力信号ラインである信号ライン 121 Bと出力側グランドラインであるグランドライン 122Bとから構成されている。この構成 において、ポート 12Aより入力信号を一定電力で周波数掃引させて入力して、ポート 12Aへの入射波とポート 12Bへの反射波との比により測定部 1のインピーダンスを求 めることができる。
[0020] パーソナルコンピュータ 15は制御部 16と演算部 17と表示部 18と記憶部 19とを有 する。演算部 17は後述する方法でコンデンサ 2のインピーダンスを算出する。表示部 18は演算部 17により算出されたインピーダンスまたはインピーダンスに関連した情報 を表示する。記憶部 19は演算部 17により算出されたインピーダンスまたはインピーダ ンスに関連した情報を記憶する。ユーザは、記憶部 19での統計を基に制御部 16を 用いて、コンデンサ 2の検査やコンデンサ 2の特性等の管理を行うことができる。なお 、制御部 16と演算部 17と表示部 18と記憶部 19とはパーソナルコンピュータ 15で構 成する以外に、それぞれ個別のハードウェアで構成しても、これらの 2つ以上を一体 に構成してもよい。
[0021] 制御部 16は、演算部 17と表示部 18と記憶部 19とを制御するとともに、供給部 20 や加圧部 21も制御する。供給部 20は測定部 1上にコンデンサ 2を搬入して載置した り、取り出して搬出したりする。供給部 20は公知の部品供給装置を用いて構成できる
[0022] 加圧部 21は、測定部 1上に載置されたコンデンサ 2を測定部 1に押し付ける。すな わち、加圧部 21はコンデンサ 2の陽極をマイクロストリップライン 4に、陰極を陰極電 極 5にそれぞれ押し付ける。加圧部 21は、例えば圧縮空気の供給をコントロールする 電磁弁と、この電磁弁を介して供給される圧縮空気で駆動されるピストンとで構成で きる。
[0023] また、図 3に示すようにマイクロストリップライン 4と陰極電極 5との上にそれぞれメッ キなどにより肉盛り部 22を設けてもよい。これによりコンデンサ 2と測定部 1との接触安
定性が向上する。
[0024] 次に、このように構成された本実施の形態による固体電解コンデンサの検査装置を 用いて ESLを測定する方法を具体的に説明する。図 4Aは本実施の形態における被 検査体としてのコンデンサ 2の接続パターンによる測定方法を示す回路図である。本 実施の形態における測定方法は、 2ポート方式を用いた測定の中で一般にシリーズ · シャント測定法と呼ばれている。この回路図では、四端子回路網で、ポート 12Aの信 号ライン 121Aとポート 12Bの信号ライン 121Bとが接続され、ポート 12Aのグランドラ イン 122Aとポート 12Bのグランドライン 122Bとが接続される。そして接続された信号 ライン 121A、 122A間の中央付近とグランド 122との間にコンデンサ 2が接続される 。信号源 23はネットワークアナライザ 12に含まれ、一定の入出力負荷 24A、信号ライ ン 121Aを介してコンデンサ 2に接続される。
[0025] 図 5は図 4Aに示した回路を用いてコンデンサ 2の ESLを測定する原理を模式的に 示した回路図である。このように入出力負荷 24Bに並列接続されたコンデンサ 2に信 号源 23より一定電力で周波数を掃引させた信号を印加する。そしてネットワークアナ ライザ 12のポート 12Aへの第 1の入射波 25の強度 alと第 1の反射波 26の強度 bl、 ポート 12Bへの第 2の入射波 27の強度 a2と第 2の反射波 28の強度 b2をそれぞれネ ットワークアナライザ 12により測定する。これらを基に Sパラメータを求める。 Sパラメ一 タの各成分 Sl l、 S12、 S21、 S22と各強度との関係は(式 1)で表される。
[0026] [数 1]
(b\ \ (S\ l S 2l \ ial \
S21 S 22
ノ \a 2J (式 1 )
[0027] 図 6は、図 4Aで表した接続方法で実際にコンデンサ 2を基板 3上に実装し真上から 見た図である。図 7は図 6の構成に相当する、一般的に T型と称される回路図である。 インピーダンス Z1で表される第 1のインピーダンス素子 29は入力側の回路インピー ダンスを示す。インピーダンス Z2で表される第 2のインピーダンス素子 30はコンデン サ 2に相当する。インピーダンス Z3で表される第 3のインピーダンス素子 31は出力側 の回路インピーダンスを示す。
一方、 2ポートネットワークの開回路インピーダンスパラメータである Zパラメータは、 (式 2)のように表される。ここで Zパラメータの第 1行第 2列の Z12と、 T型回路に対応 した Zパラメータの第 1行第 2列のインピーダンス Z2とが等しいことから (式 3)が成り立
[0029] [数 2]
( \ /Zll Z12 \
Z
\ ノ Z21 Z22 (式 2 )
[0030] [数 3]
(式 3 )
[0031] Sパラメータと Z12との間には(式 4)に示す関係が成り立つので、(式 4)を用いてコ ンデンサ 2のインピーダンス Z2を求めることができる。これによりコンデンサ 2の ESLを 算出することができる。
[0032] [数 4]
2521
Z2 = Z 12= (式 4 )
[0033] このように本実施の形態による検査装置では、ネットワークアナライザ 12を用いて S ノ ラメータによりコンデンサ 2のインピーダンスを測定する。またコンデンサ 2を測定部 1に押し付ける加圧部 21が設けられている。これらにより高速でかつ高精度にコンデ ンサ 2の ESLを求めることができる。一般的にネットワークアナライザ 12を用いて Sパ ラメータにより電子部品のインピーダンスを測定する場合、接触抵抗の影響を避ける ため電子部品を基板に半田付けして測定する。しかし本実施の形態のように加圧部 21を設けてコンデンサ 2を測定部 1に押し付けることにより精度よくコンデンサ 2のイン
ピーダンスを測定することができる。
[0034] (実施の形態 2)
図 4Bは本発明の実施の形態 2における被検査体としてのコンデンサ 2の接続パタ ーンによる測定方法を示す回路図である。本実施の形態の測定方法は 2ポート方式 を用いた測定の中で一般にシリーズ 'スルー測定法と呼ばれて 、る。
[0035] この回路では、ポート 12Aの信号ライン 121Aとグランドライン 122Aと、ポート 12B の信号ライン 121Bとグランドライン 122Bとの組み合わせで構成された四端子回路 網において、信号ライン 121A、 121B間にコンデンサ 2が直列に接続されている。そ してグランドライン 122Aとグランドライン 122Bとが接続されている。このように実施の 形態 1に対して被検査体であるコンデンサ 2の接続方法が異なる。これ以外の構成は 実施の形態 1と同様である。ただし、図 1における基板 3上の導電パターンと、その導 電パターンとコンデンサ 2との接続はそれぞれ異なる。これについて次に説明する。
[0036] 図 8は本実施の形態による固体電解コンデンサの検査装置における接続の概略図 であり、図 4Bで表した接続方法で実際にコンデンサ 2を基板 3上に実装し真上から 見た実装状態を示す。本実施の形態では、陰極電極 5が設けられておらず、コネクタ 8の芯線は第 1導電部であるマイクロストリップライン 41に接続され、コネクタ 9の芯線 は第 2導電部であるマイクロストリップライン 42に接続されている。
[0037] 図 9は図 8の構成に相当する、一般的に π型と称される回路図である。この回路は インピーダンス Ζ4で表される第 1のインピーダンス素子 32と、インピーダンス Ζ5で表 される第 2のインピーダンス素子 33とインピーダンス Ζ6で表される第 3のインピーダン ス素子 34とで構成されている。第 2のインピーダンス素子 33はコンデンサ 2に相当す る。
[0038] この構成では π型回路における Sパラメータを求め、 Ζパラメータと Ζ5との関係を用 いることによりコンデンサ 2のインピーダンス Ζ5を求めることができる。これによりコンデ ンサ 2の ESLを算出することができる。
[0039] このように本実施の形態による検査装置でも、ネットワークアナライザ 12を用いて S ノ ラメータによりコンデンサ 2のインピーダンスを測定する。またコンデンサ 2を測定部 1に押し付ける加圧部 21が設けられている。これらにより高速でかつ高精度にコンデ
ンサ 2の ESLを求めることができる。
[0040] (実施の形態 3)
図 4Cは本発明の実施の形態 3における被検査体としてのコンデンサ 2の接続パタ ーンによる測定方法を示す回路図である。本実施の形態の接続方法は 1ポート方式 を用いた測定に用いられる接続方法で、一般に反射型と呼ばれて 、る。
[0041] この回路では、ポート 12Aの信号ライン 121Aとグランドライン 122Aとがそれぞれコ ンデンサ 2に接続されている。このように実施の形態 1に対して被検査体であるコンデ ンサ 2の接続方法が異なる。これ以外の構成は実施の形態 1と同様である。ただし、 図 1における基板 3上の導電パターンと、その導電パターンとコンデンサ 2との接続は それぞれ異なる。これについて次に説明する。
[0042] 図 10は本実施の形態による固体電解コンデンサの検査装置における接続の概略 図であり、図 4Cで表した接続方法で実際にコンデンサ 2を基板 3上に実装し真上か ら見た実装状態を示す。本実施の形態では、コネクタ 9が設けられておらず、コネクタ 8の芯線は第 1導電部であるマイクロストリップライン 43に接続され、コネクタ 8のダラ ンド側は第 2導電部である陰極電極 5Cに接続されている。すなわち、図 1におけるポ ート 12Bは必要なぐポート 12Aが入力ポートと出力ポートとを兼ねる。またコネクタ 8 が信号入力部と信号出力部とを兼ねる。
[0043] 図 11は図 10の構成に相当する回路図である。インピーダンス Z7で示されるインピ 一ダンス素子 35がコンデンサ 2である。この構成でもネットワークアナライザ 12を用い てコンデンサ 2のインピーダンスを測定し、コンデンサ 2の ESLを算出することができ る。この構成は簡便であるが、測定精度は実施の形態 1、 2に比較して低下する。そ れでもコンデンサ 2を測定部 1に押し付ける加圧部 21が設けられているため高速でか つ精度よくコンデンサ 2の ESLを求めることができる。
[0044] (実施の形態 4)
図 12は本発明の実施の形態 4における検査装置の測定部を示す外観斜視図であ る。本実施の形態が実施の形態 1と異なる点は、基板 3上に、第 1導電部である第 1 マイクロストリップライン 4Aと第 2マイクロストリップライン 4Bと、第 2導電部である第 1 陰極電極 5Aと第 2陰極電極 5Bとが設けられて 、る点である。第 1マイクロストリップラ
イン 4Aはコネクタ 8を介して図 1に示すネットワークアナライザ 12の入力信号ライン 1 21Aに接続される。第 2マイクロストリップライン 4Bはコネクタ 9を介してネットワークァ ナライザ 12の出力信号ライン 121Bに接続される。第 1陰極電極 5Aと第 2陰極電極 5 Bとは実施の形態 1における陰極電極 5と同様にスルーホール電極 6を介して固体台 7に接続され、コネクタ 8、 9を介してネットワークアナライザ 12の入力信号側グランド ライン 122Aと出力信号側グランドライン 122Bとに接続されて!ヽる。これ以外の構成 は実施の形態 1と同様である。
[0045] 本実施の形態による検査装置は貫通型のコンデンサ 80に適応している。コンデン サ 80は向かい合う面の組のそれぞれに同極性の端子 81を有し、他の面の組のそれ ぞれに他極性の端子 82が設けられている。そしてそれぞれの端子 81、 82に対応す るように第 1マイクロストリップライン 4A、第 2マイクロストリップライン 4B、第 1陰極電極 5A、第 2陰極電極 5Bが設けられている。また第 1マイクロストリップライン 4Aと第 2マ イクロストリップライン 4Bとは導通せず独立して設けられて ヽる。これにより貫通型のコ ンデンサ 80のインピーダンスを高速かつ高精度に測定できる。なお図 12に示すよう に、第 1マイクロストリップライン 4A、第 2マイクロストリップライン 4B、第 1陰極電極 5A 、第 2陰極電極 5Bにそれぞれ肉盛り部 22を設けることが好ましい。これにより接触安 定性が向上する。
産業上の利用可能性
[0046] 本発明による固体電解コンデンサの検査装置及びこれを用いた検査方法は、簡単 な構成で不要な抵抗等が発生することなくコンデンサへの入出力を測定することがで きる。そのため、極めて短時間で、かつ精度良く固体電解コンデンサの ESLを測定 することができる。この装置は、各種電子機器に使用される固体電解コンデンサの諸 特性の中で、主として等価直列インダクタンスを測定するのに適し、固体電解コンデ ンサの検査装置として有用である。